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1972-05-18 第68回国会 参議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月十八日(木曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————    委員の異動  五月十七日     辞任         補欠選任      沢田  実君     中尾 辰義君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         小林  武君     理 事                 中津井 真君                 丸茂 重貞君                 山内 一郎君                茜ケ久保重光君     委 員                 熊谷太三郎君                 小山邦太郎君                 古賀雷四郎君                 中村 禎二君                 田中  一君                 中尾 辰義君                 村尾 重雄君                 春日 正一君    国務大臣        建 設 大 臣  西村 英一君    政府委員        通商産業省企業        局参事官     田中 芳秋君        建設大臣官房長  大津留 温君        建設省都市局長  吉兼 三郎君        建設省河川局長  川崎 精一君        建設省河川局次        長        川田 陽吉君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    説明員        大蔵省主計局主        計官       藤井 直樹君        自治省財政局交        付税課長     潮田 康夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○河川法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○特定多目的ダム法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○下水道事業センター法案内閣提出、衆議院送  付)     —————————————
  2. 小林武

    委員長小林武君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  河川法の一部を改正する法律案特定多目的ダム法の一部を改正する法律案(いずれも衆議院送付)の両案を便宜一括して議題といたします。  本案は去る十一日、趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 田中一

    田中一君 河川法の一部改正を行なって、示しているような方法で、いままでにない受益者負担というものを採用しているわけなんです。おそらくこれにも、どの地点のどこが地元のこういう要請があり、かつまたそれが緊急なものであって、どうしてもこれをしなければならないんだという前提のもとに、この部分修正を、改正をしようということだと思うのですが、具体的に現在考えられているところの地点並びにその地点地元受益者並びに都道府県等の意見というものあるいは取りまとめられた結論というものの説明を願いたいと思います。法案の問題よりも実態というものから今回の改正というものの意図をくみ取ろうというつもりでありますから、正直に出してください。そしてなおかつ、それがことばだけでは不十分でありますから、資料としてお示しを願いたいと思います。文書でお示しを願いたいと思います。
  4. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 流況調整河川事業といたしまして、今回河川法改正をお願いをいたしておりますものの具体的な例は、利根川広域導水事業でございます。これは緊急の事業といたしまして、野田導水事業と、それから恒久的な施設としての北千葉導水事業、この二つに分かれております。いずれもこれは利根川本川、それから江戸川、この二つ流況を調整することによりまして、治水事業はもちろんでございますが、新しい水資源をここで生み出して、これを利用するという、一種の水利用広域化合理化事業でございますが、野田導水事業につきましては、これは利根川下流部江戸川を連絡するわけでございますが、これによりまして、別途に中川江戸川を結ぶ三郷放水路が現在建設されておりますが、これらの施設を、一連の管理をすることによりまして、利根川下流冬季余剰水中川下流夏季還元水が主体となって、新しく毎秒十一立方メートルの都市用水が生まれるということでございます。施設としましては現在利根運河がございますが、これを整備することと、用水施設排水施設、こういったものをこれに加えまして実施するものでございます。これの受益いたしますところは東京都それから千葉県、こういったものがその受益対象になっておるわけでございます。  それから、広域的な導水事業といたしまして北千葉導水事業、これは千葉県の印西町から流山市に至ります間を連絡をいたしまして、これによって河口せきあるいは霞ケ浦、こういったところで開発された水もやはり広域的に東京都あるいは千葉県、こういったところの水需要に対処して供給をするというようなことを構想として考えておるわけでございまして、緊急事業と並行いたしまして、このほうは調査実施いたしたいと考えておる次第でございます。  なお、御要求資料につきましては別途参考資料を提出するようにいたしたいと思います。
  5. 田中一

    田中一君 当面考えられたものは利根水系に限られるということでありますが、他の水系については、一応本年度は調査しないけれども事務当局として、準備段階として考えられているところがあれば、それも説明してほしい。
  6. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいま実施予定のものを申し上げましたが、そのほかに中部の木曽川、それから庄内川、こういったところを結ぶ広域導水事業調査を四十七年度からやりたいと思っております。なお、今後の予定でございますが、大阪の大和川、それから淀川、こういったところについて、少し検討を進めたい。それから、中国地方におきましては、岡山の吉井川、旭川、高梁川、こういった三川がございますが、こういったところも非常に下流地域は御承知のように臨海地帯で、今後水の需要も相当増大すると予想されておりますが、こういったところについても調査対象にいたしたいと考えております。なお、関東地方につきましても利根川水系は現在主として西のほうを考えておるわけでございますが、北部関東につきまして、那河川、久慈川、こういう水系がございます。こういったものと、涸沼、あるいは霞ケ浦、こういったものが連絡すれば、かなり水資源が活用できるのじゃないかという感じがいたしますが、そういったところもあわせて予備調査を進めていきたいと考えておる次第でございます。
  7. 田中一

    田中一君 都市化された区域が多くなったので、水の需要というものが増大している。一面、農業用水増大はしておらんだろうけれども、まずまず要求はそう強くないというところから、当然な流域変動導水、これは今日水の管理、水の利用という面につきましては、これは分水、流域変更というのは、必然のものなんだ。ようやくこの考え方がわれわれの社会に定着した、政府の中でも、河川学者あたりがとやかく言っておるものもございました。しかし、現時点において、この考え方が定着をしたということについては、非常に歓迎すべきことだと思う。ところで、いま提案されておるこの具体的な利根水系の水の配分、これらはどのようになるのか、この前五カ年計画のときにもこれを聞いておきましたけれども、相当大幅に利根農業用水が、利根川の水を相当多くのものを要求しておるのですが、これはもう建設省は御承知のように水を送るという施設をすればいいのでありますが、要求される地点には無差別にどんどん送るという考え方に立っているのかどうか。私は利用者というか、たとえば利根川の水を利用して、養漁場をつくるとか、多角的な近代的な、米作以外の農業というものが開発されるだろうと思うのです。この点について負担配分というものはどのような形で行なわれようとするか、第一に問題は、利根川水域の水の配分がどれくらい今日まで余っておるのか。それから、その受益者負担というものの割合はどのようにきめようとしておるのか、また、考えられておるところの配分というものも御説明願いたいと思います。
  8. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在、利根川水系水質源開発基本計画に計上されております四十五年から五十年の需要想定におきましては、総需要量が百三十四立方メートル毎秒でございますが、その中で農業用水として充当を予定いたしておりますのが四十一・二でございます。大体約三〇%ぐらいの数字になります。で、主として場所といたしましては、鹿島、霞ケ浦周辺、それから鬼怒川の周辺渡良瀬川沿岸、それから千葉の北総成田、こういったところの用水、これが主たる需要でございます。まあ中流部等におきまする農業用水需要は、主として新規開田もさることでございますが、主として、新しい畑地かんがいとか、そういったような農業形態変動に伴って生ずる新しい需要が多いわけでございます。なお、農業用水につきましては、これはまた還元いたしまして、反復利用されるものでございますから、量は多いようでございますが、しかも年間を通じての需要でもございませんので、どの程度水資源の全体の需要を圧迫するかという点につきましては、かなり疑問がございますけれども、非常に大きい影響はいまのところないのじゃないか、むしろ臨海部に近いところで水の再利用がない場合に、農業用水需要増大いたしますと、これは完全にむだに流れるわけでございます。そういったところではかなり東京地方ではもうすでに都市化いたしておりますので、ほとんどございませんが、そういったものにつきましては、できるだけ今回の流況調整河川、こういったもので拾い上げまして、水の合理化をはかっていきたい。この野田導水事業等も、主として中川流域利根川から取った農業用水が還元してまいりますが、こういったものの夏季のものをうまく活用いたしまして、利根川本川冬季余剰水とかみ合わせることによって生み出すと、こういうようなことで、できるだけ私どもとすれば、合理的な再利用をはかっていきたいと考えている次第でございます。  それから、農業水資源に対する負担でございますが、現在多目的ダム等におきましては、いわゆる不特定在来からございます農業用水需要の中で、渇水時には非常にそういった農業実態上因るというような場合にこれを補給するものは、治水事業といたしまして、地元負担をかけないで全部実施をいたしております。それから、新しく今後水を取るとか、あるいは施設を増強しまして、いままでよりもたくさん取るといったような場合には、これは水道あるいは電気といったようなほかの利水関係と同様に、費用のアロケーションを行ないまして、アロケーションを行なった結果に対する十分の一を農業者負担というようなことで扱っておりますので、かなり優遇された状態じゃなかろうかと思います。なお、その十分の一の負担につきましても、これは県が立てかえまして、実際の利水者長期でこれを県に返済する、償還するというようなたてまえで現在進んでおるわけでございます。
  9. 田中一

