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森勝治君
大臣、後段で言われた創意くふう、それは当然でしょうね。私はそのことを否定して言っておるのじゃない。鈴木さんもそのことを否定しているのじゃない。官業
事業である簡易保険につきましては、当然資料その他は役所でつくるべきもので、民間でつくったものを使用せずとも、当然それは役所で作成すべきものではないかと申し上げておる。この点、あなたは同感の意を表されております。不正とか何とかという話がありましたから、このことについて若干触れてみたいと思うのでありますが、このこととは
関係なく、このビラとは
関係なく申し上げてみたいのですが、いまのような、むちを持って保険募集を強制されるとすると、必ず反動がきます。職員は重荷をしょって道を歩いているような状態であります。ある者には功名心をあおり、ある者には怠惰という罵声を浴びせる。このままでまいりますと、職員は、何でも
理非曲直をかまわずに、馬車馬のように募集成績さえあげればいい、そういう面に走る傾向があるから、私は警告の
意味できょうは発言をしておるわけです。そこで、不正募集については役所みずからが職員に懲通しておる節がある。だから私はこれから具体的に
指摘をする。
局長は、先ほど品物について私、タオルという
表現を用いましたが、感謝のしるしで職員が自主的にやることはよいでしょうと言うのですが、うそです。日刊紙が競争した例も私は出しました。バケツややかんの例も持ち出しました。いま
郵政がやったのは、それよりもっと悪どいという
表現はいたしませんが、ぎごちない方法ではありませんか。だからその点は、これから私が具体的に
指摘をいたしますから、ぜひとも改めていただきたい。改めるという
通達は出した
模様でありますが、まだ依然としてあとが絶たないのですから、ぜひとも
郵政の名誉のために直していただきたい。たとえば、あなたは、 いま感謝のしるしで出すと言ったが、これは伊勢丹から買った
郵政省がいういわゆる金盃、そういうものですね。いいですか、なかなかいかめしいものでしょう。これはたいしたものです。しろうとでは、これはにせか純金か判別がつきません。巧妙ですから。これを職員に七百円で買わせるのです。
大臣いいですか。七百円で買わせるのです。あなたは簡易保険に入ってくださったからありがとうと言って持っていくのではないのですよ。加入させるためにこれを持っていくのでしょう。いいですか、
郵政省の命令ですよ。命令、はっきり言いますよ。このほかにもあります。また、このマークもありますが、なかなかマークも相当
考えて責任追及されないように、のらりくらり逃げられるように、こういう場に出たときに逃げ道ができるように刻印も入っている。
大臣よく聞いてくださいよ。こういうものを持っていくときに克明に
文書をもって
指導をしているのですよ。五十万の保険に入っていただきました、三十万の保険に入っていただきました、ありがとうございましたと言って持っていくのなら私は何をか言わんやですよ。一例を申し上げますと、松本
先生を使って恐縮ですが、松本
先生は保険に入りそうだと、世俗で言う眼をつけるわけです、見当をつける。入っていないのです。入りそうだということで持っていくのですよ、いいですか。これは
東京郵政局の保険、外務のセールス
指導要綱です。
文書があるのです。ちゃんとこう出ているのです。私の
考え方を述べずにこのことについてひとつ私が読んでいきます。いいですか。これを松本さんの家に持っていく。一人では行かんのです。こういうことを言っていくのです。こういうことはあまり言いたくないのですが、私はここで苦言を呈することが正しい簡易保険募集の道につながればと願いつつ、私は申し上げるのです。「このたび、
郵便創業一〇〇周年記念に当り、
局長が特に平素
郵便局に格別のご理解ご協力をお寄せ下さる〇〇様にお礼を申しのべてこいとのことで」ございますのでほんの感謝のしるしにと言って、これを差し出すと書いてある。具体的に出ているでしょう。
大臣いいですか。「と金盃をさし出す。」と、ここまで
指導しているのです。克明でしょう。それで第一点、ここが「ポイント」と書いてある。「特に選ばれたお客さまであることを感じさせる。」第二点、「
郵便創業一〇〇周年記念のほか、一〇兆円突破記念、
局舎落成記念など」云々ということをつける。それはその局情局情に応じて適切な
ことばを差しはさむ。三番、「
局長のあいさつ状を添えるのがよい」
