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1972-06-06 第68回国会 参議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月六日(火曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      西村 関一君     松本 英一君      中尾 辰義君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 竹内 藤男君                 中村 禎二君                 米田 正文君                 沢田 政治君                 田中  一君                 二宮 文造君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        近畿圏整備本部        次長       朝日 邦夫君        環境庁水質保全        局長       岡安  誠君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省計画局長  高橋 弘篤君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君        建設省道路局長  高橋国一郎君        自治省財政局長  鎌田 要人君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        経済企画庁総合        開発局参事官   牧野 俊衛君        環境庁自然保護        局計画課長    宇野  佐君        通商産業省企業        局立地指導課長  平河喜美男君        通商産業省企業        局工業用水課長  植田 守昭君        通商産業省公害        保安局公害防止        企画課長     島田 春樹君        建設省都市局下        水道部長     久保  赳君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○新都市基盤整備法案内閣提出衆議院送付) ○琵琶湖総合開発特別措置法案内閣提出、衆議  院送付)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  去る三日、西村関一君が委員を辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     —————————————
  3. 小林武

    委員長小林武君) 新都市基盤整備法案衆議院送付)を議題といたします。  まず、政府側から趣旨説明を聴取いたします。西村建設大臣
  4. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ただいま議題となりました新都市基盤整備法案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。  最近における人口産業都市集中に伴い、土地問題は、ますます緊要の課題となりつつあります。  このための対策としては、人口産業大都市への集中の抑制、市街化区域内の土地有効利用促進地価形成合理化公的土地保有の拡大などの総合的施策を強力に推進するとともに、大都市及びその周辺地域における宅地の大量かつ計画的な供給をはかる必要があります。  本法案は、大都市周辺地域における計画的な宅地開発を推進するため、新たな宅地開発制度を創設し、これに対処しようとするものであります。  人口集中の著しい市街地周辺地域における宅地開発に関する制度としては、新住宅市街地開発法による新住宅市街地開発事業及び土地区画整理法による土地区画整理事業があり、地方公共団体日本住宅公団等によりこれらの事業施行され、宅地大量供給に寄与してまいりましたが、大都市及びその周辺地域における現下の宅地需給の不均衡に対処するためには、宅地開発適地について従来どおり新住宅市街地開発事業及び土地区画整理事業施行促進をはかるとともに、さらに、交通施設等社会資本が乏しいなどの理由により、健全な市街地として発展させることが困難な地域についても、大規模宅地開発を行なう必要があり、そのため公共施設整備はもとより、教育施設商業業務施設医療施設等居住者の生活上必要な諸施設整備をはかるための新たな措置を講ずることにより、これを宅地として供給することが必要であります。  本法案によります新都市基盤整備に関する制度は、このように大規模宅地開発を行なうことによって、大都市における人口産業集中の緩和と宅地需給均衡に資するとともに、大都市の秩序ある発展に寄与することを目的とするものであります。  次に、本法案による新都市基盤整備に関する制度の概要を申し述べます。  第一に、新都市建設をできるだけ能率的、効果的に行なうため、新都市基盤整備事業施行する区域市街化区域内において都市計画として決定し、その際施行区域市街化のために必要な幹線道路鉄道地区公園等根幹となる公共施設及び施行区域市街地としての開発発展中核となるべき教育施設商業業務施設医療施設等福祉利便施設及びこれらの施設の機能を維持するために必要な当初定着人口を居住させる住宅施設からなる地区配置計画を定めることといたしております。  第二に、根幹公共施設及び開発誘導地区のために必要な用地取得については、これらの施設の効用が施行区域全体に及ぶものであることにかんがみ、施行区域内の土地所有者等に均等に負担をさせることとし、根幹公共施設及び開発誘導地区に必要な土地面積に対応する面積土地を、施行区域内の各筆の土地から一定割合を定めて均等に原則として協議によって取得し、協議によって取得できないものについて、初めて収用手続を進めることができることといたしております。  第三に、施行者が必要な土地取得完了したときは、施行者所有地根幹公共施設及び開発誘導地区に集約し、その他の民有地を整理するため、土地区画整理に準じた方法土地区画形質変更土地交換分合公共施設変更等を行なうことといたしております。  第四に、このようにして取得した土地処分については、根幹公共施設用地はその管理者に、開発誘導地区内の土地施行者がみずから開発するか、または公的宅地開発機関に譲渡して、それぞれ開発整備が行なわれ、民有地部分については民間の宅地開発が行なわれるものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 小林武

    委員長小林武君) 引き続き、本案について補足説明を聴取いたします。高橋計画局長
  6. 高橋弘篤

    政府委員高橋弘篤君) ただいま議題となりました新都市基盤整備法案について補足説明を申し上げます。お手元に資料がございますので、その中の要点を簡単に御説明申し上げたいと思います。  第一条から第六条までは総則を定めたものでございます。  第一条は、この法律目的を定めたものであります。  第二条は、この法律に用いられている用語の定義を定めたものであります。  まず、「新都市基盤整備事業」とは、都市計画法及びこの法律に従って行なわれる新都市基盤となる根幹公共施設の用に供すべき土地及び開発誘導地区に充てるべき土地整備に関する事業並びにこれに附帯する事業をいうものといたしております。  次に、「土地整理」とは、施行区域内において施行者取得している土地根幹公共施設の用に供すべき土地または開発誘導地区に充てるべき土地として集約し、あわせてその他の土地を集約するために土地区画整理に準じた方法で行なわれる土地区画形質変更並びに公共施設変更等をいうものといたしております。  次に、「施行者」とは新都市基盤整備事業施行する者を、「施行区域」とは新都市基盤整備事業施行する土地区域をいうことといたしております。  次に、「根幹公共施設」とは、施行区域を良好な環境都市とするために必要な根幹的な幹線街路鉄道地区公園下水道等公共施設をいうものといたしております。  次に、「開発誘導地区」とは、施行区域都市として開発するための中核となる地区として、教育施設医療施設官公庁施設購買施設等施行区域内の居住者のための福祉利便施設及びこれらの施設をささえる当初定着人口を居住させる住宅施設のための土地または首都圏及び近畿圏区域内において行なわれる工業団地造成事業施行する土地区域をいうものといたしております。  次に、本法律による新しい用地取得方式として、施行区域内の各筆の土地から一定割合土地を均等に取得する方途を講じているのでありますが、その一定割合を定めたものが「当初収用率」と「確定収用率」であります。これは後に述べますように、施行者が必要な一定土地を、施行区域内の各筆の土地から均等にできるだけ任意取得方法によって取得するために設けたものでございます。  第三条は、新都市基盤整備事業について都市計画を定める際の地区選定の要件を定めたものであります。  この事業施行されますのは、市街化区域内の土地で、人口集中に伴い著しい宅地不足を生じまたは生じるおそれのある大都市周辺区域のうち、良好な住宅市街地相当部分を占める新都市として一体的に開発される自然的、社会的条件を備え、根幹公共施設のうち主要なものが都市計画として定められ、人口集中した市街地から相当の距離を有する等の理由により、公共施設整備及び開発中核となる地区整備が先行して行なわれることが効果的であるような地域においてであります。さらに、建築物がきわめて少ないこと及び施行区域面積は一ヘクタール当たり百人から三百人を基準として五万人以上が居住できる規模区域とし、大規模宅地開発に適用されるものであることを明らかにし、あわせて当該区域相当部分を第一種及び第二種の住居専用地域として指定し、秩序ある良好な環境都市が形成されることをはかっているのであります。  第四条は、新都市基盤整備事業に関する都市計画において定めるべき事項及び都市計画を定めるにあたっての基準規定しております。  この都市計画を定めるにあっては、根幹公共施設については新都市としてふさわしい配置及び規模を有するように定め、開発誘導地区については施行区域全体の市街化を効果的に誘導するように配置し、その面積施行区域面積の四〇%をこえないように定めることといたしているほか、開発誘導地区内の土地利用計画が適正に定められるように基準を定めております。  第五条は、新都市基盤整備事業は、都市計画事業として施行する旨を定めております。  第六条は、新都市基盤整備事業施行者を定めたものでありまして、地方公共団体または日本住宅公団に限りこの事業施行することができる旨を定めたものであります。  第七条から第九条までは、都市計画法との関係及び事業計画認可又は承認等についての特則を定めております。  次に六ページ、第十条から第二十一条までは、本事業施行区域内の各筆の土地から一定割合土地取得することに伴なう取得手続につきまして、土地収用法特則及び同法の規定との調整を定めたものであります。  第十条は、先に述べました部分取得の限度を定めたものでありまして、施行者施行区域内の各筆の土地について、確定収用率を乗じた面積土地限り収用権が付与されることを規定したものであります。  第十一条から第十三条までは、用地取得についてはまず任意取得方法によるべきことを明文化して制度的に担保したものでありまして、施行者は、都市計画事業認可又は承認があった後、この制度の仕組み、受けられる補償等については関係権利者に周知させる措置を講じた後、二ヵ月を下らない期間を定めて、土地所有者に対してその所有する土地を売り渡すように促す措置をとり、売り渡しの申し込みのあったものについては誠意をもって任意取得をするようにつとめ、さらに二ヵ月を経過した日において取得した土地面積基つき確定収用率を算定して、建設大臣または都道府県知事に届け出をし、これを公告するようにしているのであります。  第十四条から第十八条までは、施行者取得する各筆の土地部分を定める手続きについて定めているものであります。  次に八ページ、第二十条は、収用された土地がある場合に、土地整理完了後に不要となった土地を生じた場合における買い受け権の特例を定めたものであります。  第二十二条から第二十九条までの規定は、土地整理の通則に関する規定であります。  次に、十ページ、第三十条から第四十二条までの規定は、土地整理における換地計画換地処分筆に関する規定であります。  この法律による土地整理は、ほぼ土地区画整理法手続に準じてこれを行なうものでございます。  次に十二ページ、第四十四条かち第五十二条までは施行者土地整理によって集約した土地を新都市基盤として整備するために処分し、その土地が適正に利用されるよう必要な規定を定めたものでございます。  第四十四条及び四十五条においては、施行者は、処分計画を定めまして、建設大臣または都道府旧知事認可を受けるべきことを定めております。  第四十六条及び第四十七条は、処分計画基準を定めたものでございます。  第四十九条は、施行者または開発誘導地区内一土地を譲り受けた者は、本格的な宅地造成を行なおうとするときは、実施計画を作成し、都道府県知事認可を受けるべきことを定め、土地利用が適正に行なわれるように措置いたしております。  さらに、第五十条及び第五十一条におきまして、建築義務権利処分制限等規定を設けている次第でございます。  第五十三条から第六十六条までにおきましては、標識の設置、関係簿書の閲覧、不動産登記法特例等の雑則について必要な規定を設けたものでございます。  その他、罰則及び附則について必要な規定を置いております。  以上、本法案につきまして逐条御説明申し上げた次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  7. 小林武

    委員長小林武君) 本案につきましては、以上の説明にとどめ、質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  8. 小林武

    委員長小林武君) 琵琶湖総合開発特別措置法案議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 田中一

    田中一君 最初に、私はこの開発法が通り、五ヵ年間で整備される琵琶湖周辺がどう変わるかという点について質問をするわけです。  むろんこれは、琵琶湖水質汚染が非常にきびしい、現に水を取るとか、取らぬとかという問題以前に、もはや琵琶湖水質というものは汚染され、重金属等の堆積が相当激しいということが報告されておりますが、むろん、これによるところの発生源というものを制限をすることは当然ではございましょうが、現在堆積する重金属等の除去の問題と、これに並行して現在でも行なわれておる下水道整備という点について、どのような進捗状態を示しているか、ことにそれらの汚染を発生する発生源というものに対する追及と、これに対する施策がどうなっているかという点について伺いたいと思います。
  10. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) それでは、私からまず下水道関係計画状況につきましてお答え申し上げます。  琵琶湖周辺下水道計画といたしましては、琵琶湖水質保全上重要な下水道整備を行ないまして、水質環境基準の達成をはかることといたしておるわけでございますが、その事業内容といたしましては、中部湖南グループ、それから彦根長浜グループ、それから湖西地区グループ、この三地域におきまして流域下水道整備いたすことにいたしております。並びにそれに関連いたしますところの公共下水道、それからもうすでに実施をいたしておりますところの大津市などのいわゆる公共下水道、そういうものが琵琶湖周辺関係下水道計画のあらましでございます。  なお、これらの事業費の概算につきましては、たびたび申し上げておりますように、十ヵ年間で五百九十億円の下水道投資をこの琵琶湖総合開発の中において見ておりますが、そのうち、流域下水道関係が二百八十億、それから公共下水道関係が三百十億計五百九十億の総工費を見込んでおります。  それで、これを実施いたしますことによりまして、昭和五十六年に大体下水道整備率が八〇%の普及率というものを確保できるんじゃないかというふうな内容にいたしているわけでございます。
  11. 田中一

    田中一君 どうも答弁が不十分で困るんだな。
  12. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) なお、現況につきましてちょっと補足申し上げますと、まず流域下水道につきましては、全体の計画はいま申し上げましたようなことでございますが、現在手をつけておりますのが、そのうちの中部湖南流域下水道でございます。これは草津とか守山とか近江八幡といった五市八町を対象にいたしますところの下水道でございます。これは、昭和四十六年から着手をいたしておりまして、昭和四十七年度におきましては、事業費八億九千万円程度予定をいたしております。  それから公共下水道でございますが、公共下水道は、現在大津市だけしか実施をいたしておりません。この大津市の下水道の四十五年度末の普及状況は二・四%ということでございまして、四十七年度におきまして、この大津関係公共下水道におきましては、六億二千五百万円程度予定いたしております。したがいまして、この滋賀県全体におきましては、まだ大津一市以外において公共下水道実施いたしておりませんので、その排水面積に対しましての普及率と申しますものは、県全体から見ますと、八・三%、つまり、県全体の市街地面積に対しての普及率は八・三%という非常に低いような普及率になっている状況でございます。
  13. 田中一

    田中一君 現在滋賀県には、繊維関係工場が南部で六十五、中部で二十三、東北部で七十二、西部で四十七、計二百七の工場がある。化学のほうもそれぞれの地区にあって、結局四十八工場がある。この発生源に対する手当ては何かしておりますか。ほかにいろいろ窯業とか鉄鋼、金属等がありますが、これはおそらく加工工場だと思う。したがって、繊維並びに化学工場、これに対するところの手当ては現在どのように進捗しているか説明を願いたいと思います。
  14. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 工場排水その他につきましての現在の規制は、環境庁のほうでおやりになっていると思います。私のほうでは、工業立地指導関係についての御質問だということで聞いておりまして、いまの問題については、私のほうでは特に用意しておりません。
  15. 田中一

    田中一君 しかし、工場のそうした浄化施設というようなものは、これは環境庁になっているんですか。あなたのほうで工場生産計画というものの中に入っていって、そこで規制されるんじゃないんですか、その点はどうなっていますか。
  16. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 排水基準等につきましては、環境庁のほうでやっていただくことになっております。
  17. 田中一

    田中一君 基準は、環境庁に伺います。それらの設備の指導ですね、これは通産省にあるんでしょう。
  18. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) うちのほうの公害保安局でやっております。
  19. 田中一

    田中一君 来ておりませんね。
  20. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) 来ておりません。
  21. 小林武

    委員長小林武君) 呼んでくださいよ。
  22. 平河喜美男

    説明員平河喜美男君) はい。
  23. 田中一

    田中一君 せんだっても参考人がお見えになって、いろいろ御意見を伺いましたが、堆積している重金属類発生源というものがおそらくわかっていると思うんです。したがって、これは建設省に伺うんだけれども、どこで取りまとめて現状というものを報告できることになっているのか、伺いたいと思うんですが、あるいは朝日君のほうかな、どこかでそういう取りまとめをして、そしてここに提案されているものだと思うんですが、その点はどこに聞いたらいいんですか。
  24. 小林武

    委員長小林武君) 速記をちょっととめて。   〔速記中止
  25. 小林武

    委員長小林武君) 速記を始めて。
  26. 田中一

    田中一君 そこで、これは建設省に伺いますが、五ヵ年計画二兆六千億のこの下水道計画、これにいま大津市が公共下水道をちょっとやっているという程度のことでは間に合わない。相当な、四十六年からやっているというんですから、この西村さんの御努力でこうした関係府県知事が合意をして、こういう法律提案になったという、この背景には、やはり汚水の発生源というものを規制すると同時に、下水道早期完成ということが望ましい。十ヵ年計画なら八年にするとか五年にするとか、ここに当然大きな投資を行なって、一日も早く整備されることにならなきゃならぬと思うんです。その前提となるのは、都市計画の問題なんです。こうして自然発生的に高度成長政策によって工場誘致その他が行なわれ、不規則な町づくりができておる。しかし今度は、この琵琶湖のこの水の水位を下げるということによって、侵される環境というもの、破壊というものを考えますと、当然都市計画事業を指定して行なわなきゃならぬ。それらの手当てはどうなっているか。下水道の以前の問題として伺っておきます。どの地区はどういう——たとえば長浜市街地だけはどういう形でもっていくんだとか、あるいは彦根はこうなっている、大津地区はこの区域からここまでがこうなっているんだということなど、具体的な都市計画説明を願いたいと思います。
  27. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 滋賀県全体では、市町村数が約五十市町村がございますが、そのうち琵琶湖周辺市町村は二十五市町村ということになっております。このうちお尋ねの都市計画法適用関係でございますが、この二十五市町村のうち大津彦根市等の二十市町村におきまして都市計画法が適用されておりまして、そして区域の指定が行なわれております。また新法によりますところの市街化区域市街化調整区域のいわゆる線引きを行なうべき都市計画区域といたしまして、都市計画法附則三項に基づきまして定められておりますものは、大津湖南都市計画区域、それから彦根長浜都市計画区域、この二区域でございまして、その両区域ともすでに市街化区域の設定の作業を完了を見ております。  そこで、大津湖南都市計画区域状況でございますが、この区域に含まれますところの市町村大津市、草津市、守山市、志賀町、栗東町、中主町、野州町、石部町、この八市町村でございまして、この関係しておりますところの行政区域の中で都市計画区域面積が五万四千六百四十一ヘクタール、これのうち市街化区域面積が九千七百八十ヘクタール、こういうことになっております。それからもう一つの彦根長浜都市計画区域でございますが、これは彦根市、長浜市、多賀町、米原町、近江町、虎姫町、びわ村、この七市町村でございまして、都市計画区域面積が二万五千三百十ヘクタール、このうち市街化区域が設定されております面積が三千九百八十ヘクタール、こういう状況になっております。現在はそういうことでございますが、今後の予定といたしまして地元から要請がございますのは、この大津湖南地域彦根長浜地域にはさまれましたいわゆる湖東地区に能登川町、安土町といったような市町村がございます。これは中部甲賀地域と称されているようでございますが、この地域につきましては滋賀県におきまして、現在市街化区域に関する都市計画について早急に設定する必要があるということで、いろいろその前提の作業を行なっているような段階でございます。
  28. 田中一

    田中一君 これは北部のほうはまだ未開発のところが相当あると思うのですが、南部、東部、西部のほうも相当大きく開発されようとしている。そこで都市計画の問題、いま伺ったのですが、大体この滋賀県を一体どうするのかということが、私は非常に疑問に思うのです。滋賀県というところをどうするのか。たとえば東部、北部に面したところはこれは中部圏の地域計画計画区域、それから南部、東部の一部、この一番平野の多いところはこれは近畿圏計画の分野になっている。むろん、これはいろいろな規制とか許可とかあらゆる問題は滋賀知事が行なうでありましょうけれども、なぜ滋賀県が二つの計画にはさまれていなきゃならぬかということなんです。滋賀県は滋賀県なりの滋賀県としての地方開発計画を持っておりましょうが、上部機関として、これは建設大臣が本部長しているのだと思いますが、滋賀県が二つに分かれている。こういう地区はほかにもあるのです。北陸にもあるのです。行政的にこの指導というものが、あるいは計画というものが、どうして二つに分かれなきゃならぬのか。むろん、この部分中部圏の一部として中部圏の経済的、政治的、行政的な影響があるんだと、この部分近畿圏としての影響があるんだということだと思うんです。この問題は近畿圏並びに中部圏の整備計画のときにも非常に疑問に思って質問したことがあるんですが、こうしてわれわれの目の前に琵琶湖の問題が出てまいりますと、もう滋賀県そのものが琵琶湖相当面積を占しているわけなんです。どうしてそういう形で行政指導あるいは計画が両整備計画にゆだねなけりゃならないのかという点について、建設大臣、疑問をお持ちになりませんか。建設大臣から御答弁願いたいと思います。このほうがいいんだと、このほうが県民の要望であり、かつまたいま申し上げたようなことが県民の意思なんだということならそれでもいいですが、しかし私としては、一つの行政区域の中にそうしたものが入り込んでくるということのほうが、結局その地域県民の格差というものが生まれる場合もございますし、全然そんな格差はございませんと言うならば、一つにしたらいいではないかという議論も生まれるし、その点をひとつ御答弁を願いたいと思います。
  29. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 滋賀、福井、三重、これら三県が近畿、中部圏になっております。私は端的に言って、そういう二重コントロールを受けることは好ましくないと思います。しかし、これはやっぱり近畿圏中部圏の接点でございますので、いまそういう制度になっております。そこで、行政的にも非常にダブりまして、はなはだ困るわけでございます。最近もそういう例が三重県でございました。一方の近畿圏ではある地区はこうするんだと、ところが一方中部圏じゃこうするんだと、はなはだわからぬようなことがございました。したがって、私は今後行政指導としては、いまの制度を変えることはこれは法律的にやらなけりゃなりませんから、行政的に指導することは、事柄によって、やはりこれは近畿圏にまかすべきだ、これは中部圏にまかしておくべきだというふうに指導をしていきたいというのでございますが、これがおのおのの関係がありまして、接点でございまするから、そういうようなたてまえにはなっておりまするが、端的に言うて非常に行政上困る、好ましい制度じゃないというふうに思っておりますが、いま直ちに行政上の指導としては、事柄によっていろいろきめたいというような考えをいたしておる次第でございます。
  30. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) 補足をさせていただきたいと存じますが、仰せのとおり、近畿圏中部圏の土地利用計画の面で重複しておる部分がございます。ちょっと数字でございますので申し上げたいと思いますが、滋賀県の面積は約四千方キロございます。そのうちで六百八十方キロが、約六分の一ぐらいになりましょうか、琵琶湖の水面でございます。残りの三千三百方キロあまりのうちで可住地面積と考えられますものが約千二百五十方キロございます。そのうちで、近畿圏都市開発区域として、琵琶湖の、ただいま先生お話しのように、大津から彦根長浜に至ります東部の地域、これを近畿圏都市開発区域として指定をいたしております。これが約千二百方キロございます。それから中部圏の琵琶湖東北部区域でございます。これはやや一部近畿圏都市開発区域とダブっておりますけれども、これが約三百六十方キロございます。しかしながら、この琵琶湖総合開発に関しましては仰せのような問題がございますけれども、これはやはり近畿圏の問題が主であるということで、ごらんいただきますように、法案目的等におきましても、中部圏と御相談をいたしました結果、これはやはり琵琶湖総合開発に関する限りは主として近畿圏の問題だということで調整をいたしておるわけでございます。
  31. 田中一

