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竹田四郎君 いま御説明があったように、まあ大分
銀行は一県一行という形の
銀行でありますし、特に別府湾を中心とするところの新産都市の建設、こういう
意味では大きな資金的な役割りというものをいままでも負ってきた
銀行でありますし、そうした
意味では、たいへん大分県においては重要な
銀行だというふうに私も認識しているわけでありますが、実はこの
銀行、昭和三十八年だと思いましたけれ
ども、第一組合、第二組合というふうに組合が分裂をいたしました。この分裂のときの
状況というのは、ここであらためて申し上げる必要もないと思いますけれ
ども、まさに、その
銀行の分裂というのは、組合同士の分裂ということよりも、むしろ
銀行側のイニシアチブによって酒食を提供し、あるいは呼び出し、あるいは脅迫めいた
発言、まあそういう形で分裂をし、組合の当時の賃上げの要求も、
銀行の言う範囲内に押しとどめ、その上執行部不信任というものをやっていくという形で、私
ども調査に参りましたけれ
ども、まさにそれば
銀行側の要請によっての組合分裂というふうに言って私はよかろうと思いますけれ
ども、まあそのことの是非については、いまここでとやかく私は言う必要はないと思いますけれ
ども、それに伴いまして、従業員組合が第一組合、それから労働組合がいわゆる第二組合ということで、まあ人数的には労働組合のほうが圧倒的に多いという形でありますが、組合分裂のその不当労働行為、これにつきまして昭和三十八年の八月に大分地労委のほうから命令が出ております。この命令は、
銀行に対しまして、組合に対して謝罪をしなさいという内容の決定でございます。主文だけ読んでみますと、「被申立人は、」
——これは
銀行側であります、「その費用をもって縦百九センチメートル横七十八センチメートルの紙に下記陳謝文をわかりやすく墨書し、これを被申立人の本店及び各支店内の従業員の見やすい場所に一ヵ月間掲げ、一般従業員に周知させねばならない。」という命令が出たわけであります。その後
銀行側はその命令を不服といたしまして、中労委のほうに再審査の請求を出したわけであります。中労委の決定が昭和四十年の八月に出ておりますけれ
ども、中労委の決定というのは、主文は「本件再審査申立を棄却する。」と、こういう形の主文が出ておりまして、さらに
銀行側は中労委のその命令を不服といたしまして、東京地裁に提訴をいたしました。これが四十五年の十二月に東京地裁で「原告の請求を棄却する。」、こういう判決が出ております。大分
銀行はこれをも不服として、現在東京高裁に上訴をいたしまして、裁判中という形であります。この不当労働行為を見ましても、三十八年に地労委、四十年に中労委、それから四十五年の十二月に東京地裁、この三つのいわゆる公正な機関といわれております機関によって
銀行側は負けているわけであります。このように、
銀行側にももちろん言い分はぼくはあると思うんですけれ
ども、どちらかがその理由がおかしくて何とかということならば話がわかるわけであります。いずれも
銀行側が負けているという形になっております。
その次には、昭和四十五年のやはり十二月でありますが、地労委から、そこの
委員長がいままで専従でございましたけれ
ども、組合員が減ったから、要するに組合費の総額が少なくなったと、専従はとてもできないということで、専従を解除いたしまして、職場に帰ろうということでありましたけれ
ども、これも一年間にわたって拒否をし続けました。したがいまして、その間の
委員長の給与というものは組合が出しているわけでありますが、これについて地労委に提訴をいたしまして、この件も四十五年の十二月に実はその一年間の給与分ですか、それについては支払いなさいという命令が出ているわけであります。
それから三つ目には、第一組合と第二組合、この人たちの賃金の差別というのはたいへん大きい差別が出てきているわけでありますが、まあ多い人になりますと、年間の給与差というのは百二十五万円、少ない人でも二十一万円という給与差が出ているわけでありまして、この賃金の差別の件につきましても、大分の地労委はその差額を支払いなさいと、こういうことがありまして、これも現在中労委で、
銀行のほうが中労委に再審査を申し出てこれもいま
審議中、こういうことであります。
それから、そのほか決定をされている者の中に二人の女性、これはお札を数える仕事を主としてやっているわけですが、これによって腱鞘炎になって
