運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-06-16 第68回国会 参議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月十六日(金曜日)    午後三時十三分開会     —————————————    委員異動  六月十三日     辞任         補欠選任      石本  茂君     伊藤 五郎君      川野辺 静君     大竹平八郎君      鶴園 哲夫君     松井  誠君      須原 昭二君     野上  元君  六月十六日     辞任         補欠選任      大竹平八郎君     柴立 芳文君      藤田 正明君     鈴木 省吾君      栗原 祐幸君     小林 国司君      横川 正市君     鈴木  強君      野上  元君     小谷  守君      松井  誠君     神沢  浄君      多田 省吾君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前田佳都男君     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 戸田 菊雄君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 河本嘉久蔵君                 小林 国司君                 柴立 芳文君                 鈴木 省吾君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 神沢  浄君                 小谷  守君                 竹田 四郎君                 松永 忠二君                 横川 正市君                 吉田忠三郎君                 鈴木 一弘君                 藤原 房雄君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    衆議院議員        大蔵委員長    齋藤 邦吉君        大蔵委員長代理        理事       山下 元利君        大蔵委員長代理        理事       広瀬 秀吉君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        外務省経済協力        局長       大和田 渉君        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省証券局長  坂野 常和君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君        大蔵省国際金融        局長       稲村 光一君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        大蔵大臣官房審        議官       松川 道哉君        通商産業省貿易        振興局経済協力        部長       山口 衛一君        日本専売公社総        裁        北島 武雄君        日本専売公社理        事        稲川  徹君        日本専売公社生        産本部本部長  佐々木幸雄君     —————————————   本日の会議に付した案件アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○通行税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○貸金業者自主規制助長に関する法律案(衆  議院提出) ○個人企業税制に関する請願(第三号)(第五  号)(第六号)(第一三号)(第一四号)(第  二九号)(第三六号)(第四三号)(第五一  号)(第五七号)(第六一号)(第六九号)  (第七四号)(第八五号)(第八六号)(第八  八号)(第九三号)(第一〇七号)(第二一六  号)(第二三〇号)(第二三一号)(第二七四  号)(第二九二号)(第三五二号)(第六五〇  号)(第九八四号)(第一〇二二号)(第一二  七二号)(第一二八七号) ○自動車損害賠償責任保険料に関する請願(第七  〇号) ○自動車損害賠償責任保険の兵庫県における料率  変更に関する請願(第九一号) ○自動車損害賠償責任保険の和歌山県における料  率変更に関する請願(第九四号) ○付加価値税創設反対に関する請願(第一一〇  号)(第一四五〇号) ○自動車損害賠償責任保険地区別料率のすえ置き  に関する請願(第一五四号)(第一五五号)  (第一五六号) ○減税に関する請願(第三三五号)(第三六三  号)(第三七二号) ○自動車損害賠償責任保険地区別料率の現行すえ  置に関する請願(第三七六号) ○付加価値税新設反対等に関する(請願第三八  三号)(第四二四号)(第四二五号)(第四二  六号)(第四二七号)(第四二八号)(第四二  九号)(第四三〇号)(第四四〇号)(第四四  一号)(第四四二号)(第四四七号)(第四四  八号)(第四四九号)(第四五〇号)(第四五  一号)(第四五二号)(第四五三号)(第四八  一号)(第四九三号)(第五一三号)(第五三  五号)(第七一八号)(第七一九号)(第七二  〇号)(第一一九八号)(第一二一三号)(第  一二三二号)(第一二三六号)(第一二九六  号)(第一五五五号)(第二一三八号)(第二  九七八号) ○付加価値税反対に関する請願(第一三一八号) ○水産業者に対する税制改正に関する請願(第一  四五一号) ○山田弾薬庫全面平和施設転用に関する請願  (第一五六九号) ○厚生年金保険積立金還元融資及び国民年金特別  融資わくの拡大に関する請願(第二三一二号)  (第二三一四号) ○子ども劇場入場税免除等に関する請願(第二  三六七号)(第二三七〇号)(第二四九四号)  (第二五四六号)(第二六〇〇号)(第二六〇  一号)(第二六五四号)(第二七一八号)(第  二八五四号)(第二八五五号)(第二八五六  号)(第二八五七号)(第二八五八号)(第二  八五九号)(第二八六〇号)(第二八六一号)  (第二八六二号)(第二八六三号) ○歩行障害者自動車重量税免除に関する請願  (第二六九二号) ○横浜国立大学(経済学部・教育学部)移転後の  跡地利用に関する請願(第二七九七号)(第二  七九八号)(第二七九九号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  六月十三日、石本茂君、川野辺静君、鶴園哲夫君及び須原昭二君が委員辞任され、その補欠として伊藤五郎君、大竹平八郎君、松井誠君及び野上元君が選任されました。     —————————————
  3. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案通行税法の一部を改正する法律案及び貸金業者自主規制助長に関する法律案、以上四法案を便宜一括して議題といたします。  質疑に入ります前に、衆議院齋藤大蔵委員長より発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤大蔵委員長
  4. 齋藤邦吉

    衆議院議員齋藤邦吉君) 私、衆議院大蔵委員長でございますが、皆さん方のお許しをいただきまして、発言の機会を与えられましたことを光栄に存ずる次第でございます。  ただいま議題になっております貸金業者自主規制助長に関する法律案は、当初自由民主党から提案されておりまして、それは第六十五回国会に自民党の案として提案されておりまして、今日まで長いこと継続審査になっておった案件でございます。それで、この案件につきましては、私どもといたしましては、各党——自由民主党のみならず、日本社会党公明党民社党各党の御同意をいただきまして、全会一致委員長提案にいたしたいと考えておったわけでございまして、今日までそういう方面に努力をいたしてまいっておった次第でございます。  この法律を制定するにあたりまして、一番の問題でありましたのは、不正金融の防止ということが非常に大きな問題でございましたので、これをいかにして各党一致の案をつくるかということは非常にむずかしい問題でございまして、今日まで日本社会党さん、公明党さん、あるいは民社党さん、各方面の方々と理事会等において相当長い間慎重に審議をいたしまして、ようやっと先般各党一致の案ができ上がったわけでございます。この案を作成するにあたりましては、ほんとうに各党の御協力をいただきましたことを、委員長としては衷心から感謝をいたしておるわけでございますが、やっと各党意見が一致いたしまして、委員長提案となるにいたしましても、なるべく早く参議院のほうに送付いたしまして、皆さん方に慎重に御審議をいただきたいと、かように考えておったのでございますが、衆議院側のいろいろな理事会等における審議が非常に手間どりまして、皆さん方に十分御審議をいただくような時間を与えることができない状況のもとにこちらに送付いたしましたことは、衆議院大蔵委員長といたしましても、まことにこの点は申しわけない次第と存じておる次第でございます。しかし、各党の非常な御協力のもとに、非常に苦労をして成案を得た次第でございますので、非常におそくなりましたことは衷心おわびを申し上げますが、どうか私どもの意のあるところをお考えいただきまして、御協力を賜わりますようにお願いを申し上げたい、かように考えておるような次第でございます。
  5. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 青木一男

    青木一男君 提案者にお尋ねいたします。  本法案の第三条、第四条貸金業に係る法令遵守する」ということが書いてございますが、「貸金業に係る法令」とはどの法令をさすかお伺いしたいと思います。
  7. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 貸金業に関する法令といたしましては、利息制限法、それから出資受入預り金及び金利等取締等に関する法律等があると思います。
  8. 青木一男

    青木一男君 第四条に予定されておる「政令」は、その中に入るか入らないかをお伺いします。
  9. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 第四条にございます「貸金業に係る法令」の中にただいま申しました法律は入ります。
  10. 青木一男

    青木一男君 この町の貸金業者不正金融とか、あるいは第五条に書いてあるような「悪質又は著しく不当な行為」というような、こういう事態を防止するのが立法趣旨かと思いますが、この法案にあらわれておる例としては、金利の問題と、それから第三条には担保の問題があります。そのほかに、一体どういう事態不正金融の形として取り締まりの対象に期待されているのか。金利担保のほかにどういうことがあるか、伺いたい。
  11. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 金利担保につきまして十分なことでありますならばよろしいかと考えております。
  12. 青木一男

    青木一男君 私もね、問題の重点金利にあると思うのです。いわゆる、たとえば高利貸しというようなことばで表現されておるように、この問題の重点金利にあると思います。  そこで、いま町の貸金業者の間に行なわれている金利は、実際どの程度のものが大部分であるか、そのいわゆる町の金融業者貸し出し金利の実情を伺いたい。
  13. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 貸金業法の実施は都道府県にゆだねられておりますが、私ども都道府県を通じまして承知いたしておりますところでは、四十六年の三月の調べによりますと、たとえば手形の割引では年に二九%ないし八二%、手形貸し付けにつきましては、二九%ないし八二%、証書貸し付けにつきましては四〇%ないし八二%というようなことになっております。ただ、この数字は、あくまでも各都道府県中心金利でございまして、その中心金利の一番低い点がただいま申しましたような数字であり、一番高い点がただいま申しましたような最高金利である。したがいまして、個々の中には、たとえば三・六五%とか四・八%とか、そういうように非常に低い金利で貸しておるものもございます。
  14. 青木一男

    青木一男君 いまの、たとえば二九%ないし八二%という貸し出しの実績ですね、これは利息制限法との関係はどういうふうになっておるわけですか。利息制限法は、最高が二〇%のはずですが。
  15. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 御案内のとおり、利息制限法は十万円未満貸し出しにつきましては二〇%、十万円以上百万円未満が一八%、百万円以上が一五%ということになっております。したがいまして、ただいま申し上げました数字が、このどの分類に当たるかという問題が一つございますが、大数的に見まして、この利息制限法の定めておる金利をこえておるものが相当あろうかと存じます。
  16. 青木一男

    青木一男君 次に、担保の問題ですが、担保の適当な種類、程度というようなことについて基準が設けられると考えておられるかどうか、伺いたい。
  17. 松川道哉

    説明員松川道哉君) ただいままでのところ、都道府県を通じて資料を集めております項目の中に、担保というのを入れておりませんで、具体的にどのような担保をどの程度取っておるかということは、私どもはさだかでございません。
  18. 青木一男

    青木一男君 大蔵省に尋ねるまでもなく、いまの金融機関金利調整等については、規定があるが、担保については何かいまのような規定が私ははっきりしないと思う。町の業者においてそういう適当な標準というものがつくれるかどうか、私は非常に疑問に思っております。この法案の中に書いてありますから伺ったわけです。  それから次に、第四条政令のことが出ておりますが、この政令は憲法上の委任命令ですか、それとも執行命令ですか。どちらですか、本質を伺いたい。
  19. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) やはり委任命令であると思います。
  20. 青木一男

    青木一男君 私も、金利最高限実態を聞いているから、委任命令だと思います。  そうすると、伺いますが、委任命令立法としては、委任条項がなくちゃいけないと思います。たとえば政府政令金融業者最高金利を定めることができるとか、あるいは定めなくちゃならないとか、そういう委任条項があって、それで第四条で、その「政令で定める」という引用をするとか、それならわかりますけれども委任条項政府政令でこういうことを定めることができるという、法律委任なくして、委任立法というものは一体できるのかどうか、その点を私はお伺いしたい。
  21. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいまの青木先生のお尋ねにお答えする前に、この法案性格について申し上げることをお許し願いたいと思いますが、この法案は、御承知のとおり、貸金業者自主規制助長に関する法律でございまして、第一条にも書いてございますとおりに、「貸金業を行なう者の自主規制助長するため、貸金業を行なう者の団体及び庶民金融業者」という名前を使用するという、この団体規制と、それからもう一つ、この前に、貸金業に関する法律がございましたときに、名前が乱用せられましたことを私ども反省いたしまして、この庶民金融業者という名前を使用することにつきまして、きびしく規制するということが、この法律の大きな眼目であると思うわけでございます。そうした意味におきまして、私ども庶民金融業者自主規制助長するということを考えているわけでありますが、ただいま御指摘の第四条は、そのように自主規制助長された庶民金融業協会会員貸金業を行なうについて、法令順守等をつとめなければならないというふうに、一つ訓辞規定というふうに考えておるわけでございます。そうした性格でございますので、私どもはその考え方のもとにおいて、しかるべく政令をきめてまいるわけでございまして、ただいま御指摘のような条項がないからという御指摘につきましては、ただいまのような考え方を持っておるわけでございます。
  22. 青木一男

    青木一男君 ちょっと最後のところがよくわからなかったのですが、委任命令であるならば、この法律の中に政令でこういうものを定めることができるとか、あるいは定めろ、こういう規定があるべきなんですが、どうしてないのか、それを伺ったんです。
  23. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいま申しましたように、四条自体規定訓辞規定でございまして、その他の規定とは違った性格のものでございます。したがいまして、ここで私どもは、資金需要者たる顧客に対し、できるだけ低廉な金利資金を提供してほしいということは、私は時代の要請であろうと思うわけでございます。その、できるだけ低廉な金利という趣旨を、それだけにとどめずして、政令等においてある程度基準を定めたらいかがかと思いまして、このような法案を提出した次第でございます。
  24. 青木一男

    青木一男君 よく理解できませんが、時間の関係上、これはこれをもってやめますが、こういう立法は私はちょっと考えられないと思う。  それからその次に、立案者は、大蔵省なり、あるいは政府政令できめる金利標準を、何によってやることを期待しているかを伺いたい。
  25. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 先ほど青木先生指摘のとおりに、利息制限法金利と申しますのは、いささか現代行なわれておる庶民金融実態からするならば、そのとおりに施行し得ないものであることは大体世上認められておるところでございまして、私どもは、低い金利によって低廉な資金を供給してもらうように要請したいのでありますが、その利息制限法そのまま期待することはいかがかというふうに考えております。これは実際上の問題であります。他面、先ほど申しました出資受入預り金及び金利等取締等に関する法律、これは日歩三十銭につきましては刑罰の対象にいたしておるわけでございますが、やはり現在この金利につきましての法制は、二本立てになっておるわけでございます。私どもはその間において、この利息制限法第一条第二項でございますが、超過部分任意に支払ったときは、返還を請求することができない。当事者の間で任意に支払ったものについては、国が関与し得ないという、その間のものにつきましては、できるだけ低いところで一般資金を提供させるように望みたい、したがって、いまの御質問に対しては、その間でしかるべき線においてきめていただきたいと、このように考えておるわけでございます。
  26. 青木一男

    青木一男君 利息制限法のきめた制限よりも下は無理だろうというお考えのようですね、それは私も同感です。それじゃおそらく商売にならぬでしょう。それで、いまのお話を聞いておると、利息制限法よりも上で、ただし書きみたいな規定で実際行なわれておる、それのうちの一部というようなお考えらしいんです。ところが、利息制限法は、あのきめた額以上の金利の契約は無効である、だから、実際問題として、任意に支払った場合には、取り戻すことはできないと書いてあるが、制限法によってこれは無効であるということが本体なんです。これは私は高利貸しを取り締まる上の基本的な考え方だと思う。法律上無効であるとされておる金利標準を、政令で定めることが一体可能であるかどうか、適当であるかどうか、その点を伺いたい。
  27. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) ただいまの御指摘はまことにそのとおりでございまして、私ども法律論的に言うならば仰せのとおりでございます。しかしながら、先ほども申しましたように、第一条の二項には、それをこえて支払われたものについても、それについては返還請求することはできないという規定法意、また他面、出資受入預り金及び金利等取締等に関する法律法意等考えました場合には、ただいま申しましたように無効であるという規定はありますけれども、私どもは、一般庶民ができるだけ低廉な金利資金を提供せられるような訓示規定を設けても、これは一つ考え方ではないかというふうに考えて、この立法をいたしました次第でございまして、御指摘の点につきましては、そのようなこともまことにそのとおりでございまして、またこうした考え方もあっていいのではないか、したがいまして、この条項訓示規定でないといたしますならば、その点は非常に問題でございますけれども、そうした法律、条文全体の性格からいたしまして、そうした考え方も入り得る余地があるのではないか、かように思った次第であります。
  28. 青木一男

