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1972-04-12 第68回国会 参議院 決算委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年四月十二日(水曜日)    午後一時十一分開会     —————————————    委員異動  四月六日     辞任         補欠選任      藤原 道子君     須原 昭二君      鈴木  強君     藤田  進君  四月八日     辞任         補欠選任      石本  茂君     山内 一郎君      須原 昭二君     佐々木静子君      沢田  実君     塩出 啓典君  四月十日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     石本  茂君      塩出 啓典君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         足鹿  覺君     理 事                 鈴木 省吾君                 温水 三郎君                 渡辺一太郎君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 塚田 大願君     委 員                 片山 正英君                 河本嘉久蔵君                 小林 国司君                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 二木 謙吾君                 佐々木静子君                 黒柳  明君                 青島 幸男君    国務大臣        自 治 大 臣  渡海元三郎君        国 務 大 臣  竹下  登君    政府委員        外務政務次官   大西 正男君        外務大臣官房会        計課長      柳谷 謙介君        文部政務次官   渡辺 栄一君        文部大臣官房会        計課長      須田 八郎君        通商産業政務次        官        林田悠紀夫君        通商産業省重工        業局長      矢島 嗣郎君        運輸政務次官   佐藤 孝行君        運輸省航空局長  内村 信行君        労働政務次官   中山 太郎君        自治大臣官房長  皆川 迪夫君        自治大臣官房会        計課長      山本 成美君        自治省行政局長  宮澤  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        環境庁大気保全        局自動車公害課        長        小林 育夫君        外務大臣官房外        務参事官     御巫 清尚君        建設省都市局参        事官       大塩洋一郎君        会計検査院事務        総局第一局長   服部 桂三君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        会計検査院事務        総局第四局長   田中  稔君        会計検査院事務        総局第五局長事        務取扱      鎌田 英夫君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君    参考人        中小企業金融公        庫総裁      吉岡 英一君        公営企業金融公        庫理事      山口  酉君        阪神高速道路公        団副理事長    関盛 吉雄君        阪神高速道路公        団理事      南  俊次君        日本輸出入銀行        総裁       石田  正君        日本開発銀行総        裁        石原 周夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和四十四年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十四年度特別会計歳入歳出決算昭和四十四年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十四  年度政府関係機関決算書(第六十五回国会内閣  提出) ○昭和四十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第六十五回国会内閣提出) ○昭和四十四年度国有財産無償貸付状況計算書  (第六十五回国会内閣提出)     —————————————
