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1972-02-07 第68回国会 参議院 災害対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年二月七日(月曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————    委員異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      松永 忠二君     杉山善太郎君  二月五日     辞任         補欠選任      園田 清充君     高橋文五郎君      八木 一郎君     増田  盛君      久保田藤麿君     片山 正英君      中村 英男君     戸田 菊雄君      宮崎 正義君     藤原 房雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小柳  勇君     理 事                 小林 国司君                 世耕 政隆君                 松本 英一君     委 員                 伊藤 五郎君                 片山 正英君                 高橋文五郎君                 増田  盛君                 渡辺一太郎君                 鈴木  力君                 戸田 菊雄君                 藤原 房雄君                 高山 恒雄君    政府委員        総理府総務副長        官        栗山 廉平君        農林政務次官   佐藤  隆君        農林省農林経済        局長       小暮 光美君        林野庁長官    松本 守雄君        水産庁次長    藤村 弘毅君        気象庁長官    高橋浩一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     高橋 盛雄君        農林大臣官房参        事官      大河原太一郎君        運輸省港湾局技        術参事官     竹内 良夫君        建設省河川局防        災課長      生瀬 隆夫君        自治大臣官房調        査官       福島 栄造君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和四十七年一月低気圧による災害対策に関  する件)     —————————————
  2. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一月三十一日、松永忠二君が委員辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任されました。  また二月五日、久保田藤麿君、園田清充君、八木一郎君、中村英男君、宮崎正義君が委員辞任され、その補欠として片山正英君、高橋文五郎君、増田盛君、戸田菊雄君、藤原房雄君が選任されました。     —————————————
  3. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 理事補欠互選についておはかりいたします。  委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、その補欠互選を行ないたいと存じますが、互選方法は、投票によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 御異議ないと認め、理事松本英一君を指名いたします。     —————————————
  5. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 災害対策樹立に関する調査を議題とし、昭和四十七年一月、低気圧による災害被害について政府から説明を聴取いたします。栗山総理府総務長官
  6. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 一月中句の低気圧による災害につきまして御報告申し上げます。  一月九日台湾の東方海上に発生した低気圧は、フィリピン東方にあった台風一号くずれの弱い熱帯低気圧の影響を受けまして急速に発達し、十一日早朝九州南部に接近して九百八十八ミリバールとなり、その後さらに発達しながら日本の南海上を東北東に進み、十三日には三陸沖に去りました。  この低気圧は、太平洋沿岸地方にときならぬ強風大雨による被害をもたらしました。特に、岩手宮城両県では、十二日から十四日にかけて、五ないし六メーターの高波が押し寄せ、養殖ノリカキなど水産物に大きな被害をもたらしました。  また、この低気圧とは別に、十五日三時ごろ紀伊半島沖の前線上に発生した低気圧が、八丈島の西方海上で急速に発達し、速い速度で三陸沖を北東に進んだため、東北地方太平洋沿岸では、強風大雨または降雪により、立木の倒伏、折損など林業関係、また、水産関係に大きな被害をもたらしました。  これらの二つの低気圧による一般被害としましては、警察庁調べによると愛媛県下におけるがけくずれによる死者二名のほか、家屋の全半壊八棟、床上浸水百六十棟、床下浸水七百五十三棟、罹災者七百七十四名となっております。  施設関係等被害につきましては、県の報告によりますと、公共土木施設約二十五億円、水産物等約七十四億円、養殖施設約十八億円、立木約八十六億円その他約十二億円となっておりまして、合計約二百十五億円に達するのでございます。  政府といたしましては、これらの災害に対処するために、関係省庁連絡会議を開催しまして、被害状況の取りまとめを行なうとともに、各種対策について検討を行なっているところでありますが、被害の大きかった林業及び水産業関係につきましては、林野庁並び水産庁担当官を現地に派遣し、被害実情調査を行なうとともに、応急対策の指導に当たったところでございます。また、海岸、港湾、漁港、治山施設等については、早急に災害査定を行なうことといたしております。なお、財政金融措置等につきましては、現在、鋭意検討いたしておるところでございますが、できるだけすみやかに各種対策を講じ、被災者災害復興意欲の振作につとめてまいる所存でございます。  以上をもちまして、一般報告を終わります。
  7. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 本件に対し、御質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 鈴木力

    鈴木力君 最初総理府にお伺いいたしますが、いま御報告のありましたように、関係各省連絡をしてそれぞれ調査をしておる、そのことを伺いましたけれども、先ほど岩手県副知事あるいは宮城県の副知事等からの陳情にもありましたように、今度の災害の特徴は個人災害が非常に多いということ、この個人災害については、従来の制度ではどうも個人災害に対する手当てというものが非常に薄くなっておる。そういう点から、ここ数年前から本院のこの災害対策特別委員会個人災害に対する援助の方法について早急に手を打つべきであるという意見が、何べんも出されていたわけであります。したがって、総理府として今度の災害にあたりまして、この点について注目をされ、この点について特に手を打っていることがあったら承りたいと思います。
  9. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいまの先生お話は、従来からよく話題になっております個人共済お話かと存じますが、個人共済の問題につきましては、たいへんいろいろ御心配いただいておるわけでございまして、数年来非常に要求も高まり、また御研究方々でなさっておられるのでございますが、政府におきましても何とか前向きに考えたいということで、とにかく一ぺん案をつくって踏み切っていきたいということで一案をつくりまして、それで各省と——各省非常に多岐にわたるものでございますから折衝いたしたわけでございます。しかしながら、なかなか最後の詰めができませんで、そこで、もう一年調査予算をいただきまして、専門家による詳細な数理計算等も含めます調査をお願いいたしまして、その上で何とか実現の方向に持っていきたいということで、目下そういう方向に前向きに進んでおるつもりでございます。まだ成案を最終案を得るまでに至っておりませんですが、そのような方向努力をいたしております。
  10. 鈴木力

    鈴木力君 もう少し具体的に承りたいのです。前向きにやっていらっしゃるということは、ことばの上ではわかるけれども、かりに各省と折衝して個人共済について努力をしておるということであれば、農林省は何で、水産庁は何で、そういう形での御答弁をいただきたいと思います。
  11. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいまの先生の御発言でございますと、産業関係お話が出たわけでございますが、先生も御承知かと存じますが、従来個人災害共済の問題につきましては、産業関係ではございませんで、災害によりまして死亡したあるいは負傷したというような点につきまして、この救済の道が従来ほとんどございませんので、これを何とかまずいたしたいということから出発した点でございまして、先ほどから私が申し上げておりまする点は、そういう生命の問題あるいは身体の障害の問題という点につきましての個人災害共済問題でございます。
  12. 鈴木力

    鈴木力君 いまの個人災害については、これは当然のことなんです。しかし、われわれがいままで災害対策で議論をしておった中心は、もっともそれは、個人生命、財産というのは何にもかえられないきわめて重要な問題でありますから、それはそれとして当然できるだけ早く取り組んでもらわなくちゃいけない、しかし、もう一面から見ますと、やっぱり産業につながる個人災害、これに対する手当てというものが何ら考えられない。たとえばこれからだんだんに各省に具体的にお伺いをしてまいりますけれども、今度の災害で起こりました北上山系の森林の被害なんかにつきましても、これはまあ国有林なりあるいは公有林なりそういうものはともかくとしても、個人被害で、これを個人ではどうにもならないという状況に追い込まれているケースも出てくるわけです。あるいは先ほど宮城県の副知事さんからも話がありました、岩手県の副知事さんからも話がありましたように、養殖ワカメなんかにつきましても、これは組合をつくれば組合ということにもなりますけれども、しかし、やっぱりこれの被害個人に及んでくる。こういうものに対する手当てがもし総理府でその点についての推進がないとすれば、私はきょうはひとつ要望だけにとどめておきますけれども、いつまでもこういう点を災害対策から除外しているような、そういう考え方についてはどうも納得ができないわけなんです。したがって、これはただ単に各省責任というよりは、各省がそれぞれ取り組んでおることは、ある程度私も知ってはおりますけれども、総合的なこの面に対する対策という新しい一つの課題として研究に取り組んでほしい、こういうことをひとつ御要望申し上げておきたいと思います。  あとでこの問題でまた触れるかと思いますけれども、あまり時間もありませんから、具体的な問題について若干お伺いいたしますが、まず今度の災害では、どちらの地域からも、県からも市町村からも非常に強く要求されておるのは、何といいましても激甚災指定激甚災のあの法の適用をしてほしいという要求が非常に強い。まあ私どもの感ずる限りでは、非常に熾烈な要求だと思うんです。この点については政府検討されたかどうか、そして検討をされたらその結果がどうなっているのか伺いたいと思います。
  13. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいまの先生お話は、激甚災害についてはどうかという点だと存じます。今回の災害におきましては、先生よく御承知のとおり、林業並びに水産業関係被害が非常に大きかったわけでございます。そこで、所管官庁農林省ともよく協議しておるところでございますが、いままでのいろいろの過去においてとられました特例措置災害程度とずっと比較検討いたしておるところでございますが、今回の災害につきましては、従来の例に見まして、激甚災害に該当するという点がなかなかまだ困難のように、いままでの検討のところでは思います。まあ財政金融措置等の強力な措置は十分講じたいというふうに打ち合わせいたしておるところでございますが、激甚災害という点につきましては、まだ困難な点が残っておるというところをはっきり申し上げます。
  14. 鈴木力

    鈴木力君 そういたしますと、いまの御答弁はこう聞いてよろしいですか。政府としてはもしできればやっぱり激甚災を、まあ俗に言う激甚災ですね、激甚災害法指定をしたい、そういう立場検討してみたけれども、まあ基準もありますし、従来の指定をされた例とも比較をしてみると、非常にむずかしい。そのかわり金融面あるいはその他の面でそれに埋め合わせをする。まあ完全に埋め合わせをすることができるかどうかは別としても、そちらの面で相当のカバーをする熱意を持っておる、こういうふうに伺ってよろしいですか。
  15. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 先生おっしゃるとおりでございます。
  16. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、まあ地元としていろいろと対策に苦労されていらっしゃるところを考にますと、これはまあ基準の問題あるいは従来の例ということについても、私はやっぱり再検討すべき面が相当あるような気がいたしますけれども、きょうはどうも時間があまりありそうじゃありませんからそれには触れませんが、それにかわるということになりますと——かわるといいますか、いまやられておることの金融措置、そういう面について少し伺いたいのでありますが、俗にいう天災融資法ですね、この天災融資法はもう適用されることは間違いがないと思いますし、これに基づいてそれぞれ準備が進められていると思いますけれども、この状況はいかがですか。これは農林省ですか……。
  17. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) まず、このたびの一月の災害被害を受けられた方々に心からお見舞いを申し上げておきたいと思います。  いま御質問のありました天災融資法、この適用につきましては、鋭意努力を続けてまいっておりますが、天災融資法発動を今明日中に措置できるようにいま取り進めております。さよう御承知おきいただきたいと思います。
  18. 鈴木力

    鈴木力君 そこで、この天災融資法発動がある、これはいま御確認をいただいたところでありますけれども、この天災融資法発動によって該当する人たちには二つの心配があるわけですね。その一つ金利の問題です、金利の問題と償還期限の問題、まずそれが一つだと思うんです。私も確たる知識はありませんけれども、この金利はそれぞれによりまして、三分あるいは五分五厘、六分ですか、六分五厘ですか、三段階になっておったと思うんです。今回の災害については最低の三分が適用されるかどうかですね。それと返済期限について、まず二つ具体的に伺いたいと思うんです。
  19. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 先ほど天災融資法発動手続中であると、今明日中にと申し上げましたが、いま御質問天災融資法に基づく融資のレートの問題、三分の適用ができるかどうかということでありますが、特別被害県、たとえば岩手宮城、そうした県につきましては、三分資金適用をこれまた早急に措置できるようにいま手続中であります。さよう御承知おきいただきたいと思います。  なお、償還期限の問題ということにお触れになったわけでありますが、これはいろいろ既往貸し付け金の問題とか、そういうことを含めてのことだと思いますが、すでにいままで災害のあるたびに実は措置しておるような形で、十分実情に合った条件緩和措置が取り計らうことができるように、関係機関連絡済みであるということを申し添えておきます。
  20. 鈴木力

    鈴木力君 従来とった緩和措置といいますのは、大体、何といいますか、二つのものを一本にしたような積み重ね方式といいますか、そんな方式がよくとられていると思いますけれども、今度もそういう方式ですか。それとも、前の償還期限については、その延期分延期をしておいて、今回のやつはそのあと発動するという、そういう形で、実質的には延期措置をとるという意味ですか。
  21. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 御承知のように天災融資法には、被害が重複いたしました場合の延期の規定もございますけれども、近年措置しておりますやり方は、ただいま先生御指摘のように、当該年度償還期限のきております金額災害を受けました年に既往債償還をしなければならない金額、これを今回お貸しします災害経営資金に上乗せしてこれを貸し出すというやり方でございます。今回もその例にならいたいと存じます。
  22. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 関連で佐藤政務次官にお伺いしますが、いま回答ありました天災融資法、早期に確定したいと、こう言うんだけれども、具体的には閣議決定がいつごろになって、その発動が大体どの程度になるか、その辺の構想がわかっておったらひとつ聞かしていただきたい。  それからいま貸し付け方法等について、たとえば宮城カキというのは今度で三回目、四十年以降やられていますね。ですから、四十五年の天災融資法等に基づいて一定の利子を支払う、またその償還がだいぶ残っておる。それにまた今回こうなっているわけですから、そういうものに対する返済方法というのはやはり期間的に一つ考えていくべきじゃないかというのが一つ。  それからもう一つは、この内容について非常に額が不十分ですね。ですから、金融部面のあるいは別ワクを設けたらどうかという考えを持つのですけれども、その辺の考えはどうですか。
  23. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 天災融資法の点につきましては、明日の閣議に持ち込むべく準備中でございます。それが通れば、もちろん通ることになると思うわけでありますが、十日に発動できるように、これもあわせて準備をいたしております。御了承いただきたいと思います。  なお、いま償還期限延長等の問題につきまして、先ほど経済局長から答えた一わけでありますが、なお、その点については局長から再び答えさせたいと思います。
  24. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 延期のしかたについては先ほど申し上げたわけですが、その趣旨をもう一ぺんちょっと申し上げますと、かりにその災害を再び受けましたために、前の災害経営資金をことし二万円なら二万円返さなければならぬというのがございます。そのほかに新たに三十万円ほど借り入れを起こさなければならぬということになりました場合に、ことしの償還額を合わせて貸すという考え方は、実はことしの償還分をたとえば二年延ばすというようなことよりは、今度新たにたとえば水産の例ですと、六年間借りたことになるわけですから、ことしの返済分は返して、その分は新たに借りて、それがことしから勘定して六年になるという形でございますので、そのほうが被害農林漁業者にとっても便宜であろうということもございます。そこで近年天災融資法累年災の際には、このように上乗せして貸すという形で措置いたしておるわけでございます。  それから貸し出し金額そのものにつきましては、前国会で御審議いただきまして、北海道の大冷害を契機に天災融資法貸し出しワクを直していただきまして、直しました法律のいわば初年度でございます。水産水産動植物養殖の例で見ますと、昨年まで一経営体当たり五十万円でございましたのが、今度の法改正で百万円ということに貸し出しの限度が広がっております。今回の災害の規模から見まして、このワクでおおむね十分対処できるのではないかというように考えております。
  25. 鈴木力

    鈴木力君 どうもよさそうに聞こえながら、この点については私はやはりなるほど申し上げることができないんです。それは上乗せ方式といって今度本年度償還部分までを貸し付ける、それを入れて返還期限を新しいのと加えて六カ年。そうすると、六カ年の返済負担というものは、前の部分まで新しくしょって負担がまた続くわけです。だから、私が要望したいのは、その部分だけは新しい災害償還期限延期しなさい。そうすると、たとえばあと二カ年残っておるなら前の昭和四十五年のやつは三、四年分残っておるでしょう、それを含めて今度は八年分を六年で返済しなければいけないわけです。だから、借りた人のことをもう少し考えてやってみる必要があると思うのです。特に私はここで農林省にちょっと申し上げたいのですが、今度の場合ワカメ養殖業者立場になって、ひとつ農林省考えていただきたい。昭和四十五年の一月の災害のときにこれは私もそういう発言をした。私以外の委員も相当同調しまして養殖ワカメについての共済制度をつくれという発言をほとんど満場一致でやった。ところがそのときに水産庁ですか、農林省答弁災害の経験が少ないからまだ早いというような答弁があった。それで私が多少気にさわるようなことまで言って、災害を受けてみなければ対策を講じないようなそういう政府ではあまり信用できないみたいな悪口まで言って、そのあとに本院が満場一致で決議を上げておるのですね。これはもう読んでみなくても農林省御当局も御存じのはずなんです。これが昭和四十五年の初めのときの処置です。そのときには早急に共済制度を実現するように努力をいたしますと言っておった。その努力はいま私が知っている限りは来年度からは何とかできそうなそういうところまではこぎつけた。もしこれをわれわれのこの本委員会の意思をまともに受けてもう一年早くこれを実施しておったとすれば、今度の養殖ワカメ業者は、この共済制度の恩典にはあずかれておったはずだ。いろいろ準備手続とかと言うだろうけれども、しかし働いている漁民にとっては、準備期間二年間とは常識では考えられないのです。災害対策ということになって、そのことに専門に取り組めば、やろうとすればまだできるはずです。そういうこともあって今度また天災融資法で借金がふえるわけです。そこらあたりは、やはり政府はその分だけは今度見る責任があると思う。だから従来はこうだからということであれば、従来災害対策では相当欠陥があったことをやってきているわけですから、常に何かがあったたびに新しいものを求めていくところに、ほんとうの災害対策があると思う。したがってこのワカメ養殖共済制度のおくれたことを、いまどうこう言ってもしようがないのですけれども、そういう点も考えれば、今度の償還期限ぐらいは当然従来なかった処置でも期間を延長する、そういうようなことがはかられて当然ではないか、こう思うのですがいかがですか。特に政務次官災害の大家であって、いままで主張した本人ですから。
  26. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) たいへんおしかりにも似た御激励を賜わりましてありがたいと思っておりますが、ワカメ共済制度がおくれてきた、そのことにつきましては弁解はいたしません。ただ四十七年度からようやくその運びになってきた、予算案にも計上することができた、それだけは申し上げておきたいと思います。まあそういうこともあるからひとつ償還期限の問題、これはよくよく考えろというおしかりでありますが、法で定めた償還期限を延長するわけにはまいりませんから、既往貸し付け金の分をどう条件緩和措置をとるか、こういうことになるわけであります。ですから、その点につきましては先ほど申し上げるように実情に合った条件緩和措置をやる、たとえば新たな中間据え置きの設定ということも必要でありましょう。まあそうした据え置き期間中の利息の支払いをどうするか、それは最終期限に払うようにする、当面の負担がないようにする、そういういろいろなやり方があろうかと思いますので、実際第一線でそうした点に携わっている各機関に対してきめのこまかい配慮をするようにさらに督励をいたしたいと思います。
  27. 鈴木力

