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多田省吾君 私も、
岩間委員あるいは
松本委員の御
質問と重複するようでございますけれども、この前の一月二十一日の
選挙制度審議会総会の
雰囲気、また、それに対する
取りまとめというものに非常に私たち問題があると思うんです。
特に
衆議院議員の
定数是正という問題は、これはもう憲法の問題であり、また、公職
選挙法にも「この法律施行の日から五年ごとに、直近に行われた国勢調査の結果によって、更正するのを例とする。」とございますように、法律
事項でもございます。しかも、今度は佐藤総理の第七次
選挙制度審議会に対する
諮問も、はっきり
衆議院の
選挙区制
改正と、もう
一つは
定数是正と
二つ盛り込んである。これらの点から考えますと、私は、この第七次
選挙制度審議会の第一
委員会において緊急措置すべき
事項として
定数是正を取り上げるのが、これは私は当然だと思う。ですから、この前も特に野党の
特別委員は全員こぞって、やはり政治不信を除去するためにも
定数是正を取り上げるべきだという
意見を強く言ったわけです。これは何も
特別委員だけじゃなくて、まあ一般
委員でも、藤井
委員とか土屋
委員とか、その他の
委員の方も非常にこの点強く
定数是正は
審議したほうがいいんじゃないかということは申されたわけですね。一部の
委員の中には、確かにいま松木
委員がおっしゃったように、
選挙区制の
改正問題をやっている最中だから、ここでいまやるのはまずいので、
政党間でこれはもうやってほしいと、こういう
意見もあったけれども、中には、ちょっと感情的に、そんな問題はもう
政党でやったらいいじゃないかと、こういうような
意見もあったわけです。
本
委員会でも、昨年ですか、自治大臣に
衆議院の
定数是正は早急にやるべきだし、また、
審議会にも大臣として早くやるようにと言うべきじゃないか、こういう
意見が強くありまして、昨年のたしか十一月ごろですか、自治大臣も、
選挙制度審議会の運営
委員会に対して、はっきりと
定数是正も一緒にやってもらいたいという要請をしたわけです。
そのことは、第一
委員会でも
報告がありまして、一部の土屋
委員とか、そういう
委員からは、これは当然だと、やっていくべきだという
意見もあったわけです。そういう
空気なのに
審議会で取り上げようとしないというのは、私は非常にこれはおかしいと思うのです。
先ほどから話があったと思いますけれども、いまの
定数のアンバランスなんというのは全くひどいもので、これはもう世界で類例を見ない全くひどい姿です。昭和二十一年ごろの疎開人口をもとにした
定数をもとにして二十六年間やっているなんということは世界に類例がありませんし、私は、国辱だと思う、こんな
選挙制度は。大阪三区と兵庫五区のアンバランスが一対五だなんて、国民の権利は五分の一に過ぎない。しかも、四百九十一名の
衆議院の
定数を、昭和二十一年当時と同じように、二十一万数千でいまの百二十四
選挙区に割り振りますと、東京七区なんかは
定数十二名になるのですよ。それがいま五名じゃありませんか。大阪三区とか、神奈川一区なんかの
定数が十一名になるのですよ。それがいま四名とか、五名じゃありませんか。こういうアンバランスはもう世界に類例を見ない国辱ものだ。だから、そういうことがあるから政治不信につながるんだと、国民の意思が公平に議席に反映されないんですから、むしろその正反対なんです。私は、第七次
選挙制度審議会の
空気に対して非常に異論がある。それは第六次
選挙制度審議会のときもそうでした。
参議院の
地方区の
定数是正をやろう、あれほどまで一年間かかってやったのに日の目を見なかったわけです。それで最後に、私たちは不本意ではありましたけれども、いわゆる三つの案が運営
委員によって出されたわけですが、それだって、あのときは選
挙部長はその席にはいらっしゃられなかったと思いますけれども、
選挙課長はいらっしゃったと思いますが、あのときは、
一つは東京、大阪、神奈川、これは六名増。それからもう
一つは東京と大阪を二、二ずつふやしてあと三つの
選挙区で
二つずつ減らすと、もう
一つは大阪、神奈川をふやすと、そういう三案が出たのですが、
委員の中で一番
意見の強かったのは、東京、大阪、神奈川は二名ずつ増にすべきだと、こういう案が一番有力だったのですけれども、結局、
会長の決のとり方というのは、この三案を
