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1972-04-13 第68回国会 参議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十三日(木曜日)    午後二時十一分開会     ―――――――――――――    委員異動  四月十一日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君  四月十三日     辞任         補欠選任      野上  元君     竹田 現照君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         杉山善太郎君     理 事                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 森  勝治君     委 員                 今泉 正二君                 郡  祐一君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君                 竹田 現照君                 松本 賢一君                 木島 則夫君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  廣瀬 正雄君    政府委員        郵政大臣官房長  森田 行正君        郵政大臣官房電        気通信監理官   柏木 輝彦君        郵政省郵務局長  溝呂木 繁君        郵政省人事局長  北 雄一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        郵政大臣官房首        席監察官     舘野  繁君        郵政省郵務局次        長        高仲  優君        日本電信電話公        社営業局長    遠藤 正介君        日本電信電話公        社運用局長    中林 正夫君    参考人        国際電信電話株        式会社取締役社        長        菅野 義丸君        国際電信電話株        式会社取締役副        社長       板野  學君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        甘利 省吾君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        新川  浩君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        増田 元一君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        木村 光臣君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        増森  孝君        国際電信電話株        式会社取締役   米田 輝雄君        国際電信電話株        式会社取締役   古橋 好夫君        国際電信電話株        式会社取締役   三輪 正二君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (山陽本線における鉄道郵便車火災事故に関  する件)  (室蘭郵便局における人事管理に関する件)  (国際電気通信事業に関する件)     ―――――――――――――
  2. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告申し上げます。  一昨十一日、塩出啓典君が委員辞任され、その補欠として山田徹一君が選任されました。
  3. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) まず、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  国際電気通信事業調査のため、国際電信電話株式会社取締役社長菅野義丸君、同取締役社長板野學君、同常務取締役甘利省吾君、新川浩君、増田元一君、木村光臣君、増森孝君、同取締役米田輝雄君、古橋好夫君、三輪正二君、以上十名の方々を参考人として本日の委員会出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  5. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  まず、山陽本線における鉄道郵便車火災事故について、鈴木君及び森君から御質疑の申し出がありますので、これを許します。まず、鈴木君から。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 ただいま委員長からお話がありましたように、昨夕でございますか、山陽線急行阿蘇」に連結されております鉄道郵便車火災を起こして、何かニュースによりますと、全焼とも言われておりますが、たいへん私ども関係者として心配をいたしておりますので、事故概要等につきまして、最初に大臣から御説明願いたいと思います。
  7. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 大阪郵政監察局からの報告によりますれば、本日午前零時三十分ごろ、名門下り護送便急行阿蘇」でございますが、岡山備前野谷付近に差しかかった際、同郵便車郵袋室付近から出火し、搭載大郵袋の大半を焼失したもので、原因等の詳細につきましては、目下調査中でございます。  なお、被害状況につきましては、人身被害はありませんが、搭載してありました大郵袋五百二十五個在中の郵便物を焼失いたしまして、郵便車、これは郵政省所有でございますが、その郵便車もほとんど全焼したものでございます。  こういうような状況を起こしまして、私、郵政事業責任者といたしまして、まことに国民皆さん方に申しわけないと、関係者にかわって、ほんとうに相すまぬことだったと思って、非常に恐縮をいたしておりますわけでございます。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 いまの、大臣のお述べになりました程度のことしかまだわかっておりませんのですか。
  9. 舘野繁

    説明員舘野繁君) お答えいたします。  非常に詳細にはまだわかってございませんけれども、いま大臣から答弁申し上げましたことに若干御説明いたしますると、いま申し上げましたように、その郵便車は、名古屋から門司までの、名門下り護送便でございます。名古屋発、昨日の午後七時二十五分でございます。搭載しておりました郵便物は、通常郵袋三百二十袋、小包郵袋二百五袋、計五百二十五袋でございます。これが、先ほど申し上げましたように備前市の野谷付近で、進行方向に向いまして左側の前方郵便室から発火いたしまして、列車は――この郵便車機関車の次についておるわけでございますが、発火いたしまして、一時停車し、消火につとめましたけれども、この消火ができませんで、機関士判断によりまして、近くの、一番近い駅まで回送、走らせまして、吉永駅でございますが、そこで本格的な消火作業に当たったわけでございますが、火勢が強く、郵便物の大部分を焼失したということでございます。  この原因等につきましては、ただいま郵便車乗務員地元警察からの事情聴取を受けておりますが、原因等はまだはっきりつかめてございません。  ただいままで、わかっておりまする事態は以上のようなことでございます。
  10. 鈴木強

    鈴木強君 首席監察官は、この事故発生をいつ聞かれたですか。
  11. 舘野繁

    説明員舘野繁君) けさ早く連絡を受けました。  先ほど申し忘れましたけれども、この発生が、本日の午前零時半でございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 零時半。まあ東京と、これは備前野谷というのですか、岡山県ですかね、これは。いずれにしても、いまの情報化社会で、その程度情報しかつかめておらないということに対して、私はちょっとふしぎに思うんですね。もう少し国民に対して事件概要がよくわかるようなことはできなかったのですか。もう少し積極的に情報集めたら――もう少しわかりそうなものですがね。この程度じゃお粗末じゃないですか。
  13. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 今朝早くその報告を受けましてから、直接、私ども郵政監察ルートを通じてでございますが、連絡をとって、情報を得ているわけでございまするけれども、ただいま申し上げましたような程度を出ておりませんし、また、この被害郵便物、これは通常郵袋小包郵袋とございますが、御案内のように、郵袋に入れます郵便物個々についての記録をいたしておりませんが、大体、差し立て元の状況から推定いたしまして、その物数等は郵務局のほうで推定しているわけでございまするけれども事件の要点と申しまするか、につきましては、ただいま申し上げました程度でございまして、一番私たちも究明をしなければならない、また、ポイントになりまするところの、この出火原因というものにつきましては、残念ながらただいままでのところ、いろいろの推定は、可能性は考えられまするけれども、これらしいということをまだ把握していないという段階でございます。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 国民が一番知りたいのは、いまの時代郵便車全焼をするなどということは、ちょっと想像がつかないんですよ。郵便車そのもの木造だろうと思うんですね。おそらく鋼鉄製であれば、私は、そういう出火の際には、かなり耐えられると思うんです。いつごろつくって老朽化しているものかどうかわかりませんが、少なくとも東海・山陽といったら、メーン・ルートですから、そういうところの郵便車出火して、そのために大事な郵袋五百二十五個というものが、完全に焼失したというようなことについては、あまりにも国民郵便物に対する管理責任といいますか、委託をされている郵政省としての責任そのものが問われるんじゃないですか。私は、まず原因が何なのか、そして従業員には負傷があるのか、ないのか、幸い、ないと、こう言っていましたけれども、全然、軽傷もないのかどうなのか、それから備前市の野谷というんですか、そこから吉永駅というんだが、その距離はどのくらいあったか私知りませんけれども、完全に焼失して、従業員はその車に乗っておったら、死んでおったでしょう。従業員はどういうふうに避難したのか、従業員にはからだの上に――身体に負傷はなかったのかどうなのか、それから五百二十五の郵袋の中に、一体国民から負託された現金書留とか、貴重品、こういったものがどの程度あったのか、速達郵便がどのくらいあったのか、書留郵便がどのくらいあったのか、そういう程度のことは少なくとももう少し的確に、われわれが質問した場合に、答えられてしかるベきだと思う。  ですから、私も早目に、あなたのほうにも、こういう事件が起きて残念だ、きょう質問しますからということを申し上げてあるはずですね。それだけ親切にしてやっても、返ってくる答えは全くお粗末で、これでは郵政省一体情報化社会にどう対処しておるのか。もう少し的確な情報を収集して、国民皆さん責任をとることはとる、まことに申しわけないなら申しわけない、そして現金書留とか、そういうものについては賠償する。そういうもうちょっと責任のある私はお答えをしてもらいたいんです。何ということだ、実際。
  15. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私は、朝、国会へ出てくる前にこの報告を受けまして、すぐ国会のほうへかけつけまして、それからずっと国会のほうにおりますものですから、おそらく郵政省のほうには――私も首席監察官国会のほうに朝からずっと出切りなものですから、そしてこういう状態でございますけれども、おそらく郵政省のほうには、その後かなり詳しい情報が入っているのじゃないかと思いますが、すぐに並行して調べさせることにいたしますが、幸いに、人身には被害がなかったという一応の報告を受けておりますけれども、しかし郵便物被害というのは非常に甚大なものでございまして、いまいろいろ御指摘をいただきましたのでございますけれども郵便車構造なんかにつきましても、はたして、そういうことでよかったのか、これは木造車じゃなかったかと思うのでございますけれども、これは郵政省所有列車だそうでございますが、箱だそうでございますが、そういうことも、ほんとうに真剣に考えなくちゃならない、というように思っておりますわけでございまして、火災被害の詳細な状況、それから、原因等は全く判明いたしませんものですから、いま何とも申し上げにくいのですけれども、とにかく私の責任であることは、これは絶対間違いないのでございまして、郵政大臣といたしましては、先刻申しましたようにまことに申しわけないと、かように存じて恐縮いたしておるわけでございます。なお、詳細につきましては、あるいは郵政省のほう――それじゃ、こちらの首席監察官から答弁させます。
  16. 森勝治

    森勝治君 関連郵務局長一体どうしたんですか。大臣向こうに出ておられた……。
  17. 森田行正

    政府委員森田行正君) 衆議院のほう――衆議院逓信委員会でまだ質問がございますので、郵便関係郵務局長向こうにおります。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 代理を出しなさいよ。これは監察局でなくて郵務局の所管だよ。
  19. 森田行正

    政府委員森田行正君) いま政府委員室におります。――こちらに向かっております。私が出てまいりますときに衆議院逓信委員会で……。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 もう少し確認してからやりなさいよ。
  21. 森田行正

    政府委員森田行正君) 十分くらい前にちゃんとおられたから、そう言ったわけでございますが……。
  22. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) ちょっと速記をとめて、   〔速記中止
  23. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 速記を起こして。
  24. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) この委員会で、この事件につきまして鈴木委員から、御質問があるということは、先刻、私、衆議院逓信委員会に入っておりまして、しばらく前に御通報いただきまして――もともと参議院には、きょう午後二時まで私どもをお待ちいただきました御苦労に対して、ほんとうにありがたいと思っております。たいへん御迷惑をおかけしたことを申しわけないと思っております。ところが、この事件担当者は、宝は、郵政省の中におきましては、首席監察官なもんですから、首席監察官を連れてくればいいと思いまして同道してきたわけでございますが、なるほど考えてみますれば、郵務局長関係があるわけでございまして、これまで私ども配慮ができればよかったわけでありますけれども、その点、気がつかずに、当の責任者担当者だけ連れてまいったわけでありまして、この点、たいへん手違いを生じましたことは、まことに申しわけないと思っております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 ただ大臣、われわれは――あまりこういうことを私も言いたくないんですけれども、言わざるを得ないことがあるんです。ですから、いまも大臣おっしゃったのですが、大臣が、それでは首席監察官だけくればよいとおっしゃったのか。その場合に、この事件については、質問は、あらかじめ郵便車焼失問題ですから、郵務局関連があるわけですね、これは当然。したがって、そういう際には、首席監察官だけくればいいのか、あるいは郵務局長も出なければいけないのか、そういう判断一体だれがなさっておるのですか。その点、大臣がおっしゃったとすれば、それは大臣の権限ですから、すべてを、たばねられるという立場に立っておっしゃることはわかるのですが、そういうふうな、さいはいは一体だれがなさるのですか。
  26. 森田行正

    政府委員森田行正君) お答え申し上げます。  政府委員出席その他、事務的にきめて連絡するのは、官房長の役目でございます。で、本日、郵便車焼失事件につきまして御通知をいただきましたので、郵務局長は当然出るべきでございますけれども衆議院のほうの委員会のほうへ行っておりましたので、郵務局次長に、郵務局長が参りますまでの代理といたしまして、出席をお願いしたわけでございます。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりました。  それでは、この前も問題になったのはそういうことであれば、質疑者に対してもあらかじめお知らせくださいというにかかわらず、何にも質問者に対しては言ってこない。ましてや、委員長にも言っていない、関係の理事にも言ってきていない。そういうところに官房長の職務の怠慢があるのですよ。何回言ったらあなたはわかるのですか。私は、人間ですからね、気がつかないでミスをすることもあるでしょう。ですから、そういうときは謙虚におわびし、次に事実をもって答えてもらえば、それであなたが、かりにミスをしても、それは消えるのです。しかし一度ならず二度、二度ならず三度と、何回かたび重なるから、私どもは、腹の中に据えかねるのですよ。ですから、もう少し国会運営がうまくいくように――こんなことで時間を費やすことは全く残念ですから、もう少し官房長としては、これはせっかく官房長、各省の中で一番最後にできた官房長なんですから、官房長としての職務果たしたらどうですか。もっとしっかりしてくださいよ。
  28. 森田行正

    政府委員森田行正君) 累次にわたりまして御忠告を受けまして、まことに申しわけないと思っております。全力を尽くすことをこの前、先生にお約束いたしましたにかかわらず、本日も、郵務局長代理の問題で御迷惑をおかけしまして、まことに申しわけありません。今後一生懸命やりますから、ひとつ。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。いまのことば、私もよく胸にとどめておきます。  それで出火原因、それから焼失した郵便物内容等については、まだ全然これわかりませんかね。
  30. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 今回の、郵便車焼失によります郵便物被害状況でございますが、これはまだ中身ははっきりわかっておりませんので、一つ推計になりますが、それは、郵袋数ははっきりわかっておるわけでございますが、その郵袋の中に、記録扱いでないものについては、幾ら入っておるかということは、何といいますか、確定できませんので、一つ推計、いわゆるその便で運んでいる平常時の物数というものがございますので、それから推計したものでございます。それによりますと、定形郵便物が約一万通、それから定形外郵便物が約二万二千通、それから速達小包郵便物が約三百五十個、小包郵便物が約六百五十個というふうに推計されるわけでございます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 書留郵便物はないのですか、現金書留含めまして。
  32. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 現在のところ書留郵便物については明らかでございませんが、逆にこのほうは、郵便局の中に、全部書きとめたものがございますので、そのほうから推計いたしますれば、これは逆に一通一通はっきりわかるわけでございます。いまのところ、書留がどのくらいあるかということは、まだ把握しておりません。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 あることはあるんですね。
  34. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) あることはあると思います。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 それでは出火原因、それから焼失した郵便物の種類、その内容等については、できるだけすみやかにひとつ調査いたしまして、その結果をまた別途お知らせをいただきたいと同時に、それから、焼失した郵便物に対する損害賠償というか、補償といいますか、そういうのはどうなりますか。
  36. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 御存じのように、郵便法のたてまえから申しますと、書留については、当然これは損害賠償がなされますが、その他の郵便物につきましては、郵便法上、損害賠償には応ぜられないという形になっております。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 あなたは郵務局長ですからね――大臣から、これに対する責任は、私にあるということを謙虚にここでおわびされましたからね。該当の郵務局長として、もう郵便法によって書留は補償しますけれども、その他については、補償しなくてもいいんだというような、形式的な答弁ではないと思いますけれども責任感じていますかね。
  38. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 今回の事件、もちろん大事な郵便物を扱って、しかも郵便物を、原因はともあれ焼失してしまったということについては、まことに申しわけなく思っております。ただ、いまのお尋ねが損害賠償問題でございますので、法的な点を申し上げたわけでございます。しかし、法的に損害賠償しないからといっていいのではなくて、われわれは、道義的な責任は全面的に感じておるわけでございます。したがいましくその道義的責任からくるいろいろおわび申し上げるとか、そういったような手段は別途とりたいというふうに考えております。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 その道義的な責任を別途とるというのはどういうことを言うのですか。
  40. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 結局、大事な郵便物を預かりまして、それを結果的に焼失してしまったということに対する道義的な責任でございまして、もし小包とか、そういうものについて、差し出し人がわかった場合、その人に対して、おわびを申し上げるとか、そういったような形で、結局、私ども道義的責任を果たしたいというふうに考えております。なお、こういった事態を起こしたことに対する上司からのおしかり、そういったものは、もちろん甘んじて、これを受けるつもりでございます。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 出火原因は、まだつまびらかでありませんから、先ほど申しましたように、御調査をしていただくことにして、そもそもいま宇宙衛星が飛ぶ時代に、地上を走る郵便輸送車全焼するというようなことは、国民から見ると、常識的には考えられないことですね。一体この郵便車は、いつ製造して、構造はどうなっておるんですか。火災に対する予防措置は平素どういうふうにやっておられるのか。鉄道郵便物の場合どうなっておるんですか。現在、全国幾つ鉄道郵便車をお持ちかわかりませんが、その中で鋼鉄製、あるいは古い木製というものがあると思いますが、そういうものをどうして鋼鉄製にし、もっと消火設備を完ぺきにして、出火に対しては防げるような――非常災害に対して、消防装置といいますか、そういうものを設置すればこういう事態が起きなくて済んだんじゃないですか。そういう点に対する設備完ぺき化とかという点が抜かりがあったんじゃないですか。
  42. 高仲優

    説明員(高仲優君) 御説明申し上げます。  焼失いたしました郵便車は、昭和三十一年製造の鋼鉄製のものでございます。もちろん設計にあたりましては、国鉄と十分打ち合わせたものでございます。この郵便車構造は、進行方向に対しまして最前部車掌室になっております。次に郵袋を格納する部分、それから従事員居室にあたるところ、それをまん中にいたしまして、後にやはり郵袋を積載する部分、こういう構造になっております。なお、現在郵政省所有の全車の、郵便車は百七十五両ございますが、すべて鋼鉄製と相なっております。防火の施設につきましては、郵便車につきましては消火器設備しております。本件郵便車につきましては、先ほど申し上げました従事員居室にあたる部分消火器二個を備えつけております。この消火器規格につきましては、これは国鉄設備のものと同じ規格のものでございます。しかしながら、進行中であったということからだと推測いたしますが、結果といたしましては全焼と相なった次第でございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 こういう事件はきわめてまれな事件だと思いますけれども、まれな事態に対処する完ペきな防衛措置というものが必要でございますから、国鉄と相談をして設計したというんですが、どういうふうな設計になっておりますか、私もよくわかりませんけれども、いずれにしても、これは常識的に考えてみた場合に鋼鉄製で、あれですかね、郵袋全焼したということですが、状況がつまびらかでないからよく説明できないと思いますけれども、そんなあれですかな、貧弱なものでしょうか。消火装置があったら、まず消火をするということであれば、これは何人車に乗っておったかわかりませんけれども、係員がそういう場合の訓練とか――日常消火器が完ぺきであるかどうかという、そういう訓練は平素どういうふうにやっておられますか。
  44. 高仲優

    説明員(高仲優君) 本件郵便車乗務員は三名でございます。これは護送便でありました関係上、乗務員は少なかったのでございます。しかしながら、そのうち一名は、これは郵便車における業務運行責任者でございますが、便長という職名を持っておりまして、他の職員を指導する立場におるわけでございます。本件事故を起こした、事故の際の乗務しておりました従事員は、大阪鉄道郵便局乗務員でございますが、大阪鉄道郵便局におきましては、便長の職務というものをきめております。これは他の鉄道郵便局においてもほぼ同様でございます。その便長の職務内容につきまして大阪鉄道郵便局の場合「事故犯罪の防止に関すること」いうのがございまして、「事故犯罪の防止について、従事員を指導する。」「事故犯罪の原因となる点を有無について監査し、適切な処理をするとともに、必要な措置をする。」ということが便長の職務としてきめております。本件につきましては、便長が防火の責任にあたっておるものと考えておりますし、そのように職務内容がきまっておるものと考えております。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 それは通例、事故、犯罪防止ですから、いま問題になっておる火災等の場合とは違うのじゃないですか。その内容で、広義の意味では入っているのか。私の聞いているのは、むしろ平素消火訓練における、消火器が三つか二つ入っているのですから、そういうものが消火器が完ぺきであって、直ちに出火に際して作業できるだけの機能が果たされているかどうか。平素それをどういうふうに訓練するか、扱い方について、そういうことを私は聞いておる。
  46. 高仲優

    説明員(高仲優君) 御説明が足りませんでございました。なおその規定の他の部分につきましては「環境の整備に関すること」というのがございます。その中に「郵便車、各事務室の照明、備品類の配備状況について監査し、必要な措置をする。」というのがございます。  なお、消火器自体の整備の問題でございますが、これは先ほど国鉄規格によるものを配備云云と申し上げましたが、もう少し詳しく申し上げますと、郵便車――郵政省所有財産である郵便車につけてある扇風機、消火器等については、国鉄において管理し、使用上支障がないように維持するということで、細目の協定が国鉄とございます。と申しますのは、郵便車全体の保守点検をすべて国鉄に委託している関係から、そのようになっておると考えております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それはちょっと問題ですね、あなた。消火器の使うこと、整備、管理みなまかしたのですか、国鉄に。それだって、非常災害のときに国鉄の人がきてやってくれるわけじゃないでしょう。だから、消火器に対してなれないとなかなかできない。われわれだって消火器があったってよく使い方知らない。宝の持ちぐされでどうにもならない。消火器に対して平素鉄道郵便局の係員の人たちが、どういう訓練をして臨機即応の態勢ができておったかということを聞いているのです。管理は国鉄にまかしておいて、出火したときに国鉄がそれを消してくれるわけじゃないでしょう。
  48. 高仲優

    説明員(高仲優君) ことばが足りませんでございました。最初に申し上げましたのは、備品類の整備点検については、便長が責任を持って事に当たるという趣旨におきまして、便長の職務内容の中に、郵便車のこれも備品類の配備状況について監査をし、必要な措置をとる。という部分を申し上げたのでございます。  それからもとの、もともと配備されるものについては国鉄規格によりやっておる。なお、その規格だけではなくて点検も定期点検のつど目を通してもらっておるという事実を申し上げたのでございます。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 訓練はどうしているか、平素消火器をどうしている。質問をよく聞いて答えなさい。
  50. 高仲優

    説明員(高仲優君) 消火器の実際の使用の訓練につきましては、申しわけございませんが、本件に直接関連しては私直接聞いておりませんので、まことに申しわけないのでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 大臣、やはり抜けているのです、大事なところが。この件に関して聞いておりません――一番問題なところはそこです。火事が起きた。消火器を使ったか、使わないか、その訓練はどうしておったか。おそらくこれだけあなたが言うのは、次長であれば、そのくらいのことは一番先に聞かなければならぬことですが、国会で言われても、訓練がどうなっているかわからない。それでは消火器が幾つあっても、使い方を知らなければ宝の持ち腐れで、たとえば、その管理は国鉄にまかして、いつでも機動できることになったとしても、その操縦方法が非常にむずかしいのだ。これはとてもむずかしい――あのね、ちょっとむずかしい。だから、そういう訓練をどうしていろか、というぐらい郵務局の次長が知らぬでは話にならぬ。
  52. 高仲優

    説明員(高仲優君) ふだん、どういう具体的な消火器の使用方についての訓練をしておったかということについては、先ほど申し上げましたように、私申しわけございませんが、これをただしておりませんので、申しわけございませんが、お答えできませんが、先ほど申し上げましたように、便長の職務内容といたしましては、備品類の配備状況について点検すること、それから事故、犯罪の防止について、従事員を指導することとございますので、その面から指導をいたしておるものと考えております。
  53. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 委員長が口を出すことよくないのですが、大臣ね、丸焼けになったって――とにかく地震、雷、火事、おやじと、昔から言う、子供のじぶんですけれども。いまでもそれは器具があったって、それを機宜に即して、日常に訓練がないということは、大きなどこかに、ミスがあるんですよ、実際。とにかくその辺だけは、これは委員長としてよけいなことですが、しろうとであるだけに、しろうと委員長びっくりしますよ。その辺のことは、出火責任の重大性もさることながら、消火器が当然、ないことはないはずだ。それを日常訓練されてないということは、やったんだけれども、どうにも、ということなら別として、非常に問題だと思うんですよ。これは答弁しなくてもけっこうです。
  54. 鈴木強