    田中一君 霞ケ浦開発、これは水の計画の中に入っておりますね。あれはいつごろからどういう形でもって仕事を始めるつもりなのか、伺っておきます。
  10. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 現在の基本計画の中で、霞ケ浦は約四十立方メートル毎秒の新規開発予定をいたしております。その中で約二十二・八が都市用水、十七・二が農業用水でございます。これはかなり還元利用するものもあろうかと思います。それから受益対象区域は茨城、千葉東京、こういったところが主になっております。で、事業実施は現在水資源開発公団におきましてこの事業実施いたしておるわけでございますが、御承知のように、漁業関係等の補償の問題、それから今後の霞ケ浦水質の問題、こういったかなりむずかしい問題がございますので、単発に事業を進めるところまで現在はいっておりませんが、一部護岸の治水施設といったようなものはすでにスタートしておるわけでございます。
  11. 田中一

    田中一君 東京都下飲料水、これを中心に、これからますます小河内その他の水源じゃ足りなくなってくる。四、五年前につくった羽村の導水路からは四十万トンのはずですね、今度野田導水路から取るのは十万トン。で、東京供給する水は、あとどのくらい余裕があるのですか、利根川水系中心に考えて。
  12. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 東京ということを直接私ども考えて具体的な計画を立てておるわけじゃございませんが、首都圏地域あるいは関東地域というふうなことでマクロ的な需要を把握しておるわけでございますが、また、そういった東京都を対象にいたしました需給計画等につきましては、後ほど調査いたしましてまた御報告をいたしたいと思います。いずれにしろ関東地域全体を取り上げますと、いまのままで需要がある程度伸びていくというようなことを考えますと、昭和六十年では約五十数億トン、年間でございますが、不足する。しかし、北部関東といったようなかなり水の豊富な河川もございますので、そういったものを広域的に利用すれば、やはりそれからかなり少なくなるわけでございますが、いずれにしろ京葉地帯等につきましては、これは自己水源というものがございませんので、かなり苦しい状態になるんじゃないかと予想されるわけでございます。
  13. 田中一

    田中一君 せんだって利根川のこの配分計画資料もらっておりますけれども、これからもう人為的に用途がふえてくる。したがって、都市用水というものが中心になって考えられなければならぬと思うのです。建設大臣も御承知のように、二兆六千億の下水道を完備しよう、この予算ももっと増強しようということになりますと、これはますます水が必要になる。これに対するやはり目安というものがあると、地方行政の面でも、各公共団体がそれに見合ったところの都市整備計画が持たれるわけです。現に、新聞等にもだいぶ前に書かれたように、埼玉県で住宅公団が一千戸団地をつくった。ところが、水がないからいまだに三年になるけれども人が住むことができないというような状態ができた。これは先行する水の問題が確定しないからだと思う。だから、かつて気ままに水の問題を、出るであろう、あるいは地下水利用できるであろうというのでそうした計画をつくるのでありますが、これが一ぺん食い違ったら、相当大きな投資をしても、それが生かされないということになります。だから、利根川の水を都市用水水源として考えて、具体的にその水系配分というものが的確な形でもって示されない限り、都市自然増あるいは混乱というものは、これは避けられないわけなんです。もっときめこまかい配分計画がなくちゃならぬと思う。利根水系あと幾つ残っているか。神戸ダムぐらいが残っているんじゃないかな。あともう一つは沼田の大ダムが考えられておるようでありますが、これらの点もいつごろどう具体化するか。その計画にのっとって、過密化する都市あるいは都市用水というものの増大にどうこたえていくか。これは各地域においても同じです。住宅公団の一千戸の住宅が、そのまま人が入らずに二年、三年と経ているなんということは、これは建設大臣の責任なんです。水の配分を考えるのも建設大臣の役目、そうして住宅をどんどん建てるのも建設大臣守備範囲であります。こうしたアンバランスによって国民に不安を与える。農業用水は還元すると言うが、それはもう還元しますが、最近はかんがい用用水というものは還元されないと思う。したがって、農業の変革、これに引き続くところの都市用水の充足というものは、根本的にこれを考えておかなければ、そうしたかたわな現象が生まれてまいりますから、その点について、ただ単に経済企画庁が、水の問題で、水プロパーでもって考えるのではなくて、都市、やかましく言えば都市用水の問題を考えられて、そうした具体的な全体の都市問題の重要な一つとして考えなければならぬと思うのであります。したがって建設大臣、どのようにこれらの水の問題——ことにここで都市用水にもアロケーションがある、負担がかけられてくる。また一面、もう一つ法律に見るように、多目的ダムの問題にいたしましても、いろいろ問題があるから、一つ一つ同じです。問題がある。地元にもいろいろ紛争があると長引く。だから、先に金を借りて、そして仕事にまず着手してしまうんだということが示されているのが、今度の多目的ダム改正の要旨でありますが、これらも関連して、そうした水の供給、水の問題について、国民との利用計画を立てられようとしているのか、あるいは立てようという意欲的なものを持っているのか、現在どうなっているのか、これは河川局長並びに建設大臣から伺いたいと思います。
  14. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 非常に痛いところを言われたわけです。非常にもう大事な痛いところを言われたという感じがします。いま、まあ田中先生が、たとえば東京都の二十三区は一体水をいま幾ら使っておって、将来幾ら要るんだと、また首都圏については、いま幾ら使っておって、幾ら要るんだと、その用途別のあれを示せと言われても、私は全然返事ができない。おそらく河川局長もできない。というのは、私は、この水関係については需要供給関係であろうと思うんです。そして建設省がやっておる河川局供給面だけ、その供給面も非常に大ざっぱな公益的なことはやっておるけれども、水の利用の面のことがそれぞれの分野に分かれております。たとえばこの生活用水であったら厚生省工業用水だったら通産省農業用水はどこだと、こういってそのほうの水を使う。需要の面が非常に私は建設省としては弱点になっておると思うんです。私自身も聞くと——聞いてもなかなか納得ができない、ただ、供給だけは受け持っておる。ダムをつくる、水路の造成をやる、こういう供給面だけを受け持って、そして需要の面について、どうも建設行政弱点が私はあるように思うんです。したがいまして、それではいかぬ、各分野において工業用水通産省でもいいし、まあ生活用水厚生省でもいいけれども、ある程度のこの需要のこまかい面をつかまないと、しっかりした自信がないと、こう考えておるわけでございます。  それでまあ、部分部分につきましての地域的な研究はもう少し詳細に需要供給関係供給面でなくて、需要の面のことを将来はやらなければならぬのじゃないかと、私はそう感じておるわけでございまして、非常にこまかい、もっと突っ込んだ調査をしなければならぬと、田中さんが指摘しましたが、私もまさにそのとおりな感じがいたしましておるわけです。今後とも河川行政としては、建設省としてそういう方面に少し——少しじゃない、大いに力を尽くさなければ、私自身が聞いてどうも納得ができる、直ちに答えられるというふうに、どうも思わないんです。  なお、河川局長は、いま非常に勉強しておって、私に言わないのかしれぬけれども、実際は私はどうも納得ができない。それから、あなたから質問受けても、たとえばどこどこの、大阪なら大阪でどれだけの水が要って、どれだけ用水がやっておるのか、おそらく書いた数字のことは一応言えますけれども、ぴんと頭にこないんです。そういうような感じがしますから、現に私は河川局長にも言って、東京都だけでも大ざっぱにはやっておるけれども、大ざっぱじゃいけません。それだからして、ある程度調査費を出して、徹底的にひとつ調べる。その調べるのには、その水を補給する供給面じゃなくて、需要面が一体どういうふうにあらねばならぬのか、なっているのか、こういうことをひとつもう少しつきとめていかなければ私はそうかそうか、うまくできているというふうにどうも感じられないのでありまして、私にとりましては、一番痛いところを突かれたような気がしておるわけでございますが、今後検討したいと、かように思っております。
  15. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいま大臣のお話のとおりでございまして、私どももどうしても在来河川局行政から見まして、需要面かなり弱点があることは事実でございます。そういった点で、やはり水がどのように実際に使われておるか、どのように困っておるかという実態がわからずして、やはり適正な供給もあり得ないと、こういうことで、前々から大臣からも強く御指摘を受けておりますので、早急にそういった面について私どもなりにそういった努力は続けていきたいと考えております。  なお、ただいまの首都圏内の水の需要想定でございますが、百三十四トン毎秒と申し上げましたが、その中に東京都の上水道が約三二・四、それから同じく東京都の工業用水が五・〇程度予定いたしております。で、これはそれぞれ各府県なり市の要望はもう少し、約二割余り要望のほうが上回っておるわけでございます。東京都でいたしますと、三六・五、それから工業用水では五・五、こういったものを経済企画庁のほうで調整をした結果、この百三十四トンという数字をまとめたということでございます。  なお、それぞれ、これのさらに基礎になります各市等の単位での資料もあろうかと思いますが、また必要であればのちほど提出するようにいたしたいと思います。
  16. 田中一