    青木一男君 私は、利息制限法本質は、大体いま衆議院のほうもお認めになったようですから、それを、無効であるとされておる分を、今度は、何といいますか、正式に政令で認めたというこの立法が妥当かどうかということになるのでありまして、この点は、私は意見の相違かと思いますから繰り返しませんが、私どもはこれは非常に重大な問題であると思うわけでございます。  次に、第四条金利制限というものは、希望的な一つ規定であるというふうに説明されておるわけでございます。しかし、一番初めの質問に、第四条法令遵守という法令の中には、今度の政令も入るというお答えがあった。またそうでなくちゃいかぬ。そうすると、やはり一番初めの法令遵守する中に政令を除くということになるのはおかしい。やはり遵守の義務があるというたてまえでないと、先ほどの御説明とも矛盾するのですが、私は政令をつくったらやはり何かしら政令を守らなくちゃいかぬ、守った場合と、守られない場合の差がなくちゃいけない。さもなければ、政令をつくったのはナンセンスになる。それで、今度の規定によると、第五条には会員資格が書いてある。これに該当しないというと入会をさせない、そういうことがたてまえになっておる。それでありますから、第四条利息の限度というものは、別に罰則はつけないにしても、少なくも会員適格性標準としては採用しなければ、まるでナンセンスじゃありませんか。私はそういう無意味な立法をどうしてされるのか。やはり少なくもその政令に反したやつは会員から追い出そうと、こういうことでなければ、「努めなければならない。」という以上は、つとめなかったのには制裁を加えていいわけですね。どうして第五条に政令違反のことが書いてないのですか、その辺お伺いしたい。
  29. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) その点先生指摘のまさにとおりでございまして、ただ私どもは、これは自主規制法律でございまして、訓示規定ではございますけれども、ただ第六条に退会という規定がございます。その第六条の第二号に「貸金業を行なうにあたって悪質又は著しく不当な行為をしたとき。」は退会させなければならないという規定がございます。そうしてまた、その規定を受けまして、第五条の欠格事由の中に、第五条の第一項第四号に「次条第二号」というのは、ただいま申し上げました項でございますが、「第二号の規定により庶民金融業協会を退会させされた者であって、その退会させられた日から二年を経過しないもの」という規定があるわけでございまして、これがすぐにそのままとは思いませんけれども、私はこの自主規制法律によりましてできましたこの団体が、そうした方向でこの四条の精神に違反した行為は、こうしたものには当たっていくのではないか、またそのような運営がせられるのが適当じゃないかというふうに立法者考えております。
  30. 青木一男

    青木一男君 この第五条を見ますと、具体的に、これに違反した場合は会員資格がないと書いてある。私は第二項のように抽象的なものと違って、政令をせっかく出すならば、その政令を守らなかった者はやはり不適格者とするという規定がなければ、第二項の「悪質」とか、「不当」とか、そういうことにはならない。先ほどの御説明によると、訓示規定だというのですから、訓示規定ということは、守っても守らなくてもいいというような、できるだけ従えというふうな意味にとっても、私は第二項でそれをやるというならば、むしろ堂々と第一項の政令に違反した場合は会員にしないということでないと、前後のつじつま合わぬじゃありませんか。
  31. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) その点は、青木先生の御指摘のとおりでございますが、ただ私どもはこう考えたわけでございます。ということは、この御審議を賜わりまして、この法律が成立いたしまして、この自主規制法律ができました場合に、この法律に基づきまして、庶民金融業協会が設立されるわけでございます。その設立される協会は、四条に、たとえ性格訓示規定ではございましたけれども、このような法律ができまして、条文ができまして、そうしてそれを受けて政令がきまりました場合に、当然これを守っていくことになろうと思うわけでございまして、その精神が五条、六条に生きてくればよろしいかと思いますし、また四条性格につきましては、先ほど青木先生指摘のような性格からいたしますならば、ここで一応訓示規定としておかないと、他の法との関係もこれあり、私どもはただいまのような考え方で運営されることが望ましいと思っておるわけでございます。
  32. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  33. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記起こして。
  34. 桧垣徳太郎

    桧垣徳太郎君 関連。  提案者に一言だけお伺いいたしますが、いまの点でございますが、政令で定める金利以下の金利を順守するように、つとめよという、そういう努力規定が第六条の悪質もしくは著しく不当な行為になるというのは、私は通常の法律解釈としては飛躍にすぎないかという点が一点と、それから、もしそうじゃないんだ、やっぱり六条第二号の適用があるんだというのであれば、これは同じ法律ですから、五条の第二項の政令で定めた金利以上のもので貸しておった者はそもそも入れないということになりますが、同じように読んでよろしいか。  それから先ほどの関連で、御質問の中で「貸金業に係る法令遵守するとともに、」という、これも最後の「努めなければならない。」と、関係は同じであろうと思うんですが、その点についてもやっぱり五条、六条に同じようにひっかかっていくのか、その点についてお伺いします。
  35. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 第四条は、ずっと読んでいきまして、最後に「努めなければならない。」というのが法律でございます。まずその点を申し上げておきます。  そこで、ただいま御指摘の、これがすぐに第六条になってはどうかというふうな御指摘もございますが、私どもあくまでこの法律は、自主規制助長に関する法律でございますから、その団体法意を体してやってもらえればいいと思うわけでございまして、そこに立法者としての期待があるのでございます。したがいまして、この低金利政策の一環をになってほしいという、この新しくできました団体が、できるだけそれに沿うように自主的に規制がせられるならば、この法律の所期せられる目的は達せられると思うわけでございまして、要は、この御審議、御承認を願いました法律によってできますこの団体が、この法意を体して十分やってほしいということでございますので、その際、法の第六条の「悪質又は著しく不当な行為」とするかどうかは、また今後の問題でありましょうけれども、そういうふうに運営せられるならば望ましいというのが、立法者の真意でございます。
  36. 青木一男

    青木一男君 もう一点。  十三条に「庶民金融業者の名称又はこれに類似する名称を使用してはならない。」と書いてありますね。「類似する名称」というのは、たとえばどういうことを言うのですか。これは非常な他の金融機関との関係上、「類似する名称」というのはどういうことを言うのか。これを一点。
  37. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) これは他の法令にも「これに類似する名称」というのはございますし、またそれについてはいろいろ先例、判例等もございますが、それに従うと思いますので、要は、庶民金融業者という、この法律によりまして認められた庶民金融業者にまぎらわしい類似した名称だということだと思うわけでございます。
  38. 青木一男

    青木一男君 いまの御答弁で、私ちょっと理解できないのですがね。たとえばいままでの実際、庶民金融業者として典型的なものは質屋があった。それから臨時金利調整法の中にもたくさんの金融機関が書いてある。その中に、無尽会社、恩給金庫、庶民金庫、地方農業会、漁業会、信用金庫、信用金庫連合会、信用協同組合等たくさん書いてある。こういうのはほとんど全部これらは庶民金融機関なんですね。私はそういう場合に、庶民金融業者というような名称は、もう普通に使われることばじゃないかと思いますが、これを独占させるということは、いまの実情から見て、行き過ぎじゃないかというような気がしますが、その点はどうですか。
  39. 山下元利

    衆議院議員山下元利君) 御指摘ございました質屋は、たとえば、出資受入預り金及び金利等取締等に関する法律でも、貸金業から除かれておりますので、問題はないと思うわけでございます。質屋につきましては、これは全然問題にならない、かように考えております。その他につきましては、まあこの法律が成立いたしますならば、庶民金融ということばを使った名称というものは、やはり「これに類似する名称」になるのではないかと思うわけでございます。
  40. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  41. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こしてください。
  42. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 過日、アジ銀について若干の質問をしたわけであります。外務省に、中華人民共和国の件についてこの前ただしたのですが、結論は、借款の返済不履行あるいはまた特別の違反、不履行ですね、定款に対して。そういうものがない場合は、現在ある台湾の蒋政権を脱退をさせることができない、あるいはまた、自発的に台湾が脱退をするというようなととがなければこれはできないんだと、要約をして言いますと、そういう回答であったと思うんです。で、どうしても、やっぱり私は台湾というものがひっかかってくるわけです。  そこで一つお伺いするのは、いま中華人民共和国が国連に正式に入っておるんですから、国連の機構であるIMFとかあるいは世銀、こういったところには入る資格要件は持ったと理解するんです。だから、中華人民共和国が加盟申請をとれば、当然世銀やIMFの総会ではこれを取り上げて検討せざるを得ないと思うんですね、国連の機構であれば。そういう点は外務省としてはどういうふうに理解をされておるんでしょうか。
  43. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 私のほうから一応御答弁を申し上げたいと存じますが、これはIMF、世銀、いずれも国連とは独立の機関という性格でございまして、したがいまして、これはアジ銀について申し上げますのと同じことでございますけれども、国連の決議にそのまま拘束をされるというものではないということは同じでございます。IMF、世銀、それぞれの加盟資格というものがございます。また同時に、おそらく加盟資格云々の問題とは別に、また代表権の問題ということにもなろうかと存じます。いずれにいたしましても、この国連の決定についてそのままIMF、世銀が拘束を受けないという点は、アジ銀におけると同様でございます。
  44. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ぼくがいま質問したのは、その、アジ銀自体は国連の決議に拘束はされない。いま金融局長が言われたように、その点はこの前の回答で一応当局の回答は私も理解をしているんです。  いま私が聞いたのは、国際連合の機関のIMFとか世銀関係については、中華人民共和国は資格要件を持ったじゃないか、だから、加盟申請があればそれはIMFとか世銀の中では当然総会でもって何らかの決定を見なければいけない、こういうことになるんじゃないかと思うんですが、その辺の経済機構に対する国際連合機構の中の問題はどうなのかという質問です。
  45. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 国連そのものにおきまして、中華人民共和国が、いわゆる中国を代表する政府と認められたという事実はございますが、IMFあるいは世銀の場合でございますが、これは国連の専門機関というステータスは持っております。つまりその意味は、独立の国際機関ではございますけれども、国連と協定を結びまして専門機関という関係にあるというだけのことでございまして、国連の下部機関ではございません。したがいまして、そのメンバーシップ——現在中国は国民政府によって代表されておりますが、その代表権という問題が争われるという事態の場合には、世銀あるいはIMFそれ自身が独自に意思決定をやって差しつかえない、またその権限を持っているというふうに解釈しております。     —————————————
  46. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 委員異動について報告いたします。  本日、大竹平八郎君が委員辞任され、その補欠として柴立芳文君が選任されました。     —————————————
  47. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ国際連合関係の機関であれば、いま回答があったように、その資格要件は持つんだ、そういうことがいまの世界の大勢じゃないでしょうかね、中華人民共和国に対する。だから、単にアジア開発銀行の場合でも、事務的にはいま稲村局長が言ったような形にあるでしょう、国際連合の拘束は受けないんです。しかし、大勢の動きとしては、そういう状況で進んできておるのですから、アジ銀としても、いずれこれらの問題については具体的に検討せざるを得ない、こういう事態に差しかかってくるのじゃないかと思うのですが、これは政治的な判断になると思いますから、水田大蔵大臣はそういう見解に対してどういう中華人民共和国に対する考えをお持ちになっているのか、その辺の見解をひとつ聞かせていただきたい。
  48. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) まだ現在のところ、中華人民共和国は、アジ銀に加盟したいというような意向は全然示しておりませんので、そういう事態が起こってから、これはわれわれ検討したいと考えております。
  49. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 たとえば大臣、この国連加盟がきまったんですから、今後中華人民共和国がIMFや世銀に加盟をいたしますと——おそらく世銀の加盟等についてはことしの秋に総会を持たれるのですから、もしかりに中華人民共和国がそこに入りますという申請手続があった場合には、日本としてはこれはどういうことに態度をきめるか、その辺の見通しはお持ちでしょうか。
  50. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ことしの秋の世銀、IMF総会の際に、中華人民共和国の加盟の問題、あるいはメンバーシップの問題というのが取り上げられるかいなかという点でございますが、現在までのところ、中華人民共和国は、世銀に関しましても、IMFに関しましても、自分のところが代表権があるとか、あるいは加盟をしたいというような関係の態度は何ら示しておりません。したがいまして、現在の状況から判断いたしますると、この秋の総会のときに、そういう意味の問題が取り上げられるかいなかという点に関しましては、現在の情勢に関しまする限りは、いまのところそういう動きは全く見られないということでございます。
  51. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 北ベトナムに対しては、このアジ銀の援助、あるいは同国のアジ銀加盟問題についてはどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  52. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 北ベトナムに対しまするアジ銀の援助の点についてお答え申し上げます。  加盟の問題につきましては、外務省のほうからお答えいただいたほうがよろしいかと存じますが、援助につきましては、これは国際機関の当然のあれといたしまして、やはり加盟国に対して援助をするということでございますので、加盟しておらない北ベトナムに関しましては、援助と申しますか、そのアジ銀の資金を使うということは、アジ銀としては考えられないことであると存じます。
  53. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 現行で考えられないけれども、将来はどういうことになるのでしょうね。どういう要件が備われば、北ベトナム等に対しても検討ないしそれらの対策が出てくるのかどうかということですが、その辺の見通しはどうですか。
  54. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 地域としての北ベトナムに対して、アジ銀それ自身が援助を与え得るということは、一応協定上で読めますが、ただ協定十一条にございますとおり、アジ銀それ自身の援助というものは、加盟国及びその下部機関というものに向けられるはずのものでございます。したがいまして、北ベトナムというものが、アジ銀のメンバーでないという現状においては、アジ銀からの資金は供与できない、こう考えております。
  55. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 供与できる条件というものはどういうふうに考えていますか。
  56. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) これはいわゆる北ベトナムの加盟という問題に関係しているわけでございます。現実の問題といたしまして、ベトナムという地域が、南ベトナムと北ベトナムと二つに分かれております。つまり分裂国家の様相を呈しておるわけでございます。現状において南ベトナム、つまりベトナム政府がアジ銀のメンバーでございます。したがって、将来北ベトナムが加盟するかどうかという問題については、現状においては北ベトナム側も何らそういう意思表示をしてないという事実もございますので、現段階で日本政府はどうするというようなことはお答えできないと思います。
  57. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 東パキスタンの場合ですが、いまバングラデシュが政権を握っている東パキスタンの場合、事実上パキスタンの支配力がなくなったわけですね。このバングラデシュに対する取り扱いはどういうことになるのですか。
  58. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) バングラデシュの場合でございますが、現在までに国連の専門機関であるWHO——世界保健機関、これに加盟を認められております。それからさらに正式と申しますか、意向としては、IMFに入りたいという意向を持っておるやに聞いております。ただアジ銀に対しましては、まだ現実に意思表示したということを聞いておりません。現実にそういう意思表示が行なわれた場合に、日本といたしましてはバングラデシュとすでに国交を回復しておりますので、もちろんアジ銀における決定に待つわけでございますが、その時点におけるほかの加盟国の動向も踏まえまして態度を決定したい、こう考えております。
  59. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 従来パキスタンを通じて援助その他をやっておったわけですね。途中このバングラデシュが政権を樹立して、パキスタンの影響力、支配力がなくなった。こういうことになると、その前借はどういう取り扱いになるのですか。いまパキスタンを通じて行なったそういう融資、援助、こういうものに対しては具体的にどういう措置になっていくのか。
  60. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) バングラデシュの地域に対しまして供与されておりましたアジ銀の借款につきましては、これはむろんアジ銀としてどう措置するか。バングラデシュの加盟ということになりました場合に、どういうふうにするかということは、アジ銀において検討の上で加盟に際してのお話し合いということになるかと思います。現在までのところ、われわれの聞いております限りでは、バングラデシュの地域に対して、元東パキスタンの地域に対して貸しておりました分について、パキスタンのほうが債務不履行というようなことになっておるということはないようでございます。と申しますのは、元本に関しましてはまだ据え置き期間のあることでございまして、返済の時期がきておらないということが一つございます。それから利息につきましては、これは定められたところに従いまして利息は支払っておるようでございます。それからまあこういう事態でございますので、アジ銀といたしましても、新たな借款を、新たな引き出しと申しますか、そういうものは一応いまのところ停止をしておるというふうに了解をいたしております。
  61. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、従来のものは総会その他の中で処理をしていく。それから今後バングラデシュは新たな借款というんですか、援助というんですか、それは加盟というものを土台としてバングラデシュを相手にひとつやっていこう、こういうことですか。
  62. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま申し上げましたのは、すでにこのバングラデシュに、昔の東パキスタンにある貸し付け対象につきまして、西パキスタン、それに対する具体的な資金の引き出しということは、当面アジ銀としては差し控えておるということを申し上げたわけでございます。新たにバングラデシュの地域に対して、あるいはバングラデシュに対して融資を行なうかいなかは、これはむろん加盟いたしました暁に初めて問題になってくるであろうと存じます。
  63. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これはちょっと話は違うんですけれども、いまバングラデシュに対する日本の経済協力、そういったものは、独立承認したあと行なわれているんでしょうか、その辺はどうですか。
  64. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) パキスタンが、西パキスタン国とバングラデシュの二つに分かれたわけでございます。従来日本は、パキスタンに対する援助を行なってまいりましたのですが、その額は概算でございますが、約七百億円でございます。日本が債権として持っておりますものは、そのうちの約四百五十億円が東パキスタン、つまりバングラデシュにいったというふうに見積もられております。この債権あるいは債務関係をどう処理するかということにつきまして、パキスタン政府及びバングラ政府の代表と話した事実はございます。われわれといたしましては、債権債務を分けるという考え方を、パキスタンとバングラデシュ双方の協議できめてもらいたいというような基本的な考え方を両方の政府に示しております。現在までのところまだ両国間のこの問題についての話し合いが行なわれていないという実情にございます。ただパキスタンといたしましては、当時の東パキスタン、つまり現在のバングラデシュ分も含めて債務は全部自分が払うという意向は表明しております。
  65. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その七百億のうち四百五十億程度はバングラデシュ、このほうにいく、こういうことですが、主として内容はどういう協力内容ですか。
  66. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 内容は、いわゆる肥料工場の建設であるとかスティールミルの建設であるとかいうようなプロジェクトのベースのもの、あるいは一部の繊維工場もあるいはあったのじゃないかと思います。そういうプロジェクトベースのものがかなりバングラデシュ側にいっております。
  67. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、通産省が参っていると思うのですが、最近通産省としましては、アジア諸国に対する経済発展のために、アジア諸国間の経済協力、こういうものを具体的に進めていこう、仮称ですけれども、アジア経済協力機構、こういったものを設置して、開発途上国を中心にした、またおくれた地域に対する積極的な支援体制をとっていこう、こういう構想があるやに聞いているのですけれども、そういう内容というものは検討されているのでしょうか、まずその点から。
  68. 山口衛一