    鈴木強君 一番大事なところが抜けているんがな。だから、消火器を設置するのはいいんです、これは。いいんだけれども、少なくとも、それに対して郵政本省としても、絶えず非常事態に即応して、備えあれば憂いなしなんです。こういうことをはっきり朝と、出発するときに守れとか、途中においても点検するとか、忙しいことですから、列車の走る中でやる仕事ですから、たいへんなことですけれども非常災害に対して備えをし、万全を期するためには、そういう点検ははっきりして、訓練しておきなさいというような指導を、本省自体がちゃんとやるべきじゃないですか。そうでないと、責任者が何か規程があって、その規程があるから、その中で、やっておるだろうが、のごときことを言って、みずからの責任をのがれようというのは、官僚の悪いところであって、直さなければいけませんよ。  もっと悪いところが抜けておるなら、反省して、申しわけないことだったら、申しわけないと、そして、すベてこれまでちゃんと消火器を使っているかどうか、ということも、よくわかっていなければ――一つの仮定の論議になるけれども、少なくとも郵政本省が、そういうことに対して、平素指導理念がなかったということは、これは明らかだから、この点ははっきりしてもらいたい。これは郵務局長でいいが、私の言っていること無理じゃないでしょう。も少し反省するところは反省して、焼けてしまった郵便物を、あなたが頭をさげておわびをするというけれども、そんなことでは済まないのだ、これは。
  55. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ただいま御指摘のように、当然そこに消火器があれば、その消火器は、使えるように訓練しなければ、何の意味もなしません。したがいまして、私どもとしては、なされているものと思っていたわけでございますが、もしそういうことであれば、まさにこれは、われわれの指導の手落ちということになりますので、早急に消火器といったようなものの使用方法、あるいはふだんの練習、こういったものについて、さらに配意したいというふうに思います。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 これは、大臣から最後にお考えを聞きたいのですけれども、いずれにしても、今度の事件は、残念な事件でありまして、再びこのような事件が起きないように、ひとつ御配慮いただきたい。こういうことについては、さっき全国の郵便車の数を発表されましたが、もう一回点検をして、対策を立てる、こういうふうにして国民の前に明らかにしてもらいたい。今度の事件を他山の右として、貴重な経験として再びこのような事件が起きないように、こういうふうにひとつやってほしい。大臣の御見解を承わります。
  57. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 全くそのとおりでございまして、今後そういうことは絶対に同類の事故を起こさないように――いまだに原因はわかりませんけれども、いずれにいたしましても、たいへんな大きな迷惑を国民にかけたわけでございますから、こういうことを繰り返さないように、郵便車両そのものの設備状況、また、消火施設、器具、万般十分点検をし、また、装備に万全を期するばかりでなく、その利用等につきましても、訓練の必要がありますことは当然でございますから、そういうことについて万遺憾なきを期してまいりたい、こういうふうに考えております。
  58. 森勝治

    森勝治君 大臣に以下数項目、いま鈴木さんが質問したと同一内容で御質問申し上げたいのでありますが、仄聞いたしますと、大臣まだ今朝来、不休だそうでありますから、大臣が食事に行ってお帰りになるまであなたに対する質問を保留して、大臣がおらなくても、そうそうたるメンバー局長連中ですから、私の質問にお答えいただけるものとして、大臣、これは何といっても体が大事ですから、職員の体のことにつきましても、これから若干緊急質問したいのですから、まず大臣の体を休めていただかなければなりませんから、食事だけしてください。  先ほどのお答えの中で、事故原因がいまだわからなかったというお話でありますね。しかし、事故とおぼしきもの、考えられるものがあるだろうと思うのでありますが、その点についてお答えをいただきたい。
  59. 舘野繁

    説明員舘野繁君) この焼けました状況から、こうではなかろうかということではございませんで、非常に一般的に常識的と申しまするか、推定されます原因といたしましては、まず第一に、郵便物小包の中に、発火性を保有した小包があって、それが振動その他による自然発火があったのではなかろうか、というような推定が一つございます。  それから発火点が確認されておりませんが、郵便車両自体のいずれかの部分から、電気関係、機械関係において火を出したようなことがなかっただろうか。  それからこれはまあ行のう、郵袋を積んでおりまするへやからの出火でございまするから、ほとんど考えられませんが、何かたとえば、たばこの火といったようなものが、原因になったことがありはしないか。しかし、この最後の点は、その場所等からいたしまして、ほとんど普通の場合は考えられない。  大体以上のことが常識的に推測できるわけでございますが、これはこの焼けました状況によっての推定ではございませんで、まことに常識的、一般的な推定の域を出ません。
  60. 森勝治

    森勝治君 舘野さん、私は焼けた問題について質問をしているんですよ。あなた、いま焼けた状態についてのお答えじゃないとおっしゃるが、現地ではいまあなたが前おきしてお断わりしたのじゃなくて、焼けた原因の中には、こういう要因があるじゃないかといって、いま調査をしているんですよ、いいですか。まず車体の不備があったかどうか。漏電があったかどうか。あなたが言われた、郵便物の中に、発火性のものが積んでおられなかったかどうか。それからたばこの火、これは現地では、乗務員の過失ではなかったかという、こういう以上、要約すれば四点の問題で、いま調査が進められておるんですよ。現実に進められておるんだ、これは。私のほうで得た情報によれば進められておる。あなたのほうが専門で、そんなの私わかるはずがないでしょう。あなたのほうでやっているはずだ。そうでしょう、とっくにやっているでしょう。  しかもこの乗務員は、先ほどの次長の説明ですかに、この郵便車の先についておる――ニュース報道でも、いま私がことあげしました四点の、乗務員の失火説で、たばこの火だと。車掌室から――いいですか、ポイと捨てたたばこの火が次に飛んでいって出火したんじゃないかというような――もちろんこれは憶測ですよ。こういうことも現にニュースで報道されているんですよ。現実にこういう内容で調査されて、あなたはそれとは関係ないなんて、何でそんな、のんびりしたことを言われるんです。その辺が――私どもは実態に即したことで、こんなに緊急質問として取り上げているのに、先ほどの郵務局の次長のお答えも、あなたのほうも、何か中国大陸で起こったような、のんびりした答弁で、真剣味がないような気がしてしようがないんですが……。  ちょっとすみませんが、郵務局長とあなた前の席に出てくれませんか。
  61. 舘野繁

    説明員舘野繁君) ことばが足りませんで申しわけありませんでしたが、こういうことであるからこういう推定ができるということではございませんが、ただいま先生がおっしゃられましたように、分け方によりまして、先生の御指摘のように四点、まあ私は、そのうち漏電と、それから機械的なものを一緒にいたしまして――車体の関係と、一くくりに申し上げましたけれども、先生のお話の四点にきまして、その可能性がいずれもあるということで、現地で調査が進められておりますので、その点をお答え申し上げたつもりでございます。
  62. 森勝治

    森勝治君 まあそういうことはいいです。  次に移ります。が、先ほどの説明だと、その郵便車を切り離した駅は何といいましたかな。鈴木さんから御質問のときのお答えは何駅でした。
  63. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 吉永でございます。
  64. 森勝治

    森勝治君 三石駅の間違いと違いますか。
  65. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 三石から吉永への中間において発火いたしております。
  66. 森勝治

    森勝治君 そうしますと、吉永駅で郵便車と一般客車を切り離したんですね。
  67. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 発火いたしまして一時停車いたしましたが、その後、吉永駅まで牽引いたしまして、郵便車の切り離しということに報告を受けております。
  68. 森勝治

    森勝治君 その吉永駅で郵便車を切り離した後の扱い――扱いというか、消火作業はどういう報告を受けていますか。現地ではどういう措置をとったか。
  69. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 吉永駅におきましては、国鉄当局はもちろん、吉永におきまする消防当局の消火ということにつとめたというふうに報告を受けております。
  70. 森勝治

    森勝治君 こういう報告は受けていませんか。客車と離して郵便車のみ――いいですか、機関車に牽引させて、ハイスピードで線路を走ったと、そして消火作業につとめたと、こういう報告は受けていませんか。
  71. 舘野繁

    説明員舘野繁君) 先ほど申し上げましたように、三石と吉永の間で火が出まして、そこで一時停車いたしましたけれども、火勢がなかなかおさまらないということで、本格的な消火ということが、吉永駅のほうが本格的な消火ができるという判断のもとにであろうと推定されますが、おっしゃるように、吉永駅まで走らして停車をした。そのスピードについては、私、報告を受けておりませんけれども、とにかく発火している郵便車を動かしていることはお話のとおりでございます。
  72. 森勝治

    森勝治君 郵務局の次長、あなたの先ほどの御答弁に関連する御質問をするわけでありますが、添乗ですか、便乗ですか、何か言いましたね、指揮官を。キャップを何と言うんですか。――便長ですか。じゃあ、その郵便車火災発生で、緊急にそこで事態処理するために、一般の客車と切り離しましたね。そしてハイスピードで、燃えさかる郵便車を最高の速度で線路を走らせれば、当然これはさらに猛火に包まれることは、火を見るよりも明らかであろうと思うのです。そうなれば、郵便物が燃えるのはあたりまえです、これは風を巻き起こしますから。そうじゃないですか。私はしろうと判断でもそう思うのですよ。このときに便長さんは、そういうのは困るとか、何も言わずに、ただあれよあれよと火のなせるままに見ておったんですか、そのときに。燃えさかっているのを、ハイスピードでレールの上を走らせれば燃えさかるのはわかっているんですよ。その辺はどうですか。その辺は常日ごろ便長に課せられた義務ではないでしょうか。
  73. 高仲優

    説明員(高仲優君) 御説明申し上げます。郵便車に災害が生じた場合の扱いにつきましては、鉄道郵便局郵便取り扱い規程という規程に、規定がございまして……。
  74. 森勝治

    森勝治君 前段は省いてくれませんか、時間がないんだから。
  75. 高仲優

    説明員(高仲優君) 郵便車に災害が発生したときは、郵便物を完全に保護するために、この場合において……。
  76. 森勝治

    森勝治君 そんなことを聞いているんじゃないんですよ。
  77. 高仲優

    説明員(高仲優君) 特に書留郵便物は厳重に保護するということにきめておりますが、本件の場合は、まだ当日その乗務員からの事情の説明を聞いておらないのでございます。これは警察のほうでの取り調べの関係であろうかと思いますが、直ちに大阪鉄道郵便局及びその地区に出張しおりました郵務局員を派遣いたしておりますが、こちらに出席するまでの間、大阪鉄道郵便局次長からも本省郵務局員からも報告が入っておらないのが実情でございます。
  78. 森勝治

    森勝治君 ちょっとすみません。あなたね、もう一度質問いたしますが、郵政省電波を扱う所管でございますね、郵政は電話。次長にはお伺いするんですが、全国どこへ行っても、自動電話がありますね。大阪の係官から報告がないとおっしゃるが、先ほどの首席監察官の御答弁だと、零時三十分に事故発生だということになれば、すでにもう十五時間はたっているんですよ。いまだ連絡がないのですか。電話かければ、すぐでしょう。三人の係員の諸君は、警察に留置も何もされていないんでしょう。なるほど事情聴取はあったでしょう、当然。当該所管の本省からやるのは、かりに時間がかかるとしても、現地の局でも何でも、当意即妙と言っちゃ失敬でありますが、その事態に応じた体制をしくことができるでしょう。組合をとっちめるときは、あなた方電光石火のことをやるけれども国民の財産を焼いてしまって、しかも走らせて、郵政省として意見も出さずにやっといて、それで報告ありませんで済まされますか。何時間かかりますか、何時間。あなた方が役所へ出てから何時間になります。どうして報告がないんです。大阪郵政局には、自動車だって何だってあるでしょう。三石駅まで走らせるなり、幾らでも方法はあるでしょう。私は、名古屋を発車して急行駅が幾つあるか、普通駅が幾つあるか、数えてみたんだ。なぜ、そういう機動力というか、電話でも何でも連絡できるでしょう。電報だって何だってあるでしょう。なぜ、そういう電波行政を預かる所管の省が、そういうことにかけては近代文明の利器を活用しないのですか。これをもって「紺屋のあさって」というんですよ。
  79. 高仲優

    説明員(高仲優君) まことに申しわけない次第でございますが、事実本省からも電話を入れたのでございますが、九時半から現場検証という情報があって、それからその後なるべく早く入ることを期待して督促もいたしておったのございますが、まだこちらに参るまで報告がきておらないのが実情でございます。なお、この点につきましては再度督促し、すみやかにわかるようにいたしたいと存じております。     ―――――――――――――
  80. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、野上元君が委員辞任され、その補欠として竹田現照君が選任されました。     ―――――――――――――
  81. 森勝治

    森勝治君 すみやかに報告と言ったって、そんなにすみやかに報告できてないじゃないですか。そんならいますぐ電話かけなさい。一分以内で大阪郵政局に連絡つくじゃないですか。そんなその場のがれはだめですよ。やりなさい、それ。
  82. 高仲優

    説明員(高仲優君) ただいまここにおりました郵務局輸送の者を、直ちに電話をするように差し向けております。
  83. 森勝治

    森勝治君 失敬でありますが、私ども質問することは皆さんたちも今朝来わかっていることですからね。出席要求を申し上げているんですから、当然その程度の事務的な御調査あってしかるべきじゃないでしょうかな。そういうことがないですから、先ほども鈴木さんが指摘しましたように、私がたしか出席要求している局長だって出てこない。出てこられない事情があるならば、こういう理由だからということで当然これは言ってくるのが常識でしょう。指摘されて――この前の郵政次官のときもそうだ。大臣のときもそうだ。この席上での郵務局長の行動もまさにそうだ。こちらから質問しなきゃ返事をしない。それがいまの郵務局次長の答えと相一致するものですよ、しようがないという投げやり的なことば。これは少し改めていただきたい。  そこでお伺いいたしますが、この急行列車阿蘇」は、先ほどのお話だと、途中駅では、停車駅では郵便物は積まないのですか。次長、どうです。
  84. 高仲優

    説明員(高仲優君) 停車駅で郵袋を積み込み、あるいは積みおろしいたします。護送便と申しましたのは、車中で区分扱いはしないという意味で、停車駅ごとに郵袋の受け渡しはやります。
  85. 森勝治

    森勝治君 それなら私の質問はなおさらやりやすい。車内での区分はしない、積み込むだけ、あるいは郵袋の積みおろしだけ、こういうことですね。――そうなりますと、停車駅で何個積んで何個おろしたかおのずから明らかです。普通郵便物ですと、何月何日に郵便ポストに投函したという記録はなされませんけれども、局から局には送達書が着きますから、何町目何番地の何のだれがしあての送達書はありませんが、たとえば、この三百二十個の郵袋の中には――一袋当たり普通郵便物が八百通入っておるというのでしょう。合計で二十五万通、膨大なものですね。東京中央郵便局は一日の扱い量が四百万だそうですが、相当な、二十五万通というものが一瞬の間に消えてしまったですね。しかも、あなた方がやろうとすれば――失敬でありますが、急行停車駅というのは、現場から名古屋まで両手で数えられる駅しかないですよ。――そうすれば、名古屋駅で何通積んだか、書留が何通か小包みが何個か送達書と照らし合わせればわかるわけです。そうでしょう。そしてこの急行停車駅で、この急行列車に積み込んだ所轄の郵便局があるでしょう。これは全部大阪管内でしょう、そうでしょう。広島管内もありますか。――ですから、この中央局に命令を下して調ベれば、ものの一時間もかからないでしょう。十五時間もかかるわけがないでしょう。簡単なことです。しろうと考えだってわかる。それが、どういうわけか、国会で追及されるのはいやだというので報告しないのかもしれませんけれども、簡単なんです。これはわかるわけですよ。それまで調べるなんでばかな話はないですよ。書留だって、何通と出ているでしょうが、書留小包には送達書があるんだから、赤行があるんだかどうかわかるでしょう。中身はわかる。ただ、総体的な郵便物の数というのは、なるほど推定でしょうが、これがわからぬなんて、こんな二十五万通の郵便物を焼いておきながら、夕方になっても――いま午後三時過ぎだから夕方だな。――いいですか、今朝未明に起きたことが夕方になってもわからぬなんて、そんなのはだめですよ。そのこともすぐ調べなさい。約束できますか。すぐですよ。私の質問中に答えてください。こんなのは簡単にできます。こんなことできないはずはないですよ。局と郵便車のやりとりの記録はあるのです。証拠書類は厳然としてある。送達書があるんだから、できるんですよ。できるんです。
  86. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ただいま、先生の御指摘のとおり、有証物には書留がございますので、それを本朝来、早急に調べろという指示を出しております。その集計がもうそろそろ出ておるかもしれませんが、そういう意味でございまして、すでに指示はしてございます。
  87. 森勝治

    森勝治君 ですから、局長、あなたにことばを返すようですが、指示だけじゃだめなんですよ。本省から当該局に直接電話をかけたって、緊急の場合はいいじゃないですか。それだってものの一時間もかからないですよ。急行停車駅が幾つありますか。この中で「阿蘇」に積み込んだ郵便物一体幾つあるか。簡単じゃないですか。こんなこと何で夕方までかかるんですか。これを見せてあげますよ。こんな簡単なことを……。
  88. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 事務当局において、そういう調査をしろということをそれぞれの機関に指示したということでございまして、それらをそれぞれの局から集めて集計するという問題で、おくれているということだと思います。
  89. 森勝治

    森勝治君 通例の場合の調査でしたら時間かかってもやむを得ないでしょう。これは私は時間がかかるのは認めます。しかし、緊急の場合は、本省から当該中央局に出して、さらにまた現場の局に出して、それで現場の局が今度は現地に行ってなんてやっておったら、あしたになったって報告は来ないんじゃないですか。緊急の場には緊急の対応策というのがあるはずですよ。なぜ、そういうことをおやりにならないのですか。簡単にできるでしょう。私は、部内者ですから、行のうがどういうような形で流れていくか、どちらからどちらに行くか、流れはわかりますよ。わかっているから言っている。こんな簡単なこととは国民は知らぬでしょう。たいへんです、申しわけございませんで済むかしらぬが、私ども部内をわかっている者は、一日かかっても調査できませんと、こんなことでは済まされないですからね。局長、どうしてこんな簡単なことができないのですか。あなた方、指令しっぱなしだからいけないんです。簡単でしょう、こんなことは。何ができないんです。
  90. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ただいまの御指摘の点でございますが、本省としては、一応、郵政局もしくは関係の局に早急にその書留について調査しろと指示してございます。  それから問題は、全体の総数をつかむことも大事でございますが、私どもとしては、早く、現実に、具体的にどこから出た書留かということを調査して、その書留を出された人との関連のほうを何といいますか急いでおりますので、どうしてもそういう個別の問題を急ぐ形になりまして、総数の把握というものがおくれたのじゃないかというふうに考えております。  それから、名古屋で積む場合でも、これは名古屋だけのものじゃなくて、たしかあれは中央線で来た長野方面の郵便物も、この護送便には載っているんじゃないかと思いますが、そういうふうにそれぞれのところが、その局で出したものだけじゃなくて、その局に連絡しているそれぞれの局から集めてきて、それらを受け渡しているということでございますので、言いわけになって申しわけございませんが、そういうこともあって少しおくれているんじゃないかと思いますが、おっしゃるように、われわれの連絡が手ぬるいということであれば、なお早急な調査を促進したいと思います。
  91. 森勝治

    森勝治君 どんなにかかっても、こんなものは一時間でわかるんですよ、総体の数をつかむなんというのは。何の何がし、何丁目何番地の何という差し出し人だという、本人の確認なら、十日も、十五日もかかるでしょう、ものによっては。しかし、総体の数をつかむのに、記録のあるものさえも集計できないなんて、ばかなことはありませんよ。どこの局では、どこそこあてに何袋差し立てをやり、それは普通小包は何個、片方の袋は幾つ、簡単にできるわけですから、そういうことは数分でたちどころに出てくるわけです。しかし、皆さんせっかくおやりになっているけれども、できないということだから、やむる得ないが、とにかく、こういう緊急な場合には、緊急な対策を講じてくださいよ。これはあなたのほうですぐおやりだということですから、この委員会は、まだこれから数時間続きますから、少なくとも四、五時間続きますから、その間に、私が御調査をお願いした点は、すみやかに、文書でもけっこうですから、口頭でもけっこうですから、あとで出してもらいたい。  そこでお伺いするんですけれども、先ほどもちょっと話がありましたが、郵務局長は道義的な責任をるととおっしゃっておるんですね。私は、郵政省というのは、従来は、法律的な責任以外はとれないというお答えで、当委員会で終始されたというように理解しておるんだが、今度初めて道義的責任をとるというんですよ。道義的責任という中には、物的な責任も当然、私は、含まれるものと理解するんです。あなたが、ただお気の毒でした、申しわけありません、この二つが道義的責任を全うするものだと、こう考えて鈴木委員に対する答弁を郵務局長はされたんですか。
  92. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 御承知のように、法的な責任ということになりますと、まず郵便法上の責任が第一にかかろうと思います。この点につきましては、御承知のとおり、書留郵便物以外については損害賠償に応ぜられないという形になっております。したがいまして、そういった意味の法的責任は一応ないということになります。しかし、せっかく国民の大事な郵便物を預かっておきながら、しかもそれを焼失したことに対して、どんな責任が残されるかということになりますと、結局そこに残ってくるものは、道義的責任ということになるのではないかということでございます。その道義的責任ということになりますと、これはいわゆる一般的なことばでございまして、われわれが現在なし得る道義的責任ということになりますと、先ほど鈴木先生にお答えしたような範囲しかできないんじゃないか、というふうに考えているわけでございます。
  93. 森勝治

    森勝治君 私は、あなたが、鈴木先生に対してお答えになった中身がわからないから、こういう質問をしているわけですから、道義的責任というものは、われわれが、そこで行動を起こすときに――どういう行動、どういう姿が道義的責任をおとりになったと解釈するのですか、まずそれを聞きたい。
  94. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 道義的責任のとり方は、それぞれ民間なり、あるいは民間の中においても、それぞれいろいろのとり方があろうかと思いますが、いま私の申し上げておりますのは、郵政省として、その郵便について責任を持つ郵務局長として、道義的責任をとるとすれば、やはり現段階においてはあやまる、とにかくあやまりにいくということしか現在のところでは、できないんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
  95. 森勝治

    森勝治君 そうすると、何かファイバーでまだ五十個くらいですか、焼け残りのはがき、郵便物等があるそうですね、そういう問題についてもすみませんと言うだけですね、それでは。そういうことですね。
  96. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 従来、そういう場合におきましても、いろいろ事情を御説明して、差し出し人にお返しするときに、あやまるということでございます。
  97. 森勝治

    森勝治君 そうすると、いまの話は、その五十の中にあるんですか、焼け残りの中に差し出し人の名前がわかったというと、それを配達する義務が生ずるわけです、差し出し人と郵政省の間で、それはたとえばはがきならはがき、封書なら封書で。あやまるだけで済むと思いますか、国民はまず心という財産を失なった、信書は心をつなぐんですから。その心というものを、先ほど大臣は、郵政省の全くの責任だというなら、郵政省のために心をとられた。相手方に、私が遠隔地にいる鈴木さんにわが心を伝えようと思ったが、その心まで奪われてしまった、これは無形ですね。有形では、まず封筒、形の上では封筒、さらに郵便料金が加算される、当然これは。そうなれば、あなたの言う道義的責任があるということになれば、差し出し人のわかったものについては、少なくともその程度やるのがあたりまえじゃないですか、あなたのお答えは一貫していないんですよ、その点どうですか。
  98. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 先ほど焼け残った郵便物についてお尋ねでございましたので、その場合、差し出し人のわかった場合、こういうふうに、あるところは焼けており、こういう状態で、なおかつこのまま配達してよければ配達いたします、しかし、こういう事情になりましたということをおわびして、あとは差し出し人の指示を待って処理するということでございます。
  99. 森勝治