    田中一君 経済企画庁で行なっている水のいろんな資料というもの、数字というものも、これは地方公共団体から出るものがもとになって考えられているんでしょう。そうすると、これはばかな話なんです。かつての経済企画庁国土総合開発というものに対しては一局を持っておるけれども、自分の力で調査をしようという考え方はあっても実行ができないわけです。日本河川工学というものは治水だけの面で成り立っておったことは川崎君もそのような教育を受けて、今日局長になっておるんだと思う。しかし、これは水が余ってるんだという前提で、高度成長政策というものが生まれる以前の段階ですら、もう水は足りないんだということが言われているにもかかわらず、まだそのような形で追っかけ行政、追っかけ水資源探しということになっているわけであります。この前の前回の河川法全面改正のときに治水というこの河川法考え方利水という面を含めた改正を行なったことは、これは勇気があって非常に私はいいと思って喜んだんです。一面、当時の農業政策の面から見て農林省はこの水はおれのものだ、おれのほうの既得権だ、ことに慣行水利権などというものは、まだ温存しているわけです。温存というよりもこれはきまっているわけです。許可水利権慣行水利権というものが二つあって、そして慣行水利権じいさん曾じいさんの代から使っている水だから、これはおれのものだという考え方があるわけです。今日の段階においては、もはやそれは許されない、といって、農民をもっと残酷に扱えというんじゃありません。食糧の確保のためには、農民は営々と働いているんでありますから、これは当然のことでありますけれども、もう少し計画的な水の利用という面から見る供給、これは長期な展望からこなければ間に合わない。私はかつて河川法全面改正のときに東知事をここに呼んで言ったんです。当時は神奈川県は水が余っている。相模湖の水がどんどん来ている。三十万トン分けてもらっている。分けてもらうというよりも、黙って水を導水路からかってに取っておったという現実もあるわけです。しかし、一昨年でしたか、神奈川県は今度水が足りない。非常に苦しみました。そのときには東京から何ら送ってやる水がないというようなことであって、この関東首都圏全部を考えた場合の将来への利用というもの、要求というものにこたえるための計画が立たなけりやならないんです。水は結局まだ一〇%程度しか完全に日本、わが国の領土が持っている水を有効に使っておらぬという現状から見ましても、もう各市町村、都道府県要求するものをそのままうのみにして、そしてこれはたぶん多いであろう、一割五分ちょん切って何とかしょうというような、そうした非科学的な方法で水の需要というものを勘案されるということも間違いです。これはいま建設大臣がおっしゃっているように、根本的に将来のこの地域はこうなるんだという想定のもとに水の要求が出なきゃならない。水は天から降ってくるものでありますから、これはもう日本の場合には周期的に台風というものが、困っているときに台風が来て置いてってくれるから非常にしあわせな国なんだ。けれども、それにこたえて、新しい都市をつくるためにもこれが先行しなきゃならない。だからそれは、具体的にいま一つの端的な例として、住宅公団がつくった家が水がないために人が入れないというようなみっともない姿を出さないためにも、小さな例も言いますけれども。地方の要求だけをまとめてそれを一割切ろうと、ここは八%削っておこうというような考えじゃなくて、根本的な考え方を持たなきゃならない。これは川崎君に伺いますがね、水利用というものに対する学問があるんですか。なるほど河川工学というやつは川を治め、水を流すということの学問、技術だそうでありまするが、利水という点を経済的な面、あるいはどっかで、経済企画庁でもかまいませんが、エキスパートがおって、そこでそういうものをこまかく、将来の日本の国土に対する、日本国民に対する水の供給ということを考えている部署があるんですか。そしてそれはどういう費用をもって、経費をもって、どういう研究をしているか。まあ安芸君なんかそれ専門にやっているように聞いておりますけれども、いましかしたいした調査費とか、そういう予算づけなんかなくてやっているんじゃないかと思うんです。その点、川崎君の仲間がどういうことをして、どういう技術的な、科学的な結論を見出そうとして努力しているか伺いたいと思います。
  17. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) ただいまお話しの、いわゆる水の経済学といいますか、そういった面では、一部の先生方が、水の利用、経済的な効用、歴史的な変遷それから今後の見通し、こういったものについて検討されておるようでございますが、非常にそういった学問というのはどうも進んでないように思います。また、役所間におきましても、私どものほうももちろんでございますが、特にそういったものを取り上げた研究というのはいたしておりません。しかし、やはりこれだけ水資源というものが逼迫してまいりますし、その利用関係がますます複雑になってくるわけでございます。工業用水工業用水農業用水農業用水、それぞれの主張をするわけでございますし、都市用水にしましても、いわゆる生活用水というのはある程度の範囲が限定されておりますが、いわゆるビル用水、商業用の用水、こういったものについてどういった考え方で水を使わせるべきか、どのように水を供給する者として規制をして、今後の水資源の需給の安定をはかっていくかという点については非常に重大な問題であろうと思います。私ども建設省なりにやはり何かの形式をもって今後はやっていく必要があるんじゃないかというようなことを痛感しておるわけでございますが、その手初めといたしまして、広域利水調査、こういったものを始めたわけでございます。今後はさらに水資源の賦存だけではなくて、広域的な合理的な管理利用、それから需要面実態とこれに対する誘導的な使用の方向、こういったものをさらに突き詰めて、私どもも勉強しながらやはり指導していく必要があるんじゃないかと痛感をしておる次第でございます。
  18. 田中一