    説明員(山口衛一君) お答えいたします。  ただいま御指摘の、アジア経済機構というような具体的な組織というような名前での検討は実はしておりません。いま、いろいろとアジア地域協力といいますか、日本からの援助だけではなくて、むしろその発展途上国同士がいろいろな形で貿易をし合い、あるいはうまくいけば国際分業等もやって、彼らの貿易がお互いにもっと拡大するようにというような趣旨も含めまして、もう少し地域内の協力というものを一緒に考えてはどうかというような諸点につきまして、実は検討はしておりますけれども、いま先生指摘の開発機構とかいうような形で、具体的に何を取り上げるかというようなところまでは実はまだ決定しておりません。
  69. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま言われたように何らかの形で開発途上国を中心にしたアジア全域の域内経済発展、こういうものを目ざした先進国としての日本が何らかの手を打っていかなくちゃいけないだろうということで検討されていることは事実のようですね。その場合に、たとえば欧州自由貿易連合——EFTA、こういったいわば機構に似たアジアの貿易自由、障害を排除したこういうものをひとつつくり上げようとか、たとえばアジア決済同盟——APUというものを設立して、多角的な決済手段というものを設置していこう、だいぶ私は具体的な中身まで検討されているように聞くのですけれども、実際やられておるのでしょうか。
  70. 山口衛一

    説明員(山口衛一君) 実は、ただいま申し上げましたとおり、構想といたしましては、通産省は貿易関係の所管が非常に通商関係では大きいものですから、私どもといたしましては、なるべくやはり貿易を通じまして、かれら自身が輸出能力をふやしまして、みずから外貨が積もっていくというような自助努力を大いに促進するという見地から、実はいま申し上げましたとおり、お互いの域内の貿易の拡大というような点に目をつけまして、それに日本が、たとえば市場を開放いたしましたり、輸入自由化を進めたり、関税を少なくいたしましたりしまして、日本もできれば一枚加わるという形で、できるだけ多角的なそういう貿易の拡大が望まれればというふうに考えて、そういう面から実はこれを主張しているわけでございますが、ただいま先生指摘のような、決済同盟ということになりますと、これは為替金融等に関しまして、通産省だけでむろんできないことでございますので、通産省内部でまだそこまで、各省と相談するというところまで実はいっておりません。内容の検討がまだ進んでいるという程度のことでございます。
  71. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 結局その表現としては、いろいろ域内経済発展、開発途上国の振興、各般うたわれておるわけですが、ねらいは、日本の貿易進出といいますか、経済進出、非常に他国ではそういう日本の発想というか、検討内容について危険視した態度を持っておるわけです。さらに、中華人民共和国などでは、日本が先頭に立った、いわば経済的な中華人民共和国の包囲作戦だと、こういうところまでいわれておるようですね。だから、非常に諸外国から見れば、危険視されているような発想じゃないかと思うんですが、そういう面についてはどう一体お考えになっておりますか。
  72. 山口衛一

    説明員(山口衛一君) ただいま先生指摘のような不安を、アジアの発展途上国に抱かせることはきわめて問題でございますので、極力私ども考えがそういうような不安すらも呼び起こすようなことであっては困るということでございまして、実はそういう面からいいますと、アジアの地域協力というのは、むしろ場合によっては日本が入らないで、アジア同士の国々の貿易の拡大というものに、側面的にでも日本が、ただ市場を開放するというような形、あるいは国内のアジアと競合するような産業を調整することによりまして、できるだけ輸入の拡大をするというような、できるだけ受け身の形で、アジア諸国の貿易が健全に発展されるような、そういう形態が一番望ましいというふうに考えておりまして、いま先生指摘のような点が、くれぐれも起こらないようにということを十分注意しております。
  73. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もう一つ、韓国でございますけれども、まあ南朝鮮ですが、たいへんな日本との経済協力関係がありまして、相当な援助がやられておるんですが、いま韓国に対して資本協力の部面で、無償の経済協力ですね、どのくらいあるか、有償協力でどのくらいあるか、有償協力の場合に、はたして金利はどの程度でやられているか、まあアジ銀との関係で聞きたいんでありますけれども、さらに食糧援助、その他各般のプロジェクト構想に対する援助、いろいろございますけれども、いま韓国の経済誌情勢全般どう一体なっているか、これは具体的にひとつ、国民総生産あるいは総投資あるいは国内貯蓄、民間貯蓄、政府貯蓄等々の内容はどうなっておるか、あるいは物価上昇は年々どれくらいか、この辺についてひとつ要約をして、韓国の諸情勢について教えていただきたい。
  74. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 韓国の経済情勢でございますが、これにつきまして数字を手元にございますものにつきまして申し上げますと、国民生産は——実額を申しますよりも、GNPの伸び率を申し上げたほうがよろしいかと思いますのでそれを申し上げますと、六八年が実質成長率一三・三%、六九年が一五・九%、それが七〇年にはやや落ちまして八・九%ということになっております。  それから物価上昇率でございますが、卸売り物価で六八年が八・一%とやや高い上昇率を示しておりましたが、六九年が六・八、七〇年が九・一とまたインフレ的になりましたが、七一年の六月、昨年の六月現在の数字では四・七%というふうにやや落ちついておるようでございます。  それから消費者物価のほうを申しますと、同じく六八年ソウルの消費者物価で一一・一、六九年が一〇・一、七〇年が一二・七でございましたが、やはり七一年六月では四・二というふうになっております。  ただいまの韓国の問題といたしましては、全般的に申しますと、これは東南アジアの諸国の中では、非常に成長マインドと申しますか、ある意味で非常に日本に似たところがございまして、よく似たという点では、非常に他の東南アジアの諸国と違った活発さを持っておるというふうに聞いております。ただ最近の問題は、やはり国際収支でございまして、このところ国際収支は必ずしもよくないと、経常収支で申しますと、六八年が四億四千万ドルの赤字、六九年が五億五千万ドルの赤字、七〇年が六億百万ドルの赤字ということになっておりまして、これを資本の導入によりましてバランスをとっておるという状況のようでございます。
  75. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 韓国の場合ですね、まあ日本と若干同じようなケースでいっているんですけれども、ことに物価上昇がきわめて高いんですね。同時にインフレ傾向が非常に増大をされる、あるいは地域格差の所得の分配というものがたいへんな違いがある、そういうことで、たいへんな不安定な状況にあるように私たちは理解をしております。前にも指摘をしましたけれども、南ベトナムもしかり、ラオスにおいてもしかり、カンボジアでもしかり、あるいはいま取り上げたパキスタンの例を見ましてもたいへんな政情不安、そういう状態があるわけです。こういうものに対して、アジ銀なり日本の経済協力というものが、視点をそこに置いてやられておるんですよ。どうも考えますると、これは言ってみれば、アメリカとべったりという角度で、そういう肩がわり政策を、前途見通しのないものがやられているのがいまの現状じゃないかというように考えるけれども、その辺は外務省、どう一体判断をしておりますか。
  76. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 先生指摘になりましたように、確かに問題がないわけではないわけでございます。ただわれわれといたしましては、韓国あるいは御指摘の南ベトナム、これらに対する経済協力という面でとらえました場合には、これらの国の貿易収支が必ずしも黒ではないと、赤であるというような問題、あるいはこれはまあ他国の内政になりますが、やはり国内の対内経済政策が必ずしも妥当でない、あるいは妥当でないかもしれないという面も含んでおりますので、そういう点は十分勘案しておりますけれども、ただそれだからといって、やはり援助を与えないでほうっておいていいかどうかということを、われわれとしては考えざるを得ないわけでございます。具体的にはまあ韓国の場合について申しますれば、御承知の昭和四十年に結ばれました請求権及び経済協力の協定がございまして、それに基づきまして無償及び有償の援助を与えるという実情でございます。
  77. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ですから、いまの現状からいって、いまのような回答に当局者はなるだろうと思うんですけれども、大臣にお伺いしたいのですけれども、いま質疑をしたように、経済的にも国内の政情においてもたいへんな不安定な要素というものを多くかかえている。こういうものに対して日本が一般の経済協力やあるいはアジ銀からの資金供与ですね、そういうものをやっているのです。そうして、その指導的な役割りをはたしているのは日本であり、アメリカである。こういうものに対して、基本的にどういう構想でこれからやっていかなくちゃいけないのか。たとえば通産省に聞きましたけれども、まだ検討段階、はっきりしたものを持ってないですね。大蔵大臣としては、こういうものの借款供与その他援助について、基本的にどういう一体日本の姿勢でなければいけないと思うのか、その辺についてひとつお聞かせ願いたい。
  78. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 御承知のように、韓国とは毎年一ぺんずつ閣僚会議を開いて、そうして韓国の経済の説明を聞き、韓国の経済計画の実施状況を聞き、そうして韓国側の援助の要請に対して、日本はどういう援助をすることが必要であるかというようなものを、この会議において常に検討して、毎年毎年韓国援助の問題をきめておるということでございますが、いま局長が言いましたように、韓国はとにかく働く意欲が非常に旺盛であって、いままでアジア開発銀行のこの援助についても、また二国間の、日本の経済援助についても、これは最初のときはそうでございませんでしたが、最近非常に実績を示しておることでございますので、したがって、やはり韓国の経済の成長ということは、アジアの平和にとって非常に大きい影響を持つ問題でございますので、そういう意味で、この韓国の経済援助ということは、日本としても最も力を入れてすべきことであるという方針でいままで対処してまいりましたが、今後も、非常に最近これが実績を示して、いままでの援助もむだになっていないということがはっきりしておりますので、やはり計画を十分検討し、実績と見合ったこれからの援助計画を立てて、援助を強化していくことが、日本にとっても必要だというふうに考えております。
  79. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 専売のほうに、たばこ関係で少し聞きたいのですけれども、この前、改正要点を、四項目にわたって改正をされたというお話がございました。しかし、耕作組合法を三十三年に制定をされたわけですけれども、この法律がつくられた当時、従来組合体が非常に小さかったのですね。それをいわば区域を拡大をした。その結果は、たばこ耕作者の組合員にいろいろな面で周知徹底の度合いというようなことを欠いた。逆に言えば、拡大された分だけ非常に非民主化された。こういう実績がなまなましいのですけれども、そういうきらいは今回の改正によっては生じないのでしょうか。
  80. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 先生のおっしゃいますようなことが、運用のしかたによりましてはあり得る場合もあると思いまして、その運用については十分注意しなければならぬかと思います。ただ、全体といたしまして、この法案の修正の内容につきましては、法律ができましたあと個々の組合の組合の総会にかけまして、その総意によってどの程度にするのかということをきめてまいりますので、そこで十分にまずそうしたことについての組合員の意思を反映しながら運営していくことによりまして、そうした弊害は避けられるものでありますし、またそういう運用をいたすように指導いたしたい、こういうぐあいに考えております。
  81. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 たとえば具体的な内容ですが、今回代議員の受ける制限は、従来の五人から十人に拡大したわけですね。あるいは、代議員会が設置できる条件を、従来五百名以上というのが三百名以上、これは若干緩和されたことになりますが、それから代議員定数が五十、従来七十ですね、こういうことに緩和しているわけですが、それでなおかつ連合会、いわば大型合併ですね、そういうことをやっていこう、具体的にそういう内容ですね。結局は大型合併というのは、金融関係の合併を見ても、各般の合併方式を見ても、結局裏には歴然とした要員削減あるいは節減、合理化、こういうものがつきまとっていくのが従来の大型合併の姿です。だから今回のこの耕作組合法の改正の大型合併というものも、そういうところに必ず通じていくんですね、結果は。そういうことで、当該従業員なり、あるいは関係者がそれだけ実際機関に携わる割合というものは薄められていくわけですから、当然民主的な運営というものから遠ざかる、こういうことだけははっきり言えると思うんです。そういうものをどう具体的に、この改正によって従来の民主的な最低線を守りながら、より向上さしていくのかということがポイントだと思う。そういう点の保証は一体どういうふうに考えているんですか。
  82. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 現在の耕作組合の区域の実態を見てまいりますと、面積の変動並びに耕作者の数の変動というものがあるわけでございますけれども、非常にこれは地域によっての差がございます。大きくいいますと、東北のほうあたりにつきましては、比較的面積につきましても、人員につきましても、変化が少のうございます。都市近郊、工業地帯の近郊におきましてはその変化が非常に多い。こういう状態にございます。したがいまして、現在の状況から組合の運用を見ておりますと、そうした反別人員の安定いたしましたところにつきましては、比較的組合の運営そのものに問題がないわけでございますが、急激に変化がありまして縮小されましたところにつきましては、たいへん残りました耕作者の方々の負担が大きくなっておる、こういうような実情がございます。したがいまして、そういうような非常に減少の大きいところにつきましては、合併をしながら適正規模の面積、適正規模の耕作者の数というもので、一つの組合単位をつくって運営していくことが好ましい、こういうように考えておりますが、その場合、先生のおっしゃいますように非常に区域が広くなるというかっこうがございますので、そのあたりにつきましては、組合のほうもまた公社のほうも、耕作者の指導なり運営なりに、従来以上の変な支障がないように努力していかなければならない、こういうぐあいに考えております。
  83. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 過日の説明で、補助金の問題ですが、大体たばこ耕作で反収当たり十四万見当だ、こういう説明でしたね。それで補助金の総体は割合にして一四%しかいっておらぬ。しかし専売公社としてはたばこ乾燥室は全耕作者に波及をしたい、こういう希望を持っていると思う。さらに、総会や何かの関係からいきますと、一組合に二十万見当補助金的なもので各種総会というものに援助金を出している。非常に私は、いまの補助金制度はつかみ金でやっているように思うんです。乾燥室をつくるにしても、八六%は全部耕作者の負担ということになるわけですね。だから、こういうものを専売公社として、そういうところで、耕作者にとっても葉たばこの品質によって値段が違ってくるわけですから、そうしますと当然収入も違ってくる。こういう影響がありはしないか。そうして公社がそういうことをつくらしていこうというんですから、こういうものに対しても前途見通して、一定の計画を立てたほうがいいんじゃないか。毎年この補助金体制でやっていくということについては、どうも私はマンネリ化した政策じゃないかと思うんですがね、その辺の政策的な構想というものがないのかあるのかですね。それから実際問題として、その間二十万円見当の一組合当たりこれをおろしても、その補助の基準というものは全然わからぬですね。どういうふうに使われているのかもわからない。ただ落としたという程度ですね。従来のように、運営の方式というものは一定のボスに握られているということがあるわけですから、そういうことになると、単に幹部の飲み食いに使われてしまうということがある。そういうものに対して、もう少しすっきりした補助金体制というものをつくっていく必要があるのじゃないか、だから、何らかの制度的なものを一面検討しつつ、あまり多い額ではございませんが、しかし、何億という金がいっているんですから、そういうものに対する制度的なものですね、こういうものをはっきり打ち立てる必要があるんじゃないか、こういうように考えるんですが、その点はどうですか。
  84. 佐々木幸雄

    説明員佐々木幸雄君) 先生の御質問二点あるかと思います。一点は乾燥室の補助金の関係でございます。過去ずっとたばこの乾燥には、葉たばこを乾燥いたします乾燥室が必要だということで補助金を出しております。ただいま一四%ということでございまして、これにつきましては、現在大体それぐらいな程度でやっておるということを前回申し上げたわけでございますが、乾燥室の補助金の最近の、戦後の状況を見ておりますと、比較的葉たばこの生産を増強したいというようなときには、平均しまして二割ぐらい出すとか、あるいは時期によりまして黄色種、在来種あたりの必要度によりまして、若干の格差をつけて、こういうような政策をかみ合わせながらやっております。これも前回申し上げましたが、そういうことで、現在在来種、バーレー種あたりの生産の増強が必要だということがございますので、補助率を大体倍、半分ぐらいなかっこうで在来、バーレーのほうを増強して出しておる、こういう状況でございます。これは全体といたしまして、予算でその辺をきめていただくわけでございますが、長期的な見通しにつきましては、種類別に見まして、黄色種の場合には必らずこれは乾燥室で火力乾燥いたしますので、すべての葉たばこが乾燥室を通って製品になっていく、こういうかっこうにございます。在来種、バーレー種につきましては、乾燥室並びに乾燥ワクと申しますか、乾燥室がない状態あたりもかみ合わせながら生産がされておる、こういうようなことでございまして、現在それぞれの種類で新しい型、あるいは省力に向くようなそういう乾燥室を建設しておりまして、それに対しまして、いま申し上げたような補助率をあれしておるわけでございます。ただ、これからの国内の葉たばこ生産の問題を考えますと、たいへん農業事情の変化その他で問題が多うございますが、そうした生産についての省力の、栽培の手間を省こうと、こういうことを考えます場合に、必ず相当なそれに伴います設備投資というものが大幅に必要になってまいりますので、その辺のことを長期的にどういうような施策をかみ合わせながら国内の産業、国内の葉たばこ生産というものを合理化していくかということを計画しなきゃならないということで、現在精力的にその辺のところを詰めております。そういう状況でございます。  それから組合運営につきましての問題でございますが、組合の運営につきまして二十万円程度ということでございますが、これは私たちの説明が十分でなかったためにそういう御理解をいただいているかと思いますけれども、これは組合合併いたします場合、合併の事務費といたしまして出しておるのでございます。
  85. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に総裁に、たばこと発ガンの関係でいろんな世上取りざたをされている専売公社としては、これは政治的にあるいは政策的になかなかむずかしい回答かもしれませんが、部内としては、医学上の問題等については鋭意検討されておるといままで言われてきたんですから、まあだいぶ長いこと検討されているようですがね、私がこの前問題にしたのは、おそらく四年ぐらい前だろうと思うんですが、四年ぐらいたちゃ一定の結論は出たんじゃないかと思うんですが、その辺の見解はどういう結論になっていましょうか。アメリカあたりでもいま相当有名なお医者さんなんかが、たばこがガンの発生の要因だというようなことも言われている、あるいは日本国内においても、そういうことが間々報道されている、そういうような問題について、専売公社自体としては従来検討してきているわけですから、検討の中間段階でもけっこうですが、そういう問題に対してどう一体考えられておるか。
  86. 北島武雄

