○
神沢浄君 消費者物価のほうは二倍弱のところへ、
土地だけはどんどん上がって十五倍から十六倍という状況になってきておる。私
どもの聞いておるところでは、本年の当初で全国で法人所有の
土地というのは、金額にして大体十二兆五千億円、国の予算額よりも大きなような金額になるわけです。法人の全資産の五・五%くらいになり、全国土
面積の一・二六%に達しておる、こういう数字のようであります。これに民間の不動
産業者の所有するようなものを合わせますと、そこまでの数字は合わせ切れなかったのですが、これは膨大な、驚異的なものになっているだろうと思います。そのために、つい先ごろの新聞で報道されていたところですが、四十六年度の億万長者番付の上位百人のうち九十五人までが
土地成金で占められている、独占をされている、こういう実態であるわけです。したがって、税金の問題に及びますが、分離
課税等を中心にしたこの
土地税制というのは、本来は国民に安い
土地をということをねらいにしてやったわけだと思いますけれ
ども、事実は、
土地は国民の手に入るんじゃなくて、法人によって買い占められて、結果としては、いたずらに
土地成金を、いま申し上げましたような状況につくり上げていってしまった、こういうことになっていると思います。この間、何か四十六年度のトップになった億万長者も、自分の
土地を自分の会社に売って、そして、いわば税制の操作をしている。こういう状況を見まして、私はこの
法律も零細な国民に安い
土地をというねらいであったにもかかわらず、いま申し上げますような結果になってきておると同じように、あるいは運用のいかんによっては何か思惑買いをあおったり、あるいは
土地不足感などによって、かえって
土地の値上がりを刺激している。
公有地を
取得するのが
目的であるにもかかわらず、かえって
取得難を助長するような結果になりかねないのではないかという感じもしてなりません。そうであるとすれば、なおさら、やっぱりこの
法律をつくるからには実効が期せられるように運営というものをやっていかなければ、これは全く
意味がない、こういうことになるではないかと、こう思うわけであります。したがって、よほど積極的な姿勢で取り組みをしていかなければ、とうていこの
法律の
目的の達成というのは無理になってくると思いますが、そこで、
一つの私は
意見を提起しておきたいと思うでありますけれ
ども、さっきも触れましたように、価格の点で抜け穴が出ておる、あるいは、扱いの点で切り売りでもしてしまえばそれはどうにも手がつかない、こういうこの抜け穴をどうふさぐか、どう押えていくかというところに今後の運用上の一番問題点がかかってくるのではないかと思うわけであります。
そこで、第一点としては、
公有地の
確保のための値上がり待ちをしておるような法人が持っておる
土地とか、あるいは不動
産業者が持っておる
土地とか、こういうものに対しても
先買権がとにかく実効をあげられるような対策という問題、これは考える必要があると思うんですが、そういうような点についての構想をお持ちであるかどうかという点についてのこれが
一つ。
それから第二点の問題としては、その
一つの手段というようなことになると思いますけれ
ども、協議の際に、これは公示価格を基準にした
一つの常識的価格というものを買い側の市町村、公社のほうでは設定せざるを得ないだろうと思いますけれ
ども、その示すところの価格で売らない、法外な値段を出して、そうして協議の不調を初めから
目的とする、背後には不動
産業者というようなものが介在をすると、こういうような
法律があってもいまのままでは手がつかないということでありますから、こういうものを押えていくためには、税制で
調整をするという方法以外にはないのではないかとぼくは思うわけなんです。税制
調整というのは、私は行きと帰りとあると思うのですが、
一つは、あえてその協議を不調にして、取引が行なわれて、法人等が
取得をした場合には、これに対して相当の税金をもって押えると、あるいは、今度は帰りの側では、この調査に協力をした場合には相当税制上の恩典を配慮する、こういうような運用上の対策というものを持たなければ、私はこの
法律をつくるばかりつくってもあまり効果があがらないようなことにいまの
情勢からするとなると思います。たとえば周囲の実態というものを見て、実感としてそういう感じを持つわけであります。そういうような構想をお持ちかどうか、どういうふうにお考えになっておるかと、こういうふうなことと、それから、何といいましても現在のところ金がだぶついておりますから、法人の側などが
土地への投機的
投資というものは非常にしやすい状況だと思うんですよ。金融機関は利息は下げるというようなことでもって、銀行から金を借りて
土地を買うということになれば、今度は売った側の金はどこへも用いようがないから銀行へ戻る、法人はその金を借りて
土地を買う。繰り返していれば、さっきちょっと申し上げたように、どんどん法人の
取得する
土地などは大きくなると同時に、
土地価格は法外に刺激をされて上がっていく、
公有地の
取得などはますます困難になっていく、
法律の
目的とは全く逆の
現象が生じてきてしまう。
これではどうにもならないわけですから、それで第三点とすれば、法人の
土地取得などは何らかのやはり姿勢を、たとえば、私はしろうとですからわかりませんけれ
ども、市町村などが許可制でもとるようなことは考えられないか。
法律には、その「
地域の秩序ある
整備」をはかるためということがあるわけですから、
都市計画に、そういうようなものに比準して、何か市町村の許可制というような、こういうようなものがとれないものかどうか。
いま申し上げましたような、これは私の考えとして、この三つの点くらいをどうしても配慮していきませんと、私は
法律は
意味ないじゃないか、こういう感じがしてならないのですが、それらの点について
建設省、
自治省、それから、それに関連して大蔵省あたりのひとつ御
意見をこの際お聞きをしておきたいと思います。