銀行を休んだということでありますが、これに対して、これは職業病ではないかということで、おのおのの勤務している場所によって、その監督署が違いますが、八幡の監督署及び大分県だと思いますが、佐伯の監督署、この二つの監督署では、それは職業病だという認定をいたしまして、したがって、現在大分地裁に対して損害賠償請求の民事訴訟が起こされているという
状況であります。
もう一件は、岩井達生さんというんでありますが、この人が病気をして、病気はなおったけれ
ども、一向に職場に復帰をさしてくれないということで、大分地裁に復職申請の仮処分の申請をいたしました。これについては、岩井が勝っているわけでありますが、これについて
銀行側はさらに福岡高裁のほうに抗告をいたしましてまだ争っている、こういう
状態であります。
まあ数えてみますと、たいへんな数、不当労働行為では地労委、中労委、東京地裁、それから平岡というここの
委員長の職場復帰の地労委の命令、それから賃金差別の事件、それから岩井の仮処分の事件、それから二人の女性の職業病の認定の二つの件、数えてみますと八件が、これは全部公の機関において
銀行側の言い分というのが負けている、俗な言い方で負けている、こうして相変わらず三十八年から今日の
段階まで、この問題が大分県のただ
一つの
銀行、しかも、ビルはたいへん近代的なりっぱなビルでございますけれ
ども、その中で争われているということは、どう見てもふしぎでならない。一、二年の争いだということならまだそういう争いがあることはあり得ると、こう思いますけれ
ども、現実に十年戦争だと言ってもいいほど大分
銀行の中でこういう労使の
関係、しかも、その決定というのは、組合側に筋が通っているという決定、こういうことを大蔵省として十年間も放置しておくということが、一体
銀行、大分
銀行自体の信用問題にとっても、私はこれはたいへんな問題であろうと思うのです。私、この前行ってまいりまして、できたらこういう機会に、
銀行問題でもありますから、こういうところで取り上げるということよりも、ひとつそれは労使間の問題だから、なるべく労使で歩み寄りの態度を示してくれ、そういう態度が見えるということであれば、それはもうけっこうなことだと、われわれがとやかくこういう公の場で言うべきことじゃない、ですから、ぜひ誠意を示してほしい、私はそれを期待を持って見守っている。しかし、いつまでもそういうことが進んでいかないということであるならば、これは非常に残念なことであるけれ
ども、
国会で取り上げざるを得ない、いつまでも放置しておくわけにはいかない。したがって、その場合には、場合によってはひとつ頭取さんに出てきてもらうことがあるかもしれぬ、こういうことを申し上げてきたわけでありますが、お会いしたときに、まだこの労働委員会や、あるいは地裁等で問題になっていない、まあ掲示板の問題とか、組合の事務室の問題とか、こういう問題について、これはどこでもまだ決定が出ていない問題である。ひとつそうした問題については、もう少し話し合いを進めてほしいということを特に申し上げてきたわけでありますが、その後組合と
銀行側と話が六月一日にあったようでありますが、その中では、私
どものところに入った通知によりますと、掲示板も事務室も認めない。人数の多い組合、これは労働組合のほうでありますが
——を大切にせにゃならぬ、
国会議員の要請も応ずる意思はない、こういうことを言い切っているということを聞きまして、私は非常に両者が話し合いの上で前向きで解決をしていくということを願ったわけでありますけれ
ども、実際にはこういう返事があるということになりますと、どうもこの紛争というものはまだ続きそうだと。かなりの有力な
銀行であり、しかも、今後も大分県の産業の発展の上では、県民の信頼を集めて
銀行としての役割りを十分果たさなければならない任務を持っているにもかかわらず、こうしたことがその地域で問題になっているというのは、私は非常に残念だと思う。そうした
意味で、大蔵省としても、これをそのまま放置をしておるということは、これは国の権威にもかかわるような感じがいたします。地労委、中労委、地裁、こうした機関の決定、もちろん不服があるのもわかりますけれ
ども、それもいろいろ、その決定についてその内容が違っている。まだ争うべき点があるというならば、私わかりますけれ
ども、もうほとんど争うべき点はない、こういうような事態の中で、これが相変わらずこういう紛争が期限もなしに続いていくということは、非常に残念でなりません。そうした
意味で、ひとつ大蔵省としてこの問題についてのお
考え、どういうふうにすべきかというような点をぜひ聞かしていただきたい。