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政府委員(
降矢敬義君) 四月の十四日、
ヒルトンの
ホテルで
火災になりました。で、いわゆるぼや
程度で済んだわけでありまして、厨房用の排気ダクトを焼損した
程度で済んだわけでございます。この出火の
原因は、一階の厨房で、料理の色づけをする電気器具——サラマンダというんだそうでありますが、それで肉や魚の色づけのため振りかけたブランデーが燃えて飛び出し、ダクト内に着火したと考えられるわけでございます。
ヒルトンの
火災が起こりまして
火災感知器が作動したわけでありますけれども、出火の場所、つまり火点の確認がなかなかできないで、そして
ホテルから
火災通報をすることがおくれたということであります。そこで、この
消火にあたりましては、
ホテルの保安要員が、九階と七階の屋内
消火せんによって、ダクト内に注水をして
消火いたした次第でございます。このダクトは、厨房部分と客室の部分が
防火隔壁で区画されておりまして、他のダクトのほうに延焼拡大するおそれは全くなかったわけでございます。この
ヒルトンの
施設につきましては、先ほど申し上げましたように、大然
閣ホテルの直後に査察を行ないまして、若干
欠陥があったようでございます。たとえば、新しく五階の従業員控え室というところに自動
火災報知機がまだ未設置の状態と
指摘されておりまして、そういうものにつきましてはその後
改善が行なわれているようでございます。全般としては、
消火用防災
施設というものについては大きな
欠陥を見ておらないのでございますが、いま申し上げたような点については、さっそく補修を命じて
改善をされておるところでございます。で、この問題につきまして、いま申し上げましたように厨房用ダクトに油がやはりはねる、同時にちりがある
程度そこに堆積をする。そこに火点が——火が飛び散って燃えるということでありまして、やはり従来もこの点は
指摘されておりまして、この厨房用ダクトの清掃ということについて、つまりそういう意味の保守管理というものの徹底をもっとはかる必要があるということがわれわれが得た
教訓の第一でございます。それから、
火災が発見されましたけれども、
通報がおくれておりまして、これはやはり平素の
訓練とともに、この
通報をすみやかにするという体制をもっと強化しなきゃならぬという点が第二点でございます。それから
避難誘導の点でございまして、幸いに、構造上他に及ぶようなしかけにはなっておりませんけれども、宿泊されている方には、
避難誘導のための通知というものについてもやはりこれはしなきゃいかぬわけでありまして、この場合には、客室にそういう放送がなされておりませんでした。もとより、それは一定の指示をして、
避難をいま直ちに開始する必要があるのか、あるいはどうなのかということも判断しなきゃならぬわけでございますが、いずれにしても、
火災が起きたということを宿泊している
方々にすみやかに放送をして伝達するということをやっておりませんでした。こういう点はやはりこの火事の
具体的な
教訓として得たところでございます。こういう点は、さらに私
たちこういう事例をもとにして
指導をするという考え方でおります。
それから第二点の市街地にある商店街の問題でございます。この点は、
杉原委員も御
案内のとおり、市街地の中におけるこういうものにつきましては、特別の融資
制度で、耐火構造にするように
指導を建築行政のほうでやっておるわけでございますし、私
たちも木造商店街のようなところは、木造としては、どうしても
火災の危険、延焼の危険というものが、これは経験的に十分理解できるところでありまして、こういうところについては耐火構造のものにぜひしていかなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますし、そこで、いま
都市計画というようなお話もございましたが、やはり
都市計画の中でいま申し上げましたような方向で商店街の改造といろものを進めていかなければならないというふうに感じておるところでございます。特にアーケードというものにつきましては、あるいはいろんな観点から商店街として設けられておるわけでございますが、消防の
活動からいうと、あるいは多少
状況によっては障害になるようなことがないとは私は断言できないと思いますけれども、いま
設備も、そういうものに対処する、たとえば十五メートル
程度の屈折はしご車というようなものがありまして、ある
程度の商店街ならば、そういうことで対処できるわけでございまして、したがって、特にアーケードを消防の
見地からどうしなきゃならぬということを積極的にいう
理由は私はないと思いますが、基本的には、やはり耐火構造的なものに商店街を変えていく。たとえば鳥取市の去年の
火災でも、やはり木造の商店街がかなり大きな焼失面積を出した例がございますので、こういうことを考えていくと同時に、やはり
防火体制といたしまして、現在、業界の
方々がいろいろ研究されておりまして、私
たちの消防研究所のほうでもそれをやっておるんですが、商店街単位あるいは
地域単位に防災、防犯というものをシステム化して、同時に、それが一カ所で
火災になれば直ちに消防署に連結できるような防災、防犯のシステム化ということをかなり業界のほうでも研究をし、また、消防研究所のほうでもいろいろ相談にあずかっているところでございまして、近く、東京のあるところではそういうものにぜひ着手したい、商店街が一緒になってそういうものをやりたいという希望のところもあるというふうに承知しております。こういうことによりまして耐火構造自体と同時に、
早期発見、
早期通報というものをシステム化するということをぜひ考えていきたい、こういうことでこの問題に対処したいと、こう思っておるところでございます。