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1972-06-06 第68回国会 参議院 地方行政委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月六日(火曜日)    午前十時四十四分開会     —————————————    委員の異動  六月五日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     橘  直治君  六月六日     辞任         補欠選任      橘  直治君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         玉置 猛夫君     理 事                 寺本 広作君                 増田  盛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 柴立 芳文君                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 安井  謙君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 上林繁次郎君                 藤原 房雄君                 中沢伊登子君    衆議院議員        修正案提出者   上村千一郎君    国務大臣        自治大臣     渡海元三郎君        国務大臣     中村 寅太君    政府委員        警察庁長官    後藤田正晴君        警察庁長官官房        長        土金 賢三君        警察庁刑事局保        安部長      本庄  務君        警察庁交通局長  片岡  誠君        経済企画庁調整        局長       新田 庚一君        外務政務次官   大西 正男君        建設政務次官   藤尾 正行君        建設大臣官房審        議官       小林 忠雄君        自治大臣官房長  皆川 迪夫君        自治大臣官房審        議官       立田 清士君        自治大臣官房審        議官       森岡  敞君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        外務省アメリカ        局安全保障課長  松田 慶文君        農林省農政局参        事官       松元 威雄君     —————————————   本日の会議に付した案件地方自治法の一部を改正する法律案(第六十五  回国会内閣提出衆議院送付)(継続案件) ○地方行政の改革に関する調査  (交通行政等の当面の諸問題に関する件) ○公有地の拡大の推進に関する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○警備業法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方自治法の一部を改正する法律案(第六十五回国会閣法第一〇三号)を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 柴立芳文

    柴立芳文君 委員長から説明がありましたとおり、やっとこの問題が議題に供せられたわけであります。六十五国会内閣が責任をもって提案されまして、衆議院は通過した、そして一年有余になっておりますが、その当時、参議院のほうでは継続審査案件となって今日に至っているわけであります。これは承知をいたしておりましたが、ただ六十五国会で、参議院継続審査案件になりました模様につきまして、けさほど質疑応答要旨というのが配られたのであるが、これは私が勉強すれば勉強できないことはないと思いますけれども、その内容についていま読むひまがないのでございますが、当時参考人も呼ばれましていろいろ御意見を聴取された事実も書いてございます。私ども地方行政委員会があるたびに第一項にこの法案が掲載されておることも承知をいたしておりましたので、私はもともと過疎地帯における農山村の出身でありますので、また地方議会に長くおりまして、この問題について関心を抱いておったわけであります。しかし、国会における審議内容につきましては、当時、私まだ国政に参画しておりませんでしたので、その詳細については知ることができなかったんでありますが、前々からこの議題を早く議題として提案されるであろうと考えておりまして、理事の方に、この議題になりましたら質問をさしていただきたいということをずっと前から申し入れておったのであります。しかし、ようやく本日議題に供せられましたが、その間全国のいろんなところから私どものところにも、この法案の成り行きからいたしまして、早く審議をしていただきたい、そして採決をしていただきたいという要望をいただいておるのであります。私はその採決の可否は別にいたしまして、これは委員会の問題でありますから。しかし、どうしてもこの問題につきましては、いままでの経緯からいたしまして、特に私どもは、当初衆議院を通過したとき、あるいは継続審査案件になったときに出席をいたしておりませんので、当然早く審議になるだろうと考えておったのであります。また、私の申し入れに対しまして、調査案件ならばいいんじゃないかというふうな意見も聞きました。私はこの問題は当然第一番目に提案されておるので議題に早くなるものと考えておったのでありますが、私の予想は全然はずれたのであります。こうなった問題につきましては、よく私にはわからない点がございますので、まあ自治省とされましては熱意がないのであろう、あるいはまた、この法案に対しては後退されたのであろう、こういう疑念を抱かざるを得ないのであります。  そこで、何と申しましても、自治省は都道府県や市町村自治行政の総元締めである。そういうふうな議案に対して一応私ども新人に対しても説明をするのは当然ではないかという気がいたしているのであります。こういうのもきょう回ってまいりましたし、また、こういう法案に対しましても説明を一ぺんも聞いたことはないのでありまして、配付されましたので多少読んだわけであります。そういう観点でありますので、この問題はけじめをつけておかなければならないと私は考えるのであります。したがって、自治省熱意がないのかどうか。そうしてまた、この書類を見ますというと、この法案につきましては、地方制度調査会からの意見も聞かれたというふうに書いてございまするし、もちろん必要性があるので提案されたものと確信をいたしておりますが、本法案は結果的に六十五国会の問題を引き継いでおりますので、これをいただきましたけれども行政局長が、おもにその後に問題点があった点について対話と申しますか、話し合いを持ってその意見調整をはかる努力をされたものである。そうして今日たいへんおくれた理由というのはどういうところにあろうかということ、問題点はどういう点にあるかということを概略説明を願いたいということであります。  第二点は、提案されて一年以上たっておりますから、この法律必要性というものが社会構造の中で、自治体制の中で増してきていると思われるか、あるいは減退していくというように考えておられるか、その点お答えを願いたいのであります。  なおまた、この法案のねらいは、過疎とか、そういうふうな問題の激しい地方に対して広域行政というふうなものが必要になってきた。この法案の目的にも書いてございますけれども、そういうふうな面において、おもに過疎地帯中心にして広域行政効率的な運用をはかっていくという点にあったと思うのでありますが、しかし、これは過密のところ、特に都市近郊と申しますか、過密地帯ニュータウンその他どんどんできてまいりますが、こういうところにこの法律運用によってどういうメリットがあるかというふうな実例について、あればお答え願いたいと思うのであります。
  4. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 地方自治法の一部を改正する法律につきまして、ただいま、本日御審議の日程にのぼったわけでございますが、私どもも六十五国会に御提案を申し上げて以来、一日も早く御審議を願いたいというふうに熱望をいたしていたわけでございますが、いろいろ国会審議事情で本日に至りましたことは、私ども自身もたいへん残念に思っておりまして、熱意を決して失っておりますわけではないのでございます。  そこで、今回の地方自治法の一部改正でございますが、大体大別をいたしますと二つの部分からなっておりまして、一つは、市町村共同処理組織整備、いわゆる連合に関する部分でございます。それから、その他の部分は、地方自治法の総則に関する規定あるいは監査委員の任期に関する規定、別表に関する規定というような部分でございまして、六十五国会におきましていろいろ御議論がございましたのは前者の部分、すなわち市町村事務共同処理組織連合に関する部分でございます。したがいまして、御質問もそうでございましたので、地方自治法の一部改正のうちの連合部分ということを中心に御答弁を申し上げたいと存じます。  そこで第一点は、一体いかなる点に問題点があったのか、こういう御質問でございますが、それにお答えをするに先立ちまして、ごく簡単に御提案を申し上げました理由なり経緯なりをまず申し上げてみたいと存じます。  先ほど柴立委員もおっしゃいましたように、最近社会経済情勢がたいへん変化をしておりまして、市町村共同して広域的かつ計画的に仕事処理する必要性がきわめて多くなってきております。市町村事務共同処理仕組みといたしましては、地方自治法従前から一部事務組合あるいは協議会、その他の組織があるわけでございますけれども、現在の一部事務組合制度は、おのおの個別の仕事共同処理するというような趣旨のもとに構成をされております。  市町村共同して総合的な計画のもとに仕事処理するというためには適切でない部分があるわけでございます。したがいまして、そういう意味合いにおきまして、市町村の一部事務組合に関する規定整備をはかろうといたしましたのが今回御提案申し上げました連合仕組みでございます。これにつきましては、先ほども御指摘がございましたが、第十三次の地方制度調査会の答申に基づきまして、政府立案をし、御審議お願いをいたしているわけでございます。  そこで、いかなる点が議論があったのか、こういう御質問でございます。かなりいろいろな点につきまして国会におきましても御議論があったわけでございます。それにつきまして項目別に申してみたいと思います。直接今回の改正関係をいたします問題といたしまして、まず第一番目に、今回の御提案申し上げました連合制度地方制度を根本的に変えるというような考え方のもとに行なわれているのではないかということは、すなわち批判をされる方は、これが中央集権化につながる、あるいは世上いわれております道州制への第一歩ではないか、こういう御議論がございました。私どもは、もとよりそういう趣旨のもとに立案をしたものではないという御答弁を申し上げ、現在の府県市町村制度のもとにおきます共同処理組織整備であるというふうに御説明申し上げたわけであります。まず、そういう御議論があったわけでございます。  それから第二番目に、先ほど申しましたように、市町村共同して仕事処理をするわけでございます。そういたしますと、いわゆる連合仕事のほうが非常に多くなって市町村自身形骸化をするのではないか、つまり現在の市町村自身を否定することになりはしないか、こういう御議論がございます。これに対しましては、なるほどそれは共同処理をする必要のある仕事がいろいろ出てきておりますことは事実でありますが、なおやはり市町村の区域で処理をしたほうが住民のサービスも向上をし、住民のためになるという仕事のほうがはるかに多いというふうに私は御答弁を申し上げたわけでございます。  それから第三番目に、一部事務組合あるいは連合構成市町村との関係、あるいは市町村住民との関係ということでございます。一部事務組合であります連合事務処理をいたしますと、構成市町村意思あるいは住民意思の反映というものがむずかしくなるのではないか、こういう御議論でございます。この点につきましては、制度的にかなりいろいろな議論があるわけでございますが、私どもはそれに対しまして、従前その適用につきましていろいろ論議がございました直接請求規定のうちの事務監査請求なり、あるいは条例の制定改廃請求というようなものは、今回の法改正を機に連合にも適用できるように考えておる、こういうふうなお答えを申し上げたわけでございます。  それから多少個々条文に入るわけでございますが、今回の法律案の中に、連合共同処理する事務につきまして連合議会に授権をする規定がございます。すなわち、従前の一部事務組合でございますと、一部事務組合で何を共同して事務処理をするかということにつきましては、その事務ごとに個別に規約改正を必要とするわけであります。規約改正構成市町村議会議決を経ることになっております。今回の連合におきましては、もちろんそういう基礎的な構造の上に、あらかじめ連合規約で特別の定めをしておりますときは、個々構成市町村議会議決を要せずして、連合議会議決で「関係地方公共団体協議に代えることができる。」、こういう規定を置いたわけでございますが、これが構成市町村議会議決権を奪うことになり、非常に問題ではないかという御議論がございました。しかし、それに対しましては、そもそも、そういうことを規約で定めなければそういうことが動かないわけでございます。規約で定めますには構成市町村議会議決が必要であるわけであります。構成市町村がそういう取り扱いをしたほうが適切であると判断をした場合にその規定が動くわけでございまして、決して構成市町村議会意思を一方的にじゅうりんをするというようなものではない、こういうふうに私どもは考えているわけでございます。それから、あるいは連合議会議員管理者との兼職規定というものを、ある場合におきましては兼職が認められるようなことを考えています規定がございます。あるいは連合事務局長を置くことができるというような規定を設けようといたしております。その辺につきましても御議論があったわけでございますし、あるいは連合をつくりますと職員の身分というものが非常に不安定になりはしないかと、こういう御心配のもとの御質問もございました。これらに対しましては、私どもはそういう御心配というものはないという意味合いの御説明、御答弁を申し上げたわけでございます。  今回の改正に直接関連をいたしました御議論は、おもなものは大体そういう点でございますけれども先ほども申しましたように、連合というのは、性格としては一部事務組合性格を持ったものというふうに法律構成をしておりますので、一部事務組合制度自身につきまして、すなわち今回の改正個々条文には直接関係はない部分につきましてもやはり幾つかの御議論がございました。簡単にこれを御紹介をいたしたいと思うのでございますが、第一番目には、現在の地方自治法の体系で、一部事務組合につきましては、一部事務組合の運営について必要最小限規定法律に置いておりまして、それ以外の部分につきましては、市町村組織をいたします一部事務組合につきましては、自治法市町村に関する規定準用をすると。つまり包括的な準用規定従前からあるわけでございますけれども、包括的に準用をすることは適当ではないのではないかと、こういう御議論がございました。特に準用規定の中に罰則規定があるわけでございますが、罰則規定準用につきましても御議論があったわけでございます。疑義を差しはさまれる御議論もあったわけでございますが、当委員会、六十五国会におきましても、法制局長官も、政府を代表いたしまして、それにつきましての法律的な解明をいたしたと私記憶をいたしておるのでありますが、そういうような点の御議論もあったわけでございます。  それからさらに一部事務組合自身構成基本の問題といたしまして、一度一部事務組合をつくりますと一方的に抜けることができない、脱退が不自由である、これは問題ではないかという御指摘もございました。これは、なるほどそういう御議論もあろうかと思うのでありますが、一部事務組合というのは関係市町村合意の上にできたものでありますので、やはりその構成団体を変える場合には、すべての関係市町村合意が必要であるというふうに私どもは考えておるわけでございます。  それからさらに一部事務組合の形成につきまして、現在の地方自治法の中に、市町村の一部事務組合につきましてはいわゆる強制設立規定がございます。これにつきまして、こういう規定があるということ自身問題ではないか、あるいは連合強制設立させるのではないかと、こういうような御指摘もあったわけでございます。この点につきましてはいろいろな見解があろうと思いますが、当時の自治大臣も、この点については法律論としてはいろいろ議論があろうと思うので、なお検討をしたいという御答弁を申し上げたことを私記憶をいたしているわけでございます。  大体この法案につきまして六十五国会を通じまして御議論がございましたおもな点は以上のとおりでございます。  そこで第二番目に、いままで継続審査になってきているけれども、この連合制度というものが一体必要性は増しているのかそれとも減退をしているのか、こういう御質問でございました。私、当初申し上げましたように、市町村共同して総合的、計画的に処理をする必要性というのは時を追ってますます強くなってきているというふうに理解をいたしております。したがいまして、一刻も早くこの法案の御審議を願い、御可決を願うことを私ども期待をいたしているわけでございまして、そういう共同処理組織整備必要性というのは、私はますます増してきていると、こういうふうに申し上げてよかろうかと存じます。  それから第三番目に、この連合制度というものは一体どういう地域社会に対して適用しようと思っているのか、過疎地帯と申しますか、あるいは農山漁村地帯中心に問題が展開をされるのか、あるいはそれ以外の過密地域なり都市地域についてもこの連合制度というものが適用されるのかと、こういう御趣旨の御質問でございます。私どもは、数年前から国と地方団体が協力して進めておりますいわゆる広域市町村圏仕事というものを円滑に進めますためには、このような連合制度がぜひ必要であるという認識を基本に持って御提案を申し上げているわけでございますが、しかし、この連合制度は、いわゆる広域市町村圏だけに適用され、あるいはそこで活用されることだけを期待をいたしているわけではございません。およそ市町村が総合的な計画のもとに共同処理をするという場合にはこのような仕組みが私どもは必要であろうと思います。したがいまして、たとえば都市地域におきましてもいわゆる都市連合——都市同士共同をして、たとえば総合的な都市計画のもとに仕事をやっていくというような場合におきましても、あるいは最近のたとえばニュータウンでございますとか、あるいは研究学園都市でございますとか、数カ市町村にわたりまして一つの総合的な町づくりをしていこうというような場合におきましては、現在の一部事務組合制度ではこれははなはだ不便、不適切でございまして、やはりこういう市町村連合制度というものを、そういう面におきましても今後大いに活用していただきたいし、また活用されることを私ども期待をいたしているわけでございます。
  5. 柴立芳文

    柴立芳文君 いま行政局長の御答弁は、自治省としては熱意がないわけではない。なおまた、連合のことについていろいろ前国会における問題点を明らかにしていただいたわけです。さらにまた、農山村の過疎地帯だけではなく過密地帯についても必要性がある、こういう御答弁であった。しからば行政局長としては、一年以上たっているのですが、そういうふうな連合に対するいろいろな問題点、そういうふうな地方自治の根本に触れる問題、そういうふうな問題について御議論があったとするならば、その後、この一年間の間にどういうふうな措置がなされたかをひとつお伺いいたしたいのであります。
  6. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 先ほど申しましたようにいろいろ御議論があったわけでございますが、私ども政府当局といたしましては、御提案当時最も適切であるという判断のもとにこの法律案を作成をいたしまして御審議お願いをいたしたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、全体の骨格なり考え方というものにつきましていろいろ御議論はございましたけれども、それについてこれをこうしたらいい、ああしたらいいという格別の意見を現在持っているわけではございません。これはぜひ私ども考え方骨格国会でお認めを私は願いたいと思うのでございます。ただ、先ほどちょっと申しましたように、一、二点につきましては、当時国会におきまして、当時の自治大臣検討をお約束をした点がございますので、そういう点につきましては内部的に検討を続けているわけでございます。
  7. 柴立芳文

    柴立芳文君 それじゃ、ちょっと大臣にお伺いいたしたいと思いますが、こういう経過をたどってきているし、また自治大臣国会対策としてはベテランでもあるわけでございますが、いわゆる自治省としてはこういう錯綜して多極化になっている地方自治体を何とかして新しい方途を取り入れていきたいということだと思うのですね。それに対して、この一年間の間に自治大臣として、いわゆる国会、まあ参議院の中で、こういうふうにすればいいじゃないかというふうなことでもあったとすれば、そういうふうな点についてひとつ御答弁願いたいと思います。
  8. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいま政府見解といたしましては、いま行政局長が述べたとおりでございます。私も本提案継続審議になっておりますし、これが継続審議になりましたときの経緯等につきましては、当時国会対策関係もしておりましたので、参議院のときに特にお願いして継続審議にしていただいたというふうな点につきましても、選挙前の議会でございましたが、いままでにないようなことでございましたが、あえて継続審議お願いしたというふうな、時の事情も知っておりますので、ぜひとも今国会におきまして御審議を願い、いまも申しましたように、政府といたしましてはこの骨子で国会の御可決を賜わりたいとこう存じておりますが、審議経過等もこれあり、もし必要とあれば、私たちも前大臣お答えしましたような点につきましては一部修正等もやむを得ないんじゃないかというふうな点、とにもかくにも御審議を賜わりたいということでお願いしておったのでございますが、今日に至ったような次第でございます。もちろん、その間、本年は特別に予算委員会が一カ月延びました関係上私が出席することができない、その上に、なおわが自治省のどうしても時期的に期間を切っての必要とする法律審議等が先行いたしまして審議がおくれたのじゃないか、かように思いますが、ぜひこの法律案を成立いたしまして、現在の広域行政の進展に伴っておりますところのあり方で、現在の事務では、地方自治体にとりまして迅速、効果的な行政効率をあげる上において十分と言えない点もあろうと考えますので、十分な効率をあげるために、一日も早くこのような法案の成立いたしますことを政府としては熱望し、委員各位にひとつ御援助のほどをお願いいたしたい、かように考えておるような次第でございます。
  9. 柴立芳文

