○
田中一君
住宅金融公庫は主として
個人を対象に
考えられておったんですよ、最初。今回のこの法律の改正によって再開発にまで手を伸ばそうということをうたっております。もう一ぺん
住宅金融公庫は原点に返って庶民、大衆のためにささやかながら
持ち家を
建てるための融資をしようじゃないかという原点に返ってみようということなんです。なぜならば、
住宅供給公社も、これは原資は
住宅金融公庫に求めているわけですね。全国にある
住宅協同組合、まあこの間千葉何がしがたいへんな間違いを犯しましたけれ
ども、協同組合に対してもっと融資をすべきことと、
個人を対象にした
住宅融資
政策——
住宅生協あたりは全部土地を必ず労金の金を使って融資を受けたりなんかしてまず確保していく。そして
金融公庫から金を借りて建設をしてやって、あと肩がわりして本人同士の貸借関係にしているわけなんです。必ず土地がある。日本にありますところの
住宅生協というものは必ず土地がある。土地がないところには貸さないわけです、あっせんしないわけです。というような方法をとるならば、何もいまさら
住宅公団あるいは地方公共団体等が他に融資を受けて、縁故債でもよろしい、何でもやって
建築をしているという現在の
制度、こういうものに手を伸ばす必要はないんです。
もう一ぺん申します。原点に立ち返って庶民、大衆の
持ち家を供給するものにお帰りなさいと言いたいわけなんです。それには土地がないんだと、土地がこう上がっちゃとても庶民は手に入らないんだと、だから
住宅金融公庫の金を借りられないんだというのが今日大衆の声なんです。もっとも、そればかりじゃございません。融資を受ける一坪なら一坪の平米の
単価というものはとうてい
住宅金融公庫の金で建つべき融資額じゃないんですよ。私は今度の法律改正でもってよその守備範囲まで手を伸ばそうというものよりも、原点に立ち返ってどうしても
住宅が必要な
人たちに供給するというものこそ本来の
住宅金融公庫の使命ではないかと思うわけなんです。おそらく
住宅金融公庫も今日では、発足して二、三年のうちには
相当な赤字もありました。金を
貸したけれ
どもとても返ってこないものもございました。しかし建物そのもの、地上権そのものも一緒になって
住宅金融公庫は担保に取っております。実害はなかろうと思うんです。私は
住宅金融公庫が今日二十数年仕事をやっておって、そうして幾らの赤字が生まれたか。
住宅金融公庫は生じた赤字をかぶるだけの精神がなくてはだめなんです。
自分の
住宅を求めている困窮者に対して融資をする、御主人がなくなった未亡人が子供二人かかえて一生懸命暮らして、なかなか
住宅金融公庫の金を払えない。この赤字をしよってやるぐらいの気がなければ
住宅金融公庫設立の精神にもとるわけなんです。したがって
住宅金融公庫は原点に立ち返って、そうして家をどうしても必要だという庶民、大衆に対して、それも金を持たない、
金融の道もない大衆に対して融資をしようと、赤字があったら赤字でもいいではないかというくらいの姿勢でいくべきが
住宅金融公庫運営の根本精神じゃないですか。なぜならば、この法律の目的を読んでごらんなさい。金がない者、銀行で金を
貸してくれない者に対して
住宅建設融資をするんだと書いてあるんですよ。
西村さん、これはあなたがいま言った、庶民に対する
住宅融資機関だと、そのとおりなんですよ。なぜそれを安定したものにして、その原資をそれぞれの機関、いま言われたところの六百二十五、これに対する支店、出張所、その他入れれば三千百九十三もある。その中からこれをセレクトしているわけです。
住宅生協あたりに百億、二百億という金を貸す。同時に、
住宅金融公庫がそうした団体に対しては土地造成の金も、
予算もあるわけなんです。出してやればいいじゃないですか。私は
浅村君とは非常に長いつきあいだけれ
ども、せめては
浅村君が
総裁になったならば、原点に立ち返って
ほんとうに大衆のために、どういう抵抗があろうが
住宅金融公庫の使命というものをいまぐらいはっきりと打ち出す時期はないのだから、実行するだろうと思ったんですけれ
ども、これは
住宅金融公庫にも何か
住宅金融公庫の監理官がいるのかどうか。あるいは建設
大臣あたりから強硬に押しつけられていまの方針をそのまま継続しているのか。あるいは歪曲して楽なほうにばかり持っていって、金が返ってくるところだけに貸そうという姿勢になったのか。
沢田君あたりがそれに同調してそうしようという
気持ちになっているのか。これは私非常に疑問に思うんです。これは
西村さん、そういうことはメモに、耳打ちしてくれないでしょうから、
西村さんに
答弁求めちゃぐあいが悪いですがね。もう一ぺん
住宅金融公庫の使命、
住宅公団の使命、その他、昨年出したところの農住あるいはその他の数々の手法というものの機関、これに対して根本的な検討をすべき時期にきているということを申し上げます。
そこで、何か御意見があれば伺います。