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政府委員(
本庄務君)
立法の趣旨について簡潔に御
説明をいたしたいと思います。
まあ俗にガードマンといっておりますが、ガードマン業につきましては、むしろ沿革から少し述べさせていただいたほうが御理解いただけるかと思いますが、約十年前に日本で初めて発足いたしまして、それから逐次ふえてまいりました。この仕事は、御
案内のように、事務所とかあるいは事業所、そういった特定の施設におきまして盗難その他の事故の発生を
防止する。あるいは工事現場等で通行の危険のある場合に、その危険のないように、事故のないように警戒、
防止する。あるいは現金輸送の際に盗まれないように警戒する。または何か危難にあう、そういうおそれのある場合にその身辺を警戒する、いわゆるボデーガード。こういった仕事を、これは本来人間が生まれながらにして持っておる固有の自分を守る、自分のからだあるいは財産を守る権利ということかと思いますが、それを第三者に委託する。その第三者が
営業としてそういうことをやる。これが大体いわゆるガードマンの
内容であろうかと思いますが、そういった業態というものが三十七年にできまして以来、いろんな原因があると思いますが、
一つは経済的な要素、自分が守衛を雇ってやるよりも、そういういわゆるプロに委託したほうが経済的にも安くつくし、それから技術的にも
効果があると、こういうふうな点からだんだんと発達してまいりまして、約四百五十社、これは兼業のものとそれから専業のものと両方ございますが、両方合わせまして約四百五十社というふうに数がふえてまいりました。それからガードマンの数、これはレギュラーと臨時とありまして正確にはつかみにくいのでありますが、レギュラーの者が約三万五千、これも必ずしも正確な
数字でございませんが、そういうふうに非常な発展をしてまいりました。こういうふうに業者の数がふえて、またガードマンの数がふえるに伴いまして、先ほど申しましたような仕事をやっておるうちにそのガードマン自身が
犯罪を犯す。たとえば警備対象のものを盗むというような事案、あるいは先ほど申しましたような警備の仕事をやっております間に第三者、つまり一般市民、国民に迷惑をかけるような行為をやる、そういったような依頼者との
関係におきまして、または一般市民との
関係におきまして、ときには不法な事案、あるいは不法といかなくても不当な事案が発生するというふうになってきました。また一般市民から、どうも
警察官と似た服装をしておってさっぱり区別がつかないと、
警察官だと思って拾ったものを届けたら、それは実はガードマンだった、ネコババしてしまったと、そういうのはこれまた服装を何とか
警察官と区別がつくようにしてもらいたいというような声も出てまいりまして、本来
営業というのは自由
営業が一番好ましいわけでございますが、完全な自由
営業にしておいたのではまずいと、この際何らかの最小限度のそういった不法、不当な事案が起こらないような
規制をする必要があるのではなかろうかと、そういう趣旨からこの
営業者の欠格事由、いわゆる資格でございますね。それから
営業者にやとわれるガードマン、
法律では警備員といっておりますが、それの資格。それからやはり実態を把握する必要がございますから、
営業については
届け出をさせる、そういったような事柄。さらにその警備を行なうにあたって守ってもらうこと。たとえばいろんな団体の活動、特に労働争議なんかの場合に不当介入をしてトラブルを起こした事案もございます。それ以外に、先ほど申しましたような他人の権利あるいは自由を侵害しているような事案もあります。そういうことのないように、また、いま申しました服装について
警察官その他の法令上の公務員と区別ができるような服装にしてもらう。それから仕事の性質上護身用具を持つことは当然考えられますが、これにつきましても限度を守る、あるいはこういったもろもろのことにつきましてよく警備員に対して業者が教育を行なうように、こういった
幾つかの最低限、最小限度の
規定を設けて、先ほど申しましたような不当あるいは不法な事案の発生を
防止する、そうしてひいてはガードマン業務の適正実施ということを期待をいたしたい。もちろんそのためにはいろいろな監督権あるいは懲罰
規定等も当然つくわけでありますが、そういった趣旨のものが今回の
立法の警備業法でございます。