    柴立芳文君 私は、この法律案審議については、自治省熱意があるんだけれども委員会のほうの問題でしょう、こういうふうに聞こえないこともないんです。私も委員の一人ですから、結局私も責任がある、かように考えております。ただ地方自治というものは非常に多極的になり、広域的にならなければならぬということはだれでも承知しておると思うのです。特に公害に対する自然環境の問題が出てくる。保健衛生にいたしましても、だいぶこのごろは体内にいろんな薬品が入っておるという問題も、これは避けて通るわけにはいかないと思うんです。地方自治体といたしましては、そういうふうな非常に民衆の要望というものも多極的に出てくると私は思うんです。そういう山積している中で、この法案の意味というものは、端的にいいますと、ぼくはいろいろ局長からお話がありましたけれども、あなた方が四十五年度から広域市町村圏ということで予算化された、そういうような中で、この広域市町村圏の進展と並行して、従来の一部事務組合地方自治法の第二百八十四条で運営されている一部事務組合を地域の実情に応じて効率的なものとして、地方自治体意思がもしあるとするならば、その意思に浴っていくという方法を講ぜられたもの、それが連合であろう、こういうふうに私は端的に解釈をいたしておるわけです。その中にいろいろな異論はあるでしょう。しかし、その異論、こういう異論に対して対応していきたいというふうに具体的なものが足りなかったのじゃないか、それを熱意が足りないんじゃないかとぼくは言っておるわけです。したがって、そういうふうなことでありますから、この法案だけは一応何とかして審議していただく、そしてその合意に達しなければまたいろいろな方法があるでしょう。  いま、ところで大臣にそういう観点からお聞きいたしたいと思うのでありますが、今会期は十六日までです。地方行政委員会の今後の日程を、私は自民党の理事の方にちょっと見せていただいた。そうしますと、どうもこの法案につきましては、きょうで一応終わりたいというふうに考えられるわけですね。時間切れ、審議未了、廃案というふうな方向になるんじゃないかと私は予測するわけです、推定をするわけです。大臣はどう思われますか。そういう点について私の推定どおりだと思いますか。
  10. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私も国対関係をやらしていただいておりますので、そのような柴立委員指摘のような状態、御質問の点はわからぬではございませんが、政府といたしましては、そのとおりでございますということを答弁できないのが政府の立場じゃないか。あくまでも政府といたしましては’成立をお願いするのが私の答弁でなければならない、このように考え、お願いいたしたいと思います。
  11. 柴立芳文

    柴立芳文君 さっきからの御論旨の中身、そのとおりだと思うんですね。どうして私がこんな変な質問をするかということにつきましてもおわかりだろうと思うんですよ。この法律案が、自治省自体で何か皆さんの中に異論もあり、いろいろ違った意見もある、こういうこともいろいろな点で承知をいたしますよ。しかし、そのことが、自治省はいまどうしてもやってもらいたい、解決されようという努力が私は少ないんじゃないかというふうな気がするわけなんです。私どものところに、先ほどからも申し上げますように、けさも監査委員の全国の会長がおいでになりまして、あれどうなりますか、きょうは、ぼくは質問するんだけれども、どうも見込みがなさそうだと率直に申し上げておきました。というのは、きょうになってこれ上程されたからと思います。それで私の質問内容は、いまからそういうことであれば、私はそう推定しているものだから、少しこの内容について問題点があると言われるから、その問題点をさらに深く聞いてみたかったんですけれども、そんなことをしていましたら一人舞台になっちゃう、何の効果もないと私は思う。むしろ無意味ではないかと考え出したんです。だから、私はもう突っ込んだ質問はいたさないつもりです。しかし、どうしてもこの問題については、何とかしていまの実態、問題点問題点として検討されまして、どうしても通していただかなければいけなんじゃないか。それは自治体の発展のために、その目的が多極化しているために申し上げたいわけなんですよ。  そういう観点から、次に大臣にお伺い申し上げたいと思います。地方財政計画もきまりまして、膨大なものですね。ことしはたくさんな借金をされまして、昭和五十年までかかるという償還計画もあるわけですね。そういうふうに非常に順調に日本の経済が発展した中での地方自治体の財政、これは一体的なものでありますから、そういうふうなものが、ことしは非常に大きな坂道にさしかかってきておるということでしょう。そうして、なおまた地方自治体の実態というのは、非常に民衆、大衆の要望というものは多極化されてきた、またそういう環境にあるわけですね。そこで、いままで日本の経済がこういうふうに進んできて、たとえば総生産にいたしましても非常な進みぐあいだ、それだから、そのことはまあ工業立国というふうなことから人口の移動が始まっていることは私が申し上げるまでもないことなんですね。そうしますと、農山村における過疎の問題あるいは工業地帯における人口過密の問題、これは必然的にもう何人が想定したよりも日本の経済が早く伸びてきているから、そういうふうになってきておることはこれはいなめないと思うんですよ。その中で地方自治体運用を、自治法改正を伴って、自治省はいままではそういう現象に追従と申しますと失礼かもしれませんよ、そういう現象、過疎ができたから過疎の振興法案を出そう、そういうふうな形だと私は思っておりますよ。しかし、今日非常にそういうふうなことが急速に進んだので、公害の問題もあわせてたいへんな問題になりつつある。それは従来の地方自治体運用とかそういうふうな面において非常に変わったものが出てくる。そういうふうなものを大局的にとらまえて、地方自治体のあるべき姿というふうなものを検討されておりますかお伺いをいたしておきます。
  12. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 過密、過疎の問題は、私の今国会にあたりましての所信の中でも触れさしていただいたのでございますが、急速に変貌する社会、経済情勢の変更に伴う自治行政のあり方として、これは最も大きな問題としてとらまえなければならない問題であるというふうに考え、予算等におきましても、重点的にこれに対処するための予算を組ましていただいたことは柴立委員よく御了承賜わることでございます。なお今日、経済圏の広域化におきまして、従来から進めてまいっております広域市町村圏の運営をいよいよ拡充していくということもこれは非常に重要な問題でなかろうかと考え、また今日まで議員立法を得まして進まさしていただいてまいっております。  過疎対策の問題も、五カ年計画がやっと中間年度である第三年の年次に立ち至っております。この五カ年計画は、計画そのものは、私は予算的措置におきましても計画どおり五カ年で解決し得るという自信をもってお答えすることのできる程度にまで進んでおります。ただ問題は、これだけの計画でほんとうに過疎が解決するかどうか。私は、この点が非常に問題であり、中間年度であるところの本年度において、ぜひとももう一度過疎対策の根本に返って、府県並びに関係市町村で御検討を賜わりたいと思うようなことを考えておりますが、この過疎対策の根本の中に、いま、ことし指定を完了するところの広域市町村圏の中であわせて解決していただいて初めて解決し得る問題でなかろうかということも考えまして、過疎対策の一環として、そういうふうな点もあわせて広域市町村圏で考えていただきたいと、こういうふうな指導の推進もお願いしておるような次第でございます。  なお、過密対策に対しましては、財政その他につきまして、予算要望において、必ずしも私たちの問題、提案いたしました、要望いたしました予算を全部獲得することができなかったのでございますが、引き続きましてこの問題は解決にもっていかなければならない問題であると、今後ともに努力を続けてまいりたいと、かように考え、できれば過疎対策のような法案にまでできますようにぜひとも努力をいたしたいと、かように考えておるような次第でございます。その行政措置の一環といたしまして、この連合法案、行政運営のあり方において効率的な運用を行なう意味において、ぜひ行政運営の効率化という点からも、この法案を成立いたしますことによって広域的な共同処理というものの大きな前進がはかられるのじゃなかろうかと、かように考え、提案をしてきたところでございますが、その意味からも、一日も早く成立をはからなければならないと、このように考えておるような次第でございます。
  13. 柴立芳文

    柴立芳文君 大臣のそのことばをもう少し早く聞きたかったわけなんですけれどもね、私は。そうすると、皆さんにお願いするんですけれども、どうもさっき申し上げたような、私の考えているような方向にいきそうなものですから、少しおそいんですね。だから、実は私の本籍の山村は非常に小さいところでございまして、もともと七千五百ぐらいだったんですけれども、いまは五千二、三百しかおりません。二つ隣接市町村の一部事務組合——近いうちに四つつくらなければならない実態であります。小さい、十四人くらいしか町会議員がおりませんけれども、そういうところにずっと行きますと、ほとんどの議員が一部事務組合議員とならなければならない、こういう実態でございます。したがいまして、これは過疎地帯におきましては非常に深刻な問題でございまして、付近の市町村長の意見を聞きましても、何とかしてくれと言われるんです。私は問題点があれば、その問題点に歩み寄っていくという方法を早くやってほしかったわけなんですけれども、どうもおそきに失しているように考えております。しかし、この問題は、このままほっておくわけにいかないと私は思うんですよ。しかし、そうすれば、どういう形でこういう問題をやるかという問題が出てくるんです。皆さん方は自治省として、これをやってくれとおっしゃったことが、どうも通りそうにない、そうすると、廃案になるとまた新しい観点でやらなきゃならぬでしょう。そうした場合に、やはり話し合いというものがうまくいきそうかどうか。そうして自治省の案というものが批判を受けているならば、その批判を受けている分を多少その話し合いによって解決していく自信が行政局長ありますかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  14. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) いま、私どもの立場で、廃案を前提にしての御議論お答えを申し上げるのはたいへんつらいのでございますけれども、まあそういう場合ということでお答えを申し上げますが、先ほどいろいろ御議論のありました問題点を私御説明を申し上げたわけでございます。その中には、考え方基本から、どうも私ども考え方と違う立場の考え方もございます。そういうような点につきましては、なお私ども検討はいたしますけれども、おそらく私ども考え方基本を変えるわけにはいかないと思うわけでございます。しかし、御議論の中には、御議論をされるに、なるほど私どももその理由については首肯できるというような点もございますので、そういう点につきましては、なお引き続いて検討をいたしまして、大方の御了解を得られるような最大限の努力はいたしていきたいと思っております。
  15. 柴立芳文

    柴立芳文君 中身はもう御質問をいたしませんが、ただ、どうも経済の見通しというふうなことを考えての地方自治体の財源の問題、そういうふうな問題で非常に通産省あたりの、一部で考えられているGNPですか、国民総生産の推移というふうなことが想像されておりますが、私は、自治大臣、アメリカでいまの経済成長になるまでに五十三年かかったとある雑誌に書いてあるんですよね。日本の場合は十五年でやったのですから、社会構造、経済構造、いろんなところにひずみが出ている、こういうふうな書いてあるとおりだと私は思うんですよ。それが地方自治体に的確にあらわれている、人口の移動にいたしましても。一方、今度は不況対策があって、経済の伸びがとまった。それによって、てきめんに、借金をして地方自治体の財源に充てなければならないということになったわけでしょう。ところが、昭和四十五年度は六十兆のGNP、そうすると五十年度には九十兆はあるだろう、こういう見方もありますね。六十年度には二百兆は上がるだろう、こういうことです。そうしますと、たいへんな、社会構造がさらに変わっていくというふうなことが想定されるわけですよ。そうしますと、いまの地方自治法によりまして、交付税の問題その他いろんな問題を、あんまり政府が小さいこまかいところまで干渉し過ぎないで、もう少しおおらかに、自治体というものの独立採算というものや、そういうものを認めて、そうしておおらかにやらしていくという方向に変わっていかなきゃならぬと思うんですよ。そうしますと、いまの自治省考え方を、さらにそういう五十年、六十年に向かって構想を練っていく必要があると思うんですよ。いまの自治体のやり方、発展の中で。だから、そういう面について構想をいろいろ考えて、地方自治法の進むべき方向というものが、いま広域市町村圏の場合についてはこういう方法がなされた。それはいわゆる初めてのことだと思うんですよ、このことは。そのことが挫折している。そして、さらに私はその様子が変わってくると思っておりますから、そういう中でもう少し飛躍したことを考えていく必要はないかどうかということを、最後に大臣または行政局長でもいいですからお答え願いたいと思います。
  16. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 経済、社会情勢が急激に変化をいたしまして、今日の自治体の行財政運営をさらに長期的な面から根本的に考えていかなければならないところにきておるのじゃないか、いま、あまりこまかいことにとらわれ過ぎぬように、大まかにやられるような制度と、こういうことでございましたが、財政面におきまして三千二百八十八の自治体があまりにも貧富の懸隔の差がございますから、国税という形で一応は税は取る、税の六〇%を国庫支出金、補助金あるいは交付税の形でいま還元して行政水準の維持をはかっているというのが交付税制度の原則になっておりますが、現在の交付税率で、はたしてふえていきますところの地方自治体の行政需要、財政需要をまかなうことができるかどうか。また、そのための行政運営のあり方につきましても、現在のような市町村の規模でよいかどうか。広域市町村圏もそのためにつくられたものでございますが、これは、しかしながら国の国政の分野ともあわせまして、事務再配分の問題あるいは税の配分の問題等根本的なものにわたるんじゃないかと、こう考えております。しかし、いま柴立委員の御指摘になりましたとおり、それらの問題について、今日、真剣に考えなければならぬ時期にきておることは事実でございます。地方制度調査会委員の任期を二年にいたしまして、これらの問題について長期的な視野において御検討を賜わりたいというので特に法案をいま御審議お願いしておるような次第でございまして、当面の問題だけでなく、あわせていま柴立委員指摘のような点を、長期的な展望に立っての御検討委員各位にお願いいたしまして、将来の地方行財政の運営について支障なきを期してまいらなければならないと、このように考えておるような次第でございます。  なお、前に、もっと早くその必要性を言うておったら、いまやったらおそいというおしかりを受け、まことに申しわけないのでございますが、私も、いま御激励のことばをいただきまして、もう少し早く柴立先生からその御激励のことばを聞いておったなればと思ってむしろ考えておるような次第でございます。  なお、資料等の点につきまして、きょうもらったということですが、これは委員会のほうでつくられた調査室のものでございますが、政府のほうは御要望がありましたら幾らでも資料も何しますので、またよろしくお願いいたしたいと思います。
  17. 柴立芳文

    柴立芳文君 まあ、返しことばみたいに言われますけれども、私は根本的に渡海自治大臣は非常に地方自治に熱心だと思っておるんですよ。しかし、この法案の取り扱いだけにつきましては非常に不満なんですよ。それはやはりこういう新しい制度として出されて、去年から衆議院を通過しているんでしょう。衆議院に対してもこれは失礼ですよ。だから、採決してだめならだめでよかったんです、私は。そういうふうな、ことにいま委員会の問題でしょうけれども大臣が決意があるかないかという問題に私は帰すると思うのですよ。それですから、最善を尽くしてほしいということと、もしこれが審議未了になって廃案になったなら新しい感覚でひとつ練り直してほしいということを要望いたします。  以上でございます。
  18. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  19. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 地方行政の改革に関する調査のうち、交通行政等の当面の諸問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 六月一日の地方行政委員会において、特に昭和四十七年度において実施すべき交通安全施策に関する計画書、この中身の中核をなすのは人の命、つまり静かなる殺人としていわれておる交通災害、それを撲滅する、そのために交通施策を確立するということがこの計画の骨になっておると思います。そのことを中核に、骨にしながら、実はいま起こっている当面の問題として、横須賀——相模総合補給廠、その間国道十六号が走っている。その上を四十六・七トンもある米軍の戦車、それを積むトレーラー、合計五十一トン何がし、運転者を加えると相当の重量のものが国道の上を走っているという事実は、これは先般明確に認められたわけであります。しからば、そのことが、建設省サイド、交通取り締まりの警察庁の側、とりわけ米軍ということになりますから外務省の見解等をお聞きいたしまして、はからずも三者がばらばらの答弁でありまして、私がもう以前に理事の皆さんなり同僚の委員の皆さんから、それはおかしい、だからすみやかに各大臣を呼んで、出ていただいて、その点についての意思統一、明確なる答弁を要求すべきだということになり、委員長にそのことを要請いたしました。当日は困難でした。そこで、きょうということになりましたが、いまここで委員部から案内をいただきますと、外務省は大西政務次官、警察庁は片岡局長、建設省が藤尾次官、こういうメンバーでございます。最初に要請したメンバーとは——位の上下を言うのではございません、やはり次元の高い政治的な問題であり外交的な問題でもあるわけでございますので、ぜひともと大臣出席を要求した次第でありますが、外務、建設当局から、大臣の出れないというその理由を明らかにしていただくと同時に、わずかの時間でございますから、十二時までの間やりくりしながらでも大臣に出てもらいたいと思いますが、各次官から、その点についての理由と努力の可能性についてお答えをいただきます。
  21. 大西正男

