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1972-05-11 第68回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十一日(木曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————    委員異動  五月十日     辞任         補欠選任      柴立 芳文君     世耕 政隆君      二宮 文造君     藤原 房雄君  五月十一日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     稲嶺 一郎君      藤原 房雄君     二宮 文造君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         玉置 猛夫君     理 事                 寺本 広作君                 増田  盛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 高橋 邦雄君                 若林 正武君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 杉原 一雄君                 和田 静夫君                 上林繁次郎君                 中沢伊登子君    国務大臣        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  中村 寅太君    政府委員        警察庁長官    後藤田正晴君        警察庁交通局長  片岡  誠君        自治政務次官   小山 省二君        自治大臣官房審        議官       森岡  敞君        自治省財政局長  鎌田 要人君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        運輸大臣官房参        事官       原田昇左右君        労働省労政局労        働法規課長    岸  良明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政改革に関する調査地方公営企業の  財政問題に関する件)     —————————————
  2. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十日、柴立君が委員辞任され、その補欠として世耕政隆君が選任されました。     —————————————
  3. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 道路交通法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村国家公安委員長
  4. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) ただいま議題となりました道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  この法律案は、最近における道路交通の実情にかんがみ、交通事故防止し、その他交通の安全と円滑をはかり、及び道路交通に起因する障害の防止に資するため、普通免許技能試験道路において実施するための規定整備し、並びに指定自動車教習所に関する規定整備し、初心運転者順守事項について規定する等初心運転者に対する教育徹底とその資質向上をはかるための規定整備するとともに、免許証有効期間についての規定整備すること等をその内容としております。  以下、各項目ごとにその概要を御説明いたします。  第一は、路上試験実施等のための規定整備であります。  その一は、普通免許技能試験方法についてでありますが、これを道路において行なうこととする規定を設けようとするものであります。  その二は、路上試験実施適正化をはかるための受験資格規定についてでありますが、普通免許試験を受けようとする者は、指定自動車教習所卒業者等政令で定める者を除いて、仮免許を現に受け、過去三月以内において五日間以上、道路上で総理府令で定めるところにより運転練習をした者でなければならないこととするものであります。  その三は、路上における練習試験等のための仮免許に関する規定整備でありますが、仮免許種類有効期間を定め、練習のためには一定資格のある者の指導を受けなければならないこととするとともに、仮免許要件違反について罰則を強化し、仮免許練習標識掲示義務違反について罰則を設けることとする等がその内容であります。なお、仮免許取り消し処分制度を設けるとともに、仮免許に関する事務合理化をはかるため、仮免許を与えること及びその取り消しに関する事務は、警察本部長等に行なわせることができることをその内容とするものであります。  第三は、初心運転者に対する運転教育徹底をはかる等のための規定整備であります。  その一は、指定自動車教習所における教習水準を高め、運転者資質向上をはかるため、指定自動車教習所指定基準等に関する規定整備し、指定自動車教習所技能検定員公務に従事する職員とみなすこととすることを内容とするものであります。  その二は、初心運転者順守事項についての規定でありますが、普通免許を受け、免許経歴が一年に満たない者は、自動車前面及び後面の総理府令で定める見やすい位置に、一定標識をつけなければならないこととするとともに、この違反については、罰則を設けることとするものであります。  その三は、初心運転者保護についての規定でありますが、初心運転者または仮免許練習中の運転者標識をつけた普通自動車運転しているときは、他の一般運転者は、危険防止のためにやむを得ない場合を除き、その普通自動車側方幅寄せをし、またはその普通自動車前方追突防止のために必要な距離を保つことができないこととなるときは進路変更をしてはならないこととするものであります。  第三は、免許証有効期間に関する規定その他の規定整備であります。  その一は、免許証有効期間に関する規定についてでありますが、免許証有効期間末日をその者の誕生日とすることによって、うっかり失効防止し、あわせて更新時期を平均化することによって、免許事務合理化をはかろうとするものであります。  その二は、運転免許手数料に関する規定でありますが、路上試験実施に伴い、手数料限度額千円を千五百円に引き上げることを内容とするものであります。  その三は、国家公安委員会都道府県公安委員会に対して行なう指示についてでありますが、現行の高速自動車国道のほか、政令で定める自動車専用道路国家公安委員会指示権の対象に加えることとし、その他所要の規定整備することを内容とするものであります。  なお、この法律施行日については、初心運転者標識掲示義務及びその保護に関する規定国家公安委員会指示権に関する規定等は、昭和四十七年十月一日から、路上試験実施等に関する規定指定自動車教習所指定基準整備に関する規定免許証有効期間に関する規定等は、昭和四十八年四月一日から、その他の規定は、この法律公布の日から施行することとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。
  5. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 次に、補足説明を聴取いたします。後藤田警察庁長官
  6. 後藤田正晴

    政府委員後藤田正晴君) 道路交通法の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明いたします。  第一は、路上試験実施等のための規定整備についてであります。  まず、第九十七条第二項の規定は、現在、技能試験は、すべて試験場内で行なうこととしておりますのを、交通の流れに適応する運転能力、法令の順守能力等その者の道路上における実際上の自動車安全運転能力について確かめることとするため、普通免許技能試験については、これを一般道路において行なおうとするものであります。  次に、第九十六条の二の規定は、普通免許運転免許試験を受けようとする者は、指定自動車教習所卒業証明書を有する者等普通免許技能試験が免除されることとなる者を除いて、仮免許を現に受けている者で、過去三月以内に五日間以上、路上練習をした者でなければならないこととするものでありますが、その場合総理府令で定めるところにより、交通の著しくひんぱんな道路生活道路等路上練習に不適当な道路以外の道路において、一定内容について自動車運転練習をしなければならないこととしようとするものであります。  次に、第八十四条第五項の規定、第八十七条の改正規定等は、路上における練習試験等のための仮免許規定整備でありますが、仮免許種類大型仮免許及び普通仮免許の二種類に分け、練習試験等において運転しようとする者は、運転しようとする自動車種類に応じて、それぞれ大型仮免許または普通仮免許を受けなければならないこととするとともに、仮免許を受けた者は、練習のため自動車運転しようとするときは、練習効果を高め、かつ、練習中の危険を防止するため、その運転者席の横の乗車席に、その自動車運転することができる第一種免許を受けている者でその免許を受けていた期間が通算して三年以上のもの、その自動車運転することができる第二種免許を受けている者等を同乗させ、かつ、その指導のもとに運転しなければならないこととし、また、新たに仮免許練習中の標識掲示義務違反について罰則を設けるほか、仮免許有効期間を三月としようとするものであります。  次に、第百六条の二の規定及び第百十四条の二第一項の改正規定は、精神病者等一定欠格事由に該当する者及び人身事故を起こした者等政令で定める基準に該当するものについて仮免許取り消し制度を設けるとともに、正規の免許の取得のための事前段階である仮免許に関する事務については、これを合理化するため、警察本部長等に行なわせることができることとしようとするものであります。  第二は、初心運転者に対する運転教育徹底をはかる等のための規定整備についてであります。  まず、第九十八条の改正規定及び第九十八条の二の規定は、指定自動車教習所における教習水準を高め、もって自動車運転者資質向上をはかるため、指定自動車教習所指定にあたって一定職員、設備、運営が法律で定める要件を備え、または政令で定める基準に適合しなければならないことを明記するとともに、特に、公安委員会の行なう路上試験にかわる技能検定に従事する技能検定員選任及び解任、技能検定合格証明等について規定するほか、その業務の重要性にかんがみ、指定自動車教習所技能検定員は、刑法その他の罰則適用については、これを公務に従事する職員とみなすこととしようとするものであります。  次に、第七十一条の二の規定は、他の運転者等初心運転者であることを知らしめ、初心運転者にかかる事故防止をはかり、また、初心運転者初心段階において正しい謙虚な運転の習慣を身につけさせるため、普通免許免許経歴が通算して一年未満の初心運転者は、外国免許を受けていたことがある者等を除いて、総理府令で定める初心者マークをその普通自動車前面及び後面につけて運転しなければならないこととしようとするものであります。  次に、第七十一条第五号の三の規定は、初心運転者または仮免許練習中の運転者初心者マークまたは仮免許練習中の標識をつけた普通自動車運転している場合における他の一般運転者順守事項を定めるものでありますが、これは、一般運転者初心運転者等運転する自動車側方及び前方に安全な側方間隔及び車間距離を保たなければならないこととすることにより、一般運転者に対して初心運転者保護義務を課そうとするものであります。  第三は、免許証有効期間に関する規定その他の規定整備についてであります。  まず、第九十二条の二の規定等は、免許証有効期間末日をその者の誕生日とすることによって、いわゆる、うっかり失効防止し、あわせて更新時期を年間を通じて平均化することによって、免許事務合理化をはかろうとするものでありますが、これによりまして、新たに免許を取得した者の免許証有効期間は、その適性試験を受けた日の後のその者の三回目の誕生日が経過するまでの期間とするとともに、更新免許証有効期間は、更新前の免許証有効期間が満了した後のその者の三回目の誕生日が経過するまでの期間とし、また、海外旅行等のため、更新期間の到来前に更新を受けようとする特例更新免許証有効期間は、その適性検査を受けた日の後のその者の三回目の誕生日が経過するまでの期間としようとするものであります。  次に、第百十二条第五項の改正規定は、新たに路上試験実施することに伴い、運転免許試験手数料等の額は、一件についての限度額を現在の千円から千五百円に引き上げようとするものであります。  次に、第百十条の改正規定は、国家公安委員会は、交通の安全と円滑をはかるため、特に必要があると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、従来の高速自動車国道のほか、高速自動車国道に準じ、または高速自動車国道と密接な関係を有する自動車専用道路のうち政令指定するものについて、これらの道路における道路交通法実施に関する事項について指示することができることとしようとするものであります。  最後に附則規定についてであります。  第一項の規定は、この法律施行日について規定しようとするものであります。なお、公布の日から施行することとしている規定は、新たな内容変更を伴わず、もっぱら用語の斉一を期するための整備を行なう規定であります。  第二項の規定は、附則第一項の規定により施行日を異にしたことに伴い、引用条文についての経過措置を設けようとするものであります。  第三項及び第四項の規定は、仮免許に関する規定整備したことに伴い、仮免許種類及び仮免許有効期間について必要な経過措置を設けようとするものであります。  第五項の規定は、免許証有効期間末日をその者の誕生日としたことに伴い、この改正規定施行の際、現に運転免許を受けている者の免許証有効期間については、なお従前の例によることとし、この場合において、改正規定施行最初にその者の免許証有効期間更新された場合のその更新免許証有効期間は、三年を経過した後のその者の最初誕生日が経過するまでの期間とすることとしようとするものであります。  第六項の規定は、路上試験実施に伴い、この改正規定施行前に普通免許運転免許試験の申請をしている者については、その受験資格及び試験方法は、改正規定施行後においても、なお従前の例によることとしようとするものであります。  第七項の規定は、指定自動車教習所指定基準等について規定整備し、技能指導員学科指導員及び技能検定員について規定整備したことに伴い、必要な経過措置を設けようとするものであります。  第八項及び第九項の規定は、この法律施行前にした行為に対する罰則適用及び反則行為に関する処理手続等に関する規定適用について、必要な経過措置を設けようとするものであります。  以上が道路交通法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞ、よろしく御審議をお願いいたします。
  7. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 本案に対する審査は後日に譲ります。  ちょっと速記をとめてください。   〔午前十時五十七分速記中止〕   〔午前十一時九分速記開始
  8. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) 速記を起こして。  午後二時三十分まで休憩いたします。    午前十一時十分休憩      ——————————    午後二時四十二分開会
  9. 玉置猛夫

