○河田賢治君 他の同僚
委員からだいぶ
質問ありましたので、ごく二、三の問題を意見を交えて述べたいと思うのです。
かつて、
消防行政に関する行政監察というのが
昭和四十四年の十二月八日に勧告されて、自治省では四十六年の二月八日、運輸省は四十五年十一月十三日回答しているわけです。この中に、
地下街や中高層建築地区その他についての都市における危険区域、これらの問題については、大体自治省としましては、新しく
建築基準法ができた、それで大体安心だということが答弁されているわけですね。これは確かに十一階以上のものなんかについては高層
建築物として処置されたわけです。しかしそれとともに、歓楽街、繁華街、特殊三業地区について適切な防火
対策を樹立することが肝要であると言って、次の事項について二、三行政監察が書いてあるわけですね。これについても行管のほうでは、個々の住民というのは非常に防火意識が必ずしも
徹底しておらない、自衛
消防の体制は一般に弱体であるというようなことを
指摘している。これに対して自治省は、
火災予防の見地から、これからこれらの区域において組織を結成することがきわめて好ましい、すでに一部では
消防機関の
指導によって特に効果をあげている。まあその他のことについては目下いろいろ
検討する。こういう大体においておざなりの回答が寄せられているんですね。ですから、今度の
大阪の問題がありまして、突如東京でも
消防庁がその日に直ちに監察、
査察されたわけですね。やはりどこでもこういう歓楽街等々においては
消防意識というのが非常に弱い。まずせっかく備えつけた器具なんかについても全然知らぬとか、こういうことがある。
責任者自身もあまりそれに対して関心を持っていない、こういう事実があるわけなんです。これはやはり
消防庁が絶えず監察をして、それからどの程度教育されているかもやはり見なくちゃならぬわけですね。そういう点から私は、今度の問題は相当中高層だけでなく、さっきおっしゃいましたように、十一階以下の程度のものでもやはり火事になれば大きな犠牲を出すということがありますので、ここでやはり相当自治省を
中心に
消防の面から、またいろんな建築の面から根本的に私は考え直す必要があるのじゃないか。なかなか人間の命というものにはかえられませんから^しかも
火災というものはずいぶん経験したわけですね。
ホテルの火事、それから千葉の百貨店の火事、それからまた最近はガスの爆発とか、こういういろんな火事の経験をしているわけです。しかも、年々御
承知のとおり工業の発展でいろんな可燃物が使われ出して新しい事態が発展しているというのですから、どうしても
消防行政にしても防火体制にしましてもそれに追いつくようなやはり手段を考え、
法律の内容を私はどんどん変えていかなければならぬと思う。先ほど建築のほうでも、
基準法ができたけれども、行政的な処置で
改善命令ができるとおっしゃっておりますけれども、単なるここを建て直しなさいとか、ちょっとうまくやれとか言っても、
法律をつくってある程度強制を伴なわなければ、ぜに金のことばかり考えている人が多いですからなかなかやらないと思うのです。どうしても古い構造物であっても最小限の防火体制あるいは十分な防災体制等々はやはり
改善さすような立法
措置を私はとるべきだと思うわけです。そうしませんと、私はなかなか今日多数のこういったことがあるのですから直らぬと思うのです。しかも建築というものは、だんだん時代がたてば古い
建築物というものはやがて建て直しもするわけなんですから、そういう点から一応やはり
建築物なんかについても再
検討を加えるということが私は大切だと思うのです。
特に通産省は——きょうはなるべく
質問を長くやりまして、答えは簡単にもらいます——新聞を見ますと、通産省はきょう、十三日のこの火事から
教訓を得て、まずいろんな危険な建材をこれから規制しなくちゃならぬ。そのために、試みに買ってテストをするということを言っている。これは実際いいますとおそいんですね。しかし、通産省がこういうことをやれば、それは
一つの私は進歩だと思うのです。しかし同時に、こういう不
