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国務大臣(
山中貞則君) ただいま
議題となりました
沖繩開発庁設置法案について、その
提案理由及び概要を御
説明申し上げます。
わが
国民多年の悲願である
沖繩の祖国復帰がいよいよ本年五月十五日に実現する運びとなったことは、国をあげての喜びであります。
沖繩は、さきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、
沖繩県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、その間
沖繩百万県民はひたすらに祖国復帰を叫び続けて今日に至ってまいりました。祖国復帰が現実のものとなったいま、われわれ
日本国民及び
政府は、この多年にわたる忍耐と苦難の中で生きてこられた
沖繩県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると思います。祖国復帰というこの歴史的大事業の達成にあたっては、各般の復帰諸施策をすみやかに樹立し、かつ、
沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにして、県民の方方が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることこそ
政府に課せられた責務であります。
このような観点から、
沖繩の祖国復帰の円滑な実現と明るく豊かで平和な
沖繩県の建設こそ
沖繩復帰の
基本的な目標でなければならないと存じます。
沖繩が戦争で甚大な被害をこうむり、かつ、長期間米国の施政権下にあった事情に加え、本土から遠隔の地にあり、多数の離島から構成される等各種の不利な条件をになっていることに深く思いをいたすとき、まずその基礎条件を整備することが喫緊の課題であり、進んでは、
沖繩がわが国の東南アジアの玄関口であるという地理的条件と亜熱帯地方特有の気候風土を生かし、その豊かな労働力を活用して産業の均衡ある振興開発をはかることが必要であると
考えます。
今回、
沖繩開発庁を設置しようとする趣旨は、このような
沖繩の振興開発に関する国の諸施策を積極的に推進し、豊かな
沖繩県づくりに
政府が直接の力添えをするための体制を整備することにあり、このため、総合的な計画の作成並びにその実施に関する事務の総合調整及び推進に当たることを主たる任務とし、
国務大臣を長とする
沖繩開発庁を
総理府の外局として設置しようとするものであります。
なお、
政府は、
沖繩の各界各層の方々の意見を取り入れ、琉球
政府と十分な調整を行ない、ここに成案を得て
国会の御審議をいただきたく運びとなった次第であります。
以上が、本法案を提案した理由であります。
次に、この
法律案の概要につきまして御
説明いたします。第一は、
沖繩開発庁の所掌事務及び
権限に関する規定であります。
沖繩開発庁は、その任務を遂行するため、
沖繩振興開発計画の作成及びその作成のため必要な
調査並びに振興開発計画の実施に関する
関係行政機関の事務の総合調整及び推進に当たるとともに、
関係行政機関の振興開発計画に基づく事業に関する経費の見積もり方針の調整を行ない、及び当該事業のうち
沖繩の振興開発の根幹となるべき社会資本の整備のための事業に関する経費を
沖繩開発庁に一括計上し、各省庁に移しかえる等振興開発関連予算についての
権限を同庁に与えることにいたしております。また、このほか、この
法律の附則において、
沖繩の復帰に伴い、
沖繩の特殊事情にかんがみ、
政府において
特別の措置を要する事項で政令で定めるものに関する施策の推進に関する事務を当分の間
沖繩開発庁に行なわしめることにいたしております。
第二は、
沖繩開発庁の内部部局に関する規定であります。
沖繩開発庁には、内部部局として、総務局と振興局を置くことにし、総務局においては、主として振興開発計画の作成及び
調査並びに
沖繩振興開発金融公庫法に関する事務を所掌し、振興局においては、主として振興開発計画の実施に関する
関係行政機関の事務の総合調整及び推進の事務を所掌することにしております。
第三は、
沖繩開発
庁長官は、必要があると認めるときは、
関係行政機関の長に対し、振興開発計画の実施に関する重要事項について勧告し、及びその勧告に基づいてとった措置について報告を求めることができることにいたしております。
第四は、
沖繩開発庁に、付属機関として、
沖繩振興開発審議会を置き、
沖繩の振興開発に関する重要事項について
調査審議することになっていることであります。
第五は、
沖繩総合事務局の設置及びその所掌事務等に関する規定であります。
沖繩県民の便益に資するため、許認可、補助金交付等の行政事務あるいは
沖繩の振興開発に関連する建設工事等について、
沖繩現地に
関係各省庁の通常のブロック機関の長の有する
権限をおろし、一元的な事務処理を行なうため。
沖繩開発庁の地方支分部局として
沖繩総合事務局を置くことにいたしております。
総合事務局は、
沖繩開発庁の所掌事務の一部を分掌するほか、公正取引
委員会の事務局の地方事務所、財務局、地方農政局、通商産業局、海運局、港湾建設局、陸運局、地方建設局等の地方支分部局において所掌すべきものとされている事務その他民有林及び水産
関係の事務の一部を分掌することにいたしております。また、これらの地方支分部局において所掌すべきものとされている事務等については、当該事務に関する主務大臣または公正取引
委員会が総合事務局の長を指揮監督することにしております。
なお、総合事務局の位置及び組織については、別途政令で定めることにいたしております。
第六は、
沖繩開発庁設置法は、琉球諸島及び大東諸島に関する
日本国とアメリカ合衆国との間の協定の効力発生の日から施行することにし、また、この
法律の公布に際しては、
法律の
内容について
沖繩県民に対し
周知徹底をはかるため、
内閣総理大臣は琉球
政府行政主席に通知することにいたしております。
第七は、
沖繩開発庁設置法の施行に伴い従来の
沖繩・
北方対策庁設置法は廃止されることになりますので、北方領土問題に関する事務につきましては、新たに、
総理府の機関として、
総理府総務長官たる
国務大臣を長とする
北方対策本部を設置して、
沖繩・
北方対策庁が所掌する北方領土問題に関する事務をこれに引き継がせ、本問題の
解決の促進をはかるため、この
法律案の附則において
総理府設置法の所要の改正を行なうことにいたしております。
以上述べましたことのほか、
沖繩開発庁設置法の制定に伴い必要な
関係法律の整備に関する規定を附則に設けることにいたしております。
以上が、この
法律案の提案の理由及びその概要でありますが、この
法律案は、
沖繩県の自治権を最大限に尊重しつつ、新しい
沖繩県の伸長、発展に取り組む
政府の
基本姿勢を明確にするためのものであることを申し添えておきます。
何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。