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政府委員(
片岡誠君) 初めに
昭和四十六年中の
都道府県別の
交通事故の
発生状況について御
説明いたしたいと思います。お
手元に一枚紙がございますので、
ごらんいただければ幸いだと思います。
先ほど
総理府総務長官、
国家公安委員長からもお話ございましたが、昨年は、一番下の欄を
ごらんいただきますと、
発生件数において二・五%、それから
死者数が二・九%、
負傷者数が三・二%と
発生件数、
死者、
負傷者数とも前年に比べて
発生が減少いたしました。戦後、
死者数が対前年比で減少しました年は四回ございます。しかしながら、
発生件数、
負傷者数とも減少いたしましたのは昨年が初めてでございます。ただ、そういう
傾向になりましたことを非常に私
ども喜んでおりますし、また、この
傾向をことしも続けてやってまいりたい、そのように思っておりますけれ
ども、
地域別にこれを見ました場合に、中身を見ますと、まだいろいろ問題がございます。たとえばこの表の上のほうにございます警視庁、東京都の欄を
ごらんいただきますと、
発生件数が一三・四%、あるいは
死者数が一九・九%、あるいは
負傷者数が一五%というふうに非常に減っております。また、愛知県を
ごらんいただきますと、
発生件数が六・五%、
死者数が一四・八%、
負傷者数が七・七%、それから大阪府を
ごらんいただきますと、
発生件数が六・二%、
死者数が一八・四%、
負傷者数が八・五%、このように大
府県で
発生件数、
死者数、
負傷者数とも相当激減してまいっております。それに引きかえまして、
東北地方とか、あるいは
関東地方の中の
周辺部、茨城、栃木、群馬、山梨といった
周辺部の
府県、それから山陰の鳥取、島根、それから四国の徳島、高知といったところ、それから九州の南部の
府県ではふえてまいっております。これはどうした
理由だろうかということでいろいろ分析をいたしましたのですけれ
ども、現在私
ども考えておりますのは次の三つの点が問題ではないか。
一つは、
警察官の
監視力と申しますか、大
府県は
人口に比べて
警察官の数が多い、したがって、街頭の
監視力も相当強いというのが
一つの
理由ではなかろうか。それからもう
一つは、これは
公安委員会所管と同時に
道路管理所管の両方合わせます
安全施設の
公共投資が、大きな県では相当いままでもなされてきましたけれ
ども、
地方部ではまだそれが
公共投資の額が少ないというのが第二の
理由ではなかろうか。それから第三の
理由としまして、
地域社会の
人たちの、それが
歩行者の場合であろうと
運転者の場合であろうと、両方含めまして
地域社会の
人たちの
車社会と申しますか、
自動車交通に対する
適応性が違っているんじゃないか。
大都市をかかえている
府県の場合には、
自動車交通の歴史も古うございますし、だいぶ
適応はしておるんだけれ
ども、最近急激に
自動車の
普及し出した
府県ではまだ
適応が十分なされていないという点があるんではなかろうか、大体以上三点がおもな
理由ではないか。したがいまして、そういう問題を踏んまえまして、
対策もおのずから出てまいるわけでございますので、私
どもとしましては、
公共投資、
安全施設の
投資をいま
事故が急激にふえている
地域に多くするし、
警察官の
増員も主としてそういう
地域に
増員してまいりたい。あるいは
安全教育の面でもそういう
地域に特に力を入れてまいりたい、このように考えております。
それから、お
手元に「
昭和四十七年における
交通警察の
運営について」という別の
資料がございますので、それを
ごらんいただきたいと思います。
三ページから
項目に従って概略簡単に御
説明いたします。
まず初めに、
交通規制の先行的な
推進ということでございますが、
都市交通規制の
基本計画の作成、各県のおもな
都市はその
都市の
道路、幹線
道路なり、あるいは準幹線
道路、それから主として住宅内の生活
道路というふうに、
道路の機能によって具体的な
道路を分類して、そのおのおのに従った
道路交通の利用方法に従った規制のしかたをやっていくという
基本計画をつくってまいりたいと思っております。
それから、その次に
歩行者——自転車を含みますが、保護のための
交通規制の
強化をしてまいりたい。特に市街地における幅員の狭い住宅街の
道路は、
自動車の通行どめをやって
歩行者用道路にしてまいりたい。それから、これは一日じゅうやるわけでございますが、さらに、もう少し広い
道路でございましても、通学・通園の