    説明員(北島武雄君) これはどうも私どもとしてはたいへん痛い問題でございますが、昨年の専売事業審議会の答申、これはまあ大蔵大臣の御諮問に応じまして、専売事業審議会が検討の末答申されたわけでございますけれども、この御答申の際におきましては、現在の専売事業審議会の委員の方は、医学の知識をお持ちの方がございませんので、その審議にあたりましては、特別委員として医学の大先生五人を特別委員として御参加願いまして、特別委員の諸先生が、さらに学者あるいは識者などの御意見もお聞きになりまして、特別委員の参考意見というものをおまとめになったのがございます。これはあるいはもうお手元にいっているかとも存ずるのでありまするが、これを基調といたしまして、専売事業審議会の答申が出たわけでありますが、その専売事業審議会における特別委員の御意見のところは、ただいま私原文を持っておりませんが、ヘビースモーカーに肺ガンの発生が多いという医学的事実が指摘せられ、あるいはまた心筋梗塞等心臓疾患についても同様なことが疫学的事実から指摘せられておるが、病理学的にはその辺の関係が明らかでないというのが、まとまった御意見でございます。ちょっと御紹介いたしますと、特別委員は前の東大の病院長上田英雄先生、それから臨床家でありかつまたラジオ、テレビのドクターとして有名な近藤宏二先生、それから国立公衆衛生院長曽田長宗先生、それから心理学者の、かつ精神医学者の宮城音弥先生、それから癌研究所長の吉田富三先生、この五人の方の総合的な御意見でございます。私は格別そういう知識ございませんので、そういう方々の、特別委員の報告をちょっと御紹介申し上げますと、「肺がん死亡者に紙巻たばこの重喫煙者が多くみられるという統計的、疫学的事実が指摘され、また、心筋梗塞、狭心症などの心臓障害についても、同様の問題がある。一方、病理学的には肺がんの発生と喫煙との因果関係などについて今後の研究にまつべきものが多く、また、心筋梗塞などの疾患についても、喫煙と血管の器質的変化との直接的因果関係などにおいてなお研究の余地が残されている。」というのが諸先生の最終的の御意見でございます。専売公社といたしましては、この喫煙と健康問題につきましては、たいへん重要に考えておるわけでございまして、たしか昭和三十二年ごろから委託研究をお願いいたしております。当初その金額も非常に少なかったのでございますが、この数年間急激に増加いたしまして、昭和四十五年度が三千万円、昭和四十六年度は五千万円、さらに本年度昭和四十七年度は六千万円、こういうふうに増加いたしまして、喫煙と健康等との関係についての御研究を各方面にお願いしておるのが実情でございます。
  87. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その内容は専門家がいろいろ検討された結果ですから、それ以上私たちのほうでしろうとがどうのこうのいう内容はないんですけれども、えてしてアメリカでこうだときまれば、日本の場合も一挙に結論が出ていって、たとえばDDTもそうですけれども、アメリカがいけないと言ったら、日本もやめてしまう。そういうケースがいろいろあるのですね。だからこそ、そういうことのないように、専門家の中において十分やはり検討を加えられて、国民の不安に対して一定の結論を出して安心を与える、こういうことでなければいかぬと思うのですね。それはもう各般の政策が入っていまやられておるわけですけれども、非常に一面人体にどうのこうのという不安をかもし出す内容があるわけですから、その点は十分今後御検討をお願いしたいということを要望して、終わりたいと思います。
  88. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 アジア開発銀行の点について二、三伺いたいと思いますが、この通常資金の使用というのを見ますと、台湾が一八・九%、韓国が二四・九%と、非常に台湾、韓国が多いわけであります。それから特別基金のほうを見ますと、インドネシアが非常に多いということで、この三国、あるいはこれはシンガポールも普通資金の場合には多いわけでありますが、こういうところに集中的に金が流れていくということは、アジア開発銀行の目的から見て、どうも数カ国に集中しているという感じを強くするわけですけれども、これはどういう事情でこういうふうになってきているのか。むしろ、台湾、韓国、あるいはシンガポールもそうだと思うのですが、そういうところは、その他の国に比べまして先進開発途上国といいますか、まあ開発途上国の中でもいいグループのほうだ。したがって、銀行が金を貸す。そうすれば返ってくることが確実だというようなことで、そういうところに集中しているということになるのですか。そういう形で考えてみますと、どうも開発銀行の目的、そうしたものから逸脱していく可能性が非常に強い。いいところだけうんと助ける。悪いところはそのまま放置されるという可能性が強いような気がするのですけれども、それは一体どういう事情でこういう特徴的なものが出たのか。その点御説明をいただきたいと思います。
  89. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまお尋ねの件でございますが、確かに御指摘のように、昨年末現在の累積で見まして、通常資金に関しましては韓国、それから台湾、シンガポールというところが大きな額の融資承諾ワクを持っておるわけでございますが、これはこういうふうな特定の国に融資承諾が集中しておるというのは、決してアジ銀のほうがそういうところに集中させるという方針をとっているわけでは全くございませんで、むしろアジ銀といたしましては、協定にもございますように、なるべくまんべんなく広く通常資金による融資を均てんさせたいという方針であることは、渡辺総裁も常々言っておられますし、年報等においてもその趣旨が見られるわけでございますが、それではなぜそういうふうに結果としてなっておるかといいますと、これはアジ銀が発足いたしまして、やはり通常資金で融資を与え得るようなプロジェクトがなかなかその他の国においては、たくさん、しかも、大きなものがなかったというために、まあアジ銀として、まず通常の融資を与えてまいりますにつきましては、どうしても、先生指摘のような先進——まあ後進国の中でもやや発展の度合いの高いほうのところに、融資に適するプロジェクトがたくさんあった。そのために、昨年末現在ではこういうような実績になっておるということでございます。アジ銀としては、先ほど申しましたように、こういうふうな特定の国に集中しないように、その他の国につきましても、加盟国につきましても、いろいろと技術援助その他をやりまして、プロジェクトの開発につとめているわけでございまして、今後はだんだんとこういう特定の国に集中しているという状況は、なるべく直していきたいということで、アジ銀当局も努力をいたしているわけでございます。
  90. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 韓国、台湾、こうしたところにプロジェクトがあると言いますが、銀行としても技術援助的な、要するに開発計画プロジェクトというものをつくるのには、かなりの援助をやっているわけだと思うのですがね。したがって、開発銀行の技術援助だけというわけではなかろうと思いますけれども、さらにそういう点では後進発展途上国、そうしたところにやはり技術援助というものをもっと強める必要が私はあると思うのです。それでないと、やはり韓国、台湾というような先進発展途上国のほうが確かに貸した金も返ってくる可能性が多い。あるいは銀行が融資の対象になるようなプロジェクトも多くなるということでありますがね。もう少し他の国に技術的な援助というものもアジ銀としても強めていく。もちろん日本自体としても私は強めていく必要があると思うのですがね。そういう意味では私は、日本が資金を出して国際的な技術大学みたいなものを、どこへつくるのがいいか、つくる場所はいろいろあると思うのですが、そういうところにもっと金を出して、そうしたプロジェクトをつくっていくためのいろいろな技術関係というものに援助を強める必要があると思うのです。特に日本の輸出については、とやかく物で輸出するということについてはいろいろ批判があるわけでありますから、そうした形というものを、特に今日の日本としては考えていく、それがほんとうにアジアの平和的な開発に役立つような技術の交流もあるでしょうし、技術の援助も私はあるだろうと思う。そういうものをもう少し積極的に進めていかなければ、やはり日本は、経済は発展したけれども、ほんとうにそういう日本の経済、あるいは技術の発展が、アジアにおいてそうした国々の開発を援助するということにならぬのじゃないか。ですから、そういう意味では、もう少し大きな技術教育的なプロジェクトというようなものを、日本政府として考えてしかるべきじゃないか。またそうしたものができれば、私はアジア開発銀行としての機能というものももっと一そう高まっていくのじゃないだろうか。これはひとつ大臣、そういう考え方政府として持ち得ないわけですかね。もっとそういうものは積極的に進める。日本の国へ呼んできて、日本の中で教育するということになりますと、またいろいろ問題があろうと思います。そういうアジアにおける国際的な、どこの国も参加できるようなものをつくっていかなければならぬだろうと思うのですが、どうですか。
  91. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 技術援助については、まさにそのとおりだと思います。アジ銀の技術援助の件数も、いままで五十七、八件あるうちで、いまの韓国、台湾に対しては二、三件しかない。あとは全部他の国に対して技術援助が行なわれているのですが、この援助を行なって、プロジェクトの開発が行なわれるというようなことになって初めて、銀行の開発融資が行なわれることになるのですから、そのまず前段階の問題としても、必要なのは技術援助であると思いますので、そういう意味において、銀行もそうですし、またアジアに対する日本の立場におきましても、この技術援助をもっともっとこれから重視しなければならぬということについては、同感でございます。
  92. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 調査室で出していただいた資料を見ましても、通常資金融資と特別基金融資という件数から見てみますと、全体の件数の中で、最近の特質というのは、特別基金融資に対する希望というものが非常に高まっているように思います。六九年では、全体で十八件の中で、普通資金融資が十三件、特別基金融資が五件、それから七〇年には、三十三件の中で普通が二十二、それから特別が十一、それから七一年には、二十九の中で普通が十七、特別が十二と、まあこうなっておりますし、アジ銀の年報についても、そうした趣旨で、特別基金融資に対する希望というようなものが、普通資金融資よりもむしろ最近は高まっている、こういう一句が入っているわけです。そこで、この金利を見ますと、通常資金融資というのはたしか七分五厘であり、それから特別のほうはずっとそれよりも低くて三%ぐらいなように聞いておるのですが、この通常資金融資においても、特別基金融資においても、金利は最近上げられたと思うのですけれども、それはいつごろ、どういう形で金利を上げたのか。その上げられた理由というのは、一体どういうところにあるのか。私はむしろ、ますますこういう金利というのは下げていいんじゃないかというふうに思うのですが、おそらく通常資金融資では七%から七・五%に最近上がったと思いますけれども、どうもこういうものを上げていくということ——上げるからおそらく特別基金融資のほうによけい集中していく可能性も私はあると思う。特別基金融資の内容というのは、農業関係中心とした非常に長期的なもの、そうしたものが多かろうと思いますけれども、その辺の事情をひとつ御説明いただきたいと思います。
  93. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 通常資金融資と特別基金融資の金利関係でございますが、通常資金融資につきまして、現在御指摘のように融資金利は七・五%でございますが、これは四十五年の五月ごろ、それまで六・八七五%でございましたのを七・五%に上げたということでございます。それが現在まで続いておるわけでございます。これは、通常資金のほうの融資の金利は、これは世銀も同じことでございますけれども、アジ銀が国際市場でもって調達いたしまする長期資金金利と勘案いたしまして、まあ自己資金と合わせてペイするような限度でこの金利をきめるということでございまして、長期資金に関しまして、長期資金金利が世界的に上がってまいりましたために、四十五年の五月に、従来の六・八七五%から七・五%に上げたわけでございます。他方、特別基金融資のほうは、これは国際市場金利とは関係ございませんで、拠出をいたしました国が、大体どのくらいの金利で出してよろしいということをアジ銀に意向を伝えまして、その範囲内でアジ銀が拠出国と相談してきめていく。わが国の場合でございますと二%なり三%というのが普通でございますが、ものにより、国によっては一・五%でもいいというふうに銀行に伝えてございます。これは融資を受けまする国の発展段階、あるいはプロジェクトの採算性、そういうようなことも勘案いたしまして、そのときどきにアジ銀が決定をいたしておるわけでございます。そういう意味で両者が開いているわけでございます。  御指摘のとおり、特別基金融資につきましては、ことに発展途上加盟国の中の発展段階の低い国につきましては、主として特別基金融資のほうを特に望むということでございます。通常資金のほうは、昨年末の数字でも明らかでございますように、台湾、韓国というようなところはもっぱら通常資金だけでございまして、特別基金のほうはないわけでございます。
  94. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それでどうなんですか、特別基金融資の基金全体をもう少しふやしていくというようなことにつとめていかなければならぬと思うのですね。特に日本なんか、現在外貨があり過ぎて困っているような事態ですからね。こういう問題に金を貸していくということは、これは全く私はいいことだろうと思うのですけれども、もう少し、この基金というのは日本だけがかってに出すという、一国の支配に属するというようなこともなかなかむずかしかろうと思うのですけれども、しかし、もう少しこれをふやしていくということが、おそらくアジアの経済開発の要請にこたえていくゆえんではないだろうかと思うのですけれども、その辺は全体としてひとつもっとふやしていく、そして需要に応じていくというようなことはできないものですか。
  95. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御指摘のとおり、この特別基金につきましては、わが国といたしましても今後もふやしていくべきであろうと存じますが、このほうは、大体現在までの実績を申し上げますと、全体で一億五千万ドルぐらいの中で、わが国が一億ドルを出しておるわけでございます。非常にアンバランスになっているわけでございます。われわれのほうといたしましては、毎年の総会等の機会に、加盟先進国に対しましては、この通常資金をもっと出してくれということを御要請をすると同時に、日本としてはできる限りの特別基金の増額をはかっていくという方針で毎年きておりまして、ただいまアジ銀におきましても、特別基金のほうの任意拠出ということではなかなか集まりにくいということから、何かルールと申しますか、特別基金の拠出の一つのまあルールのようなものをつくってやったらどうだということで、いま鋭意検討をいたしている段階でございます。ただわが国だけのことを申しますと、これは御承知のとおり、予算の問題になるわけでございますから、その意味で制約があるということはもう事実でございます。しかし、そういうことを踏まえた上で、わが国としてはできるだけこういうものをふやしていきたい、また同時に、先進加盟国の拠出もふやすように働きかけていきたいというふうに存じております。
  96. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がありませんから次に移りたいと思うのですが、アジア開発銀行とメコンコミッティーですね、これは一体どういう関係にあるのですか。
  97. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) メコンコミッティーそれ自身は、エカフェの勧告に基づいてできたものでございます。この委員会それ自身は、沿岸国四カ国でできておりまして、それに日本を含む二十五カ国がこれに協力する体制にあるというわけでございます。それでメコン委員会それ自身としまして非常にたくさんの、また大きな計画を持っておるわけでございますが、その一部につきましてアジ銀がその調査を立案する、あるいは調査を勧告するというようなことが行なわれております。
  98. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そして具体的には、あのメコン川の河水調整事業ということが一番大きい事業なんですが、これに対して日本は一体全体としてどのくらいの金を出しているわけですか。
  99. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 現在まで日本が計画の、いわゆる投資前の調査というような技術協力面で、総額で約百五十五万ドル出しております。その他、建設事業に対する資金協力という面で、約千三百七十万ドルを出しております。
  100. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは、下流四カ国というんですから、カンボジア、南ベトナム、それからタイ、ラオスというような、いまベトナム戦争の戦場になっているような——タイはそうじゃないと思うのですけれども、その他の国はベトナム戦争の戦場になっているような国が多いだろうと思うんですが、具体的にやっている仕事というのは、どういうことなんですか。
  101. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 投資前の調査といたしまして、たとえばナムグム計画、それからプレクトノット計画などの調査というのを行なっております。  それから、建設事業というものに対する資金協力といたしまして、やはりただいまのナムグム計画、それからプレクトノット計画というようなものに対して、わが国が直接資金供与を行なっております。
  102. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  103. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。
  104. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは、あとで資料でひとついただきたいんです。具体的に、そうした建設工事がどの程度まで進んでいるのか。私いま言われた地点というのは、具体的にどういう地点なのかよくわからないんですけれども、そうした地点、どういう地点で、どの程度の仕事が、どう行なわれていくのか。それで、具体的にメコン川の下流地域でどういう成果を得ようとしているのか。  それから、ベトナム戦争とそうした計画、戦争にもかかわらず順調にいっているのかいってないのか。あちらこちらで、具体的な建設事業なり調査というものがおそらくかなり阻害されているんじゃないかというふうに、これは私の推測ですが、そういうことが非常に心配されるわけです。これから金をつぎ込んでいくにしても、一体そうした戦争との関係はどうなるんだろう。この辺の点を、時間ありませんから、あとひとつ資料でお出しいただきたいんです。ここへつぎ込んでも、戦争でやられてしまうということになりますれば、これは意味のないことであります。メコン委員会の進め方というものも、実際上はアジア開発銀行がエージェント的な役割りをおそらくしているだろうと思うんですけれども、その辺の点をひとつ詳細にあとで資料で御報告いただきたい。そうしたものにアジア開発銀行がかかわり合っていくというのは、私はやっぱり考えなくちゃならぬ点があろうと思うんですよ。  その辺をひとつ資料で御提出を願うことをお願いして、終わりたいと思います。
  105. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) いま御指摘のように、あの地域の治安問題ということは、われわれ常に念頭に置かざるを得ない実情にございます。メコン計画そのものにいたしましても、メコン川の本流に対する非常に大きなプロジェクトがございます。それに対しましては、日本といたしましては、まだあの地域の政治的安定あるいは治安というものが必ずしも確保されていないということで、それは平和が回復した暁にやるべきである。ただ現実に、さらにその支流に当たる部分、たとえば先ほど申し上げましたプレクトノット計画などもその一つ考えますが、そういう地域については、治安の許す限りは進めていきたいという考え方で実施しております。  なお、先生の御要求のございました資料につきましては、後ほどお届けいたしたいと思います。
  106. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、最初にアジ銀の問題に関連して大蔵大臣にぜひお答えをいただきたいのですが、前回のときにも伺ったんでありますが、大臣がお見えにならなかったので、まあ私も満足はしていないのですけれども、実は、アジア開発銀行と同じように、ヨーロッパに欧州開発基金があります。つまりEDFでありますけれども、この欧州開発基金は、いわゆるベルギー、フランス、イタリア、オランダ、そういうような国々が、自分のところの植民地であったアフリカの諸国に対し、まあそのほか、海外に点在している国々に対して、いわゆる経済社会の発展開発を援助する、そういう目的でつくられた。これは、どう考えても、日本の私どもがいま審議しているアジア開発銀行とはちょっと違う感じがするわけです。というのは、域内加盟国と域外加盟国と両方加盟国があって、それの資金でもってアジ銀は動いておりますけれども、ところがこちらの場合には、ヨーロッパの旧宗主国だけが集まって資金を集める、そうして旧植民地に対しての援助をしている。そこら辺になりますと、大臣も御承知のように、第二次大戦が起きたのも、経済のブロック化から始まったわけです。で、ECの存在そのものもそういう傾向が若干あるのでありますけれども、こういうことから、旧植民地までも、第二の経済侵略のような形で糸をいつまでもつけておくということは、一つには、いわゆる全体的に発展をしていくというか、ブロック化をしないで発展をしていくという経済の流れと、平和を求めている経済の流れと、大きく違うという点がある。  いま一つは、南北問題の中の南北問題といわれているアフリカが発展してこないのも、言いかえれば、こういうような、いつまでも旧植民地扱いをすることにあると思うのです。  いま一つは、特恵関税のときにも御質問申し上げたのでありますけれども、逆特恵のようなものを用いて、いつまでもいつまでも、もとの植民地から吸い上げるというような形を改めない。こういうことでは、これはいずれ世界の問題にならざるを得ないときが来るだろう。わが国として、アジア開発銀行、あるいは世銀、第二世銀と、いろいろありますけれども、そういうものを通して、開発途上国に対して、未開発国に対していろいろ援助をしていかなければならぬ。これから政府の開発援助もふやそうというところにきているわけでありますから、そういうときにあたって、このような行き方はおかしいということで、ECの六カ国がやっているこのような行き方、これを改めさせていく必要があるのじゃないか。その点、わが国としての考え方、これは当然、世界の経済の中で、大きな地位を持っている日本のことでありますから、しかるべきことは言っておかなければいけないのじゃないかという感じがするのでありますが、いかがでしょうか。
  107. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの御指摘の点は、確かにECの加盟国の、あるいは、今度拡大ECとなります場合のイギリスも含めたヨーロッパの旧植民地に対して特別な関係を持つという点は、排他的と申しますか、インワードルッキングな方向に進んでいくということでございますと、これは確かに御指摘のように、ブロック化と申しますか、いろいろな意味の弊害が生じてくるということでございますが、逆に、しかし、そのもとの植民地——現在、独立しておりますアフリカの各国が、従来の歴史的な関係に基づいて、それぞれの関連の深かった国が特に援助をふやしていく、靱帯を強め、維持していくということに関しましては、そういう結びつきが排他的でない方向でいくならば、これは一つの世界全体として考えましても、意味のあることではなかろうかと存ぜられますので、確かに御指摘のように、そういうものが排他的な傾向に進んでいってはいけないという点につきましては、われわれといたしましても十分に今後注意をしてまいりたいというふうに存じております。
  108. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、そういうふうな抽象論はけっこうなんですけれども、はっきり申し上げて、いままでの旧植民地との間の維持、関係というものを、連携を強化したいということが一つの目的でこれはできているわけですよね。これはそういうふうにうたわれているわけです、これにはっきりと。これは非常によくないという感じがするわけです。だから、わが国としても、これは大蔵大臣からはっきりお答えをいただきたいのですが、この基金について、わが国が域外の加盟国として、何がしかのことを考えていく、資金を供与していくというようなことは考えられないのか。そうして、平等な世の中をつくっていくように私は努力すべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  109. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いわゆる〇・七%目標という問題ですが、各国は政府援助が日本に比べて非常に多い、日本はこの点で非常に少ないということは言われておるわけでございますが、これに対して私どもは、いまおっしゃられるような問題を相当提起して、反論ということでもございませんが、各国の政府間援助の比較的多いということは、いま言っておった旧植民地の援助というもの、これは必要ではありましょうが、これの多いことと、日本の対外援助というものとの性格は相当違う。そういう意味で、日本は決してこの対外援助で、先進国、欧州諸国に比べて劣っていないというような問題を、私どもは常に一応問題として出してきてございますが、そういう問題に対して警告をしながら、同時に、日本自身の今度は援助のしかたということになりますというと、やはり、そういう問題を避けるために、国際機関を通じて経済援助資金を国が出すということが、やはり一番問題を少なくすることじゃないかというので、私どもはいまそういう方向で協力しておりますが、EC諸国の海外援助のそういうしかたについては、これはいま国際金融局長が言ったような方向を、これは事実上そういう方向をとっている傾向は私は非常に多いと思っていますので、これについては、日本として援助のやり方について、今後機会あるたびごとに、欧州諸国と十分話し合わなければならない問題だと思っております。   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕
  110. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ヨーロッパの繁栄が、アジアとか、アフリカあたりを侵略した結果できたものであるだけに、なかなか向こうは手が切りにくいことはわかりますけれども、日本がそういうアジア・アフリカというものを代表して、新しい世界というものをつくっていかなければならない、そういう一つのわが国は役目があるだろうという感じがいたします。それだけに、そのようないつまでもひもをつけていくというような態度、これは早く、いまの大臣の答弁のように改めさせるなり、日本みずからその中に乗り込んで入ってしまって発言権を持つなり、そういうことをして、コントロールをしていただきたい。これはお願いでありますからこの程度でとどめておきます。  それからアジ銀に関係して、ドルの問題をちょっとここで伺っておきたいんですが、新円対策という、対外経済緊急の対策でありますけれども、それに対していま政府が輸銀あるいは石油開発公団、金属鉱物探鉱促進事業団、こういうところにかなりの金額のドルを渡していきたいということを考えられているようでありますけれども、具体的な実施の段階になったときに、補正予算としてはどのくらい考えなきゃならないのか、あるいは補正なしで済むのか。  いま一つは、具体的な利子等についてはどういうふうに考えていこうとしているのか、この点をひとつ構想をお聞きいたしたいと思います。
  111. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの御指摘の点は、例の国際収支対策といたしましての七項目のうちの、外貨活用といっております点の中の一部の問題であろうと存じますが、これは先般政府といたしまして、特別立法案を御提出をいたしておるわけでございますが、これがどういうふうに相なりまするか、現在の段階において私は何とも申し上げられない点でございますが、いずれにいたしましても、われわれといたしましては、この法案がどうなりますかによりまして、今後の方針については、事態に応じてさらに検討してまいりたいというふうに存じております。
  112. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その点、空気みたいな返事で困っちゃうな。具体的に利子等についてはどういうふうに考えているかという話。いわゆる七項目の中の一つに、先ほども申し上げたようなところに出ていくわけでありますから、外貨が。一体どのくらいの利子を、法案はならないけれども考えているのかということを聞きたい。
  113. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いまお答えしましたように、いわゆる外貨の活用のうちの一つの方法の問題でございますが、遺憾ながら、政府は国会に法律案を提出いたしましたが、とうとうこの国会で審議に至らなかったというようなことになりましたので、この問題は実現する方法はございませんが、しかし、これができなくても、もう為銀に対する外貨の預託、日銀による輸入金融の措置、中長期債の購入、あるいは国際機関に対する資金協力というようなことで、当初考えましたように、今年度の上半期中において三十億ドル前後の外貨の活用ということはりっぱに実現できると思いますので、いま言った法案審議されなくても、政府のこの問題に対する対策にはそう大きい支障を来たすというようなことはないというふうに考えます。
  114. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 だから、そうなると、三十億ドルといういま具体的なお話がありました。その外貨についての活用、これは低利で融資ということですから、一体どのぐらいの利子になるのかなということを伺いたかったんですが、その点は詰まっておりませんか。
  115. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま大臣が御答弁申し上げた点でございますが、この三十億ドルと申しますのは、先生指摘のような点とは若干異なりまして、すでに現行法のもとにおきまして政府としてやり得る限度のことでございまして、その大きなものはすでにやっておりますが、外為公認銀行に対します輸入等のための預託によりまして、外為銀行の短期債務を返していくということとか、あるいは輸入金融の一部を日銀からの円金融にかえていくということによりまして、この外貨の短期借り入れを減らしていくというようなこととか、あるいは中長期債の購入というようなことでございまして、こういうもので、すでに四月、五月合わせますと、ほぼ十億ドル程度の活用をいたしております。それで、まあ六カ月間を見ますと、ただいま大臣が御答弁申し上げましたように、三十億ドルぐらいの活用ができるんではないか、こういうことでございます。
  116. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これ、いまのような御答弁からいえば、実質上の外貨減らしというよりは、見かけ上——本来ですね、そういうような感じがするわけですね。そうすると、そういうような見かけ上だけということになれば、これはまあ必ず非難がまた諸外国から出てくるだろうという感じがするんですが、その点、実質上の外貨減らし対策というのは、これは現状のままではもっともっと強くはとれないのか、その点はいかがですか。
  117. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいま申し上げましたような点の施策は、われわれといたしましては、単に見かけ上の問題ではないというふうに存じておりますが、これは外貨準備が非常に昨年の後半以降ふえました中には、この為銀等の短期の借り入れが非常にふえたということもあるわけでございまして、まあそういう意味で、単に運用形態を変えたということでございますと、この見かけ上というあれもあるかと存じますが、しかし同時に、それは現在のやっておりますことは、他方為銀等の短期の借り入れを減らしておるわけでございますから、したがいまして、単に見かけ上の問題ではないというふうにわれわれとしては考えております。それよりも、やはりいわゆる国際収支対策として一番重要な点は、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕  これは七項目の項目の順に並んでおるのが、まさにその順序に重要性があるというふうにわれわれも考えておるわけでございますが、景気の振興によりまする経済の回復によって、その輸出入の大幅の貿易の黒字を減らしていくということ、あるいはその他輸入をさらにふやしていく、あるいは輸出についてのいわゆるオーダリーエキスポートと申しますか、そういう意味の七項目の第一、第二、第三という項目が、実はほんとうの意味の一番大きなこの国際収支対策であろうというふうに存じておりまして、この点は、特に新しい立法を要しない限度で、いろいろと施策ができるわけでございますので、その点を強力に推進をいたしたいというふうに存じております。
  118. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そのことに関連してちょっとひとつ伺いたいのは、中期、長期のいわゆる債券ですね、そういうものの買い入れ、それによって外貨はとにかく見かけは減りますからね、そういうようなことは考えていないのかどうか。
  119. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御指摘の点に関しましては、現在短期のアメリカの大蔵省証券、外務省証券等に運用しておりますものを、もっと利回りのいい中長期の市場性のある債券にかえていくという点は、これはマーケットでかえる限りのことでございますけれども、なるべくそういうふうなほうにかえていくということは鋭意行なっております。ただし、これはマーケットからのものでございますので、多額を一ぺんにかえますと、相場をつり上げるということに相なりまするから、その点は注意しながら、急激に多額ということにはまいらないわけでございます。
  120. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 それはそのくらいにします。  それからアジ銀の問題ですが、アジア開発銀行というのは、いわゆるエカフェのまあ構想ということでありますけれども、そのでき上がったときには、いわゆる共同市場とか、貿易の自由化とか、そういうことと切り離すことができない、そういうことが一つの大きな問題として提案されていたということなんですけれども、実際にいまあるアジ銀というのは、この問題といいますか、こういった趣旨といいますか、そのものにぴったり合っていないんじゃないか。各国ともいろいろ思惑等も違いますから、いろいろとあると思いますが、その点はいかがでございますか。
  121. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御指摘のように、エカフェでアジ銀の設立の議論が行なわれました際に、同時に貿易関係でいろいろと議論があったということは事実でございますが、現在のアジ銀は、そういう貿易関係の自由化とか、そういうものとは切り離して、開発のための資金供与機関ということでできておるわけでございまして、他方の貿易関係の問題その他は、なおこのアジ銀とは別の問題としてエカフェでさらに引き続き論議が行なわれておるというふうに了解しております。
  122. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そこで、いまのはっきり申し上げて、貿易の自由化ということ、貿易の問題ということになると、各国の国際収支、いろいろな問題がからんでまいりますから、これはなかなか理想的にはできないということわかるんでありますけれども、そのエカフェのいっている構想、こういうものを実現することは、これはアジアにおいては非常に大事なことですし、そういう点で、日本のこれからのアジアに対する援助計画あるいは援助政策、そういうものをつくる場合、このエカフェの構想や提案、あるいは二国間のそういうものを生かして、二国間援助をやっていくとか、多国間援助をやっていくとか、こういうような考え方に立たなければならない、その点はいかがでございますか。
  123. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) それは御指摘のとおりであろうと存じます。  まあエカフェのいろいろな会合、総会を含めまして、会合にはわがほうの代表が出ておりまして、議論に参加しておるわけでございますが、確かに御指摘のように、アジ銀を通ずるいわゆる開発のための金融、融資ということのほかに、やはり国際収支、ことに貿易収支上東南アジアの国々が輸出をふやして、外貨の手取りをふやしていくということが、非常に重要であるということは当然でございまして、往々にいたしまして、各国ともある発展段階においては、国際収支上の考慮よりも、より経済成長あるいは大きなプロジェクトを自国内につくりたいというような希望のほうが先に出て、そのためになかなかこの発展がアンバランスになるということもございますから、そういうような弊におちいりませんように、われわれのほうといたしましても、そういう国々との経済協力関係におきましては、まあそういうことを念頭に置きながら、またエカフェ等での議論を十分参考にしつつ、今後とも進んでまいりたいというふうに存じております。     —————————————
  124. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま横川正市君が委員辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  125. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 その次に、これはぜひ大臣に伺いたいんですが、先日もこの席上で伺ったんでありますが、いわゆる株の異常な状態、これは何とかしなきゃならないだろうということを申し上げたんでありますけれども、そのときにいろいろ答弁がありました。いわゆる無配会社、無配の株、こういうものについて、いろんなことで政府のほうとしての指導なり、いろんなことが言われているわけでありますが、どうもその後の状況を見ますと、大蔵省が介入といいますか、そういうことに口を入れるたびに株価が上昇しているという傾向がある。これはどういうことでそういう傾向になるわけですか。大蔵省が言うたびにこう上がってくるというのは、私どもよくわからないわけですが、その点はいかがでありますか。
  126. 坂野常和