    田中一君 なるほど必要とする水は、近畿圏に流れるんだから、おまえのほうでおやんなさいということなんじゃないんです。滋賀県民の立場になってごらんなさい。その計画によって県民に格差ができる——経済的な格差、政治的な格差、いろんな格差ができます。それを一体どうするかということになりますと、これは問題なんです。同時に、琵琶湖に流入するところの河川というものは北部地区に多いわけです。流入する河川は多いわけです、そのほうが。こういう面から見ても、こうして一つの行政区域の中で二つの政府の指導が行なわれるということは、いま建設大臣が率直にお述べになったように、これは非常に正しいんです。あなたは非常に正直な人だから、そのまま率直におっしゃるけれども、朝日次長の答弁は聞きたくないくらいなんです。河川行政としてもおのずから異なっておるかもわからない。たとえば、私はきょうは陸地を中心に話をしているんですが、陸地にしても——道路一つにしても、あるいはいま申した下水道にいたしましても、そこに問題があるということなんです。問題があるということは何かと言うと、県民の生活の上に格差が生ずるのではなかろうかということ。幸いにして両本部の本部長が建設大臣でありますから、これはいいんであります。的確な指導をすればいいんでありますが、現にこうした形があらわれているということ、決してこれは近畿圏本部の、近畿圏整備計画のものじゃないわけなんです。両計画にまたがらなければならぬ。こうなると、いま直ちにどうこうというのは申しませんけれども、琵琶湖の水というものは決して近畿圏だけから生ずるものじゃないということは明らかになる。いま申し上げた下水道の問題、道路の問題をどうするのか、河川改修の問題もどうするのかということになりますと、これは、今回の琵琶湖のこの計画の元締めを近畿圏が行なうのだということはおかしな話なんです。朝日君がそういう答弁をしなければすらっと逃がそうと思ったんですが、それじゃ困るわけです。  そこで、河川局長に伺いますが、河川局長は、一体こうした形で、いわゆる整備計画というものが二元的になっておるという中において、建設省の河川行政としては二つに分かれているという見方をしておらぬと、一つであるというかまえ方で指導をしているかどうか。一々、この部分中部圏、この部分近畿圏といって使い分けをしているのかどうか、その点を伺っておきます。
  32. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私どもの立場は、当然河川法の立場で、水系を一貫したものの見方ということでございますので、必ずしも中部圏、近畿圏、そういったものにこだわらない河川といいますか、即物的な見方をいたしておるわけでございます。したがって、たとえば淀川水系でございますと、三重県等から木津川等が流れてきておりますが、こういったものにつきましても、やはり上下流全体を見て、それぞれ治水上の問題、あるいは地域地域の利水の問題、こういったものを総合的に判断をして実施をするということでございます。したがって、またそれぞれの、単に河川あるいは水資源以外のそれぞれの県内の事情があろうかと思いますけれども、そういったものは河川行政全体の中でできるだけ調整をして進めていきたいと考えております。
  33. 田中一

    田中一君 道路局長来ていますか、同じような質問の趣旨ですから答弁してください。
  34. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 河川の場合と全く同様でございまして、たとえば、滋賀県が中部近畿圏の二つの県にあったといたしましても、道路を整備する場合にはたとえば国道につきましては、昭和五十年におおむね合致をするとか、小資本等につきましては昭和五十五年に合致するというような一つの目標を持ちまして、それぞれの道路の計画によって整備を進めております。こういうふうな特殊な立法によって早まることはあったといたしましても、その県内によって、たとえば中部圏ないしは近畿圏によって差がつくというようなことはわれわれはいたしたくないというふうに考えております。
  35. 田中一

    田中一君 都市局長どうです。
  36. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 私どものほうの都市行政の面におきましても、現行の都市計画法が県を中心にして行政を行なうという立て方になっております。滋賀県の意向を十分尊重しながら都市計画整備を進めていく。先ほども申し上げました市街化区域等の設定等もそういう県内の、県並びに市町村の意見の調整が十分はかられた上でもって、こういう新しい市街化区域等の設定が行なわれてきておるというふうに、私ども指導いたしておるわけであります。なお、下水道といった特殊な都市施設整備につきましては、これはまあ琵琶湖という大きな問題がございますので、まず琵琶湖水質環境をいかに保持するかという、水質環境を保持するということを重点に置きましたこれからの下水道整備滋賀県の下水道整備計画的に進めていくというふうな考え方になろうかと思います。
  37. 田中一

    田中一君 そういたしますと、中部圏であろうと近畿圏であろうと一向さしつかえございませんと、こういう答弁のようでありますが、西村さんこれ一つにしなさい、知事と相談し、県民とも相談しながら一つにしたらどうですか。二つの行政区域でもって二元的な指導が行なわれる計画に入るということはおかしいんです。そこで、おそらくいまでも自分たちのほうは一元的に国の方針としてものを考えているからその方針には間違いございませんというならば、近畿圏中部圏にダブルならいいですよ、ダブルのは全県がダブっているんだから。いろいろ経済的な関係があるから全部全域を、慈賀県は近畿圏にも入る、全域が中部圏にも入る、これならいいです。得なほうを取ればいいんです。その面からくるところの影響のものはその面として取ればいい。その区域を分断していくというところに問題があるんじゃないかと言っているんです。全部やったらどうですか。これは実に、近畿圏をつくるときに、中部圏をつくるときも、この二つの法案をつくるときにも、そうした問題をくどく私は質問しているわけです。おかしいではないか、当時はまだこのような高度成長の欠陥というものは生まれていないときでありますから、行く行く自分の地域は二つの経済圏に関係しているから両方にまたがっていったほうがいいんではないかというような思想もあったと思うんです。私は思い出しますけれども、当委員会におった熊谷太三郎君などが何としても福井県を入れろ入れろといった要求があったことを覚えております。いま、こういったプラスの面だけじゃなく、マイナスの面も見ようという場合には、こうしたことは県民としてはしあわせではないのではないだろうか、こういう理解をするんですが、建設大臣、そうした二元的な国の指導というもの、これをどうお考えになって今後どうしようと、お考えはわかりますが、どうしようとするのか、十分に県民とも話し合いながら、これでいいんだという結論になるのか、あるいはプラスの面は全部取りたいけれども、マイナスの面はしょいたくないんです。ことに水源というものは他県にある、自分の県のみにあるんじゃないんです、よその県にある。それが琵琶湖という大湖に流入されるのでありますから、他県の水が流れ込んでくるのが琵琶湖であります。したがって、行政の面からいっても、行政面とすれば一元的だ、河川は河川として一元的だ、こういっておりますけれども、実際はマイナスの影響があるとするならば、これはどっかに所属をきめたほうがいいんではないかと思うのです。今後の施策について建設大臣の答弁を願います。
  38. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私も不合理を感じておりますから、この問題につきましてはいままでもたびたび不合理な点に私は遭遇したんです、私は両県の長官ですから。したがいまして、これをいま直ちにこうするという答弁はできませんが、十分検討はいたします。  たとえば、いま河川局長水質、水系一体でやるといっておりましても、両方のコントロールを受ければそういかない場合もできるのですから十分検討したい、かように思っております。
  39. 田中一

    田中一君 それで十分です。  そこで環境庁来ていますか。  下水道整備を非常に急げ、これは衆議院の附帯決議でもおそらく参議院でもそういうことを強く要望いたしますけれども、汚染発生源というものに対してどういう措置をとるべきかと伺っているわけなんです。おそらくいろいろ職種がありますけれども、繊維とか化学とかが発生源だと思うのです。通産省に伺ったところが、通産省のほうは設備としては浄化設備等は他の部局だ——いままだ来ておりませんが。あなた方が見た場合にもう現在で、もはや飲料水等として利用できない水質になっているんだということが明らかになったわけです。同僚の春日委員に聞くと、京都の水を持ってきた、京都の水はくさくて飲めないそうであります。あとでもって詳しく春日君が聞くと思いますが、そうなってくると、せんだっての大学の先生の説を聞きましても、どうも私には納得できないものが多々あったわけです。しかし現在、この発生源に対して環境庁としてはどういう手を打っているか。また、将来とるじゃ答弁になりませんよ。現在どうしているのかということ、むろん、これは将来に対するものも含めまして答弁していただきたい。  というのは、下水道の完成が相当長期にわたるということになりますと、まずそれをとめることですね。
  40. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 琵琶湖の汚濁につきましては、いろいろ発生源がございまして、私ども先般琵琶湖環境基準を設定をするにあたりまして、汚濁源の推定をいたしたわけでございますが、先生おっしゃるとおり、CODの負荷量でございますけれども、それについて見ますと、工場排水がやはり圧倒的にそのウエートが大きいということになっております。北湖、南湖を通算をいたしまして工場排水によるCOD負荷量は約七六%というふうに考えておりますし、家庭下水は約二〇%というようなウエートになっております。  そこで、私ども現在対策としてすでに実行いたしておりますのは、工場排水につきましては現在水質汚濁防止法によりまして国の一律規準という規制がそれぞれかかっているわけでございますけれども、琵琶湖のように水の交換が特に悪いというようなところにつきましては、各県を指導いたしましてさらに国の一律規準を強化をする、規制を強化するという指導をいたしております。現に滋賀県につきましては国の規準に上のせをいたしましてすでに強化した排出規制が行なわれているわけでございます。これも資料でお配りしておりますけれども、簡単に申し上げますと、PHにつきましては、国の一律基準が五・八と八・六という間につきまして、六・〇と八・五の間に強化をする。それからBODにつきましては、国の一律基準が最大一六〇というものを、食料品工業につきましては一〇〇、繊維工業につきましては一二〇、その他の業種につきましては七〇というふうに強化をしておる。CODにつきましても大体同じ程度の強化をいたしております。それからSSにつきましては、国の基準が最大二〇〇というものを九〇というふうにしぼってございます。それからノルマルヘキサン抽出物質含有量についても、国の三〇PPMに対して二〇PPM、それからフェノール類につきましても、国の基準が五に対して一というふうに強化をいたしております。ただ私どもは、この県の上のせ条例だけでは十分とは必ずしも思っておりません。で、私どもはさらに、この規制を強化するように、現在、滋賀県と打ち合わせ中でございまして、話が整えばさらにこの基準の強化をいたします。琵琶湖の最大の汚染源でございます小工場に対します排出規制は強化をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、それ以外の家庭下水につきましては、すでにいろいろ御説明申し上げましたとおり、下水道整備ということで対処をいたしたいと思っておりますし、それ以外の、たとえば畜舎排水等につきましては、最近のうちに私どもは水質汚濁防止法の規制対象にこれを加えまして、規制をいたしたいというふうに実は考えておる次第でございます。  それから、富栄養化の問題がこれとは別にございます。燐、窒素のたぐいでございますけれども、これにつきましては、現在必ずしも調査が十分行なわれておらない点もございますので、今年度予算をお願いをいたしまして、琵琶湖もその対象にいたしまして、富栄養化のメカニズム等を明らかにいたしたいというふうに考えておりまして、その結果を待ちまして、私どもはできるだけ富栄養化につきましても早急に手を打ちたいというふうに考えておる次第でございます。これら両方の施策が並行することによりまして、いまお話の、上水道用水等の現在くさい水の問題等も解消できるんではあるまいかというふうに実は考えておる次第でございます。
  41. 田中一

    田中一君 そういう施策を急いでいただきたいということが一つ、それから下水道の敷設の予算、これから行なう年次計画をひとつ出していただきたいと思います。それはできておりますか。
  42. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) 一応、私どものほうで予定をいたしておる年次計画というものはございますが、これはまだオーソライズしたものではございませんが、その内容につきましては別途また御相談申し上げまして、資料として提出いたしたいと思います。
  43. 田中一

    田中一君 この下水道敷設の計画を立てる以前に、都市計画実施区域というものは拡大するつもりですか、あるいは単独でそれぞれの浄化槽をつくって、それぞれで処理するつもりなのか、あるいは流域下水道あるいはもっと大きな広域下水道的なものをつくるということの構想なのか伺っておきたいんです。というのは、私はもう部分的な対策じゃなくて、流域なんというものよりも広域な、大きな下水道計画を持ったらどうかということなんです。私がこの一・五という水位の計画というものはおそらく二になるあるいは二・五になるというような傾向がこれからあり得るんじゃないかという想定なんです。公害国日本の縮図が、こういう非常に国立公園、国定公園の中で行なわれているということになりますとたいへんな問題なんです。大石長官、だいぶあっちへ行ってひどい目にあっているようでありますけれども、これは縮図です。何といっても水という大きな資源は、これは日本の民族資源です。その環境が破壊されるおそれが多分にあるということは、一・五から二・五あるいは三と延びるという可能性もあるわけなんです。なぜならば、これはわが国のまだやめておらぬところの高度成長政策、これがおそらく続くんじゃなかろうか、資本主義経済というものがこれからますます増大するんではないかという場合には、行政とくっついて利潤を生ませようという形が陰で生まれてくるということを想像しておるわけなんです。そうなると、この辺の下水道というものは、終末処理というものは大きく一つにするとか、そうして非常に広域なものに転換したらどうか。これは下水道の五ヵ年計画のときにも建設大臣といろいろ自分の意見を交えて話をしたことでありますが、そうしないと、これは再び二重の投資をするような時期がくるのではないか。この湖面の水位が下がると、やはり干がたが生まれてくるわけなんです。ここに、レジャーブームでありますから、いろいろな形の工作物が生まれる危険性が多分にあります。現在でももうとてもじゃないが、われわれが少年時代に見た琵琶湖なんというものの姿はございません。将来をやはり想定をしながらの計画を立てなければならぬ。いわゆる全域が市街化されるおそれがあるんじゃないか。それがどこまで押えられるかということになりますと、下水道施設というものが当然先行しなければならぬが、その先行する中において、いま現に二兆六千億でしたね、その下水道計画の中に、この滋賀県の琵琶湖周辺下水道というものの比重というものがどのくらいになるのか。早期にやれということになりますと、せんだって、この国会で通過したところの五ヵ年計画なんというものは吹っ飛んでしまって、より多くこれは持たなければならないということにならざるを得ない。下水道というものは、今日、公害日本ではどの府県でも、都市でも仕事をしたいという気持ちが濃厚なんです。これは四、五年前までは下水道の補助金を出そうといっても、かなり地元の反対にあったり、あるいは行政部局で熱意を持たないためにおくれておりました。いまはもう全国的にどの市町村都市、どこでも下水道をしなければならないんだということに機運が向いております。したがって、それだけにせんだって五ヵ年計画で立てた、資金がこちらのほうにより多く導入されると、ほかの地域、ほかの市町村に悪い影響が来るんではないかと思うんです。いま都市局長は、その年次計画ができておらぬと言っておりますけれども、早急にこれを決定して、第三次五ヵ年計画というものを直ちに改定すべきである。そうしてより多く公害日本の各都市の要望にこたえて下水道計画予算というものを増大すべきである、こう考えるんですが、建設大臣はどうお考えでしょうか。
  44. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この琵琶湖を中心にした滋賀県の下水道、これは年次計画はどうかわかりませんけれども、大体事務当局の考え方は、流域を三ヵ所やろう。公共下水道はそれぞれの市でやるわけですが、いま四十七年の予算のつけ方が流域は一ヵ所、公共は一ヵ所と、こういうふうにやっておる。私は、やはり同時に全部発足したい、前からやっておるところもありますが、四十七年度に同時に発足したい、こういう気持ちで、いまそういうことを命じておるわけでございます。そうしなければ、なかなか準備ができないんです。また、金がいかないと、本気になってやらないのです。したがって、幾らでもいいから、事務当局には同時に流域下水道を、三ヵ所やるならば流域下水道に同時に着手しなさい、こういうことを言っております。  それから、田中先生のおっしゃるのは、小さな規模でやりなさんな、大規模でひとつやったらどうだ、こういう話ですが、その流域下水道、三ヵ所の一ヵ所が、とにかく私はまだ聞いておりませんが、日に何トンあるか、そのトン数によると思います。私が京都をちょっと見ましたが、百トンパー・デーというようなことになりますと、相当に処理場の面積が要るわけですから、おそらくここは流域下水道にしてもたいしたトン数にはならないと思いますが、今後研究しまして、ひとつなるべく流域下水道の処理場というものは大規模にやりたい、こういうふうに考えております。  それから、国全体の二兆六千億云々の問題でありますが、これはまだ二年たったばかりでございます。私はこれでは御案内のように、流域下水道は五ヵ年たっても全国平均で二二%が三八%にしかならないんだから、五年ぐらいたったらもう五〇%ぐらいにやれないかという意見もございます。ございますが、それから、この五ヵ年計画を決定した後においていろいろ問題になっておるところ、この琵琶湖もひとつそうでしょうし、瀬戸内海もそうでございますが、いろいろなところがございますので、この改定もあるいは遠からずやらなければならぬのじゃないか。改定をやらなくても、繰り上げ施行ということができまするから、やはり相当予算を増さなければ満足に私はできないと思っておりまするが、現在の時点、今年度の仕事としては、これは事務当局はちゃんときめておるんですが、年度別の予算がないということであろうと思います。したがいまして、早く着手しなければ早くできないのでございます。  また、都市計画都市計画といっても、都市計画の中心は地下にあるんです。土地の下にあると思います。したがって、それをきめずして都市計画というものはできるはずがないんです。私は今日まで都市計画といえば、道路、公園、こう考えておったんですが、今日の都市計画の課題は地下でございます。そういうふうに私は認識いたしておりますから、田中先生のおっしゃること、十分意味はわかります。私も大体その方向でございまするが、それも数字をちゃんと持った話でないと具体的ではございませんが、考えだけ申し述べて御了承賜わりたいと思う次第でございます。
  45. 田中一

    田中一君 琵琶湖集中するために、ほかの都市の補助金の配分が減ることはないでしょうね。
  46. 吉兼三郎

    政府委員(吉兼三郎君) そういうことはございません。
  47. 田中一

    田中一君 河川局長に聞いておきますが、堆積した重金属類のしゅんせつはできないものでしょうかね。かきまぜて、悪いものが流れ出さないようにする方法開発できないものでしょうか。水泳すらできなくなるのじゃないかと思うのです、このままでまいりますと。どうでしょう。
  48. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 現在の湖底における重金属なり、あるいはPCBの分布の状況、こういったものが実は一部の調査のレポート等もございまするけれども、実態がわからないということで、四十七年度から環境庁も積極的にひとつ実態を調査しようということでございます。非常にいわゆる深い北湖の中心部等に推積しておりますものは、これはほとんどお手あげじゃないかと思いますが、しかし、比較的われわれの生活環境に密着しているような湖岸の部分につきましては、これも量によりけりだと思いますが、われわれも湖岸道路の建設の際に、そういったものを埋め込んで、取り込んでしまうとか、そういったことを調査の結果に基づきまして、ひとつ具体的に検討いたしたいと考えております。
  49. 田中一

    田中一君 農林省来ておりますか。  この三十二、三年ごろからですか、埋め立てを盛んにさしたのは。二十七年でございましたかね。これは当時の干拓、これは食糧増産のために、当時の事情の必要でやったのでしょうが、今度の水位の低下で護岸があるところはいざ知らず、護岸のあまりないところ、大体東南部のないところは相当干がたができるのじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  50. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 今回の水位の変動幅を大きくしますことによって、御承知のように、南湖は非常に水深が浅いものですから、かなり水位を低下しました時点では、干上がる部分ができるわけでございます。そういったところは、はたしてどのように取り扱うかという、あとの取り扱い方の問題じゃなかろうかと思います。具体的には個所、個所によって違いますが、南湖はやはり数百メートル干陸するというような個所がかなりございます。
  51. 田中一

    田中一君 いま行って見ましても、浮御堂の近所などは、ものの三十センチしか水位がない。これはおそらくなくなってしまうのではないかと思うのです。そこで、干がたができた場合、この築堤というものをどの辺に持ってこようとするのか、その干がたがあっても、波打ち際があっていいじゃないか、残しておこうという考え方を持つのか、考え方はどうなんです。これは将来の問題を言っているんです。結局、私の考えている前提が、これが一・五じゃなくて、二・五、三になるんじゃないか、そういう時代が来るんじゃないかという想定から言っているのです。そんなことはないよとはあなた方も答弁できないと思うんです。私は、今日の資本主義経済の発展というもの、そうして、いろいろの意味の各階層の社会との癒着というものからくる水の要求というものは、あそこに水源地があるじゃないか、あそこをもっと減らせ、減らしたって何ともないじゃないかと言うような予感がするわけです。したがって、今回の一・五というもの、あるいは最大二というものの水位の低下というものを考えると、それに対応したところのものがなければならぬというのは、いま明らかにそうすると、滋賀県民は大騒ぎをしちゃう、将来また水を取るのじゃないかということになりますから、そうでなくして、たとえば行政の面、行政の面というか、陸地に対する行政の範囲内で、将来を予想したところの施策をしなければならないのじゃないかと思うのです。埋め立てを許可したのが相当あるわけなんです。これは全部のトータル出ておりませんけれども、農林省が行なったところの大中之湖というのですか、このところで千百三十、これは地図を見ましても、いまちゃんと農地になっておりますが、これなんかも将来水田というのは廃止しちゃって、何かの形で転用されるおそれがあるということなんです。その場合、そうしたことは農民が持っているものです。こういうものをどう指導するかということが一つ、まだあります。まだ資料をずっと見ると、いわゆる適地、すぐに資本家、土地会社なんかが食指を伸ばすような地点がたくさんあるのです。こういうものはもう許されないのです。  そこで、いま申し上げた干がたになった場合の土地の所有権、この間もちょっと参考人に伺ったんですが、私の子供のときに覚えているのは、これはアシが一ぱいはえておりました。むろん、堤防なんかありません。アシが一ぱいはえている。農民あるいは市民がアシを取って何かに使っておりました。そういう琵琶湖から今日を見ますと、もっと極端に公有地か民有地かという問題が、これからのいろいろな意味の論争になるんじゃないかと思う。したがって、琵琶湖の生成といいますか、でき上がったのは何千万年前かわかりませんけれども、少なくとも、われわれの近い歴史で見た場合には、琵琶湖の地図ぐらいは相当あるんじゃないかと思うのです。そういう地図等を収集されて持っていらっしゃいますか、あるいはお調べになったことがありますか。どこに聞いたらいいのかわからんが、聞いておきたい。
  52. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) いわゆる地形的な地図につきましては、私どものほうで、昭和三十年から三十八年まで、これは国土地理院において調査をいたしました。その結果、初めて琵琶湖周辺並びにこの湖の中についても、かなり具体的な地形が把握できたわけでございます。それによりますと、いわゆる基準点のゼロメートル水位におきます琵琶湖面積は約六百七十九・五二平方キロでございます。これがマイナス一メートル五十まで下がりますと、六百六十二・〇七五、面積が縮小するわけでございます。したがって、これが水平に下がるとすれば、干陸される面積と、こういうことになるわけでございますが、その広さが十二・七六六平方キロになります。これは現状でいきますと、十七・四三六平方キロでございまして、ゼロ点時点の湖面積の約二・五%くらいに当たりますが、一部しゅんせつ等を行ないますので、でき上がった形では約十二・七六六が干陸する面積になるということでございます。これは、場所によっていろいろ干陸幅も異なりますが、大体平均をいたしますと、約五十メートルないし六十メートルの幅になります。この中にはやはり私有水面等もございます。しかし、もうほとんど全部がこれは公有水面でございますので、今後どのようにそういったものが利用されるかという問題もございますが、河川の管理の立場から申し上げますれば、基本的には公有地のままで残しておきたい、やはりこれは、干陸した場合にはそういうことになるわけでございますが、洪水時とか、あるいは水位の変動によっては、必ずしも長く干陸される状態が続くというわけでもございませんので、やはりそういった幅は持っていなくちゃいけないんじゃないかと感じておる次第でございます。
  53. 田中一

    田中一君 この民有地と公有地の関係ですがね、地図は、そうすると、昭和三十年しか正確な地図がないわけですか。
  54. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 昭和三十年から三十八年の期間に調査をしたわけでございます。ただし、これは地形図でございますので、地籍図じゃもちろんございません。それで、地籍につきましては、この琵琶湖総合開発に関連をいたしまして、そういった官民境界をこの際明らかにしておく必要がある、こういうことで、湖岸の管理は滋賀県が行なっておるわけでございますが、これにつきまして滋賀県と協同いたしまして、昭和三十七年からそういった地籍の関係の調査を始めておりまして、大体現在の進捗状況は約九〇%ぐらいという報告が参っております。で、やはり一々個人個人と一筆ごとに立ち会って解決をしていかなくちゃいけないというような問題でございますので、かなり時間がかかっておりますが、できるだけ努力をいたしまして、早急にそういったものを明らかにするようにいたしたいと考えております。
  55. 田中一

    田中一君 この地籍図の確認したというのは九〇%ですか。
  56. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) はい。
  57. 田中一

    田中一君 そうすると、登記法というのができ上がったのは明治初年ですか、明治二年でしたかね、そうすると、明治二年ごろの登記原簿というものはないのですか。
  58. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) おそらくそういった通常の土地台帳といったようなものは登記所にあろうかと思いますけれども、現状はかなり違っておるようでございまして、しかも、琵琶湖につきましては、明治三十八年に洗いぜきが竣工いたしまして以来、徐々に水位も低下してきておるものですから、湖周辺の生活のいろいろな状況によって、そういったものはかなり乱れておるようでございます。したがって、一々そういったものを照合しながら調査を進めていかなくちゃいけないという実情でございまして、まだ、一〇%程度は十分把握できてないようでございます。
  59. 田中一