    田中一君 いま、建設省は総合的な水利用調査をしているというように言いましたが、ほんとうですか。予算はどれくらい取っているんですか。人間はどういう部署でどれくらいでやっているんですか。私は、いままでの建設省の行き方だと、地方公共団体に向かって、おまえのほうはどうだ、おまえのほうの資料を出せと、出して、その累積がこうだということしか言ってない。日本の仕組みがそうなっている。自治法ではっきりとその行政はそのものだと言っておりますが、今度の新しく出た新国土総合開発にいたしましても、これは地方の現状からくるところの姿をそのまま出しておるわけです。将来の日本、将来の都市、将来の国土をどうするかというところにもとがなくちゃならぬ。それがおくれているんです。おくれているというよりも、ないんです。個々ばらばらに、自分の地域は、自分のところは、自分の行政区域は、こういう形で計画を立てている。もっと根本的な計画がなくちゃならぬというのが、私がもう長い間主張している議論です。かつて地方的な総合開発計画がたくさんできました。しかし、全国計画がないじゃないかと言って、それこそずいぶん強く何年も攻めて、ようやく新しい全国の国土総合開発計画ができた。内容は何かというと、地方のものを全部集めているわけだ。だから、たとえば道路一つにしても、自分のところから尾根に県境に持ってくる道路と向こうの道路とが違っている道路ができる場合もある。そこで、経済企画庁に調整費というものをつくれ、お互いに研究は知らぬ顔をしている、そうして調整費という制度を設けて、そういうものをつないでいくということになった。水の問題一つとらえても、自分のところで必要な水は要求する、しかしその水は、あるいはある地点の水を自分の行政区域内に導入するには、よその町あるいはよその県を迂回して来たほうが工費も安くて便利なんだ、その場合には、迂回された地域にも水を供給しながら、自分のところに持ってくるんだという方法もあろうかと思うんです。いまは水の問題は大体おさまっております。適当に降り、適当に雪が降ったんでしょう、おさまっておりますけれども、いつ水飢饉ということが地域的な現象としてあらわれるかわからない。これはどうしても経済企画庁という、ああした予算も何も持ってない、そこにいるところの公務員の生活費だけが持たれているというようなところは、これは一つのプランメーカーであり、そのプランもアイデアではないんです、よそのものを出してもらって、それを取りまとめるということでしかない。そういうものでは、水の問題一つとらえてみても、どこかで支障が起きるわけなんです。水の問題を治めるには、十分に日本の技術はそれにこたえられています。水を使わないものは何もないんです、水を必要とする産業、生活こうしたものを当然考えなければならぬ。  そこで川崎君に一つ伺いますが、二兆六千億の下水道が完成した場合には、この下水道の完成による水の要求量というものはどのくらいになるのか、これを伺っておきたいんです。
  19. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 下水道の完成によります総量を私はよく把握しておりませんが、最近のいわゆる団地等の調査をいたしますと、これは日本だけではございませんが、欧米各国等の資料からいきましても、大体いわゆる生活用水というのは二百リッター前後、二百から二百二十ぐらいでございます。で、その中で、いわゆる水洗その他特に下水道施設の整備に伴ってプラスして使用される量というのは約その一割の二十リッター前後と思われます。したがって、そういったものが今後の水需要にどの程度影響を及ぼすかということになりますと、大体、私どもの計算では昭和六十年の水の需要の中で、いわゆる都市用水といたしまして一人当たりの量は東京都でございますと約七百リッター、全国で約五百リッター余り見ておるわけでございます。で、その中の二十リットル前後でございますので、十分今後の水資源開発計画に支障のない範囲で吸収して調達できるという考えでおる次第でございます。
  20. 田中一

    田中一君 それは数字だけのことなんです。ある地域では水は、たとえば東京都にしても東京都の大部分のものは水がないといっても、玉川用水だけはこれは水の供給があるという、部分的なもんなんです。やはり公平じゃなくちゃならぬです。東京都民のどこにも完全に水が供給されているという実態になくちゃならぬと思うんです。いまの計算だってそれは東京都が出した計算ですか。実際に科学的に、たとえば水洗便所を使うのに一人の人間が一日〇・何トン、何回それを使用するかということとか、生活するには一トンぐらいあればいいんでしょう、顔洗ったり、ふろに入ったりするのは一人当たり一トンぐらいあればいいんでしょうが、そういう計算をずっとしてみるとどうなるかという、大体それで充足されるんじゃないかと言うけれども、私はそうは思わない。それで地域的に格差が生じてくるんじゃなかろうかと思うんですが。そうして野放図にどんどん町づくりは自然増住宅計画もなければ何にもない。今度の調整区域だ、市街化区域だということをきめておっても、それに対するところのきめこまかい計算のデータというものはないわけなんですよ。いま水の問題とか、都市用水はどのくらいどう使われるかというと、ここにいる人は皆さん自分の使っている水を考えながら、大体そんなもんかなということにすぎないんです。一たん干ばつがあるという場合には、直ちに水の問題が起きてくるわけでなんです。いや雨は必ず降るんだよ、台風は来るんだよということだけじゃ済まないと思うんです。そういうことで今度の改正というものが提案される、これも一つの前進です。これは決して悪い法律じゃございません。私も大賛成です。しかしここで、こうして先行してその準備をするんだというかまえを持つならば、いま建設大臣言われるように、おれのほうは水の供給路さえつくればいいんだということだけじゃなくで、どの場合にも水の不便はさせませんという形にならなくちゃならぬと思うんです。したがって、今後の問題としていま申し上げたように水利用の面から見ましても、ほんとうに日本くらい水の豊かなところはないのですからこの水をいかに守りいかに完全に使わすかということを考えなければならぬと思う。  まあ、水資源の世界的な会議も何回か持たれております。それだけに日本に来て、日本は水がきれいだ、なま水が飲めるなという国は世界じゅうにも数少ないわけなんです。したがって、もっと、よりよい方法があるならばこうした方法も——財務当局というか、大蔵省あたりの連中からとやかやと制肘を受けてみみっちいような金をこうしよう、ああしようということじゃなくて、たとえばダムにしても幾らでしたか、今度何億でしたかね、今度の先行しているアロケーション、六億円前後のものを財投から借りていこうというが、六億じゃなくて、六十億でも持ちなさい。そのくらいのかまえがなくては国民は安心しないです。みみっちい話です。特別会計ではアロケーションはどんどん先に取ってこれは工事費としてそれに投入して十分に金が使えるのだということでこの多目的ダムができたわけです。ところがなかなか交渉等がまとまらぬ場合には、仕事ができない。しかし仕事はしなきゃならぬ、指定はきまっている。いや、おれのほうは工業用水これだけくれといっても、それがはっきりしないというときにしようがないから、仕事が進めるように六億、こんなもんじゃ少ないですよ、建設大臣。もっと豊かに借りられるワクを取っておくことです。これは何も、ベトナムの鉄砲だまなんかつくっているそうでありますが、そんなものに財投で援助するよりもわれわれ国民が平和に暮らせるという先行投資、当然これは利用者が払うのでありますけれども、六億程度の財投を借りられるのだというワクはひどすぎます。意欲的に六十億でも百億でも取っておくべきであります。その点について、この傾向は大賛成ですから今後もっと進めなさいというのです、私の言っているのは。激励です、建設大臣ひとつ答弁してください。
  21. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 何と申しますか、そういう質問が一番こわいのです。なかなか答えにくいのですが、とにかくいま言いました国の事業面が非常に弱点ですから、一体一人当たり水は幾ら使うのだ、東京都の生活用水は幾らだ、まあ、私もばく然と覚えておりますが、しかし料金は、東京都の水道料は幾らだ、大阪府の水道料金は幾らだ、工業用水は幾らになっておるか、こういうことについての、それからまた使う量の問題についてどうも建設省は弱いんです。まあ、私はもちろんそんなことはあまり勉強しておりませんが、私は最も弱いのですけれども、しかしそれではどうも済まぬような気がいたしておるのでございます。もうとにかくいま国会の議論をみましても、水と土地の問題、このことに関してはもう建設大臣が矢面に立たなければならぬ。それは私のほうの所管じゃございませんと言えないわけです。もう土地の問題も、それは市街化区域とか市街化調整区域とかいう市街化のことはいろいろ私も役人の方から聞いて勉強しておりますけれども、一たん市街化を離れるともうあまりあれはないわけです、建設省は。ところが、いやしくも土地問題になれば建設大臣が責任を持っておる。責任を持っておるというふうにもう世間は理解し、水の問題についても水は建設省の所管であるという、そのことを思っておる。これはたいへんなありがたいことなんです。したがいまして、いまあなたがおっしゃったように、この利用面についてのことを、今後はおぼろげながらやはりある程度つかんでおらないといかぬ。もちろんこの工業用水——通産省がやっていますが、それをこちらに行政をとってこようというのではなしに、ところが供給面だけでダムをつくる、河川を修理するということだけが建設省の水行政になっておるようなんで、今後はいろいろ御指摘がございましたが、ひとつ十分その辺に力を尽くしたいと、前にも言ったとおりでございます。また世間には、水の研究をその方面からいたしておる研究所もあります。私はここでは申し上げませんが、先般も首都圏内においてはひとつもう少し詰めるべきだ、実は広域利水調査第一次報告を建設省も出しております。これは河川局が独自でやったんですが、これは第一次報告であります。第二次報告はできるのか、こういうアバウト的なことじゃ、それは第一段階はいいけれども、第二段階になれば、こういうアバウト的なことじゃ意味をなさないよと私はこう言って、せっかくこれからやろうといたしておるのでございます。今回、このダム事業について金を借りようという問題ですが、これも金が少ないというおしかりでございましたが、初めての事業でございまして、まあ一歩前進ということでございますから、御了承を賜わりたい。さらに、この際、来年等の予算につきましては十分ひとつこれについても注意したい。どうもあなたがおっしゃいましたように、これは経済企画庁を悪う言うわけじゃございませんが、やはり工業用水農業用水生活用水といろいろありますから、総まとめを経済企画庁でやっておる。しかし、経済企画庁というのはそういう手足を持っておりません。したがって、みんなの数字を全部集めるより手はないんです。これは経済企画庁おると悪いんですけれども、それしかないんです、現場を持っておりませんから。水の水質におきましても、一カ所も現場を持ってみずからはかっていないんだから、わかるはずはないんですけれども、やはり行政ともなると多くの行政、そこでもって寄せ集めて、あなたが言われたとおり、みんなから引いたやつをこうして少しまけてくれと、あまり多いじゃないかと、こうやるより手はないことになっておりまするが、少なくとも、水と土地の関係については、建設省としては行政的にひとつ体制も考え直さなければならぬと私はさように思っておる次第でございまするから、どうかひとつ御協力をお願い申し上げたいのでございます。
  22. 田中一