    政府委員(坂野常和君) 御指摘のとおり、株価はその後も高い水準にあり、また本日ダウは最高の指数になりましたけれども、私どもの行政といたしまして、株価が高いから、これに介入するという意図は全くございません、御承知のとおり株価はそのときの需給関係によって生ずるものでございますので。ただ証券行政といたしましては、市場規制と申しますか、市場に不公正な要素が入ります場合は、これを排除しなければならないと、その不公正な要素はいろいろございます。証券業界の内部の場合、あるいは証券業界以外の力、いろいろございますけれども、その不公正な要素が入りますと、市場における価格形成がいわゆるアンフェアなものになるわけでございまして、これは市場機能を殺すゆえんになりますので、この不公正な要素を除くというのが行政のひとつの行き方と申しますか、目的でございます。そういう意味におきまして、私どもいろいろ証券界あるいは取引所等に注意を喚起したりしております。これはすべて株価が高いからという意味ではございません。不公正な要素があると思われる場合、あるいは起こりそうになっておる場合、こういう場合に私どもは注意をしてまいったということでございます。
  127. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 そうすると、いまの答弁からすると、若干不公正な要素といいますか、そういうおそれがあるというようなものがあったわけですか。ここのところであったとすれば、具体的にちょっと……。
  128. 坂野常和