    政府委員(大西正男君) ちょうどきょうは参議院の外務委員会のあります日でございまして、きょうは十時から開会をされておると聞いております。大臣は、そちらのほうへ出向いておる関係でございまして、きょうは物理的にこれが不可能でございますので御了承いただきたいと存じます。
  22. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) お答えを申し上げます。  当然仰せのとおりの大事な問題でございまするので、大臣が出まして大臣見解を述べるのは当然でございまするけれども、はなはだ遺憾なことには、本日、参議院の建設委員会が開会中でございまして、たくさんの法案を私どもただいま御審議を願っておるわけであります。その提案理由あるいは質疑というようなものに大臣が当たっておりますので、かわりまして私が出席をさしていただいたわけでございます。しかしながら、私は政務次官でございますけれども大臣の名代といたしましてここに出てまいったわけでございますから、大臣といたしましてのお答えはいたしますから、どうぞその点は御安心を願いたいと思います。
  23. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 最終的な見解と申しますか、先般は外務当局の条約局長を通じてお願いをしたわけですが、きわめて不明瞭でありましたので、きょうはその見解をいただけばいいわけですが、その前に、この前からすでに時間を相当経過いたしておりますから、まず建設省でございますけれども、建設省は道路法、それに即応して車両制限令というのが出たのは昭和三十六年七月十七日であり、これも四月一日から改正されて、具体的に第三条において重量規制が従来は二十トンでありましたが、二十七トンになった。しかもそれはこの罰則強化をしようにしてもどうしても違反事項が多いので、いわゆる違反事項を寛大にするという意味で規制をゆるめたのであります。しかしながら、そのことは答弁の中で、だがしかし二十七トンにしたけれどもより強化する、罰則取り締まり等を。そのことを前提にして二十七トンにしたという答弁であったわけです。そこで、いま横須賀に起こっている事象については、先般局長もその事実を実は認めたわけでありますが、具体的にそれをどうするかということについては明快な答弁がいただけなかった。だから建設当局は、その後この問題で省内で討議をされたと思いますが、何とかして二十七トンに押えることの努力をできないものかどうか。道路保全の立場、国民から委託された国道を国民のものとして保全と利用を保障する立場に立つ建設省が二十七トン以上の車が横行している現実に対してこれは黙視できないと思う。先般、橋が幾つあるかと言ったら六つあるとおっしゃった。橋の設計は最高何トンをもって設計されているのか私は先般聞かなかった。しかしながら、制限令というのは、そういうことを総合的に判断して制限令が出たと考えるのは常識であります。でありますから、橋梁等がかなり私は重みに耐えかねているんではないか、こういう質問をしましたら、どうおっしゃったかと申しますと、耐用年数は幾らか減ったかもしれないという答弁であります。こういうすぐれた官僚的答弁をいただいてぼくはがく然としているのでありますが、とにかく省内でその後検討された漸進的な討論内容があったらまずお聞きします。
  24. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) この問題につきましては、ただいま仰せられましたように、事務当局から従来の重量制限をゆるめつつあるという趣旨答弁をいたしたと思います。しかしながら、それはどこまでも相対的な問題でございまして、一方におきまして、御案内のとおり、最近は建設機械等も非常にその重量の大きいものが使われておるわけであります。したがいまして、従来の基準といいまするものではやっていけない。そういう事態にきておりますから、一方におきまして、橋梁その他のつまり重さに対する措置、強化措置といいまするものを、たとえばかけかえるとか、あるいは橋げたを強くするとかいろいろな措置があるようであります。そういった技術的なことをやりながら、同時に並行いたしまして、その道路の管理をいたしかねるというような重量のものにつきましては、それに制限を当然つけていくべきであり、それに対して罰則を付すべきである、そういう国内法的な考え方には変わりはございません。趣旨においてそのとおりでございます。
  25. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 いま次官の御答弁は、いわゆる社会、経済の発展によって車の形、重量が変わる、これは私は認めます。しかし、皆さんがおつくりになった政令では重量が二十七トン、四月一日から。ところがこの五月の段階で、いまゆうゆうと四十六・七トンの戦車を五トンのトレーラーが積んで走っている、その事実をどうお考えになるかということです。橋を直している間がないのです。それの討議をどうおやりになったかといういまのなまの問題を伺っているのです。
  26. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) この問題は技術的な問題でございますから技術者からお答えをさせるのがよろしいかと思いますけれども、決して私は牽強付会に論をなすのではなくて、御案内のとおり、トレーラーといいまするものは、その長さによりまして、積んでおりまする物の重量の受け方がそれぞれ違うようであります。したがいまして、そういった面において個々検討を加えるということが私はよろしいんじゃないか、かように思いますけれども、いずれにいたしましても、現在御指摘のような四十何トンというような戦車、こういったものが通っておるのではないか。これにつきまして、私どもが調べさせましたところによりますと、最も弱い橋におきましては、その耐え得る重量の一応の許可条件は二十六・一、大体二十七トンということでございます。したがいまして、これをこえるものが、それが何回も何回も自由自在に走り回るということになりますと、当然その橋はその重みに耐えかねまして、そこにその橋自体の持つ構造を変えていくとか、あるいは強化措置を特別にとるとかいう特別の措置を必要といたします。したがいまして、そういったところを自由自在に通られるということは、まことに私どもといたしましてこれは耐えかねることでございます。できるだけそういうことのないように横を回ってもらうとか、あるいはその間に補強措置をとるとかいうような非常措置をその場合にとっていただかなければならぬ。また同時に、御案内のとおり、橋でも道路でも同じでございますけれども、通る時間帯によりまして、これはそれだけが通るという場合と、ほかの車も同時にそれに乗っかっておるというような場合でも、これはおのずから違ってくるわけでございます。したがいまして、そういった面におきまする十二分の連絡措置というものを行ないまして、そうして、こういう条件のもとではここまで耐えられるんだという一つの基準を、これは道路管理当局である私どもとの間に、運搬者であられますその責任当局が御相談をいただいて、そうして私どもの指示に従ってひとつ御運営を願いたいものと、かように考えておるわけであります。
  27. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 一々次官のことばを取り上げませんけれども、たいへんな誤謬をおかしておられるわけですが、ただ、いま最後におっしゃった、そういう二十七トンに耐えられない橋が出ているわけです。にもかかわらず通っているという、夜ということも昼ということもある。いずれにしろ、もしそういうような特殊な状態にある場合には申請、届け書を出さなければならないことになっている、国内法では。ところが、国道の八王子事務所あるいは横浜事務所には届け出をしてないということを私ども調査をしているわけです。だから、いま次官がおっしゃるような特別な手当て、特別な配慮、そうしたことはいまの場合できる条件でなかったことをやはり次官自身がそれを確認していただいて、それに対する建設省が、道路、橋梁、国民のものでございますから、それを守るための努力をこれからやはり大いにやっていただかなければならないんじゃないかと実は思います。  そこで、次に警察当局でございますが、先般三十日にこうしたことについての、これはけしからぬというので勧告書をお出しになったということを伺いましたが、私は、その勧告書は、どこからだれに対してどのような内容をもって行なわれたか、概要でけっこうでございますがお聞きしたいと思います。
  28. 片岡誠

    政府委員(片岡誠君) 神奈川県の警察本部長から在日米陸軍の輸送隊の隊長宛に書面を出しております。それは、中身の趣旨の概要でございますけれども、題名は「交通危害の発生防止について」という題名で、新聞報道によれば、相模原市所在の補給廠から戦車などを搬出するに際して、これに従事する車両運転者が、信号機の信号にも従わず、踏切直前で一時停止しないで運行しているというようなことが新聞報道でなされておる。もし、万一そういうようなことが事実であるとしますと、信号無視であり、あるいは踏切の一時停止義務の不履行であるので、わが国の道路交通法の違反にもなりますし、そういう現下の交通事情のもとにあってはきわめて危険な行為である。つきましては、貴官におかれては担当職員その他関係者に対する指導を十分徹底されて、こういう道路交通法違反といったような危険な行為の今後起こらないように留意していただきたい、そういう意味の文書でございます。
  29. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 この文書を見て、私非常に残念に思うことは、最近の新聞の報道によるというようなことを根拠にしてこの文書を出されておることは、私は一体警察がおるのか、おらぬのか、そこに。不思議でならないんですよ。目をつぶっていても、二階におる人たちが振動が激しくて飛び起きるようなことなんですよ。しかも、警察署が深夜といわずいつも御苦労なさっておることについて、先般私たちは災害補償のほうで、ここで百分の五十ですか、わずかでございますが快く賛成をしたわけですよ。にもかかわらず、新聞の報道によってこのような防止の勧告を出されるということは、根拠はきわめてあいまいだと思うのですよ。だから、こういうことだけでも、一体相模原警察署は何をしておったのだろう、神奈川県警本部は何をしておったのだろうということを私は言いたいのだが、きょうそのことは置いておいて、まず遺憾の意を表明したい。大体中身は、赤灯の回転などは警視庁にあるような車のことを言うのでしょう。それを戦車ですか、トレーラーですか、かってにやっておったということなんですから、これは明らかに道交法ですか、どういう法律ですか、私は、われわれやったってしかられるのだから、違反だと思うのです。そういうことを御指摘なさっていると思うのです。問題は、それも大事だ。しかし私どもは、相模原警察署みずから言っているように、長さ、高さ、幅、これをチェックしました、こういうことを言っておるわけです。それは車両制限令に大体合致してたんじゃないか。先ほどの建設省の次官がおっしゃったように、長さと重さとの相関関係だなんというようなことはそれはないことで、重量は重量、長さは長さ、幅は幅、はっきりと制限令に書いてあるんですから、建設省の。私はそういうことで言いのがれは許されないと思いますけれども、ただ、相模原の警察署では重量だけはチェックしてないんですよ、これは残念ながら。そこできめ手がなかったんじゃないかと思いますが、しかし、いま申し上げたようなことなどで、いま建設省も橋が弱いんだと言っております。こういう状況の中で交通事故が発生したら警察当局はどうしますか、警察庁は。交通局長としてどう考えますか。これはきわめて重大なことですがね。まあ外務省の見解はあとで聞きますけれども、警察庁当局はどうです。これでいいですか、野放しにしておいて。
  30. 片岡誠

    政府委員(片岡誠君) 法律問題はあとであるいは話が出るのかもしれませんが、いずれにしろ、在留米軍等といえども日本の国内法規を順守する義務を米軍の中で課しておるようでございますし、当然私どもとしては、その道路交通の安全のための法律である道路交通法そのものが米軍によって守られるということを期待したいと思いますし、また、そういう面で道路交通法違反の事実があるとするならば、関係向きに注意を喚起していくと、そうして米軍の内部規律としても十分その趣旨が徹底されるように、いままでもしておりますし、今後もしてまいりたいと考えております。
  31. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それで、外務省からおいでになっておる大西政務次官にお伺いしますが、先般、特に外務害にしぼって、条約局長答弁がきわめてあい願いでしたから、省内でかなり検討されたから、私は質問の向きを申しません。検討した内容を発表してください。
  32. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 前回、わが省の局長が出て御答弁を申し上げたというふうに承っておりますが、この問題につきましては、安保条約に基つきましてわが国に駐留が認められておる米軍につきましては、その地位等について規定をいたしました地位協定があるわけでございます。御承知のとおりでございます。そしてまた、この協定及びその実施細目による合同委員会合意によりまして諸般の行動が律せられることに相なっております。この地位協定上日本国の——わが国の法令に従う旨特に定められておりますのは、同協定の十二条第五項に掲記をされておる点でございます。しかしながら、これを除きまして、わが国の法令の面接の適用を受けるという仕組みにはなっておりません。また、わが国の公権力の執行の対象になるという仕組みにも相なっておりません。しかしながら、このことは米軍がわが国の法令、秩序を全く無視してよいということではないのでございまして、施設、区域内の米軍の作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行なわれなければならないということに協定上第三条の第三項にそういうことが書かれております。また、施設区域の内外を問いませず、日本国の法令を尊重する義務を米軍の軍人などに課しておるわけでございます。そういうふうに、わが国の公共の安全や秩序の維持を協定におきましても確保いたすことに相なっておるわけでございます。で、かような意味から、いま問題になっております御指摘の米軍の車両による交通法規の無視、これはまことに遺憾なことでございますが、この点につきましては、米側に対しまして、わがほうの法令の尊重方を厳重に申し入れをいたしまして、先方も、今後このようなことはしない、こういうことを約束しておるわけでございますので、その後はそういう問題は起こってないと存じております。  以上お答え申し上げます。
  33. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 政務次官がいまおっしゃった、外務省から米軍に対してかようなことは困るからやめてもらいたいとおっしゃったのは何月幾日ですか。
  34. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 課長からお答えいたします。
  35. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  これは六月一日、外務省から外交ルートで米大使館に申し入れてございます。
  36. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 お出しになった文書をいただけませんかね。公務員法違反にならぬようにしてください、しかられないように。
  37. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 通常その種外交ルートにおける連絡は口頭による申し入れをいたすことになっておりまして、今回の場合も口頭による申し入れでございます。
  38. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 日本の国内法をじゅうりんしているのにかかわらず、口頭でちょっと気をつけなさいよと、頭なでてくるんですか、そんな外交ですか。秘密電報等、非常にあるということを聞いているのですが、そんな外交でやっておるのですか。楽ですよ、私、外務大臣やりますよ。そんなかっこうで、そんな外交やっているの、外務省で。はっきりしなさいよ。
  39. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  ただいまの御質問が、申し入れをいつ行なったかという御質問でございましたから、日付を申し上げて、その方法が口頭であったと申し上げました。しかしながら、なお補足させて御説明申し上げますと、この種日米間の案件につきましては、地位協定の実施という側面を持っておりますので、地位協定二十五条によりまして設立されております合同委員会案件として処理する方法と、あわせて外交ルートに乗せまして外務省、米大使館の間でものを申す方法と二つあるわけでございます。私どもといたしましては、関係省庁と御協議の上、合同委員会を通じる正式の文書によりまして米側に注意喚起及び法令尊重方を申し入れる予定にしておりますが、この合同委員会は二週間に一回開会されることとなっておりまして、それまで待ってやるのでは、先生御指摘の緊急の案件に間に合わないと、そのように判断いたしましたので、先週問題提起がありまして、直ちに警察は警察なりに米軍基地司令官に警告書をお発しになると同時に、私どももとりあえず口頭で大使館に申し入れた。ただし、先ほど申し上げましたとおり、文書による措置は今週の合同委員会で正式にいたす所存でございます。
  40. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 これは外務省で掌握しておられるかどうかわかりませんが、道路関係者、建設省にお聞きすればいいんですけれども、同じアメリカの問題ですけれども、佐世保から弾薬を積んで何かこの近くまで持ってきているということが新聞にあったというんですが、私はいなかで見たので切り抜いておかなかったのが残念なんですが、この日曜日に帰っておるもので、こちらに帰って朝日、毎日引っくり返してみたらないんですよ。これはしかし国立図書館のほうに連絡とりましたら見たといっておりますから、建設省、まずそうした弾薬ですね、アメリカの弾薬を国道一号線、ずっと佐世保から走ってきたわけですから、そういうことは事前に通告があって許可になったという事実があるんですか。その辺はどうですか。
  41. 藤尾正行

    政府委員(藤尾正行君) まあ私は詳細には具体的な問題といたしまして存じておりませんので、これはこれから命じましてその事実があるかないか、これを調べた上、明確に文書をもってお答えを申します。
  42. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 課長のほうが調べておるようでございますから、課長からお答えいたします。
  43. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 御説明申し上げます。  六月五日付の報道によりまして弾薬の輸送が話題となりましたので、私どもはさっそく事実関係調査いたしました。事実関係を御報告申し上げますと、六月四日、長崎県の針尾島弾薬集積所から静岡県の富士演習場まで、火薬約三十トン余りを民間輸送会社の請負によりトラック五台を使用いたしまして運搬いたしました。在日米軍が火薬類を車両で運搬するに際しましては、その安全を確保するために、わが国の火薬類取締法の精神にのっとりまして、日米合同委員会において昭和三十五年十二月、米軍の火薬類運搬上の措置という公式の合意を見ております。今回の措置も、それから現在に至るまでのすべての運搬措置も、すべてこの合意にのっとりまして適法、適正に処置されております。今回の六月四日の運搬は、米軍との契約によりまして民間輸送会社が行なったものでございますけれども、この民間会社は、ただいま私が申し上げました合同委員会合意規定に従いまして、長崎県公安委員会より運搬証明書の交付を受けております。さらに、合意で定めております必要な措置もとっております。  以上御説明いたしました。
  44. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 はい、わかりました。  そうすると、片岡局長知っていますね。
  45. 片岡誠

    政府委員(片岡誠君) いま外務省のほうからお話がございましたとおり、公安委員会に、具体的には長崎県の早岐警察署に対して、火薬類取締法に基づく成規の手続を、火薬類取締法の精神を重んじた正規の合同委員会の決定承認事項どおりの措置をとって合法的に輸送が行なわれております。
  46. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 じゃあ最後に、外務当局が、合同委員会が近く行なわれるところで文書によっていまの問題についてアメリカ当局に注意を勧告するということをおっしゃったわけですから、それは再確認するまでもない。ただ、こうした問題に触れて、私は初めてそうした外交関係のいろいろな法律なり協定なりを目を通しましたが、その中で非常に痛感したことは、いま政務次官おっしゃったように双方の地位に関する協定書というものがあって、それに即応して国内法を守らなくてもよろしいという適用除外の法律がたくさんあると私は思います。なかんずく、交通関係のいわゆる道路運送法等の特例に関する法律などという法律が昭和二十七年の四月二十八日号外で法律第百二十三号として出ているところであります。でありますから、その法律の中身をここで御披露いただこうなどとは思いません。  そこで、大臣出席を要請したのは、一つは実はそこにあったので、昭和二十七年のこの地位協定のしかも国内法適用除外のこういう法律が厳然としてあるわけです。そこで、世界の情勢が大きく変わり、日本の国内情勢も大きく変わり、とりわけアメリカ軍と日本との相互の関係につきましても、昭和三十五年に御承知のように安保条約の大改定をやった。改定を進められる皆さんの側は、これは経済協力の側面が強くうたわれている、もう一つは、日本の自主的な防衛体制を強化するんだ。国民に対する皆さんのうたい文句はいまだに私は、その当時反対運動の先頭に立っておりましたからいろいろな資料全部一応保管しております。それは三十五年であります。そこで四十五年、佐藤内閣の手で第二次の改定が進められたわけであります。これは幸か不幸か大きなあらしを生まないで済んだわけでして、しかしながら、三十五年、四十五年、その間十年。この法律ができたのは二十七年。そういうふうにして時間的な経過というのはすごくあるわけです。情勢も大きく動いていく。こういう状況の中で、こういう協定に基づく法律等々について総点検を行なうべき国内のわれわれ国民の立場から、日本の自主独立の立場から安保条約に皆さんは手をつけると言うと、できるかと言って笑われるでしょうから、そういうところまで手をつけなくても、いま道路のこうした問題が起こって、初めて勧告なり注意を喚起されるわけですから、すでにアメリカさまに守っていただいているという観念をわれわれは一てきすべきときがきた。そういう観念を一てきするならば、それに関連する国内法規についても私たちは根本的に洗い直す必要がある、そういうふうに私は考えます。そうしなければ、建設政務次官が、道路の維持管理について今後とも橋を直したり努力するとおっしゃったけれども、それは容易ならないことになるのじゃないか。戦車も必ずしも四十六トンが最高じゃないでしょう。もっともっとベトナムをつぶすためには大きな戦車が必要かもしれない。兵器も変わる。こういう事態を想定する場合において、私たちはいま国内法規の整備充実、あわせてアメリカとの関係においてこれを整備充実する必要があるというふうに私は考えます。それは、おまえは偏見だというふうにおっしゃるかもしれませんけれども、この点に関して政務次官から、先ほどおっしゃったように、外務省を代表してのき然たる方針なり態度をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 大西正男

    政府委員(大西正男君) いま私の申し上げたことにつきましてお受け取り方が、ニュアンスが多少違っていると思うのでございますが、私は、日本の法令を無視していいという、そういう仕組みになっていると申し上げたわけではございません。なるほど、仕組みの上、表面からは、形の上からは、特定の事項を除きまして日本の法令がそのまま米軍関係者に適用になるというそういう仕組みはとっておりませんが、しかし後に申し上げましたように、地位協定の第十六条によりまして、米軍関係者は日本の法令を尊重する義務を負っておるわけでございます。そういう書き方になっておるわけでございます。したがいまして、日本の秩序あるいは公共の安全を彼らといえども守る、そういう姿勢で臨むことが義務づけられておるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように、直接的にそのまま適用という形をとっておらないということでございます。こういう仕組みというものは、国際間における、国際間のいろいろの条約等におきまして、一般的なやり方でございまして、日本の場合が特別の取り扱いを受けておるというものではございません。そういうことでございまして、私どもは、安保体制というものは、これは全体として日本の国に今後も堅持すべき必要があると考えておるのでございます。そういう根本的な観点に立ってすべてを処理しなければならない、このように存じておる次第でございます。
  48. 神沢浄

    ○神沢浄君 関連で一つだけお聞きしておきたいと思うのですが、いまの質疑応答を聞いておりまして、これは明らかに日本の法律には違反した行為をやっておるということですね。いま外務省のほうでは口頭で申し入れたとか、あるいは合同委員会への手続をとったとか、これはもういわゆる外交の関係からいえばそうでありましょうが、明らかに目の前でもって日本の法律に違背をされているという際に、日本の警察当局としては、それをいわゆる現行の犯罪ですからね、とめることができないでしょうかね。できないとすれば、それはどういうわけでできないか、こういう点だけを一つお聞きしておきたい。
  49. 片岡誠

    政府委員(片岡誠君) この運搬の場合に、米軍が直接やっている場合と、それから委託を受けて下請の業者がやっている場合と、この場合で法律的な差は私はあると思います。下請の業者のやっている場合には、違法の場合に、当然指導、警告のみならず、日本人でございましたら、日本の法律に従って検挙するということもあり得ると思います。それから、米軍が直接やっている場合、これは御存じのように、それが公務に基づいてなされている場合にはわが国に裁判権はございません。しかし、その違反そのものが非常に重大な違反である場合には、御承知のように自然犯のような場合、人を殺したといったような、あるいはけがをさせたといったような場合には、逮捕の要件に合致する場合には逮捕をし、そして米軍に引き継ぐというのもわれわれの実際行なっているところでございます。しかしながら、それ自身がそういう重要な犯罪でなくて、また逮捕の要件、通常日本人に対しても逮捕をしていないというような場合については、もちろん任意捜査そのものは警察として犯罪があれば捜査すべきものと思いますけれども、むしろそういう事態の起こらないように指導、警告していくのが妥当な措置ではないかと、そのように考えます。
  50. 神沢浄

