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参考人(
高田元三郎君) 高田でございます。
ただいま、
江村参考人からたいへん皆さまの御
審議に御
参考になる御
意見がございましたが、私はどうもさような皆さまに御
参考になるような御
意見を申し上げることはできないんじゃないかということをあらかじめ
一つお
断わりして申し上げたいと思うのでございます。と申しまするのは、NHKの
予算について格別に私どもが検討したこともなく、また、考えておることもございません。ただ、平素私どもがNHKについて考えておるところの一端、今日の御
審議の御
参考になるような点がありやしないかと、そういう点をあらかじめ何の準備もなくて申し上げるのははなはだ恐縮でございまするが、多少の御
参考になればと存じまして申し上げさしていただきたいと思うのでございます。
御承知のように、私はいわばNHKの
関係者の一人と申し上げても差しつかえないんじゃないかと思う。と申しまするのは、中央放送番組
審議会の委員としてもう何年になりまするか、おそらくもう十数年以上その職を汚しておる。たいしてお手伝いはできないんでございまするが、そういうようなことをさしていただいております。のみならず放送番組センター並びに
放送番組向上委員会、いずれもその団体がNHKの助成金あるいは出
資金と申しまするか、それがその団体の一番おもな
収入、その上に乗っかって
事業活動をやっているというような
関係がございまするので、何か私が申し上げることは、どうもNHKをひいき目で見るというようなことにお考えになるかもしれませんが、この席で、私はそういう
関係で申し上げるのではなくて、長年マスコミに従事した者の一人として今日のNHKというものを考えまするときに、どうしてもやはりNHKの現在の活動というものを高く評価するというようなことを申し上げざるを得ないのです。こういうことをこの席で申し上げる必要もなく、もう皆さんがすでに御承知のとおりでございまするが、私はこれだけの放送
機関というものが世界に類がないものだというふうに平素から考えております。単に報道あるいは教養、娯楽、教育と、そういう面にわたって非常にすぐれた放送を通じてのサービスを提供している
機関、つまり国民の公共放送としての
機関であるばかりでなく、いまNHKは情報伝達あるいは収集の
機関としておそらく日本において最もすぐれた最も強力な、最も大きな
機関になっておるばかりでなくて、私は世界におきましてもそういう
意味でも最大の
機関の
一つではないかと思うんです。こういう機能が非常にこのすぐれた活動によって国民に与えておりますところの影響というものは、これは何人もやはり高く評価せざるを得ないと思うんでございますが、これも申し上げる必要もないのでございますが、いろいろ技術発達に伴ってNHKが現在行なっておるような活動がさらにもっと多様化し、もっとまた強い活動が要請され、期待されるようなことになることは必然でございまして、このNHKの将来というものが、このまま発展し続けていったならば、どんな強大な力となるものか、これはもうおそらく予想し得ないものになると想像できるんじゃないかと思うんでございます。私どもはそういう
意味で、NHKの将来にさらに大きな期待をかけておるものでございまするが、そういうときに、私ども多少のNHKに
関係を持つ者の一人として、これはよけいな心配かもしれませんが、来
年度の
予算にあたりまして、初めて
赤字予算と俗に言っていいようなものを出したという、これは私ども実態を、詳しいことを知らないのでございまするが、ただ、そのことだけを聞いただけで、何かこう、このことをただ見のがすわけにはいかないというような気持ちがするのでございます。それは
先ほども申しましたとおり、私が
関係しております
二つの
機関、いずれもNHKから——
一つは、年額三億円の助成金をもらって活動を続けておる団体でございます。もう
一つは、年額二千百万円の出
資金を出していただいて活動を続けておる団体である。何かそれを出してもらっているところのNHKのほうはだんだん
収入のほうが頭打ちになって、しかも
支出は増大する一方であるというようなことになって、またことしそういうことが示されたばかりでなくて、将来そういうことも懸念されるんではないかというふうに伝えられますると、私どもとしても、これは何かこのNHKの将来について新しい観点から新しい検討がなされる必要があるんじゃないかというようなこと、これは全く私どものいわば思いつきの考えにすぎないのでございまするが、そういうことをひとつ考える必要があるんじゃないかということを私どもは強く
感じておるのでございます。
先ごろ郵政省で「通信行政の展望」という、これはそういうことを申し上げては失礼でございまするが、官庁で出されたそういう種類のものとしては私どもは非常に大胆な提言を含んでおるものとして受け取ったのでございまするが、それにも言われておりまするように、総合通信行政の一環、あるいは放送