    政府委員(坂野常和君) いろいろあったわけでございます。一等最初の段階におきましては、十二月の末ごろから信用取引がかなり過熱しそうな傾向になってまいりました。したがいまして、これに対しましては一月に二回、それから三月に一回、それぞれ証拠金率の規制等を、当初二回は取引所で、最後の段階は大蔵省でいたしたわけでございます。これも、もしあの当時信用取引の規制が行なわれませんと、過大な信用取引が導入されます結果、おそらく価格形成がかなり混乱するのではないかという感じがいたしたわけでございます。  二番目に出てまいりましたのが、法人活動でございます。御承知のとおり金融機関なり、あるいは事業法人が株をたくさん買うというようなことでございます。そのこと自体は別に問題ないわけでございますが、それに先回りした証券界の営業態度というものが見られました。それに先回りして自己売買等が活発化いたしますと、これまた株価を不公正に押し上げる可能性もございましたので、この点の注意をいたしたわけでございます。  三番目に生じましたことは、四月中旬ころから五月にかけての現象でありまするけれども、いわゆる中低位株、比較的業績の悪い、あまり値段の高くない株式に対して、この株式を積極的に投資家にすすめることによって株価を押し上げていくというような傾向が生じてまいったわけでございます。これも一般の投資家が自由な発想から行なうものであるならば、別段問題はないけれども、もし証券界がこれを積極的にすすめるということになりますと、いろいろ問題が生ずるおそれがありますので、こういった点についても注意をし、目下のところはボーナス期でもございまして、また株価がかなり高いわけでございますので、一般投資家にやや動意が見られる。こういう機に乗じて、水準の高い株式を一般投資家にすすめる場合には、よほど慎重な営業態度を要しますので、そういう点について注意をいたしているという段階でございます。
  129. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは、証券取引法等を見れば、外務員の規定等がかなり以前よりは充実してきたわけですけれども、あるいは仮装の取引とか、株価の操作とか、こういうふうなことがかなりきびしくなってきていますけれども、はっきり申し上げて、いま御答弁がありました大衆投資家の保護の問題というのは、ちょっと商品取引の場合よりも悪いような感じがするわけです。やはりこれはほんとうに考えなければいけないのではないか。前にはアズキでずいぶんと人々が悲惨な目にあいました。それがきっかけとなって、証券取引法が改正になったのは御承知のとおりですけれども、これは大衆保護と投資家保護ということが中心であったわけです。同じように今度は、いまの局長の答弁から見ると、いろいろないわゆる過熱の要素がある。しかもその中で、場合によればあぶなくなるということが考えられるわけですね。とにかく古今未曽有の——ダウの平均については、これは上がりっぱなしということはあり得ないことであろうというふうに思います。そんなときには、御承知のように、新聞の株の欄に、何々株が有望であるとか、業績がいいとか、こう出ると、とたんに家庭の奥さん方がそれを買うという傾向があるわけです。これはもうよく御存じのとおりであろうと思う。そういう方々がひどい損害を受けなければならないということになってくる。一番最後のところにいってプロが損をするのは当然のこととして、そういうプロでない者が損をするということが、非常に大きいということですから、その点でこの証券二法、証券取引法はじめ証券関係法律を改正をして、大衆の投資というもの、投資家と申しますか、家までいかないと思いますけれども、そういう方々を保護する、こういったこと、そういう改正ということを考える必要があるのじゃないかと思いますが、その点はいかがでございますか。
  130. 坂野常和

    政府委員(坂野常和君) お説の点に関しましては、実は昨年、証券取引法の改正を国会で御審議、成立さしていただいたわけですが、その前に、四十年の改正で、これらの点については一とおりの手当てを終わっておるわけでありまして、言われました商品取引云々との比較問題、これもいろいろ立場からのお説はあるわけですけれども、私どもの感じといたしましては、証券恐慌以前の状態と、今日の状態とでは格段の差がある。なるほど、セールス活動その他につきまして若干の行き過ぎが皆無とは言えません。しかし、かつての状態と比べますと、そこはかなり進歩しておるというふうに認めております。と同時に、問題を生じましたときの法律制度につきましては、これは十分な対策がとられております。で、お説の外務員制度につきましても、証券会社にほとんど全責任を負わすような非常にきつい規定になっております。また、証券会社の営業活動に関しましては、健全性省令というものを発行いたしまして、それも省令でございますから、必要に応じて条文をふやすこともできるわけでございまして、不公正な営業活動をいたさぬように十分な姿勢をとっておるわけでございます。したがいまして、運用面につきましては、なお私どもも努力を重ねていかなければなりませんけれども、いまお説の点に関しましての証券取引法の改正は、直ちには必要ないというふうに判断いたしております。
  131. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これは大臣、はっきり申し上げて、実勢と違うような現在の株価、いわゆる企業の実勢とは違っているような感じがあるわけですね。先ほども低位株の問題がございましたが、そういうような答弁に見られるようなことが行なわれて、どう見ても、いまのように企業活動が、はっきり申し上げて、設備投資もきわ立って伸びているわけではないわけでありますが、そういうふうなときに、株価が非常に上がってくるという事態が、非常にちぐはぐな感じを受けるわけです。これは何らかのことを考えなきゃならないときがくるのではないかと思うのでありますが、その点は大臣としてはどういうふうにお考えになり、また見通しを持っておられ、対策を考えておられますか。
  132. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) いずれにしましても、株価があまり上がるということは、問題をはらむことでございますので、この点については非常に注意して、いわゆる介入しない範囲において注意をしておったわけでございますが、いま局長が言いましたように、少し不健全な要素が見られるという限りにおいては、すぐにそれに対する対策をするということをやって今日まできております。で、もしこの対策のし過ぎによって、これがきっかけで、株式の暴落というようなことがあってはということも、また一面ずいぶん気をつけながらやって今日まできているつもりでございますが、いまのところは、こういう金融緩和という背景があり、株式の需給関係が逼迫しておるということもありますし、業績のもう底入れ感というものが一般にあるというようなこと、いろいろな要素が背景となって、この健全化に努力すればするほど、監督をよくすればするほど、なかなかこれが、株式が別に下がるわけではなくて、徐々に上がっていく。で、この傾向は、これは警戒すべき傾向であるのか、そうでない一つの方向であるかということについての考えは、非常にむずかしいことでございまして、私ども、はたしてこのいまの株価の水準というようなものが、これは昔の考えから見ましたら非常に行き過ぎだというように思いますが、そうじゃなくて、新しい経済のもとにおいて、この形はどういう意味であるかという問題の検討もいまいたしておりますが、いずれにしましても、そう不健全な要素というものがいまの取引の中に見られていないということは確かでございますので、これはいま言いましたように、十分気をつけながら善処する以外にしかたがないんじゃないかというふうに思っております。
  133. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  134. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記起こして。
  135. 渡辺武

    ○渡辺武君 法案質疑にちょっと先立ちまして、会期末のことでもありますので、大臣に、二、三点伺っておきたいと思います。  先日の委員会で、福岡子ども劇場に対する入場税の課税の問題について総理大臣に質問いたしました。大蔵大臣も同席しておられますので詳しい内容は御承知のことと思います。その際、福岡子ども劇場のような社会教育団体に対しては、入場税法第九条二項の学校教育の場合と同様に非課税措置にすべきではないかという私の質問に対して、総理大臣は十分に考慮するという趣旨の御答弁をしておられます。さらに、質問が終わってからまた特別発言を求められて、決してその場限りの答弁ではない、真剣に検討するという趣旨のことも言っておられます。委員会が終わって私廊下へ出ましたら総理大臣に呼びとめられました。そのときに総理大臣がおっしゃるには、決して機械的なことはしない、十分考慮するから安心してほしいという趣旨のことも重ねて言っておられたわけであります。そのとき、時間がなくて大蔵大臣の御見解は伺うことができませんでしたので、この席で、あらためてこの問題についての大蔵大臣の御見解を伺いたいと思います。
  136. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私は答弁しませんでしたが、隣にいて、総理の答弁は相談して答弁したことでございますので……。そのとき総理と相談しましたのはこういうことでございます。小学校の先生が児童を引率していくときの映画というようなものについては入場税は取らぬというところまでいっておると。で、そうしますというと、いままで、いろいろ芸術性の高いものとか、そういうようなものについては、やはり入場税を免除しろというような要望がございましたが、これは過去にそういう減税をしたこともございますが、何が教育映画であり、何が芸術性の高い劇であるかというようなものの認定といいますか、これが税務署の判定にかかるわけですから、常に末端において問題を起こしがちで、一ぺんやったことが、またもとへ戻ったというようないきさつもございますので、なかなか、非常にむずかしい問題として今日までそのままにきましたが、いま渡辺さんおっしゃられるようなものは、すでに市においてこれは教育的にいいものであるという断定をして補助も出しているというようなもので、それを、先生でなくて父兄が引率していくというような場合と、先生の引率の場合とどう区別ができるかというようなことを考えますと、これはある程度考えなきゃならぬじゃないかということで、ひとつこれは検討させていただきたい、という答弁をあのとき総理はした次第でございますが、私もそれと同じように、これ少し考えさしていただきたい。検討したいと思います。
  137. 渡辺武

    ○渡辺武君 関連して、その問題でもう一点伺いたいと思うんです。  この前の委員会でも申しましたけれども、この団体はいままで全然税金を払っていなかったわけじゃないですね。入場税を払ってきておるんです。しかも、国税局と十分話し合って国税局の了承のもとに自主申告という形で自分で計算をして納税しておったと。ところが、いままでそれで済んでおったと思っておったところが、最近になってから、向こう五カ年間負担の重くなる分——約二百八十万円という、おおまかな計算ですけれども、その分だけのものを増徴する、更正決定をするということをいってきたそうであります。この前の委員会が終わったあとで、戸田委員の御努力で、国税庁長官にもおかあさん方お目にかかってよく事情も御説明されました。その際、国税庁長官のお返事では、双方相互信頼の上に立って紳士的な態度で実情を少し調べさしていただきたい、帳簿なども見せていただいてその上で実情に合ったように考えたいという御趣旨のお答えがあったわけです。私はそのように国税庁長官が考えてくださることは非常な前進だと思いますけれども、同時にいま大臣がおっしゃったように、このような団体、子供を教育するために演劇その他を見せている、こういうようなところに入場税がかかるということそれ自体が検討に値する問題でありますので、したがって、過去納めた税金もいまあらためて更正決定云々というようなことを持ちだすのではなくして、もう納めたもので済ますというところで考えていただけないだろうかというふうに思いますけれども、その点どうでしょうか。
  138. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) これは私の考えですが、問題は別であって、いままでは無税ではなかったのですから、それに対する税は、いま言いましたように、実情によって適当にこれは考えるということにしましても、問題は今後の問題だろうと思いますので、その問題については、別の問題として私は考えたいと、さっきお答えしたのでございますが、いまそういう現に更正決定という問題が起こっておるとしますと、それはまたその問題として処理をするのが適当じゃないかと、こういうふうに考えるわけでございます。
  139. 渡辺武

    ○渡辺武君 国税庁長官がお見えになっていないので、お見えになってからこの問題はもうちょっと伺いたいと思いますが、なお関連しまして、先ほど大臣が、文化、芸術性の高いもの、これについて非課税にしろという要求があったがというおことばがありましたが、私はこの点も非常に重要なことだと思うんですね。それで、やはりいま福岡子ども劇場などという社会教育団体にまで従来課税していたというような、だれが見ても首をかしげざるを得ないような事態が起きるというのも、入場税という税制が全く悪税制だというところからきているんじゃないかと思うんですね。私が申し上げるまでもなく、これは戦争中に総力戦思想に基づいて戦費調達ということで、いわばぜいたくは敵だという当時の宣伝のもとで、文化、芸術活動を、いわばパチンコやあるいはまたバーのホステスのサービスなどと同じようにみなして、そして課税をするということから制定されたものだと思うんです。ですから、この入場税が、最近日本フィルハーモニーなどが破産をしましたような、ああいうような事態で、音楽団体やあるいはまた演芸をやっている人たちに非常に大きな重圧になっているということだけではなくして、それも非常に重要ですが、同時に税制としても、矛盾撞着に私は満ちていると思うんですね。申し上げるまでもなく、展覧会場で、ゴッホの絵を見に行った場合には入場税はかからない、ところが、音楽家がベートーベンを演奏した、この場合には入場税がかかる。一体ゴッホの絵を鑑賞するのと、ベートーベンの音楽を鑑賞するのとどういう差があるのか、これは芸術家どなたも不審に思っておる、そういう矛盾が出てくるんですね。あるいはまた、国立劇場で歌舞伎をやった場合には税金はかからないけれども、同じ歌舞伎を別のところでやったら税金がかかる、こういうことになっている。最近では東京と大阪の歌舞伎座でやった場合は無税だということになりましたけれども、しかし、その場合でもやはり矛盾は残っておる。たとえば伝統歌舞伎保存会ですか、これのメンバーが出場する場合はこれは無税だということになっておる。で、同じように演劇の技能の高い人でも、この会に入っていなければ税金がかかる、これは全く矛盾していると思う。しかも、こういう区別をすることは、一体何を意味するかといえば、失礼ですけれども、大蔵官僚が文化、芸術について一定の介入をし、判断をして、これは非課税だ、これは課税だというようになるのではないでしょうか。私はこういうことをやっていることの矛盾撞着から免かれるために、あるいはまたいまの日本の文化、芸術を圧迫するおもしを取り除くという意味からも、ひとつ勇断を持ってこの入場税というものは撤廃してほしいというふうに思いますけれども大臣どうでしょうか。
  140. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 入場税は入場税だけの問題としていまなかなか解決することはできません。サービスの商品についての課税というものは、同じようなものがいまたくさんございますので、入場税の無税ということで考えるためには、同じような種類の幾つかの問題を全部一緒にこれは検討しないというと結論が出ないということになりますので、これは個々の問題としてはちょっと取り扱えないというところにむずかしさがありますので、これはやはり全体としてもう一ぺん検討すべき問題ではないかというふうにいまいろいろ考えておるところであります。
  141. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  142. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。
  143. 渡辺武

    ○渡辺武君 それではこの問題についてはあと一問だけ伺って、法案質疑に移りたいと思いますけれども、いま大臣のおっしゃった他のサービス税との関連という問題、そのこと自身が私はやはり戦時中の思想のなごりではないかというふうに思うんですよ。たとえば他のサービス関係の税金といえば、私先ほどちょっと申しましたパチンコなどにかかる娯楽施設利用税あるいはバーのホステスのサービスなど、これなどはいま問題になっている料理飲食税、こういうようなものと、音楽や芸術や演劇などというような芸術活動の入場にかかる入場税、これと同一レベルで考えて、税のバランスを考えるというそういう考え方、これは戦時中のぜいたくは敵だという、あんな踊りを踊ったり演劇をやったりするのはぜいたくなんだという思想と全く同じ根拠に立っている問題ではないかというふうに思うんです。ですから、課税技術という問題ではなくして、その点もよくひとつ考えていただいて、こういうものは非常に有害なものですよ、ただ単に単純なサービスというものではないんですよ。ですからひとつ勇断を持って、重ねてこの悪税である入場税、これを撤廃してほしいと思うので、重ねて御意見を伺いたいと思います。
  144. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私は、他のものと入場税の性格が全く違うというものではないと思います。やはり税理論からでは同じようなものでございますので、これは他の関連する同種のものと一体として、これは全体を検討するのがやはり一番適切だと思いますのでそうしたいと思います。
  145. 渡辺武

    ○渡辺武君 アジア開銀について少し伺いますが、その前に、大臣はいまそういう方向で検討するとおっしゃいましたが、それは撤廃の方向で検討するという趣旨ですか、それも御答弁に織り込んでお答えいただきたいと思います。  それからアジア開銀でありますが、この前幾つかの点を伺いまして、若干まだそれらの点についてこまかい点を伺わなければならぬことが残っておりますが、アジア開銀の総務会、理事会、これの選び方、それから現在の構成国、これはどういうことになっておりますか、お答えいただきたい。
  146. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) アジア開銀の総務会は、いわゆる俗なことばで申しますと株主総会でございまして、加盟国各国から、主として大蔵大臣である場合が多うございますが、総務と会合をするのが総務会でございます。それから理事会のほうは、たしか現在十二名であったと存じますが、いわば執行機関でございまして、各国代表が出ております。それの中で、単独の国で一人の理事を出しておりますのが、日本とアメリカとインドでございます。その他の国はグループでまとまりまして代表としての理事を出しておるわけでございます。
  147. 渡辺武

    ○渡辺武君 大臣、いまの撤廃の方向で検討せられるかどうか、これ一言だけ。
  148. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) 私は、税理論の上からこれは撤廃しなけりゃならぬものという結論が出るかどうかはなかなかわからないと思いますが、検討はいたしますが、いずれにしましても、たとえばやり方はたくさんあろうと思います。免税点の思い切った引き上げをやって、一般の普通の程度のものなら入場税がないと同じようなことになる方法も考えられますし、さっき渡辺さんから歌舞伎の話が出ましたが、これもいま私は陳情を受けて困っているのですが、どこまで免税にするかというと、ちょうど岡本綺堂あたりまでが古典に入って、そこから先のやつが免税になっていないので、その区別というのは非常にむずかしいことでございますので、そういう技術的にはむずかしい問題を持っている税制でございますので、これがないほうがいいという結論が出るとは限りませんけれども、やはり他との関連で、税理論の上でこれは廃止すべきものではないということだったら、これが実際に迷惑にならないいろんなやり方を考えるという方法もございましょうし、いずれにしましても、他の同種のものと一緒に全体的に検討したいと思います。
  149. 渡辺武

