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多田省吾君 時間もありませんから簡単に申しますと、西ドイツですね、西ドイツは連邦
選挙法の中にはっきり「第三条
選挙区の区分」、「(1)連邦大統領は常任
選挙区
委員会を任命する。
委員会は連邦統計局長官、連邦行政裁判所の裁判官一人及びその他の五人の
委員によつて成立する。」、「(2)
委員会は、
選挙地域における
人口異動に注意し、連邦国会の成立の日以後最初の一年の経過中に、
選挙区の区分の改定に関する提案を伴なう報告書を連邦
政府に提出することを任務とする。連邦
政府はその報告書を遅滞なく連邦国会に伝達し、連邦官報にこれを公示する。」、「(3)すべての
選挙区は連絡ある全体を形成しなければならない。
選挙区の区分に際しては、邦の境界は必らず、市及び郡の境界はできるだけこれを存置しなければならない。
選挙区の平均
人口からの偏差は上に向つても下に向つても33カ3分の1%より多くなつてはならない。」と、はっきりあります。
ですから、西ドイツは比例代表を中心とした小
選挙区・比例代表制ですが、しかも四百九十六の半分の二百四十八、これだけの
選挙区がありますけれども、その
選挙区においては、比率は一対二以下に厳密に守られておりますよ、一対二以下に。これは小
選挙区制の区域だったら、一対二以下に押えるのは至難のことですよ。中
選挙区制だったら一対一・五で押えられますけれども、小
選挙区制の場合は、しかも市及び郡の境界は存置するというのですから、理論的に言ったら、一対二というのは最高に厳格ですよ、最高に厳格。それを西ドイツはきちんと守っておるわけですよ。
〔理事永野鎮雄君退席、
委員長着席〕
イギリスだってそうです。全部は申しませんけれども、「
選挙区
委員会は、一
選挙区の
選挙人数と
選挙人
定数との間の、又は当該
選挙人数と連合王国内の当該管轄区域内の隣接
選挙区の
選挙人数との間の、過度の不均衡を避けるため、望ましいと
考えるときは前項の規定の厳格な適用をしないことができる。」、こうして、いわゆる連合王国内の数がきめられておっても、それをはずしても、もう過度の不均衡を避けるためには変えてもよろしいと、そういうことで、理論的ないわゆる
選挙人
定数と、それから実際の
選挙人数というものを、この規定においてはっきりときめてありますよ。なるべく厳格にすべきだということをうたってあります。
それからカナダでも、これはカナダの憲法ですが、憲法の中にはっきり
定数の問題をきめてあります。五十一条に「庶民院の
議員の数は」——これは
衆議院のことですね、下院のことです、「二百五十五人とし、庶民院における各州の代表数は、この条の施行後直ちに、かつ、その後においては、十年ごとに行なわれる
人口調査が完了するたびごとに、次に掲げる諸
原則に基いて調整されなければならない。」と。こうして「それぞれの州には、すべての州の
人口の総計を二百五十四で除し、除して得た数で、さらにその州の
人口を除し、しかも、この割算の結果、もし、端数が生じたならば、次に定める場合を除き、これを切り捨てることによって計算した
議員の数が割り当てられる。」。きちんと憲法に書かれております。そして
選挙区においてもそうですよ、これは憲法で定めておる。これはやっぱり
定数というものは
民主主義の基本だからです。
基本的人権の根本だからです。
それからオーストラリアの憲法だってそうです。憲法です。これは下院という項目に、「各州において
選挙される下院
議員の
定数は、それぞれの
人口数に比例するものとし、
議会が別段の定めをするまでは、いかなる場合においても次に掲げる方法によって決定する。」、こうして「下院
議員一人に対する割当
人口は、最近の連邦統計表に掲げる連邦の
人口を上院
議員の
定数の二倍で除することにより決定する。」、「各州において
選挙される下院
議員の
定数は、最近の連邦統計表に掲げるそれぞれの州の
人口数を下院
議員一人に対する割当
人口数で除することにより決定する。この場合において、当該割当
人口数の半数以上の剰余があるときは、更に一人を
選挙する。」という厳密な
人口比例。そのほか、ヨーロッパの比例代表の各国を調べても、大体憲法やあるいは
公職選挙法において、このような厳密な
人口比例あるいは
選挙人の比例によってきめられております。
それを、わが国だけが一対五近くなっても放置しておいていいというのは、そういうことは私は憲法違反でありますし、憲法を空洞化しておりますし、国民の
基本的人権を全然守っていない、
民主主義に根本的に反していると、このように私は言わざるを得ない。残念ながら、いまのわが国の憲法及び
公職選挙法にはないわけです。県会
議員の
定数だって、いま
公職選挙法に定めてあるように、毎回各県
議会において、
人口が移動すれば全部移動しておりますよ。減員もありますよ。ですから私は今後、
審議会において
審議されておりますけれども、
自治大臣として、こういう
衆議院の
定数を、法律的制度的にどのように組み入れられるつもりか、そういうお
考えはないのか、それをひとつお答え願いたい。