    田中一君 それじゃ、第一次報告というものはこの次に伺いますが、私はきょうはこの程度にして次回に譲ります。
  23. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 委員長はじめ先輩議員のお許しを得まして、河川法改正並びに多目的ダム法の一部改正につきまして関連して質問をさせていただきます。  その前に、私も長い間、建設行政のうちの河川行政に携わってまいりまして、私の行政の至らなかった点を今日の現段階でいたく反省しておるものでございます。私も選挙で上がってきました以上は、ひとつ国民の立場に立って、従来から建設行政河川行政のいろんな国民から要望される点をひとつ具体的にお話しながら、私の質問を進めさせていただきたいと思っております。  まず、河川法関係でございますが、まず、河川の指定の問題につきましてお伺いしたいと思います。  河川の指定は、一級河川、二級河川水系が指定されまして、それから、政令によってその河川が指定されることになっておりますが、この政令によってその名称と区間が指定されるようになっております。今度は、省令に基づく告示にされたというようなことでございますが、この辺の事情をお伺いしたいと存ずるわけでございます。
  24. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 一、二級河川の指定につきましては、それぞれ建設大臣あるいは知事におきまして、必要なやはり改修を要するというようなところにつきましては、逐次指定を追加しているわけでございます。で、河川法が制定されます時点で、御承知のように、一級水系については建設大臣管理すると、こういうようなことでかなり改正の重要な課題でございました。したがいまして、この一級水系の指定、さらに河川の指定、こういったものを一括してやはり政令でこれを指定すると、こういう手続を踏んできたわけでございます。しかし、御承知のように、一級水系も当初は十五水系でございましたが、現在では、すでに当初の目標でございます百水系をこえまして百八水系になるわけでございます。そういったところで、いわゆる水系の指定と同時に、水系内の河川指定等につきましてもかなり行き渡っているわけでございます。最近におきましては、主として末端河川の延長あるいは地名地番の変更、こういったきわめて事務的に類するような手続上の変更あるいは指定が多いわけでございまして、制定当時考えておりましたような、いわゆる重要な問題というのはほとんどなくなってきているというのが実情でございます。したがいまして、一級水系と、こういったものにつきましては今後ともやはり政令事項として取り扱うわけでございますけれども河川の指定につきましては、いま申し上げましたような実態を踏まえまして、かなり現在事務量等もございますので、なるべく手続的に簡素化して、しかも臨機にそういった指定の措置がとれるというような意味で今回これを告示にしたわけでございますが、質的にはやはり関係府県の知事の意見を聞くなり、あるいは河川審議会の議を経るといったような、質的な問題では在来と変わりなく取り扱っていきたいと、こういう趣旨でございます。
  25. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 おそらく地番とか、いろいろなことについて非常に事務が繁雑になるだろうということは想定できますし、その点よくわかるわけでございますが、要するに、告示にしましても、政令にしましても、国民の利害と密接な関係がある。その告示につきまして、国民の大半がその問題を知っているかどうかということを私はお聞きしたいんです。そういった政令の段階において、当然政令で指定されるわけですが、また告示にされましても、違った手続にしましても、要は国民がどの区域のどこまでは河川法の適用区域であるということを知るということが一番大事なことでございまして、その意味でも、答弁は要りませんが、どうかひとつこの告示の効果を、告示の価値が十分発揮できるようにぜひお願いしたい。私は若干意見を異にしますけれども利根川水系の大きな河川と小さい河川の指定をどういうぐあいに順序づけてやるかという問題もありますが、そういった意味で、あらゆる場合に、国民がそれを知悉しているという形の告示の効果があらわれるようにぜひお願いしたい、これは御要請でございます。  そこで私は、河川の指定基準が現在どうなっているか、お伺いしたいわけですが、特に河川の追加指定、延長指定というのが私があちこち歩いてみて非常に多うございます。そこで、指定河川に指定するというのは、もう河川法示し国民経済上当然に重要な河川ということでございましょうが、具体的に指定河川にすべき区域ということで、指定基準があるのかどうか。その指定基準がありましたら具体的に教えていただきたい。また、次に出てくる準用河川といかにして区分するかという問題もあろうかと思います。その辺の具体的な指定の基準がありましたら、ひとつ教えていただきたい。
  26. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 一級河川につきましては、私どものほうで、昭和四十五年に一級河川の指定基準内規、こういったようなものを設けまして、これに基づいて指定をいたしておる次第でございます。したがって、今後もやはり必要なものについては、この基準に従って指定を追加していきたいと考えております。なお、二級の河川でございますけれども、これにつきましては、特に私どものほうで、二級河川についてはこのようにしなさいといったような基準はございません。しかし、やはり末端の河川にまいりますと、これは一級河川にしましても、二級河川にしましても、ほとんど河川の規模には変わりがないわけでございますから、この一級河川の指定の内規に準じまして、二級河川を指定するに当たって十分考慮するようにというようなことで、現在都道府県を指導しておるわけでございます。  なお、その一級河川の指定の内規といたしましては、第一は流域内の状況ということで、どの程度人家なり、あるいは耕地があるか、あるいは道路、鉄道、こういったような公共施設、あるいは学校、病院等の公共建物の問題、それから地域の工場なり、団地なり、あるいは関連しておるいろいろ公共事業、こういったものの計画の有無、こういったものを流域内の状況として判断すること。それから河川の改修工事を行ないます場合に、一定規模のまとまったやはり工事を行なう必要がある、あるいはそういった計画を立てる必要がある、こういった観点あるいはダムなり水門なり、そういったような管理施設が存在しておるもの、こういったものを河川の工事の面から検討をすること。三番目には、現在の河川の使われ方でございますが、水道なり、あるいは電気なり、そういったものに河川の流水が占用されておったり、あるいはまた、そういった計画がある。こういったものについてはこれを一級河川の指定にあたって十分考慮しなさい。最後に、その他といたしまして、砂防指定地なりあるいは地すべり防止区域、港湾区域、こういったものがございますが、こういったものとの十分関連をつけて指定をしなさい。大要、そういったような内規を設けまして、現在実施をいたしておる次第でございます。
  27. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 まあ、指定河川という制度は、現行河川法一つのあれでございますけれども河川の趣旨から言いますと、一級水系は一級水系として管理していくというたてまえでございます。そういう意味でございますと、指定河川の延長というのは、できるだけ法的な管理の中に入れて、管理の必要なものは入れていくという立場のものであろうと思う。指定河川の数及び延長等につきましては、昨日、建設省から資料をいただきました。ところが、だんだんと指定河川の量を増加されておりまして、非常にけっこうな話だと思いますが、なお、昨今の災害を見てみますと、普通河川の災害がかなり大きくなっておりまして、けさほど資料をもらいましたが、全災害の一九%が市町村河川災害である、もちろん道路が少し含まっておりますが、市町村災害である。これは普通河川災害でございます。そういったことはもちろん市町村財政の中で負担を生じますし、当然管理すべき性格のものであろうかと思います。そういった河川がまだたくさんあると、そうすると、河川の追加指定と、区域延長というような問題が今後たくさん起きてくるであろうと思いますが、財政等の関連で、私は追加指定が県当局の財政の問題、あるいは国の財政の問題等におきまして、指定をしたら管理をしなければいけないということで、なかなか指定を渋っているという向きもあろうかと思います。しかし、私は、指定という意義はまだほかにもあると思います。この河川をりっぱに管理するために、あらかじめ将来の治水利水問題も含めまして、河川計画を立てて、その面で管理をしていくという、そういった管理の原則を、そこの指定区域に立てておくと、これが河川管理の全きを期する一つの大きな理由であろうと思います。工事をやらなければいかんという問題もたくさんございましょうが、そういった管理の基本的な問題をまずきめておくということが必要であろうかと思いますので、どうか、そういった面におきまして、この指定河川の追加という問題は、非常に重要な問題であろうかと思います。そういった点をぜひ御認識願って、事前に河川の指定をやって、管理の原則を立てておくということに御着目願いたいと要請する次第でございます。時間がありませんので、要請の形でお話します。  それから、また指定河川管理の問題でございますが、関係行政機関がたくさんございまして、たとえば、港湾、農地、土地改良、砂防等、区域の問題あるいは工事等の問題についていろいろございます。そこで、これらの問題につきましては、ひとつ十分関係各省と打ち合わせていただきまして、十分な管理に対する基準を定めていただきまして、今後これらの処理に当たって、具体的に国民が困らないような形、これはどこでやるのかわからぬようなことでは非常に困ります。そういった意味で、この指定河川管理の問題につきまして、国民納得いくような形で、ひとつ具体的な基準を示して、それを知らせてもらうということが必要であろうと思います。具体的な事例は私は承知いたしておりますけれども、ここでは申し上げないで、要請にとどめます。特に、私は最近非常に問題になっている都市河川の問題でございますが、この指定とやはり下水道の問題、こういう問題が非常に問題であろうかと思います。この前の質問で、私、治水五カ年計画の質問のときに、その問題をお尋ねいたしましたが、ただいま河川局と鋭意協議中であるということでございますので、それらの進展の状況と、どういうぐあいな基準で、これは下水道として処理していきたいというようなことで、具体的にきまっておるのかどうか。それから、さらにそういったことをきめることによりまして、次の五カ年計画にどういうぐあいにそれらの問題を反映してくるか、基礎資料となるわけでございまして、そういった特に急がれる下水問題、それらの河川の問題につきまして、具体的な協議がなされているのかどうか、その協議の内容をお漏らし願えればありがたいと思います。
  28. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) いわゆる河川法以外の河川につきまして、現在集計をほぼ取りまとめ中でございますが、それから見ますと、約二十万キロぐらい河川以外のいわゆる普通河川と称するものがあるようでございます。その中でやはり特に問題の多いのは、都市部のスプロール化している地域河川、しかも、これが下水道とまたいろいろ関連を持つわけでございます。やはり都市内の治水環境という面から見ますと、これは下水道といわず、河川といわず、同じ趣旨を持っておるものでございますから、当然やはり調整をする必要がございます。そういった点で人的にも、私どものほうと都市局とでいろいろ交流をし合いまして、できるだけそういった排水面の問題について今後とも調整をはかっていきたいというようなことで、今後は都市計画の中にもそれぞれの総合排水計画を立てる、その中で、そういったものの整理統合もしていこうじやないかというように考えておるわけでございます。で、現在私どもといたしましては、直ちに全国の都市のそういった問題を掘り下げて検討するということは、ちょっと時間なり人的にも無理がございますので、当面は埼玉の一部、それから大阪府におきましては、これは古川の流域、こういったところをモデル的に取り上げまして、そこで具体的などういう問題があるか、どのように調整すべきかというようなことについて、これを明らかにした上で、今後の都市の総合排水計画一つの方向を出したい、そういった意味で、できるだけこれを早急に実施するために、現在担当間でいろいろ勉強し、協議をしておるというのが実情でございます。
  29. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、いまの答弁ではどうもわかったようなわからぬような気がいたしますけれども、要するに、どういう方法によれば、たとえばその都市内の排水が助けられるかという国民の要請があるわけです。ところが、その普通河川の対策が、河川とか下水とかでいろいろな論議がなされて、なかなかきまらないと私は非常に困るだろうと思う。そこで、いま一番必要なのは、先ほど田中先生も言われましたように、下水の排水の問題は非常に大事である。そういった観点からも私は、こういった問題も、取り上げやすいほうで取り上げるという形じゃなくて、むしろこの河川河川として処理すべき川である、あるいはこれは下水として処理しても差しつかえない川であるというような区分がおのずと立つだろうと思います。そういった意味で、それぞれの責任を分担して、やはり都市排水なり、それらの問題を詰めておくという問題があろうかと思います。したがいまして、私は、これを全国に及ぼすという考え方も、モデルをとってやるという考え方もあろうけれども、とりあえず、やっぱり行政の及ぶことをすみやかにするためには、私は、きめておくということも一つの手であろうという気がいたします。それは、県行政の中できめて、それを認可していくという立場もありましょうし、いろいろありますので、ひとつその辺を具体的に早急にきめていただくということが、今後の下水道行政を進めるにしましても、河川行政を進めるにしましても心要であろうと思う。やはり国民は早くそういったことを知って、どうしたらわが町を助けられるかということを考えているわけですから、その辺の国民考え方も十分ひとつ皆さんの御納得をしていただきたいと念願する次第であります。  そこで、河川区域につきましていろいろありますが、まだそのほかにたとえば河口の出たところの海面の問題がございます。海面の埋め立ての工事が社会経済の発展とともに非常に多くなっております。そうしますと、海面を埋めるといろいろな現象が生じてきます。あるいは高潮対策の問題からも、あるいは治水上の問題からもいろいろな問題が出てまいります。そこで海面に対する問題につきましては、従来からいろいろと港湾当局あるいは関係当局と打ち合わせてまいったわけですが、これにつきましても、ひとつ具体的な基準を設けて、ケース・バイ・ケースという実例もあろうと思いますが、技術的な問題はケース・バイ・ケースでもよかろうと思いますが、一般的な原則くらい確立して、その原則に従ってやっていくというふうな、これはもう埋め立ては不可能であるとか、いろいろな問題がわかれば……そういったことがわからないために、いたずらに申請をして、埋め立てを許可してもらいたいというふうなものを持ってこられる。だから、行政の行き方としては、やはりやっていけないものはあくまでやっていけない、そこをはっきりしておくことは私は必要であろうと思うわけでございます。そういう意味で、この区域をきめたり、取り扱いの方法をきめたりするということは、一つの大きな指針として大事だろうと思うわけでございます。これは要請をいたしておきます。そこで私は、先ほど申し上げましたように、河川事業は公共事業中の公共事業と言われております。それで国がやはり河川については全責任を持って処理するというような考え方が大事であろうかと思います。もちろん財政の問題とかいろいろな問題がありまして、その責任を全部負えるかどうかということは別としまして、原則的にはやはり国の立場でこの河川事業を進めていくということが必要だろうと思います。そこで河川の指定の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、普通河川の災害が八百八億のうちの百二十六億という大きな災害でございます。この災害には当然町の負担もつきます。また、それらの上流普通河川地域には水の利用の問題もございます。それから水施設をつくらなくちゃいかぬという理由も発生する可能性もございます。また、先ほどの災害の関係を見てみましても、生活の安定のためにも、ぜひ私はこれらの問題を、河川の指定をして、具体的に管理をあるいは工事をしていくという考え方が必要であろうかと思います。これは水系一貫の原則からいきましても、私は当然のことだと思いますし、また、先ほど申し上げましたように、河川の指定を希望する県でも、県の財政等の関係で指定がなされていないという場面がたくさんございます。具体的に一々事例をあげるわけにはまいりませんけれども、これは災害のたびに言われております。川内川の災害を見ましても、その災害の大半が上流の普通河川部分に起こっているということでございまして、これらの問題を含めて、やはり今後私は、財政的な措置の努力も当然でございますが、河川指定をやるということにおきまして、河川管理の基本をきめるという意味合いにおきまして、積極的にひとつ行なわれる必要があろうかと思いますが、この点につきまして、河川局長建設大臣の御所見を伺いたいと思います。
  30. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) お手元に提出しております資料でもおわかりのように、大体最近は年間で約二千キロぐらい新しく河川の延長が増加しております。そういったことで、私どもも、計画的に、あるいは大規模の改修工事を行なう必要がある、あるいは管理が必要である、こういったものにつきましては、今後もやはり積極的に河川指定をしていきたいと考えておる次第でございます。なお、そういった河川以外でも、いろいろ地域治水環境、先ほどお話のございました下水道との関係等もございますが、そういった点で、やはり通常の維持管理が必要だと、こういったものにつきましては、ぜひ準用河川の指定の制度を今回企図いたしておるわけでございます。そういった意味で、いわゆる河川というものが全部管理の網に入るというようなことで、下水道との区分につきましては、現在その基準等についても検討いたしておりますので、早晩その管理の分担等も明らかになると思います。そういったことも合わせましてできるだけ適正な管理をしていきたいと考えておる次第でございます。なお現在でも災害等……。
  31. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 簡単に。
  32. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) なお、財政等の問題もいろいろございますが、これにつきましては、単に補助だけではなくて、自治省等とも協議をいたしましていろいろ市町村の財政負担の軽減といったような方向で努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  33. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 河川局長もだいぶ言っておりましたが、古賀さんは専門家でございますが、私の見た感じでは、いままでの事故ではいわゆる中小河川といいますものが非常にもう悪いわけで、直轄の部分の被害の十倍ぐらいでしょう。非常に悪いのです。悪いのは悪い理由があるのです。どうも直轄区間に当然すべきところが直轄区間の指定が少ないのです。一級水系……、水系主義といいますけれども水系主義になっていない。たとえば何々水系と、水系主義というのは私はよくわからない。水系主義というのは、大河川であれば、大部分のところは一級河川であればいいと思うのです。大臣管理の川はちょびっとで、あとは知事管理になっているのが多いのです。これは一貫性がないのはどういうわけか。水系主義というけれども、私は水系主義になっていないような感じがする。したがって、もう少し大臣管理のところをふやすように、知事ではなかなかやれません。ことに市町村にはやれないのです。それだから事故が直轄部分の十倍も起きるのです。だから、むずかしいところはやはりもう少し直轄を延ばさぬと私はいかぬと思います。ちょっと長くなりますが、あなたもそう感ずるのじゃないかと思います。  それから市町村の管理のところは、もう少し市町村が、これは金をやらないから、補助金がないからそうかもしれませんが、もう少し河川に興味を持っていかなきゃいかぬ。河川を愛さなきゃいかぬ。都市に水があり、河川があるということはたいへんな資源です。それをいまはもう河川の川のふちにごみなんか捨てる人はありませんけれども、それにしても河川にあまり興味がない。道路には興味があるけれども河川には興味がない。非常に私はそういう事故を見てつくづく思うのです。したがって、今度はそういうふうないわゆる法定外河川、こういうようなものはひとつ十分気をつけなければいけない。それには市町村の財政について、やはり何らか援助を国家がするという方法をやらなければいかぬと私は思っておるのです。あなた方御存じの中小河川におきます中州とか寄り州は全然ほったらかしです。あれを市町村でもって整理しようといったって整理ができるはずはありません。補助金をうんとやらなければ絶対にあれは整理はできません。河川の幅は相当に広くても半分以上は全部草が生えているじゃないですか。それを補助の対象にしないというのですから、これは建設省が悪いのですよ。私は、したがって、補助の対象にせよと、大蔵省が反対するなら大蔵省に私は行くつもりです。河川局長にも私はいつもそう言っているのですから、ひとつそういう意味で一生懸命やりたいと思っております。
  34. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 非常に大臣の前向きのおことばを伺ってたいへん心強く思いました。大臣は特に四十二年の大災害のときに現状視察されましてよくその実情は御存じだと思います。ひとつそういう点はぜひ法定河川にして管理を確実にするなり工事をするなり、そういった施策を進めていただきたいと念願いたしております。  そこで、今度新しく準用河川制度というものが設けられました。この準用河川制度は河川法を準用するということでございますが、これは一級河川の端末部分の普通河川部分を準用河川にするとか、あるいは準用河川の単独水系をするとかあるいは二級河川の端末部分を準用河川にするというようなことでございます。そういう法律内容でございますが、まあ先ほど申し上げましたように、この準用河川と指定河川というのはうらはらの関係にある、特に私は一級河川……、水系一貫主義という問題はこの河川法を貫く精神でございます。水源から河口に至るまで一級河川にする、これは私は河川法がいいとか悪いとかという論議ではなくて、昔の河川法をある人はこう評しております。昔の河川法を読むと、せせらぎの音がする、これは実際私は河川になじむ法律であったかと思いますが、水系一貫主義できめられて何かぐしゃぐしゃしたような感じがするという人もおります。まあそれは善悪は別といたしまして、水系一貫が法できめられた以上はやはり準用河川という制度がはたして法になじむのかどうかという問題は私は疑念を持っている。もちろん、管理の必要があるから準用河川にするわけです。河川法の準用河川にするわけでございます。したがいまして、私は、これは管理すべき河川ならば当然指定河川区域に入れる、あるいは一級河川区域に入れる、あるいは二級河川区域に入れるということによって管理の充実を期していかなくちゃいかぬ、私つくづく思うわけですが、私は、準用河川制度をこういうぐあいに理解して非常に高く評価して去ります。もちろん国の財源も限りがあります、なかなかおいそれとできないということもわかります。それから、管理体制そのものにしましても市町村の管理体制では不十分である。技術屋が要る、ただやるだけじゃいかぬ、そんなことじゃ河川管理はできません。そういった意味で準用河川制度をつくりまして、そこで私はこれは普通河川、二級河川の指定区間にすべきかどうかということを検討する、そういった問題も含めてその間管理を強化していく。もしも河川の指定区間にするという必要性があれば、当然こういった段階において検討をなされてやるべきだと私は思います。もちろん、財政的な援助の問題も当然必要でございます。そこで、災害の実態やいろいろな点から私は当然準用河川というよりも法定河川にするということが必要であろうかと思いますが、この準用河川はただいま管理はまあわずかな管理をやれるようなことということでございますが、先ほど申し上げましたように、災害復旧工事も管理の一部と考えますと、百二十六億という大きな市町村の災害がございます。そこで、この辺の関係を十分整理していただきまして、やはり私は準用河川制度というのは、その水系一貫主義にのっとった制度の一つのいわゆる河川の指定に伴う、卵と鶏の関係だというようなぐるぐる回るのじゃなくて、卵から鶏になるのだというような関係のものだというぐあいな理解をいたしたいというふうに考えておりますが、その点、河川局長いかがですか。
  35. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 今回、準用河川の制度を開きましたのは、在来から河川法におきまして水系一貫主義をとっておるわけでございますが、しかし一方では、そういった一つの改修計画の影響が上下流に及ぶ、こういったようないわゆる水系全体に影響がなくとも、地域的には非常に治水環境の上で非常に限られた範囲でかなり関係を市町村等の地元に持つ、こういった河川につきましてこれがいわゆる不法占拠されましたり、あるいはまあいろいろなもの、汚物その他を投棄される、こういったような通常の管理が十分でなかったために、その地域治水環境を悪くするといったようなやはり地域的な面もつけ加えませんと、河川全体としてうまい管理ができないのじゃないかというようなことで、準用河川の制度を企図したわけでございますが、お話しのようにやはりそれぞれの河川によりましては、当然また災害あるいは一貫した改修計画のもとに改修工事を行なわなくちゃいけない、こういったものもございますし、そういったものはやはりどんどん河川に指定をしていくということは当然のことかと存じます。
  36. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで私は、準用河川の指定の問題ですが、先ほどの県の河川指定と同じように、市町村がこの河川管理の費用負担をしなきゃいかぬということになると、指定ができるのかどうかということを非常に心配している。特に過疎地帯におけるところの河川というものは、準用河川にした場合に、ほんとうに責任を持って市町村が管理できるのかどうか。この点について非常に私は疑問を持っております。その管理ができないために、先ほど申し上げたように、百二十七億という私は災害が起きているというふうに理解いたしているわけです。したがいまして、先ほど申し上げました管理の原則を立てるためにも、準用河川にすることは非常に必要でございますし、また、その準用河川がもしも改修を要するとするならば、その改修計画をあらかじめ立てて、それによって管理をしていくというような考え方が必要であろう、そういった意味を含めまして、私は準用河川制度というのはこの際必要であろうと思うわけでありまして、非常な前進であろうと思います。さらに前進すれば、一級河川のあるいは水系主義をとっていくという管理方式のほうがよりベターであろというふうに理解いたしております。そこで、非常に準用河川の指定を市町村がやらないんじゃないかというようなことは、これは費用の問題と関連してくるわけです。従来から普通河川につきましては財源対策は交付税で見ておられます。  そこで、自治省にお聞きしたいのですが、現在の普通河川に対する交付税の状況を一つ、それからまたどのような算出根拠でやっておられるか、そういったことを私はお聞きしたいと思います。
  37. 潮田康夫