体系総合整備計画の一環としてのNHKというものを十分将来検討して適切なる改善を加える必要があるんじゃないかというような気がしてならぬのでございます。言うまでもなく、国民の公共放送として経営の基盤はあくまで
受信料収入によっておるというのが現在のたてまえでございまするが、このたてまえは、いかにNHKが将来巨大になり、いかに活動がますます多岐、多様になるともこのたてまえはくずすべきでない。また、くずされてはならぬものだというふうに考えております。しかし、一方、増大する経費というものは、ますます
事業活動がもうわれわれの想像し得ないようなところまで及ぶということが考えられます。しかも、
受信料収入というものがどういうものか。やはり限られた人口というものを考えますると、この上、非常に急増する
受信料収入というようなものを期待するということはどうかと思う。そんなことを考えますると、全くこれはしろうと論でございますが、
先ほど申しましたようなぐあいに、総合通信行政としてのNHKというようなことでNHKの再検討をひとつ加える。何かいまNHKはやっぱり
公共企業体の
一つであるというようなことに置かれておる
関係もございましょうが、NHKがいろいろのサービスをする、しかも、それによって得る
収入というものは、何かあまりそういうことをしてはいかぬようなふうになっておるんじゃないかと、私どもよく知らないのですが考えられるのです。
受信料以外に新しい
収入の道を講ずるというようなことはできないものであろうか、そういうことはNHKのためにやっぱり考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに、これは全くのしろうと論でございまするが、私どもはそんなこともやっぱり考えております。
しかし私は、さればといって、それならどういうことを考えるか、それほど具体的の考えも何も持ち合わせがないのでございまするが、たとえてみますると、これはまあさらに新しい仕事として発展するところのものがいろいろございましょう。CATVがどういうような形をとって発展するか。あるいはビデオテープ、あるいはカセット、これによって国民が放送をまた新しい方法をもって受け取るというようなことが、ますます、いろいろな形で発展するのじゃないかと思うのです。そういう場合に、NHKとしては非常な大きなサービスを提供できるんじゃないかと思うのです。現在でも、たとえば、NHKがやっておりまするところの出版
収入、これだって、私は、将来ますます大きなものになるだろうと思うのです。NHKが出しておりまするところのテキスト、いまは限られたものでございましょうが、さらに、どこまで広がりまするか、これもあるいは予想以上のものになるのじゃないかということも一応は考えられると思うのでございます。あるいは番組そのもの、これは広くこれを売って
収入を得るというようなことは、NHKは考えてはいかぬのでありますかどうか。その辺のことは、私はよく存じないのでございまするが、こういうようなものこれを国内及び国外における販売、あるいはまた、全くこれもしろうとの暴論かもしれませんが、現在、NHKの行なっておりまするところの技術
研究所、あるいは放送文化
研究所というものを、NHKがやはり依然としてそれを続けることは、当然したほうがいいと思うのでございまするが、これを民放その他こういうものの恩恵を、享受を望んでおるところのものにも開放する。その場合、やはり有料の技術援助をするというようなことも考えられるのじゃないか。いろいろそういうようなことも考えられるのじゃないかと思いまするが、これは現在のNHKに対するいろいろの法規、あるいは規制というようなものの上からは、そういうことはできないんじゃないかと思いまするが、そういうことはさらに新しい観点から考える必要があるんじゃないか。そうでないと、やはりNHKが
受信料収入——いまのような副
収入を含めまして、やはり
受信料収入と申して差しつかえないと思うのです。それによって、これからますます広がっておるところの活動あるいは
事業を運営していくということを考えなければならぬとするならば、何かそういうことはやはり考える必要があるのじゃないかというふうな気がしてならぬのでございまするが、特に、私がそういうことを強く要望しまするのは、
先ほども申しましたとおり、私は、NHKから多額の助成金を出してもらって、一種の番組向上のための活動というものを、それに携わっておるものの一人なのでございまするが、これはどうしても、現在、まさにそうでありまするが、将来もこのNHKの助成金あるいは出
資金というようなものによって運営しなければ、なかなかやっぱり存立はむずかしいのじゃないかという気がいたすのでございます。