    委員長玉置猛夫君) ただいまから地方行政委員会を再会いたします。  地方行政改革に関する調査のうち、地方公営企業財政問題に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 和田静夫

    和田静夫君 まあ交付税法案の、ここで触れるべき部分について、この問題保留をしておきました。したがって、少し表の問題で質問したいんですが、まず一月の十日にですね、大臣は、地方閑散線の取り扱いに関連をして、大蔵運輸大臣に対して公営交通事業経営悪化現状にかんがみて料金適正化人員縮減等企業経営の改善、合理化財政の見通しなど、昭和四十八年度における抜本的な再建対策検討すると申し入れられたようでありますけれども、これは自治省財政課長が執筆されている論文の中に明確にされているわけですが、そういう事実がございますか。
  11. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 十日の日に、大蔵大臣と私の、自治省関係予算大臣折衝を行なったのでございます。この問題は、当面の大臣折衝課題ではございませんでしたが、特に、前もって大蔵省並びに運輸大臣にお願いをいたしまして、相当深夜でございましたが、運輸大臣にも待機を願いまして、自治省関係予算折衝が終わりました直後に三大臣に集まっていただきまして、四十八年度に対する地方公営交通事業のあり方について私のほうから申し入れを行ない、両大臣とも了承を得たという姿でございます。いま読み上げられました文書、おそらくそのとおり、新聞か何かに出た、大体そのようなことで両大臣了承を得、四十八年度ではぜひこの問題と取り組みたい、かように考えております。   〔委員長退席理事寺本広作君着席〕
  12. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、抜本的再建対策検討すると言われているわけですが、いま読みましたように、例示されている部分がちょっと気になるのですけれども、まず、料金の値上げでしょう、それから人員縮減でしょう。再建策中心というものが、どうも自治大臣申し入れ文書によれば、この二つ、こういう形で印象づけられるのですがね。これが自治大臣意図なのか、いかがですか。
  13. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 実は、この申し入れに対しましては、それは大臣折衝で行なうべきことでないということで非常な抵抗がございました。私たち最初に示しました案は相当詳細な内容にわたっておるものでございます。どうしても応じない、しかも時間の限られた大臣折衝、その範囲内の問題でございますから、その大臣折衝議題以外のものを特別にあの晩を選んでやるものでございますから、向こうとしては非常に反発的な態度で出てきたのでございます。それでございましたが、粘りに粘りまして、文書その他について相当譲歩せざるを得なかったというのが偽らざる現状でございます。いまその文章の点につきまして御指摘を賜わりましたならば、いろいろ御批判を受ける点があろうと思いますが、私は文書よりも実行である、これは一つの旗上げである、あと実行をどう持っていくかは今後これから努力いたします。私たちの努力によってそれが期待できるのである。四十八年度に抜本対策を講ずるのだという旗上げだけはつくりたいという意図でございまして、自治省事務当局にも、これではどうかという気持ちがございましたが、私は旗上げだけでけっこうだから、とにかく相手を説き伏せろと言うてつくられたこの文書でございます。したがいまして、文書の中にはいろいろと御批判もあろうと思いますけれども、ぜひそういうふうな意味で御理解を願いたいと思っておるような次第でございます。同時に、この問題は、単に大蔵運輸だけでなく、建設警察あるいは経済企画庁その他関係する部面も多いのじゃないかと思います。私たち事務当局として、政府内にも、これらの官庁にも連携を求めまして、この文書をよりどころにして、さっそく協議に入る態勢をいま着々として進めているようなことでございますが、私は、前にも申し上げましたように、衆参両院地方行政委員会先生方におかれましても、関係ある各省等委員会でひとつ小委員会でもつくっていただきまして、建設的な御意見を賜わり、私たち意図を御支援賜わりたい、そうして四十八年にはわれわれの期待するような抜本策を打ち立てたい、このように考えておりますので、ひとつぜひとも皆さま方の格別の御尽力を賜わりたい、かように思う次第でございます。よろしくお願い申し上げます。
  14. 和田静夫

    和田静夫君 いま御答弁の中にあります、ちょっと大臣いらっしゃる時間が短いようだから前後しますが、言われたように、大蔵、農林、通産、運輸建設自治それから官房長官総務長官、それから国家公安委員長ですか、これらのすべての臨時総合交通問題閣僚協議会ですか、それをさされるわけですか。一つ聞きたいのは、こういう系譜があって、いまの答弁でも、若干私の質問したところは不満で、なお、実行だと言うから実行を見なければなりませんし、実行に向かっては大いに協力するつもりでいますがね。こういう所作を通じて、政府として四十八年度には抜本的な対策を打ち出すというふうにまず確認をされたかどうか、それとの関係で、いま言われたような形の閣僚協議会が設けられたというふうに理解をしていいのかどうか。
  15. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 少なくとも、大蔵運輸大臣自治省大臣としてこういうふうな姿で抜本策検討したいと、こういうことの了承を得たというのが現段階でございまして、それを、そのための閣僚会議をつくるかどうか、あるいは、その前に事務段階においてそれの幹事会的なものでまず進めていくかどうか、それらは今後研究さしていただきたいと、いまいろいろの案を検討しておるのが現在の状態でございまして、国会が終わりますまでには、すぐ国会が終わったなれば、その作業に入れるように進めてまいりたいと、関係各省にいま協議をしておる最中であるというのが現状でございます。
  16. 和田静夫

    和田静夫君 そこの点はもう一ぺんあとで確認したいと思うんですが、五月四日の各新聞が一斉に、自治省が、大都市公営交通事業経営が非常に深刻な赤字に悩んでいるのを建て直すために、四十八年度を初年度とする第二次財政再建計画を策定する方針、これをきめたとして、五月中にも経済企画庁運輸省などの政府各省担当官で構成する第二次公営交通問題研究会——仮称ですが——を発足させる予定である、こういうふうに報じました。この報道には、私は若干正確を欠く点があると思うんですけれども、この構成メンバー研究課題、それから研究作業方法ですね、それから期限、そして、そこに出された結論がいまの答弁との関係がありますが、四十八年度の自治省の施策として反映される、こういうふうに二つ目の問題は理解していたんですが、前段と後段とひとつ……。
  17. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 五月四日ですか、いま言われました新聞に出ました分は、私たち構想内政クラブ財政当局からレクチュアしましたときに、今後の進み方について申し上げた分が新聞報道として出たものであろうと、こう考えますので、局長ちょうどおりますので、いま局長が進めろと、そのとおりに申しますかどうかわかりませんが、まずこういうふうな姿でやりたいという構想答弁をさせますので、ひとつまた御批判を賜わりたいと思います。
  18. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 実は、この公営交通問題につきまして、ちょっとさかのぼるわけでございますが、四十五年の八月四日に当時の自治大臣のところで公営交通問題研究会というものを発足をさしたわけでございます。で、そのときの研究会に対しまして自治大臣から御検討をお願いしましたのが三つございました。都市圏交通体系の問題、それから地方公共団体役割り都市圏交通経営主体、この三つにつきまして、実は一年有半御検討をいただきまして、その一応の報告をいただいたわけでございますが、問題は、そういういわばある程度大きなワク組みの問題の中で、現在の大都市交通中心にいたしまする公営交通がにっちもさっちもいかなくなった、こういうせっぱ詰まった状態になっておるわけでございまして、先ほど大臣から申し上げました三大臣申し合わせ趣旨もございまして、この公営交通問題研究会というものを、さらにメンバーを若干は改めるということにもなろうかと思いますが、早急に当面の赤字対策、これもまあ抜本的対策あるいは赤字の新規発生というものをいかにして防止するか、当然これは抜本対策にならざるを得ないわけでございますが、そういう問題につきまして、早急に私ども検討を再び開始方をお願いしまして、できますれば、この明年度予算の概算要求の時期でございます八月までにはこの中間的な御答申をお願いをする。もちろん、時間の制約がございますので、予算要求までに詰めきらない問題につきましては、ある程度引き続きまして精力的にこの御検討をお願いいたしまして、来年度予算の編成の過程におきましては、ある程度交通再建についての抜本対策というものが織り込めるように努力をいたしたい、これが大体いま私どもが腹に置いておりますところの大まかなスケジュールでございます。
  19. 和田静夫

    和田静夫君 構成メンバーはどうなんですか、大体予想される構成メンバーは。
  20. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 構成メンバーといたしましては、学識経験者が主体になるわけでございますが、その場合におきまして、やはり国の財政あるいは地方の財政あるいは交通問題、こういうたことにつきまして、学識はもちろんでございますが、実務上の経験も豊かな方々を、十名余りの方々になろうかと思いますが、そういう方につきまして現在私どもの手元で鋭意人選を進め、また、この意見のまとまりましたところから実はそういった先生方に内交渉を始めておる、こういう状況でございます。
  21. 和田静夫