  2. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月六日、藤原道子君及び鈴木強君が委員辞任され、その補欠として須原昭二君及び藤田進君が、また四月八日、須原昭二君が委員辞任され、その補欠として佐々木静子君が、委員にそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 昭和四十四年度決算外二件を議題とし、自治省とそれに関連する公営企業金融公庫労働省、文部省、運輸省日本国有鉄道及び通商産業省とそれに関係する中小企業金融公庫日本開発銀行日本輸出入銀行決算につきまして、審査を行ないます。  この際、おはかりをいたします。議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明はいずれもこれを省略して会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) それでは、まず自治省及び労働省決算につきまして質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、まず自治大臣にお伺いさしていただきたいと思います。  この第六十八国会あたりまして、大臣はその所信を表明されまして、その際に、国民福祉の視点に立って公害対策あるいは交通対策を進めていくというふうなお考えをお述べいただいたということを承っているわけでございます。特に地域住民要望というようなことを行政の上でどのように反映さしていくか、どういうお考えであるか、その点を御所信をお述べいただきたいと思うわけでございます。
  7. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 当時、私がどのような場で、どのようなことをしゃべりましたかということは、いまつぶさには覚えておりませんけれども、私は就任しました当時から、七〇年代内政年代であるといわれておる、いままでの高度経済成長のひずみと申しますか、その中には過密過疎の問題、公害の問題、交通の問題、いろいろあると、これらを住民要望にこたえて実現していくことが内政年代であるといわれるゆえんでなかろうかと思う、この住民要望にこたえられるような実行に移すのはこれは地方団体の本来の役目である、したがって、その地域住民要望にこたえられるような自治行政をやっていきたいと思うと、これがまあ私の年来の考えでございまして、おそらくその点をつかまえて、いま佐々木委員、私に御質問していただいたのじゃなかろうかと思いますが、私はそういうふうなつもりで自治行政に当たらしていただいておる、これが私の自治行政に対する根本的な考え方でございます。
  8. 佐々木静子

    佐々木静子君 もう一言大臣にお伺いしたいと思うんでございますが、いま非常にけっこうな大臣自治行政に対する御姿勢というものをお示しいただきまして、私どもも非常にうれしく思うわけでございますが、現実の問題といたしまして、御承知のとおり、いままあ都市は過密の状態にございまして、その過密の都市において、いま交通対策高速道路あるいはその他の道路建設などが方々に起こっておるわけでございますが、それがその過密の都市において非常に住民の平和な生活というものを破壊することがある。そういうことで、東京でも、大阪でも、あるいはその他の都市でも、この高速道路建設住民生活の安泰というようなことにいろいろな問題が起こっていると思うわけでございます。で、そういう事柄につきまして、高速道路建設ということに伴い、その排急ガス公害騒音公害などで地元住民が非常に反対をしている、どうしても高速道路建設はそこの地域でやめてほしいという強い要望が出ている、またそのような公害の発生の危害が科学的にも認められるというような場合ですね、こういう場合に、自治大臣となさいますと、これはまあ地方自体がやることにいたしましても、地方自治体がその地元住民生活権を守っていくため、侵害しないような行政が行ない得るように、大臣としては具体的にどのような姿勢で事に当たっていらっしゃるか、もう少し具体的にお述べいただきたいと思うわけでございます。
  9. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 住民要望に沿うた自治行政をやるということが根本でございますが、その住民要望に沿うてやるためには、行政的にも機構の上にも住民要望に沿い得るような自治体機構なり組織なりを持たなければならない。同時にまた財政的にも、住民要望にこたえられるような財政的な力もなければならぬ。そのような行政的な力、財政的な力、これを持ち合わせるような自治体をつくり上げること、これがまあ住民要望にこたえ得る道であると私考え、そのつもりでやっております。  個々の問題につきまして、いま御指摘のごとく、過密都市における道路の問題、あるいはし尿処理清掃処理の問題にいたしましても、その処理のために必要な清掃処理でありましても、持ってこられる住民という付近住民のことを考えましたなれば、反対をされる。このために、東京都におきましても、ごみ戦争という名前で、必要なもんでございますが、そういった問題が具体的には起きてくると、これは当然のことであろうと思います。しかし、その際には、あくまでも行政的な機構の上に、十分それらの住民の意思が反映できるような機構なりまあ受け入れ側をつくっていただきまして、十分理解と納得をいただいた上で処理を進めていくというのが根本の問題でなかろうかと思います。また、それらの要望にこたえ、一部住民不利益を救う道は、財政的にもそれだけの力をつけなければならないと、こういうふうなつもりで、あくまでも具体的な問題につきましては、一部不利益を受けられる方に対しましては理解と協力を求め得るような道で行政していただきたい、そのための行政組織もつくっていただきたい、またそのために必要な財政力もつけなきゃいけない、このようなつもりで事に当たっております。いま交通の問題で話されましたですが、交通の問題は、直接自治体執行者となってやっております場合と、また上部団体である府県がやっております道路、あるいは国がやっております道路、その中には公団等が行なっている道路もあろうと思いますが、そういった場合、地元自治体府県なり公団なりとの間に入りまして、十分な御理解住民方々に得られるように処置していただきたいと、こういうような行政が行なわれることを私期待いたしておるのでございます。