    森勝治君 ですから、差し出し人が、それじゃもう一度その手紙を書き直しますから、あなた方の責任で、もう一度、相手に送ってくださいというときには、これは無料で送るわけですね。
  100. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 少し焼けた郵便物は、結局差し人に戻して、それが配達できないということになれば、その料金の還付をいたします。その還付した料金でもって、新しいものにしていただければ、結果的には、その方の二重の負担にはならない、こういうことになろうかと思います。
  101. 森勝治

    森勝治君 前の話とだいぶ違ってきましたね。あやまる以外にないというのは、あなたは、そういうもので、わかったものは物的な補償をするということでありますね。そうでしょう。
  102. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) 物的な補償というふうにお考えなさるのも無理からぬと思いますが、一応料金還付といういまの郵便制度上の問題として処理するということでございます。
  103. 森勝治

    森勝治君 その後の方法はどうされるんですか、相手方に希望があればそれを伝えるということですか。
  104. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) ことばが足らないで申しわけありませんが、結局その焼けた郵便物を差し出し人に戻して、配達ができないという状況になれば、その郵便料金を還付するということでございます。そうして別途にまた差し出し人が郵便物を出していただく。その還付される料金がありますので、結果的には、二重の負担にならないということでございまして、そのまま無料で配達するという意味ではありません。
  105. 森勝治

    森勝治君 時間がありませんから、参考人も呼んでいるわけですから、私はこの問題はまたあとでやりたいと思いますが、ただ一つ大事なことを、私はもう一点質問したいのでありますが、いま書留は五千円ですね、補償は。そうですね、それだけですね、郵政省は。ほかに手だてはないですか。郵便物を今度の事件で燃やしちゃったような場合。郵便法五十八条との関連ですよ。
  106. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) いまちょっと調べております。――もちろん、要償額を表記してある場合には、その要償額になりますが、ただいまの先生の御質問は、その要償額が表記されていない場合の、書留損害賠償額の最高限のことと思いますが、れそは一般の書留、いわゆる簡易書留でない場合は五千円まででございます。
  107. 森勝治

    森勝治君 それ以外のことはありませんね。現金書留のような、表示されたもの以外の補償はありませんね。
  108. 溝呂木繁

    政府委員溝呂木繁君) その要償額と、書留料以外のいわゆる通常郵便料金、この料金を還付いたします。
  109. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは、議事の都合上、森君の残余の質疑は、後刻に譲ることといたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  110. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 速記起こして。  次に、竹田君から質疑の申し出がありますので、これを許します。竹田君。
  111. 竹田現照

    竹田現照君 逓信委員会の時間に入り込んだようなかっこうですけれども、ちょっとお尋ねしますが、郵政省は勤務時間中に献血するような場合、これはどういう扱いをするのですか。
  112. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 献血というものと勤務時間の関係という御質問と存じますが、どういう場合がございますか……。一般的には、そういったことについて、特に指示は実はいたしておらない次第でございます。ただ、その職場等において、何か、緊急に――負傷者がございまして、輸血の必要でも出たというような場合、それからそうでなくて、何か一般的な献血運動というような場合では、おのずから違うのじゃなかろうかという気がいたしますが、特に指示はいたしておりません。
  113. 竹田現照

    竹田現照君 いま人事局長は、献血運動と、それ以外のとでは違うの言うのですね。これは私、十五分くらいしか時間がありませんから、はっきりお尋ねしますが、たとえば私は、札幌の郵政局の玄関に献血車が来て、それでいわゆる採血をやっている場面というものを何回か見ています。それから現業の局でもそういう場面が出ています。これは、ときに、局が音頭をとってやっている場合もあるし、組合が献血運動としてやっている場合もあります。しかしこれはどっちでもいいのだ、献血というものは。ところが、きのうの北海道の夕刊にも、それから夜のテレビにもだいぶ出ておりまして、たいへん問題になっているのだけれども、献血運動まで労使問題としてとらまえて扱うということについては、私は非常に疑問だし、献血をしてためておいて、病人その他の措置をするというのは、これはいまどこでも全国的に行なわれているわけです。  具体的には、室蘭の郵便局の組合が、過去、六年間にわたって、命を守る運動として毎年春、秋二回献血運動を、室蘭の赤十字献血センターと連絡をとってやっておった。ところが、十一日の三時から四時半までの間に採血することになりまして――いままで一ぺんもそういうことに紛争がなかった。ですから採血車が来た。ところが、組合が勤務時間中に献血をやるとすれば、国家公務員法に違反するので、献血すれば賃金カットだということでだめだと、こういわれた。そうして、したがって、この郵便課員の勤務の終わる四時過ぎまで、二時間ばかり献血車は待ちぼうけ。こういう事態になった。室蘭の局長はたしか高津といいましたか、以前、札幌郵政監察局、函館支局長から転勤になった人で、最近、ハッスルしていろいろと問題を起こしていると私聞いておりますけれども、こういう問題まで、労使問題としてとらまえてやる、こういうことになったら、これは問題ですよ。ですから、大臣とも何回か非公式にわれわれは、正常化の問題については話をしましたけれども、また、こういうことまでやられ、献血運動が、国家公務員法違反で、賃金カットということなれば、これはどういうことですか。調べてみないとわからないのだというような性格のものではないよ、これは。
  114. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) いま竹田先生の御質問でございますけれども、私も献血に協力するなんということは、これ決して労使問題じゃなくて、人道上の問題だと思います。ですから、管理者は当然その辺は理解を持ちまして、つとめて時間を差し繰って、献血に時間を与えるということは、私は常識的に考えて当然のことだと思います。ただ、集団的に、ぱっとみんな一緒に職場をはずしてしまいますと、これは仕事の運営に困りますけれども、その辺は、実情によって判断しなければならぬと思いますけれども、一律に、とにかく献血は賃金カットというような考え方は私はよくないと思います。  なお、ただいま御指摘になりました労使関係の問題については、かねがね竹田先生におかれまして御心配いただいておりますことを感謝しておりますけれども、きのうも、以前のような会合を数名の方とやっていただきまして、先生御不在でございましたけれども、一時間ばかりいろいろ御意見を交換いたしまして、私は、この際やっぱり何とか具体的にはっきり方針を皆さん方とよく御相談いたしまして、定めておく必要があるかと思いますので、また数名の方に重ねてお集まりを願いまして、また今度はこちらのほうから私と人事局長あたりが参りまして、少数の者だけでじっくり話を交えまして交換いたしまして、そして何とか従業員の御信頼を得るように、明るい職場に持っていけるように、ひとつ十分努力いたしたいということで、そのことについては、あとで関係の方にお聞きくださればわかると思いますけれども、十分今後気をつけてまいりたいと思っております。
  115. 竹田現照

    竹田現照君 これは大臣といろいろとお話されて、大臣もたいへんいろいろ正常化に苦心されていますけれども、その点は感謝いたしておりますけれども、あまり度を過ごして、世の中に通用しないようなことをやられたら、郵政省のためによくないと思うんです。百人も、二百人も並んで献血するなんという非常識なことをやっておりません。ですから、ここでセンターの事務長も言っておりますが、献血は人道上の立場から、官公庁、会社とも労使の協力を得て行なっている。今度の措置は、ほんとう判断に苦しむと言っている。全くそうだと思います。  ところが、高津局長が、献血を組合がやるんなら公務員法違反だと。それなら省がやるんなら公務員法違反じゃないんですか。だから、一事が万事で、こういうことをやっておったんじゃ話にならぬのだ。かねがね省のほうにいって――東室蘭の郵便局長の札つきのあれですね、竹部君あたりが隣にいて、一生懸命ハッスルして、非常にいい職場だったんだけれども、室蘭なんというのは去年の暮れあたりからおかしい。高津君が就任して以来非常に悪い。私はこういうことであまり言いたくなかったんだけれども、度を過ごして、またこういうことをやって、世上にもの笑いになるようなことは、郵政省のために私は恥ずかしいから、あえてきょうは緊急に質問しようという気になったんです。  どうですか、これは人事局長、あなたは現地を調べてみなければわからないなんという答弁じゃなく、ひとつ公務員法違反だとか、賃金カットとかというようなことが、官側の正常なる判断としして妥当な言い方かどうかということです。
  116. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 省がやります場合でも、あるいは組合の線が出される場合でも、これは基本的には同じであろうと思います。ただ、事前に全く連絡がなくて、現実に仕事をしている中へ来てということであれば、これは問題があったんじゃなかろうか。したがいまして、先生おっしゃいましたことをあえて申し上げて恐縮でありますけれども、十分調べさしていただきたい。そうして私ども考えまして、いま申し上げたような角度で、おかしい措置であれば是正させるつもりでおります。
  117. 竹田現照

    竹田現照君 多くを言いませんが、また調べると、都合のいい返事がくるでしょう、おそらく。しかし六年間にわたって春秋二回、いわゆる慣行的に、何らトラブルがなく行なわれていたものが、急に、労使対決の紛争の中に巻き込まれるよなうことが行なわれることは、常識的には考えられない。だから、何でも「坊主憎けりゃけさまで憎い」というたとえもあるけれども、そのたぐいなんですよ、これは。ですから、こういうのは、はね上がりもいいかげんに、この辺でやめさせるようにしたらどうですか。どうも、私も部内の出身だから、あまりにも世の中恥ずかしいような――郵政省の役人というのは、何てばかなことをやるのだ、北海道弁で、はんかくさいことをやった、世の中大きな顔をして歩けないようなことをしてもらいたくない。ですから、こういうようなことは常識で判断できることですから、あんまりテレビや新聞の材料になるようなことをやっていただきたくない。  大臣もいろいろ御心痛のようですけれども、早急にぜひ、これは調べて、私は、いろいろ大臣から直接御返事いただいて、たいへん恐縮なんですけれども、本来は事務当局がなぜ返事をしないのか。各方面からの、ことに大臣にいろいろ話があったとしても、そういうところが私は問題だと思います。これは参考人の方もお待ちですから、私はほんのわずかの時間ですけれども、これは課題として預けておきまして、後ほどまた――この問題に関連することは次回、いっかの委員会でまたやります。これは早急に調べて私に返事をください。よろしいですか。
  118. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) 竹田君、十五分という時間で、いまかっちりワクの中にはまっておりまするけれども、自後この問題については、さらに大臣からも、よく配意をしていただきたいというようなふうにも委員長もうかがい知っておりますので、本件に関しましては、きょうは、一応この程度にいたしまして、先ほどお諮りいたしました参考人の方の意見を聴取することにいたしたいと思います。  それでは、本件に対する質疑はこの程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  119. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは、国際電気通信事業に関する件について調査を行ないます。  参考人の方々に対し一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ御出席をいただきましたが、議事の都合により、たいくん長い間、お待たせ申し上げ、申しわけなく深くおわびを申し上げておきます。  それでは、これから国際電気通信事業に関する調査を行ないますのでよろしくお願い申し上げます。  まず、国際電信電話株式会社の事業概況について、国際電信電話株式会社取締役社長から報告を聴取いたします。菅野社長
  120. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 国際電信電話株式会社菅野でございます。  本日はまことに貴重な時間をいただきまして、当社事業の概況につき御説明を申し上げることを得ましたことを深く感謝いたします。さらにまた、平素格別の御指導を賜わっておりますことに対しあわせて厚く御礼を申し上げます。  本年は当国際電信電話株式会社が発足いたしましてから、ちょうど二十年目を迎えたわけでございますが、この間のわが国の国際通信はまさに激動の時代でありまして、かつてそのほとんどが短波通信によっておりましたものが、広帯域通信へと発展的な変貌を遂げて今日に至った次第でございます。  すなわち、昭和三十八年ごろまでは短波通信の時代でございましたが、三十九年に太平洋横断ケーブルの開通が画期的な広帯域通信時代への幕あけとなり、自後インテルサット衛星による商用通信の開始、日本-韓国間マイクロ散乱波通信の開始、さらには日本海ケーブルの建設、開通と、矢つぎばやに国際電気通信のハイウエーが建設整備され、現在では世界的な広帯域通信幹線網の形成を見るに至っております。その結果、短波通信の全盛期である昭和三十八年には合計わずかに二百三十九回線を運用いたしておりましたが、現在では約六倍の千五百回線の多きを数えております。そのうち、広帯域通信によりますものは総回線数の約九五%を占めておる状態でありまして、かつての短波通信時代には想像もできなかった豊富で良質な回線の運用が可能となり、電報、電話、テレックスはもちろんのこと、テレビジョンの宇宙中継やデータ通信など新しいサービスが提供できるように相なりました。  当社は今後ともこれら豊富、良質しかも安定した通信幹線を十二分に活用いたしまして、世界各国との国際通信網の拡充整備につとめますとともに、日進月歩の技術革新と情報化社会の進展に対応するため、なお一そうたゆまざる研究と真摯な企業努力を重ねて、国民の皆さまにさらに御満足がいただけるようなサービスを提供いたしたいと、かように念じております。何とぞよろしく今後とも御指導、御支援を賜わりますようお願い申し上げます。  つきましては、ここにまず最近一カ年間の事業概況について御報告させていただきます。  昭和四十六年度における設備の拡張改良計画のうち、おもなものといたしましては、衛星通信の関係、中央局における基礎的通信設備の拡充整備及び新国際通信センターの建設着手等でございます。  まず第一に、衛星通信の関係でございますが、太平洋上に配置されるインテルサットⅣ号系衛星に対応するために、建設を急いでおりました茨城衛星通信所第三地球局が完成し、昨年十二月から運用を開始いたしました。インテルサットⅣ号系衛星は従来のⅢ号系衛星に比べまして四倍以上の能力を有するもので、第三地球局の完成によりまして太平洋地域の衛星通信サービスは格段の向上を見ております。  第二は、基礎的通信設備の拡充整備の関係でございます。そのうち最も大きなものは電報中継機械化の実施であります。この新しいシステムは昨年五月から運用を開始いたし、十月には回線収容がえを完了し、現在順調に稼動いたしております。実用化後の成績もきわめて良好で、局内経過時分の短縮はもとより誤謬率の減少等、国際電報サービスは大幅に改善向上いたされました。  第三は、新国際通信センターの建設でございます。かねて当社では副都心新宿に敷地を買収し、建設準備を進めておりましたが、いよいよ昨年十一月に着工いたしました。地上三十二階、地下三階、延べ十二万六千五百平方メートルの建物で、昭和四十九年六月完成の予定でございます。  以上のほか、非常障害対策関係設備等、昭和四十六年度の当社事業計画に掲上いたしました諸設備の拡充計画はおおむね順調に実施をいたしておる次第でございます。  続いて、昭和四十六年度の営業概況について申し上げます。  まず取り扱い業務量の実績でございますが、昨年度は変動相場制の実施、円の切り上げ等、通貨制度が大きく変化いたしましたが、各業務ともおおむね順調な伸びを示しております。年度明け早々で確定的な数字が出ておりませんので、年度末の見込みを主要業務別に概数で申し上げますと、国際電報五百五十八万通、国際加入電信――テレックスでございますが五百八十七万度、国際電話二百七十七万度でございまして、特に国際加入電信、国際電話につきましては、前年度に比較して加入電信は度数で三六%、分数――使用した時間の分数では二三%、電話は度数で二八%と、著しい増加と相なっております。  次に、経理の概況を申し上げますと、まず昭和四十六年度上期の収支状況は、営業収益百八十九億円、営業費用百四十五億円となり、これらに営業外費用及び特別損益を加減したこの期の利益は二十六億円と相なっております。四十六年度の下期につきましてはまだ確定的なことを申し上げる段階にないのでございますが、おおむね順調な決算ができるものと見込んでおります。資産の状況につきましては、四十六年九月末現在におきまして資産の総額は五百五十六億円で、そのうち流動資産は百七十九億円、固定資産は三百七十七億円と相なっております。一方、負債総額は二百九億円で、そのうち流動負債は百九億円、固定負債は三十七億円、引き当て金は六十三億円となり、したがいまして差し引き純資産額は三百四十七億円と相なっております。  以上で昭和四十六年度の概況の報告を終わり、続いて昭和四十七年度の事業計画の関係につきまして概略御説明申し上げます。  四十七年度の国際通信需要は、昨年末における通貨調整措置の対外貿易への影響もございまして、従来のような急速な伸びは期待できないものと考えておりますが、一方、国際交流の活発化等を反映いたしまして、総体的には依然として増加の傾向を示すものと思料いたしております。したがいまして、このような需要に対処するため、本年度も前年度に引き続き、各種国際通信設備の拡充整備に努力いたし、通信サービスの一そうの改善をはかる所存でございます。  すなわち昭和四十七年度の設備計画といたしましては、昨年末着工しました新国際通信センターの本格的建設工事を推進するほか、電話交換設備や加入電信交換設備、データ伝送設備、その他オートメックス等の新規サービスのための諸施設及び基礎的通信設備の拡充整備につとめ、また通信回線の新増設、営業関係設備の整備、非常障害対策、訓練設備の充実、新技術の研究開発等を推進することとし、これらに要する経費といたしまして約百八十億円を予定しております。  このうち対外通信回線につきましては、さらに大幅の拡張をはかることとし、電話回線百二十一回線、加入電信回線五十三回線をはじめといたしまして、専用回線、電報回線等総計二百五十三回線を新増設する計画であります。これが実現いたしますと当社の対外回線数は全体で約千八百回線となり、国際通信サービスは一そうの改善向上を見ることに相なります。  また、本年五月に予定されております沖繩の本土復帰に伴い、同地における国際電気通信業務が当社に移管されますので、関係各方面の御協力を得まして、適切な段取りとあたたかい心をもって要員並びに施設の受け入れを円滑に行ない、国際通信サービスの改善向上につとめますとともに、その後の施設の拡充等について万全の措置を講ずる所存でございます。なお、沖繩関係の事業所といたしましては、那覇に国際通信事務所と国際電報電話局を、さらに普天間、牧港に分局をそれぞれ設置して業務を開始いたしますとともに、那覇における新局舎の建設に着手することといたしておる次第でございます。  次は営業所設備の拡充でございますが、お客さまの御利用の便をはかるため、本年度は新東京国際空港内分局、東京シティ・ターミナル――これは箱崎町にあります――内分局、及び京都サービス・ステーションをそれぞれ新設する予定でございます。  衛星通信、海底ケーブル施設の拡充整備につきましては、インテルサット恒久制度の発足に伴う宇宙部分投資額の増大に備えますとともに、インド洋地域Ⅳ号衛星の運用開始を考慮いたしまして、山口衛星通信所施設の改修の準備を進めるほか、新太平洋ケーブル計画に積極的に参画し、所要の投資を行なうことにしております。  また、新技術の研究開発につきましては、衛星通信や広帯域海底ケーブル中継方式、国際電話の電子交換、データ通信、画像通信等に重点を置いて行なってまいる所存でございます。  さらに、新技術に対応する各種訓練ども施設を充実して成果をあげてまいりたいと存じております。  最後に、昭和四十七年度の収支につきましては、主要業務の需要量を国際電報五百三十万通、国際加入電信七百三万度、国際電話三百六十一万度と見込みまして、この予測のもとに、収入については約四百四十七億円、支出については一そうの効率的使用につとめることとしまして、約三百九十三億円を予定しております。  なお、ただいまも申し上げましたどおり、今後の諸施策の推進に際しましては、巨額の資金が必要となりますので、本年中に倍額増資を予定いたしており、増資後の資本金は百三十二億円となる見込みでございます。  以上、簡単でございますが、事業概況の御報告をいたしました。  何とぞ今後とも委員長及び委員の皆さま方の一そうの御指導、御鞭撻のほどを切にお願いいたします。  ありがとうございました。
  121. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは、これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言をお願いいたします。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 ただいま菅野社長からKDDの事業概況の報告を受けました。その中にもありますように、まさにKDD発足二十周年の年に入ったわけでありますが、私はこの際、過去を振り返ってみまして、現在の組織機構、運営その他、会社法の精神にのっとってさらに今後を進めるわけでありますが、この際、幾つかの問題について、基本的な問題点をお伺いし、現状に何らかの変革を加えることがさらに前進になるのかどうなのか、そういった点を中心に、きょうは、会社、政府側の見解を承りたいと思いますが、関連をして、電電公社の方にもおいでいただいておりますので、時間がかなりおくれておりますから、私の質問の順序が、基本問題から若干はずれまして、あとからするべきものでありますけれども、都合で、最初に公社に関係をする部門についてお尋ねをしておきたいと思います。  その一つは、電電公社では現在、電報事業、いわゆる電信事業の再編成を考えておられますが、御承知のように、この再編成は、国際電信電話株式会社の運営に重大な影響を与えてまいります。そういう関係で、いま電電公社が意図しております再編の大綱について、この際あらためて伺いたいと思います。
  123. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) ただいま先生の御質問の電報業務の運営の再編成の問題につきましては、最近、電話でございますとか、あるいはテレックス、そういったものの発展に伴いまして、電報というものも、社会的あるいは経済的な役割りが変化してまいっておる。あるいは電報の通数というようなものも非常に減少してきておる。こういう電報の実態の変化といいますか、そういったものに対応する電報の業務運営のあり方というものにこれを変えていく、そういったことで再編成というものを考えておるわけでございます。  具体的に中身を申しますと、一つは、電報を受け付けます一一五取り扱い局、これの業務量に応じていわば集約をしていく。二番目は、電報の配達局というものを、非常に電報通数の少ないところについてはこれを委託に持っていく。それから三番目は、現在、電報電話局の持っておるところの営業の窓口というものを、電報の部門と、それから電話を受け付ける部門というものを分けて、単独に置いておるわけですけれども、これを一本化いたしまして、いわば営業の窓口で電報の受付もやる、こういった具体的な内容を持っておるものであります。  私どもとしては、今度の電報業務の再編成というものをやっていく考え方としましては、いわゆる電報事業の経営の改善ということだけでなくて、現在電報が全国で約二万人以上の従業員がいますが、これらの中には、今後のデータ通信なりあるいはテレックスなりあるいは電話なり、こういった新しい部門に行って働きたい、こういった希望を持った職員がたくさんおりますので、こういった職員の、希望するところへひとつ行って大いに働いていただく、同時にまた、電報部門に残っておろうという人にも同時に働きがいのある電報の職場というものをつくっていく、こういった考えでございます。いわば電報従業員の人間性尊重といいますか、そういったものの基本的立場に立って、今度の電報業務運営の再編成というものを進めてまいっておる次第でございます。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 特にきょうは国際電電との関連性についての点だけをお伺いすることにいたしますが、それで、まず第一の、再編の第一の電報受付局のある程度の集約でございますね。現在の一一五取り扱い局に集中する、これと営業窓口の電報、電話別々になっているものを一本化する、そういうことが第三番目にありますが、私はここでずばり伺いたいのは、現在、一番最近の時点でけっこうですが、受付局は幾つございますか。郵政省に委託をしておる、あるいは集配特定郵便局ですね、こういうところで取り扱いをしている局があるかどうか。その辺も含めて、現在幾つありまして、それが再編によって幾つに減っていくか。受付局が、受付を取り扱う局が減ってまいりますか、その数はどうなりますか。
  125. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) ただいまの一一五の集約というのは、これは電話で申し込んだものを集約するだけでございますから、たとえば、船橋で受け付けておったものをこの回線を延ばして千葉で受け付けると、こういったことでございますので、具体的には電報の受付に、何らお客さんの側から見れば、支障はないということでございますが、いまの、私どもは、国際電報について、KDDから受付・配達業務を受託しておるわけでございますが、この受託しておる受付の窓口の数というのは、大体現在千をちょっとこすくらいの……。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 正確に言うと幾らですか。
  127. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 正確には千三十一になっております。この受付の窓口の数につきましては、これは特段の変化がございません。  それから、あるいは配達につきましても、公社の直営の配達局は若干違いますけれども、その分については委託という方式がありますので、実質的に配達というものについても変化はございません。  ただ、三番目に申しました窓口というものを、営業と電報とをまとめる、電報電話局の窓口を。その関係で国際電報の受付につきまして、従来よりももう少し簡素な方法というものを採用いたしますが、その点について、現在、国際電信電話会社と折衝中でございます。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 一一五扱いのものを集約するということですから、おっしゃるように、われわれ利用者側から見れば、一二五を呼んだら電報が通ずるということですから、これはよくわかりましたが、それが千三十一。国際電報の場合に、一一五を通じて依頼される、発信される電報がどのくらいあるかわかりませんが、あまり多くはないと思いますけれども、いずれにしても、千三十一局が再編によって減るんですか。それとも、受付局そのものは、変わりない、こう理解していいですか。その千三十一局あるうちで、国際電報の扱いをする局は幾つなのですか。この扱い局では、全部、国際電報を扱うということですか。   〔委員長退席、理事森勝治君着席〕
  129. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) 端的に申しまして、千三十一の扱い局というのは、全部、従来どおり、国際電報の受付をいたすということで、今度の再編というものにからんで国際電報の受付をしたり、あるいは配達をすると、そういう局数には変わりないということです。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 この一一五と実際に電報を取り扱う局とは、ちょっと分けて考えないと概念的によくわかりませんが、一一五でしたら、どこでもいいですが、加入者が、電話を持っている人たちは、どこででも一一五を呼べばやってくれるわけですから、それはいいですけれども、現実に国際電報を打ちたい、ところが電話では非常に無理だ、したがって現在扱っている局に持って行ったところが、それは集約によって外国電報の取り扱いができない、そういう事態が万々ないと理解していいのですか。そうすると、従来どおり扱い局は、これは集約は集約だけれども、現在ある局というものは、受付窓口というものは別にそういうものとは関係ないわけですね。そういうふうに理解していいですか。千三十一は未来永劫とは言わないけれども、長期計画の中で、現在公社が考えておる電報再編の中では出てこないと、こういうふうに理解していいのですか。
  131. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) ただいま先生のおっしゃいましたとおり、千三十一の受付窓口というのは、未来永劫というものではございませんけれども、今回の電報業務の再編成という中からは、これは変化はないということでございます。
  132. 鈴木強