    田中一君 登記所にある登記簿というものは全然触れないで、現状にある、現在目に見えているものに対して話し合いをしているのですか。そういう考え方、ちょっとおかしいと思うのですね。むろん、これは当然、たとえば登記所に現存しているところの証拠書類であるところの登記原簿が間違っている場合もあり得る、その明治初年にでき上がったところの土地台帳がその原図が間違っている場合もあることは否定しません。けれども、それをせめて正しいと立証しているのが国家なはずです、国が管理しているんですから。だから、そういうものに全然触れないで、立ち会いでもって、これはおまえのものだおれのものだ、これはああしたぞ、こうしたぞということだけできめていくということなんですか。
  60. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) やはり調査をいたします前の時点では、権利関係を一番明らかにしているのは土地台帳だろうと思います。したがって、そういったものをもちろん参考にしながら、それに新しい調査なりあるいは陸界によってそれを是正といいますか、真実を明らかにしながら作業を進めておるというように聞いております。
  61. 田中一

    田中一君 何もここで新しいトラブルの種をまこうというのじゃございません。それはむろん納得すればいいのでありますが、しかし、こうして水位の変動というものが歴史的にもあったわけなんです。伊勢湾台風のときでしたか、琵琶湖へ行ってみると、これは非常にまたいまの形態とは違っております。一面埋め立てばどんどん強化している。まあいろいろのものがここにありますよ。埋め立てを見ましても、港をつくるとか、農地をつくるとか、そういう時代ですから、農地をつくるということもこれは必要であって、いいでしょうが、なかなかいろいろなものがありますよ。工場用地に埋め立てを許しているとか、いろいろなものがある。こういう態度は相当これから変わるんだと思いますが、この水面埋め立ての問題は今後とも強化をする方向で——許可が知事の権限になっておりますね。政府として、その方向で埋め立てを許可しよう、干がたのできた場合にも、この場合なら障害がないからこれを埋め立てさして払い下げよう、その辺がかりに公有地ならばですよ。そういう方向でいっているのか。公有地と言うけれども、これはもう国のものなんです。国有地なはずです。管理者知事でありましても国有地なんです。したがって、そういうものを、干がたができた場合には、埋め立てて払い下げをするんだというような考えを持っているのか、あるいはそういうことは一切しないんだ、健康な琵琶湖を守るためには、そういうことはしないんだという態度をとろうとするのか、これは建設大臣、明確に答弁をしていただきたいと思うんです。  それから、いままでの払い下げをした農地その他が利用の目的変更されることを許そうとするのか、許さないという考え方に立っているのか、あるいは現在妙な形に利用されている面が多々ございます。たとえば、県が出資したホテルなんかもございますし、いろいろこれからレジャー・ブームに乗って相当これが水質汚染じゃなくて、地域の汚れ、汚染というものが生まれてくる可能性があるわけでございます。したがって、これをどういうぐあいに、どういう方針でこれらをどのように持っていこうとするのか、建設大臣の答弁をいただきたいと思うんです。建設大臣の答弁のほう、もう一ぺん申し上げますよ。千がたができる、これはもう当然陸地としてやったほうがいいんだ、埋め立てる、そして払い下げる、こういう方針をとるか、一切そういうことはしないんだと、自然の景観というものを守るんだ、いわゆる国定公園としての琵琶湖のほんとうの精神を生かすのだという考えにお立ちになるのかどうか、今後の問題です。それを伺っておきたい。いままでは二十七年来ずうっと四十五年にまで相当これを埋め立てをして売っております。これはこの際、もうここでやめるんだと、そして最大限ほんとうに必要な県民並びに国民のための利用、健全な利用ならば、許す場合もあるというような答弁がいただけると、この辺で私もその問題はやめてもいいんですが、建設大臣、その辺ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  62. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、まあ先般ちょっと拝見しました、全部じゃございません。そこで、まあ今日のごとく皆さんからいろいろ水質問題、その他言われるのは、やっぱり管理の面が非常におくれておるわけです。港があっても、港の区域はどういうことであるとか、漁港があっても、漁港の区域はどうなのか、その他の周辺はだれが管理しておるのか、まあ一応は表面上のことはわかっておりますが、ほんとうの実質的な管理ができていないんです。したがって、今後は何と申しましても、周辺の管理をよくするということが第一に考えられると思います。  そこで、今後はいろいろ、御案内のとおりに、滋賀県は人口がふえております。人口がふえておるということは、工場が進出したり、あるいは観光的な施設がよけいできるということでございまするが、私は、琵琶湖の湖辺はあまりいろいろいじってはいけないということが原則であろうと思っております。埋め立て等につきましても、これは公有水面の埋め立てでございますから、ある面積以下は滋賀知事の任意にいまの法律ではまかされておりまするけれども、行政指導としては、みだりにそういう埋め立てはすべからず、こういうような姿勢でいったらどうか、かように私は思っております。周辺の管理につきまして、もう少し区域をきめて、そのためには民有地と私有地を明らかにするということ、各施設はやはり明確な区域をきめて、そして管理の体制をやはり強化するということでなければ、ちょっと見ただけでも、これはすべてが水質の汚濁につながるように私は見受けられますから、あなたいま言ったように、端的に公有水面の埋め立てはどうかと言われれば、私はあまり好ましくないから規制すべきである、かように考えておる、特例はあるでしょうが、規制すべきだ、こう考えておる次第でございます。
  63. 田中一

    田中一君 そこで、琵琶湖は自然公園法の国定公園になっている。この規制された区域を見ると、この水面だけのように受け取れるのです。水面を利用するというのは、水面を観賞しよう、湖を観賞しようという人たちがその周辺に、周辺というか水ぎわに、指定されている以外のところにいろいろなものを建っているのです、現在では。これからおそらく北湖のほうなんかは相当銀行とか不動産屋が入ってきて何かをするのじゃないかという危険がある。むろん近畿整備法、中部整備法等で抑制もできると思います。しかし、やる気にならなければできない。もうこうして言っているうちにどんどん琵琶湖は非常に大きく社会的にクローズアップされてきていますから、どんなぐあいにそういう業者が手を打っているかもわからない。何とかこれをとめなければならぬ。そこで、自然公園法からくる指定は水面だけとすれば、その周辺に、先ほど干がたができるのですと河川局長は言っている。しかしその背後にあるところの民有地があるわけなんです。もう一歩進んだ規制、いわゆる抑制策はあるわけなんです。公園法で新たに指定するわけです。指定すればいいのです。その方法はあるわけなんです。背後にすらあるわけです。これをどうお考えになるか。もしも法律的にこれが可能ならばその規制を行なうかどうかという問題。これは都市局長に一ぺん聞いておきますが、これは自然公園法は君のほうじゃなかったかな。農林省かな、環境庁か、今度は環境庁に移ったのか。そうすると、その指定は環境庁でもってどう考えているか。一切そうした建造物、不健康な建造物はやめる、その背後の住民、市民のためにも水ぎわのそうした施設は今後とも抑制していくのだという考え方で立っているのか。これは民有地だからどうにもしようがありませんといって放置するのか。その考え方を伺っておきたい。
  64. 宇野佐

    説明員(宇野佐君) 琵琶湖の国定公園につきましては、先生御指摘のように、水面が非常に大きな面積を占めております。簡単に数字を申し上げますと、公園の指定区域が現在九万八百七十八ヘクタールということでございますが、そのうちの六万七千五百ヘクタール、これが水域でございます。そのほかにもおもなところはたとえば比良山系でございますとか、あるいは宇治川の渓谷沿いでございますとか、琵琶湖に関連いたします地域は比較的少のうございます。しかし湖岸線にいたしまして湖岸線の二百三十五キロのうち約百四十キロにつきましては湖岸線も国定公園の区域に入っているわけでございます。ただ御指摘のように、これが図面上にはほとんどあらわれておりません。集落とかあるいは農地が非常に近くにございまして湖岸線が非常に狭い範囲でしか国定公園に指定されていない、そういうことでございます。ただこれにつきまして今後でございますが、現在滋賀県におきまして私どもとも相談中でございまして、湖岸のやはり自然環境の保全をはかるべきところ、こういうものを国定公園に加えていこう、そういうふうな計画を持っておりまして、現在、具体的な地域につきまして私ども相談をいたしておるところでございます。したがいまして、その相談が終わりまして、これは国定公園でございますので県知事の申し出ということが要件になりますが、県知事の申し出がございますれば、私どもとしてその指定につきまして十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  65. 田中一

    田中一君 一切県知事に委任しているから、全部県知事の意思できまるんだということだけではないと思うんです。琵琶湖は決して滋賀県民だけのものではないんです。むろん、行政的には滋賀知事がこれに対する管理をしておるかもしらぬけれども、国民的なものなんです。もう少し言うと世界的なものだ。世界の人類のものです。したがって、こういう発想からくると、これがただ滋賀県の知事の申し出があればやむを得ないんだという立場はとらないでいいという法の規制があるわけです。たとえば緑地保全区域というきめ方もよろしいし、いろんな形でもって規制することはできるんです。琵琶湖そのものの管理は滋賀知事にまかしてありますけれども、この利用の問題とか、埋め立て、あらゆる問題は国がこれに全然無関心でいいんだと、国に何にも権限がないんだというものじゃないわけなんです。こういう点について、国務大臣西村さんにひとつ伺っておきますが、これはただ単に、いまの答弁はそうでしょう、立場上そういう答弁しかできないでしょうけれども、これに対してもっときびしい規制をもってやっていただきたいと思うんです。たとえば湖岸の背後地何メーターまでこれはそうしたものは許さないんだということとかそういうことができるんです。そういうような規制をしなければならぬと思うんです。したがって、あなたはいらっしゃったと言うから、見るとおわかりになるとおりです。もう琵琶湖大橋よりも北のほう、西側にしても、相当いろんな施設ができつつあるんです。これらを何としても抑制しなきゃなりません。自由経済、自由経済で何でもできるんだということじゃないんです。やはり日本民族の琵琶湖であり、世界の人類の琵琶湖であるという発想に立っていただきたいと思うんです。御答弁願います。
  66. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私は、いま琵琶湖及びその周辺が国定公園になっておるということ、しかしその範囲は私はあまりよく知りませんが、大石環境庁長官が、ひとつ国立公園にということをどっかで述べたという新聞記事を拝見しました。しかし、国定——それは国定公園よりも国立公園のほうが規制がきびしいんでしょうけれども、どういうふうに違うのか、国家の援助のしかたも違うのかといったら、あまり金は違わぬと、こう言ってました。金は違わないと、口だけやかましく言うのは困るじゃないかと。国定公園から国立公園にするのは一つの方法でしょう。また、今日これだけ問題になっておれば、たとえ国定公園にしても、政府もその範囲を拡大すること、あるいは管理者滋賀知事ももう一ぺん考え直すこと、これは必ず行なわれると私は思います。したがって、そのとおりでございまして、もう狭い範囲ではいけないように思います、規制をかけるところは。したがいまして、これは政府としてもいずれかの時期に、そういうことが、私はいまの国定公園から国立公園になる機会があるか、現在の状況においてもその範囲を広めるか、そういうことは必ず政府としてもやりたいと、国務大臣西村としてもやりたいと、かように考えておる次第でございます。
  67. 田中一

    田中一君 それから次に伺いたいのは、これは湖周道路というんですか、どういう名前で言っているんですか。現在でも国道は通っております。敦賀に出る国道が西側は入っておりますけれども、この北部は何か形を変えた公園指定をすべきだと思うんです。国立公園にしても別の指定をすべきだ。たとえば森林公園でもよろしい。これは政府がやろうとする気になればできることなんです。そうして人家などをつくらない、最小限度のレクリエーション的な施設はあっても、かってにさせないという規制をもういち早くしていただきたいと思います。いま願っているのは、北湖のもっと北の福井県寄りのほうです。いまの水の問題、一番問題と言っておりますけれども、こうして私が心配するのは——銀行に金が余っております。金幾らでも出しましょうと言っている。いま、銀行とか大会社がどんどんそれに対して陰で糸を引いた投資を行なっている。これは一刻もゆるがせにできないんです。しかし、売買は自由でありましょうから、買うなら買いなさい、しかし、利用の面においてはっきりとした態度を、姿勢をこの際おきめになって、いま西村さんそういう答弁をしておりますが、それにはいろんな方法があると言うんです。十分に検討をされて、実現をはかっていただきたいと思うのであります。湖周道路の問題ですが、これはどういう構想でいるのか。ただ、敦賀に出るこの国道を経済的な道路として整備をするということにとどめて、他には湖周道路なんかつくらないというようなことを考えておられるのか。あるいは湖面が狭くなるわけですから、どの辺までそうした道路をつくろうとするのか、あるいは緑地をつくろうとするのか、レクリエーションの自転車道をつくろうとするのか、遊歩道をつくろうとするのか、これらの点の構想を——国として指導する構想です、これを説明していただきたいと思います。
  68. 高橋国一郎

    政府委員高橋国一郎君) 琵琶湖周辺は約百八十一キロばかりございます。そのうち、いわゆる国道であるとか、県道であるとかいう道路法上の道路が百三十七キロばかりございます。これが大部分を占めております。残りの四十四キロばかりがただいま道路法上の道路になっておりません。道路もございません。ここに今回堤防をつくるとともに、その堤防上に道路——自転車道をたぶん併用した道路になると思いますが、そういう計画になっておるわけでございます。道路法上の道路につきましては、もともと計画に基づきまして、たとえば国道については昭和五十年というふうな目標が立っておりますので、特に整備をどんどん進めておるわけでございますけれども、その他の道路につきましても、今回の開発計画にあわせまして、昭和五十五年度までに全体計画を立てまして整備を進める方針をとっておるわけでございます。原則といたしましては二車線以上の道路でございますが、さらに、そのわきに自転車道なり遊歩道を整備するのが好ましいことであるというふうに考えておりまして、その計画を現在立案中でございます。
  69. 田中一

    田中一君 やたらに経済性、経済性ということが中心になっていままで考えられておりましたけれども、もう生命の問題ですから、この琵琶湖周辺くらいはわれわれの命の洗たくをする場所に残し、かつまた整備をしなければならぬと、これは、ぜひ道路の問題が、健康なレクリエーションというものならいいけれども、経済性というようなものの言い方をしないでいただきたいということをお願いしておきます。  もう時間もぼつぼつ来ておりますから、それじゃ、通産省の方に伺いますが、工場排水工場内における自主規制と、これはどのように指導しているか。
  70. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) 一般論でお答え申し上げて恐縮でございます。
  71. 田中一

    田中一君 一般論じゃいけません、滋賀県の問題として。
  72. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) 琵琶湖の問題について申し上げますと、この周辺工場で大きなのですと、まず私どもの立場を申し上げますと……。
  73. 田中一

    田中一君 立場なんか要らぬよ。
  74. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) お答えいたします。  この周辺には東洋レーヨン、大津板紙、それから鐘淵紡績というようなところが大きなところでございます。これにつきましては、こういったようなところにつきまして、特にたとえば重金属のような問題につきましては、調べましたところここら辺につきましては鐘淵は前にクロム酸の染色をやっておりますが、現在は取りやめておるようでございます。したがいまして、これらにつきましていま重金属関係については生産工程で使用しているものはない。それから、ただしそれ以外の工場につきまして、たとえばメッキあたりになりますと、これはいろいろそういったものを使うものがございます。で、メッキなんかにつきましては、これは特に中小も多うございまして、これにつきましては、たとえば指導員を置きまして、全国にそれぞれ巡回指導するといったようなかっこうで、公害防止施設あるいはその設置なりあるいはその処理技術なりというものについての指導を行なわしておる。たとえば、カドミ・メッキというようなものは現在はもうやらさせないというようなかっこうの指導をするというような方向で、それぞれの業種に応じまして個別に生産段階での指導というのを私どものほうでやると同時に、防止施設の設置につきましては、できるだけ早くそれを設置するような指導を行ない、中小公庫あるいは開銀、事業団というようなものから設備の設置についての融資をするというようなことを心がけておるわけでございます。
  75. 田中一

    田中一君 てなこと、てなことと言っているけれども、効果はどうなんですか。
  76. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) われわれとしてはできるだけの努力をしているつもりでございますけれども、現実にはいろいろと問題が起きております。たとえば、琵琶湖周辺での問題の例をとりますと、四十六年に私のほうで重金属の調査をしたことがございますが、そのときにもたとえば奥村製作所ですか、ここはクロムが基準よりオーバーしておるというようなケースがございまして、これは直ちに県を通じて改善の措置をとるというようなことをやっておるわけでございます。努力はしておるつもりでございますけれども、まだ十分とは申せませんで、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  77. 田中一

    田中一君 そんななまぬるいことを言っているんじゃないんですよ。十分指導がとかなんとか、実効の問題です、現在。これは、こういうことを言っていると、これは通産大臣呼んでいろいろ聞かなければならぬが、これは委員長、あういう答弁では不満ですからこれは呼んでください。実効というものはどうなっているか、現実に。現在どうなっているかということを聞いているんです。
  78. 小林武

    委員長小林武君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  79. 小林武

    委員長小林武君) じゃ速記を起こして。
  80. 島田春樹

    説明員(島田春樹君) お答え申し上げます。  私どもが現在把握しておる段階では、大きな工場、いま御質問が重金属ということでございましたが、先ほど申し上げましたように、大きな工場での東洋レーヨン、大津板紙、それから鐘淵紡績というものにつきましては私ども調べております。  調べました結果先ほど申し上げましたように、現在のところ生産段階でそういうものを使用していないようでございますので、そういうものは出ていないというふうに承知しております。しかしながら、それ以外の小さな工場につきましては私ども不勉強でございますけれども、まだ十分に実態を把握しておりません。したがいまして、そういった小さな工場の中で出ているものというものがあるいはあり得るかもしれないのでございますが、それにつきましては、なお、私のほうとして一般的な方針としては先ほど申し上げましたようなことでございますけれども、個別に出ておるようなものにつきましては、調査の上指導をするということでございます。
  81. 田中一

    田中一君 総合開発局長来ていますか。
  82. 牧野俊衛

    説明員(牧野俊衛君) かわりに私参事官でございます。
  83. 田中一

    田中一君 この四十トンの取水で、大阪、兵庫はあとどのくらい足りないのですか。たとえばその水の計画はどうなっておるか。大阪、兵庫ですね、二県に主としていくんですが、充足状態はどうなのか、不足がどうなるか、今後どういう方向でその不足があれば不足を補っていくのかという点について。
  84. 牧野俊衛

    説明員(牧野俊衛君) お答えいたします。  水の需給計画といたしましては、今回水の基本計画の改定を策しておるわけでございますけれども、五十五年を目途といたしまして新規の需要目標が淀川流域が六十八トンございます。そのうち先生の御指摘の大阪、兵庫につきましては、大阪の需要が四十五トン、それから兵庫が水道と工業用水合わせまして十四トンでございます。  いずれにいたしましても、それを含めまして淀川流域の需要目標が六十八トンでございます。これに対しまして今回目標といたしております供給計画でございます。これは実は満ぱいにできないのでございます、現状では。今回の待望の琵琶湖開発がやっと近づいているわけでございます。したがいまして、これを契機として基本計画を変えたいと策しておるわけでございますけれども、これによりまして琵琶湖の四十トン、そのほかに四つのダムのものを、現在実施中のものもございます。その十トン合わせましても五十トンの供給しか現在の計画ではできていない状況でございます。したがいまして、不足の分につきましてどうするかという先生のお話でございますが、いま直ちに数量的にこうできるということは実は申し上げられる段階ではございません。ただし先般来問題になっておりますように、現在の利水の合理化あるいは需要者の改善そのほかに各使用者のあらゆる面における合理的なあるいは有機的と申しますか、そういう改善をしてその面のギャップを埋めたい。  たとえば漏水の問題にいたしましても、あるいは工業用水の回収の問題にいたしましても、現在通産省で法的なことも含めて検討中でございます。それから先般来問題になっております下水の処理にしましても、いろいろな技術開発をいたしまして、再使用というような問題の開発もだんだん可能に近づいております。現に関東地区では一部実現しているところもあるやに聞いております。したがいまして、こういう合理的な開発、これも開発でございますからそういうもので補える。しかし、それでも足りないという面につきましては、現在私どものほうでは水系開発——先ほど河川局長さんのおっしゃられましたように、水系指定いたしましてやっておりますけれども、この面だけで補えないものにつきましては、いわゆる広域的にその関連水系と申しますか、その関連水系といいましても、そこにはやはり需要者もあれば、いろいろ観光もございます。しかし、それもあわせまして、そういう関連水系も開発いたしまして、それで残りの分を補うという計画で、現在基本計画を策定中でございます。したがいまして、いま先生がお話しの、大阪、神戸を合わせましての水量がいま直ちにこの現在の基本計画供給計画で満たされることはできないんでございますけれども、そういう今後の努力並びに開発、それから各省との協議によりまして、早急に解決したい、こういう趣旨で現在基本計画の改定をもくろんでいる次第でございます。
  85. 田中一

    田中一君 私は、水というものは足りないところに回すのが、これが原則だというように信じておるんです。したがって、琵琶湖が多少のいろいろ不便を感じながらも、足りない地域社会に生命の水を送ることがこれが正しいんだという信じ方から、今度のこうした計画に同意したところの地元の人たちに非常に感謝をしているわけなんです。同時に、供給を受けるほうの大阪並びに兵庫県が水のむだづかいをしないことをひとつあなたのほうから言っていただきたいと思うのです。えてして水の価値なんていうことは全然わからぬ人が多いのですが、東京なんかでも、大都市には大きな渇水期があった、その場合にはほんとうに生きるか死ぬかの切実な問題があるわけなんです。これはひとつそういう意味のことを、節水というものも考えながら、どうか一日も早く大阪、兵庫等、水の足りないところへ水を供給する方策を至急とってもらいたい、こう思うのです。  それで最後に伺うのですが、自治省はだれか来ていますか。——これだけ膨大な国費を投入して、国民のある地域の生命を守ろうという計画を立てられた、これはたいへんですよ。いま私が申し上げただけでもこれを一応早期にやれば一兆円どころではないと思う、完全にやろうと思えば。これに対して自治省としてどういう心がまえをもってこの事業に協力するかという点について、具体的といっても、これからいろいろ長期の計画で要求が出てくると思いますけれども、自治省のほうのかまえ方としてはどういう態度を持っているかという点を締めくくりに質問をいたしまして、これで終わりますが、もし、あなたが変な答弁をしたらまたやりますからね。
  86. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 自治省といたしましては、今回の琵琶湖総合開発事業というものが、周辺地域あるいは下流の地域住民の水の確保、こういう両方の面からいたしまして、きわめて大きな国家的な事業であるという考え方に立ちまして、もとより地元の滋賀県あるいは周辺市町村、さらには下流の大阪、兵庫、それぞれの関係市町村いずれも一連の財政負担を負うわけでございますが、これにつきましては、まず第一段階といたしましては、国家的なプロジェクトでございますから、国自身におきましても補助率のかさ上げをやっていただく、これは実現をいたしておるわけでございます。また、下流府県に対しますいわゆる下流負担、これについても目鼻がついているわけでございます。そういうものを含めまして、いま私どもが事務的に連絡をいただいております数字はかなりの膨大な額でございます。四千二百七十億という数字でございます。これに伴いまして、それぞれの県なり市町村なりの財政負担も千二百億程度のものになろうかということがいわれているわけでございます。私どもといたしましては、この仕事の国家的意義ということにかんがみまして、交付税あるいは地方債、こういったものにつきましては優先的に充当いたしてまいりたい。いろいろ個々の年度にわたります財政負担、十年間でございますので、ある程度の伸び率も見てやらなければならないわけでございますが、現在の私どもの試算におきましては、現在のシステムで考えてまいりますというと、県あるいは関係市町村の財政負担はそれに耐え得るものというふうに判断をいたしておる次第でございます。
  87. 小林武