特定多数の者が集まるところでは危険であっても、個人のところで使えばそう危険でないものもあると思うのです。だからこの辺でやはり通産省もできるだけ危険な建材を売らぬようにしなけりゃならぬが、同時に、人間の文化
生活が上がりますと、多少危険がわかっていても防火や防災には個人の家ではだいじょうぶだという人があればこれは使うわけですね。そうしますと、やはり売るところ、相当私はこういう問題は
検討する必要があるんじゃないか。たとえば百貨店、これは千葉の百貨店ではあまり多くの人は死ななかったと思いますが、時間の
関係上。しかし、かつて白木屋あたり燃えて、昔でしたから、そうたいした
被害はないわけですけれども、いまだと煙がすぐに上がっちゃいますから、すぐ窒息ですね。ですから、百貨店あたりでもやはり建築——危険な爆薬じゃないけれども、第二の危険なものですから、こういう有害毒ガスを発生するようなものの
売り場というのはある一定のところに集める。そういうところに、建築の基準でもできれば、遮閉のできるような鉄扉がおりるとか、百貨店というのは大体全館
一つになっておりますね。だから、そういう
場所をきめて、そういうところで危険なときはすぐ
シャッターがおりて、多少でも煙が一般に回らぬようにするとか、いろんな建築上これを規制する必要もあるんじゃないか。そうすれば、ある程度これは防げて逃げる時間もできるのじゃないか。したがって、こういう
売り場などについて有毒ガスなんか、販売するところの規制を、これは通産省のほうも
関係ありましょうし、建築の側からいけば
建設省も
関係しますから、総合的に
自治大臣あたりが
中心になって考えませんと、
一つの省だけで、これは建築はだいじょうぶだとか、あるいは通産省のほうで考えれば、
売り場はこれはあってもだいじょうぶだというような、こういう問題が出ると、なかなか防災、防火という面から見ますと、かなりやはりしっかりとこれをやるために困難な面が出ると思います。ですから、こういう点で私は今後各省にまたがりますから、少なくとも
人命の救済という任務を
消防庁は負っているのですから、したがって、
自治大臣がこういう問題についても相当積極的な見解を持って、そして建築上の問題も、何といいますか中層の
建築物の
遡及ができて新しく
改善させるとか、こういうことをしっかりとやってもらいたい。新しいものについては、さっき申しましたように、いろんな商店やそれぞれの居住、こういうところにふさわしい
火災予防の
措置をつけていく。電気が消えて全然まっ暗がりで、どこへ行ったらいいかわからぬようではぐあいが悪いですね。電源が切れれば直ちに別の発電機とか小電池が動くとか、
一つの通路なんかは蓄電池でも置けばあるいはつくわけですね。そういう
設備をするとかいろいろなやはり建築上、しかも火事のときに十分なあれができるというようなことも必要ですし、それからまた、今度カーテンはやりましたけれども、御
承知のとおりいろいろな喫茶店とか
キャバレーとか、私、行ったことがないからわかりませんけれども、いわゆるインテリアといいますか、いろいろな室内の装飾物、これらも相当化繊なんかも使ったり、それからいろいろなじゅうたんも敷いたりしていると思います。こういうものにやはり有害な材料を使っているかどうかということを調べてもらって、さらにこの
消防法なんかもそういう面から全体的にもっと
検討していただく、そして、できるだけ
火災の予防をするということをしていただきたいと思う。単にカーテンだけでは私はこのごろ足らぬのじゃないか、こう思います。個人のうちは別としまして、こういう点も考えられます。
したがいまして、今後私は、個々の問題については申しませんけれども、いま申しましたような点で、
自治大臣が、
人命と防火をあずかる主務官庁としまして相当
責任が重いわけですから、これを通産省あるいは建設とかその他
関係各省とも、十分この
災害を契機にして、ひとつほんとうの総
点検ですね、洗い直すという立場に立って
検討していただきたい。このことを申して私は終わりたいと思います。