    鈴木強君 それでは受付のほうわかりましたが、配達のほうは、通数の少ないところが委託になるわけですね。そうなりますと、国際電報の場合も配達はなくならないわけであって、その委託の配達を請負う方が、国際電報も同時に配達をしていくということですから、具体的に配達は局も何局ありますかわかりませんが、その数をちょっと明らかにしていただきたいと思いますけれども、配達局、現状何局あって、その局数は変わりないと、こういうように理解していいわけですか。
  133. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) ちょっといま正確な数字はなんですが、大体配達局も千十局程度だと思いますが、これにつきましても国際電報を配達をするということについては、今度委託に変わるものもございますけれども、従来とは実質的には変化はないということでございます。
  134. 鈴木強

    鈴木強君 国際電電の方にちょっと伺いたいんですが、電電公社が電報再編の計画を、お聞き取りのように、いまやっておるわけですが、そのことによって、私たちは今後の国際電報の受付ないし配達については、従来といささかも支障はないと、こういうふうに判断ができるわけですが、この点は電電公社と国際電電のほうで、この再編計画を電電公社がおきめになる場合には、当然KDD側ともある程度の相談はされておると思いますが、その中で、特に何か国際側として希望条件なり、問題点があったかどうか、この点いかがでございましょう。
  135. 増田元一

    参考人増田元一君) 私どもは、電電公社からただいま御連絡をいただいております考えの内容を申し上げますと、まず窓口受付につきまして、取り扱いの少ない局の取扱いはやめるようにしていきたい、ただしこれはKDDと協議をする。それ以外の局につきましては簡易受付を行なう。それから実施可能な範囲から逐次実施していく。そしてその完了は四十八年度末。こういうふうに伺っております。これは窓口受付でございます。それから加入電話のほうは、加入電話発信のほうでございますが、窓口受付の整備の完了しましたあとで、全国の電話加入者から発信する国際電報をKDDで直接受け付けるような体制を整備してほしい、こういう御要望を御連絡いただいております。これにつきまして私どもといたしましては、先ほどお話しがございましたが、発信について合理化が行なわれるわけでございますが、四十五年度分で申し上げますと、大体三十万通くらいございます。それでもちろん基本的には、電電公社のお考えというものは合理化の一環として大切な部分を占めるものと考えておりますので、基本的には協力をしなきゃいかぬと、こういうふうに考えております。ただ現在三十万通くらいの、年間でございますが、国際通信が合理化の対象局から発信されておりますので、その部分につきましてはサービスが低下しないように、そういう点等を配慮いたしまして、公社と協議をさしていただきまして、お客さんのほうにもそう問題がない、そして電電公社のほうのお考えが実現できると、そういうような体制に持っていきたいということで、ただいま協議をさしていただいておる最中でございます。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 運用局長のいまの御説明いただいた再編計画と、それからいまKDD側から伺ったところによりますと、ちょっと食い違いがあるように思うんですね。それはおそく再編計画も何年かにわたっておそらくおやりになるのでございますから、いまあなたがお述べになったのは窓口であって、それが将来二年、三年目にどういうふうなテンポでどういうふうな内容で、窓口の受付が縮小、強化され、合理化されていくかということだと思うんですよ。ですから、その辺はあなたが言いませんでしたけれども、おそらくそういうことだと私は推察するんです。私の質問も多少お受け取りにくかったかと思いますけれもど、いま会社側、KDD側が言っているような、お述べになったことについてはそれは間違いないですか。
  137. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) いま先生からおっしゃいました例の窓口の受付業務を簡素化するというか、簡易受付につきましては、今度の特定局の再編計画と直接関連するものでありますので、やはり先ほど申し上げたように、また、KDDのお話もあったとおりでございます。もう一つのまあ受付数の非常に少ないところについて窓口を閉じるという問題につきましては、これは公社の直営局の業務再編計画とは実は直接の関連のないものでございましたので、私、先ほどちょっと申し上げるのを落としたわけでございますが、基本的には、いま申しましたように、年間で約三十万通ほど受付をしておるわけでございますが、年間三十万通と申しますと、まあこれを千局で割りますと、大体三百通、一日に一通未満ということでございますので、非常にまあ通数の少ないところについては、できるだけ窓口を閉じさしたいということは基本的には考えておりますが、今回の公社の直営局の再編計画と関連さして考えておるわけではございません。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 少しその事業の持つ公共性ということを、やっぱり念頭に置いてもらわないと、間違いが起きると思うんですよ。かりに通数は一日一通であっても、国家事業としての電電公社、また、このKDD法に基づく各種の公共性を持ったKDDで扱う国際電報、数は少ないとしてもその扱い方は慎重でなくてはならないし、その扱いが多少でも国民にマイナスを生ずるということであれば、これは私は大いに考慮をしなきゃならぬと思うんですよ。合理化というのは、基本的には、これを使っていただく国民皆さん方にもサービスがよくなり、そこに働いている労働者もよくなり、また経営者もそれによってメリットを得ると、こういうことが私は合理化の基本であると思うんですね。ですから、特に公共性の強い電報事業、電話事業等については、その辺の配慮はまああなたは専門家ですから、十分心得ておられると思いますけれども、ただ通数の面から簡単に言われると、ちょっと私はこれは引っかかる点があるんです。  ですから、これは今後KDD側が言っているように、この三十万通の扱いについて、KDDが直接扱わなければならないようなシステムに移行するということも、中には考えられておるようですから、これらの問題については、もともと私たちは、この電電公社法、会社法が設立されたいきさつ等はあとから私は申し上げますけれども、そういう点から引き離してはいけないけれども、引き離してきた節がある。国内、国際一体としての運営というものが、私たちはいいという考え方を当時持っておったわけですから、そういう意味からいっても、できるだけ両者が相協力し合って、国民の利便を守っていくというところに焦点を置いて、合理化はその次に考えていただかないと――もっとも私が言う合理化に沿っておれば、これは問題がない、合理化でも。そういう点をひとつ十分お考えいただいて、今後、具体的には、KDD側とかなり突っ込んだ意見交換と協議をしなければならないと思いますので、その点を中林さん十分御了承いただいてやっていただきたいと思います。で、あなたの考えだけ聞いてそれでいいです。
  139. 中林正夫

    説明員(中林正夫君) ただいまの点につきましては、利用者の利便の点も十分考慮しながら、われわれもKDDと十分に協議をしてまいりたいと考えております。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  それではもう一つ公社側からも伺いたいんですが、いまこのKDDの業務案内を拝見しましたら、その中に航空業務関係の扱いについてたとえば「航空業務報(クラスB)」となっておりますが、「航空会社が安全飛行の為に発する通信のうち、公衆通信に属する内容をもつ電報です。」と、こう書いてあります。これはそのとおりでしょう。それからもう一つ電話のほうでは、「国際航空無線電話通話」というのがございます。そこに説明が書いてありますが、「東京国際空港に発着する外国航空機と、空港ビル内の航空会社事務所の間の無線電話です。」と、こうなっております。現在東京国際空港ではおそらくこういう扱いをいたしておると思いますが、これはおそらく外国の飛行機との間のもので当然あるわけですが、国内航空の場合は、電電公社がおやりになっておると思うんですが、これはどういうふうに運営されておるのでございますか。いまの東京国際空港の、国内を飛行する日航とか、あるいは全日空とか東亜航空とかありますけれども、そういうものとの公衆通信あるいは連絡というのはどういうふうになっておりますか。
  141. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) お答えいたします。  ただいまの御指摘のものは地対空、それから地上対地上と二つに分かれるかと思いますが、現在電電公社で扱っておりますのは、そのうちの国内通信というものに該当するものでございます。その中でも、私設無線設備でおやりになっておるものがございますが、一般公衆通信としては、私どもは現在無線専用という形でサービスを提供さしていただいております。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 地対空、地対地ですね。この国内線は電電公社がおやりになっているようですが、相手方は国内航空の場合どことどこの会社になりますか。すべての航空会社ですか、国内の。
  143. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 現在無線専用としてサービスを行なっておりますのは、日本航空、全日空、東亜国内航空、この三つでございます。
  144. 鈴木強

    鈴木強君 これは要するに、公衆電気通信役務ということになりますね、範疇は。
  145. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 法律的にはそういうことになります。
  146. 鈴木強

    鈴木強君 それで、たとえば、東京国際空港に発着する外国航空機と空港ビル内の航空事務所、これは言いかえれば、東京国際空港に発着する国内航空機と空港ビル内航空事務所との連絡、こういうものはいま遠藤営業局長がおっしゃった私設無線設備、いわゆる専用線なのか、あるいは私設設備ですから、おそらくそれぞれの航空会社が御自分で許可を得てつくった設備だと思いますけれども、その辺は電電公社としては全然関係はないと、こう理解していいですか。
  147. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) そのとおりでございます。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 その点わかりました。  それで、聞くところによりますと、今度、成田にできます国際空港の場合ですね。国内、国外のこれらの航空機との通信業務といいますか、連絡業務といいますか、こういうものは、一本にまとめて、何か別の会社をつくっておやりになるというような話があるんですけれどもね。その内容について、構想について発表できるものだったら発表してもらいたいと思います。これは国際でもどちらでもいいですよ、どこが主体になってやっておるのか知らぬが。これは大臣も御存じですか、あの問題は。
  149. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) これは実は国際業務と国内業務と両方のことでございますので、郵政省のほうからお答えさしていただきます。
  150. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) この問題はもともと外国航空会社に対して電波の免許ができないという問題から、たいへん外国航空会社が羽田空港、あるいは今度の成田空港においても、運航上あるいは飛行場内の業務上、非常に不都合があるという多年の問題であったわけでございます。これはやはり電波法改正という問題になるわけでございますが、そういうような方法によらないで、何か実際に、こういう無線の利用ができる方法はないかということで、いろいろ郵政省のほうで電波監理局を中心に検討しておりまして、その結果、これは電波の有効的な利用、一元的な利用という要請もありまして、これを国際電電、あるいは日本電信電話公社のほうが、公衆電気通信業務として、公衆通信サービスとして、これやる方法があるかと、ただ、たいへん飛行場という特殊の環境のところに、非常に常態と異なるサービスになるために、これは新しい会社で、国際電電あるいは電電公社の業務を委託するということで、一元的に運営するのが、最も能率的じゃないかという考えになりまして、本年度の電信電話公社の予算の中に、新会社に対する出資といたしまして、四千万円の予算要求もいたしておりまして、それが認められることになりましたらば、電信電話公社のほうの出資四千万と合わせまして八千万の会社として、さしあたり発足するという構想を立てまして、目下その線で準備を進めておるわけでございます。
  151. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に重大な内容を持っていると私は思うんですね、あなたもおっしゃるように。日本の電波法が、外国人が少なくとも無線局ですね、開設を許されていない。だから、沖繩の場合もそうですけれども、それでたいへんな問題になった例もあるんです。どうかすると、非合法を合法化するための手段として、こういう方法がとられるんじゃないか、こういう見方も出てくるわけですね。あなたのおっしゃるように、効率的、一元的な運営をするためには、別会社をつくってやったほうがよろしいと、これも一つの理屈でしょう。と同時に、一面政治的にも、あるいはまた、国内法との関係においても、できれば電波法を改正したいのだけれども、それはなかなかむずかしいから、こういう方法をとるんだという、だれだってとりますよ、少し専門的に知識のある人は。  だから、もう資本金八千万円でつくられるということだけ聞いたんですが、どういう名称にして、性格がどういうもので、あるいは役員構成がどうなっているのか。外国人が入るのか、入らないのか、その点もわかりませんが、資本構成もある程度外国――貿易資本の自由化ということもあるわけですが、これはずばり、電波法との関係で、社長だけは日本人にして、あとは外国人が入ってくるということ、これは考えられる。現にカナダなんかはみんなそういう経営方法をとっておりますよ。社長はカナダ人で、重役以下ほとんどアメリカ人。資本はアメリカが出しておるというようなこと。これはもう相当に法制上、出資なり役員構成なりを縛らないといけないと思う。あなた方、まあそういう点は別に安易に考えているとは思いませんけれども、そう簡単なものでは私はないと思う。  ですから、ただ資本金だけ聞いたんですから、私が、かってに全貌を聞かぬうちに、意見をさしはさむのは失礼だと思うけれども、そういう私は心配を持っておる。だからそう簡単に認めるわけにいかぬ、これは私は。大臣ね、これはもう大臣認可の民法上の法人、公益法人なのか、あるいは特殊的な法人として国際電電と同じような形でやらせるのかですね。いずれにしても、公益性が非常に強い事業であって、場合によったら、その公衆電気通信役務、これはもう公衆電気通信法その他からいたしましても、電電公社が専掌していくという姿で、他の会社ができたって当然これはやられるわけですし、もし公衆電気通信に類するようなものをやるとすれば、これは法律改正しなければできないわけですからね。それらの法制上の問題と実際、実施上の問題について、非常に私は問題点があると思う。まあどういう構想かもう少し目的なり役員構成なり運営なりについて説明してほしいと思います。
  152. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私も新しくできます会社はそのとおりであるべきだと思います。まことに大きな使命を持った会社でございますから、これはまあ会社でございまして、出資者は電電公社と国際電電ということになりますわけでございますが、ただ業務は公衆電気通信法の委託によって仕事をやりますわけでございますから、それについては、政令を必要としますわけでございまして、公社の出資について政令を必要とするわけでございますから、そのような政令については、いま案をつくっておりますわけでございます。   〔理事森勝治君退席、委員長着席〕
  153. 鈴木強

    鈴木強君 その程度なら私は現状でいいと思うのですよ。何も会社をつぐってやらなきゃならぬという理由はないというように思いますね。この程度だったら、しかも公衆電気通信業務を逆に委託する、公衆法上でやるという、これはますます手数がかかりますよ。一体現在国際と国内が、まあいろいろ、国内のほうは公衆電気通信役務だけであって、あとは専用線というよりも、むしろ個有の私設の会社無線によってやるわけですからね。これはまあ問題ない。ところが、外国の場合は、それが電波法でできないという制限がある。これの裏をくぐるために公衆電気通信役務を当然、国際の場合はかぶってきますからね。そうなってくると、今度はそれを委託しなければならない。こういうわずらわしいことをして、会社をやらなきゃならぬということは私はないと思うのです。どうしていまの制度が悪くてそうしなきゃならぬかということも、さっき効率的、一元的運営が望ましいということだけ言っているのですよ。それだけじゃ私はわかりません。もっと切実に、これこれ、これこれ、どういう理由があって、こうしなきゃならぬというならわかるのですがね、そういうシステムがかりにできたとしたら、いまの東京国際空港なり、あるいは大阪の国際空港なり、今度でき上がる国際空港なり、あるいは国内の飛行場ですね。一種、二種、三種こういうものがそういうふうに全部やっていくのかどうか。そういうことだって将来に波及することもこれは考えなきゃならぬ。ただ、成田のだけやるのか。あるいは羽田はそのままにしておくのか。大阪はどうなるのか。こういう問題が出てきます。それはどうなるのですか。
  154. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま御指摘のように、会社あるいは公社がこれを直接やるという方法はどうかという問題でございますが、絶対できないという問題ではもちろんございません。会社または公社がその国内業務、あるいは国際業務といたしまして、このサービスを提供するということはできるのでございますが、こういうようなまあ特殊な環境で特殊の業務をすると、しかもそれに使います波が非常に制限されておりまして、国際網、国内網を一元的にこれを業務上運用するのが必要であるというような現実の要請からいたしまして、これを一元的に別会社で運用するほうが効率的であろうという判断に立ったわけでございます。  それからまた、この会社の業務範囲は今後どういうふうに考えるかと、空港――国際空港もありますし、そうでない一般飛行場もございますが、それを全部やらせるようなことになるかという御質問でございますが、当面この会社は成田空港と、それから沖繩が返還されますと、那覇空港につきまして、同様の業務が現地に、現実に行なわれておりまして、これは返還に伴いまして国内業務として、日本の公衆電気通信業務として提供する必要がありますので、この二つの空港内における業務を目標として、資本金その他業務の規模等を考えているわけでございます。まあ将来大阪国際空港とかいうような問題も出るかと思いますが、その問題につきましては、その時点において、さらに検討するという関係者の了解で現在進めているわけでございます。
  155. 鈴木強

    鈴木強君 私は非常に不思議に思うんですね。その意図が非常に不思議に思うんですよ。おそらくVOA放送や、極東放送と同じようなケースの中で、沖繩返還との関連がないことはないと思う、私はね。極端に言ったら、VOAは、これは押し切られましたけれども、極東放送が、要するに、アメリカ人経営の名前を変えるでしょう、日本人に名義を。そして電波法に合わしていくということを裏でやりながら、電波法改正ができなかったものだから、合法化していこうという、そういうふうにやり方において。それで、これはアメリカの方々が――たいへん憶測するようになるけれども、沖繩復帰されて、その際にそういう方法をとりたいということから、あそこだけやったら目立つから、今度は成田も一緒にやって、やがて今度は羽田、大阪と大体、国際空港は全部そうすると、そういう一連の私は思想的なものがうしろにあると思う、政治的なものが。と私は思うんですね。これは私の行き過ぎであれば訂正するにやぶさかでないけれども、そういうふうにとられますよ。一連のアメリカの日本の電波行政に対する裏をかいたやり方だとかね。  たとえばいままでやっておって、国際電電会社がやっておって事故ばかり起きて、どうも国際電電には委託できないということが具体的に出てくるならば、これは国際電電としても問題でしょうね。しかし現実的にいまの施設でもって十分にサービスを提供しておきながら、こういうところでやるのはあれだからこっちの会社でやるなんて言われて、それでもあなた方はメンツがあるんですか。しかも、その政治的な背景というものを考えると、これはたいへんな私は問題だと思うんです。しかも出資が公社とKDDですか。これは郵政省も四千万か予算に組んであるので、一体、公社がやり、KDDがやるものを、別の会社をつくって、しかも公社と会社で金を出して何か会社をつくって、そこでやるというのはどういうわけなんですか。国民がもっと納得できるような趣旨説明があるならちゃんとしてくださいよ。あなたが言っている限りにおいてはわからぬ。そんなことで会社つくる必要はない。KDDは二十年間の間に、世界一のサービスを提供するところまできたといっている。その世界一のサービスをやっているのに、なぜこんな別の会社をつくってやる必要があるのか、どうですか。
  156. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 先に、沖繩返還との関係につきましての御質問があったわけでございますが、この成田空港の問題は、すでに昨年の夏ころから検討を始めたわけでございまして、その後、その以降におきまして、成田空港の開港が若干おくれぎみであるということと、それから本年度予算につきましてまあ暫定予算になったというような事情で、この発足がおくれているわけでございますが、当初の予定といたしましては、できるだけ四月一日と言わぬでも、早い機会にこれを発足しよう、あくまでこれは成田空港の運営にも支障を及ぼさないということを目標にしていたものでございます。  それから出資の問題でございますが、これは郵政省が出資するということではございませんで、予算に御要求していると申しましたのは、日本電信電話公社の出資としての予算でございます。なお、このKDDがたいへんりっぱな業務をしておられるという点につきましては、私たち関係者としても、そのように考えているわけで、決してKDD自体であることがこの業務に支障があるという観点からこの問題を考えていたわけではございませんで、むしろKDDにつきましても、そのほうが、より一そういいという御判断もありまして、この際、一元的な運営という立場から、日本電信電話公社と国際電信電話会社の業務を一本に委託する、ごく小規模の会社でございますが、特殊の飛行場環境と飛行場業務に直接関係するという、特殊の業務を担当するほうが、一そう効率的であり、また、電波の使用という点での、効率問題にもなるのじゃないか、という点での判断に立ったわけでございます。
  157. 鈴木強

    鈴木強君 一つも私がなるほどというような理由がないんですね、これは。あなたが同じようなことをオウム返しに言っているだけであって、もう少し国際電電がやるよりもベターだ、これのほうがね、という理由があればわかりますけれども、そんな電波法の裏をかくようなことを平気でやって、それで、私たちが納得できるような説明をしないで、ほんとうにこれはやる気なんですか。おかしいじゃないですか。
  158. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) たいへんこの会社の業務の成り行きについて御配慮をいただいているわけでございますが、この業務の、今後の委託という形式での遂行につきましては、電信電話公社も、国際電電会社のほうも、非常に積極的にその方針がいいということをお認めになりまして、その会社の設立についての協力をしていただいているということでございます。
  159. 鈴木強

    鈴木強君 わからないね、それは。そんなことを言われてみたってわからぬよ。一つもわからぬよ、それは。  それで、もう少しじゃあ内容について伺いますが、この八千万円というのは、KDDが四千万円で、電電公社が四千万円、合計八千万円の資本金でやるというのですね。――それからもう一つは、役員の選出なんかについてはどうなるんですか、これは。それからもう一つは、大臣が認可をする、要するに、民法上の公益法人なのかどう液のか。この点はどうなんですか。
  160. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) これは大臣が認可する民法上の法人等ではございませんで、純然たる商法上の会社でございます。それから役員等は、商法によります手続によりまして、発起人が、これを発起人会において選任するという手続になると思いますが、ただいま関係者のほうでは、国際電信電話会社が中心となって、この会社の設立に当たるということでこの準備を進めております。主として、国際電信電話株式会社の方々が、この設立の準備に当たられているわけでございます。
  161. 鈴木強

