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国務大臣(
廣瀬正雄君)
庶民金融の
創設と
郵便貯金金利の
引き下げの問題について、たいへんな御高配をいただきまして、御
質問を賜ったわけでございますが、この問題につきましては、私、一両日前に、当
委員会におきまして、
松本委員に
お答えもいたしたのでございまして、率直に私はきょう申し上げますが、ただいま
新聞等でも報道されておりますように、
庶民金融の
創設と
郵便貯金の
金利の
引き下げがからんで、
取引の具に供されたように考えられるような、誤解を受けるような、書き方をいたしておるのでございますけれ
ども、これは絶対にさようなことはございません。先日、自民党の、この
庶民金融の問題につきまして、党内でも、ずいぶん、いろいろ沸騰いたしたのでございますけれ
ども、その際に、
政調会長が
あっせんの労をとられまして、いわゆる
調停というものができまして、これを最終的には、
総務会でのむことにはいたしたわけでございますけれ
ども、その
文面は、
新聞に載っておりましたので、これによっても御
承知をいただきますように、決して
郵便貯金の
金利の
引き下げということが、
交換条件として持ち出されておるものではなかったわけでございまして、
庶民金融は
庶民金融として党の
方針をきめたわけでございます。
実は、この
政調会長の
あっせんの間におきまして、一番、私
どもが心痛いたしましたことは、ただいま
お話がございましたように、もともと
法律的に、また制度的に、
郵便貯金の創始の当初から、はっきりいたしております
郵便貯金制度、これは
金利の
問題等も含めて、それはもうそっくりそのまま、すべて
郵政大臣の
管理事項であるということにもかかわりませず、昨年の暮れに、私が
郵便貯金の
金利を
引き下げないということでがんばりました、そういう事実をとらまえまして、
日本の
金融全体の
運営からいたしまして、
郵便貯金の
金利の
決定権も
大蔵大臣の手に掌握すべきであると、こういうような案が一応
調停案の中にうたわれておったのでございます。それといま
一つは、
郵便貯金は百五十万まで
免税ということになっております。これは
申告も何もしなくて
税金を免れるということになっておりますわけでございますが、これがどうも文字どおり履行されていない、したがって
郵便貯金におきましても
免税は
銀行預金と同様に
申告制にすべきであると、そういうことを厳重に法定すべきであるというような
一つの項目があったわけでございまして、そこで私はこの
二つにつきましては、最も強く反対いたしました。
第一番の問題のごとき、
郵便貯金制度の根幹をゆるがすものであるから、こういうことをあくまで
主張するということであれば、
庶民金融というものは、私はとる必要はないということも強く
主張いたしました。それから二番目の問題につきましても、これは、あたかも
郵政省を
罪人扱いにするような
考え方だと、
銀行預金だって無記名の
預金があるじゃないかと、まあお互いに、その限度をわきまえて、その
趣旨を実行するということは当然のことだけれ
ども、しかし、いかにも
最初から
郵政省が、
郵便局が、そのようなことをやっているように誤解いたしまして、
申告制にしなければならないとか、あるいは法定しなければならないということは不届き千万だということを
主張いたしたわけでございますが、その他幾つかの条項がございましたけれ
ども、この
二つにつきましては、特に強く
主張いたしまして、その結果、第一の根本をゆるがすような
金利の
決定権を、
大蔵大臣に移すという問題は、もちろん引っ込めてまいりました。そこで、そうした
金利問題については、
日本全体の
金融に
関係のあることだから、
郵政大臣と
大蔵大臣が協議するということになったわけでございます。これは、現在の
法律でも、そのようなことになっておりますわけでございます。それを書面に書いただけだと私は思っておりますわけでございますが、これと、それからいまの
税金の問題、これも
申告するとか、あるいは法定するとかいうことは撤回いたしまして、これも、ひとつ厳重に守るように措置してもらいたい。
行政措置を遺憾なくやってもらいたいというような
文面に変わりまして、これをのむことにいたしましたわけでございます。
ところが、この
二つについて
最後まで
