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政府委員(
藤尾正行君) はい、わかりました。まあ、さようなことでございまするので、この
足尾の問題につきましても、私はその由来、その
影響、それがどのような
本質のものであるかということの
究明が非常に大切であろうと思います。
特に私が
考えておりまするのは、
足尾の場合には、
公害におきまして問題になりまするのは、
足尾の銅製錬所におきまする粉じん、それから
汚泥流出に対しまする
水質の問題、こういったことが主たる問題であろうと思います。したがいまして、私が
政務次官をやっておりましたときにおきましても、そのような
カドミウムという問題が初めて
指摘せられましたので、私は直ちに
古河鉱業に命じまして、これに対する
対策を直ちにとれということを
通産省の名におきまして命令をいたしたはずであります。以来、
古河鉱業におかれましては非常な
努力をせられまして、これに対しまする
措置をやられたと私は思います。もしその後におきまして
古河鉱業が、
カドミウムの水というものを
渡良瀬の中に流し込んでおるという事実がございましこならば、これは私の不明であり、いかに私は
古河が責められてもしかるべきであろうと思いまするし、私は
太田の
皆さま方とともに、あるいはそれ以上の迫力をもって、先頭に立ってこの
古河の糾明いたします。
しかしながら、少なくとも
古河の発表をいたしておりまするところによりますると、いまの
渡良瀬に対しまする数
カ地点におきまする
水質の検査におきましては、そのような
基準以上のものは出ていない、こういうことでございます。私はその真否を確かめたわけでございませんから、これは技術的に
あとで御
究明をいただきたいと思います。しかしながら、もし会社が
責任を持ってそのようなことを言っておるということでございましたならば、
水質におきましては一応の私はめんどはそこでついておる、かように
考えるのでございまして、その点につきまして
古河を
犯人であるといって糾明するのはいささか酷である、かように私はいまだに
考えております。それが第一点でございます。第二点は、
渡良瀬の中に流れておる銅、これを新たに
被害重金属として指定せよという御
要求でございました。
今日ただいまにおきましては、実はまだその
被害重金属に指定せられておりません。ただいま
専門家でございまする
通産省の係官に聞き合わせましたところ、私が
考えておると同様でございまして、これは明らかに何らかの
規制をしなければならぬけれ
ども、
カドミウムでありますとか
PCBでありますとかいうものと違って、その準備は進めておりますけれ
どもそこまではいっていない、こういうことでございます。したがいまして、これが新たに
政府の名をもちまして、社会的に、これが
汚染をするもとであるということで銅が
指摘をせられるということでございましたならば、
渡良瀬の銅に対する
責任を、
古河が何らかの
措置によって防止するということを
要求するのは当然でございまするし、また、それをしないということでございましたならば、
古河もまたいかなる指弾を受けてもしかたがない、また私
どもはそれに対して率先してその
解決に当るべきである、かように
考えております。第三に
カドミウムの問題であります。この問題につきましては、先ほど申し上げたとおり
カドミウムに対しまする
対策は、
古河はすでにとっておりますと私は信じております。
しかしながら、
カドミウムの
汚染といいまするものは、その
流出をとめたからといいましても、それが直ちにとまるものではありません。御
案内のとおり、長きにわたって自然に流れ出し、それが土壌に浸透していっているという場合に、これは重大な結果を招いてまいります。したがいましてこれにつきましては、その
責任者がだれであろう、かれであろうということでなくして、私
どもは、こういったたとえば
カドミウム米が出てきたというようなことに対しましては最も敏感に反応をし、それに対する、
農家の
方々の御
被害がないようにということを当然
考えていかなければなりませんし、同時に、これが食糧として
国民一般に流れ出すというようなことがあっては一大事でございまするから、これに対する
対策は十二分にいたさなければなりません。当時におきましても、私が
通産政務次官をいたしておりましたときも、そういった問題につきまして、農地の
表土、これに対しまする入れかえの御
要求がございました。これは国と県とそうして
古河が、それぞれの
責任をもってやれということで私はやったように
考えております。この点は私は確認をいたしておりませんから、あるいは私の言うことに間違いがあるかもしれませんけれ
ども、ひとつ
あとでお調べをいただきたいと存じます。
こういったことと同時に、私はこういった
カドミウム米というようなものが出てきたという不幸な
事態に対しましては、今日、その
表土を改めましてもなお
カドミウムが出てくるおそれがあるということになれば、当然私
どもといたしましては、これは
農業政策といたしましてこれに対しまする転換を
考えて、それに当たられます
農家の
方々の
被害がないように十二分に
考えていかなければなりませんし、同時に私は、これは