    和田静夫君 それで、当然その施策に反映——二つ目の問題ですね、答弁残っている部分ですね、そこできめられたことは自治省の施策にそのまま反映をするというふうに理解してよろしいですか。
  22. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) そのまま反映するということには私は限らないのじゃないかと思います。あくまでもこの問題は、いま各委員会先生方にも、小委員会をつくって、まあ私たちで及ばない各省の問題もあろうと思いますので、総合的にも考えていただいて、それらをあわせて来年度の施策に一応自治省の案、あるいは運輸省が持つべきときには運輸省の案として、共同いたしまして来年度の施策に、予算編成期までに、法が必要とすれば法制まで考えまして、予算の実現とともに期していきたいと、かように考えておるような次第でございます。  実は、率直にお答え申し上げましたら、私、これは省内でもあまりこれをこういった姿で打ち出すということを深く研究をせずに、むしろ私の責任じゃないかと思いますが、私、就任いたしましてから、八月、九月ごろからこの都市交通の行き悩みがあり、また賃金のベースアップで困っておられる姿があり、いろいろ大都市の交通事情の悩みを聞かされまして、過去の再建計画、それらの実情も勉強さしていただきまして、その結果、一ぺん立てた再建計画でございますが、その再建計画の過程において、むしろそれを越えるところの赤字が再び生じておる、このままではにっちもさっちもいかないということを考えまして、昭和四十八年度が横浜市を除く再建の終わる年でもございますので、四十七年度の予算では間に合いませんけれども、また地下鉄等の補助金の制度もできましたが、もう一ぺん考え直さぬことには都市交通の健全なる運営ということはできないということを痛感いたしまして、何らかの形で四十八年度にはこの問題にメスを入れなければならないということをその当時から感じておったような次第でございます。たまたま閑散線のような問題で国鉄との関係もできました。その関係で、大蔵省との運輸問題に対する折衝をすべきような場所も得られましたので、この機会をつかまえて、少なくとも財政責任者である大蔵大臣運輸の責任者である運輸大臣に私たちの悩んでおりますこの問題を申し上げて、四十八年度の抜本改正には協力をしてやっていただけるのだという姿だけ打ち出すことはぜひともいたしたいと思いまして、この問題を、いま申しましたような大臣折衡の機会をとらまえて旗上げをしたような次第でございます。幸い、大蔵大臣運輸大臣の同意も得まして、先般の地方行政委員会大蔵大臣出席されましたときに、むしろ非常に前向きな態度で答えていただいております。この申し入れに対して、十分御認識を願っておるなという感じを私そばにおりまして感じたような次第でございます。あの文章そのものには、先ほども申しましたようにいろいろの御批判もあろうと思いますが、今後これらは一年間の研究によりまして、できるだけ抜本的なよき解決案ができるように努力してまいりたい。そのための方途についても、事務当局としていま鋭意検討してもらっておるというのが現在の段階でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  23. 和田静夫

    和田静夫君 これは自治大臣の私的諮問機関である大都市の公営交通問題研究会ですね、これが昭和四十六年の四月十二日に「大都市交通当面の対策についての報告」を行なった。また、ことしの四月の二十四日に都市圏交通経営主体についての問題点を、四月の中間報告ですね。こういうふうに自治省として研究会中心にすでにかなりの期間——期間といっていいですが、研究を重ねられ、特に四十六年四月の当面の対策についての報告は、関係各省の善処方を、四十六年中に研究を実施してもらう旨を申し入れていますね。ところが、これは四十七年度の政府の施策にどういうふうに反映したかということは、言ってみれば非常に疑問です。そこで、第二次研究会の発足は、こういういままでの経過を踏まえた上で新たな観点に立って結論を求める、そういうかなりきびしい姿勢が求められなければならぬと、要求されるべきだと、そういうふうに思うのです。したがって、この辺は意見として述べておきたいと思います。  そこで、公営交通問題研究会の「大都市交通当面の対策についての報告」、その概要をちょっとポイントだけ説明願えますか。
  24. 森岡敞

    政府委員(森岡敞君) かなり大部なものでございますので、まず大体の骨組みを申し上げたいと思います。  第一に、大都市交通の中で占める地方公共団体役割りがどうであるかということを指摘いたしております。これは、都市計画と有機的に結合した交通計画を策定しなければならない、そういう意味合いにおいて、地方公共団体は積極的な役割り交通政策の中で果たすべきだということを指摘されております。  それから第二に、大都市における各種交通機関の位置づけの問題を指摘しております。で、都市高速鉄道、バス、路面電車、タクシー、自家用乗用車、そういう各種の交通手段につきまして、都市高速鉄道は、大量性なり迅速性、安全性が非常にすぐれておるからこれは基幹的なものであろう。バスは、それを補完するものであろう。路面電車は、大都市においては機能を失ってきており撤去のやむなきに至っている。タクシーは、定型化できない交通需要にこたえるけれども、しかし公共交通機関としてのプライオリティーはバスが占めるべきだ。自家用乗用車については、非常に便利であるけれども、これもやはり大量輸送を考えた場合には規制方策をとるという考え方をすべきであろうというふうなことを指摘しておられます。  それから基幹交通機関としての都市高速鉄道網の整備あるいは補完交通機関としてのバス輸送の整備につきまして、その整備主体、運営主体がどうあるべきか、あるいは市町村、府県との関係をどう考えるべきかというふうなことから、基幹高速鉄道はやはり大都市においては基本的に地下鉄に吸収していく、それによって道路の混雑も回避をしていくというふうな形で措置すべきであろうというふうなことを指摘いたしております。バスにつきましては、先ほど申し上げたバスの役割りを踏まえまして、バス路線の再編成あるいは駅前広場、バスターミナル、バスベイなども、できるだけ積極的な設置によってバスが機動的に運行できるような措置を講ずべきだということと、それから優先レーン、専用レーンというふうな施設の設置によって、バスの運行の定時制なり迅速性を確保すべきだということを指摘しております。  なお、それに関連いたしまして、道路整備を、特に郊外部においてバスがかなり重要な交通機関になっておりますから、郊外部の地方道の整備を進めるべきだということ。  それから、それとあわせて路面交通の調整が必要だ。その路面交通の調整の方策といたしまして、先ほども申しましたまず一つの考え方として、自動車、特に自家用乗用車の規制を考えるということも一つの日程にのぼらなければならない、また路上駐車の禁止を徹底すべきだ。それから、先ほど申しましたバスの優先レーン、専用レーンというふうなものの推進を考えるべきだというふうなことを指摘されております。  最後に、大都市交通の円滑化を考えていきます場合に、やはりその地域地域で、国、地方公共団体あるいは民間の交通事業の経営主体、多くの関係者があるわけでありますが、それらがばらばらでなくて、まあ一定協議会と申しますか、そういうふうなものの中で、お互いに意見を調整して総合的な大都市交通対策を考えていくという場所をつくることも検討すべきだ。はなはだ概要でございますが、以上をもって終わります。
  25. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、地方公営企業法の施行適用関係あるいは地方公営企業財政の問題、これは自治省プロパーの問題としてある程度自治省が主体性をもって処理をまかされておるもの。しかし、いま説明されましたように、研究会の報告の内容を読んでみますと、その重要な部分が他省も主管する事項、そういうものにわたるものばかりなんですね。で、公営交通事業の慢性的な赤字の問題が発生する原因は、現在では、もう一企業努力によって解決するというそんななまやさしい時代でないことは自治大臣よくおわかりです。そこで、赤字発生の原因である企業環境の改善とあるいは都市の交通政策の問題は、本来、各省庁の所掌事務の配分の関係からいうと、自治省以外の他の省庁が主体性をもってとり組むべき問題でありますね。すなわち、都市の交通政策というのは、一自治省が取り組む問題というよりも、その多面性から見ても、政府全体が取り組むべき問題。そこで、政府全体としての熱意と、大蔵大臣がようやくその気になったとさっき言われたのですが、それに対するきびしさがなくては解決の見込みが立たないだろうと思うのです。都市の交通問題が政府全体の問題である。そういうふうな前提に、いま私が言ったように立つならば、私はやはり、さっきに戻りますが、都市交通対策閣僚協議会というようなものをぜひこの機会につくる必要があると思います。そして政府自身の意思形成をそこではかって、そして抜本的な施策を打ち出す、こういうことが必要だと思うんです。これは私は、尊敬する渡海自治大臣がこの問題に一生懸命取り組んでおることをゆめゆめ疑うものでもないから、あなたの能力を疑うからこういう提案をするのではなくして、言ってみれば、政策の基本に基づいて考えてみると、こういう措置が、しかも四十八年に向かってちゃんとリミットがあるわけですから早急にやるべきだ。で、こういう体制というものをつくることが筋だということをお認めになるかどうか。そして、それはもう私は筋だと思って、そうしていただかなければほんとうの対策は打ち出せないと考えていますが、この考え方は間違っているかどうか、また、そういうふうにしなかったならば政府自身のやる気が疑われてもしかたがない。自治省だけが一生懸命に、大臣財政局長、いかがですか、努力しているだけじゃだめだというふうに疑われてもしかたがないんじゃないかと思うがゆえにあえてお尋ねをするわけですが、いかがですか。
  26. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) その点は、仰せのとおりでございます。公営交通問題研究会の、いま審議官から答弁さしていただいた内容でも、自治省プロパーの問題ではなくして、他省と関係することによって初めて解決する問題である、かように考えます。公営交通問題研究会がありながら、なお別の審議会をいま研究しておるといいますのも、公営交通問題研究会は、これはあくまでも自治大臣の諮問機関としてつくったものでございます。しかし、提起されました問題を解決していくためには、単に自治省だけで解決し得る問題でないというところから、新たにいま和田委員から指摘されました、政府全体として取り組まなくちゃいけない、そのために先般も急いでこの公営交通問題研究会の中間的な、二度目の中間策を出していただきまして、そういうふうな機関に自治省のあり方として提案するものとしてまとめていただいたような次第でございまして、今度できますやつは、単に自治省の諮問機関であるところのものでなくして、少なくとも、いま言われました閣僚協議会の下部組織の姿で、各省が一丸になってこの都市交通問題に取り組んでいくんだという姿のものをつくり上げたい。その上に立ちまして閣僚協議会というものに積み上げてきたい、これをせぬ限りにおきましては抜本的な解決はできない。前の再建計画が、単に財政的な問題で自治省中心として行なわれました関係上、再建計画を行ないながら、なお赤字が生まれたというふうな原因もそこにあるんじゃなかろうか、少なくとも、二度目の再建計画を行ないます以上は、単に財政問題で自治省プロパーで行なうのではなくて、都市問題の根本に触れたものでやりたいという観点から申し出を行なったような次第でございまして、そういった方向で政府として取り組むことによりまして、その中で、いま悩んでおります都市交通財政問題等も解決していきたい。消極的な財政問題の面と積極的な都市交通のあり方、今後の姿というものをあわせて解決していくようなものをいわゆる抜本策として四十八年に打ち立てる、こういう姿で臨みたいと、かように考えておる次第でございます。
  27. 和田静夫