    ○神沢浄君 私がお伺いをした主意は、警告あるいは指導、それはもう運用上の問題でもって、相手が日本人だろうと外国人だろうと、それはあり得ることだろうと思うんですが、もっと何といいますか、法律的に考えてみる場合に、明らかに目の前に現行の犯罪が行なわれておるという場合に、アメリカ軍であるから日本の警察としては手がつかない、それをその場でもって阻止することもできない、こういう仕組みになっているのですが、きょうは地位協定を持っていないからわかりませんけれども、私は常識的に判断してそういうようなことはあり得ぬだろうと思うんです。どうも質疑応答聞いておって、必要以上に弱腰というのか及び腰というのか、そういうところにむしろ問題があるような感じさえ受けるわけなんですが、この点はどうなんでしょうか。できないとすれば、できない法律的な根拠というものはどこにあるのか。これを一つお聞きしておきます。
  51. 片岡誠

    政府委員(片岡誠君) 今回の当該事案につきましては、道路交通法違反で論議するとすれば、それは運搬する場合に、積載が、法律、法令できめられた制限基準以上の荷物であり、しかも分割できない貨物であって、どうしても運搬する場合には、出発地の警察署長の許可を申請する、こういう手続規定はございます。そういう手続規定は日本人には当然適用になります。しかし、そういう手続規定を米軍に直ちに適用できるかどうかについては、先ほど外務省から話もございましたが、若干疑義があるではないかと、その精神はもちろん守ってもらいたいということは当然だと思いますけれども、その辺が一つの問題だと思います。それから今回米軍が運搬しておった場合につきましては、ほとんどその積載違反については問題がないというのが私どもの事実認識でございます。ただ、下請車両でやっていた場合に、その積載重量、可能重量以上の重量のものを積んでおった疑いが相当ございましたので、これは直ちにその関係下請業者、委託業者の注意を喚起して、自今そういうことのないようにいたし、注意を喚起いたしましたところ、その後そういう問題は起こっていないというのが現状でございます。ただ、先ほど来話がございました道路法に基づく車両制限令の車両の問題、これにつきましては、従来からの扱いとしても、まず第一義的に道路管理者のほうで特認をするかどうか。そうしてその特認があれば、私どものほうもそれが積載違反、積載基準以上のものであるとすれば許可申請を求めるという、そういう仕組みで道路管理者と警察との間で行政事務が行なわれていると、そういう問題でございます。
  52. 神沢浄

    ○神沢浄君 けっこうです。
  53. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本件に対する調査はこの程度とし、午後一時半まで休憩します。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時三十六分開会
  54. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  公有地の拡大の推進に関する法律案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を一括議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  55. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 公有地の拡大の推進に関する法律案については、もうすでに当委員会で、あるいはまた昨日の連合委員会でいろいろ御質疑がありましたので、私はもうたいしてする問題がなさそうな感じがいたしますが、たまたま昨日参考人からもいろいろ意見を聴取したあとでもありますし、二つ、三つ御質問申し上げたいと思います。  私は地方開発公社についてだけ若干質問をさしていただこうと思います。この法案によって公法人としての土地開発公社を設立することができることとなっておりますけれども地方公営企業のように経営の基本原則のようなものが規定されておりません。この公社の経営原則というものはどのように考えておられますか。それについてお伺いをいたしますが、たとえば内部保留を多くして事業拡大できるようにさせる方向にもっていくとか、いろいろな公社の運営次第で民間不動産業者との競合関係が出てくると思います。たまたま昨日この委員会参考人意見を聞かせていただいた中にも、民間の住宅地供給にブレーキになりはしないかと言っていたような意見もありました。ここでこの問題をお伺いするわけですが、その点どのようにお考えになっていらっしゃるかお伺いをいたします。
  56. 立田清士

    政府委員(立田清士君) ただいま御質問にございましたこの土地開発公社の運営の基本的な原則でございますが、確かにおっしゃいますとおりに、基本原則としては法律には書いてございませんけれども、ただ土地開発公社の設立の目的と申しますか、そういう規定は、御承知のとおり、法律の一条を受けまして十条等に書いてあるわけでございます。したがいまして、御承知のとおり、この土地開発公社はやはり地方団体の土地需要に対応するために、地方団体自身としても土地を取得されるわけでございますけれども、その地方団体の土地需要に、さらにこういう土地開発公社が分身的な機能のような役割りを任ずるということでございますので、運営自体もやはり地方団体の必要といたします公共用地等の公有地について先行的に確保していく、そして地方団体の土地需要に対処するということで、ひとつのそういうふうに対応するように、土地開発公社として三条の二項等にもそういうような規定を設けております。そういうことでございます。したがいまして、基本原則そのものとしては、そういう条文上は書いてなくても、基本原則になるような事項はそれぞれ一条あるいは三条二項、十条等に規定されておる、こういうことになっております。  それから第二点の民間業者との関係でございますが、御承知のとおり、この土地開発公社は、地方公共団体の公有地として必要な土地を取得するわけでございますので、その限りにおきましては、やはり実際に民間でそれぞれ住宅用地等の目的をもってやっておられます事業について、そういう意味で必ずしも競合というようなことにはならないかと思いますし、またいろいろと民間の活動で、地域のやはり秩序ある整備に活動しておられる向きにつきましては、当然地方団体としても、土地開発公社の運営にあたりましてはその点を十分に配慮して、また調整もされていく、こういう趣旨になろうかと思います。
  57. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 そこで、この委員会でも、現在ある民法上の土地開発公社、それを本法律案で、本法律案でいうところの土地開発公社に組織変更させていきたいと、このように述べられておられたようですけれども自治省で先般委員会に配付されました資料によりますと、都道府県設立の土地開発関係公社は六十三社となっておりますね。そこで、一県で二公社がある場合もあることになると思いますけれども組織変更の指導をなされるときに、これらを統合させていくのかどうか、その辺をお伺いしたい。
  58. 立田清士

    政府委員(立田清士君) 御指摘のとおり、現在の民法法人につきましては、たとえば県の場合をいま例にあげられましたが、六十三あることは事実でございます。それで、そのあります実際のあり方でございますけれども、県の中で地域を分けてそれぞれ設けておられる県が、二つあるというような実態が多いようでございます。おそらくそれを設立されるときのいろんな諸般の事情、その県の事情によってそういうことになっているのだろうと思います。そこで、今回この法律が制定されました場合の私たちの地方団体お願いする事項といたしまして、もちろん公社の設立については地方団体で御判断なさるわけでございますけれども、一般的にはやはり一つ地方団体一つの公社ということを原則として、地方団体のほうにそういうふうな判断を求めていくように指導をいたしていきたいと、そういうことを考えておるわけでございます。
  59. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 地方開発事業団制度の創設のときに、自治省は、公社の設立はできるだけ抑制をするように通達を出されているように思いますが、私は公社制度そのものに対して否定はいたしません。しかし、地方公共団体の本来の業務を代行させておいて、議会との関係が不明確になる場合が多いと思いますね。そうしまして、なおかつ不正の温床になりやすいのでやはり抑制の方向に持っていくべきだと思います。この点、自治省は従来どおりの方針を守っていかれるかどうか、もう一ぺんお尋ねをいたします。
  60. 立田清士

    政府委員(立田清士君) 結論的に申し上げますと、ただいま御指摘のとおり、従来のような考え方を続けていきたいと、そういうふうに思っております。ただいまお話のとおり、昭和三十八年に地方開発事業団が設立されました際に、その面で、そういうただいま御指摘のようなことも通達をいたしております。したがいまして、今後におきましても、今回の土地開発公社の公法人化という一つ考え方も、いま御指摘のように、公社運営の位置づけを明確にいたしまして、地方団体との関係も明確にして、しかも地方団体の必要といたします土地需要に対応していこうという趣旨でございますので、いま御指摘のような趣旨で、この土地開発公社の運営についてもそういうふうな考え方で当たるわけでございますし、そしてその際、いろいろいままでの公社の業務の内容につきましても、他の公社につきましても、そういう点についていろいろ地方団体でもまた御検討いただくという機会もあるのではないかと、そういうふうに思っております。
  61. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 なお、今度のこの法律案によりますと、土地開発公社は地方公共団体が単独で、あるいは共同で設立できるということが書いてございますね。一つ地方公共団体が単独で公社を設立して、また一方で共同で公社を設立することができるのですかどうですか。その点を伺いたい。
  62. 立田清士

    政府委員(立田清士君) この法律自体におきましては、単独で設置する場合と共同で設置する場合がございますが、そのいずれの方法を選ぶかというのはあくまでも地方団体判断だと思いますけれども、明らかに、その一つ地方団体で、将来の土地需要を見越して考えた場合に、単独でつくるよりはある程度周辺のところと共同でつくることが必要な場合もあろうかと思います。そこで、いまの御質問の点でございますが、一つ地方団体が単独でつくっておりまして、そしてまた、場合によっては他の地方団体共同してつくるということも一応法律上は可能にはなっておりますが、実際の運営といたしましては、そのいずれかの方法を選ぶというふうなかっこうに実態はなっていくのではないか、そういうふうに考えております。
  63. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 国の公社、公団、事業団の中にもどうもあるようですけれども、役員と職員の数がバランスがとれていないように思う点が多々ございます。たとえば、土地開発関係公社のみではないようですけれども地方公社全体で役員が二万人で職員が三万人、こうなっているところがございますね。これはどうも私どもが見て役員の数が多過ぎるように思います。どのような理由によってこうなっているのか、また、今後どのようにしていくのかお伺いしたいと思います。
  64. 立田清士