    鈴木力君 被災者立場に立ってきめのこまかい手当てをしようとするその努力は認めるけれども、最初の御答弁国会答弁としてはいただけない。法に定められてある期限を変更することができないからという立法府に対する答弁はどういうことですか。もしわれわれの言うことが正しいなら法律を直ちに改正をして、そちらに改めるのがこの対策委員会の目的なんです。どこかに向かって言うようなことと同じようなことをここで答弁されては迷惑です。いかがですか。
  28. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 決して立法府に対しておおそれたことを言おうと思ったわけではございませんので、ひとつ御了承いただきたいと思います。ただ、いま天災融資法それ自体をここでこういうふうに改正しようとか、ああいうふうに改正しようとかいう、いまのところ考えはありませんので、そう申し上げたわけでありますので、あしからず御了承いただきたいと思います。
  29. 鈴木力

    鈴木力君 もしそういうことであれば、私は、早急にこれらの問題の若干のところを改正すればいいわけですから、研究にとりかかるべきだと思います。と同時に、いまの期限延長ということがわかるとすれば、その法律ワク内でやれるということは先ほど聞いた。それと特例措置というようなことが、あるいは今後の問題として、これは特例措置でなくなると思うんです。繰り返して同じところに同じ災害がきていることは、何べんか経験していることですから、いま初めてびっくりすることじゃないわけです。むしろ私に言わせれば、いままでそこのところを検討しなかった。従来のやってきたところの、何か法律だ、規則だという関連をたてまえにとってのびほう策しかやっていなかったということにもなる。この際、この点についてはほんとうにメスを入れてやるべきであるということを、ひとつ提案申し上げておきたいと思います。  同じように、この水産庁関係の養殖では、ノリの養殖の問題もまだ一つあるような気がするのですが、今回の被害者でも、ノリについては共済制度があります。ありますけれども、今度は適用方法によって、だいぶ被災者にとっては有利な方法と不利な方法とあるようだ。これは私はしろうとですから、あまり詳しいことはわかりませんのですけれども、何か損害保険方式をいままで採用されておる。しかし、これを収穫方式改正をすると、相当実情に合った被災者に対しての有利な方法でこの共済金が交付される、そういうふうに該当君たちには非常に強い要望があるんですけれども、この点についての御検討はされておりますかどうか。
  30. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 養殖につきましては、現在のところは全部損害保険方式をとっておりまして、現在なくなった分だけを保険共済するということになっておりまして、これを収穫保険方式とすることにつきましては、共済全体に与える影響が非常に大きゅうございますので、この数年の養殖業の推移を見まして、さらに検討いたしていきたいと考えております。
  31. 鈴木力

    鈴木力君 従来とも同じようなことの議論を繰り返しておるわけですから、検討いたしたいということはよくわかりますがね。ただ、さっき申し上げた、言いたくないことを言いましたけれども、ワカメ養殖のような、その検討が延びることによって被害を与えることでない検討をしてほしいと思うんです。だから、他の共済に与える影響の大きいということは平時の議論ですよね。いま災害を受けて、その中に入り込んで、もうほんとうに生産意欲さえも失おうというような人たちをどうしてここで立ち上がらせようかという、前向きということばは政府でよく使うことばでありますけれども、そういう立場に立てば、あまりのんびりしたことをやっておる事態じゃないと思うんです。今度の災害に対して適用方式を変えれば相当勇気が与えられるという、そういう希望があるとすれば、これはもう真剣にその面についての検討というものはやってもらいたいし、そしてその結論は早目に出してもらわないと意味がないと思うんです。この点についても、これは御要望申し上げておく程度でありますけれども、申し上げておきたいと思うんです。  で、あと林野庁関係について若干伺いたいのです。やはり農林省ですけれども、今度のこの災害で、先ほども両副知事あるいは宮城県の議長さんからも陳情にありましたように、北上山系の今度のべた雪の災害というのは、全国的にはわかりませんけれども、現地ではおそらく初めての経験といわれている。それだけに非常にいろいろな制度実情との合わない大きな被害があるわけです。これらについての御要望が相当地元からも上がっておるのですが、まずこれは一つ一つ私が伺うよりも、もう林野庁にも各該当県からもそれぞれの御要望なり御要求なりがあったと思いますから、それに対して、林野庁としてあるいは農林省としてすでにやっておることは何々、こういう御要求に対してはこういうことはやった、あるいはこういうことはやる方針だというふうに一括して、ひとつ御答弁いただきたいと思います。これは時間の節約上、そのようにひとつお願いいたしたいと思います。
  32. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 一括してお答えをさしていただきます。  各県からも要望が出ておりまして、そのうちに、雪起こし、倒木起こしとも言いますが、これについて融資条件を緩和せよということが一項目ございます。これは、普通の農林漁業金融公庫の場合には八年生までが融資条件になっておりますが、今回の災害は、十五年、二十年くらいまで被害を受けておりますので、これに対しまして、その林齢緩和措置というものをいま実施をするようにいたしております。  それから被害木の搬出路、作業路、これを助成をしてもらえないかという点がございますが、これにつきましては、いま一つは、造林、そのあと災害復旧造林というもののために作業路をつけることについて前向きで検討いたしております。  それからまた、被害木の搬出路、これが、価値がだいぶん減少しておりますので、売れるか売れないかわからない、おまけに道路がついておらないとその搬出が不可能の場合がたくさんございますので、その搬出をするための作業路、これにつきましては、いま林野庁の間伐対策事業というのがございます。この間伐対策事業の条件に合う場合には、積極的に、優先的にこれを回していきたい、その作業路に対して、作設のための機械施設、また採伐搬出のための機械施設というものに対して助成をする仕組みでございます。  それから、復旧造林に対しまして優遇措置を講ぜよというのがございます。復旧造林は、通例の場合は、その造林の補助の査定係数と申しておりますが、それが六十点でございますが、今回の場合は、指定災害の要件に合致すると思われるので、これを百点にかさ上げしようということで、いま考えております。  それから団地共同森林施業計画を採択をしてもらいたいというのがございますが、これも今回の災害を見ますと、だいぶんこの条件に合致するようなものが多いように考えられますので、なお実態を十分調査しまして、それについての採択をするかしないかというのを前向きで検討さしていただきたいと思います。前向きの検討ということをたくさん申し上げまして恐縮でございますが、山の中でございまして、調査がまだ十分に行きわたっていないという点もございますので、林野庁としても、県を十分指導しまして、その調査を早くやるようにそのように考えております。
  33. 鈴木力

    鈴木力君 大体わかりました。そういたしますと、特に私のいまお伺いした第一の雪起こしの資材購入費、導入費に対する助成ですね。特にこの場合の林齢を改正をするという話が具体的にどういうところまでやられるのか。
  34. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 具体的に申し上げますと、普通雪起こし、これは物理的に申し上げまして十五年ぐらいまでが普通でございます。それ以上になりますと、なかなかこれは起こし切れないということがございますが、特に必要な場合、その場合には二十年あるいはそれ前後まで引き延ばすという方法でいま検討をしております。また、そういった資材につきまして補助をしてくれという要望もございますが、原則として従来の例でございますと融資でやってまいりましたが、今回の場合はその被害を受けた林業者が小規模林業者が大半でございます。したがって融資を一々するにしてもたいへんでございますので、そういう場合には補助が出せるか出せないかということにつきましても、実態を調査しながら今後検討をしてまいりたい、以上でございます。
  35. 鈴木力

    鈴木力君 いまの発言は二十年まで、あるいはそれ以上も必要な場合には延ばすことがあり得ると、全部そうだというわけにもいかないでしょうけれども、そういう御答弁ですが、今度の災害にはこの二十年あるいはそれ以上ということが適用するという考え方での御答弁と伺ってよろしいですね。
  36. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そのとおりでございます。一応利用伐期齢級までということになりますと、二十年から二十五年ぐらいまでになります。それも特定の場合ということでございまして、成長がおそいとか、そういう場合にはいま綱で引っ張って倒れたものは起こせるという場合に限るということで検討いたしております。
  37. 鈴木力

    鈴木力君 いま一括してお答えいただいたのですけれども、一つ一つ一項目ずつやってもあまり意味がないと思うのですが、大体林野庁のいまの御答弁は、大体現地の御希望に沿ってと言いますか、御要求に沿って、あまり例を見なかった災害であるだけに前向きに検討をする。そしてたとえばいまの林齢なんかについても一つの特例の措置をとってそれを適用したらという、まあそこまで手続き的に完了したかどうかは別としても、そういう方向でいかれるというふうにまあ承わったわけであります。これは私、農林省あるいは林野庁の当局にぜひお願いしておきたいと思うのですが、まあ現地では初めての経験でもありますから、したがって現地からもいまのような一つ一つの数項目のいま御答弁いただいたような御要求が出ており、林野庁もその御要求に対してまあまともに取り組んでそれを満たそうとされておる。この点について私どもはぜひこれは実現をされたいと思うのです。しかしいまの御答弁にもありましたようにまだ調査不十分である、これから調査をしなければならない部分が相当ある、これもまあ私どもは現地の事情を勘案しますと、これもごもっともなことだと思うのです。そう簡単にすらすらとできて調査済みだということについては、私はどうも逆に納得ができないわけですから、そういう意味では全力をあげてでも調査もなさり、そうしてこの対策はいまの方向で最低のいま御答弁をいただいたところよりももう少し前進をするようなことがあれば、さらにそれを取り上げてもらいたいけれども、そういうことで取り組んでいただきたいということを、これはもう強く御要望申し上げておきたい。  と同時に、私はこれはまだ自分としてもこうすべきだということも考えがつかないようないろいろな問題もあります。今後ああいう地域に造林意欲を持たせながらさまざまな手当てをしていく。しかしそういう場合でも、従来の方針でいいのかどうかという検討も、あの地域に対しては必要なような気がいたします。したがって、たとえば低気圧災害というのは海岸ではもう繰り返してやられておりますけれども、山は初めてです。そうすると、二年もするとまた同じことが来るかもしれません。そういうことまで考え一つ対策というものを林野庁でもひとつ相当力を入れて研究をしていただきたいし、それから私は委員長にもこれは御要望申し上げておきたい。従来、災害対策委員会というのは、何かあったときにそれに対して応急処置委員が地元代表みたいにやりとりして、大体そこでとまっておったと思うのです。私は今度のこの災害考えてみるときに、もう一歩この委員会が突っ込んで、そうしてここでこういう問題についてはけりということにしないで、いま林野庁なり政府当局がさらに前向きにこれから検討されて一つの方途を見出そうとしている時期でありますから、委員会もそれに追っかけるというか、一緒に委員会としても一つの課題としてこれは残していただいて、そうして今後の研究に資する、そういうことの運営をひとつ御要望申し上げておきたいと思います。  あと、時間がありませんから若干の問題について具体的なことをちょっとお伺いいたしたいのですが、これは運輸省にまずお伺いいたしますけれども、今度の災害で、たとえば岩手県の釜石港の問題が一つある。この釜石港は毎年低気圧が来れば、あるいは低気圧災害のときばかりでもなしに、波浪があってもあの漁港のところから必ずと言ってもいいくらい市街地に水がずっと増水をするということを繰り返している。こういう点についての手当てというものは一体どういうことになっておるのかお伺いいたしたい。こう思います。
  38. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) おっしゃいますとおりに、今回の波浪の被害といたしましては、港湾の土木災害は比較的少のうございます。全国的に見ましても六億でございました。釜石港につきましてもあまり大きな土木災害はございません。ただ、非常に波が継続的に参りまして、港湾の荷役であるとか、あるいは出漁日数が少なくなったというような意味におきますところの被害が大きかったと聞いております。全般的に申し上げますと、このような問題に対しましては港湾の計画論の問題がございます。そういう点につきましては、漁港——おっしゃるところ漁港区域でございまして、港湾と二重の指定になっておりますので、私どもといたしましては、農林省と一緒になりまして港湾の計画につきましては進めていきたいというように考えております。ただ、あのような地域は非常に水が深うございまして、深いところにどうやって防波堤をつくるかとか、あるいは船をどうやって入れるかというような計画につきましては、十分調査しませんと、従来から問題ございますけれども、非常に深いところでございますので、経済的にもなかなか成り立たないという面がございます。そのためには一方で防波堤だけでなくて、海岸の護岸等をつくっていきたいというように考えておりまして、農林省におきましては本年度からたしか着工する、それから運輸省といたしましては四十七年度から計画を進めていきたいというような段取りになっております。
  39. 鈴木力

    鈴木力君 ここで一つ私ははっきり伺っておきたいのは、いまも農林省と運輸省との二重管理といいますか、二つのあれができておる。これは海岸法という法律があって、それぞれ分担しているということになりますけれども、しかし、釜石の港湾が深いということもいま始まって深くなったことじゃない、前から深い、そうして水が、何かあるたびに市街地に水が上がってくることもいま始まったことじゃない。ただこれが、私はどうもひがみかもしれません、あるいは邪推かもしれませんですが、ただいまはあすこのところは運輸省、水産庁の管轄だ。そうすると、漁港の部分のところからこわれるのは水産庁がやる、港湾部分は運輸省だと、そういう管轄になってくると、その背後の市街地に水が漏ってくるところはだれも見てくれないような、こういういまの行政の欠陥がありはしないかということを私はどうしてもこう感ずるし、これはむしろ総理府に伺ったほうがいいかもしれません。密接な連絡をとっているということは、何べんお伺いしても何べんもお聞きしたことばなんです。ところが実際は、自分の持ち分だけはこわれれば直すけれども、持ち分以外のところに対する被害はだれも心配してくれないというようなことを放置しておくということは、どうもいまの行き方としては困るのですね。  そこで、運輸省にははっきりお伺いしておきたいのは、この釜石港全体のいまのような欠陥を克服しながら復旧をしていく、あるいは改造していく、そういうことは海岸事業五カ年計画というのがあるのですけれども、これは運輸省の五カ年計画の中に釜石が入っておるのかどうか、はっきりお伺いしたいし、どうですか。
  40. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 釜石港を進める、工事を進めていく場合に、海岸の仕事と港湾の仕事と漁港の仕事がございます。で、港湾全体の計画につきましては、運輸省は責任を持ちまして農林省と一緒になりまして、運輸省は責任を持ちまして計画を立て改修の事業を進めていく。海岸の護岸の仕事につきましては、運輸省の区域と漁港の区域ははっきり分かれておりまして、その間は連絡をとりながら進めていくということになって、その間のそごがございません。で、運輸省は四十七年度から三カ年、農林省は今年度からすでに護岸に着工しているというような姿で進めております。
  41. 鈴木力

    鈴木力君 そうしますと、今度の災害のところはどこがやるんですか。要するにまあここに地図がありませんが、釜石湾の海のほうから見れば右のほうは漁港があって、その隣に魚河岸、魚市場等がありますが、それから護岸がある、そこのところからそこがまた今度も破壊しているわけですね。これは水産庁が見るんですか、運輸省が見るんですか。
  42. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) その部分水産庁部分でございます。
  43. 鈴木力

    鈴木力君 私がお伺いしたのは、そういう部分水産庁連絡をとってやると先ほどお伺いをしたから、そうするとその連絡をとられた上で水産庁がやるだろうけれども、最終的な釜石港湾の全体についてだれが責任を持つのかという立場からお伺いしている。
  44. 竹内良夫

    説明員(竹内良夫君) 釜石港の計画につきまして防波堤をどうやるか、あるいはどこのところに護岸というか、岸壁をつくる、あるいはどうやって船を入れるかということにつきましては港湾計画会議というのがございまして、運輸大臣がそれに諮問することになっております。そのような審議を通しながら運輸大臣が港湾計画をきめてまいります。そのときに十分漁港区域につきましては、漁港の計画につきましては当然農林省責任ございますので、一緒になって考えていくという姿勢でやっております。  いまのおっしゃいましたこわれた部分、この部分につきましては、漁港の施設がこわれたと思いますので、それは水産庁のほうで責任を持って復旧するというような形になっております。
  45. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 水産庁の藤村次長から答弁をお願いします。
  46. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ただいまの御指摘の点は、こわれたところではございませんで、本年度実施中のところから出ておりまして、本年度四十六年度に西のほうから始めまして約半分、明年度約半分の護岸をやる予定にしております。なお、その奥のほうが港湾になっておりまして、港湾の海岸保全事業はただいま運輸省のほうからお答えがありましたが、運輸省でやりますが、そのつなぎにつきましても、十分運輸省と連絡をして工事を進めておる次第でございます。
  47. 鈴木力

    鈴木力君 私はいろいろこういうふうに伺っておるのは、どうもあそこに前からの欠陥がありそうだ。要するにこの新旧鉄機橋の内側のほうですよ、水産庁の管轄に入るだろうと思う、魚市場の隣ですから。いままでも工事をしているけれども、しかし工事をしているわりには、あの辺からどうも市街地に水が上がってくる。さらに災害があるたびにそれを繰り返しているのです。そういう点が、どうもいま御答弁をいただいたように、あちらからもこちらからも御答弁をいただかなければいけない、どこかがもう少しそこの調査とかそういう面をやられなければ困るのじゃないか、そういう感じで申し上げるのです。だから水産庁がいま進めておられるとすれば、いま進めておられる工事だけでは、私はいま私が指摘したような点はどうも直るという気がしない。やはりそういう点の調査といいますか、それをもう少しどこがやって、これをどこがやるのだという分担はそれでいいとしても、そういう責任のあるところをつくらないと、どうもこの港湾あるいは海岸というようなものがうまくいかないのじゃないか、そういう感じがするのです。  あまりどうも時間がありませんからこれでやめますけれども、これについては私はさっそく調査をしてもらいたい。そうしてあそこの港湾は、もちろんむずかしい部分もあります。特にいわゆる港湾もあり漁港もある、それから新日鉄の桟橋とかそういう施設もあるし、いろいろ入り組んでもいるのです。それだけに、基本的な調査をして、港湾建設というものをぜひひとつこれはやってもらいたい、こういう御要望を申し上げておきたいと、こう思います。  最後に私は総理府に、これももう御要望だけにしておきたいと思いますけれども、毎回この災害対策委員会がありますと、言いたくないことも・言ったりすることを繰り返しておるわけなんです。やはりこの災害対策については、何歩か先に行ってうしろを見るというような見方から、いままでの災害対策にあるいろいろな規定なり基準なりというものも点検してみる必要があると思うので、そういう立場から今度の災害を見てもらって、いままでの規定がこうだからこれ以上はできませんというような御答弁でなしに、直すべきところは積極的にどんどん直していく、そういう姿勢で今後取り組んでいただくように御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思うのです。
  48. 小柳勇

