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政府委員(
赤羽桂君) このいわゆる
NTBと申しますのは、非
関税障壁と訳しておるわけでございますけれども、これはどういうものが非
関税障壁かということにつきましては、実はこれは
世界的な基準、
定義づけというものはないわけでございます。そこで、
ガットの規約上も、
NTBの最も典型的な、最も代表的のものであるところのいわゆる
輸入制限、これがけしからぬということははっきり言っております。あるいはまた
ダンピング、反
ダンピングの問題、こういったものも、これこれこういう条件のもとに反
ダンピングというものも許されるとか、
ダンピングはいけないとか、かような規定が
個々ばらばらにあるわけであります。したがいまして、
NTB全般につきまして
定義がこうで、
各国のこれこれこういったものは
NTBだぞということで、今後これをなくしていくのだという
意味におきましては、実は観念が必ずしもはっきりしていない点があるわけです。しかしながら、明らかにこれは
NTBだというのは、これはまああるわけでございまして、そういった面から申し上げますと、
日本の
NTBはどういう
ぐあいに対処していくか、かような御
指摘でございますけれども、その最も典型的な面の
輸入自由化につきましては、
昭和四十六年度四十品目残っておりまして、今回の
定率法改正等に伴いまして、これは三十三品目となって、これはまあ
先進国、ほかの国と比較をいたしまして何ら遜色がないということになっておるわけでございます。
実はそのほか
日本の
NTBであるということで、
各国からまあいろいろ言われておりますこの
NTBは、先ほど申し上げましたとおり明確な
定義はないわけでございますが、それぞれ
各国同士におきまして、あれが
NTBだと思うのは
ガットに
通報をしろということに二、三年前になっておりまして、その中で
日本の
NTBとして言われておるところのものがどんなものがあって、それに対していま
現状はどうであるかという点につきまして申し上げますと、その諸
外国から
ガットに
通報をいたされておりますのは、まずこの
海外市場開拓準備金制度、このいわゆる
海外の新
市場開拓のために、各
企業は前年度の
輸出額について、まあ
資本金別に何%以内を
準備金として積み立てると、これは損金に算入するんだという
税法上の
措置でございますが、これがまず
一つであります。
それから
輸出割り増し償却、これは今回のこの
租税関係の
法律のほうで廃止をいたす予定になっております。
それから
政府調達、この
政府調達というのは、これは
日本のみならず、アメリカなんかもきわめて先鋭な形で行なっておりますし、それからまた
ヨーロッパあたりの
先進国でもこれは例があるわけでございまして、これは相互に、こういうものはいかぬというようなことに相なっておるわけでございますが、
日本の場合の
政府調達というのは、まあ
国産品の使用を奨励するという
意味におきまして、予決令の
臨時特例の
制度があるわけでございます。これがまあ
NTBであるということでございます。
それから
外国企業の
支店活動の
制限と、これは外為法上の問題でございますけれども、送金をする際に
制限があるではないかというようなこと。現在は御
案内のとおりかなりこれは緩和をしておりますし、実際は
障害というほどではございませんで、大体申請どおり認められているようでございますから、実質的に
障害にはなっていないとわれわれは
考えておりますけれども、こういう
制度が残っているということで、
NTBになるという、これは国際の場に出ればそういう感覚で受け取られるわけでございます。
それから国家
貿易として塩、アルコールがある。こういうことがいけないということになっておりまして、この国家
貿易それ自体は
ガットの規定でもその
必要性は認められているわけでありますが、おそらくこの
意味は、そういう国家
貿易として塩とかアルコールというものまでやる必要はないんではないかというようなことでございます。
それからまたいわゆるAA、AIQ、
輸入承認制の問題でございますが、これも実は実質的な
貿易制限というような話ではございません。通産省のほうの意見によりますと、
貿易自由化のいわゆる
商品の統計的な動向をつかむと、こういったところが言われているのであって、実質的な
貿易制限ではないということを言っております。ただ現実の問題としてAIQ、今回の日米通商交渉の過程においても、これは非常に問題になっておりまして、撤廃方を強く迫られたわけでございますけれども、現実の問題として、これはことしの二月二日から全部なくなっております。
それからこの
輸入割り当ての場合にワクを公表しないということに相なっておるわけでございます。まあこれはワクを公表いたしますといろいろなスペキュレーションが起きる。あるいは
関係業界からいろいろ文句を言われるというようなことで、これは発表しないのが
NTBだという言われ方をしております。しかしながら、これにつきましては全然秘密だということでもございませんで、大体食糧でございますとか、機械でございますとか、そういったある程度の大きなカテゴリーは発表いたしておるというのが実情でございます。
あとは
輸入担保金でありますとか、あるいは乗用自動車の
国内的物品税、この物品税は今回の特別法によりまして下げることに相なっておるわけでございますが、こういった問題から、さらに、何と申しますか、決済
方法、
貿易手続とか、いろいろな実はものがすべてこれ
NTBだということで扱われやすい環境にあるわけでございます。いわゆる
NTBとは何だということに関連をいたしまして、こういうものはやっておりませんということで、現在の
日本の
NTBについて政府が承知をいたしておりますところをお答え申し上げたわけでございますが、今後第二次国際ラウンドというようなことが来年から行なわれるということになりますと、この
NTBの問題がケネディラウンド時代と比較いたしまして、はるかに今回大きな重要性を持ってくるのじゃないかという
ぐあいに考えております。それで、われわれのほうの立場からいたしまして、これは明らかに誤解であるというようなことは、進んでPRと申しますか、説得しなければならぬということと同時に、ただいまいろいろ言われておりますような、
NTB項目の中で、それは確かに
貿易の
障害になるという観点から、撤廃をすべきものは進んで前向きにこれは
検討していくというような
感じではないかと思っております。