  10. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま大臣から、住民要望に沿うような行政地方自治体が行ない得るよう、また国としてもそのように行政を進めていくことができるように非常に努力しておられるということを承りまして、たいへんに敬意を表するわけでございます。  それでは、建設省にお伺いしたいと思うのでございます。これは大阪市大淀区中津浜通り、これすなわち新御堂筋が淀川を渡る地点でございますね。この新淀川大橋から下流側をながめますと、南の岸に十四階建て高層住宅が四棟立ち並んでおります。大阪住宅供給公社が建設して市民に分譲した住宅で、昨年完成したものでございますが、これ中津リバーサイドコーポといわれているものがあることを、建設省の方、御存じでいらっしゃいますか。
  11. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) そのような住宅が存在しておることは十分承知しております。
  12. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは御承知と思いますが、昨年末になくなりました大阪中馬市長が残されたりっぱな代表的な業績の一つとしていつもあげられている住宅でありますが、これは都市でも緑豊かな生活が営めるようということで、淀川の流れを背景に、この淀川の緑と水の色と、そしてこの堤防はあなたのものですというキャッチフレーズで売り出されたものですけれども、その当時、これは大阪市としますと、この中津浜通り一帯市民いこい場所住宅地にするという計画のもとにつくられたわけでございます。   〔委員長退席理事小谷守君着席〕 これは参考までにお見せしますと、これは当時大阪市が、淀川の水とそれからこのあたりの緑はあなたの庭ですということで、そういうふうな住宅計画のもとに、市民いこい場所、楽しんで生活を営める場所として住宅政策を立てて、その一環として建築し、市民に分譲したものなんですが、この中津リバーサイドコーポのすぐそば、厳密に言いますと十三メートルほどの地点に、このコーポに沿って今度阪神道路公団大阪高槻線道路計画を予定しているということが、これが昨年になって入居している市民人たちにわかったわけでございます。このような阪神道路公団が今度大阪から高槻まで通る高速道路中津浜通り、すなわち新淀川堤防沿いにつくる計画であるということ、これは道路公団としても御承知なわけでございますね。
  13. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 道路公団といたしましても、都市計画が行なわれることを期待いたしておる次第でございます。
  14. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまのような道路計画というものは、道路公団とすればいつごろから御承知だったわけでございますか。
  15. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 実は、私たち現実に仕事にかかりますためには、都市計画というものが定まりまして、しかもその都市計画中身が、それぞれの道路管理者がみずからの道路としてのいわゆる認定を行ないまして、それ以後、公団大臣から基本計画の指示をもらいまして初めて工事にかかるわけでございます。しかし、何ぶんにも、阪神公団といたしましては、大阪を中心とする区域につきまして、都市内の自動車交通を合理的にさばく機能を果たすために設立されたものでございますから、先生御承知のとおりに、日本万国博覧会が終わりました以後における、将来の阪神地域都市内道路計画というものはどうあるべきかということにつきまして、大阪当局及び大阪当局から諮問を受けまして、関係方々をすべて入れました調査会をつくらしていただきまして、四十四年からこの将来線についての検討をいたしておったわけでございます。ただいま御指摘になっております予定路線の部分は、第二環状路線にかかる一部でございまして、その構想によれば、そういう第二環状線計画というものがその答申の中身において決定されましたのが四十四年の七月ごろであったかと思っております。
  16. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、大体もう四十四年の七月ごろには、ここに第二環状線道路をつけようという計画がもう相当具体化していたわけでございますね。
  17. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいま申し上げましたように、都市内自動車専用道路というものは、どこにどの道をつけるかということについての土地の合理的な利用調整が要りますから、したがって、各公共団体のそれぞれの総合的な立場からのセンサスがなければなりません。また、狭い過密の都市でございますから、なるべく土地高度利用をはかって進めたらどうかというのが都市内の自動車専用道路構造にもあらわれておるとおりでございます。したがって、方面別に見ますと、ただいま御指摘のように、その方面にどうしても利用した空間を求めなければならないのだろうというのが、私が先ほど御説明申し上げました、委員会での合意が持たれた、こういうことでございます。
  18. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、いま道路公団考えておられるこの大阪高槻線ですね、それはどのくらいの規模のものを考えておられるわけですか。たとえば一階建てであるとか、二階建てであるとか、あるいは何車線であるとか、幅が何メートルくらいのものであるか、それをちょっと具体的にお答えいただきたいと思います。
  19. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) これはまだ都市計画が正式にきまっておりませんので、私がここでお答えするのはいかがかと思いますが、おおむね車線数から申しますと、第二リングは六車線規模を持ちたいというのがその構想基本でございます。したがって、周囲の状況その他を見まして、高さがあるいは十メートルとか二十メートルとかというような形になるわけでございますので、その程度のことしか、まだ具体的に法定計画が定まっておりませんので、申し上げられる段階ではないと思っております。
