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国務大臣(
田中角榮君) 私は、分離をし、また合併をしたという事実はつまびらかにしなかったわけでございます、私自身は、美唄という
石炭の町というのは八万人が四万人になり、今度
閉山になれば二万人になる、こういう実態でありましたから、これはもうできるだけのことをして、存続ができるようにしなければならないということで、私みずからが命じて
調査団を出したわけであります。
調査団が出て、専門家が
検討した結果、見込みがないということになって
閉山ということになったわけです。
閉山ということになれば、美唄の町そのものが困るし、これだけの人がまた都会にこのまま出てくるということになれば、これはもうあそこに働らいておったときと比べると、社会保障費の面から考えてもたいへんなことになるわけです。ですから、前の
石炭鉱山が
合理化したころは、景気もよかったし、就職もできたと思いますが、今度はそういう事態にない。だから、その
意味では非常に慎重を期さなければいかんということで、私自身がこの問題は指揮をして、いろいろの工作をしてみたのですが、結果としては今日になっているわけであります。
ですから、二つに分けて考えられるわけで、
一つは、いま阿
具根さん述べられたように、大三菱であるのだから、とにかく自分で再就職その他について万全を期してもらいたいということが
一つあります。自分の子
会社にでも何にでも持っていって救済したらいいじゃないかという、それくらいのことはなすべきじゃないか。これは
通産省から三菱にも言える話でありますから、これは、私自身もそういうことを三菱
関係者に要請することは一向さしっかえございませんし、これは事務当局とも力を合わせて、できるだけ現地にとどまることができるように、それは職場を変えなければならぬわけでありますから、そういう
努力はいたしたいと、こう思います。なお、三菱だけではない。
政府自身も、
労働大臣先ほどまでおりましたが、これは万全の再就職、それから、中高年齢層でありますから、この職業訓練も新たな面から考えなければならない。ですから、そういう問題も
労働省とも打ち合わせをしております。とにかく相当の高年齢層の人が出ると、家をあげて出なければいかぬということで、炭住は空き、東京に来れば東京では住宅
不足に拍車をかけるということになるので、さらにたいへんなことであります。ですから、こういう
会社に対してはできるだけのことをなすように、また、
政府部内がなさなければならぬことに対しては、できるだけの
措置をいたします。
ただ、私は先ほどからちょっと聞いておったのですが、半年前に分離をして、半年後にまた併合してつぶした。こういうものに対して、私もちょっと勉強
不足でございますが、これは分離したときには、徹底的な
合理化を行なうという目的で分離したのだと思います。分離したものがまた合併した。こういうもとに戻したというときに、もう見込みがないということで戻したのか、それから、まあ自分たちのところに戻れば、世帯が大きいから、その中で何とかできると思ったのか。もう
一つは、どうせつぶれるのだが、分離したままではなかなか操作ができないから、合併してしまえば中で幾らかでも残っている部面で再就職等が吸収ができるということを考えたのか、その間の事情はつまびらかではありません。ただ問題は不見識であったという、もちろん出たり入ったりと、こういうことですから、不見識という面は、これは御議論ありますので、これは
状況をよく調べてみたいと思いますが、たでひとつ指摘されることはこういう問題なんです。分離をしてそのうち合併をした。合併をしてからつぶしたことによって、三菱鉱業が不当に
政府の
助成を受けたり何かしておって、金銭的な面とかその他で何か合併のメリットがあったのか。あれば、これは問題です。分離したままならば三菱の収入にならないものが、合併をしてつぶすことによって三菱に何らかの国の恩恵がもたらされるとしたならば、これは合併の不当性ということは言えるわけであります。それがなければ、見識の問題だけである。私はさっきから聞いておりましても、分離してまた入れて、またつぶしたということが半年間に行なわれておることは、
経営者としての見識の問題ということだけじゃないかなあと思っているのです。そこはよくわからない。