    委員長小林武君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後二時まで休憩いたします。    午後零時四十六分休憩      —————・—————    午後二時六分開会
  88. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、琵琶湖総合開発特別措置法案質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  89. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ちょうど一週間前になりますが、私、土曜日に関西に帰っておりましたら、ある人に会いますと、五月三十一日、こえて六月一日、二日と淀川の水がにおうという話でした。いいにおいならいいんですけれども、くさいという話だったわけです。そこで私、御存じだと思いますが、淀川水系にかかる鳥飼大橋の上まで出向いていきまして、鼻のきく住民と一緒にかいだんですが、風がきついかしてにおいがしませんでした。それで、枚方の淀川川岸におりてかがんでにおいをかいだんですが、また手ですくって鼻まで持っていってかぎました。口にも含んでみたんですが、一向においが感じませんでした。ところが、きょう滋賀県から来られた方にお目にかかったときに、最近琵琶湖の水がくさいんだというお話だったんです。そこで、最近くさいというのは周期的な話なんでしょうか、またときどきなんでしょうか、常時くさいのでしょうかと聞きますと、五月の中ごろから毎年六月にかけて少しくさいのです、ときどきくさいのですというお話です。一体あなた何が原因と思われるかと聞きますと、これは土地の専門家の方ではございませんが、その方が湖水のモだろうと言う。それから、水中の植物の関係だろうと、こう言っておられました。それで、私は河川局長か、まあ水の専門の方にお聞きしたいのですが、この法案が審議されてから法案に非常に批判的な立場の人からも、またそうでない立場の方々からも、よく琵琶湖の水がくさい、淀川の水がくさい、とりわけ琵琶湖においては鼻持ちならないときがあるとか、また、赤潮の現象もあらわれることがあるとかいうことをときどき伺うのですが、琵琶湖の水がほんとうに最近くさくなってきたのか、また周期的な関係か、あるいはシーズンといいますか、季節によってときどきくさい現象があらわれるのかどうかということ。なお、何が臭気の原因になっているのだということ、また、赤潮の現象が実際あるのかどうかということをひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  90. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 琵琶湖のくさい水問題というのは、実は最近の現象ではないのでございまして、すでに昭和四十四年に琵琶湖の水を上水として使用しております京都市におきましてくさい水問題というのがすでに発生をいたしております。これは琵琶湖のみならず翌四十五年には大津市とか、それから淀川の本流から上水を取水しております地域につきましてもやはりくさい水が出たというようなことが出まして、琵琶湖を水源といたします地域につきましては相当広範囲にくさい水の問題が出ているというふうに私どもは承知をいたしております。この発生の態様でございますけれども、従来は大体五月から七、八月と暑くなります季節にくさい水が発生いたしたんでございますけれども、最近におきましては、寒い季節にもそういう現象があらわれるということになりまして、時節を問わずそういうような現象が発生をいたしておるのでございます。  そこで、原因は何かということでございますけれども、従来各種の試験研究機関、大学等でもって研究をいただいているわけでございますけれども、結論から申し上げますと、必ずしもまだ原因ははっきりいたしておらないと。  いままでわかりました点を申し上げますと、どうも臭気が発生する危険性は、琵琶湖にモが大発生をするというときに臭気を発生する危険性が非常に大きいということがまずいわれております。それから、琵琶湖の湖底からカビ臭を発生します放線菌というのが発見されまして、これがカビ臭が発散をする原因であろうということも考えられております。ただ、この放線菌と、それからモ類との関係が必ずしもはっきりいたしておりませんし、モだけでもカビ臭を発生するかというと、それもまだ必ずしも明らかでないということで、やはりカビ臭を発生をいたしますメカニズム等につきましては、今後さらに研究を要する問題というふうに実は考えているわけでございます。ただ、やはりモの発生とかあるいは放線菌の発生というようなものはともかく富栄養化の現象に関係があるだろうというふうに推定がされますので、その意味におきましては先生お話しの赤潮現象といいますか、水質に燐、窒素等が多量に存在いたしまして、これに誘因物質なり誘因要件等が加わりますと、海に似た赤潮が発生いたしますけれども、そういうものが琵琶湖に発生をいたすということが十分考えられることでありまして、そういうような全体のメカニズムの中において、くさい水の問題というのが発生をしているというふうに私どもは理解をいたしておるわけでございます。  そこで私どもは、くさい水の対策というのは、一つは、やはり琵琶湖の富栄養化を阻止をすると、改善をするという方向で努力をいたしたいと思っております。  もう一つは、この臭気を取る方法でございます。現在活性炭等を利用いたしまして処理をいたしておりますけれども、相当大量にこれを投入する必要があるということから、経費の点でも相当な負担になっておるのでございますが、もっといい方法があれば、経済的にもさらに臭気の除去の点においても効果を発揮するんではなかろうかというふうに考えまして、その方面の研究も現在していただいているというわけでございます。
  91. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 淀川がくさいということについての御意見ございませんか。
  92. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 先ほど申し上げましたとおり、淀川におきましてもやはり先ほど申し上げましたように、昭和四十五年からくさい水という問題が発生いたしておりまして、これはやはり琵琶湖の水、それから流下する過程において同じような現象から、原因は同じではあるまいかというふうに実は考えております。
  93. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 どうも、私が直接水をかいだのには川特有のにおいを確かに受けました。しかし、これも長い間私も淀川流域で生活しているものですが、そのくさいという点については感じたことがないんですね。そして、よごれたという点ではもうここに申し上げるまでもありません。この点は私後ほどひとつ汚染対策についてなおお尋ねすることにしたいと思います。ただそのにおいですね、臭気を取ることをいろいろと考えているとおっしゃったんですが、実は、私この話をぽっと先ほど伺って、昼過ぎ、食事後に琵琶湖なり淀川の水が周期的にしろときどきくさいのだということを申し上げることすらちょっと遠慮申し上げようかと思ったほどいやなことなんです。  この点まあ臭気について、これが衆議院においても水質回復等の修正等が行なわれていますので留意され、これが対策に取り組んでいただきたいことを申し述べておきます。これは後ほどひとつ汚染対策で少し触れさしていただきたいと思いますのであと回しにいたしたいと思います。  そこで私、きょうの本論に入りたいのですが、すでに本委員会においても大体御意見が出そろったように思われます。そこで、私は、まだ深く掘り下げているとか、掘り下げないとかいうような問題もありましょうが、私は大体御意見が尽くされたと、こう思います。  そこで、重複するかわかりませんが、重複をあえて承知の上で、私なりに確認したい事項について若干質問を続けさしてもらいたいと思います。  まず第一に、一つお伺いしたいと思うんですが、御承知のように琵琶湖の、また淀川の問題はもう古い問題でありまして、またこれほど新しい課題はございません。特に琵琶湖開発、淀川の開発に関してここ十年の間というものは関係府県また政府におかれましてもそれぞれの機関を通して非常に御努力をいただきました。なかなかそれぞれ関係者が誠意をお互いにお持ちになりながらやはり合意に達せられなかったのですが、その点につきましてこのたび政府を代表された形で西村大臣にごあっせんをいただいて、滋賀県また大阪府、兵庫県三知事との間に琵琶湖の水並びに下流のそれぞれの意見というものを調整していただきまして一つの合意の点に達したということを伺っているんですが、大臣からこの間の事情についてお漏らしいただけたらけっこうと思うのです。
  94. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この問題長い間の問題でありましたことは御案内のとおりですが、今回ようやく関係知事さんの合意を得まして政府としてもようやく琵琶湖の総合開発の特別措置法案を提出する段取りになりましたのですが、こういうふうに合意を得た背景はやはりこの水源県である滋賀県と、それから下流のほうの大阪、兵庫の両県にいたしましてもおのおのその立場的にはよほど違うのですが、しかしまあ世論の何と申しますか要請、その世論の要請というのはやはり琵琶湖をこれ以上よごしちゃいかんのじゃないかということ、それからまた、滋賀県の県民諸君にしてもただ単に下流のほうの兵庫県とか、大阪のみが水を使うわけじゃないし、自分のほうでも水を使うのだからやはりよごれおってはどうにもならぬというようなこと、それから、下流の方々でも前に言っておりましたような要求に対して、それはやはり滋賀県を大いに助けなければやはり滋賀県だけでもって水をきれいにしようといっておってもなかなかできるもんじゃないというような相互の立場がやはり合致したのでございます。したがって、私はたいへん喜んでおります。しかし、とにかく合意に達して法律は出しましたけれども、法律が出たからあしたからよくなるというもんじゃ決してございませんので、この特別措置法案をやってよかったというのには、相当に政府はもちろん民間の方々の協力も得なければまたできないと、かように思っておる次第でございまして、ちょうど時が熟したと申しますか、そういうような関係で、皆さん方が大局的な立場に立ってこの問題をここまで進ませた、かように私は考えておる次第でございます。
  95. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私のお尋ねが大ざっぱであったために、ただいまの大臣の答えは、三知事と大臣とが御関係になって、合意点に達した内容に具体的にはお触れではございませんでした。私は具体的に少しお尋ねしたいと思います。御承知のように、下流のわれわれ利水者といいますか、大阪府並びに兵庫県等の利水者はいまでもけっこうなんですが、お話でお聞きのように、あつかましい話かもしれませんが、毎秒六十トン、ひとつどうしても増量してもらいたい、また四十トン以上増量を願いたいという意見だったと思います。また、滋賀県側ではそれは困るということで、いろいろ御意見もあったようですが、三十トンという話も出たと聞いております。結局、いろいろごあっせんいただいて、四十トンひとつ増量しようではないか、また琵琶湖のそれに伴う最悪な最低水位、これが一・五メーターまた二メーターという話も出たんでしょうが、結論は一・五メーターで合意に達しまして、話がきまったと聞いております。そこで、その一一五メーターの合意に達した、それ以上の水位の低位、たとえばきょうの田中委員の午前中の質問の中にもありました二メーターという話ですが、この点では、大臣にひとつ、なかなかまとまらぬので、それでは一任しようではないか、すなわち一・五メーターまではすでに合意に達したが、それ以下に下げるということはそのときの状況と申しますか、よほど異常時な大渇水のときにひとつ周囲の事情等々、大臣におまかせしようではないかというように承っており、また、衆議院でもこれと同じような、私の表現へたなのでしょうが、そのような御意見を大臣からひとつ聞かしていただいたように思うのですが、いかがでございましょうか。
  96. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 水利権の問題、現在持っておる水利権からプラス幾らにするかという、これは当然初めの話し合いは下流とその上流が意見が違うんであって、これを義務づけることになりますから、下流の方は少しでも義務づけて、多いほうがいいし、上流の方はそうすれば被害が大きくなるということで、しかしすでにまあ四十トン・パー・セコンドというものはある程度まで常識になっておりまして、その常識というのは、やはりおのずからなるいままでの統計によって四十トン・パー・セコンドであっても、これはたいした被害はあまり常時起こるもんじゃない。これはいままでのやはり建設省等の説明で、いままでの記録をたどってみて四十トン、さらに水利権を追加してもそう困るあれではないということ、そのためには一・五メーター程度にしても十分やれると、こういうのがおのずからなるいままでのデータとしてあったわけでございます。しかし、私は関連知事との話し合いのときも、その問題もいろいろ話が出ました。出ましたが、やはりこれはある程度常識の線でいけば、この点はひとつ四十トン・パー・セコンドで一メーター五十ということは、これは常識の線だろう、その一メーター五十は標準的水位となっておったんで、標準的水位というのは滋賀知事としては困る、いつも標準になっておる、いかにもゼロ・ラインに相当するようなことの印象を与えるというから、それは私もあまりよくない、これは利用低水位とすべきだというので、これは私が滋賀知事と話して直してもらった、これは標準低水位——標準低水位というのは、あくまで滋賀県の県民にはいつも下げておくのだという印象を与えるというから、これは利用低水位というようなことに変えたんですが、それからあとの二メートルまでの問題がやはり両県知事、なかなか譲らないわけでございます。しかし、やはりそういう危急存亡の非常な渇水時ということもないことはない。しかし、そのときはいずれにいたしましても、とにかく水について責任を持っている建設大臣としては、上のことも考え、下のことも考えてやらなければならぬのであるから、ひとつおまかせを願いたい、そうしなければやれませんよと。そういうときはそういうときでもって建設大臣が上のほうの利益をはかるとか、下のほうの利益をはかるとかではなしに、同じような立場でやらざるを得ないのだから、これはひとつまかせてもらわなければやれませんよと、こういうことでございます。滋賀知事はあくまで二メートルという水位を出してくれるのは困る、二メートルまで下げるんだということを言われては困る、こういうふうに非常にあれしました。しかし、二メートルまで下げるとか下げないとかということではなしに、それ以上、危急存亡のときには建設大臣が両県民の立場を考え、善処するということで話がまとまったわけです。ただし、実際問題としては、やはり施設をやるのには、あるいは補償をやるのにしては、どこまでをやはり標準としてやらなければならぬかということを考えざるを得ないから、この低水位の限度として二メートルまで下がったと仮定して、その際にどういう被害が起こるか、こういうことで対処してはどうかということであったわけでございます。とりもなおさず、ここまで両県知事関係知事が理解を示してくださったということは、これは全くやはり大局的立場で、世論の力で、いまぐずぐずしておれば元も子もなくなるということを関係知事が認めたからでございまして、そういうような多少のいきさつはございましたので、それ以上のことはあまり秘密も何にもありませんです。そういうふうに御了承を賜わりたいと思います。
  97. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 御了承というおことばをいただいたんですが、私は過ぎたことばがあったかもしれませんが、いまのお話、非常にけっこうです。ありがたく御努力に対し感謝の意を表しているわけです。  それで、四十トン毎秒増量してやろうと、その水位については一・五メートルということで合意に達した。そこで、その補償として琵琶湖の再開発に要する下水道施設における必要な特別措置法によるこの補助金の二百五十億ですか、また、下流府県においてこれを負担することになる。しかし、百五十億では滋賀県側ではまだ困るので、もう五十億というお話があったということで、下流府県から五十億融資するという、大体こういうような御意見がいままでの委員会の審議で開陳されております。また、そう受け取っております。  そこで、私はいろいろいただいた関係資料を見せていただいたのですが、水位一・五メートルに下がった記録というのは、四十七年間に二度ばかりだと伺っています。これは記録に基づくということですが、最近では、昭和十四年八月でしたか、一メートル三センチに下がったということです。参議院に来られた、たしか、あれは森という参考人だと思いますが、この人はこの主張にも批判的立場の人でしたが、十四年の八月、一メートル三センチまで下がったということを述べられたんですが、そのときのこの人の意見に一メートル三センチ下がった後の回復ですね、これは相当早い時間で回復したと承ったんですが、これは一メートル三センチ、一メートル以上下がった場合、どの程度の時間でもとに回復するのかどうかということと、いま一つは、合意に達した一メートル五十ということ、想像するとなりますと、やはりこういうこともあり得るということを考えなければなりませんが、かりに一メートル五十下がるような大渇水のときを迎えたとき、これがもとに回復するのにどの程度の時間と日数を要するかということをひとつお聞かせいただきたいと思うんです。
  98. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) ただいまお話しの過去の実績の記録から申し上げますと、昭和十四年の十二月四日に過去の操作で一メートル〇三センチまで下がった実績がございます。この当時は、御承知のように、まだ第一期の河水統制も着工していなかった時代でございまして、特に意図的な操作を行なったわけではございませんが、異常な渇水時に下がったわけでございます。このときに、この水位がマイナス五十センチ以下であった全日数が約百九十五日、したがって、最低の水位から五十センチまで復元するのに約八十三日ですから、三ヵ月足らずくらいかかっております。今回は、低水位をマイナス一メートル五十まで操作して下げるわけでございますが、この場合には、非常に渇水時でございますので、一メートル五十ではおさまらないということが、もし同じような渇水の状況が繰り返されるならば、という仮定でございますが、計算上からは予想されるわけでございます。これを野放しにいたしますと、マイナス三メートルといったようなことで、相当水位の低下あるいは低下期間も長くなるわけでございますが、たとえば、その場合のマイナスを一メートル以下になります日数は約五百日ぐらいでございます。で、したがって、最低から一メートルまでに復元する日数が百十一日というようなことが、計算の結果で類推されるわけでございます。したがって、こういった渇水の場合には、われわれといたしましても、万全の対策をとり、かつ、操作をいたすわけでございますが、もし、こういったものがくれば、一メートル五十を割ることは可能性として考えられる。しかし、前にも御説明申し上げましたように、下流には維持用水といったものもございますし、下流のいわゆる水の需給の実態の問題、それから、淀川の下流の河川に関連します環境の問題、こういったものを総合的に判断いたしますれば、二メートル以上に下がるというようなことはまず防げるんじゃないかというように考えておる次第でございます。
  99. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 いまお話を伺ったのですが、四十七年間に二回、また十四年の一メートル三センチの場合も、その被害というものを、私は被害状況というものを質疑の過程でお伺いしましたので、繰り返してお伺いしようとは思いません。また、これに対して万全を期するというのですが、被害についての補償について、それぞれ政府関係機関において、たとえば水産の手当ての問題、及び農産物に対する被害の問題その他いろいろの関係局においては、これが補償に万全を期するという考え方は、具体的にこういう方法で補償したいということ等の意見を何度か聞かしていただきました。私は万間違いなく、これらの最悪の異常渇水の場合、ひとつ十分被害状況の見通しを立てまして、これがそういうことのあり得ないように処置を講じていただきますとともに、万が一の補償についても、ここで開陳されたお考え方のように、十分補償というものについて、万全を期していただきたいということを申し述べておきたいと思うのです。これは私からお願い申し上げ、私はもう時間の関係もございますが、決してそれをおろそかにすることなくして、やはり万が一の渇水の場合、これら被害を受けられる方々に十分な補償を、手当てをしていただきたいことをお願い申し上げておきたいのであります。  そこで、実はきょう資料をもらっておるのですが、いま私が申し上げましたように、水位の低下によって水産業、農業、その他港湾及び漁業または琵琶湖の京都への影響の疏水その他のほうについても、実は被害がこの程度出るのだというデータも出ておりますし、まあこれについて私がいま申し上げました十分な補償処置を万全にしていただきたい、これをなお重ねて念願しておきまして、もうこれに対しての御返事は了承いたしましたという御返事だととって、ひとつ先に進ませていただきたいと思います。  次に汚染対策ですが、きょう午前中、田中先輩委員から、下水道問題を取り上げて十分お話し合いもございましたので、私はここにも下水道に対しての琵琶湖水質保全上重要な下水道整備ということで、中部湖南彦根長浜及び湖西各流域下水道及びその関連公共下水道並びに大津及び今津各公共下水道等、事業計画の概要をいただいております。なお、これに対する裏づけの予算措置についても資料をいただいているのでありますが、すでに田中さんからいろいろとかなり深い御質問がございましたので、私は、これ以上触れようとは思いません。ただ、私が下水道及び流域下水、それからこれに伴う家庭汚水の処理施設及びし尿の処理施設、衆議院の修正によりますと、し尿処理ということが加えられているのですが、すでに前からし尿処理は計画の中に入れられておったかと思います。これらの施設を行なうについて、ここに予算も出ておりますが、さきに下水道センターという法案が審議されたときに、また実際もそうですが、下水道並びに流域下水及びこれに伴う処理施設というものの建設にいまどれだけ技術者が足らないかということは、もう下水道センターの質疑を待つまでもなく、いま東京と大阪を除いて、失礼な話ですが、これらの施設を完備し工事を進める技術者というものは、私はすでに足らないんではないかということを聞いております。まあそういうふうな点で予算は裏づけたと、しかし、金があってもこの下水道の工事は完全に、ここの事業計画に一応出されているように進行するのかどうかということ、非常に私疑問を持つんです。一つの事業——申すまでもなく、たとえばタクシーのような事業でも、金があっても台数があっても運転手がおっても、やはり運営のスタッフがなければ最近はどうにもならない。こういう点で、私はかなり今度の重点を置かれております琵琶湖の汚水対策でも、私は中心だと思っておりますこの下水道流域下水道建設、その排水処理というようなものが完備できるのかどうかということを非常に疑問を持つんですが、これは下水道部長おいででなかったら関係者でもお答え願えないでしょうか。それでなかったら大臣からひとつお答えください。
  100. 西村英一