    ○渡辺武君 それではアジア開銀に専念いたしましょう。  そうすると、いま伺いますと、アジア開銀のいわば中枢機構ともいうべき理事会、総務会、ここにアメリカと並んで日本が一国として代表者を送っている。しかもその総裁は、これは私と同じ同姓同名の渡辺武だと、こういうようなことで、やはり日本の果たす役割りというのはかなり大きいのですね。しかも、アメリカと一体となって日本が非常に大きな役割りを果たしているこの点について、私やはりアジア開銀がその融資をどういうところに向けられているかという問題、あるいは融資の性格は一体何かというような点を深く分析してみる必要があるんじゃないかという気がするのです。この前もちょっと伺いましたけれども、アジア開銀の融資ですね、通常資金とそれから特別基金と、この両方合計した分でよろしゅうございますが、台湾と韓国、それから南ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、これらの国にそれぞれ何%ずつの融資が向けられているか、これを教えていただきたいと思います。
  150. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 通常資金と特別基金を合わせまして、件数と金額につきましてパーセントを申し上げますと、韓国が件数で一三・八%、金額で二〇・八%でございます。台湾が件数で同じく一三・八%金額で一五・七%でございます。それから南ベトナムはこれはわずか件数は二件でございますから、全体の件数は八十七件でございますから、大体二・何%かというところだと思います。金額では〇・八%でございます。それからラオスが金額で〇・七%、件教は八十七件中二件でございます。カンボジアは件数で一件、金額で申しますと全体の〇・三%ということでございます。タイは四件でございます。金額で八・一%でございます。
  151. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、台湾と韓国だけで合計して三六・五%。それに南ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、これらはインドシナ半島の四カ国。これは一つ一つをとって見れば比重は非常に小さいけれども、しかし、四カ国を合わせてみると約一〇%に近い融資がそれに振り向けられている、こういうことになろうかと思うのです。そうしますと、全体として五〇%近い四六、七%が、こういう、一言で言えば、アメリカのかいらい政府、反共かいらい政府のあるところ、そこに向けられておるというふうに言って差しつかえないと思うのですね。そうしますと、アジア開発銀行の融資というものの性格、これが非常に政治的、軍事的な意味を持った融資ではないかという疑問は当然生まれてまいります。しかも、この前の御答弁ですと、いろいろその融資の条件を検討した結果、アジア開銀融資に適切な開発計画その他があったので、したがって、そういうところに融資が振り向けられたのだというふうなことをおっしゃるけれども、しかしこれは、金があるという立場に立ってみても、非常におかしいですよ。なぜかといえば、南ベトナムにしたってラオス、カンボジア、タイにしても、あるいは台湾は、この前ほかの委員からもいろいろ御質問ありました台湾、韓国、いつこれは崩壊するかわからぬようなそういう不安定きわまりない政権なんです。そういうところへ通常資金の半分近くが向けられている、これは普通の金貸しの常識としてもちょっと理解のできないことじゃないかというふうに思うのですね。そこでこれらの国に、どういう国のどういうプロジェクトに融資が向けられているのか、おもなやつだけでけっこうですけれどもおっしゃっていただきたい。
  152. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 台湾と韓国につきましては、非常にたくさんございますので、金額の大きい一件十万ドル以上について申し上げますと、台湾でございますが、これはポリエステル製造の、中間物だそうでございますが、製造工場のものです。それから深海漁業開発、マグロ船の建造、それからタイペイ−ヤンメイ間の高速道路の建設、送配電施設改良拡張の工事と、それから先ほど申しましたタイペイ−ヤンメイ間の高速道路インターチェンジの建設、それから同じく台湾電力公社の送配電施設の改良拡張というようなところでございます。  それから韓国について申しますと、大きいところでは、カプロラクタムの製造工場の建設、ナイロンの原料でございます。それから中小企業開発資金の融資が多うございます。それから送配電施設建設、多目的ダム建設等がございます。  それからタイでございますが、これはやはりタイ企業、おそらくタイのいろんな中小企業その他であろうと存じますが、そういうところに転貸資金を産業金融公社に貸すというのがございます。それから送配電施設の拡充、タイ電力公社及び首都の電力管理局ということになっております。  カンボジアは、プノンペンの高圧送配電計画。これは金額はわずかで百六十七万ドルでございます。  それからラオス。これが二件ございまして、タゴンの農業開発、それからビエンチャンの送配電施設計画。  南ベトナムは、これも二件、二百五十万ドルずつでございますが、漁船の機械化及び冷凍製氷設備の建造、それからビンディンのかんがい計画ということでございます。
  153. 渡辺武

    ○渡辺武君 これらのプロジェクトの内容については、なお少し時間をとって伺いたいことがいろいろあるのですけれども、きょうは時間もないのですが、少なくともこういった点は言えると思うのですね。これらのいまずっと伺ったこの投資対象、これは本来ならばそれぞれの国の政府が、それぞれの国の経済的政治的な必要からやらなきゃならぬことだと見て差しつかえないですね。特に電力施設あるいはまた水利施設というようなものは、これはそれぞれの国の政府が、特に経済的な重要性を置いてやらなきゃならぬ問題だろうというふうに見られるわけですね。ところがこういうふうに、本来それぞれの国の政府がやるべきものが、これがアジア銀行の融資という形で、いわばアジア銀行の金があそこに肩がわりしてやっているという形になると、それぞれの国の政府の税収額の中で別に振り向けられる分が出てくる可能性は出てくるのですね。これらの国の財政状態、これは私詳しい資料をとって見てみましたけれども、ほとんど大幅な赤字ですね、年々の赤字。しかも、その赤字がどこから出てくるかと言えば、その全部と言っていいぐらい軍事費ですよ。ですから、プロジェクトの対象は一見平和的なように見えるけれども、しかし、このアジア開銀の融資、これによって援助を受けているそれぞれの国の政府、これが反共かいらい政府の特質としてまことに軍事的な性格を持っている。その軍事的性格を維持するために、いわば間接的に役立っているというふうに言わざるを得ないのですが、その点はどう思われますか。
  154. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) これは、そのアジア開発銀行のこの設立の趣旨からいたしまして、元来その国の政治形態とか、あるいは社会形態というようなことによって区別をするというようなことはむろんしていないわけでございます。またこの開発にいたしましても、軍事的目的とかそういうものではなくて、全く経済の開発、民生の安定というようなことに純粋に——まあ民生の安定を通じて経済の開発に資するという、経済開発を目的にしておるということは、協定上も明らかでございます。これはアジア開銀に限らず、その他の国際的な機関についても同様でございますが、そういう意味で、間接的にその国の財政を助けて、軍事支出を容易にしているのではないかという御指摘の点はあるいはあろうかと存じますが、これは何もアジ銀の性格とは直接の関係のないことではなかろうかというふうに考えております。
  155. 渡辺武

    ○渡辺武君 日本がアメリカとの間で日米軍事同盟を結んで、このアジア開銀につきましても、日米共同声明その他にうたわれておりますように、日本がアジア諸国に援助を拡大するという政策の一環として、アジア開銀の融資というものが行なわれているということは、これは隠れもない事実だと思うのです。そうして日米安保条約軍事同盟体制のもとでは、これはアメリカのアジア侵略を補完するものにならざるを得ないということもまた当然だと思うのですね。特にいま申しましたように、それはアジア開銀は確かに目的の中で、経済開発というようなことを盛んにうたっていて、別に軍事的なことをやるというようなことはいっていない。いっていないけれども、全体の連関の中では、そういう反共かいらい政府に融資が集中するという、その事実から生み出されるものは、これら反共かいらい政府に対する経済的な援助、したがって、また軍事的、反共的な性格を帯びざるを得ないということにこれは当然なってくるわけですね。  それで話をもうちょっと具体化するために伺いたいのですけれども、アジア開銀が韓国、台湾あるいはまたラオスやカンボジアなどの国に融資をする場合、その通貨はどういう通貨を使うわけでしょうか。また、ついでに時間がないのでもう一つ伺いますけれども、たとえば発電施設などに融資する場合、当然これはよそからその発電設備を買ってこなければならぬわけだが、その輸入資金だけが融資されるのか、あるいはそこの国の労働者を雇うという資金も融資されるのか、その辺ちょっと伺いたい。
  156. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまのところは、アジ銀の融資は、原則といたしまして必要な外貨を貸すという形になっております。と申しますのは、つまり輸入のための資金を貸すということでございまして、その通貨別でございますが、これはアジ銀は各国からいろいろな資金が出ているわけでございますが、したがいまして、たとえば設備が日本から出るということになれば、円で決済がつく、円で決済される、円が貸される、こういうことになろうと存じます。
  157. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がきたようですから、締めくくり的にちょっと一、二点だけ質問したいと思いますけれども、輸入資金として使われるのが主だというふうにおっしゃいました。ところで、これはもういろいろな面からいって、それぞれの反共かいらい政府にとって、いわば軍事的に非常に有利だというふうにいって私は差しつかえないと思います。  まず第一点は、これらの国の政府の財政収入の基盤、これを見てみますと、関税収入というのが非常に大きな比重を占めておる。これは日本などの比ではないのです。それは概略他国から援助を受けて、そしてその援助によって輸入した物資に対して関税をかけて、それが国税収入の大きな割合を占めるという仕組みになっていますね。したがって、額の多い少ないということはありますけれども、しかし、アジ銀の融資が、これが他国からの輸入物資のために使われるということになれば、これはやはり関税収入の基礎にもなるし、そしてまた軍事政権の軍事費をささえる基礎にも一応はなっていると、こういうことにもなろうかと思います。同時にもう一つ、他の半面からいえば、これらの国はもう外貨不足というものは著しい。したがって、この外貨不足を穴埋めするために、世界銀行なり、あるいはまたアジア開銀なり、その他の国からいろいろな援助融資を受けて、そうしてその外貨不足を埋めて、外国から必要な物資を輸入するという仕組みをとっておる。そうしてそのことが、この反共かいらい政府をささえる重要なてこになっていることは言うまでもない。アジア開銀の融資というのが、なるほど形は平和的だけれども、その一環として使われているということ、これまた明らかなことです。ですから、そういう意味で、アジア開銀は、それは表向きは平和的な性格ということをうたっておりますけれども、しかし、現在の日米安全保障条約のもとで、そうしてまたアメリカのアジア侵略政策のもとでは、これは必然的にこのアメリカと日本の大資本のアジア侵略のための金融機構として役立たざるを得ないし、また現に役立っているんじゃないかというふうに思います。最後にその点どう思われるか伺って質問を終わっておきます。
  158. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ただいまの点は、まあそのお考え方の問題であろうと存じますが、われわれといたしましては、そういうアジア開銀は決して一つの軍事的な、間接的にでもそういう目的の機関であるというふうには全く考えておりません。  それから先ほどの御指摘の中で、関税収入のことを申されたわけでございますが、これは特定の国のことは別として、一般論として申しますと、発展途上国は開発段階が低ければ低いほど、直接税というものは実は徴収するための経済基盤なり能力がございませんから、必然的に関税収入というのが大きな税収の基礎をなすというのが一般原則であろうかと存じまするが、そういう点もあるいはあろうかと存じます。
  159. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 アジア開発銀行と、たばこ耕作組合の問題について二、三お伺いをいたします。  これまでの議論と幾分重複する面があろうかと思いますけれども、まずお伺いしたいのは、通常資金の増資ということなんですが、通常資金と特別基金の関係というものを考えますと、まああたかも世銀と第二世銀の関係のように思えますし、通常資金の融資先という面では、いまも御議論がありましたように、中華民国、韓国、タイ向けの融資がたいへん目立っております。その意味で、今回の増資というのは、これら三国向けの融資と実際上見合っていくんだ、その融資の増大と見合っていくんだという気もするんですが、そういうことかどうかまずお伺いいたします。
  160. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) ちょっと御質問の御趣旨が十分把握できておりませんので、あるいはとんちんかんな御答弁になるかと存じますが、今回の増資の規模は、特定の国のこの需要というものと特に見合っておるということよりも、全体としての融資規模を考えまして、まあ従来この約十億ドルの授権資本があるわけでございますが、そのうちで実際に使います分、これは交換可能性のない資金で払い込んでおります国がございますために、実際には七億強というものが、まあ使える資金である。当面使える資金である。それに対しまして、融資の承諾が大体昨年末で約五億三千万ドルぐらい。そういたしますと、この融資の規模が大体年々次第にふえてまいっておりまして、昨年、一昨年ではほぼ二億ドルをこえるという規模になっております。したがいまして、七億の金額でございますと、大体このことし一ぱいで使い切ってしまうということのために、その後の来年以降の融資承諾のための資金といたしまして、まあ大体年に二億五、六千万ドルという融資承諾を考えまして計算をされた額でございまして、特定の国にこのくらいの金額を、このくらいの需要があるからといって積み上げていった計算では別にないようでございます。
  161. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 四十六年度の国別融資実績がございますけれども、通常資金について今後増資によって融資ワクが拡大するとすると、特定の国に対してという配意はもちろんないにしても、結果として従来と同じような比重で融資がされていく、増大をしていく、大体そういう見通しだと考えてよろしいでしょうか。
  162. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 今年度につきましては、アジ銀のほうといたしましては、先ほども申し上げましたように、特定の国に特に集中をするという、あるいは特定の国がある程度のワクを持って、そのくらいはその国には振り向けようという方針をとっているわけでは全くございませんで、国によってプロジェクトの融資適格のものが出てきて、それをいろいろと審査した結果、融資適当だということになって成立してくるわけでございますから、したがいまして、実際上は先ほど申しましたように、方針としては特定の国に集中しないように、小さい、小さいと言っては語弊があるかもしれませんが、小さい国に対してもまんべんなく融資が均てんするようにというのが、アジ銀の方針でございます。たまたま、現在までのところは、わりに融資適格のものが韓国と台湾というところに特にあったということで、結果としては出ております。ことしにつきましてどうなるか、まだ必ずしもはっきりいたしませんが、こういう傾向は次第に直していきたいとうのが、アジ銀の方針であるというふうに承知をいたしております。
  163. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 重ねてお伺いするようですけれども、通常資金と特別基金というのは、金利の問題を含めて条件が違うという御説明がございました。そこで通常資金のほうが金利が相対的に高い、それを借り入れても、なおかつその資金を生かしていくことができる国ということになりますと、いまお話しのように、小さい国を含めてまんべんなく差別をしないでとおっしゃっても、結果としてはやはり出てくるという意味で、従来、通常資金貸し出し対象を、金額を見ると、結果として片寄りというのがありますし、その片寄りというのは、やはり今後とも相当期間続いていかざるを得ない。なぜなれば、それは貸し出す側の気持ちの問題ではなくて、貸し出す先の経済力の問題として差がついてくると思うのですが、それはそういうことでしょうか。
  164. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御指摘の点は、そういうことでございましたならば、ある程度、ちょうどまあ世銀とIDAとの関係などのように、域内国でも特定の国は、通常資金よりも特別基金を出すというのが適当だという国も多いわけでございますから、したがって、そういうところはすでにこの実績でも出ておりますように、特別基金、中華民国とか韓国につきましては特別基金はゼロでございます。ちょうど、まあ逆のほうもあるわけでございます。特別基金だけという国もあるわけでございますから、そういう国は今後ともやはり重点は特別基金のほうということになろうかと存じます。
  165. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこでひとつお伺いしたいのは、アジア開発銀行一つ性格というのは、国が加盟単位であるということ。それから国の信用というものが融資の担保になっていると申しますか、国の信用が融資をささえている。そういった面まで考えると、中華民国というのは、その意味で国であるのかどうか。この点についてはいまどういう考え方で整理をされているんでしょうか。
  166. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) アジ銀の融資の対象になるのは、確かに国が単位でございます。現在アジ銀において、国民政府が、いわゆる中華民国政府が中国を代表して入っておるわけでございます。その意味で、中国に対する融資というのは、具体的には相手の政府をとりますれば、アジ銀におきましては中華民国政府ということになるわけでございます。
  167. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 中華民国政府と、中国というのを分けて御説明でございましたが、その中国というのは、大陸と台湾を合わせたものという理解でしょうか。
  168. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) われわれの考え方から申しますれば、中国は一つである。その中国を代表する政府は、アジ銀においては中華民国政府であるということでございます。
  169. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 その問題が実はかねがねいろいろ議論にもなり、アジア開発銀行の、言うなれば悩みの種にもなってきたということだと思うんですが、まあ中華人民共和国が国連の代表権を得、国連の関連諸機関で、従来の中華民国政府にかわってその座を占めつつあるわけですけれども、その変化というのは、今後とも当然のこととして進んでいくと想定せざるを得ないと思います。それとこれのかね合いはどうかということなんですけれども、たとえば今度増資をするということになりますと、いま言われた中華民国政府を窓口とした中国が払い込み義務を負うことになりますが、その払い込みというのは二〇%ずつ五回払い。これを非常に単純に受け取りますと、今後五年間は中国を中華民国政府が代表するという関係は変わらない。ここだけを見ると、そう見えてしまうと思うんですが、この点についてはどうお考えですか。
  170. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) その点におきましては御指摘のとおりだと思います。
  171. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 重ねて。  増資の払い込みの場合に、五〇%は自国通貨でやる。その場合は中華民国政府の通貨ということに当然のこととしてなると思います。それが、アジア開発銀行の資産に計上されてくるわけですが、そういう関係について、アジア開発銀行として、将来中華民国政府と中華人民共和国政府との関係が動いてくると、アジア開発銀行とすると、いやでもその問題に直面せざるを得ない。で、現在は中国側の申し出を待っているというお話しのようですけれども、実は、中国側の申し出を待っているじゃなくて、この問題についての中華人民共和国政府の言い分というのは、きわめて明確に外に出されていると思うんです。その言い分はどういうことかというと、中華民国政府というのは、われわれは認めていないんだということですから、中華民国政府を窓口にした取引については一切の責任なしという態度を明らかにしている。これは間違いないことだと思います。にもかかわらず、今後五年間にわたっての増資契約は、これは中華民国政府が窓口という上に立たざるを得ない。五〇%自国通貨払い込みにしても、中華民国政府の通貨によらざるを得ない。そこでいまアジ銀として必要なことは、中華人民共和国政府との関係をいま以上におかしくしない配慮だけはすべきではないかと思うんですが、この点についてはいかがでしょう。
  172. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 御指摘の点が必ずしも十分あれでございますが、この中華民国、いまアジ銀に関しまする限りは、国連と異なりまして、中国の代表は中華民国であるわけでございます。その意味で、この現状が続く限りは、中華民国がこの払い込みをし、中華民国の自国通貨による払い込みが行なわれるということには問題がないわけでございます。そういうことをすでに前提とした上で、まあこの中華民国政府が増資の割り当てを受けて、現実にそれを引き受けるかどうかということは、これはまた別の問題であろうと存じますけれども、アジ銀全体としてのあれからいたしますと、現在中華民国が代表しております限りは、中華民国政府が払い込みをし、中華民国の通貨でその一部の払い込みが行なわれるということについては、特に問題がないんではなかろうかと思います。
  173. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 質問重ねますと、中華民国政府が、中華人民共和国政府にかわるという事態の場合には、権利義務の承継という問題が出てくるであろう。これは先日お答えがございました。そのときに、私の言いたいのは、中華人民共和国政府は、その権利義務は承継しないといっているということです。いや、いままで対外的に主張していることは、中華民国政府の権利義務は承継しないと言っているのではないか、そういう御理解に立ってはおりませんかということなんです。
  174. 大和田渉