    委員長小柳勇君) いまの問題、総理府として副長官、いまのこう両方運輸省と水産庁との間に何か欠陥があるのじゃないかという疑問があるから、防災の立場から責任者として副長官から答弁を求めますよ。そのあとあと十分間くらいで退席してもらうとして、戸田君が副長官に対する質問がありますから、それを答弁したあと退席してください。
  49. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいま鈴木先生からのお話でございますが、先生のお心を体しましてわれわれも十分その方向努力をしてまいりたいと思います。  それからまた、省の仕事の分担の関係上、連絡をもっとうまく持っていくようにというただいまのお話でございましたが、委員長からのお話もございました。われわれ防災会議を持っておる関係上、その会議におきまして十分緊密な連絡を今後ともとってまいりたいというふうに考える次第でございます。
  50. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ばく然とした答弁はいいけれども、いまの具体的な問題をひとつ調査をしてもらい、そうしてこの次の委員会報告してもらいましょう。いいですね。
  51. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間があまりありませんから、問答方式でいきますから具体的に回答お願いしたいと思います。  第一点は、総理府のほうから提示をされました被害状況ですね。先ほど総務副長官が読み上げた内容ですが、これは調査が進むに従ってやはり変動があると思いますが、その辺の見解ひとつ。  それからもう一つは、基本的な問題について二点ほど。これは政務次官から天災融資適用、時日的にこの十日に発動すると、こういう準備で進めます、こういう回答がありました。しかしこれはあくまでも融資ですからね、ですから所得の一時補てんはできても、完全にこの再生産維持をできるかどうかということは疑問だろう。だからそういうことになれば、いまの農業ないし漁民関係に対する災害補償というものは主として保険制ですね、これはやはり災害等に対しては皆さんが一応言っているように前向きに検討だと言っているのだから、国でもってそういう補償が完全に再生産維持ができるという、こういう国庫補助的な、そういういわば補償態度に切りかえるべきじゃないかという、こういう考え一つございます。  それからもう一つ災害金融の問題について、利子や期間の問題いろいろ内容はございまするけれども、こういった災害金融について、これは二十八年暫定措置として発効したもんでしょう。そのまま今日まで来ているんですね。もうすでにこの辺に対して抜本的に改善策をとって、いまの状況であれば必ず台風やあるいは豪雪やそういう各般の災害によって発生することは毎年やられているわけですから、抜本的に改善をするそういう時期に来ているんではないか、こういうふうに考えますが、その三点についてひとつ明快な答弁をお願いいたします。それは総務副長官農林省から一括して二人に答弁を願います。
  52. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいま先生の第一点の被害のこの報告につきまして、将来も変わっていくのではないかという御質問だったと存じます。これはもちろん調査の結果の報告に基づいておりまするので、調査が進むに従いまして変わるという点は、十分あるわけでございます。
  53. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 県の被害状況を十分今後掌握するということですね。だから土台は県の報告に基づいて国は措置をする、こういうことになりましょう。
  54. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいまおっしゃいましたように、県の報告が中心でございますが、それと各主管省の査定と申しますか、その二つがからまるわけでございます。
  55. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) いま御質問にありました点につきましては、検討を逐一続けながら、また改正もそのつどやりながらやっているわけでありますが、具体的なことは参事官から答えさせます。
  56. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 概括的に申し上げますと、お話の農林漁業者の経営なり生活の再検討ということは、共済制度と申しますか保険制度の充実、これについてはまあ逐年努力をしているところでございまして、最近におきましても農業災害補償制度の農家単位方式の導入なりあるいは四十八年度から果樹共済のいよいよ本格実施というようなそれぞれその努力を続けてまいっておるところでございます。  また融資制度につきましては、先生二十八年に暫定措置が発足してその後の検討はどうかというお話でございますが、八回にわたりまして天災融資法改正をしております。もちろんできるだけ、先ほど鈴木先生も、先取りして制度改正というようなお話もございましたが、昨年も、先ほど答弁でも申し上げましたとおり、北海道冷害を契機といたしまして融資限度を二倍に引き上げる、あるいはその前の改正においては三分資金——本日も関係県からいろいろ御要望がございます三分資金制度創設というようなことで、それぞれ改正につとめてまいるわけでございますが、なおいろいろ御指摘がございます養殖施設の漁業共済制度の対象に早急に取り上げて実施する。その他の問題についても前向きに検討を続けたいと思う次第でございます。
  57. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 いま答弁があった第二点については、私も了解するのです。各種災害保険等についてはですね、逐一充実の度合いは私も認めます。それは、果樹園の制度を設けた、それからワカメ養殖関係を入れた。今後は地域特産物もやろう、こういうことで逐一充実してきているけれども農業災害補償法の目的にいう、いわば「農業者が不慮の事故に因って受けることのある損失を補填して農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資する」この目的に到達をするということであるならば、私はその前段として基本的に国庫が財政的に負担をする、そういういわば抜本的な改善措置が今日必要ではないか、このことを一つ伺った。この回答がないのですね、それが一つ。もう一つは、この天災融資法災害金融等に対する制度設定は二十八年のままで今日に来ている。そういう意味合いにおいては、この現状に照らし合わせて見て不手ぎわの面が相当あるから、こういう部分融資体制についてもっと抜本的に改善するべきじゃないか。大体いままでの民間等をいろいろ見ますと百十億、ことに政府はいま今日のGNP体制から福祉優先だとこう言っている。それはやはり中心になるのはこういう困ったときにどういった国が救済をするのかということが主点でなければいけないと思うのです。そういう精神からいっても私はいい機会ではないかということを考えまするから、政府関係機関においてはそういう基本的なあり方についてどうすべきか。これをやはり私は抜本的に改正すべきじゃないか、こういうことなんですが、そこをもう少し明らかにしてください、二点について。それから総理府でもその問題についてどう考えていらっしゃるか、基本的な考えでけっこうですから、あとは総務副長官は時間の関係で都合があるそうですからけっこうです。
  58. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) いま御質問がありました二点につきましては、第一点の保険制度、そうしたものについては全部国庫負担でやるべきときではないかというようなこと、さらに第二点は金融措置についてもう少し何かすっきりしたやり方というか、抜本的な改正策はどうなんだろうという御質問でありますが、それぞれこうした災害を機会に新たな角度でやはり検討は必要だろうと思います。そういうことで検討を進めていきたい、かように思っております。
  59. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 産業災害の問題につきましては、公共土木等とちょっと違った面があるかと存じます。そういう点で国庫負担につきましてはいろいろ論のあるところかと存じますが、なおわれわれ各省との緊密な災害対策会議をもっておりますので、その連絡会議で十分ひとつ今後御趣旨に沿いながら研究してまいりたいと存じます。
  60. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 副長官退席の前に私が質問しておきますけれども、一つは四十七年度の災害関係の各省予算を早急にまとめてここに報告してください、説明してください。それによって皆さんの質問もありましょうから、いつごろできますか。
  61. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) ただいま委員長から四十七年度の防災関係の予算説明を早急にすべきではないかという御質問があったわけでございますが、御承知のごとく防災関係の施設は治山治水事業等の国土保全の問題、災害復旧事業等のほか、科学技術の技術上の研究それから災害の予防、応急対策各省庁にわたる非常に広範な施策、これは先生よく御承知のとおりそういうふうな施策を含んでおるわけでございまして、予算につきましては一般会計等の予算案が決定した後におきましても、さらに防災関係予算として取り組むべき予算項目の選択、あるいはその予算額の取りまとめ等について、各省庁との間の調整等に相当の日時を要すること御承知のとおりでございますが、そういう要素もございますけれども極力毎年それを早くいたしまして、御承知のように当委員会には例年大体三月にその資料を取りまとめまして御提出申し上げているような、あるいは御説明申し上げているような次第でございます。ことしも一生懸命その作業を進めているわけでございますが、特にことしはおくれておるというわけではございませんで、なるべく早く出したいという御趣旨に沿いながら、いま目下作業をいたしておる最中でございます。でき上がり次第、御説明申し上げたい、かように存じておる次第でございます。
  62. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 同時に、鈴木君がさっき発言しましたように、ただのんべんだらりと例年のとおりでなくて、新しくこれこれの規定につきましてはこうしたいという前向きの、いままでの質問を含んで、予算とともに前向きの対策になるよう報告してください。お願いをしておきます。
  63. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 御趣旨を体して十分努力をいたしたいと存じます。
  64. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 きょう衆議院の予算委員会へ大臣が出席されませんから、いまの基本的な問題については十分ひとつ関係閣僚に報告をし、理解をしてもらって、善処方を要望しておきます。ことに今回の被害で全国的に百五、六十億程度やられておるわけですが、なかんずくこの宮城岩手というものは農業の単作地帯ですね。大体一戸平均が粗収入年間七十万円ですよ。粗収入ですから、純益は五十万程度ですよ。これで七人家族平均ですね。そういうもののみすぼらしい生活だから、いま御存じのように、農外収入が五五%をこえるという状況でしょう。こういう中で農村はどうして一体家計を立てるか。そういうものにいわばダブルパンチを食っているわけです。四十五年にやられて、またことしもこういう大災害をこうむっている。だから私は災害融資の面についても抜本的に内容を充実の方向というものを検討しなければならない。口ではだめなんです。実行してもらいたい。  そういう意味合いでひとつ具体的な問題についてお伺いをしますが、今回の災害にあたって自作農維持資金ワクを別段取るということはできませんですか。ひとつこの点はどうですか。
  65. 大河原太一郎

    説明員大河原太一郎君) 今回の被害につきましては、ただいままでるるお話が出ておりましたように、林業及び水産業でございます。農業そのものの固有の被害は、まあ農家の方によれば局地的な被害もございますが、全体としてはそう多くないわけでございますが、やはりそれに対して十全な手当てをいたしたいということで、自作農資金ワクについては現地の要求を満度にこたえられるように措置いたしたいというふうに考えております。
  66. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 次に、漁業共済制度の中身についてですけれども、現行のこのノリ養殖の場合、共済、一さく当たり四千円程度ですね。これじゃ、とても漁獲高とそういうものと比較してきわめて微細なんですね。ですから、こういう内容についてひとつこの改善ができないものか。  もう一つは、かえ網を使用した場合、この経費が認められておりません。こういった価格の変動に対する補償、こういうものは何らなされておらないけれども、こういった問題についてはどう考えておるか。その二点についてお伺いしたい。
  67. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在のノリの養殖につきましては、ノリだけ見ますというと、共済は非常に赤字になっておりまして、これを急に引き上げるというのもなかなか困難でございますが、第一点につきまして検討を進めてまいりたいと思っております。  それから第二点の、先ほどにお話がありました、収穫共済にするということでございますが、収穫共済が必ずしも有利になるとは限りませんで、これも掛け金の問題等もございまして、十分検討してまいりたいと存じます。
  68. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 まあきわめて抽象的で、その内容がないのですがね。たとえば農業共済について、昨年の冷害災害等に伴って共済掛け金が非常に不足を来たしておる。一般会計からの予備勘定繰り入れをやったばかりなんですね。だからやろうとすれば政府はできるのですよ。だから漁業共済が赤字だというだけでは私は了解しない。そういうもろもろの手段があるのだから。赤字なら赤字で国の一般会計から繰り入れをして、当面の補てん策とれるはずですから。そういうものの上向き態勢を皆さんが言っておるのだから、なぜ手を打たないか、どうなんですか。
  69. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 漁業共済のほうの一般会計からの繰り入れも四十五年度にいたしておりますが、今後これを継続してやるというわけにまいりませんで、共済でございますので、数年の動向を見ましてこれの掛け金の決定等をしなければなりませんので、数年の動向を見て検討さしていただきたいというふうに考えております。
  70. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 その罰則料金も物価上昇その他によって大幅に引き上げる、こういう状況ですね。だから原価に見合わなくなっている、一さくあたり四千円というのは。そういうものに対して制度上の欠陥は、私はこういう機会だからこそもう一ぺん検討して、やっぱり適切な手を打つべきじゃ、ないかと思うのですね。それがやっぱりやられないで、確かに経常費の場合の共済のあり方については、いまあなたがおっしゃられたようにわかるけれども、もう少しその辺に対する内容充実あってしかるべきじゃないか。これどうですか、政務次官
  71. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 御趣旨を体しまして十分この機会に検討いたしますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  72. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 時間がありませんから先へ進みますけれどもね。えてして政府答弁は、検討して善処するということはやらないことに通じますから、そういうことのないように私は実行してもらいたい、そのことを約束してもらいたい。  それから次に、林野庁のほうに若干お伺いをしますけれども、林業災害に対する天災融資法の特別立木被害について、その貸し付け限度額の引き上げ、償還期限の延長について現実に即した法の改正をされたい、これはどうですか。
  73. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 昨年の改正でまあ十分いけると、このように考えております。
  74. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 林業災害補償法というものの制定は考えておりますか。
  75. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま林業の場合は、国営の森林保険法というのがございます。これにつきましてここ一両年その内容その他、まあ不備の点がございますので、まだ加入が十分でございません。その加入をどうしたら高められるかという点につきましても、目下検討中でございます。
  76. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 この要請に対する希望の方向でいま検討中と理解していいのですか。
  77. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いまありますのが国営の森林保険法でございますが、これはまあ火災を主体にして昭和十二年に発足をいたしました。その後昭和三十六年に気象災を含めて、なおそのほか林業災害には病虫獣害がございまして、そういいったものも含めるかどうかという点、これを共済方式に切りかえるかどうかという点につきましても検討をするつもりでございます。
  78. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 それから現行対象林齢は八年ですね。これを二十年にしてくれという要請があるが、こういう考えがあるか。時間がありませんから一括して、それからもう一つは、復旧造林、さっき鈴木委員からもちょっと質問がありましたけれども、これらの防災上からのいろいろな折損林のいわば除却、こういうものが必要になってくるわけですけれども、これに対してはひとつ高率の助成をしてはどうか、こういうことが一つ。  それからもう一つは、被災林地の復旧造林、いろいろな伐採、搬出、整理などに労力を使ったり、経費を使ったりということになりますが、こういうものに対する補助対象、この事業実費を見ることはできないかどうか、これが一つ。  それからもう一つは、これは自治省がいると思いますけれども、ことにこの宮城岩手等については、大体いまのいわば過疎地帯、こういうところが林業の中心地になっているわけです。ことに宮城県の場合の例で言いますると、津山とか本吉町というのが非常に過疎地帯であり、なおかつ山林山合い部落ですね、非常に山に埋もれた部落であります。唯一の財産なり、生計費はそれに多分にたよっているという状況なんでありますけれども、そういうところに対する今回の災害等に対しては、地方交付税で何らかの特段の配慮が見られないかどうか、こういう問題が一つあるわけです。  それからもう一つ、作業路新設機械、伐採搬出用機具、いわゆるチェーンソーというんですか、そういうものに対する実費負担というものを技術的にできないかどうか、こういう各般の強い現地からの要望があるわけでありまするけれども、そういう諸点についてはどういう見解を持っているか、明確にひとつ具体的に回答してください。
  79. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) まず第一点の、八年を二十年にということでございますが、倒木——倒れた造林木を引き起こす場合の適用年齢の要望でございます。これにつきましては、そのように検討することに考えております。  それから復旧造林でございますが、これにつきましても高率の、優遇されたところの補助制度、これを考えております。  それからまた作業路——被害木の搬出のための作業路あるいは造林——そのあとを造林するための道、これにつきましても助成を考えておりますが、その方法は機械、まあ小型のブルドーザー、そういうものを助成する。それからチェーンソー、これは自動のこでございます。これにつきましても、助成の方向考えております。これは干ばつ事業対策というものの採択条件の中で考えることにいたしております。  それから資材に対して助成をしないかという点でございますが、これにつきましても、いま申し上げた範囲内で考えることにいたしております。以上でございます。
  80. 福島栄造

    説明員(福島栄造君) お答えいたします。  災害によりまして被害を受けました地方団体につきましては、先生御指摘のとおり災害対策に多額の巨費の支出を必要とします。かたがた一方におきまして、地方税等の減収というようなことがございまして、これらの臨時の財政負担に関しましては、従来ともに特別交付税で措置してまいっておったわけでございますが、先生御指摘のように、今回災害を受けました団体は過疎地帯の団体が多いわけでございますので、財政的にも非常に苦しい団体が多いわけでございます。そういうことでございますので、特別交付税の重点的な配分をはかりたいと、かように考えております。なお、緊急に支出を要する経費につきましては、本年度の特別交付税で措置をしてまいりたいということで、現在検討をいたしております。
  81. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 回答でわかりましたけれども、当該県とそれぞれ十分打ち合わせをしていただきまして、それは例として宮城県を言うんでありますが、この山林の被害を受けたところは本吉とか、柳津とか、津山とか、非常にそういう過疎地帯、非常に財政的にも困っている。だから当該県とその点は十分打ち合わせをした上に立って、適切ないまの回答どおりの実行をひとつ要請をいたします。  それからもう一点は、時間ありませんから、あと二点で終わります。融資関係についての金利の問題ですね。これは大蔵大臣もたびたび言っているようですが、公定歩合引き下げその他によって一般の金利体制も引き下げをしたい、ことにわれわれ不都合だと思うのは、預金金利等についても触れておるのですが、しかしことに災害時における融資関係と開発関係ですね。この東北開発なんていうのを長年主張してきましたけれども、まだ実現をしない。大蔵大臣は金利引き下げ検討として善処すると、こう言っているけれども、まだ実行していない。だから現行の七分二厘では財投資金の利子よりも高いのですから、そういうものは早い話、早期に検討すべきだ。  もう一つは、災害関係についても、いま鈴木委員が指摘のとおりなんです。これはもっとやはり私は当面、国家財政からの補助体制がないとすれば、当面、金制でもってそれをカバーする処置をとればどうかということを考えるのですが、これは農林省あたりに積極的に私はやってもらいたいと思うのですが、そういうことで災害関係、その点の問題。  それから最後に気象庁に一つお伺いしますが、どうもいまの気象庁の予報というものは、八卦じゃないけれども、当たるも八卦当たらずも八卦で、当たらないほうが多いですね。これはやはりいろいろな内容があろうと思うのですけれども、結局私は政府責任だろうと思う。過日の観測船の予算を削ったり何かして非常に窮屈な中でやっているわけです。どうして予報が適切にいかないのか、その欠陥は一体どこにあるのか、その点をひとつお聞かせ願いたい。
  82. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) 天気予報につきましては、昔よりはかなりよくなっていると思うのでございますけれども、まだ皆さまの御要望におこたえできるような状態になっておりませんことを、非常に残念に思いますし、また申しわけなく思っております。その原因につきましては幾つかあるかと思います。  一つは、やはり気象現象の複雑さにございまして、スケールの大きい現象と小さい現象とございます。この小さい現象になりますというと、これをつかまえることが非常に困難であるということと、もう一つは、小さい現象は何と申しましょうか、非常に寿命が短いのでございまして、学問的に見ましても、かなり予報がむずかしいのでございます。そういう点が現在でも、ずいぶん予報長くやっておりますけれども、十分皆さまに御満足いけるまでいってないということであろうかと思うわけでございます。  これをよくしていきますためには、一つには、観測の資料を十分集めるということと、もう一つは、集まった材料を何と申しましょうか、十分こまかく解析いたしまして予報を出すという、そういうことであろうかと思うわけでございます。特に御承知のように、日本は海の国でございまして、海洋のデータというものはあまり十分でございません。そういう点ではやはり、たとえばロボットをつくるとか、あるいは気象衛星によって海上の状況を知るとか、そういうような手段をとる必要があるかと考えております。それからもう一つは、そのデータを解析いたしますのには、これは非常に短時間でいろいろな作業をやらなければいけないような関係から、人手ではとてもできませんので、やはり電子計算機を強化する必要があるかと、こう考えているわけでございます。それによりましてこまかい解析をいたしまして、それに基づいて予報をやるというふうなことを考えなければならないと思っているわけでございます。こういうような見地からいたしまして、今年度の予算要求といたしましてもロボットをお願いいたしてございますし、気象衛星、それからさらに計算機の現在ございますものをさらに高性能な計算機にかえる、こういうふうなうな予算を計上しているような状態でございます。
  83. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 金利問題。
  84. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 農林漁業関係の災害融資金利は、総体的に見て全体の金利の中ではわりあい低いほうになっているわけであります。しかし、これでいいのかという議論はまた別でありますし、おっしゃる趣旨を重々体していきたいと思います。しかし、水産業関係等につきましても、中小商工業としてのそういう面での金利、その辺と農林漁業とのバランス、そういう点から見れば、さっき申し上げたようにわりあい低いほうになっている、これは事実だと思います。ただ、おっしゃるように、それでいいのかと言われると、借りる側から見れば、低いにこしたことはないのでありますから、機会をとらえて大蔵当局ともまた話し合ってみたい、こういうふうに考えております。
  85. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 一般金利との比較は私は標準にならないと思うんですね。やはり災害ですから異常事態ですね。そういう事態における金利のあり方というものは、諸外国を見ても、そういうものについては非常に低利でやっていますね。そればかりではなくて、農家経営等については、再生産維持ないしは農家の発展のために非常に長期全く低利で、水産にしてもどこでもやられている。日本の場合は全く高利ですね。これは災害のときは別なんですから、そういう意味で私は金利全般、いまドルショックその他によって、今後の状況を見て検討すると、こう言っています。だから当然、災害等における金利検討があってしかるべきじゃないか、かように考えますので、そういう点をひとつ要望として善処していただきたい。  それから気象庁の欠陥、いろいろわかりますけれども、やはり学者的な専門分野の皆さんが一ぱいおって、なぜあのように狂うのか、私はやっぱり物理的な問題について非常に不足を来たしておるのじゃないか、こういうふうに考えますので、そこはやっぱり政府に対して声を大にして、内容を充実するためにやってもらいたい。長官、そのためにひとつ苦労でしょうけれども、ひとつわれわれも委員会等通じまして十分そういう善処方をとっていくつもりですから、ぜひひとつがんばってください。以上で終わります。
  86. 高橋文五郎