    和田静夫君 これは念のためですが、前の臨時総合交通問題閣僚協議会のような形で何か政策をつくって、そして各省に割り振っていくというような形のものではだめですからね。この辺ははっきりさしておく必要がある。  そこで、運輸省ですね、いまの閣僚協を運輸省の側に、いま私が言ったような形の考え方に依拠して、大臣にひとつよく説明してもらって、これをとにかく実らしてもらいたいと思うのですが、御異議ありますか。
  28. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) お答え申し上げます。  ただいま自治大臣のお答え申し上げた御答弁に私どもは全面的に賛成でございので、自治省のほうから御提案がございましたら、私どものほうは全面的に協力を惜しむものではございません。
  29. 和田静夫

    和田静夫君 それでは、次の問題ですが、交通事業を経営する意義というのは、釈迦に説法ですが、庶民の足をまず確保する、日常生活における利便、福祉の向上をはかる、そして地域社会の向上、実態を増進するというところにあるわけですから、問題の第一は、都市交通公営交通が十分本来の機能を果たしているかどうかということでありましょう。現在の都市交通は機能を果たし得ないでいる。  第二の問題というのは、累積する赤字に対しましてどのように対処するかという問題、自治省が所管しているのは主として第二の問題ですね。各省が第一の問題に取り組む熱意に乏しくて、そして自治省だけが熱心だ、こういう意見として第二の問題の赤字対策、すなわち負債のたな上げあるいは再建債の発行、その利子補給あるいは人員整理、あるいは料金の引上げ、あるいは公営企業の締めつけなどが行なわれている。都市交通の機能の向上のほうはさっぱりという結果に終わらざるを得ない状態である。四十一年の地方公営企業法の改正で赤字企業の再建にいま取りかかられている。しかし、このときの赤字の発生の根本原因にメスを入れなかったために再建自体も成功しなかったし、同時に、大衆大量輸送機関としての公営交通事業の機能も麻痺してしまった、二度と同じわだちを踏むべきではない。公営交通事業の環境改善ですね、その他、基本的な問題の処理と財政再建とは同時に実施されるべきであると少なくとも考えていますが、これは自治大臣、それから運輸省のほう両方から答弁していただきたい。
  30. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 現在の自治体が行なっております公営交通事業財政的な面からながめただけでは抜本的な解決はできません。しかも、民間の自動車輸送あるいは他の国が行なっております国鉄その他営団地下鉄等、そういったものを総合して、はたして都市交通として完ぺきにできておるかと申すと決してそうではない、なかなかそれがまとまった姿で総合的に検討され、向上されるという態勢にもなっておらぬというのが実情でなかろうかと思います。多摩ニュータウンの都心への輸送力をいかにするかという問題におきまして、運輸省が取り組まれましたような問題にいたしましてもなかなか困難性があったというのが実情でございまして、都市交通は、やはり関係する各省が一丸となって合理化することによりまして、いわゆる悩んでおります赤字の問題も解決されていくのではなかろうか。私は、この両面を同時に解決することによって初めて抜本的な対策ができるのでなかろうかと、こう考えまして、単に、四十八年度の抜本対策というものを自治省プロパーということでなくして、本件主管省である本省、また財政当局である大蔵省、その他にもいろいろ関係が各省ありますが、まず一番重要なる財政当局並びに運輸大臣にお願いをいたしたような次第でございまして、これは両者を合わせて初めて解決し得べき問題であり、そのような姿において四十八年度の抜本対策を立てていきたいと、このように考えておる次第でございます。
  31. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) お答え申し上げます。  現在の公営企業の財政悪化の原因は、根本的に考えますと、単に公営企業だけの問題でなくて、都市交通全般あるいはさらに日本の人口の大都市へ集中する問題といったような全般的な社会経済的な原因に根本的な原因があるということではないかと考えます。たとえば、大都市及びその周辺で人口が集中してまいりまして非常に過密現象ができる。それから経済の高度成長とともに労働需給が逼迫して賃金水準が上る。しかもそのために、もちろん交通機関としましては労働節約的な技術導入につとめたわけでございますが、元来労働集約的な性格の強い交通業におきましては、賃金の上昇部分を吸収するほどの対策が立て得ないということからコストが上昇するという問題がございます。それから、国民の自動車保有の増加ということから路面交通が非常に混雑してまいりまして、バス等の運行効率が非常に下がってくるといったような問題があろうかと思います。そこで、こういった問題に対処いたします場合には、もちろん企業の経営改善対策ということを考えまして、それによってコストを低下し、経営合理化させることによってコストダウンをはかるということはきわめて大事なことではございますけれども、それにはやはり一定の限界がございまして、したがって、このコストアップあるいは環境条件の低下からしますサービスの低下といったようなものを回復するにはどうしたらいいかという問題がやはり根本であろうかと思います。そこで、それにはまず企業の内部の合理化のほかに、やはり環境をよくしてやるという問題、つまりバスの優先レーンとか専用レーンをバスについては設けるとか、あるいは乗り継ぎ施設を考えるとか総合交通体系的なアプローチをこれにいたしまして、バスを利用しやすくするということが一つ考えられるわけであります。それから、同時に、地下鉄等につきましても、もっともっと地下鉄を利用しやすいようにするとか、あるいは路線ももう少し密なネットワークを組ませるというような問題があろうかと思います。しかしながら、これらの財源措置は、現在のような公共料金をただ抑制するというだけではうまくいきませんので、どうしてもコストアップする要因の問題は、やはりある程度は利用者からの負担ということと、それから物価全体に対します十分な影響を考えながら運賃の適正化という問題を検討することと同時に、大都市あるいは過疎地域につきましては、適切な国あるいは地方共団体の助成といったようなものを組み合わせまして総合的な交通政策を運営していく必要があろうかと思います。
  32. 和田静夫

    和田静夫君 大臣の時間が非常にないようだから、大臣にだけ質問して、あと譲って、そして具体的な詰めの問題は大臣いなくなってから局長との間でやっておきますから、あとで十分にお聞き取り願いたいと思います。  そこで、もう一つ大臣に質問いたしますが、大都市の交通問題を考えるときに、何といっても、まず問題になるのは行政責任と経営責任、その問題だと思うんです。そこで都市における交通行政の一元化、運輸省の方も言っておりますが、これは多年関係自治体からの要望等もあって、これは、その必要性が認められながら実は実現されていない。また、もう一つ大きな問題としては、都市がその圏域内の交通事情についてみずから事業主体となることが適当かどうかという、交通事業経営に対する自治体の役割りの問題になると思うんです。これはいまバス事業あるいは地下高速鉄道事業など、事業内容の区別やあるいは地域の実情によってもちろん若干自治体の役割りも違ってくるとは思いますが、この点について公営交通問題研究会は、「都市交通は、都市施設と一体をなして都市機能の発揮に寄与するものでなければならない。したがって、都市の交通整備計画の策定実施にあたっては、都市計画と整合性を確保することが必要であり、都市計画について権限と責任を有する地方公共団体中心となってこれを推進する必要がある。」、こうしているわけです。地方公共団体に都市交通に関する調整及び規制の権能を与えることと、さらにこの「地方公共団体は自から経営する交通の有効な活用を通じて積極的に地域住民の交通確保の要請に応える必要がある。」、こうしているわけです。自治省としても公営企業が赤字だから、悪いことばでいえば、公営交通事業を切り捨てて民間企業にまかせる、あるいはこの事物の縮小均衡をはかるというような、そういう財政本位の公営交通事業の本質を忘れたような考えを持っておらないと思いますが、都市交通における自治体の役割りですね、公営交通事業役割りとその評価について、ひとつここで大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  33. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 都市の建設、都市計画の責任者、これは地方自治体でございます。これなくしては、その都市計画の中に最も必要なものは市民の足となるべき交通事業じゃないか、かように考えております。したがいまして、いろいろの民間企業あるいは国の直接行ないますところの交通機関等との調整その他があろうと思いますが、何と申しましても、自治体が中心となってそれらの合理的な調整を行なうことでなければ、私は最も整備されたところの都市計画なるものも実現しないのでなかろうか。かように考えるものでございまして、この点、私は、交通問題研究会の出していただきました御答申の意思もそこにあるのでなかろうか、かように考えておるのであります。その点に対しまして、はたして現在どのような姿においてそのような協調と運営をとられるか、これはなかなか具体的にはむずかしい問題であろうと思いますが、私たちの立場といたしましては、幸い、自治大臣の諮問機関である研究会からその点も御指摘願っておりますので、各省の御協力を得てその実が上がるように今後持ってまいりたいと、かように考えております。
  34. 和田静夫