——自分の党のことを申して恐縮でございますけれ
ども、
総務会というのが党の最終的な
決定機関、いわば
党大会にかわる
機関ということになっておりますが、そこで
関係者が集まって、大いに論議して、最終的に、ただいま申しましたように、
最初の
調停案が変わりまして、私
どもの、のめるようなことになりましたから、全体が了承して、これでいこうということになったにかかわりませず、
大蔵省は、かってな解釈をいろいろいたしまして、さっきのさっきまで、いまの
税金の
問題——税金の問題につきましては、これは
けさの
段階で折れてまいりましたが、
金融の一元化の問題につきましては、
ほんとうに先刻まで、いろいろなことを申しまして、そのような約束を取りつける、同時に、法定にしなくても、そういうようなことを、覚え書きとして取りかわしておきたいというようなことを申しまして、頑強に抵抗して、納得してくれなかったわけでございますけれ
ども、そこで、きょう重ねて
政調会あるいは
総務会で取り上げてもらうということに、党の
関係はいたしまして、私も
最後の決断をいたしまして、
庶民金融は流れても、しかたがないということで、私みずから重大な決意をいたしまして、臨もうといたしておったわけでございますが、ところが、正しいことは通るものでございまして、さっきの
政調会の
段階で、やっと
大蔵省がのむということになったらしゅうございます。
そのようになるについては、
けさからずいぶん、あちこちに手をとりまして
大蔵省の非を鳴らして、これは、
郵政省ばかりでなく、
大蔵省は、どの省に対しましても、そんな信義を守らないと申しますか、かってなことを言い続けて困らせる省のようでございますが、
郵政省の今度の問題についても、まさにそのような
態度で臨んでまいりました。しかし、そうした不当な
要求が通るはずはございません。すでに
総務会で決定した
事項でございますから、なんとか、これで妥結できそうだということになりますと、また新しいメンバーが加わってまいりまして、こわれるというようなことが五、六回重なりまして、きょうに及んだわけでございますけれ
ども、やっと、さっき、きょう
衆議院の
逓信委員会に私出ておりますときに、連絡がございまして、午後になってやっとでございますけれ
ども、どうやら
政調会を通ったからということでございましたから、私もほっといたしておりますわけでございます。
そういうような心痛の
状況が、ここ四、五日間続いてまいったわけでございますが、そういうことになりまして、いま
法律案の作成を
法制局に急がせておりますわけでございまして、あしたが二十六日、
国会の
最終日でございます。そして幸いに
閣議があることになっておりますので、
閣議の了承を得るということになれば、これから先は議運の問題になりますけれ
ども、
国会に取り上げてもらわなくちゃならない、このように思っておりますわけでございます。
また、
提出の方法につきましても、私
どもはこの問題は
各党たいへん御
支持をしてくださった問題でございますから、与党が中心となりましても実は
議員提案で
各党の
提案がいいんじゃないか、
共同提案ということが一番
かっこうがいいんじゃないかということを考えまして、そういう
主張をいたしましたし、また、
法律案がこんなにおくれて
国会に
提出されるということになりますれば、
政府提案でありますといろいろ心配な点がございます。あとで言及いたしますが、これは
金利引き下げとからませているじゃないか、
取引をやっているじゃないかというような、かんぐっての御
質問もあろうかと思いますし、これが
議員提案ということになりますれば、
法案の問題は、つまり
庶民金融の問題は、
金利の問題であり、
金利の問題は、私が一人で責任をとればいいわけでございますから、おのおの
立場が違いますので、そういう点から申しましても、成立しやすいというように考えますわけでございます。
しかも、
各党共同提案ということになりますれば、
質問もおのずからやわらいでこようかと思います。そういうことも考えて、ぜひ
議員提案になさるべきだということを、
調停案の
段階におきまして、
最初から
主張してまいったのでございますけれ
ども、事の内容が非常に重大であり、いわば
郵便貯金制度の本質を、今度変革することになりますわけでございますから、そういうような理由を踏んまえて、ぜひ
議員提案にせよということでございました私