    政府委員(立田清士君) ただいまの点は、従来の私法上の法人でございますが、これは土地関係ばかりでなくしてすべての数字になっておりますが、四十五年末だと思いますが、役員数が約二万六百二十五人、それから職員数が二万九千七百十八人ということになっております。したがいまして、御指摘のとおりでございますが、これを一公社当たり単純に割ってみますると、役員数が一公社当たり十四人、職員数が二十一人となっております。それぞれこのようなことになっておりますので、確かに御指摘のとおり、職員数に比較いたしまして役員数は多くなっておると思いますが、従来の公社におきましては、公社自体の運営の、私法上の法人であるという関係もあろうかと思いますが、そういう関係で、できるだけ関係の方を役員として入れていくという傾向があろうかと思います。そのほかいろいろ地方団体事情によってこういうことになっておるかとも思いますが、今回の土地開発公社につきましては、その役員数等については定款で定めるかっこうになると思いますが、考え方といたしましては、やはり公社自体が地方団体の土地需要に対応するためにその一翼をになうわけでございますので、実際に公社が活動いたさなければならないわけでございますので、そういう意味では、もちろんそれぞれの地方団体で定款を定める際の問題にはなりますけれども、その人数等におきましても極力、その活動が十分達成できるようなかっこうで、職員数に比較いたしまして多くならないような指導をしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  65. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 たまたま汚職などということが行なわれますので、この点は十分留意をしていただきませんと、土地といえば、普通われわれの手に入りにくい、たいへん高価なものであるのに、一方では、もうすぐに汚職をしたりなんかしてたいへんふところがふくらんでいくというようなことになりますと国民の不信感をあおることになりますので、その点は十分指導監督をしていただきたいと思います。  それでは、次に公営企業金融公庫法の一部改正の問題について御質問申し上げたいと思います。  公営企業金融公庫の資金の平均貸し付け年限が十八年となっておりますね。ところで、今度原資になっている資金を見ますと、たとえば政府保証債の償還年限が七年でありますように、その他の資金もそう長いものではありません。そうなりますと、当然の結果として貸し付け金の償還期限と貸し付け資金の償還年限とのアンバランスから資金の不足が生じると思います。昭和四十七年度の公社の資金計画を見ましても、公営企業債券による公庫の収入額は千六百八億円に対して、支出に計上されております債券償還金は六百十六億円で、債券収入の三分の一以上が償還に充てられている勘定になっております。本年度は、昨年に引き続いて、景気回復のための債券発行額が前年当初費の三二・六%と相当増加されたわけでありますけれども、しかし、こういったような債券収入の増加率が今後も毎年引き続き期待できるわけではないと思います。そうすると、債券収入がスローダウンしたとき、債券の償還金が債券発行による収入の半分近くになることがあるかもしれません。そういうことが予想されると思います。地方公営企業における強い資金需要は今後もさらに続いてくるでしょう。そうなりますと、公庫の今後の発展を考えていきます場合に、こうしたような償還金と貸し付け年限のアンバランスから生じる資金不足、こういうものに何らかの対策が必要ではないかと考えられるわけですが、その点はいかがですか。
  66. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 御指摘のように、公営企業金融公庫の資金につきましては、その大部分を債券発行によって受けております。債券発行は、政府保証債及び共済組合引き受けによる縁故債に相なっておりますが、いずれも据え置き二年を含みます七年の償還ということでございます。据え置き二年済みましてから五年間償還するわけでございますが、その償還率が毎年六%でございますので、七年たちましたあとで償還残高が七割残る、こういう状況でございます。それから別途貸し付け条件でございますが、一番長い上水道などで二十三年でございます。非常に短い五年、七年というものも一部ございますが、大体平均いたしますと御指摘のように十八年前後に相なろうかと思います。  そこで、このギャップについてどう考えるかということでございますが、縁故債につきましては、償還期がまいりました段階で再び償還残高を共済引き受けによりまして、いわば一極の借りかえという形で処置してまいるという手段を現在とっております。で、政府保証債につきましては、お話の中にございましたように、結局償還残高を新たな債券発行、政府保証債の発行によって処理すると、こういう形をとらざるを得ません。現に昭和四十五年度までは、御案内のように政府保証債のワクが景気対策ということで固定されておりました関係もございまして、公営企業金融公庫の政府保証債の発行が全然ふえなかったわけであります。そのために償還額の累増に伴いまして新規貸し付けワクが非常に窮屈になってまいるという事態が生じまして、それで、これではいけませんので、四十六年度に強い要請をいたしまして、まあ数年ぶりに政府保証債のワクの大幅な拡大をいたしました。さらに四十七年度では、御指摘のように、引き続き大幅なワクの拡大をいたしたわけでございます。公営企業金融公庫資金の原資の内容が以上のようなことでございますので、私どもといたしましては、景気対策という観点からの政府保証債の発行総額についていろいろな論議があるわけでございますけれども、少なくとも公営企業金融公庫の政府保証債の発行ワクにつきましては、資金需要に見合った増額をぜひ確保してまいりたい、それによりまして貸し付け条件と債券発行条件の年限のギャップによって資金需要に即応しないような結果になることはぜひ回避いたしたいと、かように考えておるわけでございます。
  67. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 その公庫に対する産投会計からの出資金が毎年二億円となっておりますね。どうしてその二億円という額がきまったのか私はわかりませんけれども、公営企業の貸し出し金利の引き下げや公共料金対策ということを考えますと、もっと出資額をふやしてもよいと思うんですけれども、その点はいかがですか。
  68. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 政府関係金融機関に対します出資の持つ意味につきましては、一面において貸し付けの原資の一翼をになうということと、それからまあ無利子の資金でございますから資金コストを引き下げる、二面の効果があろうかと思います。そういう意味合いにおきましては、私どもは御指摘のように、公営企業金融公庫に対する出資金はもっとふやしてもらいたいものだとかねてから思っておりますし、また毎年度予算の際にその折衝をいたしておるわけであります。ただ実際の姿は、お話の中にありましたように、ここ数年来毎年ほぼ二億円ということで推移いたしておりまして、まあそれによります資金コストの問題につきましては、別途利子補給でありますとか、あるいは公営競技の納付金の収入によりまして利子を薄めてまいるということで努力をいたしておるわけでございます。しかし、御指摘のように、出資金をふやすということは公庫の健全な運営につきましてぜひとも必要なことであると思いますので、努力を引き続き重ねてまいりたいと、そのように思います。
  69. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 今年度の予算の獲得では、大臣はずいぶんがんばられたようでございますので、またひとつこの点もがんばってください。  次に、水道事業や下水道事業あるいは交通事業、市場事業、こういうものに対する貸し付けに関連して、昭和四十七年度は一般会計から公庫に六億百万円を補給することになっておりますね。昨年に比べて約二億五千万円の増でございますけれども、その積算内容及び自治省としてこれで満足をしておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  70. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 公営企業金融公庫に対しまする利子補給の金額は、お話にございましたように、ほぼ六億百万円でございますが、その内訳は、水道事業、下水道事業、工業用水道事業、一般交通事業及び市場事業に対しまする貸し付け利率を〇・三%引き下げるための所要額を計上いたしておるわけでございます。経過的に申しますと、四十一年度に上水道事業につきましての利子補給が新たにきまりました。引き続いて四十三年度に下水道に拡張され、四十五年度に工業用水道に拡張され、四十六年度に一般交通が加えられ、四十七年度から市場事業が加えられたという経緯をたどっているわけでございます。その経緯に応じまして、それぞれの年度に貸し付けられました、いま申し上げた各種の事業の利子につきまして〇・三%相当額を積算いたしまして六億百万円を計上いたしておるわけでございます。これで十分かということでございますが、公共料金問題あるいは公営企業の健全な発達運営ということを考えますと、やはり利下げ、利子なり資金コストというものはさらに引き下げることが最も望ましいことと思います。なお、御承知のような金利の緩和状態、あるいは国全体を通じます金利条件の改定の問題などもございますので、それらとも見合いまして、引き続き現在は、いま申し上げました国の利子補給を行ないますものの金利は六・七%となっております。政府資金が六・五%でございますので、それには及びませんけれども、まあかなりな引き下げを行なっております。そういう状態でございますが、今後政府関係機関の全体の金利条件なども総合的に検討いたしまして、公庫も利下げ、資金コストの引き下げにつきまして引き続き努力いたしたいと、かように考えます。   〔委員長退席、理事寺本広作君着席〕
  71. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いまの御答弁にありましたとおり、自治省地方公営企業の財政の健全化のためにあるいは料金の適正化、すなわち値上げの必要性指摘されましたね。私はそのすべての値上げを否定するわけではありませんけれども、やっぱり物価高というのが国民生活に及ぼす影響というのはたいへん大きいですから、そういうことをおっしゃるのなら、貸し出し金利の引き下げのための措置などの所要の施策を十分にやりてから言い出すべきだと思います。私は自治省のこの点の施策がたいへんまだ不十分だと思うわけですが、今後この点に対してどのようにしていらっしゃるか、お答えをいただきたい。
  72. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) 先ほども申し上げましたが、公営企業の資金のコストにつきましては、公共料金問題その他もございますので、基本的にはできるだけ低金利、好条件の資金を充当してまいる、これが最大の眼目であろうと思います。そういう意味合いで、国の利子補給あるいは公営競技の納付金などをもちまして先ほど説明申し上げましたような利下げを行なっておるわけでございますが、これでもって十分であるというふうに私ども考えておりません。なお、公営競技の納付金につきましては、毎年売り上げの伸びてまいりますにつれまして、この納付金の金額もふえてまいっておりますし、また、現在の納付金率は〇・五%でございますが、法律では一%以内で政令で定める率ということになっておりまして、将来この率の拡大につきましても、なお関係方面と十分御相談を重ねてまいりたい、そういうふうな措置を含めまして資金コストの引き下げに万全の努力を尽くしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。それから先ほど申しました一般的な金利条件の問題もございますので、これらもあわせて資金コストをできるだけ引き下げるような努力を重ねてまいりたいと思います。   〔理事寺本広作君退席、委員長着席〕
  73. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 いずれにいたしましても、わずかな最後の質問だったわけですけれども、この二つの法律案たいへん国民生活に関係のある法律ですし、特に公有地の拡大には、この法律運用いかんで、ほんとうに力がこの法律によって出せるのか出せないのか、その辺の運用に十分心を尽くしていただいて、最近の非常な地価の値上がりの中で、地方公共団体もいろいろやりたくてもなかなか土地の先買いができないというような悩みがございますので、この公有地の拡大のためには十分この運用をよくしていただいて、地方公共団体が困らないようにしていただくと同時に、またこういう公社なんかもつくって、先ほど申し上げましたように、汚職やなんかが起こらないように十分そこら辺の指導、監督もやっていただきたい。  これをお願いして私の質問を終わらしていただきます。
  74. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 小学生が学校へ入ると金ボタンをつけているわけですけれども、それは小学校というマークがある。中学へ入ると小学校の金ボタンでは、たとえ洋服がからだに合っても、それは金ボタンが全部取りかえられる。いわんや高等学校へ行けば中学校のボタンをつけたままで高等学校には行けない、一つといえども服装規制が許さない。これは学校の規則であります。いま公有地拡大の法案審議しているわけですけれども、私はこの法案をいろいろ検討した結論として一つの重大な仮説を持っているわけですが、その仮説が討論の中で、質疑の中でどのように明確になるか、そのことを若干期待しながら実はやるわけですが、私としてはどうも中学生が高校へ進んだ過程において五つのボタンが全部高校にならないで、四つは中学、一つだけ高校のボタンを取りかえたようなそういう幅と厚みと重量感のない法律になるおそれを痛感するわけです。  なぜかと言うと、第一点として、六月の三日に西日本の学者の皆さんが、政府に先んじて瀬戸内海の汚染の状況を調査した結論として、沿岸三分の二は死の海寸前であるという結論と同時に、星野芳郎調査団長がこのような問題提起をしております。一つは、新全総は直ちに中止すべし、こういう問題提起をしている。私は、これは単に瀬戸内海の問題ではなくて日本の経済政策全体に対する大きな問題提起だと思います。このことをやはりいまの法案審議の過程において、都市づくりの問題を展開する場合に、やはりわれわれは瀬戸内海の問題という局部的な問題という理解のしかたにはならぬと思います。  第二のことでございますが、それは政府当局の中でも「通産ジャーナル」の四巻六号の「工業再配置促進対策について」というので、大永立地政策課長が論文を書いております。このことは後ほど都市づくりの問題で若干触れますが、ただこの中で大永課長はこういう非常に端的に現在の都市状況を明らかにしております。「国土面積の一パーセントに満たない地域に全人口の三二パーセントが居住している。急速な都市化の進行は、反面、巨大都市の錯雑化を招き、1公害の発生、2地価高騰と住宅難、3交通渋帯と交通事故の発生、4都市用水の不足、5物価の上昇、6公共投資の増大等の弊害を惹起している。」、一つ一つ取り上げますといろいろ問題があるようですが、いずれにしろ、現在の都市問題の中に内包している矛盾を集約的に大永課長は表現していると思います。こうした問題をこの公有地拡大法というボタンを一つ取りかえることによってどれほど解決できるかということですが、そうしたことの私の仮説に沿って若干の期待と若干の不安と、そして若干の疑問を実は持っているわけであります。こうしたことについて後ほど個々の問題に触れる機会にそれを念頭に置いてそれぞれの所管の方から御答弁をいただければ幸いであります。  ここで冒頭に、第一点として、立法の原点の問題になります。二十三日、神沢委員質問する中で、渡海大臣は答えていわく、これは土地政策ではなくて地域開発をねらった法案であるという答弁があったわけです。ことばは足りませんかもしれませんから、後ほど大臣のほうで意図と違えば訂正をしていただきたいと思いますが、その土地政策でないという意味の土地政策、それは大臣はどういう理解のもとにそのことをおっしゃっているのか、いわゆる地価問題対策ではないという意味なのか。土地利用計画を、政策という意味の中にはいろいろあるわけですから、その辺のところを、カテゴリーをきちっと縛らないとこれからの理論が発展しませんので、大臣の意図するところをもう一度しぼって神沢委員に答えられたことを再確認したいと思いますが、お答えをいただきたいと思います。
  75. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 先ほどの神沢委員お答えいたしました点につきましては、あるいはことばが足らなんだかもわかりませんが、私は本法律案は都市の秩序ある整備を推進していくための制度を目的とするものである。現在のような土地の姿ではこのような制度をつくることによって、地方公共団体が土地を先行取得することによって秩序ある整備ができるものであり、地方公共団体の都市としての秩序ある整備ということを目的とするのがこの法案趣旨でございますということを述べさせていただいたんでございます。あの点は地価対策でないかという御質問に対しまして、直接には地価対策を目的としたものでなく、いま申しましたように、土地の現在の取得難、これに伴いますところの混乱した土地利用というものをこの法律案によりまして都市における土地対策の問題として取り上げて、秩序ある都市づくりを行ないたいということを目的として、直接には地価対策を目的にいたしておりませんが、間接には地価対策にも資するものと、このように期待しておりますと、こういうふうにお答えさせていただいたのが私の本意でございますので……。
  76. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 そこで、土地取得を先行することによって都市を整備するということなんですけれども、土地所有の先行ですが、このことについて、現状の問題、現状、ただいまの状態はどうなっているかということですが、宮澤行政局長に実はお願いしたいわけなんですが、「自治研究」という雑誌がここに手元にあるわけですが、四十八巻第六号、六月十日発行でありますけれども行政局長は、この中でいま大臣指摘された地方自治の問題ですね。「土地利用計画というものを考えます場合に、一番根本までさかのぼりますと、一体日本の国土の中に都市をどう配置していくか、ここまで問題をさかのぼって考えていかなければいけないのではないかと私はかねてから考えております。いまの日本の土地利用計画というものはそういう議論が不毛」——毛がないということで、頭がはげているんではないですが——「不毛というとおかしいが、されてないのじゃないか。一体今後大都市の規模なりあり方をどう考え、規制していくのか、地方都市というものの規模なり配置なりをどう考えて、わが国土や国民生活の将来をどの辺までそれらの地方都市にまかせるのかという点が一番基礎になっていなければならない。」、こう、これは座談会の中でお述べになっていることでございますが、局長のほうでこれに対しては、おそらく誤りではないと思いますが、こうした立論の根拠に立つ行政の中枢にあっての認識の問題になりますね。この認識なり裏づけの問題、そうしたことについて若干の考え方の基礎をお述べいただき、しかもこれが踏み台になって、この法案のやはり大きなステップになっているのではないかと私は想定いたしますので、特に局長のこの座談会における発言を私は大事にしたいと思いますが、局長からその辺の事情をひとつお聞きしたいと思います。
  77. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまお読み上げになりました点は、私、自分の考え方といたしましてかねてからそう思っておりますし、間違っていないと思っております。で、土地利用計画というふうなものを申します場合に、これはいろいろの段階の土地利用計画があろうと思います。たとえば都市計画の市街化区域と市街化調整区域というようなものは、これはミクロと申し上げますといいかどうかわかりませんが、ミクロの土地利用計画であろうと思います。そこで議論をいたしておりますのは、そういうミクロの土地利用計画ではなくて、もう少し広い、まあいわば国土利用の計画、マクロと言ってよかろうと思いますが、そういう問題について議論をしたくだりであろうと思います。それにつきまして国土利用計画、これにつきましてはもちろん都市とか農村とかあるいは自然保護地帯であるとかいろいろな要素があろうと思うのでございますが、マクロの土地利用計画、国土利用計画で、特に私がそこで述べましたのは、そのうちでも御承知のように都市というものがいろいろと発展をいたしまして、そこで土地利用の混乱が起こってくるというのが現在の土地利用計画一つ問題点でございます。そういたしますと、マクロの国土利用計画を考えます場合に、都市というもの、都市の規模なり配置なりというものについて、やはりもう少し全国民をあげてものを考え、あるべき姿というものを追求をしていくのが基本ではないか、こういうふうに考えているわけでございます。で、たとえば東京なら東京という地域を考えました場合に、御承知のように、東京中心の首都圏は半径三十キロメートルくらいのところに二千万前後の人間がいるわけでございます。私は、いろいろ過大都市、巨大都市の問題、いろいろな面から議論があろうと思いますけれども、やはりこれだけの地域にこれだけの人間が集まっているということ自身からいろいろな問題が発生していくというふうに私は考えているわけでございます。  そういう点から考えまして、今後の日本の国土利用を考えました場合に、特に御承知のように、最近たとえば工業再配置の促進法案でございますとか、そういう地方分散的な考え方が世間で広く主張され始めております。私は国土と国民生活の将来を考えました場合に、地方分散的な考え方のもとにいろいろな施策をやっていくことが非常に必要だと思うのでございますが、その際に、やはり全国的な都市の配置なりあるいは都市の適正な規模——適正な規模と申しましても、これはなかなか議論があり、むずかしいところであろうと思うのでありますけれども、いまのままで分散的な施策というものを何ら考慮なくして講じますならば、やはり地方都市もまたある程度東京の二の舞いになるような気がしてしようがないというような視角、観点からマクロの土地利用計画、国土利用計画を考えます場合に、今度日本の都市、特に地方都市の規模なり配置なりというものについて相当突っ込んで議論をし、ある一つのビジョンを描いていく必要がある。こういう意味で申したわけであります。
  78. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 その同じ座談会の席上で発言されている建設省の大塩参事官の発言について、立ち会っておいでになった局長でございますから、その辺のところをお互いに討論した中で、局長もその事実を認識をしてそういうふうにとられているのかどうか若干聞いて、後ほど、土地政策のあり方、都市づくりの問題点等について質問をしますけれども、この大塩参事官の発言の中で、「特に都市化時代において都市が拡大するにしても、非常に薄い拡散的な拡がり方をする。そこで、これに一つの人工的・人為的なまとまりを与えて、計画的な市街化を図ることが特に日本で必要になった。いわばこれは日本的なやり方だと思うわけです。欧米ではそういった自然的・社会的な背景が違うので、都市的土地利用と農地的利用との区切りが遮断的に確立し得る。日本の場合は都市がダラダラと薄い拡散をする。これは農業の側から見ても都市の側からもマイナスだ。」云々というふうにして、この都市化の中における農地の問題と農業のあり方の問題と、それから環境サイドの問題など提起しながら論を発展さしているわけですが、そうした考え方を是認されているのかどうか。これはまあ座談会のことでございますから、行政面、政治面で議論すべきものではありませんが、この大塩発言についてでございますが、参加された局長はどのようにお考えになっているのか。肯定的な立場からなのか……。
  79. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) ただいまお読み上げになりましたところでございますが、私もどうも記憶がはっきりしておりませんが、たぶん大塩君の発言は、いまお読みになりましたように、わが国では都市というものがいわば無秩序に足をどんどん伸ばして拡散をしていっている、欧米では都市部と農村部というのはわりあいに画然と分かれている。そこで都市的な土地利用と田園的、農村的な土地利用というものはわりあいにはっきり分かれているけれども、日本ではその辺がごちゃごちゃ入りまじって、都市が無秩序に発展しているというまず事実認識の問題が一つあるわけでございます。で、それにつきましては私も知識がたいへん乏しいわけでございますけれども、私も同じ感じを持ちます。そこで、その事実を大塩君自身が承認をしているのでは私はないと思います。そういう事実というもの、あるいはそういう傾向というものは、これは何らかして防止をしていかなければならない。そこで、新しい都市計画法の市街化区域なり市街化調整区域というような考え方なり制度が出てきたし、その必要がある。そういう考え方基本にあってそういう発言が出ていたと思うのでありまして、以上のとおりでございますれば、私も全く同意見でございます。
  80. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 回り道のような質問をしておりますけれども、しかしこれからいろいろ御説明をいただく都市化の問題、都市形成の問題等についてですが、結局まあ土地を先買いする、土地を先行投資をする、土地を何に使うかという問題ですね。何に使うかということは、この際、大臣のことばのとおり、都市をどういうふうに、都市構造をどういうふうにつくり変えていくかという大命題が先に立っているわけでありますから、それを今度は都市をどういう形でつくっていくかということ、現在もつくられているが、それをいま局長自身が認めたように、かなり問題が多い。ヨーロッパ等に比較すると、日本の都市は特別な条件に、自然的条件、社会的条件にあるというわけですから、これをまあ一定の方向にひとつの整理立て、組織立て、計画立てしていかなければなりませんから質問をするわけですが、建設省ではさきに、去年ですか、建設政策懇談会から十月の十一日に七〇年代の国土政策の基調という答申案が実は出ておるわけですけれども、最近、きわめて最近、これは私のところのいなかの新聞ですが、まことに申しわけないわけですけれども、六月三日の北日本という新聞ですけれども、これは建設省が「地方中核都市育成へ」、「国土建設構想の改定骨子」、「総合的環境保全を推進」するという大見出しで大々的な報道を実はされているわけであります。このことについて、建設省の中においていまどういう作業段階に入っていて、しかも、このねらいは新聞報道等にされているとおりであるのかどうか。このねらいを特にわれわれが聞いて、それはいいなと思われるような味のある、希望の持てるものはどこに焦点があるのか。ここには若干目玉商品を並べてますが、建設当局からじかに判断をお聞きしたいと思います。
  81. 小林忠雄

    政府委員(小林忠雄君) 現在建設省では、昨年の建設政策懇談会の提言に基づきまして、国土建設の長期構想というのをことしの夏を目標に作業を進めております。  そこで、その中の第一の問題は、国土利用構造の変革という問題でございます。これは先生御指摘のように、明治以来の日本の国土の開発といいますものが、東京、大阪というような太平洋ベルト地帯を中心に開発が進んでまいりましたが、特に昭和三十年代以降の高度成長期において、このベルト地帯への人口、産業の集中というのが非常に奇形的に肥大化しておるという問題があるわけです。従来そういうような過密の問題につきましては、公共投資を大量に投入することによって解決できるのではないかという考えがございました。自動車がふえれば道路をつくる、水が足りなくなればダムをつくって新たに水を引くというようないわば現状追随的な公共投資をやってきたわけでございますが、いまやこの巨大都市地域におきまして、もちろん今後とも社会資本の投下はますます必要でございますが、しかし社会資本の投下を幾らやっても解決できない問題がやはり出てきている。これは特に環境の問題を中心とした問題でございますが、これは公共投資を幾らやっても解決しない最も端的な例が、東京の都内における自動車交通の問題等でございます。こういうようなことを根本的に解決いたしますためには施設だけでは解決しない。しからば、何らかの大都市分散のための規制措置を一方において行なうというようなことがありますけれども、根本的にはやはり人口、産業が大都市地域へ集中し過ぎる。この条件をなくさない限り大都市の問題は片づかないし、また土地の地価高騰についても根本的には問題解決しない。しかし、大都市に人口、産業が集まってまいりますのは、集まってくるだけの理屈があって集まってきているわけでございます。現在はまあ資本主義の社会でございますから、より多くの利潤が集まるところへ資本が集まるのは当然でございます。ですから、これを法律的に規制をするというのも一つの方法でございますが、この条件を変えまして、地方においてもより有利な雇用の場ができるという政策が必要なんではないか。そういたしますと、全体の人口の趨勢からいたしまして、一次産業人口が漸次減少するということはまず間違いない。そういうところの人口が都市へ集中してくることも、これまた趨勢として否定できないわけでございます。  問題は、その出てくる人口あるいは増加する人口をどこで受けとめるかということでございますが、過去の高度成長期におきますように、大都市地域に集中をこれ以上させるということはもはや許されないと思いますので、できる限りこれを地方都市において受けとめる必要がある、こういうように考えるわけでございます。そこで、大都市への人口集中の大きな原因といたしましては、従来第二次産業への就職者というものが非常に大きな原因をなしているというように考えられましたので、首都圏の計画あるいは近畿圏の計画等におきまして、東京、大阪等の大都市の工場の新増設の規制をいたしたわけであります。それにもかかわらず、なおかつ東京等の人口がふえてくる。この原因は何であるかと申しますと、これは第二次産業への就業者ではなくて、いわゆる中枢管理機能への就業者でございます。これは大学というのが非常に東京に全国の半分以上集まっている。地方から出てまいりました青年が東京の大学を卒業いたしますと、これが地方に戻らないでそのまま東京へ就職するというケースが非常に多いわけでございます。すなわち、ブルーカラーの人口はもうそれほど集まらないけれども、サラリーマンの人口が集中をするということでございます。そこでサラリーマンの人口が集中いたしますにおいては、住宅問題、通勤問題というのは大都市としてはどうしても解決しなければならない。そこでこのサラリーマンの人口のうち、どうしても東京でなければ職場がないという種類のものもございます。たとえば、中央官庁の公務員でありますとか、あるいは全国的な都市銀行の本店というような種類のものは東京でなければいけないということがございますけれども、必ずしも東京でなければそういう中枢管理業務ができないかと申しますと、そうでない種類のものもございますのでこういうものをできるだけ地方都市に分散をすることが考えられないか。そういたしますと、あまり小さな都市にはそういう大学卒業生が職場を見つけることはできない。したがって、現在すでに相当の都市的な集積がありますところに、大学でございますとかあるいはその他の文化施設、あるいは中枢管理的な業務が入るようなそういう施策をひとつ考える必要がある。これは建設省だけではできませんので、たとえば国家機関の権力分散というふうなことも一つの方法かと思いますけれども、われわれ施設面から申しますと、そういう地方の相当中枢的な都市に集中的な都市施設の投資をすることによりまして、大都市と同様な生活水準が享受できるような施策を講ずる、そういうことによりましてホワイトカラー人口というものを地方の中枢都市に返すと、こういうことができるのじゃないかと期待しております。  昭和四十五年に行ないました国勢調査の人口の最終的な集計ができましたので、これについて若干の分析をいたしてみますと、人口十万以上の都市につきましては軒並みに人口がふえております。それから、仙台とかそういうようなブロック中心都市等の人口を見てまいりますと、従来は大都市へ出て行くほうが多かったわけでございますが、大都市からそういう都市へ転入するという人口がかなりふえております。すなわち、大都市と地方中枢都市の間の人口の相互交通という現象がそろそろ見えておりますので、こういう現象をさらに促進するような施策を講ずることによりまして、ある程度の中枢の管理機能も分散できるのじゃないか。そういうことを中心にいたしまして全体的に、単に工場施設だけじゃなくて、その他の都市機能が全国的に均等に分散をする、こういうことが可能になるのじゃないかというような見当でいま検討しております。まだ確定的な段階にはございませんけれども、思想といたしまして、そういうことができるのじゃないか。これは建設省だけでできることではございませんので、関係各省とも御相談いたしまして、何とかそういう政策を長期的に打ち出す必要があるのじゃないかと考えているわけでございます。
  82. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 いまお触れにならなかったことは、大体構造関係ではですね、たとえば地方中核都市としては札幌、仙台、広島、福岡、この四地区には行政、教育、文化、交通、流通、情報などの高度の管理機能の集積をはかる方針だと。しかも人口は百万ないし二百万ないとコンパクトされた都市機能が不可能だということがかなり学者の間にも議論されておるわけですが、その前提に立ってこうしたことも決定され、まあ方針として打ち出されようとしているわけですが、今後の建設省を中心としたこの国土建設の新長期構想の作業ですね、日程、それをお伺いすると同時に、事きわめて自治省の行政の分野にだいぶ入っておりますから、自治省はこれに対してどういう関連のしかたをしながら、現在、小林さんがおっしゃったこと等については、自治省の担当の方がどのような理解をしておいでになるか、どのように協力しておいでになるか、その事実を明らかにしていただきたい。できれば自治省独自の構想がそれに上乗せするようなものがあるならかえって歓迎をするわけですが、そうした点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  83. 小林忠雄