    和田静夫君 最後に質問しますが、地方財政計画における公営交通事業に対する繰り入れ金等の計上措置について四十一年度以降の概要を後ほどお聞きいたしますけれども、これはずっと見てみますと、実は、地下鉄についてはその内容が若干改善をされておりますが、その方針に一貫性がない、また内容的に不十分である。また、一般交通事業については軌道撤去と路面回復費だけが計上されているにとどまって、全く改善のあとが見られないわけですね。その市民の足を確保するために努力を重ねつつなお赤字を出している自治体の努力というものを、どうも自治大臣基本のところではたいへんすばらしい答弁をされておりますけれども、こういう面から見ると、評価をされてないのではないかと疑いたくなるような現状が出ているわけです。私はもっと一般会計からの繰り入れや国の助成をもっともっと行なうべきだと思います。ここだけ大臣に伺っておいて、あとはまたあれしますから、いかがですか。
  35. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 地下鉄の問題、私たちはあのときに、これは運輸省の問題でもございましたが、私たちといたしましても、大臣という立場ではございませんでしたが努力させていただいた次第でございます。微力にしてあの程度にとどまりましたが、これで十分であるというふうなふうには考えておりません。今後ともにこれは努力せなければならない問題である、このように考えまして、寄り寄り丹羽運輸大臣にもお願い申し上げているような次第でございます。  また、路面電車の撤去の問題、この赤字が現在そのまま公営企業の赤字の大きな一つの重荷となっていることは事実でございますし、私は、来たるべき再建計画の中には、この路面電車の累積した赤字というものをいかに処置すべきかということも考えなければならない一つの大きな問題であろうと思います。  第三点といたしまして、一般会計からの繰り入れでございますが、いわゆる地方公共団体が行ないますところのバス事業には、病院事業その他の事業についても同様でございますけれども、採算を離れた行政的な任務というものが当然つきまとうものでございます。しかしながら、この問題は、どこをもって行政路線とし、一般会計から繰り入れるかというところに非常にむずかしい問題があるのではなかろうかと考えます。これらにつきましても適切な基準と申しますか、ものを打ち立てることによって初めて問題解決するんじゃなかろうかと思います。大体、いまの御質問にございましたような点は、おそらく今後四十八年に行ないます再建計画を立てる上において中心課題となって研究せなければならない問題ばかりであると考えておりますが、できるだけこれが合理的に解決されますように努力してまいりたいと、かように考えております。
  36. 占部秀男

    ○占部秀男君 午前中にこの問題で具体的な数字をあげてみっちり大臣からお聞きしたいと思ったんですが、決算委員会のほうにとられてしまったということで、きょうは私質問を和田君だけで保留いたします。次の委員会でやらしてもらいますが、そのときにはっきりひとつ答弁をしていただきたいと思うので、あらかじめ注文をしておきます。したがって、御答弁はきょうは要りません。  というのは、地方団体で赤字再建問題が出ているのは公営交通だけではないわけで、御存じのように、公営企業の前には一般会計で赤字再建計画の問題があった。ところが、一般会計の赤字再建の場合にはほぼ七年間、これも同じように五年ないし七年という形でやったんですけれども、ほぼ赤字がなくなって府県、市町村の財政は一応定着をした。ところが、公営交通の場合には再建計画をやりながら赤字がどんどんふえていく。私はここにこの問題の一番大事な急所の点があると思うんです。なぜ、一般会計の場合と公営交通の場合と違うのかというとですね、自治省公営交通に対する再建計画のあり方、立て方が根本的に間違っているんじゃないかということをこのごろ、この前の一般会計の経験からしてつくづく感じておるんです。ということは、一般会計の場合と同じように、公営交通の場合にも再建計画を出して赤字を一般会計の式でたな上げをする。それで一般会計の場合は、事務事業の切り下げをし、そして人員の整理をした。これと同じように、公営交通の場合も運賃の引き上げ、合理化、こういうものをして、国からの補助その他はありますけれども微々たるもので、いずれにしても、一般会計の場合は府県、市町村の財政の中でこれを処理をしよう、公営交通の場合も、主として体制の中で問題を処理をしようと、同じ方向でこの二つの再建計画は行なわれている。ここにぼくは一番大きな問題があるんじゃないかと思う。というのは、赤字を出すその原因が、その処理のしかたが一般会計の場合と公営交通の場合とでは違うんですよ、実質的に。というのは、一般会計の場合には県、市町村が行政を縮小すれば赤字は埋まっていくんです。ところが、公営交通の場合には縮小して、体制内で幾ら縮小しても赤字は埋まらない。なぜかというと、その原因は公営交通経営の外にあるんですよ。いま大臣が言われました公営交通問題研究会の中間報告、この二、三の報告もいただいたんですが、この中で、赤字の出た原因は、引き続く物価上昇の中で資本費と人件費の増大、運賃適正化のおくれ等と書いてあります。物価問題、それから人件費あるいはコストの問題、あるいは運賃の問題、これ以外に、さっき運輸省の原田参事官が言われましたように、企業環境が非常に悪くなったということがあるのです。これは無視されておるけれども、ところが物価の問題も人件費の問題も、これは物価が上がるから人件費が上がる、企業環境の問題はことさらそうです。いずれも公営交通経営の体制の中では解決できない問題、それを一般会計の場合と同じように、縮小すれば埋まるのだというような形でやっていくところに、根本的に公営交通の赤字を処理する問題についての自治省のやり方の誤りがあったと私は思うのです。  具体的に言えば、いま和田君がちょっと触れましたけれども、自治省の問題だけではない、全政府的な取り組みをしろということは、そのことをさしているのだと私は思うのですが、これをより具体的に言えば、四十一年ですか、あのときに地方公営企業法の改正をしましたね。このときに第三条でわざわざ経済性を重視するということを入れて、公共性の問題より経済性を優先させた。さらに第三章の財務の中に、独算制を強化していくと、これが一部だんだんあとで改正されて、少しずつ少しずつ穴があいてきているわけですが、独算制を強化したという、こういうようなやり方を根本的に改めなければ私はこの問題の抜本的な解決はあり得ない、かように考えているわけです。したがって、この問題を中心に具体的にこの次の委員会では大臣にお伺いをいたしますから、そういう点についてのあらかじめひとつ大臣は研究をしておいていただきたい。これをお願いをして、きょうは答弁は要りません、この次にやりますから。
  37. 河田賢治

    ○河田賢治君 大臣忙しいようですから、ごく大まかなところだけを聞いておきたいと思います。  先ほど来から問題になっています第一次の交通の再建計画というのが、先ほど言われたように失敗したわけなんですが、これについて、自治省としては、まだこれは終わってはおりませんけれども、しかし、年々赤字は累積しておるという結果から見まして、これはいわば失敗しているわけなんですが、再建ができないということですね、このままでは。この点について、自治省としてどういうようにお考えになっておるか、この点をひとつはっきりしておいていただきたいと思うのです。
  38. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 私ども、昭和四十一年からの財政再建計画、これが失敗であったとは実は考えておらないわけでございまして、やはりそれなりに、当時四百二十五億の不良債務があったわけでございますが、この四百二十五億の不良債務の解消はこれはできることになるわけでございますので、これをやりませんでしたならば、この四百二十五億の不良債務というものは、また利に利を生んで企業をまさに崩壊に瀕せしめる、こういう事態にまで至ったのではないか、こういう感じがいたします。実は、私は、当事からこの問題に携わっておるものでございますので、どうしてもえこひいきの言になるかもしれませんが、それなりの私どもはやっぱり意義はあったというふうに考えております。ただ問題は、これは、たれが悪かった、かしこが悪かったと言うつもりは毛頭ないわけでありますけれども、その後におきまする、たとえば路面電車の赤字というものをバスがある程度しっかりかせいでくれてこれを消すということを考えておったわけでございますが、これはやはりバスの運行効率というものが非常に悪くなりまして、その結果、この所期の目的を達し得なかったという点、そういう御指摘のような客観諸情勢の変化に伴いまする要因はあるにいたしましても、かりに第一次財政再建計画と申しますれば、これにつきましては、私どもはその企業内外にわたりましてそれなりのやはり意義はあったのではないだろうかというふうに評価をいたしておる次第であります。
  39. 河田賢治

