運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1972-05-23 第68回国会 参議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十三日(火曜日)    午前十時二十六分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 戸田 菊雄君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 伊藤 五郎君                 河本嘉久蔵君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 竹田 四郎君                 成瀬 幡治君                 松永 忠二君                 横川 正市君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    衆議院議員        大蔵委員長代理  山下 元利君        理事    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        経済企画庁総合        開発局長     岡部  保君        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省銀行局長  近藤 道生君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    参考人        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————   〔理事柴田栄委員長席に着く〕
  2. 柴田栄

    理事柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に趣旨説明補足説明及び衆議院における修正部分説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 本題に入る前に、大臣に五点ほど当面の問題等について質問しておきたいと思います。  その第一点は、最近景気見通しについてだいぶ混乱をしておると思うのでありますが、と申しますのは、一つは、総合政策研究会見方がある。もう一つ財界見方があるわけですね。それからもう一つは、日銀等見方がある。そうして大蔵省政府見方というものが、だいぶ統一されないままにそれぞれ発表されたり、そういう状況だと思うのですけれども、で、まあいままでの実績からいきますと、そういった混乱したときは、やや景気上昇ムードといいますか、そういう傾向があったような気がするわけでありますが、そういう情勢を見てまいりますると、一定大蔵省見方はあると思うのですけれども、はたして今後の——いまの景気は私は不況の底をついたと思うのですね。これ以上悪くなることはないだろうと思うのです。ですから、ややこれからは上向き態勢になってくる。その景気上昇傾向について、従来のパターンは、民間設備投資、いわゆるV字型方式でもって上昇というものがたどられてきたような気がするのです。どういう形で今後一体、景気上昇をされる場合に、見方としてはどういう一体形でこの景気浮揚というものが行なわれていくのか、その辺の見解について、ひとつ大臣見解をお伺いしたいと思います。
  4. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いわゆる需給ギャップの点から見ますというと、鉄鋼とか、あるいは石油化学、いわゆる重化学工業中心とした需給ギャップは依然として大きい。そうして、そこにはまだ設備投資の動意が見られないというようなことがございますが、しかし、業種別にこの状態はみなまちまちになっておりまして、全体を見ますというと、生産の状態、出荷の状態、それからようやくいままで動かなかった卸売り物価動勢というようなことから見ますというと、経済指標景気回復への動きを示しているということが、経企庁の指標中心とした見方であり、同時に日本銀行見方もそうであって、大体景気底固めまできたという見方をしておると思いますが、いままでは重化学工業中心とした、いわゆる大工業中心設備投資から景気回復というものが始まっておりますので、もとの型になれておる者から見ますというと、いまの景気回復の過程は、まだ本物じゃないんだという見方が強いようでございますが、これは私は、日本経済の動向の変化であって、今後景気回復の型というものは、いままでと違った型をとるだろうというふうに思われますし、そういう観点から見ますというと、やはりいまの不況——特に不況不況といわれるものは素材産業中心不況ということが言えるだろうと思いますので、これは全般の景気回復につれて、最後に回復されるというような、いままでと違った型をとるんじゃないかというふうに私は見ております。そういうふうに見ますというと、これ中心不況ということを考えて、まだ産業全体の景気が上向いていないということを結論することは私はできないだろうと思います。いろいろないままでの経済指標から見て、とにかく景気がこれ以上もう落ち込まないということについては、もう諸方面の見方がおそらくこれは一致しておるところだろうと思いますので、私はこれがいままでの財政政策金融政策、特に昨年の暮れになされた景気対策減税政策、そういうものの効果がいま浸透してきて、ようやく下ざさえを終わったというふうに考えますというと、この新しい予算動きが始まるということになりますと、これは今度は景気浮揚力として効果を徐々に発揮していくものだろうというふうに思っておりますので、私は景気方向というものは、一番最初の見方からそう多くそれていないと、いまそう思うのでございますが、見方によって、まだ業界業界についてこの見方が完全に統一されているという状態ではございません。
  5. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ大臣がおっしゃられたように、重化学工業中心とした需給ギャップ、これはやはり相当ウエートは大きいだろうと思うんですが、財界等は、今回の四十七年度新予算大型予算が今後実行されていくわけですけれども、それじゃまあ思うような景気浮揚にいかぬじゃないか、政府考えが甘いんじゃないか、こういうようなことをたびたび言明をしておるようですね。そういう点に対しては、大臣としてはどう一体お考えになるか。  それから私の聞きたいのは、従来の民間設備投資、これの増強、これを通じてV字型方式景気浮揚というものがなされた、こういうパターンを何らかの形で軌道修正しなければいけないというのが政府考えのようでありまするけれども、そうだとするならば、一体どういう景気浮揚の型というものが今後想像されているのか、その二点についてひとつもう一度見解をお聞かせ願いたい。
  6. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) この軌道修正の型といいますと、結局従来のようなこの収益性の稀薄であるいわゆる福祉的な事業というようなものに、投資が強く行なわれるということによるよりほかしかたがないんじゃないかというふうに思っています。で、それだけ回復力が緩慢であるということが言えると思いますが、そういう福祉関係公共投資社会資本充実ということが行なわれれば、自然に従来の軌道はこれは修正されることになろうと思います。  それからさっき言いました不況の問題ですが、素材産業中心企業は、明らかに不況という状態をまだ脱してはおりませんが、最終消費段階に近い加工部門とか、そのほか一部の企業というものは、もうけっこう需給にゆとりのないところまできているという企業もございますので、そういうところは、もう従来よりはむしろ好況的な状況を呈しておるという企業も一部あらわれてきているというようなことでございますので、私はそういうものと、今度はいま言った福祉関係投資というものによる景気の立ち直りのその速度は、おそくなるといいますか、そのおそいというものが適当に調整されて、やはり少なくともこの秋ごろというときには、もっとこの景気の形がはっきり私は出てくるのじゃないかというふうに思っています。
  7. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 開発銀行融資政策との関連で、今後の産業構造について政府見解もお伺いしたいのですけれども、従来日本の場合は、第二次産業あるいは第三次産業——この構成比あとで具体的にお伺いしたいと思いますけれども、いずれにしても、第二次重化学工業中心に、産業構造というものが定着してきたことは間違いないと思います。今後はどういう形になっていくのか、この投資部面ですね、やはり依然として第二次重化学工業中心にして、これを基盤にして、やはり産業構造定着をはかっていくのか、あるいは最近第三次産業が非常に急速に伸びてきておる、西ドイツあたりも、やや第二次産業と第三次産業投資形態というものは半々くらいになっていますね。アメリカの場合ですと、大体第二次産業は二九・六%、第三次産業は六一%ですから、日本構成比とはちょっと第三次産業については大きく隔たりがあるように考えますけれども、一体どういう産業構造政府は目ざして、どういう投資形態を一体考えているのか、その辺の見通しは一体どうお考えになっておりますか。
  8. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) 開銀の二次産業、三次産業に対する融資のこまかい数字の問題もございますので、私からお答え申し上げさしていただきます。  大きな方向といたしまして、開銀融資のあるべき姿は、ただいま戸田委員の御指摘のとおりの方向でいくべきものであろうかと思います。開銀融資全体につきまして、絶えず融資対象経済社会の進展に即応した形で見直しを行なってまいるということが必要でございますので、そういう方向で今後とも検討をしていくべきことになろうかと思います。具体的にこれまでの融資実績を見ましても、大都市再開発公害防止というような社会開発に対する融資ウエートが増大いたします一方、電力とか海運というような産業開発融資のウェートは低下しつつあるわけでございます。一次、二次、三次の産業に分けて申し上げますれば、この五年間に一次産業向け融資が、シェアにおいて激減をいたしております。そして二次産業と三次産業とが、それぞれ二%前後シェアを拡大いたしております。ただ、二次産業、三次産業それぞれの中で変動がございまして、たとえば二次産業の中で申し上げますれば、公害防止とか、国産技術振興融資というようなもののウエートが高くなりつつあるわけでございますし、三次産業の中では、都市開発融資ウエートが高まる、一方におきまして、海運融資というもののウエートが低下しているというような傾向があるわけでございます。そういう点は、先ほど言われたとおりの方向をたどっているわけでございまして、今後ともこういった方向が続くものと考えております。
  9. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、やっぱり一貫して第二次重化学工業中心に今後の投資形態というものを財政的に考えていく、こういう理解でいいんでしょうかね。将来、アメリカ西ドイツ型というようなことがあると思うんですけれども、その辺の二次産業、三次産業のかね合いというものはどういう状況に一体考えているんですかね。その辺ひとつ。
  10. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) その辺の国全体としての二次産業、三次産業ウエートの置き方などにつきましては、あるいは企画庁とか通産省とかから御答弁があるのがしかるべきことだと存じますが、開銀融資自体に限って御答弁申し上げますれば、開銀融資の場合につきましては、やはり産業中心から次第に生活優先と申しますか、そういう方向転換しつつあるというのが現状ではなかろうか。したがって、先ほど来お話のありました方向にここ数年間かなり転換をしてまいっておりますし、今後ともそういう方向での転換がなされるのではなかろうか。ただ、二次、三次という分類から申しますと、先ほども申し上げましたように、たとえば三次産業の中に海運というようなものが入っておりますので、そういうもののウエートは減っていく。しかし、それ以外の都市開発とかそういう生活優先的な融資ウエートはふえてまいる。それからまた二次産業の中におきましても、先ほど申し上げましたような、公害防止というようなこと、そういうものが特にウエートをふやしてまいるというような変化があろうというふうに考えております。
  11. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは先ほど大臣景気見通しの中でおっしゃられたように、今後は必然的に社会資本充実あるいは福祉的事業ですね、あるいは公共投資、こういうものを徐々にやっていけば、従来の景気浮揚型という民間設備型の誘導体制というものが、自然に軌道修正されるというお話でありましたけれども、現に産業構造から見ましても、重化学中心の急成長した、かつ成長テンポの早かった、そういう部門ほど設備過剰でたいへん困っているんですね。いま、だから、今後の産業構造に対する一つ定着といいますか、財政投資といいますか、そういうものをやっていく場合には、従来のパターンをやはり払拭していかなくちゃいけないんじゃないかというふうに考えるんですね。そういう面での政策的見通し大臣どう一体考えているのかですね、どうですかその辺。
  12. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 産業開発のために、民間金融補完機関としての開発銀行があるんですから、開発銀行がやはりそういう産業方向転換や何かを促進する一つの使命を、任務を持つということも言えると思いますし、したがいまして、開発銀行融資について、いま銀行局長が言いましたように、絶えず見直して、そうして融資対象をそういう方向に指導していくというふうにすることが、産業政策を変えていこうということにこれが役立つということになるだろうと思います。そういう意味で、やはり開銀融資機能ということが私は重要で、あるというふうに思っております。
  13. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 端的に言って、第三次産業にややウエートがかぶさっていくような気がするのですね、一つは。それからもう一つは、やっぱり大臣が言われましたように、いわゆる非製造部門、たとえば住宅であるとかレジャー産業あるいは社会開発、こういう形に漸次軌道修正されつついまの現状というものは動いておるんじゃないかと思うんですが、そういう理解でよろしいですか。
  14. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 大体そういう方向でございます。
  15. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、いま政府態度としては、外貨減らし、抑制方針で臨んでおると思うんですが、過日通産大臣から、第二外為会計、こういうものを設置をして、一定備蓄ですね、資本備蓄体制考えてみたらどうか、しかし、これに対して大蔵省としては、全然検討の領域じゃないというようなことで、意見が不調整であったわけですけれども、それで結論としては、第二の、何らかの具体策をとらなければいけないだろうということが一致した見解だと、こう聞いておるんですが、はたして第二外為会計はつくらない、大蔵省考えは別にある、第二のひとつ具体策を講ずる、こういうのですけれども、第二の具体策というものはどういう内容なのか、この辺の見解はいかがでしょう。
  16. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 外貨活用対策につきましては、きょうの閣議で一応対外経済緊急対策の推進ということについて、七項目の施策を決定いたしました。その中に、七つの項目のうち第五の項目に、外貨活用対策ということをきめましたが、これは外国為替公認銀行に対する外貨預託を通じて対外債務の取り入れの抑制等を行なうということ。また資源開発等に資するため、外貨資産多角的活用をはかるということ。それから国際機関に対する資金協力を行なうということ。それから日本輸出銀行による輸入金融及び海外投資金融を拡充してアンタイドのバンクローンを可能ならしめるような所要の制度改正を行なうということをきめましたが、これについての具体的なやり方は、立法事項を伴うものがございますので、これは一両日中に政府間で検討して、成案を得て、この国会に提案したいということになっておりますが、やはり外貨活用策として、短期の債務で得ている外貨でございますので、これを長期に活用するというためには、この円資金をやはり長期化しなければこれは無理でございますので、そういう点について、一応必要があれば長期的な活用もできるという措置をとりたいということから、いま法律的ないろいろ検討をしておるときでございますので、第二外為をつくるということは今回考えておりませんが、それと同じように、有効にこれを合理的に活用できる道は開きたいというふうに考えております。
  17. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあこの問題については、本題と密接に関係はしてないと思いますから、詳しくはあとに譲りたいと思うんですが、ただこのいま一番世界通貨の中で、ドルの信頼性というものは一番低いんじゃないかと思うんですね。そういうものを土台にして、日本の場合は、外貨蓄積をいままでやられてきたし、今後も相当たまるという状況にあるんじゃないかと思うんですね。ですから、今後の外貨蓄積見通しはどういうふうにお考えになっているのかですね、その辺の見解をひとつ聞きたいと思います。  それから四十六年度の海外資産はどのくらいあるのか、そう辺の内容についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  18. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 今後はできるだけこの外貨蓄積する原因についての対策を行なって、対外均衡を確保したいということから、まず第一に、今度の対策のこれは第一項にもございますが、何としてもやはり内需をふやして、そして輸出圧力を減らし、輸入を促進するということが、この外貨をいたずらに蓄積させないことでございますので、この内需を増大する財政政策をさらに一歩進めるというためには、今年きまった予算の、特に公共事業執行促進ということ。それからもう一段の金利政策金融政策として考えるということ。この二つをきょうはきめたわけでございますが、それとさらに、この民間における外貨の保有の自由化、この投資自由化というような一連の措置、そういうことによって、この国際摩擦をできるだけ少なくする措置は、これから、いまでもとっておるところでございますが、さらに一段とこれはとりたいと思います。同時に、輸出につきましても、特定国特定商品が集中して、国際摩擦を起こすというようなことを避けるための措置も、今度はこの項目の一項目に入っております。そういうことをやって、この黒字基調というものについての、この合理的な修正を加えたいというふうに考えています。そういたしますというと、私はこの今後の外貨ふえ方というものは、さっき申しました外貨活用策と並行される場合には、現実的にはふえない。むしろ今後だんだんに減っていくというような方向をとるんじゃないかというふうに考えております。
  19. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一点は、金利問題ですけれども、最近公定歩合をまた下げて、銀行貸し出し金利も一斉に引き下げておる。同時に、少額貯蓄、ことにこの末端の困ったそういう貧しい人たち郵便貯金なんかしていく。そういう預金利子を〇・五%見当引き下げをしていく。こういうことになりますと、いまの政府年間物価上昇見通しからいくと、五・三%ぐらいのそれではおさまらぬと思うんですが、そういう状況になった。そういう中で、このはるかに物価上昇見通しよりも低い預金体制制度上設定をしていくということになると、私はたいへんな国民に対する不安感というか、そういうものが招来をしてくるんじゃないかと思うんですけれども、その辺一体どういうふうに大臣はお考えになっていましょうね。
  20. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) まあ預金が、国民の最も普遍的な貯蓄手段となっておる現状でございますから、預金金利引き下げることの影響は非常に大きいものでございますので、昨年来この問題は慎重に考えてまいりまして、昨年までは四回にわたる公定歩合引き下げをやりましても、預金金利の問題とは無関係にこの金利水準引き下げを遂行してまいりましたが、今回まだ日本金利水準が対外的、国際的に見て高いことは確かでございますので、国際的なこの関係から、また国が福祉政策というものをとってくる以上は、今後の福祉事業を拡充しようとする限り、現在の高金利というものは、これはやはりある程度直されなければならないという必要もございますので、そういう点からもう一歩の低金利政策をとりたいということから、預金金利との関係をいろいろ検討してみましたが、預金金利の問題を避けて、今回の場合は低金利政策はとれない。もうこの低金利の問題に限度はぶつかってきているということでございますので、これは私どもはもうこの問題は踏み切りたいと思っております。と申しますのは、結局物価とよく比較されるんでございますが、やはり物価の若干の上昇があっても、国民所得が確保され、所得水準が上がることが、やはり国民生活にとって一番重要でございますが、国民所得水準を上げるというためには、やはりこの国の社会コストが非常に低くなるということによって、景気を出てまいりますし、これが国民所得に向かってくる一つ原因をなすものでございますし、またこの物価の中でも、公共料金その他が問題になっておりますが、これらは御承知のように、ほとんど金利負担から公共料金がやむを得なくなっているというのが実情でございますし、その金利水準が一段下がることによって、国民負担というものは現実的に物価を通じ、料金を通じて下がっていくということははっきりしておりますので、その比較をいたしますというと、この預金金利が若干下がるということと、これによって回り回って国民所得が確保される。そうして国民負担が軽くなるという面等を比較しましたら、政策的にはやはりこれは預金金利の若干の引き下げということは、このことはやむを得ないというのが私の結論でございまして、今回の場合は、この金利水準引き下げと同時に、預金金利引き下げも一伴った措置にしたいと考えて、きょうの閣議でも大体その方針できめたということでございます。
  21. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 方針としては、いま大臣が言われたように、大蔵省としてはそういう態度をとっているわけでございますけれども、何かやはり少額貯蓄制度に対しては、無税対策なんかもとって、いままでそれなりの保護政策というものをとってきたわけですが、そういう部面での保護対応措置としての特別な考慮というものは行なう考えはないんですか。そういう少額貯蓄の、ほんとうに苦しい——病気になったとき、二十万、三十万円ほしいということで、苦しいさいふから千円だ二千円だと積んでいる、そういう零細貯蓄に対して何か特段の考慮というようなものは考えておられないのですか。そういう見解はどうですか。
