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参考人(
菅野義丸君)
国際電信電話株式会社
菅野でございます。
本日はまことに貴重な時間をいただきまして、当社事業の概況につき御説明を申し上げることを得ましたことを深く感謝いたします。さらにまた、平素格別の御指導を賜わっておりますことに対しあわせて厚く御礼を申し上げます。
本年は当
国際電信電話株式会社が発足いたしましてから、ちょうど二十年目を迎えたわけでございますが、この間のわが国の国際通信はまさに激動の
時代でありまして、かつてそのほとんどが短波通信によっておりましたものが、広帯域通信へと発展的な変貌を遂げて今日に至った次第でございます。
すなわち、
昭和三十八年ごろまでは短波通信の
時代でございましたが、三十九年に太平洋横断ケーブルの開通が画期的な広帯域通信
時代への幕あけとなり、自後インテルサット衛星による商用通信の開始、日本-韓国間マイクロ散乱波通信の開始、さらには日本海ケーブルの建設、開通と、矢つぎばやに国際電気通信のハイウエーが建設整備され、現在では世界的な広帯域通信幹線網の形成を見るに至っております。その結果、短波通信の全盛期である
昭和三十八年には合計わずかに二百三十九回線を運用いたしておりましたが、現在では約六倍の千五百回線の多きを数えております。そのうち、広帯域通信によりますものは総回線数の約九五%を占めておる状態でありまして、かつての短波通信
時代には想像もできなかった豊富で良質な回線の運用が可能となり、電報、電話、テレックスはもちろんのこと、テレビジョンの宇宙中継やデータ通信など新しいサービスが提供できるように相なりました。
当社は今後ともこれら豊富、良質しかも安定した通信幹線を十二分に活用いたしまして、世界各国との国際通信網の拡充整備につとめますとともに、日進月歩の技術革新と
情報化社会の進展に対応するため、なお一そうたゆまざる研究と真摯な企業努力を重ねて、
国民の皆さまにさらに御満足がいただけるようなサービスを提供いたしたいと、かように念じております。何とぞよろしく今後とも御指導、御支援を賜わりますようお願い申し上げます。
つきましては、ここにまず最近一カ年間の事業概況について御
報告させていただきます。
昭和四十六年度における
設備の拡張改良計画のうち、おもなものといたしましては、衛星通信の
関係、中央局における基礎的通信
設備の拡充整備及び新国際通信センターの建設着手等でございます。
まず第一に、衛星通信の
関係でございますが、太平洋上に配置されるインテルサットⅣ号系衛星に対応するために、建設を急いでおりました茨城衛星通信所第三地球局が完成し、昨年十二月から運用を開始いたしました。インテルサットⅣ号系衛星は従来のⅢ号系衛星に比べまして四倍以上の能力を有するもので、第三地球局の完成によりまして太平洋地域の衛星通信サービスは格段の向上を見ております。
第二は、基礎的通信
設備の拡充整備の
関係でございます。そのうち最も大きなものは電報中継機械化の実施であります。この新しいシステムは昨年五月から運用を開始いたし、十月には回線収容がえを完了し、現在順調に稼動いたしております。実用化後の成績もきわめて良好で、局内経過時分の短縮はもとより誤謬率の減少等、国際電報サービスは大幅に改善向上いたされました。
第三は、新国際通信センターの建設でございます。かねて当社では副都心新宿に敷地を買収し、建設準備を進めておりましたが、いよいよ昨年十一月に着工いたしました。地上三十二階、地下三階、延べ十二万六千五百平方メートルの建物で、
昭和四十九年六月完成の予定でございます。
以上のほか、非常障害対策
関係の
設備等、
昭和四十六年度の当社事業計画に掲上いたしました諸
設備の拡充計画はおおむね順調に実施をいたしておる次第でございます。
続いて、
昭和四十六年度の営業概況について申し上げます。
まず取り扱い業務量の実績でございますが、昨年度は変動相場制の実施、円の切り上げ等、通貨制度が大きく変化いたしましたが、各業務ともおおむね順調な伸びを示しております。年度明け早々で確定的な数字が出ておりませんので、年度末の見込みを主要業務別に概数で申し上げますと、国際電報五百五十八万通、国際加入電信――テレックスでございますが五百八十七万度、国際電話二百七十七万度でございまして、特に国際加入電信、国際電話につきましては、前年度に比較して加入電信は度数で三六%、分数――使用した時間の分数では二三%、電話は度数で二八%と、著しい増加と相なっております。
次に、経理の概況を申し上げますと、まず
昭和四十六年度上期の収支