    説明員(潮田康夫君) お答え申し上げます。  御承知のとおりに、普通河川につきましては、現在のところ、法適用河川のように河川現況台帳というものに基づきますところの客観的な延長の数字というものがございません。したがいまして、交付税を計算いたします場合にはどうしても客観的な統計資料であるとか、あるいは法律の制度に基づきました数値というものを用いて計算をいたしませんと、そこにいろいろな問題がございますので、そういう一つの要請がございます。そこで、いろいろ問題はあろうかと思いますし、私どもも絶えず研究努力をいたしておるわけでありますけれども、市町村が一応包括的と申しますか、一般的な管理をいたしますいわゆる普通河川につきましては、やはりかなりの財政需要がございますから、それの各市町村ごとの算定につきましては、まあ次善の策と申しまするか、その市町村の面積というものをとりまして計算をさせていただいております。それは、行政項目といたしましては、その他諸費という行政項目で、面積を指標にとりまして、その経常経費とそれから投資的経費と、両方とも計算させていただいております。これはやはりその算定の基礎となります経費がどれだけその需要として算入するかどうかという問題につきましては、これは現実に市町村が過去決算で金の支出をいたしておりますから、そういうものを決算上分析をいたしまして、一般的な河川維持修繕費、水防費、そういうような経常的な経費とそれから河川の建設事業というものと両方に分けまして、そうして面積に従って算入をさしていただいております。面積につきましても、非常に住居が込んでおりますところの人口集中地区の面積の部分を流れる川もありますし、あるいはまたあまり——、経費がいろいろ要ると思いますけれども、それに比較して、まあ割り安な感じで用が済むのじゃないかと思われますような地域——田畑、そういうところを流れておる河川もございます。そこで、その面積を一律にとるわけにはまいりませんので、面積につきましては、田畑と宅地とその他原野というような種類によって補正をいたします。ことに最近は都市河川費の需要が激増しておるように見受けておりますので、人口の都市集中地区の面積は統計上とれますので、そういうところの面積を割り増しをいたしますとか、そういうようないろいろなくふうをいたしまして、実態に合うような算定をいたしたいということで努力をいたしております。それで、しからばどのくらいの金を入れておるのかということになるのかと思いますけれども、それは、経常、投資合わせまして、四十六年度は地方団体に算入をさせていただきました需要が百三十五億でございましたが、四十七年度は、ただいまのところ、もちろんこれは八月算定で実際の数字が出てまいりませんと正確な数字はわからないわけでありますけれども、大体その三割くらいの増で百七十億くらい算入をさしていただきたい、こういうように計算をいたしております。なおこれは、ですから普通河川、いま問題になっております準用河川を含めまして、そういう河川の延長というものが河川現況台帳のような制度に乗っかって数値が各市町村ごとに的確に把握できる、したがって、それに応じて地方団体の財政需要かなりの額に一般的になってまいります。そういうことになってまいりますと、都道府県の場合と同じように、やはり河川の延長というものを指標にとれると思いますけれども、現段階ではなかなかそこまでいってない、そういうことでございます。
  38. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 百七十億は、市町村が河川をたくさん持っている場合には、ごくわずかの金になるだろうと思います。そこで、これだけの金で期待できるかどうかということは、私は非常に期待できないのじゃないかと思うわけでございます。その証拠には、災害が起きておるという如実な現実的な例がございます。そこで私は、面積で交付税の根拠にするというのは、資料がないから面積でやるんだということでございます。そこで私は、河川局にお伺いしたいのですが、大体普通河川実態とか、また、今後準用河川にしようという実態がおわかりになっておるのかどうか、いや、話を聞いてみると、なかなかわかってないというようなお話です——答弁は要りません。そこで私は、もしも準用河川と普通河川の延長がわかったら、自治省はひとつ延長で交付税を出すようなことを、具体的な根拠に基づいてやりたいというような御趣旨の御答弁だと私は理解している。そういう意味で、河川局としまして河川台帳等に応じてその問題を処理される考えがあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  39. 川崎精一