  20. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは道路公団に伺うのが適切なのか、あるいは建設省に伺うのが適切なのか、ちょっとわかりかねますが、いま都市計画が確定してないとおっしゃいましたけれども、その都市計画を立て、そして結局建設大臣の認可を得るまでの、その過程をもう少し具体的に説明していただきたいと思うんです。
  21. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) これは、街路の場合に限らず、都市計画一般手続につきまして申し上げますと、大体都道府県知事または市町村におきまして案をつくりまして、そしてこれを建設大臣あるいは都道府県知事の承認を受けて決定する、こういうのが都市計画仕組みでございます。案の作成段階におきましては、知事が施行すべきもの、あるいは市町村が施行すべきもの、二通りございますけれども、いずれも、説明会の開催とか、あるいは縦覧に供するとか、あるいは意見書処理をするというような所定の手続を経まして、都市計画を、地方に置かれております、都道府県に置かれている審議会に提案いたしまして決定する、こういう仕組みでございます。
  22. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま大まかな経過を伺ったのでございますが、先ほど来問題になっております、その住民要望住民の希望というものをその都市計画の中に具体的に反映さしていく、そういう事柄がいま自治大臣の御姿勢にもはっきりとうかがわれたわけでございますが、これは都市計画の上でどのようにやっていらっしゃるわけですか。
  23. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) ただいま申し上げました、法定手続過程におきまして申しましたのは、案の作成以後の問題、手続の問題でございます。案の作成以前に地元要望その他を勘案するということは、これは十分勘案しなければならないことでありまして、それはたとえば、従来は地元法定外説明会とか、あるいは場合によりましては常任委員会方々との懇談会というようなことも、これは事実上行なわれておる。先ほど申し上げましたのは、案の作成以後の住民とのコンタクトの問題でございます。
  24. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、案の作成以前において住民懇談を持つ、そして住民が非常に、これはどうあっても困るんだということで反対された場合には、その案はもうそこで取りやめということ、あるいは一部変更するということになるわけでございますね。
  25. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) それは決定しようといたします事案の性格によって多少違うかと思いますけれども、これはどうしても必要なんだという場合に、多くの場合は、それじゃどういう構造でどういうところを通すかというようなことが実は住民に関心のある点だろうと思います。ですから、そういう問題になりますれば、幾通りかの案をつくりまして、それから地元説明会とか、あるいは意見調整ということを行なう、普通の場合そういうことが考えられるわけでございます。
  26. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、いまの御説明で、先ほど来申し上げているこの大阪——高槻線ですね、たとえば中津浜通りあたりにつきましては、その住民との懇談会といいますか、そういうふうなのをお持ちになったわけですか、まだお聞きになっていらっしゃらない段階なんですか。
  27. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 先ほど来お話がありましたように、この計画はすでに昭和四十二年ごろから、大阪市のほうにおきまして、総合計画基本構想というものが練られて、四十二年当時発表になっているようでございます。それに基づいて第二環状線構想として入っているようでございます。まあ市のほうにおきましてこのような構想を持たれる段階においていろんな各方面意見をお聞きになったりしていると思いますが、住民と直接この基本構想について接触されたかどうかはつまびらかにしておりません。
  28. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、いまのお話では四十二年の段階、そうすると四十二年より以前の段階住民との交渉を持ったかどうかわからぬというお話なんですね。四十二年というと、いまから五年前ですね。その当時の自動車交通量、あるいはその自動車交通による排気ガス公害、あるいは騒音公害などの深刻さというようなものは、いまと五年前というとたいへんな違いだということをこれは御存じないわけですか。
  29. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) それは基本構想でございまして、いわゆる第二環状線というものが必要である、どういう形で必要であるというようなことが基本構想として市の段階におきまして発表されたというふうに申し上げたのでございます。で、これを具体化いたしますために、先ほど公団の副理事長から御説明がありましたように、大坂地区都市高速道路調査会というようなものができまして、公団の中におきまして、市や府からも入りまして、そういう研究会が持たれたというふうに承知いたしております。ですから、その間の具体化につきましては、四十四年四月ごろから、どういう車の量、規模その他についてのもちろん資料に基づく検討がなされたと私は考えております。