どもの希望に反しました結果になりまして、ただいま申しましたように、その
立場からの、この
法案の作成に、非常に苦慮して今日になっておりますわけでございます。
そこでこれが
閣議を通り
——閣議を通ることは、私がおりますからこれは間違いなく通ると思いますけれ
ども、
国会の問題に、それから移るわけでございますけれ
ども、したがいまして、ひとつぜひ、
郵政省多年の悲願でございますから、皆さん方の超党派的な御協賛によりまして、ぜひすみやかに、この
法案が成立しますように、これは、ほとんどの国民が、
鈴木委員御
承知のように、非常に待望いたしております制度の
創設であるかと思いますわけでございますので、その内容につきましては、この前の
委員会で、
鈴木委員から御指摘ございましたような、まだいろいろな難点が私あろうかと思います。あろうかと思いますけれ
ども、今度はそうした
事業を
創設するべく、たいへん骨を折ったわけでございまして、その辺の事情はひとつ御推察をいただきまして、ぜひ不満足ながらでも、今度のこういう制度ができますように格別な御協力をお願いしてやまない次第でございます。
それから
金利引き下げの問題でございますが、たまたま
庶民金融の
創設のための
法律案の
提出の時期と時を同じくいたしまして、大きな論議の的になりました問題でありますだけに、いろいろ
取引をしたというように考えられても、これはしかたがない事情でございますけれ
ども、決して、
取引をしていないということは冒頭申し上げたとおりでございますが、私の
郵便貯金に対する
考え方はもうすでに御
承知のように、しかも昨年の暮れがんばりまして、その後ずっとその信念を貫いてまいりましたように、
銀行預金とは性質が違うんだという確信を持っているのでございます。
銀行預金は大部分が会社の
預金、短期で申しますと、七割までが会社の
預金でございますし、長期を入れましても、五割程度までが会社の
預金ということになっておりますが、
郵便貯金は九割九分何厘というものまでが、個人の零細な集積の貯金でございまして、いわば
銀行預金は産業資金であり、
郵便貯金は国民の生活資金である、消費者の資金であるという信念で、ずっとやってまいったのでございますが、しかし最近、公定歩合の
引き下げが、どうもまた重ねて行なわれそうだという心配が起こってまいりましたので、私も、自分だけの知恵だけでは足らないと思いまして、政府の中におきましては、
経済企画庁長官の木村
大臣とも時々相談してまいりましたが、この前の
金利引き下げに反対しましたときにも、私の説を
支持してくれたのは、長官であったわけであります。
今度の問題につきましても、木村長官の
考え方としては、ここしばらくは公定歩合の
引き下げという問題は起こらないぞ、だから、したがって、これが、今度起こるということになれば、
郵便貯金の
金利引き下げも考えざるを得ないだろうというようなことでございました。しかも、公定歩合の
引き下げもやる必要もない、預貯金の
金利引き下げをやる必要はないというのは、
日本銀行の総裁も言っているじゃないかということでありまして、私も、そういうことで安心をしておったわけでありますが、閣内におきましては、御
承知であろうかと思いますが、二、三公定歩合の
引き下げをやれ、また、預貯金の
金利の
引き下げをやれということを強く
主張しておった閣僚もおったわけでありますが、しばらくは公定歩合の
引き下げということにはならぬだろうという見通しを、木村
大臣はつけてくれておったわけでありまして、私もそういうことをたよりにいたしておったわけでありますが、最近、御
承知のように、急にこの問題が変わってまいりまして、急がなきゃならぬ、一日も急がなきゃならぬというような事態になっております。
こういうような様子が見えてきました先だって、私なるべくいろんな人の
意見を聞いたほうがよかろうと思いまして、学者、
先生にも
郵政省においで願って、いろいろ勉強さしてもらったのでありますが、こういう
先生方いろいろ御
意見も違った何かがあると思いまして、社会党の木村禧八郎
先生においで願ったこともあります。学者の一人として木村
先生は、あくまで下げる必要はないという御
意見でございましたが、しかし、そういう説の人もあれば、いや、この際どうしても下げなければならぬぞという