    政府委員(小林忠雄君) 私もその新聞報道を見ておりませんので、どういう内容かわかりませんけれども、いまの中枢都市構想ということだけ出ておりますといたしますと、これはまだそれほど建設省の中で固まった作業ではございません。私が申しましたのは、七〇年代の国土政策の基調を受けまして、国土建設の長期構想というのを昭和六十年を目途に現在作業を進めておりますが、これは七月中ぐらいに大体まとめたいと思っております。その中の一つのきわめて大きな柱といたしまして、国土利用構造の変革、その戦略手段といたしまして、地方の都市の振興ということをうたっているわけでございます。それの検討の途中におきまして、ただいま御指摘がございましたような構想が一部に事務的に検討されていることは事実でございますが、これを省ベースで正式に政策として取り上げるというような具体的な段階にはまだきておりません。
  84. 宮澤弘

    政府委員宮澤弘君) 建設省御自身の構想もまだ固まってないということでございます。したがいまして、私どものほうも省として、いま具体的な構想が、議論はいたしておりますけれども、出ておるわけではありません。多少私の私見にわたる点があろうかと思いますけれども自治省の一員としてお答えを申し上げたいと思います。  私どもは、やはりこの際国土利用のひずみを直すのは、どういたしましても地方の生活圏、地方の都市を中心とした生活圏を充実することがこれが一番基本ではないか、こういう考え方に立っております。そういう点におきましては、ただいま小林審議官が述べられましたところと考え方基本は同じであろうと思います。それから先ほどもちょっと小林審議官が触れられましたが、私はいままでの地方分散政策というのが、何か工場なり何なりの経済機能というものを分散することによって地方整備の起動力にしていこう、こういう考え方がいままであったと思いますが、私はそれは少し発想をこの際転換をする必要があるのではないか。工業機能の分散が地方開発の起動力であるというのはもうすでに前の話であって、私はむしろこの際は、都市機能を整備する、そこに人間が安んじて生活できるような生活基地をつくる、人が集まる、そこに今度は人間を求めて工場が分散をしていく。むしろ私は発想を逆にすべきであろうと思うのであります。そういう意味合いにおきまして、先ほど小林審議官が地方の公共投資について重点的に考えていきたいというふうに述べられました。これも私は考え方は同様でございます。御承知のように、民間の設備投資主導型から公共投資主導型へというのが、いま国民全般を通じての大体の考え方、まとまったところでございますが、私はその公共投資の中でも、特に地方の都市施設の整備重点という考え方をこの際とるべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、地方の都市を整備充実をするということが重点であるという点においては同じでございますが、小林審議官が地方の中核都市、こういうことで話を進められたわけでありますけれども、私はいわゆる地方中核都市、札幌でございますとか、仙台あるいは福岡、広島、こういうところもなるほど整備をする必要がございますが、同時に私は、もう少し人口規模なり何なり下がった都市をもこの際あわせて注目をして整備をしていかなければならない。おそらく、また建設省もその辺お考えだろうとは思うのでありますけれども、単にいわゆる中核都市ばかりではなくて、地方分散というような考え方をふえんいたしますためには、もう少し規模の小さいもの、先ほど小林審議官も人口十万以上の都市は人口がふえている、国勢調査の結果ふえておるということは、都市がやはり潜在的に、それくらいになると発展する力を持っておるではないかというような説明をされたわけでありますけれども、私は、やはり地方都市を整備する場合に、どのくらいの都市を目標に考えるかという点におきましては、なお建設省の方々と十分議論をしなければならない点があると思います。しかし、るる申し上げておりますように、考え方の点においては違っておりません。実は先ほども小林さんと話をしていたのでありますけれども、こういう問題は、いままでややもいたしますと、各省が単独にいろいろ施策を講じますために総合的な施策ができなかったわけでありますが、この件については私はやはり各省共同でそういう施策を講ずべきであるし、特にいろいろ公共施設の整備に責任を持っております建設省、それから地方行政一般の仕事をしております自治省とは緊密に協力をしてそういう施策を推進すべきものである、こういうふうに考えております。
  85. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 全然相談がなかったわけではないでしょう。幾らか相談しておいでになるんじゃないですか。局長、どうです。何かいまのでいくと、自治省自治省、そちらはそちらというふうな答弁のしかたですね。しかし、考え方は一致しているという受けとめ方なんですが、作業過程の中で双方資料なり見解をお互いに出し合いながら進められているとぼくは信頼しているんですけれども、どうもいまの話を聞くと、そっちはそっち、こっちはこっちというとらえ方にしか受け取られません。特に建設省のほうが、新聞に出ておるのはだれか盗んでおったのだ、蓮見事務官かという言い方ですけれども、そうじゃないんですね。かなり具体化されているわけですよ。たとえば、住宅なら全国に三千戸をつくるとか、あるいは河川ならば、ぼくはこんなことは初めてこの表で見たんですけれども、直轄一級河川は百六ある、その安全度は百分の一または二百分の一、何のことかわからぬかったけれども、百年に一ぺん大水がつく、二百年に一ぺん大水がつくという程度の強固な河川管理をやるということでしょう。そういうことも書いてあるし、下水道の延長線も書いてある、公園の問題も書いてある。かなり数字を詰め込んで具体化されているわけですけれども、そこまで小林さん、あなたが作業している以上は自治省と相談しないということはあり得ないと思うんですが、こっちはこっちで、こっそりとやっておると、そういうやっぱりやり方ですか、政府というのは。ぼくは大臣になった経験はないけれども、ぼくが大臣だったらおこりますよ。どうなっておるんですか。
  86. 小林忠雄

    政府委員(小林忠雄君) 私と宮澤君のように個人的な関係でいろいろ研究をするとか、意見の交換をするということはあるわけでございますが、組織といたしまして相談をするという場合には、ある程度省としての意思が固まりました段階で御相談をするというのが例でございます。たとえば公有地の拡大の推進に関する法律案につきましても、宮澤局長等とは昨年来、あるいはもっと前から個人的にはそういう必要があるということで研究はしておったわけでございますが、こういう法律案にまとめます前におきましては、自治省自治省、建設省は建設省でやはり似たようなかっこうの法律案を準備いたしまして、ことしの国会が始まります前に政府提出法律案の整理をいたします際、突き合わせました結果一つにまとめた、こういうことでございます。内部であまり意思決定がきまらないうちに正式にほかの役所と相談をするということは、組織としては従来やっておりません。したがいまして、ただいま御指摘の問題につきましても、省と省というかっこうで正式に御相談するのはもう少し内部が固まってからにいたしたいと思っております。個人的には、ともに国土建設あるいは地方自治という点の同士としてのお話し合いはいたしておりますが、省としてのお話し合いはまだいたしておりません。
  87. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 個人的なやつは、それこそアヒルの水かきみたいな話で、そういうのはこういうところで議論する必要はないんですよ。問題は、省と省とがコンクリートされないときにいろいろ構想を出し合って相談しながら積み上げていくんじゃないだろうかと私は外野席におって見ておるんですけれども、そうでないということはちょっと困りますね、これもやはり重大な問題ですから。そういうことでひとつがんばっていただきたいと思うんです。  同時に、そのことと関連して宮澤局長はうっかりおっしゃったんだと思いますが、生活圏をつくって、その次は工場だということなんだから、通産省がいま提起している、目玉商品とまで言っている工場分散、再配置の問題は、これは価値観が転倒しているんじゃないかという提起があったわけですが、それについて通産関係の方々おりましょうかね、これに対する自己主張をひとつしてもらいたいんですけれども、おいでにならなければほかの機会でやりますから……。私は知っております。たとえば「通産ジャーナル」の先ほど紹介いたしました大永課長はその立案者であります。私の県の部長をしておりましてよく知っておるんですが、論文も読んでおるし、彼の意見も聞いておるんですが、これはやっぱり私大きな批判を持っております。しかし、これは通産省がおいでにならなければやめますが、私、委員部を通じてやった中に書いてある、工場分散の問題で。これは都市構想の場合に重大な問題ですよ。特に、いま建設省が考えている中枢都市の形成なりそうした都市構造を考える場合にこの提起と無関係ではない。もちろんこれは僻地、農村部へ工場を分散するということも一つの構想の中にあると思いますけれども、やはり都市づくりの問題として大きな問題ですが、不幸にして通産省がおいでになりませんから省略をしていきましょう、残念ですけれども。やはりこの辺の意図を明らかにしないと、宮澤局長のような方に押されますから、ぼくは通産の側に立って残念に思います。  そこで、その次の問題を展開いたしますけれども先ほど宮沢局長とやりとりいたしました「自治研究」の中でも、市街化区域の中における農地の問題、この問題でかなり議論が非常に発展をしているわけです。そこで、都市づくりの問題として、市街化の中における、都市構想の中における農業、農地の問題、おそらく公有地拡大の場合は農地をねらうわけですから、ねらう側は理由があってねらうわけですから、ねらわれる農地を所有する者の側にとっては困る。おれはここで農業やりたいのだ、クルメツツジを植えたいのだ、栽培してもうけたいのだ、宇治茶をどんどんこれからも出して、最近はやりのお茶の会なんかに貢献したいのだ、宇治の人はそう言うでしょう。だから都市化の中でも、そうした伝統と採算と、農業のビジョンを持っていながらがんばっている人も実はおるわけですから、都市化の中における農村のあり方、漁業のあり方、そのことについて若干それぞれの立場から見解を伺いたいのでありますが、私は不勉強でございましたが、はからずも他のものを調べておるヒントの中で、都市計画法の中でも第二条でございますが、こういう条文があります。御承知でしょう。「都市計画は、農林漁業との健全な調和を図りつつ、健康で文化的」云々、こうあるわけですね。ところが、いま提起されている公有地のこの法律にしましても、この間うちから何回か指摘されているように、二回にわたって、これは第三条ですがね、「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」、第二項においては「農林漁業との健全な調和に配慮しつつ」、こういう「配慮」と「図りつつ」が入ってきておるわけですね。非常にこの農林漁業に対する配慮、あたたかい配慮が都市計画法にも載っている、今度の立法の中にも載っている。しかし、具体的な行政の推進の勢いから考えて、何か農地をつぶす、農業をつぶすのじゃないか。何か大きな車でぐっと押していくかと思うような圧迫感を実はぼくは感ずるわけですよ。私自身が百姓の子ですから特にそういう被害妄想狂みたいなことになるのかもしれませんけれども、その辺のところを、ちょっと歯どめじゃないけれどもいろいろお聞きしたいのですけれども、経済企画庁、来ていますか。——予算委員会でぼくは議論したのですが、農林漁業の第三次産業化に関する調査研究報告、緑の空間計画というものがこれは研究会から提起されて、まだ企画庁のものとなっていないのかもしれません。しかしこのことは、やはり都市近郊の農業、都市地域内の農業のあり方として新しい問題提起をしていると思います。また都市をつくる側からしましても、公害その他のところを配慮しながら、単なる公園じゃなくて、もっと別途な形で緑の空間をつくろうというのが少なくともこれから都市づくりをする人たちの当然の構想の第一点だろうと思うのです。  そこで、お伺いしたいのですけれども、経済企画庁は、この農林漁業の第三次産業化についての基本的な考え方、それは現状はそうなりつつあるからそうなっているんで、農民の所得を保障し、農業の命を長続きしようと、そういったような一つの現状に即応した計画がもっと積極的に、日本国土計画も含め、なかんずく、いまの場合は都市化の問題ですから、都市計画の中で位置づけようというたくましい意図がこの中に存在するのか。長い時間は要りませんから、簡単にこれについての考え方を明らかにしていただきたいと思います。
  88. 新田庚一

    政府委員(新田庚一君) ただいま先生の御指摘の緑の空間計画、これは、農林漁業の第三次産業化に関する調査研究報告書といいますのを、ことしの三月に私のほうで約十人の学識経験者に委嘱しましてまとめ上げた報告書の中に提言として出ておるアイデアでございます。御承知のように、最近、農林漁業の第三次産業化ということばが、いつからかわかりませんが、非常にいろんな面で、都市住民のレクリエーション、それから農林漁業との結びつきというものが非常に現象的に増加してまいってきておる、この現象の実態はどうなっているかという点。それから、この方向というものが一つの過渡的な方向、流れなのか、それとももっと本質的な問題を含んでいるのか。それから、そうだとすれば、それに対する対応策というものはどういうふうに考えるかという点が、この先生方に委嘱して調査していただいた問題意識でございます。  提言の内容を簡単に申し上げますと、やはり最近の動向というものは、これは都市住民のやはり所得の向上、あるいは余暇時間の増加、それから都市環境の悪化、そういった面からくるきれいな自然へのあこがれというものと、それから農林漁業の所得の増大という要求とが結びついた一つの大きな動向、流れというものになっているという考え方でございます。そこで、この勢いをそのままにしておきますとやはり自然環境がそこなわれる。それから農村、漁村の住民の生活環境もそこなうおそれがある。それから農林漁業の構造改善そのものにも悪影響がある場合も多いという問題を含んでおります。この提言は、これにつきまして、やはり農林漁業の持っておる本来的な機能というのは、結局主要物資の生産でございますけれども、従来見落とされておる隠れた機能としまして、やはり自然環境の保護という機能、それから余暇時間を使用する、提供する場としての機能、そういったいろんな多角的な機能があるという点、そういったものを包摂しまして、やはり都市の都市計画のようなものが、計画的に、何らかの計画性というものを導入しましてそういったものが計画としてつくり得ないだろうか。それを緑の空間計画というふうに呼んでいますが、そういった提唱があるわけでございます。ただ、この提言を私どもいただきまして、やはりこれはその地域、地域の特性に即した計画でなきゃいけない。とすれば、そのいろんな形態別の適性というものが、一体適地をきめる場合の条件というものがどういうものなのか、あるいは、それを展開していく主体というものが地方公共団体なのかあるいは農業団体なのか、そういったにない手の問題。それから、先ほど来お話が出ておりますいろんな現在の制度都市計画を含めましていろんな諸制度がございますが、その制度との関連、あるいはそういった計画を実施する場合のいろんな手段、そういった点が現在の問題として残っておりまして、現在アイデアの段階で、私どもといたしましては各省の意見を聞きながらこれから検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  89. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 ここにあるのは——私の県に高岡というところがあるのですが、高岡地区の高岡地区広域市町村圏協議会が出している整備計画書があるわけですね。この中で、農業問題に関して、「農業は、高密度経済社会への移行と農産物の輸入自由化に対応するため、農業振興地域において優良農地を確保するとともに地域の特性に即応した農業団地が造成され、企業化された高生産性農業が展開されることとなろう。また」云々、そういうふうに書いているわけですが、これはおそらく市街化地域と調整地域とその他と、こういうふうになるわけですが、三つの領域にまたがった構想のように受け取れるのですね、高岡市長に聞いておりませんけれどもね。その辺のところを今度はこの法律は整理されているわけですから、そこで私の心配するのは、市街化の中における農業のある地域——農林省のほうから何が何でも市街化の中でも農業面ではこれこれのことはぎりぎり残しておきたい、機能的にも、あるいは面積までは言えないでしょうと思いますが、この種の農業があってしかるべきだというような農林省側の主張があるかないか、あればお聞きしておきたいと思いますが。立法の経過から考えて、先ほど申しましたように、市街化区域の農業は完全にロックアウトしようというのが政策の意図のように私考えますので。しかしながら、いま第三次産業化への問題提起もあったように、あらゆる多様な要求が農業にかかってきておりますから、農業なるものが、あながちクルメツツジでなくても、あるいは宇治茶でなくても、存在させることのよさが公害対策に伴って起こるのじゃないかというふうに思うわけです。別に公園つくらぬでも、稲穂が実る、稲のこがねの波が漂うということもすばらしい緑地形成ですから、そういう観点から見ることも可能です。それは生産性、採算性の問題というようになってくるとまた別途の農政の問題になりますけれども、それはしかし一つの例でありますから、農林省サイドでぜひとも市街化区域内で、都市計画の中で、これこれのことをひとつはめ込んでいただきたいという農林省の主張があればお聞きしたいと思いますが、いかがでしょう。
  90. 松元威雄

    説明員(松元威雄君) まずその前に、先ほどから広く都市地域農業とか都市農業とかいろいろ言われておるものでございますから、それを分けて考えますと、一番狭くは市街化区域にある農業、それからその次には調整区域の農業、これも都市計画の対象でございます、それからさらにその周辺農業、いろいろ態様があるわけでございます。したがいまして、一口に都市農業といいましても、最小限に考えますと三つのタイプでいろいろ違うわけでございまして、農林省としますと、市街化区域は、たてまえとしまして今後十年以内に計画的に市街化すべき地域にするというふうにその都市計画できめているわけでございます。したがいまして、農業をする場合には原則的に調整区域。したがって、調整区域につきましてはわれわれは農業振興地域の対象地域に指定いたしまして積極的に農業の振興をはかっていく。しかし、市街化は必要でございますし、農地をいずれは宅地に提供しなければならぬということでございますから、都市計画の中では、市街化区域につきましては、いま申しました十年以内に計画的に都市化を進めるという趣旨に従いまして、原則としまして農業は、まず原則的には十年以内にはいずれなくなる、と申しますと語弊がございますが、宅地化するというふうに見ているわけでございます。そこで、もしも市街化区域内で今後とも農業を続けたいとしますれば、たてまえといたしましてはこれを調整区域に編入する。たとえば区域の変更手続もございますし、あるいはいわゆる水玉模様と申しますか、そういう式に調整区域に編入する手続もあるわけでございますから、そういうふうにいたしまして調整区域に編入して農業をやっていただく。そうしませんと、いわば都市化と農業とがチャンポンになる、これが一番問題でございますから、そういうふうに仕分けをしてもらいたいというのが基本でございます。  ただ、いまお話申しましたように、緑の機能と申しますか、農業の持っている機能は食糧生産の機能、これと同時に緑の保全という機能がございます。これをどう活用してまいるかというのが最近の課題でございます。先ほどの三次産業の御質問もそういう趣旨もあろうかと存じますが、そこで問題は、都市計画とマッチしていかに農業の持っている緑をいわば取り入れることが可能か、これは全部というわけにはまいらぬと思うわけでございます。と申しますことは、やはり将来の都市化のために、現在市街化区域に約三十万ヘクタールの農地がございますが、これは主として宅地化が必要であるわけでございまして、何が何でも特に農業として残すというわけにはまいりません。したがいまして、都市計画とマッチしていかに農業を残すか。ただいまお話ございましたツツジでありますとかお茶でありますとか、こういった花木のようなものはこれは長期にわたるものでございますし、いわばかなり緑もあるということで比較的なじみやすい。かたがた、都市の緑化のためには公園でございますとか緑地を残すということでございますから、公園とか施設緑地でいわば農業を活用してもらう、こういう手段もあるわけでございます。さらに、広い農業をどう活用するかということは、結局は、一つ都市計画の中でどのように取り入れていくかということが基本でございますし、同時に、取り入れられました以上は、農業としてこれは長く残さなければいかぬわけでございます。しからば、自分の家でもって恣意的に、あすはすぐ宅地にするということでは困るわけでございますから、どのようにして都市計画の中に取り入れるか、とにかく農業というものを今後も必ず続けていっていただくという、そういう具体的な制度仕組みというものを考えていかなければならないということでいろいろ関係各省とも協議しておる、こういうことでございます。
  91. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 経済企画庁の説明、農林省の考え方、そうしますと、この提案中の法案の第三条の「農林漁業との健全な調和を図り」という意味は、何の意味かさっぱりわからないということになる。これはないほうがいいんじゃないか。いまさら修正を提案するわけにもいかぬけれども都市計画法の第二条にもある。この第三条には二回出ている。この調和をはかるというのは何を意味するのか、市街化の中で調和をはかるというのは何ですか。ほっぽり出すというのが計画なんですから調和じゃないでしょう。ほっぽり出すと書きなさい。
  92. 小林忠雄