    高橋文五郎君 時間も相当迫っておりますので、ことに増田委員が列車事故で午後にお見えになっていろいろと詳しい御質問もあるだろうと思いますが、若干要点だけを御質問申し上げます。  この一月の各地に対する被害は、非常に広範囲にわたっているわけでございますけれども、岩手宮城、この両県がかなり集中的に被害を受けておりますことは申し上げるまでもございません。ことに四十三年、四十五年、今度四十七年というふうに連続して被害を受けておりますので、私は先ほど御答弁がありましたように、天災融資法適用を早急にやっていただくということを罹災者は非常に喜んで、感謝をいたしておると思いますが、激甚災の援助法を十分にお考え願いたいということでございます。四十五年の宮城災害の場合も激甚災の援助法の適用を受けたわけでございますが、今度はその金額を上回っておる、こういうような状態でございますので、ぜひ激甚災の援助法の適用をお願いいたしたい。よく、何と申しますか、激甚災害指定基準などで全国の農業所得推定額の何%というようなことを言われるようでございますけれども、分母になる農業所得のほうは当初この基準を定められましたころの様相といまの農業の様相が非常に違っておりまして、高所得の者がかなり入ってきておると思います。したがって分母の数が非常に大きくなるので、第一次産品のような被害は至って軽く見られるおそれがある、こういうふうになるんじゃないかと思いますが、とにかく三年間も続いて、三度も続いて被害を受けたということが非常に激甚災害じゃないか、というふうに思われます次第でございます。国民生活優先をうたっております今日、やはりそういう実際こうむっております被災者状況を勘案せられまして、激甚災の援助法をぜひ御適用をちょうだいいたしたい。ことに算定基準にはやはりケース・バイ・ケースということばもありますように、その状況に応じて適用されてしかるべきものと思うわけでございます。どうぞその点を十分に御勘案賜りたいと存じます。  それから林業のことについては、諸先輩からいろいろお話がございましたのですが、やはり私も同様に融資とか、あるいは財政措置を十分に講ぜられたいと思う次第でございます。  次に、県あるいは市町村、地方財政が非常に窮迫しておることは、私申し上げるまでもないことでございますので、そういうさなかに、災害を復旧するための資金がかさんでまいるということでございますから、特別交付金の措置についてこれまた格別の御処置をお願いいたしたい、こう御要望申し上げる次第でございます。  第三点は、まとめて申し上げますから、まとめてお答えを願いたい。農林漁業の災害補償制度を整備促進していただきたい、こういうことも強く要望申し上げますので、相当これは何と申しますか、手おくれと申しても差しつかえないような状況でございますので、十分にお考え願いたい。現にコンブなどはまだその対象になっておらないようでございます。十分に御勘案をちょうだいいたしたい。  それから林業についても、林業災害補償制度、これも確立されておりませんので、今回の状況にかんがみまして、これも早急に立案をしていただきたい、こういうふうに思う次第でございます。  それから気象の問題は、先ほど戸田君からも御要望申し上げたわけでございますが、宮城の場合を見ますと、実際、昭和元年から七月上旬の温度が累年下がっております。昭和元年から十年までが二五・五度のやつが、四十一年から四十六年を見ますと二三・五度といったような調子、これは累年低下いたしております。こういうようなことが長期予報と申しますか、そういうようなことで、あるいは災害程度とか気象の警報とか、そういうようなことで、あらかじめ当業者に警告を与えるというような組織が十分にできておりませんと、いままでは幸いにして農薬の発達であるとか、あるいは技術の進歩であるとかというようなことでカバーしてまいりましたけれども、農薬もいままでのようなものが使えないようなことになってくる、あるいは労力が足りなくなってくるというようなことでいろいろ支障がございますので、気象観測について、これまたいま御答弁もあったようでございますが、十分なひとつ従来の考え方と変わった決意を持ってやっていただきたい、こう思う次第でございます。東北には昨年は冷害型でございますけれども、こういうふうな計数を見ますと、どうも東北にもまたぞろ冷害というものがくるのじゃないかという不安が、私どもしろうとにございますので、そういうものに対して的確な予報がないということは非常に心細い、またこういう災害に対する対策も講じにくい、こういうふうに思われますので、十分にその点を御留意になられまして、適切な処置を講じていただきたい、こう思うわけでございます。  それで、あと終わりに、先ほど鈴木委員からお話がありました農業共済制度であるとか、あるいは林業の補償であるとかというような各種の補償あるいは共済制度について抜本的な計画をこの委員会検討するということは非常に大切なことでもあり、従来の措置せられなかったものに対しての修正というようなことも非常に有効なことであると思いますので、委員長におかれましても、適当な御処置をちょうだいいたしたい、こういうことを私も賛成を申し上げる次第でございます。以上、数点にわたって御要望申し上げます。
  87. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 農林省、自治省、気象庁の順で御答弁を願います。
  88. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 最初の御質問のありました激甚災害法適用の問題でありますが、おそらくおっしゃる意味は、養殖施設災害について憂慮されている、そういう意味での御質問だと思いますが、この点につきましては、特別措置適用災害のつど、実は被害実情に応じて個別に措置をいたしておりますので、このたびの場合もどの程度措置ができるか、いま慎重に検討をしておりますので、若干の時間的な御猶予をいただきたい。まさに前向きで検討いたしておりますので、しばらく時間をかしていただきたい、かように思います。  また、激甚災害法に関連して、これは直接の御質問がありませんでしたが、誤解があるといけませんので、先ほど鈴木委員に申し上げましたように、また戸田委員にも申し上げましたように、天災融資法適用、三分資金の問題——この三分資金の問題は、適用は激甚法の適用が条件とはなっておりませんので、その点はひとつ御心配は要らないかと思います。  それから、農林漁業災害補償制度の整備促進については、御趣旨を体して、まさにこれはそうしたことを考え検討していかなきゃならぬ問題でありますので、重々承知をいたしているつもりであります。  それから漁業共済制度の問題も、あるいはまた林業災害補償法の早期制定という問題も、現行制度の抜本的な改正を積極的に取り進めていくということでいま進めつつあるわけでありますので、御了承いただきたいと思います。  なお、農林漁業災害補償制度の中で、水稲の共済等についても、先般の六十五国会における制度改正によって、農家単位引き受け方式の導入などの改善をはかりましたけれども、先ほど来またこれも話が出ているところでありますが、果樹保険にも今度はまあやりたいとか、できるところからひとつ進めてまいりたい、こういうふうに思っておりますので、御了承いただきたいと思います。
  89. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 林業災害補償法の早期制定。林野庁長官
  90. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま政務次官から御答弁申し上げたとおりでございます。
  91. 福島栄造

    説明員(福島栄造君) 先ほどもお答えいたしましたが、災害によりまして被害を受けました地方団体というのは、災害対策に多額の経費の支出を余儀なくされるわけでございまして、その地方財政に及ぼす影響はきわめて大きいわけでございますので、私どもといたしましては、災害を受けました団体の財政事情を十分勘案いたしまして、特別交付税の重点的な配分をはかってまいりたいと思っております。なお、今回の災害につきまして緊急に支出を要する経費につきましては、本年度中の特別交付税で措置をしたいということで、現在作業を進めているわけでございます。御了承いただきたいと思います。
  92. 高橋浩一郎

    政府委員高橋浩一郎君) ただいま先生がおっしゃいましたような、最近東北地方の、北海道もそうでございますけれども、わりあい零下になりやすい傾向があるのではないかということでございますが、確かにそういう傾向がございます。この現象は世界的な現象でございまして、高緯度のほうがだんだんに温度が下がっている傾向が多分に見られるわけでございます。そういう意味で、今後の東北あるいは北海道あたりの農業につきましては、ある意味では警戒すべき時期に入ってきているのではないかと思うわけでございます。したがって、それに対してのいろいろの対策が私は必要ではないか、こう考えております。特に長期予報が非常に重要ではないかと思うのでございます。ただ、その面は重要でございますけれども、実はこの技術が現在まだ世界的に見まして十分発達しておりませんので、必ずしも自信を持って、たとえば的中率九〇%ということで申し上げられないのは、非常に遺憾でございます。この面につきましては今後一そう研究いたしまして、その精度を上げていきまして、皆さんの御要望に応ずるようなふうにしたいと思っているわけでございます。それにつきましては、実は日本だけじゃなくて世界的に問題になっております。世界気象機関というのがございますが、そこで世界気象監視計画というのもございますし、地球大気開発計画というのがございます。これは世界中の気象を世界的な規模で解析をいたしまして、いろいろな原因を解明していこうというのでございまして、それは長期予報を目的としたものでございます。そういった線で、気象庁もそういった線に沿って今後とも進めていく方針でございます。  次に農業気象観測の点でございますけれども、これにつきましては従来も続けてまいりました。ただ、最近になってまいりますというと、農業気象と一般気象と申しましても、観測すること自体にはあまり変わりがないわけでございます。また、一つは現在の農業気象でございますというと、たとえば篤農家にお願いいたしましてやっているわけでございますが、それよりは普通の気象観測や何かと一緒にいたしまして、機械化をいたしまして、それを集めてやっていったほうがいいのではないか、そういう計画が現在できております。来年度と申しますか、につきましてはその第一歩といたしまして福島県に試験的な観測地点を三カ所設けて、テレメーターと申しましょうか、そういった方法で試験をしてみたい。それをさらに従来から十分でないところに追加していきたい、こういう計画になっているわけでございます。
  93. 小柳勇

    委員長小柳勇君) では、午前中の審査はこの程度にとどめまして、午後十三時二十分まで休憩いたします。    午後零時三十六分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  94. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ただいまから午後の委員会を再開いたします。藤原君。
  95. 藤原房雄

    藤原房雄君 午前中もずいぶんこのたびの低気圧被害につきまして質疑がございましたが、まあ若干ダブる点も出てくるかと思うのでありますが、とにかくこのたびの低気圧被害宮城岩手県を中心にしてでありますけれども、太平洋沿岸の各県につきましては多少なりとも被害を受けております。総体的な金額にいたしますと、これは四十五年のあの台湾坊主から見ますと、農作物に対する被害というのは少ないかもしれませんけれども、集中的に宮城岩手県にあったというこの事実につきましては当局もお認めだろうと思うのであります。午前中の質疑のときもいろいろ地元の声を中心にして質疑がございました。天災融資法につきましては今明日中に閣議決定するという答弁がございましたが、その点については、地元の方々もそれによってまた再生産の意欲に燃えているだろうと思いますが、地元の大きな声としまして、激甚災財政援助法の適用、この声が非常に強いわけであります。これには法律上標準規定というのがありますから、これに該当しなければならないことは当然だろうと思いますけれども、四十五年を上回る多額な集中的な被害、特にこのたびは、いままで考えられない林業、山林の被害というものがあったわけであります。こういう点から考え、さらにまた昨年、今年、日本の国全体、または地方財政の窮迫、こういう不況感の中にありまして、今回のこの災害というものを見ますと、確かに被害を受けた農林漁業者に対する手厚い保護というものも必要だろうと思いますが、さらに加えて地方財政に及ぼす影響というものもこれは非常に大きいものがあろうと思うのであります。自治省からも特別交付金によって措置するというお話ではございましたけれども、やはり財政的な裏づけとして激甚災害指定を受ける、それがまた一つの地方財政の——こういう非常に落ち込んだ地方財政を立て直す上において法律的な一つの裏づけがそこにあるという、こういうことで激甚災指定に対しては地元からも強い要望が出されていると思うのであります。  ここでお伺いしたいことは、激甚災そのものについては法の定めるところによってそれには該当しないといたしましても、局地激甚と、こういう形にして、農林漁業者被害者に対する対策としては、特別被害農林漁業者という、こういう形で手厚く保護していただくとともに、さらにまた、この地方財政に及ぼす影響というものを十分に勘案した上で、こういう点についてもお考えいただきたい。このような地元の要望でないかと私は思うのでありますけれども、この点についてはどうお考えになっていらっしゃるか、その点について政務次官にお聞きしたいと思います。
  96. 高橋盛雄

    説明員高橋盛雄君) 一般的なことをまず総理府から事務的に御説明させていただきます。  ただいま先生が、地方財政の逼迫の関係もあって、この際そういう財政緩和の観点からも激甚災害指定すべきじゃないか、特に局地的激甚についてどう考えるかというような御質問と拝察いたしますけれども、御承知のように、局地激甚につきましては、公共土木施設あるいは農地被害が地方財政との関係であるわけでございますけれども、現在のところ、今回の災害の特徴といたしまして、農林水産被害が非常に多かったわりあいには、公共土木施設につきましては、参考までに申し上げますと、二十四億の被害、農地につきましては一億ちょっとというような被害でございます。局地的激甚についてはもっぱら市町村を対象にまあ考えるわけでございますけれども、このような数字から見ますと、現在のところ局地激甚に該当する市町村があるかどうか、これは非常に疑問でございますが、なおこれは査定額でございます、まあ査定の結果を待ちまして検討してまいりたい、このように考えております。
  97. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 午前中もお答えいたしましたけれども、激甚法そのもの、あるいはいまもお話しありましたように、局地激甚はどうかということで私どもがいま考えておりますのは、養殖施設のこの災害をどういうように手当てをしたらいいか、いままでは被害実情に応じて個々に措置をしてまいっておりますので、このたびの災害の取り扱いについてはもう少しやりようがないかなあということでいま慎重に検討を大蔵当局ともいたしておりますので、若干の時間をおかしいただきたい、こういうわけであります。
  98. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ政務次官の前向きなお話がございました。これは午前中もいろいろな説明もありましたけれども、当初、冒頭に申し上げましたような、こういう社会情勢の中にあることを強く御認識いただいて措置されなければならないと、こう思うわけであります。何といいましても、被害を受けた農林漁業者に対する対策、これは急務であることは当然でありますけれども、こういう非常に不況感の中に現在あることもお考えいただきまして、たとえ激甚災指定がなくとも十分な措置をするという午前中もいろいろお話しございましたけれども、やはり十分な法の裏づけの上に立って措置してあげることが大事だろうと思いますので、ぜひひとつ前向きにこの点については御検討いただきたい。で、天災融資法についてはこれはわかりましたけれども、激甚災については今回はだめだということではなくして、前向きに検討しておるという、こういう午前中からのお話なんでございますが、このように受け取ってよろしゅうございますね。
  99. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 激甚災害法適用はなかなか無理があるんじゃないか、まあこういう感じで申し上げているわけであります。しかし、それにしても、このたびの災害で大きな被害を受けておる養殖施設、これについては従来とも個別に手当てをしてまいりました。このたびの被害実情に即して何かいい手だてはないかということで慎重に検討しておる、大蔵当局とも相談しておる、いまの段階はそういうところでありますので、若干の時間をひとつかしていただきたい、そういうわけであります。
  100. 藤原房雄