先生もおりまして、こちらのほうが多かったわけでございまして、それで私もいろいろ考えたんでございますが、ある程度は下げなくちゃならぬかなと思って、だんだんそういう気持ちに最近傾いてまいっておったわけであります。
と申しますことは、昨年の暮れと違いまして、非常に景気浮揚というものが、ああいう公定歩合は、やったけれ
ども、預貯金の
金利を下げない、私が
郵便貯金の
金利を下げないということをがんばりまして、御
承知のように、
銀行預金も下げずに済んだわけでございまして、そして、今日になったわけでございますけれ
ども、その後、こういうように景気が上がらないのは
郵便貯金を下げなかったことに罪禍があるがごとき記事が
新聞に載ったり、その後たびたびいたしたわけでございますけれ
ども、しかし、私は必ずしもそうではないと思ってまいったわけでございますけれ
ども、ところが下げなかったということが、やっぱり
一つの何と申しますか、原因になったと申しますか、いまの景気がなかなか上がらない。しかも、外貨はどんどん滞留するばかりだということで、どうしても
日本全体の
経済、
日本全体の
金融という点から申しまして、
郵便貯金を含めて、すべての預貯金の
利子を下げざるを得ないという情勢が強くなったということは、一応私
どもといたしまして考えなければならない。
預貯金の
利子が下がらなければ、景気浮揚の資金というものが思うように投入されない。つまり景気が上がってこない、景気が上がってこないということになれば、外国から資材を輸入するというようなことがないわけでございますから、つまり、外貨が現在たまっておりますものが流出するというようなこともないわけでございまして、景気の浮揚と外貨の滞留ということが非常に大きな
関係を持っておることは、これは私が申し上げるまでもなく、
先生先刻御
承知のとおりでありますが、そういう
日本全体の問題に
関係しているということを、最近いささか考えるようなことになりまして、そのやさきに、内閣の
方針がすべての
金利を
引き下げざるを得ないというようなことになったわけでございます。あくまでこの際がんばりまして、
日本の
経済に大きな支障をきたすということになれば、それがまた、回り回って、庶民の福祉にも
関係してくるということを考えまして、ただいまでは御
承知のように、
金利は
郵便貯金といえ
ども、ある程度下げざるを得ないというように、私の気持がなっておりますわけでございますが、これは私の責任でございます。
庶民金融とは何も
関係のない問題でありますわけでございます。
ただ、御
承知のように、
郵便貯金の
金利の問題につきましては、
郵政審議会というものにかけなければならぬことになっておりますわけでございますから、
郵政審議会の御意思がどう決定するかわかりませんけれ
ども、いろいろ問題があろうかと思うのでございまして、たとえば、銀行の預貯金を〇・五%
引き下げるということになりましても、
郵便貯金は〇・一%しか下げない、あるいは〇・二五%
——つまり〇・五%の半分だというような点もあろうかと思います。また、時期につきましても、私は
郵政審議会は、この月のうちに開きますという約束だけはいたしておりますけれ
ども、その答申がいつ出ますやら、何かの機会には、これは西村
委員あたり御
承知だと思いますけれ
ども、結論が
郵政審議会で出ますのに、五カ月もかかったというようなことを聞いておりますけれ
ども、今度は、そんなことではいかぬと思っておりますけれ
ども、なるべく早く結論を出さなければいかぬと思っておりますけれ
ども、
郵政審議会にゆだねて結論を出していく。私の意図がこうであるというようなことは、現在のところ申し上げたつもりでございますが、すべて
郵政審議会の御
審議によりまして御答申をいただいて、その上で、私の決断をするという順序になろうかと思うわけでございます。
郵便貯金の
利子は一円だって下げちゃならないぞという
鈴木委員の気持もよくわかるわけでございますけれ
ども、私悩みに悩んだ結果、
日本全体のそうしたことを考えますと、
日本の
郵便貯金だということを考えて、考慮しなければならないということを現在思っておりますわけでございます。
しかし、今後もまだ私はがんばる余地も残っておりますわけでございますから、一応のワクははめられておりますわけでございますけれ
ども、
郵便貯金の、庶民の非常に貴重な
預金であるということを考えまして、今後私なりに最善の努力を尽くしてまいりたい、こういうふうに思っておりますわけでございます。