○大矢正君 時間が十分までない。五、六分しかないようですから、集中的に
お尋ねいたしますが、官
房長、私は問題点だけを
指摘をして、私の
考え方が間違っているかどうかということを
お尋ねをしたいと思いますし、それから、
政府の行政のあり方についてそれが
現状で十分なし得る状態にあるかどうかということも含めて、ひとつお答えをいただきたいと思うのです。それは、非常に抽象的な議論をするようでありますけれども、
通産省の行政組織の編成のしかた、あるいはまたその権限、それからその具体的な行政内容、こういうことについて
お尋ねをしたいと思います。
たとえば、ごく最近ですが、UNCTADの会議が行なわれることになって、
通産省からは外山貿振
局長がたしか随行していったと思うのです。皮肉なことを言うわけじゃないのですが、国連の貿易
開発会議に
通産省から貿易振興
局長が出ていって、もちろん、貿易振興局の中には経済協力部という部もあることは私も存じております。存じておりますが、行くのは貿易振興
局長ですよ。彼の会合に出ていって
——個人的な
意味で申し上げるのじゃないんですが、彼が出ていって、かりに外国の人と会った場合に、おまえさん、何という役職かと聞かれたら、私は貿易振興
局長であります、
日本の国の輸出を伸ばすための
局長でございます、その人が国連の貿易
開発会議に出ていってそうあいさつしたら、相手はどういう感じを受けますか。私は
一つの例としてそういうことを申し上げる。なぜ申し上げるかというと、いままで
通産省の組織する
法律に基づいて局あり、部あり、課あり、長い間の伝統があったと思うのであります。もう二千年も前の孔子の時代から、話はさかのぼるわけだけれども、行政というのはなるたけ変化のないほうがいいんだと、これは二千年前の中国の思想です。どうも私に言わせると、二千年前の中国の、そういう行政は変化がないほうがいいんだという思想が、今日の行政組織をあずかる人々の頭の中にあるのではないかという感じがしてならないのですよ。これだけ世の中が急激に変化をし、通商
産業行政をあずかる
通産省自体においても、やはり組織的にも、また組織が行なう機能的な問題にしても、相当変革をしなければならない時期に直面をしているのじゃないかという、私は感じがするんですよ。
たとえば一次エネルギーの問題を
考えてみますと、公益
事業局の中に水力があり、
ガスがある。が、しかし、これは主としてエネルギー政策というよりも、そういう
企業なり、そういう会社なりというものの監督なり、指導なりということに力点がおかれて、国全体のエネルギーという立場からの判断というものにおいては非常に欠けるものがある。一方、一今度は鉱山局には石炭部があり、そして油を担当する参事官がおりということで、私に言わせると、こういう行政組織のあり方というものは統一性を欠くと、それから、効果的な行政をする上においてはどうも支障を来たすんではないかという感じがしてならないわけですね。たとえば、官房の中に総合エネルギー政策課という課があることは私も存じております。これは官
房長の下にあることでありますから、あなたが一番よく存じておる。しかし、エネルギー政策課というものがわが国全体のエネルギーの問題についての政策的な検討なり、あるいは立案なり、まあ
法律上の措置も含めてでありますが、研究をされることは私も存じておりますが、これはあくまでも課でありますし、官房の中の
一つの課。わが国の非常に膨大なエネルギーを扱う行政組織が各部局に分かれていて、それを統一的かつ機能的に行政をしようとしてもできないという事態が、たとえばそういう中にあらわれてくるのじゃないか。だから、どういう結果があらわれるかといえば、私に言わせれば、エネルギー
調査会がかりに
昭和五十年度、あるいは六十年度というような年度の将来を見越しての見通しなり、あるいは
計画なりというものを立ててみても、まあ
現実と全くそぐわないような状態になる。午後かち石炭委員会があるから、その席でも私は話をしようと思っておりましたが、たとえば石炭のこと
一つを
考えてみますると、一次エネルギーの中に占める石炭というのは、私の記憶に間違いなければ、
昭和五十年度で大体一六%程度は維持できるという、そういう
調査会の結論、見通しがあったはずです。ところが、
昭和五十年度が幾らになるかということをいまおたくの石炭部で計算をしていけば、三%しかないんですよ。そういうふうにして、これは見通しだから狂うのはあたりまえじゃないかと言われればそれまでだけれども、そういうような結果が出てくるところにも、私は行政の組織の上における問題点があるんじゃないかという感じがしてならないわけですよ。まだまだ列挙すれば、非常に多くの問題がありますが、三十分で社会党の
質問時間が終わりだという話でございますから、私はこれでやめて、いずれかの
機会にもっと具体的な資料をもって、
一つ一つやりたいと思っております。
とにかく私は、
通産省というものは、
田中通産大臣がよく言われるように、二百億ドル近い外貨がたまるような今日の情勢の中で、行政の組織のあり方なり、それから人の
配置の問題も含めて、個人の能力とか何とかの問題じゃなくて、そういうものについて、慎重に検討しなきゃならない時期に直面しているんじゃないか。悪口を言うわけじゃないが、たとえば、官
房長にしてもそうだし、他の
局長にしてもそうだけれども、大体一年か一年半でかわる。そうすると、長い目で見て通産行政はどうあるべきかとか、それからどうしなければならぬ、どういう組織にすることが、一番効率的な行政ができるかということを
考えているひまや、それは、
考えようとしても着任期間も短いということもあって、いままでのことやら、将来のことなりということをつなぎ合わせて検討するような機能的なものも、もちろんあらわれてこない。
大臣も、これは申しにくいことだけれども、一年か一年半でかわる、事務次官も一年か一年半でかわる、官
房長もかわる。こういうようにして、実際にそういう行政組織の問題について検討しなきゃならない、しようとする立場にあるものは、他の
局長も含めてでありますけれども、せいぜい一年か一年半でかわってしまう。あるいはやめてしまうということになれば、いつまでたったって、行政組織というものは、これは変わらぬということになる。これじゃ効率的な行政というものを行なうことはできない。したがって、結果的には、実際に困った問題だけに対処しようとするような、つけ焼き刃的な
方向しかやっておらない。
公害保安局という局も
一つありますけれども、これだって
公害問題がやかましくなってきましたから、保安局でもひとつくっつけて、局にしておいたら都合よかろうというようなことで、全体的な立場でなされたものでもないように、私は設立の当初から感じているわけです。そういう面で別に悪口を言うわけじゃないし、それから、個人的な問題でどうこうというのじゃなくて、根本的に私は、もっと行政組織のあり方について抜本的に
考え直して、そしてたとえば、これは行政組織を改革するについては
法律を要するし、しかも、内閣委員会に出さなきゃならんから、とてもじゃないが通るか通らぬかわからないからというような、そういう
考え方じゃなしに、それからまた、行政組織をふくらませるという
意味ではなくて、それから人間をふくらませるとか、そういう
意味ではなくて、現在の人員なり、現在の中身でもって、いかに効率的な行政能率なり合理的な行政を行なうかということについて、私は十分検討すべき時期にあると思うので、官
房長並びにできることならば、この際、
大臣から一言私の
考えていること、申し上げたことが必要のないことであるかどうかという点も含めてお答えをいただければ幸いです。