    国務大臣西村英一君) やはり水質保全のために一番大事なことは、私は下水の完備それから工場排水規制、下水はまあ私のほうですが、工場規制のほうは、環境庁は数字は示しますけれども、実際やるのは通産省が規制はやらなきゃならぬ。一番心配しているのは、やはり通産省のやることをとやかく言うわけじゃありませんが、工場排水はやはりたいへん心配しておるんです。それはなぜかといいますと、中小企業が非常に多いんです一ほとんど中小企業です。それですから、一口に工場規制と、完備するといいましても、これは私はたいへんなことだと、実はこう思っております。  下水のほうも、御案内のとおり技術者が少ない。流域のほうは県でやりますから、これは県知事さんに、ひとつ滋賀県でも県でやるとなれば実力はあるでしょう。けれども、今度は工場になりますと各市町村がやると、これはとてもそういう余力は技術上の力は私はないと思います。したがって、その点は今後われわれが最も気をつけなければなりません。下水道の完備と工場の規制が、言うがごとくうまくできたならば、琵琶湖は見違えるようによくなる、これは私は相当に自信があります。しかし、いま水質基準をはかっておるのは、あちらこちらで全部はかっておる。みな数字が違うんです。したがって、どれだけよくなるかということは、この法律が発足する前と発足してから後一年間に、たとえばことしの八月一日、全部の水質をはかるところを、まあ何ヵ所ありましょうか、各所で、京都大学、滋賀大学もやっておる、建設省もやっておればこれから環境庁もやるでしょう。場所が違って、ときが違って、やり方が違うんですから、みな数字が違います。   〔委員長退席、理事茜ヶ久保重光君着席〕 これをひとつ申し合わせをして、本年の八月一日ならば一日という日をきめて、どこでもってどういう時間にどうしてはかったかということも統一したものをつくって、そうして一年間たって来年、四十八年の八月一日が同じところでどうなったか。こういう比較をしなければ、私はただよくなったとか悪くなったとか、画一的なことを言ってもしようがないと思います。  そういうように、やはり科学的に、今度はかようなことをしてかようによくなりましたよと、そういうことでやらなければ、相当な国費を使ってやることでございまするから、その辺のことは私も今後法案が通りましたら十分ひとつ各省と連絡をとりましてその辺を整理いたしたい、かように思っております。いずれにしても、それ以上むずかしいまた汚水対策の問題は、またそれはその方面の担当の省にお願いすることにいたしまして、いま言いましたように、この下水をやるといっても簡単なことじゃございませんが、午前中も言いましたようにやはり私は一斉にかかりたい、こういう気持ちだけはいたしておる次第でございます。
  101. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私の質問、少し無理だったんでしょうか、その下水、流域下水道工事の事業計画ですが、だいぶ大臣勉強していろいろお話ししていただきましたが、私の質問は十分技術者も足り、この事業計画が示されているような期間中にこれが進行するのかどうかということです。おいででなかったらけっこうです。
  102. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 下水道部長が来ても同じことです。各市に何人専門屋がいるとか、何とかいうことはおそらくまだわかっておらないと思います。しかしその足らないということ、それに対してわれわれ手配しなければならぬということ、そういうことはもうこれは同じことです。下水道部長がいましても私以上に詳しく言えるわけじゃありませんと私は思いますから、その点は十分注意をいたし、足らないところは十分こっちが指導をいたします。
  103. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 まあ田中さんからいろいろと御質問ございましたので、私はこれ以上家庭排水及びこの流域下水道公共下水道の問題についてはお尋ねする余地はございません。ただ、次の工場排水についても大臣から御答弁ございましたので、大企業すべて完備しているとは言いながら、大企業の工場排水の処理については、なおきつい規制を願わなければならぬと思っております。  また、中小企業のお話がございましたが、これも元来から滋賀県の地元の中小企業もございます。しかしこれも大体近県——関西から滋賀県へ土地を求め、また誘致に従って進出した工場も非常に多いのでありますので、これらを十分御指導いただいて工場排水が被害になるようなことのないようにひとつ御指導賜わらばけっこうだと思います。  実際に私少し、琵琶湖南部といいますか、私の身寄りが守山にとついでおります。守山には御承知と思いますがコイの養魚というか、養鯉というんですか、金だとか銀だとか、よく新潟でやられているように、これも家庭の一つの趣味として、また事業としてやられている方もおりますが、最近その地下水が悪いものだからこれがどうにもならぬという。それから長浜なんですが、これもよく出かけるんですが——長浜じゃない、手前の彦根ですね、彦根に水道がたしか去年ついたというような状態なんですが、それまではどうかというと井戸水なんです。吸い上げなんです。その井戸水がだんだん水量が減ってきたということ、在住者はすでに去年みんな訴えておりました。こういうような点から考えまして、一体その原因は何にあるかということを市の行政者、これも専門家でありませんが、聞きますと、やはり工場の水の吸い上げ、地下水の吸い上げにあるんだということを異口同音におっしゃっておられました。そういうような点から、単に工場から出される廃棄物ということだけじゃなしに、やはり地下水の吸い上げ等から受ける滋賀県の被害についても十分な対策を樹立していただきたいと思うんです。まあ大臣が得心いただいておりますれば、それ以上関係者から御答弁を私は受けようとは思いません。  そこで話がかなり飛ぶんですが、田中委員も触れられましたように、当委員会でも論議になりました例の湖水周囲の湖周道路の問題です。これは私、大臣に伺いたいのです。というのは、湖周道路が琵琶湖の水をよごす原因にもなり、また琵琶湖に生息する魚などにも影響してくる、また琵琶湖の周囲の護岸についても悪い影響があるからこれをやめたらどうだとか、またこれを現在の位置から少し離して道路をつけたらどうかという御意見等もありましたときに、西村建設大臣は、湖周道路には私も批判があるのだということで御批判的であったのですが、私は、決してこれをば進んで建設していただこうとは思いませんが、しかし現在の滋賀県の交通事情なんです。まあ滋賀県にレクリエーションで大ぜいの人が集まるということが常に課題になっていますが、もちろん、中京の人も見えましょう、京都の方も見えましょうが、大部分は阪神、大阪なんです。ところが最近の何号道路というのですか、この国道の車の渋滞からみてもうこれ以上、滋賀県へ大ぜい参らなければならぬのに困難なような道路の状態なんです。そこで湖周道路は、大体現在のやつをそのままの位置でかなり幅を広げ、またどうしても三ヵ所とか、四ヵ所新しく建設するということを聞いておりますが、私はいろいろな事情で湖周道路というものが少し建設の方針を変えられるとかというようなことのないように、これはひとつ進めてもらいたいという意見のほうなんです。こういう点で、大臣非常に批判的なお話がありましたので、湖周道路についての建設省の、また道路公団の考え方をひとつ伺いたいと思うのです。
  104. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 実は、これは私もだいぶ誤解をしておった点があります。したがって、一般のあまりこういうことに接触していない人は、新聞等のマスコミの報道によってたいへんやはり誤解を受けておるのじゃないかということを私は感ずるわけです。とにかく何でも琵琶湖周辺をずっと道路をつくって遊覧といいますか、観光に便利にするというふうな考え方をしておるのじゃないか、私自身もそういうぐあいに感じておったからそれはたいへんなことだと、こう言ったのですが、実際現地を見ましたらそうではないようでございます。滋賀県当局もそういうふうな考え方はいたしておらないようでございます。北のほうは一六一号線が湖の近くに通っておって、すでに湖周道路に似たようなものがあって、湖の南のほうの一部分はやはり何と申しますか、道路はちょっとあるのですけれども、道路法によらないような道路というものがあって、非常に不便だということでございます。そこで、私は向こうへ行きまして一体この道路は何が目的だと、こう言いましたら、やはり住民に対して交通の便利をよくするのだと、しかしそれじゃ言い方が悪いじゃないか、私のほうは周遊道路となっている、遊ばせるのだ、ほかの観光の客を引っ張ってきて。この道路の言い方それ自身で新聞に書かれるから——向こうにいってみますと、北のほうは湖岸道路と書いてある。その湖岸道路、湖周道路、建設省がやったのは周遊道路、遊ばせるのだと、こういう三ヵ所の呼び名がついておるわけです。私はやはり湖岸道路という名称ならば、これは住民がやはり非常に不便だ、かてて加えてりっぱな観光をやるにはやはりそういう道路も必要だろうと思うのです。しかし、これをあまりずっとつないではいかぬような気がいたしました。そこで、この道路をつくるとともにやはり湖周の利用の計画をもう少しよくしなければならぬ。道路がつきますと、好むと好まざるとにかかわらず遊びには来る。それはある者はヨットをやる人もある。ある者は魚をつる人もある。それから見ますと非常にいま道路のついておるところはきたなくなっております。もうたいへん湖が非常にきたなくなっておるから、したがいまして、これは建設に対して非常な注意が要るということでございます。とにかく工事のところも堤防と道路を兼ねるようなところもあれば、あるいは道路としてこの住民に対して交通の便利を与えるようにするところもあるし、ただ一様に琵琶湖の回りをずっと取り巻いてみんなを遊ばせるのだというような印象を持たせるような言い方、それははなはだおもしろくないということで、私自身がたいへん誤解をいたしておりました。行ってみて初めてこれは必要なところもあれば、やってはいけないようなところもある、こういうふうに私は感じたのでございまして、その点はひとつ今後建設するにいたしましても十分留意をして建設をする。必要は十分認める、まあやってはいけぬところもある、こういうふうに感じた次第でございまして、私も自分の認識を新たにした次第でございまして、いずれにいたしましても運用につきまして十分検討したいと、かように思っております。
  105. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 まあ湖周道路は、私のこれ資料の取り方が間違っておったらお許しをいただきますが、六百二十八億六千三百万円と聞いております、事業費を、その上水資源の開発事業の七百二十億ですか、とともに、下水道整備の費用も五百九十億ですか、かなり膨大な事業費なんですがね、湖周道路についても万遺漏なきを期して、ひとつ非難のないような建設をしていただきたいと思います。  そこで、あまり時間がございませんので端的にひとつお伺いしたいことは、この法案が通り、さて事業にかかられて、この法案は十ヵ年間の時限法になっております。この事業事業計画の遂行について完全にやれるかやれないかということが関係者では非常に議論になっております。というのは、ここでも問題になったか知りませんが、話を伺ったときに、たとえばこの事業の推進母体がだれかという、いずれがやるかということ、推進母体、たとえば近畿圏整備本部であるのか、水道、水資源の関係だとか、あるいは道路公団だとか、また滋賀県、経済企画庁、通産省、厚生省、農林省、建設省、幾つか、たくさんな事業体が関係されております。そこで、最初何とか統一したものをつくったらどうかという話もあったように聞いておりますが、ひとつ十分これが事業が進行しますように、どうかこの推進のためには中心になられるところがひとつ各関係事業主体との連絡等についても十分に配慮をわずらわしていただきたいと思います。これはどういうように進められる御意向なんでしょうか。
  106. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) この総合開発事業の中に盛り込んで予定をいたしております各事業は、ただいま先生お話しのとおり、それぞれの法律制度として定められた事業主体が実施をいたすわけでございますから、たとえば、道路公団の事業でございますれば公団がいたします。国の直轄事業でございますれば国が直轄で施行いたしますし、補助事業でございますれば滋賀県なり市町村実施をいたす、こういうことでございまして、確かにそれぞれの間の連携と申しますか、調整が非常に重要なことになろうかと思いますが、しかし、大部分事業は、いわば滋賀県が主体になられる部分が多いわけでございます。しかも十ヵ年計画の立案及び毎年度の事業計画の立案は滋賀知事がおやりになるということでございまして、その意味で、まず滋賀県の知事事業間の調整を期待をいたしておるわけでございますが、なお、ただいまお話しの、別の実施機関をつくったらどうかということは、確かに滋賀県側におきまして開発公社のようなものを、まあ琵琶湖公社というようなものをつくって、各事業全部そこで実施させるようにしたらどうだという案があったのでございますが、しかし、これらの事業実施する際に一番ネックと思われますものはおそらく用地取得であろうと、そういたしますると、ちょうどただいま別途この国会で公有地の拡大に関する法案が御審議をいただいておるわけでございますが、これに基づきます公社をつくりますことによりまして、各事業を通じての一番のネックになる部分はまだ解決とまではいくかどうか困難な事情はありましょうが、統一的に実施できるだろう。残余の技術的なものは、それぞれのいわばもちはもち屋にまかせるというような感じでございましょうが、それぞれに責任を持って実施をしていただく、しかし調整は第一次的には滋賀知事にお願いする、こういうふうなことで、統一的な事業主体の設置はこの法案では最終的には盛り込まなかった、こういう経緯がございます。
  107. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は最後の質問に、淀川の流域のひとつお尋ねに戻りたいのです。  これも最初に西村大臣から三知事にお話し合いに、ごあっせんに入っていただいて、こうだという詳しい話を聞きましたので、私はこれ以上お尋ねしようと思いません。ただ、洗いぜきの問題で大臣並びに河川局長にお尋ねしたいのですが、まあ異常渇水といいますか、私は南湖洗いぜきの問題が下流の淀川に渇水というような事態が起こったとき、しばしばやはり問題になってくると思うのです。そこで、この過去いろいろ洗いぜきの問題があったそうですが、私は過去のいろいろな洗いぜきのできごとを残念ながら知りません。ただ、今度、洗いぜきの管理は大臣が専任になられたのですね。そこで、地元の意見も聞く必要がある、十分尊重しなきゃならぬという意味から、滋賀知事の意見を聞き十分尊重して今後の管理に当たられるということ、これはもうこれでよろしいでしょうね。それから、それに加えて、−今後たとえば洗いぜきの渇水の場合にあれを広げるとか、今後のいろいろな洗いぜきのことについて河川局長に、ひとつ今後は自分は考えて洗いぜきの操作に当たるんだという、河川局長の洗いぜきの今後の操作の方針等について承れれば、私はけっこうだと思います。
  108. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 御承知のように、現在の洗いぜきで私ども琵琶湖の水位に関する操作を行なっておるわけでございますが、これは新しい河川法が昭和四十年にできまして、それによりまして、それぞれ重要なこういう構造物につきましては操作規則をつくって運営をするというたてまえになっておるわけでございます。たまたまこの瀬田川の洗いぜきというものは歴史的にいろいろな問題なり経過がございまして、しかも今回ようやく琵琶湖の総合開発が軌道に乗ろうとしておるわけでございますけれども、こういった計画を控えて、具体的な操作のやり方というようなものにつきましては、事務的にいろいろ滋賀県あるいは大阪府、建設省協議をいたしてきたわけでございます。やはり総合開発計画規模なり方針がきまった段階で、ひとつはっきりとした操作規則をつくって今後は運営をしようじゃないかというようなことで、現状は在来からのルールを踏襲してきておるわけでございます。今後琵琶湖総合開発が実現をいたしますと、この総合開発の第一の趣旨は、やはり湖周辺の国土の保全、環境の保全、こういったことがやはり第一でございますので、できるだけ琵琶湖の水位を、洪水時には在来よりもおおむね約三十センチくらいはあらかじめ下げておいて洪水を迎えるようにしたい。そういたしますれば、これは当然湖岸の水位の上昇も洪水時に防げるわけでございますし、したがって、大阪のほうもそれで安全になるということでございますので、そういったような基本的な治水の安全度をふやす考え方をとりたい。それからさらに洪水時には、現在の瀬田川の流量あるいは洗いぜきの流量、こういったものの疎通力を現状よりはさらに向上をさせたい。現在はまあ最大流量六百トンでございますが、これを約五割程度上げて操作をいたしたいと考えております。そういったことで、かなり出水時の琵琶湖周辺並びに下流の安全度等は向上するのじゃないかと考えておる次第でございます。  なお、いわゆる低水につきましては、これは通常プラス三十センチから下は五十センチないし一メートルの間で現在運営をいたしておりますが、今回の総合開発計画実施されますと、先ほど大臣からお話しのございましたように、まず通常の場合にはマイナス一メートル五十、こういった幅で運営をするわけでございますけれども、やはり異常の事態の場合にはいろいろな現象もあろうかと存じますので、万全の対策は講じますけれども、そのときにはやはり上下流の諸般の状況を勘案して操作をするということでございます。したがって、われわれの一般的な操作ルールといたしますれば、マイナス一メートル五十からプラス三十センチまでは利水の運用幅として今後は運営をしていく、こういうことでございます。
  109. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいま河川局長から、洗いぜきの今後の、総合開発事業の完成を機会に操作のあり方等新たに考えたいと、こういうふうに御答弁いただきました。御存じのように、いま御意見あったように、出水時、放流のときもたいへんでございますが、異常渇水のときにおいても非常にまたこれ自体が重要でございますので、今後の洗いぜきの操作等についても、十分なよろしき処置を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  110. 春日正一

    ○春日正一君 これは、近畿地建で出したパンフレットを見ると、計画高水位がプラス一・四メートル、それから補償対策水位がマイナス二メートル、それまでの工事をするということですから、だからワク組みとしては一メートル四十プラス二メートル、三メートル四十の幅で水位が変動が可能だという施設は一応つくる。その中で先ほど局長の言われたように、プラス三十からマイナス一メートル半という運用を考えておるということだと思います。この三メーター四十という幅は私はおそらく近い将来に必ず問題になってくる、そういうものを含んでいるように思います。しかし、いまここではそういう懸念を表明しておくだけで、本論に入りたいと思います。  一つは水位の問題で、マイナス一メーター半以下に下げるときは建設大臣調整するということになっているようですけれども、現在では何センチぐらいのところで調整をしておるんですか。
  111. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 先ほど申し上げましたような経過で、現在の運用は、利水につきましては、洪水期はできるだけゼロに近づけるというようなことで、あるいはまあ水位がマイナス三十センチよりも高いときもあるわけでございますが、そういったときにはできるだけ全開放流をいたしまして、まず三十センチまで下げる、あとは利水その他の関係、それから琵琶湖への流入河川の流況、こういったものを考えまして、なるべく洪水期にはゼロに近づける、こういうような運用をいたしております。それから冬季には、これは発電等の要請もございましたが、最近ではやはり下流の水需要、それから三月、四月には融雪がございまして、相当水位が上がります。これをそのままでまいりますと、またつゆ期につながりまして、洪水期の出水期の水位を相当上げるということになりますので、冬季の放流を、これは滋賀県その他関係のものが集まりまして、一応冬に入ります前に、この程度の水位で、この程度の長期予測であれば、この程度の放流をしようかというような放流の事前の打ち合わせを行ないまして、その線で当分冬季は操作をいたしておる、こういうことでございます。
  112. 春日正一

    ○春日正一君 マイナス五十センチをこえると、実際には毎秒五トンか十トンに押えるというようなことはやってないのですか、そういうふうに聞いているのですが。
  113. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 昭和十八年から二十七年までかかりまして、第一期河水統制を実施したわけでございますが、そのときの計画は一応マイナス一メートル、こういうことでございました。これがまあ必ずしも現在利用低水位の水位とは内容的に一致しないと思いますが、一応限度が一メートル、こういうことであったと思います。ただ御承知のように、戦争中でございまして、いろいろ湖周辺の実態の変化がその後ございましたので、補償等も十分でなかったというような面もございまして、実際の運営といたしますれば、まあ五十センチぐらい低下し始めますと、少し下流の状況、湖岸の状況等を見て、節水態勢に入る。したがって九十センチぐらい下がったこともございますが、大体まああるいは七、八十センチくらいの低下でまた戻して五十センチに戻すというのを繰り返しておるわけでございます。  それから下流の放流は、これは結局は現在、第一、第二疎水、それから宇治発電所、それから洗いぜきそのもの、三つの出口から放流されておるわけでございます。疎水は二つございますけれども、そのトータルで下流の需給等を勘案しながら放流しておりますが、琵琶湖疎水等につきましては、これは自然の状況で見ますと、どうしても水位低下しますと流入が減るわけでございます。同じことが宇治川の発電所で言えるかと思います。そういったものを考慮しまして、それからさらにまあ洗いぜきの直下流のいろいろな河川水の維持の問題等もございますので、五、六トンはやはり放流しないと困るのじゃないかというようなこともございまして、総合的な量を見つめながら操作をしておる、こういうことでございます。
  114. 春日正一

    ○春日正一君 衆議院の浦井議員への答弁では、現在プラス・マイナス・ゼロを中心に変動してきたものをマイナス五十センチを中心に変動するようになるというふうに言われておりますし、それから年間二百七十五日はマイナス五十センチを下らないというようにも答弁されておりますけれども、これはどういう意味ですか。
  115. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) まあ水位が、平均水位というのは非常にむずかしいつかまえ方でございまして、今回は利水の幅が大きくなってきたものですから、何が平均かとか、どこまで回復すれば妥当かということが非常に定義的にはむずかしいわけでございますけれども、琵琶湖の水位は明治改修をされましたときには上水位が二尺七寸五分、八十三センチと言われて操作を始めたわけでございます。それが第一期河水統制では大体ゼロくらいが中心になるのじゃないかというような感じでございます。したがって、今度利用の低水位幅を広げましたから、ある程度やはり平均的な重心は下に下がるわけでございますが、その感じが大体三十センチないし五十センチじゃなかろうかというような、大ざっぱな感覚で浦井先生にお答えをしたわけでございます。
  116. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、毎秒四十トン追加して取ればまあ三十センチないし五十センチを中心に、上はプラス三十から、下はマイナス一メーター半まで大きく変動する、こういうふうに理解していいわけですね。
  117. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 最低幅はおっしゃるように一メートル五十でございますけれども、実際に過去の水門資料等が、一応そういった同じ気象条件が再現されるといたしますと、非常に一メートル五十まで下がる機会というのは少ないようでございます。一メートルを割る機会がこの四十七年間の資料から見ますと、大体九回くらいになっておると思います。で、現状でまいりますと、五十センチを割っておるのは約十七回くらい割っておるわけです。そういう意味では多少下がりますが、かなりマイナス一メートルの容量というのは大きな容量でございまして、それでほとんど大半の下流の水は補給しておる、まあよほど渇水の場合には一メートル五十まで下がる、このような現象かと思います。
  118. 春日正一

    ○春日正一君 あのね局長、どうも私の聞かぬことまでよけい話してくれてありがたいんだけれども、時間がつぶれるので聞いたことを答えていただきたいと思うのです。  私が聞いたのは、つまり一メートル五十なり、まあ二メートルなり下がったものが、あなたの言われた標準的なマイナス五十まで回復するには幾日くらいかかるだろうかということをお聞きしたのですよ。
  119. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 今回の四十トン新しく開発をするといたしまして、過去の昭和十五年のような気象状況が出ますとマイナス五十センチ以下の全日数がその期間で約六百五十日、マイナス一メートル以下が五百日でございます。それから開発前のマイナス五十センチ以下が百九十五日になります。
  120. 春日正一

    ○春日正一君 いや、そう聞いているのじゃないのですよ。そうじゃなくて、実際に一メーター半まで下がったでしょう。それがつまりマイナス五十センチまで回復してくるのに幾日かかるかというので、四十八年間に幾日あったかという意味ではないんですよ。
  121. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) マイナス一メートル五十まで下がりましたものが五十センチまでに戻ります日数が百四十二日でございます。
  122. 春日正一

    ○春日正一君 大体、そういうことですね。私のほうでも、建設省からもらった資料全部計算してみて、昭和二十五年十一月のマイナス六十七センチ、これがマイナス五十センチまで回復するのに七十八日かかっていますから、一日に〇・二センチ。それから昭和三十一年二月はマイナス八十四センチで、マイナス五十センチまで五十五日かかっていますから、これは〇・六センチ。こういう計算、ずっとやってみました。そうしますと、ほとんど流出量五ないし十トンぐらいに下げていると言うんですけれども、そうしても、一日に〇・二センチから〇・七センチの幅でしか回復しないということになると、一メートル五十とマイナス五十の差、この一メートルを、五トンなり十トンにして流すとしても、一日に〇・五センチ回復するとして計算では二百日かかりますね。そのときによって、先ほど言ったように、百何十日というあれになるかもしらんけれども、平均的な計算でいけば二百日かかる。そうしますと、一たび下げると、実際上は、次の梅雨か大雨の来るまではそこへ戻らぬということになる、こういうことになるんじゃないですか。
  123. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 通常の場合には、夏季から冬季にかけて水位低下が起こりまして、それが翌年の融雪期から梅雨期までかけて回復するということで、そのときの積雪量あるいは流入量等によって違いますが、おおむね翌年で回復するということでございます。
  124. 春日正一

    ○春日正一君 私は、だからそれだけ下げると回復にたいへんかかるということですね、そのことをはっきりさしておきたかったわけです。  そこで、その次に、水資の問題ですけれども、水位低下に伴う水質の悪化、いままでもいろいろ言われましたけれども、これについては建設省としてどのように見ていますか。
  125. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) この間、衆議院並びに参議院におきます参考人として御出席されました先生方の意見におきましても、いろいろ御意見があるようでございます。まあ立川先生などはかなり単純化した議論でおっしゃっていられます。しかし、あれにもいろいろ前提条件があるようでございますし、それから奈良女子大の津田先生などの御意見なんかも総合しますと、そう実際には食い違っていないんじゃないかと、私なりには考えておるわけでございます。  やはり、いま、琵琶湖水質で問題になっておりますのは水深の浅い南湖のほうでございますが、これにつきましては、かなり普通の湖と違って、北湖という大きな供給源を持っておる。したがって、南湖自身の容量のほかに、そういった北湖からの供給といったような、水の動く量から言いますと、かなり普通の湖より大きい、しかもそれが水位低下によって促進されるというようなことで、必ずしも、私は、水位低下による南湖の量の減少そのものが水質に直接つながるというようなことはまずないんじゃないかと、私は考えておるわけでございます。  しかし、やはりいろいろな、これは条件を前提にしてのことでございまして、私どものほうでも、一度一メートル五十まで下がった場合にどのようになるかというようなことを、先日来、ちょっと試算をさせたりしてみましたら、気象の条件とか温度とか流入の負荷量とか、いろんな要素がありまして、なかなかはっきりとした数字がつかみにくいんですが、水位低下そのものはあまり響かない。やはり、何といっても、汚濁源を少なくするということに尽きるんじゃないかというような感じがしております。
  126. 春日正一

    ○春日正一君 そこらが一番問題だと思うんですがね。議論のあるところだと思うんですけれども、たとえば岡安環境庁水質保全局長ですか、衆議院の建設委員会で、「窒素、燐、富栄養化、早急に対策を立てないと非常に重大な結果になるおそれがある」と、ただし、これは水位低下の関係とは言っていない。しかし、この水位低下という点については、同じ局長は水位低下の影響は明らかでないというふうに言っていらっしゃる。はっきりしていないと。学者もそういう点では非常にまだわからぬ問題がたくさんあるというふうに言っています。  それで、この間の参議院での参考人の御意見を局長も聞いておいでになったと思うんですけれども、たとえば水がよけい流れる、だからかえって薄くなるんじゃないかという論をした参考人がありますが、私は、川ならそれで単純に澄むだろうけれども、琵琶湖のようなひょうたんを割ったような形のああいうところで、単純にそうなるだろうかということで、だから琵琶湖で一メートル半下がった場合にどうかという、そのきれいになる機構を説明してくれという質問をしたんですけれども、それには答えてくれなかった。だから、その問題はあの参考人との問答では解決ついていないわけです、学者が答えていないわけだから。  それから、あの学者というのはずいぶん人をばかにしていますよ。とにかく五年半で湖水の水がかわるというんでしょう。だから私はおかしいと言ってちょっと聞いたら、あれは琵琶湖の総量を流出量で割ったんだと、こう言うんですよ。ところが、総量といったって、ところてん押すみたいに前の水が全部出て、あとの水がかわるというんじゃなく、川の水が入ってくると、その水とまじりながら出ていくんですから、その計算をすれば十三年半になる。湖水の中に湖流があって、逆流していくようなものですから、上の水がこう行けば、下がこう行くということを計算に入れれば、もっと長くかかるだろうと、私はむしろそのほうが学問的だと思うんです。そういう単純なことを言って、国会議員が反問しなければ五年半でごまかしてしまおうとしている。あれは学者的な態度ではないと私は思いましたよ。だから、そういう証言を当てにしてきれいになるもんだというような論を立てられちゃ困る。やはりそういう意味でまだわからぬものはたくさんある。そうして、もっときたなくなるという不安ですね。これも十分にあるという前提に立つべきじゃないだろうか、私はそういうように思います。  そこで、次に行きますけれども、重金属とか、そういったものが湖底に蓄積される。で、このよごれは希釈とか拡散によって解決できる問題ではないんで、直接水位低下には関係はないというふうに言われているんですけれども、環境庁の提出の資料ではそうなっている。しかし、やはり重金属だって水の中に残るんだし、まじって流れていくもんでしょう。現にイタイイタイ病というのはあの水を飲んでなったんだから、どろを飲んだわけじゃないんだから。そうすると、やはり重金属が流れてくれば、それが水の中にまじるし、下のどろをかき立てられればまた水の中にまじるというような現象もあり得るだろう。そういうことになると、やはり水位低下という問題はいろいろな面からもっと研究しなければならぬ、汚染するといって、たくさんの専門の学者が心配しておるという点は重視しなければならぬ問題だと思います。  それで、南湖の水量ですね、これが一メートル半下がると、四億トンの水が二億トンに減るといわれておる。そこへ平常どおり流れてくるわけですから、先ほど言ったように、一メートル半に下がって、マイナス五十まで回復するのに二百日かかるんですよ。その間に、とにかく同じように流れ込んでくるわけですから、だから、きれいになるという論は当たらぬだろう。むしろ濃縮される、少ないところに流れ込むわけですから、同じものが。そういうことになるだろう、そういうふうに私は思いますよ。だから、当然汚染はふえるだろう。それで、回復させるには先ほど言ったように、そのまま四十トンプラスして流しておったのでは回復しませんから、当然一メーター半まで下がれば制限もするでしょう。ということになれば、よけい流れるから薄くなるという根拠もなくなるわけだから、少なくなってよけい流れなくなれば汚染が急激に進むということになるわけでしょう。そこらの辺どう考えているのですか。
  127. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 私も水位低下すれば南湖の交換が早くなるということは確かでございますが、それで水質がよくなるとか、そういうふうな甘い考えは毛頭持っていないわけでございまして、やはり特に異常渇水というような場合にはおっしゃるような事態もあろうかと思いますが、通常の渇水の場合でございますれば、これは一メートル五十までにとどまるわけですから、当然下流へもしかるべき水を補給もできる、したがって水の交換もある、こういうことでございます。異常渇水等の場合にはやはり節水制限とかいうような点では先生のおっしゃるようなことも懸念されるわけでございますから、できるだけそういった重金属はもちろんでございますが、燐とか、窒素とか、こういったいわゆる南湖に流入する汚濁物質の負荷量をできるだけ減らすような規制の努力もひとつやっていただくようにお願いをしたいと思っておる次第でございます。
  128. 春日正一

    ○春日正一君 それから、富栄養化の問題ですね、これも南湖はすでにもう富栄養化になってしまって、この間も私行って見てきたけれども、非常に緑色になって透明度が浅くなっている。そうして、さらににおいなんかも出ておるわけですけれども、あれがいまでは北湖の南のほうまでだんだん及んでいっておるというように聞いております。その原因になっておる窒素や燐というのは現在のところ処理できない、そういうことになっているわけだし、そうして、その処理の役割りを果たしてきた湖岸のやはり河川のアシあるいは藻類、水草類というものが今度は水位低下の激しい変動でもってこれが枯れるというようなことになったらどうなるのかということですね。相当大きな破壊にいままで——今度変動幅大きくなるわけですから、だからそういう心配があるわけです。自然の浄化作用を阻害する、そういう水位低下によって結局富栄養化が、つまりそういう燐だの窒素が途中でとめられてこされずに全部入ってくるということになれば一そう急激に進むようになるわけですけれども、そういう点がやはり水位低下と関係して問題になるのじゃないか。水位低下は現在南湖が富栄養化、窒素が〇・三八PPM、北湖が〇・一九PPMというのですか、それから燐が南湖が〇・〇二一、北湖が〇・〇〇九というようなことになっているのですね、環境庁の資料だと。だから、そうして、この滋賀大の学者の話では、北湖の南部の沖の島の十キロ北から以南は亜南湖的と、南湖に似たような富栄養湖になっておる、そして四月が湖水では冬の終わりであって、夏は植物性プランクトンの繁殖度が高い、だけれども沖の島から南ではもう四月でもそういう現象が起こっておる。中央の水域でも水底七十メーター以下まではかってみたけれども窒素や燐があるというようなことを言っています。そして、いまなら回復は可能だ、まだ可能性は少しあるけれども、そういう意味で自然保護をもっと重点的にやる必要があるということを言っているのですけれども、こういう点についてはどういうように考えておられますか。
  129. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) おっしゃるとおり、琵琶湖の富栄養化、これは窒素と燐ではかってみますと、毎年少しずつ北湖も南湖も両方ともやはり進行しているということは明らかでございます。特に南湖の場合には、富栄養化の段階にすでに入っているということはおっしゃるとおりでございまして、その原因等につきましてはいろいろなところで調査をされております。たとえば、先般土木学会等の発表によりましても、それぞれ窒素なり燐について琵琶湖周辺の何が原因で窒素や燐の増加がなされているかというような点につきましても、いろいろ割合等が発表されておりますが、ただ、私どもまだなお調査を加える必要があるのではなかろうかと実は考えているわけでございます。また、そこのアシとか、藻類等が窒素、燐をどれだけ吸収し浄化に寄与しているかという点につきましてもさらに研究をいたしたいというふうに考えておりまして、今年度琵琶湖につきまして富栄養化のメカニズム全般につきまして調査をいたしたいというふうに実は考えております。それらの結果等によりまして、私どもはできるだけ有効な手を打ちたいというように考えておりますけれども、御質問の最初にありますとおり、なかなか窒素や燐の問題は困難な問題がございまして、直ちに窒素や燐を取り除くというようなことが実用化できるかどうか非常に問題であります。私どもは、そういう技術開発につきましては建設省その他にもお願いをいたしまして、できるだけ早くその実行をいたしたいと実は考えている次第であります。
  130. 春日正一

    ○春日正一君 いま言われたように、そういう窒素や燐がふえておるということが直接飲み水としての何というのですか、湖水の水の役割りを下げていっている。先ほども田中委員のほうからお話に出ましたけれども、きのう京都から代表が京都の水道の水持ってきて、ほんとうは議員さんに飲んでもらおうと思ってきたけれども、飲んでもらおうとは言わぬけれどもにおいだけかいでみてくれ、私は鼻が全然悪いものですから私にかがせても何にもならぬわけですけれども、しかし、まあ自信持ってくさいからかいでみてくれと言っているのだからうそじゃないと思いますよ、そういうふうな状態になっている。そして「アオコ」が四十三年、四十四年ごろから急増しておるし、それから赤潮も四十五年六月発生し始めて四十六年六月にも出ておる。十月、十一月にも出ておる。そして非常にかびが発生して大津、京都で四十四年五月から四十六年五月までには大阪までくさい水が行っておる。しかも、この年には十一月から年末にかけてそういうくさいにおいが出たということですから、そうなるともう一年じゅうくさいというようなことになってしまう。そこまでよごされておるわけです。だから、一番問題はこの対策を早くやってきれいな水を供給するということがいまの一番問題じゃないか、それで通産省の地質調査所の調査では琵琶湖の湖岸はそれぞれの天井川の河口の三角州が手をつなぐようなかっこうで形成されたもので、この三角州が天然の大浄水場の役割りを果たしているというふうに言われておる。で、アシやモなどの草木に住むまだ知られていないバクテリアの作用、これが水の二次処理だけでなくて、そういうこの富栄養化分とかあるいはPCB、ABS、重金属類までもある程度浄化する三次処理の役目もしておるというふうに言われておるわけですけれども、そうすると、一メーター半低下ということによって汀線が後退すれば当然そういう役割りを果たしてきたアシとか水藻類とか、そういったようなものが影響を受ける、長期にわたってそういう後退があれば死んでしまうという現象も起こるわけです。そうすると、汀線が後退してなかなか回復しない、あるいは大きく変動するというような状況になれば、こういう自浄作用を持つ水生植物が枯れてしまい、そうして、水の汚れが促進されるし、同時にそれによって湖水の底質の汚染というようなものが一そう激しくなるんじゃないか、そうして底質の悪化というものは、滋賀大の学者の説明によれば、湖水の底流に乗って北湖の南部に進入していっているというふうにも言われておる。こういうものについて一体どう考えておいでになるのか、その点聞かしてほしいんですが。
  131. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) お話しのように、現在の状況でいきますと、内湖が確かにフィルターの役目をしておる。したがって、ヨシ、アシと、こういったものが燐なり窒素なりの吸収にかなり役だっておるということは、計量的による把握はできませんけれども、一つの大きな効果であろうかと思います。しかし、これもやはり一定の限度の窒素なり燐が入ってくるから、そういったものが生育もできる条件が整っておるのでございまして、まあ今後そのバランスがくずれて、もっと富栄養化してまいりますと、そういうものすらもまた違った環境が生まれてくるんじゃないかと思います。したがって、できるだけ基本的には燐なり窒素なりの負荷量を減らすということ、それから一方でそれだけのやはり効用を持っており、しかも水質だけではなくて、水産的なやはり大きな効果もあるわけでございますから、私どもといたしますれば、できるだけそういったものを残していきたい、あるいは人工的に多少手を加えて造成できるならできるだけそういう面積をふやしていきたいと考えております。したがって、南湖等におきまして、湖岸堤なりあるいはしゅんせつをする場合に、少しくふうをしてそういったことができるならばできるだけ人造的な内湖といいますか、そういう生育地をつくるようなことを今後ひとつ研究いたしたいと思っております。
  132. 春日正一

    ○春日正一君 そういう意味で、私は水位低下、しかも、これがしばしば繰り返されるとか、一たん下がったものの回復が長期にかかるというような事態を非常に心配するわけです。  それからもう一つの問題は亜鉛、鉛、コバルト、銅、ストロンチウム、カドミウムというような、重金属類による底質の汚染ですね。これが進行しているということで心配されておるんですけれども、この点はどうなっていますか、環境庁のほうは。
  133. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) まあ水質につきましては、お手元にお配りいたしております資料にございますとおり、重金属による汚染というものはほとんど検出されないという状態でございますけれども、お話しのように底質につきましてはやはり長年の蓄積によりましてある程度蓄積が行なわれているようでございます。四十五年の滋賀県の調査によりますと、やはり一部の底質につきましてカドミウム、鉛等が発見されておりますし、また、滋賀大学の調査によりますと、これは相当広範囲に行なわれたようでございますが、水銀、カドミウム、鉛等につきまして相当高濃度の蓄積が一部には見られたというふうに実は考えております。私どもはこういうような底質の汚染につきましては、このような汚染された底質が環境である水質のほうにどういうように影響を及ぼすかということが実は問題であるわけでございますが、この点につきましてはなかなか現在まではっきりいたしておらないのでございます。たとえば、こういう重金属が流下物に化してしまった場合にはこれはほとんど安定である、ほとんど周囲には影響を及ぼさないという説もございますし、また水銀等につきましては無機から有機に変化するという説もございます。そういうような全般的な概要が現在明らかでございませんので、これもたいへんおくればせではございますけれども、四十七年度に底質の汚染につきましてそのメカニズムを明らかにするための調査研究を始めたいというふうに実は考えております。その結果、やはりある程度の濃度の汚染があった場合にはしゅんせつその他の措置をしなければならないと考えておりますが、その限度等につきましてできるだけ早く結論を得たいと考えております。
  134. 春日正一

    ○春日正一君 言われるとおり環境庁の資料では、四十六年度の水質調査の結果としてカドミウム、鉛については検出せずと、他には触れてない、ほかのことは言ってない、こういうことになっていますね。だからまあほとんどよく調べられていないということだと思います。ところで、ここにこういう新聞の切り抜きがあるのですけれども、「びわ湖全域が重金属汚染、国の基準の数百倍、滋賀県衛生公害研究所データ公表とめる」とこうなっています。これはよくあることですが、こういうものが出ると、県とか、そういうところでみんなをびっくりさせるから発表するなと言って押さえるけれども、それがあったのですね。そうしてこれは、これ全部読むとあれだから書き抜いたもので要点を言いますと、京都の高校の先生が琵琶湖水質、そういうものの調査を十年来ずっとやって、国の安全基準を数百倍も上回るカドミウムとか、亜鉛、銅などの重金属で汚染されているということを発見した。これはしろうとの分析ではなくて京大の協力を得て、それでそういうことがはっきりしたもので、それでカドミウムは南湖瀬田川で五・四PPM、第二疎水取り入れ口で二・八PPM、第一疎水で二・七六、北湖の近江八幡市の日野川河口で二・二、志賀町蓬莱一・一というような形で、北湖の岸のほうもそうなっておるし、亜鉛も南湖では第一疎水取り入れ口で四五〇PPM、国の基準では〇・〇〇三PPMというのですから、これはずいぶん大きな比率になると思いますね。北湖の日野川河口で一二〇PPMというような形で非常に高いものが出た。そうして、これについて京都大学の工学部の教授で岩井重久という方——この間来られた方だと思うのですけれども、その人の話では「美旗さんの採取した水は、わたしの研究室で原子吸光光度計を使って分析したが、高濃度におどろいている。京阪神はびわ湖の水のおかげで発達したのに、びわ湖の恩恵を忘れた結果が、今日の汚染をまねいた」というような形ではっきり京大の学者もこのデータが信頼できるものだという裏づけはしているのですね。それほど汚れておる。しかもこれが県では人心を云々ということで発表させないで、そして環境庁のほうではさっき言った程度しか琵琶湖汚染をつかんでないということになると、何をもって汚染対策が進められるのかということを疑いたくなるわけです。  そこで、マイナス一メートル半とか、マイナス二メートルというような水位低下、そういう変動が起これば当然琵琶湖の潮流なり湖流なり、琵琶湖の底質にいろいろな影響を及ぼしてくるんじゃないかと思うんですけれども、そういう点についての検討はされておいでですか。
  135. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) ちょっと先生の発表されました分析結果、私さらに調べてみますけれども、水の中に三〇〇PPMも鉛、その他があるというのはどうも理解ができないんですが。
  136. 春日正一

    ○春日正一君 どろですね、底質。
  137. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) それはおそらくどろだと思います。底質だと思います。水につきましては、先ほど申し上げましたとおり、やはり検出しないというのが一般的であろうというふうに思いますし、底質につきましては、おっしゃるとおり、鉛等は三〇〇PPMをこえるところもございます。ただ、私どもは先ほど申し上げましたとおり、底質につきましてはかりに三〇〇PPMをこえるような鉛がありましても、それがどの程度水質に影響するかということにつきましては必ずしもまだ明らかでないということを申し上げたわけでございまして、この辺はやはり明らかにいたしまして、影響ありということになれば、やはり改善対策、排出規制はもちろんのこと、現に汚染されております底質の処理をいたさなければならないと実は考えておるわけでございます。湖水の水位の低下と底質に及ぼす影響ということにつきましては、水質のみならず、さらに底質の影響はむずかしいといいますか、わからない点ばかしでございますので、やはり今後継続的に調査をするということによりまして、水位低下と底質の関係というものは明らかにしなければならないというふうに実は考えているわけでございます。
  138. 春日正一

    ○春日正一君 滋賀大の湖沼研究所の学者の方もまだどうなるかよくわからないというふうに言ってます。だから、こういう検討がいま急がれなきゃならないんで、その検討の済まぬうちに計画立ててやっちまうということは早計じゃないかということが一つあるわけですね。  それからその次の問題、湖辺の水生植物は、さっきも言いましたように、水質の浄化とか、魚類の産卵、生育に大きい役割りを果たしている。これを枯らしてしまうと自然の浄化作用、生物学的な循環のバランスをくずしてしまうということになるわけですけれども、バランスくずして一度琵琶湖が死んでしまうと、これ生き返らせるには、水量も非常に多いし、たいへんな時間もかかる、努力も要る、あるいは生き返らぬかもしらぬというわけでしょう。だから、そういう意味では、へたをすると、へたに琵琶湖をいじると近畿一千万住民の水を取ってしまうような結果になるんじゃないか。だから、慎重に検討しながら確実にやっていく必要がある。そこでこういうことは、琵琶湖の研究に、私京大に行き、滋賀大に行って、先生方に会っていろいろ聞いてきましたけれども、やはりあそこで暮らして湖水のはたで学問をしている人たちとしては、非常に湖水に愛着を持っていろいろ研究をしておるわけですね。わからぬものはわからぬと言うし、そういう形でやっておるこういう研究者たちの警告ですね、こういうものに謙虚に耳を傾けて、十分に検討をして行政にこれを反映さしていく、この姿勢がなければならぬと思うんです。それで、いまの質問を通じても、まだ水質に対する影響だけでもいろいろ問題があって明らかにならぬと、だから、むしろこういう問題に予算もふやし、人もふやし、機材もふやして、充実して、大学とか研究所あるいは関係地方公共団体なんかが協力してこれをまず調べる。   〔理事茜ヶ久保重光君退席、委員長着席〕 そのことに力を注ぐべきじゃないか、その点で大臣のお考えを聞きたいのですが。
  139. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 非常に重要なことでございます。とにかく琵琶湖水質のことについては、滋賀大学その他県の衛生試験所、いろいろなところがたいへんだくさんあるわけでございます。したがいまして、十分いままで研究されました資料をわれわれは尊重をすると、ないし、これからもひとつ十分研究をしていただくと、政府のほうもまたでき得るだけそういう研究をしなければならぬと思っております。いままであまり行き届かなかったために、今日のようなことになったわけであります。しかし、非常に長年の聞こういうようなことで汚濁されたわけでございますから、きょう、あす、すぐやれと言ってもできることじゃございません。しかし、この法律の通過とともに、いままでの学者諸君の努力も大いにひとつ買って、それを活用する、耳を傾けて大いにやりたいと、かように思う次第でございます。
  140. 春日正一

    ○春日正一君 私は、重ねて申しますけれども、そういう研究にもっと金を出し、人を集めて、できるだけ十分に、しかも早くやれるということをやってほしいと思うんです。大臣は、いまこの法案が通りますればと言っておりますけれども、私に言わせれば、それをやってから法案を通さなければあぶないのじゃないかという不安があるわけですね。  そこで、その次に開発計画の問題点についてお聞きしますけれども、この法案が通れば、どういう段取りで毎秒四十トンの水を取るというふうになさるんですか。つまり、下水の整備ができてから取るのか。整備整備としてやるけれども、しかし、まあ洗いぜきとかその他の条件ができれば、下水整備を待たずにも取るのか、その辺の段取りを聞かしてほしいのです。
  141. 西村英一

    国務大臣西村英一君) それは直ちに、こうきまったからすぐ四十トン・パー・セコンドというわけにはいかぬと思います。しかし、これは計画は十年ですが、十年たって全部ができ上がらなければやらぬとも申し上げられない。しかし、適当の時期はあると思います。その時期には、やはり関係知事さんと相談をいたしまして、一ぺんに四十トンにするか、三十トンからじわじわ四十トンにしていくか、そういうような技術上の問題はあろうと思いますけれども、それはまたひとつ適当な時期を見てその最後の四十トンまで取ると、これに従ってやるという時期はあらためて相談をしなければならぬと、かように考えておる次第でございます。
  142. 春日正一

    ○春日正一君 私が心配するのは、下水道整備がまだ進まないのに、水はもう取らなければならなくなったんだというようなことになりやせぬだろうか、そこらを心配するわけです。それで、この十年間に流域下水道公共下水道を五百九十億円をかけて整備をすると言うのですけれども、これで十分だろうかということですね。環境庁の資料だと、全体計画で千三百八十六億円、一〇〇%、整備の目標は六十年。琵琶湖総合開発計画では、五十六年でもって五百九十億円、普及率八〇%。それから下水道五ヵ年計画の中では百五十億円、昭和五十年目標で四五%というような、これは検討中のようですけれども、聞いているんですけれども、しかし、ほんとうに五百九十億ということで十分できるだろうかという点ですね。
  143. 久保赳

    説明員久保赳君) この琵琶湖総合開発計画下水道計画の目標は、琵琶湖環境基準を達成するということを目途に立てておるわけでございまして、先ほど来から御議論になっておりますたとえば富栄養化対策、これらにつきましては環境基準あるいは排水基準の上で早期に検討するこういうことになっておりますので、その検討の段階に対応して下水道整備計画を立てることになろうかと思います。そういう意味合いから言いますと、先生おっしゃるように完全ではないということが言えるかと思いますけれども、当面、環境基準の達成に対する下水道整備計画は一応いま立てております五百九十億で達成が可能だというふうに判断いたしております。
  144. 春日正一

    ○春日正一君 そういうこととして、第二次処理の施設、これは第二次までで五百九十億ですね。これもまあいろいろ市町村負担の問題、各家庭の水洗化とかいろいろ考えると、まあそう計画どおりすっといかぬかもしれない、いままでのほかの例で見ると。そういう問題があるわけですけれども、それがやれたとしてもやはり第三次処理まではこれに入っていないわけですから、そうすると、結局例の富栄養化というような問題は解決つかないんじゃないですか。
  145. 久保赳

    説明員久保赳君) 琵琶湖のような湖に対する富栄養化対策は結局アンモニア、窒素もしくは燐というものを落とさない限りは対策にならないわけでございますが、現在の第二次処理これで全然そういうものに役立たないかといえばそうではなくて、除去率こそ低うございますけれども、たとえて言いますと二〇%もしくは三〇%程度の除去率がございますので、窒素あるいは燐対策として若干の効果はあろうかと思っております。それを完全にいたしますには、やはり三次処理の施設を設けましてそれを適正に管理をしていくという対策が必要になろうかと思います。
  146. 春日正一

    ○春日正一君 そういう状態のところで、逆に周辺開発はどんどん進行していくということになるわけですね、この法案でも琵琶湖総合開発計画というのは、新全総とか近畿圏整備計画に調和して立てるというように上位計画に従うということになっていますから。ところがそれによりますと、近畿圏基本整備計画や、それから琵琶湖東部区域都市開発区域建設計画、これは昭和四十六年二月決定、これによると湖東地域を近畿、中京、北陸各経済の接点として位置づけ、人口産業が他地域から分散という形でそこに集まってき、金属加工型工業を中心に積極的に誘致する、そうして工業都市として積極的に開発するということになっているわけですね。現に湖東のあれというのは地図にもあります。そして県でも現在の第二次総合開発計画、四十二年から五十年というのを改定作業をしておって、それの第三次草案によると五十五年には一兆九千億円に生産額をふやすというふうにいっていますし、昭和四十五年の実績で六千七百三十六億円ですか、約十年足らずの間に生産額は三倍にするというような高度成長を考えて湖岸の開発ということをやっております。それから人口も四十五年の国勢調査で八十九万人であったものを五十五年には百二十一万人、三五・六%増というようなことを見込んで計画を立てておるわけですね。だからこういうことが同時に一方ではどんどん進行していく。そして下水道のほうはいま言ったような形でやられていくというようなことになれば、多少下水道整備をやったとかあるいは工場排水の規制をやったとかしてもなかなか汚染を防止するということにはならないんじゃないかというふうな気がするんですけれども、その点どうですか。
  147. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) ただいま近畿圏基本整備計画内容についてお触れになりました点に関連いたしましてお答えを申し上げたいと思います。  近畿圏基本整備計画につきましては、実は昨年全面改定をいたしておりまして、その中で、この琵琶湖の総合開発に関しましてはこの改定の全体的な基本的な考え方といたしましてはやはり環境の保全という点をまず最重点に取り上げるという考え方でいたしておりますけれども、その琵琶湖の総合開発に関しましては、まず第一には、この恵まれた自然環境を保全をいたしますために規制措置を強化するとともに下水道等整備をはかって水質の汚濁その他の環境の破壊を防止することをまず重点にいたします。  それから第二点といたしましては、淀川水系の治水計画に基づきまして周辺の洪水被害の防除、水源の涵養をはかる。  第三点として周辺地域の生産性の高い近郊農業の振興でございますとか、環境の良好な内陸型の工業団地の造成等をはかるというふうなことでございまして、実はただいまあわせて御指摘のございました都市開発区域建設計画でございますが、これは実は従前の基本計画に基づいておるものでございまして、これは新しい基本計画をもとにいたしまして、ただいま改定の作業をいたしておる段階でございます。  そういうことで、近畿圏整備ないしは琵琶湖の総合開発の考え方としては、ただいまはいま申し上げたような方向で検討いたしておるわけでございます。
  148. 春日正一

    ○春日正一君 それは困るな。審議の資料といってあなたのほうからもらった昭和四十六年七月三十日、近畿圏基本整備計画というものと昭和四十六年二月、滋賀琵琶湖東部区域都市開発区域建設計画、これとそれから第二次滋賀県総合開発計画、これとその後の滋賀県での総合開発関係資料集というものの中での第三次計画ですか、そういうものに基づいて私のほうはいま言ったような問題を拾い出してお聞きしたわけです。資料くれておいて、あとからいま考え直しておりますと言われたんじゃ、これちょっと質問のしようもなくなってしまうんで、そういうことで、こういうふうな実際計画がこういう点に出ておって、汚染源というものはもっと大きくなるということだけはこれは明らかですから、そこでもう一つ問題は、この琵琶湖汚染というものの中で、やはり工場立地というものが非常に大きな原因の一つになっているわけですね。富栄養化の場合には家庭排水とか、畜産排水というようなものが一つの大きな原因になっているわけです。ところが、昭和三十一年以降立地した九百二十八社のうち、五七%、五百三十一社が鉄鋼、金属、電機、機械というような重工業で、そして昭和四十四年十二月から四十五年三月にかけての、滋賀県の工場排水調査の結果は、対象にした三十六社のうち、水素イオンで不合格が十一社、浮遊物質で不合格が十三社、県の公害防止条例による水質規制基準に適合したものが十五社と、二十一社は不合格、こういうことになっているんですね。だから、そこらにもやはり問題がある。規制でも、私はいまの規制方式というもの、つまり何PPMということだけきめて、排出総量での規制をやらぬというような規制では、いまのような勢いで、あの計画で、三六%の勢いでどんどん工場がふえていけば、薄いものでもたくさん集まれば濃くなるわけですから、そういう意味では効果がないし、問題がある。総量規制すべきだ。特に、湖水のようなところでは、と思いますけれども、そのしり抜けみたいな規制にさらに漏れるものが半分以上ある、漏れるというより違反したものが。ということになると、これはとてもじゃないけれども、湖水をきれいにするというようなことにはならないんじゃないか、そういうふうに思います。それは私、答弁求めても、厳重にやりますという以外にはないだろうと思うから、答弁求めませんけれども、そういう問題がある。  それから、もう一つの問題は、環境庁で出された資料を見ましても、下水道整備排水規制を強化しても、昭和五十年になって南湖でもって四十五年の工場汚水、これは負荷が月一六・六トンとなっているが、五十年になってそれだけのことをやっても十六・一トンということになっているんですね。そうすると、これはほぼ横ばいです。あまり改善されてない。つまり下水道整備から排出規制を強化してやっても、昭和五十年の時点では十六・六トンが十六・一トンにしかならぬ。ほとんど効果がないということになるんですけれども、一体これはどういうわけですか。
  149. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) 御提出してございます資料のうち、CODによります汚濁負荷の今後の見通しでございます。工場排水につきましては、四十五年で大体十六・六トンというふうに推定をいたしておりますが、これが五十年には、ここの資料にございますとおり、十八・九トンぐらいにふえるであろうという、そういう想定のもとに、それをさらにカットいたしまして、十六・一トンにする、そういう計算でできているわけでございます。家庭下水につきましても、三・四トンが四・八トンに五十年度にはなるだろう、それを二・八トンまでカットをするというふうに私どもは考えておりまして、その結果、南湖におきましては四十五年でトータル二十・五トンのものが二十四・五トンにそのまま放置すればふえる、それを十九・二トンに押えたいというふうに考えております。これはまたおっしゃるとおり、五年の計画でございますので、南湖をこれを十九・二トンの汚濁負荷をそのまま認めている状態ではAAクラスにはならないと私どもは考えておりまして、この五年のあとに続く五年以降におきましてはさらに規制を強化いたしませんと、AAの状態にはならないというふうに私どもも考えております。で、私どもこういうような資料を出しましたのは、五十年までに考えられる規制、また下水道整備状況等を勘案をいたしまして、規制可能な状態を想定をして、数字にいたしたというわけでございます。
  150. 春日正一

    ○春日正一君 そのとおりここに書いてありますけれども、「規制強化・下水道整備による五十年の数値」という形でそれができている。だから、言われるように、ほうっておけば一八・何がしにふえるけれども、下水道整備をしたり、規制を強化して一六・一ということで、〇・五だけでも減ったんだと言えば言えるけれども、いまさっき言ったように、水がくさくてどうにもならぬという状態になっているものを、五十年までかけてこれをやってもその程度ということだ、これではたいへんおそいじゃないかという気がします。  それからもう一つ、そういうことで、下水道の私は一番の弱点は、今度の計画に第三次処理が入ってないというのが一つの重要な弱点になっていると思うんですけれども、下水道部長、大体第三次処理というものはいつごろから実用化できる見通しになっていますか。それと、それをやると、現在の第二次処理に比べてどのくらいコストがふえるかどうか、その見通しを聞かせてほしいのですが。
  151. 久保赳

    説明員久保赳君) 第三次処理の実用化の時期の問題でございますが、これは目下鋭意いろいろな実験あるいは研究調査を進めておりますけれども、現在の五ヵ年計画の後半期——五十年が最終年度の予定になっておりますが、後半期には実用化の段階にこぎつけたい、こういうふうに予定をいたしております。  それから、三次処理をした場合の建設費並びに維持費の増額いかん、こういう御質問でございますが、これにつきましては、まだ正確にどういう方法で実用化するということが確定をいたしておりませんので、正確な試算ではございませんけれども、現在のところ、二次処理の経費は一立方メートル当たり一日当たり大体三万円くらいが二次処理でございますが、それのほぼ倍くらいかかるのではないか、このように考えております。それからなお、処理費でございますが、処理費は現在のところ一立方メートル当たりほぼ十円近くかかっております。それもそれのほぼ十二倍くらいの金がかかるのではないかというふうに予定をいたしておりますが、実用化までの間にその建設維持費をできるだけ下げるようなくふうをしたいということで研究調査を実施中でございます。
  152. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、五十年までには実用化というのですから、いま後半期と言われた意味ですね。いまの計画が五十年まででしょう。その五十年までの間の後半期、ことし二年度でしょう。来年度の半分以下が後半期、そういう意味ですか。五十年以降と、そういう意味ですか。
  153. 久保赳

    説明員久保赳君) 五ヵ年計画の後半期でございますから、四十九年、五十年くらいというふうに予定いたしております。
  154. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、こういうものも当然取り入れなければならぬし、そういう意味で、計画というものは検討し直さなければならぬ問題になっているんじゃないですか、それが使えるということになると。その点ではそういう時期になると大臣どうします、取り入れるようにしますか。いまの十ヵ年の五百九十億の中には入っていないわけですね。
  155. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 私が大ワクをきめたときと同じようなことをあなたは言っておるわけでございます。第三次処理の、これははっきり言うとちょっと差しつかえがあるんですが、五百九十億に入ってないんですよ。それですから、下水道の金はこれでは足りない。しかし、一たんセットしたわけなんです。私は大蔵省ともやはり交渉がありますから、建設大臣の言うとおりにはなかなかいかないんです。私が言うとおりのことをあなたが言われておるわけですから、それで御了承賜わりたいと思います。
  156. 春日正一

    ○春日正一君 そういう状況のもとでは、やはり現在のところ、自然の浄化作用でもってその悪化を食いとめていくということで、それが大きく動き出すまではそういうことしかないんじゃないかというように思います。現に新聞見ますと、奈良市では富雄下水処理場ですか、水槽を使って浄化する、窒素除去槽の建設をやっておるというようなことが出ておりますけれども、琵琶湖では、これが逆に水位の低下、水位の変動、あるいは護岸がコンクリートでできるという結果、自然の浄化作用を後退させるようなことになったらぐあいが悪いんじゃないか。そういうように思うんですけれども、そういう点をやはり十分注意する。同時に、第三次処理の研究、開発これをできるだけ早くやって、それを琵琶湖にも使うし、ほかでも使うようにする、そういうことが必要だろうと思います。  そこで、もう一つは琵琶湖総合開発計画案というのを見ますと、先ほども話が出た湖周道路だとか、レクリエーション基地の建設というようなものも計画されているんですね。そうして、四車線の湖周道路というようなものがある部分含まれておる。何でそんな大きな道路が必要なんだろうか、それではかえって自動車なんかがたくさん入ってきて、排気ガスも出し、環境を破壊してしまうというようなことになりはせんだろうか。あるいは、いままで言われましたけれども、湖岸ぎりぎりのところに道路をつくって、それで水生植物なんかを枯らしてしまうということにもなるんじゃないか、こういう点が心配されますけれども、この点一体どういうことなのか、説明してほしいんですが。
  157. 朝日邦夫

    政府委員朝日邦夫君) この法案の中では、別に湖周道路ということばは使っておりませんけれども、通称この事業計画では湖周道路といっております。この延長で申し上げますと、まず護岸堤をつくらなければならぬ、水利事業の上で護岸堤をつくらなければならぬ部分がございます。それを管理用道路と同時に一般の道路として利用いたそうというのがあるわけでございます。これの延長が約四十三キロでございます。それから他は、これとつなげましてほとんどが既存の公共道路の改良でございます。ちょっと念のため、その延長を申し上げますと、一般国道で約四十八キロ、地方道路で五十二キロ、それから街路で八キロ、有料道路で十二キロ、このほかに、その道路に連絡をいたします連絡道路と称しておりますが、それが四路線、これは東部の地域でございますが、その延長が十五キロでございまして、これ全体合わせて百八十一キロ余り、こういう延長でございます。  それから築造の計画でございますが、この事業概要でも書いてございますように、四車線の用地取得いたしますが、当面築造は二車線でございます。しかも、その四車線の築造いたす予定用地を確保いたします予定のところは、国道部分があろうかと思います。この計画で当面築造いたしますのは、二車線で完成を予定いたしております。
  158. 春日正一

    ○春日正一君 湖周道路の問題については、この前、参考人に意見を聞いたときでも、少なくとも、百メートルは離さなければまずいだろうという意見も出て、しかも、そうは言っても実際上安曇川デルタなんかは土地がすっかり買い占められておって、そういうところに道路をつくろうとしても、これ以上できなくなっているということを地図まで見せて、こういうものはつくらぬほうがいい、むしろ接近道路みたいな形でつくったほうがいいという意見があった。私もその点は方々歩いてみて、あまり近くまで車を入れようということでは自然をこわしてしまう。たとえば、日光の太郎杉の問題は建設委員会でも署名運動をやっておったわけですけれども、日光へ行ってみますと、陽明門に向っていく、あそこに観光バスを途中まで入れています。これはあんなことしたら、そのうちに排気ガスで枯れてしまうということで、心配しているのですが、あれくらいの杉並木は歩いたほうがよさそうだと思う。あまり便利にそのそばまで回して、車でどんどん行けることを考えたら、かえって自然をこわすことになるし、特にレクリエーション基地という問題も、計画書を見ますと、大規模公園都市構想を琵琶湖東岸地域につくるというような一項目を掲げている計画がありますけれども、しかも、これなんかもへたをすると、琵琶湖周辺を俗悪化してしまう、汚染のもとをつくるおそれがあると思うのです。むしろ一千億と言われるこの道路の建設費なるものは、さしあたっては下水道整備費とか、公有地の確保に回して、早目に湖水の回りの土地をできるだけ公有にしてしまう。それから、あとレクリエーションをどうするかというようなことを考えたほうが国家的な見地、公共の見地から、レクリエーションというような問題を解決していくのには順序としていいのではないか、こう思うのですけれども、大臣どうお考えですか。
  159. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この道路の問題については、やはりやるにしても十分注意しなければならぬと思っております。四車線、そんな必要はありませんというと差しつかえがありますから、なぜそれだけの広さにするのかと、私は質問したのです。したがいまして、これは道路をほんとうに全部つないで、いわゆるほんとうに一般の交通に供するようなやり方だったら非常に失敗します。したがって、住民の交通利便のために、あるいは護岸の堤防の役をするところとか、必要なところで最小限度やるということでございまして、幅員等につきましていま言われておりまするが、それはそう言っているだけの話で、結局やるときに十分注意しなければならぬのは、しかも金からしましても六百二十億ということでございます。逆転しているわけです、下水道の話と。全くよくあなたの言うことはわかります。今後は十分気をつけます。
  160. 春日正一

    ○春日正一君 それから、これは環境庁のほうにお聞きしたいのですけれども、公害防止というたてまえから見て、これからの開発計画というようなものは、ただ人をどれだけ連れてくる、それに対応する施設をどれだけつくるということではなくて、やはりその環境にどれだけ収容できるか、それ以上入れたら無理が起こるというような環境容量をはっきりきめて、それに合わせてどれくらいの開発が可能であるのか、どういうふうにその地域を利用していくかというようにしなければならない。だから琵琶湖の場合でも水質から逆算して、汚染のおそれがあれば、周辺開発は規制をするというようなことでやらなければ、これはまずいことになると思うんですけれども、その点環境庁はどういうふうに考えておりますか。
  161. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) やはり私どもといたしましては、非常にむずかしい問題ではございますけれども、環境容量というようなものを設定いたしまして、その範囲内、いわば自然の浄化能力の範囲内で開発が行なわれるというようなことにしなければならないと、一般的に考えておるわけでございます。琵琶湖につきましては、おっしゃるとおり、私どもも北湖並びに南湖ともどもAAクラスにいたしたいということを考えておりまして、CODの負荷量につきましても、五十年までは、お示ししました資料のとおり大体横ばいより若干下がる程度でございますけれども、五十五年までの、ラフな計画でございますけれども、持っておりまして、これにおきましてはさらに大幅にダウンするというような計画もございます。そういうようないわば容量といいますか、汚濁許容量といいますか、変なことばでございますけれども、そういう範囲内でなければ、工場からの排水その他は許さないということは、これははっきりさしてすでにおりまして、そういうような規制が可能な状態でなければ、新たなる工場の立地その他は認めてほしくないということを滋賀県のほうにも申し入れているわけでございます。したがって、私どもは、琵琶湖水質を現状維持のみならず、改善をするための容量というものをある程度、CODでございますけれども、設定いたしまして、この範囲内での開発ということを滋賀県と相談してまいりたいと思っております。
  162. 春日正一

    ○春日正一君 特に琵琶湖の場合、観光地その他の関係もありますから、湖水の水質という問題もひとつ非常に大事な問題ですけれども、やはり湖水の回りがどのくらいな観光客を収容できるのかというようなことも一つ大事な問題になるのじゃないかと思います。そういう環境基準づくりということは始めておいでなんですか。
  163. 岡安誠

    政府委員(岡安誠君) いま先生のおっしゃった、たとえば観光のために来る人間の容量まで含めまして環境容量を検討しているかと言われますと、ちょっとそこまではいってないのでございまして、全国的にももちろんまだやっておりませんけれども、一部につきましては、やはり環境容量という考え方を入れまして地域開発というものを考えるというようなことは、現在検討いたしておりまして、中央公害対策審議会の部会のほうに諮問いたしております。将来そういうような人の出入りまでできるかどうか問題ではございますけれども、私どもは一般的には、環境容量というものを設定し、その容量の中での開発というものを推進するという立場でやってまいりたいと思っております。
  164. 春日正一

    ○春日正一君 そういうことで、やはりそういう立場から見ても、まず水を取るということを前提にして、それを先行させるのじゃなくて、汚染防止を中心にして琵琶湖水質の悪化を防止し、回復するということを中心にして、五ヵ年計画でも立てて、それをまずやると、そのことのほうが行政としては適当なんじゃないか、そういうふうに思います。  それから、次に下流の水の問題ですけれども、おまえそんなこと言って、それじゃ大阪の水どうしてくれるのだということが問題になると思うのです。そこでやはり、この前、河川法のときにも私申しましたけれども、とにかく工場でも、事務所でも、持ってくるだけ持ってきて、水が足りなくなったから取ってこいということはもう行き詰まっておる。そうしてそういう意味でいえば、近畿だけではなくて、関東でも大工場地帯を控えたところではどこでも水問題を何とか打開しなければならぬところまで来ておるわけですね。だからそういう意味からいって、この琵琶湖の水問題をどう処理し、近畿の水問題をどう打開していくかという問題は、日本の水問題解決の一つの見本にもなるようなそういう意味を持っておると思うのです。そこで幾つかお聞ききしますけれども、琵琶湖のこの総放出量ですね、これは平均百六十八トン毎秒、それから桂川、木津川からの流出量が平均して百四十九トン毎秒、このうちで大阪兵庫の利用する水は平均百六十二・七トンということですから、百五十四・三トンが利用されずに流されておるわけですね。これは滋賀県の資料ですけれども。そうすると、この流されておる水を有効に利用するということは考えられないのかどうか、その点お聞きしたいんですがね。
  165. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 淀川水系の大体年間の総流出量は約百億トンあまりぐらいに及んでおります。その中で約半分が琵琶湖で、大体流域面積とは比例しておるわけでございますが、やはり非常に琵琶湖流域につきましては、これは琵琶湖がございますので、かなりの利用率があるわけですが、木津川あるいは桂川、こういったところでは非常に琵琶湖のような大きな貯水池がございませんので、かなりむだに流れておるといいますか、したがって私どももこの木津川あるいは桂川に次の水資源の手当てをひとつ考えていきたいというようなことで、すでに今回の基本計画の案におきましても、桂川水系に日吉ダム等考えております。しかしいずれにしましても、やはり地理的な条件からいきまして、琵琶湖ほどうまい条件にはならないわけでございます。したがって、今後どの程度開発余力があるかということになりますと、概算的に申し上げますと、大体琵琶湖の今回の開発量の四分の一ぐらいがおそらく両水系合わせても限度ではなかろうかという感じがいたしますむそれによって淀川の利用率が今回の琵琶湖と合わせましてかなり上昇いたしますけれども、やはり半分ぐらいはどうしてもキャッチできないで海に出ていくというのが実情でございます。したがって、やはり積極的に回収率の向上とか回収水の反復利用とか、こういった面が追っついていきませんと、このままでかりに伸びるとしますと、相当ピンチがくるんじゃないかという気がいたしております。
  166. 春日正一

    ○春日正一君 それから、この淀川の河川維持用水ですね、これは公称では八十八トン、実質が七十トンというふうに聞いているんですけれども、この河川維持用水というのは、水質対策をして淀川の水質がもっとよくなるというようになれば、この維持用水、これも琵琶湖の放出量の四三%に当たるわけですが、それを節約して他の用途に変えることができるんじゃないかという気がするんですけれども、どうですか。
  167. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) 第一期の河水統制を行ないました時点では、約八十八・五トンでございました。御承知かと存じますが、緊急水利というようなことで、多少旧淀川にフラッシュの効果を持たせて、十トンばかりすでに利水に転用をいたしました。さらに最近は、中津川の運河等埋めまして八一五トン、これも利水に転用いたしております。したがって、神崎川の十トンを引きますと、現在旧淀川に流れておる量は六十トンが限度ということになっております。これにつきましても、すでに現在かなり本川自身も悪化いたしておりますし、さらに市内河川の安治川、木津川、尻無川、こういったところの状況を見ますと、相当環境的にはよくない、しかも今回の琵琶湖開発で、普通の渇水時はマイナス一メートル五十で差しつかえございませんけれども、異常な場合にはやはり琵琶湖の水をそう下げるわけにもまいりません。そういたしますと、かりに下流の大阪府、神戸市、こういったところが節水をされましても、おそらくいまの六十トンの半分ぐらいはやはり必要じゃなかろうかという感じもいたします。したがって、水質あるいは水そのもの、あるいは舟運といったような総合的な安全弁としてやはり六十トンぐらいは持っていないと不安じゃなかろうかという感じがいたしております。
  168. 春日正一

    ○春日正一君 そうすると、結局いま使っている水を節約するということが問題になるわけですね。そこで、大阪の資料によりますと、大阪市では一人当たりの上水の使用水量、これは四十六年度で六百四十二リットル、全国最高なんですね。東京では五百二リットルです。その違いについて大阪市は昼間の人口の比率が非常に高いからだというように説明されていますし、資料でみても、そのようになっております。ということは、言いかえれば、よそから人が入ってきて働く事務所とか、事業所が非常に多い、比率が高いからだということだと思います。そこで、そういう立場で調べてみますと、いま大阪市民が使っておる生活用水というものはそれほど多いものじゃないと思うんです。大阪府の資料で見ますと、家庭用水が大阪市の場合三二・一%、全国平均は五八・五%ですね。だから、全国平均から見ればうんと少ない。営業用が三七・九%、これは全国平均が一四%ですから、非常に営業用が高い。工場用が一七・九%、全国平均で九・二%、その他が十二・一と、全国平均は一八・三と、だから営業用と工場用ですね。これが大阪市の水道の半分以上、五四%占めているということになっているわけです。そうして、そういう水というのは、必ずしも飲み水でなければ間に合わぬというものばかりじゃないと思うんですよ。だから、ビルとかホテルなどの水ですね。飲み水でなくていいようなところ、そういうようなものを雑用水を使うようにすれば、かなりそこから節約ができるんじゃないか、現に東京ではトイレとか冷房の雑用水等について今年度に適合性の予備調査とか、実用化調査というようなことで、こういう研究を始めておるわけです。だから、そういう意味では、大阪のように特にビルや事務所の多いところで上水道の水を節約して、それで中水といわれますこの雑用水、そういうものに切りかえるということの研究を大阪府でもおやりになったらいいと思うし、特に全国的な問題とすれば、政府としても、重点的にやることがこれからの水問題いまのこの関西の水問題の解決にとっては非常に大事なポイントになるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その点どうですか。
  169. 川崎精一

    政府委員(川崎精一君) お話しのとおり、大阪は非常に中小企業の工場が多いものでございますから、先生もすでに大阪を御視察されましたときに、お聞きかと思いますが、かなりそういったパーセンテージが高いわけでございます。こういったところに新しくかりに中水道をどのようにして供給するかというような点にもかなり問題がございますし、それぞれ工業用水、こういったものの使う性質によっても水質等にいろいろまた条件があるわけでございます。したがって、まあ簡単にまとまった需要地がございますれば、やはりそれに対応する処置も楽になるわけです。大阪の場合、いろいろ困難があると、こういうことで現在まであまり積極的な施設が見られませんでしたが、最近におきましてはひとつまとまった工場地域には積極的に中水道の利用を考えたいということで、私どものほう、あるいは通産省等と協力をいたしましてそういった開発をひとつ積極的に進めていきたいと思います。  なお住宅公団の一部で、これから開発されます地域につきましてはそういった高度処理をやって、散水用あるいは洗車用、こういったものに、量はわずかだけれども、少しでも水資源の合理的利用に資したいということで、現在住宅公団の大阪支社等で研究をしておりますので、近く一部実現できるようになるのじゃないかと期待いたしておる次第でございます。
  170. 春日正一

    ○春日正一君 各個人の家庭の水洗便所まで雑用水で二本入れるというようなことはたいへんむずかしい問題になると思いますが、ビルだとか、事業所というような相当大量の水を使うところで冷房用水だとか、水洗便所の用水というようなものを雑用水にかえるということは可能だし、特にこれから新しくできるものに対しては初めからそうさせるようにすれば、わりあい簡単にいくわけですから、そういう点はやはり十分検討して実行していく必要があるだろうと思います。  それから、大阪、兵庫の工業用水についてですけれども、これ通産省は満度ということばを使っておりますけれども、全部目いっぱい使っているという資料を出してきているのですけれども、しかし、この朝日新聞見ますと、こういう主張を出しているのですね。その中で「いまの水の使い方に、どこかひずみがないかという点」で、「例えば尼崎市では、上水道の給水量は日量約二十九万トンと最大需要量ぎりぎりだ。ところが約百社を対象とする市営工業用水道の給水能力は日量約四十七万トン。うち九万トンが売れ残り、累積赤字額は、四十五年度末で三億四千万円に上るという。大阪市の上水道をみても、家庭用は三割ていどで、大部分はビルとか、バー、キャバレーなどのサービス業にとられている。」云々という形で、こういう水の問題を解決する問題を社説で出しているのですが、私のほうは通産省の資料だとそれと違うものですから、だから尼崎の市役所に聞いてみました。そうしたら、尼崎市では契約水量は流しておる、工場のほうも契約による責任水量分の料金を払っておる、だから収支で見れば目いっぱい使われておるということになっている、金の面では。そこで通産省はこの面だけ見て全部使ってますよと、朝日新聞は間違ってますよ、こういう言い方なんですよ。そこで、私のほうも尼崎の市役所にこういうことなんだがということで聞いてみましたら、金は払っているけれども、だから収支は一ぱい一ぱいになっているのだけれども、実際には二割の九万トンというものは使われずに海に流されておる、こういうことなんですね。だからそこらにも工業用水のむだ使いというものがあると思うのですよ。二割も捨てておる。これをどう節約させるかという問題ですけれども、その点ではほかでも主張されておりますけれども、私どもいつもそう言っておりますけれども、原価を割るような水道を調べてみても大阪で五円五十銭から七円ぐらいでしょう、一トン。原価を割っている。そういう値段で供給するものだから、ただみたように幾らでもむだに使う、金を払って使わずに捨ててしまうようなことまでする。だから負担に耐えるような大口の工業用水については料金を相当上げて高くする。そうすれば真剣になって節約を考えるだろうと思うのですよ。そこら辺のことについてどうですか、建設省のほうとしての考え方は、この問題についての。
  171. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) ただいまの御指摘の点でございますが、一つの問題といたしましては、給水能力の点と、それから現実に取水して給水している点とのギャップの問題があろうかと思いますが、それはともかくといたしまして、先生御指摘のように、工場段階におきまして十分に使い方が合理化されてない面があるんではないかという点は、私どももそういうふうな点があるのではないかと思いまして、これからの対策の重要な問題の一つと考えております。たとえて申しますと、ただいまわれわれの調べているところでは、たとえば回収率一つとってみますと、大阪で大体五〇%、兵庫県で大体六〇%となっておりまして、全国平均が四八%ということでございますので、それに比べれば多少いいわけでございますが、私どもといたしましてはもう少しこれをアップできるに違いないというふうに考えております。そういう点で、先ほど来もいろいろお話が出ておりますが、私どもといたしましては、一つには水使用の合理化ということを今後強力に進めていきたい。  それからもう一つは、汚水といいますか、下水の回収水、回収によります有効利用ということで、これからの水飢饉の問題に対処していかなければいかぬだろうということを強く考えておりまして、検討を進めていきたいと思っているわけであります。  それから、料金の点でございますが、料金につきましては、原価を反映した形で、政策的な見地も入れながら、従来とも次第に上げてきているわけでございますが、この地域の工業用水につきましては、いわゆる地盤沈下対策となっておりまして、そういう観点をも含めまして、私どもはコストに見合って料金を引き上げてきているわけであります。今回、いま御審議いただいております琵琶湖開発に伴うものといたしましては、これからの負担等によりましてコストも上がりますし、そういう点であるいは料金にはねっ返るという問題が出てくるかと思いますが、いずれにしましても、地盤沈下対策というふうな政策的な点も考えまして、コストの動向に見合った合理的な料金ということを考えたいというふうに思っております。
  172. 春日正一

    ○春日正一君 料金の問題はそんなきれいごとじゃなくて、いままで私どもも地方の県議会、そういうところへ行って聞いてみても、工業用水等は五円五十銭以上取ったら補助金やらぬとかなんとかいうことで、大体五円五十銭、その後幾らか上がっていま七円とか、大阪は五円五十銭から七円ですけれども、そんなところへいっている。実際原価を割るような状態になっている。それを原価に戻せじゃなくて、私の言ったのは、水対策としてもう少し高くやってもうけてもいいから、そのもうけた金を水対策に回せばいいんだから、だからもう少し高く取ったらどうかということなんですけれども、まああなたにそう言っても、大臣じゃないから、そういう政策的な話はできないと思うんで、こういう話があったということは大臣にひとつ伝えておいてほしいと思うんですよ。  それで、いまの話しの工業用水の回収率ですね、これは大阪では相当苦労しておるということは話にも聞きましたし、この古い工業地帯のいろいろ古い設備の多いところで、東京の二七・八%に比べて大阪が五〇・三%ということは相当努力をしておられるというふうに言えると思います。しかし、それにしても、いま話のあったように、千葉とか福岡は七五%ですからもっと節約しているわけです。もっとくふうさせる必要があるだろう、その点はいまそういう答弁がありましたから、次にいきますけれども、特に節約の問題で言えば、大阪府の資料を見ても、冷却用水はわりあいに回収して使っているんですね。ところが洗浄用水の回収率というのは七・三五%ということで非常に低い。ところがこれについて学者なんかがいろいろ研究したり調べたりしたところを見ましても、鉄鋼の場合、酸洗の工程で、ここでは初め酸の濃度の高い水で洗って、だんだんきれいな水にしていけば、最後に新しい水を使うというところで、非常に少なくて、水が半分以上節約できるというようなふうにも言われております。それから、これは東京の場合の数字ですから、大阪にはすぐ当てはまらぬけれども、傾向としてはこういうことだと思いますけれども、東京都内の製紙工場、これ紙一トンについての水の原単位が百二十トンから二十トンというように、六倍ものばらつきがあるわけですね。だから、こういう点は十分指導すれば相当節約の余地もあるだろう。洋紙の場合でも、同じように百六十トンから三十トンというばらつきがあるわけですから、これを節約させるということだけでも相当違ってくるんじゃないかと思います。さらに、いま申しましたような工程上のくふうをすれば、もっと少なくて済むようになるだろう。こういう意味では、こういう指導をもっと強化して、中小企業のためにはそういうことのできるような必要な資金を融資するとかいうような形で、援助をするというような形で工業用水の回収使用、節約という点をもっと強める必要があると思うんですけど、その点は、さっき強めるとあなたは言いましたから、そういう方向で努力するということでいいですね。
  173. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) ただいま御指摘のありました点は私どもも同感でございまして、回収率につきましても、業種によりましていろいろ差はあるかと思いますが、まだまだ上げられるはずであるということで、たとえばその目標なり基準なりをつくるとかいうふうなことで強力に進めてまいりたいと、そう思います。  それから、先ほどもちょっと出ておりましたが、下水の処理につきましては、私ども昭和四十五年からすでに南砂町におきまして小さな実験プラントをつくりまして研究しておりまして、これの工業用水等に対する、あるいは雑用水等に対します利用の可能性につきまして研究してきたところでございますが、その辺につきましても、御指摘の意を体しまして、今後一そう推進していきたいというふうに思っております。
  174. 春日正一

    ○春日正一君 それでもう一つは、京都の問題ですけど、これは、今度の法案なりあれを見ると、京都が抜けているんですけれども、しかし京都は、御承知のように、琵琶湖の水を疎水で取って飲み水にしておるところですから、水位低下すれば当然取り入れ口のポンプアップをしなければならぬ、そういう話はついているようですけれども、この水質がよごれてくさくなっているという問題は、京都にとっては大問題だと思うんです。そういう意味で、琵琶湖関係がありますし、同時に、今度淀川水系全体とすれば、この前話にあったように聞いてますけれども、桂川が一番汚染度が高いということですね。そうなると、やはり特に京都市の汚水の処理をどうするかということが、淀川水系の水をきれいにするという意味ではかなり重要な意味を持ってくるだろうし、私なんかの考えでは、もし第三次処理ができるようになれば、京都の汚水を処理して、そのまま大阪に持っていって雑用に使うというようなことも考えられるのじゃないかというような気もするんですよ。そうすると、そういう意味から見ると、今度の計画でもって京都を関係府県知事協議からはずしたというのがどうもわけがわからぬし、そういうふうに見ると、ひがみじゃないけれども、これはとにかく水を取ってくる法律なんだというふうにしか考えられないんですけれどもね、そこらの辺どうなんですか。
  175. 西村英一

    国務大臣西村英一君) この法律における関係府県知事というのは京都の知事も入っておる、ないしは、ことによっては奈良県知事も入っておる、こう私は理解しております。いままでのつまり上流と下流とのその水のやりとり、それに対する負担金の問題、そういうことには京都はあまり関係がなかったからということでありまして、この法案にある基本計画をつくるとかいろんなことに対する相談は、やはり京都府知事のみならず奈良県知事も入る。また関係が絶対ないような事項については、それはわざわざ御苦労はわずらわしませんけれども、私は入ると、十分そう理解しておりますから、これは誤解のないようにお願いいたします。
  176. 春日正一

    ○春日正一君 その点はそういうふうにお聞きしておきます。  で、やはり京都の水を早く第三次処理をして、そうして下流に利用できるようにするということは、非常に大事に関西の水問題としてはなるだろうし、そういう点はやはり十分考えてやっていただきたいと思います。  それからもう一つの問題は、やはり一番根本の問題ですけれども、阪神への事業と、それから人間の集中の問題ですね。これが、やはり水問題では一番根本の問題じゃないだろうかというふうに思います。新全総によりますと、大都市へ中枢管理機能を集中するということで、東京ではこの六十年までに二千三百万平米の事務所をつくる。それから大阪でも、千百万平米の事務所が新規に必要だ。名古屋は五百六十万平米必要だ、こういうふうに想定して、それに伴って人口集中するということになって、こういう見通しのもとに水の需要というものも予測を立てて、それで足りなくなるからというふうに問題が立てられておる。それでまあ二千三百万平米という、こういうのをどのくらいかと聞いてみたら、大ざっぱに言って霞か関ビル百五十個分だというふうに聞いたのですが、そうすると、大阪の場合そのちょうど半分ぐらいですから、やはり霞か関ビル七十五建てたぐらいの事務所を新しく建てて、そこへだから当然人が集まるから、だから水が足らぬ、新全総でいけばそういうことでしょう。そういうふうな想定でできておる。そうすると、こういうふうな問題の立て方をいままでしてきたんですけれども、しかし、この新全総というものでやってきたので社会的矛盾がひどくなって、私はことしの建設委員会というものは、そういう意味では哲学論争をやるべき委員会だというふうに思っているんですけれども、水の問題でも水というものをこれからどうするのだという根本問題を議論しなければ、ただそこに下水をつくれ、水をつくれということではもうおさまらぬところにきてしまっている。関西がそれが一番早くきて、そこで琵琶湖の水位を落とせという問題になってきている。関東でも同じことだと思うのです。どこでも。それから道路の問題でもそうです。もう詰まってしまって、道路だけつくったってどうにもならないということになってきているでしょう。東京の場合に汚染がひどくなって、五十年たったら、木ももう全部枯れてしまうだろうというような予測さえ出るような、そういう意味では、あらゆる面で新全総で進めてきた成長第一主義というものの矛盾が激化している。それの一つのあらわれとして、この水問題が出てきておるのですね。そうだとするなら、この新全総という問題をやはり根本的に洗い直していくことが、政府でも問題になっているようですけれども、そのつどあわせて水の予測も立て計画も立てなければ、いま、もう矛盾でどうにもならなくなっている。政府がことさら洗い直さなければならぬといっている新全総というものを前提として水の需要を想定して、それに間に合わせるように水を持ってこいということでは、筋も通らないし、問題の根本的解決にはならぬと思います。さっきも村尾委員質問に対しての答えでも、それじゃ四十トンとったから何年先まで間に合うかといえば、六年か七年先へ行けば足りなくなるという想定でしょう。だからそういうことじゃ、もう間に合わなくなっている。根本的に水をどうするかという点まで論争をやらなければならぬ、そういう時期に来ていると思います。だからそういう意味では、新全総を根本的に洗い直しをやらなければならぬ、そういうことじゃないかと思います。そうして、そういう前提に立てば、大阪の水問題に対する予測というものも変わってくるだろうし、私どもに言わせれば、やはりもうこれ以上の集中を東京や大阪でやったら、単に水だけではなくて、交通の関係、住宅の関係、大気汚染関係、そういうものから、とてもじゃないけれども住むに耐えぬことになるだろう。だから、もう規制して押えなければならぬところに来ている。それを、もっとふえるという前提で水を考えるというのはおかしいじゃないかと、そういうふうに思うのですけれども、その点、大臣の見解を聞かしてほしいのです。
  177. 西村英一

    国務大臣西村英一君) お説ごもっともです。いままでそういうことでやってきたからあまりうまくいかなかった、こういうひずみが起こったのです。そこで建設省としては、今度の新しくできるだろう新全総、それに対しては、やはり建設省としては大きい問題としては土地対策、それから水対策、そういうことをつかまえてあらゆる計画を進めていかなければならぬと思っています。もう経済中心主義でないことは、政府もたびたび声明しておるところです。したがいまして、いまあなたが述べられた御意見、全く同感でございますから、その線に沿うて建設省も今後やってまいりたいと、まあかように考えておりますから、せっかく御協力のほどをお願い申し上げます。
  178. 春日正一

    ○春日正一君 そこで、私、結論に入りますけれども、妙な質問をするようですけれども、建設省で鹿島開発をやる場合、ああいう公害が起こるということを予測されましたか。
  179. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 鹿島建設のときには、これは私はその衝に当たった者じゃございませんから、どういう想定でやったか知りませんけれども、その点はやはり十分気をつけてやったと思いますけれども、まあ現在も私はどの程度悪いのか、それもつかんでおりませんから、いまああいうことを考えてやったかということは直ちに答弁できないのですけれども、経済企画庁……。
  180. 牧野俊衛

    説明員(牧野俊衛君) 先ほど新全総のお話が出まして、私なりに深い解釈はようしておりませんけれども、当時新全総をつくるときの根本的な理念といたしまして、決して経済開発だけではなくて、やはり環境、豊かな国民生活をつくるための、あるいは国土の有効利用ということが根本で発足したことには間違いないわけでございます。そういうことで進んでまいりましたけれども、その後の実情において開発の進み過ぎ、あるいは環境と調和の欠けがあったかと思います。したがいまして、いま改定というお話がございましたけれども、改定という前に、むしろ謙虚に過去の経過、実績、そういうものを踏まえまして点検すべき点は点検する。そういう意味で、われわれはいま点検しつつある、検討しつつあるという時期でございまして、個々具体的に公害があるということを当然予想して計画を立てたわけではございません。十分公害に注意するということは、文書でうたってあると言うと非常に失礼でございますけれども、そういう精神であったということは間違いないのだということだけは、ひとつぜひ御理解願いたいと思います。
  181. 春日正一

    ○春日正一君 私もそうだと思うのですよ。おそらく経済企画庁にしても、建設省にしても、公害が初めから起こってひどいことになるということを承知でやるということはしなかったろうと思います。茨城の県知事もそうだったろうと思うし、茨城の県知事は、去年、おととしですか、私ども建設委員会で視察に行ったときに、特にあの問題について共産党が一番反対しましたから、私のところに来て共産党さん間違っていると。ところが農工両全ということで農業も成り立つ工業も成り立つ、そういうことでちゃんと配置もきちっとやるようにしてやったと、来る企業に対しては十分強い規制をかけて公害は絶対に出させぬようにしてやるから共産党の批判は当たらぬと、こうおっしゃいました。じゃ見せてもらいましょうといって私が見に行ったあの時期でもひどいもんです。確かにかえ地を与えて農地にして、しかも丘みたいなものをつくって、そして水をためて、そこから畑地かんがいがやれるような設備までして、そうしてかえ地をやっているわけですから、知事が本気になってあの工場と農地とを両立させようとしたことは間違いないと思うんです、本気でやったことは。ところがそこどうなっているかというと、あれだけの人が入ってどんどん工事をするもんですから、割り当てられた宅地の中に借家が建ったり、パチンコ屋ができたり、食べもの屋ができたり、何かができたり、それがスプロールの形でずっとできてしまうというふうな形です。これはこんなことをしていたら農工両全にも何にもなりゃせぬじゃないかと。この間も行ってみたら、もう相当公害の気配がある。これは知事はああ言ったけれども、公害になりますよと言った。それから間もなくでしょう、大きく世間で問題になるようになったのは。まだあれ全部完成したわけじゃないんですから。つまり初めは知事なんかでも良心的に考えてほんとうに農工両全でやろうと思ってやったし、企画庁でもそういうつもりで考えられた。しかし、その考えでやったのは全部だめでしょう、田子ノ浦でもそうだし、鹿島でもそうだし、四日市でもそうだし、至るところでそういう問題が起こって、これからやろうという下北のむつ・小川原などのようなところで、もう反対が起こっているというような状態になっている。なぜそうなるか、そこのところですね。あなた反省すると言われたけれども、反省するといえば、なぜそう自分たちが善意でもってこれをやったし、計算の限りを尽くしてこれならだいじょうぶと思ってやったものが、どうしてそんなひどい公害出すようになったのか、農工両全のつもりでやったのがどうして農地がそういうふうにスプロール型に変わっていってしまったのか、なぜそうなのかということを考えてみる必要があるんじゃないかということです。ただ茨城県知事でも、あなた方でも資本主義の法則というものをよく考えずにまるであたかも社会主義でやるような形で計画立てて、図面を引きさえすればそのとおりいくもんだというふうに考えておやりになったんだろうと。ところがいまの日本は資本主義です。大企業というのは非常に大きな力を持っているし、しかも営利を追求する、投資をする、これは資本の本性ですから、だからそういう意味で土地がどんどん上がれば、資本主義の社会に住む農民ですから、農地としてもらった、畑地としてもらったものでも高い値段で売ってしまうでしょう。そういうような形でく、ずれていっているし、資本は営利のためだから多少のこの亜硫酸ガスやそういうものが出てもたいしたことないという形でどんどんやってしまうと、わからなければいいという形できたない水を流すというようなことで幾らでもやられる。この点はさっき私が言った滋賀県で調べた排水の調査でも、調べた工場の半分以上が違反しているというような結果が出てきている、そういうものがあるんですね。だからそこのところ大臣考えてほしいと思うんです。私はいままでもずいぶん問題点言ってきたし、そういう点は気をつけてやりますからと言われたから、それなら賛成してよさそうに思うんだけれども、最後のところでそこで私は賛成できない、引っかかる。  それから、この湖周の土地所有の状態どうなっているか。公有地一割くらいであとは私有地だ、そういうふうに言われている。そして、湖北のほうでもこの間来た参考人が示したけれども、もう安曇川のデルタの海岸寄りのところはほとんど買い占められているというような形で進んでおる。だからこの開発が進む、道路ができるということになれば、そこへ何をやろう、そこを買い占めてどうやろうというような動きが出てくるのはもうきまっている。そういうことを考えますと、いまのこの計画を実行していくということでも事志と違って鹿島やあるいは田子ノ浦や四日市のようにならぬという保証があるのか、そうならないようにするには相当強力な規制をかける。土地取得の資金をうんと出して必要なところは国が買ってしまうとかいうようなことをしなければ計画されるような開発ということにはならないのじゃないか、私はそれをおそれる。その点を十分考えてほしいと思います。  私これで質問終わります。
  182. 小林武

    委員長小林武君) 他に御発言がなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  183. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより本案の討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  184. 春日正一

    ○春日正一君 私は、日本共産党を代表して、琵琶湖総合開発特別措置法案に対する反対討論を行ないます。  今日、わが国では一九六〇年代を通じて自民党政府のもとで行なわれてきた生産第一、大企業中心の高度成長政策の結果、人口産業都市集中が激化し、公害、交通、災害、土地問題などいろいろな社会的矛盾が激しくなっています。水不足問題もまたその一つであります。したがって、水不足の解決もこの高度成長政策を改めることなしに単にどこかから水を持ってくればそれで解決するという安易な問題ではないことは明らかであります。  わが党が、本法案に反対するのは、近畿の水問題に無関心だからでは決してありません。いな、その解決を真剣に望んでいるからであります。それにもかかわらず反対せざるを得ないのは、この法案では近畿の水問題を解決することはできないからであり、逆に悪くする可能性が強いからであります。  それは第一に、取水量毎秒四十トンの増加に伴う水位低下のもたらす水質悪化について何ら解明されていないからであります。  現に琵琶湖の研究に打ち込んでいる滋賀大学の学者や京都大学その他多くの学者、研究者は水量の減少に伴う汚濁の激化、水生植物の枯死と自然浄化力の低下による富栄養化の進行、湖底底質の悪化など、水質の悪化が、生物学的な循還のバランスが破壊されることを憂慮し、こうした問題に十分の対策のないまま取水することは上水源としての琵琶湖を使用不能にし、死の湖にすることになると強く警告しています。  すでに琵琶湖における水質汚染の現状は、重金属類、特にPCBの検出や北湖南部に及ぶ富栄養化の進行など一刻の猶予も許されない状態であり、その上さらに水質を悪化するような危険は何としても避けるべきであります。  第二に、琵琶湖総合開発計画内容の問題についてであります。  現在すでに琵琶湖周辺では六〇年代に年々強められてきた大規模工場誘置、無計画宅地造成や観光開発のために有害な工場廃液や下水の流入が急増し、湖辺の自然も破壊されつつあります。しかも、近畿圏整備計画滋賀県の総合開発計画では、一そうの工業開発、観光開発を目標としており、こうした計画の進行に伴う自然と環境の一そうの悪化が予想されています。こうした状況のもとでまず行なわなければならないのは、総合的な琵琶湖汚染防止対策であります。そのためには下水道の早急な整備、窒素、燐等を処理する高次処理の重点的開発、湖水の自浄作用を強化する内湖の造成、埋め立てと工業開発、観光開発などの必要な規制、重金属やPCBの放流の厳禁などを中心とした汚染防止計画の策定と、その実施こそ先決であります。にもかかわらず、現在構想されている総合開発計画案の中には、湖周道路、湖岸堤、レクリエーション基地、大規模公園都市建設など、琵琶湖汚染と景観一環境の悪化を招くおそれの強い事業が数多く含まれています。  また、琵琶湖開発は、琵琶湖の漁業、養殖業や農業を守り、自然と文化遺産を保全することを中心に、その許容範囲内において行なわれなければなりません。  さらに、計画の作成にあたっては、地元滋賀県民はもちろん、関係住民の意思、学者、研究者などの意見を十分反映される必要があります。  第三に、下流、京阪神の水対策についてであります。  従来、政府の水需要予測は新全総計画案に基づく大企業中心の高度成長と、人口と資本の都市集中を前提として立てられ、京阪神における水需要もまた、中枢管理機能の集中、事務所、ビルの増加、それに伴う人口の一そうの集中等を前提として予測されたものであります。しかし、今日の事態はこのような方向の行き詰まりを露骨に示しています。供給し得る数量に合わせて集中開発は規制されるべきであります。また、ビルなど大口需用者の上水の浪費及び工業用水の規制、用水の浪費の規制、事業所、ビル等における処理水の再利用、豊水時の無効流水の貯留対策の強化と新水源の増強、淀川の水質保全による維持用水の有効利用等の対策を強化すれば、当面の水需要をまかなうことは十分可能になります。  こうした努力をしてなお阪神の水が不足する場合に、初めて科学的、総合的な調査に基づく琵琶湖の水位の復元可能な範囲に限って、琵琶湖周辺住民の納得の上で取水計画を策定すべきであります。  以上の観点から、わが党は、この琵琶湖総合開発特別措置法案を廃案にし、滋賀県民の生活の基盤であり、近畿一千万住民の水源であるとともに、わが国最大の湖、自然の景観と史跡の宝庫である琵琶湖を真に守るための計画をあらためて提案されることを要望するものであります。
  185. 小林武

    委員長小林武君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  186. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  琵琶湖総合開発特別措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  187. 小林武

    委員長小林武君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  188. 山内一郎

    ○山内一郎君 私は、ただいま可決されました琵琶湖総合開発特別措置法案に対し、自民、社会、公明、民社の各派共同提案にかかる附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    琵琶湖総合開発特別措置法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、琵琶湖総合開発計画の長期性にかんがみ、琵琶湖の汚濁した水質を回復し、保全するため、湖水面およびその周辺地域における土地利用に対する用途区分を明らかにした計画を策定するとともに、工場排水に対する規制の強化および農業排水を含む各排水の高度な処理技術の開発促進し、その浄化力の向上に努め、水質の保全上、最も有効な下水道事業等について、早期かつ優先的に実施すること。  二、琵琶湖およびその周辺地域における自然景観並びに水質の保全を図るため、公有地の拡大等、土地の先行取得を行なうとともに、湖岸堤、湖周道路、観光等のための開発計画については、この法律目的にてらし、慎重に措置すること。  三、琵琶湖の水資源開発事業によつて生ずる湖水位の低下等に伴う被害は、広汎かつ甚大にわたるため、生活基盤を失うこととなる者に対する生活再建の対策について積極的に行なうとともに、特に開発事業施行後の予測しがたい被害に対する補償等について、万全の措置を講ずること。  四、琵琶湖総合開発事業実施に伴う関係地方公共団体の財政負担に対し、交付税・地方債等の財源措置について十分に配慮すること。  五、琵琶湖の洪水時および異常渇水時における洗堰の操作については、滋賀知事の意向を尊重しつつ、関係府県知事との調整を図ること。  六、近畿圏における水需給の均衡を図るため、広域的な水資源の開発について検討するとともに、工業用水の反覆利用等、水質の汚濁防止を含め、水利用の合理化並びに高度化に努めること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ御賛同くださいますようお願いをいたします。
  189. 小林武

    委員長小林武君) ただいまの山内君から提案されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  190. 小林武

    委員長小林武君) 全会一致と認めます。よって、山内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、西村国務大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。西村建設大臣
  191. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 本法案の御審議をお願いして以来、本委員会におかれては熱心な御討議をいただき、ただいま議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見については、今後その趣旨を生かすようにつとめるとともに、議決されました附帯決議についてもその趣旨を十分尊重し、各位の御期待に沿うように臨む所存であります。  ここに本法案の審議を終わるに際し、委員長をはじめ、委員各位の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表し、あいさつといたします。ありがとうございました。
  192. 小林武

    委員長小林武君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十八分散会      —————・—————