状況は、営業収益百八十九億円、営業費用百四十五億円となり、これらに営業外費用及び特別損益を加減したこの期の利益は二十六億円と相なっております。四十六年度の下期につきましてはまだ確定的なことを申し上げる段階にないのでございますが、おおむね順調な決算ができるものと見込んでおります。資産の
状況につきましては、四十六年九月末現在におきまして資産の総額は五百五十六億円で、そのうち流動資産は百七十九億円、固定資産は三百七十七億円と相なっております。一方、負債総額は二百九億円で、そのうち流動負債は百九億円、固定負債は三十七億円、引き当て金は六十三億円となり、したがいまして差し引き純資産額は三百四十七億円と相なっております。
以上で
昭和四十六年度の概況の
報告を終わり、続いて
昭和四十七年度の事業計画の
関係につきまして概略御説明申し上げます。
四十七年度の国際通信需要は、昨年末における通貨調整措置の対外貿易への影響もございまして、従来のような急速な伸びは期待できないものと考えておりますが、一方、国際交流の活発化等を反映いたしまして、総体的には依然として増加の傾向を示すものと思料いたしております。したがいまして、このような需要に対処するため、本年度も前年度に引き続き、各種国際通信
設備の拡充整備に努力いたし、通信サービスの一そうの改善をはかる所存でございます。
すなわち
昭和四十七年度の
設備計画といたしましては、昨年末着工しました新国際通信センターの本格的建設工事を推進するほか、電話交換
設備や加入電信交換
設備、データ伝送
設備、その他オートメックス等の新規サービスのための諸施設及び基礎的通信
設備の拡充整備につとめ、また通信回線の新増設、営業
関係設備の整備、非常障害対策、
訓練設備の充実、新技術の研究開発等を推進することとし、これらに要する経費といたしまして約百八十億円を予定しております。
このうち対外通信回線につきましては、さらに大幅の拡張をはかることとし、電話回線百二十一回線、加入電信回線五十三回線をはじめといたしまして、専用回線、電報回線等総計二百五十三回線を新増設する計画であります。これが実現いたしますと当社の対外回線数は全体で約千八百回線となり、国際通信サービスは一そうの改善向上を見ることに相なります。
また、本年五月に予定されております沖繩の本土復帰に伴い、同地における国際電気通信業務が当社に移管されますので、
関係各方面の御協力を得まして、適切な段取りとあたたかい心をもって要員並びに施設の受け入れを円滑に行ない、国際通信サービスの改善向上につとめますとともに、その後の施設の拡充等について万全の措置を講ずる所存でございます。なお、沖繩
関係の事業所といたしましては、那覇に国際通信事務所と国際電報電話局を、さらに普天間、牧港に分局をそれぞれ設置して業務を開始いたしますとともに、那覇における新局舎の建設に着手することといたしておる次第でございます。
次は営業所
設備の拡充でございますが、お客さまの御利用の便をはかるため、本年度は新東京国際空港内分局、東京シティ・ターミナル――これは箱崎町にあります――内分局、及び京都サービス・ステーションをそれぞれ新設する予定でございます。
衛星通信、海底ケーブル施設の拡充整備につきましては、インテルサット恒久制度の発足に伴う宇宙
部分投資額の増大に備えますとともに、インド洋地域Ⅳ号衛星の運用開始を考慮いたしまして、山口衛星通信所施設の改修の準備を進めるほか、新太平洋ケーブル計画に積極的に参画し、所要の投資を行なうことにしております。
また、新技術の研究開発につきましては、衛星通信や広帯域海底ケーブル中継方式、国際電話の電子交換、データ通信、画像通信等に重点を置いて行なってまいる所存でございます。
さらに、新技術に対応する各種
訓練な
ども施設を充実して成果をあげてまいりたいと存じております。
最後に、
昭和四十七年度の収支につきましては、主要業務の需要量を国際電報五百三十万通、国際加入電信七百三万度、国際電話三百六十一万度と見込みまして、この予測のもとに、収入については約四百四十七億円、支出については一そうの効率的使用につとめることとしまして、約三百九十三億円を予定しております。
なお、ただいまも申し上げましたどおり、今後の諸施策の推進に際しましては、巨額の資金が必要となりますので、本年中に倍額増資を予定いたしており、増資後の資本金は百三十二億円となる見込みでございます。
以上、簡単でございますが、事業概況の御
報告をいたしました。
何とぞ今後とも
委員長及び
委員の皆さま方の一そうの御指導、御鞭撻のほどを切にお願いいたします。
ありがとうございました。