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田中一君 水は非常におそろしいものでありますから、干ばつになれば、かつての東京のようにどうにもならない。七、八年ぐらい前の話ですがね、どうにもならない。それで、よその県の水をかっぱらってくるなんということもある。そういうことでありますから、
計画としては、まず水を確保するということは、あらゆる
都市計画にいたしましても、その他の地域
計画にいたしましても総合
開発にいたしましても、これはもう、そこに基点がなくちゃならぬと思う。立地条件というのは、常に
要求するだけの水が
供給されるかどうかというところにかかっておるわけなんです。したがって、もっと水の全体の
計画というものが、われわれが伺っても、どうもその
役所の守備範囲だけ、その府県の言い分だけでもって積算されるものでは、これは不安心なわけなんです。
事実、いま
局長が言っているように、一割
程度の水しか活用されておらない。あとの九割というのは全部たれ流しでもって、地下に浸透したりあるいは蒸発したり、多くは川に流れているという現状から見ますと、もう少し
——これは世界的な傾向なんです。世界的に水の問題や
水資源の問題は、人類の生存に大きな役割りを果たしておるだけに、たいへんな問題になっておるのです。これは
日本だけじゃございません。しかし、
日本は台風常襲地帯であって、年々歳々台風さまさまが水を持ってきてくれますから、まだいいほうなんです。ことに正常な水であって、そのまま水道から飲める水なんということは、世界で何カ所もございません。それが九〇%もどこかに蒸発したりたれ流したりしている現状から見ると、これは水に対するところの感覚というもの、終戦後はいわゆる
農業をやるために、食糧のためにあらゆる水が
供給されて、
河川法を見てもわかるとおり、慣行水利権というものが大きな役割りというか、権力をもってのしかかっている現状から見ても、もうこの辺で水の
管理というものは、いわゆる許可水利権的なものに変わらざるを得ないのじゃないかと思うのです。
むろんこれには、過去における慣行水利権という、長い問人類がずうっと水を自由に使っておったという、この生存への唯一の食糧というもの、これに対する配慮をしなければなりませんけれ
ども、全体におきますところの水の
管理というものは、もう少し合理的な、あらゆる産業、媒体としての産業にもあるいは社会生活の上においても、均てんされるものでなきやならぬと思うのです。したがって、この一〇%の水というものを一二%、一五%に
増大することによって、われわれ
国民がもっと幸せになるのじゃないかと思うのです。雨さえ降れば水が一ぱいになるんだ、小河内
ダムの問題にいたしましても、しばらく干ばつがありますと干がたになるという例も、つい数年前にあったわけであります。これらに対する対策というものは、平時いまのような場合に、十分に
政府として
政策上の
計画と資金を導入して持っていくということが必要だろうと思うのです。
今度の五カ年
計画の中におきましても、まだそのような点は
計画として足りないのじゃないかと思うんです。いまの
全国総合開発計画というものがまだすっかり固まっておらぬという、これだって、みんなそれぞれの立場からそれぞれの
要求をして、それが積み重なったということです。まあ、チェックできるという安本時代とは違うから、水行政が分断している。
工業用水は通産省、
農業用水は
農林省、
上水道も、ようやく一元化したとはいえ、まだ厚生省と共管になっている。それぞれの立場で過大な量の水を
要求するだけであります。根幹をなすところの
計画というものは、
政府全体で
一つの基本的な方針を立てなければならぬと思います。常に国会議員の力によって、
道路政策に片寄ったり、あっちに片寄ったりで、ついふらふらしております。ことに、災害がないと
河川などというものはとうてい日の目を見ない。したがって、先ほ
ども大臣がおっしゃっておりましたけれ
ども、
日本の
河川行政というのは災害待ち行政です。どの地方におきましても、台風が来ると、しめたと言ってその選挙区の人に電報を打つ。こういうゆがんだ
河川行政というものが、今日の水の問題を、せめて一二%、一三%に伸ばすということにならないという、これは大きな欠点であります。一〇%の有効の水ということは、これはもういま始まったことじゃございません。何十年も前からそういうことを言われておるんです。一割
程度の水しかわれわれが使っておらないのだ、あとの九割の水はたれ流しなんだということであっては、あまりに大資源です。
日本における唯一の一番大きな資源というものをむだ使いするという、この
国民的な認識というか、
政府のそれに対するところの態度、これが
国民にそういう間違いをおかさしておると思います。こういう点は、十分に今度の五カ年
計画では考慮されなければならぬと思うんです。
それで、もう
一つ伺いたいのは、いま
計画されているもののうち、
多目的ダムの場合ですが、
工業用水あるいは
上水あるいは発電用に、どういう形でそれを使っておるかという点を伺いたいと思うんです。
私は昨年の夏に、そこにいる同僚の古賀君と一緒に富山県、新潟県をずっと見てまいりました。ほんとうに一年おきに災害があったというような大きな川も見てまいりましたが、また小さな川で、それが大きな災害をもたらしたという
地点も見てまいりましたけれ
ども、その中に、古賀君の発案の防災
ダムという、小さな
ダムがありました。私はこれを見て、もう少しこれは多
目的に持っていったらどうだろうかといって、古賀君にそういうことを話したのでありますが、これも、その
時点においては必要であったろうと思いますけれ
ども、そうした小手先でない多
目的な方法を
ダムにというか、電力あるいは
農業用水、
工業用水、
上水等々の水の確保という点に思いをいたしていただきたいと思うのであります。その
地点だけの
供給、その
地点だけの防災というだけではもったいなさ過ぎます。小さな
ダムでも二、三億かかるのでありますから、もう少し、そういう
地点が背後に水の源流があり、また水を集水することができるならば、そうした規模の大きなものに変えてもいいのではないかという気がするわけであります。したがって電力は、いま考えられておるところの、五カ年
計画で考えておるところのものは、四十七年度には少ししか出ておりませんが、全体の
計画を通じて、この
ダムの新設というものに対する発電のほうはどういうふうに考えられておるか、伺いたいと思います。通産省来ておりますね。