  22. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) やはりこの金利水準を下げることは、国内的にも対外的にも必要であるという必要性に迫られてやる政策でございますから、これを実行する上においては、預金者に対する考慮もいろいろしなければならぬと思っておりますので、これを実現する場合には、いろいろな面においてそういうものの全般的な検討はいたしたいと思います。
  23. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それでは開発銀行改正案に移りたいんでありますが、第四条の、開発銀行産業投資特別会計からの資本金二千三百三十九億七千百万円、こういうことになっておるわけですけれども、この資本金は、今後増資の見通しというようなことはございませんですか。当分これでやっていこうという考えでしょうか。
  24. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまのところ、この開発銀行の増資の必要は、私どもないものと思っております。
  25. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この開発銀行融資状況を資料としていただいたんでありますが、これを見ますと——四十六年度の主要貸し付け先の状況について、まず事務的に教えていただけませんか。エネルギー、産業開発都市開発、地方開発、その他でけっこうでありますが、その内訳をひとつ発表していただきたい。
  26. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいまお尋ねになりましたことに当たりますかどうか、四十六年度の融資の総額四千二百五十一億でございます。そのうち原子力、石油などのエネルギー関係に三百八十九億、海運に千百五十三億でありまして、情報化促進、電子機械工業高度化、体制整備、国産技術振興、そういうような産業開発項目に八百四十五億、私鉄の輸送力増強、大都市再開発、流通近代化、そういう都市開発という項目でございますが、六百七十六億、地方開発が六百六十五億、その他が五百二十四億でございますが、そのうち公害防止が二百四十三億ということであります。
  27. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 各民間の会社別融資体制は発表できませんか。たとえばエネルギーのうち原子力関係二百二十九億はどういう電力会社にいっているのか。それから石油の場合百六十億いっているわけですけれども、これはどういう石油会社にいっているのか。あるいは海運の場合でも、どういう船会社に融資がいっているのか。これは正式にいえば、資料はいただいておるわけですが、何かあまり明快なものでないので、民間体制の問題についで発表できるかできないか。その辺の見解だけ聞けば、私のほうであとは具体的に聞いていきますから……。
  28. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 電力の関係でやっておりまするのは、いわゆる九電力のうちの主たる——これは原子力発電の関係でございまするので、原子力発電の関係をやっておりますいわゆる中央三社と申しまする三社だけであります。  石油につきましては、これはいわゆる民族系石油企業というものを育成するという政府の御方針がございまして、共同石油という会社を中心にいたしまして、民族系石油の販売並びに精製設備の増強をいたしておるわけであります。その系統の会社に出ております。  海運につきましては、御承知のような計画造船という仕組みがございまして、貿易物資の安定輸送という見地から船腹の増強をやっておるわけでございます。このうち中核体と称します集約体制の中心になっております六つの会社がございます。六中核体ということを申すわけでございますが、それを中心にいたしまして融資をいたしておりますのが海運でございます。  あとは、やや目立ったものを申し上げますると、情報化促進ということで先ほど申し上げました八百四十五億の産業開発のうち三百九十億がそれに充てられているわけでございまするが、これは日本電算機株式会社という電算機のレンタル業務をいたしておりまする全体の電算機の開発促進のために融資をいたしておりますものがそれでございます。  あと大口のものについて申し上げますると、私鉄の輸送力増強でございまするが、これも先ほど申し上げました全体が六百七十六億という都市開発のうち、三百四十四億が私鉄の輸送力増強でございまするが、これは関東及び関西におきまする私鉄が、都市乗り入れあるいは安全工事、あるいは一般の輸送力増強、そういうようなことに充てます関東及び関西におきまする私鉄各社、それが対象でございます。  大まなものについて申し上げますると、そういうことでございます。
  29. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これを見ますと、この税制、金融各般にわたって大企業というのは至れり尽くせりの保護政策がとられていることは明らかです。たとえばエネルギーの原子力関係二百二十九億、これは四十六年度の実績です。四十七年度はエネルギー総体で六百十七億ですね。ですから三百八十九億の約四割強ぐらいになっているわけですけれども、四十七年度のこれからの融資計画は、それからさらに上回っていくわけだろうと思うのですが、この電力関係の原子力等について科学技術審議会で全国的に二十一カ所設定をする。ことに東北関係が多いのでありまするけれども、そういうところは今後やはり全体としてこの融資計画の中に入れていく、こういう考えでしょうか。その辺の見解はどうですか。もちろん当該会社から申し入れがなければそれは貸し付けすることはできないのでありまするけれども、そういうものに対しては今後計画的に科学技術庁あたりでもってやっていかれるわけですが、そういうものと、何か融資計画についてはいろいろ相談をして、それでやっておられるんでしょうか。その辺はどうですか。
  30. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 電力の融資につきましては、昭和三十八年度でございまするか、一般の石油火力というものが、現在の火力発電の中心でございまするが、それに対します融資を打ち切りました。  それから、従来ございました重電機延べ払いと申しまする電力会社の大型の発電機、これの国産化という趣旨によりまして、延べ払い融資をやっておったのでありまするが、これも四十六年度をもって打ち切りました。  石炭をたきます石炭火力への融資もやっておったのでありますが、これも四十五年度をもって打ち切りました。  したがって、今日残っておりますのは、ただいま御指摘の原子力発電でございますが、これはただいまお話もございましたように、各地におきまして原子力発電の計画がございます。  ただ、一点申し上げておきまするが、原子力発電もだいぶレールに乗ってまいったものでありまするから一四十七年度からタービンジェネレーターと申します、水蒸気を発生いたしました以後の発電をいたしますそれは融資対象から除きまして、水蒸気を発生いたしまするまでの段階、濃縮ウランを使いまして、その熱によりまして水蒸気をつくるわけでありまするが、その段階までの融資にいたしまして、タービンジェネレーターというそれから以後の段階の部分は、融資対象からはずしたわけでございます。と同時に、従来六分五厘の融資をいたしておりましたが、それを七分に四十七年度の新規から切り上げることにいたしました。  そういうような措置をいたしまして、原子力発電、お話になりますように今後ふえてまいるかと思うわけでありますが、開発銀行といたしまして、融資対象をできるだけしぼってまいる、また金利もある程度引き上げを行なうということをやっておるわけであります。  なお、御指摘のございました昭和四十六年度三百七十四億が六百十七億にふえておるわけであります。これは原子力発電がふえましたのみでなくて、ガスの会社におきまして無公害エネルギーということで、LNG、輸入天然ガスを使うわけであります。この輸入いたしましたものを気化をいたしまして、ガスに混入をいたします、そういう関係の装置及びそれと関連いたしまして東京、大阪の両大都市圏におきまして、特定導管という一種の大口径ガス管を用いまして、それによるガスの供給をいたします。そういうようなものが新しく加わりました関係で、御指摘のようにふえている、こういうふうに御承知をいただきたいと思います。
  31. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 もちろん私も今後のエネルギーというものは多分に原子力関係にいくだろうと思うんですね。ですから、そういう意味では、わが党の方針としては、民主、公開、安全、こういうものを基本土台にして、そういう範囲内で整備をするならばという条件があるわけですけれども、だから、当然大量の金の投資が必要となるわけですから、一定融資は当然あり得るだろうと思うんです。しかし、こう見ますと、ことさら開発銀行から融資しなくても、一般市中銀行からでもやっていけるような成長産業であることは間違いないですね。だから、そういうものに対する融資というものは、どうなんでしょう、やはり現段階では必要だという考えでしょうか。
  32. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほども申し上げましたように、昭和三十八年度以降、従来も一般の民間金融に譲り得るものは引き続き譲りまして、開発銀行融資対象をずっとしぼってまいっておるわけであります。と同時に、原子力発電につきましては、先ほど申し上げましたように、タービンジェネレーターというような通常設備とあまり違わないようなものは、融資対象からはずすというようなことでやったわけであります。したがいまして、残りました部分は、一次系と申しますか、核燃料を使いまして、水蒸気を発生するまでの段階、これはまだ非常に技術進歩の途上にもありますものでございまするし、しかもだんだん大型化をいたしているわけであります。したがいまして、そういう意味での国産化要請というものの一番むずかしい、しかもやらなければならないという問題でございまするので、こういうものに対象をしぼりまして、開発銀行が財政融資によりまして、そういうようなことの奨励と申しますか、開発銀行法のことばを用いますと、奨励ということになりまするが、そういうような誘導的な役割りを果たしてまいるということにいたしておるわけでありますが一ただいま御指摘のございましたように、対象で民間融資に切りかえられるものは従来もはずしてまいりましたし、今後も当然そういう方針でやるわけでございます。
  33. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 一応そういうふうに配慮して十分選択をして融資をする、こういう趣旨のようですから、それは了承しますけれども、ただ、全部資料を見まして、エネルギー関係、石油にしてもそうですね、それから海運にしてもそうです。そういう産業開発の各般の項目を見ても、全く大企業、メーカー、そういう会社ばかりなんですね。で、こういうものについて相当、総額において四十六年度に四千二百五十一億やっておって、ことしの場合ですと四千七百三十億の融資計画になっておるわけですね。だから、いずれにしても増資傾向にあることは間違いない、来年はもっとふえるだろうと思うんですね。だから、そういう形で考えてみますと、大臣がさっき景気浮揚政策の中で答弁なされたように、資本投資そういう景気浮揚産業構造の視点というものをどこに置くかという、できるだけ社会資本充実、住宅とか、そういうことをやっていこうという、そういった開発銀行融資態様というものは全くこれは従来のものと変わらぬのですね。だから、これではたして軌道修正と言えるのかどうかですね。大臣、この融資状況を見て、どう一体お考えになるでしょうか、大臣考えている方向と、現実に行なわれ、あるいは四十七年度の、今後の融資計画にもこういうケースが必ずくるだろうと思います。こういう問題について一体どうお考えになっておるか。  それからもう一つは、情報化促進の中で、A社、JECC、電算機三百九十億、これはいかがでしょうか。これはアメリカとの合弁会社じゃないですか。違いますか。その辺の見解をひとつお聞かせ願います。
  34. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまの問題ですが、大企業への融資というようなものは、現在ウエートがどんどん減っておりまして、たとえば電力向けの融資一つとってみますというと、昭和二十九年度が五八・八%という比率であったものが、四十七年度の計画ではもう六・七%へ低下するというふうに、開発銀行融資は、さっき私が申しました方向に年々対象が動いているということは事実でございますので、いまのこの動向は、政府がさっき申しましたような考えと離れているものではなく、大体これに沿っている方向であるというふうに私は考えます。
  35. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいまのお尋ねの後段でございまするが、電算機のJECCと書いてございまするのは、これは日本電算機株式会社というものの略語でございます。これはいま国産の電算機をつくっている会社が六社ございまするが、それが電算機を売りますというときに、御承知のようにIBMという非常に大きな会社がございます。これがレンタル制度という、売るのではなくて、貸し付けて、それで貸し付け料を取るという仕組みをやっておるわけでございます。したがいまして、国産の電算機といたしましては、同じような貸し付け制度でございませんと、売り切りという制度ではまずこれに対抗できないものでございますから、これは何年前でございましたか、七、八年前であるかと思いますが、そういうような共同の買い取りをいたしまして、それを貸し付けをいたします会社をつくりまして、それが国産電算機の買い取りをいたし、需要家に貸し付けるという制度をとりまして、IBMに対しまする対抗手段をとったわけでございます。したがいまして、この日本電算機という会社は、国産の電算機を買い取ります資金が要ります。それが何年かの貸し付け料になって入ってくるわけでございますが、電算機の需要がふえているものでありますから、その意味ではこれは一種の長期運転資金みたいなものにはなるわけでございますけれども、形といたしましては、電子計算機の設備に対します融資になります。そういうような形で、国産の電子計算機産業というものを育成いたしまするためにとっております最も中核的な手段に相なっておるわけであります。したがいまして、お尋ねのような外国のほうの電算機の関係は一切ございません。
  36. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから「大都市再開発」、この都市開発項目があるんですけれども、これは主としてガス、鉄鋼ですね。あえて社会資本と目されるのは不動産の森永開発、こういうものが載っておるようですけれども、これはいまやはり土地高騰等の関係から、相当融資関係でも私は考慮していかなければいけないんじゃないかと思うんですが、ことに、最近不動産に対する融資対象というのが非常に大きい、あるいは第二次重化学工業であっても、利潤選好でもってそういう不動産に——土地買ったり住宅造成、そういったものに急激に転化している会社が非常に多いんですね。同時に、それに対する融資政府考えていろいろやっている。だから膨大な利潤をもうけているわけです。そうしてそういう産業がいま非常に成長している。こういうことは、各般の土地政策、あるいは貧しい持ち家制度でもって住宅を建てる、そういった人たちのたいへんな圧迫になっているわけです。融資面からも私は相当検討していかなければいけないんじゃないかと思うんです。これは森永開発というのはどういうところに使われるんでしょうか。内容をひとつお伺いしたいと思うんです。  それからもう一つは、流通近代化の七十四億円の内容を見ましても、若干、流通センターに二十三億円融資することになっておりまするけれども、あとは倉庫設置ですね、確かに倉庫も物資保管、収容に必要な場所ではありましょう。ありましょうけれども、もっと有効な、最近の中間マージン排除の、たとえば青果市場から消費者に直結するような流通体制の整備、そういうものに切りかえていくようなものをつくっていくならば話は別でありますけれども、そうでなく、単に企業の倉庫業をやる人たちに対して、大量の金額を融資していってどんどんもうけさしていくという、こういうことは、本来の流通近代化と名目はいうけれども、実質的にはその他の効率というものがあまり発揮できないというような気がする。企業として倉庫を建てる、そのことを通じて金もうけをやって、そういうものにだけ融資を出すということは、どうも私は理解ができにくいんですが、その辺が一つ。  それから公害防止といっても、これは確かに石油、電力、鉄鋼ですから、それぞれ公害をまき散らしていることは間違いありません。大いに整備してもらわなくちゃいけませんが、こういう面に、ことに私は本来の趣旨からいけば、たとえば漁港地帯における加工団地のヘドロの公害がたいへんな漁民の生活まで脅かしている情勢がございまするから、そういうところは、加工団地形成をして、六百戸なら六百戸でもって、大企業資本上抵抗できないものですから、しかし、それなら自分の企業を守るために一定の、何といいますか、団地を形成して、そうして公害防止事業団から一定の、県や国から一定の補助を受けるというような、非常な、たいへんな努力をその中でやっているわけです。だから、こういうものに対する融資態様というものが若干考えられていいんじゃないかと思うんですが、これを見ますると、公害関係でも、石油とか電力とか鉄鋼というようなものの大企業に限定をされている。これでは真の開発という意味合いからするいわゆる融資という役割りは、全く特定のものだけにいってしまう。もう少し幅を広げてはどうなのか、そういう考えを持つんですけれども、その辺の考えは一体どう考えられておるか。  それから住宅産業ですね、この住宅産業でも、結局は企業ですね。セメントとか建設会社、合板ですからね。こうなっていきますと、企業でもって、たとえば職員の厚生保護、そういう立場から一定の住宅政策をとっていくというものがある。それはそれとしてやれるわけです。私はここにある鉄鋼とか、セメントとか、建設業、こういったものは、自前方式でできるんじゃないかと思うんです。ですから、もっと融資活用というものを、目を広げていってはどうなのか。ほんとうに安い住宅を、十八年なら十八年の月賦体制でもっていけるような、それはもちろん住宅公庫というものがあって、そっちからいきますよと、こう言うんですけれども、何かその辺の調整を考えられないのかどうか。いかがなものでしょうか、その辺は。
  37. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) まず最初に御指摘のございました大都市再開発関係でございます。  なお冒頭に申し上げておきますが、これは上の三社ですか、五社でございますか、出したものでございますから、したがって、上位だけで御判断を願い切れないところもございますので、それもあわせてお考え願いたいと思いますが、一つは、まず大都市再開発の問題でございます。これは、現在やっておりまするのは、一つは街区整備、こういうものでありまして、具体的に御質問のありましたのはその点でございます。これは都心の非常に細密になっておりますところで、交通もたいへん渋滞をいたし、あるいは都市的な機能としてもはなはだ不便であるというようなところがございます。そういうようなところを、特定街区というような指定をいたしましたり、あるいは都市の再開発の指定をしたりいたしまして、それを高層化をいたしまして街路もとれる、空地もとれる、そういうような形で都市構想というものが増進されるような対策をとるというのが、現在建設省でやっておられます都市対策でありまするが、そのうちの一つでございまして、御指摘のございました点は、これは田町の駅前というのは非常に、御承知だと思いますが、混雑をいたしておるところでございます。そこであそこの建物を高層化をいたしまして、駅からの通路をつくりまして、現在あれはバスでございますか、自動車通りになりまするか、その上を通りましてまっすぐに出られるという通路を確保する。同時に、若干の空地ができまして、建物は高層化し、そこに空地もできる、こういうような都市再開発手法でございます。そういうようなものに対しまして融資をいたしております一つのケースになるわけです。  それから第二は、流通近代化の点でございますが、これは近ごろ流通業務市街地法という法律が三年ほど前でございますができまして、東京、大阪というような大都市の周辺にトラックターミナルあるいはここに御指摘のございました倉庫もそれに入るわけでありますが、そういった流通関係の基地をつくりまして、そこで、外から入ってくる大型トラックはそこで積みかえる、また中に入る流通もそこで整備化される、こういうことを考えまして流通センター地域を幾つかつくっておるわけであります。御指摘のございました倉庫は、その中に入っておるものでございます。そこには倉庫もございますし、最初に申し上げましたようなトラックターミナルもある。そういうような一種の共同倉庫の形をとりまして、関係の倉庫会社等がその中に入りまして、一括した荷扱いをいたして貨物の流通を円滑にするという仕組みでございます。そういうような共同倉庫あるいは流通センターの地区内におきまする倉庫というようなものを対象にいたしておるわけでございまして、各個の倉庫会社がやっておられますものにつきまして、一々相手にいたしておるわけではございません。なお当然こういうような新しい倉庫でございますから、無人化でありまするとか、そういうような新しい倉庫の貨物の取り扱い手法を持っておるわけでございますから、そういう意味で、ある程度の新しい技術を使った倉庫ということにも相なるわけでございます。  それから公害防止の点について御指摘がございましたが、これは石油の会社でございますと、御承知のような重油の脱硫をいたしまして、重油段階で硫黄を抜くというようなプロセスがございます。したがいまして、これは非常にコストのかかるものでございますから、重油脱硫いうのは二、三年前から私ども融資の対象にいたしておるわけであります。電力、鉄鋼これはいわゆる大気汚染防止法に関連をいたしまする硫黄その他の來雑物を除く仕事でございます。なお御指摘ございましたように、公害の防止につきましては、公害防止事業団というものがあるわけでございますから、御指摘のございましたような共同施設をつくりますような関係におきましては、公害防止事業団がおやりになるということに相なっておるわけでございます。そういうわけで、私どものほうで公害防止事業団のほうと仕事の区分をいたしまして、両方で公害防止の万全を期したいという仕組みに相なっておるわけであります。  住宅産業について御指摘がございましたが、私どものほうは、住宅産業に対する融資というようなものでございますから、非常に安い、そういうような新しい建材をつくる、あるいはプレハブ住宅のユニットをつくる、あるいはプレハブ住宅そのものを工場でできるだけつくる、そういうような新しい住宅産業というようなものを、それによって低コストの住宅を大量に供給し得る仕組みになる。あるいは新しい建材建築材料をつくるというような仕組みでありますから、私どもそういうようなほうの融資をいたしております。住宅そのものに対する融資は、御指摘のございましたように、住宅金融公庫でありますとか、あるいは住宅公団でありますとか、住宅関係の専門の政府機関がおやりになる、こういう仕組みになっておるわけであります。
  38. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 具体的な問題で二、三お伺いしますが、むつ小川原の関発地区について政府出資は幾らくらいいっているのですか、総額で幾らでしょうか。
  39. 岡部保