    政府委員(小林忠雄君) この法律案の第三条でございますが、これは都市計画法の第二条と同一文言になっております。都市計画法の第二条の意味は、都市計画法の市街化区域、調整区域という制度ができました経過から御説明いたしますと、いずれにしろ市街地の区域が相当広がるということはやむを得ないだろう。しかし、これが入りまじった形で混雑した土地利用になりますと、いわゆる土地側から見るとスプロール現象ということになりまして、都市施設の整わない不良な市街地が将来現出するおそれがある。農業サイドから見ますと、投資しました農業の投資がむだになる、あるいは農地が虫食い状態に破壊される。両方、農村側から見ましても都市側から見ましても非常に困る状態になる。そこで都市計画区域というものを建設、農林両省で相談をして二つに分けて、で、市街化区域の中につきましては計画的に市街化をはかるために都市投資を集中する。市街化調整区域におきましては、これが市街化をするような投資は行なわないし、また開発許可によりまして開発を抑制する。農林省サイドにおきましても、農地法の転用は市街化調整区域においてはきびしく運用をする、さらに農業投資は調整区域にのみ行なう、市街化区域につきましては農地法の転用の許可制度を撤廃する。こういうようなことによりまして土地利用区分を明確に分けて投資をそれぞれ行なっていき、さらに法律的な規制をやっていこう、こういうのが都市計画法第二条の基本的な精神でございます。で、この法律案におきます「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」というのも、まさにそういうことでございまして、第二章におきます土地の先買いは、したがって市街化区域に限ったわけでございます。すなわち都市的施設の投資というものは市街化区域に集中して投資をされる、そのために先買いも市街化区域の中だけで行ない、公共団体あるいは土地開発公社等が調整区域等の農地、山林を民間業者と競い合って買いあさると、こういうようなことによって農林業が衰退をする、こういうことのないように、こういう趣旨でございます。
  93. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 私は、最近いろいろ騒がれている問題の中に、農住都市づくりという構想がやや具体的にすでに宇都宮で起こっているのですがね。これは宇都宮の、人口五千人程度の都市づくりをしようという構想ですが、この中にいわゆる農業という、農民と住宅と産業と何か混然とした一つのあたたかい都市づくりを私自身胸に受けとめているわけです、現場は見ておりませんけれども、しかもこの方向に対して農業団体、農業協同組合等が、私の目の届く限りにおいては、日本農業新聞等を通じて、三十一日に一回、それから六月五日に一回、二回この問題に対する論説を掲げております。だから、中身は申しませんけれども、「都市化に農協が主導権を」 「新しい地域社会の形成へ」という旗じるしを掲げてやっておりますし、二回目は「農住都市建設を推進しよう」 「組織をあげて入居者対策を」云々ということで、かなり希望を持ってやっているわけですね。そうすると、いま第三条等に掲げられている農林漁業との調和というどころか、これはもっと高い次元の考え方にもなると思いますが、こうした新しい創造的な都市づくりの中にそうしたものが見出されるように考えますけれども、いずれの省でもよいですが、こうした考え方についての考え、それをひとつお聞きしたいと思います。
  94. 小林忠雄

    政府委員(小林忠雄君) 先般問題になりました市街化区域の中の農地に対する宅地並み課税の問題と関連いたすわけでございますが、四十五年の八月の地価対策閣僚協議会で市街化区域の中における農地の宅地化の促進の方策といたしまして、いま言いました宅地並み課税の制度がきまったわけでございますが、この際に、その中で農地を持っておられます方に対して良質な住宅建設に対する資金の融通の円滑化をはかると、こういうことを同時にきめたわけでございます。そこで昨年の通常国会におきまして農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法という法律ができまして、いわゆる農地所有者の賃貸住宅建設に対し農協の資金を使って建設をする、この際に、住宅金融公庫から融資を受けて賃貸住宅を建てましたのと同様の家賃のものが建てられるように、農協の金利と五分五厘との差額三分五厘を利子補給すると、こういうような法律が通ったわけでございます。これはいま申しました地価対策閣僚協議会の宅地並み課税とのからみと、それから水田減反の対策とからんでいるわけでございますので、市街化区域の中においてこれを行なうと、こういう法律になっております。現在この実施は二年目になっておりますが、これを拡充する、あるいは条件をもう少し農民のほうの受け入れやすいような条件に直していくというようなことについて、さらに検討をしてまいりたいと思います。  ただいま御指摘がございました宇都宮の農住都市構想について県に聞き合わせましたところが、これは市街化調整区域の中で八百戸ほどの住宅を建てようということでございまして、都市計画法のたてまえから申しますと、調整区域における特別開発許可の対象になるわけでございます。現在まだ地元民との調整も十分行なわれていないということもございますので、今後農林省とも御相談をいたしまして、こういうような構想が都市、耕地あるいは住宅供給の面から、両面あるいは農林行政から見ましてはたして適当であるかどうか、この点について今後検討をいたしたい。ただいまのところはまだ地元とも十分調整がとれておらない、特に市街化調整区域の中で特別許可をしなければならないという問題もございますので、それほど詰まった話というようには聞いておらないわけでございます。
  95. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 時間が関係いたしますので、はしょってどんどんいきますが、私よく新幹線で金沢へ帰ることがあります。名古屋を通るわけですが、名古屋で出している中日新聞、こちらでも出ているけれども、名古屋が本社だろうと思います。その五月二十九日の中日新聞に「中日春秋」というコラム欄があるわけですが、この中で、「金沢は旅行者に住んでみたいという気を起こさせる町だ。小高い卯辰山公園から夕映えの浅野川を見おろすと、パリのモンマルトルの丘に立っているような錯覚にとらわれる。密集する古い家並み、それを包む深い緑が、セーヌ河に浮かぶシテ島のながめとどことなく似ている。こんな錯覚を起こさせるのも、澄んだ空気、美しい川、緑と人家が混在した景観のせいであろう。」、こういうようなことで金沢をたたえながら、最終的には公有地拡大法をわれわれが国会審議していることをおそらく承知のないままで、端的な意見として出ているんだろうと思いますが、しかしながら自然環境は、石川、福井ともに大きく破壊されている事実を指摘して、最後に、「西欧では地方自治体自身が公有地を十分に持っているので、自然環境を計画的にゆうゆうと管理している。しかし、わが国の自治体には財政的余力がない。自然保護の金は国がもっとめんどうをみて、自治体の先行投資に回すべきだ。」、こういう主張でありますが、これはそのまま直ちにこの公有地拡大法が成立し、金融公庫法が改正され、若干の資金のめどが立つわけでありますが、いまりっぱな法案ができても、問題は追い詰めると、行政ペースはぜにこの問題になりますから、その点は、中沢委員から先ほど質問がありましたように、今後十分の御努力をいただかなければならぬと思います。  そこで、次の問題は、土地開発公社についての問題でありますが、いわゆる公社と名のつくもの、今日までかなり、雨後のタケノコと言うと失礼でありますが、どんどん出ているのじゃないか、それは数のみならず機能的な分類というものも、あるいは目的的な分類もあると思いますが、もし分類した大づかみの数を示していただければ、いただきたいと思います。
  96. 立田清士

    政府委員(立田清士君) ただいまのいわゆる地方公社でございますが、地方公社の形といたしまして現在ございますのは、民法をはじめといたしまして、私法に基づいて設けられた公社でございます。名称といたしましては、公社といわれるもの、あるいは公社以外の協会というような、実質的には公社でございますが、そういういろいろなものがございますが、主として公社という名前が使われております。それで全体の数でございますが、これは四十五年末でございますけれども、総数で千四百三十二でございます。そのうち約五六%が土地関係の公社でございまして、八百四でございます。それからすでに公法人化されておりますので——ちょっと私法上と申しましたけれども、これは訂正させていただきますが、住宅関係あるいは道路関係の公社、実はいまの四十五年の末の時点では入っておりますが、住宅関係で当時八十九、道路関係で十、それが千四百三十二の中に入っておりますが、そのほかに農林水産業関係で百五十二、あるいは観光関係で六十三、それから商工関係で七十八といったような状況でございまして、いわゆるそれ以外の公社というようなものもございます。そこで千四百三十二のうち、設立団体の種類で申し上げますと、都道府県が設けておりますのが、先ほどの住宅と道路がいずれも入っていますので、ちょっとこれはお断わりしておかなければなりません。都道府県で四百八十四、いわゆる政令指定都市で七十七、市町村で八百七十一、こういう状況になっております。
  97. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 その次に、そうした公社がいろいろな時点から出発して経験年数もいろいろあると思いますけれども、その間、悪いことをした、汚職等の数字があげることができるならば、あげていただきたいということと、ついでですが、役員構成の中に中央官庁から問題になる天下り、地方官庁から天下り、特に幹部クラスの問題ですが、汚職と役員構成の中における旧幹部の天下り——天下りということばは好きでないのです。あんた方えらいわけじゃない、本来は大衆がえらいんですからね、横ばいでしょう、そういうケースなどをまずお聞きしたいと思います。
  98. 立田清士

    政府委員(立田清士君) 第一点の、公社でいわゆる適正でない運営の結果、いろいろそういう事件が起こったという問題でございますが、具体的に過去どのくらいのあれが起こったかという数字は私たちのほうで的確につかんでおりませんが、最近におきましてあった例といたしまして、県の公社で、一つの形といたしましては、これはおもに土地関係でございますけれども、造成いたしましたその土地が、その本来の目的からいたしまして若干不用になってきたというような関係で、その処分につきまして、その処分のやり方が適正を欠いたというようなものが一つございます。  それからこれもやはり県の公社の関係でございますが、土地を取得いたします際に、その価格自身が通常考えられます時価よりも相当高く購入されたというようなものがございます。  それからこれは 市が設けている公社でございますけれども、最近の事例でございますが、一つは、その公社が取得いたしました土地の処分につきまして理事会等の手続を正式にとらないで行なったというような事例がございます。それからいわゆる公社が成規の手続によって土地を処分したわけでございますが、その処分された先がさらに転売されてしまったということで、本来公社が処分する意図と反したような結果になってしまったというような事例が最近の、最近といいますか、この二、三年間の事例として実はございます。そして、いま申し上げました四つほどの事例につきましては、それぞれそういう事件が起きましたあと、そのこと自体についていずれもそれぞれ解決がされております。  どういう解決がされておるかという態様でございますが、一つは、実際に処分いたしました、成規の手続をとらないで処分したものについては、公社内部においてそれぞれ一つの行政的な処分がなされておりますし、それからいわゆる公社運営自体について、公社のいわゆる体制と申しますか、地方団体との関係の明確化というような点について、そういう処置がなされておるというようなことが行なわれております。いずれにいたしましても、こういったような運営の適正を欠くような点につきましては、設立された地方団体自身において行なわれているもの、あるいはもちろん公社自体でもその是正につとめられておるもの、あるいは県のほうも、さらに市の場合におきまして県自体も指導しておるもの、いろいろなかっこうで現在はそういう意味で解決がなされている、こういう状況になっておるわけでございます。したがいまして、過去から現在までのそういったような件数については把握は実はいたしておらない、こういう状況になっております。
  99. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 もう一つ、役員の天下りの問題。
  100. 立田清士

    政府委員(立田清士君) 第二点の役員でございますが、先ほど申し上げました全体の地方公社におきまして、現在役員の総数が、これは四十五年末でございますが、二万六百二十五人役員がおられます。その形といたしましては、従来の公社におかれましては、地方団体の職員が公社の役員を兼ねておられるというようなかっこうと、それから現実に地方公共団体の職員であった方が、その後退職されて公社の役員として入っておられるというような両方の事例がございます。それからいわゆる国の職員であった者、公務員であった者というものは、私たちのほうではそういう方はおらないように聞いておりますが、われわれの調査の段階ではそういう数字は実は出てきておらないということでございます。
  101. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 それでは次に直接行政、つまり地方自治体が直接——法案の第一条にある目的ですね、「公有地の拡大の計画的な推進を図り、もって地域の秩序ある整備と公共の福祉の増進に資することを目的とする。」のですから、この目的を達成するために地方自治体が直接行政でやれない理由はどこにあるか。公社をつくらなければならない理由、つまりやれない理由は、裏返しにすれば公社のほうがいいということですから、その辺のところを検討されたことの内容を簡単にはしょって御説明いただきたいと思います。
  102. 立田清士

    政府委員(立田清士君) 御承知のとおり、土地の取得につきましては、やはり地方団体がみずからやられるというようなたてまえがいわば基本としてはあろうかと思います。そしてまた、その点につきましては、御承知のとおり、公共用地の先行取得債をはじめといたしまして各種の地方債措置その他の財政措置も毎年度充実がはかられていっていることも御承知のとおりでございます。そこで、実はいわゆる土地利用というものが、非常に将来を見通しますと相当地方団体としてはあるわけでございますし、特に先ほど大臣からお話のとおり、地域の秩序ある整備をはかっていくという点でやはり土地自体が、土地利用を行ないますためにも相当の土地を取得していかなければならない、こういう実態があるわけでございます。  そこで、いわゆる土地開発公社を設けるという意味でございますけれども、そういうふうな地方団体の土地需要に対応するためにやはり民間からの資金借り入れの点あるいは長期にわたる先行取得を行なっていく。さらに現在においては、まだ事業計画等で確定しておらなくても、そういうものを土地開発公社自体であらかじめ取得をしてもらっていくといったような、そういうような点が、土地開発公社としてはいわゆる地方団体の分身としてそういう機能を営むのに適しているのではないか。そういうような考えから、土地開発公社というものの公法人化ということを考えたわけでございまして、その前提といたしましては、最初に申し上げましたとおり、地方団体としてみずからやるもの、それから土地開発公社で行なっていくもの、この両々相まって地方団体の現在あるいは将来の土地需要に対応していこう、こういう趣旨でございます。
  103. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 誤っておったら指摘してください、私の考えではありません。横浜国大の成田助教授の見解ですが、これは「ジュリスト」の一九六一年の五月十五日の号です。古い話です一同時にまた、そこにおります地方行政調査室の塩入武三君も大体同じことをあげておるわけですね、「立法と調査」のところで。それで、塩入君がそこにおるから塩入君のやつはやらないで、国立大学の成田助教授のものが権威があるように考えては失礼ですけれども、読みますが、なぜ公社が乱立するかという理由をあげているわけです。立田審議官のただいまのは、ちょっと聞きよいところ、かっこうのよいところだけおっしゃったわけですね。かっこうの悪いところもあるわけです。実はその辺のところを申し上げますから、それは間違いだというところがあったらひとつ指摘をしていただきたいのですが。「公社等の乱立する理由」、先ほど八百四とおっしゃったが、「第一は、地域経済の発展、公共施設の整備等の積極的で大規模な長期的事業を行なうために必要な資金を確保することにある。」、いま立田さんがおっしゃったことを裏打ちしていると思います。そのことは同時に、中身の問題としては、「地方債資金の総枠自体が地方公共団体の要望を充たすに十分ではない」ということ、あるいは「地方公共団体が最近の社会・経済情勢に応じて行なおうとしている事業は、規模が大きく、所要資金も莫大なものであるために、起債申請をするに適しない場合が少なくないこと、」、やみ起債ですね、起債にはいまなお許可制がとられていることなど、つまり地方自治法に対するいろいろなめんどうくさいというようなことなど指摘しておるわけです。「第二は、最近の経済情勢に即応した機敏で能率的な経済活動を営むためには、事業の運営を煩雑で弾力性のない公の財務会計制度の制約から解放し、企業会計方式と近代的経営技術を導入する必要性にある。」、これは私率直にいただけないわけですが、そういう提起が第二点であります。「第三は、議会の制約を排除するためであるといわれている。」、これはたいへんですね。「議会の制約を排除するためである」、これは非常に大事なところですが、これがやっぱり公社の魅力でしょうね、大事なところだけれども。「第四は、とくに理由一つとして挙げることにはやや問題がありそうに思われるが、」と成田さんは謙虚に言っておりますが、「副次的な目的として、地方公共団体の停滞した人事をやりくるために、職員の退職後のポストを確保することが考慮されているといわれている。」、だから、一石投げれば四つの鳥を落とす、一石四鳥であると彼は言っているわけですね。この成田助教授の——成田助教授いま外国へ行っておっておりませんけれども、その見解について、是は是、否は否、なかんずく否の問題は起こり得る可能性があるわけですから、その否の問題に対する今後の、この法案が行政ペースに乗った場合の自治省の指導の努力点にもなる、そういうふうにも思いますから、そうした見解なり決意を含めていただきたいと実は思います。私は、それで質問実は終わるわけですから、そういうことでお答えをいただきたいと思います。
  104. 立田清士

