○
国務大臣(
丹羽喬四郎君) まことにごもっともな御議論でございまして、実は私も、
海上交通安全の見地からいたしまして、ことに先般新潟沖合いにおきますジュリアナ号のああいったような
事故等にかんがみまして、もし万一
巨大船が
東京湾、
瀬戸内、あるいは
伊勢湾におきましてああいったような
事故を起こしましたら、これはえらいことであるということを痛感いたしまして、でき得れば直ちに
巨大船の入航
制限をしなきゃならぬというふうに考えた次第でございます。御
承知のとおり、ただいま申しました
瀬戸内、
東京湾、また
伊勢湾、この三つでもって日本の輸入原油の約九一%、これがみな各港に入ってきている。こういうふうな
実情でございます。御
承知のとおり、燃料の大部分が、燃料革命によりまして、ほとんど油にたよっている。日本のあらゆる生活機能というものの一番もとになっております。これは工場のいままでの配置が悪かったといえば悪いのでございまして、これは将来の問題といたしまして、私
ども、これを内海方面にのみ工場を配置するということは早急に改めなくちゃいかぬ。工場再配置、いわゆる立地条件を再開発するということが一番大きな問題でございますが、ただいまのところ、それをいたしますと、直ちにあらゆる生活、あらゆる産業に非常に支障を来たすということで、やむを得ず、ただいま大体大きいのは二十三万トンくらいでございますか
——のものを許している次第でございますが、将来に向かいましてはこれを早く何とかいたしたい。そして、そういったような
航路のふくそうしておりますところには
巨大船をなるべく入れないようにする。その
制限をするということは当然のことでございまして、これをひとつ実行に移さなくちゃいかぬというふうに思っている次第でございます。現に、先般四十七万トンの
巨大船の許可をいたしましたが、これは鹿児島湾の喜入(きいれ)、御
承知のとおり、あらゆる安全装置を喜入のバースにおいては持っております。消火せんあるいは集油施設その他もすっかりできております。しかも、もうほとんど外海に近いところでございます。ここへの寄港だけを唯一の条件といたしまして許可をした次第でございます。それ以外の港にはこれは寄港せしめぬという強いあれでもってこれを許可した次第でございますが、将来ともそれは当然やらなくちゃいかぬことでございます。ただいまの問題といたしましては、できるだけ早い機会にあのパイプラインによる、あるいはもう小型タンカーによりましてそうして内海のほうに持っていく。そのもとといたしましては、やはり工場の再配置というものを行なうということをやらなくちゃならない次第でございますが、御
承知のとおり、いま問題は、
巨大船と申しましても、そのうちのタンクのサイズが非常に問題になっている。御存じのとおりでございます。先般IMCOの会議におきまして、私とものほうの
船舶局長が参りまして
——御
承知のとおり
船舶技術につきましては日本が世界をリードしております。タンク・サイズというので、一応リードもしてきた次第でございますが、そのタンクの
構造の問題、タンクのサイズの問題ということが非常に問題になってきている問題でございます。要は、この考え方は、いまも問題になっております
巨大船が安全であるか、小さな船が安全であるかという問題は、普通の飛行機とジェット機との
関係にも私はなってくるのじゃないかと思う次第でございます。どちらがほんとうに
安全航行ができるかどうかということが非常に問題になってくる。その
船舶の
構造ということも非常に私は
影響がある。十万トンの船が五隻行くのと三十万トンの船が一隻半行くのとどっちが安全になるかというような問題でございます。それらも
勘案いたしますとともに、しかし、根本はやはり内海方面に工場が、そこに集約する。バースもそこに集約するということが問題でございまして、どうしてもやはり外海方面にそのバースを持っていく。御存じのとおりいま国土再開発、均衡のある発展ということが問題でございますが、さらに東海道を中心として
瀬戸内、こういった方面にばかり人口が集中して工場が集中する。裏日本はだめだ。東北はだめだ。こういうようなことでございましたら、これはやはりいつまでたちましても、
運輸行政というものは、あと追いあと追いという御叱責を受けている次第でございますが、そうなってくる。やはりそういう面におきまして、ほんとうの均衡のある港湾、均衡のある輸送体系ということが一番必要になってくると思う次第でございまして、そっちのほうでもせっかく私
ども努力をする次第でございます。いろいろまた御指導をいただきまして、その方面におきまして
交通安全につきましても強くやってまいりたいと思っている次第でございます。
日本の港湾技術も進んでおりますが、外港のバースをつくる場合におきますると、波のエネルギーが波高の二乗になってくるのでございまして、バースをつくる場合におきましては二乗のやはり堅牢にしてあるところのバースをつくらなければならぬというような点、技術的に非常に問題がある次第でございますが、しかしながら、これはどうしても私
どもやり遂げなくちゃならぬというので、せっかくいま指導している次第でございます。そういった面にかんがみまして、非常に問題は山積している次第でございますが、ぜひともそれをしなければ、ただいま御指摘になりましたような安全というものはなかなかにはかっていくことができぬ。先般のジュリアナ号におきましても、わずか一万数千トンの船でございました。流れた油がわずか六千トン足らずでございます。しかも、あれだけの流出になっている。幸いにいたしまして、あすこは日本海でございまして、波濤が激しいところでございますので、自然的浄化によりまして事なきを得たのでありますが、
瀬戸内あるいは
東京湾みたいな非常に穏やかなところで起こったら、非常にそこにずっと永久にあることになる。私
どもはそこを非常に心配しているのでございますが、そういうことのないように、それにはまず安全
——何と申しますか、
衝突をしない、座礁をしないということをはかることがいま一番の緊急のところだと思います。せっかく
海上保安庁におきましてもそれらの対策を十分にひとつやるということでやっておる次第でございます。いま御指摘をいただきました、ほんとうに内港に入らないことは当然じゃないか、そのとおりでございますが、現状はそういうことでございますので、この
事故防止につきまして懸命に努力をいたしますとともに、また、そういったような根本策につきましても早急にこれをやっていくということで、少なくとも現在以上のものは許されないということはかたい決意、決心を持ってやっておりますので、それ以下のものにつきましても、これをどんどん縮小していくという方向に向かってやるつもりでございますので、一そうのひとつまた御指導を賜わりたいと、こう思う次第でございます。