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政府委員(莊清君)
臨時石炭鉱害復旧法等の一部を改正する
法律案の提案理由及び要旨につきましては、補足御
説明申し上げます。
本
法律案は、臨時石炭鉱害復旧法の一部改正、石炭鉱害賠償等臨時
措置法の一部改正及び産炭地域振興臨時
措置法の一部改正の三つの部分に分かれております。
その第一は、臨時石炭鉱害復旧法の一部政正でありますが、同法は、石炭及び亜炭の採掘に伴って生、ずる鉱害について、国土の保全及び有効利用並びに民生の安定の立場から
計画的な復旧を行なうことをその目的といたしまして、
昭和二十七年に十年間の臨時法として制定されたものであります。同法はその後
昭和三十六年に十年間の期限延長が行なわれ、本年七月三十一日までに廃止すべきものとされております。
政府は、同法の制定以来鉱害を受けた農地、農業用
施設、家屋、公共
施設等を対象として鋭意鉱害の復旧につとめてまいったわけであります。この結果、今日までに処理をいたしました鉱害は、今後処理をいたすべき残存鉱害を量的に上回るに至っております。
しかしながら、残存鉱害は、
昭和四十四年度末に実施した全国鉱害量調査によれば、復旧費にして千三百八億円余の膨大な量となっており、今後すみやかにその処理につとめなければなりません。このため同法をさらに十年間延長する必要があると
考える次第であります。
また、鉱害を取り巻く情勢は、同法施行以来大きな変化を遂げてきております。
すなわち、
一つには、近年の相次ぐ石炭鉱山の閉山に伴い、取り残された鉱害の大半が終閉山炭鉱の鉱害となっており、この結果、従来にも増して総合的、
計画的な鉱害の処理が可能となると
考えております。
さらに、これと並んで賠償義務者の無資力化が進行しておりますが、これに即して必要な法律上の手当を行なおうとする次第であります。
第二に、鉱害復旧の過半を占める農地復旧の面におきましては、最近における
都市化の進展と地域
開発の動向を踏まえた将来の合理的な土地利用に即して妥当な
方向で対処するよう所要の改善を行なうこととする所存であります。
第二に、石炭鉱害賠償等臨時
措置法の一部改正でありますが、同法は十年間の臨時法として
昭和三十八年に制定されたものでありまして、本年七月三十一日までに廃止すべきものとされております。
同法は、将来の発生鉱害の賠償を担保するため鉱業権者に積み立て金の積み立てを行なわせるほか、鉱害紛争の円滑な解決をはかるための裁定制度の設置、鉱害の
計画的復旧の推進並びに鉱害賠償資金及び防止資金融資の実施機関としての石炭鉱害
事業団の業務等について規定し、臨時石炭鉱害復旧法と相まって鉱害処理の円滑化に資することとしている次第であります。
このため、臨時石炭鉱害復旧法とともに十年間の延長を行なうこととするとともに、臨時石炭鉱害復旧法の改正に合わせ必要な改正等を行なおうとする次第であります。
第三に、産炭地域振興臨時
措置法の一部改正でありますが、本法は、石炭鉱業の不況による炭鉱の閉山が、炭鉱従業員及びその家族にとどまらず、炭鉱を中心とする地域の経済、社会に急激かつ深刻な影響を及ぼすことにかんがみ、炭鉱の閉山により疲弊した産炭地域において、石炭鉱業にかわる鉱工業等の急速かつ
計画的な発展により当該地域を新たなる経済社会活動の場として再生発展させることを目的として、
昭和三十六年に制定されたものであります。
同法は当初、五年間の臨時法として成立し、その後
昭和四十一年に五年間、さらに
昭和四十六年に十年間延長され現在に至っております。
産炭地域につきましては、法の制定以来同法を基礎として、産炭地域振興
計画を策定するとともに、同
計画の実現のため、企業誘致、産業基盤
整備、地方財政援助等各般にわたる施策を鋭意推進しているところであります。
このたびの改正は、産炭地域の振興の上で最も重要な企業誘致をより一そう促進する必要があることにかんがみ、地方公共団体が地方税の減免を行なった場合に普通交付税で補てんする
措置を拡大するものであります。
以下、
法律案の要旨につきまして、補足御
説明申し上げます。
