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国務大臣(
塚原俊郎君) 週休二日制の問題は、最近、非常に論議を呼んでおりまするし、社会問題、むしろ政治問題になっていると私は
考えております。ことに前
労働大臣の原さんも非常に積極的にこれに取り組んでおりましたが、私自身それに劣らない積極さをもってこの問題の解決をしなければならないと、こう思っております。そこで、たとえば、この一月に、各
企業に一番
関係のある金融機関というものがどういうふうに対処してくるであろうか、銀行協会にお願いしたその中間
答申も出ております。これも前向きな
答申が出ておりますし、それから木川田さんのやっておりまする経済
審議会のマンパワー
委員会——人的能力開発
委員会でありますか、それなどからも一月ほど前にやはり
答申が出ております。いずれも前向きなものであります。これを歓迎するような
答申であります。ただ、経済
審議会のほうの
委員会では、いまの
日本の現状から見て、週休二日制にした場合、受け入れ側のレジャー、第三次
産業がそのままの姿でいいかどうかというきわめて前向きな建設的な
意見もあることを私は高く評価しております。今次ゴールデンウィークに対しましての各マスコミの論評を見まするというと、
日本の住宅事情それから受け入れ態勢からも、はたして週休二日制にしてどういう効果があるかというような疑問点も投げかけられておるようでありまするが、いずれにいたしましても、完全な週休二日制、それから二週に一回、それから月に一回というような
措置をとっている
企業がかなり目立っております。四十六年の
調査をいま私は手元に持っておりませんが、ちょうどドルショック以来非常に不況を伝えられたときでも、大
企業においてはかなりの前進を示していることは、私は喜ばしいことであろうと思います。一方において、中小
企業は、これと比べますると、何と申しますか、非常に少ない——いま
数字がまいりましたが、四十六年の秋の
調査でありまするが、
企業数にして、千人以上のところは、
昭和四十五年が二六・一%であったものが、三七・八%にまで上がってきておる。
労働者の数にすれば、千人以上のところは、
昭和四十五年が三四・六%が、四四・六%に上がっている。一方、中小
企業を見まするというと、三十人から九十九人までのところは、
企業数にして二・四%が三・三%にしかなっていない。しかし、これも前進をしております。
労働者の数とすれば、二・四%が四・二%となっております。こういうような
数字が、昨年の秋にちょうど
日本が不況を伝えられてその渦中に飛び込んだときの
数字でありまするが、今日はまだこれよりは前向きの
数字が出ておるというふうに私は信じておりまするが、中小
企業において非常な困難性がある。週休二日制がいろいろ問題になり、私なども雑誌や新聞に
考え方を述べ、テレビ等でも述べますと、必ず反響が入ってくる。中小
企業の方は、月のうち四日日曜日があれば、それを完全に休めるだけの体制というものをわれわれは望みたいのだと。完全に日曜日をとることもできないのがいまの現状であって、中小
企業から見れば週休二日制なんというのは夢物語にすぎないから、
労働大臣はよく
考えてもらいたいというような、話はちょっと横道にそれましたが、そういう要請もある。しかし、それはそれとして、体質の
改善、協業化、共同化をはかって中小
企業そのものの体質を
考えることも必要でありましょうが、大
企業と同じように、週休二日制というものは、先進諸国がやっているからという意味からじゃなくて、今日の
日本の現状から、また
労働者の立場から
考えても、私はこれはすみやかに
実施しなければならぬ、このように
考えております。
そこで、
先ほどお話しになった
労働基準法研究会も、この問題を
お話し合いになっているのを私は聞いておりまするが、この
方々の
お話ですと、大体一九七〇年代一ぱいということですから、あとまあ七、八年はかかる。私は、どうしてもこれは一九七〇年代の半ばには、多少なりとも、完全週休二日制とはいかないまでも、そういったものが実現することを望んでおる一人であります。また、そういう
考えに立って
行政指導もいたしておる一人であります。しかし、
須原委員御
指摘のように、しからばどういうきめ手があるかと。
労働省の立場から、
労働大臣の立場から、これは
法律でもってお前
たちはこうせいと言う筋合いのものではございません。また、それはできません。この前の春闘のときに申し上げましたように、のりを越えるようなことはできないということは御理解いただけると思うのでありますが、そこで、親方日の丸だから官庁が指導しなければいかぬと。金融指導型も一つの方法であろうが、官庁指導型をとれということをずいぶん言われます。もちろん、これは、公務員を持っておるのは、人事局を持っておる総理府、それから自治省、愛媛県庁でテストケースとしてだけじゃなくてこれはいま各方面の評判になっておりまするが、こういうものは自治省、それから人事院と、こういうものとの
関係もありまするから、
労働省が仲立ちとなりましてこの方面との連絡打ち合わせをいたしております。それから私自身が山中長官、渡海自治大臣ともこの問題で話をいたしておりまするが、今日の段階では、官庁指導型ということについては、私の
考えとは違った方向に、やはり今日の現状から週休二日制は官庁指導型ととるべきではないと、こういうのがいまの段階における私の感触であります。しかし、半ドンをつくったのもやはり役所が先に立つたからやれたのであって、週休二日制も
政府がやらなくちゃできないのではないかという強い要請もありますが、今日の段階で官庁指導型がとれるであろうかというと、私はこれは無理であろうと、このように思っております。したがって、金融指導型、まあ金融という特別のものを限りませんけれども、そういう形になれば、労使が話し合ってそしてコンセンサスを現て
実施されていくという、そのための資料の提供、また世論の醸成、
労働省としてのりを越えない範囲においてやり得ることは
行政指導はどんどんやっていくつもりですが、いま直ちに
政府が
法律でこれをつくってしまえば済むじゃないかということは、
須原さん御承知のとおりできませんので、その点は私の苦悩もあり、苦慮しているところもあるのであります。官庁指導型を直ちにとるということは、いまのところ、よい答弁ができないことを私は遺憾に思っております。