    藤原房雄君 要するに被害を受けた方々、また地方財政を担当する方々が十分に復旧のできる体制であればよろしいわけでありますが、そういう災害時における状況を勘案した上で、現在いろいろな立法措置がとられているわけでありますから、やはり法の裏づけの上に立ってきちっとした措置がとられることを地元では望んでおることはこれは当然であると思います。しかし、そこには当然法的な制限もありますので、適用する、適用しない、いろいろあると思いますが、どうか地元の状況というものをよくひとつ御推察の上善処していただきたいと思います。  次は、激甚災指定を受ける、受けないということも大事なことではありますが、それに伴って、やはり局地的ではありますけれども、宮城岩手は集中的な被害をこうむった、四十五年にも被害があった、こういうことがありますので、どうしても低利な、そしてまた長期な融資をお願いしたいというのがこれは漁業者の一致した願いであります。これについては午前中もいろいろお話がございましたが、私はここでひとつ、本日もいろいろ陳情いただきました、また政府当局からも被害額についていろいろ資料をいただきましたけれども、この被害額につきまして、午前中もちょっとどなたかが触れておりましたが、山林についてはまだ十分な調査がなされていないということが言われておりました。さらにまた、現実、被害状況を全部掌握するということはたいへんなことだと思います。十一日から十六日にわたる、一週間にわたるたいへんなしけが、低気圧の影響があったわけでありまして、この被害を掌握するということも地元の人たちにとりましてはたいへんな作業であったわけでありますが、早くその被害状況を掌握するという、こういう気持ちから犠牲者が一人出たということも聞いております。この被害額について、これは今後のいろんな融資を受けるときの一つ基準になりますので、非常にまあ重要なことだろうと思うのでありますが、さらにまた、ノリにおきましては、昨年、本年非常に価格が暴落しておりまして、こういうことで、予想価格等を勘案して被害額というのは想定するのだろうと思いますが、こういう点で非常に地元の現状というものをよく知らないとその被害額が低く見られる、こういうことを非常に心配する向きもあるわけであります。また、先ほど申し上げましたように、予想価格というのは前後三カ年の趨勢を勘案してきめるということになっておりますが、最近は非常にノリの価格が一昨年の半値以下だという、こういう現況からしまして、被害額が低く押えられるのじゃないかという、どうしてもそういうことになるわけであります。こういうことで、そういう状況の中にあることをよくお考えいただきまして、先ほども、午前中ですか、十分に調査をし、被害額についてはわかった時点でそれを当局でも受け入れるということでありましたけれども、その点につきましてはいろいろ問題もあるようなので、被害額というものについても、またその査定についても十分な配慮をいただきたい、このように地元の人たちの声がありましたが、この点についてはいかがお考えですか。
  101. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 災害手当ての場合は、まず第一に被害額を的確に把握する、これはもう当然のことであり、大前提であります。そういうことで、まだこれからも調査を進めまして、いまおっしゃるように、意に沿うような形で調査の結論、被害額の確定、そういうことをいたしたいと思います。
  102. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから共済制度につきましても、いろいろ午前中政府答弁もございましたが、ワカメにつきましては、四十七年度からですか、共済制度が創設される、それに伴う共済制度の内容というものについてもいろいろ問題がありまして、これは一つ一つ申し上げますとたいへんなことになるのでありますが、これは非常に他への影響もありますので、いろいろなことを想定しながら、またいろいろなデータをもとにしてしなければならないことだと思います。特にノリについては、収穫補償方式にしてもらいたい、こういう現地の声もあるわけでありますが、それについては午前中もお話がございました。いずれにいたしましても、最近養殖漁業というものが非常に盛んになっております。農林省としても、この養殖漁業というものには相当力を入れていらっしゃると思うのでありますけれども、この養殖漁業というものに対しての基本的な考え方といいますか、現在までもいろいろやってまいりました、将来に対してもどのようなお考えであるか、この点まず基本的なことをお聞きしたいと思います。
  103. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 養殖業につきましては、最近、とる漁業からつくる漁業へというようなスローガンも掲げまして、養殖、増殖について指導に力を入れておるところでございます。したがいまして、これについての共済につきましても検討中でございまして、四十六年度には新種共済につきまして学識者の研究をお願いしております。四十七年度におきまして新たにホタテ貝につきまして各県に委託しまして、被害率等の具体的な調査を実施いたす予定でございまして、ほかのものにつきましても、コンブあるいはタイ等につきましても、これを拡張していくように検討を進めている次第でございます。
  104. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは時代の趨勢として養殖漁業というものは、つくる漁業といま言われましたけれども、まあ日本は海洋国といわれますけれども、これは今後大いに振興しなければならないことだと思います。それに伴ってこの共済というものも、まあ何度も災害を繰り返してからではなくして、やはりそれに伴って当然考えていかなければならないことだと思いますが、さしあたっては、コンブ等についても当然もう検討しなければならぬと思うのでありますが、こういうことについてこのようにお考えになっていらっしゃるかどうか。
  105. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) コンブにつきまして、ただいま申し上げましたように、本年度の調査の対象にいたしております。養殖コンブにつきまして本年度も調査対象にいたしておる次第でございます。
  106. 藤原房雄

    藤原房雄君 ただいま農林省といたしましても養殖漁業には相当力を入れていくというお話でありました。それに伴って、いままで考えられなかったようないろいろな事故といいますか、災害といいますか、こういうことがどんどん出てきておるわけであります。養殖ノリにいたしましても、ここ四、五年の間に非常に盛んになったということは、以前からいろいろ試験的な経過をたどってなったと思いますが、特に湾内だけではなくて外洋にもこの養殖をすると、こういう時代にだんだんなりつつある、現在そういうように進んでおるわけですね。ですから、四十五年の、これはまあ天災と言えますか、思いがけない災害がやってきたと言えばそれまででありますけれども、ちょうど収穫期にそういう災害がやってくる、そういう悪条件の中でこの養殖が進められる、こういうことを考えますと、だんだん盛んになる一方、それに対する対応策というものもこれは十分考えていかなければならないことだと思います。いろいろ養殖ワカメ養殖ノリにいたしましても地元でも研究して、今回のこの低気圧被害も最小限度に食いとめたというようなこともあるようでありますが、それはいろいろな条件があったろうと思います。こういうことに対する研究というものが十分になされないと、同じような被害を毎年繰り返して、毎年といいますか、一年に一ぺん、二年に一ぺん繰り返さなきゃならないことになるんだろうと思います。この点、水産庁なんかどのようにお考えになって現在進めていらっしゃるのか。これは相当積極的にやらないと、一回こういう低気圧が来ますと何千人という多くの人たち被害をもたらす。これが十分な——相手は自然の力でありますからどうしようもないときもあるかもしれませんけれども、やはりその中で最低限に食いとめていくという努力というものがなければならないと思います。この点につきましてどうお考えになっていらっしゃるか、また本年度の予算等においてそういう点については十分盛られておるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  107. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ノリにつきましては、先生御指摘のように最近数年間非常に技術が進歩いたしまして、湾外におきまして浮き流し方式に始まって、養殖漁場が非常に広く、従来のように浅いところだけではなくて深いところまで拡張されましたんで、養殖が非常に大きくなっておりますし、それから一方、技術的にも冷凍網というような技術が発明されまして、これによりまして非常に漁獲が伸びておりまして、ここ三年間連続して六十億枚をこえるんではないかというふうな予測も立つような次第でございます。一方、それに従いまして共済考えます場合に、共済共済でございまして、漁民同士の共済になりますので、それにつきます養殖技術の安定したものと、それからそれによります被害率というものを何年間か検討いたしませんと保険設計ができませんので、そういう推移を見まして改善の努力をしたいというふうに考えておる次第でございます。
  108. 藤原房雄

    藤原房雄君 あと、今後の予算等について……。
  109. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ワカメにつきまして四十七年度からやりますが、ノリにつきまして、特に共済につきましては予算を増加するということはございませんけれども、研究につきましてはこれを充実さしていくつもりでおります。
  110. 藤原房雄

    藤原房雄君 研究については、これからさせるというんですか。
  111. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ノリばかりではなしに、養殖技術につきましては技術的な研究を充実させてまいりたいと考えております。
  112. 藤原房雄

    藤原房雄君 充実させていきたいというのはこれは当然のことですけれどね、今日まあこういう趨勢の中にあって、具体的にそういうものに対する積極的な態勢というものはまだできてないようですね。
  113. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 増養殖につきましては、先ほども申し上げましたように、とる漁業からつくる漁業へということを検討いたしておりまして、明年度から全国的な栽培漁業の実施——栽培漁業への研究ということを考えておりまして、明年度全国的な調査を始めるつもりでございます。
  114. 藤原房雄

    藤原房雄君 最近非常にこの養殖ノリが盛んになって、まあ生活が安定してきたと、一時そういうふうにいわれたときもありましたし、最近では、先ほど申し上げましたように価格がたいへんに下落したという、また、非常に養殖漁業、養殖ノリをする方々が多くなったということで、生産枚数がたいへんに多く、そういうことから減反ではありませんけどね、減収ということについてもお互いに話し合ってという、こんなことなんかも最近いわれておる。お互いに自主規制ということでやってはどうかという、こんなこともいわれておるわけですね。今回思いがけない災害を受けまして、その災害に対して水産庁農林省が十分な対策なり、また今後の措置というものを考え合わせてそうして対処しなければ、漁民の方々は、せっかくいままでの漁業を大きく方向転換して養殖に活路を見出した、それがまた希望を失ってしまわねばならないという、こういうことになるわけですね。ですから、共済制度のことを先ほどから何べんも言っておりますけれども、共済制度もさることながら、自然に打ち勝つということはこれはたいへんなことだと思いますけれども、やはり技術的にこういう面の開発というものについても積極的な研究がなされねばなりませんし、さらにまた、その研究なされたことに対しての、こういう構造改善といいますか、そういう方式を取り入れていく、そのための対策も講じなければならない。こういうことで、決して、ここ数年よかったから、そしてまた、たいへんにとる漁業からつくる漁業に大きく変わったということで安閑とはしておれない。どんどん時代の推移とともにいままで考えられなかったような問題が出ておると、こういう点についてもう少し現状認識、そして現在起きた災害ということも、これは当然のことでありますけれども、それとともに今後の日本の水産、とる漁業から養殖ということについて積極的な姿勢がなければならないということを私は先ほどから言っておるわけですけれども、こういう問題についてどのようにお考えになっていらっしゃるか、基本的なことでいいですから……。
  115. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 先生御指摘のとおりでございまして、現在たとえばノリ漁業にいたしましても被害の少ない沖合いの浮き流し方式を奨励いたしておりまして、こういうものを、改良普及員等を増員いたしまして、できるだけ被害の少ないものに指導しているのが現状でございます。
  116. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 午前中から解明されてない問題が一つあるのだけれども、ノリの共済が赤字になっておりますと、そこまではわかっているのですが、その赤字になっているが、たとえばノリが今年災害を受けて救済しなければならぬ場合はどうするのですか。その点明らかにしていただきたい。
  117. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) 現在の予算が足りなくなった場合は補てんいたしまして救済いたすように準備いたしております。
  118. 小柳勇

    委員長小柳勇君) では、ノリ共済は現在赤字であるけれども、もし災害が起こった場合は補てんをして救済をいたします、これでいいのですね。
  119. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) そのとおりでございます。
  120. 藤原房雄

    藤原房雄君 ただいまの問題について政務次官どうですか。
  121. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) いま水産庁次長からお答えしましたように、共済の赤字の問題は一般会計から繰り入れて赤字の補てんをする、こういうことになるわけでありますから重ねて申し上げておきます。  さらに、前段お話のありました増養殖事業のこれからの行くえというか、そうした認識を農林省水産庁新たにせいというような意味の御質問であったかと思いますが、まさにそのとおりでありまして、認識を新たにして、とる漁業から、つくる、育てる、そういうことで実はいまやっておるわけであります。特にノリにしろ、あるいはコンブあるいはワカメ、そうしたものにせよ、そうしてまた、そのほかのいそもの、特にエビとか、そういうようなものについても、例が適切かどうかわかりませんが、原子力発電の温排水等による増養殖事業はどんなものだろうかということで科学技術庁でも実は検討しておいてくれております。そういうところとも連絡をとりながら技術的にもどんどんひとつ考え方を改めながらやっていかなければならぬというようなことで、四十七年度予算の編成にも携わったような次第であります。
  122. 小柳勇

    委員長小柳勇君) まとめて質問しますが、ワカメ共済制度は四十七年度から出発いたします。それからコンブは四十七年度調査対象といたしております。これはいま調査対象にしたようだけれども、コンブの共済制度についてはいつから出発を予想されますか。これがまず一つ。そのほかに、ノリ、ワカメ、コンブのほかに、漁業共済制度の充実という課題がありますから、もしほかにあったらここで説明しておいてください。
  123. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ワカメにつきましては、四十七年度から共済加入できるように実施準備中でございます。コンブにつきましては四十六年度から学識経験者に委託いたしまして調査いたしておりまして、四十七年度に県へ委託して被害率等の具体的な調査をいたす予定でおります。それからこれに続きましてホタテ、タイ等につきまして検討中でございます。これはいつから実施できるという見通しは、この研究の結果を待ちまして申し上げられるので、いま四十八年度とか四十九年度とかいうことはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  124. 小柳勇

    委員長小柳勇君) いまホタテ具等とおっしゃいましたけれども、そのほかに何かありますか。
  125. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ホタテとタイの養殖研究しております。
  126. 小柳勇

    委員長小柳勇君) ホタテとタイですね。いまそれだけ具体的に検討している……。
  127. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) はい。
  128. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もありませんので、先ほど申し上げました点につきまして、これから、漁業というものについても大きく最近変わっておるという現状をひとつ認識した上で積極的な施策——沿岸漁業者はどちらかというと現在までは恵まれない立場であったわけであります。ようやくこの養殖ということで、つくる漁業ということで活路を見出しつつあるわけです。こういう状況でありますから、その点はひとつ十分に配慮していただきたい。  それから建設省の方いらっしゃっておりますね。——午前中も鈴木委員からお話しごさいましたけれども、釜石の問題ですね、お聞きになっておりますか……。この太平洋沿岸はチリ津波やまた過去の低気圧による被害というのはしばしば受けているわけです。九州や四国、向こうの南のほうから見ますと、台風常襲地という、そうは見られないかもしれませんけれども、比較的被害の受けやすいところであるということは御存じのとおりだと思います。それだけに、午前中鈴木委員からもいろいろなお話がございましたけれども、同時に、今回のこの低気圧によりましてやはりあちこちに被害を受けております。特に大船渡、高田、こちらのほうで防潮堤か何かが想像を絶するような被害を受けておる。確かに高潮のためということが言えるかもしれませんけれども、これは午前中にも指摘がありましたけれども、どうしてもこういう災害復旧ということで、災害に対する対策として原形復旧、こういうことで何年計画でなされるということに問題があろうかと思うのです。そうでなくて、やはり改良復旧という、これは単年度で、建設省、農林省のなわ張りというか担当分野があるという午前の指摘もございましたけれども、それとあわせて改良復旧という早期に対策を講じていかなければ、どうしてもああいう問題が起きるのではないかと思います。特に、私だけではない、いろいろな方々が、地元の方々が言っておりますことは、どうもいろいろな工事、これは建設省の直轄ではないかもしれませんけれども、北のほうの高潮の防潮堤や防波堤それから漁港、こういうものの建設につきましては、台風常襲地に比べますと弱いのではないかという、こういう見方をする人もあるわけです。これは技術的な問題として、私どもはわかりませんけれども、午前中ちょっと建設省の局長さんですかお話ししておりましたけれども、経済的な面で云々というようなお話がございました。統計的に見まして、決して岩手県、宮城県の太平洋沿岸被害の少ないところではないはずです。寒冷地という条件はあるかもしれませんけれども、毎年毎年台風があるたびに大きな被害を出す。こういうことで、こういう問題について十分な対策、そしてまた冒頭に申し上げましたように、原形復旧ということではなくて、やはりつくったらその地域住民の方々が安心してもらえるようなしっかりしたものをつくってもらいたい。こういうふうに思うのですけれども、この点については建設省、南の台風常襲地といわれるところに対する工事のあり方に対して、北のほうの太平洋沿岸のこのたびの被害のあったところは、工事の上においてある程度力が抜かれているというか、技術的にいろいろなことがあると思いますが、この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。また、今後この沿岸に同じような災害のないように十分な対策を講ずる、積極的なそういう姿勢があるかどうか、この点お伺いしたいと思うのですが。
  129. 生瀬隆夫

    説明員(生瀬隆夫君) お答えいたします。  最初の、原形復旧の問題でございますが、これは先生御案内のように、一応現在行なっております災害復旧というのは原形復旧が原則でございますが、原形復旧が不適当な場合には、法律上でもやはり改良復旧的な要素で改良することができるわけです。なお、災害復旧だけではなくて、それ以外に一応別途の改良費を加えまして、たとえば災害関連事業とか災害復旧補正事業、こういう費用を入れまして改良復旧を現在もやっているわけであります。  そのほか、先生御案内のとおり、災害事業に対しましては、海岸事業五カ年計画の策定、これは建設省だけではありませんで、農林省、運輸省の三省にまたがるものでございまして、そういう五カ年事業の計画の策定、あるいは現在第三次治水事業五カ年計画も四十七年度は五年目に当たりますが、これにつきましては、第四次治水事業五カ年計画の策定も行ないまして、こういう事業に対処してまいりたい、このように考えているのでございます。  なお、南と北部の地域の技術的な判断の問題でございますが、災害復旧にしろあるいはいろいろな計画をつくるにいたしましても、そういういわゆる外力と申しますか、波浪あるいは高潮、そういういろいろな気象条件を勘案の上いろいろな設計をやるわけでありまして、特に北のほうがどうのこうのということは私はないと思っておりますが、なおその点詳細に調査したい、このように考えております。
  130. 藤原房雄

    藤原房雄君 技術的なことについては私どもよくわかりませんけれども、要するに、そういう災害のたびに決壊個所があったり、大きな事故が起きたということであれば、やはり工事そのものについて、設計の段階における、台風の常襲地のようにがっちり金をかけてしっかりしたものをつくっていくというところに違いが、計数の上でやはりある程度甘く見ているといいますか、計数の上では差異があるのではないか。ずっと統計を見ていただければおわかりのように、決して災害の少ないところではありませんし、地域住民に与える心理的な不安というものも、また心理だけではなくて、現実にいろいろな問題が起きているわけでありまして、その点については十分ひとつ検討していただきたい、こう思うのであります。建設省については以上でございますが、その点ひとつよろしくお願いいたします。  次は、このたびの災害一つの特徴として、午前中も地元の方々の要望がございましたが、山林の被害というのはもう想像を絶する現状であるということ、これは現地へ行かれた方ならば、ほんとうにもうびっくりするような状況であります。この山林の被害につきましては、林業被害につきましては、いろいろな対策を講ずる——一つ一つについては、長官から午前中お話がございましたのでお聞きいたしませんけれども、午前中、やるということがはっきりきまったことと、検討中ということと、一つ一つは申し上げませんが、ございますけれども、私は、やはり自然保護ということが叫ばれております昨今でありますし、また、治山治水という上からも非常に大事なことでもございますので、さらにそういう観点からも再造林というのがぜひ必要だろうと思います。しかし、被害地を取り巻く社会情勢というのは、決して私どもの考えるような、すぐ造林するというような態勢ではない。過疎地であり、人口がどんどん減っていく。また労働力はない。また市町村の財政的にも、まあ思いはあっても十分な措置ができないという、こういう悪条件の中にあることをよくお考えいただきまして、午前中検討するという幾つかございましたけれども、それらについては十分なひとつ御配慮をいただきたい、このように思うわけであります。  特に、このたびの山林の被害につきまして、杉がおもにやられたというが、この材質、植林した木の種類によってもずいぶん被害の度合いが違うように思います。また、いろいろお聞きしますところによりますと、植林に際しましての苗木の育成ということにも問題があるようであります。やはり、このたびの被害はこれは何十年来考えられないような被害だという、そういう気象条件といいますか、そういう条件の中であのような大きな被害があったと思うのであります。いつもいつもあるわけでは決してございませんけれども、やはりそういう被害を受けやすい地域であることには間違いないわけであります。それだけに、今後のこの地方に対しての植林に対しても、十分の、こういう被害が二度と起きないように、今回のことを踏まえて方針といいますか、対策といいますか、基礎的な問題、基本的なことをよく考えあわせてやらなければ、同じような轍を踏むことになるのじゃないか、このように思うわけですけれども、その辺について長官、どのようにお考えになって対処しようとしていらっしゃるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  131. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) お答えいたします。  午前中、先生もお聞きのように、幾つか、具体的にやりたいということと、前向きといいますか、そういった方向検討中ということがございます。  それを一々申し上げると時間がかかりますので省略させていただきますが、そのほかにやらなければいけないこと、基本的な事項という問題でございますが、この雪の害にもいろいろございます。しめった重い雪が木の枝に積もって、折れたり倒れたりするという害と、それから常襲といいますか、毎年毎年雪が降る、秋田とか新潟とか富山とか裏日本地帯でございますが、そういうところにおいては、いま申し上げた倒れるとか裂けるとか折れるとかという害はほとんどないわけで、表日本地帯でときどきそういう、今回のような被害が起こるということでありますので、そういった地帯にふさわしい適した品種、その種の産地というものにつきまして、一昨年の林業種苗法の改正をいたしまして、そういうところで植えられる苗木として適当なものの種の管理をするということでいま進めております。  それからもう一つは、そういった害を起こさないように、植えてからあとの下刈りとか、除伐とか、間伐とか、それと枝打ちとか、そういった技術的な本数管理といいますか、間伐対策といいますか、そういった場合にも、抵抗性の強い一本一本に仕立てるという間伐技術対策といいますか、そういうものにつきまして、いま県を通じ、あるいは林業試験場その他、技術的に解明をしておるところもありますので、県の普及組織を通じてそういうものの徹底をしていきたい、このように考えます。  それからもう一つは、保険制度でございます。共済制度ですが、いま国営保険というのでやっておりますが、これにつきまして、まだ十分でないという点もございます。そこで、その内容につきまして、共済制度として近代的な整備をしていくという方向でいま検討中でございますが、もう一つは、それに関連をいたしまして、現在保険制度がございますので、そういった制度にまず加入していただく、加入の促進というものも今後つとめてまいるようにするつもりでございます。
  132. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もありませんのであれですが、こまかいことを言うといろいろ問題があるようで、保険制度に加入をするように促進するということでありますが、やはり実際、保険に入っている人が少ないということには、現在の制度に問題があるわけですね。そういう点は十分お考えになっての上の御発言だと思いますけれども、現実そういう制度があっても、それがいざというときに役立たなければ何にもなりませんので、いろいろな条件もあるだろうと思いますけれども、いま長官、保険制度に対する積極的なお話がございましたが、その点ひとつ十分に御考慮をいただきまして、こういうときにほんとうに役立つといいますか、大きな力になっていけるようにひとつ御配慮いただきたいと思います。  最後になりますが、こういう災害がありますと、特に農産物に対する被害、また施設に対する被害、こういう問題についてはいろいろ国の配慮もいただき、積極的な対策がいろいろ議論されるわけでありますが、それとともに、今回は人身事故がなかったわけでありますけれども、人命については現在はこういう災害のときには何らの補償もないという、こういうことで、わが党では早くから個人災害共済制度のことについては提唱しておりますけれども、これも過去の委員会におきましても何度か議題になって、いろいろ積極的な姿勢というものが言われておったわけでありますので、この見通し、現在それが実施されていなかったのには何か問題があったろうと思うのですけれども、その問題点、それと今後の見通し等につきまして、個人災害のことについてお聞きしたいと思うのであります。
  133. 栗山廉平