一つずつ聞くのじゃない、定員をふやすほうに賛成か、
現状維持なのに賛成か、そういうとり方。全然一、二、三案なんて
関係ない採決のしかた、それも初め一回の採決は何だかうやむやで、それは異論が出てだめになっちゃった。二回目にやっと手があがったんですけれども、何だかうやむやのうちに
定数をそのままに据え置くというのがたった一票差で通っちゃった。それで、実際は東京、神奈川、大阪を二人ずつふやす
意見の人が一番多かった。それが葬り去られて、そして二名減らす案と、それから全然
定数を変えない案、それがどちらがいいかというまた採決なんです。そういう不明朗な採決じゃ、ちょっと私たちは議員の意思が正確に反映しないんじゃないかと、そして
現状維持の案が通ったときに、ある民社党の
特別委員が、これで
定数是正はしなくても済んだと、こう言って終わったあとで喜んでいるわけです。ということは、結局、減らすことは絶対できないだろうという、こういう思惑で、東京、大阪、神奈川がアンバランスの
是正をしても与党には得しないんだと、野党だけ得するんだと、そういうのは
定数是正する必要がないという、こういう党利党略から、もう
是正しなくて済んだ
——まあそれが結局昭和四十五年度の国勢調査のあの結果によってもできなかったわけでございますけれども、そういう姿勢が
衆議院の
定数是正にも続いているんだと思うんです。そして、こういう世界一アンバランスな
定数をそのままにしていこうと。私は、総理の
諮問だって、
会長の解釈は間違いだと思うんです。根本的な
改正をやりながらこの
定数是正を、何ですか、やっていくような、そういう考えは間違いだと思うんです。でなかったら、総理の
諮問に
選挙区
改正と
定数是正をぴしっと
二つ並べて出るわけないと思うんです。
根本改正だけが主眼であったならば、
定数是正なんか何もやる必要ないじゃありませんか。
根本改正すれば、当然、人口比例あるいは有権者比例でやれば、
定数是正はできるんじゃありませんか。いま一番問題になっているのは、現
制度での
定数のアンバランスがひどいから、総理もついに世論に押されて
定数是正を
諮問に打ち出したんじゃありませんか。そうしたら、次の総
選挙でもし間に合わないという姿があるならば、緊急措置すべき
事項として
定数是正改正を一カ月、二カ月、三カ月かかってもやるべきじゃありませんか。その証拠に、一月二十一日から発足した第一
委員会の、いわゆるまとめるのが初めの予想に反して四月末に出るだろうと、三カ月以上かかっても出ないじゃありませんか。その時間に
定数是正の第一
委員会を開いていれば、いまごろできていたかもしれませんよ。これをサボっておいて、何も
特別委員が
定数是正を主張するのは党利党略のように受け取るのは非常におかしいことだと思うんです。残念ながら、第七次
選挙制度審議会では
衆議院の
定数是正をやる意思が全然もう一部にないという状態でありますから、私は、これはもう何としてもこの
政党間あるいは政府が
——法律
事項なんですから、ほんとに政府がやらなきゃならぬのです。昭和二十一年以降、五年ごとにやったかと言うんです。やってないじゃありませんか。昭和三十五年の国勢調査をもとにして、昭和三十九年に初めて一回だけやっているんです。その後の人口のアンバランスも昭和三十五年のときまでに比してもっともっとひどくなっている、現在は。そして、世界に類例を見ないような、こういう
定数のアンバランスになった。だから、もうはっきり総理の
諮問というものは、次の総
選挙が
現行制度で行なわれる場合は、当然、
定数是正を第七次
選挙制度審議会でなすべきだという
諮問だと私は思うんですけれども、でなかったら、あんな条項は要らないわけですよ、
根本改正ならば
定数是正ははっきりこれはできるんですから。それをやらないようなおかしな案は出ないと思うんです。だから、一般
委員から出た十三案だって、全部あれじゃないですか、
根本改正と一緒に人口比例でやっているじゃありませんか。これは当然なんですよ。だけれども、総理が
定数是正をもう一項目立てて、きちっと打ち出したゆえんは、やはり
現行制度で次の総
選挙が行なわれる場合には、
定数のアンバランスがあまりにもひどいから、
定数是正も合わしてやってくれという
意味だったんです。
まあ、私の話ばっかり長々とやって、たいへん申しわけありませんけれども、まあひとつお答えいただければお答えいただいてもいいんですけれども、これはどうですか。