    政府委員川崎精一君) 私どものほうでも四十七年度に間は合わすべくいろいろ努力をいたしておりましたが、相当膨大な作業量でございましたので、現在ようやく集計を概略終わったという段階でございます。昨年の十月時点で、各都道府県の協力を得て一斉調査を行なったわけでございますが、その結果によりますと、いわゆる河川法以外の河川、これもまあ一定の基準を設けた規模以上のものを調査いたしておりますが、その総数が約十二万四千河川、延長にいたしますと約十九万四千キロ程度になっております。これのうち、さらに管理上必要だということで準用河川にすべきもの、それからそのまま普通河川として残るものと、いろいろまた各自治体で仕分けがあろうかと思いますが、準用河川に指定されるものにつきましては、私どもも自治省とも十分協議をいたしまして、市町村の財政面の負担の軽減という方向で努力をいたしたいと考えております。
  40. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そこで私、大蔵省にお伺いしたいのですが、大蔵省としては、ただいま議論のやりとりの中でこういった問題が議論されましたが、最近の普通河川状態あるいは最近の、たとえば都市周辺における団地の形成とかいろんなことによりまして、普通河川が非常にいろんな問題があるという実態。それから、先ほど申し上げました災害の実態等を考えられまして、ただいま申し上げたことにつきましてひとつ、御答弁はきょうは主計官がおいでになっていますから、これはむしろ主計官のほうだろうと思います。交付税課長がこう言ったことについてどういうふうに考えておられるか的確な御答弁むずかしいと思いますが、大蔵省のお考えがあればひとつお伺いしたいと思います。
  41. 藤井直樹