    政府委員栗山廉平君) 個人災害共済制度の点につきまして御質問でございますが、これは、いま先生からお話がございましたように、数年来その要望が非常に強くあったわけでございます。総理府におきまして、昭和四十五年度以来調査を行なってきましたわけでございますが、昭和四十六年度に、総理府としての制度の要綱を一応つくってみたわけでございます。そうして、これは非常に関係する省庁が多いものでございますから、各省庁と、その要綱案に基づきまして折衝をいろいろ重ねてきたわけでございますけれども、たとえば、加入の方式をどうするか、任意加入にするか、あるいは強制的な面も加えていくか、あるいは折衷にするかといったような、いろいろそういう面もございますし、また、掛け金の徴収等につきましても非常にいろいろ問題があるわけでございまして、そういういろいろの問題点が浮かび上がってまいりまして、実は詰めにつきましていろいろまだ困難が生じておるような次第でございます。  そこで、この制度につきまして、専門家に委嘱をしまして、徹底的にひとつ調査検討をお願いしようということで、四十七年度の予算におきましては、そのための調査をお願いする費用三百万円ほどを計上いたしておりまして、その結果をまず見ました上でもう一ぺん検討を進めてまいりたい、かようなふうにいま考えておる次第でございます。
  134. 増田盛

    増田盛君 きょうは途中で事故にあいまして、たいへん時間がおくれまして残念でございますが、質問事項を要約いたしますので、大体結論だけ答弁していただきたい。他の委員からすでに質問がありまして答弁済みのものもあるだろうと思いますので、結論だけおっしゃっていただけばわかることがあろうと思います。最後に森林保険の問題でお聞きしますので、これは少し時間をかけて御答弁願いたい、かように思うのであります。  まず水産関係でありますが、最初に、すでにもうはっきりしておるだろうと思うのでありますが、今回の災害に対しまして天災融資法適用、これは当局でもはっきりお考えになっていると思いますが、それに関連して、昭和四十五年に同じような災害があったわけでありますが、それの借り入れ金、天災融資法に基づきまして借り入れた償還期限が、たしか昭和五十年にはやってまいります。しかも、これを借り入れた漁民、つまりさかのぼりますと、被災を受けた漁民は全く同一地域であります。こういう場合に、現地におきましては、償還期限の延長をやってくれという痛切な陳情があるわけでありますが、償還期限の延長がいいのか、それから、今般貸し付け限度がたしか五十万円から百万円までになりましたね、その中で前の債務を一ぺん払うように措置して、新しいほうに貸し付けの重点を置くということにしたほうがいいのか、方法はあろうかと思うのでありますが、これに対してどのように考えておられるか、お聞きしたい。
  135. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 四十五年災の場合の天災融資法による経営資金貸し付けにつきましては、今回の天災が指定になりますと、私どもといたしましては、今回の貸し付け限度額に、さらに既貸し付けの中の本年度の償還額を加算いたしまして、貸し付けの限度額を考えたいというふうに考えております。
  136. 増田盛

    増田盛君 加算ですね。
  137. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) はい。
  138. 増田盛

    増田盛君 ぜひひとつ加算して、適切な指導をしていただきたいと思います。  それからもう一つ、これもはっきりしておるようでありますが、念のために、ワカメ共済であります。これは同様に、前回の災害時におきまして、私から相当時間をかけて御質問をし意見も申し上げたのでありますが、大体われわれの要求は、一年でやれないかということでありますけれども、その後、実務担当の人々の、被害やいろいろな不明な点があるので二年はかかるということでありますが、お約束どおり、お役所仕事ということがございますが、この点に関してはまことにきちっとお仕事をされまして、しかも今回の予算案の中には相当多額のこれに必要な経費が計上されておる。御承知のとおりであります。  私たちが心配したとおり、この間四十五年にあったやつがまた今回同じような、冬季風浪害と同じような低気圧による被害を受けまして、もう相当な惨状を呈しておるのは御承知のとおりでありますが、制度化される、予算化されたということで、ちょっと心配なのは、御承知のようにワカメの場合には、本垂下が九月のころから始まるのですね。岩手宮城ではもう九月ころから始まるわけです。そうすると、予算はできましたけれども、政令の改正をやる——これは法律は要らないのですな、政令の改正をやって、施行規則をつくって、そうしてそれをもとにして、どういうようにやりますか、地域的に組合員の加入をやるわけでしょう、任意加入でしょうから。そうすると、権利義務が確定するのに相当の期間がかかるのじゃないかというふうに考えられるわけで、そのうちにまた荒波がやってくるということになりますと間に合わない。金はとったけれども間に合わないということになるわけでありますから、その辺の段取りを、絶対に漁民に迷惑をかけないという視角でお考えだろうと思うのでありますが、そうなりますと、具体的にいろいろな点がもうすでに方向としてきまっていくだろうと思うのです。  つまり、国会ではあまり議論しませんでしたけれども、当然問題になっております天然ワカメをどうするのかという問題、これはいずれ養殖ワカメと一体にしたほうがあるいは取り扱いがいいのかもしれませんが、この辺が一つ養殖と天然をどうするのか、区別するのか、一緒にするのか。一緒にするとすれば、その辺の準備ができておるのか。それからもう一つ、契約の方式。これは当然一定の範囲内の加入区が必要だろうと思うのであります。それぐらいまでは準備が進められておるだろうと思いますけれども、その辺の準備。それからもう一つ、今回の特徴は、漁獲共済でありますから、標準漁獲量というものを想定しておやりになっておられるだろうと思うのでありますが、これもあまり無理のないように設定する準備ができておるのか、どうか。その辺のところを、非常に簡潔でいいです、結論だけでけっこうでありますから。というのは、私の言わんとするのは、こういう具体的な準備が整って、要綱が発表され、しかもそれが手続を経まして、もう秋口には権利義務が確定する、正式に組合もきまる、こういう見通しがつけばそれでいいのでありますが、幾らここでやりますと言いましても、具体的な問題に詰めが進んでおりませんと何にもならぬわけでありますから、多少老婆心でございますけれども、いまの点、簡単にお答え願いたいと思います。
  139. 藤村弘毅

    政府委員(藤村弘毅君) ただいまの御指摘の第一の点、漁獲共済を天然ワカメ養殖ワカメと区別するのかという点につきましては、一つの漁獲共済とするように準備いたしております。  それから、そうしますと加入区の問題でございますが、加入区は、現在の第百万漁業の加入区、現行と同じ加入区へ加入をさせる。それによりまして、その加入区の全員の集団加入をはかりたいというふうに考えております。  それから第三の基準漁獲金額の算定につきましては、養殖の規模に応じまして算定いたすように準備をいたしておりまして、それらの準備を整えまして政省令を改正いたしまして、九月の本垂下の始まる前までに引き受けができるように準備をいたすつもりでおります。
  140. 小柳勇

    委員長小柳勇君) 午前中からの質問をまとめておきますけれども、何回もあったのですが、償還期限の延長を、積み重ね方式増田さんオーケーしましたけれども、両県とも期限二年間の延長が出ているのですよ、陳情で。それは積み重ね、たとえば百万円限度の場合に残三十万、百万円限度をこして三十万別にまた貸して、前の借金は全部それで終わって、それから五年間償還すればいいのか。あるいは、前のはあと残存期間返済する、新しいものはまた五年間のうちに返還すると、この両方プラスになりますね、返還が。たとえば初めのやつは二万円でよかったのが、あとの二万円と四万円毎月返還することになるが、それで、それはいかぬということで償還二年延長に両県とも出ているのではないかと思うが、もう一回そこのところ、限度額をこしてプラス三十万円やります、そしてその前の借金は、それでやはり残存期間だけ返還するとすると、その期間だけダブりますから、償還の返還金が。もう少し説明をしてください。それでなお質問者がオーケーすれば、それでいい。どうぞ。
  141. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 先ほどお答えしましたように、本年の償還額を今回の貸し付け限度額に上乗せする、加算する、こういう考え方でございまして、かりにまだ三年分残っているとして、本年、明年、明後年、三年それぞれ一万八千円ずつ返すような計画になっていたとします。本年の一万八千円を今回新たに貸し出しますものの中に含めますと、その一万八千円が六カ年分に割り振られていく、こういう考え方でございます。
  142. 小柳勇

    委員長小柳勇君) そうすると、来年度以降の分が残るわけですね、あと三年残っているのだから。
  143. 小暮光美

    政府委員小暮光美君) 本年の償還分を加算するということでございますから、明年以降のは残るわけであります。
  144. 小柳勇

    委員長小柳勇君) だから、明年以降はダブって払わなければならぬでしょう。そのことがたいへんだから、償還期限を二年延ばしますと、あと三年から差し引き平均してことしと同じくらいに返せるからというのがこの陳情じゃないかと思うから、午前中から何人も質問しているけれども、その点がどうもみな引き下ってしまっているから、その点少し問題じゃないかと思うのです。いいですか、増田さん、それで。
  145. 増田盛

    増田盛君 問題にして残します。
  146. 小柳勇

    委員長小柳勇君) それでは問題にして残しましょう。
  147. 増田盛

    増田盛君 それでは、次に林業のほうに入ります。これも何度も御質問があったと思うのでありますけれども、少し確認していきたいと思います。  林業の雪被害がたいへん大きいのでありますけれども、まず天災融資法適用、これはもうあるいほ聞かなくても当然おやりになるだろうと思うのでありますが、いまの水産の場合にやや似ているのでありますけれども、今回の災害林業における特徴は、幼齢林木だけでなしに、二十年以上たったやつまでやられているという特徴がありますから、造林資金を公庫から借りているのですな。これは天災融資法そのものの借金じゃないんだけれども、この借りた金、これはどうせ収穫期がくれば返すということで、二十年据え置きの十年支払いですか、そういう条件でみんな借りているんだろうと思いますけれども、ちょうど据え置き期間が過ぎて支払いをやるという前後のとき、あるいは支払い始めたようなとき根こそぎやられているというところがだいぶ出てきているんですよ。それで、いままでどういうふうに取り扱ったか、いろいろあると思いますが、これは実際は返せないですね。そこで、この場合には当然償還期限の延長があるだろうと思いますが、農林省においてどういうふうに考えておられますか。
  148. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 造林資金融資条件は、二十年据え置きの三十年償還と三十五年償還と、両方ございます。この制度が始まりましたのがまだ二十年たっておりませんので、据え置き期間中のものが大体であると思いますが、もうすでに償還期間に入っているのがどれくらいあるかというような話はまだ聞いておりませんので、早急に調査をしまして検討さしていただきたいと思います。
  149. 増田盛

    増田盛君 これは随所に、今回現地を二度にわたって見た際に陳情がありまして、個々の人はなかなかはっきりしてない。県庁へ行って聞きましたけれども、まだその辺の調査できておらぬようですけれども、少し大急ぎでやっていただきたい。  それからもう一つ、市町村で造林しているやつは、これははっきりわかっているんですな。こういうところでも借りてやってますから。この面積はわかってますか、市町村で金を借りて造林して収穫前にやられたというところ。相当大きい金が残っておるわけです。
  150. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) まだそういう話は伺っておりません。早急に調査をしたいと思います。
  151. 増田盛

    増田盛君 あと調査してみるとわかるだろうと思いますが、岩手県における最大の立木被害地は、気仙郡の住田町であります。ほとんど町全体の、杉を中心とした人工造林地が全部やられているといってもいいじゃないでしょうか。立木被害十数億でありますが、特にここは広大な町有林を持っておって、これが公庫から借りているということで、きわめて深刻であります。急いでひとつ御調査願いたいと思います。  それから、一つ一つやっていきますけれども、立木被害に対する対策、これも同僚議員からいろいろあったことだろうと思いますので、くどくやりません。一つは、まず災害復旧造林、これはワクがあって、林野庁長官の御指定があれば幾らでもできるだろうと思いますが、補助率、条件ともよろしいわけであります。こういう場合に、すぐにあなたの林野庁長官としての指定をやって、補助上優遇措置を講ずる、これはお考えだろうと思いますが、問題ありませんな。
  152. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 災害の、指定災害としての要件に合致すると考えられますので、大蔵省と協議の上、その方向検討中でございます。
  153. 増田盛

    増田盛君 いまの問題に関連して、これも検討中と言われるとあれでありますけれども、単価、ぜひひとつ高くしてもらいたい。幾らということは申し上げませんけれども、やっぱり拡大造林と同じ単価ぐらいにはしなきゃいかぬだろうと思うのでありますが、もう一つは、こまかい話でありますけれども、やることはやるといって、大蔵省のほうに逃げられても困るんですが、点数はやはり少し高くする。造林の点数は私は前から聞くと百点だという。そういう過去のやつを見ても百点でおさまった例もあるそうですけれども、これだけひどい災害の場合にはちょっと点数を上げて、中身をよくするために、こまい話ですけれども、百点よりよくして百二十点とか何とか、少し優遇措置を講ずるようにあなたの責任でやっていただきたいと思うのですが、どうですか。
  154. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 実は、これは普通災害の場合は六十点でございます。それを、指定災害になりまして百点まで優遇すると、拡大造林が百二十点でございますから、そこまではいきかねるということでございますが、今回の実態を見ますと、共同作業計画というものに、やり方によっては乗るものが多いのではないかという場合には、さらに二十点加算をされますので、大体そういう条件がありますと拡大造林並みになるわけでございます。なお実態をよく調査して、県とも相談しながら進めたいと、このように考えております。
  155. 増田盛

    増田盛君 ぜひひとつ共同施業にもっていって、高率の補助を願いたいと思います。  それから、問題になっておる倒木起こしの問題、今回も幼齢樹がだいぶやられておりますから、倒木起こしによって助かるものが相当あると思うのであります。そこで、まず二つに分けてお聞きいたしたいと思いますけれども、被災林地の倒木起こしに要する資材の購入費、資材といっても零細なものだろうと思うのでありますが、資材の購入費と労務費、これが大きいわけですな。これに対する補助をやってくれぬか——。もっともだろうと思うのです。そういう場合に補助をやるということになると、いろいろ知恵を働かさなきゃならぬと思うのでありますけれども、少なくとも、十年生未満くらいのものを起こせば、一般的にこれは役に立つものですね、生き返る。生き返るといいますか、ものになる。これは将来は成林の見込みを持っておるわけでありますから、この際ひとつ、植林といいますか、造林地といいますか、植林の一形態とみなして造林補助の対象にする。これも私はできるのじゃないかと思うのですが、いままではどうもこういうことをやったことがないようでありますけれども、林業情勢がこうなってきて、造林意欲が非常にめんどうな段階になってきた場合には、もう少しやはりこれは奮発して、国で援助をするという方策をとってしかるべきだと思うのでありますけれども、これに対して考え方はどうですか。特に長官がどう考えられて、しかも大蔵に対して折衝されておるか、どうか。
  156. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 倒木起こしの場合には、やり方として二つございます。その一つ融資による方法、これはいまの融資制度では八年までとなっておりますが、この林齢の適用を緩和するという方向で、これはそういうことでやりたいと思います。  それから、もう一つ方法は補助でございます。この補助は従前の例から見て非常に困難であると思いますが、いま先生お話もありましたように、ひとつ奮発できないかということでありますので、目下、大蔵省ともよりより話を精力的に詰めております。今回の災害は小規模林業者が多いわけでございまして、その小規模林業者は、金を借りるよりも補助をしてくれという希望が非常に強いということを聞いておりますので、これもひとつ検討を進めてまいりたいと思います。
  157. 増田盛

