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政府委員(
赤羽桂君) ただいまの御質問でございますが、
関税輸入割り当て等、その
輸入割り当てをなくす、いわゆる
輸入自由化をやる、
輸入自由化をやるについて、
関税割り当てと称して、一定割合以下のものはなるほど無税にしたり、低い
関税にしているかもしれぬけれども、それ以上のものは非常に高い
関税をやっておるが、それは一体どこが違うのだと、かような
お話かと存じます。
で、これは非常に理念的な問題としてたいへん違うわけでございまして、いわゆる
輸入割り当てと申しますのは、非
関税障壁の代表的なものとしてあげられておるわけでございますが、ガットでも、かようなものは全廃をするとはっきりいっておるわけでございます。全面禁止ということに相なっておるわけでございます。しかしながら、
関税のほうは、これは漸滅をする、
関税水準を下げるということはいっておりますが、
関税をやめるということは、ガットの規約上も入っておりません。ガットの立場としましては、いわゆる
輸入割り当てというものは直接的な貿易の制限になる、直接的、物理的に貿易の制限になるという
意味において、特にこれを禁止をしたのであろうと思います。したがいまして、そういった全面禁止をされているところの
輸入割り当てというものをまずやめて、いわゆる
関税の土俵の場に持ち込むというところは、まず一歩前進でございます。
その次に、日本が、いままで
自由化に際しましては必ずやって、しかも諸外国からいろいろと悪評をこうむっているとされているところの、
自由化をしていきなりストレートに
関税を上げる、あるいは今度の、
関税割り当てということで、一次まではいいけれども二次以上は非常に高い、あるいはスライド
関税というようないろいろな手段をとっているわけでございますけれども、そのようないろいろな手段は、
自由化に伴いまして、いろいろ
国内産業の保護の調整から、
自由化の一時的のショックと申しますか、さようなものを解消をする、やわらげるという
意味におきまして、とらざるを得ない手段でございまして、これは、
国内産業のほうの体質の
合理化でございますとか、競争力の充実に伴いまして、漸次これは下げてきておるわけでございます。そういった措置は、
自由化に伴いまして、
国内、国際を両方含めまして、
自由化というものを円滑に進めていく上においては必要かつ不可欠な手段でございます。かように
考えておるわけでございますけれども、そのために、逆に言えば
自由化が進んできた、かようにわれわれは
考えておるわけでございます。そのときに、ストレートな
関税引き上げと、それからいまの
関税割り当てというのと、どっちがどっちかということになりますと、はっきりと申し上げられるのは、ストレートな
関税率の引き上げよりも、
関税割り当て制度のほうが評判がよろしいと、かようにわれわれは
考えておるわけでございます。で、なるほど
関税割り当ての場合は一定ワク内だけしか
関税を下げないと、こういうことでございますけれども、貿易それ自体、
輸入それ自体は自由でございます。日本が
国内需要から必要としているところのものは非常に安くする、あるいは無税にするということでありますが、それ以上のものにつきましては、いろいろ
国内の需給を乱すということもありまして高くしているわけでございます。貿易自由の理念からいたしますと、これは自由ということで
輸入の割り当てに比較をいたしますと、これははるかに二歩あるいは三歩前進だ、かように
考えておるわけでございます。まあ日本が
自由化をするに際しまして、いろいろな手段をとる、ところがそれに対しましていろいろな非難もございます。かような説明を行ないまして、しかもこれがずっとそのままでいくわけではございません、順次直していくわけでございますので、この
輸入割り当てと、
関税率割り当てというものはたいへん違ったものだと、かように御了解いただきたいと思います。