  30. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、先ほどからも申し上げているように、大阪市の市役所の広報課から——これは昭和四十六年の、去年の分ですね。これでも、この一帯を空と水と緑に恵まれた静かな住宅環境にするということをうたっているわけですよ。ですから、その四十二年に道路計画云々と言われますけれどもね、これは役所の机の上ではどんな線が引かれていたか知らないけれども、私たち住民の側、国民の側にとって、ここは静かな住宅になるというふうに市が行政を進めてきている、地方自治体も。また、そういう前提に立ってみながここに移転して、静かな平和な生活をしようという、大阪市内のうちで特にこのあたりがいい住宅地になるのだということで、皆さんがここで平和な住宅を求めて生活していられるわけです。あなたのほうで、この四十二年、あるいはそれ以前に住民意見を聞いたと、しかも思われるぐらいのことで、道路計画をその後、五年後の現在も、そのような状態で立案されていくというのは、非常に大きな間違いではないか。そういう点はどうお思いになりますか。
  31. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 道路網、特にこういった環状線構想というものは、相当長期を要するものでございますから、その当時から市のほうにおきまして検討されていたということを申し上げたのでございまして、これを具体に移しますためには、都市計画として決定することを必要といたします。その後、都市計画決定につきましては、まだ地元調整その他不十分な点がございますので、都市計画決定をいたしておりません。したがって、構想構想といたしまして、これを実施する上では、もっとディテールの資料や、あるいはもっと熟した計画とすることが必要でございます。
  32. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、大まかな意味において、このあたり環状線をつけたいという、そういう御計画が五年ほど前にあったということ、これはまあよくわかりましたが、その後具体的な都市計画計画現実にどこへどういうものをつけようかということ、これは総合的な都市計画によらないとわからないと思うのです。それは住民意見を十分に尊重してこれから練り直すというわけですね、これからつくるというわけなんですね。
  33. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 都市計画決定は、これから決定する段階に入るわけでございます。まだ決定いたしておりません。
  34. 佐々木静子

    佐々木静子君 これは、くどいようですが、いま阪神道路公団から承った御説明によりますと、どういう騒音が、たとえばこのコーポばかりじゃありませんが、例示的にこのコーポのことを言うわけですが、このコーポで連日連夜どういう騒音に悩まされるかということも、これは専門の科学者の調査によって、大体六車線高速道路高層住宅の五階のところにつけられた場合にはどうなるか、これは専門の大学の研究室に依頼してつくった資料でも、五階ないし十階までの間は大体七十ホンくらいで、これは夜中においてもそのくらいの騒音で悩まされるのじゃないかという資料がここに出てきているわけです。これどのくらいの排気ガスが出るとか騒音が出るとかいうことを、これは各大学の教室に依頼して、この住宅方々がつくられたわけで、そう見当違いの結果ではないと思うわけですけれども、そういう事柄について、これは道路公団に伺いますが、公団側としても一応そういう計画はあるということを先ほどお述べになりましたが、どういう公害がこのあたりに起こるか——このあたりに限りませんが、そのつけられた道路の付近の住民がどういう公害で悩まされるかということを科学的に検討なさっておられるのですか、どうですか。
  35. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) われわれのところでは、極力現地の状況を、工事がやれることになりました場合は、調査をいたします。ことに住居を包含しておる地域につきましては、特にその点は慎重に調査をするわけでございます。最近ではいろいろ環境基準というものが定まっておりますので、もちろんそのような基準を守るように道路構造その他によってそのくふうをいたすようにつとめております。したがって、われわれは、都市計画決定され、基本計画の指示をいただきましたならば、工事の実施について具体的に、ただいま御指摘のような住民の環境を撹乱しないような方法をそれぞれの環境についてとっていくということは、もとより考えておる次第でございます。
  36. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、いまこれは都市計画決定をしておらないので、都市計画決定したらまあ具体的にそこの地域についての調査をなさるわけですか。これは都市計画がまだ決定してないと思うのですが、しておらない段階でも、道路公団はかなり科学的に、もし決定したらという前提に立って調査をしておられるのですか、その点はどうなんですか。
  37. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) 工事の実際の中身については、まだここで申し上げる段階ではないんでございますが、事前調査として、及ぶ限り問題の指摘のあったところは事前にも調査をいたしております。