第一条は、臨時石炭鉱害復旧法の一部改正であります。
その内容といたしますところの第一は、同法の延長についてであります同法は、
昭和四十七年七月三十一日までに廃止すべきものとされておりますが、残存しております復旧費にして千三百八億円にのぼる膨大な鉱害をすみやかに処理する必要がありますので、新規発生鉱害の状況等を勘案して、
昭和五十七年七月三十一日まで十年間の延長を行なうことといたしております。
第二は、この法律に基づく復旧の対象としての公共
施設の追加に関してでありますが、今般新たに
工業用水道及び公園を鉱害復旧の対象といたすとともに、その他の公用または公共用
施設につきまして、政令で追加し得ることにいたしております。このことによりまして、公共
施設についてはほとんどすべて復旧の対象になると
考えております。
第三は、鉱害復旧長期
計画に関してであります。すなわち、法の延長期間内における残存鉱害の
計画的かつ効率的な処理をはかるため、新たに
通商産業大臣が
関係方面の意見を聞いて鉱害復旧長期
計画を作成し、公表することとし、今後の鉱害復旧の基本指針といたすこととしております。
第四は、復旧不適農地及び家屋等に対する
措置に関してであります。
まず、農地につきましては、従来の復旧不適農地の要件を緩和いたしまして、復旧することが著しく困難な場合のほか、復旧することが著しく不適当な場合にも石炭鉱害
事業団が金銭補償を行ない得ることとし、さらに、被害者保護の一そうの徹底をはかるために、被害者の申し出に基づいて石炭鉱害
事業団が復旧不適農地を買い取ることができるよう新たに制度を設けることといたしております。
また家屋等につきましては、従来このような制度は
準備されておりませんでしたが、復旧することが著しく困難または不適当な家屋等につきましても、農地の場合と同様金銭補償を実施し得るよう制度を新設いたすことにしております。
さらに、農地及び家屋等のいずれの場合にあっても、賠償義務者が無資力または不存在の場合においては、この金銭補償の費用について国及び都道府県がその全額を補助することといたしております。
以上のほか、鉱害地域における
都市化の進展等に伴う土地の利用形態の推移に即しまして、農地から宅地への転換復旧、すなわちみなし復旧工事を被害者の理解を得て促進するため、従来六五%であった
予算上の補助率を七五%に引き上げるとともに、法律上の補助にいたす等、所要の改善をはかることといたしております。
第二条は、石炭鉱害賠償等臨時
措置法の一部改正であります。
その第一の内容は、同法の延長についてであります。
昭和四十七年七月三十一日までに廃止すべきものとされております本法の期限を、臨時石炭鉱害復旧法と同じく、
昭和五十七年七月三十一日まで十年間延長することといたしております。
第二に、鉱害賠償積み立て金についてであります。いわゆる無資力復旧の取り扱いを受けた鉱業権者の鉱害賠償積み立て金の取り戻しにつきまして、制限を行なうことといたしております。
その他、臨時石炭鉱害復旧法の改正に伴い新たにつけ加えられる石炭鉱害
事業団の業務の追加等を行なうことといたしております。
第三条は、産炭地域振興臨時
措置法の一部改正であります。
その内容は、現在、同法におきましては、産炭地域における
工場立地を促進するため、
関係地方公共団体が地方税のうち不動産取得税、固定資産税の減免を行なった場合の税収減を、普通交付税で補てんする
措置を講じておりますが、このたび、同
措置の対象税目として、新たに
事業税を追加するものであります。
これは、収益力のある中核的企業を誘致する上で、
事業税の減免
措置を講ずることがきわめて効果的でありますが、産炭地域道府県の財政状況にかんがみ、これら道府県が
事業税の減免を行なうことを容易にするため、
事業税の減免に伴う税収減を普通交付税により補てんする
措置を講ずることとした次第であります。
以上、簡単ではありますが、
法律案の提案理由及びその要旨につきまして補足御
説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりたく、お願い申し上げます。