○黒柳明君 確かに不備があったんですけれども、それにしましても、常識的に考えて、一営業所員、三十九歳の人が四億にものぼるお金を不正流用できた、そこに大きな問題が私が
先ほど冒頭に申しましたようにあった。それには、
先ほど局長さんおっしゃったように、営業所長が兼任で目が届かなかった、こういうこともあるかと思うのですけれども、すでにこの事件が発覚してから半年もたっているのに、通産省としても、まだキカク工業、肝心の共犯者であるキカク工業、唯一の相当なこれ価格です、時価にすれば。それすらも差し押えできないで、しかもわずか十日前に人のものになっちゃってる。四億のうち五、六千万になるわけです。こういう近所の不動産の評価、私はしっかりした
調査じゃないから、そこらあたりまではここではもう厳密には取り上げないつもりでいましたけれどもね、やはりそのうちの相当充当できる額なんです。これがしかも、私たちは本格的に
調査を始めて、ついせんだってまではキカク工業のものだったわけです。いまは大勝工業、そのまま仕事をやっているのですね。だから、これも計画倒産じゃないかという疑いが非常に強いわけです。私はこれに対する確固たる裏ずけがありませんから、だという断定もいたしかねますけれども、何たってこれだけの大事件に対して半年間も手をこまねいていたなんということは考えられません。また、さらにもっと疑惑なのは、これは
関係ありませんけれども、私たちが四月の中旬に大阪に行った。十七日に大阪府警に口頭で告訴されている。もしも
——これは私の主観かもわかりません、聞いていただきたいと思います。もしも私たちがこの事件で動かなければ、告訴すらしなかったのではなかろうか。当然こういう債権の事後
措置も何もしなかったのではなかろうか。武林さんも、あるいは自分でその四億という不正の金を流用したのではなくて、これから私が述べるように、ものすごい天下り、業界との結びつきが、そういう大きな仕組みの中でこういう四億という金がわずかの期間に簡単に不正流用させられたと、私はこう断定したいと思うのです。断定したいけれども、残念ながら、お見せしてお互いに合意を得る資料がありませんから、これは私のこういうあらゆる
調査をした範囲で疑惑として残る点でもあり、またある意味では私の個人の
調査の中では断定もしたいと思う点なんですけれども、決してこの武林さん一人でこんな巨額な金を流用できるなんということは考えられません。それから客観情勢、その後の、何回も繰り返して申しわけありません、いま大阪府警は何も動いていない。なぜ動いてないのか、まあこれは大阪府警の方いらっしゃらないからどうしようもありません。告訴してから一カ月たちますよ。なぜ動かないのか。この事件、動けば必ず、武林、富田のほかに横領、背任の者が出ることは間違いないと思います。決してこの武林さんや富田さんだけでの仕組みじゃない、三者、四者がいて、こういう四億にものぼる金がどこに使ったのだかわからない、そういうことになろう。私は、司直の手が一日も早くこれ全面的にメスを入れないとうまくない。しかし、もう半年たっちゃっています、事件が発覚してから。その発覚というのは、去年の十二月の二十一日ごろですよ。いわゆる武林が出した五十二枚の先取り小切手、これが銀行当局から、武林さんの小切手は現実に落としてくれるなくれるなと何回も、それが四十六年十二月二十三日初めて銀行から決済の日がさたわけですね、その時点において会社やなんかに警告がいったわけです、おかしいぞと。これはだから、十二月の時点において手を打てばもっともっと早期解決もできたのではなかろうか、この四億という巨額にもならなかったのではなかろうか、当然事後処理についてもすみやかに手を打ち、あるいは司直の手が入れば事件ももっと明瞭に明るみに出たのではなかろうか等と私はただいま申しました。いわゆる事件に対して、事後処理に対して不備があった。この不備が、通産省の責任、これはもう明確たるものであります。しかしながら、それだけではこの事件はないのじゃなかろうか。もっと大きい仕組み
——ということはどういうことかといいますと、いわゆるいま申しました事件を起こした日本自転車輸出振興株式会社、その
役員、さらに二億五千三百万の支出金を出した
公益法人である自転車産業振興
協会、この
役員名簿を見ますと、自転車産業振興
協会、会長も、常務
理事も、常任監事も、全部これはいわゆる天下りといいましょうか、会長和田太郎さんという人は東京商工
局長、金谷さんという常務
理事の方は通産官房の審
議官、あるいは浮田さんという常務
理事の方も工業技術院の機械試験所長、久木元さんという常任監事の方が通産
課長、こういうお役人さんの全面的にこの振興
協会、いままで
指摘された
公益法人の天下り、この支配のもとに二億五千三百万という支出金がこの振興株式会社にいっているわけですね。さらに振興株式会社は、いま申しました振興
協会の副会長が振興株式会社の取締役です。
協会の
理事が株式会社の代表取締役社長です。それから
協会の
理事五人が全部株式会社の取締役です。それから
協会の常任監事も株式会社の取締役です。しかも、それが全部業界のそうそうたる方ばっかし、こういう
関係ですね。ですから、二億五千三百万を支出した
公益法人の
協会と、その支出金を受けて
——どうも
大臣、先にやっておりまして申しわけありません、もういまクライマックスに入っておりますから
——完全に役職が同じなわけですね。体質がイコールだということですよ、天下りの体質、
役員の体質。さらに、振興
協会の上部にある振興会
——特殊
法人、これも会長から
理事から監事に至るまで全部天下り。こういう振興会、振興
協会、振興株式会社、いわゆる元官僚と業界とのこういう体質、その中にこういう一所員が入って不当事件が行なわれたのではなかろうか、こういうことなんですね。
大臣ですね、かけ持ちで申しわけありませんけれども、
一つ、二つ、三つと過ぎてまいりまして、今回のこういう、通産省直接に不祥事件を起こしたというわけではありませんけれども、
監督下にあり、しかもギャンブルが云々されているときに、ギャンブルの功罪はともかく、そのテラ銭、いわゆる拠出金、競輪のですね、これは決して、疑惑があるような使い方されたのではうまくない。まだお読みになっている最中ですか
——ゆっくりお読みください。こういう不祥事件を起こしたことについて、ひとつ
大臣も、あるいは御報告すでに聞いているかと思うんですけれども、まず冒頭に御所感を述べていただいて、また前に戻っちゃいますけれども、話が。