道路、それから主婦が夕方買いものに多く出る
道路、あるいは子供のための遊戯
道路、これは日曜日でございますが、そういう遊戯
道路あるいは
歩行者天国などの
歩行者のための
道路を
歩行者用道路として先行的に
整備強化していく。この
歩行者用道路というのは昨年の道交法の改正でできた制度でございますが、御承知だと思いますけれ
ども、通過
交通を締め出していく、そしてその
地域内に車を持っておられる人については署長が許可証としてステッカーを出して、そのステッカーを張ってある車だけを通すという制度でございます。それから、路側帯を
整備して、自転車あるいは自転車専用通行帯の規制を
強化してまいりたい。もちろん
道路管理者のほうで歩道をつくりましたり、あるいは
自転車道をつくっていくのが本筋でございますので、そういう施設ができるまでの間、少しでも
歩行者なり自転車の安全をはかってまいりたいという趣旨でございます。
それから、次に
歩行者保護地区なりスクールゾーン、通学ゾーンとか、
歩行者の保護のための面規制を積極的に実施してまいりたい。これは
総理府の
交通安全対策室を中心に各
省庁が相談いたしまして、春の安全
運動から、引き続き通学スクールゾーンをつくってまいりたい。
学校を中心に半径五百メートルくらいの区域にスクールゾーンをつくりまして、通学する子供の安全をはかってまいりたいという趣旨でございます。
それから、その次は
都市交通の
効率化のための
交通規制の
推進、これは東京、大阪あるいは名古屋といった
大都市から、地区の中心になるような札幌、仙台、広島、福岡といったような、そういう
都市まで大体
交通混雑が非常にひどくなっております。そういう
都市交通の緩和の問題のやり方としての当面の策として私
ども考えておりますのは、路線バスなどの公共輸送機関の優先通行を増してまいりたい。そのために優先通行帯を積極的に
設置してまいりたいし、特に必要な場合には、バスの専用の通行帯をつくってまいりたいというふうに考えております。
それからもう
一つは、駐車規制をきびしくはいたしますけれ
ども、自家用車で朝持ってきて夕方まで
道路上にほうり出しておくといったような車については、きびしく規制をしてまいりたいと思いますけれ
ども、業務用の駐車使用というものは、どうしても
大都市では必要でございます。路外の駐車場も必ずしも
整備されておりませんので、パーキングメーターをつくりまして、一時間なら一時間という駐車時間の制限をする。しかし、それ以上の駐車はさせないということで、有効に使っていくという制度を考えております。現に警視庁、東京都内の銀座地区に
設置を始めました。幹線
道路の一方通行、あるいは中央線の変移などをいたしまして、できるだけ
都市交通の混雑緩和に資してまいりたい。それから、バス路線をつくって、駐車規制をきびしくすることによって間接的に自家用車の都心乗り入れというものを抑制してまいりたい、そのように考えております。
それから、その次に
交通公害防止のための
交通規制の実施でございますが、これは特に住宅街における夜間の
自動車騒音防止のための
交通規制に力を入れてまいりたいと思っております。
それから、
交通安全施設等の
整備促進でございますが、
信号機、横断歩道などの
整備をやってまいりたい。
昭和四十六年度を初年度とする五ヵ年
計画のことしは第二年度になりますけれ
ども、昨年が国の
補助する
事業が六十六億でございましたが、
昭和四十七年度
予算として、一応、
政府原案では百十二億の
予算を準備いたしております。これで相当
信号機が
設置できるのではなかろうかということを期待いたしております。また、
信号機が安全のためには非常に有効でございますけれ
ども、
信号機をたくさんつけますと渋滞が起こってまいりますので、それを電子計算機を使いまして、
信号機を面的に制御をいたして、安全であるとともに円滑にも資したい、そのように考えております。
それから、
道路標識や
道路標示につきましても、量をふやすだけではなくて、よくわかるように視認性も高めていくということもあわせてやってまいりたいと思っております。
それから、次に適正かつ効果的な
交通指導取り締まりの
強化の問題でありますが、
交通及び外勤の
警察官あるいは
交通巡視員だけではなくて、機動隊員なり署の直轄警ら隊員な
ども集団的に
計画的に街頭に出して、街頭監視を
強化いたしたいと思っております。また、取り締まり対象としましては、無免許運転とか、飲酒運転、あるいはスピード違反、それから追い越しのためのはみ出し違反といった一番危険な違反に重点をしぼりまして取り締まりをいたしたいと同時に、
