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中村波男君 長官、先般、岐阜県知事の平野さんが長官にもお会いして、新幹線
公害の問題について陳情をいたしたはずでありますが、私は、大阪から東京まで——まだ岡山−大阪間というものは具体的に被害が出ていないと思いますから。東海道新幹線の
公害については、大同小異、岐阜県のみの問題ではないと思う。したがって、岐阜県の問題は、私が岐阜県でありますだけに、実情を知っておりますから、岐阜県の実態の上に立って具体的にひとつ質問をいたしたいというふうに思うわけです。
最初に、県がまとめました東海道新幹線にかかる
公害問題経緯書というのがありますが、これをごらんいただきますと、新幹線が開通をした直後に、三十九年の十一月十日に、安八郡安八町の馬渕貞義というのが、新幹線が開設されたために水田が、いわゆる新幹線によって遮断されて排水をするところがない、だからぜひ何とかしてもらいたい、こういう陳情を出したわけです。これはまあ直接振動とか騒音の
公害ではありません。しかし、四十一年六月から安八町におきまして七、八回にわたって騒音、振動の被害をそれぞれ県なり国鉄なりに陳情をしてきたわけです。しかし、全くこれらの陳情、苦情について国鉄として適切な処置をされたということはほとんどなかったわけです。その後、大垣、羽島、関ケ原、垂井町等々において振動、騒音、さらにテレビの電波
障害等々の苦情がどんどんと出てきたわけでありますが、私も実態
調査を二日間にわたって行ないました。実際高いところは九十ホン、六十、七十、八十というのはざらにあるわけです。そういう高い騒音の中で生活するということについて、全く
生活環境の破壊などという、そういうことばであらわせない苦痛があるというふうに私は思うわけです。たいへんなことであります。それらについてほとんど国鉄当局としても誠意を示されない、これが岐阜県の実情であります。
したがって、県もこういう陳情、苦情の中で国鉄当局と住民との板ばさみに会いまして、国鉄当局に強く善処方を要望いたしたわけでありますが、それによりますと、最後にその
資料がついておりますが、東海道新幹線総局の阪田貞元さんから平野知事に対して、昨年末の十二月十五日に回答が寄せられたわけです。これを見ましても、ほとんど回答らしい内容にはなっておらないわけです。特に、この中で、テレビの電波
障害についてぜひひとつ考えてもらいたいという要求に対しまして、回答は、「本件の新幹線テレビ
障害対策としては、
昭和四十年三月三十一日、日本国有鉄道と日本放送協会における覚書により、日本放送協会において
障害除去のための必要な対策は、
昭和四十年四月一日から
昭和四十一年九月三十日までの間に、すでに
措置ずみである」、こういう回答が行なわれたわけです。
措置済みであるという実態はどうかといいますと、なるほど当時千円出せば特殊アンテナをつけましょう——特殊アンテナというのは、実際は五素子のアンテナを七素子にするということだったと思うのでありますが、その程度であったのですね。しかし、電波
障害につきましても、開通当初は十二両編成、しかも、間隔がいまに比べれば大きかったわけです。万博を契機にして十二両編成が十六両になった。いま大体地元の人たちは、七分平均間隔だと言っておりますが、いわゆる新幹線の運行間隔がぐっと縮まった。それから、たとえその当時千円を出して一応アンテナ等をかえたといたしましても、アンテナなどというものは六年も七年も、一度かえたからといって、もつものではありません。したがって、そういうことをしたから
措置済みだといってしゃあしゃあとしておるというような国鉄の態度に住民は感情的になっておるということをまず私はこの機会にお話をしておかなければなりません。
時間もありませんから、具体的な内容について詳しく言いませんけれども、そこのお手元にありますように、振動によって家が傾いた、そのために、いわゆる土台をやり直さなければならぬ。約百万円も使って修理をした、その他ふろ場、いろいろな家屋の修理等に要した費用というのは大きいし、そのうちには何とかしてもらえるだろうというので、いわゆる家が傾いた中でがまんをしておるというのが実態なんです。それから、六十、七十、八十、九十という、いわゆる騒音の中では、テレビの電波
障害もありまするけれども、その間は全くテレビの声は聞こえない、電話がかかってきても、その間は中断をしなければならない、家族が話し合うにしても大きな声をしなければならない、こういう実態というのを考えますならば、もう少し前向きで実害に対して救済をするという対策を早急に国として
法律的にも行政的にも払うべきでありますし、国鉄ももう少し誠意を示してやるべきではなかったかというふうに思うのでありますが、これは長官と、国鉄の常務理事さんのほうから、国鉄の今日までの経過、態度、これにどう対処されるかということを含めてお聞きをしておきたいと思うわけです。