郵便事業に協力しようとしまいと簡易保険に入ってくれそうな人を選ぶのですよ。「まず、有望な見込客を選ぶ。」とある。その中に云々と書いてありますが、あまり私の言いにくい文句がありますから言いたくありません、御想像にまかせますが、それでこれを渡すのです。「お客さまにさし上げたものに万一キズなどがあっては失礼ですから……といって」お客様に、松本さんひとつこれを開けてみてくださいと言って改めさせるのです。しろうとですから本物かにせものか決してわかりません、金色さん然と輝いておりますから、もう一般の人はびっくり仰天して、ああおれは何もしないのだが
郵便局に認められた。そして簡易保険に入らなければなるまいと、こう思い込ませる
模様であります。あえて
模様だと私は推測する。このあと書いてあるのは、「ここ(お客様に開けさせるのが)ミソ」だとか、こつだとか書いてありますが、こんなことはあまり言いたくないから。いいですか、
大臣。「もしお客さまが包みを開ければまず九九%有望」「あとはあなたの腕次第」、この辺の文句はいいですよね。しかし、感謝のしるしじゃなくて、これは独禁法との
関係もあるような気が、私は、してならぬ。朝刊紙はそれでやめたはずですからね。いいですか。国家
事業である
郵政事業がここまで落ちなくてもよかろうと思うのです。それで今度は成果をあげた――個人で四十万も募集したというけれ
ども、わずかの間に、一旬で。一旬というと、上旬、中旬、下旬というから、十日でしょうね。十日で四十万も成績をあげたという実績のある局では、こういうことをやって驚異的な成果をあげた。「さし上げた後、気持ちよく辞去し、おおよそ三日後連行で再訪問する。」一人で行くなというのです。「連行で再訪問する。」、あとは、いろいろありますが、もうこれ以上、ここにもありますがね。
大臣、こういう募集は行き過ぎじゃないですか。これは創意くふうじゃないですよ。
東京郵政局の保険部から出ている
文書ですよ。いいですか、
大臣、保険部の
文書ですよ、創意くふうでと、個人が、森個人が、松本個人が作成した保険募集の読本じゃないですよ。役所の
文書ですよ。どこに感謝のしるしでこれを上げることがありますか。このようなく心をまどわすといわれがちなことは即刻おやめにならなければならぬ。一言付け加えておきますが、非難が非常に多いものですから、最近は自粛せいということになりつつある
模様であります。たくさんあるのですよ。全部
局長とか上の命令で、
指導文書ですね。全部これが創意くふうか。そうじゃないですよ。簡易保険
事業なんか国民は知っているのですよ。それをあなた
局長が、あなたが名指しで、行ってこい、こういう上司の
名前であえてことあげをすることも私はちょっと募集の行き過ぎだと思うのですよ。あなたがだめだとは断じません。ときには
局長の
名前を出すときもあるでしょうが、何でもかんでも上司の
名前を出す。これは自分で七百円で買っていくのですよ、こんな
文書で麗々しく
指導しているから、役所で、まがいものを。これはうまくないですよ。
大臣、いいですか、このやり方、役所がこれを作製して公的に
郵便局として松本さんに差し上げるなら、私はこんなことは言わないのです。松本さんにねらいをつけて――ねらいということは
表現がまずいですが、募集しようという目的のうちにそういうことを装って持っていくというのですよ。これは明らかに行き過ぎではないか。こんなことがこんな国民を瞞着するようなことがあってはならぬ。いいですか、
大臣、まだたくさんあるのですよ。だから、
お答えによってはこちらも出しますけれ
ども、これはやめていただかなければならぬし、先ほどは募集の申し込み書の
関係。パンフレット、今度は、従業員が募集によって募集手当がいただけますから――私は募集手当というのは再生産の用にのみ供さるものと思っておりました。ところが、募集手当というものは募集に要する諸費用が入っているということを
局長はこの前も言われたし、いまもいみじくも言われた。私はこれは保険の国家
事業という線から
考えてまたここに疑問が生まれてくるのです。それは後に譲るといたしまして、職員にこういうのを買わして――こういう
文書が上役から来ればいやいやながらこれを買わざるを得ない。そうでしょう。買わなければ、この
内容でおまえ募集してきたかどうかと詰問されるからやむなくこれも買わざるを得ない。このように、職員を簡易保険募集に狂奔させる。無理して入れさせる、その結果が解約率が最近は著しく多くなってきている。すべてとは言わぬが、こういうことに相当原因がある。
大臣、こういうところどうです。私は口べたですから、これはほんとうは
担当の
局長にここで実演していただけば迫真力がある。私は口べたですから、どうも私はうまい
表現が使えませんが、しかし、これは私が言うのじゃないのです。書いた
文書をいま読み上げたのです。これがあなた方の簡易保険の大口募集の教本ですよ。こういうことをやめていただかなければならぬじゃないでしょうか。どうでしょう、
大臣。