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国務大臣(
水田三喜男君) まず、報奨金の問題ですが、必要性があってできた制度であることは御承知のとおりでございますが、両保険料の徴収の一元化によって、四月一日以降はこの事務が簡素化することになっておるときでもございますし、これは補助金に切りかえたらいいかというような
お話しがございましたが、これはマンネリ化する問題でありますので、あるとしましても、無理にこれに固執して、これを将来もっとふやしていくという制度でもないように思われますので、この問題は、今後十分私は検討したいと考えております。
それからいまの外貨問題でございますが、外貨の活用のしかたといたしましては、いま考えておりますことは、これは外為に預託する。御承知のように、いま、
外国為替銀行の対外債務というものも七、八十億ドルある現状でございまして、それがやはり直接
関係がないとしても、やはり外貨のかさ上げになっていることは事実でございますので、この預託をすることによって、将来のこの対外債務のふえることを防ぐと同時に、これが返済されることにも役立つというようなことによって、この外貨をふやさない、あるいは積極的に減らすということができますので、こういう方面に活用することは、これは収益性の強い活用となりますので、
一つの方法でございます。すでにこれは実施しております。それから、さらに、中長期の証券を購入するということによって、長期資本流出の
促進をはかるというようなことも、これは外貨の有効な活用手段でございますので、こういうこともすでにやっておりますので、こういう方法によっても、相当の外貨の活用ができるというふうに思っております。
いまお尋ねの第二外為
会計というような
お話がございましたが、これは先般
予算委員会でも申し上げましたように、
政府及び日銀保有のドルというものは、民間から円の対価を払って購入した公的な資産でございまして、これをそのまま円資金との
関係なしに活用するということは、非常にもともとむずかしいことでございます。で、いまこのドルを活用したいといって、民間からいろんな要請があったり、
政府に試案を示してくるようなものは、みんなこのいま
政府、日銀の保有する外貨は無コストのものだと思って、これが安く活用できるというところに魅力を感じているようでございますが、この
政府の持っている外貨は、外為証券を発行して、それで買っている外貨でございますので、これをもしよそへ移すとするのなら、その債務も一緒に移っていかなければいけない。で、もうすでにコストのあるそれはドルになっておりますし、これを別の
会計に移すということになりましたら、そのときに長期の公債にかりに置きかえるにしましても、もっとコストは高くなるということになりますというと、この活用についてのいま民間で考えておるような魅力というものは、相当減殺されるということになるのでありましょうし、またそういう
会計をつくるというためには、国会を通って堂々と
予算措置によってつくるものでなければ、これは公的資産の運用ということには不適当でございますので、そういう
法律並びに
予算措置を通る機関が運用するのでなくてはいけないというふうに思います。また、日銀保有のドルを利用しようとしましても、要するに円を払って日銀から買わなければこのドルは使えないということになりますので、したがって、いま言われているいろいろな要請は、そういう点を全く無視しているところにいろいろ問題がありますので、もしそういうものをつくるとするのなら、どういうふうにやったら、そういう目的に沿うことができるかということについては、まだ煮詰めなければならぬ問題がたくさんあるということが
一つと、それからもう
一つは、これを原材料の
備蓄に活用したいというのでございますが、じゃ何を
備蓄するかということになりますというと、
石油についてはいろいろの手が打たれておりますが、そのほかのものの
備蓄ということになりますと、みんな国内産業との
関係が出てくる。非鉄金属をたくさん購入して
備蓄するということは、国内の当該産業との関連が出てきて、なかなかむずかしい問題があるというようなことで、現に通産当局においても、何をそれじゃどれくらい
備蓄するかというと、別にまだしっかりした案というものが、
計画というものができているわけではございませんので、問題は、これからそういう点を煮詰めて、いろいろ何らかの
結論を得たいと思って、
関係省がいま相談しているところでございますが、まあ早い話が、何かに使いたかったら、要するに
予算措置をとって、円を調達するのなら、いつでもたまっている外貨は使えるのだということで、円を調達しないで外貨を使うという方法というものは、なかなかむずかしいということでございまして、それを
中心の検討がいま始まっておるところでございます。かりにそういうようなことがなくても、いま私どもは手持ちの約百十億ドルの外貨のうち、やはり流動性を保持した外貨はこの半分ぐらいあったらいいじゃないか、あとの六十億ドル、それから今後、まだ黒字基調でございますから、若干蓄積されると見ます外貨、そういうものはいま言ったようなことにきまって、もうすでに実施しておる方向で活用している、そのくらいの額の活用は、今
年度中可能ということになりましょう。そういたしますというと、これは今月あたりからむしろ外貨は減ると、ふえないということになっていくでございましょうし、外貨がふえることを非常に心配されている方が多いようでございますが、
外国が問題にしているのは、外貨が
日本でふえることじゃなくて、ふえるに至るいろいろな問題について、それを問題にしているということでございまして、要するに、対外均衡というものを、
日本はどういうふうにして回復していくつもりかという、
日本のそういう一連の貿易政策、そのほかの政策が問題でありまして、たまった外貨をどうするかということについては、別にいま各国がこれを問題にしているというようなことはございませんが、これはやはり、いたずらに外貨が蓄積しているという形は、対外摩擦の
一つの問題にならぬとも限りませんので、できるだけこれを活用して、
日本にいたずらに蓄積しているというかっこうを避けるということも必要だと思いますので、その点については十分
対策を練っており、もう実行に移しているところでございます。
それから金の問題でございますが、これは一般の輸入自由化と別に変わったことはございませんで、やってもよろしい問題でございますが、問題は、やはり国内産業との
関係調整をどうするかということであろうと思います。御承知のように、
日本の金は特別に高くなっておりますが、これによって国内の産金が保護されている、同時に、ひとり産金会社というだけではなくして、非鉄鉱山会社は、副産物としてみな金を出しておりますし、これが
企業の
経理に相当貢献しているのが現状でございますので、これを自由化によって一挙にこの値を下げるということが、どういうことになるかという国内産業との
関係、これについてのいろいろな調整手段が考えられるということでしたら、金の輸入を自由にするということは別にむずかしい問題ではなかろう、これは今後私ども十分検討したいと思っている問題でございます。