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国務大臣(
渡海元三郎君)
実情を、
具体的な例をあげられながら問題ある個所についていま
消防庁長官に御
質問ございました。ほんとうに、
消防行政の今日における問題点を
具体的に例示されましての御
質問で、まことに敬服いたしました。
まず、最初にあげられました、現在の
消防白書に出しましたとおりの現在の
消防の、何と申しますか問題点でございますが、生活様式が相当変わってまいりましたし、科学技術の進歩がございまして、いままでのような
消防技術ではいかない、相当高度な
消防技術を取り入れなくちゃならない、また、いままでのような
消防体制で守り切れないような建築ができたというふうなことを
考えましたなれば、過去の
消防行政で行なってまいりましたものと異なった科学技術的な研究というものが
消防行政の中に取り入れられなければならないという点、私も痛感しておるような状態でございまして、当
委員会におきましても、常時、御激励を賜わり、また御支援を賜わりまして拡充をはかっていただいておるのでございますが、
消防研究所等の
充実もはかることによって、私
たち、できるだけそういった科学的な技術を与えていかなければならない。私も就任早々
消防研究所のほうへ参りまして、その点を感じ、拡充、また研究に従事する者の
方々の心がまえをお願いしたような状態でございます。あそこにおきましても、各
地方の幹部を集めまして
教育を実施いたしております。これらの幹部はまた県に帰りまして、県の
消防学校の専門的な
職員となってその技術を普及していただき、現在の社会情勢に合うというふうな
消防体制に持っていただかなければならないと、このように
考えておりまして、そういった方向でできるだけ努力してまいりたいと思っております。そのような状態でございますから、したがいまして
消防の
体制は、いま
小谷委員御
指摘のとおり、
市町村でなければなりませんが、
市町村の段階ではどうしてもできない分野が多数ふえてきたんじゃないか。補完的な県の
消防行政というものの重要さが非常に必要になってきたのが今日の状態でないかと思います。そういうふうな
意味におきまして、今後とも、御
指摘のような方向に進まなくてはならないと、かように
考えているものでございます。
財政的な面、私も、終戦直後、町長をやらさしていただきましたが、御承知のとおりに、
市町村、特に町村に参りましたなれば、
消防というものは、
消防団組織の、何といいますか、個人的な財力にたよる。町村財政でこれを出す分野は非常に少ない。たとえば
補助金をもらいましたなれば、残りのものはその部落の寄付で集める、団が集まってやるときには、団長が個人的な私財をもって優遇することによって団をやっておる、それが日本の
消防の実態でなかったかと思います。こんな姿ではならぬというので、だんだん改善され、今日におきましては、
市町村消防であるという姿が、財政面からも運営面からも、十分とは申しませんが、ほぼ確立されたという段階にきたのじゃないかと思っております。ところが、その
市町村消防に、今度は人口の移動等、あるいは勤務の状態等がございまして団員そのものがおらない。したがって、
常備消防がどうしても必要であるという時代が生まれてきたのが今日の段階ではないか。ところが、
市町村にはそれを置くことができない。したがって、
広域地帯による、共同によるところの常設
地域を、いま
長官答えましたとおり、だんだんふやしていくということを急がなければならないという姿になっております。本年度の予算編成におきましても、できるだけその数を増したいと思いまして努力をしたのでございますが、財政
計画上の限度もございまして、あのような数字にとどまって、四十七年度に大体五百足らず、四百幾らくらいの指定ができるだろうと、こう思っておりますが、順次上げていかなければならないと思います。交付税等の算定におきまして、
消防費もやっと二千億をこす姿で四十七年度の
地方財政
計画を組ましていただいた次第でございますが、今後ともにこれらをふやさしていただきたい。特定の、あるいは損保、あるいは共済といったような資金を流用しての起債も極力
消防に充てておりますが、
一般債も
充実いたしまして、交付税並びに
地方債による
充実というものも今後とも組み入れていかなければならないと、かように
考えておりますので、
委員各位の今後とものひとつ御協力、御支援を賜わりたいと存じております。
具体的な例としてあげられました
立ち入り検査の件、私も、いまお聞きしておりまして、
実情をあげられた点、まさにそういうふうな姿が
実情でなかろうかと思います。本来、
市町村消防でございますから
市町村が持たなければなりませんが、
実情はなかなかそのとおりの
検査が厳密に行なわれることが困難であるという場合も事実あろうと思います。県とともに、
立ち入り検査権を与えることによってやるか、監督という立場において、いま
小谷委員が御
指摘されたような実をあげることができるかということを、今後、補完的な立場の県
消防の段階が非常に重要な段階になっておりますので、あるいは
立ち入り検査に対する、その他の技術と同じように、県の
指導、監督というよりも、技術
指導と申しますか能力
