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田中寿美子君 まあ、
法律だけで
婦人の
地位は
向上するわけでもありませんで、これは働く労働
婦人のための
福祉法案ですから、労働
婦人自身の組織力とかあるいは活動力、あるいは交渉力、こういうものが非常に作用するということを私も十分それは認めます。それにその際にこれを
根拠として使うときに労働省がそれを推進させていく、あるいはふだんからその方向に向かっての行政
指導をしていくというふうにしていただく、そういうふうに私はいまのお答えをとっておきたいと思います。
この
法案の背景についてなんですけれ
ども、私自身が
婦人少年局におったのでございますから、立案者の考え方というのは私は信じたいと思っているわけなんです。私が終戦後の
婦人少年局ができた当時、これは戦前に労働省というものは日本にはなかったわけでございますが、戦後のあの敗北のあとでマッカーサー司令部がきて、しかも初期には相当ラジカルな人がやってきて、そうして日本の軍部の解体と財閥の解体をし、民主化を進めていったわけですが、その中で労働者が団結する権利を認めないような国であったことが日本の民主化をおくらしたのだというようなことで、労働組合の運動を奨励もしたし、それから労働者を守る権利を守る役所として労働省は出発したと思います。その中でも
婦人少年局というものをつくったのは、これは、かつて戦前に無産運動をやっていた山川菊栄さんのような人を
婦人少年
局長に持ってきたという非常にドラマチックな変化をさせた。その中で生まれたのが
婦人少年局であって、私もそのもとに入ってきたものの一人であります。ですから、当時まだ
婦人官僚というようなものは育っておりませんでしたので、山川さんのもとにはかつて
婦人解放運動をやった、
婦人問題を研究していたようなものが皆はせ参じてつくり出したのが
婦人少年局でございました。ですから私
どもは
婦人解放運動の継続のようなつもりで
婦人少年局で働いていたと思います。当時働く
婦人は二百五十万ぐらいでございましたか、それから発足して、今日雇用労働
婦人が一千百万、そういうふうに大きく進出してきたんでございますけれ
ども、私は当時の
婦人少年局というのは、憲法からすべての
法律が改正されて男女平等になった、その立場から男女平等を推し進めていこう、こういう熱意に燃えていたと思います。で、特に男女の平等、
婦人の解放運動を進めていくというような気持ちで、気魄でやっていた。私はそういう初心が
婦人少年局の中には流れているはずだというふうに信じたいと思っておりますので、その辺は大臣はどういうふうに見ていられるか。それからその当時から今日まで働く
婦人がふえてきます過程で、一番私
どもはいつもいつも苦しいと思ってきたことは
家庭を持ちながら働く
婦人がだんだんふえてきた、初期には共働きということは非常に困難であった、それが次第次第にふえて、今日ではもう雇用労働
婦人の半数がもう
家庭持ちのあるいは子持ちの母親であるというようになってしまった、平均
年齢も三十歳近くになってしまった。これほど働く
婦人が定着してきた、こういう中で
家庭持ちの働く
婦人の悩みを取り除きたい、どうしたら
家庭を持ちながら男女差別をなくして働き続けることができるか、そういうことを一生懸命に考えてきたはずだと思いますし、これは働く
婦人全部の悩みでございますから、これは労働省であろうと、
婦人少年局に
関係があろうとなかろうと、今日ここにいらっしゃる
婦人議員もほとんどが生涯
仕事を持ってきた人ですから、同じような悩みをみんな経験してきていると思います。そういう中で
婦人少年局というような役所ができて、そして
調査、宣伝、啓蒙、調整というような
役割りを狩ってきた。幾つかの議論を私はほんとうに自分も同感しながら、聞きながら、しかも
婦人少年局というようなところには自分が施行する
法律を持っていないという立場からしますと、そうしろと命令したり罰則をつけたりすることのできない立場にあった、そういう特異のものであるからこそ、あるいは省内野党の立場を持っていることができたんじゃないかというような気がいたしますか、このこと自体は、私は行政の中にいいことであるというふうに思っているんです。これは私がかってに言う
ことばですから、
婦人少年局の人がそういうことを言っていると思いませんけれ
ども、私
どもしばしば省内でもにらまれた存在であった。いま労働の問題は非常に一般的になってきたから、労働者の権利を主張したり、男女の平等を主張したからといって、特別おかしく思うようなことのないような時代になりましたから、違うと思いますけれ
ども、こういう部局があって、そしてほんとうに
家庭を持ちながら
職場でも働き、
社会活動にも参加し、そして人間個人としても
婦人が伸びていこうとする、そういうものを心から助けたいという気持ちであってほしいと思います。それが初心であったと思いますが、そういうふうに信じたいと思いますし、このことに関して立案者であった労働省の中の
婦人少年行政について
労働大臣がどのように認識し、あるいは理解し、協力していらっしゃるのか、ちょっとその辺を、つまり
労働大臣は今回たいへん
婦人問題を勉強なさったと思いますから、ひとつ所信を明らかにしていただきたいと思います。