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説明員(
松元威雄君) 仰せのとおり、米に比べまして、
転作した作物は
一般的に申し上げまして、先ほども申し上げましたが、
収益性が
一般的には低い、しかも安定に乏しいというのがございます。もちろん作物によっていろいろ態様は違いますけれども、何と申しましても、長年、日本農業は米中心でまいったわけでございますから、米のほうが経営技術といたしましても、いわば楽でございますし、非常に生産が安定しているということで、従来、長年いわば米に依存をしてまいったわけでございます。これをほかの作物に
転作を進めるということは、おっしゃるとおりそう簡単な問題とはわれわれも思っておりません。思っておりませんが、しかしながら、これもやりようによってはやはり
転作が進んでいくというふうに考えているわけでございます。現に、これはもちろんいろいろな
転作の
奨励金をやったためでもございますけれども、当初四十五年度は
転作率が二二%でございましたが、それに対しまして、四十六年度は当初
計画は三七%に対しまして、
実績は四五%というふうに上がってまいりますし、さらに四十七年度はそれ以上
転作率が高まるということを
計画しているわけでございます。しからば、それをいかにして実現するかということの
手段、
方法でございまして、確かに五年間の間は
転作者に
奨励金も出るわけでございますから、その間にいろいろ自力をつけなければならない。そういたしますと、何と申しましても、いかにして収益率を高めて、しかもそれを安定させるかということが眼目でございます。
転作作物の中でもいろいろ態様がございまして、たとえば
野菜でございますれば、これは
一般的には
収益性が高い、ただし問題は不安定だということで問題が生ずるであろう。それに対しまして、
飼料作物は
一般的に収益率が低い、しかもこれも規模を大きくすれば収益率をカバーするということがございます。それからまた果樹等の永年作物は、これは
一般的に
収益性は高い、しかし
収益性が現実になるのはいわば時間がかかる。それから大豆等につきましては、収益率が一番低い、しかもよほど規模を高めなければならぬというように、作物の態様に応じまして、非常に
収益性の高さなりあるいはその安定性の度合いなり、あるいはまた生産性の度合いなりが、態様が違うわけでございます。したがいまして、それに対しまして、生産対策を講じまして、生産性を高めていくということ。それからまた価格につきましては、特に
野菜等につきまして、一番安定性が要望されておりますから、四十七年度でも
野菜の価格安定のために、従来に比べまして、格段の安定策を講ずることにしておるわけでございます。
そういった価格の対策の問題、それからまたこれらの作物は流通が問題でございまして、
野菜に例をとりましても、四十六年度の
実績をいろいろ振り返ってみますと、既存の産地におきまして、いわば既存の主産地を基盤にしながら広げていく、そういうところは販売網もしっかりしておりますから、かなり成功いたしております。それに比べまして、従来経験の乏しいところでは、たとえば
野菜をやったところでは販路で苦しんでいる、こういう事例がございます。したがいまして、いま申しましたとおり、既成産地を中心として進めていく。そういう販売体制もがっちりしているところはうまくいっているという事例もございますから、そういうかっこうで流通体制のほうも格段の
努力をしなければいかぬということで、各般の施策を講ずることにいたしております。
そのために、第一は、先ほど申し上げました、
転作の
奨励金を
一般の
休耕よりも優遇している、なかんずく集団的なものを優遇しているということが第一点でございまして、同時にその
奨励金に依存するだけではいかぬわけでございますから、
奨励金がある間に自力をつけていく、そのために
転作の推進のために
転作促進対策あるいは
転作関係の条件
整備、あるいは
転作関連の施策ということで、稲作転換特別対策事業をいろいろ仕組んでおりまして、いろいろ合わせまして、前年度は約四百二十二億でございましたが、それに対しまして五百四十八億円
程度の予算をつけるということで、前年度より格段に予算もふやしまして、いまこういった生産、流通、価格等の対策を推進していく、こういうことをいたしておりますわけであります。そういたしまして、五年間の間に自力をつけて
転作が定着するようにさらに一そう
努力を進めていくというふうに考えている次第でございます。
それからまた御指摘の
転作、
休耕につきまして
単価にもう少し差をつけたらどうかということでございますが、確かに
一つの御指摘と存じます。現に四十五年度は
転作と
休耕が一本でございまして、あわせまして十アール
当たり三万五千円というのが四十五年度でございます。四十六年度は
転作を進めるという見地から、
一般の
休耕の場合は、
平均いたしまして十アール
当たり約三万円、それに対しまして
転作の場合は、普通
転作は三万五千円、さらに集団
転作の場合は
平均約四万円というふうに差をつけまして、これがまた四十六年度に
転作が四十五年度よりもかなり進んだ
一つの
理由であろうと考えております。
そういたしますと、さらに差をつけたらどうかというのも
一つの御
提案かと思いますが、ただまあ四十六年度の
実績を振り返ってみますと、いま言った
一般の約三万円、それに対しまして普通
転作が三万五千円、集団が四万円という
単価でああいう結果におさまったということでございますから、そういったことを踏まえまして、まずまずあの
程度の格差でしばらく続けたらいいのじゃないかというふうに考えまして、四十七年度は基本的には同様の
奨励金をやったという次第でございます。