○渡辺武君 時間が来たので端的に一、二点だけ聞きます。
そのいまお話しのあった
輸出前受け制度ですね、これは先ほどリーズの一種だと、つまり
輸出代金の何といいますか、事前回収というふうな御説明がありましたけれ
ども、私はこれは決定的に性格の違うものだと思うのですね。それはたとえば、一度商品を
輸出して、そして代金が掛けになっておる、それを早く回収するという場合と、そしてこの前受け制度のように、まだ
輸出も何にもやっていない。
輸出契約がたかだか結ばれた段階で、まだ
輸出認証も受けていない。そういう時期に
外貨を送らせて、これが前受けだ、
輸出代金だというふうにいっているのとは全然性格が違うと思うのですね。つまり、この
輸出前受け金制度というのは、それ自体の中に本質的に投機的な
要因を含んでいる。この間の八月の事例でも、よくいろいろ伺ってみるというと、どうも商社やメーカーの在外支店と
国内の本店と、これとの間の取引が主なんですね。だからまた、
輸出契約だといっても、ほんとうの
輸出じゃない。本店と支店との間のいわば商品の
国際的な移動も起こらない。これから先移動いたしましょうという、そういう契約があったということを前提として、どんどん金を送らせている。その在外支店も、これも
輸出代金の回収じゃない。そうではなくして、現地の外銀や、その他から借り入れて
ドルを送っている。これはもう本質的に投機的な
要因が内蔵しているものです。ですから、ああいうふうに為替不安が非常に大きいときに、円が切り上がるだろうというようなときには、一ぺんにこれは純粋な投機的な
要因に転化する、そういうものですよ。ですからこれは、ただ単に場合場合に応じて規制するというような措置では、私はだめだと思うのです。これは標準決済方式の重要なものとして許可されているわけだけれ
ども、これはやはりこういう危険なものは、これは標準決済方式ではなくして、例外的なものとして
処置すべきじゃないか。そうでないと、十分な規制はできないというふうに思います。その点どう思われるか、これが第一点。
それから第二点ですね。この銀行サイドの為替銀行の外銀からの借り入れですね。いただいた資料を見ますというと、外銀借り入れも相当最近はふえている。同時に外銀からということではないが、主として外銀からでしょうが、預かり金というのが相当ふえていますね。ところがこれは円転換規制の中でそれが行なわれている。どうしてそういうことが行なわれているのかと思って一方を見ますと、
日本銀行の外国為替
資金貸し制度、これがゼロになっているのですね。全然
日本銀行からの円
資金の借り入れというのがない。だから円転換規制の中で外銀から預かり金、預金ですね、これを借り入れ、これをうんとふやしても円転規制に触れないという
状態で、この
外貨の取り入れが進んでいる。こういう
状態では、これは投機のときの規制もできなければ、日常の
外貨の取り入れということの規制も十分できないというふうに思われます。この点の規制をどうお
考えなのか。これを第二点として伺いたい。
それから第三点として、銀行だけではなくして、企業ですね。新聞報道によりますと、西ドイツが三月一日の閣議で、企業の外資導入に対する
準備預金制度ですか、こういう制度の採用に踏み切ったというふうにいわれておりますが、この内容ですね、これを御説明いただきたいのと、こういう制度を
日本でも取り入れることが必要だと思いますが、その点どうお
考えになりますか。合わせて三点伺いたいと思います。