たとえて申しますると、番組センターのごときは、番組センターの活動によって受ける利益というものは、NHKは何ら恩典にあずからぬのでございまするが、民放のほうが利益を受けるということになる。としますると、NHKの出
資金以上のものを民放が負担すれば何でもないんじゃないかということになるのでございます。私どももやはりそういうように考えて、そういうぐあいにやっぱり持っていかなければならぬということで努力はいたしつつありまするが、なかなか実際問題としてはそれができない。なぜできないかということ、これはもう皆さまのほうがよく御承知だろうと思うのです。なかなか、民放の一社一社をとりますと、非常に収益をあげているというようなところもございましょうが、そういうような活動をする場合には、なかなか金が出ないというような仕組みになっておる。そのために、やはり民放連のたとえば会長のごときは、なかなかそうでなくて、やはりNHKと少なくとも
同額のものを出さなければいかぬと思っておりましても、そういうことが実際にはできないような
状態になっておる。さればといって、そういう
機関の、やはりほかから助成金をもらうとか、あるいは出
資金をもらうということをしたらどうか。むろん、この番組センターなどは、私どもの考えおるその
一つは、もう少し広くやっぱり多少放送
事業に
関連あるというような、たとえば電信電話
公社、あるいは国際電信電話株式会社、そういうようなところから、また、やっぱり同じような多少の出資をしてもらうというようなことも考えられましょう。現にそういう努力ばしております。ある形をもってそういうことを頼んでおるという実情もございますが、しかし、なかなか、やはり、それも大きな額を期待するということは困難である。さればといって、
政府から助成金をもらうとか、あるいは補助をもらってそういう活動をするということは、これは、非常に国民に誤解を与えるもととなりまするので、そういうことは私はできないと思っております。また、すべきではないものというふうに考えておるのです。としますると、どこからおもな出資をしてもらってひとつそういう活動を続けるかと申しますると、やはりNHKから出していただくということ以外にないのじゃないかということを考えざるを得ない。
私は、現在、前田会長はじめNHKの首脳部が、番組センター、あるいは向上
委員会などにNHKから多額の助成金、出
資金を出しておるのは、やはりNHKがそういうことをしなければならぬ義務は何らないが、やはり放送全体の向上、発展ということを考えると、NHKはやはり
受信料収入というもの、国民からの、放送を受信する契約を結んだ対価として入ってくるところの金によって運営をしておる。やはり、そういうことが、NHKが
事業に使うばかりでなくて、放送
事業、あるいは放送全体の
事業の向上、発展ということにもできるだけの援助はすると、また、しなければならぬという
考え方から、私は、番組センターなどにそういう多額の出
資金をしておるのだと思うのであります。
また、私どもも、公平に考えまして、やはりNHKが今日のような公共放送の形をとるならば、しかも
受信料収入に
収入の大半を仰ぐというたてまえをとるならば、やはり、その
収入がたとえNHKの
予算のうちからいうとごく僅少の
部分でありましょうとも、やはり放送全体の
事業の発展というものに何がしかの寄与をするというようなことは、これはやはりNHKとしてその自分の職分の
一つ、あるいは義務の
一つとしてではないにしましても、そういうことをするということは、私は今後もやはり続けていただいたほうがいいんじゃないかということの気がするわけでございます。
でありまするから、私なぞは、そういう観点から、ただいま申したような、番組向上の活動というようなものが、もっとひとつ積極的にやるというためには、やはり繰り返すようでございまするが、NHKあたりから現在、あるいは現在以上のそういう助成金をひとつ出していただく、あるいは出
資金をしてもらうというようなことを考えなきゃならぬと思うのです。のでございまするから
先ほど申しましたようなぐあいに、あくまで
受信料収入というものを基盤としてNHKが成り立つためには、
受信料プラスアルファ、何かそういうようなものが入る仕組みにこれを考えていただいたならば、いま申したようなこれは放送全体の向上発展ということにつながる仕事でございまするが、そういう方面にNHKが負担していただくことをわれわれとしても十分このお願いができるんじゃないか、かように考えておる次第でございます。
はなはだ取りとめのないことを申し上げましたが、私はNHKの
予算審議に、これが御
参考になるものとは考えておりませんが、たまたまやはりこのNHKの
予算に
関連して私どもが
感じておることを率直に申し上げた次第でございます。
まだ申し上げたいことがございまするが、それはひとつ皆さま方のほうからの御質問にお答えする形でひとつ申し上げさしていただきたいと思います。ありがとうございました。