    説明員(藤井直樹君) 最近の普通河川の状況その他についていろいろ検討された結果、今回の準用河川の制度ができているわけでございますが、この準用河川は、普通河川のうちから特に通常の維持管理を非常に的確に行なうということからこれを選定しているわけでございまして、この管理自体には改良工事というようなものは入っておりません。まあこういう改良工事で大規模なものが必要になった場合には、また別途法河川というようなことを検討する余地もあろうかと思います。この維持管理につきましては、私どもとしましてはやはりこういう基本的な経費についてはやはり地方団体の財源、いま自治省のほうから御説明がありましたような地方交付税上これを需要に算定していくという方向で見ていただいたほうがいいんではないかと、まあそういうふうに考えております。
  42. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 この次の予定がございまして時間がないようでございます。  そこで私は、このくらいで質問を一応終わりたいと思いますが、あと水の問題等につきまして若干後日委員長に時間を与えていただければありがたいと思います。  たいへんぶしつけな質問でまことに申しわけなく存じておりますが、どうぞ国民の立場に立ってひとつ皆さんが行政を進めていただきたいし、また、行政に非常に不明確な点が多いわけでございます。私も河川行政に長らく携わって、非常に不明確なために国民に不便をかけた実例がたくさんございます。非常にただいま恥じ入っているわけでございますが、どうかそういうことのないように行政の区分を明らかにして、はっきりして、国民を指導していただきますように心からお願いしまして、本日の質問は終わりたいと思います。ありがとうございました。
  43. 小林武

    委員長小林武君) 本案に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  44. 小林武

    委員長小林武君) 下水道事業センター法案衆議院送付)を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  下水道事業センター法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  47. 小林武

    委員長小林武君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  48. 山内一郎

    ○山内一郎君 私は、ただいま可決されました下水道事業センター法案に対し各派を代表して附帯決議案を提出いたします。   以上でございます。  何とぞ御賛成くださいますようお願いをいたします。
  49. 小林武

    委員長小林武君) ただいま山内君より提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  木附帯決議案に対し賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  50. 小林武

    委員長小林武君) 全会一致と認めます。よって、山内君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、西村建設大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。西村建設大臣
  51. 西村英一

    国務大臣西村英一君) ただいまの附帯決議につきましては、政府としては、今後の運用に万全を期して皆さま方の御期待に沿うように努力するつもりでございます。
  52. 小林武

    委員長小林武君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 小林武

    委員長小林武君) 御異議ないと認め、決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時十六分散会