    増田盛君 いままでどうもやらなかったからということのようでございますが、先ほど申し上げましたような全体の造林の趨勢でございます。しかも、いま長官お話に出ましたように、今回の災害の特徴は、大規模森林所有者というものがごく少ない地帯なんですね、宮城岩手といいますと。大きいのもありますけれども、そういうものはごくわずかでありまして、一般に小さな森林所有者が多いわけですから、今回も調べてみますと、両県とも、特に岩手のほうがひどいのでありますが、森林の所有面積というものが五町歩以下が八割ぐらいを占めておるわけであって、しかも今回の災害における平均反別というものは四反歩前後ですね。非常に零細です。したがって、金を貸すということになりますと、これは払う場合にはたいへんなんですよ。毎年払ってくれといっても、見返りになる山はほとんどやられてしまって、そしてまた、ちょうどその原資になるような、元手になるような森林伐採というものは、にわかに期待できない人たちが多いわけです。私も歩いてまいりましたけれども、非常に小さい。しかも、公庫融資の場合には、貸し付け限度というものが一件当たり十万円が最低でしょう。小さいやつはめんどうくさいからやらぬ。どうもそうなりますので、融資融資とおっしゃいますけれども、実際は借りられないのですね。公庫ではだめですよ。公庫以外にどこか零細なのを取り扱うところでやってくれればいいが、そんなことをいままでやってくれないでしょう。私はこの際、いままでやらなかったかもしれませんが、補助にひとつ新例を開いてもらいたい。新例なんて大げさなことを言うと何ですが、それをやらなければ対策になりませんよ。補助か融資かという問題はあるけれども、大きいやつは私は融資でいいと思います。大きい森林所有者は融資のほうでもけっこう話はつきます。しかし、非常に零細な連中、こういう連中に対しては、ぜひいままでやらなかった助成の道を開いていただきたい、開くべきである、かように思うわけであります。  それから、それに関連しまして、こまかくなるわけでありますが、もう助からないやつ、助からないやつというのは倒木起こしにはかからぬやつ、折損木であります。折損木の場合も、災害直後に回った関係もありまして、どうもぼう然自失で、自分の山を見たくないということで、行って見ると、ふとんかぶって寝ている。もう自分の山は見たくない、見たら意欲というか、どうも意気が阻喪するものですから、人の話を聞いて、自分は山をよう見に行かぬという人たちであります。したがって、除伐をやりませんと病虫害の病巣にもなるわけでありますし、何とか元気をふるい起こして除伐に取りかかって、除伐したらすぐ搬出しろ、こういうわけでありますが、なかなかおいそれといくかどうかわからぬわけであります。  そこで、作業路の話はあとでお聞きしますけれども、折損木の除伐ですね、これに対してひとつめんどうを見てくれぬかというのが、これはそこまで、一つ飛びに助成というところまでいけばいいのでありますけれども、みなで集団的に除伐して運び出すという場合に、その除伐の点に、融資はいまもあるわけですね、あるわけですけれども、これをひとつ、二十年生くらいでやっているのもありますけれどもそういうものまで対象を拡大して——こまかい制限があるそうですね。そういう制度があると思って喜んでいると、何年生といってきちっと縛るのは、たいへんこれは高利貸しみたいな縛り方です。こういうやつをひとつ該当するのがあったら、大した金じゃないのですから、二十年生でもうみなやられている、そういうところを、助かるものは先ほどのお話のようにひとつ融資をやって倒木起こしをやればいいし、助からないやつはひとつ融資で運び出す、こういうふうにやったほうがいいと思いますが、その辺どうですか。
  158. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) お答えいたします。  まず、助かるもの、これにつきましては、先ほど林齢緩和措置をとるという話をいたしましたが、さらに具体的に申し上げますと、二十年ころまで引き延ばして適用するということでやりたいと考えております。  それから、助からぬものでございますけれども、それは、売るにしてもなかなか売りにくい。十五年、二十年、せっかく汗水流してやってきたのが一ぺんにやられた。しかも、その価値たるや非常に低くなっているということでありますので、これの対策としては、まず搬出のための機械施設とか作業路、そういうものをつくる機会に、そういうものを間伐事業対策の一環として、対策基準に合う場合にはやってまいる。それからもう一つは、そのあと造林をするための作業路、これにつきましては目下検討中でございます。それから、やられたものを販売をする、そのあっせんといいますか、指導といいますか、そういう点につきましては、県に対しまして、また関係業界に対しまして、これに協力するように要請をいたしました。
  159. 増田盛

    増田盛君 そうすると、何という名前になりますか。例の団地造林の作業道みたいなもの、これは助成しますね、補助を。たしか団地造林の場合、あれは四割でしたか、その程度のものの助成はできますか。
  160. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 団地造林の造林と、そのために必要な作業路、これは国が三割、県が一割、それに今回は該当はしない——これは拡大造林が主体でございますから該当しないのでございますが、復旧造林としてこれに近い優遇策を講じていくという点につきましては最初にお答えしたとおりでございます。
  161. 増田盛

    増田盛君 まだ十分でない点もございますけれども、もう一つ恒久的な問題として森林保険の問題、これをちょっとお聞きしたいと思います。  森林保険は昭和十二年制定で、当時私の記憶では、国営の火災保険で出発しましたけれども、十年ばかり前に改正があって保険事項が拡大したようであります。つまり、火災のほかに気象災害が入ったようでありますが、今回の災害はおそらく気象災害の一種としての雪害だろうと思うんでありますけれども、どうもお話を聞きますと、林齢で一齢級のもの、つまり五年の間だけは、国からと県からの造林補助の引きかえに加入させられておる。これは強制と言っちゃいかぬのですが、入らぬと補助金やらぬというのかどういうのか、結局実際にはそういうことになっておりますから。岩手県を調べますと、全国平均よりもよく入っております。というのは、逆に大きい造林というものがないものですから、小さいやつばかりだから補助の対象になる面積が大きいんでしょうか。それで、八〇数%の加入率でありますが、この話を現地に持っていきますと、五年入っただけで、六年目からみんなやめちゃっているんですね。掛け金を払えないということで払わぬわけでありますから、もうほとんど入っていない。したがって今回も、少なくとも、森林保険に入っておったら幾らかもらえたんじゃないかという話を申し上げたけれども、これはみんなだめですね。それで、先ほどのお話の中で、五年まではかけているからもらえると言いましたけれども、倒木起こしやっちゃうともらえないんでしょう。無理無理入れておいてから、倒木起こしやっちゃったからもうくれないというんですから、ひったくりみたいな感じがちょっとするんですがね。この辺は一体どういうことですか。倒木起こしちゃうともらえないと、こう言うんだ。ところが、起こさないで寝せておけと言ったら、そうもたくさんくれませんよということで、どうも私自身困る。その辺のやつでもらったらいいじゃないか。十年とか十五年のやつはないと言う、そういうやつは全然入っておりません。たいへんこれは困るわけでありますが、その辺は一体どうなっておるのか。その辺に対してあなたのほうでどう考えているのか、率直なところをお聞きしたい。
  162. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 起こした場合にはそれは生き返ることになりますから、それは保険が出ないわけでございます。まあ、そういうためにだめになる場合とか、起こす場合に、必要なものに対しては融資なり補助なりして、それを起こさせるという対策をいま検討しておるところでございます。
  163. 増田盛

    増田盛君 まことにどうもしようがないのだけれども、かけ捨てになるわけですな。起こしてもらえばかけ捨てになる。まあ、造林の原価よりもおそらく起こす費用というものはわずかでありましょうから、それもいいわけでありますが、そこで、おたくのほうからいただいた最近の実績をちょっと見てみますと、森林国営保険のてん補が雪害に対してどれだけあるかということを見ますと、非常にわずかですね。一体幾らもらっているかというと、火災は別ですよ、火災もありますけれども、火災が相当大きい、大きいはずなんですけれども、火災以上に凍害、干害というのがたいへん多いのじゃないですか。どうも妙なことになっちゃってね。本家は火災だったわけですよ。保険事項拡大したとたんに、貧乏地帯で雪害起こったらこれはなかなかどうもあまり大した金も出ないわけでありますけれども、凍害、干害というのはどうもよく考えてみますと、これはしょっちゅう起こるやつじゃないですか。造林の場合には干害になりますよ。植え方悪ければ干害になる。ちょっといいかげんにやっておいたら干害になっちゃう。凍害のほうもそうですな。雪害よりも頻度高いわけですから、これでいますぐ言って云々なんということはありませんけれども、どうも森林の国営保険が始まったときから見ますと、本末転倒みたいな感じがするわけであります。こういう点をどういうふうに一体この保険当局が考えておられるのか。しかも、この中でもう大部分占める凍害、干害というのは、地域という意味では、全国でどうも片寄っているように思うのですがね。保険は片寄ったらみな逃げますよ。片寄って、常襲災害地帯なんというやつのその連中ばかりふとらせるために保険に入るということになったらみな逃げることになるわけなんで、この辺、実績に基づいてどうですか。この二、三年前に凍害、干害というものは、それは全国的にずっとばらまかれておるのか、特定の県に集中しているのかどうか、ちょっと御説明してください。
  164. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 凍害というのは寒さの害です。要するにこれは雪の積らないところ、春先の寒風害でやられる場合、まあ群馬県あたりが非常に多いわけであります。常襲地帯といわれております北関東とか九州までございます。  それから干害というのはまあ乾燥の害、これは夏でございます。いずれもが幼齢時代、まあ一年生からせいぜい十年生ぐらい、まあ五年生ぐらいまでのがその被害を受けるのが多いわけであります。そこで、幸いといいますか、五年生ぐらいまでは入っておるというためにその被害を受ければ保険金がもらえると、まあ雪害の場合には、幼齢時代は引き起こせばまあ生き返ることになります。生き返らない十五年生以上は保険の加入をしておらない、加入率が少ないということで、このてん補率の実績がそのようになっておるわけでございます。
  165. 増田盛

    増田盛君 どうも結果論ばかりでまことに前進しないのでございますけれども、もう一つ、そうなりますと、この一齢級はほとんど入っていると、二齢級もその引き続きで何か入りますな。二齢級のものもわりあい高いようで、これ見てまいりますと。ところが、三、四齢級ないしそれ以上のものになりますと、もう加入というのは少ないというよりもきわめて少ない。激減であります。こういうことになりますと、保険制度をせっかくおつくりになってもですね、しかも、昭和十二年におつくりになっておりますから、これはもう非常に年限には不足ないりっぱなやつです。長い年期が入っておる。筋金入りと思うのでありますが、どうもそういうことになると、救済される森林所有者というものが非常にまあ少ないことになるのですが、率直に言ってなぜ加入が少ないか。保険制度だから一齢級や二齢級のものだけを対象にするというふうに目的でうたっているはずはないだろうと思う。あるいはそれを主とするというはずもないのでありますが、実際の運用上、何年たちますか、昭和十二年から、火災かう始まっているのでありますから、それまで含めますと、もう三十数年たっておるわけです。それで依然としてこのように少ないという私は根本的な、これに対して検討のメスを入れなきゃならぬのじゃないかと思うのでありますが、雪害を見てびっくりして言うわけじゃございませんけれども、どうもいままであまり問題になっておらないということがあってなのか、つまり、なぜ極端に加入が少ないのか。   〔委員長退席、理事松本英一君着席〕
  166. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 加入の少ない理由を申し上げます。  まず、三齢級、これは十一年から十五年まででございます。齢級というのは五年ごとに区切ってございます。三齢級、四齢級以上のものは一、二齢級に比べまして災害を受ける頻度といいますか、また逆に抵抗性が比較的強いということで、一、二齢級は九十何%まで入っております。三、四齢級になりますと、八・七%ぐらいしか加入しておらないというのが実態でございます。まあいわば森林所有者の危険意識が低いということ、これが第一点でございます。  それから第二点は農漁業に比べまして林業の収獲、言いかえれば収入でございますけれども、これは長期間を要して毎年毎年入らないということで、その収入のない階層が大部分でございます。で、その掛け金がかけにくいということが第二点。  それから第三点は一般的に保険に対する認識が十分でございません。生命保険のようなものと違いまして、またあるいは火災保険のような場合と違いまして、一般の林業家のこれに対する認識が低い。まあ、これは言いかえれば、もう少し指導、普及のしかたが足りないんじゃないかというところのおしかりをいただくことになるかもしれませんが、そういうことからして、今後の検討課題というものが出ることになるわけであります。
  167. 増田盛

    増田盛君 どうもあれですな、あまりこれ重視していなかったということですな。林野庁当局だけじゃなしに森林所有者のほうも森林保険というのは大したものじゃないんだということで、ただ補助金もらうときだけ五年間入れと言われるからこれはしようがない。入らないでもらった場合があるのかどうか知りませんけれども、とにかくそういうことで入る。そして、それも補助金から天引きされるからこれはしようがありませんな、入らざるを得ない。そこで、そういうやつがずっときていますから、両方、国営保険のほうもそういうことだということで自認しているし、もらうほうもあきらめているわけですから、制度の発展がないわけでありますけれども、どうもいままでいろいろ調べてみますと、そういっても、森林保険に対してあるいは保険料の一部負担であるとか、あるいは支払い基金の担保であるとか、こういう問題に関して国のほうでもう少し積極的にやれということと多少性質が違うのかもしれません。これは、短兵急にどうも農林省の保険というもので国庫負担、いろんな意味で国庫負担の伴わない農林省の保険というものはあるでしょうかな。お役人の保険まで、保険というか、これは共済でございますが、これを含めても全部これは国の負担があると思うのですね。全部ありますよ、農業も漁業もありますよ。漁業はいろいろやっていて、みなあるわけです。漁船もありますね。農業は全部ある。全部農林省でやっておられる保険、共済というものは保険金の一部負担、それから再保険制度による赤字補てんがありますけれども、調べてみますと、森林保険は制度発足以来何もないんですね。どういうために何にもないのかよく調べてみますと、林野庁の森林保険課にお役人が二十二、三人おられますが、この保険金で給料一切まかなっておられる。それから県にもあるでしょう。県にも百十七人から百二十人、これは全部保険金でまかなっている。その保険金で払っているんですけれども、保険金から造林のとき強制負担、これは強制と言われるのはおきらいなようだけれども、強制加入して補助金もらえるかどうかわかりませんが、強制で補助金やるかわりにそれから天引きされるという形で、まことに私は奇妙に思うのですが、森林保険というものは結局どうも掛け金なり、あるいは再保険制度を、国による再保険ですね、赤字が出てきたら国のほうで負担するという形の、そういうベースに一体乗らないものかどうか。私はそうは考えないのでありますけれども、その辺、林野庁当局どういうふうに考えておられるかお答え願いたい。
  168. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 森林の国営保険におきましてはいまお話のとおり、その人件費に対しましても国費が出ておりません。発足当初、これは昭和十二年でございまするから、十年ぐらいの間、戦後まで人件費を含めて事務費に対して補助が出ておりましたが、二十二年の年にそれは打ち切られておる。その打ち切られた諸般の事情はちょっとわからないのでございますが、その事務費、人件費に対して国の補助をするかしないか、すべきであるという考え方もございますので、それも一つ検討項目になっておる。それから今後の制度改正にあたりまして、どんな方向検討するかということでございますが、まず森林所有者の積極的な加入意欲というものをどうしたら高められるかというその方法において欠点があるのかないのか、この加入組織、こういうものがどうなっておるか、これをどう改めるかという点、それから料率体系、その内容を分析をする必要がある。それから保険対象でございますが、いま火災保険と気象災が入っておりますが、病虫獣害は入っておりません。そういう病虫獣害に対しても相当な被害が出ておりますので、これを入れることによって保険に対する森林所有者の魅力、関心というようなものが高まるというようなことから、その対象をどうするか。それから、その他被害が起こった場合の調査方法、これをどうするかというような根本的な改善を行なうことで鋭意検討しております。
  169. 増田盛

    増田盛君 根本的な抜本的な制度に関しまして検討中、ごもっともであります。そういう機運を、今回の時期を失しられますと、これは森林行政に私はマイナスの面で大きくはね返ってくるだろうと思うのでありますが、ぜひやっていただきたいのであります。  そこで、それに関連してちょっと二、三お聞きしたいのですが、ずっといままで質疑をしてまいりましたけれども、そうして、非常に大事な森林保険制度に関しまして諸外国ではどうなっておるかというものもざっと調べてみましたけれども、どうもあまり国のほうの財政的な負担というのは少ないです。日本ほど少ないかということになりますと、日本は全然ないのと同じみたいですから、ことに戦前あったのが戦後打ち切られた。そういう惨たんたる状況で、林業危機の現在のような状態に追い込まれたようなかっこうでありますが、それにしても、日本の林業経営の特徴というのはいろいろありまするけれども、諸外国にない特徴、先進国にはない、文明国にはない特徴というのは、一つには全般的に非常に零細な経営だということ、先ほどもちょっと触れましたとおり、きわめて零細でありますから、幾ら小さい金でも長期的にその中から出すという、林業経営自体の中から生み出す力というものがきわめて乏しいわけであります。これが一つ。それからもう一つ、われわれの接触する範囲におきましても、なぜ杉を植え松を植えるかということになりますと、備荒貯蓄的な性格が非常に強いわけであります。何かあった場合に、いろいろ物入りがあった場合に、あの山を切って売るのだという、そういう形の、これは備荒貯蓄的な思想が多いわけですから、それ自体としてあるいは古い型の保険かもしれませんなあ。したがって、その上にまた保険かけるというのですから、ぴんとこないのですよ。くるくる回しておる金に保険かけるのじゃなくて、ぴくぴく動いておる生命に保険かけるようなわけにはいかないので、とにかく裏山をそのうちに切ってというようなかっこうで、これは経営的な感覚ではありません。これは備荒的というか、備荒貯蓄というか、適当なことばがあると思いますが、それが大きな特徴であります。  それからもう一つ、これはひとつぜひ聞いておきたいと思うのですが、今度のような雪害にあって、一体この前いつあったかということであります。私もそろそろよわい六十年、もう生まれたときから知っておる地帯で、こんな大雪で木がぽきぽき折れたというのは、あまりもの心づいてから知らないのだけれども、前回がいつかということは故老の人に聞いてもわからないのですね。林野庁ではこれは見当つけておられるかもしれませんが、昔は統計がなかったからわからないと思うのですが、ずいぶん古い話だと思うのです。そういう雪害だけちょっと引っぱり出しても保険ベースに乗らないのではないか。八十年に一ぺんか百年に一ぺんかわかりませんから、次に来るのはわからない。もうそのころは木そのものは伐採して何回転かしているのですから、そういうものが保険といえるのかどうか私はよくわからないのでありますが、ただ先ほど言ったように、他のいろいろな災害を組み合わせて保険事故になっておるわけでありますから、可能だろうと思うのであります。制度さえよければ可能だと思うのでありますが、いま言ったようないろいろな理由があってたいへんですよ。あなたはさっき、これから金をふやすと、これはおそらく三十数年間同じようなことを言ってこられたと思うのですね。加入者をもっとふやしますと言うけれども、歩いて聞いたところによりますと、これは入りっこないのですね。雪害でやられたから、これにこりて入ろうなんていう意欲は一つもありませんよ。加入金、掛け金が高いと言いますから、調べてみたら、たいしたことはありません。高く感ずるのです。体感掛け金です。自分のからだでこれはえらく高く感ずるのです。数字は客観的に見るとそうじゃないかもしらぬけれども、払うほうからいったら大金です。そういうことになりますと、抜本的改正あるいは制度改正、いま検討中だというものが多いわけでありますが、そういうところを喜んで入れるようにするためには、何か一番大きいところでくふうしなければいかぬ。入れば料率は下がると言いますけれども、国の負担金は一つもないわけでありますから、そこをどういうふうにするのか。それから、三十年も三十五年も積み立てるんじゃ——みんな言いますよ、三十年間も三十五年間も保険金積み立てるんじゃ、これは生命保険というのがありますから類似の例がないわけじゃありませんけれども、木にそんなに長くかけてもごりやくというものはありませんと。非常に長期のものであります。そういたしますと、従来のような国営だからというだけでいいはずはないのでありまして、何かそこで仕組みを考えなければいかぬ。保険料を零細な森林の所有者、立木の所有者が三十年とか三十五年とか四十年払う、これは払いきれやしません。したがって、その間に妙なことになっちまう、かけ捨てになる、こういうことになるわけであります。そういうことを踏んまえて検討するはいいけれども、林野庁としてこういうものをこの際思い切って出して検討してもらいたい。これは結論じゃありませんから検討してもらいたい。たとえば、一例として保険料を低くするのが当然でありますけれども、保険料をどっかの機関で長期間立てかえ払いをしてくれるとか、あるいはもう一つ、何年間か無事故でいったならば、無事故の場合においては払ってくれる、元金は返してくれるとか、あるいは満期になれば元金は返してくれるという制度、いろいろくふうが要るだろうと思うのでありますが、その辺の考え方に対してすでに御検討中だと思うのでありますけれども、率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  170. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 加入が非常に少ないというのをどうして上げたらいいかというところからまず制度改正検討しておるわけでございます。生命保険でも損害保険でも、民間ベースでやられておりますのは勧誘員の果たす役割りというのが非常に大きいように存じます。そこで、農業災害補償制度、漁業災害補償制度、これはそれぞれ農協とか漁協とかが大きな役割りを果たしておるわけです。そういうこともございますので、そういった制度をにらみながら、保険制度から共済制度という考え方に変えていったらどうだろうというのが一つ検討方向でございます。  さらに申し上げますと、組織といいますか、元請の機構、その組織をどうしたらいいか、料率の体系をどうしたらいいか、保険対象——今回の雪害のような場合は何十年に一回、あるいは百年に一回ぐらいだと思います。全国的に見ますと、数年に一度ずつぐらいはこういう災害が起こりますが、一つの地域についてはこういった災害は起こらないのが実例でございます。そういうこともございまして、そういう災害を、なるべく災害の対象をふやしていくということ。いまありますのが森林保険と気象災でございます。そのほかに虫とか病気とかけだものの害、こういうものに対して保険、共済制度が成り立つかどうかというのも検討に入れて、その災害対象をふやしていくということ、そういったことをいま検討を進めております。なお、これは協力をしていただかなければいけないのが森林組合系統でございますので、そっち方面との意見調整も目下進行中でございます。
  171. 増田盛