    政府委員(立田清士君) いまの御指摘のそういう事由につきましては、それぞれその論者の方の御見解があると思いますので、そのこと自体については直ちに私のほうからどうこうということは申し上げかねますけれども、いまあげられました四つの点については、われわれの今後の運営も含めて申し上げてみたいと思います。  第一点の資金の確保の点でございますが、確かに公社自身がいままで私法人として設立できる過程におきましては、その点が公社が設立された一つ理由であろうかと思います。ただその中で、いま御指摘のたとえば「大規模な」云々というような関係で、地方債等の許可を申請していくために非常にそれはできがたいんじゃないかというような御指摘がございましたけれども、これは必ずしも実際の運営でも、そういうものが必要でございますれば、それはそれなりにやはり対象になるわけでございますので、あるいはもちろん設立された側におきまして心理的にそういうふうなことがあったということはあろうかと思いますけれども、そういう点は今後の問題としてはないのではないかというふうに考えられます。したがいまして、資金の点の、特に民間資金の導入という関係でこういうふうな公社ができてきたということは確かにそのとおりだろうと思いますが、ただ内容的には、いろいろな観点から特にこういうものをつくりたいということでできたのではないかと思います。そこで今度公法人化した場合におきまして、いわゆる民間資金の導入という点は、やはり資金の調達としては大きな柱になろうかと思います。もちろんこの法律におきましても、公営企業金融公庫で新たに貸し付け対象にしていくとか、あるいはこの法律が制定されまして土地開発公社ができてまいりました場合において、公法人としての土地開発公社に対しまして農協系統資金の活用もはかっていきたいと、いろいろそういう意味で従来にも増してそういう資金の充実をはかっていく。さらに今後においても、すでにいままで大臣からお話がございましたとおり、資金措置についてはさらに一段と充実をはかっていきたいと、そういうことでございます。  第二番目の特に財務会計との関係でございますけれども、この点については、そのおっしゃっている内容について、必ずしもそういう財務会計だけの問題というわけではなかろうかとは思います。ただ、公社自身である程度事務処理が機敏に弾力的にいけるというようなことがひとつのいままでの過程においてはあったかと思います。しかし、今後の公法人となります土地開発公社につきましては、この法案にもございますとおり、財務会計につきましてやはり一定の方式を、公社が機敏に能率的に動けるような財務会計方式を考えていくということでございますが、これについては、法案においてそういうふうな財務会計についても一定の方式を示すようにいたしておりますので、その点は、いわゆるいままでできてきた意味としては、そう大きな問題ではないのではないかと思います。  それから第三番目の議会との関係でございますけれども、この点につきましては、この法案におきましても、いままで御質疑がございましたとおり、一つは公社の設立の際、あるいはその後の定款変更につきまして当然議会の御審議をいただくわけでございますし、それからいわゆる毎年度の事業計画あるいは決算の関係の書類等につきましても、議会に提出されるように地方自治法の施行令の改正も実は予定をしておりますし、それからいわゆるこの法案によって、資金借り入れにつきまして地方団体が債務保証をできる道がございますが、そういう債務保証がございまして、予算におきまして議会の御審議をいただくというようなことを考えておるわけでございまして、むしろ従来の私法人の公社というものが、地方団体あるいは議会との関係というものが必ずしも明確でなかったという点に私たち一つ問題点が逆にあろうかと思いますので、そういう点はむしろこういう法案によりましてその明確な位置づけをしていきたい、逆にその点が、現在における私法人におけるまた問題点でもあろうというふうに考えておるわけであります。  第四番目のいわゆる人事的な意味でございますけれども、あるいは過去においてはそういうような点があるところもあったかしれませんけれども、私たちはむしろ今度の公法人の土地開発公社というものはやはり地方団体の分身としての機能を営むわけでございますから、公社自体が積極的に地方団体の土地需要に対応していくという形で考えておるわけでございまして、そういう意味では、むしろ実際に地方団体の将来の土地需要あるいは現状というものを踏まえて活動できるような役員なり職員の構成がなされていくということを期待しておりますし、また、そのように指導もしていきたいというふうに考えております。
  105. 杉原一雄

    ○杉原一雄君 最後に、渡海自治大臣に決意のほどをお伺いしたいと思いますが、大臣法律案提案理由説明の中で、「最近における都市化の進展は、住宅用地をはじめ、道路、公園、緑地その他の公共用地の取得難を招き、良好な都市環境の計画的な整備を阻害する結果となっております。」と、でありますから、この法案提起の動機が簡単しかも率直に述べられておるわけですが、それで都市環境の計画的な整備ということになりますと、きょう建設省からも意見を伺い、農林省の見解も伺い、自治省見解も伺ったわけでありますが、所管の各省の相互の緊密な連絡をとって、激動する今日の経済情勢の中ですみやかに都市はどうあるべきか、都市機能、規模、それから配置、そうした問題等についてのやはり明確なビジョンを打ち出されていくことが必要ではないか。それに土地の先買い等の問題はこれはあくまで手段でございますので、手段と目的とを明確にして、目的を先行さしていかれる努力をあえて私は期待したいのであります。  それからもう一点として、公社の問題がいま立田さんがかなり巧妙な発言をしておっしゃったようでありますが、しかし先ほどの成田さんのことをもってするならば、公社ブームの発生、成田さんは十年前で百近いというか公社ができておると言っておりますが、いままで説明があった千四百三十二、ずいぶん多くあるわけですが、ねらいは一石四鳥である。しかし彼は最終的に「要するに、公社方式は、右のような一石四鳥の効果をねらったものであり、不純な動機に発するところもないとはいえない」と言っていますね。このところが非常に気がかりであるし私もそう思います。こうした問題等について、いまの説明では、この立法ができますとだいじょうぶだと、こうおっしゃるわけでありますが、私はまだだいじょうぶだとは思いません。だからこれはあくまでも行政指導の問題になりますから、大臣はふんどしをかけておられるかどうか知りませんが、ふんどしを締め直してこの問題に対処していただきたいと思いますが、決意のほどをお伺いします。
  106. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 都市のビジョンというものを打ち立てよということでございますが、ごもっともの御意見であろうと思います。建設省におかれましても新都市計画で線引きを急がれておりますが、いままでの経済第一主義と申しますか、そうじゃなくて、ほんとうの都市の持つ、また持たねばならぬ点を、ほんとうに人間生活を営む上においての都市でなければならぬという姿から計画を立てていただく、このように考えますので、建設省の新都市計画の中にもあらゆる分野、各省の要請等もあろうと思いますが、十分連絡をとりまして長期ビジョンのもとにやっていただきたいと思います。自治省といたしましても、昭和四十五年に地方財政の長期ビジョンというものも一応打ち立てておりますが、同時に、各地方にそういったビジョンに合うところの長期ビジョンが私は打ち立てられなければならない、そのビジョンというものの中に都市計画、新しい町づくりというものが長期的に形づくられ、それを計画的に推進していく上において初めて円滑なる行財政の運営が期せられるのではなかろうか、かように考えておるのでございます。その前に立ちはだかっておるのが土地問題でございまして、その土地問題を解決することによってこれらをほんとうに計画的に実施することができるんじゃないかと、かように考えますので、今後とも御指摘のような点につきまして十分各省とも連絡いたしまして、りっぱな都市づくりに邁進できるように努力してまいりたいと、かように考えます。  第二の点、ただいま事務当局からもお答えさしていただきましたが、第一の起債の問題でございますが、御指摘の点もあろうと思いますが、社会資本を充実するためには、私は財政的な観点だけの資金ではいけない。結局日本経済界の資金というものを、いままでのような民間重視の資金でなくて公共重視の中へ取り入れるということになりましたら、財政の面で流れます資金源というものには限度がございますので、民間資金の活用をまって初めて私はこれがほんとうに実行に移されるんでなかろうかと、こう考えます。もとより、民間資金でございましても、現在でも縁故債その他でやっておりますが、現在ではワクがございます。また、起債という形になりましたら長期的なものでございまして、ある程度目的がはっきりするという姿での形でないと許可条件を出さないというような県もございます。また、縁故債というふうな形で国の計画の中へ織り込みますためには一定のワクというものもございまして、地方の資金、各地域におけるところの資金を国が統一的にやるというよりも地域間の資金需要というものを縁故債という形でやる。しかしながら、各地域における資金計画というものもおのずから計画性がなければならぬと思いますので、地方銀行協会等とも連絡をいたしまして、これらが円滑に民間資金を使い、しかも公共が民間資金を使うことによってその地域の住民の福祉をはかるとともに、また経済の振興にも役立つという姿でなければならぬというふうな姿で、この面におきましても積極的に自治省の財政当局と金融界等とも連絡をとらさすような道をいま考え、現実に研究をさしていただいておるような次第でございます。いろいろの点もあろうと思いますが、そういった意味で私は、民間資金の流用という意味におきまして、一つのこれはよい意味での公社の活用の理由として今後円滑に行なえますように持ってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  第二、第三は、いま事務当局から答えさしていただきましたが、問題は第四点でございますが、もとより、人のためにものをつくる、こういうふうな面もなきにしもあらずで、御指摘されたとおりでないかと思います。しかしながら私は、そうでなくして、公社そのものの必要のために行なわなければならぬ、そのために経験のある人材が利用される、ひいてはそれが人事交流の面にも役立つという姿であって、あくまでも人のためにものをつくるというふうなことは、これは絶対にないように今後とも私たち注意深く行政指導を行なっていかなければならないと思います。ただ今回、公社制度にすることによりまして、有能なる人材を地方団体との間に交流できるという道が開けることにおきましては、民法人としての、私法人としての公社を公法人化することによりまして、ほんとうに地方公共団体との交流をしやすくいたしまして、公社に必要とする有為なる人材あるいは有能なる人材を得ることができるようになるんじゃないかと、かように考えておるような次第でございますが、この面におきましても、いま申しましたように、長所があると同時に、また言われますような短所があることも否定できませんので、短所というふうな点は十分気をつけながら長所の点を生かして運営していくというふうに積極的に努力してまいる所存でございます。
  107. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより公有地の拡大の推進に関する法律案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  109. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  公有地の拡大の推進に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  111. 寺本廣作

    ○寺本広作君 私は、ただいま可決されました公有地の拡大の推進に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、各派共同による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。  公有地の拡大の推進に関する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、地価対策を含む総合的な土地対策を早急に講ずるとともに、本法の施行にあたっては、次の諸点について遣憾なきを期すべきである。 一、地方公共団体及び土地開発公社が公有地を確保するために必要ときれる資金の確保について、十分な措置を講ずること。 二、土地開発公社は、地域の秩序ある整備を促進する趣旨にのっとって適正な運営を行ない、国等の委託による土地取得のあっせん等は、慎重を期すること。 三、民間自力建設住宅の比重の大きいことにかんがみ、民間の宅地・住宅の供給事業に不当な支障を生ずることのないよう留意すること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  112. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいま寺本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  113. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 全会一致と認めます。よって、寺本君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、渡海自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡海自治大臣
  114. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨を尊重いたしまして、今後一そう善処してまいりたいと存じます。
  115. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案の討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  118. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  120. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 速記を起こして。     —————————————
  121. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 次に、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村国家公安委員長
  122. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  いわゆるモーテル営業は、享楽的な風潮やモータリゼーションを反映し、ここ数年の間に近郊住宅地域等において急増しておりますが、今後もなおふえるものと予測されます。  このモーテル営業は、個室に自動車の車庫が個々に接続する施設を異性同伴客に利用させる特殊な業態であることから、性の享楽場所として利用され、また、社会的にもそのように認識されておりますので、住宅地域、健全行楽地域等においては、これによってその清浄な風俗環境が著しくそこなわれている実情にあり、また、最近この種の施設においては犯罪の発生が増加する傾向を見ております。  このような状況にかんがみ、本法案は、モーテル営業が営まれることによって地域の清浄な風俗環境が害されることのないよう、都道府県の条例で定める地域におけるモーテル常業を禁止し、これに違反する者に対しては都道府県公安委員会が当該営業の廃止を命ずることができるようにするものであります。  次に、本法案のおもな内容について、その概要を御説明いたします。  その一は、個室に自動車の車庫が個々に接続する施設であって総理府令で定めるものを設け、当該施設を異性同伴客の宿泊に利用させる営業をモーテル営業とし、モーテル営業が営まれることにより清浄な風俗環境が害されることを防止する必要のある地域として都道府県の条例で定める地域においては、これを営むことができないこととしております。  その二は、現にモーテル営業の施設の存する場所が、モーテル営業の禁止地域として都道府県の条例で規制されることとなったときは、その規制されることとなった日から一年間は、当該施設を用いて営むモーテル営業については、禁止規定を適用しないこととしております。  その三は、都道府県公安委員会は、モーテル営業の禁止地域においてモーテル営業を営んでいる者に対しては、当該営業の廃止を命ずることができることとしております。  以上の措置に伴い、所要の罰則を設けることとするほか、関係規定整備をいたしております。  なお、改正規定は、公布の日から施行することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  123. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する審査は後日に譲ります。     —————————————
  124. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 次に、警備業法案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村国家公安委員長
  125. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) ただいま議題となりました警備業法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  警備業いわゆるガードマン営業は、社会の需要に応じて近年急速に増加し、今後もなおふえるものと思われます。  警備業は、業務内容の性質上その業務が適正に実施されることが要請されるところでありますが、近年営業者の増加に伴い業務実施に関連して世人の非難を受けるような問題が一部に生じてきております。  このような情勢にかんがみ本法案は、警備業務の実施が適正に行なわれるよう警備業者及び警備員についての人的制限、業務実施の原則、服装、教育等に関して必要な事項を定めようとするものであります。  次に、本法案のおもな内容について、その概要を御説明いたします。  その一は、警備業者及び警備員について一定の欠格事由を定め、これに該当する場合は警備業を営み、または警備業務に従事することができないこととしております。  その二は、警備業を営もうとする者は、主たる営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会及び営業を行なおうとする地域を管轄する都道府県公安委員会に対してその旨を届け出なければならないこととしております。  その三は、警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたっての基本原則として、特別な権限は有しないことに留意するとともに他人の権利及び自由を侵害し、または個人もしくは団体の正当な活動に干渉してはならないことを規定しております。  その四は、警察官等の制服と明らかに識別できる服装を用いること、護身用具の携帯について都道府県公安委員会規則によって制限できること、警備員に対し必要な教育及び監督をしなければならないこと、警備員の名簿等を営業所に備えつけること等について規定しております。  その五は、前記の規定を担保するために、都道府県公安委員会は、警備業者に対し、必要な報告を求め、警察官にその営業所に立ち入り検査させることができることとしております。  さらに、都道府県公安委員会は、警備業者またはその警備員が、本法案規定または警備業務に関し他の法令に違反した場合において、当該警備業者に対し、必要な指示または営業停止の処分ができるほか、特に、欠格事由に該当する者が警備業を営んでいるときは、その営業の廃止を命ずることができることとしております。  その他、罰則規定など所要の関係規定を設けることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  126. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員上村千一郎君から説明を聴取いたします。上村衆議院議員
  127. 上村千一郎

    衆議院議員上村千一郎君) ただいま議題となりました警備業法案につきまして、衆議院における修正の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  まず、修正の趣旨について申し上げますと、警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたって携帯する護身用具につきましては、政府案の第十条第一項において「法令の規定により禁止されているものを除き、必要な護身用具を携帯することができる。」とし、同条第二項において、「公安委員会は、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、警備業者および警備員に対して護身用具の携帯を禁止し、又は制限することができる。」ものとしておりまするが、本条の規定が警備業者及び警備員に特別の権限を与えた趣旨でないことを明確にするため、修正案におきましては、警備業者及び警備員が携帯する護身用具について、公安委員会が禁止または制限することができるものとする規定のみに改めたのであります。  次に、修正の内容について申し上げます。  第十条の護身用具の規定を改め、警備業者及び警備員が警備業務を行なうにあたり携帯する護身用具につきましては、公安委員会が、公共の安全を維持するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会規則を定めて、警備業者及び警備員に対してその携帯を禁止し、または制限することができるものとしております。  以上が修正の趣旨及び内容であります。  何とぞ皆さまの御賛同をお願い申し上げます。
  128. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。後藤田警察庁長官
  129. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 警備業法案につきまして、補足して御説明いたします。  まず、第一条は、この法律の目的について規定したものでありまして、この法律は、警備業について必要な規制を定め、もって警備業務の実施の適正をはかることを目的としております。  警備業務は他人の需要に応じて人の身体財産の安全を守る業務でありますが、近年その事業数の増加に伴って業務実施にあたっての不法事案や、あるいは警察官の制服に類似した服装をして世人から非難を受ける事案等がありますので、今後このような事態の発生を防止するため必要な規制事項を定め、警備業務の実施の適正を確保しようとするものであります。  次に、第二条は、警備業務、警備業等について所要の定義規定を設け、この法律の規制を受ける営業及び業務等の範囲を明らかにしたものであります。  次に、第三条は、警備業者について一定の欠格事由を規定するものでありまして、禁錮以上の刑に処せられ、またはこの法律規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなってから三年を経過していない者、あるいはそれらの者を役員としている法人については、警備業を営んではならないこととしております。  次に、第四条から第六条までは、警備業者の都道府県公安委員会に対する届け出義務について規定したものでありまして、警備業を営もうとする場合においてその主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に対し、また、すでに届け出をして警備業を営んでいる者が、他の都道府県においても営業しようとする場合においてはその都道府県の公安委員会に対し、それぞれ必要な事項を届け出なければならないものとし、さらに、警備業者が警備業を廃止したとき、またはその届け出事項に変更を生じたときは、必要な事項を届け出なければならないこととするものであります。  次に、第七条は、警備員の制限について規定したものでありまして、十八歳未満の者及び警備業者と同様の欠格事由に当たる者については、警備業務に従事してはならないものとし、また、警備業者はそれらの者を警備業務に従事させてはならないものとするものであります。  次に、第八条から第十二条までは、警備業務実施にあたっての警備業者及び警備員の義務について規定したものであります。  第八条は、警備業務の実施に伴って発生するおそれのある違法または不当な事案を防止するため、警備業務実施の基本原則について規定したものでありまして、警備業者及び警備員は、警備業務を行なうにあたっては、特別に権限が与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、または個人もしくは団体の正当な活動に干渉してはならないこととしております。  第九条は、警備員が警察官等の制服に類似した服装をすることによって一般市民から誤解や非難を受けることのないようにするため、警備員等の服装は、一定の公務員の制服と、色、型式または標章のいずれかにより、明確に識別することができるものでなければならないこととしております。  第十条は、警備業務の性格にかんがみ、警備員等は、法令によって禁止されているものを除き必要な護身用具を携帯することができることを明らかにするとともに、公共の安全を維持する観点から、公安委員会は、護身用具の携帯について、必要な禁止または制限をすることができることとしております。  第十一条は、警備業者は、警備員に対し、この法律で定められた義務を履行させるために必要な教育を行なわなければならないこととし、また警備員に対し所要の指導監督を行なわなければならないこととしております。  第十二条は、警備業者は、営業所ごとに警備員の名簿その他必要な書類を備えつけ、必要な事項を記載しなければならないとするものであります。  次に、第十三条から第十五条までは、公安委員会による監督について必要な事項を規定したものであります。  第十三条は、公安委員会は、この法律の施行に必要な限度内で警備業者に対し、必要な報告及び資料の提出を求め、または警察官に、その営業所に立ち入り、関係物件を検査させる等の措置をとることができることとしております。  第十四条は、警備業者またはその警備員が、この法律規定等に違反した場合または警備業務に関し他の法令に違反した場合において、警備業務の適正な実施が害されるおそれがあると認められるときは、公安委員会は、警備員を警備業務に従事させない等の措置をとるよう指示することができることとしております。  第十五条は、警備業者またはその警備員が、この法律規定等に違反した場合で、警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるとき、または第十四条の規定に基づく公安委員会の指示に違反した場合は、公安委員会は、六月以内の営業停止を命ずることができることとし、また、警備業者の欠格事由に該当する者が警備業を営んでいるときは、公安委員会は、営業の廃止を命ずることができることとしております。  次に、第十六条は、営業の停止を命ずる場合に聴聞を行なうべきこと及びその手続について規定しております。  次に、第十七条は、方面公安委員会への権限の委任について規定しております。  次に、第十八条から第二十一条までは、最高額三十万円以下の罰金刑その他所要の罰則について規定いたしております。  最後に、附則におきましては、施行期日及び必要な経過措置について規定しております。  以上が警備業法案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議お願いいたします。
  130. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する審査は後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時八分散会      —————・—————