○河田賢治君 御承知のとおり、去る二月九日から十一日ですか、パリで開かれたOECD環境
委員会、ここでは「公害防止費用は発生源たる企業が
負担すべきである」という汚染者
負担原則、PPP原則というものを採択して、この五月にOECDの理事会に提案される。理事会に提案されますれば、これは日本の
政府も代表が出席することになりますけれ
ども、これが一応各国に勧告されるというような場合が近づこうとしておるわけですね。もちろん、最近の新聞を見ましても、ECあたりでも公害問題についてはずいぶんと規制をつくろうとしております。どこの国もいま公害では非常に悩んでおりますけれ
ども、特に、日本は御承知のとおり
経済成長が世界一だと、しかし、同時に公害も世界一で、日本公害列島といわれるほどその汚名を日本は着ているわけです。外国の科学者あたりが来まして、あの美しい富士山麓のふもとの富士市あたりは、これこそ世界の公害の見本だといわれるほど折り紙をつけて帰ったわけです。これは日本側にとっては大きな恥辱なわけです。こういう
措置に対して、従来、
政府はいろんな優遇
措置を
——たとえば補助金を出すとか、あるいはまた開銀なんかを使って資金の安いのを出すとか、あるいは償却資産の非常な短縮をはかって企業の補助をするとか、あるいはまた
地方税におきましても非課税などたくさんやっているわけですね。もしもこの基準が、汚染者
負担原則、PPP原則というものが採択されますれば、当然日本も率先してこういう中でやらなければならぬと思うのですが、環境庁長官あたりは、御承知のとおり、この間も公害問題について発言されております。やはりPPPのこの原則を受け入れながら、これをやっていかなければならぬ。そのためには公害税ですか、何かそういうような費用も、公害税を取る制度をつくりたいというようなことを三月二十三日におっしゃっているわけです。これは「日本
経済」なんかに出ております。こういう、
大臣なんかでもPPPをできるだけ早く採用して、現在の環境基準をきびしくしたいというお考えになっておる。そうすると、自治省にしましても、
地方自治体の今日の
財政や、あるいは公害を最も受ける住民、これらの利益を守り、これらの人々のいわば代表としてこういう問題にも取り組まなければならぬと私は思うわけです。
特に、日本のように、この公害が、御承知のとおり、工場の中、製造工場の中ならば、そういうことは許されないでしょう。労働者が働く、衛生や、あるいは災害を起こすような設備は、工場の中に置いておったら、これは生産ができません。ある
程度それはやるわけですね。しかし、工場から一歩外に出れば、そこで発生したものはどんどんたれ流しをやり、あるいは空気で外へ出してしまう。こういうのが今日の公害のあれになっている。公害というものは、やはり防止設備も何もつくって初めて
一つの私たちはセットだと思うのです。ワンセットだと思うのです。工場の中で安全設備がなければ、労働者はどんどんけがしなければなりません。災害受けなければなりません。ある
程度それに対して企業家はやっているわけですね。今度、住民に対してやるのがこれは企業家の責任でなくちゃならぬ。そうしますと、私たちは、公害の防止設備というようなものについてあまりに恩恵を施して、税金を免除するとか非課税にするというようなことをやれば、もうこういう親方日の丸で、日本の企業家、資本家という人々が、いつでも自分でなすべきことをなさずに、怠って、そうして国から補助金を取るとか、税金を払わないとかいう、こういう姿勢が続くと思うのです。だから、私たちは、せっかくPPPの原則を、近く日本の
政府としてもきめなきゃならぬという場合には、私は、自治省あたりがこういう立場に立って、やはりこの問題に取り組む。そうして国際会議でも、日本が率先してこのPPPの原則を打ち立て、そうして日本でみずから実行する。今日の科学技術の発達等々があれば
——先ほど読み上げましたような、いろんな製紙工場や、あるいはセメント、鉄鋼、その他の公害なんかもかなり防げるわけですね。また、そして副産物も出るという
事態にいまなっているわけなんです。基本的なそういう研究や、あるいはそれらの基礎的なものはできるだけ金をつぎ込んで、そうして各会社はそれを応用さしていく。もちろん中小企業は今日の資力では十分でありませんから、かなり国が援助しなければならぬと思いますけれ
ども、独自に、やはり企業家自身がみずからこの公害をなくしていくという姿勢を私たちはつくらすべきだと思うわけです。この点、
大臣はおられませんで政務次官が来ておられますが、こういう問題に対して一番悩んでおるのは
地方の住民なんです。現にたくさんの裁判事件が起きている。公害問題は、なかなか大きな会社になりますと、みずから取り上げてない、こういう不幸な
事態をいま招いておるわけですから、やはり自治省としましても、こういう問題ではっきりした
——国際会議もあることですから、こういう問題に対して、私は一応公害に対する見解と、そうしてまた、企業に対する
政府の姿勢というものをお聞きしたいと思うわけです。