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政府委員(
石井多加三君) この答申の中で申しております「適正
利率の検討」の中で指摘しておりますのは、現在の
郵便貯金と銀行
預金との一般的な比較だけではない、特殊な
定期性の
貯金についての問題であろうかと思うわけでございます。
現在、
通常貯金と銀行の普通
預金では、御案内と思いますが、私
たちのほうは三・六%の
利率をつけておるのに対しまして、銀行のほうは二・五%でございまして、これは明らかに
郵便貯金のほうが、いわゆる
通常貯金、出し入れ自由の
貯金のほうが有利になっておるわけであります。これは、もちろん滞留
期間が
郵便貯金のほうが非常に長くて、
通常貯金といえども、七カ月ぐらいの滞留
期間があるのに対しまして、
民間の
通常貯金、普通
預金は大体〇・四カ月ぐらいしか滞留
期間がないといったような、その本質的な相違にもよるわけでありますが、そういった点はもうすでに、この答申に論ぜられる問題以前に解決しているわけであります。
ここに申しておりますのは、おそらく
定期性の
貯金ということでございますから、現在の
郵政省で言いますと、
定額貯金と
民間の
定期預金との比較であろうかと思います。これは、表を見ていただければ、よくおわかりいただけるわけでありますけれども、大体
定額貯金のほうは、
最初のほうは
民間の
定期預金よりも不利でございます。大体半年
たちましたところで四・二五%というのが
定額貯金の
利率でございますけれども、銀行のほうの普通
預金は、半年もので言いますと、四・七五%だったかと思いますが、これは向こうのほうがはるかに有利になっておりますし、大体一年半ぐらいまでは
民間の
定期預金のほうが
郵便局の
定額貯金よりも有利になっておるわけであります。まあそういったことをここで指摘しているのだろうと思いますけれども、この点につきましては、従来も現在も同様でございまして、
定額貯金のほうはそのかわり、先になればなるほどだんだん有利になっていくということでございます。と申しますのは、私
たちのほうは、十
年間それが
預託できるということもございますし、半年複利でございます。したがいまして、二年半
たちますと六%の
利率になりますけれども、その六%は
最初のときから適用されるわけでございますので、半年複利という計算でいきますと、実際には二年半の場合は、利回りからいきますと、六・四一%になると思います。そういった点で、
定額貯金と
定期預金の比較は、初めのほうは銀行のほうが有利で、後半になると
郵便貯金のほうが有利だというふうな現在の体系になっております。これらを総じて、長期の
預金は、
定額と
定期でそれぞれまあバランスがとれておると従来見ておったわけでありまして、ここの趣旨で言っておりますように、初めのほうを、もし
民間並みに上げるといたしますと、ちょっと後半のほうも現在同様ということが少しむずかしくなるのじゃないかと思います。全体のバランス論の
関係もございますので、いままでのところはこのような、ここに指摘してあるとおりでまいっておるわけであります。
まあ、よけいなことかと思いますが、今度の
預金者貸付
制度も、こういった初めのほうで早く出される方、大体二年ぐらいまででお出しになる方は、銀行よりも不利になっており、そういう方々が
預金者貸付
制度をお受けになり、
貯金を継続化され、長期化されることによって有利になるといったようなこともねらっておるわけでございますが、この答申に申しておることは、そういう意味では現在もそのままであるということを申し上げます。