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増田盛君 根本的な抜本的な
制度に関しまして
検討中、ごもっともであります。そういう機運を、今回の時期を失しられますと、これは森林行政に私はマイナスの面で大きくはね返ってくるだろうと思うのでありますが、ぜひやっていただきたいのであります。
そこで、それに関連してちょっと二、三お聞きしたいのですが、ずっといままで質疑をしてまいりましたけれども、そうして、非常に大事な森林保険
制度に関しまして諸外国ではどうなっておるかというものもざっと調べてみましたけれども、どうもあまり国のほうの財政的な
負担というのは少ないです。日本ほど少ないかということになりますと、日本は全然ないのと同じみたいですから、ことに戦前あったのが戦後打ち切られた。そういう惨たんたる
状況で、
林業危機の現在のような状態に追い込まれたようなかっこうでありますが、それにしても、日本の
林業経営の特徴というのはいろいろありまするけれども、諸外国にない特徴、先進国にはない、文明国にはない特徴というのは、
一つには全般的に非常に零細な経営だということ、先ほどもちょっと触れましたとおり、きわめて零細でありますから、幾ら小さい金でも長期的にその中から出すという、
林業経営自体の中から生み出す力というものがきわめて乏しいわけであります。これが
一つ。それからもう
一つ、われわれの接触する範囲におきましても、なぜ杉を植え松を植えるかということになりますと、備荒貯蓄的な性格が非常に強いわけであります。何かあった場合に、いろいろ物入りがあった場合に、あの山を切って売るのだという、そういう形の、これは備荒貯蓄的な思想が多いわけですから、それ自体としてあるいは古い型の保険かもしれませんなあ。したがって、その上にまた保険かけるというのですから、ぴんとこないのですよ。くるくる回しておる金に保険かけるのじゃなくて、ぴくぴく動いておる
生命に保険かけるようなわけにはいかないので、とにかく裏山をそのうちに切ってというようなかっこうで、これは経営的な感覚ではありません。これは備荒的というか、備荒貯蓄というか、適当なことばがあると思いますが、それが大きな特徴であります。
それからもう
一つ、これはひとつぜひ聞いておきたいと思うのですが、今度のような雪害にあって、一体この前いつあったかということであります。私もそろそろよわい六十年、もう生まれたときから知っておる地帯で、こんな大雪で木がぽきぽき折れたというのは、あまりもの心づいてから知らないのだけれども、前回がいつかということは故老の人に聞いてもわからないのですね。林野庁ではこれは見当つけておられるかもしれませんが、昔は統計がなかったからわからないと思うのですが、ずいぶん古い話だと思うのです。そういう雪害だけちょっと引っぱり出しても保険ベースに乗らないのではないか。八十年に一ぺんか百年に一ぺんかわかりませんから、次に来るのはわからない。もうそのころは木そのものは伐採して何回転かしているのですから、そういうものが保険といえるのかどうか私はよくわからないのでありますが、ただ先ほど言ったように、他のいろいろな
災害を組み合わせて保険事故になっておるわけでありますから、可能だろうと思うのであります。
制度さえよければ可能だと思うのでありますが、いま言ったようないろいろな理由があってたいへんですよ。あなたはさっき、これから金をふやすと、これはおそらく三十数年間同じようなことを言ってこられたと思うのですね。加入者をもっとふやしますと言うけれども、歩いて聞いたところによりますと、これは入りっこないのですね。雪害でやられたから、これにこりて入ろうなんていう意欲は
一つもありませんよ。加入金、掛け金が高いと言いますから、調べてみたら、たいしたことはありません。高く感ずるのです。体感掛け金です。自分のからだでこれはえらく高く感ずるのです。数字は客観的に見るとそうじゃないかもしらぬけれども、払うほうからいったら大金です。そういうことになりますと、抜本的
改正あるいは
制度の
改正、いま
検討中だというものが多いわけでありますが、そういうところを喜んで入れるようにするためには、何か一番大きいところでくふうしなければいかぬ。入れば料率は下がると言いますけれども、国の
負担金は
一つもないわけでありますから、そこをどういうふうにするのか。それから、三十年も三十五年も積み立てるんじゃ——みんな言いますよ、三十年間も三十五年間も保険金積み立てるんじゃ、これは
生命保険というのがありますから類似の例がないわけじゃありませんけれども、木にそんなに長くかけてもごりやくというものはありませんと。非常に長期のものであります。そういたしますと、従来のような国営だからというだけでいいはずはないのでありまして、何かそこで仕組みを
考えなければいかぬ。保険料を零細な森林の所有者、
立木の所有者が三十年とか三十五年とか四十年払う、これは払いきれやしません。したがって、その間に妙なことになっちまう、かけ捨てになる、こういうことになるわけであります。そういうことを踏んまえて
検討するはいいけれども、林野庁としてこういうものをこの際思い切って出して
検討してもらいたい。これは結論じゃありませんから
検討してもらいたい。たとえば、一例として保険料を低くするのが当然でありますけれども、保険料をどっかの
機関で長
期間立てかえ払いをしてくれるとか、あるいはもう
一つ、何年間か無事故でいったならば、無事故の場合においては払ってくれる、元金は返してくれるとか、あるいは満期になれば元金は返してくれるという
制度、いろいろくふうが要るだろうと思うのでありますが、その辺の
考え方に対してすでに御
検討中だと思うのでありますけれども、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。