○戸田菊雄君 まあ具体的に内容を申し上げますと、寝た切り老人に対して、大体
政府の
予算説明書でも明らかでありますけれ
ども、六十万人いる。しかし実際は六千三百人しかないのです、老人ホームの収容人員は。今回このホームヘルパー、いわゆる非常勤体制ですね。百六十人の増加しか見ておらないですね、わずかに。寝た切り老人が六十万人おって。そうして六千三百人、今
年度で百六十人しか増加をしない。こういう実態ですよ。それから手当、月額は二万円から三万円に上げました。確かに一万円上げました。さらに、厚生省としては、中央社会福祉審議会の
答申に基づいて、社会保障施設緊急整備五カ年計画、こういうものを立てて特別養護老人ホームなり重度心身障害者、こういう施設を大体十九万一千人くらいまで持っていこう。整備費としては一千八百六十億、保育所等含めて三千五百十億円ですね。こういうことで一定の手当てはなされておりますけれ
ども、内容を見ますと、いまの需要からいって、供給体制というのは全く微々たるものですね。百分の一くらい。ですから、これ自体私は、老人のみならず、
日本の社会保障全体において、諸外国と比較しても具体的に相当おくれていることは、これはもう事実ではっきり出ているわけです。ことに老人について一例を申し上げますれば、そういう
状況になっているわけであります。だからこういう老人対策について、私はもっと
政府は力を入れて対策というものをやっていかなくちゃいけないのじゃないか、
目玉商品と言うならね。やはりこの五カ年計画の中に、さしあたっては寝た切り老人くらいは絶対
政府でも責任を持ってやっていこうじゃないか、あるいは生活保護を
対象として、そういう老人がいるならば、そういうものを手がけてひとつ完ぺきにやっていこうじゃないか、こういうことくらいな意気込みがあって、とのことは初めて国民から歓迎される政治になっていくのじゃないか。残念ながら百分の一ではどうにもならない。それで、その財政
負担も、もっぱら社会福祉
関係の事業というものは、すべてが地方自治団体におろしていくわけですから、そうして事務費だ——やはり施設をつくるにも、たとえばいま厚生省査定の保育所一つ見ても三百万円、その二分の一、百五十万、そういうことになると、東京では、
政府が考えている補助金の体制では、かりに三百万円のものであったら一億円もかかっちゃうのです、用地費や建築資材その他で。その分どこから持ってくるかということになるのです。イコールこれは地方自治体の財政というものを極貧の体制に追いやる。やれっこないのです。そういうものを政策では、口だけではいろんなことを吹聴しているのがいまの
政府の実態じゃないか。内容を検討していくとそういうことになる。あるいは老齢福祉年金ですね。これは三千三百円に上げました。これはわずかな金額ですね。それから障害者年金にしても五千円、若干上げました。それから母子福祉年金にしましても四千三百円、若干上げました。それぞれ若干は増額されたけれ
ども、結果的に六人家族で二十五万です。
所得制限があるのですから。二十五万、これを月で割ってみると、六人家族で月に二万九百円見当で生活をしろということ、生活保護
対象では東京の四人家族で三万八千九百十六円が、今回四万三千三百十四円に上がりました。だからわずかに増額されたことは間違いありません。しかし、この六人家族で
所得制限でくる、いわば生活費の不足というものはだれが見たって歴然たるものと私は思うんです。これではたして
ほんとうに、極貧生活をやっても、あるいは病気になっても何らかまわれないというのがいまの
実情です。
それからこの厚生省の資料、「高齢者の実態」について詳細にいま資料をいただいた。これ見ましても、結局食えないという
状況ですね。たとえば一定の、三十年、四十年つとめてやめる。借金して土地と家をつくってじきやめる。たとえば三十で結婚したとすると、五十五歳ですから長男は二十五歳。大学を出てかろうじて就職をした
程度です。そうすると、とても薄給で一人立ちの生活ができないから金を送らなければならない。あるいは次女の方がいれば、これからお嫁さんにもいかなければならない。一番経費のかかるときですからね。経費のかかるとき。だから老人の就労
状況を考えたってこういうことになる。六十歳以上の就業率で、男の場合は六一%の就業率になっている。これは諸外国なんかで、たとえばイギリスのように一定の社会保障があって、運動のためにひとつ楽しみのために働きに行こうかというようなものとは事、本質的に違う、
日本の場合は。結局再就職して働かなければ、そういう家族を養っていくとか、自分自身の生活が成り立っていかない。六一%です。女の場合で二四・五%ですよ。六十歳から六十四歳までは男は八一・四%、だんだんふえてくる。女が三九・三%。六十五歳以上でやや下回って、男が五〇・三%、それでも半分ですね。女子の場合でまた一七・八%、六十五歳以上ですよ。六十五歳から六十九歳、男のほうがふえている、六八・五%。女もふえている、二七・二%。七十歳になって男が四九・一%という就業率、半分以下です。こういう
状態で、これは八十歳以上もおりますけれ
ども、こういうのがいまの老人の生活実態ではないか、こう考える。だからどうしても、私はそういう面からいけば、生活保障体制というものを、十分この部面に、
政府が
目玉商品と言うなら、もっともっとやはり高額な資金を出すべし、各般の施設も増設をしていく、そういうものが、このいわゆる整備五カ年計画の中にも盛り込まれてこなくちゃいけないと思うのですけれ
ども、そういう内容が非常に貧弱だと私は思う。これはどうですか。前途に対する老人対策の展望について、ひとつ政務次官の高邁な御
議論を伺いたいと思います。