    ○河田賢治君 そこは私は問題だと思うのですよ。それは、なるほど旧債はある程度償還していますから減ってきたんです。しかし、他方においてさらに以上の累積赤字が出たということは、要するに、目的を達しないわけでしょう。しかし、それはどんどんモータリーゼーションで自動車がふえてきた。したがって、バスの運行も、電車にかわったバスの運行すら赤字が増大してきた、こういうことになるわけですね。そうすると、ここで私は、なるほど自治省のほうは都市ばかり見ておるかもわかりませんけれども、やはり日本の全体としてものを、さっき運輸省の方が言われましたけれども、日本の高度経済成長、そうして道路にばかり投資をして、自動車道路をつくり自動車をどんどん走らせれば、バスの運行が悪くなるのはこれは当然なんですよ。そうしますと、やはりそこで大きな赤字が出る。現にもう地方自治体も、御承知のとおり、あなた方の指導のもとに、ほとんど電車に属した財産は売り尽くしちゃって、車庫からいろいろなものをどんどん、建造物、もうほとんどない。人員にしましても、東京都は一万三千七百二十四人ですか、四十一年。これが四十六年には八千三十六名と、五千六百八十八名、人員も減らしているのです。こういうふうに、人員の面でも、それからいろいろ車両、財産の処理の問題、あるいはバス優先レーンなんかもつくって、こういう努力をしておりますけれども、しかし、なおかつ今日では赤字が出る。そうしますと、こういう日本の経済全体がどういう一体——このままモータリゼーションをどんどんふやしていく、道路はつくるということになれば、ますますそのほうは渋滞し、道路も渋滞、したがってバスの収益をあげることができないというのはこれは当然なんですよ。こういうところもやはりある程度政府としては見通さなければならぬと思うのですよ。それに対して手を打っていかなければならぬと思うのですよ。そうしますと、バスにかわって大都市では地下鉄というものが非常に今日要求されてくるし、安全でもあり、確実でもあり、スピードも速いと。こうなれば、国もまた地方自治体もあげてそちらのほうへ投資をするとか、いろんな交通を緩和するためにこれは処置していかにゃならぬでしょう。そうしないと、ただ古い借財だけが、だんだん赤字がなくなったといってこれで満足しておるようでは私はぐあいが悪いと思う。地方の大都市というものがいまいろんな問題で、これは小都市も過疎もありますが、全体として、大都市ではこういう交通問題がいま大きなネックになっております。しかも交通問題を解決するということは、単に一般市民だけでなくて、東京にはたくさんの事業所があり、いろんな官庁もあればいろんなものがあります。こういう人の足を確保する。なるほど、国鉄と私鉄等々も乗り入れやら、いろいろなことで努力はしておりますけれども、しかし、なかなか緩和に向かっていかぬという状態なんですから、これはやはり国全体としてこういう問題に対する、どのようにしてこれを確保していくか。また、地方自治体の財政が困難であるのだから、したがって、地下鉄一つ掘るにしましても六十億とか八十億とかいうような相当金がかかるのですから、どうしたってそういう財政的な処置をして、これは国の一つの政策として、施策としてこの問題を解決していくような方向をとらなければならぬと思うのです。先ほど和田委員から閣僚のあれをつくれというお話もありました。確かに、建設それから自治大蔵、その他こういう関係のやはり大都市の交通問題、大都市の住宅問題、こういう大都市の建設についてのいろいろなそこで意見が反映し、そして、そこで問題が早急に解決していくようなやはり方法をとらぬと、私は、この問題はおくれればおくれるほど非常に大きな問題を残こすと思うわけです。  そこで、いま労働者の諸君にしましても、確かに電車の労働者やあるいはバスの労働者の方々で、地方自治体で、自治省あたりは、相当給料が高いといって人件費に食われる。しかし、人件費に食われるような、電車とかバスとかいうようなものはそういうものなんですね、大体が。ですから、ある程度年齢がき、そして物価も上がる。物価の上がるのだって政府のあれですから、これに応じた労働者の生存権を保障していかなければならぬ。大阪あたりでも、二年間くらい改定をやってないのです。私、ちょっと資料を受け取りましたけれども、そういう努力を地方自治体はやっておるのだ、そして労働者はそのために大きな犠牲をこうむっておるわけです。ですから、国の政策で物価が上がるのだし、また、地方自治体のいろんな問題はこれは国の政策であるわけなんですから、したがって自治省は、敢然としてこういう問題の中心になって、私は、地方自治体、特に大都市における交通問題を解消するという方向は責任を持ってやってもらわなければならぬ。運輸省あたりにまかしておいたんでは、これは、運輸省は一番大きな重点は、東海道線だとかあるいは新幹線の敷設なんかに一番重点を置いているのでしょうから、やはりそういう問題は地方自治体の代表者である自治大臣が責任を持ってこの点は閣議で主張してもらわなければならぬ、こういうふうに思うのです。したがいまして、今後とも、こまかいことは言いませんけれども、累積赤字はたな上げをして、そして国や地方自治体、地方自治体だってごくわずかしか持てぬと思いますけれども、元利償還の肩がわりをやっていくとか、あるいは新しい路面バスの事業にも国の助成をする。たとえば、東京都でもいろいろな審議会を設けてやっております。しかし、その中には生活路線、やはりバスを通さなければならぬところはたくさんあるのですね。学校があるとか通勤者が多いとか、そういういわば生活路線というもののバスが出ておるわけですね。だから、あまりもうからぬからといってバスをばさばさ切ることができぬところがたくさんあるのです。だから、こういう問題についても新しい助成措置を講ずるとか、いろんなこういう諸問題について私は相当根本的に検討する必要があるのではないか、こういうように思うわけです。その点をひとつ大臣から伺って、大臣への質問を終わりたいと思うんです。
  40. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) いま和田委員の御質問に答えたとおりでございます。第一次再建計画、いま局長が申しましたように、再建計画そのものは、それなりに私も評価しなければならない問題であろうと思います。ただ、再建計画は自治省の権限内で行ない得ます姿だけでとどまって、交通問題というものは単に公営企業交通だけで大都市においては考えることができない。すべての交通機関を統一的に整合していく、またそれが都市計画に合っていくという姿において初めて解決される問題であるという点が、前の再建計画のときにそこまで織り込むことができなんだというふうな点は、失敗という表現でおしかりを受けてもしかたないんじゃなかろうかと、かように感じます。そのために、四十八年に行います再建計画は根本的なものにもメスを入れ、あわせて再建計画をつくっていきたいという姿で取り組みたい。そのために、当面の最大の責任者であられる運輸大臣並びに国家財政の大元締めである大蔵大臣に協力をお願いしたような次第でございます。  私、東京都の知事と話したんでございますけれども、ほかの都市ならとにかくといたしまして、東京都は専用レーンをつくるにいたしましても、交通規制をやるにいたしましても、警視総監は東京都知事の監督下にあるものでございます。したがいまして、交通制限、専用レーン等を行なうことは実施し得ることができる立場にある方です。なぜそれが実施できないか、それは道路が制限をし得るまでに都市計画が進んでいない、したがって建設関係もそのようなことができるような姿に都市計画を持っていっていただく、また、各私鉄のバスあるいは地下鉄あるいは国鉄、これらの並行路線というふうなものにつきましても、統一ある輸送機関にすることによりまして初めて解決し得る問題でなかろうか、まあかように考える次第でございます。  いま、路線バスに対する助成を行なったらいいじゃないかという御意見もございましたが、民間企業でやっておりますバス路線でございます。単に公営企業だけが安易に一般会計からの補正というものを行なうことだけで解決し得るかといったら、その問題はそれだけで解決すべき問題ではない。しかしながら、公営企業が持ちますものの中には採算を離れての、いま申されましたような運営も必要であろう、そういう点も十分検討を加え、一般会計等の繰り入れ等を加え、合理化等をはかることによって初めて抜本的な対策をはかることができるのではなかろうかと、まあかように考えておる次第でございます。私自身、大きなことをあげまして、はたしてその実効があがりますかどうか、非常にこの問題には私もじくじたるものを感じとるものでございますけれども、いま和田委員御指摘のような問題、河田委員御指摘のような問題、また占部委員からも申されましたような問題、この問題と取り組まなければ抜本的な解決はできないと、しかもその抜本的な解決はしなければならないんだというつもりで取り組まさしていただいておりますので、ひとつ格別の地方行政に御理解ある先生方の御鞭撻を得まして、ぜひとも四十八年度におきまして成果ある抜本的対策を打ち立てたいと存じますので、何とぞ御鞭撻賜わりますようお願い申し上げまして、答弁にかえさしていただきたおと思います。
  41. 寺本廣作

    ○理事(寺本広作君) 速記とめてください。   〔速記中止
  42. 寺本廣作

    ○理事(寺本広作君) 速記を起こして。
  43. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、局長、具体的な問題で幾つかいままでの前提の条件に立ってあれをしておきたいんですが、公営交通事業の赤字問題が爼上にのぼりますと、まず問題になるのは料金値上げ、自治省の言う料金適正化、企業であるから適正な原価主義で料金を決定すべきだということは決してすべてわからぬというようなことを言うつもりはありません。しかし、事業環境が著しく悪化をして、そうしてバス事業のように外部的な要因によって大量大衆輸送機関としての機能が低下をしている、こういう中で利用者に原価をというような形のことをいってみても、これはまあたいへん無理です。そんなことをしたらますます赤字の増大が激化をすることになりかねない。市民から足を奪うようなそんなやり方というものは許せるものではない。また、企業の存立の条件というのは、地域によって異なりますが、交通事業のように公共目的を持った事業の料金が地域ごとにあまり大きな格差があるということならこれは別の問題が起こりましょうし、また料金は広く国の物価政策などの中で全体として考えていかなければいけない、そういう面もありますね。とすれば、適正原価を主張してみても、料金だけを他の問題から切り離して先行させるということはこれはできないのであって、この点は、自治省としても百も御承知のことと思うんです。もちろん、自治体としては御存じのようにたいへんな努力をしております。財政再建をはかるために四十七年度に一斉値上げしているのもその努力のあらわれでしょう。しかし、こうした状況のもとで事業の経営によってなお赤字が出ているわけです。で、値上げやらあるいはこの企業努力にも限度があるんですから、やはりその場合の経営からくる赤字というものについては、国はもちろん地方も一般会計——現実には交付税の措置ですね、それによって相応のめんどうを見るということが当然必要だと思うんです。現在、基準財政需要額の算定の際に、市町村分の都市計画費の中で、事業費補正によって高速地下鉄道建設事業にかかる地方負担額を若干見ていますし、また、財政再建団体の再建債利子負担あるいはまあ軌道撤去費、地下鉄の出資金、建設費の利子負担などの一部について特別交付税の交付、これはまあ公営企業の経営健全化のための特別の財政需要であるということで見ているようでありますが、この算定方法概要ですね、これが一つ。それから四十七年度の基準財政需要額、それから四十六年度の特別交付税の交付額、その算定方法、この三つをまず伺いたい。
  44. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 普通交付税で地方公営企業に対しまする繰り出し金を見ておりますのが、ただいま御指摘になりました交通事業の中で、地下鉄の建設費について見ておるわけでございます。これは市町村のその他土木費、それから都市計画費の建設費につきまして、この実負担額のほぼ八割程度になろうかと思いますが、四十七年度の基準財政需要額で見ておりまするものが五十三億、それからちなみに四十六年度におきましては六十一億でございます。で、四十七年度が四十六年度に比べまして八億ほど減っておりますのは、この事業費補正の算入率、八割従来見ておりましたですけれども、四十七年度、御案内のように地方財源の不足、地方財政対策によりまして交付税の投資的経費を例の三千五百億の地方債に振りかえる、こういう措置をとりましたために事業費補正の算入割合を落としました。その落とした分が、いまこの八億の差額になって出てまいっておるわけでございます。もちろん、この差額に対応しまする分につきましては、全体的な財政措置といたしまして起債の振りかえに回る、こういうことに相なるわけでございまた。  それから特別交付税で見ておりますものが、四十六年度におきましては交通事業で三十一億見ております。これにつきましては、御案内のとおり、この交通債券につきまして、三分五厘をこえるものにつきましては利子補給があるわけでございますけれども、その基礎になりまする、根っこになりまする分につきましては、これは補給の対象になっておりませんので、これを一般会計から繰り出す、それを中心にいたしました額がただいま申しました三十一億という額でございます。
  45. 和田静夫

    和田静夫君 そこで、これは四十七年度の特別交付税の配分に当たって、さらにこの特別交付税によるところの財政援助措置、これを強化するという約束をきょうここでしたいのですよ。よろしいでしょうか。
  46. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) これはちょっと明快なお答えができないことを遺憾とするものでございますが、と申しますのは、一つは、実はこれは非常に大きな議論になろうかと思うわけでございますが、私ども、この公営交通というものと交付税との関係、まあ、これあるいは一般の税金を含めましての一般財源との関連でございますけれども、やはり基本的には、公営交通について一般会計からどういう形で、どの範囲のものが妥当なものとして容認せられるかということになりますと、その範囲はおのずから非常に局限されざるを得ないであろう。と申しますのは、やはりこれは突き詰めて申しますというと、税金と結局受益者負担の料金という形でのどちらかだろう。結局、いわゆる資源の配分として公平であるかという基本的な問題になろうかと思うわけでございますが、原則的には、私ども、やはり公営交通機関というものは、第一次的には利用者の負担並びに企業自身の努力というものによってまかなっていかれるべきだ、こういう考え方をとっておりますので、結局一般会計から持つということになりますというと、その当該企業会計の負担として持つものがおかしいもの、たとえば当該地方団体の首長の方針といたしまして、社会的なあるいはその他の政策的な配慮から料金をまけておる、こういうものにつきまして、たとえば生活保護世帯等についてそういう措置がとられておるわけでございますが、そういうものは一般会計から支出をされる。あるいは、先ほど御指摘がありました路面の軌道の撤去、こういったようなものについて対象にすると、こういうことは私は考えられると思うわけでございますけれども、一般的な経営助成という形での一般会計からの支出というものにつきましては、これは私どもの財政指導としては望ましくない。そういうことでございますから、それを特別交付税でさらにそのめんどうを見るということにつきましては、どうしても消極的にならざるを得ないわけでございます。  それから、もう一つの問題といたしまして、来年度の地方財政措置、ああいう非常に異常な事態のもとでの対策でございますので、できるだけ普通交付税に持ってまいるということで、例の千六百億の特会借り入れ、それから千五十億の臨特につきましては全部これを普通交付税に投入をいたしまして、その関係で、明年度におきましては特別交付税総額がことしに比べまして百九億ふえるわけですが、その中のやはりいま計算上は、二十七億というものは、これは沖繩県の県、市町村の特別交付税として配分をしなければならない。これで済むかどうか、ちょっと実は私どももいまのところ正確な見通しがつかないわけでございますが、そうしますというと、残りは八十億程度しか特別交付税がふえない、こういう状況になるものでございますから、そういった財源の面から申しましても、いまこの席で明確なお答えを申し上げるということはちょっと苦しいという実情を御了解いただきたいと思います。
  47. 和田静夫

    和田静夫君 さっきから大臣と約五十分間基礎的な論議をやったのは、実は、いま大臣おそらくここにいらっしゃれば、わかりました、検討しましょうと、さっきからの答えの継続としてはそうなるわけです。それが財政局長、やっぱり強化に向かって検討されると、ここですぐ強化をいたしますという答弁がもしできないとしたら、それくらいのことは当然じゃないですか。
  48. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 非常にいま申しましたようなことで、私どもといたしましては困難な事態でございます。その中でどういう方法を講ぜられるか、これは基本的に、やはり先ほど申しましたように、一般会計と企業会計との負担区分ということを前提にしてやりませんと、何かなしにつまんでやる、こういうことでもいかがかと存じますので、私いまるる申し上げておりますことでこれは御理解いただいておると思いますので、検討をいたします。そういうことでお許しいただきたいと思います。
  49. 和田静夫

    和田静夫君 それじゃ少し妥協して、もう一つ、前向きに検討いたしますと……
  50. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) まあ、できるだけ努力いたします。
  51. 和田静夫

    和田静夫君 次官どうですか いまのところ……。
  52. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 御承知のとおり、公営企業につきましては、明年度再建計画が一応終わるわけでございます。これらの機会に、公営企業全体につきまして十分再検討をしなければならない、また、再建をはからなければならぬ時期にきておりますので、御趣旨に沿いまして、十分前向きにこの問題について善処をいたすつもりでございます。
  53. 和田静夫

    和田静夫君 特に、東京都の選出ですから、期待をしておきますから、答弁を。  そこで、都市公営交通の特に路上運送事業の赤字問題に対処するには企業環境の改善に取り組まなくちゃならぬ。で、毎年ずっと低下していっております時間当たりの表定速度を向上させて定時性を回復することにつとめなかったならば、幾らワンマン化をはかっても住民の信頼性を回復することはできません。ひるがえって考えてみますと、いままでの赤字対策といいますと、軌道の撤去による電車の廃止ということを考えてみても、あるいはバスのワンマン化ということを考えてみても、料金自治省流で言えば適正化ということを考えてみても、すべて住民ないし利用者に負担のしわ寄せをする、そういう施策に終始してきたと思うのです。それはワンマンバスなんかの場合、都営の場合なんかでも、御老人がおり口がわからなくてたいへん気の毒な状態というのを私どもは毎日利用しながら見ますよね。そういう犠牲の上に成り立ってきたこういったやり方では、都市交通政策の貧困あるいは政策の不在と批判されてもしかたがない。  この際バスレーンの強化、それから路上駐車の禁止、それから都心部に対する乗り入れの規制、そういうものを積極的に講ずべきであるというふうに考えているのですが、この辺についてはいかがですか。
  54. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 優先レーンあるいは専用レーンの問題につきましては、私どももかねてから警察当局にも善処方を要望いたしておるわけでございまして、この三月の二十一日でございますが、警察庁交通局長と私どものほうの行、財政局長の連名で「道路交通の安全の確保等の推進について」ということで、連名で実は通達を出しておるわけでございます。これはいまの優先レーンの関係だけ、かいつまんで申し上げますと、「都道府県知事および市町村長は、路線バス等の公共輸送機関の円滑な通行を確保するため必要があると認めるときは、都道府県公安委員会に対し、路線バス等優先通行帯または路線バス専用通行帯を設置すべきことを要請するものとする。」と、この要請を受けた公安委員会は、「要請の趣旨を十分尊重し、所要の措置を講ずるよう努める」、こういう趣旨の通達を出しておるところでございます。また、何と申しましても、これは路面が結局雑踏しておりますために輸送効率が悪くなる。私どもの立場からいたしますというと、一体この大衆大量交通機関というものと、それからその他の交通機関というものとを、一体どういうふうに大都市交通の中で役割りをはっきりさしていくのか。ここのところが、実はある意味におきましては、国民的な合意と言ったらやや大げさかわかりませんが、はっきりしてもらいたいという気持ちがあるわけでございます。大衆大量交通機関というものを優先するということでございますれば、思い切った路面交通の規制、駐車の禁止、規制等はもちろんでございますけれども、場合によりましたら、時間別、車種別の規制といったようなことまで踏み込んでやっていただきたい。こういう気持ちがあるわけでございますが、また、それぞれの役所におきましては、それぞれのまた主張があるようでございますので、その辺のところは、これからの協議の場におきまして私ども十分の連絡協議を遂げまして適切な処置をとるようにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。     —————————————
  55. 寺本廣作

    ○理事(寺本広作君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、高橋邦雄君が委員辞任され、その補欠として稲嶺一郎君が選任されました。  以上であります。     —————————————
  56. 和田静夫

    和田静夫君 運輸省、いまの自治省答弁でよろしいでしょうね。運輸省も同じ見解でしょうな。
  57. 原田昇左右

    説明員原田昇左右君) 私、自治省の御答弁趣旨はまことに賛成でございます。  なお、若干補足させていただきますと、バスにつきましては公営もあり私営もあるわけでございます。そして、まず私どもとしては、バス、タクシーにつきましての、大都市におけるバス、タクシーに関しますあり方ということで、運輸政策審議会に昨年はかりまして、昨年の八月二十日付で「バス・タクシーに関する答申」というものをいただいております。この線に沿って、私ども、バス並びにタクシーについて施策を進めてまいるつもりでございます。  簡単にかいつまんで申し上げますと、まず、大都市におけるバスの役割りというものはどういうところにあるだろうかと。つまり、大量交通機関としての地下鉄あるいは国鉄、それとバス、それからタクシー、こういったものの輸送分野をまず明確にするということが一つあります。その上で、バスの役割りを認識いたしまして、どういうような輸送のあり方がいいかということでございますが、まあかいつまんで申し上げますと、高速鉄道と同様に、まず、速く、わかりやすく、待たせない、しかも信頼できる交通機関にしなければいけない。これは、そのためにやる方法としては、たとえば優先レーン、専用レーンの設定ということもございますし、車両、ワンマン方式、乗車券制度の改革とか、あるいは、系統を特に都心部等では短くしておくれを少なくするとか、系統を幾つかの基本的データに集約して、基本系統とその変形に編成して、これを番号表示にして、それをわかりやすくするとか、各種の措置があるわけであります。  それから第二は、「高速鉄道との接続、乗り継ぎをよくする。」ということが第二でございます。  第三は、通勤通学時、昼間帯、深夜早朝ごとに利用目的に合致した別系統を設けたらどうかということが第三であります。  それから第四は、バス輸送網を徹底的に再編成したらどうか。これは公営、私営も含めまして再編成したらどうか。  こういったようなことが骨子になっておるわけでございます。  私どもは、この答申にできるだけ沿うように施策を進めてまいりたいと考えております。
  58. 和田静夫

    和田静夫君 次の問題ですが、地方公営企業法の四十二条で、「別に法律で定めるところにより、地方公営企業経営するための地方公共企業体を設けることができる。」ことにいまなっています。  そこで、まず自治省は、地方公共企業体を設けるため、具体的に検討をされて、やがて法案を提出される意図があるのかどうか。  それから第二の問題は、国鉄などの公社、すなわち国の規模での公共企業体については、政府国会が強力に監督、監視を行なう、そういうことができますが、数個の自治体が、たとえば首都圏の地方団体が共同をして地方公共企業体を設置するというようなことになると、設置団体の規模が小さいために監督、監視の力が弱くて、したがって、住民の統制力も企業体の経営に及ばないという事態が予想されます。そういったことが、地方自治の理念からは許されるべきことではないと少なくとも私は考えますが、この点はどういうふうお考えになるでしょうか。  それから第三は、行政の事業があるいは公社やら公団化によって住民支配からの分離は、地方自治の根底をもゆるがすものでありますから、地方公共企業体についてもきわめて慎重に対処をしていかなければならない。自治省がもし立法化の意図があるとするならば、この反省をしてもらわなきゃならぬと考えているのですが……。  時間がないものですから続けてやってしまいましたが、御答弁ください。
  59. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) 端的に申しまして、いま、四十二条の規定に基づきまする地方公共企業体の組織、権限等に関しまする立法の作業はまだ進めておりません。  それから、実は、この地方公共企業体の規定昭和四十一年の公営企業法の改正の際に入れたわけでございますが、このときの考え方といたしましては、この地方公営企業のいいところ、それから、いわば民間企業のいいところ、これを取り合わせまして、この公営企業というものが機動的に運用できるようなそういう仕組みというものを考え、あるいは、行く行くはそれを受けざらにして大都市内交通の一元化をはかっていく、こういうことを実は私ども考えの基礎に置きながらこの制度をつくったわけでございますが、将来の問題といたしまして、この地方公共企業体というものをしでかしてまいりまする場合におきましても、いま御指摘になりましたような住民コントロール、あるいは議会を通じてのコントロール、あるいは地方団体のコントロール、こういうものは十分に配慮していくべきであろう、その点は御指摘のとおりでございます。
  60. 和田静夫