    政府委員(岡部保君) むつ小川原開発で、主として現段階では土地取得のためにむつ小川原開発株式会社というものが設置されたわけでございまするが、この会社に対して、北海道東北開発公庫から出資をいたしたわけでございます。当初の払い込み資本金十五億円のうち、六億円を北海道東北開発公庫から出資いたしたわけでございます。その他につきましては、一億五千万が青森県でございます。それから残りの七億五千万は民間の各会社、約百五十社でございますが、出資したというかっこうになっております。
  40. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現段階で総額十五億ということで、国、県でもって七億五千万、民間ベースで七億五千万で十五億、こういうことになっておるわけですね。で、どの程度現地で作業進んでおるのですか、土地取得その他の作業ですね。それから、どういう一体工業用地を将来そこにやっていこうとしているのか。そこら辺の経過をひとつ。
  41. 岡部保

    政府委員(岡部保君) 現段階、先生も御承知だと存じますが、このむつ小川原開発のために新しく設けました機構といたしまして、ただいま申しましたむつ小川原開発会社、それからむつ小川原総合開発センター、これは主として計画づくり、あるいは調査のデータバンク機能を有するもの、それから県でむつ小川原開発公社というものをつくりました。この三者が新たにこの開発のために設立された機関でございますが、現段階での土地取得の段階を申しますと、全く現段階までに取得した土地はゼロでございます。と申しますのは、現段階は土地取得をするためのいろいろな準備段階であると申し上げたほうがよろしいかと存じます。いわゆるむつ小川原開発会社が用地買収をいたすわけでございますが、そこから委託を受けまして、県の公社、これが具体的ないろいろな買収事務の委託を受けております。そこで、現段階といたしましては、計画もこれでいくんだという計画がまだきまっておりません。それから、地域住民に対する、いわゆる住民対策と申しますか、この住民の同意を得られるという段階のいろいろな問題がございます。こういう問題についても、現在まだ話し合いの段階であるというところでございます。したがいまして、現段階では、土地を購入する準備段階で、いろいろ現地住民との話し合いなどが行なわれておる段階でございます。したがいまして、この会社といたしましては、いわゆるいままでの営業損益というものはまだ発生していないと言わざるを得ない段階でございます。  それから第二点の、今後どういうふうに工業を誘致し、どういうふうに考えていくのかという問題につきましては、先ほども申しましたように、私どもこれは非常に重要な問題だと思いますし、従来、たとえば鹿島でございますとかいうようなところで、工業を誘致し、その周辺開発というものが若干不備であるために、いろいろな問題を起こしておるということは事実でございます。したがいまして、こういうような反省をもとにいたしまして、現段階では、基礎的な調査、あるいはいろいろな具体的な面の調査等を実施いたしております。こういう上で、いわゆるむつ小川原地域の中心的な工業というのは、やはり基礎資源型と申しますか、石油系統あるいは鉄綱系統というような工業が張りつけられるべきであろうと考えておりますが、現段階として、具体的にどういうふうになるというところまで、まだなかなか進んでおりません。中では石油系統の企業というものがどういうふうに張りつけられるべきかという点について、現在だいぶ具体的な問題として進めつつありますが、まだ具体的なところまでいっていないというのが実情でございます。また、将来的に申しますと、いまのは非常に大きな工業でございますが、あの地域全体を一つの、何と申しますか、大規模な工業基地としての開発という意味から申しまして、いわゆる社会資本の整備であるとか、あるいは都市づくりであるとか、そういうものも考えまして、一部では当然内陸型の工業というものも誘致すべく考え方としては持っておる次第でございます。
  42. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間がありませんからこれで終わっておきますが、やはり大臣、いまのむつ小川原の開発構想というものが、まだ政策的にきちっとしていないから、民間と県、共同出資して十五億でやっても、いま答弁あったように、ひとつも土地取得が進んでいないわけです。これは長期方針がきまっていないから現地は非常に混乱を起こしておると思うのです。この収拾策を早期にやはり考えていかなければならぬと思うのですが、その辺の政策決定の見通しについて大臣見解をひとつ伺いたい。  それからもう一つは、北東開発公庫から一定融資をやっておるわけですけれども、六億、これに対して七・二%の利率なんですね。地域開発にほんとうに資するものであるならば、私はもっとこの利率を下げてもいいんじゃないか。金利自体を見ましても、もっと上げてもいいというものもありますよ。しかし、地域にほんとうに資するような地域開発構想でいくならば、そういうものに対してもっと金利を下げてもいいんじゃないか。財投は六・五%ですから、平均金利が。この辺の検討はいかがですか、それが一点。  それからもう一つは、借り入れ金の場合に、自己資本の二十倍まで限度を認めた。従来は、三十三年四月から二倍、四十五年の間までに六倍もふやしてきたのです。これを一挙に二十倍にしているわけです。これはもっとやはり私は積算基礎というものを明らかにして、今後の開発銀行の運営その他業務内容、こういうしんしゃくの上に立って、そう一挙に二十倍というようなことでやらなくてもいいんじゃないか、もっと下げるべきじゃないかというような気がするのでありますが、それが一つ。  それからもう一つは、資料いただいておりますが、天下り人事が非常に多い、七割三分くらい。何がしかの融資一つの会社に落としていくと、それに大蔵省のやめた方が全部融資と結びついて人事運用がなされておる。これは衆議院でもいろいろあったようでありますけれども、どうも原則としては私は全廃すべきだと思うのですが、そこまで現実いかないとすれば、やはり三割程度まで、衆議院段階でいろいろやられておりますが、その辺まで落とすのがいいんじゃないか。あとは運用上いろいろあろうと思うのですが、そういう面に対しての天下り人事の運用等の問題についてどうお考えか。ひとつその辺の見解を聞いて、私は時間もありませんからこれで終わります。
  43. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) むつ小川原の計画については、これはできるだけ早くはっきりした計画を立てたいと思います。  それから、地域開発金利についての御要望がございましたが、これは御承知のように、これ一つの問題ではなくて、政策金利の問題が実に複雑多岐になっております。それというのも、やはり基本的な金利水準というものが過去において高かったためのいろいろな現象であると思われますので、今回この金利水準をもう一段下げるという政府の作業と関連して、全面的にこういう問題の再検討をしたいと考えます。  それから、借り入れ限度の二十倍という問題ですが、これは御承知のとおり、開発銀行は見返り資金を承継して資本金としましたので、最初から資本金が非常に大きかったために、貸し出し金額のほうが非常に少なかったというようなことから、ほとんどこの借り入れ限度を何倍にしたらいいかという問題が当初長い間起こらなかった。こういうような特別の事情がありますために、今度は借り入れ限度を広げる必要が出てきたたびごとに、一倍ずつこれを広げてきたということから、前回五倍から六倍にするときに、あまりにこれはきびしいじゃないか、もっとしっかり根本的な検討をするようにといういろんな御批判を受けましたので、今回それを二十倍ということにしたんでございますが、これは何倍にしたらいいかという、正直なところ、この理論的根拠というものはございませんが、いま民間におきまする長期信用銀行、農中、商中というようなところ、政府の北東公庫とか、そのほか政府機関におきましても、大体この資本金の二十倍を借り入れの限度とする、ここらが健全というふうなことにいままでなっておりましたので、もう基準は、これ一つしか、大体基準と見られるべきものはないということになりますと、これを十倍にしていいのか、十五倍にしていいのか、実際においてはこの根拠がございませんので、この際、限度をはっきり必要に迫られたたびごとに一倍ずつ上げるなんということでないというふうなことにしますと、いまある基準にのっとって二十倍とすることがやっぱりいいじゃないかと、根拠——根拠といいますと、唯一のこれが根拠であるということから、二十倍にしたんでございますが、これは借り入れ限度であって、現実にそうなるというわけではございませんが、二十倍になるという計算をしますと、二十年くらい先の話になろうかと思いますが、しかし、限度としてきめるとすれば、ほかに基準がございませんので、こういうふうにしたというだけのことでございます。  それから人事の問題は、開発の天下り人事が最近いろいろ問題になりましたが、今後は、この問題については十分考えた人事を行なうということで、過日衆議院におきましても、いろんな附帯決議がなされたときに、政府側もまた開発銀行総裁も、この点について国会に対して所信を述べたという次第になっておりますので、今後、この融資の公正が疑われるようなことのないように、これは公共機関でございますので、十分気をつけたいと思います。
  44. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 初めに、ちょっと関連が離れてしまうのですが、例の対外緊急対策の七項目のことですが、この中に、減税の項目は、大蔵大臣、入っておりますか。けさ決定された七項目の中に、減税の項目は……。
  45. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 減税の項目はございません。
  46. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 そこで、これは経企庁のほうの当初の柱の中には、金融政策とか、外貨活用、もう一つが、減税ということが、所得減税ということが掲げられていた。ここにきて、七項目の中から減税が抜けてきた。これはどういう理由によるものですか。それを伺いたい思います。
  47. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 財政政策については、御承知のように、今度新しい予算の中にこれを実現してございますので、この予算動き出せば、国が景気対策に対する措置及び国民福祉の向上をはかるという措置がおのずからとられたということになります。で、その中には、大型国債の発行とか、あるいは減税というようなことが盛り込まれておるのが今度の予算でございますので、この予算がいま通ったときでございますから、それを前提として当面何をするかということになりますというと、きまった予算の執行において、公共事業等の繰り上げ施行を特に推進するというようなこと。それから財政政策以外の金融政策が今回の措置においてはまだ検討の余地があったものでございますので、これを検討した結果、新しい金融政策もここでとるということをきめたわけでございまして、もう公共投資をふやすとかどうとかいうようなもの、減税をどうするというようなものは、本年度の予算の通過によって一応政府としては、これはもうこ政策が現在動き出しておるということを前提とした措置でございますので、その問題には触れなかったということでございます。
  48. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 大臣も御承知と思いますが、OECDでいわれていることは、国際通貨情勢の最大の焦点が、日本の貿易収支の黒字ということになってきておるわけですね。これが先月下旬に行なわれた経済政策委員会の日本批判の中に、今年上期の加盟国の経常収支は年率で八十五億ドルの黒字が見込まれている。しかしそのうち七十一億ドルは日本の黒字である。一方アメリカのほうの赤字が三十四億ドルにのぼるだろうという見通しが明らかにされております。したがって問題は、日本アメリカとの間にある。日本はそうなれば景気浮揚策をとって黒字を縮小するべきだ、そのためには大幅減税をやるべきであると、こういうことがOECDの経済政策委員会の中においては、そういう意見が各国から表明されてきておる。いまの大臣の答弁は、今回はすでになっているということですが、それは昨年の年度内減税から始まったことでありまして、あらためてということになると、これに対する受けとめ方としては、ちょっと私は異なった感覚じゃないかという感じがするのですけれども、その点はどういうふうにお受けとめになっておられますか。
  49. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 財政政策はもちろん今後さらに考えるべき問題でございますが、これは御承知のように、八月に各省の概算要求が出されることになっておりますので、来年度の予算編成をどうしようかということは、今年の八月から始まる問題でございますし、それと付随して、減税政策国民負担の問題というものも同時に検討されなければならぬ問題でございますので、そういう問題は、当然来年度の予算編成のときに具現すべきものだというふうに私どもは考えておりますので、今年度の財政政策はいますべり出したばかりでございますので、今後の問題としてはこれから検討すべき問題だというふうに考えております。
  50. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いま大臣のおっしゃっておることもわからないわけではないのですけれども、はっきりと衆議院の段階で年度内減税もあり得るという答弁もあったわけです。そういうことから見ても、それから先ほどの御答弁等聞いておりますと、景気に対する見方が一応底固めが終わったような話でしたが、これは私開銀からいただいたのですが、日本開発銀行の、四十六、四十七年度設備投資計画の調査、この調査非常に権威があるわけです。これを見ましても、四十六年度に引き続いて大きくいわゆる四十七年度の設備投資計画は減少するということが出ておる。一方設備投資の資金の問題について見ましても、やはり同じようにいわゆる内部留保といいますか、内部資金中心の資金調達になってきておる。また上期、下期別の動向を見ましても、連続していわゆる設備投資動向が下がってくるという見通しがこの調査ではっきり出ている。そうすると、そういうような経済構造というものは変わりつつあるということが一つ浮き彫りにされておりますので、そうなりますと、これから先、設備投資景気の回復をはかるということは、いままでのようにそういうものに望みを託すわけにいかないんじゃないか、そういうように考えるわけです。そうすると、どうしても財政支出あるいは個人消費の増大ということしかないわけですね。個人消費支出は、その点ではどうしても私は賃金上昇だけじゃなくて、所得減税ということを、これは各国から指摘されるまでもなく、わが国もやらなければ実りあるものにならないんじゃないか。やはりどうしても年度内減税というものが、これも小幅ではなく大幅に行なって、何かしかるべき態度を示さないと、せっかく七項目をつくって、OECDの閣僚理事会に政府代表が行かれましても、実のないものになってくる心配があると思うのです。国内的に見て、私はやはりそういう景気問題等から、どうしても年度内の大幅減税をやらなければならないのじゃないかという感じがあるのですが、その点はいかがですか。
  51. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 減税問題は、当然これは検討いたします。で、低金利政策ということと、減税ということと、それから社会保障給付の拡大ということ、弔ういうものが全部関連して景気浮揚に寄与する問題でございますので、一連の問題としてこれは十分検討するつもりでございますが、ただ、いままでお約束できなかったことは、来年度の問題として検討はしておりますが、これは何カ月繰り上げることが可能になるかというような問題につきましては、これからの経済の動き方によることでございまして、これがどういう動きを示すかによって、国の財政の動きも変わってまいりますので、したがって、減税の必要性は認めて検討はいたしますが、いつそれをやれるかという時期についての約束はなかなか申し上げられないというだけの問題だと思います。
  52. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それで総合政策研究会、有沢会長のやっていらっしゃる。そういうところからでは、赤字公債か、そうでなきゃギャンブル税を財源にして三千億円の減税を、年度内どころか早急に実施しろという、そういう提言がありますし、財界からも、減税でなければ景気浮揚というものの効果は期待できないということで、年内減税というものをやるべきだという声がありますし、それから大蔵大臣の党であります自民党の大平さんも、年内五千億の所得減税ということが必要だということをかなり強く言っておるわけです。そういうことからみても、いまいつごろやったらいいか、あるいは繰り上げてやるならどのくらいかということを大臣言われておられたのですけれども、そういうふうな声があるということは、これはどうしても年度内減税をやらなければ景気浮揚はできない。しかも、開銀の調査でも、設備投資のほうから上げることは不可能ですからね。そうすると、これはどうしてもやらなければならない。この前の衆議院での答弁は、あり得るという答弁でございますけれども、繰り上げるなら繰り上げるでけっこうでありますが、一体いつごろというか、その辺の言明はむずかしかろうと思いますので、どういうふうに思っていますか。それが一つと、いま申し上げたようなそういうようないろんな声がある、こういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  53. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いろいろの声は、要するに現状見方の相違に私はよるものと思います。素材産業中心見方をしますというと、需給ギャップが非常に多いので、この際赤字公債を出しても、設備投資を刺激することを考えるべきだというような見方をする人もございますし、そうでなくて、もう需給ギャップ事業別に非常にまちまちであり、業種によっては需給が逼迫している業種もあるんだということを考えますというと、ここで赤字公債を出して、これを減税に充てるというような政策をとったら、これはもうそのままインフレの基礎をつくることになるので、いまの程度の経済の段階では、そういう政策はとるべきでないという意見も当然起こってまいります。思い切ったことをしなければ景気が浮揚しないという見方と、そうじゃなくて、もう底固めに入っているので、予算動き出せば、また今後打たれる金融政策が功を奏してくれば、景気は回復に向かうんだという見方をとる以上は、ここで特に追い打ちのいろんな追加補正予算とか、あるいは年度内の減税とかいうような、特別の措置をとらなくてもいいということになりますし、要するに、経済の現状見方、これからの情勢の見通しということにかかっていろいろ議論があることは十分承知しておりますが、さっき申しましたように、私どもは、この秋ごろから、景気が、緩慢であっても上向きになるというふうに見ておりますので、そうしますというと、このいろんな施策は、次の施策として考えればいいんじゃないかというふうに考えておるということでございまして、ここで赤字公債まで出して、特別の追い打ちの景気対策をする時期ではない、その必要は私はないというふうに考えておるわけでございます。
  54. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 赤字公債のことは、昨さきの福田大蔵大臣のときから言っておりますね。その点でも一、私ども赤字公債までということはちょっと考えておらないわけですけれども、しかし、大幅減税を考えなければならないということをほんとうに積極的に思います。それで、なぜ今回の対外経済政策の中に、七項目の中に減税がなかったのか。これは減税ということになりますと、はっきり申し上げれば、輸銀とか基金法の中のアンタイドローンをなくすというような問題よりも、人気とりとしては、一番の大きな問題ですから、それで人気とり政策はわざわざはずして、次の内閣のときの新政策として打ち出すには持ってこいの商品ですから、そういう意味で今回抜いたんじゃないか、こういう声もあるんですけれども、そういうことでやられたんじゃ、国民はたまらないわけですから、その点は大臣いかがなんですか。
  55. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 議論の過程でそういう気配は全然見えませんでした。
  56. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 議論の過程ではそれはないことは当然のことだと思いますけれども、しかし、もしもそういうものがここに少しでもあれば、これは本末転倒もはなはだしいということでありますから、十分慎んでもらいたいと思うのです。  それからこの七項目の中に、金利引き下げの問題がある。それについては、こういうことをおやりになるからには、住宅金融公庫、国民金融公庫等の貸し付け金利の問題が出てまいります、当然のこと。その点のところの弾力的な運用ということが必要になってくるであろうと考えられるわけですが、その点は、そういうような政府関係金融機関関係ですね、その関係の貸し付け金利の問題はどういうふうにお考えでございましょうか。
  57. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) 全般的な金利の見直しということでございますので、それらにつきましても、いずれは日程にのぼってくると考えております。
  58. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 いずれはというのは、いわゆる預金金利引き下げられてからしばらくたってということなんですか。同時ということでございましょうか。
  59. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 金利引き下げが、政策金利引き下げについて法定されているような問題は、なかなかすぐにやれないで、少しおくれるということになろうと思いますが、そうでない金利は、もうこれは金利水準を下げることでございますから、全面的な見直しをやって引き下げをしたいと思います。
  60. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 それからこの開銀法の中ですけれども、私は、例の今回からふえてきます出資の中で、産業開発の程度が低く、その振興を促進する必要がある地域、そこに対して大規模な工業基地の建設事業を行なう者に対して、大臣の認可のもとに必要な資金の出資をするというのがあったわけです。で、いまもこれはむつ小川原ですから、北東公庫の問題になりますけれども、あのように実は挫折をしている。北関東を見ると、現在の水戸の射爆場の返還に伴って、あの射爆場を北関東総合開発の一環にして、いわゆる流通のための港にしたい、あるいは開発に対処したいと。そうなると、現地としては、私どもはあのところは非常にその点感心しないと思います。いろいろ大蔵省の方に来ていただいてこの法律に対して話を聞いても、私はいまやもう大規模な工業基地というようなものの考え方はおかしいんじゃないかということで、また産業開発の程度が低いという基準の問題もございます。あるいは「振興を促進する必要がある」という「必要」とは何かということがあります。日本じゅうが全部海岸地域あるいは内陸に至るまでが工業地域になったのでは話にならない。そうでなくても、もう公害の問題でまいっているんですから、こういうところに対して「大規模な」ということはおかしいのではないかということで、いろいろ聞いてみたんですけれども、産業の配置を、京浜とか京阪の工業地域から再配置をするということが一つのねらいであるということがあったわけです。それじゃ業務方法書の中にそういうものがうたわれているかというと、全然うたわれないで、法律案のまま載っているんですね。そういう点で、私ども非常にその点が納得しかねるものがあって、大蔵省開銀と両方に私は申し上げて、何といってもそういうことが必要ならば、この法律の冒頭にはっきりと産業の再配置のためにということを入れてほしい。そうでなければ、やはり無制限な日本の国内の開発という、全体がそういうような傾向になってくる心配がある。それだけには何か歯どめをしておかなければならぬ。いろいろ計画じゃなくて、何というんですか、認定の基準案というものを見ますと、その中で「出資対象地域の範囲」というものをこれはいただきました。「中国、四国及び九州地方の全域」「関東地方のうち、首都圏整備法にいう既成市街地及び近郊整備地帯を除く地域」あるいは「近畿地方のうち、近畿圏整備法にいう既成都市区域及び近郊整備区域を除く地域」云々と、そうなっています。そうすると、これも全域ということで、対象地域が「産業開発の程度が低く、」とかなんとかという問題とは全然違ってくるわけです。ですから、これは私ははっきりと産業の再配置なら再配置ということで、そういうことをしっかりうたった上で、これはするべきじゃないかということを強く要求もするし、またそういうふうに法案を改正してもらいたいというお話をしているんですけれども、その点はいかがでありますか。大臣、お伺いしたいと思うのでございますが。
  61. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) 開銀の大規模工業地帯に対する出資、その範囲をできるだけしぼるべきではないかという御趣旨は、私どももそのとおりに考えております。ただいまお触れになりました開銀自体の基準案、これはただいま述べられましたとおりに「中国、四国及び九州地方の全域」とか、「関東地方のうち、首都圏整備法にいう既成市街地区及び近郊整備地帯を除く地域」とかいうようなことで、要するに全国のうちで三大都市圏と、北東公庫の管轄対象地域を除いたものという形にはなっておりますが、ただ、ただいまお述べになりました全くそういう趣旨で、今回の出資対象地域を含めまして大蔵大臣の認可事項ということになっておりますので、大蔵大臣の認可の際には、十分にいまお述べになりました御趣旨を踏まえた認可が行なわれることになろうかと存じますが、なおもっと厳密に政令等で定めるべきではないかという御意見でございますが、開銀の業務運営につきましては、従来からこまかい点には介入せずに、開銀の判断によりまして具体的な融資措置をきめるという体制をとっておりますので、政令で縛るというよりは、ひとつ今度の出資のような場合には、特に重要な事項でございますので、そのつど具体的な個々のケースに即しまして認可の際に縛るということがより適切ではなかろうかということで認可事項にいたしておる次第でございます。
  62. 鈴木一弘

    ○鈴木一弘君 認定の基準の案のほうならある程度いいですが、私は問題は、やはり業務方法書の改訂案というものをいただいたんですが、この冒頭に、法律のままを全文を載せて「出資機能を追加する。」が入れてありますけれども、法律の全部じゃなくて、ここのところへ産業の再配置ということが必要であればそういうことを持ち込んでもらいたいですね。その辺のところのあれはできないものか、それはぜひやってもらいたい。
  63. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) 開銀の業務方法書の改訂の案につきましては、なお開発銀行と相談の上、ただいまのような御趣旨を十分入れるように考えたいと存じます。
  64. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 日本開発銀行が設立当初の目的から環境も変わってまいりまして、見直しの時期がきた、これが今回の改正の理由の大きな一つだと思います。そこで、開発銀行の役割りをどう見ていったらいいだろうか、こんなところを二、三お伺いしてみたいと思うのですが、一つ電力に例をとりますと、電力については当初政策目的をもって融資をされてきた、しかし、体制も整備されてきたんで、六分五厘を七分に引き上げる、あるいは民間の資金に徐々に移されていくのだという趣旨の御説明が総裁のほうからございました。ところが、一方では電力料金の値上げということが定義されております。そういったものを結びつけてみて、開発銀行の役割りというのは、どう考えていったらいいだろうか、この点はいかがでしょうか。
  65. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいまお話がございましたその電力料金という問題があるように私承知をいたしておるわけでございます。私どもが低利と申しまするか、六分五厘従来融資をいたしていっております。それは電力料金が上がらないようにするということを申しますには、いささか全体の投資額の割合が小そうございますから、私どものほうの融資金利で、電力料金抑制をするのだということを申し上げるわけでもございません。ただしかしながら、私どもがいままで、先ほども申し上げましたように、誘導効果というようなことを申しまするのは、やはり今後の重点というものは、原子力発電に置かれるわけで、その中で技術開発の余地が相当あって、今後もいろいろ新しい構想も出てくるであろう、そういうようなことにつきましては、やはり財政資金で誘導してまいるという問題だろうかと思います。六分五厘を七分に引き上げましたのも、まあそういうふうな大きな見方ではありまするけれども、だんだん原子力発電問題も幾つかやってまいりまして、多少ともまあ定着をいたしたと申しまするか、そういうことでもございまするし、大型化も進行いたしておるわけでございますから、この際六分五厘という最優遇金利と申しますか、それを七分まで上げたらどうか、そういうことを申しておるわけでございます。したがいまして、私どものほうの融資と、電力料金との関係は直接にはあるわけではございません。まあただそういうことで、今後原子力発電を進めてまいります上に、ある誘導的な効果が生まれるであろう、こういうふうにお考えをいただきたいと思います。
  66. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 その御説明もわかるわけですけれども、開発銀行も含めて大きな国の政策なんだという見方をすると、その政策の整合性というものは、はたしてどうなんだろうかという疑問がやはり残るんですけれども、この辺の見方というのは大蔵大臣とするとどういうぐあいに整理をされてお考えになるわけですか。というのは、電力事業というものを見ますと、それは事業みずからの努力で当然おやりなさい、国として助成が必要な部分はやがてみずからの努力で補っていきなさい、これはそのとおりだと思うんです。ところが、片方では電力事業の公共性を裏側に持ちながら、電力料金値上げというものが持ち出されてくる。そういうものを政策としてどう見ていったらいいんだ、答えとして、電力事業を担当している者が、みずからの努力すべき分野なのだと言い切ってしまうのかどうか、あるいは含めて政策の整合性というものを見ていくのかどうか、その辺はどうなんですか。
  67. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 電力事業に対する資金は、もう昔と違って、開発銀行が担当してる部門というものは非常に比重が軽くなっておりますので、したがって、いま総裁からも話がございましたように、開発銀行金利でこの問題の解決をどうこうするということはもう不可能で、別個の対策からこの問題は考えるべきことじゃないかというふうに思っております。
  68. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 深くはお伺いしませんけれども、いただいた資料によりますと、電力事業の設備新規投資の約一割は開銀でまかなっているわけですから、決してそんな少ない比率ではないように思います。  まあそれはそれとして、同じように開発銀行をどう見たらいいんだろうかということを続いてお伺いしたいんですけれども、昭和四十六年度の融資の中身を見ますと、何といっても大どころは海運関係で千百五十三億、その次に私鉄関係が三百四十四億、電子計算機関係が先ほども御説明がありましたように三百九十億、電力関係が二百二十九億、石油が百六十億、公害防止事業団に対して融資をしますものが二百四十三億、これを全部足しますと二千五百十九億、開発銀行融資総額四千二百五十一億の中の約六割を占めます。で、お伺いしたいのは、海運にしても私鉄にしても、電子計算機にしても電力、石油、公害防止事業融資にしても、それぞれ今後減らしていくという見込みはあまり立たない、実際問題とすると減らしていくという見通しが立たなくて、むしろ開銀融資というものが、その事業の当然不可欠な部分として織り込まれていってしまうのではないか。そうなりますと、開銀融資というものは、実は六割はもうひもつきであって、残り四割をどう使うかと、まあこういうことになってしまうんではないか。で、とりわけ海運が一番象徴的だと思うんですけれども、海運がかかえている業界のむずかしさから考えて、開銀融資というものを取り払ってしまったら、業界がいよいよ一そう困難なことになると。まあそれぞれどれをとってみても同じことだと思います。そうすると六割ぐらいが大体ひもつき融資になってしまう、残り四割をどうやって現状さばいていくかと、こういうことになっているんでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  69. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいまお話がございました電力でございますが、先ほどこれは大蔵大臣からお答えいただいたわけでございますけれども、私どもの銀行ができまして十年ぐらいまでの間には、五割八分というような割合が電力に融資された時期がございます。先ほども申し上げましたように、三十八年で石油火力というものを融資対象からはずしたものでございますから、それ以後はずっと割合が落ちまして、実は電力会社に対しまする融資残は、昨年あたりから原子力発電がふえてまいりましたのでややふえておりますけれども、過去四、五年を通じてみますとほとんど残高が変わらないという状況でございます。したがいまして、残高ベースで見ますと、まだ電力は非常に長期融資が多いものでございますから、ウエートが多いのでございますけれども、私どもの融資の中におきますウエートというものは、最近におきましては急速に減退をいたしてきておる。ただ原子力発電というものは、今後相当の期間にわたりまして電力の投資の有力な部分をなすと思われますので、現在、先ほど申し上げましたように、融資対象を整理するというようなことをいたしておりまするけれども、なおふえてまいる可能性はございます。ただ全体のふえ方がどうなるかということによりまするけれども、シェアから申しますると、ふえるというようなことは大体ないんじゃないかという感じで申し上げているわけであります。  海運は、これも四十年代の初めの大量建造というものが始まりました時期には、海運だけで私どもの融資の四割を占めていた時期がございます。それが現在では二五・九%——二六%ぐらいに減少いたしてきておるわけであります。今後におきまする海運政策のやり方でございますが、これはまた政府のおきめになりますことで、私の申し上げることではないと思いまするけれども、しかし、一応現在きまっておりまする四十六年度から五十年に至りまする長期計画がございます、それをもちましても、おそらくシェアは、かつて四割から二割六分まで下がったほどの急なシェアダウンになるとは思いませんが、シェアは減少の傾向にあろうかというふうに考えるわけであります。最近までいろいろ都市開発とかあるいは公害防止とか、技術開発とかいうような新しい仕事をだんだんふやしてまいりましたが、その財源は、何と申しましても政府の借り入れ金をふやしたことによるものでございますとか、同時に内部的には、海運あたりのシェアダウンが当相大きくこの財源になっておるのだということであります。  電子計算機につきましては、これは最近急速に情報化産業関係でたいへん伸びてきたわけであります。今後どういうふうになりまするか。ちょっとまた今後の景気回復にもよると思いますので簡単には申せないと思いますが、過去に伸びたような情勢で今後引き続き、先ほどの日本電子計算機株式会社というものが買い取り、レンタルをいたします、その資金がそうふえるという状況では現在のところないわけでございます。  それから、都市開発の私鉄の関係は、これはまだまだ大都市圏におきまする交通問題はたいへんな問題でございまするので、輸送力増強、都心乗り入れ、あるいはニュータウンあたりに対しまする新線というような問題は、これはまだまだ出てくると思いますから、これはごらんをいただいたかと思いまするが、私どもの全国銀行ベース、それに対しまする融資割合から見まして、数年前に比べましてふえている唯一のものでございます。このほうはまだまだ増加の趨勢にあるのじゃないかというふうに考えますが、いま御指摘のございました大きい項目について申し上げますと、大体そんなことだというふうに考えております。
  70. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの御説明、一言で言ってしまいますと、従来からの海運にしても、あるいは電力でもそうです、そういう融資については絶対額も含めて減少の傾向にいくであろう、あるいはそうでないとしても、割合が減っていくであろうというお話でございまするから、そのお答えをそのまま受け取ると、借り入れ金の限度額を引き上げる理由というのはそこからは出てはこない、そう理解してよろしいですか。
  71. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいま約六割を占めます私どものほうの融資額の大きなものについてお尋ねがございましたので、そういうことを申し上げた。その中でも、私鉄あたりは今後もなおふえるのではなかろうかということを申し上げたのでありまするが、一つは、私鉄は、私どもが都市開発の借り入れの半分ちょっと弱でございますか、それ以外の街区整備でございますとか、流通の問題でございますとか、あるいはニュータウンその他の宅地開発の問題でございますとか、こういう問題は大体都市問題でございまするから、これは今後もふえてまいる傾向にあるかと存じます。  公害防止というものも、これも最近ふえておる項目でございまするけれども、これもまたおととし、去年、ことしというふうに、非常な勢いでふえておるわけであります。本年度も実は融資の見当をいまつけておりますが、公害防止につきましては相当大きな融資の要請がございます。  なお、技術開発という項目がございまして、これは私どもの最近において伸びております一つ項目でございまするけれども、これもまた非常にふえてきておりまするし、今後もふえてまいるのじゃないか。なかんずく産業技術の問題だけじゃございませんで、環境の関係であれ、公害の関係であれ、あるいは無公害工程と申しまするか、公害そのものが出ないような工程、そういうような問題もございまして、そういうような、いわば社会開発的な問題、こういうような問題は、今後においていろいろ伸びてまいると思いますので、私が申し上げましたのは、海運関係であるとか、あるいは電力の関係であるとか、電力も、先ほどもちょっと申し上げましたように、ガスあたりは、実は天然ガスに転換をいたしまするために、本年度非常に金額が伸びてきておるわけでありまして、エネルギーの中でも、たとえば電力はそれほど伸びないかもしれないが、ガスのように、最近になって鈍化してきたものがまたどんどん伸びていかなければならないというものもありますから、全体として、私が申し上げましたのは、シェアが落ちるだろうということを申し上げたわけではございませんで、幾つか御指摘ございました項目のうちで、こういうものは少なくともシェアダウンであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  72. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間が来てしまいましたので、この一問で終わります。簡潔にお答えをいただきたいと思います。  三十三年の四月から、限度額の引き上げが逐年行なわれてまいりました。それ以降融資額が伸びた顕著なものを項目で拾ってみますと、海運、石油、技術開発、体制整備、私鉄、公害防止、地域開発。で、今回は、二十倍に——それは、まあ十倍か十五倍かわからないというお話しはございますけれども——限度額の引き上げが御提案になっております。したがって、ふえるかもしれぬということではなくて、現在の融資規模を、一体それぞれについて、特に大きいものは、現状の何倍くらいにふえると踏んでおいでになるのですか。その額というものは、なまじかな額ではございませんから、よほどしっかりした事業主体でなければ、これはできません。それを含めて、どんな展望をお持ちになっているのか。これを簡潔にお伺いして終わりたいと思います。
  73. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) これは銀行局のほうからあるいはお答えをいただくことかもしれませんが、先ほど大臣からも御説明ございましたように、倍率の点は、財務の健全性と申しまするか、そういうところから、ほかの立法例に一つの目安を立ててやっておられるわけでありまするから、先ほども大臣からもお話しがありましたように、相当長期にわたるものでございまするので、実は政府の経済計画でもそういう長いものはございません。したがいまして、私どものほうは、いま御指摘のございました科学技術でどれだけ伸びるか、都市開発でどれだけ伸びるか、地域開発でどれだけ伸びるかというような、非常に長期にわたる数字をもちまして、その数字が二十倍に当たるということで申し上げているのではございません。ただ、私が申し上げているのは、社会開発的な項目、それから先ほどちょっと申し落としました地域開発という項目がございまして、これは、先ほどちょっと御意見がございましたように、産業の再配置ということでございますから、これは地域開発というものに非常に大きな役割りを持つものかと思います。その結果、これは何%何%ということで、その結果が、こういう数字になっているという背景で、伸びているというわけではございません。したがいまして、今後において、そういうものは相当伸びるであろうから、所要額はふえるであろうという見通しは私ども持っておりまするが、いま栗林委員のお尋ねのような、何で何%伸びるという数字をもとにいたしまして、二十倍になるという数字に相なっておるわけではございません。
  74. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 事業主体について、特に捕捉がございますか。それだけの資金を特にどこの事業主体に、あるいは企業に、地方自治体にやるということについての展望をお持ちになっておりますか。
  75. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 事業主体につきましては、私どもは、設備投資ということでございまして、民間設備投資ということに相なりまするから、主体は企業であろうと思います。ただ、企業と申しましても、先ほどちょっとお話しもございましたような、近ごろ第三セクターという考え方がございまして、政府が加わる場合もございますが、加わりませんでも、公共団体、そういうものと民間とが一緒になって仕事をするというケースがふえてくる。私どものほうでも、流通の関係でありますとか、あるいはおそらくは今度の大規模工業基地の問題もそういうことになろうかと思いますが、そういうような形で、企業ではございますが、その中に公共資本が入っておるというものがふえる傾向にございますし、社会開発というものにつきましては、そういうような主体が今後ふえる傾向にあるということだけは間違いないと思います。
  76. 渡辺武

    ○渡辺武君 質問時間が非常に短かいので御答弁は簡潔にお願いしたいと思います。  今回の改正案の第十八条によって、   〔理事柴田栄君退席、理事嶋崎均君着席〕 開発銀行が新たに出資業務を営むことができるということになっておりますが、ここで言われている「大規模な工業基地の建設事業を行なう者」というのは、どういうものを考えていらっしゃるか。たとえば先ほども質問がありましたむつ小川原開発株式会社あるいはいま九州の志布志湾の開発で問題になっております大隅開発会社、こういうような国や県や、企業の三者の出資によるいわゆる第三セクター、これを考えていらっしゃるのか、その点を伺いたい。
  77. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) まだ計画がきまっておりませんので、正確なお答えをいたしかねるわけでありますが、現在の段階において考えておりまするのは、おそらくは第三セクターのような形のものに相なるかと考えております。
  78. 渡辺武

    ○渡辺武君 この第三セクターについて、ここに産業構造審議会産業立地部会が四十五月九月一日に出しました「大規模工業基地の考え方および開発方式について」というものがありますが、これを見てみますと、この第三セクター方式を今後の大規模工業開発のために積極的に進めることが必要だということを非常に強調しております。そうしてこの第三セクターについて、三つの方式が考えられるというようにいっております。第一方式というのは国が計画を作成し、法人、つまり第三セクターですが、が事業を実施する案、それから第二方式として考えているのは、これは認可法人が計画の作成及び事業の実施に当たる案、それから第三方式として考えているのが、やはりこの三者でできる財団法人が計画を作成し、事業の実施は、国、地方公共団体、民間がそれぞれ分担する、こういうような三つの方式を考えておりますが、開発銀行が今後出資をしようとする第三セクターというのは、この三つの方式の中のどれを考えていらっしゃるか。
  79. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) その点も現在まだ計画がきまっておりませんので、正確なお答えをいたしかねるわけでございまするが、むつ小川原の場合は、先ほど企画庁のほうからお話しがございましたように、そのプランを立てます会社と、それから造成、取得をいたしまする会社を別にいたしておるわけでございます。それを一緒にいたしたほうがいいのか、あるいは先ほどおっしゃいましたもう一つの公共団体を、買い付けの実際の仕事に使う。これも北東の場合には公社ができておるわけであります。その方式がいいのか。これは現在むつ小川原で現実に仕事を進めておられるわけでございますから、おそらくは立案をせられる関係の方々は、そこら辺ごらんになって、いまおっしゃいました三つの方式のどれをとるかおきめになるだろうと思います。   〔理事嶋崎均君退席、理事柴田栄君着席〕 で、それがきまりました上で御相談を受けるということになっております。私どものほうは、出資をいたします関係から申しますると、非常に先行的な、いわば戦略的な投資になるものでございますから、出資をいたす必要があるということでございますけれども、したがいまして、相当大きな金額の要るものに対して考えるというのが普通かというふうに考えます。これもまだ全く案がきまっておりませんので、正確なお答えをいたしかねる段階でございます。
  80. 渡辺武

    ○渡辺武君 具体的にはまだ案がきまってないが、しかし、第三セクターに出資するということについてはきまっておるようでありますけれども、そこで私考えますが、国と自治体とそれから民間企業、特に大企業が実施する第三セクターなるものの根本的な性格ですね。これ一言で言えば、これは大企業に対する国と自治体の奉仕ですね。これを直接に機構的に保障をするものだというふうに考えます。学問的なことばで言えば、国家独占資本主義の新たな機構というふうにいってもさしっかえないというふうに思うのです。この問題を判断する上で、われわれが何よりも最初に頭に浮かびますのは、千葉県がやったいわゆる新千葉方式といわれる開発方式、これは例のあの臨海工業地帯の埋め立て造成を行なうのに、御承知のように三井財閥系の、財閥とはいま言いませんけれども、主力企業といわれる三井不動産と、そして同じ系列の京成不動産、これが三分の二の出資を請け負った。県が三分の一の出資を請け負った。そうしてできた土地の三分の二はこの出資をした不動産会社がこの所有をして、処分もできるということになっておる。その処分ができるまでは、県は固定資産税も取ることができない。そうしてまた、そこにやってくる工場その他のための必要な道路その他の関連施設、公共施設、これは県が全部引き受けてやるということで、結局のところ、これはそこにやってくる大企業、これの利益にもなるけれども、同時にまた、土地を造成した三井系の不動産会社も大きなもうけの源泉になる。事実上、県はこの三井不動産によって食われたといって差しつかえない。これが機構的に第三セクターという形で民間企業も出資をする、それからまた自治体も出資をする、日本開発銀行も今度出資をする、これは国を代表して出資をすることになるだろう、ということになるのですね。これは大企業のために日本開発銀行が奉仕する、言ってみれば国の機構が奉仕する、地方自治体もそういうことになろうかと思う。そういう機構だと見て差しつかえないと思う。しかも、この産業構造審議会のいま言った文章を見てみますと、第三セクターが土地の先買い権を持ち、収用権も持って、そうして農民から公示価格でもって、言ってみれば安く土地を買いたたいて、これを大企業に売却できるというようなことまで聞いている。憲法二十九条は、これは私が申し上げるまでもなく、個人の財産を公共の用に使うときには、正当に補償しなければならぬという趣旨のことがうたわれている。その点からも大きな問題になろうと思うのです。先買い権や、あるいはまた土地の収用権、これを実態は民間企業である第三セクターが握って開発をやっていく、たいへんなことじゃないかと私は思うんですね。そういうものに日本開発銀行が資金を出資するということになると、これは結局大企業奉仕ということになるんじゃないですか。その点どう思われますか。
  81. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 私も、繰り返して申し上げまするように、計画そのものがきまっていないわけでありますから、どういうような形でやっていくのかということを申し上げかねる状況でございます。ただ、私どもが出資をいたさなければなるまいというふうに考えて、政府に御提案を願っておりまするのは、先ほど来申し上げておりますように、相当大規模な土地の造成、取得という問題、これは相当長期にわたって資金が寝ると申しますか、そういうような形で自己資金を充実する必要があるというところから、出資をいたすわけでございまするから、したがって、それが、大規模な工業基地であることは申すまでもございません。ただ、しかしながら、その結果、利益がどういうふうにいくかということにつきましては、これは計画作成の段階で、今日もいろいろ御議論がありまするように、たとえば環境保全の問題あるいは住民対策の問題、あるいはこれに関連いたしまする土地その他の施設の問題、そういう問題も全部含めまして、その上でどういうような形をとるのが一番いいのかということを考えるわけでございまするから、非常に特定のものに利益が片寄るというようなことにならないような案が立つように、私どもは期待をしているわけでございます。
  82. 柴田栄

    理事柴田栄君) 実は大蔵大臣衆議院とのお約束がございまして、ちょうど時間がきておりますので、もし御質問がございますれば次回にひとつお願いしたいと思います。
  83. 渡辺武

    ○渡辺武君 時間がきたようですから一問だけに限って、これは大蔵大臣御答弁いただきたいと思います。  この第三セクターに日本開発銀行が出資をする。しかも、この第三セクターは、私は民法上の法人格になるんじゃないかと思うんですね。むつ小川原開発株式会社、こういう民法上の法人になる。そうなってきますと、地域の住民からしてみるというと、一体この開発の責任の所在はどこにあるかという問題が起こってこようかと思う。むつ小川原、志布志でもそうですけれども、ここで融資する企業というのは、石油精製、石油化学あるいは鉄鋼、あるいは電力、公害産業をえりすぐって出てくるというように思うんですね。ところがそれを実際実施するのが、こういう民法上の法人だということになると、地域住民は一体どこに自分たちの要求を持ち込んだらいいのか、責任の所在がはっきりしない。地方自治体がやるなら、地方自治体にいろんな要求を持ち込むことができる。民法上の法人がやるということになるとたいへんなことじゃないか。それが一点。その点をどう思われるか。  それからもう一つは、国も出資すれば、地方自治体も出資する、民間企業も出資するということになると、国を代表して日本開発銀行が金を出しているわけですけれども、国の責任は一体どの程度のものなのか。  この二点を伺いたい。
  84. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これは地方住民が利害関係を、非常に大きな関係を持っているわけでありますので、地方公共団体と、住民との利害の調整ということが行なわれなかったら、事実上こういう大規模工業の基地をつくるというふうな仕事はできませんので、したがって、そういう調整が十分に行なわれたところでなければ、この計画に対して開銀が出資をするということには現実にはならないだろうと私は思います。  国の責任ということでございますが、これはまだ現実に具体的な計画のできた例がございませんので何とも言えませんが、問題は、これからのつくり方によって、国の責任もいろいろ出てくることだろう思います。さっき私は、これは私の記憶違いかもしれませんが、千葉県の方式ということをおっしゃいましたが、私どもが聞いていることでは、あれは県と民間が何分の一ずつ出資したというものじゃない。県は埋め立て権を持っていますが、埋め立てを民間に許可するについては、資金は全部民間で調達しろ、そうしてできたものについては、三分の一なら三分の一県に造成された土地を提供すること、県はそれによっていろんな道路をつくるなり、公共の用に供するということと、それから造成された土地の値段というものは、県が指定して、開発業者にもうけさせないということで縛ったと聞いております。そのために、民間のほうに非常に不満があって、こういう方式はやめてもらいたいといって、この次からの千葉県の開発方式はやめになったというふうに聞いておりますが、それと同じように、国、地方、民間が参加する場合には、特定の社に利益を壟断されないというふうなことは、計画の立て方によりどうでもこれはできることだと思いますので、したがって、実施計画のときにおいて、十分気をつければ、心配ない問題じゃないかというように私は考えております。
  85. 柴田栄

    理事柴田栄君) 大蔵大臣、お時間がまいりましたので、御退席をいただいてけっこうです。  ただいま議題となっておりまする日本開発銀行法の一部を改正する法律案質疑を一時中断します。     —————————————
  86. 柴田栄

    理事柴田栄君) 所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び相続税法の一部を改正する法律案の以上三案を便宜一括して議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。船田大蔵政務次官
  87. 船田譲

    政府委員(船田譲君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  初めに、所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  政府は、さきの年内減税における所得税の一般減税に加え、老人扶養控除の創設、寡婦控除の適用範囲の拡大などを行なうため、ここに所得税法の一部を改正する法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  まず、所得税の負担軽減につきましては、さきの臨時国会におきまして千六百五十億円の年内減税を実施したところでありますが、これは昭和四十七年度においては二千五百三十億円の減税となります。今回は、これに引き続き老人、寡婦対策に資するため、年齢七十歳以上の老人扶養親族について、通常の扶養控除十四万円にかえて、十六万円の老人扶養控除を設け、また、扶養親族のない未亡人については、これまで寡婦控除が適用されておりませんでしたのを改めて、年所得百五十万円以下の場合には、その適用を認めることといたしております。  次に、源泉徴収の対象となる報酬、料金等の範囲に工業所有権の使用料を加えるほか、確定申告の際に提出する財産債務明細書の提出不要限度を年所得一千万円から二千万円に引き上げることといたしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  この法律案は、昭和四十七年度の税制改正の一環として、中小法人の税負担の軽減と内部留保の充実に資するため、同族会社の留保所得に対する課税を軽減しようとするものであります。  すなわち、同族会社については、各事業年度の所得のうち留保した金額が一定の控除額をこえる場合には、留保所得についての法人税を課税いたしますが、この場合の控除額を引き上げることとしております。この控除額は、現在、所得金額の三五%または年二百万円のいずれか多い金額とされているのでありますが、これを所得金額の三五%または年三百五十万円のいずれか多い金額に引き上げようとするものであります。  最後に、相続税法の一部を改正する法律案につきまして御説明いたします。  政府は、今次の税制改正の一環として、夫婦間における財産相続の実情等に顧み、配偶者に対する相続税額の軽減措置を拡充し、心身障害者である相続人について障害者控除を設けるほか、所要の規定の整備をはかるため、ここにこの法律案提出した次第であります。  以下、この法律案につきまして、その大要を申し上げます。  第一に、配偶者に対する相続税負担の軽減であります。  すなわち、配偶者の相続税については、現在は総遺産額三千万円の場合を限度とする配偶者の法定相続分に対応する相続税相当額を控除することとしておりますが、今回の改正では、これを婚姻期間二十年以上の配偶者については、三千万円を限度とするその取得額に対応する相続税相当額を控除することとしております。これにより配偶者は、法定相続分いかんにかかわらず、その相続した遺産が三千万円までの場合には相続税が非課税となり、三千万円をこえる場合にも負担が軽減されることになります。また、この限度額は、婚姻期間が十年から二十年までの場合は、千万円に十年をこえる一年につき二百万円を加えた金額としております。  なお、現行の配偶者に対する課税軽減措置も存続させ、いずれか有利な制度を利用できるよう配慮しております。  第二に、障害者に対する相続税負担の軽減であります。  すなわち、心身障害者が相続した財産の相続税について、障害者控除を設け、その相続したときから七十歳までの年数一年につき、一般の心身障害者の場合には一万円、重度の心身障害者の場合には三万円の税額控除を行なうこととしております。  第三に、不動産に関する物納制度の整備等であります。  すなわち、賃借権等のある物納不動産について、物納許可後もなお一年以内は、物納の撤回を申請し、物納から金納に変更する道を開くこととするほか、所要の規定の整備を行なうこととしております。  以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法律案につきまして、その提案の理由と内容を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  88. 柴田栄

    理事柴田栄君) 引き続き三法案の補足説明を聴取いたします。高木主税局長。
  89. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 所得税法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、提案理由を補足して御説明申し上げます。  まず、所得税の一般減税につきましては、さきの臨時国会において年内減税として繰り上げて実施したところでありますが、その結果、給与所得者の昭和四十七年分の課税最低限について申し上げますと、夫婦と子供二人の場合では百三万七千円となり、諸外国との比較においても、アメリカの百三十二万四千円には及ばないものの、イギリスの七十九万九千円、西ドイツの七十七万二千円、フランスの百三万六千円をこえて相当の水準に達していると言うことができるのでございます。  今回は、この年内減税に引き続きまして、老人扶養控除の創設と寡婦控除の適用範囲の拡大を行なっているのでありますが、まず老人扶養控除につきましては、これによって約百七十万人の方が老人扶養控除の適用を受けるものと見込まれます。また、寡婦控除につきましては、扶養親族のない未亡人についてはこれまで適用されておりませんでしたのを改め、年所得が百五十万円以下であればこの控除を認めることといたしておりますが、この所得制限を給与所得の収入金額で見ますと約百九十万円ということになり、約十五万人の未亡人の方が新たに年十二万円の寡婦控除の適用を受けることになるものと見込まれます。  また、税制の整備といたしましては、源泉徴収の対象となる報酬、料金等の範囲に工業所有権の使用料を加えたほか、確定申告の際に提出する財産債務明細書の提出を要しない所得限度につきまして、これが昭和三十三年以来据え置かれていることから、最近における所得水準上昇によりましてその対象人員が急増している実情を考慮し、従来の千万円から二千万円に引き上げることといたしております。  次に、法人税法改正案でございます。  法人税法の改正は、同族会社の留保所得課税について控除額を年二百万円から年三百五十万円に引き上げることにより負担を軽減することを内容といたしておりますが、この引き上げにより、同族会社のうち留保金課税を受ける会社数は、ほぼ八万社から五万社に、また、その税額も約二百億円から約百七十億円に減少することが見込まれます。  最後に、相続税法改正案でございます。  今回の相続税法の改正は、配偶者に対する相続税額の軽減措置の拡充、障害者控除の創設及び不動産に関する物納制度の整備の三点がおもな内容となっております。  第一に配偶者に対する相続税額の軽減であります。従来の制度では、法定相続分までの取得財産に対応するものを限度として非課税とされるため、配偶者はその組み合わされる相続人のいかんによって法定相続分が異なるので軽減される相続税額に差を生じ、また、遺産総額が三千万円の場合の相続税額を限度として軽減することとしているため、複雑な計算を必要とするなどの難点がありました。  今回の改正は、これらの点を是正し、相続人の間で意見が一致すれば、相続人の組み合わせに関係なく、婚姻期間が二十年以上の配偶者については、取得額が三千万円までは相続税を課税しないこととして、制度の拡充と簡素化をはかることとしております。  今回の改正の結果、たとえば遺産五千万円を婚姻期間が二十年以上の妻と子供四人が相続する場合、妻がその二分の一を取得したときは、妻の負担は改正前の約三百四十八万円が無税に、妻がその全額を取得したときは、改正前の約八百五万円が約三百六十六万円に軽減されることとなっております。  なお、改正案の方式は、遺産が現実に分割されていない場合や、婚姻期間が十年にならない場合には適用されませんが、そうした場合にも現行の軽減措置がそのまま残されているので、これを利用することができます。  第二に障害者控除の創設であります。従来も心身障害者扶養共済制度による受給権を非課税とする措置を講じて心身障害者の相続税に配意してまいりましたが、今回さらに税額控除を設けることとしたわけであり、仕組みは現在の未成年者控除に準じております。  これにより、たとえば年齢二十歳の重度の心身障害者の場合は、相続税額が百五十万円軽減されることになりますから、財産額では約一千万円を非課税とすることに相当し、障害者につき大幅な負担の軽減を実現できることとなります。  第三に物納制度の整備であります。  相続税では、課税財産を物納できる制度が設けられておりますが、賃借権等のある不動産については、財産の権利関係が錯綜していることから、相続税の納期限において不動産の売り払いの見込みがつかず、やむを得ず物納を選択した者が、その後関係者との間で話合いがつき、本来の納付方法である金納に変更することを希望する場合があります。このため、物納許可後もなお一年間物納の撤回を申請し、物納から金納に変更することができるよう規定の整備をはかることとしたわけであります。  以上、所得税法の一部を改正する法律案外二法律案の提案理由を補足して説明した次第であります。
  90. 柴田栄

    理事柴田栄君) なお、三法案は、衆議院から修正議決の上送付されておりますので、この際、修正部分につきまして衆議院大蔵委員長代理理事山下元利君から説明を聴取いたします。衆議院大蔵委員長代理理事山下元利君。
  91. 山下元利

    衆議院議員(山下元利君) ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案並びに相続税法の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、大蔵委員会を代表して提案の趣旨及び内容を御説明申し上げます。  修正案は、すでにお手もとに配付してございますので、その朗読を省略させていただきます。  これらの修正案は、いずれも各原案において施行日と予定されておりました本年四月一日をすでに経過いたしておりますので、これに伴う調整措置を講じようとするものであります。  まず、所得税法改正案の施行日につきましては、「昭和四十七年四月一日」を「公布の日」に改めるとともに、工業所有権の使用料に係る源泉徴収義務に関する改正規定について、六月一日と定められている適用開始期日を、この法律の「施行日の属する月の翌翌月の一日」に改めることといたしております。  次に、法人税法改正案の施行日につきまして、  「昭和四十七年四月一日」を「公布の日」に改め、これに伴い、改正規定の適用対象事業年度を、「昭和四十七年四月一日以後開始する事業年度」に改めることといたしております。  最後に、相続税法改正案につきましては、「昭和四十七年四月一日」と定められている施行日を「公布の日」に改めるとともに、配偶者相続の場合の新たな軽減措置の要件である財産分割について、本年一月一日から三月三十一日までの間の相続分の分割の期間を十月一日までと定めているのを、施行日前の期間等に係る相続分について、「施行日から六カ月を経過する日の属する月の翌月一日まで」に改めることといたしております。  以上が、衆議院における修正部分の概要であります。何とぞ御審議の上、御賛成賜わりますようお願い申し上げます。
  92. 柴田栄

    理事柴田栄君) 三法案に対する質疑は、これを後日に譲ります。  午後二時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      —————・—————    午後二時二十二分開会   〔理事柴田栄委員長席に着く〕
  93. 柴田栄

    理事柴田栄君) ただいまから大蔵委員会を再会いたします。  休憩前に引き続き、質疑を一時中断いたしました日本開発銀行法の一部を改正する法律案を再び議題といたします。質疑のある方は順次御発言願います。
  94. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 先ほど、四十六年の融資実績についてお伺いしたんですけれども、資料にも載っているわけですけれども、「日本開発銀行業種別融資実績推移(構成比)」これをいただいておるわけです。四十六年度の実績がずっと載っているわけですが、四十七年度のこの融資計画の構成比、こういうものについてはどういう状況になっておりますか、その内容について教えていただきたい。
  95. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 四十七年度につきましては、実は予算、財政投融資計画をきめまして、政府から借り入れ金をおきめ願いますときに、大体の見当をつけたわけであります。いずれにいたしましても、本年度始まったばかりでございまするので、これからやるわけでありまするから、少しく実行に変更があるだろうということはあらかじめ御了承願いたいと思います。  全体の額は四千七百三十億でございまして、お配りしております分類で、エネルギーというところで六百十七億という数字になっております。シェアで見ますると、構成比で見ますると一三%になっております。  それから、海運が千二百二十五億、構成比で二五・九%、これは先ほども申し上げましたように、最近のところにおきましては四十六、四十七、いずれも二五%台にありまして、かつて四〇%台であったという時代に比べますと、だいぶ構成比は低下をいたしておるわけであります。  産業開発関係が七百四億でございまして、構成比で一四・九%ということに相なります。減っておりまする関係は、実は前年度の構成比が二一・二%でございましたから、これは構成比が下がってきておるわけでございます。  情報化産業、具体的には電算機の関係でございます。これは前年度補正額を含めますと四百四十億でございましたが、それが二百五億というふうに減っておりまするのが主たる内容でございます。  体制整備という項目がございまして、これも百八十億が百五十九億に減っておるというような関係でございます。  国産技術開発関係は前年度に引き続きまして増加いたしまして二百三十億ということになっております。  ちょっと御参考までに申し上げておきますると、情報産業関係、電算機の関係並びにいま最後に申し上げました技術開発の両者を合わせますと、これだけで六割を上回る関係にございまして、産業開発ということでございまするが、具体的には情報産業と技術開発が主力であると、こういう状況でございます。これは数年前でございますると、大体七割ぐらいが電子・機械工業あるいは体制整備ということに充てられていたわけでございますが、産業開発の中でもそういうようなものの割合は減ってまいりまして、情報産業関係と技術開発の面がふえてきておるという状況でございます。  それから、その次が都市開発でございまして、これが七百七十四億、割合にいたしまして一六・四%、これは私鉄の関係が三百三十億、これは都市乗り入れの関係、あるいはさっきも申し上げましたような新都市の関係、あるいは安全対策というような関係でございます。  その次に大都市再開発及び流通近代化という項目、これが前年度の三百九十億に比べまして今年度は四百四十四億、これもふえておる項目一つでございまして、街区の整備でございまするとか、あるいは流通センターの関係、あるいは卸センター、大規模商品の取り扱いの流通整備というような関係でございます。  それから地域開発が七百四十億でございまして、これが構成比で一五・六%でございます。  その次が「その他」ということで六百七十億でございまして、構成比で一四・二%を占めますが、半分を少々こえます三百五十億が、これが構成比七・四でございますが、その半分以上が公害防止関係、それ以外が食品団地、住宅産業、あるいは遠洋漁業というようなものが「その他」のところ。  大体いまごらんを願いましたように、エネルギーの関係が、先ほど申し上げました原子力の関係がふえておりますのと、先ほど申し上げましたように、四十七年度に新しくガスの関係がふえてまいったものでございますからエネルギーがふえておる。  海運関係は、金額は少々ふえておるが、構成比は大体同じようなところである。  産業開発は、やや構成比は下がってきておる。これはたまたま情報産業関係で、前年度補正を追加いたしました関係でやや減っておる。一般的に申しますと、一般産業と申しますか、電子・機械工業、体制整備という関係は、構成比におきまして逐年増加をいたしておる傾向にある。  都市開発は先ほど申し上げましたように構成比がだんだんふえてきておるわけであります。  地方開発は大体横ばいであったのでありますが、本年度は一五・六%ということを申し上げましたが、前年度一四・八ということに相なっておりますから、金額がふえておりますのみならず構成比におきましてもふえておる。  公害防止構成比で前年度五・五が今年度七・四にふえておる。  そういうような関係でございまして、ごく大ざっぱに申しますと都市開発、あるいは技術開発、あるいは公害、そういうようなものが相当ふえてきておる。地域開発もまた四十七年度は従来よりは構成比で増加をしてきておる。こういうのが大体の傾向であります。
  96. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それでですね、この資料にもあるのですけれども、産業開発部面のこの石炭関係ですね、四十六年度実績〇・三%となっておるわけですが、四十七年度の融資計画ではどの程度になっておりますか。
  97. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 石炭につきましては、四十五年度でございましたか、現在の石炭の整備計画をそれでやっておるわけでありまするが、第二次肩がわりということを政府がおやりになったわけであります。そのときに、大体今後の石炭関係の所要資金は、石炭の整備事業団というものがございまして、このほうで従来は閉山の関係資金というようなことをまかなっていただいておったわけでありまするが、それを広げまして、石炭鉱業合理化事業団、そのほうが石炭融資の財政資金による主力をまかなっていただくことになっております。したがいまして、私どものほうは、長期的に見て採算がとれると申しまするか、十分な見通しのある計画だけに限定をするということになりまして、私どものほうは、そういうプロジェクトが出てまいれば、融資をいたすというたてまえになっております。したがいまして、当初から金額を予定いたしまして何十億融資をいたすということに相なってないわけでございます。その第二次肩がわりをいたしまして以後、私どものほうがそういうような見通しのついたプロジェクトに限るということになりましてからは、大体二十億内外でございます。先ほど申し上げました四十四年に十七億、四十五年に十八億、四十六年度の見込みが十四億、大体四十七年度実行いたしまして、どういう結果が出てまいりますか、それによりますが、大体そんな金額で最近は推移をしておるというふうに御承知いただきたいと思います。
  98. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 融資の計画決定の基本になるものは何ですか。たとえば全国総合開発とか、こういう国家の大基本を踏まえて融資体制の具体的な融資計画というものがきまっていく、こういうことでいいんですか。どういうことが基本になっているのか。
  99. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申しましたように、計画のでき上がります過程から申しますると、政府が財政投融資計画をおきめになりますときに、これは関係省が幾つかございまするが、私ども御相談を受けまして、大体どの程度の政府借り入れ金をするかということをきめていただくわけです。そのときに、ある程度骨格的なものの詰めばしていただくわけでありまするが、具体的なやり方といたしましては、年度が始まりますと、開発銀行融資の運用基本方針というものを毎年度閣議でおきめ願いまして、私どものほうに指示をいただくわけであります。これは全体につきましての方針でございまして、それに基づきまして、私どものほうが年次の計画を立てまして、各項目ごとに私どもの内部の融資方針をきめまして、それに基づきまして具体的な融資をいたしてまいる、こういう順序に相なっておるわけでございます。
  100. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その閣議決定の運用基本方針というのを私見ていませんけれども、骨格はどういうことになっておるんですか。
  101. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 運用基本方針と申しまするのは、企画庁が中心になりまして、関係省で立案をせられて閣議の決定を得られるものでございまするから、本年度は実はまだ年度開始早々でありましてその運びに至っていないわけでございます。したがいまして、四十七年度どういうような運用基本方針になるかということは、私どものほうからちょっと申しがたいんでありまするが、各個の項目につきまして、一応基本になりますたとえばエネルギーとか海運とか大都市再開発、流通近代化以下の項目につきまして、どういうところに重点を注ぎ、どういうようなところを中心にして融資をいたしてまいるかということをおきめをいただくことになっております。
  102. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうすると、まだ四十七年度の運用基本方針というものは閣議決定がなされておらない、そうすると、いま総裁が言われたことは、おおむね日本開発銀行法の第五条六に基づいて一応業務方針というものを策定した、そういう内容だということで理解していいわけですか。
  103. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 御承知のように、本年度は暫定予算の機会がございまして、財政投融資につきましても、暫定予算に準ずる措置がございます。それに基づきます私ども指示をいただいているわけでございます。これは金額でございます。それに基づきまして、実は暫定予算の期間をすでに若干経過をいたしておるわけでありまするが、年度開始早々の運用基本方針がきまりますまでの運用方針につきましては、政府からいただきました暫定期間運用額、それをいただきまして、私どものほうで暫定的に、運用基本方針決定までの暫定的な運用方針というものを内部においてきめてまかなっておるわけであります。
  104. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それじゃ、私は手続上さか立ちしているのではないかと思いますがね。大綱は、閣議決定でもって、全部それによって、第五条によっていろいろな実施する事項について開発銀行そのものが検討されなければいけない。しかし、この内容は、最終的に大臣の認可を必要とするわけですね。だから、一応大綱をきめて、開発銀行におろして、そうして年度計画その他をやってもらう、その内容は、最終的に大臣承認、こういうことになって、何といいますか、手続がきまっておるのだろうと思うのですがね。そうすると、今回のこの改正法案というものは、あるいはいま総裁が発表された内容というものは、そういうことを経ずしてやられておるということですか、その辺はどうなんですか。
  105. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、運用の基本方針、これもきめておりませんし、私どものほうの法律改正では、若干運用計画に影響いたしまするけれども、そういうものが未定でございまするから、いまのところは暫定的に年度当初の間をどうするかということをやっておるわけでありまして、運用基本方針をおきめいただきますれば、それに基づきまして、金額をきめてまいるわけであります。ただそれでは、先ほどおまえの言った数字はどういうことであるかというお尋ねであろうかと思うのでありますが、これは毎年財政投融資開発銀行に対しまする政府貸し付け金の額をきめていただきますときに、各省が私どもと御相談をいたしながら、大蔵省とも御相談をして、大体こんなことであろうかということをもとにおきまして、財政投融資計画をきめるわけであります。しかし、御指摘のございまするように、あれはあくまで予算のときの一つの心組みでございまするから、したがいまして、具体的には今度運用基本方針もきまる、それを受けまして、私どものほうが年度を通じまする運用計画をきめます、それによりまして、いまそれも年度の経過中に、これは金融の問題でございまするから、ある程度弾力性を持って動く部分がある、こういうふうに御承知をいただきたいと思います。
  106. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 運用上の弾力条項については私はそれはわかります。しかし、この法律改正として国会に審議を持ってくるわけですからね、やはりこの道筋に基づいたところは踏んでくるのが当然じゃないか。少なくともこういう法案を出して、そして四千何百億の融資計画をやっているというのですから、産業投資会計からこれだけ資本金入れておいて、そうして融資計画を立てて、そしてやっていくのが道筋ですから、これは政務次官、どうでしょうか、基本要綱をきめずして、それでいま銀行自体の中で計画をして、最終的に大臣承認、確認へ持っていかなければいけない、そういう意味で法律というものを改廃していく、こういうものに対して一切その手続上抜きにしちゃって、それでいまやっているような審議やっても、どれだけ前途に対して責任を持てるのか、私は非常に疑問なんです。これどうですか、見解は。
  107. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 開銀融資の残高につきましては、従来からの残高の繰り越しと申しますか、ございますから、これから進めてまいります融資のやり方につきましては、いろいろな先生方の御方針を勘案いたしまして、十分注意をしてまいりますけれども、一気にいま六〇%、これをさらに地方開発あるいは社会開発に傾斜配分をしろということにつきましては、なかなかむずかしいことがあるかと思いますけれども、御趣旨のとおりにやってまいりたい、できるだけ従ってまいりたいと存じます。
  108. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私の言っているのはね、少なくとも法案の改正ですから、そういうものに対する指針というものがあるだろう、いまお伺いすれば、この開発銀行融資計画そのものを見ても、基本的なものは閣議決定だと、こういうのですね。そして開発銀行法第五条によって、こういうことを銀行が、最終的に大臣の認可を必要とするわけです。いずれにしても、大臣が責任があるわけなんです。そういう手続を経ずして、いまこういうことで審議してくれといっても、前途に対する責任度合いはどれだけ持てるのかということに疑問を持つわけです。だから、そういう問題に対する見解は一体どういうふうに考えるのか。
  109. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 開発銀行法の第五条は定款の問題でございますから、定款のほうの問題は実は本年度にはございませんので、ただ、戸田委員御指摘のように、法律改正という問題がございましたので、当然法律改正が成立いたしまして、その趣旨に従った運用をなされるわけでありますが、先ほど来申し上げておりまするように、年度開始早々のことでございまするので、前年度に大体審査をし、あるいは話を聞いているようなことが年度の初めに出てまいっておるのでございまするから、したがいまして、この年度開始早々今日まで一カ月余を経過いたしたわけでありまするが、その期間におきまする暫定的な運用につきましては、これは大体従来からいただいている御方針の範囲内、金額的にもまだそう大きな額が出るわけじゃございませんので、そういうことで暫定的な運用をいたし、それから第二段には、基本方針政府でおきめをいただきます。これは先ほど来申し上げておりまするように、すでに予算のときにある程度議論を詰めていただいておる問題でございます。したがいまして、そういうようなことを頭におかれて運用基本方針をおきめいただくわけでありまするから、私どものほうの具体的な運用をいたしますのに、先ほど申し上げましたような数字は、予算のときに大体こんなことであろうかというような心組みで詰めた数字でございますから、それを具体的な運用基本方針に照らしまして運用をいたしてまいる、こういうことに相なるわけであります。
  110. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 お伺いします。確かに第五条は定款に関する条項ですね。しかし「六 業務及びその執行に関する事項」、これは従来、いまの業務内容というものも入るだろうと思うのです。それに基づいて銀行自体としては融資計画その他も含めて策定をしていくんだろうと思うのです。いずれにしても、これは大臣認可を必要とするわけですね、最終的に。それは必要としませんか。
  111. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 私どものほうは運用基本方針をいただきまして、その融資をいたしまする段階で、たとえば融資計画というようなものでの政府によります認可という手続はございません。
  112. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 政務次官にお伺いしますが、閣議決定の基本要綱の土台は、どういうことを判断されて決定されますか。いままでの経緯はどうなっていますか。
  113. 船田譲

    政府委員(船田譲君) いまの、銀行局長から正確に答弁いたさせます。
  114. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) 先ほど来お話がございましたような、順序の問題も含めて申し上げますと、まず予算実施の段階におきまして、財投計画の策定時に各省間の相談がございます。そこである程度実質的な事項が固まるわけでございます。そしてその予算についての国会の御審議の結果を踏まえまして、政府産業設備資金に関する運用基本方針がきまるわけでございますが、もう一つの要素は、今年は特に法案の御審議をお願い申し上げておるわけでございますので、その法律案の御審議の結果を踏まえまして、その予算審議と、法案審議と、その両方の結果を基本計画の中に織り込むという形で、運用基本方針ができ上がるということになろうかと存じます。したがいまして、現在のいろいろな御提出申し上げております資料は、先ほど総裁から御説明がございましたように、ただいま現在における暫定的な数字として御説明を申し上げておる次第でございます。
  115. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで具体的にお伺いしますが、四十六年実績で石炭会計は〇・三%、四十七年度の融資計画にはどの程度入っていましょうか。
  116. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、石炭につきましては、具体的なプロジェクトを見まして融資をいたすというたてまえになっておるものでございまするから、これは「その他」ということの中でいろいろな要素を織り込みまして、ある概数がございます。その中で捻出をいたす、先ほど申し上げましたように、最近のところは十数億というような金額に相なっておるわけでありますが、そこら辺も頭に入れまして「その他」の額を組んでおります。したがいまして、二%に当たる数字がどの程度に当たるかということを今日まだ申し上げかねるわけであります。最近のところでごらんいただきましたような、先ほど申し上げました数字でございまするから、その数字と多く違うことはなかろうという程度のことを今日申し上げることができます。
  117. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは政務次官にお伺いしますけれども、政策の一元化という方式で私は疑問に思うのですがね。その過日の石炭特別会計がいろいろな審議しました。予算書の六五ページにもございまするし、石炭勘定を設定して、それでこの石炭鉱業の再建及び安定をはかるために、四十六年度に引き続き、元利補給金九十四億九千三百万、こういうことで出して、なおかつ重油の売り上げその他についても全部投資して、それで一定予算をとって、特別会計で、再建や合理化、機械近代化や、あるいは資本の流用やあるいは転業、その他各般にわたってそこでやるということになっておるのですね。そしてなおかつこの開発銀行融資状況にまいりますと、ここでもまた四十六年度までずっとこう出ているわけですね。はなはだしきは、石炭特別会計が実行されて以降も、約六%台は常に出ておる。昨年は〇・三%、今度の四十七年度計画では十数億になろうと、こうなると、石炭勘定を設けてせっかく石炭特別会計でやっていくぞ、こういうことで約束しておりながら、こちらからもということは、どうも政府としての一元化方式からいけば、どこかに集中的に寄せたらいいじゃないか、石炭会計なら石炭会計、そういう中で、この石炭の、いま斜陽化しているものを再建をしていくとか、いろいろな諸事業がございましょう、そういうものの充足体制をはかるとか、これ同じ政府がやることですからね。何かこう隠し金みたいなものをそっちこっちから集めてまたやるのだということは、どうも政策的に芳しくないのじゃないだろうかという気がするのですがね。この点の見解はどうでしょうか。
  118. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 詳しくは総裁から答えていただきますけれども、私もはなはだしろうと的な考えでございますけれども、一応述べさせていただきますならば、石炭及び石油の特別会計ができましたときに、従来と違いまして、十二分の二は石油関係のいろいろな政策に使うというような形で整理をして、つまりいわば調整をしてきているわけでございますが、なおいろいろと調整を要することももちろんあると思います。しかし、従来からのそれぞれの融資なり、あるいは国の財政の支出についての特別会計なりは、それなり使命を持っておるものでござますから、なおしばらく、ある場合においては一見重複しているような感じを与えることもあるかとも思いますけれども、御趣旨のような形に次第になっていくものと私は考えております。
  119. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 補足して申し上げますが、石炭の特別会計から融資もいたしておるわけであります。これは御承知のように、無利子の融資でございまするから、たとえば運転資金の関係でありますとか、あるいは振興開発関係でございまするとか、そういうものにつきましては、いまお読みいただきました九十四億という金は、そういう積算をもちまして出ておるわけでございます。それ以外に私どものほうが融資いたしておりまするものは六分五厘の金利を払ってもらっておる、しかもこれは、銀行のことでございまするから、元利の償還をしていただくわけであります、石炭特別会計のほうでも、もちろん元金償還はございまするけれども。したがいまして、そういうような計画に対しまして、私どものほうは融資いたすわけであります。したがいまして、その分は石炭の特別会計のほうから出されました無利子資金とは別のことになるわけでございますので、私どものほうでは、そういうような長期の計画が立ち、それだけの収支が成り立つというようなものにつきまして私どもが融資をいたす、しかし、これは六分五厘である。こういうような状況でありまするので、両者の関係と申しまするのは、合理化事業団がそういうような融資をいたすことになりまして以来、そういうような区分をいたしまして、長期の採算見通しの立っておりまする計画は、それは石炭特別会計に入っておらない、こういう関係でございます。
  120. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ石炭勘定から行くものは無利子、確かにそのとおりなんです。だから、借りるほうとしては、そのほうがはるかにいいわけですね。だったら石炭勘定に入れて、特別会計から一切そういうものをまかなっていく、これでやりなさい、これでもいいじゃないかと思うんですね。あえて六分五厘を出して、さらにこの開発銀行からの融資をして——それだけの能力ないと思うんです、私いまの石炭に。だから、石炭特別会計を設定して、特段の配慮をしたというのが政策的な考えであって……。そういう見解はどういうふうに考えるんですかね。
  121. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、石炭特別会計から、合理化事業団を通じて融資せられます部分は無利子でございますから、これは石炭のいまなかなかむずかしい状況でございまするけれども、すべてが無利子でなければならないということではございませんので、やはり六分五厘ぐらいの金利を払い、ある程度の元利償還計画を持ちましてやり得るものがございます。そういうものにつきましては、無利子の政府特別会計から来る金ではなくて、私どものほうで利子を払っていただいて元利を償還していただくということのほうが、財政資金の使い方としては、そのほうがより効率的であろうということであろうかと思います。私どものほうでやっておりまするのは、したがいまして、そういうような元利の支払える計画、それに対しましては、財政投融資のほうで利子を払って元利を償還する、こういうことでございますから、無利子でなけりゃならないものは石炭特別会計に持っていく、そういう区分に相なっておるわけであります。
  122. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、都市開発の、いわゆるこの私鉄輸送力増強の問題ですね。で、この内訳を見ますると京成、小田急、京阪、こういうところにそれぞれ四十四億、三十七億、三十二億と行っておる。しかし、地方の中小私鉄は、最近このたとえば宮城県に三社あったのが一社に合併した。合併したことによって、一面は合理化その他いろいろやられたわけですが、しかし、こういうところで一番困っているのは、やっぱり資金上の問題。ことにいま全国的に四十六都道府県、今度沖繩が入りまして四十七ですが、そういう中で、大多数は過疎現象によって赤字路線を、自動車を走らしていかなければならないというので、非常に経営上むずかしい点が出てきているんですね。だから、そういうところまで一体この開発銀行融資対象というものの範囲を拡大できないものかどうかですね。それは確かに京成にしても小田急にしても京阪にしても、それぞれ必要なことはわかるんですよ。同時に、そういう中小の地方の過疎現象における足を守っておる——それはもう出血状況でありながらも、これはやっぱりその県内に入れば一つの交通動脈としてやっておるわけなんです。だから、こういうものに対して市中銀行から融資をしてもらおうと思っても、採算状況の帳簿の悪いのにはあまり喜んで貸さない。むしろ圧力を加えてきて、お前たちのほうはこのくらい企業整理をやらなければ、あるいは赤字克服策というものが前途見通しができなければ、それは融資はできませんぞと、こうなる。これは全国的にそういう趨勢になっている。だから、そういうところに国が一つの当面融資政策でもとっていく必要があるんじゃないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。これは全体として三百四十四億の、四十六年度の実績には。今回の四十七年度では幾らですか、都市開発七百七十四億ですから、どのくらいになるかわかりませんが、やはり融資計画の中には載っているわけです。そういうところまで結果的に融資対象のワクというものを拡大できないのかどうかですね、その辺の見解はどうでしょう。
  123. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 都市再開発のほうから出ておりまするのは、先ほど申し上げましたように三大都市圏と申しまするか、東京、大阪が多いわけでございまするが、これの都心に乗り入れます地下工事あるいは高架の問題であります。そういう輸送力増強——最初にお読みいただきました会社の分は、成田に参りまする新線の関係でございまするが、そういうような新線建設ないしは都市開発の一番重要なポイントでありまする都心の輸送力強化という点にあるわけであります。これは非常に金が御承知のようにかかりますのと、採算もよくないものでございまするから、私のほうで特定工事ということで七分の融資をいたしているわけであります。  それから、ただいま戸田委員の御指摘のございました地方の、主としてバスでございますが、私鉄の関係でございますが、これは別途運輸省が、たしか数億の金であったかと思いますが、地方私鉄の補助をしておられるわけであります。それらは、補助をいたさないと、非常に赤字になるというようなものに対する措置かと思いますが、私どものほうは、いまお話のございましたバス路線を相当強化をしなければならない、ことにワンマン・バスというようなことで、できるだけ省力化をする必要がある。そういうような場合のバスの購入、あるいはそれに関連いたしました敷設、そういうものを私どもは地域開発というお金がございまするから、主としてそのバス路線の強化と申しまするか、そういうものを中心に地方開発の中で融資をいたしております。四十四年におきまして二十一億、四十五年におきまして十三億というような金額を支出をいたしております。おっしゃいますように、今後もそういうような地方バス路線の強化ということにつましては、一つ一つのプロジェクトを見まして、先ほど申し上げました地方開発の金の事で、従来も融資をし、今後もいたしたいという状況でございます。
  124. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 わかりました。  それで、こまかいことで申しわけありませんが、開発銀行の貸し付け・保証限度の問題でございますが、四十七年度貸し付け・保証限度、これは六倍でいくと計算をされておりますから、結果的に七ということになると思いますが、それでまいりますると、四十七年の三月末現在で二兆四千三百六十一億、四十八年の三月末現在で二兆五千三百八十七億、これが今回の法案改正でもって借り入れ金が自己資本の二十倍、これになった場合はどの程度になっていくのでしょうね、この貸し付け・保証限度は。それから十倍の場合はどのくらいになりますか、ちょっと数字的に教えてください。
  125. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 二十倍の場合には七兆六千という数字に相なります。それから十倍の場合にはその半分でありますから三兆八千であります。
  126. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますると、改正案二十倍でいきますと七兆六千、十倍でいきますと三兆八千億、こういうことになるんですね。四十七年度の一応の試算でいった場合には、大体四十七年三月末現在でもって二千百六十三億円の不足を生ずる、こういうことなんですね。そうしますと、かりに、これはどうなっていくかわかりませんが、十倍、二十倍になっていく。膨大な数字になっていくわけですね。その運用はどういうふうに考えておられますか。今後の、改正以後の貸し付け・保証限度が相当膨大になっていくわけですが、その辺の運用は、改正以後。
  127. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ちょっと最初に、一倍がベースになるものでございますから、三兆八千億と申しましたが、不正確でございまして、三兆九千八百九十億でございますから、それを訂正いたします。  ただいま申し上げましたような、十倍なら幾ら、二十倍なら幾らという数字に相なるわけでございまするけれども、これは、それをいつまでに達成するとか、何年度を見込んでということを申し上げているわけではございませんのは、午前中大蔵大臣あるいは銀行局長からも御答弁のありましたとおりであります。したがいまして、今後どういう伸び率で伸びていくかということに相なるわけでございますので、その倍率と、今後におきます日本開発銀行融資のやり方、あるいは政府借り入れ金の財政投融資に計上されまする額のきまり方、それは直接には関係はございません。毎年ある割合で伸びて、その額に達するまで——本来、先ほどもお話にございましたように、財務の健全性というワクでございまするので、今後何年後にどうなるということを目標にしてそのワクをきめているというわけではございません。
  128. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは、融資領域別の適用利率の問題、どうもわれわれ考えますと、地方開発、いわば国土開発ですね、等々の問題については、大体八%ですね、地方開発も大都市開発にしても。融資内訳内容を見ますると、大体企業を対象に融資をしていくようですから、無理もないような気がいたしますが、しかし、もちろん技術開発とかエネルギー開発になると、六・五%台におりてくる。いわば適用利率の算定基礎といいますか、考え方ですね、これは、どういうところを基準にしてこういう利率相違というものが出てくるのか。その辺の基本的な考え方についてひとつ説明していただけませんか。
  129. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 開発銀行法に規定がございまするように、民間融資の、設備金融の奨励または補完ということに相なっておるわけでございまするので、民間融資利率に対しまして、競争的な関係に立たないということが一つの本旨でございます。したがいまして、御指摘になりました八分という、いわば基準利率ということを申しておるわけですが、これは、市中銀行の長期の貸し出し利率、これが動きますのに大体応じまして動かしてきておるわけであります。現在、八%というのが、民間の長期貸し出しの場合におきまする基準の利率になっておるわけでございます。先般まで八分二厘でございましたが、それを二厘下げて八分になりましたのは、民間の長期貸し出し利率のそういうような変化に合わせてやられたわけであります。これが基準利率でございまするから、それで基準をきめるわけでございまするが、私どものほうは、政策融資ということをやっておるわけでございまするけれども、これは政策の強度と申しまするか、政策要請の強いもの、政策要請はあるわけではもちろんございまするけれども、それほど強くないものというものが一つございます。たとえば海運あたりになりますると、これは、政府で長期にわたります海運の増強の計画を持っておられまして、計画造船の毎年のトン数というものもきまっているわけであります。それを定期船以下にどう分けるかということは、毎年きめるわけでありますが、そういうような政府の建造政策に基づきまして、融資比率もきまっておる。あるいは利子補給の利率も最近下がっておりまするけれども、利子補給をするというような政策、いわば強度の強いものがございます。それと、もう一つは、融資を受けまする側の支払い能力と申しまするか、そのプロジェクトが非常に公共性は強いが、収益性は乏しいというものがございます。その両者を組み合わせまして、特別利率をきめておるわけであります。これには、私ども、六分五厘で政府から借り入れ金を拝借いたしておるものでございまするから、六分五厘というところが一番大体底になっておりまして、六分五厘以下というわけにはまいらないというやり方をやっておるわけであります。でございますから、ただいま御指摘になりました国産技術開発というようなものにつきましても、これは、何といっても、国産技術で今後の経済をまかなっていかなければならないという政策があるわけでございまするが、同時にまた、これは、非常に企業としてリスクの多いものになるわけであります。したがいまして、こういうようなものは六分五厘の一ぱいの利率を見ておる。それから、先ほどもちょっと申し上げました私鉄の都心乗り入れというふうに、キロ当たりの経費は非常な経費がかかって、しかも収益性の乏しい、そういうようなものを見まして、これは七分であるというようなきめ方をいたします。これは、各個の場合におきまして、各省、大蔵省、そういうところとも御相談をしながら、毎年毎年、新しく、どういうものを特別利率にするか、先ほど、午前中にも申し上げましたが、たとえば原子力発電あたりになりますると、いままで六分五厘であったが、ここら辺で七分に上げようじゃないかというようなことを御相談をいたしまして、毎年毎年見直しをいたしまして特別利率の調整をいたしておる、こういう状況であります。
  130. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから、退職者一覧表の資料をいただいておるわけですが、午前中も大臣方針についてはお伺いをしたわけです。かりに今後われわれが主張したことを政府が実行の中で生かしていくということであるとするならば、やはり、現行七割三分程度天下りしてきたものが、三割台に大量に減ずるわけです。当然開発銀行そのものの人を登用していかなければならないかっこうになってきていますね。だから、いままでは、行内登用というものは大体部長クラスでオミットされちゃうわけですね。あとは、役員なんというものは、みんな天下ってきた者で占められておる。そしてなおかつ、この退職者一覧表というものを見ましても、開発銀行からよそに転出をしていく場合は、たいがい常務、専務になって行くわけですね。こういう一つの昇職の道がずっと一貫してとられてきておる。だから、そういう意味合いにおいて、急激にこれは、七割三分から三割台にことしから、おそらく四十七年の七月以降、大蔵省の人事配置がきまる際ということでありますから、そういうことになる。そこで、三割程度になっていく、そうすると、いままでの人員の四割程度少なくなっていくわけですね。それはどこかで埋め合わせをしていかなくちゃならないと思うのですけれども、そういう具体的な人事運用等について、総裁として、どのように一体考えておられるのか。内容の具体的な問題についてひとつ説明していただきたいと思います。
  131. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど午前中に大蔵大臣もお答えございましたように、衆議院の附帯決議の御趣旨に従って運用してまいるということを申されたわけであります。私どもも、その方針でやるわけであります。これは、従来からもそうでございまするが、企業側の要請がございまして、その内容をもしお尋ねがあればまた申し上げてもよろしいわけでありまするが、今後ももちろん押しつけるようなことではないので、要請のあります場合に絶対に限り、しかもこれを必要最小限度にとどめようというわけでございまするが、その中にございまするように、出向という制度もございまして、要請がありました場合に、出向にするか退職にするかという問題がございます。出向制を極力活用してやればいいではないかというお示しでございます。私どものほうも、その趣旨で、できるだけ出向制度で、どうしても必要だという場合にはまかなうようにいたして、退職者というようなものは三割というような割合を目標にして押えてまいりたい、こういうつもりで人事の運用をやってまいりたいというふうに考えております。
  132. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この開発銀行法の第二章は「役員及び職員」ということになっているわけですが、この中で、ことに参与というものがありますが、第十条でもって理事は八名以内ということに明確になっております。この参与というのはどういう内容になっておりましょうね。
  133. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 民間の場合と比較をいたしますることは必ずしも適当でございませんけれども、非常勤役員というようなものがございまして、民間の場合でも常勤をいたしております出向役員に対しまして、ある程度広い立場からいろいろ報告もし、アドバイスも受けるという制度がございます。御承知のように、日本銀行あたりにもございます。私どものほうの参与というのは、現在六名であると思いますが、そういった民間経済界の長老の方々——一人学者の経歴の方が入っていらっしゃいますが——いずれにいたしましても、私どものほうも、月に一回参与会というのを開きまして、私どもの毎月の業務の報告、そのときに起こっております重要な問題の報告をいたしまして、そういうような経験と学識の豊富な方々からいろいろアドバイスを伺う、こういうような仕組みに相なっておるわけであります。
  134. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それは、総裁や副総裁の任命は内閣総理大臣、こういうことになるわけですが、参与の人事、これは総裁任命ということになるわけですね。だから、ここでほんとうに総裁がそういう気持ちに立っていかれるならば、今後の抜本改善は、私は、とれるだろうと思う。いまの参与の構成を見ましても、私たち聞いているのでは、言ってみれば、業界代表だけが顔をのぞかせている。いま、確かに総裁が言われたように、学識経験者、一名程度いるでしょう。しかし、もっと、やはりこれは学識経験者の、言うなれば中立を保持できるようなそういった者、全部とは言いませんけれども、六名構成の中に半分くらい占める。いまの審議会というものは、大体そういう構成でやられていると思う。全部そういっておりませんけれども、もう少し、そういう意味合いで、この構成を変えていく必要があるのではないかと思うのですね。あらゆる銀行業務の、いま言われたように、報告やあるいはアドバイス等を受けるにしても、やっぱり一面にだけ立っている者であれば、うまいぐあいにいかぬと思うのですね。やっぱり公平な意味で、全般的な施策の中で、融資体制をどうするか。どうしても、やはりそういうことになれば、構成の中で、この学識経験者等をもう少しふやしていくというようなことはできないのかどうか。  それから、理事の場合でも私は同じだと思う。同じようなことが言えると思う。そういう問題についても、総裁としてもう少し検討に値するんじゃないかと思うのですが、その辺の見解はどうですか。
  135. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 参与にお願いをいたしております方々は、やはり私どもの仕事の関係の深い方がおられます。しかし、その方々は、当該業界を代表して出ていらっしゃるということでは必ずしもなくて、非常に長い経験を持っていらっしゃいますし、そのお仕事の内容から言っても、自分の業界だけにかかわることのないような立場の方々ばかりをお願いいたしておるわけでございまするから、したがって、特定の業界の利益を参与会でおっしゃるというわけには、現実の運用におきましても、なっておりません。  なお、いまおっしゃいまするように、そういう経済界の方々ばかりじゃなくて、もう少し広い意味で考えてみたらどうだというお話しでございますが、その点につきましては、現在一名でございまするけれども、学者の御出身の方にお願いをいたしまして、経済界の御出身でない方に広い目で見ていただくということをお願いをいたしておるわけでございますが、何といっても、開発銀行というのは、融資の業務をやっているわけでございまするから、政策の立案の場合の審議会というのとは、いささか趣を異にいたしておるわけでございまするので、やはり、非常に長い経験と、非常に幅広い経験をお持ちの方に、いま申し上げましたような学者の御出身で、同時に、また、幅の広い視野を持っていらっしゃる方にお願いをするということで、いまの構成で大体、まあこんなところであろうかというふうに考えておるわけでございます。  なお理事につきましてお尋ねがございましたが、理事は現在八名おりまするが、内部からの出身者が四名、それから外部、これは役所の関係及び日本銀行関係でございまするが、その出身の人が四名、大体そういうような構成でやっておるわけであります。
  136. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 参与だけでけっこうですが、具体的に氏名と役職をちょっと発表していただきたいと思います。
  137. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) じゃ、いま書きましてお届けいたします。
  138. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 これは、参与の任期は二年ですね。法律上は再任を妨げませんが、次期改選期はいつになっておりましょうか。二年の任期切れはいつになっておりましょうか。
  139. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) この方々は、ある一斉の任期をもってかわっていらっしゃるわけでないものでございますから、昭和二十六年当行発足以来、この制度は続いておるものでございますから、任期はときどきにばらばらにまいるという関係にございますので、いつ一斉に任期がくるというわけではございません。
  140. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 一斉にこなくても、二年目ごとには更改期になるわけですから、再任その他でやってこられても、そういう状況になっておるわけですから、いまおそらく名簿くるだろうと思うのですが、これは全く業界の、確かにその人自体で考えるなら、広範なきわめて卓越した見識を持つ有能な方だと思うのだが、どうしてもこっちに寄ってしまいますと、何か総裁には、どういうことでも賛成するようなそういう人が多いように私は思うのです。もう少し総裁に具体的な意見を言えるような、そういう人も、やはり備えておいてもいいのじゃないかと思うのですが、その辺は総裁どうですか。
  141. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 具体的な人の名前は後ほどごらんいただくと思いまするが、いずれも非常に経験の深い方々でいらっしゃるわけでありまするから、ただいまのおことばのように、私に御遠慮なさって御発言なさるような方ではなくて、それは私どものおりますところで御自由に御発言をいただいておるわけでございます。
  142. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 私の言っているのは、総裁に遠慮してものを言わないということじゃなくて、大いに言うのだけれども、総裁とすべて一致してしまうということが、どうもやっぱりそういう意味では困るのじゃないかというようなことであって、理事の場合でも、私はそうだろうと思うのです。そういうことについては、もう少し本来の融資体制についても、大臣が言われたように、社会資本充実なり、あるいは公共福祉なり、公営事業なり、こういうところに、いまの高度成長で、重化学工業中心にやってきたパターンというものを、軌道修正していくのだというようなことを、若干前途に対する勇気あるような人も一、二入れてもいいのじゃないかと、こういう気がするのですが、これはどうですかね。総裁として検討する意思はありますか。
  143. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 理事のほうのお話でございまするが、本行内部の出身者と、外部の出身者と相半ばいたしておるわけでございますが、内部の出身者も、もちろんこういう社会開発に非常に重点が置かれておる業務の中で育ってきた人でありまするから、これはもちろん業務の精通者でございますけれども、同時にまた政策のあり方、今後どういうふうに開発銀行方向を持っていくべきかということについて意見をもちろん十分に持っておる人たちでございまするが、同時にまた、各省なり、日本銀行あたりから来ておられる方々は、これはやはりそのおのおのの経歴において、まさに社会開発とか、そういうような政策転換政策の重点化というものに深い経験を持っている人たちでございますから、私どもそういうような人たちと合議をいたしまして、よく政府がどう考える、あるいは世の中でどう考えるかというようなことは、いまの仕組みで相当反映し得る仕組みになっておるというふうに考えております。
  144. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一つは部内登用ですね、これはやっぱり私は役員の領域まで登用を広げていくべきだと思うんです、ずばり言って。そういう点の考えはどうですか。
  145. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げましたように、役員の半分が部内から出身した人間でございます。その数をあるいはもっとふやしてはどうかという御意見であるのかもしれませんが、私どものほうは、御承知のような非常な数の多い政策金融、役所にいたしましても数省にわたります仕事をいたしておりまするものでございまするから、その政策を十分に反映し得るという意味でやはりそういうような経歴の出身者がいてもらうことが、政策政府考えるところを具体的に実現してまいります上で、部内出身者が半分、外部の出身者が半分というようなところが一つのまあ目安であろうかというふうに考えます。
  146. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま参与の六名の氏名いただきました。御存じのように、融資先の代表メーカーの代表なんですね。だから、何ということはない、業界の代表がイコールいま開発銀行の参与になっていると言っても私は過言じゃないと思うんです。融資内容を見れば——たとえば新日鉄の社長さん。あるいは東洋紡績相談役。あるいは木川田さん、これは総理諮問の政策審議会委員でもあるわけですね、東電の会長さん。それから植村さん、経団連の大御所ですよ。それから東畑精一さん、これは税調の会長もやっておられます。あと有吉さんでしょう、これは日本郵船会長。そうすると、みんな鉄や造船やこれ融資関係にいくんだから、たとえば四千三百何がしと言ったって、業界の代表が行って総裁と相談をして適当に金を分担方式で使っていらっしゃる、まあこんなことに直感的に印象を受けるような人的構成なんです。これでは、だれが見たって、開発銀行本来の法律に基づいた目的や何かでもってほんとうにこれからやっていこうという公正、適切な運用、融資体制ができるのかどうか。この実態を見てもそうですし、メンバーを見てもそうです。だから、もう少し——業界代表を入れるなとは言いません。あなたのほうの政策立案、相談あるいはアドバイス、いろいろあるでしょう。だから、それは代表一名とか二名なら私も了解しますよ。それで、あと学者のそういう面に対する専門家もいるわけですから、あるいは実際融資を受ける、使っていく、その業界のほんとうに苦労しているそういう者もいるでしょう。そういう者を総合的に判断をして、人的構成というものをやるべきじゃないか。これじゃあまりにも片寄り過ぎていると思いませんかと、こういうことですが、どうですか。
  147. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど来申し上げておりまするように、融資関係のある業界の方もおられますが、しかし、まあ皆さん御承知でいらっしゃいますように、これらの方々は必ずしも当該業界の利益だけを考え、当該業界の立場だけを考えて御発言なさる方々ではございませんので、長い経験も持っていらっしゃいますし、幅の広い視野も持っていらっしゃいますから、したがって、政府の持っております政策、それをどう理解をし、どう融資の上に具体化していくかということにつきましては、十分な識見をお持ちであるというふうに私ども考えるわけであります。まあ一人学者の方がいらしゃいますけれども、この方は全く業界に関係ございません。ほかの方々もみなある程度会社の関係のおありの方もございまするけれども、私どもが承知をいたしますところでは、当該業界、なかんずく当該会社のことについて御発言なさるという例は全然ございませんから、そこら辺は全体を考えてこの方々は御発言をいただいておりまするし、十分それで私どもに対するアドバイスとして拝聴いたしておる次第でございます。
  148. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと関連して。  人が中心になって企業動きますね。それが寡占、独占化していくわけですね。そういう企業が発展していく中での個人というものは、それは確かにりっぱですね。しかし、いま当面している日本の問題というのは、そういう企業の、言ってみればエゴイズムが非常に問題になって、それで今度名称を変えて、融資の対象を変革させてきたという、そういう経緯があるわけですよ。だから、いま戸田委員が言うように、なるほど人で運用されておるんですから、人は確かに大切で、その立場立場で用いることがいいと思うけれども、目的が変わってきたときに、それでいいかという問題があるのじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
  149. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 私どものほうの融資の重点が変わってまいりましたことと、それから具体的には参与のお話でございますか……。
  150. 横川正市

    ○横川正市君 ええ。
  151. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 参与の方々が代表しておられた業界との関係かと思いますが、先ほど来申し上げておりまするように、具体的な鉄の融資あるいは繊維の融資あるいは電力への融資ということにつきましての御議論を、そう、いただこうとは思っておりませんので、開発銀行全体としてのこういうような融資のこと、それは、たとえば毎月具体的なものが出てまいりますから、具体的なものを中心にして議論をすることには相なるわけでございまするけれども、しかし、全体の方向に照らして、どうであろうかという御議論であろうかと思います。それには、私どもの考えますところでは、いま参与になっておられる方々は、先ほども申し上げておりますように、自分の関係会社あるいは自分の関係業界、そういうものの立場を離れてお話しをいただいておると思っておりまするし、またそういうふうなお立場の方々ではなかろうかというふうに考えております。
  152. 横川正市

    ○横川正市君 そう考えられないという面があるので、部分的には人的構成少し変えてみたらどうか。たとえば今度土地開発なんかで、私鉄なんかの沿線の駅前なんかの整備の問題が出てくると思います。そういう新たなものが出てきますね。私はちょっと説明受けたときに、物価の問題とどうでしょうか、あるいは財政刺激によるインフレの問題とはどうだろうか、さらに開発するとすれば、技術面とか人的面からどうだろうか、いろいろな困難な問題が出てくるが、きわめて有効な一つ投資だというふうに判断をしたんです。しかし、そういうふうに新たな目的が出ているときに、それを消化できるような人的構成は考えられているかどうかということとあわせて、先ほどの質問を考えたわけですから……。
  153. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) ただいまのお答えの後段に関連をいたすかと思うのでございますが、私ども科学技術、技術開発の金を、先ほどごらんをいただきましたように、ふやしてきておるわけであります。これは技術的判断、しかも、相当新しい技術でございますから、相当高い判断を必要といたすわけでございます。私どもの銀行におきましても、職員もそういうようなことをできるだけ勉強するようにいたしておりまするけれども、何ぶんにも新しい技術を具体化するということになりますると、なかなか職員の知識をもってしては無理が出てまいります。したがいまして、私どものほうは、大学の先生でございまするとか、あるいは具体的な経験をお持ちの方の何人かをお願いいたしまして、技術嘱託という制度がございます。その方々に御相談をいたしまして、これは国産技術開発という名に値するかどうか、ほんとうに波及性も高い、あるいは新規性も強い、そういうような、また企業としてもそれはプラスになるというような点の判断をいたしまして、そういうことをお願いをいたしまして、その上でわれわれのほうの融資をやっておるわけでありまするから、いまお話しの後段にございました技術的な点につきましては、実は参与会というような仕組みじゃなくて、もう少し具体的な融資業務に即しました形で、これはもっと参与会なんかよりひんぱんにやって、また十分御検討をいただかなければならぬものでございますから、そういうような仕組みのものもやっておるわけであります。それと、参与会というのは、ちょっと運用が違うわけでございまして、参与会のほうはもっと大きな方向づけの問題でございますから、ここら辺においでになる方々は、これは企業の立場を離れて、あるいは財界団体でも、そういうことを考えておられる向きもあるかと思いまするけれども、同時にまた、個人の見識なり、個人の持っていらっしゃるお考えなりとしてもお考えをいただいておると思いますので、参与会はそういうような、もう少し大きな方向のやり方についての御意見を伺うということに相なっております。
  154. 横川正市

    ○横川正市君 ちょっと起点が——私どもは、いまの財政経済運営面ですね、そういう面から寄与されてきた頭脳的なものは、今日から以降においてはそれほどためにはならなくて、新しい一つ方向というものを出さないとならぬのじゃないかという、いわば発想の転換につながるような、そういう人的構成にする必要があるんじゃないかという、その出発点を変えているわけですよ。だから石原さんの言うような、人の点を私は無視するわけじゃないけれども、十人いるなら十人、六人なら六人のうちの、一人か二人そういう方向転換をしてみたらどうか。たとえば地方自治団体のだれかを入れるとか、あるいはいわば行政面のベテランのだれかを入れるとか、そういったことをやりながらやらないと、地域開発につながってくる問題ですから、私はそういう大きな一つ方針として出す場合でも、いささか頭脳的に欠けるところが出てくるんじゃないかと危惧するわけですがね。
  155. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 いまの点ですけれどもね、いまの戸田委員あるいは横川委員から言われた問題ですね、これはほかの銀行なら、私はそういう考えでもいいと思うのですよ。ここでわざわざ銀行の目的事項を変える時期にきておる、この変えるというのは、ただ銀行のほうから主体的に変えるということではないと思う。やっぱりいまの時勢というものが、昨年以来のあるいは公害問題、その前からの公害問題、あるいは過密、過疎の問題、あるいは人間性の尊重の問題こういう問題が国民の間で非常に強く議論をされている。こういうものを踏まえて、いままでの産業開発という、戦後のあり方から銀行のあり方が変わっていかなければならぬ、社会のあり方が変わっていかなければならぬ、こういうことから、私は今度の法改正の問題が出たと思うのですよ。私聞いておりまして、いままでの融資の限度額を、六倍から二十倍にするところが、何か非常に重大なような、そういう感じを、あなたの答弁からはそれ以外には感じられないのですよ。融資のワクを広げさえすればそれでいいんだということであっては、私はいまの時代に困ると思うのですよ。もっと頭を切りかえていただいて、いままで産業開発ということに力を入れてやってきたその功績は一応認めますよ。しかし、それがいま少し行き過ぎになってきた、社会開発のほうがおくれてきた、バランスがとれないというところに、いまのいろんな社会問題というのが私はあらわれてきていると思うのですよ。その中に、一つ財界政府の癒着の問題もたいへんきびしくこれは議論をされているわけです。公害問題なんかの一つ一つの事例に私はそのことがあらわれていると思う。そういうことであれば、先ほど述べられた六人の方々、個人的に見れば非常にりっぱな人です。確かに経験も豊富な人なんです。しかし、これを国民全体の立場から見て、はたしてあなたのおっしゃられるように国民は判断するかというと、私は必ずしも判断しないと思う。政府機関でありますからね。やはり国民全体の合意が得られるような組織、人の配置、こうしたことを考えなければ、やはり開発銀行というのが幾ら何をしようとしても、私は、国民から、それは政治と財界の癒着というふうな非難しか受けられない、こういうことになると思うのです。ですから私は、先ほど戸田委員あるいは横川委員のおっしゃることもっともだと思う。そういうふうに変えていかなければ、法律を、第一条を変えていっても、そうしたものが国民の中になるほど変わってきたんだというような感じというものを、国民大衆は私は受けないと思う。じゃこれをほかの中立的なそうした人たちにかえていったって、別にこの人たち六人以外に、知識が該博な人が、あるいは経験が豊かな人が六人以外にはないというわけじゃないでしょう。そういう意味で私は、半数ぐらいはここで、いままでのような選考の考え方ではなしに、やはり新しい観点に立ってこの辺も変えていかなければいけないと思うのですが、どうですか。
  156. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 発想の転換という時代でございまするので、私どもの融資につきましても、今回法律改正をお願いをいたしておりまするようなものの考え方を切りかえるという趣旨に相なっておるわけでございます。ただ私どもの融資の従来の状況につきまして、前回以来お話し申し上げておりまするように、私どものやっておりまする融資そのものが、この過去数年の間にそういう方向に変わり、これがいよいよ顕著になるという状態であろうかと思います。と同様に、私どもがいま融資を扱っておりまする事務、それのやり方を発想の転換ということで考えてまいらなければならぬわけでございまするけれども、同時にまた、そういうようなものをやっておりまするときに、御相談をする相手の方々といたしましては、やはり経験が豊富であって、しかも視野の広い方々、何も産業界出身であるから、産業にこだわるというようなことのないような方々をお願いをいたしましておるわけでございまするから、この六人の方々が、任期が参りましたとき、絶対にかえられないということを固執するつもりはございません。ございませんが、現在までの私どもの運用といたしましては、非常に幅の広いところから御意見を承り、私どもとしても十分それによって利益を得ているという状況にあることを申し上げておきます。
  157. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 参与の人たちの、おそらく有吉さんは最近おかわりになった方だと思うのですが、その他永野重雄さん、阿部孝次郎さん、あるいは木川田さん、植村さん、こういう方々は一体何期やられておるんですか。
  158. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) この中で非常に長くやっていらっしゃる方は一名ないし二名じゃないかと思います。
  159. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 だれですか。
  160. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 上の二人はやや長うございます。
  161. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 上の二人というのは、永野さんと阿部さんですか——。  そういう意味で、私はやはりいままでの経歴を見て、どうも産業界に寄り過ぎている。これは理事の立場でもぼくはそうだと思うんですよ。なるほど四名ははえ抜きの人だというふうに聞いております。あとの四名の方というのは一体どこから来た人なんですか。私は運輸省、通産省、大蔵省、日銀という方面から来たというふうに承っておるんですけれども、そういう人たちは、相変わらず、運輸省と言えばこれはもう海運というふうに結びついているわけです。それから通産省といえば電力とか鉄鋼とかまあこうした面の、   〔理事柴田栄君退席、理事嶋崎均君着席〕 特に通産省は最近では業界における代弁者ではないか、こういうふうにさえ言われている。大蔵省にしても、私はそういう意味では国民には批判があろうと思います。こういうところから見ますと、私は理事が役所から入ってくる問題も変えていかなければ、通産省、運輸省、こういう立場から入ってきた人たちがいるということでは、この理事の構成にしても問題があり、そこへプラス参与、こういう理事と参与との人的構成から見ていくということになれば、これはやっぱりいままでの開発銀行の姿というものが変わっていくなどということは、金の上ではなるほど地域開発なり国土開発なり、いままで非常に少ない金ですから、それを少しふやしたんですから、そのシェアはふえるでしょう。しかし、全体の割合から考えてみれば、ふえたと言ったってごくわずかです。国民の要求しているようなそうした線にはほど遠いわけです。ですから私は、どうしてもここでこの法律改正を契機に、こうした人事という問題も再検討をしなくちゃいかぬと思うんですよ。まあ参与については、総裁は、このまますべていくんじゃないというような御発言があったから、これは非常に期待をしておりますが、これがまた、わからないということなら、私ども何のために法律改正をやったのか、わけがわからない、こう思いますが、どうですか、この点は。
  162. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほども申し上げましたように、相当再任もしていらっしゃる方がございまするけれども、これはいつまでも続けて再任をお願いするというわけでも必ずしもございません。したがいまして、ある時期には人がおかわりになるということもあるわけでございますけれども、私いま二年以内にそれじゃ必ずかわるのだということをお約束するわけにもまいりませんので、これから参与会で、具体的な運用の場所を通じまして、十分考えてまいりたいというふうに考えます。  それから、各省出身の理事の方のお話がございましたけれども、これは、先ほどお話し申し上げましたように、これは政策金融機関でございまするし、政策も、先ほどお話しのように、これは非常にいま変化を見つつある際でございまするから、したがいまして、そういうようなものが、私どもの融資の面で具現し得るように、ひとつ、そういうような人たちの血が入っているということは、それなりの意味をもっているというふうに考えております。  ただ、私ども具体的な運用といたしましては、各省出身の人が、自分の省を持つというようなことはできるだけさせませんで、全体の合議制の上で総意を反映させていきたいというふうに考えて、そういうような運用をやっているわけでございまするから、非常に特定の省に片寄った融資のしかたをするということはないつもりでおります。
  163. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも総裁の発言というのは理屈をこねているようにしか私は思えないのです。普通に考えて、なるほど個人ではそういう努力を——通産出身の人は通産関係のことはあまり言わないというのは、個人としてのモラルかもしれませんよ。それはあるいはそういうふうにすべきかもしれません、当然、個人としては。しかし、国民的な合意を得る上では、私は決してそうは思わない。やっぱり通産出身なら通産のことをより強く、ことばの上で言うか言わないかは別ですよ、当然それはそういうものが強く反映されていく。現実にいままでの融資体系の中では反映されているのです。海運の場合にしても、ほとんど、融資の半分くらい取っているのです。それじゃ、いままでの海運が、一体どれだけ発展のために役立ったかというと、私なんていうのは非常に疑問に思いますよ。安易に開銀から安い金を借りて、それで運行していればいいんだと、こういう感じしか私は持っていません。ですから、こういう点の人事も、私はこの際一新をすべきだと思うのですよ。  これはむしろ監督の立場にある大蔵政務次官、この点はどうですか。こういうことで、国民の合意が得られますか。
  164. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 竹田委員の御心配もごもっともでございますが、いま総裁が答弁をいたしましたように、いまこの立場で、二年以内に参与の人の構成をがらり変えるというわけにもいかないということは私なりに理解できます。ただ、たいへん、多少へ理屈になるかもしれませんけれども、たとえば参与の筆頭に書いてございます永野重雄さんの場合でも、新日鉄の会長であると同時に、日本商工会議所の会頭、東京商工会議所の会頭をしておられるわけでございます。元来は、商工会議所というのは、中小企業中心になりました商工団体でございますから、そういう方面の意見を、永野さんを通じまして、参与としての立場から開銀総裁に具申がなされるというふうに、私どもは期待をいたしておるわけでございます。  理事につきましても、たとえば通産省出身の方が、もっぱら公害を大いにまき散らす重化学工業融資のみに片寄るというようなこと、あながちそうとは言えないと私は思うのであります。と申しますのは、   〔理事嶋崎均君退席、理事柴田栄君着席〕 たとえば融資構成比率にいたしましても、こういう方々が理事になり、参与なりをやってまいりました昭和三十五年の当時から、昭和四十七年度の計画に至りますまでの間に、たとえば産業開発シェアというものが、構成比率というものが、二〇%ほど落ちております。逆に、社会開発のほうが、三十五年度では四・五%であったものが、二三・八%に上がっているわけでございまするから、そういう意味からも、私は先生の御心配はごもっともではございますが、必ずしもその構成委員の出身がどこであるかということによって、そういう特定業界に配分がきついということはあり得ないと思うのでございますが、しかし、委員の御心配もございますから、監督官庁の者といたしまして、今後、人事をきめてまいります場合におきましては、できるだけひとつ御趣旨に沿うような形に持っていくべきであろうと、私はそういうふうに考えます。
  165. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次官ね、一体、この金はどこから出ているのですか。この開銀融資する金は、金持ちが出している金じゃないんですよ。この使っている金は、もともと、国民が零細な金、これを積んでいる金ですよ。あるいはまた、将来を考えて保険に積んでいるその金。これをかってに使わせているんですよ。金持ちが出した金を使うなら、これはそれでけっこうだと思うんですよ。ほとんど国民の零細な金じゃないですか。それがかってにこういうふうな形で使われるというのは、一体、国民の立場になりゃどうなんですか。社会保障はろくにやってくれない。そうして公害には悩まされている。そういうときに、こういう代表だけでこの金が使われるなんて言ったら、もってのほかですよ。国民は怒りを覚えるんですよ。この金の原資がどこにあるのか、そういうこと、次官、考えたことがありますか、どうですか。冗談じゃないんですよ。
  166. 船田譲

    政府委員(船田譲君) もちろん、開銀融資の原資は、財政投融資資金でございまするから、国民の零細な貯蓄などがその原資になっていることは、私も理解いたしております。しかし、いま申し上げましたように、ある特定の産業界を代表して参与として入っておられるわけではなくて、それぞれ、その国の政策金融機関としての開銀の総裁に対しまして、十分なる広い視野からの意見を具申をするという形で入っていただいておりますから、必ずしも、たまたま、その方があるいは新日本製鉄の会長であるから、あるいは製鉄の関係にのみ融資を集中するというような発言をすると私は思えないのでございまして、しかし、その御心配の点は、もちろん十分私どもも心にとめるわけでございまするから、先ほども申し上げましたように、これから先、参与なり、理事なりの改選期にあたりましての、われわれ監督の立場からいたしますと、できるだけ御趣旨に沿うような形で人選が行なわれるようにしていきたいものであるなと、そうは考えておるわけでございます。
  167. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次官、石原総裁が大蔵省の大先輩であると、そういうようなことで遠慮することはないんですよ。これは国民の金なんですからね。  そうすると、国民はいま何を願っているのですか。都市の生活でどう苦しみ、過疎の地域でどう苦しみ——これは苦しんでいるんですよ。そうしたならば、そういう意見がどこかで代表されるような形というものが、どこかにあらわれてこなくちゃいかぬじゃないですか。そういうふうにあなたは思いませんか。そういう意味で、どうしてもこの法律を改正することを機に、そういうような人事配置をこの中に加味していく、こういうことをこの次からやるべきだと私は思いますよ。それでなければ、こういう法律を論議する意味はないんですよ。そう思いませんか。
  168. 船田譲

    政府委員(船田譲君) 産業の発展中心から、産業開発、経済及び社会の発展に寄与するというふうに発想の転換が行なわれますことは、この開銀法の目的の変更にとどまらず、今年度の政府の一般会計の予算におきましても、その考え方が貫かれたわけでございまして、いま竹田委員が言われましたことは、ごもっともでございますけれども、いま直ちにこの法案の改正の機に、任期を残しておる参与なり理事なりを、いまの御趣旨のようにすぐかえろと言うことは、これはなかなかできませんけれども、私が先ほどから申し上げておりますように、それぞれに任期のあることでございますから、その任期のかわりますときに、監督官庁でありますところの大蔵省といたしましては、この委員会での御議論の焦点がそこにございますことに十分留意をいたしまして善処をしてまいりたいと、こう考えておるということをお答え申し上げたわけでございます。
  169. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それでは、今度の理事及び参与の任期の改選——私はその途中でやれとも言っていません。首切ってまでやれとは言っているわけじゃないんです。だから、今度の改選の機にはそれをやるということをお約束してくれますね。
  170. 船田譲

    政府委員(船田譲君) そこで、私がこの次の時期に具体的にどうするかということを約束申し上げるということは、これは私自身の任期もあまり長くないと思いますし、ここで申し上げることは僭越に過ぎると思います。やはり大蔵大臣にも十分竹田委員の御意見を報告申しまして、その指示を仰いでまいりたいと思いまするけれども、監督官庁である大蔵省の一員といたしまして考えますことは、先ほど来申し上げたとおりでございます。
  171. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あまりそういうふうな責任のがれをしてもらいたくないと思うんですよね。私は船田さんに話をするのなら、個人であなたの部屋に行って話をしますよ。公式の場で話をするというのは、大蔵次官に私は話し、大蔵次官の発言として私は聞いているわけですからね。ですから、私はば任期があまりありませんとか、そういうことならもう一切ここで議論する必要はないわけです。その点はお取り消しをいただきたい。
  172. 船田譲

    政府委員(船田譲君) ただいま私が御答弁申し上げました中で穏当を欠くと思いますことは取り消したいと思います。  ただ申し上げたいことは、人事は非常に重要な問題でございまするから、私自身がここで大蔵大臣を差しおきましてこういたしますと申し上げることはいかがかと、こう申し上げたわけでございます。
  173. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もしそういうことだったら、この次大蔵大臣にひとつ出てきてもらいまして、私はこの点をはっきりさせなければ、この法案を通すわけにはいきません。その点ひとつ委員長からよろしくお取り計らいいただきたいと思いますが、どうですか。
  174. 柴田栄

    理事柴田栄君) 竹田委員の御発言は了承しました。次の理事会で御趣旨に沿うように相談をさせていただきます。
  175. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それから、国土開発関係融資につきまして、北東開発公庫との関係はこれはダブらせないようにしているわけですね。だから、その地域で、たとえば北海道東北地方、この場合の国土開発、地域開発、これについてのお金というものは北東公庫のほうから出されて、開発銀行のほうから出していかない、こういうことですね。
  176. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 地域開発という金がございまするが、これにつきましては、私ども北海道東北地域以外の地域の、いわゆる後進地域に対する融資をいたしておるわけであります。その点の地域区分はきわめて明らかになっておるわけでありまするが、たとえば電力でありますとか、そういうような、いわば全国的な視野で融資をされます分がございますので、これは北海道東北地域に対しましても開発銀行融資をいたしております。しかし、後進地域の開発という趣旨の融資につきましては、せつ然と区分がされておるわけでございます。
  177. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この面で見ますと、北東公庫の融資ワクと、開銀融資ワクというものはほとんど同じ金額ぐらいだと、こういうふうに申し上げてよかろうかと私は思うんですけれども、こういう形でやりますと、もちろん北海道、東北——過疎地でございますから、それは北東公庫がやられるのは当然でありますけれども、そのあれでいきますと、過疎現象が起きております九州なりあるいは四国なり中国、北陸、そういうところに割り当たっているところの地域開発のお金というものは、比較的相対的に軽視をされているというようなことにはなりませんか。
  178. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 竹田委員がお話しになりましたように、開発銀行の地方開発ワクと、北東公庫の地方開発の資金は、同額ということに最近相なっているわけでございます。地域の広さと申しまするか、そういうようなことで差があるのではないかという点でございまするが、先ほど申し上げましたように、私どものほうは、いわば全国的視野において融資をいたしますものは、北海道、東北地域においてやっておるわけでございまするが、その限りにおきまして、私どものほうが、北東地域にも融資をいたしておることに相なるわけでございまするけれども、なおそれを含めてみましても、割合から申しますると、北東地域のほうがやや厚いということであろうかと思います。ただこれは非常に数字的に分析をすることはむずかしいことでございまするけれども、何と申しましても、私どもの担当しております地域のほうが、一般的な民間資金と申しまするか、そういうようなものがよけい出得る地域である、北東地域のほうがそういうようなものが少なくて、財政資金に依存せざるを得ないという部面があるいは多いかという感じはいたしますけれども、ただこれは数字的にその比較がしにくいものでございますから、その差があるのでかくのごとき数字になっておるということは申し上げられませんが、一つ傾向としてはそういう感じもあるかということは申し上げられると思います。
  179. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これはおたくのほうからいただいた資料ですが、たとえば人口との対比を見てみますと、北東の場合、開銀の一般資金と北東公庫これを合計したのを見ますと、北海道地域は千人当たり五百三十八万円、それから東北地域は二百九十七万円、それから北東公庫の対象外になっているところの九州の場合には百八十八万円、それから四国は二百四十八万円、中国が二百四十五万円、北陸は人口が少ないということですか、五百六十九万円になっておりますけれども、いずれにしても九州、四国、中国これを比べますと、おそらく、その他の一般資金でいっているということですが、これは一般資金入っているわけです。それにしてもこの地域というのはたいへん少ないんですね。こういうものは当然私は是正さしていかなければならないのじゃないか、地域開発ですから。そういう点ではバランスをとっていかなくちゃいけないんじゃないかと思うのですが、どうですか。
  180. 近藤道生

    政府委員近藤道生君) ただいま御指摘のように、その間のバランスには常に気をつけてまいらなければならないと存じております。ただ、その表の先のほうの二欄目をごらんいただきますとおわかりいただきますように、民間設備投資のバランス、これが絶えず変わっておりますけれども、たとえば九州、四国、中国、北陸合計をいたしますと一兆百五十九億円、それから北海道、東北地区がこれに比べますとはるかに落ちておりまして三千四百八億円ということに相なっておりますので、政府機関といたしましては、これらの民間設備投資の動向を絶えずながめながら、これを補完するという形で運営をしてまいるという観点から、ただいまおっしゃいましたような開銀と北東だけを足してみますとかなりアンバランスな状況を呈しているわけでございます。今後民間設備投資との総合的なバランスを絶えず見ながら考えていくべき問題であろうかと存じます。
  181. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもやはりここで開発銀行の問題で議論するということになると、常に民間設備投資中心になる。ぼくはそれはなるほどいままではそうであった、よかったのですが、少なくとも今後は私はそうあってはいけないのだろうと思うのです。それが大蔵大臣も述べ、総理大臣も述べ、企画庁長官も述べた私は発想の転換であろうと思う。ですから、こういう地域開発についてのそういうバランスというものは、私はもう少しこれを、やはり東北の地方の人も北海道の人も、あるいは九州の人も、沖繩の人も、これは日本人なんですよね、同じように。それぞれの能力に応じて税金を払ってる国民なんです。これはやはりバランスをある程度——これでは少し大き過ぎると思うのです、アンバランスが。もう少しバランスをとることを考えての投資にしてもらわなければ——やはりある地域だけに金がおりて、他の地域はおりないということでは、一番困っておる過疎、過密の問題というものを促進していってしまうのではないか、こういうふうに思うものですから、今後この点を十分留意してやってもらわなければいけないと、こういうふうに思うわけです。  それから、時間がないわけですが、四十五年度の決算報告書を見ますと、この滞納になってる分野が、石炭それから海運、これにかなりの金額が出ているわけですが、四十六年末ではこれは大体どのくらいの金額になっておりますか。まだ出ておりませんか。
  182. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 四十六年度末の金額はまだ、ちょうどいま決算を締めておりますところで、ちょっといま手元にございませんが、四十六年九月末の数字はございます。
  183. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どのくらいになっておりますか。
  184. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 四十六年三月末が二百五億一千九百万円でございます、これは延滞額でございますが。それに対しまして四十六年九月末は百八十九億九千六百万。
  185. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは全体のものですね。
  186. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) さようでございます。
  187. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 その中で石炭関係の滞納ですね。まあ仕事をしているのは、石炭事業再建整備臨時措置法ですか、まあこれによって今後も交付されていくだろうと思うのですが、すでに閉山してしまって事業を廃止した会社ですね、それの借りていた金、それは四十五年度の会計検査院の報告によると百十九億ということになっておりますが、この金額はある程度わかるのじゃないですか。
  188. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 先ほど申し上げました百八十九億九千六百万、九月末の数字でございませんで、その前の三月末の二百五億一千九百万の内訳でございますが、そのうち石炭関係が百七十一億一千九百万円、九〇%くらいになります。おそらくこの割合は四十六年九月末の数字でもあまり変わりないと思いますが、大体そこら辺のところだというふうに御承知を願いたいと思います。
  189. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この事業をやめてしまって、会社がなくなった部分についての弁済を受けておらない金というのはどう措置するのですか。
  190. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 延滞額はいまのような額でございます。それから延滞しておりまするが担保もございまするから、時間がかかりますが、担保を処分いたしまして、その上でほんとうの損失が出るわけでございます。今日まで銀行始まって以来償却をいたしました額が三十三億に相なります。それはほんとうにもう担保を処分もし、保証人も追及した上でほんとうの純損に相なりました形でございます。
  191. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうするとこの三十三億というのは、結局利益金の中で補てんしていく。そうすることによって、あとはこういうものは石炭関係では出ないというふうに踏んでいいのですか。あるいはまだこういうものが将来出てくるというふうに踏んでいいのですか。
  192. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) この額はほんとうの欠損処分をいたしました額でございますから、したがいまして、今日延滞の百八十九億あるということを申し上げましたが、このうちにはまだ担保もございまして、これから担保処分をいたします仮定の分もございます。したがいまして、三十三億と申しますのは、今日までに欠損処理をいたしました分でございます。これに対しましては貸し倒れ準備金というものがございますから、毎年々々計上いたします滞りがちの償却に見合います金を、その積み立て金のほうから引き落としまして処置をしてきておるわけであります。したがいまして、三十三億というものが、いままで貸し付けの延滞準備金から引き落としました額の合計額に相なるわけでございます。  後段のお尋ねの、これでおしまいかという点につきましては、そうではございませんで、百八十九億という延滞のうちで、これから担保処分をいたしまして、そのうちの何がしかが将来にわたって欠損と相なる額だというふうにお考えをいただきたいわけであります。
  193. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 海運関係の利子の猶予額、これは一体どのくらいになっておりますか。
  194. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 利子の猶予額とおっしゃいますのは、この前の再建整備法に基づきまして、利子の棚上げをいたしましたその額かと思いますが、それが三十九年度から四十四年度にかけまして三百五億九千万でございます。これは今後におきましてある割合で二十年間に償還をしてもらうことになっておりまして、これが四十年以降現在まで、四十六年度までで二十六億ほどに相なります、入りました金。四十七年度におきましてもさらに十二億を予想いたしております。これはいま申し上げましたように、二十年間にどういうふうにして払っていくかという割合がきまっておりますから、まだこれから何年かにわたりまして毎年定額償還をしていくということに相なるかと思います。
  195. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 四十六年度の二十六億円というのは、計画どおりきちっと入っていて、遅滞ということはないんですか、遅滞があったんですか。
  196. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 四十六年度まで、きまりました年額どおり入ってきておるというふうに承知をいたしております。
  197. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもこれは利子を海運界には、いままでの融資から見て、私はほかの企業に比べれば、産業に比べればたいへん手厚い保護を与えているように私は思います。一般的にどういうように考えているかわかりませんが、私はずいぶん手厚い保護を与えておると思います。そしてしかも猶予された三百五億を、二千年間というのはどうも長過ぎるんじゃないですか。もう少しこれは縮めてもいい問題じゃないんですか。どうも私は、先ほども言いましたように、海運業界というのは、少しこういう政府保護政策の中で甘え過ぎているのではないか、こういう感じがするわけです。最近の日本海運業界を見ましても、積み取り比率なんかを見ましても、そんなに私向上しているとは思わない。そういう点で少し甘やかし過ぎているという感じを私は受けるわけですけれども、もう少しこういう点は利子もびしっと納めさせるような体質改善を海運業界に私はやらせるべきだと思うんですがどうですか。
  198. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) いまの点は、償還方法がきめられておりまして、二十年間に一定額を償還することに相なっておるのは、海運業の再建整備に関する臨時措置法に基づいてやっておるわけでありまして、これは一応そういうことで年利がきまっておるわけでありまするから、今後もこれで延滞することがないように十分取り立てをいたさなければならぬというふうに考えておりますし、今日までのところ延滞をいたしておるというわけでございません。  なお全体としての措置でございますが、この当時海運界は非常に苦況にあったわけでございますから、民間にも利子のたな上げをしてもらうと同時に、財政融資の利子につきましても、たな上げをいたしたわけでありまして、すでにとられました政策の、いわば残りが今日残っておるわけでございますから、私どもといたしましては、これが十分間違いなく支払われるよう、今後督励をいたすつもりでございます。
  199. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それはそうとして、どうも私は日本海運界を見まして、これだけ国民の金をつぎ込んで、必ずしもそれだけの効果というものはあげているように思わぬわけですね。積み取り比率なんかが一番大きい私はひとつの指標だと思いますけれども、もう少し国民の金を当てにしないで、みずからの努力で積み取り比率をもっと高めていただく。これは戦前はおそらく積み取り比率五〇%以上だったと思います。戦後はその五〇%台というのはなかなかいきやしないですよ。その辺で私は、やはり海運業界がもっと真剣にならなければ、幾ら開銀がその利子を納めろ納めろと、計画どおり取ろうとしても、片方のほうでまた海運の救済の何とかというようなことになると思うんです。確かに海運というのは、かなり運賃の高下が激しいものであるということは私も知っておりますが、もう少し積み取り比率を高めるとかなんとか、そういうような手段で、経営体質をもう少し改善してもらわなければいかぬと思うんですが、その点総裁はいまのままでいいと思いますか。
  200. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 今日まで、おっしゃいますように計画造船で、いわゆる大量建造ということをいたしてまいったわけであります。ただ、去年くらいまでは経済の伸び率が非常に大きいものでございますから、したがいまして、現実には積み取り比率に見るべき改善がなかったという点は御指摘のとおりでありまするが、大量建造しなければ積み取り比率はもう少し下がっただろうと思われるのでございますが、結果的に見れば、大量建造いたしまして、やっと積み取り比率を維持した、こういうことでございます。したがいまして、今後どうするか、問題はまたこれからの問題でございますけれども、今日までのところにおきましては、海運業界も、今日また円の調整というような問題もございまして、それからまた御存じのように、運賃が世界的に低落をいたしておるものでございますから、非常にむずかしい状況にございますけれども、何と申しましても、再建整備を始めましたときに比べますれば、立ち直ってきておるということでございますので、先ごろ、四十六年からいままでの融資比率も引き下げましたし、利子補給も引き下げました。四十八年以降にはまた一段と利子補給の引き下げを行ないました。海運の利子補給は、四十八年以降は、コンテナを除きましては、ゼロに相なるというようなことになっております。したがいまして、海運業界の業況の改善に伴いまする適用措置はとられつつあるわけであります。  ただ、何ぶんにも近ごろは、いまの円の切り上げの問題と、世界的に海運不況状況におちいっているものでございますから、これをどうするかということは、今後なかなかむずかしいと思いますが、今日までのところは、そのときに応じました措置を、そのときどきにとってまいっております。そういうのが今日までの状況でございます。
  201. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これを最後にしますが、私は、海運業界の対応というのは非常におそいと思うのですよ。日本海運国であるということでありながら、もうとにかく日本の船なんかを見ましても、世界の趨勢というのは、コンテナ輸送になっているにもかかわらず、日本の船というのは、必ずしもそういう体制になっていない。もう運輸手段というのは、国際的に見ればどんどん進んでいる。しかし相変わらず日本海運界というものは、そういうものに対する対応が非常におそい。したがって、コンテナにいたしましても、あるいはラッシュボートにいたしましても、非常におそいわけです。あるいはLNGのタンカーにいたしましても、世界の動向を見る目というのが、どうも海運業界はおそ過ぎる。したがって、いつまでたっても積み取り比率が高まるということはないと思う。そういう点でとくと私は、開銀が一番大きな融資をしている海運関係が、もう少し世界を見る目を鋭い目で見て、世界の海運状況がどういう方向に動いているかということを見ていかなければ、計画造船に金をたくさんやっても、古い型の船をつくっても、役に立たないわけです。おそらく今後におけるところのライナーにしても、あるいはその他の船にしても、おそらくスピードなんかだって、いままでと比べものにならない速いものになってくると思うのです。そういうところに、先ほども参与の方がたいへん経験が深いと言っているのですが、私は経験が深いとは思わないのです。そういう世界の趨勢を見る目のある人が参与にいない。そういうふうに海運業界あるいは造船業界というものを指導していかなければ、それは積み取り比率が高まるわけはないですよ、古い船を持っていって。そういう点でとくと私は、特に海運業界というものにはたくさんのお金を貸しているだけに、ほんとうの将来の世界の海運の中で、ケい目で動向を察知して、そのために金を貸していくというふうにするように、総裁のほうも大いに努力をしてもらいたいと思います。いかがでしょうか。
  202. 石原周夫

    参考人(石原周夫君) 政策の問題でございますから、運輸省のほうからお答えするのがほんとうだと思いますが、ただいま竹田委員のお話のございましたコンテナの問題につきましても、先ごろヨーロッパはコンテナ化をいたしましたし、今度ニューヨーク航路をコンテナ化するということでございますから、大体主要航路のコンテナ化というのは、本年度中に大体一段落をいたすかと思います。なお、そのうちに、いまおっしゃいましたLNG——液化天然ガス——を運ぶ船というのがございました。これはおそらく非常に近いうちに日程にのぼってまいると思います。こういう問題、これは非常に高い船でございますから、どういたしますか、計画造船上の今後の非常に大きな問題であろうかと思いまするが、なお全体といたしましての海運界、先ほどちょっと申し上げましたように、なかなかむずかしい状況にございまするのと、それから竹田委員御指摘のように、しかもなお新しい事態に対応していかなきゃならないことでございますので、これは運輸省の問題でございまするが、私ども融資の担当者として、十分そこらは竹田委員御指摘のように、対応を誤らないように、私どもとしても十分頭に置いてやってまいりたいというふうに考えます。
  203. 柴田栄

    理事柴田栄君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、五月二十五日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会      —————・—————