    鈴木強君 これはあとから私が伺おうとしていたのですが、いまの国際電信電話株式会社法の基本にも触れてくるのですね、これはね。明治四年から国有国営でやってきた事業が、昭和二十七年に公社になった。そして、八月一日から二十八年の三月三十一日まで公社企業で運営してきて、四月一日から会社になったんでしょう。そのときに、われわれは、この会社は非常に公共性の強い事業ですからね。いわゆる特殊な法律をつくって、それによってある程度大臣の監督権とかというものが認められてきているわけですよね。しかし、会社にしたならば、会社に全部まかしてやるのも一つの方法ですわね。しかし、公共性が強いから、役員の選出とか、事業の計画とかというものは、要するに、監督権の問題については、第何条でしたか、それぞれ法律にきめられていますね、大臣の権限というものはね。そういうものをちゃんとして、民間会社であっても、きちっとした公共性の保持ができるような立場に置いてあるわけだ。  今度は、その中から、もう一つ会社にして、何にも制約のない、いうならば、ノーズロースの会社をつくるうというわけじゃないですか。それならば、いまの会社そのものがもっと改善する必要があるのかないのか。これは、私は、ずっと二十年間の、公社法上の大臣の権限から全部聞こうと思っているのですよ。そして、この問題と関連して、いまの会社はだめなんだと。もっと大臣権限をゆるめて、一般商法上に言うところの、いわゆる会社並みに落としてやればいいじゃないか、そういうことになれば、それはそれでいいでしょう。そうでしょう。何か、本来国際電電会社がやらなければならぬものを、また切り売りして下請にしてやるようなものだからね、要するに。その場合に、はたして国際電電がやるだけのサービスが提供できるかどうかということについて、私は自信がない。しかも将来、いまではあなたが言うように、商法上の一般の通則によってやられるとすれば、将来の姿は変わりますよ。それは必至だ。それはなぜか。電波法の裏をかいてやっているからです。それを虎視たんたんとねらっている。  そういうものを、一応公社が出資したということでスタートするけれども、将来の姿は、何にも制約がない。しかも、私は、そういう民間会社に国民の財産を、あるいは国民が出し合ったその資産というものを、そんな会社に出資すること自体だって、これは重大問題ですよ。KDDの場合は、多少株主が投資している。しかし、その中には、電電公社が持っている分もあるし、郵政、電電の共済組合が持っている株もあるし、だから、必ずしもこれは民間の純然たるあれではない。だから、そういう現在の会社法の基本の精神からいっても、これをゆがめるものですよ。私は、そういう重大な問題がここにあるから、柏木さんが幾ら言ってみたって――私の納得できる理由があったら言ってみなさいよ。国際電電がそうしたほうがいいとか、電電がそうしたほうがいいということをあなたはおっしゃるけれども、むしろこれは、私は、あなたのほうのところでイニシアをとってやったんじゃない、これは。もし会社がそういうことをやるならば、いまの会社は、どこがだめで、こうやらなければならないのか、公社が、いまの公衆電気通信法上公社がやるところの、どれがだめだからやるのか。ただ一つ電波の効率的な運営が、周波数が少ないからと。これは一つ私はわかります。  しかし、やがて中国が、中華人民共和国が国連に加盟して、ITUの中にも入ってくるでしょう、聞きますと。そうすると、いま中国がかつてに使っている電波というものを規制し、アジアにおける電波は割り当てをしなければならない。そうすれば、もう少し有効的に電波を使えますよ。あなた方心配するような、従来の本来の使命から変革してゆがめたものをつくらなくても、やれると私は思う。それだけ行き詰まっていませんよ。電波はまだまだあなた方の言うようなものではない。だから、必ずしもその点は私は納得できない。だめですよ。
  162. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 私のほうで説明申し上げました委託ということにつきましての内容が、少し説明があるいは足らなかったかと思いますが、このような形で行ないます業務は、これは新会社の名義で、その設備について、航空会社と契約するということではございませんで、この契約は、国際電電あるいは電電公社が定めます料金、利用条件によりまして、電信電話公社とあるいは国際電電と直接ユーザーが契約をする。新会社はその契約についての代行をする。また、その飛行場内のいろいろの車や人間が乗って歩く移動設備、これは会社が直接処理することになると思います。これの維持、保守等はするわけでございますが、その他の技術的な条件、その他の業務条件の一切は、会社やあるいは公社の定めるところによって、この営業業務を代行するという形になっておりまして、公衆電気通信業務としての一般の技術は、直接、会社、電電公社の規制に服するいうことになっております。  なお、御参考までに申し上げますが、このような形で、国内通信では、すでに船舶の沿岸無線電話、これは、船舶に設置した公衆電気通信設備の業務に属するものでございますが、これは御承知のように、やはり電信電話公社が出資しました日本船舶通信株式会社というものが、ほぼ同じような条件で現在もこのような業務を円滑に行なっているところでございます。
  163. 鈴木強

    鈴木強君 変な例を引かないでもらいたいのですがね。本来、日本の行政官庁の場合でも、非常に最近はゆがめられまして、各省の中に何かわけのわからない外郭団体というものがたくさん出てきておるのですね。本来的にやらなければならない仕事を、何とか公団とか、何とか公社とか、公庫とかいうことで、全部やっているわけですね。そしてやがては、ああいうふうに、日本道路公団みたいな大きな汚職が出て、そして世間からひんしゅくを買っている。だから本来、各行政官庁がやるべき仕事を切り売りしているのですよ。そういうことは決してよくないことだ、そういうようなことはいかぬと私は思う。だから、あなたの言われる船舶通信会社の例を出して、何か正当化しようという考えは私はだめですよ、反対なんだ。だからして、もう少し、われわれがなるほどそうですがと、一〇〇%わからなくても三〇%でも、なるほどというような理解ができるような理由があれば、これを聞かしてくれといっている。それが言えないのじゃないですか。困りはてて船舶通信か何かの例をとって、正当化しようというようなことは、これはひきょうだ。それがあるから、これもやるんだということでしょう。それとは違いますよ。  さっきあなたは何といいましたか。本来外国の人がやりたいのだけれども電波法でできないから、それでこういうものをつくったと、正直にいった。それがほんとうにこれができるバックでしょう、背景でしょう。電波法を変えたい、変えたいけれども、できないと、廣瀬大臣もかなり国益を守るという点においてがんばった。これはりっぱだったですよ。しかし、まあ力関係で強引に五年間置くということになってしまったのは、これは残念ですけれども、これは一つの問題点だと思いますけれども、しかし、電波法を改正しなかったということは、これは国益を守った、これは廣瀬大臣りっぱだったと私たちは思っておる。こういう裏をかいてこれをやるわけです。ですから最初にあなたが言ったことが正直なところです。私もそういう判断を持っているから、純粋にものが考えられないのですよ、ぼくは純粋にものが言えないのです。だから、これは大臣、もう少し正確な将来の展望に立って、私がいま心配するようなことがない姿に、最小限度これはやるべきですよ。事務当局のいうようなことになったら、これは将来、たいへんなことになるということを、私はあなたに警告し、これはなかなか柏木監理官が、一日やったって、私を説得できるような答弁が出そうもないから、さらに大臣にこういう点を十分検討してもらいたいと思います。どうですか。
  164. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私が十分腹に入っておりますと、私が御説明申し上げますけれども、どうもまだ入っておりませんので、柏木監理官が一生懸命に御説明申し上げているんですけれども、どうもあまり御説明が上手でないようでございまして、しかし、私は柏木監理官を信頼いたしておりまして、御納得のいけるような説明がそのうちできると思いますから、十分ひとつ勉強いたしまして、もう少し鈴木委員の御納得のいただけるように、御心配が解消するようにひとつもう少し根拠をはっきりいたしまして、御説明をあらためて差し上げたいと思いますので、きょうのところはあしからずごかんべん願いたいと思います。
  165. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  大臣は政治家であるし、大臣だから――さっきから聞いていると、もう三十分も同じことをやっているんですよ。だから、やっぱりわれわれは、国民がなるほどそうかと、国際電電をつくったと、会社が過去の経験に徴してこういう点で不便があったと、だから、こうしたほうがなおベターなんだと、公社のほうもそうなんだということが、それをまとめる郵政省、これは監督権限があるわけですから、両方に対してですね、大臣が、そういう点については、自信を持ってわれわれに対して説得でき、あんたそうおっしゃるけれどもこうですと――私は何も論議をふっかけてけんかしようというんじゃないんですよ。理屈があれば、そういう方法があるかもしれません。私のつたない経験であり、体験かもしれませんけれども、私はずっとこの問題を見つめてきたんですけれども、どうしでも納得できないんです。だから、きょう私はあえてこの問題を出して、公社も忙しいと思いましたけれども来てもらいました。まあここで参考にしたいんですが、会社の社長からも若干御意見があったら伺いたいし、それから公社のほうもこの問題に対して意見があったら若干伺って、これはもう平行線ですから、大臣のおっしゃるように、腹へ大臣が納得できるものを持って、次の機会に相まみえて、私を説得できるなら、私はあなたに屈服しますけれども、説得できなければ、反対をし続けますよ。そういうことできょうは一応議事進行上そうしてもらいたいと思います。菅野さんどうですか。
  166. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) ただいまの問題は、私もいろいろ伺ってはおりますが、目下のところ、先生のおっしゃるその裏のことは全然存じませんけれども、どうもそうやったほうが非常に仕事がうまくいくように私は信じております。そこで、何とかこれは公社と一緒になって、新しい代行会社をつくってやるべきだという気持ちでもって、社内で準備を進めておるような次第でございまして、なお郵政省ともよく相談しまして、その先生の御心配になることにつきましては十分御説明申し上げたいと思います。
  167. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 電電公社といたしましては、国内通信の部分につきましては、先生のおっしゃるような御心配はあまりないんじゃないかと思いまして、むしろ国内通信の部分といたしましては、飛行場のように二十四時間でございまして、発着がもう二十四時間に及び、しかもいろいろ端末の修理その他でいつも呼び出せる状態ということになりますと、やはり厳重な条件をつけたり、代行会社のほうが能率的だというふうに、こういうふうにも考えております。私は、そういう線でやがて鈴木先生も納得していただける日が近いと、こう思っております。
  168. 鈴木強

    鈴木強君 自信があるようですから、あなたとむしろ論争したほうがよかったかもしれませんが、社長のおっしゃることもわかります。それで私は、かりに百歩譲って、代行会社をつくるにいたしましても、将来の展望として、ずばり商法をそのまま一般的に適用されるということになりますと、将来はやがて、形を変えた乗っ取りが出てくるということが想像されますよ、これは。いまコンピューターの問題でも、ソフト、ハードいろいろありますけれども、IBMの商魂たくましい、ヨーロッパを席巻したような、ああいった力を見ますと、しかもこれからは貿易、資本の自由化が出てくるわけです。そういうことが全然心配要らぬということは断言できないと思うんです、私は。ですから、そういう歯どめもどっかで、きちっとしておく必要があるでしょうし、そのための定款なり設立の趣旨、目的、そういうものについては、ある程度これは郵政大臣が、たとえば認可をして公益法人として認めるというような、そういうものであれば私はある程度わかるんですよ。  ところが、聞いてみると、全く一般商法上の原理原則に基づいてやるというから、そうなると、将来非常に心配が出てくるのです。国際電電を大臣の監督下に置く、ある程度コントロール権を持っているということは、そういうところにあるんですよ、公共性の強い仕事ですから。それよりも、もっと情勢というものは転換してきまして、最近の国際的な経済の動きは、だから、それだけに、私たちは純粋な意味から言って心配しているわけですよ。そこへもってきて、さっき言うような、政治的な反映で、電波法の改正と、うらはらで来ているという、二つの問題が私にひっかかってくるんです。ですから、もう少し――社長のおっしゃった含蓄のあるいまの御発言はよくわかります。ですから、どうかそういうふうな、われわれが心配している点が、全くあれは、とんでもないことを言っているとお思いにはならないと思います、私は。  ですから、私も国際に十六年おりました。自分も経験しております。最近の国会におけるいろいろな勉強もした上で忠告をしているんです。私は、間違いしては困る、だから正しくいくならば、スタートしていただきたい、その内容についても、十分ひとつわれわれの意見を取り入れて検討していただきたい。こういうことを申し上げているわけですから、大臣もいま十分力を入れて、おそらく次の機会に私に説明していただけると思いますから、そういう意味でございますから、その点をひとつ大臣もよく御理解をいただくと同時に、菅野社長、遠藤営業局長も担当の局長ですから――ただ何か、えらい自信があるようでありますが、なかなかそう簡単には納得しない、これはそういうことを私は逆に申し上げておきます。ですから大臣、その点を含んでぜひ善処をしていただきたいと思います。
  169. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) いま鈴木委員がおっしゃったことも十分含みましてひとつ善処をいたしたいと思います。ただ、福田外務大臣のおことばのように、決して裏のやみ取引なんかはございませんわけでして、その辺は、誠実な柏木監理官の説明には何も裏側はございません。表裏はないわけでございまして、誠意を持ってやっておりますわけでありますけれども、まだ、残念にいたしまして、鈴木先生の御納得をいただいておりませんけれども、この次までには、十分ひとつ勉強いたしまして――御趣旨を体してひとつ勉強いたしたいと思っております。
  170. 鈴木強

    鈴木強君 それでは少し問題が大きいかもしれませんけれども、最初にやるべき問題でしたのを伺います。公社のほうはけっこうです。  きょう菅野社長さんの概要を聞きまして、私は、非常に感慨無量のものを胸に込めながら伺いました。思えば昭和二十八年四月一日、いろいろと紆余曲折がありましたが、会社設立がなりまして、二十年目を迎えたわけです。それでいまも多少やりとりの中で、会社設立の趣旨、その後の運営等についても触れましたけれども社長がおっしゃっているように、この二十年間に、歴代社長以下現社長を含めて国際電電の職員諸君が一致協力をして、その目的に向かって努力をされた、そうして高い水準のサービスを提供できるところまで、KDDが発展したことについて、われわれは心から感謝と敬意を表します。したがって、そういう立場に立って、今後よりよい国際電信電話サービスを提供するためには、どうすればいいか、こういう観点から私は意見を聞きたいんです。私も申し上げたい。  で、率直に言って、この会社法が国会に提案されたいきさつについては、私は、当時――いまの総理大臣の佐藤榮作さんは、電気通信大臣でありました。私は労働組合の中央の書記長をしておりましたけれども、ある日大臣に呼ばれまして、吉田総理から、いまの電気通信省を国内は公社、そうして国際は会社に移行すべきである、こういうツルの一声があって、墨痕あざやかに書いた総理の書簡を見ました。それで、大臣から、労働組合側の意見を問われたんです。私は即座に、反対だということを申し上げました。それは、国際、国内の電気通信事業というものは、一元的に運営されるベきであるということから、私は反対をいたしました。  しかし、この後いろいろ政府側としても、われわれの意見も十分くみ取りながら法案をつくりまして、国会に提案されました。で、きのうから私は、そのコピーをとりまして、昭和二十七年五月十三日の、当時の平井太郎、これは、大臣ですか、からの、国際電信電話株式会社法の提案説明の会議録を見ました。当時、私たちは、国会の中に入って、これが反対のために、日夜活動したものでございますから、いろいろと戦いの過程で、事由はありましても、法律が通り、スタートすることになれば、法治国家の国民として、それが生生発展のために努力することは当然でありますから、私たちは頭を切りかえて、国民の期待に沿えるような国内の公社形態における努力と、それから国際を分離するにつきましても、八月一日から翌年の三月三十一日までは、私たちはほんとうに真剣に、この分離については、諸般の作業を労使間で進めて、とにかく四月一日に皆さん方に会社に移行していただいたんです。そういうふうなことを思うにつきましても、非常に感慨無量のものを感ずるのであります。  そこで、この提案理由の政府の説明の中に、二つの理由があります。一つは、対外的な問題でありまして、平井大臣は「今日の国際情勢にかんがみますると、対外的には列国間の通信電波の獲得及び通信網の拡張の熾烈な競争に伍して、自由濶達なる活動を通じてわが国の対外通信の地位を大いに向上せしめねばならないことと、対内的には講和成立後のわが国自立経済確立のためには貿易並びに対外報道事業に対しまして、諸外国に劣らない通信サービスを提供する必要切なるものがあるのであります。これらの要請を満たすためには、国際間の情勢に鋭敏に反応し、経済事業の変動に強く反映される通信需要に即応し得る企業活動の自由なる機動性が強く要請されるのみならず、国際通信分野における競争相手の諸外国における通信担当者の多くが民営形態である事情にもかんがみまして、国際電信電話事業の運営を民営形態に移すとともに、その公益的特性を確保するに必要なる国の監督及び保護を与えるために、これを特殊会社とし、ここに国際電信電話株式会社法案を作成して、」、そしてこの会社法を提案した、こう書いてあります。  私どもは、この皆さん方のほうのPRの、事業概要の冊子を拝見しますと、その第一ページには、こういうふうに書いてあります。「昭和二十八年に特別法によって設立され、それまでは政府の仕事だった国際通信を扱うことになりました。民間会社にやらせることに決めた理由は、そのときの設立趣意書によると、国民の対外活動の基調となる国際通信を急速に欧米一流国の水準に引き上げることが必要で、そのためには国際通信事業を国内通信事業から切り離し、機動的、能率的な民営にするのが最も適当だとされたためです。」、こう書いてあります。で、公社法は条文が数カ条になっておるわけですけれども、内容を見ると、本来商法上あるいは民法上のいろんな制約と同時に、そういうものから見ますと、かなり大臣の監督権の面においてきまってきている。これはさっきから申し上げるように、公共性の強い仕事ですから、純然たる民間の商法だけを適用してやるというわけにいかないんでしょう。そういうことから権限を大臣が持っていると思うんですが、私は、その監督権というのはきわめて限られたものでなければいけないし、また、できるだけ少ないほうがよろしい、そしてむしろ会社の社長とか、会社側が、公共性である仕事に徹して、ただ採算性を追求するということでなくて、採算性と公共性というものを、どう調和して、国際事業というものを掌握するか、国民に提供できるかという、そこに経営の一つのポイントを置いておやりになることが必要だと思う。  それでつらつらと会社法を見てみましたけれども大臣の監督権限というのは、法第九条から十五条までにございます。その中には、社債の募集または弁済期間が一年をこえる資金については、借り入れについて大臣の認可を得ることが必要だとか、第十一条には、取締役及び監査役の選任解任等は大臣の承認を受けなければその効力を発しない、そういうふうに書いてあります。そういうふうに、また場合によったらば、事業に対していろいろな報告を求め大臣として監督に当たる、こういうふうになっておりますね。ですから、この大臣の監督権というものは、この十年間の間に、当初の設立の目的に沿ってうまくいっているのかどうなのか、会社側としたら、もう少しこの会社法を、こういうふうにしたほうが、なお法律の設定の目的に沿えるということがあるなら、これは私は社長から伺いたい。それから大臣からは二十年間会社を設立して以来監督を行使して、そしてもう少しこういう点はこうしてもらいたい、そのためには大臣の監督権がこうあってほしい、あるいは、いやもっと監督権限というものはダウンして、もう少し自主性というものを会社に持たしたほうがよろしい、そういうふうな具体的な二十年の経験に徴した御意見がありましたら、この際まず承りたいと思います。
  171. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 国際電電株式会社に対しましては、御承知のように、郵政省の設置法で法律の定めるところに基づいて監督するという文言がつけられておるのでありますが、したがって、法律に準拠してやっておりますわけでありますが、私どもの感じておりますところでは、別にこれ以上監督権を強化しなければならないとか、あるいはもう少し監督を制限すべきだというようなことは感じていないのでございまして、現在の法律のあり方で、国際電電会社が相当自主性を持って、国際電気通信の事業の充実に当たるということで、その使命を果たしている、こういうように考えておりますわけであります。
  172. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 先ほど来鈴木先生からいろいろお話がございまして、私どもは、全面的に先生の御意見のとおり、何がゆえに、この国際電信電話株式会社というものが創立されたかということにつきましては、常に会社創設の原点に戻るということをお互いに言い合わせて、その趣旨に沿うような経営なり、仕事をしていかなければならぬということを反省しております。先ほど来、お話がございましたように、何といいましても、民間の会社にいたしましたことは、弾力性のある、能率のいい、あるいは自主性のある経営をするということであろうと思いますが、そのことは言いかえれば、結局は、顧客本位、国民のための国際通信のサービスをやるのだ、そこに重点があるのではないかと思いまして、私ども会社の経営につきましては、常に顧客本位に考えなければいけないということを念頭に置いてやっておるような次第でございます。  しかしながら、仰せのごとく、何ぶんにも、公共的な、公共性の強い仕事をしておる会社でございますから、法に書いてあるような監督は十分に受けなければならないわけでございまして、私どもも、その法律に基づくことにつきましては、誠心誠意、報告あるいは認可を受けるというようなことにつきましては、その法律の施行について努力いたしておる次第でございますけれども、私の考えを申し上げますと、現在の会社法で書いてある監督の程度は、非常に妥当でございまして、しかもその法律に基づいた実際の郵政省の御監督は、私どもとしては、感謝にたえないくらい、かなり自由にしておるようでございまして、ことに、その監督の衝に当たっておられる郵政省の方々は、ことごとく電気通信の専門家でございまして、むしろ監督というよりか、私どもの会社のほうで御相談申し上げる、あるいは御指導をいただくというような点が非常に多いのでございます。そういう点から申しましても、私どもといたしましては、これ以上監督を厳重にしてくれとか、あるいはこの点を緩和してくれとかいうような希望は目下のところはございません。現在の法律のたてまえでまことに妥当でありますし、また、それを運用せられる郵政省の当局の方々の監督はまことに私ども、当を得ているものと存じておる次第でございます。
  173. 鈴木強

    鈴木強君 まあ問題は、二つに整理しておかないといけないと思いますが、私は二十年の経験に徴して、一つは、会社法の改正を含めて、改善意見はないかどうかということですね。もう一つは現行の会社法がまあよろしいということであるならば、その中において実際に運営をする、運用の面において、さらにこういう点をこうしたらよろしいというような、そういう改善意見があるかないか、こういう点の二つになると思う。  私は、必ずしも社長がおっしゃるように、すべてがうまくいっているとも思いません。いろいろと問題点もあるように思います。それはもちろん、時の郵政大臣なり、監督の立場にある郵政省の人にもあると思うのですね。社長のおっしゃるように、監督ということは昔のように、何も目を光らして、どこか悪いことはないかと、あげ足をとるようなことは、監督ではないと思うのですよ。社長のおっしゃるように、やはり、よき指導者として、行政指導の面で、会社の運営がうまくいくように、会社法の精神を体しながら、アドバイスをしていくということが大臣の監督です。そういうものでないことは――私は、社長のおっしゃることに同感です。  ですから、そういうふうに、ときによって、たとえば、これは大臣によって違いますけれども、いまの大臣は非常に信頼されている。特に、部内の出身の大臣ですから、いろいろな面において、理解していると思いますから尊敬しております。しかし、われわれ、歴代の動きをみていますと必ずしもそうでない。これは、たとえばの話ですよ、たとえば、労働組合の賃上げなんかの問題にしましても、これは労使間で団体交渉をしてきめなければならぬのは常道ですね。ところが、その過程において、政府側から高いとか、安いとか、そういうようなことが、言われたとかいうようなことも、私たちは聞いています。そういうのは行き過ぎであって、労使間にまかすべきですよ。そういうことをやる人もいる。これは、監督権の、いうなれば行使が間違っているのですね。どうだろうと、とにかく労使間にまかせなければならぬ。あるいは社長の任命とか――これはまあ会社法の第十一条によって、大臣の認可を受けなければ効力を発生しないわけです。社長の任命については、これは株主総会できめて、大臣の認可を得て初めて効力を発生するわけだが、その社長なら社長の任命について、とかくの批判も聞いておりますよ。ですから、そういうようなことをみると、必ずしも百点満点だとはいえない。そういう点は、行き過ぎのところは直していかなければなりませんしね。それは法律的に直さなければならぬならば、直してもいいですし、そうじゃなくて、運用の中で――りっぱな大臣がいらっしゃるわけですから、そういう大臣が、良識を持ってやってもらえば、そういうことがないはずですね。  ところが、往々にして、権力を持つ者と、そうでない者と、中における力関係といいますか、そういうところからして、ひんしゅくを買うようなことが、なきにしもあらず。ですから、公正な人事を確保するには、現行でいいのかどうかということも、一つの課題としては出てくると思います。そういう意味で、私は、社長の意見を拝聴したわけですけれども、われわれがはたからみておって、思い過ごしの点もあるかもしれません。しかし、私は、国際電電に職を奉じ、禄をはんだ者の一人として、絶えず国際電電の生々発展を祈願するがゆえに、いろいろなアドバイスも私は歴代大臣にやりました。多少行き過ぎがあったかもしれませんが、間違ったことをやったときに、私は、談判しに行ったこともあります。そして、願わくは、会社法に示された精神が、運営の中に生かされるようなことを願っているわけです。そういう意味で、私は、社長が、この場所ですから、一般通念としておっしゃったと思いますけれども、そういうふうな問題もなきにしもあらずですから、この辺はひとつ運用上の面で十分に考え直していただかなければならぬ。これは特に政府側に私は強く期待しておきたいのですが。  それじゃ具体的に若干伺いますが、二十年の間に定款は何回か変更になりましたと思いますが、どのくらいどこがどういうふうに改善されたか。それとも変わっていませんか。
  174. 板野學