    政府委員(大和田渉君) 具体的に中華人民共和国政府が、国民政府の権利義務を承継しないというふうにいっている点は、私実は承知しておりません。逆に中華人民共和国政府がいっておりますのは、台湾は自分の一部である、自分の国の一部であるという意味では、理論的には自分の国の一部のものが負った権利義務というのは、当然承継すべきではないかというふうに考えられます。
  175. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 台湾について、例の三原則とかいうことで、日華平和条約あるいは日台条約は廃棄すべきであるという議論がよくされますし、中国側からそういった主張がされているということがいわれます。ところで、日華平和条約は廃棄すべきであるという中国側の原文がどう書いてあるのかという検討はそれまでされてきたかどうか。なぞをかけぬ形で申しますと、中国側は廃棄という原文は一カ所も使っていない。どういうことばを使っているかというと、廃除ということばを使っております。廃除というのは、これは御案内のように、法定相続人の申請に基づいた裁判所が、推定相続人の地位、身分を取り上げるということを廃除という。ですから、この部分の中国側の原文を申し上げますと、日本と蒋介石の間で結んだ条約は廃除する必要がある、こういういい方になっているのです。廃棄すべきであるとは、実は中国側の原文にはどこにも書いてございません。その意味はどういうことになるかというと、中国を代表する資格というのは、清国から中華民国政府に渡り、中華民国政府から今日の中華人民共和国に渡ってきた。この関係は、中華人民共和国政府の人たちは毛頭否定はしておりません。ただ問題は、いつ渡ったのかということだと思います。それで、この廃除ということでいっているのは、中華人民共和国成立以降は、代表する資格は中華人民共和国政府に移ったのだから、以降蒋介石が結んだ条約関係については一切責めは負わない、これが再々繰り返していってきたことだと思うのです。それはあなたの言い分だから聞かないよという立場は御自由ですけれども、ただ、そういっているのだということと、いずれアジア開発銀行は、中華民国政府と中華人民共和国政府との権利義務の承継という問題にぶち当たる。相続されたときに、いまそういっているということは無視できない条件ではないか。その意味で、これは日本の問題ではなく、ほんとうはアジア開発銀行の問題になるのかもしれませんけれども、増資という形で中華民国政府と新しい権利義務関係を立てるということは、ほんとうは回避すべきではなかったかという気がしてならないものですから、このように申し上げました。  時間がありませんから、この点についていかがかということはお伺いいたしませんけれども、ただ一つだけお伺いしたいのは、当然アジアの開発ということに対して資金が必要だということはよくわかります。しかも、あわせてそれは中華人民共和国と中華民国との間の複雑な関係からはなるべく遠のいていたい、そのほうが結局中国との関係の改善に役立つ。そうなりますというと、通常資金の増資ではなくて、特別基金の増額という形で切り抜けたほうがほんとうはよかったのではないか。その点についての御見解を伺いたいと思います。
  176. 稲村光一

    政府委員(稲村光一君) 通常資金の増資に関しましてのアジ銀における議論、これが増資を検討せよという決議が総務会で行なわれましたのが、昨年の四月の総務会でございます。それに基づきまして十月の十四日でございましたか、理事会が増資案を決定をいたしたわけでございます。それの途中におきまして、この通常資金の増資と特別基金による資金の充実といいますか、その両方につきましていろいろと議論が行なわれたわけでございます。これは、先生指摘のような、中国の問題とは別に、純粋に経済的な面でいろいろと両方関連をさすべきではないか。あるいは通常資金——おそらく通常資金の増資をやらないで、特別基金だけという議論はなかったかと存じますが、通常資金だけではなくて、特別基金も同じように、一種の拠出を義務づけると申しますか、先進国に対して、ある程度のワクなりスケールでもって特別基金の拠出も義務づけるべきではないかというような議論が、これは発展途上国側の加盟国から出されたわけでございます。そういう点につきましては、実はやはり今回の増資は、そういう特別基金の問題は将来の問題として、一応各加盟国がそれぞれの分に応じて平等に参加する、こういうことで、全体としてのアジ銀の基盤の強化と申しますか、そういう意味で通常資金の増資をまずやるべきだと、こういう結論に相なりました。  それで、特別基金のほうは、先般も申し上げましたが、現在なお、どういう方式で今後その充実をはかっていくかということに関しての議論が活発になされておるわけでございますが、確かに御指摘のような問題からしまして、特別基金のほうでやるべきではなかったかという御議論もあるいは現在としてはあろうかと思いますが、当時のあれといたしましては、むしろ両方の議論が、全然別の角度からではございますが行なわれまして、結局、今回は通常資金の増資ということでいくべきであるというのが、理事会の結論でございました。それが、十月十四日に案ができまして、十一月末まで各国の総務投票に付されました。その間に、十月二十五日に国連のほうのアルバニア決議があったわけでございますけれども、十一月末までの投票期限内で、各国それぞれ賛成投票をするものが多くて、結局増資決議を有効とする結果が成立いたしたわけでございます。
  177. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 アジア開発銀行としておきめになったことですから、日本としてとかくのことを言う筋合いのものではほんとうはないのかもしれませんけれども、総裁も日本から出ておりますし、それをささえている有力な国であるという意味では、日本が一番目立つ。したがって、日本の意図も入った政策行動であろうと外から見られても実はやむを得ない。しかも、相手は、非常に複雑な問題をかかえている。それだけに、誤解を与えないような配慮というものは、私は必要な気がします。  そこで、これはお答え求めませんけれどもアジア開発銀行の総裁を日本から出したほうがほんとうにいいのかどうかということも、一つ考えてみるべきではないのか。特に、日本と中国の関係というのは、終戦処理一つ終わっていない。しかも、その相手方政府が中華人民共和国政府であることは、これはもう明らかなのでありますから、それとの関係改善という面で、誤解の種は極力そぎながら、結果としてアジアの開発に寄与するということも、当然御配慮のことかもしれませんけれども、重ねていろいろお考えいただきたいことだと存じます。  時間がございませんので、たばこ耕作組合のことで二点ばかりお伺いいたします。  いただいた資料を拝見しましても、耕作人の数がたいへん減ってまいりました。そこで、今後ともこれは減っていくのかどうか、その見通しを、これは簡単でけっこうです、ひとつ教えていただきたいと思います。
  178. 稲川徹

    説明員(稲川徹君) 御承知のように、農業全般の流動化の中で、やはりたばこ耕作農業も、程度の差はございましょうけれども、同じような傾向をたどっているであろうというふうに考えております。
  179. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 たばこ耕作というのは、これは専売局との特殊な関係にございまして、耕作について年々厳格な管理がされている。その意味で、これまでずっと減ってまいりましたという過程については、実はなぜそんなに減ってきたのかについて、御担当としての分析検討もそれぞれされてきたはずですし、また対策も当然打たれてきたかもしれない。それが、今後ともやっぱり傾向として減っていくかもしれないということになると、それを当然の傾向として、今後国としては対策を打っていかなければいけないということになるのでしょうか。
  180. 稲川徹

    説明員(稲川徹君) 先生よく御承知のように、いまの葉たばこ生産事業というのは、いろいろな問題をかかえております。それに対して私どもは、打たなければならない手がやはりたくさんあると思います。しかし、葉たばこ産業が全体の農業の中で育っていくという意味では、さっき申し上げたような、日本の農業全体がたどる道から完全に隔離するというわけにはいかないだろうという意味でお答えを申し上げたわけでありますが、いまかかえておる問題については、今後さまざまな手が打たれて、より発展的な形になっていかなければいけないとは思っております。
  181. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは知らないでお伺いするのですけれども、専売法を見ますと、たばこ耕作人の新規参入ということについては——新しい人が耕作人に参加するという場合には、いろいろ条件がついています。経験があるとかないとか、従来の成績はどうであって云々、そういう新規加入者の専売法上の制限というのが、これまでたばこ耕作人に対して、新規参入の阻害になってきた。というのは、たばこ耕作人そのものが、どんどん、いろんなおっしゃった条件で減ってくる。新しく入る人は、専売法のいろいろな制限があってなかなか入ってこれない、こういう面はなかったでしょうか。
  182. 稲川徹

    説明員(稲川徹君) 全くなかったと申し上げてはやや誤りになるかと思います。と申しますのは、私ども最近特に気をつかっておりますのは、たいへんたばこ耕作が規模が零細で、技術レベルも低かった時代以後ずっと続けてやってきている制度でございます。したがいまして、耕作をやっている人たちのレベルが上がるに従って、私どもの現実の対処のしかたというのは当然に変わっていかなければいけないのだと思います。そういう点で、いろいろな専売法上の規制が、新しく入ってくるべき耕作者に、知らず知らずのうちに阻害になっておるという点があったのではないかという反省がございます。したがいまして、そういう点につきましては、現在、こまかく洗って、少なくとも実際の運営上に支障を来たさないように配慮をしてまいりたいと、こう考えております。
  183. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いま申し上げたように、耕作は、厳重な管理下に置かれて、毎年生産がされ収納がされているわけですが、そういう面では、当局のたばこの生産に対する設計図の引き方というものが、全国におけるたばこ耕作面積並びに耕作人の配置ということとやっぱり直接間接にからんでくる、またそういう印象で受け取られることだと思いますが、そういうことと、今回御提案になっている、とにかく現状としてはこれはもうあまりに小さ過ぎて、一つの選挙単位とするには力がないのだ、大体の分布に比して一つの県で幾つかの代議権を与えようじゃないか。そうしますと、私が先ほど申し上げた、耕作そのものが厳格な管理下にあるということを結びつけて考えて、結局これからは、葉たばこの適地生産、そこに踏み切っていくのだ。——そこまで考えてしまうと、それは思い過ごしになりますか。
  184. 稲川徹

    説明員(稲川徹君) 日本の葉たばこ産業をほんとうに安定させるということになりますと、先生がおっしゃるとおりに、非常にずばりと言ってしまえば、適地大型の生産ということに相なるかと思います。一方、私どもは、何十年という長い間専売事業を運営している中で、専売事業の私どもとたいへん深いパートナーとしての耕作者もおります。その人たちを、ただ単に、非常に機械的に、経営の問題あるいは合理化の問題だけですぱっと割り切ってしまえるかどうかということについては、若干疑問があるかと思います。おっしゃるように、小規模の非常に分散した形の地域については、今後通切な指導が要るであろうかというふうに考えております。
  185. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 最後に一点だけお伺いして質問を終わりたいと思うんですけれども、葉たばこということだけを見ますとそれだけのことなんですが、実際に耕作している方々の経営、個人の場合でも経営ということで考えれば、いろいろなこともそのほかにやりながら、収入の一つの道として葉たばこの生産をする。おそらく、こんな位置づけになっている面が多いだろうと思います。片方ではその葉たばこの適地生産ということから考えると、いまも御指摘になったような面での努力ということを進めていかなければいけない。ところが片方では、そのほかの収入との見合いで、どうやって農業経営というものを立てていくかということも考えなければいけない。それが日本の農業のいまかかえているむずかしい問題だと思います。その意味で、これは専売ということで、当然専売法の管轄のもとに葉たばこ等を抜き出して考えてみたわけですけれども、実際の取り組みというのは、全般の農林行政を含めていかにあるべきかということの組み立てになると思うのです。これは従来ともそういう形でなさってきたとは思いますけれども、今回のように葉たばこの適地生産という色合いがどちらかというと感じられる。また耕作人の減少ということによって、あまり批判的ではなくて、万やむを得ずという、天下の流れだというように感じられるだけに、農林行政とのからみを考えながら、これからの葉たばこ耕作者の育成にぜひ取り組んでいただきたいと思いますし、今回の変更というのは、そこまでできるという、いわばワクの広げであって、急速にそこまで変えるということではないと思いますから、慎重な適用をお願いして質問を終わりたいと思います。
  186. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 午後八時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後六時五十分休憩      —————・—————    午後九時十六分開会
  187. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、藤田正明君及び栗原祐幸君が委員辞任され、その補欠として鈴木省吾君及び小林国司君が選任されました。     —————————————
  188. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 休憩前に引き続き、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案通行税法の一部を改正する法律案及び貸金業者自主規制助長に関する法律案、以上四案を便宜一括して議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。——ただいま議題となっております四案中、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案及び貸金業者自主規制助長に関する法律案の三案につきましては、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  189. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより三法案の一括討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  190. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより順次採決に入ります。     —————————————
  191. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 採決に入る前に、委員異動について御報告いたします。  ただいま野上元君、松井誠君及び多田省吾君が委員辞任され、その補欠として小谷守君、神沢浄君及び藤原房雄君が選任されました。     —————————————
  192. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) まず、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  193. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  194. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  195. 柴田栄

    ○柴田栄君 私は、ただいま可決されましたたばこ耕作組合法の一を改正する法律案に対し、自由民主党日本社会党公明党及び民社党の四派共同による附帯決議案を提出いたします。案文を朗読いたします。    たばこ耕作組合法の一部を改正する法律案    に対する附帯決議(案)   政府及び日本専売公社は、本法の施行に当た  り、たばこ耕作組合の民主的運営が確保され、  組合員の総意が適正に反映されるよう配慮すべ  きである。   右決議する。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまの柴田君提出の附帯決議案を議題といたします。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  197. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 全会一致と認めます。よって、柴田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、水田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。水田大蔵大臣。
  198. 水田三喜男

    ○国務大臣(水田三喜男君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
  199. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、貸金業者自主規制助長に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  200. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、ただいま可決されました三法案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  202. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、請願の審査を行ないます。  第三号 個人企業税制に関する請願外百件の請願を一括して議題といただます。  速記とめてください。   〔速記中止〕
  203. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を始めてください。  ただいま御審議願いました百一件のうち、第三号 個人企業税制に関する請願外二八件、第一一〇号 付加価値税創設反対に関する請願外一件、第三三五号 減税に関する請願外二件、第三八三号 付加価値税新設反対等に関する請願外三二件、第一三一八号 付加価値税反対に関する請願、第一四五一号 水産業者に対する税制改正に関する請願、第一五六九号 山田弾薬庫全面平和施設転用に関する請願、第二三一三号 厚生年金保険積立金還元融資及び国民年金特別融資枠の拡大に関する請願外一件、第二六九二号 歩行障害者自動車重量税免除に関する請願、第二七九七号 横浜国立大学(経済学部・教育学部)移転後の跡地利用に関する請願外二件、以上七十六件の請願は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議でございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  204. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  206. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。  租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  207. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  209. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。  租税及び金融等に関する調査のため、閉会中に委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  210. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  211. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後九時二十四分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕      —————・—————