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1972-05-09 第68回国会 参議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月九日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  四月二十六日     辞任         補欠選任      河口 陽一君     青木 一男君      初村滝一郎君     棚辺 四郎君  五月八日     辞任         補欠選任      野末 和彦君     喜屋武眞榮君  五月九日     辞任         補欠選任      鈴木 一弘君     中尾 辰義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         前田佳都男君     理 事                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 戸田 菊雄君     委 員                 大竹平八郎君                 河本嘉久蔵君                 栗原 祐幸君                 棚辺 四郎君                 津島 文治君                 西田 信一君                 藤田 正明君                 竹田 四郎君                 成瀬 幡治君                 横川 正市君                 中尾 辰義君                 渡辺  武君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  水田三喜男君    政府委員        総理府総務副長        官        砂田 重民君        防衛施設庁総務        部調停官     銅崎 富司君        沖繩北方対策        庁総務部長    岡田 純夫君        沖繩北方対策        庁調整部長    田辺 博通君        大蔵政務次官   船田  譲君        大蔵大臣官房審        議官       前田多良夫君        大蔵大臣官房審        議官       中橋敬次郎君        大蔵省主計局次        長        吉瀬 維哉君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        沖繩北方対策        庁調整部参事官  小原  聰君        外務省アメリカ        局外務参事官   橘  正忠君        大蔵大臣官房審        議官       松川 道哉君        大蔵省国際金融        局外資課長    村山  進君        国税庁間税部長  守屋九二夫君        中小企業庁計画        部長       西田  彰君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○沖繩振興開発金融公庫法案(第六十七回国会内  閣提出、第六十八回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  四月二十六日、河口陽一君及び初村瀧一郎君が委員辞任され、その補欠として青木一男君及び棚辺四郎君が選任されました。  次いで、昨八日、野末和彦君が委員辞任され、その補欠として喜屋武真榮君が選任されました。  また、本日、鈴木一弘君が委員辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。     —————————————
  3. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 次に、沖繩振興開発金融公庫法案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、大蔵大臣になりますか、主管がどうかという、いろいろと御議論もあるようでございますが、農林漁業金融公庫でお金を貸されるわけですが、御案内のとおり、内地と申しますか、本土関係農地法というものがありまして、そして不在地主はなくなり、小作農民土地という、そういうかっこうになっております。で、沖繩農地法の適用を受けていないと思います。   〔委員長退席理事柴田栄君着席〕  そうしますと、内地と申しますか、本州関係農民というものと、沖繩農民というものとは、全く構造的に違ったところに位置しておると思う。それに対して、貸し出しをするんだということになると、いままでの内地並みと違うところへ、同じような条件で貸すものなのか、農地法というものが適用されておらないところに貸すんですから、いろいろと条件なり、目的なり、そういうようなものが違うのかどうか、まずその辺からお答えを願いたいと思います。
  5. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 御案内のとおり、本公庫は、本土におきまして農林漁業金融公庫融資をいたしておりますものに対応いたしますものを、沖繩の地域において融資いたすことといたしております。その間、ただいま先生指摘のように、種々の法制、または現実農業あり方等において違いがございますので、現実農林資金として当公庫から貸し出しをいたします際には、できるだけ実情に即した形で融資をいたしたいと、そういう基本的な考えを持っております。したがいまして、たとえば融資金利一つをとってみましても、あるものは本土におきまするものと比較いたしまして、沖繩の場合が有利になる、これは手元にございます表で御説明いたしますと、造林事業であるとか、林道の事業であるとか、こういったものの補助事業の分にかかりますものにつきましては、本土では六分五厘の金利をもって融資いたしておりますが、沖繩の場合は五分である、そういったふうに、実情に即しまして若干の差は設けながら、農林漁業金融公庫が営んでおりますものと同種のものを沖繩において融資をいたすことといたしております。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そんなことを私は聞いているわけじゃないんです。そんなことはすべて出ている、実情がどうとか、実情に合うとか。農林漁業金融公庫でまだほかにも金利の安いものがあることはたくさん承知しております。そういうことを聞いておるのではないのです。農民構造が全然沖繩本土とは違うということを言っている。それに対して同じ本土並み貸し付け条件でやりますというのでは、私は沖繩本土では全く違っておると思うんですよ。そういうことおわかりじゃないですか。私は農林省じゃないからわからないというのじゃ、農林漁業で八十億の貸し付け計画をもって、本年度は大体三十二億貸そうとしておるわけです。借りる人が違うんですよ。大体内地農地解放不在地主はいなくなった、小作農民土地を持っておるわけなんです。向こうは小作の人がおるわけなんです。違うんですよ。それに金利が違うんだといったって、小作人が借りるわけじゃない、地主にしか貸さないんでしょう。そういうところをどういうふうに、すべてが実情に合うようにするならばどうやるとか、そういうことを聞きたいわけです。だから、こういう計画が、三十二億貸し付けるのだ、八十億の計画ですというなら、どういうふうにこれを立案して積算したのか、その中身を聞かしてもらいたい。これは何も農林省所管じゃないですよ、あなたのほうの所管ですよ。大蔵省が貸そうとしておるのですから。
  7. 柴田栄

    理事柴田栄君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  8. 柴田栄

    理事柴田栄君) 速記を起こして。
  9. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 農林漁業金融公庫貸し方、それに準じまして当然沖繩振興開発金融公庫も貸すことになります。ただ、現在、御指摘のように、農地法ができていないとか、そういうふうな実情で、したがいまして、不在地主等で相当大規模の者がおるとか、そういうようなこともございます。で、そういったようなことにつきましては、沖繩県あるいは市町村の意見等も聞きながら、融資決定の場合には、さらにこまかに準則等も定めてやってまいろうということでございます。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 実情に即してやるということは、私もよくわかります。それで実情に即するならば、大体土地担保にしなければ借りられないわけですね、それが小作の人は、自分土地がないわけです。本土にはそういう人はないわけですね、耕作農民ですから。農地法があって不在地主はいないわけですよ。だからそこを、実情に即すというなら、じゃどう違うのか、どうやるのか、そこを説明してください。実情に即してと言って、そしてこれから研究しますとおっしゃるなら、少なくとも三十二億貸しますよ、八十億の計画ですと、こういうなら、一体それじゃ小作農民も借りることはできるのかできないのか。本土並みじゃ借りられないですよ。本土並みだとおっしゃるなら借りられないのです。違うのです。ですから、沖繩実情に合ったようなふうに貸し付け条件というものは変わってこなければならぬ。そこを私はお尋ねしたいのです。
  11. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 関連して。  いまの成瀬委員の問題と関連して、その復帰時において、その沖繩主要銀行三行でけっこうですけれども、これの業態別融資残高をひとつ実績としてどういうふうに掌握されておるか、その内容を説明してください。あわせて、業態別は、農林業一つ、それから水産業建設業製造業、卸・小売り業、それから不動産業、それから金融保険、それから運輸・通信電気ガス水道サービスその他でけっこうです、その残高を示してください。
  12. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 各金融機関別のものはしばらく資料のほうをあたりましてお答えさしていただくことにいたしまして、とりあえず一九七〇年六月末現在の業種別貸し付け給付金残高で御説明いたしますというと、農林業関係で二千百四十万ドル、水産業関係で一千百八十六万ドル、建設業三千四百五十三万ドル、不動産が千四百六十万ドル、金融保険業で、これはわずかでございますが、百八十五万ドル、卸・小売りで一億二千九百九十四万ドル、製造業で八千二百七十万ドル、通信業で千八百九十六万ドル、電気ガス水道といったようなものが千百万ドル、それからサービス業が四千六百三十六万ドル、その他一億一千六百七十五万ドルで、一九七〇年六月末の貸し出し給付金残高の累計は四億八千九百九十五万ドルということになっております。
  13. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっと資料になっておらないですね。ぼくの言ったのは、三行の合計です。主要三行ということになれば、琉球銀行と、沖繩銀行中央銀行と、三行の分です、ぼくの言っておるのは。いまの答弁じゃ実績としては全然問題になっていない。それはまああとでもいいのですから……。  ことに成瀬委員との関連でぼくが言いたいのは、不動産業とか、水産業農林業、これらにどれだけ残高があって、どれだけ投資をしていくかということが大事だから……。
  14. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 御指摘貸し付け残高のほうは、いま調べてお答えいたしますが、八月末の融資量で申しますというと、琉球銀行の八月末融資量は二億五千九百三十三万ドル、それから沖繩銀行が一億八千九百五十万ドル、その次に大きいと申しますとAMEXでございまして、ずっと小さくなりますが、七千百八十三万ドル、これらが融資量でございます。
  15. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは一応——実情に即してと言うが、実情が違うという認識は一応持っておみえになると思いますがどうですか。日本は、日本内地農民農地法農地解放というものをやった。農地解放前の沖繩とは、農民構造というものが異質のものだという、そういう実情は御認識でしょうか。
  16. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 異質と申しますか、農地法が施行されていなかったということに基づく自作、小作あり方、ことに糖業砂糖にたよっておるというようなことから、一般的に申しますと、大きな精糖業者が相当な土地を持っておるとかというふうな、本土とは相当に違った実情にあるというふうには考えております。
  17. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 米をつくるとか、サトウキビをつくるとか、そういうことが違うというようなことはあたりまえの話ですよ、気候、風土ですから。四国と北海道では違う、そんなことは承知しておりますよ。そんなことを言ったのじゃないのですよ。土地所有構造が違っておるということですよ。この認識がないと、砂糖と米と違っているというような認識じゃどうにもならぬですよ。貸し出し条件というものはそうじゃないのです。その認識はどうなんですか。
  18. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 議事進行です。総務副長官おられるが、いまの回答のようでは、審議が進まないのですよ。もう少し的確な回答をしてもらわないと審議にならぬじゃないですか。もしできるならば委員長理事会でも開いて、こんな調子では審議にならぬです、大臣もおりますけれども
  19. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いま審議にならぬということでしたが、そうじゃなくて、実際はいままでこの問題は全部総理府答弁しておってくれた問題でございますが、きょうは総理府に対しても何か質問通告とかなんとかいうことがおくれて、さっき来たというふうなことで、準備が足らなかったということは事実でございますので、別にこの審議に特に支障を来たすということはないと思います。その事前の通告さえあれば、準備が十分できることになっております。
  20. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) ただいま農林漁業金融公庫関係の、沖繩開発金融公庫における融資担保の問題とからめて、沖繩農業事情というものが、本土とは全く様子が違うから、本土並み融資方法では、小作人等担保提供ができないのではないか、そういうことを緩和をしていくかという御質問であろうかと思います。法律の中にはございませんけれども業務方法書——これも法律が成立をしなければ決定をできるものではありませんけれども、御承知のように、時期も切迫をいたしておりますので、私どものほうで、業務方法書中身準備はいたしております。ただいま農林省が間もなく参りまして、的確な御説明をすると思いますけれども、私ども準備をいたしておりますことの中には、農業資金につきましては、担保を徴求することが著しく困難または不適当であると認めるときは、担保を要求しない、そういうことができる道を講じてございます。ただその場合でも、保証人原則としてどなたか立てていただく。本土農業と全く様子が違います沖繩におきましては、土地担保にできない、そういう農民が多数あることを承知をいたしておりますので、そういう道を今回の公庫では開いておりますことだけをとりあえずお答えをいたしまして、間もなく農林省が参ると思いますので、農林省のほうからもお答えを申し上げたいと思います。
  21. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体農林漁業資金を貸し付ける場合の原則ですね、原則内地並み原則なんです。それで内地はほとんど小作の人がいなくなってしまった。だから、自分がやろうとすればできるわけです、土地担保にすれば。ところが片方は、不在地主がおってわしはいやだ、そんなことは。だから、それで事はどうにもならなくなっておるのです、全然違うのです。だから、いまそういうことは十分御認識の上なんだから、だから、実情に即した貸し方をするとおっしゃるならば、そこからこういうふうにいたしますよというものがもう出てこなければいかぬ、一番初めに。何もそうむずかしい話じゃなくて、実態に即していくなら、そのとおりのものが出てこなければならぬ。それでは、その次には地主はどうするのか、じゃ小作にはどういうふうにして金を貸していくかということは、単なる業務方法書だけではなくて、そんなことじゃないんですよ、もっと原則として沖繩本土は違うのだという認識が私はなければならぬと思う。その認識の違いがたいへんなことになりはしないか、ずっと末端までいってしまうと。だから、その辺のことをお尋ねをしているわけです。私は技術的なことを聞かずに、もっと政治的に、どれだけ実態に即したことが配慮されているかどうか、そこをお尋ねしておるわけです。そこはどうなんですか。
  22. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 地主小作人の間の問題につきましては、まことに恐縮でございますけれども農林省が間もなく参ると思いますので、ちょっと時間をいただきたいと思います。ただ公庫といたしましては、公庫のとります配慮といたしましては、土地を持たない、担保物件を持たない小作人の人への融資の道を、担保を取らないで融資ができるような配慮を、公庫としてはとっておりますことだけをお答え申し上げておきたいと思います。
  23. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ配慮されると言うなら、それ以上私のほうでどうこういうことは言いません、実態が違うから。実際問題として、金を貸すには保証人で貸すのでなく、もう担保の問題が出てまいります。保証保証と言いますけれども小作人保証というのはなかなか容易ではないわけです。だから、道は開けておるけれども、実際的には流れない。しかし、その人たちにやらなければ今後沖繩県民はどうなっていくか。あるいはあまり大きくない、本土中流並みに仕上げようとすれば、私は大きな産業構造計画青写真というものがあると思うのですよ。ですから、そのときには農民人口というものをどれくらいに押えていくか、それは何なのだ、それは砂糖だということになるというような私は青写真というものがあってしかるべきだと、こういうふうなことは沖繩の返還のいろいろな問題で議論され尽くしたと、この前のときにやられたのだと実は思っておったのです。だから、当然お答えはするすると出てくると思っておったのです。だけれども業務方法書でおやりになるというなら、あとでけっこうですから、またこの問題に関連して農林省が来てからやりたいと思いますから、あるいはきょう出ないかもしれませんけれども資料をお出し願いたいと思います。  それから、農地の問題はそのくらいにして、次に基本的な問題でお尋ねしておきたい点は、先ほどもちょっと触れましたけれども、やはり沖繩基地経済だと思うのですよ。いろいろなことを言うけれども基地経済、第三次産業というものがあると思うのです。そしてもともと地下資源あるいは水なり電気、そういうものが非常にたいへんなところだと思います。そこで、そういう中で、今後の産業あり方ですね、地場産業をどう育てながら、しかもその地場産業の何を育てながら、どうやっていこうかというような青写真が私はなければならぬと思う。またそのことを沖繩人たちはこいねがっておるわけです。そうでなければ、金は貸しますよ、四百九十億、四百五十億ですか、四百九十億は貸しましょう。ことしは二百九十五億なら二百九十五億貸すんだというような、この初めの私は金の貸し出しのすべりが、将来の方向を決定していくと思うのですよ。ですから、公害のないようなそういうことをするのかどうだということについての、私は青写真めいたものはどんなふうにお考えになっておるのか、非常に抽象的な話でけっこうでございますから、お聞かせを願いたいと思います。
  24. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 先生のおことばを拝借するようでありますけれども沖繩振興開発計画そのものが、まだ煮詰まっておるわけでありませんので一抽象的なお答えしかできませんけれども、御承知のように、沖繩県知事原案提出権を持っております。振興開発計画の中でだんだん煮詰まってくるものでございます。ただ私ども考えますのに、また琉球政府との間でいろいろな相談をいたしてまいりましても、琉球政府が前に決定をいたしました長期計画がございます。これがやはり骨子になってくるであろうことだけは間違いございません。沖繩についての新全総の改定も、またこれが骨子になってくるだろうと思いますが、ただいま公庫のすべり出しのことにからめてのお話でございましたが、やはり現在沖繩にある地場産業、現在ある地場産業というもの自体が、一つ本土同種企業があって、そういう企業進出して、近代化されていない、合理化されていない沖繩の現在の地場産業が圧倒されていくということはまず防がなければならないことだと思います。そういうことで、沖繩本土から進出いたします企業についても、沖繩地場産業との関連というものを十分考慮いたしまして、まあ率直に申しまして、歯に衣を着せずに率直に申しますならば、沖繩地場産業を滅ぼすおそれのあるような本土企業沖繩への進出はお断わりをしたい。税制上でも、あるいは金融上でもいろんな特典については、これは受けていただかないという、基本的な私どもはそういう方針を持っているわけです。ただ、沖繩経済全体を高めるために役立つ本土企業あるいは沖繩労働事情をよくしていくような性格の企業、そうしてまた振興開発法の中に同時にきめられておりますところの公害等を防除するための、いろいろな計画を持ったそういう企業進出につきましては、資料として配付をいたしましたこの公庫特段金利等の対象にいたしておるわけでございます。先ほども申し上げましたけれども沖繩地場産業を育てる。これ自体、率直に申し上げて、決して力の強い大きな企業ではございません。中小企業なりに、必ずしも力の強いものとは申せない面がございますので、こういう近代化を進めていきたい。さらにドルに対する円価値というものの変更がございました。これが沖繩のいろんな経済企業に与える影響が甚大でございますので、給料の支払い等を含めた特段金利、非常に長期間の運転資金本土にないような新しい制度も、今回の公庫では金融をしていこう、それも五月十五日からもう始めていきたい、こういうふうなことを考えているわけであります。
  25. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もそういう基本方針で、まずプリンシプルを立てていないと、たいへんなことになると思うのですよ。あなたが、内地の強力なものが行って地場産業を倒すと、食い荒らすというようなものは一切認めませんよというぐらいの強い姿勢がないと、ほんとうに強い姿勢がないと、これはたいへんなことになってしまう。私はそういうチェックをだれがどこで今後やっていけるのか。それはここの答弁はこれでいいわけです。これで終わりますけれども実態をそれじゃどこでだれがそういうことをやるかというと、なかなかことばではあっても、実態はやっていけないと思うのです。で、そういう場合に、それならば本土のほうの行政指導も、企業に対して、あるいは銀行を通して企業に対する行政指導というものが、たとえば通産省と話し合われておって行なえるというようなことになっておりますかどうかということです。あるいはここで審議会が持たれることになっていますね、開発審議会等が持たれる。そこで、いや、今度は本土のたいへんなのが来ちゃったというようなことが議題になり、そうしてそれが今度は本土のほうへチェックあるいは本省のほうへそれがチェックされるようなふうにあがってくるかもしれない。そのときに、通産省としては、そういうものに対してチェックするんだという、そういうことが約束できますかね。
  26. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 先生も御承知のように、ただいま参議院の内閣委員会で御審議をいただいております沖繩開発庁設置法、これに基づいて設立されます沖繩開発庁というものは、御承知のように、現地総合事務局を持とうという企画を持っております。ここには地方農政局、それから本土にあります通商産業局等も全部実は網羅をいたしております。こういうところが現地実情を刻々把握をいたしますし、これが当然沖繩開発庁自体にも直ちにはね返ってくるわけでございますから、ここで、ただいま先生おっしゃいましたような、通産省ともう直ちに連絡がとれる、あるいは大蔵省と直ちに連絡がとれる、大蔵省銀行行政あるいは通産省企業に対する行政等、間違いなくそういうことはひとつ処置をしていきたい、こういうふうに考えております。  なお、この公庫運営協議会を持つことにいたしております。運営協議会のメンバーは、沖繩の方がおそらく過半数を占める審議会と同じような構成になってまいりますので、この公庫自体としても、そういう点から、現地実情というものをもう直ちに把握ができるような、そういう措置をとっていきたいと考えております。
  27. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 次に、今度もうちょっと具体的に聞きたいのですが、開銀が融資することになります。そうすると、開銀は大体その沖繩地場産業へ貸し付けようとしている、これは予算を見ますと、百十億の大体計画のようです。それで今年度は七十二億貸し付けようとしておる。どんな大体産業というのですか、業態に、業種に貸そうとしておみえになっておるのか、ちょっとその七十二億の大づかみな内訳をお聞かせ願えますか。
  28. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 貸し付け規模は、いまおっしゃいましたように、産業開発資金百十億円でございますが、その中で大口のものを申し上げますというと、電力関係が、沖繩電力株式会社設立等の大きなものがございますし、約四十九億の貸し付けをいたしたいというふうに予定いたしております。それから海運関係、まあこれは大型、中型いろいろございますが、全部まとめまして二十一億ばかり予定しております。それから観光の開発で十億といったようなおもなところでございまして、その他倉庫でありますとか、バスでありますとか、あるいは航空運送ともからめまして、沖繩の離島開発その他に重点を置いたものをまとめまして百十億の貸し付け計画ということになっております。おもな点だけ申し上げました。
  29. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと二十一億の内訳、もうちょっと話してください。
  30. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) これはまだそれぞれ通産省その他と詰めませんと、また地元の計画そのものが具体的に上がってまいりませんと、的確なことを申し上げられないのでございますけれども、まあ小型の船舶——小型と申しますのは三百トン未満ということでございますが、これが二億五千万ぐらい、二十一億六千万の中に二億五千万一応見込んでおりますが、もうちょっと詰めませんと何とも申せません。それから中型で、三百トン以上のもので三億一千二百万円、あと継続等も含めまして大型のものになるということでございます。
  31. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 電力関係で約四十九億、船舶関係でまあ二十一億、それから観光関係で大づかみ十五億、まあその他……。
  32. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 十億でございます。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 十億ですか。  これは、その電力は、沖繩電力株式会社というものを設置しますね。そうすると、本土との関係で申しますと、九州電力との関係はどういうことになりますか。有無相通ずるというようなことはありませんか。沖繩だけで電力をやって、そうして十分だという、そういう計画なんですか。
  34. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) まさに沖繩地域のための総合的な電力株式会社ということ、その地域に着目した電力株式会社でございます。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 いわゆる九分割になっておりますね、いま電力は。そういうものとは全然無関係で、沖繩電力株式会社というものが設置されて、ですから、そういうものなのか、そうじゃなくて、私は、一県だけで小さな電力会社をつくられる、それもいいですが、しかし、いろいろと電力事情というものがあり、これは火力だとかいうことならいいですが、水力だとかいうことだと、いろいろなことがありますね。あるいは火力でもたいへんなことがありますね。これはためておくわけにいきませんからね。故障があったり。  そこで、電力は九州電力の管轄内に入る沖繩電力株式会社なのか、全然別個なものなのか、そこはどうなりますか、電力行政で。
  36. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) いま申し上げましたように、ほかの九電力とは無関係でございます。  で、ただ、それにいたしましても、出資は別としましても、なるべく低利融資というような資金源を確保してあげる必要があるということで、五%程度の特利の融資をいまの額については考えておりますし、その他沖繩電力についての減税措置、電気ガス税とか、不動産取得税というようなものも考えております。そういうような育成措置によって、沖繩電力株式会社独自で料金等についても十分現地実情配慮しながらやってまいるような措置を考えておるわけであります。
  37. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、電源開発との関係はどうなりますか。
  38. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) これは、別途福地ダムでございますとか、あるいはその他北部三ダムについても全額国費でやります。  なお、電源開発の問題につきましては、本土の当時のものとは関係ございませんで、そういうふうな考え方を十分織り込んで、成り立つように電力株式会社を考えているということでございます。
  39. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、電源開発事業沖繩で行なわれる、もう一つは、沖繩電力株式会社で発電のいろいろなこともやる、二本立てでいくのだと、こういうふうに理解していいですか。
  40. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 沖繩の電力を確保いたします問題は、やはり沖繩のこれらの産業開発のために重大な問題でありますので、ただどうも、先生おっしゃいます本土の九電力と関係を持ってということは、当初から私ども考えなかったところでございまして、沖繩県だけで一つの電力会社で何とかカバーしていきたい、また現地の御要望もそういう御要望でございます。ただ、先生御心配になりますように、一つの県だけではたして電力会社というものが採算がとれるかどうかということも大事なことでございますので、これから設立されます沖繩電力株式会社というものが、本土並みの料金で十分採算がとれるようにといって考えましたこともあわせて、福地ダムという多目的ダムをこれから開発を、いま民政府が工事をやっておりますのを、日本政府が引き継いでやるわけでありますけれども、こういう本土の電源開発株式会社に依存するのではなくて、電源開発、多目的ダムの建設を、全額国費でやることによりまして、沖繩電力株式会社のコスト高も防いでいこう、そういう企画、考えで、一つの県だけを対象にする電力株式会社でありますけれども、採算のとれるようなそういう会社につくっていく、したがって、ほとんど全額が国費をもって株を持ちます、そういう沖繩電力株式会社でございます。配当等も期待するわけではございません。採算のとれる電力会社にしていく、そういうことに考えておるわけであります。
  41. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私も、熱エネルギーの問題で、今後の沖繩の運命を決定していく問題ですから、もう少しお尋ねしたいと思います、よくわからないから。  多目的ダム福地ダムをつくるんだ、これは国費でおやりになる、そうして発電ができる、これはわかります。その発電関係は、沖繩発電株式会社に電力をやる、あるいは発電関係の施設なりつくって、ただで貸すことになるかどうかよくわかりませんが、とにかく国費でやりますよ、こういうことはわかった。そうすると、沖繩電力株式会社というものは民営だと思う。そうじゃなくて、資本金の半分ぐらいは国が持つということになりますか。
  42. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 沖繩電力株式会社の株を持ちますのは、国が九九%、あとの一%を沖繩県が引き受けてくれることになるわけであります。やはりこれは特殊な株式会社でございまして、沖繩の電力を確保するために、沖繩の電力料金というものを妥当な料金で、沖繩県民の皆さんが使えるように、そういうことから考え一つの方式であります。
  43. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 わかりました。国営だということですね。  そうすると、私は、これが青写真だといいましても、そう簡単にそれじゃどのくらいの規模のもので、どうだというようなことはまだだと思いますけれども、そういうふうにして、少なくとも安い電力が供給されるということは非常に大切なことだと思います。  それで、私非常に心配しておることは、港湾関係というものが——船は約二十一億ほどですね、港湾関係などに対する、何というんですか、港湾は国でやる、あるいは沖繩でいろいろやる。それに対する桟橋なり、あるいは倉庫なり、そういうようなものに対してのいろいろなものの貸し付けというのは、当然この開発を通しておやりになるんだと思うんですが、そういう倉庫関係なり、あるいは船に荷を積んだりおろしたりするような施設関係、荷役といったか、ああいうものはどのくらい予定していますか。先ほど二億とおっしゃったように記憶していますが……。
  44. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 港湾そのものにつきましては、先生承知のとおり、地方債であれいたします。いま御指摘の倉庫業中心のものにつきましては、三億八千万円一応予定いたしております。それからいま一つ港湾運送業につきましては、三億二千万円を予定いたしております。
  45. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは開発ですか、中小企業のほうで出しますか。
  46. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 一応開銀系統の開発資金を予定いたしております。
  47. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私、まだ農林省お見えにならないようですから、あと農地関連して食管とか、そういうようなことについて、もう少し農業政策についてお尋ねしたいと思いますけれども、お見えにならぬからちょっとこれやめて、大蔵大臣せっかくお見えですから、私、大蔵大臣にお尋ねしたいと思うのですが、これはちょっとこことは関係なしで申しわけございませんが、お許し願いたいと思います。  変額年金ですね、変額年金。いわゆる生命保険が、インフレというのですか、クリープ・インフレになってずっといきますと、どうにもならぬですから、変額保険をやったらどうだとか、あるいは変額年金をしたらどうだとかいうような問題が出て、そうして保険審議会にそれを検討してもらいたいというような動きがあり、もうすでに、いや、保険審議会に検討を依頼したというような話も聞いておりますが、これは私は、非常に、もしそういうことが行なわれるとするならば、これは他に影響する大きな問題ですから、どんなふうなものなのか、その辺のところをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  48. 松川道哉

    説明員松川道哉君) ただいま変額保険並びに保険審議会での審議についての御質問でございますが、私どもといたしましても、ある意味でインフレに強いと申しますか、物価の動きに対応いたしまして、保険者の方の満足の得られるような保険というものが、外国においては一部の国で現に行なわれておりますので、わが国におきましても、そういった種類の、新しい種類の保険、新種の保険、というものがだんだん必要性が高まってきておるのではないか。そういう一般的な認識を持ちまして、保険審議会に対して、新しい種類の保険を開発することについてどういうふうな評価を下したらいいか、そういう諮問をいたしております。変額保険は、その中での最も重要な項目の一つとして、現在審議が行なわれておる過程でございます。
  49. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 そうすると、これは新種ですね、保険の新種の一環として検討されておるというのと、それからもう一つは、若干、いろんなことを言うけれども、クリープ・インフレなんだと。終身保険はたいへんなんだと、四十年先だと、あるいは五十年先なんだと。そういうクリープ・インフレというものを非常にウエートを置いての考えなのか。どうも保険、このままでいくとインフレでみんないやだと。短期の、五年ものくらいのものなら掛けるけれども、二十年以上になったらどうにもならぬということで、保険というものが非常に将来の展望が暗いというのと、たいへんな違いになってくると思うのですよ、出発点が。そこで審議会に検討を依頼されたのは、大蔵省がしたのか、それとも保険関係の会社のほうから出てきた、期せず一致したのか。その辺のところは、どういう背景があるのですか。
  50. 松川道哉

    説明員松川道哉君) これはあくまでも新種の保険一つでございます。たとえば先生案内のように、現在の生命保険の制度でございますと、配当金というのがございます。場合によっては、配当金はもらわなくてもいい。その分上積みして、万一の保険事故が起こりましたときに、手取りのよけいなほうがいい、こういう種類の保険もあるわけでございます。それから御案内のように、一部団体でやっておりますが、掛け捨ての保険、非常に期間を短くいたしまして、掛け捨てにしてしまう、こういうのも新しい種類の保険でございます。そういったようなもの、各種それぞれについて、どのような評価を下すかということで諮問をいたしておりまして、ただいま御質問のございました変額保険も、それも、あくまでもその一つでございます。  それからその審議をするに至った出発は、保険会社なのか、それとも役所のほうからの諮問なのかと、こういう御質問でございますが、これは私ども常々各国の制度も見、また、被保険者の要望というのも耳にいたしておりますので、大蔵省のほうから保険審議会に対して新種の保険、新しい種類の保険についてどう思うかという諮問をいたした次第でございます。
  51. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この運用で利潤が出てくる。だから、あなたがおっしゃるように、確かに配当金がありますよね、掛け金からそれを落としていく。ですから、あるときにくると、掛金は全くもうわずかなものになってしまう。その配当分だけを上のせしていくというのと非常に違ってくるのですよ。ぼくは、諸外国がやっておるとこうおっしゃったが、諸外国もそういう上のせなんですか。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  52. 松川道哉

    説明員松川道哉君) ただいま御質疑の変額保険と、それからいまお話しのございました配当をしないで上のせしていくもの、これは二つ別の種類のものでございます。変額年金とか、変額保険とかいいますのは、その資産を、すべて、株式に運用することによりまして、インフレその他の事情がございましたときに手取りがふえるように、こういう運用を認めるという種類のものでございます。
  53. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 私もそれで納得しますわ。だから、インフレになってくるのだと、だから額面が、配当だけじゃないんですよ、もっと変わってくるわけですよ、運用の利潤が。そうすると、やっぱり運用が、たとえば資金運用部で六分五厘じゃなくて、これが七分に回る、八分に回るというなら、そちらのほうで変額していくわけですよ。額面で百万円といったら、百五十万円になるかもしれない、あるいは百三十万円になるかもしれない。それはそのときでいろんなことになる。もしこれをやれば、年金も私は当然そうなってくると思うんですよ。厚生年金等も、あるいは共済年金のことを私は言っておるわけですけれども。ですから、非常に他に、大きな影響になってくるし、これは資金運用関係の資金の運用面にも重大な影響のある問題ですから、単にこれは実は保険審議会だけの問題ではなくて、金融制度のあり方全体にもうからんでくる大きな問題だと認識するわけですから、ですから変額ということは、額面が変わる、非常に大きな柱の問題です。保険審議会に検討を依頼されたということは、私は非常にいいことだと思いますけれども。だから、もうちょっと、いま論議されておるいろんな点について、もう少し何か、こんなようなことだとか、それから諸外国でやっておるところがあるとするなら、それはそれじゃどうやって、どんなふうになっているのか、私は不勉強で知りませんから、ひとつ教えてもらいたい。
  54. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 諸外国の実例につきまして、ただいまこまかい資料を手元に持ち合わしておりませんので、説明は省略さしていただきますが、この変額保険の制度は、アメリカで最近出てきたものでございます。アメリカの場合と、日本の場合とを比較いたしますと、日本保険には——若干ことばが適切でないかもしれませんが、貯蓄的な要素、または養老的な要素がございます。同じ生命保険といいながら、死亡事故に対する備えだけではない種類のものがございます。そういう前提で、この年金ないし保険考えますと、変額の場合には、うまくいけば非常に額がふえてくる。これは資産運用者の手腕によることでございます。ただ、何かございますと、減額して——変額じゃなくて額が減ってしまう危険も入っておるわけでございます。したがいまして、この変額という制度がいいのか、先ほどもちょっと触れました配当をやめて、それを全部積み立てていくという制度がいいのか、それともそのほかの制度がいいのか、こういうオルタナティブな問題であろうという認識で、私どもは新種の保険一つとしてこれを研究してほしいということを諮問をいたしておる次第でございます。ところが、片一方、年金のようなものになりますと、これは、みんながそれにかかるものでございますから、そのときに、保険でございますと、こっちの保険がいい、あるいはこの種の保険がいいという選択ができますが、ある種の年金ではそれが許されませんので、そこまで幅広く広げていくということになれば、これはまた別の問題として、保険審議会と異なった場で御検討をしていただかざるを得ないのではないかと、私ただいまのところではそのように思っております。
  55. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 ちょっと関連で。過日の労働保険特別会計の審議のさなかに、失業保険や、あるいは労災保険、こういった問題に対して、沖繩の加入者に対して何か適切な方法がないのかどうか、それから、円通貨の問題やいろんな問題が出てきますが、これは、資産や掛け金、それから交付金、受給者に対するそういう各般の問題を、いろいろとこの前質問をしたのですけれども、その内容等についてもし説明ができれば、さしあたって失業なりあるいは労災保険等についても大蔵省考えをひとつ承っておきたいと思います。
  56. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) いま、沖繩におきます年金等の問題の御質問でございましたが一復帰後の報酬、賃金によって給付額を算定する場合は、これは問題はございません。それから復帰前の賃金をもとにいたしますときに問題が出てまいります。そこで、私ども沖繩現地の御要望も承りながら、財政当局といろいろ折衝、相談をいたしまして意見の一致を見ましたことをお答えをいたしますが、公務員について、公務員の給与について新しい給与表を人事院で作成してこれをはめていく、そういう公務員給与問題の解決のしかたは、先生承知でございますが、こういうことも勘案をし、また民間企業におきます復帰後の賃金問題が、いわゆる三百六十円読みかえ等で、もうほとんどの民間企業の場合の三百六十円読みかえ賃金ということもまた、こう明るくなってまいりました。こういうことも、均衡をはかる必要上、復帰後の賃金動向というものに合わせまして、年金等についても新しい仮定俸給表をつくりまして、これによって円建ての年金等の給付額を決定していく——三百六十円を掛けるわけではありませんけれども、公務員給与の決定のしかたと同じように、出てまいりました結果は三百六十円になっている、そういう新しい俸給表というものをつくって、年金等もこれに合わせていく、そういう方式をとることにいたしております。
  57. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この振興法案に入る前に——十五日に沖繩が返ってくるわけです。——その前の事項として、二、三お聞きしておきたいと思いますが、大蔵大臣、けさの閣議に御出席になりましたか。けさ閣議ありましたか。
  58. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) ありました。
  59. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それで、御出席になったと思うんですけれども、私、ここへ来るまでに、十時からニクソンがベトナム問題で何か重要演説をするということであったんです。私がここへ来るまででは、その内容がどういうものであるかということは具体的に述べていなかったわけでありますけれども、おそらく閣議では、きょうのニクソンの重要演説というものはある程度問題になったんじゃないかと私は思うんですけれども、問題になったんですか、なりませんでしたか。なったとすれば、どういうふうになったのか。
  60. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) きょうの閣議では、全然そういうことは問題になりませんでした。
  61. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 外務省の方いらっしゃいますか。
  62. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) はい、参っております。
  63. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それは、きょう私聞いておりませんけれども、ニクソンの演説の内容は、新聞紙上の推測記事では、ハイフォン港の封鎖ではないかと、こういうふうにいわれていたわけでありますが、これは具体的にどういうことでございますか。
  64. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいま、いま公電がちょうど入っておるところでございまして、すぐこちらへ届けるように言うてございますが、ただいま現在のところ、まだ手元に参っておりませんので、具体的な内容をただいま申し上げる段階に至っておらないのでございます。ただいま、ちょうど公電が入っておるところでございます。
  65. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 たいへん私どもも、沖繩返還を前にして、きょうはニクソンがどういう態度を出すのか、ベトナム戦争に対してアメリカはどうかかわっていくのか、それに関連しての沖繩の島というものが一体どうかかわっていくのか、これはたいへん重大な問題であると思います。十五日を目前にしているだけに、非常に重大な問題ではないかと私は思いますので、この委員会が休憩になる前でも、ひとつその公電が入ったならば、公電の要旨をここでひとつ御発表願いたいと思います。よろしゅうございますか。
  66. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) この委員会の行なわれております間に、手元に参りましたならば御披露申し上げたいと思います。
  67. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 それから、もう一つの点は、五月十五日の復帰の時点で、沖繩には核兵器はないということで、ロジャーズ国務長官の書簡によってそれを確認すると、こういうふうにいわれておりますが、新聞の報道によりますと、核兵器がどうも国外に出されている、運び出されているという徴候というものは、どうもあんまり見られない、こういうのが新聞報道であるわけでありますけれども、これについては、さきの協定で、七千万ドルの核兵器及び特殊兵器の搬出の費用を日本が負担をするということで、金は現在払ってあるかどうかわかりませんけれども、それを出す約束をしておることは事実であります。そうしますと、とにかく私どもは、これについては、国民というのは、一体核兵器が運び出されたのか出されていないのか、これは重大な関心があると思うのです。場合によっては、五月十五日までに運び出されていないということになりますれば、これは非核三原則にも抵触してくるという問題にもなるわけでありまして、そういう点では、外務省なり、あるいは、これは防衛施設庁も関係してくるだろうと思うのですけれども、そういう問題は現実にどうなんですか。どのように推測すればいいんですか。これは大蔵大臣お答えいただけますか。
  68. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) それは私の管轄じゃございませんが、この問題はきょうの閣議で出ました。というのは、総務長官から、けさの新聞でこれが非常に、P3以下その他のものの撤去がおくれるような新聞記事があるがどうか、おくれることは困るので、これは促進してもらいたいという要望があって、これに対して外務大臣が、これは当初の予定どおり促進をするということを言われた。この程度の扱い方でございましたが、けさの閣議に出ましたから御報告いたしますが、おくれることは、十五日の日に間に合わなくておくれることは、これは日本政府のあらかじめ承知しておったことでございまして——と申しますのは、御承知のように、暫定予算でこれを計上することができませんでしたので、その点若干ズレがあるということは両国とも了解の上でございましたが、したがって、この予算も通りましたので、協定の予算支出をどんどんいたしますので、おくれることにも、若干おくれることは了解済みであっても、これは限度がございますので、あまりに多く、きょうの新聞のように、長い期間かかっておくれることがないようにということについては、政府も努力するということでございます。
  69. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私、まだお尋ねしない前に大臣お答えいただいたわけですが、私は核のほうはどうなのかと、たとえばその基地提供のP3の問題は、これはある程度われわれも若干おくれるだろうということについては、那覇空港の目玉商品が実現できないということは、これはある程度わかるわけです。しかし、核の問題についてはもっと私これは重大な問題だと思うんです。要するに、十五日から日本の領土になるわけであります、その日本領土にアメリカの核があるということになれば、これはもっと重大な問題、非核三原則に私は抵触してくる問題だろうと思うんです。この問題がいままでの沖繩返還の問題で相当大きい問題になったということは、大臣も知っているわけです。ところが、私が聞いているのは、まず核のほうはほんとうにその書簡だけを私ども信用するわけにちょっといかぬわけです、いままでの形ではね。ところが現地からの新聞報道によると、どうも核を移送した動きというものはあまりない、まあ若干警戒がゆるやかになった所もあるようだけれども、実際にはどうも見かけではないのかというような報道がされているわけです。それだけに私はこの問題は重要だと。ですから、これは具体的にどうなっているかということは、私はおそらく大臣あまり御存じないと思うんです。それはむしろ外務省なり、あるいは防衛施設庁なり、まあそういう方面で、その辺は具体的に私はアメリカ軍の行動としてキャッチしているものがあるはずだと、またそのぐらい目を光らしているべき問題ではないだろうか。こういう点で、特に核の問題についてどうなのか、実際そういう動きがあるのかないのか、そういうものをキャッチしてるのかキャッチしてないのか、この辺を私はむしろ外務省にお聞きしたいわけでして、これは大臣のほうでわかればけっこうです。
  70. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) きょうの閣議の問題は、いまのP3の問題だけしか出ませんでしたので、核の問題は外務省のほうからお答えいたします。
  71. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生案内のとおり、国会審議でも、佐藤総理とニクソン大統領の共同声明のときから、ニクソン大統領がはっきり約束しておりまして、それから返還協定の第七条にも、条文の形でこれが明記されることになりまして、アメリカ側としては、返還のときにおいては核はありませんということを、これらではっきりしておるわけでございますが、ことしのサンクレメンテでも、これは念を押してございますことは、御存じのとおりでございます。その間……。
  72. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういうことじゃなくて、具体的に沖繩におけるそういう行動というものがあったのかないのか、そういうものを察知できたのかできなかったのか、この辺は私は外務省としたって、あるいは防衛庁にしたって、これはかなり重要な問題だと思うんです。そういう点を聞いているわけです。そういうサンクレメンテでどうだとか、こうだとかいうことはわれわれも知ってるわけです。具体的な現地の行動としてどうなのか、毒ガスのときにあれだけ騒いだわけですよね、そういうことを聞いているんですから。
  73. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 御存じのとおり、具体的に核がどこにどんなかっこうで何ぼあるということは、アメリカ側も表に出しておりません。したがいまして、ただいままでのアメリカ側の、この問題に関する向こうの議会での審議などの場でも、もし沖繩にあるとしても、返還のときにはなくなる、こういうことを言っております。したがいまして、核につきましては、御存じのとおり非常に高度の向こうの軍事的な機密の問題でもあって、具体的にどこにどうということは表に出ませんので、これをどうこうするという場合も、おそらく人にはわからぬようにいずれにせよやっているのだろうと思います。
  74. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そういうことじゃないのですよね。そういう論理的なことじゃないのですよね。だから、外務省がわからなければほかでわかるところは——防衛施設庁あたりでわかるかわからないか、おいで願っているだろうと思うのですがね。あなたは沖繩に行ったことがあるかどうかしりませんけれども、たとえば辺野古の弾薬庫を通ればわかるのですよ、あすこには普通の弾薬庫とは違った弾薬があるということは、大体見当がつくわけです。御存じですか、あの辺野古の弾薬庫のあすこのところ、あすこは停車すら許さないでしょう、軍が。だから辺野古の弾薬庫がどうも怪しいことは、これはあなただって知っているはずです。もちろんアメリカからそういう情報はないでしょう、アメリカは機密ですから。しかし、こっちで探っていれば、たとえば辺野古弾薬庫の警戒がどうなったかということはわかるわけです。あるいは知花弾薬庫だってそうなんです。そういうものは、当然五月十五日が近づいているのですから、私は、非核三原則というものを堅持している限りは、政府としてはこれについて細心の注意を払って、その動向というものがどうであるかということは、当然よく目を光らして見ているべきじゃないだろうかと思うのですよね。私はそのことを聞いているのですよ。ただそういうふうに言われて、アメリカのこれはごく機密になっておりますからわかりませんと、そういうことを聞いているのじゃないのですよ。日本側の自主的な立場で、沖繩の核の移転というものが——それを含めて七千万ドル出すことになっているわけですから、そういう意味で私は聞いているわけです。あなた方はそういう、いまのお答えでいくと、これは全然そういうところにはもう関心を払っていないと、こういうふうにしか私にはとれませんが、ほかで答えられるところがあったら、ひとつどういう動向があるか答えてください。
  75. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  76. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記を起こして。
  77. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) まことに難問でございまして、直接それに正面からお答えできないのは残念だと思います。やや繰り返しになって恐縮でございますが、私どもとしては、復帰の時点においてちゃんときれいに、とにかくきれいにして返してくださいということにまさに重点がございまして、そのためにいままでも繰り返し共同声明、あるいは協定、あるいはサンクレメンテというような過程を通ってまいりました。またさらには復帰の時点において、念には念を入れるということで、これをもう一ぺんはっきりさしてもらいたいという措置をいま検討を進めております状況でございます。したがいまして、現地において具体的に、たとえばどこにどんなものがあって、どう動いたのだろうということにつきましては、私どもも、できる限りの努力はしてみまして、アメリカ側にもそれはアプローチはしてみましたが、何ぶん核に関しては、これはもうほんとうに向こうの最高の機密であるからこればかりは何とも言えぬということでございます。したがいまして、いろいろあすこの基地、弾薬庫では、お話のように少し警戒が厳重であるがどうであろうかというような、いろいろの推測、憶測というものもあるようでございますが、弾薬庫にもいろいろな弾薬がございまして、核ではなくても、非常に高性能の爆弾というようなものもございましょうし、警戒が厳重であるから、あるいは警戒の度によって、そこにあるのかないのかということも、にわかには言えないというような状況でございます。したがいまして、現地で具体的にどこにどうなってあったんだろう、それがどうなって出てきたのだろうということまでは、そういうような事情のもとで確め得ないというのが実情でございます。したがいまして、その点を御了解いただいて、とにかく十五日にはきれいになって返ってくるということで御了承をいただきたいと思います。
  78. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私はこれはアメリカに聞かなくてもわかることだと思うのですよ。沖繩県人の目が何人かこれは見ていると思うのですよ。軍労働者だっているわけです。ですから、たとえば毒ガスのときにあんなに大騒ぎしたわけです。あれによって現地の人はたいへんあの毒ガスについては心配があったけれども、しかし私どもは、ああいう行動でアメリカが毒ガスを持ち出したということははっきりしたわけですよ。今度の場合、いまあなたの言っていることを聞くと、現地の動静、確かにその警戒が厳重になったかならないかということが、核兵器かどうかそれはわれわれも推測できませんよ。あるいは特殊な爆弾かもしれません。しかし少なくともそういうものが七千万ドルというのは、われわれが国民の税金で払った七千万ドルというのは、少なくもそういうものも含めて撤去の費用として考えているわけです。しかし、その中で一番重要なものはやはり核だと思うのです。それはさっそく現地へ問い合わして、とにかく事前に、十五日に、ほんとうに核がない、こういうことで復帰を喜べるかどうかの私は一つのポイントでもあると思うのです。もう来週の月曜に迫っているわけです。これはどうですか。外務省としてもそのくらいのことは、アメリカからは聞けないにしても、現地の状況から推測して、できるだけの判断は、その判断が正しいかどうか、また問題はありますけれども、ある程度納得できるものであるのか納得できないものであるのか、これは日本政府の判断だと思うのです。そういうものは、私は少なくも五月十五日前に外務省としてはやっておくべきことだと思うのですがね、どうですか。
  79. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 核を沖繩からなくすために、その関連で七千万ドルというものを米側に払う中の一つの項目に考えていることは御存じのとおりでございますが、この件につきましては、国会審議の過程におきましても、外務大臣等より、いろいろ、核の性質上、非常にこれは高度な判断できめた、政治的な判断できめたものであるという御説明があったと思います。それから核につきましては、何ぶんそういう最も機密度の高いものでございますから、米側においても、おそらくこれの所在とか動かし方とかいうことについては、最高首脳部が最高の責任を持って処理をしておるべき性質のものでございますし、事実そうであろうと思います。したがいまして、その最高の責任者である米側の大統領を含め、あるいは国務長官を含め、こういう者が復帰の時点においてないのだということを言う以上は、まず最も信頼すべき言明であると私ども考えております。そういう意味でも御了承を得たいと申し上げておる次第でございます。
  80. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 ぼくはそういうことを言っているのじゃないのですよ。日本の政府として、核が撤去されたというならば——それは事実であるかどうかわかりませんよ、ただそれをあとづけるものを何らか外務省として努力する必要があるのじゃないか。これはアメリカがどう言おう、こう言おうと、日本政府の独自の判断で、日本政府だってその後核が撤去されたということがはっきりしなければ、非核三原則というのはくずれるわけでしょう。重大な問題ですよ。これは衆議院の決議にも違反してくるわけです。私は当然何らかの形で、確認はアメリカにたよらないでも、日本の政府のできる範囲内のことでは、私はやるべき義務があると思う。それもやらないということになったら、私はこれはたいへんな問題だと思うのですよ。外務省がそういうこともやらない、政府としてそういうこともやらない、こういうようにおっしゃるわけですか。ただ、アメリカのロジャーズから渡されるところの書簡によって、すべてあとづけもしないでそのままということなんですか。私は当然それは日本政府がやるべき義務があると思うのですがね。
  81. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 繰り返しになってまことに恐縮でございますが、核につきましては、向こうの最高責任者が最高の責任を持って、全権を持ってこれを管理しておるわけだと思います。したがいまして、外務省にこれを限定いたしますれば、その最高の責任者において、あなたは必ず、こうしてくれるなということを、すでに佐藤・ニクソンの共同声明の段階においてはっきりし、さらに返還協定において、これを条約上の文書として、法律的な義務権利の関係においてこれを明定し、さらにその後サンクレメンテで念を押し、さらにそれから、先生からございましたように、復帰の時点において、また念を押す、念には念を押すという措置をとり、あるいはとろうとしているわけでございます。そういう意味におきましても、向こうの一番の責任者、これに念を重ねて押しているわけでございます。
  82. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうも私の質問をはぐらかしているわけですよ。あなた、われわれが銀行に行って預金をおろして、自分がその金を受け取るとき、銀行からおろした金を向こうで数えても、こっちでまた数えるのはあたりまえでしょう。あなた、そういうことをしませんか。銀行、郵便局を信用して、金を一切数えないで持ってきますか。数えて持ってくるわけですよ。あたりまえのことなんですよ。だから、これはちょっと大臣に聞きますが、これは私は核兵器だけではないと思うのです。七千万ドル日本出しているわけでありますから、当然特殊兵器がその中に含まれているということですよ。ですから私は、核兵器については五月十五日、この復帰の時点というのは、一番大事だと思うけれども、その他それに該当しない、非核三原則に該当しない特殊兵器もあると思う。こういうものはどういうように政府としてあとづける。私はこれもあとづけるべきだと思うのです。これは国務大臣としての水田さん、どういうようにお考えになりますか、私は当然あとづけるべきだと思いますが。
  83. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 問題は、米国政府を信用するかしないかという問題でございまして、最高幹部がいろいろな形でこれだけの約束をしている問題ですから、日本政府はそれをいま信用するという立場で、この五月十五日にはそれが実行されるものという立場で現在おりますから、特別のことはしていない。ということは、これだけの問題でございますので、これが実行されなかった場合の責任とか、問題は、相当大きいことでございますので、したがって、こういう大きい問題が両国の間で何回も約束されておるということは、もう信用する以外にはないということだろうと私は思います。外務大臣からもしばしばそういう説明で閣議も了承をしておるというのがいままでのいきさつでございます。  いま銀行預金をおろしたときに、銀行だけを信用しないで自分でも数えないかと実は言われたのですが、数える金をいまもらっていない。十五日の日にやるからと言うのですから、その日までは数えられないというのが、高度の秘密性ということでございますので、やはり約束の瞬間を見て数えるよりしかたがないのじゃないか、私はそう思っております。これは信用するかしないかの問題で、いま外務省で説明したとおりの過程を経た約束をしておりますので、私は信用していいと思っております。
  84. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は非常にこれ、担当、外務省が出てきたから、この程度はわかるだろうと思ったんですがね。これは大蔵大臣に聞くのはちょっと無理だと思った。十五日の問題については、アメリカの高官の発言を信用することは私はいいと思うんですよ。それを私は否定しろと言っているわけじゃないんです。ただ日本の政府が、状況判断としてやるべきことはあると、こう思うんです。信用することはいいですよ、それは日米の長い間の関係でしょうから。私どもはそんなに自民党政府みたいに信用しちゃいませんけれども。あなた方は信用するというから、それ一応いいですよ。しかし日本政府として、私は、当然そういうものは、状況判断として調べられる範囲においては当然調べておくべきだと。それが発表できる資料になるのか、あるいは発表できるまでに至らない資料なのか、これは別ですよ。しかし、当然状況判断として私はやるべきだと思うんですよ。  それで、その次にいきます。核の問題たいへん残念ですがね。これは外務大臣が出ておられないからこれはしようがないと思うんです。そうすると、あなたいまもらってからの話だって水田さんおっしゃったんですがね。五月十五日以降のそうした特殊兵器、核を除く特殊兵器ですね、こういうものの搬出については、これ日本領土になりますね、今度は。日本の施政権下にありますからね。このときにもそういう兵器が出されるのか、出されないのか、ある程度わかると思うんです、状況でですね。そういうことは、五月十五日以降はどうしますか。これも、日本の施政権下に沖繩が入ってからも、ただ向こうの話を信用するだけということで、そうした日本政府でできる範囲のあと追いといいますか、そういうことはなされないんですか、なさるんですか、どちらですか。これは外務省なりあるいは防衛庁にお聞きしますけれども、五月十五日以降日本に施政権が返ってからどうするんだ、いまのところ返ってないんだから。
  85. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) ただいまの御質問の特殊の兵器ということでございますが、これは核と核以外の特殊な兵器、たとえば生物・化学兵器と、そういうものをさしておられるものと思います。核につきましては、御存じのとおり、本土におけると同様、これは安保条約の第六条に関する合意議事録で事前協議の対象となる問題でございます。したがいまして、事前協議によってわがほうは処理をする。その際の政府の方針は、御案内のとおりの非核三原則というものによって対処をするということでございます。それ以外の化学、それから生物兵器というものにつきましては、特に化学兵器の場合は、御存じのとおりの毒ガス問題がございまして、致死性のそういうものについては、今後もアメリカは持ち込まないということを明言しております。これは本土におけると同様でございます。化学兵器につきましてもこれは国際条約もございます。アメリカもこういうものは今後はあまりつくらぬということを声明としても、政策としても表明しております。現在もそういうものはないと思いますし、今後も持ち込まれるというようなことはないものと考えております。
  86. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あなたぼくの質問をよく聞いていてくださいよね。ぼくは持ち込みのことを言ってるんじゃないですよ。いまあなたの話を聞いていると、持ち込みの話ですよ。持ち込みの話じゃなくて、撤去するために七千万ドル出すわけでしょう。もう出しておると思うのですが、だから、核兵器の問題については、五月十五日以降はないはずです、核兵器についてはね。だからわれわれも一応御答弁の前提としてこれはない、一応そういう前提で議論を進めます。その他の生物兵器だとか化学兵器については、これは私は当然五月十五日までに撤去さるべきだと思うのですが、これは日本の政府に非核三原則があるなしで若干の問題があると思うのです。だから、それは残る可能性もある。日米の約束で核については五月十五日現在はその撤去をするという約束しておるのですから、その他の問題については約束していない。そうなりますと、あとのものについては、撤去するのを確認をしていく手段は講ずるのか講じないのか。これも核と同じように、向こうの高官がもう撤去しましたからということでですね、それをそのまま認めてしまうのかどうなのか。今度は施政権返るわけです。さっきはいただかない札と大臣おっしゃったが、五月十五日以降いただいた札になるわけです。それをやるのかやらないのかと私聞いているのです。ただ向こうの高官が、これガス兵器も撤去されました、細菌兵器も撤去されましたと言ったから、それで終わりなのかどうなのか。そう言ったって簡単に入れてくれないだろうと思いますよ。思うけれども、いろいろな関係で撤去されたという資料というものを、私は少なくとも政府の側としては常に集めて、その状況というものを監視すべきだと思うのです。そのことを聞いているのです。撤去の場合を聞いているのですよ。もちろん持ち込んでもらっちゃ困ることはこれは当然であります。質問間違えないようにしてください。
  87. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 少しお答えのほうが先走りしまして申しわけございません。特殊兵器の中の毒ガスにつきましては、御存じのとおりの経緯で、現実にあそこにありました毒ガスが撤去をされ、かつその撤去をされました段階、撤去の過程においても、それから撤去がされましたあとにおきましても、わが方も立ち会いのもとで撤去されたことが確認をされておる次第でございます。生物兵器等につきましても、これはアメリカ側として、本土におけるのと同じようなやり方が、復帰後全く本土と同じようにやっていくわけでございまして、当然本土におけると同様、そういうものはないのであるということを、はっきり復帰後における沖繩にはそうであるということを明言しております。したがいまして、復帰の時点においてそういうものがないということは、向こうの政策としてもはっきりしておると考えております。
  88. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 あのね、どうも私の言っていることをあなたわざとそらしていると思うのだ。このくらい、初めのころは私の質問が理解できないかと思っても、これだけ同じことを言っておるのだからね。それで七千万ドル、こういうことになります。そうすると、七千万ドルは全部核兵器の運搬費だと、こういうことになりますよね、あなたの論理でいけば。まあそれは別として、そうすると、もうその七千万ドルを払ったんだから、五月十五日以降は核兵器はもちろんのこと、特殊兵器も一切ない、こういうふうにあなた言い切るわけですね。
  89. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 特殊兵器という定義は、私専門家でございませんので、それが何を、どういう具体的な兵器を意味するか、専門であるのは、むしろ防衛庁ではないかと思いますので、それに譲りたいと思いますが、特にまあ生物・化学兵器、ガスでいえば致死性のガスというようなものについての問題でございますれば、先ほど申し上げましたとおり、こういうものは本土におけると同様沖繩にもないんである、復帰後は日本と全く同じであるという米側のはっきりした声明であり、立場でございます。
  90. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 防衛庁、どうですか。
  91. 銅崎富司

    政府委員銅崎富司君) 私、防衛施設庁のほうでございまして、そういうほうの専門でございませんのでお答えいたしかねます。
  92. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これ、大臣ね、聞いていておわかりだと思うのですがね、私にはそういう不安があるわけです。だから、ぜひ五月十五日以降においても、そういうものの点検というものを、それは基地に入って点検するというのも一つの点検の方法です。いろいろな状況証拠を集めて、これによって、大体ないだろうということも私は一つの点検だと思う。点検のやり方というものはいろいろあると思う。そういう点、私は政府として当然進めるべきだと思うのですよ。こういうことについて、これ以上議論したってしようがないです、この場で。しませんけれどもね、これはひとつ閣議において、大臣として、やっぱりそういう不安があるということは事実ですから、この点については何らかの形で、ただ信ずるというだけではなしに、政府としても、施政権が返ってくるわけですから、相当な部分というものは私は、もっといままで以上に点検できるはずです。そういうものは、私は進めていただくように、それは大臣からも伝えていただきたいと思うのですが、どうですか。
  93. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) すでに毒ガス兵器はもう確認という措置をとっておることでございますし、そのほかの特殊兵器については、内地のわれわれと同じ扱いでいくんだと、向こうでは声明しておることでございますれば、内地と同じ扱いが当然今後もできると思いますので、そういう確認もできるだろうと思います。
  94. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 どうもこんな、ちょっと聞いておこうと思った問題でたいへん時間をとってしまいましたので、あと時間がありませんので、いろいろお聞きしたいことがあるわけですが、金融関係の問題に入っていきたいと思うのです。  まずお聞きしたいのですが、大蔵省として、沖繩には復帰後日本の普通銀行ですね、都銀、地方銀行——まあ地方銀行はないと思うのですが、都市銀行になると思うのですが、そういうものの支店、営業所というものの沖繩における設置というものは、どういうふうにお考えになっていますか。
  95. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 現在の時点で、本土銀行が、沖繩復帰以後沖繩進出したいという具体的な計画を持っているかどうかという点につきまして、現在持っているという話は聞いておりません。  ただ、かりにそのような申請が出てまいりました場合、銀行でございますと、店舗の設置について私どもが許可をいたしておりますので、たとえ沖繩に出たいという申請がございましても、当分の間はこれを認めないことにしていきたい、このように考えております。
  96. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 当分の間というのが、一体どのくらいの期間だか、私よくわかりませんけれども、しかし、おそらく本土資本も当然沖繩にある面では、許される範囲で出ていくと思うのですね。全然出ていかないということはないと思うのです。  たとえば松下電器というものは、すでに糸満に土地を買っているというような話もあります。その他の企業でも、表面にはあらわれないにしても、土地を買っているということは、今後出ていくということです。そうなってまいりますと、いろいろな取引の関係上、おそらくそうした企業が、取引をしていた銀行というものを使いたいということは、私は当然だろうと思います。そうなってくると、いまのところはなるほどまだ本土から向こうに進出しているそうした企業というものがないわけでありますが、いまのところはそういう要望はおそらくないと思うのです。これが進んでいく。そして日本の国内においては、銀行を中心とした企業のグループ化というものが行なわれている。まあ最近の投資の問題にしても、ぼくはそういう面が非常にあると思うのですね。そうなってくると、そういう要望というものは、私は今後出てくると思うのですね。それからいまおっしゃられた当分の間というのは、一体どのくらいの状況、これは年数ではちょっと言えないと思う、どのくらいの状況を考えて当分の間と、こういうふうに言っておられるのか。これがそうした銀行が出ていくということになりますと、やはり向こうの銀行との競合関係というのも出てくるであろうし、あるいは沖繩におけるところの資金量といったようなものが、本土のほうにむしろ吸い揚げられてしまう、こういう心配もなきにしもあらずだと思うのです。そういうことを考えますと、都市銀行沖繩への進出というものについては、私はかなり慎重にやっていかなければ、せっかくのいろいろな投融資を行なっていっても、それは沖繩の開発にならない。こういうように思うのですが、一体、当分の間という考え方は、やはりその普通の国内、こちらの本土の中におけるところの当分の間とは、私は様相が違うと思うのです。非常にいまの沖繩県の状況というのは、やはり不安が渦巻いていると思うのです。これは国内とは違うと思うのです。その辺を明確にしてほしい。
  97. 松川道哉

    説明員松川道哉君) いわゆる都市銀行沖繩進出につきまして、慎重であらねばならないという先生の御意見には、私ども全く同感でございます。またそのような質問を提起なさいました背景には、沖繩の方々の心の中に、いわゆる本土の者に対するものと、自分たちとの間に、若干、まだ差があると申しますか、違うグループの人という認識が非常に強いので、この連中にやられたんではかなわない。そういう危惧が非常に強いから、そこを慎重に配慮してやれ、こういう御趣旨であろうかと思います。私どもも、従来本土でもそうでございますが、店舗を出します上におきましては、それぞれ受け入れる現地の方々の危惧ないしその土地の種々の環境というものを十分に配慮して、実施いたしております。沖繩に店を出すような場合に、沖繩の方々の間に、抵抗感が現在のように強い、また現在より若干薄らいでも、相当根強い抵抗感が残っておるという段階では、沖繩に対する銀行進出を認めるのはまだ早いのではないか、このように考えております。ただ御指摘のように、当分の間がはたして何年かということになりますと、私ども心の底では、早く沖繩本土と一体化してほしいという希望を持っております。本土と一体化して、ただいま御指摘のような抵抗感がなくなる段階が一刻も早くくることが望ましいのでございますので、いまの時点で、非常に遠い期間まで絶対に出しませんよということも申せませんし、これは沖繩の方々の心理を、また本土沖繩との経済関係の密着の度合いを十分に見ながら検討してまいりたいと思います。
  98. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 この支店を出して、あるいは営業所を出していくという場合、そういういまの御趣旨というのは、私も賛成なんです。しかし、それはどういう機関でそういう場合には決定をするわけですか。いままでは大蔵省のほうで大体何店舗というようなことをきめておるわけですが、今度の場合、沖繩の場合には、やはり大蔵省サイドできめていくんですか。そういう場合には現地の意向も十分確かめてというのは、それはどういうことなんですか。ただ大蔵省のほうで、現地の意向を聞いてやるというのか、あるいは沖繩のそういう機関を、金融機関代表というものを入れて、そこできめていくのか、その辺はどうですか。
  99. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 銀行の支店の設置につきましては、現在の銀行法上、主務大臣、すなわち大蔵大臣の認可を受けることとなっております。したがいまして、その決定はあくまでも大蔵大臣がなさるものと了解いたしております。しかしながら、私ども直接現地に手足を持っておるわけじゃございません。したがいまして、沖繩のほうの空気がどうなったか、その他の事情につきましては、これからできます国の沖繩における出先官庁を通じまして、十分現地の動向を聞き、また現地の方々の空気も承知いたしながら、この認可をするかしないかをきめてまいりたいと、このように考えます。
  100. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私はその点は、やはり沖繩本土とは違った経済圏であったということは、これは事実だと思うんです。これからの沖繩の開発をどうするかということを考えてみても、これはたいへんむずかしい問題だと思うんです。いままでの日本経済圏の経営のあり方とか、そういうものも全然違うわけですよね。そういう中で、いまおっしゃられたように、なるべく早く日本と同じ経営のやり方、そういう商慣習もある、そういうものを一体化していきたいという希望はわかるんですよ。確かに、それでは、すぐそういう形にいくかというと、これは私は三十年近い別世界でありますから、そう簡単に、頭が単純にすっと切りかえられるということは、私は考えられないと思うんです。そうなってくると、本土のやり方そのものを沖繩にすぐ適用するということになりますと、私はかなり摩擦というものがやっぱり起きると思うんです。ですから私は、沖繩に関する限りは、やっぱり、おそらく本土の普通銀行は、向こうにそういう企業が出てくれば、これは当然、そこの営業所を持ちたいというような要求というものが非常に大きくなってくると思うんです。そうなってくると、まあ力関係も作用してくるだろうと思いますから、この辺は、店舗設置については、やはり沖繩県民の意見を入れた機関、審議会なり、あるいは何なりというものをつくって、この点をやることが、沖繩の一体化に対して、むしろそのほうが早いんじゃないか。へたをすると、アメリカが日本の都市銀行にかわった、AMEXがかわったとか、そういうような感じというものをたいへん強く持たれるんじゃないか。その辺は慎重に、そういう一つの制度というものをある一定期間つくって、県民の納得の得られるような形にすべきだと思うんですが、どうですか。
  101. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 先生指摘のように、経済活動がだんだん活発になってまいりますと、いわゆる本土産業資本というものも出てまいることになろうと思います。そこで、そういうことになってまいりました段階において、銀行関係で、あるいは本土のいわゆる都市銀行といわれるような大きな銀行が、直接店を出さなければならないかどうかということになりますと、そこにはいろいろ解決の方法はあろうかと思います。たとえば現在沖繩に二つ地方銀行がございます。琉球銀行沖繩銀行とでございます。この二つの銀行は、復帰いたしますと、すぐに地方銀行協会のメンバーになりまして、本土における地方銀行と一緒になりまして、各地の経済情勢を緊密に連絡し合うという体制をいまとっております。したがいまして、復帰後、そのような産業資金の需給関係から、もっと本土と密着したいというようなことになりますれば、この二銀行が、二つの銀行が、沖繩のほうの意向を反映いたしまして、しかるべく金融のネットワークを、それぞれ適当な本土銀行と結ぶこともあろうかと思います。また他方、復帰と同時に、御案内のとおり、那覇に日本銀行の支店を置くことにいたしております。これも、沖繩における資金需給を見守ることはもちろんでございますが、このチャネルを通じましても、やはり沖繩の方々の意向というものは、私どもは十分にキャッチできるものだと思います。したがいまして、現在の体制をとりながらも、沖繩の方々の要望を反映することは十分に可能ではなかろうかと、このように考えております。
  102. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 まあ私は、それだけではどうも不十分なような気がします。金利体系もおそらく違うであろうし、それから預金の性質、貸し出しの性質というものも、おそらくいままでの本土あり方とは違うわけですから、それをしかも相手は、中小企業というものが九九%を占めているという状態ですから、なかなか本土並み企業会計なり経理方針というものを移していけるかどうか、これは相当時間がかかるんじゃないか。そういう意味では、やはりぜひ私は——確かにそれは日銀の支店もできるし、地方銀行協会にも入るしということであればわかるとは思います。わかるとは思うけれども、やっぱり沖繩が新しく出発するという立場において、いままでの本土あり方というものに対する批判というものは非常に強いと思うんです。だから、そういう点では、沖繩の県民の意向をいれていくという制度というものをこれは私はつくるべきである、この辺はひとつ検討していただきたい、こう思うんです。  それから損保とか生保というような、そういうものは一体どうなりますか。
  103. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 保険事業につきましては、銀行の場合とちょっと異なりますのは、法律上店舗の認可制度というものが、銀行にはございますが保険の場合にはございません。したがいまして、法律上のたてまえは、沖繩に出ていって自由に営業ができるというたてまえになっております。しかしながら、保険事業の場合におきましても、本土保険会社が進出してまいりますことは、沖繩にございます保険会社の規模が本土の場合よりもはるかに小さいことを考えますと、従来から沖繩にございました保険会社の営業基盤をあるいは危うくすることがあるんではないかと思われますので、私どものほうといたしましても、生命保険会社につきましては、沖繩での営業活動は行なわないように重々指導いたしておりますし、損害保険会社につきましては、損害保険会社のグループで沖繩には当分の間出ないという申し合わせを行なったように聞いております。
  104. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 竹田君、時間がだいぶかかりますか。
  105. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これで終わります。  いまの点、おそらく保険会社の規模として、沖繩保険会社よりはるかに本土保険会社の規模というのは大きいわけですね。そうしますと、さっきの話にも出たような配当とか、あるいは掛け金の率とか、こういうようなものもかなり本土のほうがいいと思うんですね、割合が。そうなってくると、保険会社としても、いまはそういう申し合わせをしても、新しい地域の開拓ということで、出ていく可能性が非常に多いと思う。ただ申し合わせだけでそれができるかどうか、私は非常に心配なんです。なぜ私はこういうことを言いますかというと、せっかく沖繩に流通する金というのは、まず第一義的に沖繩で使う、沖繩の開発のために使うということが必要だと思うんです。それをいろいろな形で、むしろ本土に吸い揚げてしまうということになれば、確かに金は回っても、しかし、沖繩金融情勢というのは必ずしも楽観を許さない、本土のほうに金が集まってくる、こういう心配があるわけです。この辺もひとつ、ただ申し合わせだけではなしに、かなり私はチェックをしておく必要があるんじゃないか、こう思うんですがね。その点はもう少し考えていただきたいと思うんですが、どうですか。
  106. 松川道哉

    説明員松川道哉君) ただいま、当分の間進出しないように申し合わせがあると聞いておりますと御答弁申し上げましたのは、現実にそういう事実があるようでございますから、大蔵省といたしまして、損害保険会社のほうに対しましては、強力に出るなという指導はいたしておらないという現実を申し上げただけでございます。もしその申し合わせが何らかの事情によりまして廃棄になり、出ていこうという動きがございまして、しかもその時点が、先ほど銀行で当分の間と申し上げましたが、その程度の期間がたたず、まだ本土沖繩の間に心理的な若干の食い違いがある段階で、そのようなことが起こりますれば、私どもといたしましても、まだ時期尚早であるという指導をいたす所存でございます。
  107. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと資料を……。  琉球開発金融公社ですね、それから大衆金融公庫沖繩の、琉球の特別会計ですね、これの正味資産ですね。それを今度こっちに引き継いじゃうわけですが、建物や土地、そういうものまで含めた資産表がいただけませんか。
  108. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) まだ的確な数字がいまの段階では出せないのです。ですから、概算でやらざるを得ない。この法律には、いままでの法律にないようなことが書いてあって、概算で引き継ぎをする、というようなことが書いてある。
  109. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 委員長速記をとめてください。
  110. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記とめてください。   〔速記中止
  111. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 速記起こして。
  112. 中尾辰義

    中尾辰義君 時間がありませんから、まとめてお伺いをします。  最初に、この沖繩振興開発金融公庫事業計画を私見ているのですが、これは四百五十億になっていますね、貸し付け計画二百九十四億と。この事業計画はどのような積算基礎になっておるのか、それが一つ。それから二番目は、沖繩振興開発金融公庫は、沖繩の大衆金融公庫だとか、あるいは琉球政府産業開発資金融通特別会計、琉球開発金融公社等の業務を引き継いでおるわけでありますけれども、そういったような金融機関が、今日まで沖繩融資をしておりました融資貸し出し残高並びに計画等はどうなっておるのか、それが二番目。三番目は、この沖繩振興開発金融公庫の出資が三十億になっておりますが、これは当初は百五十億の要求があったというように聞いておるわけです。なぜ削ったのか。まず最初、その三点をお伺いします。
  113. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) まず第一に、事業計画の積算の基礎でございますが、これは非常に各種各様の材料から積算をいたしました。現在の沖繩にあります各種企業、また農業等の実情琉球政府の特別会計、その他琉開金等がいままでそういう貸し付け対象者に貸し付けておりました実績、さらに、振興開発計画というものは、これからつくるわけでありますけれども、振興開発の法律の中で、私どもはいろいろ書いてございますようなことの金融的な裏づけ、さらには特殊の金融沖繩は必要といたしまして、制度が変わりましたことによって、非常に経営に困難を感じてくる企業等もあるものでありますから、こういうものにつきましては、琉球政府で十分な調査をしていただきまして、企業実情と、琉政からお出しいただいた資料等で計画額というものを固めていったわけでございます。  それから出資金の三十億、当初百五十億を予定したではないかという御質問でございますが、確かに私ども総理府といたしましては、百五十億の出資ということを考えたわけでございます。ただ先生もただいま読み上げられましたような貸し付け規模、初年度の、現実の貸し付けをどうしてもしなければならない額、こういうものを考えてまいりますと、財投の金を幾ら出してもらって、出資金が幾らであって、引き継ぎ資産がどれだけであって、それで一体公庫運営ができるか。金利の逆ざやのところもあるものでございますから、公庫の健全な運営というものが、これだけの貸し付け計画を実行するのに、財投の金、出資の金、そういうものをいかように勘案をしたらいいかということで、財政当局と相談の上で決定をいたしまして、三十億の出資、二百数十億の財投の公庫に対する融資、こういう数字をきめたわけでございます。
  114. 中尾辰義

    中尾辰義君 もう一つは……。
  115. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 従来の沖繩におきます琉開金、特別会計等が沖繩融資をしております実績は、百七億でございます。
  116. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、大体事業計画の四百五十億並びに貸し付け計画二百九十四億につきましては、沖繩当局も大体了解をしている、こういうことですか。  それから今後さらに追加出資、追加の借り入れ金等もできるわけですか、これが二番目。  それから次にお伺いしたいのは、いま開発計画のことがお話がありましたが、これはまあ現地でつくると聞いておりますけれども、これは大体あらあら、もうできているのじゃないかとも思いますがね。それと、あらあらの計画はどうなっているのか、この辺いまわかっていらっしゃるならばお話し願いたい。  それから本土企業進出状況等、新聞等にいろいろ出ておりますけれども、あなたのほうで掌握をしておるのか、どの程度なのか。なお、今後予想される進出の模様等をひとつお聞かせ願いたい。まとめて言いますから……。  その次が、一番最初の産業開発資金貸し付け、これ七十二億出ておりますけれども、現在すでに本土企業進出しておるのもあるように思いますけれども、この産業開発資金の申し込みは、まだ受け付けてないと思いますけれども、申し込むであろうというような状況ですね、その点がわかっておればお伺いしたい。以上まとめてお答え願います。
  117. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 急にたくさんの質問でございますので、一つ一つお答えいたします。  この公庫の初年度の貸し付け総ワクと申しますか、事業計画と申しますか、この数字は沖繩のほうで承知をしているか。これは琉球政府、大衆金融公庫、琉開金、こういったいままで沖繩融資の役目を果たしてきておられます各機関とも御相談の上で固めてまいった数字でございます。琉球政府も十分もう理解をしている数字でございます。  それから追加融資ができるかというお話でございましたけれども、もうお聞き及びかと思いますが、御承知のように出資、それから財投の額等は、先般成立をいたしました四十七年度予算で決定を見ているところでありますけれども、衆議院の大蔵委員会で附帯決議がございまして、中小零細企業に対する特段のきわめて低い金利融資考えるべきだ。こういう御要望がございまして、私ども大蔵省と相談をいたしました結果、三分の利息で七年、そのうちの二年据え置き、総額八十億融資ワク、こういう中小企業経済活動、ドル経済圏から円経済圏に移ってまいります沖繩中小企業経済活動というものが弱くならないように、そしてまた、その融資の結果が、中小零細企業でありましても、働いておられる方々の賃金というものが、三百六十円支払いが可能であれかし、かように考えまして、融資を実行することに政府としては決定をいたしました。ただこれはまだ財投の金が予算上明確になっておるわけではございませんで、沖繩振興開発金融公庫も設立いたしましたならば、財投の金は弾力条項が発動されることに相なりますので、そのワクの中で、八十億の追加融資が財政当局から公庫になされる、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。これは追加融資の大きな一つの例でございます。  それから開発計画のことでございますけれども沖繩振興開発計画は、もう御承知のとおりに、法の定めるところによりまして、沖繩県知事原案提出権を持っております。これをやはり事務的にお手伝いをしてまいります、作成をしてまいりますのが沖繩開発庁というものでございまして、まだこれは法案が内閣委員会で御審議中でございます。やはり開発庁ができ、さらに法律に定めましたところの審議会の編成ができ、沖繩県知事の原案が提出をされて、それから開発計画というものは決定がされる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございます。  それから産業開発資金の貸しつけワクのことと、本土企業のことを関連してお尋ねがございましたけれども産業開発資金、本土でいいますところの開発銀行の業務、これは沖繩公庫では総額が百十億でございまして、この中の約半分の四十九億が沖繩の、先ほどお話のございました電力、ガス融資がなされます。本土から具体的なものといたしましては、私どもが予定をいたしましたのはアルミ精錬業に七億五千万程度のことを考えているだけでございまして、あとは観光、海運、港湾、倉庫、バス、航空、空港ターミナル、建設業公害防止、こういったものはすべて本土企業ではなくて、沖繩の従来からあります企業融資をすることになっております。海運等につきましては、本土の開発銀行も、沖繩港について沖繩の琉球海運の船、本土にあります船会社の船、それをどういうふうに運航させるかという、これは運輸省の担当する認可事業でございますけれども、こういうことが、もしも本土側の船会社にも、沖繩航路の船を運航させるということが適切なことであるという結論が出ましたときには、沖繩公庫ではなくて、開発銀行本土企業融資をすることにいたしております。沖繩公庫はもっぱら沖繩の海運業に融資をいたします。本土企業の受け付けというものは当然まだなされておりません。まだ公庫そのものが、こうして御審議をいただいておる段階でございますから、まだそこまではまいっておりません。先ほど申しましたようにアルミ精錬業というものについては、私どももそういう予測をいたしております。通産省本土のアルミ業界との話も進んでおりますので、沖繩公庫の中で七億五千万ばかりのものを予定をしております。
  118. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは、本土日本開発銀行ですね。日本開発銀行産業開発資金貸し付けとの関係、それから沖繩進出する企業は、本土の開発銀行からは貸し付けはどういうふうになっておるのか、全然できないのか。いまちょっと船舶関係おっしゃっておりますが、その点を詳しくお願いをいたします。これが第一点。  それから二番目は、開発金融公庫の区分がこのように出ております。産業開発資金、中小企業等資金、住宅資金、農林漁業資金、医療・環境衛生資金、特殊資金、既契約貸付、それぞれのワクがありますけれども、これは金融公庫の中で資金の流用ができるのか、それともこれは固定したものか。それが二番目です。
  119. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 開発銀行関係は、大蔵省のほうからお答えをいただきますが、私どもといたしましては、公庫の資金の流用はやりたいと思います。やるつもりでおります。ただこれは、まあ公庫が人事その他きちんと編成ができた上でのことではございますけれども、何さま初めて沖繩でこの種の公的な公庫ができるわけでございますから、資金計画の裏づけ等綿密な計画は立てておりますものの、これから一年間と申しますか、本年度内の沖繩経済の動き方等によって、あるいは中小企業等の融資の需要が非常に高いということがあるかもしれません。そういった場合には、当然やはり流用ができるということが、やはりこれだけの本土におきます各公庫を集めて沖繩公庫をつくりますそういう一つの特色は持たせていくべきだ。ただ基本的に考えますことは、中小企業融資ワクを削って、大企業に貸すということは全くやりたくない。こういうふうな考え方で、公庫運営を人事編成ができましたならばやっていただくつもりでおります。
  120. 松川道哉

    説明員松川道哉君) 日本開発銀行と当公庫との関係でございますが、これは公庫法の業務の規定のところにおきましても、「沖繩において産業の振興開発に寄与する事業を営む者に対して、」云々、こう書いてございまして、あくまでも当公庫を利用する借り受け人は沖繩において事業を営む者でございます。これと対応する事業が、本土で行なわれます場合に、その資金が開発銀行から出ることがございます。したがいまして、これはあくまでも事業を行なう場所がどこであるかということによって線が引かれまして、その借り受け人によって区分するわけではございません。
  121. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは次に、開発金融公庫の八つの区分がありますが、これの業務方法書はできておるのかどうか。もうあとわずかで沖繩は返ってくるわけですけれども、この業務方法書に「貸付金の使途、貸付けの相手方、利率、償還期限、据置期間、貸付金額の限度、償還の方法担保に関する事項等貸付けに関する業務の方法」「業務委託の基準」「その他政令で定める事項」、こういうものがこの業務方法書によってでき上がって、それに基づいてあなたのほうで貸すわけですね。ですからもう大体できているんじゃないかと思いますが、それでいま申し上げました項目について、わかっておったらまとめてけっこうですからどうぞ。
  122. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 業務方法書は、公庫理事長がこれを決定をして政府が認可をすべきものでございます。したがいまして、まだ法案を御審議をいただいております段階で、できましたと申し上げるわけにはまいらないわけで、当然法律が成立いたしましてからやるわけでございますけれども、そうは申しましても、五月十五日には何とか貸したい、五月十五日には店を開いて、特に先ほど申し上げました八十億というふうな沖繩の中小・零細企業のための融資はやりたいわけですから、五月十五日にそういう仕事ができますように準備は進めてまいっておりますので、内要の概略を総務部長から説明いたします。金利等につきましては、資料にいたしまして委員会に配付いたしております。
  123. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) いま副長官から言われましたように、考え方でございますが、開発資金につきまして、基準金利でまいりますというと、基準金利七分五厘ということになっております。それで一般貸し付け、特別貸し付けでございますが、一般貸し付けでまいりますというと、原則、これは何といいますか、原則といいますとあれでございますが、十年、特別の場合に十五年借りることができる、内容的にそうなっております。  それから担保につきましては、開発資金でございますので、本来徴収すべきものである、開発資金につきましては、というふうな見方をいたしております。  それから中小企業資金、中小企業金融公庫関係の基準金利でまいりますというと七分三厘という考え方を持っております。まあ運転資金と設備資金に分けまして、運転資金、これは一般貸し付けでございますが、運転資金でございますと五年、それから設備のほうは七年、担保は必要に応じて徴収するというような考え方でございます。  それから環境衛生資金につきましては、基準金利七分三厘、本土の場合は八分二厘ということでございます。まあ原則は七年ぐらいの償還期間、特別の場合に十年というようなものもございます。一例として申し上げますとそういうようなことで、全般を通じまして、本土とそれから沖繩の現状と両方比較いたしまして、いずれか有利なほうをとって、沖繩の特殊事情に対応するという考え方で、金利の問題、あるいは期間の問題等全般を通じましてそういう考え方をとっておりますほかに、先ほどありましたような沖繩アルミでありますとか、あるいは電力といったような特別なものについては、さらに特例を考えている。あるいは離島関係等についての医療施設については、さらに特例を考えているというふうなことでございます。最も有利なほうをとるわけでございます。そういうふうな考え方で進めていくわけであります。
  124. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、日本の国民金融公庫にこれは該当するのはどれですか。
  125. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 国民金融公庫に該当しますものは、資金のワクといたしましては、中小企業等資金貸し付けの中で、国民金融的なもの、生業資金として取り扱っております。具体的な内容について申し上げますというと、恩給貸し付け、これは六分といったような考え方でありますとか、国債貸し付けも六分というようなことで、中小企業の大ワクの中で取り扱っているわけでございます。
  126. 中尾辰義

    中尾辰義君 それからこの特殊資金貸し付けのことですね、これはどういうふうになりますか。もう少し明確に詳しく説明してください。
  127. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 特殊資金と申しておりますのは、法の附則によりますところの借りかえのことでございますが、大きく分けまして医療関係と、それから島内産業の保護のために、従来輸入規制をいたしましたり、あるいはまた島内産業保護のため物品税をかけておりましたのが、復帰とともになくなるというようなことから、非常に困窮しておるような人、製造業者に対して、その人たちの借りかえを認めていこうというものでございます。総ワクは御承知のとおり二十億を貸し付ける予定でございますが、その中で医療関係では六億九千万円を予定いたしており、輸入規制では八億六千万円、それから物品税等の撤廃では四億五千万円ほどを予定いたしております。そして考え方といたしましては、これはまた政令で案を進めているところでございますけれども、一年前までに借り入れておった設備資金につきまして、償還が一年後にくるようなものにつきまして、もちろん相当の多額な借り入れ利率で借りているものにつきまして、借りかえを認めていこうというものでございます。
  128. 中尾辰義

    中尾辰義君 それで、これは「沖繩において事業を行なう者で政令で定めるもの」とこうなっているのですね。「政令で定めるものに対して、」云々と出ておりますが、政令でどういうことがきまっているのか。いまも少し聞きましたけれども、わかっていたら教えてください。
  129. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 一部重複いたしますが、お許しいただきまして、政令のこの考え方でございますが、実は施設設備の借り入れ金に限定いたしたい。要するに運転資金その他のものは対象からはずしまして、設備施設資金、そしてまあかけ込みということはないと思いますけれども、復帰直前になって借りたというものは、公平の見地から除外いたします。少なくとも一年前までに借りておって、相当の金利の負担過重になっているものに限定いたしたい。それからもう年内に償還して終わってしまったというようなものは、実効もあがりませんししますので、一年以後償還期が到来するような借り入れ分については、それぞれの、たとえば中小企業系統でしたら、中小企業のそれぞれ利率が定まってまいります。御承知の国民金融的なものも定まってまいります。それぞれの事実に照らしまして借りかえてあげるというような道を開いたわけでございます。
  130. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、その融資を受ける条件として、まあ零細企業等におきましては、やはり担保力のない人もありますけれども、これはどうなんですか、国内では無担保保証というような制度もありますけれども、こういう制度があるのか、それが一つ。  さらに、国内におきましては、民間金融から融資を受けた場合に、例の保証協会の制度がありますけれども、この保証協会の制度はどうなっておるのか、その二つお答え願います。
  131. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 無担保保証の制度は、本土と同じ制度がそのまま沖繩においても行なわれるわけでございます。  それから信用保証協会のことでありますけれども沖繩中小企業の皆さんに復帰後非常に大きく変わりますのは、この制度の活用だと思います。現在沖繩にも信用保証協会がございますけれども、これが再保険をする、ちょうど本土におきます公庫のようなものがございません。したがって、独力でやらなきゃなりませんために、非常にその保証規模が小そうございまして、本土の信用保証協会——各府県にあります信用保証協会の保証量の一番少ないのが岐阜県だと聞いておりますけれども、その本土におきます各府県の信用保証協会の中の一番保証規模の小さい岐阜県の十三分の一程度しか、現在の沖繩の信用保証協会は保証業務ができていない。やはり中央へつなぐ再保険の制度がないことも一つの大きな原因だろうと思いますので、これが復帰後は、沖繩県の信用保証協会も当然中央への再保険がつながってまいりますから、いままでと違いまして、少なくとも各府県並みには、この制度が沖繩中小企業の皆さんには利用がしていただける、こういう期待をいたしておるところでございます。
  132. 中尾辰義

    中尾辰義君 大蔵大臣にお伺いしますけれども、いまの保証協会の信用保険公庫に対する再保険の件、これは当然加入できると思いますが、その点ひとつ答弁願います。これが一つと、それから最後に、これはまあ関連質問になりますけれども、例の外貨の百六十五億ドルがだんだんとふえていく傾向にありますので、いろいろと大蔵省通産省で今日まで外貨減らしのことで御相談もあったようでありますが、どうやら結論も出そうなぐあいに新聞等も報じておりますから、これは大蔵大臣としてはどういうような御意向なのか、その点ひとつ最後にお伺いしたい。
  133. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) いまの再保険の問題はできるようにいたします。  外貨の活用問題、これはもう為銀の預託とか、あるいは中長期債への活用とかいうようなことで、もうこれはどんどん実施いたしておりますので、別に問題はないと思っております。ただ、さらにこれを、原料の備蓄とか、そういうようなものに活用できないかというようないろいろの意見もございますが、そういうことをするために、法令の改正を要する問題、あるいは予算の措置を必要とする問題というようなことについての検討を、いま関係省でしておるということでございまして、別に世間で心配されているように、外貨の蓄積が多くなってどうこうというような心配は一切ないと思います。現に四月は、もう前月よりも保有外貨の量は減っておりますし、五月も同様のことになると思いますので、この点の御心配はもう一切ないと。
  134. 中尾辰義

    中尾辰義君 これで終わります。大蔵大臣、ちょっと歯切れのいい答弁聞かしてもらわぬと、いろいろと新聞等に報じておりますから、私は確認の意味で聞いているわけです。これは、政府は、二十日ごろをめどに新しい円対策をまとめることになって、水田蔵相が、田中通産相、赤城農相ら関係各相と会談、各省間の意見調整を急ぐことになった、こういうことで、予想されることが、輸銀への外貨預託方式を中心とする外貨の長期活用策、輸出の抑制と輸入の拡大、景気対策、こういうことを検討をされると、その中で大蔵省によると、外貨活用策の中身は、輸銀へ外貨を預託し、これを商社、メーカーに直接貸しすることによって外貨減らしに役立てようというものである。それから、次に世銀債、米国の中長期債の大量購入なども大蔵などでは考えている、こういうようなことが出ていますので私は聞いているのですが、いかがですか。もう少し質問者の気持ちになってお答えを願いたいと思います。
  135. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 輸銀に預託するということによって、一部いわれている外貨の活用というようなことが、実際に可能になりはしないかということについての検討をいたしておることは事実でございます。で、なぜ輸銀の問題が出てきたかと申しますというと、要するに、この公的資産の直接貸しを、特定の業界にするというようなことは、これは妥当でございませんので、そういうことはしないということを前提の、いろいろな方法をいま検討しているということでございまして、したがって、一定の結論は近いうちに出ると思いますが、そういうことをきめたからといって、これがその道を開いたからといって、そういう方向で急速にこれが活用されるかどうかということは、これは別問題だと思っています。現に原材料をこの際非常に買いたい、そうしたら、一つの、買うことによって活用ができるのじゃないかというようなことがいわれておりますが、何をそれでは買ったらいいかという対象を一つ一つ見てみますというと、実際においていま当面これをたくさん備蓄しておきたいというようなものも、これはございませんし、将来出てくるかもしれませんが、いま当面必要に迫られているというような対象はございませんので、したがって、いまいままで活用されている方法をどんどん進めていけば、ちっとも当面は支障はないだろうと私は考えております。で、そういう問題について、たとえば対外援助につきましても、基金と輸銀の機能の調整の問題、こういうようなものは当然必要でございますので、そういう問題についての調整、改善というような問題についても、これはいまあわせて検討しておりますので、結論も一緒に出てくる問題であろうと思っております。
  136. 中尾辰義

    中尾辰義君 いま一つ、世銀債あるいは米国の中長期債の大量購入、こういうことは……。
  137. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) これはいまの短期運用をしておるよりも、中期債、長期債の運用をするほうが、はるかに収益的でございますので、これは当然一定の流動性を確保した量だけ確保しておきますなら、できるだけそのほかは中期債、長期債で運用していくことは好ましいことでございますし、また先般も世銀債に応じましたが、一千億円世銀に貸し付けをするということによって、三億以上の外貨はこれは使用されることになりますので、そういうような活用のしかたも当然していいんじゃないか、いろんな方法がございますので、それをいまこれから実行しよう、現に実行しつつあるということでございます。
  138. 中尾辰義

    中尾辰義君 どうも答弁がようわからなかった。いまのそれでは輸銀に外貨を預託するこの制度につきましては、大蔵大臣としてはどうなんですか、これ。
  139. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 輸銀に預託して、輸銀が業者に外貨を貸すのじゃなくて、資金を貸すという方法で、輸銀に預託することによって、活用する方法はあると思いますので、これはさらに検討したいと思います。
  140. 渡辺武

    ○渡辺武君 最初に伺いたいのは、沖繩振興開発金融公庫の資本金ですね、これのつまり政府出資の分の割合と、それから現地の公的金融機関の出資の割合、これはどんなふうになっておりますか。
  141. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 先ほど副長官から言われましたように、まだ概算でないと数字申し上げるところまでいっておりません。と申しますのは、固定資産、引き継ぎ資産の評価等、引き継ぎ時点でいたすことになっております。したがいまして、六月ごろまで時間がかかるというようなことがございますが、総資産は二百四十二億というふうに見込んでおります。そのうち三十億は政府の出資金ということになっております。あとは引き継ぎ資産ということになろうかと思います。その中で、引き継ぎ資産の内訳につきましては、琉球開発金融公社の関係百七十三億と、これは対策庁のほうといたしましては、一九七〇年度現在の帳簿価額から推計いたしたものでございますので、当然動いてまいります。そういうふうな予測、予測と申しますとなんでございますが、積み上げに基づいておるものでございます。それから大衆金融公庫関係が十九億、それからその他が琉球政府の五特会等でございまして、三者合わせまして二百十二億というふうに見込んでいるわけでございます。
  142. 渡辺武

    ○渡辺武君 そうしますと、いまのところわかっている範囲内でいっても、公庫の資本金二百四十二億五千五百万円ばかりの中で、政府の出資金が三十億円ということですから、パーセンテージにしますと一二・四%ぐらいが政府の出資金の分ということになっている。あとは現地の公的金融機関の出資分八七・六%、こういうことになろうかと思うんですね。これはほとんど現地の公的金融機関の分で占められているということになろうかと思います。で、これが国の金融機関になるわけですから、これでは現地金融機関の財産をいわば国が強奪すると、一言で言えばですよ、単純明快に言えば強奪、略奪するということになるかと思うのですが、どうですか、それは。
  143. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) いま総務部長からお答えをいたしましたけれども、資本金二百四十二億、引き継ぎ分とそれから日本政府の今回の三十億の出資金合わせて二百四十二億、いずれも引き継ぎ分につきましては、沖繩県の方々の御労苦の蓄積であることは間違いありません。私どもさように考えております。ただ、いま先生のおっしゃるような御議論をなさるとするならば、琉開金の百七十数億というものは、これは日本政府がアメリカ政府に対して支払うもの、それだからといって、沖繩県民のものでないということを私は言おうとするのではないのでございますけれども、やはり県民の御労苦のたまものであるものに、政府の努力をそれに上積みをして、もっぱら沖繩県民の方々にのみ融資をしていく、今回の資本構成、このように御理解をいただきたいと思います。
  144. 渡辺武

    ○渡辺武君 あなた自身も沖繩の方々の労苦のたまものだということを言っておられる。これが真実だと思うんですよ。かりにこの金が全部沖繩の県民のために使われると、かりにしても、しかしながら、やはり所有権はこの沖繩の県あるいは県民にあるべきものなんですね。いま言われた琉球開発金融公社ですね、これは政府が金出したというけれども、金出したことそのものが、これは県民の納得できないところですよ。当然これは無償で沖繩県に渡せというのが、この県民の従来からの要求ですし、これは私は正論だと思う。というのは、残された公社の財産というのは、これは県民の、あなた自身も言っているように、粒々として蓄積した汗と血の結晶ですよ、これは。それは政府が、出さなくてもいい金出して、そして屈辱的に、これをいわば買い取るというようなものなんですよ。ですから、私はやっぱり、これは事実上の、これは国の手による略奪だと思う。一体こういうような前例がありますか。県の財産あるいはまた県民の財産となるべきものを、国のものにしてしまう、前例ありますか。またどういう法的根拠があるんでしょうか。その点を伺いたい。
  145. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 渡辺先生御議論でございますけれども、私どもは、これを国が略奪したなどという考え方は毛頭ございません。冒頭申し上げましたように、公庫が引き継ぎます現地の資産というものは、やはりこれは沖繩県民の長年の間の粒々辛苦の御苦労の蓄積でございます。ただ、本土政府も財政援助等を通じて御援助をしてまいりましたことも、それも事実でございます。ただいま琉開金を日本政府が引き継ぎますのに、アメリカに金を払ったことについて、これは先生と私ども考え方を異にいたします。これはもうこの場の議論はいたしたくない点でございますけれども、そういったものをあわせて日本政府がこれを略奪をしたということではなくて、そういう沖繩県民の御労苦のたまもの、蓄積を、やはり日本政府がこれに上のせをして沖繩県のこれからの発展のために、もっぱら沖繩県民にのみこの融資の金に役立てていこうということで、沖繩振興開発金融公庫というものの性格も、その内容も、琉球政府と十分に理解をし合った上でこういう方針をとったことは御理解をいただきたいと思います。
  146. 渡辺武

    ○渡辺武君 その理解ができないから伺っているんですよ。法的根拠はあるのかというのです。県の財産です、これを国のものにしてしまう。どういう法的根拠があるんです。また前例ありますか。
  147. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) どうもたいへんむずかしい御議論でございますけれども、県の財産ともまた法的には申せない。そういうふうに私どもはこの性格を考えます。
  148. 渡辺武

    ○渡辺武君 その理由、どこにあります、県の財産ではないという理由。
  149. 長岡實

    政府委員(長岡實君) 直接のお答えになるかどうか存じませんが、ただいま御審議をいただいております公庫法の附則の四条で、「公庫の成立の際、現に琉球開発金融公社の有する権利義務で、協定に基づいて政府が引き継ぐこととなるもの、」それから「大衆金融公庫の有する権利義務及び琉球政府産業開発資金融通特別会計、」その他のいろいろな「特別会計に属する権利義務は、政令で定めるものを除き、その時において公庫が承継する。」という規定を設けておりまして、この規定に基づいて、いま御指摘にありました各公社なり特別会計なりの権利義務が公庫に承継されるということになるのだと思います。
  150. 渡辺武

    ○渡辺武君 だから、問題だと言っているのですよ。そうでしょう。この法律で県の財産を取ることになっている。そうでしょう。ほかの法律でそういうことを許容する法律があるかということを伺っている。それが一つと、いま県の財産でないと言ったけれども、どういう理由で県の財産でないのか、その点もあわせておっしゃっていただきたい。
  151. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 琉球開発金融公社の性格だけ、御承知と思いますが申し上げておきたいと思いますけれども、これは民政府の補助機関であるということ、それから高等弁務官布令第二十五号、要するに布令に基づいて設立されたものであるということ、そういったようなことから、私どもとしてはそのように解釈いたしております。
  152. 渡辺武

    ○渡辺武君 百歩譲って、この琉球開発金融公社の問題、いずれまた議論したいのですが、きょうは時間がないので別としまして、大衆金融公庫及び現在の琉球政府の五つの特別会計、これは県の財産じゃないんですか、どうですか。
  153. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 大衆公庫は、琉球政府の公法上の法人ということになっておりまして、その余の特別会計、もちろん琉球政府の会計でございますが、そのままずばり琉球政府のいわば一部ということになります。
  154. 渡辺武

    ○渡辺武君 そういう性格のものなんでしょう。つまり県の財産を、一片の法律でもって国のものにしてしまうということができますか。ほかの法律でそういう点を許容している例がありますか、前例ありますか、どうですか。
  155. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 戦争によって施政権をアメリカに取られたと申しますか、そういう沖繩が返ってくるという、こういうこと自体に前例がないのでございます。したがいまして、先ほど、県の財産でないという私のことばが足りませんことはおわびをいたしますけれども総務部長からお答えいたしましたように、琉球政府の機関、これは琉球政府というのは、性格的にいいますと、国の性格もあわせ持つものでございます。そういったものを、前例のないことではありますけれども沖繩県民に最も適切に、沖繩県の振興のために使っていただく融資の道をどういう形のものでやっていくかということについては、私どもいろいろ考えました末、琉球政府とも当然御相談をしてまいったわけでございますけれども、この特殊法人たる琉球公社を、こういう形で役立てていくのが沖繩県の皆さん方にとっても一番いいことではないか、私どももこれが一番いいということでこの公庫の設立を考えたわけでございます。
  156. 渡辺武

    ○渡辺武君 これは重大問題ですよ。いままで異民族の占領下で塗炭の苦しみを経てきている沖繩人たちの、その汗とあぶらの結晶が、これが琉球開発金融公社の財産でもあるし、あなた自身も認めているとおりなんです。大衆金融公庫もとよりのこと、琉球政府の五特会の財産もとよりのことですよ。それが復帰する。占領ではない。まるで日本の軍隊が出かけていって、占領して略奪していることと同じことをやっている。けしからんですよ。私はこの問題は重大問題だから、時間があればもっと追及したいと思いますけれども、次の機会に譲りまして、いまおっしゃった県民のために使うからいいじゃないかという議論、これもけしからぬと思うのですよ。これが全部県民のために役立つというように、かりにしても、何でこれを国のものにしてしまうのですか。沖繩県民も、琉球政府も、当初はこの琉球開発金融公社は、これは県のものにしてほしい、県営のものにしてほしいというのが一貫した要求だった。それをあなた方が、国のものに取ってしまった。いままででも、この五つの特別会計も、それからまた大衆金融公庫も、琉球開発金融公社もそうです、一応現地金融機関であればこそ、十分——不十分ではあるけれども、曲がりなりにも県民の要望にこたえたような融資制度をとっていままでやってきておる、その苦しい中で。県の財産になり、県営の金融機関になって初めて、よりよく県民のためにこれを運営することができるのですよ。それに政府がお金を出して援助するというなら話はわかる。ところが、八〇%近くは県民の財産、これを国が召し上げておって、そうしてわずかに、十何%程度の出資金をやって、これから国の手でもって料理しようと、こういうのでしょう。これは略奪ですよ。しかも私は、次の機会の質問の中で明らかにしたいと思うのですけれども、これが県民のためには役に立たない。むしろ本土進出の大企業、あるいはまた沖繩にあるガルフ、その他の沖繩の大企業、このために役立つ金融機関です。これはたいへんなことですよ。時間がきたからこれでやめておきますけれども大蔵大臣、せっかくおいでになって一つも伺わないでお気の毒なんで、こういう性格の、法にも基づかない不当なことをやろうとしている。こういうことはおやめになって、県民の財産が八〇%近くも占めているこの金融機関、これは県営に移すべきだと思いますが、その点どうですか。
  157. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 沖繩内地に復帰すれば、すべて本土並みの行政をするというのが一応のたてまえでございます。そういたしますと、沖繩県民のためには、いま内地にあるいろいろな機関、開発銀行、国民金融公庫、住宅公庫中小企業公庫、医療公庫、環境衛生公庫というようないろいろな国の機関が内地並みに、それぞれ沖繩県民のために機能を果たしても、これはいいことだと思うのですが、しかし、沖繩の地域的、いろいろな経済的、社会的な従来の特殊性を考えましたら、これをばらばらにするよりも、やはり効率的な国の一元行政としてやったほうが、沖繩の県民のためになるということが一つと、かたがた現存する沖繩公庫、公社、特別会計というようなものをどうするかというような措置を考えてみましたら、これを土台にして、こういう特殊な法人をつくることが、復帰に際する処置として最も適切だということに落ちついて、こういう法人の設立になったということでございます。したがって、これを中心にして、今後必要な国からの出資も行なわれるでしょうし、政策金融が行なわれる以上は、いろいろ採算を考えなければなりませんし、そうなりますと、やはり無利子の資金というものが必要になる。そういうことでは、国が今後協力しなければならぬ問題でございますので、今後の姿は、いま言ったような、あなたの言った略奪ですか、そういうような姿になるかどうかわかりませんで、こういう形で出発することが結局、沖繩の開発のためには最も力強い機能を発揮できる機関になるということで、こういうものができたわけですから、私は、これを県営というようなことにすることのほうが、沖繩にとっては将来のために望みあるものとは私は考えません。ただし、さっきから言われておりますように、沖繩県民のためにこれは特別に貢献する機関でございますから、その運営沖繩の県民の意思に基づいて運営することが好ましいということから、協議会をつくって、ほとんど沖繩の人が過半数の協議会をつくって、その意思によって、この公庫運営が行なわれるというようなことで調和策がとられるなら、私は県営よりも、国が総合的に一元運営をするということのほうがいいと考えております。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後で。  まあ時間が十五分しかいただけませんので、私、たいへんとまどっております。そこで一言一句を大事にしたいと思いまして、ここにまとめてございまするので、まずお願いしたいことは、ぜひ大蔵大臣の見解をお答え願って、ひとつ沖繩にいま一ぱい、不満と不安と、本土政府に対する不信感が秒刻みで復帰まで一ぱいあるということは御承知だと思います。そういったことに対して、きょうの御答弁によって少しでもその不満も不信も不安も解消していただきたい、こういう願いをこめて私は三つの問題にしぼって申し上げたいと思います。そこで、庁関係も一応ありますけれども、これはあとに譲りまして、きょうはきわめて短い時間の質問でございますのでそのようにお願いしたいと思います。  次に、これまで論じられた問題で、ほとんど沖繩関連した問題でありますので、率直に申しまして、もし私がここで発言の機会が許されるならば、政府の答弁に対して、あらゆる苦難をなめつくした現地沖繩の者からしますと、実情はこうですよと、こういうことでむかむかするものが一ぱいあるのです。そのようなことをいまひしひしと感じながら立っておるということを理解していただきたい。  そこで、五月十五日、国をあげての喜びだといっておられる、これはりっぱだと思います。県民への恩恵ではなく償いである、これもりっぱだと思います。そうして沖繩県の将来についての長期的な展望を明らかにし、県民が喜んで復帰の日を迎え得るような体制を早急に整えることが、政府に課せられた最大の義務である、こううたい上げられておる。まことにその姿勢やよろしい。ところが、残念ながら沖繩の現状というものは、全くこのことのうらはらで、不満と不安と疑惑が累積しつつある。あたたかく迎えるということは一体どういうことなんだろうか、不利益を与えないということはどういうことだろうか、こういった疑問、不満、不安が累積しつつあるということなんですね。その裏づけとして、第一に円とドルの交換について、円とドルの交換の問題はもういやというほど衆参両院で論じ尽くされてまいりました、たびたび。で、大蔵大臣は、それに対して一貫して、まあがんとしてと申しますか、去年の十月九日のあの現金確認以外は、三百六十円レートの交換は困難である——いわゆる否定的立場に立っておられるわけです。ところが、そうだからといってあきらめるわけにはいきません、現地の者は。ところで、私はここで地元の県民の側から毎日のように広がってくる、突き上がってくる要求の一、二の例を具体的に、御承知と思いますが、たとえば教職共済組合——いわゆるあの十月九日の時点で確認された以外の、当然これは自主的な個人の預貯金に値する性質のものである、こういうものが、たとえば一例、沖繩教職員共済会の一例をとりますと、五億六千余万円、約六億の不利益があるということを、ここに資料がございますことが一つ。次に退職公務員、いわゆる一生公務に心身をすり減らして、そして退職したその退職金、この退職金の円・ドルの換算についての落ち込みですね。まことに踏んだりけったり。この不利益を一体どう考えておられるか。しかもこの退職公務員は納税の義務は一日も猶予しない。ところが、国民の権利としての退職金の支給は七カ月ないしは八カ月もおくれている。はなはだしきは一カ年近くもその退職金の支給がおくれておる。これからくるところの利子の差損ですね。さらにドル・ショックからくるところの差損。一例を申し上げますと、ここに資料がございます。年金支給額の円との換算落ち込み、退職年金約二十四億、それから減額退職年金約六百万円、それから遺族年金約一億ですね。ざっと大づかみで二十五億の落ち込みが出ておることは御承知でしょう。今度は年金平均支給額で退職年金が約七万円、これも減額退職年金あるいは遺族年金合わせて約十一万ですね。このように具体的に数字的に出ておる。これに対して一体今日まで大蔵大臣ががんとして政府の立場を表明しておられる。このことと、この具体的な事例だけをひとつ——まさに深刻であると、単なる酌量的なものではない、具体的な問題。これに対してどう考えておられるか、これを伺いたい。そして今後どのように対処していこうと考えておられるか、これを伺いたい。これは大臣に、時間が惜しゅうございますから、大臣にお願いしまして。
  159. 前田多良夫

    政府委員前田多良夫君) この一ドル三百六十円で即時に通貨交換をしてほしいという県民の方々の強い御要請につきましては、前々から承知しておりましたわけでございますが、一ドル三百六十円による交換ということにつきましては、これは投機ドル等の関係がございましてこれはできない。しかしながら、それではあまりにも沖繩の方々に酷ではないか、長い間御苦労を重ねて、ようやく本土に復帰されるにあたりまして、やはり御苦労さんでございましたという気持ちをあらわさなければいけないという趣旨で、個人の手持ちの現金及び純資産——通貨性純資産につきまして、この十月八日に確認措置を琉球政府の手で行なったわけでございます。この措置につきましては、ただいま御指摘のようないろいろの御要望、強い御要望をたびたびいただいておるということも事実でございます。しかしこれはやはり一ドル三百六十円に交換ができないための次善の措置ということでございまして、やはりそこにどうしても一ドル三百六十円で交換することに比べれば、たいへん不十分な点はあることはやむを得ないところではないか、そういう趣旨から、しかも、このような給付金の支給措置と申しますものは、相当思い切ってとった措置であって、まあ琉球政府との間で数次の交渉を重ねまして、非常な思い切ってとった措置である、こういう観点からいたしましても、いま御指摘のような点につきましては、やはりこの個人の手を離れておる金であるという観点からいたしまして、この給付金の支給からはずされておるわけでございますが、その点につきましては、やはり次善の措置であるという観点からやむを得ないものと私たちは考えているわけでございまして、どうかひとつそういう本土政府の意のあるところをおくみ取り願いまして、御不満はあろうかと思いますけれども、御了承のほどをお願いしたいと思います。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この問題一つとらえても、これは時間を尽くしたいと思いますが、ただここで問題を投げかけておきたいことは、今後どういう処置をとられるかということですね。いままでの皆さんの御苦労をわからぬわけではない、だからけっこうでございますというわけには現地からの者としては言えない。今後これに対してどう対処されるつもりかということをひとつちゃんとしてもらいたい。それに時間をかけますと次に質問ができなくなりますので……。  それで戦後二十七年の間に、五回通貨の切りかえがあったということなんですが、日円からB円に過去にもいった例があって、やろうとすればできた例がある。ところが今度なぜできなかったかというところに、そこに問題がある。困難と不可能とすりかえがあるということをはっきり指摘をしておきたいと思います。  第二は、先ほど来問題になっております沖繩金融公庫法案に関連をした、いわゆる去る四月十四日ですか、衆議院で可決された法案の附帯決議との関連においてお尋ねしたいんですが、その運営について沖繩県民の声をどう反映するか、こういうことが問題だと思うわけなんです。衆議院のこの附帯決議の二項、この点を触れておられる。ところが、この琉球政府の建議書には、もっと具体的に九四ページにちゃんとございますね。具体的に要望として出ております。すなわち結論申し上げますと、民主的な運営、県民側の利益に立つこういう運営をしていくためには、どうしても委員の過半数は現地側から入れてほしいというのが、ちゃんと県民の総意としてうたわれておる。こういうことに対して大蔵大臣は、この趣意書、建議書を、具体的に建議書の内容を織り込んだ、いわゆる附帯決議の第二項を実施する、忠実にこれを守っていかれる意思があるのかどうか、これが一つ。  また要望は、審議会ということですが、これが協議会にすりかえられたわけでありますが、法制定のものではない。そこにも今後これが軽視されて、無視されていく心配があるのではないかという懸念があるわけです。その二つについてひとつお答え願いたい。
  161. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 私からお答えをいたします。  衆議院の大蔵委員会でこの法案が成立をいたしますときに、採決いたしますときの附帯決議のいま喜屋武先生がおっしゃいました沖繩県民の気持ちを反映する。この問題には、私どもは当然沿っていかなければならないものでございます。ただいまおっしゃいましたように、この公庫運営のための協議会をつくりますが、協議会の委員は、沖繩の方々で過半数を占めていただく、沖繩振興開発のための審議会の構成と同じように、沖繩現地の方々をもって協議会の過半数を占めていただこう、そういうことによって、公庫運営が、沖繩県民の声を正確に反映をして、運営ができるように、そのように心がけていく決意をしております。
  162. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 大蔵大臣、何か外交関係の御用があるように承っておりますが、時間がないんでしょう。よろしゅうございますか。
  163. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 人を待たしてあるんですが……。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これで終わりますから……。  最後に附帯決議の四項と関連した質問になると思いますが、円経済移行に伴って、特に沖繩における復帰不安は、中小企業の方々が最も強いということを御承知だと思いますが、その転廃業等についての補償措置について、新聞報道等によりますと、政府に手直しをしてもらって、例の八十三億のことも承知いたしておりますが、そのこととも関連しますが、昭和四十七年度の事業計画には、そのことが具体的には明示されておらない、このことについては、一体どのようにこれを実現しようとしておられるのであるか、どういう措置をとろうとしているのであるか、その資金は一体どこからどういうふうにして捻出されるのか、そのことを明らかにしていただきたい。
  165. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) いまお話の八十億の融資の問題でありますけれども、これは予算の中に含めて、事業計画決定をいたしました後におきまして、衆議院の大蔵委員会の席上で、沖繩の中小零細企業の場で働いておられる方々の、三百六十円賃金支払い可能のような経済活動を、中小零細企業にも確保するべきである、そういう御意向を受けて、私どもはとる決意をいたしました一つ融資の道でございます。したがいまして、事業計画の中には入っておりませんけれども、幸いにこの公庫は、予算書の中に書かれておりますところの金庫、公庫等の財投の金の弾力条項の対象に沖繩金融公庫がなりますので、財政投融資の金をここに八十億入れて、六分五厘で借りるわけでありますけれども、三分五厘でお貸しをして使っていただこう、こういうふうにきめたわけでございます。金利の逆ざやにつきましては、後年度負担を財政当局から公庫にしていただくことにしたい、これも話がきまっております。したがいまして、事業計画の中にはございませんけれども、衆議院の大蔵委員会の席で、総務長官、大蔵大臣がこういうふうに実行いたしますということを国会の中で明確にお約束をした、それに基づいて実行していくことにいたしております。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 せっかくいままで大蔵大臣お待ち願っておりますので、いまのお答え関連しまして、せっかくこういう御配慮をしていただいておる中で、今度は具体的に基地の特免業者ですね、それの融資金に対する強烈な要望があるわけなんです、転業資金六億、それから施設内の補償額としての七千三百ですね、こういう具体的な要望が出ております。これも含めてひとつ十分に配慮してもらいたい、こういうことが切実な問題としてあるわけですが、このことも含めて、最後に大蔵大臣の、いままで私がお尋ねした全体に対する御所見を承りまして終わりたいと思います。
  167. 水田三喜男

    国務大臣水田三喜男君) 八十億の融資は、ただいま官房副長官が言われたとおりでございまして、いま言われたのは、またそれぞれの項目の中でそのとおりいっておりますので、そういう点は沖繩の御意向に沿って実現するようにしたいと思います。
  168. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 午後二時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時四十九分休憩      —————・—————    午後二時五十五分開会
  169. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き沖繩振興開発金融公庫法案議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  170. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 最初に、この前ちょっと触れておったんでありますけれども、外国権益の保護問題について若干お伺いしたいと思います。  いろいろな経過を踏まえてきたんですけれども、結果的に沖繩本協定に入らずに、愛知書簡、そういうことで今回協定を結んだということになるわけですけれども、これはどうして一体協定本文に組み込まなかったのか、その辺の経過をちょっと説明してください。
  171. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 先生御存じのとおり、いわゆる愛知書簡で述べられておりますことは、沖繩にある、主として米系の私企業に関する問題でございます。復帰後の沖繩というのは、本土と全く同様でございますので、日米間に関しましては、御案内のとおりの日米の通商航海条約というのがございます。したがいまして、基本的にはその日米通商航海条約によって、企業あるいはその他の私企業の活動というものが基本的にはそれによってきまるわけでございます。ただ沖繩におきましては、戦後長きにわたって米系を主とした私企業事業を継続しておりました。そして彼らも復帰後の時点において、日本の法令のもとに置かれ、日米通商航海条約のもとに置かれるという状態になる。それがどういう状態になるであろうかという一種の不安といえば不安、不安ないといえば不安ないという状況がございました。かたがた沖繩にありますそういう米系の企業については、沖繩経済にもそれ相応の寄与もしておったわけでございます。したがいまして、復帰の時点において従来適法に行なっていた事業というものを、基本的には継続して認めていくべきであろうということが、基本的な考えでございます。したがって、個々の企業について、いろいろ国内の法令等によって、多少の調整を要する場合もあるかもしれない、そういうようなことにつきましても、日本側の、日本政府側としてどういう扱いをするつもりでございます、こういう基本的な方針を、そういう米系の企業の連中にも周知する、米国の政府を通じて周知せしめるといったような趣旨から、政府の方針として、これを愛知書簡の形をもって米側に通知をしたということでございます。いわゆる協定その他のような法的な合意文書というものとは、そういう点で趣を異にしておるところがございます。そういうわけで、これは協定とは全く別個の、もっぱら日本政府の方針を向こうへ通知をするという意味で、愛知書簡、当時の外務大臣からの書簡という形式をとった次第でございます。  なお、もともと沖繩の返還の問題が軌道に乗りましたいわゆる佐藤・ニクソン共同声明のときにおいても、沖繩企業についてどうするかということを話し合っていこうではないかということは記載されてございますので、それに基づいて、日本政府としての、沖繩にある米系企業の取り扱いについての復帰後の方針というものを、もっぱらわが方から一方的に表明をしたという形になっております。
  172. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 参事官、私はそういう条約上の解釈を聞いているのではなくて、本来外国の権益保護問題というのは、重要な問題であるから、本来ならこの本協定に入れるべき筋合いのものではないか、こういうことを聞いたんだけれども、必ずしもこうびんとくるような回答でなかったんですが、結局今回の資料でも、いただきましたけれども、「沖繩における業種別の外資導入免許件数」その他三、四部いただいておりますけれども、この内容を見ましても、結果的には佐藤・ニクソン会談が一九六九年の十一月にアメリカで行なわれ、その前にすでにもう沖繩の米人商工会議所のA・シップリー会長、これがアメリカの沖繩に対するところの今後の外資等の問題について、約八項目の具体的な内容要請というものをニクソンにやっているのですね。そういう権益の非常に重要な問題がそのまま結果的には生かされていった。いわばこの愛知書簡になまうつしをされて、形はマイヤー駐日大使と種々相談をしたということになっているけれども、結果はそうじゃないのですね。もうアメリカのいわゆる商工会議所の会長が要請したとおりになっておる。だからこういうことになれば、今回の返還に対する権益保護問題一つ取って見ても、私はアメリカの言うとおりじゃないかと思うのですね。だから、今後少なくとも、沖繩を本格的に地域住民本位に、あるいは社会福祉重点に、そういう形において開発をしていくということになれば、相当私は障害を来たすと思う。そういう見解についてはどういう解釈を持っておりますか。
  173. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 沖繩の復帰に至ります過程において、沖繩にある米系の企業が、復帰後の状況について、自分たちの本国政府であるアメリカ政府に対して、いろいろ希望を申し述べたということはあったとも聞いております。ただ、それはそれといたしまして、日本側といたしましての判断としては、沖繩における米系の企業というものも、戦後長きにわたって、いわば適法に、合法的に私企業としては事業をやってきておる。それから沖繩経済発展にもそれ相応の貢献もしておった面もある。したがって、復帰の時点においてとたんに、そういうふうに合法的にやっておった事業が、急にできなくなるというのも、これも公平の見地からいっても、日本政府として考慮してやらねばなるまい。かたがたもちろん復帰後の沖繩経済の発展というものも考慮いたしまして、それに貢献するような形で、沖繩の米系を主とした外国企業というものが、引き続き事業ができるようにというふうな考慮をいたしまして、米側との合意という文書ではなく、日本側の、政府としての意思と方針というものを取りまとめて米側に通知をしたということが、この愛知書簡の趣旨でございます。
  174. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 結局この商工会議所会長は、どういうことを政府に要請したかというと、具体的に、御存じかもしれませんけれども一つは、返還前の所得に対する遡及課税の免除、税金の免除ですね。それからもう一つは、民政府による投資認可の継続。それから、沖繩に働く日本人以外の第三国人の身分の保障。それから、沖繩県有地の借地権の存続まで要請しているのですよ。さらに、沖繩県企業本土への自由進出。それから沖繩でのドル資産、これの本国への送金等の移動の自由。弁護士、医師などの資格保障。それから、数量割り当てなど輸入制限措置の適用免除。だから、今後考えられる経済行動に関する各般の部門が、一切この会長からすでにニクソン・佐藤会談以前にもう出されて、そしていま復帰の内容を見ますると、大体これが全面的に認められている。経済関係の諸行動については愛知書簡で示されるとおり、それを裏書きして、確認して送ったという程度ですね。だから、そういう面については、今後開発される沖繩地場産業や、そういった問題いろいろありまするけれども、アメリカの各企業が最優先に取り扱われた。こういう中でほんとうの今後の沖繩の開発というものがうまくできるのかどうか。これはあさって石油等については具体的に触れていきたいと思うのですけれども、そういうところはどうなんですか。今後具体的に五月十五日になりますると日本に返ってくるわけですが、そうすると、日本の各種法令に基づいて整理をされますね。あるいは免許の取得についてもやり直ししなければいけない。そういうときに、相当ふるい落とすということはあるわけですね。沖繩地場産業育成、そういうものを考えながら、あるいは本土の大企業と、沖繩県のいわゆる小企業との対比等から、とてもこれは競争になり得ない、そういう地場産業が一ぱいあるわけですが、そういうものの育成強化を含めて、この問題の取り扱いは法律的に一体どうなのか、あるいは愛知書簡からくるこの問題は、自後までそういうものを拘束していかないのかどうか、そういう点については外務省はどういう見解を持っておられますか。
  175. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 沖繩の米系の商業会議所から、先生指摘のような要望が米国政府に出されておるということは、米国政府を通じて私どものほうにも間接には伺っております。ただ繰り返しになって恐縮でございますが、日本側としては、先ほど申し上げましたような、いろいろの要素を総合的に判断いたしまして、復帰後における沖繩経済の発展、一方においてはその要素と、それから大きく言えば、他方において、いままで合法的に事業を継続しておった連中というものも、これも復帰だと言ったとたんにやめるというわけにもいかない。そうするのは、また公平でもあるまいという判断から、政府の方針をきめたわけでございます。したがいまして、その方針の具体的な内容は、愛知書簡に書いてありますとおりでございますが、必ずしもそれが全部、アメリカの沖繩産業会議所が希望しておったのが全部は必ずしも通っておらない点もございます。これはまあ日本側としての判断から、そういたしたわけでございます。  たとえば、沖繩へ新しい事務所をつくるとか、沖繩にあるものが日本の中に事務所をつくるときにおいて、これはいままでの事業を直ちに継続するというわけでもございませんので、これは別個の許可、認可というような事項であるとか、あるいは自由職業についても特定の要件に合致したものが継続して事業を行なうことが認められる、あるいは各県有地の賃借に対しましても、一応たとえば暫定的に一年間、その間にその後の条件を話し合ってきめていくといったようないろいろの条件がついております。したがいまして、これらの愛知書簡そのものは、非常に原則的な考え方を持ったものでございまして、今後具体的に復帰以後の賠償あるいは各業法による許認可ということの具体的な面につきましては、それぞれ関係の各省において御処理いただくことになると思いますが、基本的な方向としては、その愛知書簡に盛られている方向で、かつそこに条件がついているものは、それの条件に合致するようなものが認められていくという考えでございます。
  176. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いただいた資料で見ますると、一つは「沖繩における業種別の外資導入免許件数(総括表)」これが一つ。それからもう一つは、同様の「(本土以外の企業)」、それからもう一つは「(本土企業)」、こういうことで三分割にした資料いただいたわけです。これは当然五月十五日になって沖繩が返ってまいりますると、日本のいわゆる外資法に基づいて再免許を交付していくわけですね。その場合に、ほとんどこれは全面的に認めていくんですか、その辺はどうですか。
  177. 小原聰

    説明員(小原聰君) 資料を取りまとめましたのは対策庁の調整部でやりましたので、まず資料関係について御説明いたしたいと思います。きょう御提出いたしました資料は、高等弁務官布令十一号によります外資導入の免許の実績の表でございます。まずa表が、全体の表でございます。それからb表が、外国の法人なり外国人について取りまとめたものでございます。カッコが米国系の企業だけを内数として掲げております。それからc表が、本土企業に対する免許の実績でございます。これらの高等弁務官布令の外資免許によりまして、沖繩事業活動が許可されているものの復帰後の取り扱いにつきましては、先ほど外務省の橘参事官からもお話がありましたような方針に基づきまして、法律的な手当てといたしましては、沖繩の復帰に伴う特別措置法九十二条で、六カ月間の間に外資法による免許を受けなさいということが規定されております。逆に申しますと、六カ月の間は従来どおり株式、社債その他を持ち続けてよろしいということになりまして、その六カ月の間に外資法による所定の免許の手続を取りなさいということに相なっておるわけでございます。この具体的な関係につきましては大蔵省のほうが所管をいたしておるのでございます。
  178. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 大蔵省やられますか。
  179. 村山進

    説明員(村山進君) 法的な関係につきましては、ただいまお答えがありましたとおりでございますが、一応若干補足しておきますと、沖繩の復帰に伴う特別措置に関する法律によりまして与えます認可は、外資法の認可という法律構成ではございませんで、この法律による認可を受けた場合には、外資法による認可を受けたものと同じように取り扱う、こういうことでございますので、若干補足しておいたほうがよいのではないかと思います。それから株式の取得の認可に際しましては、九十二条の三項におきまして認可をする際には必要な条件を附することができる。またこの条件の中には、事務所の移転等に関する事項も含む。こういうふうになっておりまして、この申請が出てまいりました際には、個別に、具体的に申しますと、関係各省、たとえば通産省所管事業でありましたら通産省と、私どもは総括をいたしておりますので大蔵省にも書類が出てまいりまして、それでそのままの形で認可していいものかどうかということを判断いたしまして、その際、つけるべき条件があればそこで条件をつける。たとえば一〇〇%外資で進出しております大きなものにつきましては、たとえば日本法人と一緒になったらどうだろうかというようなことも、実際の行政面では考えておるようでございますが、正式には五月十五日の復帰のときから六カ月以内に書類が出てまいりまして、その後の時点において具体的な処理が行なわれる、こういう手順になっております。
  180. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そこでいま対策庁から説明がありまして、さらに大蔵省から説明があったんですが、このb表ですね、もっぱら外資関係のものでありますけれども、この計が二百十四件、免許件数ですね。こういうことになっております。これは結局いまの説明によりますと、そのまま自動的に免許は置きかえていくわけですね。そういうことになりますね、二百十四件。
  181. 村山進

    説明員(村山進君) ただいまの二百十四件、私も実は沖繩北方対策庁からこの資料をいただきましたんですが、この数字、一応これに基づいて申し上げますが、この二百十四件の中には、必ずしもいわゆるわれわれが言っております企業、何々株式会社に当たるようなものだけではございませんで、何ぶん現地でとっていただいた資料で調査等の制約もあると思いますが、この中には、たとえば個人のもの、支店のもの、こういったものが存在しておりまして、必ずしも二百十四件そっくりそのまま申請の対象になるかどうか、これはもう少し時点がたってみませんと具体的にはわからないようでございます。
  182. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 そうしますと内訳についてちょっと説明していただきたいんですが、二百十四件の企業の所属、国は一体どこですか。   〔委員長退席理事柴田栄君着席〕  アメリカが一番多いんでしょうけれども、ほかに台湾等から進出している企業は幾つかあると聞いているんですが、そういうものも含まれるんですか、この内容に。
  183. 小原聰

    説明員(小原聰君) お答え申し上げます。b表でカッコの数字が米国系の個人ないし法人の数字でございます。カッコ以外といいますか、二百十四件から九十三件を引きましたものが、米国以外のその他第三国の個人ないし法人でございます。この中には台湾系の方もおられますし、あるいはフィリピン等の国籍のある方もおられるということでございます。
  184. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それではいまの外資関係について、大蔵省の見解としては、そのまま免許を置きかえて認めていくというかっこうをとるのですか。しかし愛知書簡というのは、外務省にお伺いしたいんですけれども、これは法律的効果はあくまで持っているんですか。その点についてはどうなのか。
  185. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) これは厳格な法的な性格から申しますと、日本政府を代表して愛知外務大臣が在京のアメリカ大使に送った書簡ということでございまして、最初申し上げましたように、いわゆる合意条約といったような性質のものではございません。わがほうのもっぱら政策の表明ということでございます。したがいまして、これに基づきまして、わがほうの政府として法的な措置を要するということになれば、これは先ほど対策庁のほうからも御説明がありましたように、あらためて必要とあれば立法措置をするということで、昨年の沖繩国会等において関係の法令の御審議をお願いしたということでございます。
  186. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 どうもはっきりしないですが、結果的に政治取りきめということでいいんですか、理解は。大蔵省はそのまま当面は外資、免許を与えていくということになるのですね。だけれども、将来の問題として、その書簡があくまでも法的根拠を持つということになれば、これはいろんな問題について私は支障を来たすのじゃないかと思う。その辺の外務省の愛知書簡に対する見解を明らかにしてもらいたい。単なる政治取りきめという解釈でいいのか、あくまでも法律効果というものを継続していくのかどうか、そういう見解はどうなんですか。端的にひとつ答えていただきたい。
  187. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 繰り返しになって恐縮でございますが、法律的な性格から言えば、日米政府間の合意というものではございません。日本政府の政策を米側に対して表明をしたという性格の文書でございます。国内的な法的な性格は、所要の場合には、必要な国内法の措置をとってその国内的な法的な効果が出てくるわけでございます。
  188. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 法律的に厳密に解釈すれば、いま参事官が言ったようなことになってくるかもしれません。いずれにしても、膨大な外資企業がそのまま免許を受けているわけです。ことにアメリカは九十何件ですね。こういうことになっているわけですから、これは総務副長官にお伺いするのですけれども、今後沖繩開発というものは、そういうものを前提に置いて開発をしていくということですね。あるいは沖繩に行ってわかるように、非常に濃密な軍事基地も存在をしておる。したがって、まだまだ返還後もアメリカの軍事基地経済というものは、それなりに私は一定の影響力を持ってくると思う。そういう中での開発ですから、そういうことの前提に立っているのですね。容易ならざる——私は、今後よほど力を入れない限り、沖繩の開発というものはうまくいかないんじゃないか。そういう理解でいいのでしょうか。
  189. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 愛知書簡に関連してのお尋ねでございますけれども、復帰後は、外資の企業につきましても、当然本土並みということに相なってくるわけでございます。いま外務省のほうからも答弁がございましたけれども、愛知書簡の内容のその性格につきましては、橘参事官がお答えをいたしましたとおりに私ども受け取っておりまして、この外資系——すでに沖繩進出をしてきている布令なり沖繩の法令なりによって認可をされている外資系企業、これの取り扱いについて、愛知書簡は、日本政府のものの考え方を表明をしたにとどまっていると考えます。したがいまして、ただいま御審議をいただいております公庫のことでこれを申し上げるといたしますならば、外資系企業に対して、沖繩金融公庫がどういう取り扱いをするかということは、細部まだきめておりませんけれども、御参考までに、本土におきましては、日本開発銀行は外資五〇%以上であれば、その外資系企業に対しては融資はお断わりをする。外資が五〇%以上入っているものであっても、石油関係のうちの公害防止部分についてのみしか融資は行なわない。これは当然沖繩公庫でも右へならえをしてくることでもございますし、先ほどお答えをいたしましたとおりに、沖繩公庫の、少なくとも今年度の事業計画のこの開発銀行関係融資計画の中には、外資系企業融資をする予定を私どもはいたしておりません。中小企業公庫にいたしましても、医療公庫にいたしましても、国民公庫にいたしましても、きわめて例外的に医療公庫において、本土では外資系と申しますか、日本の医籍に登録されたごくわずかな例外があるだけで、中小公庫も国民公庫も、外資系企業には融資はしておらない。これを沖繩公庫も右へならえをいたしてまいりますので、それが愛知書簡にそむくものであるというふうな考えは私どもは毛頭いたしておりません。愛知書簡というものを、そういう性格のものと考えて、沖繩振興開発のことにつきましても、基本的にはこういう考え方で進めていく決意をいたしております。
  190. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この日本の外資法第一条の目的で明らかなんですけれども、これはあくまでも日本の場合は非自由ですね。沖繩の場合は全くの自由。その根本的な法律の置き方というものが、根本的に食い違っているわけですね。だから、今後も沖繩等についてはそういう態度というものを持続していくのだろうと思うのですけれども、そういう考えについてはどうですか。
  191. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 五月十五日からは本土の外資法が、本土と同じようにそのまま沖繩の上にもかぶさるわけでございます。
  192. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それで、若干具体的な内容についてお伺いしたいんですけれども、さっき説明を受けたんですが、ちょっとあれしたので説明聞けなかったのですけれども、九十三件のアメリカを除いたほかの主要な国はどういう国でしょうか、その内容をちょっと、五カ国程度でけっこうですから説明してください。
  193. 小原聰

    説明員(小原聰君) お答え申し上げます。  件数としては、国別の集計をちょっとただいまいたしておりませんが、数の多い国を申し上げますと、中華民国、それから香港、それから一部フィリピンの国籍の方もおられます。それから特殊なものとしましては、たとえばカナダに本社がある出版会社のようなものが沖繩進出をしてきている事例もあるというようなことでございます。
  194. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 中華民国の存在、そういう国は私は基本的には否定をしているんですけれども、この取り扱いは今後も継続してずっとやっていかれるんでしょうか。
  195. 橘正忠

    説明員(橘正忠君) 私、御質問の趣旨が必ずしも明確でないのでございますけれども日本本土におきましても、いま対策庁であげられましたような国々の方が投資しておる件数がたくさんございます。ほかの国も、ずいぶん投資しておられる方、事業活動を営んでおられる方がたくさんあるわけでございます。そういう面からまいりましても、復帰後の沖繩においては、本土におけるこうした外国系の企業に対すると同じような扱い方というものが行なわれるというふうに観念しております。
  196. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 福田外務大臣の中華民国に対する態度なんかは再々説明されております。ただ佐藤総理が言っているように、中華民国というものは中国の領土である、こういうところまで一時答弁が出てきたわけですね。今後対中国との外交交渉については相当進展をしていくようなかっこうになると思うんですね。政府としても、政府間の接触ぐらいは当面やりたいという熱意は持っているようです。向こうが受けるか受けないかは別ですよ。だけど、いずれにしても、きわめて動的なんですね。同時に、やはり沖繩等に対する台湾からの企業進出というものについては、全般的な政治状況として私は判断をしていかなければいけないのじゃないかと思うんですが、これは砂田総務副長官、どういうお考えを持っておりますか。
  197. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 復帰後の場合のことは、先ほどお答えいたしましたとおりに、現在の本土の外資法がそのままかぶさるわけでございますから、それが台湾からの投資企業等を大蔵省で扱うことになるのだろうと思いますが、やはり本土のただいまの外資法のもとに行政判断が行なわれるものと考えます。
  198. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 確かに法律上はそういうことになっていくでしょう。ぼくの聞いているのは、政策上政治的にどういう一体判断をしますか、そのことを聞いているわけであって、今後の政策見通しですね。対中国との、北京政府との外交折衝にどんどん走っていくというような状況でありますから。それを中華民国として国として承認をしている、一ぺん条約を結んでおるわけですから。そういうものですから、当然企業進出というものがあったことは、いままでの現状としては、それは政府のやり方としてはあり得るでしょう。しかし、今後そういうことでいく、そうすると、今後中国との外交打開をやっていくためには、どうしても台湾帰属が問題になるわけですから、そういう場合には一体政策、政治的な見通しはどういうふうにお考えですかと、そこを聞いている。
  199. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 先ほどからお答えを各担当官がいたしております外資系企業の数、まあこの中に台湾からのものもあるというお答えをしているわけでありますけれども、これは琉球政府並びに民政府のそれぞれの布令、法律に基づいて現地で認可をされてきた数の実績先ほどからお答えしている数でございます。今後の、復帰後の台湾からのそういう沖繩に対する投資をどう扱うか、それの政策という御質問でございますけれども、どこの国とも仲よくしていこうとしている日本の外交路線からいえば、復帰までの間に、今日までの間に許可を民政府なり琉球政府なりがとってまいりましたその企業というものは、中を実はちょっとお話をいたしますと、なお御理解いただきやすいかと思いますが、たとえば米系企業にいたしましても、ここに九十三件書いてございます。二つの大企業考えられる石油関係を除けば、残った九十一件で投資額が一千二十万ドル。そうしますと一件当たりが十一万ドル。円にこれを直してみましても、まさに中小企業と申しますか零細企業と申しますか、それほど大きな、資金的に力のある企業が入っているわけではない。そういうことから、琉政も、あるいは民政府も、こういう認可をしてきたのだろうと思います。こういった事態が、復帰後そういう沖繩に対する資本投資を台湾のほうから希望をされてきた場合に、これはそのときそのときの判断で、やはり大蔵省で外資法のもとに、いままでとってきた取り扱い方で、そのときの判断をしていけばいいことではないだろうか。また特に大きな企業からそういう御要望があったときには、まさに先生がおっしゃるような政策的な議論も当然加味して考えなければならぬことでありましょうけれども、いままで沖繩で経験している程度の小さい企業であるならば、それは五月十五日以降は、いままでの外資法の取り扱い方の行政判断でやっていっていいんではないか、そのように考えます。
  200. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 現在は「非琉球人による土地の恒久的権利の取得を規制する立法」、こういうものがございまして、そこの審議会チェックを受けなければ、土地を自由に買うことはできない、こういうことになっているようでございます。しかし、いま現に復帰を目前にして、たいへんな土地取得が横行していますね。このままいったら、私はたいへんなことになるんじゃないかと思うんです。一つの例ですけれども、松下電器が糸満ですか、この市の付近に一つの工場用地を八万六千平方メートル程度買った。で、当時はその市から買ったときは坪当たり十二ドルくらい。ところがいまは松下の工場が進出をするというので、その近辺の土地が暴騰して、値上がりがものすごいんですね。そういうものが各所に、沖繩全島にあるようです。もちろんこれはいま施政権は日本国としては及んでいないんですから、それをどうのこうのということは言えないのですけれども、しかしだいぶ本土の各企業も、非琉球人であれば買えないですから、チェックされるのですから、現地の業者と提携して大量に進出している。だから、おそらく復帰後は土地取得の状況というものは、一段とよくわかってくると思うのですけれども、そういう状況の中で、いま復帰を迎えているというような状態ですけれども、現在まで大体どの程度そういう審議会を経て土地取得が行なわれているか。その辺の現況についてもしわかれば、これは農林省でしょうか、あるいは総理府でしょうか、お答えいただきたい。
  201. 小原聰

    説明員(小原聰君) 昨年の十一月十一日現在で取りまとめた数字がございます。この資料は、昨年の沖繩国会関係資料として提出済みでございますが、これについて若干御紹介をいたしたいと思います。  沖繩における非琉球人による土地の取得につきましては、先生質問のときに触れられました「非琉球人による土地の恒久的権利の取得を規制する立法」というのがございます。これは一九六五年の立法でございますが、一九六五年以降昨年の十月初めまでに、国籍別にどのように土地が取得されているか、件数と面積を申し上げたいと思います。米国人による取得が、件数としては五十九件でございます。面積は二百八十九万六千平方メートル。それから日本人による取得が、百六十五件、面積としましては八十六万三千平方メートルというのがおもでございまして、その他で十件で、面積的には約五千平方メートル程度になっております。全体では件数で二百三十三件、総面積三百七十六万五千平方メートルというような実績がわかっております。
  202. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 確かに、昨年の十一月現在だから若干私の資料と違うのですが、私の資料で、今年の二月末現在これでいきますと、トータルで四百十万平方メートルですね。ですからいまあなたが発表されたように、十一月現在では二百八十九万何がし、八十六万何がしですから、ざっと三百七十何万ですね。だからその後四百十万平方メートルというと、約四カ月間の中で相当数やはり土地取得というものが急速に進められていることだけはわかるような気がするのですね。  そこで問題は、取得の目的ですね。これはわかりましょうか。たとえば工場用地、観光関係として幾らとかというような、そういうような使用別ごとの取得内容というものがわかれば教えていただきたい。
  203. 小原聰

    説明員(小原聰君) お答えを申し上げます。  この十一月十一日現在の数字でございますが、取得目的別の件数を御説明いたしたいと思います。工場用地の目的で取得した件数が十一件、それから牧場、養鶏場、果樹園等の用地として取得した件数が六件、住宅用地が五十四件、観光施設の用地として取得された事例が四件、それから事務所、店舗等の用地が六件、官庁の施設用地、これは日本政府の関係だと思いますが、本土政府の関係だと思いますが、この関係が四件、それから病院、保育園等の用地が八件、その他が百四十件という内訳になっております。面積的には工場用地が一番面積が広くて二百八十四万二千平方メートルというような実績になっております。
  204. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 確かにいま発表になられたような状況だと思うのです。ことに私は見のがし得ないのは、住宅関係です。いま数字的に発表になったようですが五十四件あるわけですね。いま非常に沖繩の皆さんが持ち家方式に対して熱意がある。それは金融関係にもいろいろと影響しているようでありますけれども、そういうものに対してやはり急速に地価暴騰ということになっていきますと、やはり結果的には大衆生活の経済圧迫ということになっていかざるを得ないと思うんですね。ですから、そういうものを、これは復帰前ですから、どうにもならないといえばそれまでですけれども、復帰後直ちにこの土地政策等については、抜本策をとっていく必要があろうと考えるのですけれども、これは総務副長官どうですか。
  205. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) おっしゃるとおりに、私どもは、実際調査をいたしましたときには、何と申しますか、比較的根拠のはっきりした進出を予定されております。先ほど先生おっしゃいました松下電器が工場用地として取得した土地、こういうような具体的なその裏づけのある土地については、明確な調査が上がってくるわけでございますけれども、新聞報道等で伝えられるような、土地騰貴の実態というものがなかなかつかみにくいのが実際の姿でございます。ただ、多分にそのおそれがあることは私どもも心配をいたしておりますので、琉球政府にもお願いをいたしまして、非琉球人の土地の取得については、これを許さないというような沖繩の法令等を利用していただき、かつまた行政主席は、その土地取得が、琉球経済の最良の利益に適合しなければ許可をしないんだというふうな、そういったこともございますので、厳格にそういう土地の取得についての規制をやっていただいております。さらに復帰後におきましては、琉球政府が公共用地を相当のものを確保していただかなければ公共事業はなかなかうまくまいりません。土地騰貴というものが激しくなってまいりますと、そういうことを阻害いたしますので、琉球政府の公共用地の先行取得のための地方債をできるだけ早く自治省から沖繩県に持っていただく、さらに土地利用計画というものを明確にできるだけ早くいたしまして、いわゆるゾーニングと申しますか、土地の利用区域というものをできるだけ早く建設省の都市計画法施行に伴ってやっていきたい。さらにもう一つは、現在沖繩には農地法がございません。復帰と同時に農地法が全面的にかぶるわけでございますから、農地転用というもう一つの歯どめの手だてもわれわれは持つわけでございます。沖繩県と十分意思の疎通をはかりながら、そういった土地騰貴が現実に起こらないようにできるだけの努力をしていきたい、かように考えております。
  206. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 われわれがいま調べた範囲では、私も二回ほど行ってきているのですけれども、そういった現地調査の状況等を含めますと、どうしてもやはり一番値上がりのひどいのは、この海洋博覧会開催、これは一九七五年ですか、これに向けて博覧会を開催するということになって、その近辺がたいへんな値上がりをしているのですね。もう坪当たりいま八百ドルぐらいしているのじゃないかと、こういうことになっております。それからいまさっき申しましたように、糸満の松下工場進出に伴って、その近辺が百ドル程度になっている。十二ドル程度のものが急速に値上がりをしている。復帰と同時に早期にこの土地政策問題については抜本的に政府が打ち出さなければ、全土に対してとにかく土地取得——もちろん農地法が適用されますから、いろいろな角度で歯どめは出てくるだろうと思うのですけれども、それにしても、今後の沖繩を目ざした各般の企業進出が行なわれるわけですから、そういうことになるとするならば、その土台である土地政策について、抜本的な政策を講じていく必要があるのじゃないか。このことをひとつ要望をしておきたいと思うのであります。  それから午前中にもちょっと関連質問でお伺いしたのですけれども、この岡田総務部長に若干の説明を受けたのですが、沖繩主要銀行ですね、いわゆる琉球、沖繩、中央相互銀行、三行の業態別融資残高、これを見ますと、一九七〇年十月と、それから一九七一年十月、一年後のこの現在の対比関係を見ていきますと、一番膨張しているのが不動産業なんですね。で、三行のトータルでいきますと、資料琉球銀行金融経済、七二年一月、二月合併号に明快になっておりますけれどもこれを見ますと、一九七〇年の十月に、不動産業は八百十二万五千ドル、これが割合にして四・四%であったものが、一九七一年十月には、これが二万四千、一万一千ドル、率にして一九五・五%、ものすごい暴騰なんですね。だから、こういう状況になりますと、   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕 前の土地政策を含めて、大量にこの土地取得等に対して、本土ないし外国資本もそうらしいですが、いまお互いに競争激化をしている、こういう状態なんですが、その辺の内容について詳しくわかれば、どういう一体不動産業がいま実際やられているのか、この辺の現況についてわかれば説明していただきたい。
  207. 岡田純夫

    政府委員岡田純夫君) 不動産業の内容の実態についての手元に資料がございませんので、できるだけ調べまして後刻御返事申し上げたいと思います。
  208. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それでは十一日でけっこうですから、あとでひとつ説明してください。  それから具体的な問題でひとつお伺いをするのですが、地場産業の今後育成強化等について具体的な問題で一つ質問してまいりたいと思うのです。  いまオリオンビールが現地にございますね。これはそのまま全く沖繩の純県民資本の代表的なものであると考えます。しかしながら、一方日本に存在します麒麟麦酒と比較しますと、これはたいへんな相違だろうと私は思うのですね。で、参考までに企業規模の比較において、この麒麟とオリオンの資本、売り上げ高、あるいは税引き利益、あるいは配当、従業員数、一人当たりの売り上げ高、月額平均給与等々の企業規模の内容についてどういうふうになっているか、ひとつ説明を願います。  それからもう一つは製造費用内訳ですね。内容としては原材料費あるいは労務費、経費、これは電力と運搬などでけっこうでございます。それから総製造費はどのくらいかかるか。それからシェアが大体沖繩ではオリオンは九九%を占めておりまするけれども今後開放体制をとっていくわけですから、一定の歯どめはやっておりますが、今回の返還内容の中において、税制や金融等いろいろ企業保護のためのチェックはやっておりますが、しかし、これの適用がはずれるまではたして独立できるような態勢にあるのか。聞けば、現地ではたいへんな各企業の合併というものが、金融にしても、あるいは鉄鋼にしても、アルミにしても、そういうものがどんどん促進されている。そういうかっこうでいってしまうと、沖繩の県民自身の純粋資本で、いままで保ってきた企業というものは、総倒れになってしまうのではないか、そういう気がしてならないのですね。ですから、こういうものに対して、具体的にどういう一体対応措置を考えておられるのか、その辺を含めて、通産省から来ておられると思いますからお聞かせを願いたい。
  209. 守屋九二夫

    説明員(守屋九二夫君) ただいまお話しのオリオンビールでございますが、オリオンビールは、一九五九年からビールの製造をやっております。もう十年ぐらいになりますが、資本金は九十万ドル、換算いたしますと二億七千七百万ぐらいになるかと思います。従業員は、一九六九年の事業年度末の数字でございますが、百九十六名。先ほどお話しがありましたように、株主は外国人はほとんどない、外国人は十名ということになっておりますが、株主全体五百四十四名でございますから、ほとんど地場の資本であるということが言えるかと思います。内地のビールのメーカーといたしましては、四社あるわけでございます。ただいま御指摘の麒麟麦酒は、資本金二百三十億ということで、まあ従業員も多うございますし、非常に効率もいいということでございますが、製造販売数量を麒麟麦酒と比較してみますと、麒麟麦酒は年間百八十万キロリットル、これは最近の数字でございますが、これに対しまして、オリオンビールのほうは一万七千キロリットル、一九七二事業年度の数字でございます。  それから、沖繩におけるシェアでございますが、これも御指摘のとおり九九%といいますか、輸入ビールは千六百キロリットル程度という数字がございますが、そういうことでただいま申し上げました一万七千キロリットル、島内産のオリオンビールを島内で処理しているという数字になっております。  で、オリオンビールの将来につきましては、このたび特別措置によりまして、五年間、軽減税率で酒税の軽減免除が認められておりますし、また沖繩ではビールの原料であるビール麦、それからホップにつきましては、全部、従来輸入にたよっていたわけでございますが、この輸入の関税は、従来かかっていなかったわけでございます。これにつきましても、復帰後五年間は関税を免除するという措置がとられておりますので、われわれとしましては、この五年の間に地場産業として力をつけていただいて、成長するように、国税庁としても復帰後指導をしていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  210. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 あとの製造費用等の内訳等については、十一日まででけっこうですから、資料で出していただいてけっこうです。
  211. 守屋九二夫

    説明員(守屋九二夫君) はい。
  212. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま説明がありましたように、大体、本土に引き直した場合には、オリオンビールはシェアが五%ですよね。五%。確かに酒税関係、税金の軽減、五カ年やっておりますけれども、これはビールの原価に置きかえますと、日本の麒麟麦酒の場合百四十円です。オリオンは、これはドルでいっておりますけれども、円に引き直しますと百四十四円で、四円高なんです。いま現地のビール会社は、そういうことですから、この四円を埋めるためにたいへんな部内合理化を徹底してやっているわけです。たとえばこの職員数を見ますとはっきりしているのですが、最近は退職があってもそれは補充しない、各般の合理化を急速に進めて、何とかこの企業保存のためにがんばっているというのが実情なんですが、もう少し、何らか、私は、本土復帰に伴って、保護政策をとっていく必要があるのではないかと考えているのですが、これは、五年過ぎて、五年間で立ち直るというような状況ではないんですね。いま資本の説明がありましたけれども、片一方はもう二百億近いでしょう、二百三十億ですか、片一方はわずかに二億何がしですからね。約三億近いものです。だから、こういう大資本と小企業の純粋な県民資産によるところの企業というものは太刀打ちができないのです、何としても。五年の先にいってみたって、私は、まさかこの麒麟麦酒くらいまで資本金がふくらんで、増大していくという状態じゃないわけです。ですから、これは、一つ具体的な例ですけれども、そういう状況にあるわけですから、こういうものについて、抜本的に一体どうやっていくのかということが、私は非常に大事だと思います。通産省としては、全般の地場産業の育成強化ということを考えておられるのでしょうけれども、この具体的な事例に対して、今後税金の免除だけでは私は不足だと思う。もちろん機械設備を更新する場合には、中小企業の機械近代化、こういうものに基づいた融資体制をとられていくことは間違いないです。特別の対策があっていいのじゃないかと思うのですけれども、その辺はどうですか。
  213. 西田彰

    説明員西田彰君) 地場産業の育成につきましては、いま先生指摘のとおり、いろいろ困難な問題がございます。私ども所管いたしておりますのは、地場産業の一般振興対策でございますので、必ずしもビールの例に当てはまるものではございませんけれども、ただいま御指摘になりましたように、中小企業近代化促進法の体系を、この復帰に際しまして沖繩には特別優遇的に適用する法制をとっております。本土近代化促進法でただいままで政策を強化してまいりました業種が百七十業種ぐらいございますけれども、そのほかに、特に沖繩に特殊な地場産業というものを、本土ベースではなくて、沖繩という地域だけで考えて振興対策をどうあるべきかということにつきましては、沖繩振興開発特別措置法の体系におきまして、特別の業種指定を行なって、地場産業に即した振興をやるような体系をとっております。しかし御指摘がございましたように、やはり本土の大企業進出というようなことに対抗して、抜本的にやってまいりますためには、私ども考えといたしましては、何といたしましても、沖繩では本土でこの二十年間くらいやってまいりました中小企業の組織化、共同化ということが進んでおりませんので、私どもといたしましては、手初めに、少ない業種、業態ではございますけれども、まとまって共同行為をやっていただく、それに対しましては商工中金を現地進出させまして、共同化の御援助をするとともに、中小企業振興事業団の融資等を通じて、高度化施策の体系の中に、沖繩中小企業も取り入れられていくように、いろいろいま指導機関を使って指導に万全を期してまいりたいというのが、とりあえず私ども考えているところでございます。
  214. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 地場産業を育成してまいりますという政府のかけ声は、オリオンビールを本土の巨大ビール産業に負けさしてしまったんでは、看板を私どもおろさなければなりません。オリオンビールというのが一つの典型でございますから、オリオンビールという地場産業をりっぱに経営が成り立つように、いまよりもなお一そう近代化されたオリオンビールとして、現在程度の利益というものを十分確保ができるように、そういう見当をつけて、オリオンビールのことは取り組んでまいりたい。実はオリオンビールという地場産業を守るために、本土のビールを、沖繩へもう輸入規制をやったらどうか、輸入禁止をやったらどうかという考え方も当初ございました。しかしその考え方は、やはり琉球政府あるいは沖繩の商工会議所、決して沖繩の世論の支持を実は受けることができませんでした。それはやはりオリオンビールはオリオンビールとして、沖繩で御承知のようなシェアを確保して、あれだけオリオンビールの味というものが沖繩になじんでおりますけれども、やはり沖繩でも、本土のキリンビールなり何なり、本土のビールを飲みたいという需要者にはこたえてもらいたい、これが琉球政府なり、商工会議所の意見でございました。そこで沖繩の消費者の立場に立って、本土のビールも飲める道を講じて、そういう道は開いておきながら、その中でオリオンビールをどういうふうに守っていったらいいかというのが私たちに与えられた問題であります。そこで先生も御承知のような税の措置、さらにオリオンビールを近代化するための近代化資金の提供、こういうことを考えておりましたやさきに、昨年から初めてオリオンビールが沖繩で生ビールを始めました。そういたしましたら、これはたいへんな勢いで生ビールというものは沖繩の需要に合ってまいりました。生ビールこそ沖繩ではほとんどオリオンビールの独壇場でございました。復帰のあと、本土の巨大ビール会社が生ビールを沖繩へ持ってまいりますと、輸送手段その他、相当なお金がかかることになりまして、圧倒的に生ビールはオリオンビールが、五年といわず、もっと将来まで沖繩ではほとんどのシェアを確保するだろうという見込みがあわせて立ってまいりました。それに加わって、税制上の措置を考えますと、先ほど百四十円というお話がございましたが、本土のビール会社の、これは本土のビールの価格でございますが、本土のビール会社が百四十円のビールに輸送費をかけて沖繩で売ったといたしますと、オリオンビールはそれよりも二十数円安い価格でオリオンビールを沖繩で売りましても、現在の施設ですら、いままでのオリオンビール株式会社の利益は確保していける、こういう確信を、オリオンビール自身の提出してまいりました資料等からも私どもは自信を持つことができたわけでございます。  そういうことで、ただ一つ残りました問題は、日本の大手のビール会社が百四十円を割るような価格でオリオンビールとのシェア競争を沖繩でいどんだ場合にどうするか、これだけがあと残った問題でございます。ちょうど内閣委員会で御審議をいただいております沖繩開発庁現地事務局、総合事務局の中には、公正取引委員会の事務所も置くことになっておりますので、公正取引委員会がそういう担当官を現地事務局に置きまして、この公正取引委員会がもう十五日からさっそく目をつけて監視をしなきゃなりませんのは、そういう原価を割るような、本土にはない価格で、一つの県だけで巨大資本の会社が商品を売って、現地中小企業を荒らしていく、そういう独禁法にいうところの不公正な競争を、沖繩開発庁現地事務局の公正取引委員会の事務としてこれが十分排除していける、そういうことで、オリオンビールの将来については私どもは確信を持って、酒税、関税、それに近代化資金の提供、こういうことでオリオンビールはりっぱに守り切れるという自信を私どもは持ってやってきたわけでございます。
  215. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあ非常に総務副長官から自信のある回答をいただいたんですが、しかし、実際はまだ私は不安がある。それはなぜかというと、第一点は、この沖繩開発について沖繩琉球政府が出した建議書の中において、その基本理念である三つの理念を建議書で政府に要請した。言ってみれば、一つは、県民福祉の向上であると、そういうことに視点を置いてひとつ開発をやってください、それからもう一つは、自治権尊重の立場に立ってやってください、それから第三点、平和で豊かな県づくり、いわば住民の参加の中において今後の沖繩開発をやってくれないか、建議書でこの三点の基本理念を要請をしているんですね。しかし、いままでの沖繩の開発全体の様相は、中央政府の意向のままで実施されている。その辺に私は非常に不安を感ずるものが一つあるんです。  それから、オリオンビールにいうなら、生ビールでいって確かに成功したことはそのとおりだ。しかし、これは日本の麒麟麦酒とかサッポロにしてもそうなんです。全体が、ビールというものは鮮度が要請されますから、鮮度でいくならば生ビールが一番いいということになっちゃう。だから、生ビールに勢い着目して沖繩の経営者がやった。これはみごといま当たっていますよ。当たっていますけれども、これは全体、本土資本と競争体制になっていった場合には、本土だってやるわけです。なかなか、いまそう総務副長官の言われたような——もちろんそれだけではないと思いますが——容易でないだろう、そういう気がしてならないんです。ですから、   〔委員長退席理事柴田栄君着席〕 そういう問題について十分これはひとつ配慮をしていただきたい。これは要望をしておきたいと思うんです。  それから、この十一日にあらためてまたお伺いしますから、きょうは予備質問で、ひとつこの沖繩北方対策庁から法案の政令関係のものが資料として出されております。その全部を質問するわけにはいきませんから、十九条第一項第三号の政令の内容というものはこういうものだということがまず一ページにございます。この内容を見ますと「宅地の造成等のほか、」と、こうなっているんですね。ですから宅地造成に対しても振興開発公庫から貸し出しをいたしますと、予算書の中でいろいろこうありますから、あとで聞いていきますけれども、こういうものは現にいま本土で、この宅地造成等に対する融資関係については、いままでの審議の過程においてひとつブレーキをかけていこうと、こういうことなんですね。だから、五月十五日までは日本本土の各企業は行っていないけれども、十五日返還になれば一斎に乗り出していくわけですから、どうしたって、それは大手メーカー、そういった大企業不動産会社というものが乗り出していくことは明らかなんです。そういう場合に、そういうところまでめんどうを見てやる必要がはたしてあるのかどうか、こういう点が非常に私は疑問を持つんです。ですから、そういう問題に対してひとつ説明をしていただきたいということが第一点なんです。  それからもう一つは、十九条の第一項第四号の政令内容を見ますと、「農林漁業資金の貸付対象者として、農畜水産物の卸売市場開設者等」あるいはその「農業関係基盤整備」、それから「農林漁業関係施設整備」、こういった項目が羅列されておるんですね。しかし、基本的に今後一体、さっき成瀬委員指摘をされましたように、農業の振興を、第一次産業に対してはどういう一体姿勢で取り組んでいくのか。これがわからなければ、私は、こういうことをやって金を出しますぞと言っても、どれだけ一体この第一次産業というものを考えて振興さしていくのか。ことにこの特産物であるサトウキビ等の問題が直ちに問題になってくると思うんですが、そういった問題に対してどういうお考えを持っているのか。  それからもう一つは、医療関係の政令内容、沖繩全島から見れば離島が非常に多いんですね。だから、あとでこの具体的資料をお願いしたいと思うんですが、きょうは厚生省呼んでおりませんから、それはわかりませんからあれですが、無医村地帯が非常に多く、一ぱいあるわけなんです。だから、こういう問題に対しても、これは人命保護、あるいは予防治療、そういうものはやはり大切なのですから、私は、当然厚生保護施設は重点的にとられていかなければいけないだろうと思うんです。ですから、その辺は総務副長官として、一般論でけっこうでございますから、こういう政令内容からくる医療施設その他の充実について、どういう一体考えを進めていくのか、この三点について、政令内容について説明をしていただきたい。
  216. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) それぞれまことに適切な御指摘だと思いますが、宅地造成資金のお話があったわけでございますが、ここに書いてありますことは、これはすべて本土の住宅公庫と同じ業務のことを第十九条の第一項第三号で書きあらわしたものでございます。したがいまして、沖繩におきましては、住宅が本土よりもなお一そう不足をいたしております現状から、やはりこれはもう重要な融資対象と、かように考えております。ただ、お断わりいたしておきますけれども、大手の不動産業者を対象にして考えているのでは毛頭ございません。やはり真実住宅に困っておられる人、それを対象にしていきたい。さらに沖繩県の住宅供給公社の行ないます宅地造成にも、公庫から本土と同じように融資をすることにいたしております。  医療のことでございますが、これまた医療機関がたいへん沖繩では不足をいたしております。本土の過疎県よりもなおひどいような状態になっているものでございますから、特に沖繩の中での——那覇、この中心部ではさほどではありませんけれども沖繩の中での過疎地域と申しますか、離島と申しますか、こういうところにおきましては、本土よりも特段低い金利で医療機関には融資をしていきたい。さらに医療機関が相当高い金を借りて、いま医療業務をやっておられるところがあるのでありますが、こういうところは、いままでの高い金利で受けておられる融資を、この公庫融資に借りかえていただく、そういう資金もまた公庫では配慮をいたしまして確保してあるところでございます。いろいろ沖繩国会を通じて、沖繩の国民生活、生活環境改善のための問題が議論されたわけでございますけれども、十分そういうことにも留意をしながら、事業計画というものを立てたつもりであります。
  217. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きょうはこれで終わっておきたいと思うのですが、最後に、沖繩関係予算を見ますると、四十七年度予算で二千二百三億円、こういうことになっていますね。正確には二千二百三億八千二百万円、こうなっていますが、これは従来の琉球政府がとってきた予算よりもはるかに大きいことはそのとおりだと私もその点は認める。しかし、こういう大規模投資がこれからやられていくわけですからね、そのことによってインフレ体制というものがやはり沖繩に上陸しないか。具体的な物価上昇指数その他ありますが、これはあとで企画庁と通産にただしていきたいと思うのですが、そういう問題について総務副長官はどういうふうに基本的な考えとして考えられるか。その辺をひとつお聞かせ願ってきょうは終わりたいと思います。
  218. 砂田重民

    政府委員砂田重民君) 公共事業等に大量の金が流れるから、地域的なインフレ現象を来たすおそれがないか、こういう心配もわれわれもないではございません。しかしながら、やはり五月十五日以降というものは、完全に本土経済圏に入るわけでございますから、物資の流通というものは、いままでのような窮屈ではありません。需給の関係から起こる悪性インフレ現象というものはおそらく起こってこないであろう、また労働力逼迫による賃金の要因からするコストプッシュ、こういうことから起こってくるインフレ現象というものもおそらく起こってこないであろう、私どもはそういうふうに考えておるわけでございますが、沖繩の物価の問題は、むしろやはり円とドルとの関係から起こる今回の復帰の時点での円価へのその価格のつけかえ、ここにも問題があると思いますので、こういうことにつきましては便乗値上げ等、こういうことはもう沖繩県とも十分連絡をとりながら防いでいきたい、こういうふうに考えております。その地方的インフレという問題については十分注意を払ってまいりたい、かように考えております。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  219. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと委員長、この資料をいただきました、通産省から出ておる——お見えになりましたか、どなたか。b−1、2と出ておりますね。そのbの1のところに、注釈で「(本土以外の企業)」と、しかも外資なんですね。そうすると、アメリカ以外というとどこをさしますか、主として。
  220. 小原聰

    説明員(小原聰君) お答え申し上げます。  b表は、本土企業というものも、現在外国の取り扱いになっておりますけれども本土企業だけ抜き出したのがc表でございます。b表はアメリカその他の外国ということになるわけです。アメリカの分につきましてはカッコ書きで件数と金額が書いてあります。したがいまして、アメリカ以外の第三国ということになりますと、カッコのない数字からカッコの数字を引いていただきますとアメリカ以外のその他の外国という数字が出てまいるかと思います。
  221. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それはどこなんですか。
  222. 小原聰

    説明員(小原聰君) それは先ほど戸田先生の御質問にもお答えいたしましたけれども、台湾系とか韓国、それからフィリピン、それからカナダとか、まあ一部それ以外の国もございますが、そういう各国になっております。その数字はちょっと手元に集計したものがございません。
  223. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 それじゃ、ちょっと戸田君があるいはその後どういう資料を要求したかわかりませんが、ちょっとお願いしたいのは、b−2の最後のトータルのところに、米国資本が大体九十三で一億二千五百二十万ドルですかに対して二百十四件、一億七千五百九十二万ドルほどあるわけですから、そこでアメリカの二倍も外国から来ておるわけですが、どこがそんなに多いのか。せっかく業種別であげてありますから、まあ石油事業をもう少し——じゃこの三件というのはどこか、その内訳だけあとで資料で——もうちょっとこまかくやってもらいましょうか、畜産業、石油業、アルミ、化学薬品、清涼飲料、保険金融業、その辺のところをもうちょっと国別にこまかく——いまそこで答弁できますか。
  224. 小原聰

    説明員(小原聰君) いま御指摘のございました畜産業につきましては、アメリカが四件で、ほかの二件はその他の国ということになります。  それから石油事業につきましては、二件というのはエッソとガルフの関係でございます。あとの一件はリベリアに国籍のある何か運搬の関係だったかと思いますが……。
  225. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 だから、それをもう少しこまかく、もうちょっと内訳を知らせていただきたいと思いますが。
  226. 小原聰

    説明員(小原聰君) それはあとで資料を整えて、必要があれば提出いたしたいと思いますけれども……。
  227. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 資料としてもらいたいと思いますが。
  228. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) ただいまの資料は十一日までに間に合いますか。
  229. 小原聰

    説明員(小原聰君) 間に合わせます。
  230. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それからもう一点きょう聞いておきますが、長岡次長おりますか——。  この前の労働保険特別会計のときに、預貯金あるいはその他の保険等に対して十分検討の必要があるんじゃないか、こういうことを言っておったのですが、さっき総務副長官のほうから、年金の問題はあったけれども、労働保険関係の災害、それから失業保険、こういう問題については具体的に説明がなかったので、ひとつ説明してほしいのですが。
  231. 長岡實

    政府委員(長岡實君) 去る四月下旬、この委員会で、戸田委員から御指摘のありましたいわゆる労働保険関連します失保あるいは労災保険等の給付の問題でございますが、これにつきましても、先ほど砂田総務副長官から年金についてお答え申し上げましたように、復帰後に給付事由が発生いたしますものにつきまして、実質的に三百六十円で読みかえたものにひとしいような保険金の給付が行なわれるようなことを考えております。これは具体的に申しますと、その保険金の計算の基礎が、もう完全に復帰後に給付事由が発生するもの、たとえば失業保険で申しますと、過去六カ月分の総収入が基礎になるわけでございますけれども、それがすべて円になっております場合には、全く本土並みに支払いが行なわれますので、問題がございませんが、その計算の基礎に、ドル建ての報酬なり賃金なりを含むものにつきましては、年金で御説明を申し上げましたことと同じように、ドルの部分は円建て保険金表のようなものをつくりまして、それが実質的に三百六十円にほぼ一致するような読みかえの表をつくって、それをドルの部分に当てはめまして、保険金の計算を行なう。したがいまして、復帰後に給付事由が発生します労災、失保等につきましては、その計算の基礎にドル建ての部分があるものも、ないものも、結果的には大体三百六十円で読みかえたものにひとしいような給付が行なわれるような措置をとるということで、関係各省の間で意見の一致を見まして、政令及び省令の準備をいたしておるところでございます。
  232. 前田佳都男

    委員長前田佳都男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  次回の委員会は、五月十一日午前十時三十分から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会      —————・—————