    参考人板野學君) お答えいたします。ここに、何回かというような詳しい資料を持っておりませんので、後ほど提出さしていただきたいと思いまするが、たしか二、三回の定款改正がありました。その内容につきましても、まあ役員の増員とかあるいは出資、増資とか、あるいは出資金というよりも、会社の社債発行の限度とか、こういう点につきまして二、三回あったように記憶しておりますが、後ほど資料として提出させていただきます。
  175. 鈴木強

    鈴木強君 副社長、いまの文言と、あと、社債の増資が何回やられましたか。それから弁済期間一年をこえる資金の借り入れが何回、どの程度やられましたか。それから利益金の処分について会社側のやろうとするところに対して、これは大臣の認可を得なければならぬですね、利益の処分は。そうした場合に、会社側でこうしたいと思ったときに、郵政省側のほうで、いやそれはこうしたほうがいいというような、そういう意見が出され、修正されたようなことがあるかどうか。もう一つは、法第十五条の二項によって大臣が「会社からその業務に関する報告を徴することができる。」という一項ですがね、その報告を出したことが何回あったかどうか。これは一括してひとつ資料としてあとで出していただきたいと思います。その点いかがですか。
  176. 板野學

    参考人板野學君) 先生が御要求になりました資料につきましては、後ほど提出いたしたいと思います。
  177. 鈴木強

    鈴木強君 社長、たとえば短期の借り入れですね。それから株の増資ですね、こういうふうな問題、まあ株の増資の場合は、ある程度大臣の認可というのもわかるのですけれども、弁済期間一年をこえる、まあこれは長期というのですかね、短期というのですかわかりませんけれども、そういう資金の借り入れも大臣の承認を得なければならぬということについては、事務運営上の繁雑さというのはないでしょうか。その程度のものは、たとえば株のように、資産の何%まではいいという、それは必要でしょう。無制限に借り入れられたのでは、これはたいへんなことになりますから。ですから、借り入れ限度はある程度限定しても、やはりある程度の自由裁量で、会社が借り入れできるというような方法のほうが、私は適切なやり方ではないかと思うのですがね。これは、一つの法律改正の問題までからむのですが、こういった問題も実は実際には出てくると思うのですよ、運用上。実際、一々大臣の承認を得なければ一年以上の、短期か長期かわかりませんけれども、短期――一年半くらいのものは、そう長期ともいえませんから、それくらいのものはいいのじゃないかと思うのですがね。その点どうですかね。
  178. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 一年以上の長期といいますか、借り入れにつきましては、認可を受けることになっていますけれども、創立以来おかげさまで、そういう程度のものを借りたことは、外資以外はないのでございまして、普通はいままでは、ほとんど自己資金でもって、まかなっておったのでございます。したがいまして、借り入れということはほとんど現在ではやっておりません。自己資金が足りなくなりますと、増資をしておるというような関係でございまして、配当も公益事業でありますから、一割しかやっておりませんし、相当の積み立てをやっておりますので、いままでの設備投資に当たりましては、全部自己資金でやっておるような次第でございます。したがいまして、今後どうなりますかわかりませんが、目下のところではそういう点についてわずらわしいとかいうことを感じたことはございません。
  179. 鈴木強

    鈴木強君 まあ借りなかったのですから、わずらわしさも何も無関係なんです。だから、要するに、こんなものはなくてもよかったわけです、いままでは。無用の長物というのですね。しかし、これは将来にわたって残しておくべきだと思うのです、借り入れについてはどういう事態発生するかこれはわかりませんから。まあ短期というか長期というか、中期というか、まあ一年以上ですから、たいして長期でもないと思いますけれども。ですから、ある程度の額を限定しても、その権限は社長ができると。社長ができるといっても、これはおそらく会社の重役会を開くか、株主総会にはかってやるか、いずれにしても、事業計画そのものは大臣の承認を得るわけですけれども、そういう借り入れについて、二重の大臣承認を受けるということは、これはやはり大臣は窮屈だと思うのです。もう少し機動的にその程度のことは会社にまかしたらどうですか。だからと言って、ノーズロースじゃなくて――ことばの表現はまずいのですけれども、限度は示して、たとえば、これだけのものは、大臣の承認の必要なものは必要と、そのほかのものは、この程度のものは自由にして、会社でやれるようにしてやると、こういう点大臣どうでしょう。私は問題になるところだと思うのです。幸いにして、一回もやらないわけですから、これはなくてもよかったわけですが、将来に向かっては、そういう点もありますので、こういう点は一つの研究課題だと私は思うのですが、そう思いませんか。
  180. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 事業計画につきましては、認可というか、監督をすることになっておるわけでございますけれども、これは実情に応じて、内容も十分説明しまして、何も監督といっても、強権をふるってするわけじゃございませんので、いろいろ意見の交換をいたすことがございますけれども、そのような認可でございますから、そう窮屈にお考えにならなくてもいいんじゃないかと、このように考えております。
  181. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、それは会社法の制定の際の一つの問題になると思うのです。ですから、会社にする場合には、あまり中途はんぱにしないで、まかすところはまかすと。それでかりに――いまの社長じゃないですよ。かりに社長が全体の経営者として能力がないという場合には、かえなければならないでしょうね。そういう責任体制をとらすことによって、男一匹よしやってみろと。やってみろと言ったって、全責任をもってやる場合と、やろうとすればどっちも、こっちも、足を引っぱり、手を引っぱるとことでは、これはやれないでしょう。だから、経営の面で、どうでもいいようなことは、もうまかして、責任をもってやってもらう。これは、そのほうが経営陣としても張り合いがあるのですよ。こういう考え方があるものですから、申し上げておるわけでして、多少大臣、私の質問を正確につかまえてくれていないのですよ、いまの御回答は。  だから、そういう意味において、弁済期間が一年をこえる資金の借り入れについて、こういうものぐらいは、なくしたっていいじゃないですか。こういう制度はなければなりませんか。かりに置くとすれば、相当高額になれば大臣の認可が必要かもしれませんが、ある限度まで、何億まではいいとか、何十億まではいい、そういうことにしたほうが、むしろ公社法の精神にいう、機能的、能率的な運営ということになればいいので、官庁方式のように、ああでもない、こうでもないと、小田原評定で、判コばっかり押してもしようがない。会社方式である以上は、会社方式に徹したほうがいい。そういうことであれば、私はむしろ会社をよくするために、建設的に出しておるわけですから、これは一つの研究課題ではないのですかと、こう私は大臣に伺ったんですよ。ですからこれは私も前からそういうような問題があるのですから、二十年を顧みて、もう一回ここで、論議を巻き起こしておいて、今後、法律改正なり、あるいは運用面において、是正すべきは大いに是正していただきたいということを、心からの願いをもって言っておるわけですから、大臣、そう私の言うことが筋違いではないでしょう。その点どうですか。
  182. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいまの御趣旨は、よく御了解申し上げることができる問題でございます。運用によって御心配のないようなことは十分できると思いますが、今後、会社法の改正というような問題がありましたときには、これも一つの検討に値する問題ではないかというふうに考えるわけでございます。
  183. 鈴木強

    鈴木強君 私はアメリカの電信電話会社をいつか見学をしてまいりましたが、やはり公共性の点から、ITTのある程度のコントロールを受ける場合があります。ですから、そういう問題も先進諸国を大いに参考にして、ひとつ柏木さん、ここで私少し問題点としてITTのことを伺いたいのですが――時間がだいぶおくれておりますから、議事に協力する意味において、次回にまたいたしますけれども、そういう点もひとつ十分参考にして、いまの私が申し上げた基本的な、いろいろな具体的な意見もありますけれども、そういうものも含めて、今後国際電電会社がほんとうに二十八年四月一日に発足した、その趣旨に沿えるような、よりベターな組織運営形態にいくように努力いただきたい、これはお願いしておきます。  それから大臣、さっき役員人事のことで申し上げましたが、毎年五月になると、総会が開かれて、役員改選もあるようですね。社長は二年間ですか、その他の役員は一年、監査役は一年、取締役は二年ですか、これはいろいろと逓信関係の連帯感というか、一体感というか、そういう意味で人事管理というのは、大臣大臣なりに考えておられると思います。しかしまた、一面、会社の中で、長い間、苦労して努力して来た方もおるわけです。ですから、そういう方々にも、将来に向かって事業に対する熱情をそこなわないように、それからまた、どうかすると、官僚的な色彩の中で育ってきた方たちは、一般的な企業知識については、民間人に比べて、遜色のあるところもあると思いますので、大いに民間で腕をみがかれ、経営の手腕を持っておられるような方に来ていただくということも、大事なことだと思います。ですから、両々相調和して、ほんとうに皆が、こういう人事ならやろうじゃないか。おれも一生懸命努力すれば、将来は重役になれる、そういうふうな期待感を皆が持っていけるような、そういう人事管理をやる必要があると私は思うのです。これは大臣は、社長を認可され、あとは、社長さんが、それぞれ任命するわけですから――まあ菅野社長、りっぱな尊敬すべき方だと思っておりますから、過去の名社長のあとを受けられて、たいへん苦労されていることもわかります。ですから、新社長の御方針というものが、逐次、全体の運営の中にあらわれてくると思います。まあ私は期待して、そういうようなことを信じます。したがって、釈迦に説法ということで、たいへん失礼ですけれども、われわれが部外者として、いま申し上げましたような基本的な人事構想をお持ちになって、どうかひとつ円満にKDDが今後とも伸びていくように心からお願いするわけです。  大臣としても、どうか、私は、さっき失礼なことを申し上げましたけれどもほんとうに私は経験したものですから、もっと具体的に言ってもいいですけれども、これはわかります。わかりますけれど、ある郵政大臣のときに、私は直談判をしに行ったこともありますけれども、まあそれは過去のことですけれども、こういうわけで、ひとつ、そういうことのないように、会社の自主性というものを尊重しながら、人事管理というものをしていただく、時節柄も来ていますから。そういう意味で、なるほどよくやったと、われわれが見て、いい人事をしていただきたい、こう思います。ちょっと、御見解があったら……。
  184. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 人事についての御意見、まことに傾聴に値すると存じております。十分それを含んで、大臣といたしましての職責を全ういたしたい、こういうように考えております。
  185. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 御意見の点は十分虚心たんかいに承りまして、御趣旨に沿って、役員人事の案をきめたいと思います。  なお、取締役は全部二年でございますけれども、私自身も前社長のあとを引き受けておりますので、今度、改選になるわけでございます。
  186. 鈴木強

    鈴木強君 質問を若干はしょって、森委員に譲って、やってもらうことにしますが、二、三聞かしてください。  これは、国際通信政策の中では非常に大事な問題で、私たちが、いままで何回か取り上げてまいりました。いわゆる関門局を東西に置いてほしいということです。これに対しては、昨年の委員会で、かなり、板野社長から、前進的な、われわれの国会の意思に沿うような御発言がございまして、たいへん感謝をしておりました。  そこで、当時、お述べになりました東京、大阪に設置することについては、そういう方針でいきたいということと、その際に、大阪にどのような規模で、いつごろ建設するのが妥当であるのかということを検討中ということもおっしゃっておるんです。その後、この問題については、具体的に社内で方針が御確定になりましたでしょうか、どうでしょうか。検討されました結果を発表してもらいたい。
  187. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 大阪の関門局の問題につきましては、私も就任以来聞いております。それでいろいろ検討いたしまして、四十七年度の事業計画には、とりあえず、その必要な土地の手当てをするということをきめました。その上に、どういうような規模の、また、どういうふうな仕事のやり方をするような局にするかということにつきましては、これからまだ検討するのでございますけれども、ここ二、三年の間につくりましても、一番、何といっても、必要なのは土地でございますので、土地の手当てをしたいと考えております。  なお、大阪の関門局の点は、むしろ災害対策の点が非常に多いんでございまして、もし、東京に災害が起こった場合に、そのある程度のものを救わなければならぬという災害対策の電話局というふうに考えておりますが、同時に、また、平時もできるだけ活用するというふうに考えております。いずれにいたしましても、ここ二、三年の間には、一つの関門局を関西のほうにつくりたい、かように考えておる次第でございます。
  188. 鈴木強

    鈴木強君 四十七年度計画で土地の手当てをなさるというところまで、御検討の結果、おきめになったことは感謝しますが、その土地の手当てというのは、大体、何万ヘクタールか、何千ヘクタールか知りませんが、どの程度の土地を買収しようとしているのでございますか。
  189. 板野學

    参考人板野學君) お答え申し上げます。  国際通信につきましては、国内通信との接続関係ということがたいへん大切でございますので、なるべく電電公社の中央局あるいはその主要な局との連絡ということを十分に考えまして、また、お客の利用というような点からもいろいろ考えまして、土地の位置をきめたいというように考えておりますが、何ぶんにも、都心に近いところと郊外にあるような敷地というようなことにつきましても、非常に価額の差が相当ございますので、これは早急に私ども各種の条件を考えまして目下、十分電電公社との相談、それから土地の選択ということに向かって目下早速始めておる次第でございます。
  190. 鈴木強

    鈴木強君 早速始めておられるのですから、どの程度の土地を必要とし、大体予算総額として土地買収費としては、どれくらいのものを想定しておるのか、それがきまっておるのか、それがきまっておらなければ、どこかに土地がないかということを、さがすだけが、四十七年度の計画ということですか。それじゃちょっと感謝できないですね。
  191. 板野學

    参考人板野學君) 大体広さといたしましては、約三千平方メートルというようなことを考えておりますし、また、地価といたしましては、中心地になりますと百万以上あるいは郊外になりますと五、六十万円というような、その辺に格差がございますので、そういう点につきましては、私どもまあ見当といたしましては、建物も含め大体三十億くらいの見当ではないかというようなことでございますけれども、この点は、実際に具体的に条件等に合った土地に当たってみないと、確実なところは申し上げられない。こういうことでございますので、もう早急にこの点はいま取りかかっておるというような次第でございます。
  192. 鈴木強

    鈴木強君 おぼろげながらですがわかりましたが、三千平米というと一千坪になりませんね、これは少し小さくないですかね。今後ひとつその点も含めて御検討してくださいませんか。それから、社長のおっしゃったように、災害対策に重点を置いた電話局だと、こうおっしゃるのですね。それは、なるほど、そういう趣旨もよくわかります。しかし関門局として設置するとすれば、社長も触れておられましたように、ただ、それだけではなく、平常も分かれて運営できるというのも一つの合理的なやり方ですから、その辺も十分お考えの上で、今後土地をお買い上げになることが先決ですから、お買い上げになった上で、建物の構築その他、仕事のことも含めてやっていただきたいということを強くお願いしておきます。  それに対してお答えをいただき、それから同時に、郵政大臣にちょっとお願いしておきますけれども、去年この委員会で、郵政省側も国際電電を東西につくるという方針を、そのとおりであると認めているのです。今後努力してやる、そういうことになっておりましたわけです。ただ、限度とか、回線収容等の問題について、多少検討しなければならぬということを言っておりましたけれども、基本的には、会社側の計画を是認してやるというのが筋だと思いますから、そういう意味において、大いにひとつアドバイスをし、資金計画その他についても御配慮をいただきたいと思いますので、その点だけ大臣からお答えいただきたいと思います。
  193. 板野學

    参考人板野學君) まことに申しわけありませんが、ちょっと土地の広さにつきまして、三千平米と申し上げましたけれども、これは五千平米の間違いでございますので訂正さしていただきます。
  194. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 御趣旨のように、十分郵政省といたしましても御協力をいたしたい、こういう気持ちでおります。
  195. 鈴木強

    鈴木強君 それはひとつよろしくお願いいたします。  それから新宿の総合局舎と俗に言うんですけれども、これは先ほど社長からもお話がありましたが、建設の進捗状況というのはどういう程度までいっておりましょうか。  それからこれがいよいよでき上がった場合に、使用する計画ですね。いま、霞が関ビルを高い金を出して借りているわけですけれども、あれは社長、空気が汚染しているそうですよ。社長さんあたりがいるところまで。公害に悩まされながら……。だから、これはできるだけ早くあそこは退散したほうがいいですよ。それと、こっちのほうへ行きましても、電話局のほうは分散しておったり、非常にいま複雑ですね。ですから、社長もたいへんだと思うんですよ。これはあっちへ行ったり、こっちへ行ったりいろいろ苦労があると思うんですが、できるだけ早く新しい局舎を建てることと、それから建ったときに現在の東京局舎、これをどういうふうにしていくのか、そういった使用計画等について、いま何か会社で持っておりますか。まだそれはこれからきめるということですか。そうならば私は早くこれは、労働組合もあるし、そういうところとも相談して、できるだけ円満にうまく運営ができるように使用計画を早く立ててもらいたい。――あれば承りたいし、なかったらひとつ早急に労組のほうとも相談をしてやってほしいと、こう思うんです。
  196. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 新宿の新国際通信センターにつきましては、昨年十一月に起工式をやりまして、さっそく工事に着手したのでございますが、きめられましたスケジュールをほとんど、少し早目ぐらいに進捗しておりまして、ただいまもう地下の構造といいますか、土を取り除くこと等につきましては、相当進んでおります。この分でまいりますと、四十九年には十分に間に合うというふうに考えております。  それができ上がった暁におきましては、もちろんいま高い金を出して借りておる霞が関は全部引き払います。その他大手町が狭いものですから、二、三カ所ビルを借りておりますが、そういうものも全部解消して、結局、新宿と大手町ということになるわけでございます。大手町局舎は非常にいい場所にございますから、あそこは営業関係あるいは電報関係というようなものは最近設備したばかりでございます。なるべくあのビルは有効に利用したいと考えておりまして、しかし具体的にまだどの階をどういうふうに使うかというような、具体的に方針がきまっておりませんので、きまり次第組合のほうとも十分打ち合わせをしたいと考えております。いずれにいたしましても、御心配いただいております新国際通信センターの工事の進捗はむしろ早目ぐらいに進んでおります。
  197. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。  いまの問題はひとつ基本構想をお立てになる段階から職員側、要するに、組合側ともよく話し合いをしてやっていただきたいと思います。そのことがむしろお互いに将来に向かって気持ちよく使用できるわけですから、そういう点、特に社長、理解あると思いますけれども、お願いしておきます。  私は東南アジアケーブルの建設計画とか、特に日中間の通信問題について、ITUの関係で先般も郵政大臣には、交易会との通信が非常にふくそうするので、上海の地上局をアメリカがそのまま中国に譲渡したようですから、日本の地上局と連絡をして、いまの短波でやっておる条件の悪い通信から、そちらに切りかえてほしいということをお願いしておきました。ちょっと新聞を見ましたら、中国側も大体日本側の趣旨を了承してこられたという記事を見ました。ですから、これは事実かどうか、確認をしたいと思ったのです。ですから、その点はちょっとあとから答えてもらう。  そのほか沖繩の復帰の問題についても、われわれも、ずいぶんわれわれなりに心配をしてきました。幸い円満に受け入れができたようでございますから、搬送施設部門の受け入れを含めて休職といいますか、嘱託といいますか、そういうかっこうで、とりあえず公社のほうに派遣するようなこともやっていただいたそうで、それは労使間の意見が合致してやられたことですから、非常にけっこうです。しかし将来の沖繩における国際通信の展望とか、それから新局舎の建設とか、その際に新展望の中で、国際通信というものが極端に減少したときには、一体どういう措置をとるのか心配が残りますけれども、そういう問題もございますし、要員訓練計画等も非常に従来われわれが見ると、やはり人が足らないような気がする面もありますから、そういう点もお聞きしたかったのですけれども、時間がたいへん制限されておりますから、また次回にお尋ねをすることにしたいと思います。たいへん失礼なことを申し上げたりいたしましたけれども、ただ願うのは、私は、事業の生々発展をこいねがうという立場に立っておりますので、この無礼な点は御了承をいただいて、どうぞ今後も社長以下一体になって、がんばっていただくようにお願いいたします。特に竣工も目の前でありますし、さっき言ったように、いろいろな政治的な動きがありましても、断固として社長が労使間の自主的な交渉によって、結論を打ち出すように、心からお願いをして、私はこれで終わります。次回にまた持ち越しておきたいと思います。  日中のやつはちょっと答えてもらいたい。
  198. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) ただいまいろいろの諸般の点について、鈴木先生から非常に有益な御忠告をいただきまして、身にしみてありがたく感銘する次第でございまして、御趣旨に沿うように、これから会社の仕事をしていきたいと思います。  お尋ねになりました中華人民共和国との間の通信でございますが、先般、四月十五日から開かれます広州の交易会のことにつきまして、通信の増強をこちらから申し出まして、同時に、できるならば、現在、上海にあります地球局を使って、衛星通信に移ろうではないかということを、こちらから申し出たのでございますが、この通信の増強といいますか、いまの短波の増強につきましては、早速賛成で、この十四日から、電話回線二回線、電信回線一回線を増加することに相なりました。最近、非常に中華人民共和国の私どもに対する態度と申しますか、非常に丁重になりまして、お互いに協力を感謝し合うような電文も取りかわしておるような次第でありまして、その返事の中に、衛星通信については、後日検討しますということばがございます。これが、ですから、私は、全然見込みのないものではなく、目下、中華人民共和国のほうでも、相当検討しておると私は信じます。聞くところによりますと、いまの臨時地球局におきまして、相当多数の技術者が、技術の修練にいそしんでいるように聞いておりますので、将来日中間の衛星通信ということにつきましては、私は非常に明るい希望を持っております。私どものほうとしましては、あらゆることでもって、もしわれわれのほうの協力が必要ならば、何でもひとつ言ってきていただきたいというように申し出ておりますので、これが向こうのほうで必要を感ずるまで、あせらずに待ちたいと、こういう態度でいま待っているような次第でございます。
  199. 森勝治

    森勝治君 いま鈴木委員が最後に質問をされ、いま社長からお答えがありました日中の通信関係について、私は鈴木さんのあとを受けて質問をしたいと思うのです。  御承知のように、昨年中国が国連加盟ということになりましてから、国連の専門機関でも、次から次へと中国政府を招聘する、つまり正式にメンバーに入れるということは、これはもう皆さん御承知のとおりであります。郵政省は、ITUやUPUの代表権については一体どう対処されておられるのか。どうも佐藤総理の、中国の国連加盟の当時は、国連で加盟を決定したあとの発言から見ると、いま私が申し上げた二つの問題につきましても、もう当然わが政府は、積極的な態度をとって、これの実現化をはかるだろうと、こう考えておったんでありますが、一向にどういうかげんか知りませんけれども、はかばかしき進行状況ではなさそうでありますので、その点まずもってお伺いをしておきたい。
  200. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 中国のITU並びにUPUに対する問題についてのお尋ねでございますけれども、まずITUでございますが、現在までのところ、ITU内部におきましては、中華人民共和国の参加問題につきましては、具体的な措置はとられておりません。来たる五月二十七日から開催が予定されております管理理事会の会合におきましては、この問題が取り上げられることになると思われますが、日本といたしましては、外務省とも十分協議いたしまして対処してまいりたいと、こういうふうに考えておるのでございます。  なお次に、UPUの加盟の問題でございますけれども、わが国はUPU執行理事会の議長国になっておりますので、郵政省では、UPUにおける中国代表権問題をどのような手続によって解決するかにつきまして、昨年、十二月二十九日、執行理事会メンバーの三十一カ国に郵便により諮問いたしました。その結果、理事国の過半数が、全加盟国に郵便投票を求めるべきであるというような意見でありましたので、去る二月二十一日に、UPU事務局長に対しまして、直ちに全加盟国に諮問を行なうように指示をいたしまして、UPU事務局は、二月二十八日に全加盟国に諮問状を発送しておるのでございます。  以上でございます。
  201. 森勝治