    和田静夫君 都市計画あるいは都市再開発等のいわゆる都市づくりですね、こういうものの直接の責任者である地方公共団体の長に都市交通行政に対する行政権限が付与されていないというのは、これは制度上大きな私は矛盾だと思うのですでに昭和四十一年でございましたか四十年でございましたか、地方公営交通制度調査会の答申以来、実は指摘をされておる問題でございまして、先般の公営交通問題研究会でも同様の指摘がございました。まあ私ども、交通問題その他の住宅問題でございますとか清掃問題、そういった問題と並びまして、いわば都市問題というものの基本的な一つであるという認識をいたしておるわけでございまして、そういった意味合いにおきまして、大都市の首長というものが、自分の住民の足の確保ということにつきまして、みずから公営交通経営しなければ積極的な施策というものを行なう場がないということにつきましては、かねてからいかがなものであろうかということを考えておるわけでございまして、ある程度大都市の首長にそういう交通調整についての権能を付与する、あるいは、それが無理であるならば、事実上の問題といたしまして、関係行政機関との協議の場におきまして事実上そういう権能が果たせるような仕組みというものを考えるべきではないだろうかということを考えております。
  61. 和田静夫

    和田静夫君 これ、やっぱり都市交通を都市づくりの重要な一環として位置づけるべきですよね。権限の付与についても、当面はたとえば路線の許認可、交通規制、交通公害、交通安全等を対象にすべきだ、具体的にはそう考えますが、具体の問題はどうですか。
  62. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) この点につきましては、御案内のとおり、許認可権限あるいは交通規制の権限等でございますというと運輸省なりあるいは警察庁なり、そういったところとの関連の問題がございまして、まあ関連各省の立場としては、それぞれの立場からの御主張がおありだろうと思うわけでありまして、その中におきまして、大都市の首長としての権限というものをどのような形でその中にいわばはめ込んでいくか、織り込んでいくかということにつきましては、今後の私どもの努力、検討事項であろうというふうに考えておる次第でございます。
  63. 和田静夫

    和田静夫君 私が述べましたような意見の部分については、先ほど大臣が大きく約束された関係閣僚懇談会なり協議会、そういうものの中で自治省の座は少なくとも強く主張をしていくことが必要だと思うし、運輸省、十分に話のやりとり聞いていらっしゃるわけですから、運輸省もあまりエゴにとらわれずに、譲るべき権限についてはやっぱり大胆に下におろしていく、そういう姿勢を大臣に十分に吹きこんでおいていただきたい、運輸大臣にですよ。これは答弁をここで求めません。  それから自治省運輸省などの、政府全体といってもいいですかね、最近、バスの行政路線あるいは生活路線に対して、国及び地方公共団体財政援助を行なうことの必要性について認める方向にありますが、その基準が明らかでないことを理由に実施できがたい現状にある。少なくとも、その基準を確立をして実施の努力を払うべきだ、こういうふうに考えるのですが、その対策についてお聞きしたい。
  64. 鎌田要人

    政府委員鎌田要人君) この行政路線、生活路線の問題につきましては、公営交通事業協会の研究会におきまして問題を指摘されておりまして、私どももこの問題についての検討を進めておるわけでございます。これからの公営交通問題研究会での重要な研究課題検討事項の一つになろうかと思います。ただ問題は、私どもいかにも役人らしいというおしかりを受けるかもしれませんが、行政路線というものは、観念的には非常によくわかるわけでございますけれども、具体的に何をもって行政路線と考えるのか。結局、御案内のとおり、これが過疎地域のように絶対的に交通需要が減っていく、こういうところでございますというとやや把握が容易なんでございますけれども、大都市地域でございますというと、このいまの行政路線というものについての具体的な基準の定め方、線の引き方というものについてはある程度時間をかけてと申しますか、慎重に検討しなければならないだろうという問題が一つございます。  それからもう一つは、そういう場合の基準の引き方のいかんによりましては、これは御案内のとおり、たとえば東京都の場合でございますというと、公営だけでございませんで、この民間バスの問題もあるわけでございまして、それと横並びでどういうふうに把握するのか、それに対する取り扱いの問題、こういうことも含めて検討をしなければならないだろうと思うわけでございます。いずれにいたしましても、この行政路線の問題、先ほど、今年度の特別交付税からさっそく何とか見ろ、こういう御意見があったわけでございますが、この辺のところが、ある程度明確な基準が立ってまいりますというと、財政的な面でも判断がしやすいのではないだろうかというふうに考える次第でございます。
  65. 和田静夫

    和田静夫君 最後ですが、路面電車、地下高速鉄道、バスのいずれの事業においても独立採算を原則とする、こういう企業経営が不可能な現状にあることは先ほど来るる論議をいたしました。この現実に立脚して私は地方公営企業法の改正を考えるべきだと思う。で、わが党は、四月の七日に御存じのとおり地方公営企業法の一部を改正する法律案、公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案を提案をいたしました。ぜひ、あの中に盛り込んだ私たちの考え方というものをひとつ大きに受け入れていってもらう、そういうことが必要だと思うのです。これは何もあなた方と敵対するものではありませんから十分配慮していただきたいと思うふですが、これは政治的な問題ですが、次官、どう思われますか。
  66. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 私は、最近の公営の交通企業関係財政的に非常に悪化をしているその大きな原因というものはいろいろあると思うのでありますが、公営企業というものを独立採算のもとに置くということの可否がようやく検討される時期がきておるのではないかという感じを持つわけです。もし、独立採算の面に走り過ぎますと、言うならば、交通の持つ公共性と申しますか、そういうものが忘れがちになる、言うならば、採算に走り過ぎてサービスというものをとかく置き忘れる、そういう経営になりがちになってくる。私は、それでよければ交通事業などは民間に一切開放すべきである、あえて公営をもって行なう必要性はない。なぜ、公営でこの仕事を取り上げておるかというと、住民の足を確保しなければならぬ、そこにやはり交通企業の大きな意義と目的があるということを公営企業の法律の中でもう少し明確に打ち出されておらなければならぬのではないだろうかと思います。同時に、この仕事がかなり各省にわたっていろいろ権限が分散をされておる。言うならば、機動的、合理的経営を行なうにそれぞれの役所の許可認可を必要とするというようなところにいろいろ問題点が多く残されておるようでございます。私どもは、まあ一朝一夕にこれらの問題を片づけるということは、解決するということはなかなか至難のわざとは考えますが、いずれにしても、現状のまま放置を許されない、きわめて深刻な一種の社会問題化しつつある問題でもございますので、いま御指摘のように、これから当然各方面の関係法律整備し、そうして公営企業として十分その使命を果たすことのできるように改善をしていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  67. 和田静夫

    和田静夫君 先ほど言いませんでしたが、一応公営企業法の第七章の「財政の再建」も、言ってみれば、ずっと経過を追ってみれば明らかに失敗に終わったということだし、その内容も時間的な要素を含めてすべて実効を失なったものだというふうに考えます。そういう意味からいっても全面的に改正すべきだと考えます。特に、財政再建計画の策定及びその変更手続、これは地方議会の議決を経て自治大臣の承認を要するのでありますが、それをめぐって地方公営企業労働関係法に示す労働権が、まあ賃金の問題で、河田委員が先ほど触れられましたが、不当に抑圧をされる。団体交渉権や労働権が空文化され、労働権が不当な圧迫のもとで賃金に対する差別扱いが結果としては出ている。こういうような事態が再び生じないように処置すべきであると考えますが、こういう状態について労働省はどういうふうに理解をされるか。
  68. 岸良明

    説明員(岸良明君) 先ほど来、この地方公営企業交通関係企業につきましての実情をるる聞かしていただいておりますけれども、私どもも非常に困難な状況の中で再建計画が遂行されているということは非常に関心を持って注目をいたしております。ただ、御承知のとおり、地方公労法の規定が公営企業については適用がございまして、その中で当然団体交渉権、賃金につきましては労使双方の話し合いできめる、こういうたてまえになっております。ただ現実には、非常にむずかしい制度的、財政的な制約があるということは御指摘のとおりでございます。ただ、私どもとしまして考えますことは、やはりその企業の再建という場合には、労使の協力というか相互の理解が非常に大切なことだ、そういう面から見まして、やはりそういう面の労使の協力が得られるような条件を相互に話し合って改善をしていく、こういう方向に向かうべきが正しいんじゃないか、かように存じている次第であります。
  69. 和田静夫

    和田静夫君 たいへん手続的な答弁ですからあれですが、だからといって基本的な労働権が奪われることにならないわけですが、労使の協力だとかなんとか言ったところで、したがって、やはり基本的な労働権が奪われ、不当なそういう意味での抑圧が起こる、こういう状態については小山次官としてもやはり配慮していかれる姿勢というものは、これは持ち続けていただかなければならぬわけですが、これはよろしいですか。
  70. 小山省二

    政府委員(小山省二君) 基本的な権利というものは、あくまで尊重されなければならぬというたてまえに考えております。
  71. 寺本廣作

    ○理事(寺本広作君) 速記をやめてください。   〔速記中止
  72. 寺本廣作

    ○理事(寺本広作君) それでは速記を始めて。  本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。  これにて散会いたします。    午後四時三十四分散会