○小林国司君 だいぶ時間がおそくなりましてまことに恐縮でございますが、副長官に御要望をかねてちょっとお尋ねしてみたいと思います。
地震の周期が六十年とか七十年とか言われておりますけれども、大正十二年からちょうど計算して
昭和五十年から六十年にかけて大
地震が起こるのじゃないかという予測がなされております。しかし周期にはやはり一〇%前後のズレというものがございますから、そういたしますと、もうその時期に入ってきておるのじゃないか、こう思われます。したがって、先ほど来副長官から御
説明をいただいたのでございますが、なるほど要綱は、文章あるいは構想等においてはまず申し分のないものができ上がっておると思いますが、しかしあすにでも起こるかもしれない
地震に対して、この要綱で、直ちに都民あるいは市民が動揺することなく、整然とした対処ができるかどうかということについてはまことに疑問ではないか、こう思われます。
たとえて申し上げますと、マグニチュード八前後のものが起こってまいりますと、とたんにたいへんな大
被害が起こるわけで、交通はもちろん全面的に途絶する、電気、水道、ガスは何日あったら回復できるのかわからない。それから食糧等についても、現在、米については農林省で
政府米の保管の倉庫が東京都内にも数カ所ございますが、交通が全面的に途絶した中で、順調にそれらの食糧が配給できるかどうかということになりますと、これも起きてみなければわかりませんけれども、まことに疑問じゃないか。米についてだけそうでございますが、その他の野菜、その他の副食物については、とてもいまから
計画を立てて
地震に対処するということはこれは不可能でございますが、せめて主食だけでも、現在、農林省の食糧倉庫から搬出されるもので十分な供給ができるかどうかということは、再検討しておく必要があるのじゃないか。
私はいま
川崎市に住んでおりますが、東京、
川崎、横浜、千葉これは一連の
関係でございますから、東京だけが
地震に対する
対策を立てても、これは完ぺきとは言えないと思います。千葉から
川崎、横浜を通ずる一つの大きな大
都市の構想の中でやはり
地震対策というものが持たれていなければならない。私もいろいろ前から考えておりますが、水道が破壊することはもう目に見えております。そういたしますと、私の生活している近所に
井戸がない。水の配給もおそらく、自衛隊等がやってくれても、何日間たてば水の配給があるのか、これは考えてみただけでもおそろしいことであります。
井戸はない、水道は切れた、電気、ガスはもちろん切れておる、こういう状態の中で、冷静な気持ちで対処しろといっても、おそらく全都民あるいは市民がとても平静な気持ちではおれないと思います。そういうさなかに、先ほど副長官おっしゃいました、各
省関係がそれぞれいろいろなことを分担しておりますが、そういう分担が水も漏らさぬような緊密な状況で、それは交通
運輸の
関係は
運輸省になりましょう、あるいは食糧
関係は農林省、
道路とか
海岸堤防というものについては
建設省、それぞれの
機関が緊密な連絡をとって、中央の指示のもとにうまい
対策がはたして講ぜられるかということも、たいへんこれはめんどうな問題でございますが、まず何はさておきましても、具体的にもう少し問題を詰めておいていただく必要があるのじゃなかろうか。
実は昨年、東京都で避難訓練をやっております。たとえば江東区で、ある区域の住民はこの場所に避難しなさいという場所がきまっておるようでございますが、その避難場所が自分の住んでいるところから四キロも離れておる。しかも東京都は御承知のとおり、ゼロメートル地帯が年々ふえておるような状態です。一朝大
地震が起きますと、堤防の破壊と同時に、いわゆる高潮によって瞬時にして水浸しになって、交通どころの騒ぎじゃない。もうおぼれ死ぬという人が相当出るのじゃないかということが予測されております。そういうさなかで、四キロも離れたところを避難場所に指定されておっても、それが現実に合っているかどうかという点については、まことに疑問だということを、その当時避難訓練を受けた人が言っております。それは副長官も御承知のことと思います。
したがってゼロメートル地帯については、もしも堤防が破壊して高波が押し寄せてきて、瞬時にして二、三メーターの水深になった。もちろん二階、三階の倒れない高層
建築物がありますれば、その二階、三階に上がって水だけは防げるということになりましょうけれども、平屋建てのうちでは、おそらくもうこれはあっという間に溺死するということが——これはもう名古屋で、これは台風でありますが、御承知のとおり数千人の人が一瞬にして水にのまれた、こういうことから考えましても、なるほどこの要綱そのものは、まことにけっこうな案だと思いますけれども、もう少し具体的にいろいろなことをこまかく検討しておいて、あすにでも起こるかもしれない
地震に対して、もう少し各
機関それぞれの部署に従って綿密なと申しましょうか、具体性のあるものをお立てになるということが必要ではないか、こう思いますので、したがいまして、この
委員会の冒頭に
委員長からお話し申し上げました
火災とか、あるいは交通とかという問題については、週間というものを設けて、そうして全国民に意識の高揚をはかると同時に、そういうことの起こらないようないろいろな
対策をやっておりますが、
地震については、いままでそういうことをやったことがございませんが、したがってできるだけ早い機会に、こういう大都会に住んでおる人たちに、こまかく
地震に対する心がまえと申しましょうか、そういうものをPRするという意味と、それから東京都なら東京都という大きなところでなくて、もう少しこまかく言えば、区ごとにあるいは町内会ごとに、もしも
地震が起きたらわれわれはどうするんだということを具体的に、役所だけに問題を投げかけてもこれはむずかしいと思いますが、それぞれ生活しておる町内会でも、それぞれに対する
対策をいろいろ考えさしておくという意味から、
地震週間というものを設けて、そうしてPRをかねて
対策を検討さしておくことが必要ではないかという意味のことを
委員長が冒頭に申されたわけでございます。私も全くその必要があろうかと思いますので、御要望もかねて副長官に、これは質問になったかどうか存じませんが、そういう気がいたしますので、十分な御高配をお願い申し上げたいということでお願い申し上げるわけです。