    森勝治君 諮問状を発したまでは、すでに、大臣の御説明を聞かぬでも、昨今の新聞でもう承知いたしております。ただ、いま私が申し上げたITUとUPUの二つの専門機関に対しての、わが国の態度について私はただしたつもりでおるのですから、経過ももちろんそうでありますが、一体これにどう対処しようとされておるかというのが、私がお伺いしたい最も中心的な質問の内容です。
  202. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ITUにつきまして  は、まだ日本といたしましては態度を決定いたし  ておりませんが、UPUにつきましては、外務省と交渉いたしまして、棄権という態度を決定いたしておるのでございます。
  203. 森勝治

    森勝治君 先ほどもちょっと触れましたが、佐藤内閣といえども、この世界の大勢に抗することはできないでしょう、中国の国連加盟につきましては。したがって、大勢がすでに決定的であるならば、わが国も世界の中に伍して、さらに世界の各国とも仲よくしようとするならば、協調的な立場をとっていかなければならぬでしょう。しかもそのUPUというわが国が議長国でありながら、棄権などという、こそくな手段、ITUもちろんでありますけれども、これでは、口先ばかりが、あたかも世界の大勢のそれに和するがごとく言辞を弄しておりながら、足のほうでは、うしろ向きに歩いている、こういう指弾を免れないと思う。これでわが国が、近代的な、この世界の流れというものに、堂々と胸を張り、肩を張って歩いていけることができるかどうか。まさにこれは、わが国のこの問題についての政府並びに郵政省の態度というものは、全くこれはあなた方が従来われわれに当委員会で説明したそれと違って、どうもうしろ向きばかりで、これは、もうお話にならない。したがって、大臣、その点についてもう少し解明をしていただきたい。
  204. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 中国問題に対しまして、日本の態度はきわめてデリケートでありますことは、国会の問答におきましてよく御承知のとおりでございます。そこでこの問題につきましても、外務省と十分相談しなければならないということになっておりますわけでございまして、いままで日本の態度を表明いたしました専門機関が七つばかりありましたわけでございますが、これがいずれも軌を一にいたしまして、棄権という態度をとっておりますわけでございます。そういう方針に従って棄権というようなことにいたしております。
  205. 森勝治

    森勝治君 どうも大臣、一生懸命やります、がんばりますという、従来のあなたの御発言とは思えないように、まことに私どもは残念な、このことについては、非常に消極的な御発言と承っているのです。  それで、御承知のように、ITUやUPUのような純技術的、または文化的なこういう分野について棄権などということは、まさに愚の骨頂だと私は思うのです。もう先ほど申し上げましたように、世界の大勢がそれに向かって動いておるならば、あとで気まずい思いなどするよりも、特にお話のありましたUPU等の議長国としての日本のあり方というものは、この世界の潮流にやはりさおさす、その潮流の方向に向かって歩んでいくのがこれは正しいものだろうと思うのです。ところがそれができないという、この外務省とお話し合いだといいますが、この世界の大勢についていけない隘路というものは一体那辺にあるのか。この点についてのお答えがないものですから、私はこの関係でまた再びこういう御質問をするわけですが、いま申し上げたように、この世界の大勢に伍すことができない隘路とはそもいかなるものか、この点についてひとつお聞かせ願いたい。
  206. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 日本の政府といたしましては、なるべくすみやかに、国連に参加いたしました中国、しかも中華人民共和国の政府その中華人民共和国と正常な国交を開きたいという熱意を持っておりますことは、御承知のとおりでございますけれども、一方、申すまでもなく、まあ台湾と日華平和条約結んでいるという複雑な関係がありますので、この台湾問題につきましては、中華人民共和国との国交正常化に対する折衝のうちにおいて、おのずから解決していきたいというような政府の考え方でございまして、そういうようなきわめて複雑な事情がありますわけでございますから、イエスとか、ノーとか、はっきりした態度は、おのずからとりにくいということになりますわけでございまして、議長国でありますだけに、その辺は慎重な態度をとって棄権だということにいたさざるを得なかったわけでございまして、これが日本の現在置かれた外交関係の非常に複雑な状態でありますことによる所産である、こういうように考えざるを得ないと思っておりましたわけでございます。
  207. 森勝治

    森勝治君 そういたしますと、先ほどもちょっと触れましたが、ことばは前向きである、足は後向き、言行不一致、これが佐藤内閣の姿だ。したがって、そういう批判を受けてもやむを得ない、こういう態度でいまのお答えになったと考えてよろしいですか。
  208. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 私も佐藤内閣の一員でございまして、国の外交の方針には従わなきゃならないわけでございますから、いかように御解釈賜りましても、現在のところやむを得なかった態度であったと、かように考えております。
  209. 森勝治

    森勝治君 ですから、私は聞いているんですが、そういう一つ一つ事件を、事象をとらまえますと、佐藤内閣には、日中国交を回復する積極的な意思なし、そういう批判を受けてもよいというのがいまの発言ですね、くどいようですけれども
  210. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 日中の国交打開につきましては当局者も申しておりますように、十分熱意を持って当たりたいという、その熱意は、私ども認めなくちゃならないと思うのでございます。ただ、台湾というものが存在するために、きわめて複雑な状態に置かれておるというその態度、これはやむを得ない。しかし中華人民共和国に対しましては、国連に加盟したことでもございますから、前進を続けなければならない、国交の正常化に当たらなければならないという熱意は、十分持っておるものだと考えておりますものでございます。
  211. 森勝治

    森勝治君 それでは大臣、そのことばは、かつて佐藤総理がよく国民のためにやります、物価は上げませんと言っておって、その舌のかわかぬ間に上げておったと同じように、ことばでは何とでもおっしゃることができるでしょう。しかしUPUのように、日本が議長国でありながら、棄権などということを先立ってやるということであるなたって、やむを得ないじゃないですか、あなたの人柄とも思えないような、従来と全然違った、まるで人が変わったような御答弁なんですよ。私はその点が非常に残念なんです。あなたはよく従来そういう御答弁ではなかったはずだ。非常に真摯で、いつも積極的で、郵政事業の問題について全面的に取り組んでおられる、悪いところは直し、よいところは伸ばそうという、あなたのこの郵政事業に取り組んでおられるあなたの熱意からするならば一政府並びに郵政省が解決しなければならぬ。私が申し上げた二つの専門機構の問題についても、郵政省が外務省のうしろにくっついて、のこのこ、よたよた歩くような、そういう立場でなくて、もっと本件についての打開策を積極的に打ち出してしかるべきものだ。また、そうあるべきが、従来の郵政大臣としての、あなたの発言の内容も、私の正当な評価になり、かつまた、これを裏づけるものだと、大いに今日まで理解をしてきておったわけですが、この点は非常に私は残念ながら、その期待が裏切られたような気がしてならぬのです。  あながち、これは、私の杞憂ばかりじゃなくて、ほかの人も皆さん聞いておるのです。しかしこれは私はここで私の杞憂、思い過ごし、こういうふうに理解したいのでありますが、そこでもう一度本件について、今後の取り組み方についての御意見をもう一度ひとつお伺いをしたいと思うのです。
  212. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) UPUの問題につきましては、日本国の置かれております中国に対する外交の事情から申しまして、こういう態度をとらざるを得なかったわけでございますけれども、ただ中国でありますとか、あるいは北鮮でありますとかいうような、いまだ国交の開かれない共産国に対しましても、郵便あるいは電信電話というようなことにつきましては、実務者の段階でできるだけ最大限度の通信の道を開くベきだという方針はいささかも変わっていないのでございます。  ただいま国際電電が、先刻来社長から御説明がありましたように、国交は正常化していないけれども、実務者の段階で、短波の通信回線の問題にいたしましても、あるいは宇宙通信の問題にいたしましても非常に努力をされておりますことは私どもも心から喜んでおりますことでございますし、また郵便につきましては、ただいまわずかに香港を経由いたしまして航空郵便あるいは船便、しかも通常も小包も交換をいたしておるというような状況でございますが、これもできますことならば、一日もすみやかに何とかいたしまして、航空便でも開いていただくか、あるいは船便でもふやしてもらって、郵便の道も大いに拡大してまいりたいというような熱意を、郵政省といたしましては持っておりますわけでございまして、現在置かれております国交状態におきましても、通信の問題にいたしましては、ただいま申しますように、郵便にいたしましても電信にしましても電話にいたしましても、最大限の実務者の努力によってその道を開拓し、また、拡大していきたいという熱意は十分持っておりますつもりでございます。
  213. 森勝治

    森勝治君 もう六時過ぎまして参考人の方々に非常に申しわけないと思うのでありますが、まあしばらくお許しをいただいて質問を続けさしていただきたいと思うのであります。時間がございませんから、いまの政府や大臣のうしろ向きの答弁、私はどうしても合点がいきません。これをもっともっと私は煮詰め、かつ政府のなまぬるい態度を追及したいと思うのでありますが、参考人の方々にはお気の毒でありますから、私、心ならずもその問題については、後日に譲ることにして、次の問題に移りたいと思うのでありますが、先ほどの鈴木委員とKDD社長との質疑応答の中にもありましたように、中国とKDDの中では、友好裏に両国の国際通信の問題について話し合いが進められているという話であります。したがいまして、そういう点を一つとらまえましても、これから世界の大勢の中で呼吸しようとする中国の置かれた国際的な地位からいたしましても、わが国と中国との通信需要というものも急増するものと私は思うのでありますが、そうなりますと、現在の通信回線ではもうまかないきれない、こう思うのです。  すなわち疎通能力がもう限度にきて、これ以上はもう無理ではないか、こう思うのでありますが、それならば一体これを打開するためにはどういう措置を政府はとられるのか。いまの話だと、もうKDDにまかせきりというお話でありますが、これらの問題、郵政省はどう考えておられるのか、あわせて、いま鈴木さんの質問は、非常にはしょっておられましたから、KDDの社長もごく簡単にお答えになったようでありますが、このKDDと中国側との話し合い――友好裏に進んでおるこの話し合いの問題について、詳しく日中国交の、この通信の打開という面からのお答えをいましばらく、詳しくお聞かせをいただきたい。
  214. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) 電気通信、つまり電信電話で申しますと、現在、電話の回線は、東京と北京との間に四回線があると存じております。そのうちの一つは、写真の電送をやっておりますようでございますが、まあそういう回線を持っております。また、電信につきましては、大阪と上海との間に三回線を持っておると、こういうような電波の回線の状態でございますが、さらにこれを増強いたしまして、回線をふやしたいという要請を電電公社、国際電電のほうでやっていらっしゃるようです。これについては、先刻社長さんのお話では、向こう側がもうすでに臨時的には乗ってきておるそうでございまして、これを正常の、常時の回線の増設ということに努力したいということでございますし、さらにその短波だけでは十分でないということで、幸いに、今度小型ではございますけれども、上海に地球局が置かれておりますようでございますから、これと疎通いたしたいと、通信をいたしたいという申し出をいたしておりますわけでございますけれども、これに対しましては、後日検討いたしたいという回答を得ておりますそうでございまして、こういうようにいたしまして、電気通信の分野につきましても、十分拡大していきたいという実務者の段階における努力、これは大いに私は重ねなくちゃいけない、そういうことは大いに奨励すべきことであると、こういうように考えております。  さらに郵便につきましては、先刻御説明いたしましたように、通常も小包も、また、航空便も国内便もいずれも香港を経由いたしまして交換をやっておりますわけでございますが、現在の段階ではこれで間に合っていると思いますけれども、さらに船便の増加でありますとか、あるいは航空便の開設でありますとかいうようなことによって、郵便の面におきましても、さらに通信の疎通というものを拡大していくというような努力をやるべきであると、こういうようなことを考えております。国交が正常化してない段階におきましても、実務者の努力によって、できるだけ、その道を開いていくというような方向に持っていかなくちゃならないと、こういうように考えておりますわけでございます。
  215. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 中華人民共和国とわが国との間の通信につきましては、森先生よく御存じのとおり、あの国ができまして間もなく、もうほとんど直後ぐらいに、昭和二十三年に先方から通信を開きたいという話がありまして、当方は喜んでそれの要求に応じて、承認とか、あるいは国交とかいうものに関係なしに、通信がずっと行なわれておるのでございます。しかもだんだんと回線も増し、あるいは取り扱いの時間も増しまして、現状におきましては、先ほど郵政大臣からお話がありましたように、電話線、あるいは電送写真、あるいは電報線という回線を持っております。昨年の十一月の初めでございますが、私はこの調子でいきますと、とても短波ではまかない切れないぐらいの通信需要が起こるであろうと、で、このままでは限度があるから、ひとつもっと良質な、もっと多量な太い線でつなぐために、両国の首脳者が打ち合わせをしたいという要望を先方に出したのでございます。しかし、残念なことには、その書簡に対する返事はいまだにいただけないのでございます。  その後アメリカのニクソン大統領が、ことしになって、訪中するということが発表になりましたときに、これは必ず両国間の通信需要が増加する。その場合になって、先方が増強しようといったときに、こっちが応じられないではいけないというので、新しい短波のシステムを一つ増強しまして、昼夜兼行の工事をして、とにかくニクソン大統領の訪中には、間に合うように工事をいたしたのでございます。その結果、双方の意見が一致して相当の短波の増強をしたのでございますが、それにはちっとも支障なく、ニクソン大統領の訪中は終わったのでございます。その機会に、御承知のとおり、上海に、アメリカから買いました地球局が設置されましたので、これは非常に奇貨おくべしと私たちは考えまし二今度の四月十五日から開かれまする広州の交易会に際しましては、回線の増強について先方に言うと同時に、できれば上海の地球局を使って、衛星通信をやりたいという要望を出したのでございます。この要望に対して先方は短波の増強だけはけっこうだ、しかし、衛星通信については後日検討したいと、こういうような返事でございまして、断ってきたわけではございませんけれども、まだ準備ができておらないんじゃないかと思います。先ほど申し上げましたとおり、いま技術者等は非常に熱心に研究をしておるようでございますから、まだ準備ができないのではないかと思います。また、いまの地球局は臨時的なものでございまして、いずれ恒久的なものが、上海あるいは北京に置かれると思いますので、私は中華人民共和国の衛星通信の将来というものは非常に明るく想像しておるのでございます。  かように私どもとしましては、何とかして両国の通信を増強したい、もっと良質な、もっと太い線でつなぎたいと思っておりますが、先方では、まだその必要性ということをあまりお感じになっておらないようでございます。しかし、これはいずれおそかれ早かれ必ず痛感することでございまして、両国間の通信の増強をするということは、決して日本だけの利益ではなく、先方もまた非常に利便を受けるのでございますから、双方の利益になることですから、必ず先方もその必要を感じて、私どものほうに増強しようという相談がくると私は確認しております。また機会あるごとに私どものほうでもできるだけのことは何でもするから、ひとつ増強をしていこうではないかというプロポーズはしておるような次第でございます。
  216. 森勝治

    森勝治君 郵政大臣、いまのKDDの社長のお話にもありましたように、非常に積極的な話し合いが日本側から出されておるわけですね。ところが、先ほどの大臣の御答弁で、さて政府はとなると、残念ながらいまKDDの社長のお話にあったような、前向きの姿勢というものはどこにもうかがい知ることができないのです。その点は、非常に残念でありますが、いまお話しにありましたインテルサットの衛星は、インテルサットの非加盟国であっても、これは使用できるわけですから、これを日中通信のために活用しようという交渉を、郵政省が先頭に立って、KDDばかりまかしておかないで、政府の立場で、中国と積極的に話し合いを進める意思はないのですか。
  217. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) これは政府、また郵政省といたしましては、国交正常化しておりませんので、表面に出て、とやかく言うようなことはできないと思うんでございますが、幸いに、実務者であります国際電電がおられますので、ここを通じて大いに御活躍を願いたいと、大いに折衝に努力していただきたいということは強調はできると思うんでございまして、実績があがればいいわけでございますから、そういうことで努力してまいりたい。国交が正常化してない現在におきまして、郵政省がいかに大きな声を出して、向こうの政府に折衝いたしましても、むしろ向こうのほうが、相手にしないというようなうらみが、ありますわけでございますから、実務者として実績を持っております国際電電が、従来の実績に基づきまして、そうして、国交正常化してないけれども、実際の通信というものを拡大、強化していくというようなことこそ、最も効果的ではないかと、このように考えるわけでございます。
  218. 森勝治

    森勝治君 大臣の御答弁だと、郵政省腕をこまねいて、国際電電のやり方見ているんですから、それで、その国際電電が中国との話し合いが成功すれば、それは郵政省の手柄だ、こう考えるなら、なるほど効果的でありましょう。  そこで専門官にお尋ねいたします。柏木監理官、あなたにお伺いいたしますが、事務局として対中国の、いま申し上げた問題は、大臣の答弁どおりでよろしいですか、郵政省は何もしないという大臣の答弁ですが。事務の最高をつかさどるあなたは、大臣の答弁、そのとおりでよいかどうか、お答え願いたい。
  219. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 大臣がお答えになったように、事務当局でも考えておるわけでございます。
  220. 森勝治

    森勝治君 ちょっと聞こえないんだよ。
  221. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま大臣がお答えになりましたような考え方を、事務当局も持っているわけでございます。
  222. 森勝治

    森勝治君 大臣の考え方とあなたの考え方は違うと思っていたんです。大臣が、最高責任者が、そうお答えになったから、あなたは右へならえで、こうおっしゃったんだろうと思うけれども、それでは、今後、日中の通信の国交回復については、郵政省は口を出さないと、国際電電に一切まかせるという態度だと理解してよいかな。柏木さん、答えていただきたい。
  223. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 現在の国交回復前の時期におきましては、国際電電という立場で十分この日中間の通信問題が推進できるように、政府も、私ら郵政省関係者も、国内的に相談なり、また、この協力もしたいということで、まあ表立って、郵政省が国交回復というレベルにおきまして、表立っていくということはございません。が、また、何もこのKDDにまかせっ放しということでもなく進んでいきたいと思っております。
  224. 森勝治

    森勝治君 まあ私がたたみかけたものですから、ややですね、やや能動的なお答えをいただいたような気がします。それでも不満ですけれどもね。まあ時間がありませんから、私は次に移りますが……。
  225. 鈴木強

    鈴木強君 いまのに関連して。  いまの大臣と柏木監理官のお話はちょっと納得できないですね。というのは、われわれは本会議を通じましても佐藤総理に通信というのが国境、民族を越えて別問題だと、だからあらゆる角度からルートを通じて日中間の通信の再開については努力すべきだと、幸いさっきお話のあったように、郵便とか電報とかそういったものもうまくいっているわけですね。したがって、今度のインテルサットの問題については、確かにソ連のモルニヤと、インテルサットの二つの勢力争いがあるのですよ、これは。しかし、空間をある勢力が独占するということは、これはいけないと思うのです。ですから、私はソ連に行ったときにも、ソ連の態度おかしいといってずいぶんやったんです。せんだっても、ソ連の国会議員団来ましたから、私は、さらに、あなた方も、インテルサットに人を送っているのだから、ぜひひとつ一体化のために努力してくれということをお願いしたのですが、ソ連にはソ連の事情もありますから、そういう趣旨を伝えましょうということで、逃げておりましたけれども、いずれにしても、そういう関係もありますから、それに、幸いというか、中華人民共和国は国連に加盟しておりますから、あすこには、中川大使も行っているわけです。したがって、総理の趣旨というのを体して、今後は外務省ともよく連絡をとり、できるだけ国連の場において接触もできるわけですから、あらゆる角度からインテルサットを使用して、いま上海にある地球局と日本との間はできるわけですから、そういう意味では、ひとつ努力をしていただきたいと思うんです。ただ、地域衛星の恒久化ということが認められておりますから、そういう関係では、おそらく中国は一つの構想を持っているかもしれません。ですから、そういう点でなかなかアメリカ機構の中へ入ることがむずかしいかもしらぬ。しかしそうかといって、いま中ソの関係を見ますと、なかなかモルニヤのほうにもいけないという事情も政治的にあると思うんですね。ですから、やはり接触の舞台はぼくはないとはいえないと思うんです。ですから、大臣は外務大臣とも接触して、それは国交は回復しておりませんが、しかしながら、総理の趣旨もありますから、ぜひひとつ外務省とも相談を積極的にやってほしい、そういうことをお願いしておきます。
  226. 廣瀬正雄

    国務大臣廣瀬正雄君) ただいま鈴木委員から御支援いただきましたが、現在の段階におきまして、政府として、郵政省としてできるだけのことをやりたいという熱意は持っておりますのでございますが、ただ表面的に申しますと、先刻森先生にお答えしたような立場にありますわけでございますけれども、その間を縫ってできるだけの努力はしなければならないと、こういうふうに考えております。熱意だけは持っておりますつもりでございますが、それを具体的にどういうことであらわすかということについては、ただいま鈴木先生おっしゃったことも一つの案だと思います。日中の国交打開、また、通信の拡充というようなことについては、決して人後に落ちない気持ちは持っておりますつもりでございますけれども、現在置かれております日本の立場というのは、非常にデリケートでございますので、棄権という回答をいたすについても、たいへん郵政省といたしましては、苦慮いたしまして、国の方針はさることながら、郵政省としましては、いま鈴木先生おっしゃったような、まさに人間的な、また、平和的な生活的に通信の問題でありますから、独自の立場をとられないかというようなことも考えてみたのでございますけれども、いままで回答しております七つの機関が、すべてそういう態度をとっておりますものですから、ひとり独走いたすということもできないというようなことで、そういうような態度をとったわけでございます。しかし通信の道を開くということに努力をしなければならないということは当然だと思うのでございます。ただ、表面的にはなかなかやれませんけれども、いまおっしゃったような程度のことだったらできると思いますので、努力してみたいと思っております。
  227. 森勝治

    森勝治君 国際電電にお伺いしたいんですが、現在の日中間の通信の状況ですね、若干先ほど社長もお述べになった模様でありますが、回線、通信量、それから料金の決済等、その点おわかりになりましたら、御説明のできる範囲でけっこうでありますが、ひとつ教えていただきたい。
  228. 増田元一

    参考人増田元一君) お答え申し上げます。  わが国と中華人民共和国との回線は短波無線でございます。国際電報回線大阪-上海間に平常は二回線ございます。先ほど社長から申しましたように、広州交易会がございまして、この十四日から電信回線を一回線ふやすという先ほど連絡がございまして、電信回線につきましては日本発信についてのみ、もう一回線よろしい、こういう返事が向こうからございました。正確に申し上げますと、十四日以降は広州交易会がございます間は、三回線と二分の一、こういうことに電信回線は相なります。取り扱い量は月によってもちろん違いますけれども、平均しまして大体二万五千通ぐらいが月ございます。  電話につきまして申し上げますと、東京と北京の間に四回線ございます。そのうち、一回線は写真電報と共用いたしております。したがいまして、電話につきましては、やはり広州交易会が開催されますと不足いたしますので、もう二回線ふやしまして、電話といたしましては五回線。それから残りの一回線が写真電報と共用というかっこうになっております。取り扱い量、これは月によってもちろん違いますけれども、最近は、大体、月五百度ということでございます。  それから写真電報は、先ほど申しましたように、電話と共用で一回線ございます。取り扱い量、これも月によって違いがございますが、多いときには六百、少ないときには百三、四十、平均二百通ぐらいございます。  テレックスはございません。  それから、料金は、電報一語につきまして七十二円でございます。それから、電話は、最初の三分間が二千百六十円、一分追加いたしますごとに七百二十円。それから、写真電報は百五十平方センチメートルにつきまして五千四百円、こういうことになっております。  それから、中華人民共和国との料金決済のやり方は、ロンドンの中国上海銀行支店と東京銀行ロンドン支店を通じまして、行なっております。あて先は、中国郵電部電気通信総局でございます。これは毎月一回、発信、着信を相互に確認いたしまして、四半期ごとに精算書を作成いたしまして、その差額を送金する、こういう形でただいまやっております。  以上でございます。
  229. 森勝治