地元の
農家の
方々もまた農協の
方々も、
地元の県におかれましても、これに対しまして、
カドミウム米の
生産というものにかわるべき農作物は一体何だということを徹底的に調べなければなりませんし、たとえばこれを花木にいたしますとか
街路樹を植えるとか、あるいは
桑苗を植えまして養蚕をするとか、あるいは花卉を植えるとかというような
方法で、米の
生産というものにかわるべき
農業というものを打ち立てなければならぬと
考えております。それに対しまする
政治責任といいますものは当然あるわけでありまするから、これに対しましては、国、県、
地元といいますものがそれぞれの
責任を負いましてこれに当たり、そうして
地元の、そういった
カドミウム米をおつくりになられました農民の
方々に御迷惑のかからないように、最善の
努力をしてまいるということが私
どもの
政治家に与えられました当然の
責任である、かように
考えております。それからなお、つけ加えて申し上げますけれ
ども、御
案内のとおり
渡良瀬川という川は、
足尾に発しまして延々と
群馬県に流れ出しまして、それから足利を通って、
太田を通って、佐野を通って、私
どもの藤岡の遊水池に入ってまいるわけであります。ところがこの問題につきましては、
太田の
方々は非常に熱心に、この
公害の問題に対して
対策協議会をおつくりになって戦っておられるわけでありますけれ
ども、私
どもの
選挙区でございまするその上流の足利、その下流の佐野、藤岡というところにおきましては、そういう問題は起こっておりません。そこに私は問題の一つがあろうと思います。特に飲料水の場合、もしこの水が悪いということでございましたら、これは人命に関する問題でございまするから、これはもうどんなに巨費を投じましても、その水の純化ということに全
努力を集中をいたさなければなりませんけれ
ども、これから取水をいたしておりまする足利におきましても、佐野におきましても、また
太田自身におかれましても、私は、取られておりまする飲料水についての問題は起こっていないように
考えております。そういったところにこの問題の
本質があるわけでございまして、私自身は私自身なりに
栃木県選出の
政治家といたしまして、私
ども御選出をいただいておりまする県民の各位に御迷惑のかからないように、積極的にこの問題に取り組みまして、問題の
解決に当たるのが当然である、かように
考えておりまするから、この
公害の問題に対しまする対処のしかたという面におきましては、私は
太田の
皆さま方以上に、どなたにも負けない熱意と
責任をもちましてこの問題に当たりたいと
考えておりまするし、また、私がいかなる
状態に立ち至りましても、私はそのために邁進をいたさなければ、大先輩でありまする田中先生にも申しわけがない、かように
考えておるわけであります。もし田中先生が今日
おいでになられましたならば、田中先生は、当時の権力でございました
政府権力に対しまして、あのようなりっぱな戦いをやられたわけでありまするけれ
ども、今日、
科学技術が
進歩をし、そうしてその分析が進み、那辺に一体その問題があるかということがだんだんと
究明せられてくるという今日におきまして、田中先生が今日生きておられましても、おそらく私同様の
考え方をおとりになるであろうと、私はかように信じております。私は、
公害問題一般を取り扱いまする場合に、だれが悪いとか、あるいはそれに対して補償金をよこせとか、ということだけに問題をしぼっていくといういまの風潮といいまするものを、あまり好んでおりません。むしろ、私
ども政治家に課せられましたこれに対する対処のしかたは、その根源をさぐって、ただいま
PCBに対しまして
大石長官が述べられましたように、まだわからない部門がある、そのわからない部門を
究明し、あらゆる総力を結集をいたしましてその原因を除去して、
地元住民の
方々、
国民に御安心を願うということこそが私は
政治家としてとるべき態度である、かように
考えておりまするので、残念ではございましたけれ
ども、当日
おいでになられました
太田の
皆さま方の御
見解と私の
見解は違っております。その
見解の違いといいまするものを私は議論しようとは思いません。
皆さま方は御
陳情に参られたわけでありまするから、
皆さま方の御
趣旨はわかりました、しかしながら議論をする筋はございませんからお帰りください、こういうことでお帰りを願ったわけでございます。
茜ケ久保委員も御
案内のとおり、私は
人間が非常に粗野でございまするから、大きな声も出しまするし、また表現もきわめて適当でないということは多々ございます。今日ここにきて、心から反省をいたしておりまするけれ
ども、そういった私の態度、あるいは私のことばの声の大きさとかというようなもので、こいつは無礼なやつだということだけでこの問題を取り上げられるには、問題が非常に大きい、かように
考えまするだけに、私は私の所信に従って、基本的な根本的な問題の取り上げ方に邁進することこそが、
足尾の今日の
鉱毒、こういった問題に対しまする私
どもの
責任であろうと、かように今日なお
考えておるわけでございまして、
お答えになったかならないか、わかりませんけれ
ども、一応私の所信を、弁明をさしていただいたわけでございます。