都市におきましては駐車違反を徹底的に取り締まってまいりたいと思っております。
それから、次に六ページにまいりますが、
交通事故事件、ひき逃げ事件その他の
交通犯罪捜査力を
強化してまいりたい。
交通事故事件を安全、適正、迅速に処理していくということと、また、ひき逃げ事件あるいは欠陥車の
事故でありますとか、当たり屋・当たられ屋といったような事件についても捜査力を強めてまいりたいと考えております。
次に、
交通安全国民運動の展開でございますが、
安全教育の
推進をいたしたい。そうして、また同時に関係団体、組織等に対する協力もやってまいりたいと思っております。中に、先ほど申しましたスクールゾーンの問題でございますが、特に
歩行者の中でも幼児が
交通事故の
事故率が高うございます。三歳、四歳、五歳辺の幼児の
事故が非常に問題でございます。
学校に入りますと小
学校の先生の教育もいいと思いますので、急激に
事故率が減ってまいっております。問題は幼児であるということと、六十あるいは七十を過ぎたお年寄りが非常に
事故率が高うございます。その幼児とお年寄りあるいは身体障害者も含めまして、弱い
道路利用者に対する
事故を減らすというところに力を入れてまいりたいと考えております。
それから、次に
運転者対策の
推進でございますが、新規に免許を取得した
人たちの
安全運転能力を向上するために、試験のやり方を改良してまいります。学科試験、それから技能試験につきましてもやり方を
改善してまいりたいと思います。それから同時に、この普通免許の取得者の八割ばかりは指定
自動車教習所を卒業いたしておりますので、指定
自動車教習所の教育いかんが
運転者の
安全運転能力に非常に影響いたしますので、指定自保車教習所の職員——
指導員とか、検定員に対する講習にも力を入れてまいりたい。それから、すでにもう免許をとっている既成の
運転者の資質向上をはかるために、更新時の講習を、昨年の道交法改正でこれを義務化いたしました。それから処分者の講習、違反者あるいは
事故を起こした
人たちに対する講習の中身も充実してまいりたいと、かように考えております。
それから、昨年の道交法改正ででき上がりました
交通方法に関する教則を国家公安
委員会がきめて
普及するという問題でございますが、先般、国家公安
委員会できめまして、現在その
普及版の作成に力を入れております。近くできますので、先生方のお
手元に届けられることになろうと思いますけれ
ども、わかりやすい道交法と申しますか、
交通に関する教則の
普及徹底もいたしてまいりたいと思っております。
それから次に二輪車の
安全運転対策の
推進でございますが、二輪車
事故が最近ふえてまいりました。特に七五〇CC、あるいは五五〇CCという高排気量の車がだいぶ出回ってまいりまして、青年がそれに伴って
事故を起こしておるという状態もございますので、免許試験のやり方をいま検討いたしておりますが、同時に、やはり教えるということも大切なことでございますので、自動二輪車、原付自転車の取得者に対する
安全教育の徹底も組織的にはかってまいりたいというふうに考えております。
それから最後に
交通警察体制の
整備でございますが、
一つは
道路交通法の改正の問題でございます。一昨年、昨年と大改正いたしましたけれ
ども、若干、免許行政に関して残っておりますので、今
国会で御提案をいたしたいと思っております。いずれまた御
審議をお願いいたすことに相なろうと思います。中身は主として、
一つはその路上試験、
自動車の免許を路外で試験するのではなくして、路上でほんとうに安全に運転できるかどうかを確かめて初めて
安全運転ができる人に免許証を渡すというふうに、路上で試験をいたしたいというのが
一つでございます。それからもう
一つ、ここにございませんが、免許証の有効期間の末日を誕生日にいたしたいということを考えております。これは有効期間が過ぎてうっかりしていて失効になる方が毎年八万人ばかりもございますので、自分の誕生日であれば忘れないで覚えておられるであろうということで考えております。おもな点はそういう点でございますが、いずれ御
審議いただきたいと思っております。
それから、その次が最後に体制の
整備でございますが、
交通警察官の
増員をはかって、機動警ら、検問等の体制を
整備する、これは外勤
警察官と
交通警察官と込みでございますが、四千人の
増員で
予算原案をつくっておりますので、できればこの四千人の
警察官を使って
監視力を強めてまいりたいと、そのように考えております。
以上でございます。