    森勝治君 インテルサットの恒久化協定については、各国とも批准や承認の手続が若干おくれている模様だと、こう聞くんでありますが、この新協定の発効の見通しは、一体、いつなのか、この点お伺いをしたい。
  230. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 御承知のように、この新協定につきましては、昨年の八月二十日にすでに八十余国が参加しております。現在の暫定協定に基づくインテルサットの加盟国の大部分が署名をしているわけでございます。しかし、発効の条件といたしますと、署名だけでは足らず、批准あるいは承認というような国内の手続がさらに必要な国々もありますし、また、その参加国だけでなく、その国の事者業が附属協定に署名をする。しかも、その署名した事業者の持ち分出資率の合計が、全体の三分の二に達するというような条件が必要とされておりまして、さらに、発効につきましては、新協定によりますと、五十四カ国が批准あるいは承認をする、あるいは批准、承認を必要としない署名だけの手続をするということになっておりまして、現在のところ、五十四カ国のうち、その手続が済んでおりますのは二十六カ国でございます。  この見通しといたしましては、若干おくれているということでございまして、わが国といたしましても、この国会に、協定の承認の手続を進めるために国会にお願いしているわけでございます。いまのところの見通しといたしましては、本年の末あるいは来年の初めぐらいになるのじゃないかというような一般的な情報でございます。  ただ、この協定は、署名開放、つまり、昨年の四十六年の八月二十日以降十八カ月の間に発効しなければ失効するという条項がございますので、来年の二月になるのでございますが、それまでに関係国の批准が促進されることを私どもとしましても、たいへん望ましいと思っておるわけでございます。
  231. 森勝治

    森勝治君 インテルサットの恒久化について、一体どういう交渉をされたのか、さらにこの交渉の過程ですね、どういう点が難関であったのか、あるいはすらすらいったのか、その点についてお聞かせ願いたい。
  232. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ごく概略を申し上げますと、この協定は非常にむずかしい交渉の結果、ようやく昨年の八月二十日に署名にこぎついた。この間約二年半の期間にわたりまして九回の会議、そのうち三回は、全権会議というような経過をたどったわけでございます。  なぜむずかしい問題になったのかと申しますと、ただいまの行なわれております暫定協定、これは一九六四年に成立をしたものでございますが、この当時の交渉に参加したものは、アメリカ及びヨーロッパのいわゆる中進国あるいは先進国それにカナダ、日本、豪州というような域外国が十数カ国あわせて交渉したのでございますが、当初からこのような全く新しい組織をつくった、全く新しい国際的な組織というものに対しまして、基本的な対立が――提唱者でありますアメリカ、また、この技術を持っておるアメリカと、今後宇宙開発につきましての技術を早期に吸収したいと考える、あるいは開発したいと考えるヨーロッパの国の間にたいへん基本的な対立がございまして、結論を申しますと、ヨーロッパ側は完全な法人格のある国際的な機関、政府間協定でこれを設立するということに対しまして、アメリカ側は、これはもっと事業者ベースの、コマーシャル・ベースの組織で十分だろうというような問題が、この組織の運営の問題につきましての、各国の発言権と申しますか、出資比率とどのような関係において、この運営の組織をきめていくかというような問題につきまして、たいへん対立がありまして、そのまま基本的な対立が残ったまま暫定的な協定として妥協ができた。そして、宇宙衛星の実用化のために出発したという経過がございまして、このような基本的な問題は、恒久協定の交渉に持ち越そうということになったわけでございまして、その点、当初から非常に困難が予想されていたわけでございます。  そのほか、各国の利用が進むにつれまして、今後の見通しとしましての地域衛星というような、インテルサット以外の通信組織を、メンバーが、設立することを認めるかどうかというような問題、その後、その組織、暫定協定に加入しておりますのは現在八十数カ国ございますが、それらの中には、多くの後進国があるわけでございますが、後進国は後進国としての特殊な立場もございまして、これらの基本的な立場が交渉の中で妥結するまでに、相当の期間を要した、こういうことであります。
  233. 森勝治

    森勝治君 インテルサットの資本分担と出資比率というのはどう変わるんですか。
  234. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) 現在の暫定協定は、協定を交渉中に、各国が通信需要を大体見通しまして、その見通しに従いました割り当て率をそれぞれ引き受けまして、その後その比率は変わらず現在に至っておるわけでございまして、日本は、当初二%という出資比率を持っておりますが、その後、新加入者がふえるに従いまして、その分担を新加入者に少しずつ分けるという方式でいっておりますので、現在では、一・七二%前後というふうになっておるかと思います。今度の新しい協定におきましては、この出資比率はインテルサットの、年の使用実績において毎年調整するという立場で新しい規定になっておりまして、また、このような実績による見通しを申し上げますと、日本は、アメリカ、イギリスに次ぎます第三番目の大きい出資率を持つことが予想されます。大体四%あるいは五%程度の比率になるんではないかというふうに考えております。
  235. 森勝治

    森勝治君 KDDにお伺いしたいんですが、KDDが衛星を利用した状況と、KDDが支払った衛星の使用料と、衛星収入の分配金、それは一体どういうことになっているのか、その点をお伺いしたい。
  236. 三輪正二

    参考人三輪正二君) お答えいたします。  現在衛星通信回線は、ただいまは二百七十回線使用しております。もちろん当初よりもだんだんふえてまいったわけでございますが、発足は三十九年でございまするが、四十六年の九月まで約七年半におきまするところの投資でございますね、資本支出が十九億、それに加えまして運営費が三億、合わせまして二十二億の宇宙部分に対しまするところの払い込みをいたしました。  次は、衛星の使用料でございますが、これもその間、今日まで三十一億円の衛星の使用料を支払いをいたしました。また分配金でございますが、これは二通りございまして、合計で十四億円の配分を受けました。その内訳は、減価償却費の配分といたしまして五億五千万円、それから先ほど申し上げました出資に対しまするところの資本支出の配分、これが八億五千万円、合わせまして十四億円でございます。  以上でございます。
  237. 森勝治

    森勝治君 当然、通信の需要というものが増大してくるわけです。したがってこの衛星通信に対する計画というものは、どのように考えておられるのか、これは、郵政省はあまり、いまの大臣答弁を聞いても御熱心でない模様だから、これはひとつKDDの社長からお伺いをしたい。
  238. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 技術的なことは後ほど担当の役員から申し上げますが、このインテルサットの通信衛星につきましては、常に非常に新しい知識研究をもって研さんを進めておるようでございまして、すでに第五号系の衛星を計画しております。これは、現在の四号系よりかも格段のキャパシティの多いものでございまして、当然、相当期間の通信需要の増加には、たえ得るようなものであると聞いております。私どもは、目前、差しあたり必要なものは、四号系の衛星が、インド洋に本年中には、上がる予定でございますので、それに間に合うように、山口の衛星通信所の施設を増強いたしております。これは、いままで三号系衛星でしたけれども、今度四号系衛星に合うように山口を増強する、こういうことをいたしております。その上は今度は五号系でございますから、これはまだコムサットにおきましても、大体研究あるいは設計に着手したくらいのところではないかと思います。なお、詳しいことは技術のほうからお答えをいたします。
  239. 新川浩

    参考人新川浩君) ただいま社長から申し上げました衛星使用の計画のうち、技術部門につきまして簡単に御報告させていただきます。四号衛星は、現在、昨年から今年にわたって使用を開始されたものでございますが、この衛星の能力といたしましては、今後七、八年の需要は満たし得ると考えております。しかしそれにいたしましても、一九七〇年の終わり頃には、この衛星では能力不足となることが予想されますので、先ほど社長から申し上げましたとおり、インテルサットにおきましては、その次の世代の衛星として五号衛星というものを考え始めております。これにつきましては、まだ、どのような大きさの星をどのような時期に打つのがいいのかということの、いろいろな需要の動向、技術の進歩等を考えまして、本年いっぱいに結論を出しまして、明年から具体的な準備に着手するというような段階でございます。ただ、考えられますことは、五号衛星は少なくとも三万回線、多ければ十万回線程度の電話を中継し得る能力のものとなりまして、一九八〇年台の需要を満たし得るものと、こういうふうに考えております。
  240. 森勝治

    森勝治君 時間がございませんから走りながらの質問をいたします。  新太平洋ケーブルの建設計画についてお伺いしてみたいと思うのですが、郵政省は、昨年の十一月二十四日、国際電気通信の需要にかんがみて、その円滑な疎通をはかるために、太平洋海域に新ケーブルを建設する必要を認めてKDDに第二太平洋ケーブル等の新設計画を推進するよう指示したと、こう聞いて、これは新聞等でも大々的に報道になったことでありまして、これは何か第一期百億とか、第二期云々というような計画になっている模様でありますが、その計画の概要をひとつお伺いをしたい。
  241. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 御承知のとおり、わが国と最も通信需要の多いのは米国でございます。したがいまして、われわれとしましては、現在の太平洋ケーブルと通信衛星を利用いたしまして、現在の需要をまかなっておるのでございますが、先ほどもお話がありましたように、通信衛星というものはどんどんと進歩して回線数を増しておりますが、海底ケーブルのほうはなかなかそう単簡には回線の数が増さないのでございます。  そこで、一昨年の九月ごろからでございますが、アメリカ、日本、豪州の当局者が寄りまして、何とかして、第二の太平洋ケーブルをつくりたいというような意向が表明されたのでございます。で、昨年八月に豪州で関係の会社あるいは経営者が集まりまして、大体の構想がきまったのでございますが、それは本年末あたりから着手をして、まず、米国本土からハワイ、それからハワイからグアム、グアムから日本というようにして、だんだんと建設していく。それから、グアムから豪州の間は、特殊な設備をいたしまして、現在あすこにあります英連邦海底ケーブルの回線数を、非常に増強する設備をいたすのでございます。そういうふうにして、第二太平洋ケーブルをつくろうという構想がまとまりまして、ただいま米国、日本及び豪州その他、関係のところがそれぞれ国内手続をしておるところでございます。
  242. 森勝治

    森勝治君 次に、東南アジアケーブルの概要をお聞かせ願いたい。
  243. 板野學

    参考人板野學君) 東南アジアケーブルにつきましては、すでに昭和三十四年、東京におきまして会議を開催いたしまして、日本からこれを提案したわけでございますが、その後二回にわたりまして、このケーブル計画につきまして、関係各国との打ち合わせ会議を催しまして、そして、この財政上の問題を考えながら、ひとつ日本でいろいろ計画を立ててみるということになりまして、主として財政上の問題を検討いたしておったわけでございます。日本からどのぐらいの利率で、低開発関係の各国に、これは融資できるか、というような問題が、主として中心でございましたが、この結論を、いろいろ検討を急いでおるうちに、御承知のように、衛星通信が実用化されまして、東南アジア、特にこの関係諸国、フィリピン、タイ、香港等につきましても、この地球局を設置するということになりまして、衛星通信による良質の回線が獲得できる、こういうことでございまして、関係各国の熱意がいささかさめてきた、こういうふうに考えられるわけでございます。  しかしながら、最近のケーブル技術の発展等、あるいはケーブルと衛星との関係から申しますと、やはり衛星には衛星の非常な特徴がございまするけれども、ケーブルにはケーブルのいい点があるということも、世界各国また認めてまいりましたし、かつ衛星、ケーブルいずれかに故障がございましたときには、相互補完するというような大きな機能もございますので、やはりこの衛星とケーブルの使用比率ということにつきましても、いろいろこれは考え、かつその均衡を得るような方向で布設をしなければならぬ、こういうのが世界的な傾向であり、考え方でございます。  そういう意味でやはりケーブルを敷くと、東南アジアの以上の各国を結ぶケーブルを敷くという従来の、この日本の考え方というものは、今日においても非常に重要なことである。こういうことにつきまして、あらためて私どもも、関係各国といろいろまた今後話し合いを進めていかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございますが、特に先ほど社長からも説明がございましたように、新しい第二の太平洋ケーブルができる、あるいは中華人民共和国の国連参加、これはまた、通信上にいろいろな関係も持ってきます。あるいはそのほかのいろいろな東南アジアにおきまする国際情勢の変化に伴いまして、やはりこの東南アジアケーブルを建設するということは、非常な大きな意味があるというように考えられまするので、ただいまこの問題を、どういうように推進していくか、こういうことにつきまして、郵政省を中心にいたしまして、私どもこの協議を、話し合いを、いかに、どうして進めていくかという点で、いろいろ話し合いをしておるような状況でございます。
  244. 森勝治

    森勝治君 国際データ通信について一、二お伺いしてみたいと思うのですが、聞くところによりますと、何か新しく国際データ通信サービスの提供を始める、こういうふうに聞いておるのですが、その内容について、差しつかえなければ、お聞かせ願いたい。
  245. 古橋好夫

    参考人古橋好夫君) お答え申し上げます。  国際データ通信でございますが、御質問はデータ通信のサービスを提供するのは、どうするかということだと思いますが、まず、われわれオートメックスと称しておりますけれども、一般の専用線を利用しておられる方の内部のメッセージ交換を、電報の交換がいろいろございますが、電報の交換をKDDが肩がわりいたしまして、交換を行なう。それにさらに、たとえば日計の作成とか、一日何通電報を打ったとか、そういった日計の作成とか、あるいは電報の優先順位の決定とかを、その装置にやらせるサービスを提供するつもりで現在建設を進めております。大体ことしの八月ごろサービスが開始されるというふうにいま進んでおります。  それからさらに進みまして、ただいま申し上げましたのは、一つの企業内のメッセージの交換でございますけれども、あるいはその処理でございますが、企業グループのその種のサービスをいたしたいということで、主として航空会社関係のグループの需要がある程度ございますので、その関係の準備をいたしております。これはほぼいま御説明しましたオートメックスと同じような内容でございますが、そのほかに他企業への、あるいは他企業グループヘのコンピューターの相互接続ができるように考えております。これを来年度に建設いたす考えでございます。その種の計画がいま進められておりますが、さらにいろいろ今後データ関係の需要がございますと思われますので、両方の、私申し上げました二つのサービスを統合いたしまして、さらに新しいものを加えられるような、そういうシステムを新宿局舎完成後につくりまして、いろいろサービスを導入していきたいというふうに計画をいたしております。  以上でございます。
  246. 森勝治

    森勝治君 御承知のように、今国会でも情報化の問題は論議をされています。いま御説明のあったそういう内容で、今後の新しい分野のサービスというものについての見通しというか、方針というか、そういうものについてひとつお話を承りたいと思います。
  247. 古橋好夫

    参考人古橋好夫君) 国際データ通信の見通しでございますが、非常にむずかしい問題でございまして、私ども国際データ通信開発室をつくりましたし、また、社内の専門家及び社外の関係者も含めまして、データ通信研究委員会というものを設けて、いろいろ研究いたしております。  で、その場合のいろいろわかったことでございますが、国際データ通信を考えてみますと、三種類に分けられるかと思います。まず外国に大きなデータ収集システムがございまして、外国で、ある程度その処理が普及いたしまして、その延長として日本の中に入ってくる、そういうのがございます。たとえば旅客用のシステムとか、あるいは価格計算、在庫管理等がございますが、そういうようなものが考えられます。それから、もう一つは、国内のほうで大きなシステムがございまして、やはり国内である程度市場が固まりましても、その一歩といたしまして、どこに加入者がございましても、そこでやる国際データ通信が考えられます。もう一つは、私どもの会社に直接関したものでございますが、国内のお客さまを主にいたしまして、われわれKDDあるいはほかの企業でもいいと思いますが、処理システムを持ちまして、国外の方に情報を提供する。こう考えますと、いまの国外を対象にしました私どもが持つシステムというのは重要な今後の問題かと思います。  そう考えてまいりますと、意外に、私どもがシステムを持ちまして、国外の方にサービスするというのは意外に分野が狭うございまして、貿易とか、あるいは国際空港とか、国際的な仕事をされているところに情報提供するということになるかと思います。それでそのようなつもりで、現在、方向で、検討いたしております。  しかしながら、そのほかに専用線、先ほど言いましたオートメックスもそうでございますが、一般の企業の方が専用線を持たれまして、その専用線を国際的に取りめぐらし、国際的にいろいろなデータ処理を行なうというのがかなり大きな方向でまいってくると思います。これはもうただいま言われております多国籍企業等は、その形でデータ通信を使うものだと考えます。その点につきましては、私ども現在の公衆通信法ではメッセージあるいは情報の交換とか、それから集配とかということはKDDの任務と考えておりますので、専用線に使います場合には、そのようなシステムの形で提供する、かように考えております。
  248. 森勝治

    森勝治君 それでは時間ありませんから先へ急いで沖繩の問題ちょっとお伺いしてみたいと思うのですが、沖繩の返還に伴う臨時措置法では、琉球電電の設備一切を電電公社が継承する、そうして三カ月以内には、KDDにこの国際通信施設というものは譲り渡すということになっておりますが、KDDとしては、その受け入れ態勢はどうなっているのか、たとえばこの受け入れの価格等は一体帳簿価格なのか、あるいは市価譲渡なのかその辺についてひとつお答えいただきたい。
  249. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 沖繩の国際通信の受け入れにつきましては、私どもの会社では早くから準備室を組織いたしまして、そこを窓口として、それぞれ相手方と交渉しているのでございますが、先ほどのお話のように、琉球電電の施設は一たん電電公社にまいりまして、それから私どものほうでは受けることになっております。しかしその譲り受けの価格あるいはその範囲というようなものは、電電公社と交渉中でございまして、ちょっといまここではっきりまだきまっておりません。できるだけ早くこれをきめなければならぬと思うのでございます。しかしながら、要員につきましては、おかげをもちまして非常に順調に進んでおりまして、ただいま琉球電電のほうで、国際電電のほうに行きたいという希望者をつのっております。これも近く確定するであろうと思います。  先般、私も沖繩に参りまして、いろいろと現場の人たちにも会いましたし、施設も見てまいりましたが、沖繩は御承知のとおり、東京、大阪に次ぐ国際通信の非常な大きな市場でございます。私どもとしましては、沖繩の国際通信につきましては、十分誠意を持ってこれを迎える、受け入れるつもりでおります。ことに単なる施設とか、あるいは要員だけではなく、私はつくづく感じたのでございますが、これは、沖繩の人たちの苦労した魂とともに受け入れなければならぬということを痛感したのでございます。たとえば、施設は、非常に本土に比べると、貧弱なものであるかもしれないけれども、完全な焼けあとから、あれまでにした御苦労、あるいは要員の人たちも、いままで長い間たいへんな苦労をされた。その気持ちとともに設備、要員を引き受けて、そして当社の職員になっていただきたい、こういうふうに考えております。当社に入りました以上は、全く当社の職員と同じに待遇いたしたいと思います。また電電公社のほうへ参ります人と、KDDへ来る人との間に、待遇の差が全然ないように、そういう方針で、いま細目について、相手方と折衝しておる状態でございます。
  250. 森勝治

    森勝治君 これから質問いたす一点をもってきょうの最後の質問にしたいと思うのですが、KDDにおられる職員の問題です。まあ私どもの目から見れば、KDDに参加される職員は、労使とも優秀な人ばかりだろうと思うのであります。したがって、労使関係が、常にすこやかなれと願う者の一人として、これからの質問をするわけですが、現在のKDDの労使関係は、相互信頼の上に成り立っておるものだろうか、どうかということが第一点であります。  第二点は、今日のように物価上昇の段階では、業績をとみにあげている国際電電といたしましては、当然これは、企業利潤というものは、そこに参加した労働者の諸君の上に反対給付を行なってしかるべき――これはもう企業形態の当然とり行なうべき常識的な手段だと私は理解するのですけれども、そういう問題について、会社側はどのように対処されようとされておるのか、さらに今後、国際競争裏の中で、国際電電がさらに大いなる飛躍、いまいろいろたくさんの御計画をお伺いいたしましたが、この重役の皆さんが、るる説明なされましたこの計画というものを具体的、可及的すみやかに広げるため、世のために貢献をするためには、何といっても、職員の士気高揚が肝要だろうと思うのであります。私どもは、過ぐる当委員会におきましても、NHKの予算案審議等をめぐりまして、NHKに働く職員が、きん然として、第一線に立つことができるようにという願いを込めて、決議案の中にも、その趣旨を盛り込んだ次第であります。したがって、私は、この際、この国際電電の労働者の諸君も、NHKの諸君のそれのごとく、きん然として、国際通信をもって社会公共に奉仕するという、この誇りと、この努力を、さらに積み重ねられることができるように、職員の士気高揚のために会社側に十分なる配意をしてくださることを願うものでありますけれども、この点について、私の期待に会社側はこたえてくださるだろうか、どうだろうか、この三点お伺いしたいと思います。
  251. 増森孝

    参考人増森孝君) 第一点から申し上げますが、私どもといたしましては、常に労使間では誠意をもってやろうということで進めております。したがいまして、おっしゃるように、労使信頼の上に立って常に対処していくつもりでございます。  第二点ございますが、この点はただいま交渉中でございますので、具体的には申し上げることは差し控えさせていただきますけれども、基本的な考え方といたしましては、われわれ国際電電の賃金というものは、まあ世間並み以上であると、で、甲の上とは言えませんけれども、甲の中もしくは甲の下である。と申しますのは、一つには、国際電電というものは独占の上に商売をしております関係で、もうかるから、賃金をよくしていいだろうというわけにはまいりませんし、それからなおかつ先ほどから社長その他からお話が出ておりますけれども、非常な多額の自己資本をもって投資をしておりますので、そういう関係で職員の皆さんにがまんをしてもらっております。  なお、第三点の士気高揚につきましては、先生の趣旨に沿うように努力したいと思っております。
  252. 森勝治

    森勝治君 いまのは担当重役からのお答えですから、これは会社側のお答えというふうに私は拝聴しておったのです。ただ、この際、総括的な、職員との関係における総括的な立場をとられる社長から、会社をしょって立たれる社長から、まことに恐縮でありますが、いまの点について、ひとつ重ねて決意のほどをお伺いしたいと思います。
  253. 菅野義丸

    参考人菅野義丸君) 増森常務は、私が信頼いたしまして労務を担当しているものでございますから、いまお答え申し上げましたことは、全く私と同じ考えでお答え申したのでございまして、その間には何にもそごはございません。私は、常々どんなにりっぱな設備ができましても、どんないい組織ができましても、それを動かすのは人である、人の点については最も重点を置いて考えておるつもりでございます。ことに先ほど先生からお話がございました、やる気を起こす、つまり張り切って仕事ができるような雰囲気に、あるいはそういうような制度にするということは、これは経営者としましては、当然に考えなければならないことでございまして、私ども先生の御意見の趣旨に沿うように、今後とも、労使相携えて社業の発展につとめる次第でございます。
  254. 森勝治

    森勝治君 これでKDD関係質問を終わりますが、前半の部における私の郵便車事故についての緊急質問の件がございましたが、ほんとうは緊急ですから、この際、この席上でただしておきたいと思ったのでありますが、時計の針の示すごとく、もう相当時間もたっておりますので、委員長にお願いをしたいのでありますが、この次の委員会で、あの最後の質問だけを、残っている部分だけをさせていただくことにお願いいたしまして、私の本日の質問は終わります。
  255. 杉山善太郎

    委員長杉山善太郎君) それでは、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめておきます。  かてて加えて、参考人の方々には、たいへん長時間にわたり本委員会調査に御協力をいただきまして、たいへんありがとうございました。そして、ただいま森君から御発言の、先ほどの山陽本線における鉄道郵便車火災事故に関する調査につきましては、森君が保留されました質疑は、都合により次回に譲ることにいたします。さよう御了承いただきたいと思います。  他に御発言もございませんし、調査はこの程度にとどめます。たいへんありがとうございました。  本日はこれで散会いたします。    午後七時二十六分散会      ―――――・―――――