    増田盛君 時間がありませんので一言だけでいいのでありますが、いまの森林保険制度のあり方に関して、数年前に林野庁の森林保険課のほうで委託をして調査した報告書というのがありますね。これは見ておられるかどうか。これにはいろんなことが書いておりますけれども、これはいままでの質疑に関連した問題等もだいぶあるんですね。これはどうなっていますか。せっかくりっぱな報告書が出ておるのに全然進まぬというわけですね。結論だけでいいです。この印刷物は四十二年、そのころですね。
  172. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) その中間答申をいただいておりますので、それを十分勘案しながら検討項目に含めております。
  173. 増田盛

    増田盛君 いろいろ御努力はされていることは認めます。しかも、こういう問題は大きな災害がないと前進するてこにならぬのが通例でございますから、その点は何にも言いませんけれども、やはりのど元過ぎれば熱さ忘れるでありますから、だれもやらなければ進まぬということになりますと、ついまた、四十二年の調査がいままで眠っていると同じように、これからどうも五、六年眠るということになるわけであります。ぜひひとつ御奮発願いたいと思うのであります。この際に抜本的な対策を立てて、農林省には、先ほど言ったとおり、共済制度たくさんありますけれども、相当やっかいになっているとは言いませんけれども、政府のほうから金を出さしていますよ。回れ右やって、森林所有者だけ出して、それでやろうなんというそんなけちなことをやっております。人間にまで出すというのは、これは農林漁業という場合に、林業だけはちょっと別格官幣社ですね。そういうことになって、ちょっと気にかかるんで、一向そういう点を思いわずらうことなしに、抜本的対策を出してほしいと思うのであります。  それでは以上、農林省に対する質問は終わりまして、最後にひとつ自治省、来ておられますか。——こういう突然の災害がありますと、毎度のことで、自治省のほうにもいろいろお世話願わなければいかぬわけでありますが、連絡がどの程度いっておりますか。今回の災害は、特に先ほどから述べておりますとおり、単に水産関係だけではなしに、林業のほうにまで飛び火しまして、しかも、集中的に二つの県でこれがやられているということであります。当然、あなたのところで、いろいろなこれに対して財政上の指示をお考えであろうと思うのでありますけれども、特別にやはり市町村で望んでおるのは、特別交付税を早くひとつ、ちょうどいま時期ですから、特別交付税をちょうだいしたいということであります。それで、どういうお考えでありますか。しかも、いまから本年度の特別交付税に私は間に合うだろうと思うのでありますけれども、その辺のところを少しはっきりした答えを聞きたいんですが。
  174. 福島栄造

    説明員(福島栄造君) 災害を受けました地方公共団体の臨時の財政負担につきましては、従来から特別交付税でこれを措置してまいったわけでございます。原則を申し上げますというと、災害は暦年でいっておりますので、本年度の特交の対象には実はならぬわけでございますけれども、今回の災害は非常に大きい災害であるということでもございますので、本年度内に緊急に支出を要します経費につきましては本年度の特別交付税で措置をしたいということで、現在、作業を進めておる段階でございますので、御了承いただきたいと思います。
  175. 増田盛

    増田盛君 それじゃ終わります。
  176. 片山正英

    片山正英君 私が最後のようでございます。すでに各委員からそれぞれ御質問がございまして、御回答をいただき、特に林業の問題につきまして増田先生から非常に詳細な御質問があり、それに対して御回答をいただいたわけでございますので、いま立ち上がりましたが、特につけ加えて申し上げることもないのでございますが、せっかく時間がちょっとございますので、二、三点お伺いを申し上げたいと思います。  まず第一点は、私は、今度の災害は非常に特異なものであり、非常に大きな被害であるというふうに実は思うのでございます。過去三十八年から私は林業を中心として御質問申し上げますが、被害を見ますと、三十八年から五回雪害がございました。その中で四十三年の雪害というのが一番大きいような被害でございました。したがって、その一番大きい四十三年の被害との対比において、今度の被害をちょっと見たわけでございます。四十三年におきましては大体三百八十億という非常に大きな被害がございましたが、これは三十三県にまたがっていることからいたしますと、一県当たり十億円、そのくらいの被害でございます。ところが、四十六年の今回は、あちこちになりますが、主として二県にしかまたがっていない、宮城岩手。それがきょうの御調査を見ますと八十八億の被害額でございます。つまり、一県当たり四十四億円。従来、一番被害が大きいといったときですら一県十億円にすぎない。今回は四十四億円と非常に大きい。従来にもまして非常に大きい、これが第一点であります。  さらに、従来は利用される木が大体四〇%くらい倒れておったということに、四十三年の実績で調べてみますと、なります。ところが、今回は、利用される木は非常に少ないというところにまた一つの処理の困難な問題があります。  それから第三点は、四十三年と違いますのは、ちょっと値段の点になりますが、四十年を一〇〇としますと、杉の小丸太がどれだけの値段かと、こう見ますと、四十三年は杉の小丸太が、四十年を一〇〇として一三七、ところが四十六年の今日は逆に下がって、一二一というふうにむしろ値段が下がっておる。にもかかわりませず、労賃は四十年を一〇〇としますと、四十三年が一三四、そして現在は二〇五と非常に労賃が上がっておる。ここに木材の値段は下がっておるが、労賃が非常に上がっておる。この逆ざやによって処理が非常に困難になっておる。こういう三つの実態が今度の処理に対していかにむずかしい、いかに大きな対処をしなければならないかということが浮き彫りにされておるような気がいたします。そこで先ほど増田先生もおっしゃったように、もう被害を受けた人たちはふとんをかぶって寝ておる。なるほど被害を受けた地帯は全く林業地帯であります。そしてかっては天皇杯等をもらった優秀林家、その地帯がやられております。したがって、その地帯においては林業をおいては生計その他を立て直すというのは不可能、むしろ林業中心という気持ちでおったその地帯が大激甚の被害を受けたわけでありますから、これに対する対処は従来の延長、従来的感覚ではなかなか処理できない。やはり基本的に、抜本的に林業というものはやはり今後進めたいという意欲がわくように、もうやめちゃったというような気持ちにならないように、前向きの姿勢が地元に確立されるような対処、このことがまず第一点の態度ではないだろうかというふうに思いますが、まずその点から、時間がございますからお伺いいたしたいと思います。
  177. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 従来のそういった被害に対しましてやってまいりました実例がございますが、今回は、いま先生お話しのとおり、確かにたいへんな被害でございます。この被害を受けた方々は非常なお気の毒な立場にあるわけでございます。今後の造林、林業意欲を低下させないためにも何とかこれを救ってあげたいというのが林野庁の基本的態度でございまして、いま幾つか実施することを内定したのもございますし、いま関係方面と打ち合わせ中、検討中のものもございますが、いままでにやっておらなかったことも含めまして、前向きで検討をいたしております。
  178. 片山正英

    片山正英君 ぜひそのような処置をお願い申し上げたいわけでございますが、なお、具体的に申し上げますと、大体重複するきらいがありますので、重複することは省きまして、非常にこまかいような質問になるかもしれませんが、あと二、三点だけお願い申し上げます。  まず、倒木起こしでございますが、従来融資措置によってやっておった。ところが今回融資措置改正された。したがって倒木起こしについても、一年でやってしまえばこれは別でしょうけれども、おそらく一、二年またがってかかる。そうすると、従来は八年までが三分五厘、それ以降育林資金として五分、これが従来の融資金利であった。今回改正されますのは、その三分五厘を皆さん方の御努力によりまして十二年まで延ばし得る。しかし、十二年以降はもう育林資金は貸さないのだ、こういうような形にあるやに私理解しておるわけでございます。したがって、今回の倒木起こしは、ことし三月までにできればけっこうですけれども、なかなかできない。やはりまたがっていくということにおきまして、先ほど申しました三分五厘でございます。それを十二年までもっていくというようなことしの措置、及び今後の措置も含めて、そういうふうに解釈してよろしいかどうか、その点をお伺いいたします。
  179. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 三分五厘という農林漁業金融公庫の造林資金がございます。これは小造林について適用しているということでありまして、従来は八年までがその適用対象でございましたが、四十七年からはそれを十二年まで引き上げるということでいま予算を組んでおります。ところが今回の災害に対しましては、非常にこういう事態はたいへんでございますので、それを指定災害として指定するという、その指定の要件がございますので、その要件に今回の災害は十分合致するという点がございますので、それを指定すべくいま検討を進めております。おそらく指定になるだろうと思いますが、それで、指定になった場合にはどういうメリットがあるかということでございますが、従前でありますと、八年まで適用になっておりましたのが十五年まで適用になる。十五年までの倒木を引き起こすというのが対象になりますが、今回はさらに特定の場合には利用伐期齢級までといいますと、まあ五齢級まで、それまで適用するということで、いま検討を進めております。
  180. 片山正英

    片山正英君 それから、融資についてもう一点ございますけれども、大体造林資金あるいは育林資金、現在の資金は植えつけるあるいは下刈りをする、それからつる切りをする、あるいは除伐をする、そこまでがいわゆる造林、育林資金というふうに解釈されておると思いますが、一応それでよろしゅうございましょうか。
  181. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そのとおりでございますが、拡大造林なり、まあ造林をするために作業路をつくるという場合にはそれも含めてでございます。
  182. 片山正英

    片山正英君 そうしますと、その造林資金なり育林資金というものの対象がそれだけ幅が広いという場合に、今回二十年ぐらいのものが倒れた、あるいはそれ以上のものが倒れたという場合に非常に困難かどうか、その辺が非常にお伺いしたいところなんですけれども、でき得べくんば、単なる倒木起こしじゃなしに、幅広い形のいわゆる規定されている範囲でけっこうでございます、伸ばし得るのかどうか。これは従来どうり倒木起こしというものに一本だけにしぼれるのか、もう少し幅広い解釈を現地の実態においては御検討いただけるか、その辺をちょっと伺います。
  183. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) まあ雪害を受けて、瀕死の重症を受けておるわけでございます。その瀕死の病人を回復させるために必要な作業、これは関連する作業を含んでおります。
  184. 片山正英

    片山正英君 あまりこまかくなってもどうかと思いますので、次に、倒木起こしの補助の問題でございますが、これは従来にはない——従来やったとしても、何かなわか何かの、本来の資材費の一部にして、かつてほんのわずかやったという記憶が私ございますが、全面的のこれに対する補助というのは、今回初めて林野庁として大蔵省に前向きに御折衝になっておるということを伺っておるわけでございます。この場合の倒木起こしの費用というのは、いわゆる造林費と、こう解釈してよろしゅうございますか。
  185. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そのとおりでございます。
  186. 片山正英

    片山正英君 それから、いまの造林費ということに関連してまいりますが一搬出、折損した折損個所、それは倒木起こしでありますから引き出さなくちゃいけません。それは先ほど申しましたように、労賃は高いわ、そして値段は安いわで非常に苦しいのが現状でございますから、これに対する助成措置としては、搬出したあとに造林をすると、こういう場合の搬出費や造林費、それから搬出したあとにはもう造林をしない、しかし搬出しなければ火災の危険もあるでしょうし、今後被害の危険もあるだろうという意味で搬出しなければならない。これは先ほど長官おっしゃったように間伐を中心とした予算化の中でこれを対処する、こう理解してよろしゅうございますか。
  187. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) そうでございます。
  188. 片山正英

    片山正英君 どうも整理みたいな形にもなりますけれども、もう一点は先ほどの保険の問題、保険金の支払いの問題でございますが、これは今回どれだけの、国営保険、あるいは森林組合共済の中の保険、こういうものをいま御調査のようでございますが、従来、保険金の支払いが非常におそい。それでひどいのになると年をまたがるという話すらございます。そこで、これは一定の人間のやることですから、膨大な被害に対してはなかなか困難だという実情もわかります。したがって、現在被害を受けた宮城岩手の二県全部が、その調査がまとまらなければ保険金は払えないということになりますと、なかなか最後まで調べるなんて時間がかかる。しかし、ある程度ブロック的にまとめて調査ができると、これは少ない人員ですから、一せいにかかれません。そういう場合に、あるまとまった数字になれば、一体でなくても切り離して払っていける体制がとれるならば、ある程度スピード化できるのじゃないか、この点はどう考えられますか。
  189. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) 結論から申し上げますと、その区切り区切りで県で調査をしていただきまして、その段階、段階で、それをまとめて林野庁にあげていただきますと、そのつど、すぐさま支払いをするつもりでおります。なお、いま積雪その他ございますので、正確な調査はもうしばらくかかるんではないかということを心配しております。
  190. 片山正英

    片山正英君 雪もありますから、いま直ちに調査ができるということはできないと思いますが、調査のできる段階になったときに、先ほどおっしゃったある程度ブロック的にまとまった場合において払うという体制であれば、ぜひそういう点を県御当局に御通達もいただきまして、県の協力も要るわけでございます。実施の際には十分ひとつよろしくお願い申し上げます。  それから時間が私にはもうちょっとあるのですけれども、重複したことをがたがた言ってもあれでございますから、最後に、増田委員から言われました今後の問題として、どうしても保険問題が中心だと思います。現在、国営保険、それから森林組合共済制度の中でやっているもの、いずれをとりましても、人工林の非常に少ないパーセンテージの保険加入しかなっておらない。これを何とか全面的に加入できるような姿にやっていくということで、林野庁はいろいろ御検討のさなかにあると思います。しかし、これはなかなか、先ほど若芽のやつは来年出るというお話もあります。林業はむずかしいだけになかなかできませんけれども、しかし、これは早急にしていかないと、こういう対策はどうしても抜本的にはいかぬ、やはり保険中心の対策こそ確立していかなければならない、こう思います。したがって、現在どこが問題点であってどこを今後進めようとしているか、そういう基本的な問題点と方向だけをお聞かせいただいて、私の質問は終わります。
  191. 松本守雄

    政府委員松本守雄君) いま国営保険でやっております。これを農業、漁業の場合、その例にかんがみまして共済制度という方向で相当具体的にここ数年来検討をしてまいっておりますが、いずれにしましても、これを別な組織にして、それに関係する人々も別な組織にしますと、非常に高いコストになってしまうということもございまして、一番いいのは、いまありますところの森林所有者のお世話をやっていただいております森林組合というものがございますので、それの意向をいま確かめて、いろいろその意見を調整中でございます。その調整ができますれば、困難なく、この新しい制度が出発できるんではないか、このように考えます。
  192. 片山正英

    片山正英君 最後に一言。いまの林業災害補償法ですか、仮称の。そういうものがすみやかにできることを期待するわけでございますが、問題はやはり現在森林組合が実施しております共済制度と申しますか、福利厚生事業と申しますか、そういう中で実施しておりますその仕事が、林業災害補償法等の仮称のものがもしできました際に森林組合がそのために弱体化する、あるいはそれでなくても、なかなか所有者と一体となってやるのには資金からいろいろな制度の問題も含めて非常にひよわい活動しかできないというその森林組合がさらに弱体化になるようでありますと、やはり森林組合あるいはそれを含む山林所有者を含めて、どうも困った、こういうことになるように思います。そこでやはり改正にあたっても、それらの点が弱体化されないような形において私はやっていくというのが一つのポイントではないかと思う。  それからもう一点は、やはり役所仕事の国営保険ですが、先ほど言うように、非常に御便宜をはからってなるべく早く保険金を支払う、こう言いながらも、やはり実態は役人の定数その他いろいろあって、思うように調査が即座にはできないという、悪いことばで言えば役所仕事というもの、これは無理からぬ実態があろうと思います。そこで私は、そういう姿は役所としては二段がまえと申しますか、再保険をする、そうして第一線がやはり森林組合等の自主的なものを保険の窓口としてもっともっと活用していくという姿を現出していただいて、しかし先ほど言いましたように、ほかの保険では国庫その他の援助というものがすべてある。増田委員がおっしゃるのは林業だけではない、二十二年に一ぺんはずれたというような異様な姿があるわけでございますが、それも含めてひとつ御検討をいただきたい、大いにすみやかにこれが達成することを要望いたしまして質問を終わります。次官からちょっと……。
  193. 佐藤隆

    政府委員佐藤隆君) 私どもよりも林政については片山委員造詣の深いところでありますが、いろいろ御提言等も含めて御示唆を賜わりまして、保険の問題にしろ、あるいは林業災害補償法の早期制定の問題だとか、あるいは一番大きな問題は、私自身も考えておりますが、農協、漁協と比較して森林組合それ自体の脆弱な体質というか、これをどう育成強化していくか、こういう問題、真剣に考えていかなければならない段階だと思います。ただいまの御意見等も含めまして抜本的な改正に、それぞれの改正に取り組んでいきたい、かように考えます。
  194. 松本英一

    理事松本英一君) 本日はこれをもって散会いたします。    午後三時四十三分散会