指導と申しますか、その中に合わすことによって、法的規制はあくまでも
地方に置いておきましても、それで十分
小谷委員御
指摘の分を補い得るかどうかというふうな点も検討さしていただきまして、今後ともに、
小谷委員御
指摘のような運営を行なうために、法規制でやらなければだめなのか、そういった面でのことを検討さしていただき、実現に向かって努力するよう
行政運営
指導を一ぺん検討さしていただきたいと存じております。
なお、
許可権の十一条の2の件でございますが、私もあの当時の
具体的な例、よく承知させていただきまして、ただ
規定の
保安基準というものがこれは技術的に出てまいりますから、それでいいかもわかりませんが、机の上できめ、
法律できめたこと、必ずしも万能でないと、おのおのの
実情に応じた問題が起こってくるということがこれ普通でございますから、限られた範囲内における付帯条件を付け加えるかどうか、すべての判断を与えるかどうかという点が問題になろうと思います。
裁量権のないところに、また何と申しますか、
市町村行政のやりやすさと申しますか、そういった点もあわせて、しかしながら、何といたしましても
設置者そのものが、
危険物でございますから、
付近住民に
規定に合っておっても安心感と
理解と協力を得るというつとめをさすためには、どう持っていくのが一番よいかという観点に立ってこの問題よく検討さしていただきたいと思いますので、ひとつ御了承願います。
いまの賞じゅつ金の件でございますが、いま率直に
長官も答えましたように、事実、
消防団員、
職員に対する給与の問題も出ておりましたが、あわせまして、劣っておったという点はいなめないと思います。私
たち数年来この問題に皆さんのお力をかりまして努力してまいりまして、ようやく達したのが今日の道でございます。少なくとも賞じゅつ金におきましては、ほかの官庁のものと
消防団は劣るところでないというところまで引き上げさしていただいたのが、いまの姿でございます。ただいまあげられました「あさま山荘」における警察の姿と例でございますが、賞じゅつ金といたしましては、向こう三百万円が最高でございまして、特別の姿で五百万円ですか、という姿で出たのがあの事件に対する内容。ただ、一時退職金とか
公務災害等による年金等、ほかの分の退職金その他を含めましてあの金額になっておりまして、賞じゅつ金という点では、警察官の場合も何の場合も三百万円、特別な場合は五百万円。あの場合は、確かに特別な分として五百万円が出されたと、加古川市の場合、まあ最高に近い額を市が出したと、それが三百万円であったと。それで、もし
消防の場合におきましても、「あさま山荘」に匹敵するような特別の場合には同じような額を出していただくということは、
具体例はございませんけれども、大蔵当局とも折衝しておるような姿で、ただ
公務災害補償の場合に、
一般団員に対しましても、
公務員に与えられておりますような
公務災害補償に準ずる分をまあ出さしていただくように年金その他で
指導をしておるのでございますが、この点が、職業その他によりまして非常に高低がございますものですから、いま起きたような問題が起こっておるというのが現実の姿ではないかと思いますので、今後とも、この点を引き続き努力さしていただきたい、かように思います。御鞭撻を賜わりましてまことにありがとうございますが、そういうふうな姿ではからしていただきたいと思います。
なお、聞いておりまして、もう
一つ、このたび
改正を願っております
改正点の
具体的な例で、前に
改正された際にも議論が出たんじゃないかと、それをいま
改正をやったということが結局ぬるいんじゃないかという御
指摘がございました。
消防庁長官も率直にその点お認めしておりましたが、私、自治
大臣として就任いたしましてから、単に
消防法の
改正だけでなく、各省の問題におきまして、
消防の問題、ほかの省といろいろからむところがございます。法案を出していきます場合、いよいよ法案を提出せなければならないようになっておるが、
自治省との関係だけでこれが残っておるんだ、何とかしてくれというものを私のところへほかの
大臣から持ち込まれた場合、たいていの問題が、
消防という一点で各省の
法律ができずに残るというふうな問題も私二、三ぶつかりました。なかなか、何と申しますか規制でございますから、各省もできるだけまあ規制というものはないほうがよいという姿でやっておる中で、ひとり
消防庁のほうでがんばり、大衆の安全のために、これだけはがんばらねばいかぬといって、がんばっておる姿を見せられたのが、私が
大臣に就任しましてからの実態でございました。それだけに、
消防庁長官といたしましても、皆さま方に御
指摘を受けながらも、がんばる部面ではがんばらしていただいておるのが
実情じゃないかと思います。しかし、ここでそういったような、おまえはぬるいんじゃないかというような御
指摘を出していただくことが、また、われわれは大衆のためにこうやらなければならないんだという、担当する
行政官に対して励みにもなるという、このように感じながら御議論をお聞きしておりましたので、今後とも、ひとつ御鞭撻を私
たちもありがたく承りますので、御援助を賜わりますようお願い申し上げまして、答弁にかえさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。