  38. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうした資料などは道路公団でお持ちですか。そうした調査の結果を住民に公表なさるおつもりはありませんですか。住民人たちは非常に心配しておるわけなんですからね。道路公団がもしそのようなことができるということであれば、そういう資料をお示しいただきたい。各大学へ依頼してつくった資料では、これはもうどうあっても、まあどんなに設計をどういうふうにしたところで環境基準内におさめるということはとてもむずかしいという結論が出ているのでございますが、それを破るだけの有力な資料道路公団でもしお持ちならば、これは国民のためにも公表していただきたいと思いますが、そういう資料おありでございますか。
  39. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいまここには持って来ておりませんけれども、われわれのほうでも逐次調査をし、また構造上の配慮をする可能性について検討をいたしたのを内部で持っておるわけでございます。しかし、いまはまだ直接当事者能力がない公団に対しては話は聞かないということになっておりますので、遺憾ながら当事者のほうから直接に工事をやる場合についての要求はないのでございます。そういうわけでございますので、先生のようなお尋ねでありますならば、十分地元方々と協議を重ね得られるものと思っております。
  40. 佐々木静子

    佐々木静子君 道路公団がいろいろと御研究なさって、なるだけ環境基準に合致する道路建設をしていただくとすれば、これは住民にとってもありがたいことでございまして、これはひとつ、大阪高槻線に限らず、いま着工しておられる西宮−大阪間の第二阪神高速道路などにおきましても、これは非常に多くの住民が悩まされている、そういう問題なども雲散霧消するわけでございますので、たいへんありがたいわけでございますが、そういういい資料があるならば、どんどんそういう技術を生かして住民が困らないような道路をつくっていただきたいと思います。いくらいい資料があっても、現実につくる道路で騒音がはなはだしければ、これは住民はちっとも助からないのですから、そういう点においてさらに御努力いただきたいと思うわけでございます。  話をもとへ戻しますが、いま建設省のお考えを承っておりますと、いま都市計画決定しておらない。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 いま申し上げましたように、住民人たちは、これはみんなが、住民がお金を出し合って、いろいろな大学の先生などに頼んで、研究室に依頼して、いろいろと公害対策というものを、もう背に腹はかえられないということで、それぞれお金を持ち寄ってやっているわけですし、それから御承知のとおり、これは区の公害の調停の申し立ても、これは予測公害ということでは公共団体では初めてのケースじゃないかと思われるのですけれども、これが調停も、将来起こり得べき深刻な公害事件としてすでに調停の申し立てが出され、それが受理されておるような深刻な状態なわけでございます。このように地方地域住民が、これは単なる住民エゴとかなんとかいうのではない、非常にこれは重大な住民の人間侵害であるということで、大きく反対運動が起こっておる。そして大阪府の場合は、知事住民生活優先ということをまず第一のスローガンにしている。市長も、これは立候補のときの市民に対する公約として、この中津浜通り高速道路は取りやめると言っておられる。そういうふうな事情がある場合に、四十二年にそのような古い行政の感覚で、そのような道路計画があったからといって、地元あるいはその土地地方自治体が強硬に反対している場合でも、あえてこの計画建設省は進めようというような御意思があるのかどうか。都市計画でこれはきまらなければ、むろんこのことは、いかに幹線道路であっても、政府とすれば強行することはできないと思うのですけれども、そのあたりについて建設省姿勢というものを伺いたいと思うわけです。
  41. 大塩洋一郎

    説明員大塩洋一郎君) 最近所々方々で起きておりますが、特に大都市等におきましては、街路の建設につきまして、環境問題の関係におきましてきわめて困難な問題が出てまいっております。これは他方におきましては道路の需要の増大ということと、それから他方においては地区環境との調整ということの、非常に困難な多元的な要素を含んだ問題でございます。したがって、われわれとしましては、街路あるいは道路を市街地の中に通します場合に、従来のような考え方でなくて、あるいは構造上のくふうをこらす、あるいはもっと抜本的な周辺の環境と一体となったような道路構造の改善をはかるとか等々、あらゆる方策を講じなければ、もはや道路建設ということと地区の環境ということの調和がとれないような時期にきておるというふうに考えております。今後とも、いろんなむずかしい問題ございますけれども、そういう技術面で解決できることは十分これに対応するように努力いたします。それから、地区のむしろ環境改善ということと一緒になってやらなければならぬというふうなときには、ただ単に街路のサイドから問題を持ち出すのじゃなくて、再開発その他の手法とあわせたそういう環境づくりという手法を使っていくようなことも考えなければならぬ、こういう姿勢で取り組んでおる次第でございます。
  42. 佐々木静子

    佐々木静子君 それでは、環境庁のほうにちょっと伺いたいのでございますが、いまの中津浜通り大阪高槻線ができた場合、完成時で大体の予測される交通量が十一万台、そしてその後は十五万台ぐらいにふえるということが一応予測されているわけなんでございますが、そのことによって起こる大気汚染、それからいまの計画だと、承っているところでは、この中津リバーサイド十四階建て住宅に十三メートルの距離で並行に沿って、五階建てのところに道路が走る、そういう場合における騒音の問題などについて環境庁は、これは環境基準に合致した道路ができるかどうか、どういうふうにお考えになりますか。
  43. 小林育夫

    説明員小林育夫君) ただいま先生のお話でございますけれども、私ども実はその道路具体的な計画につきまして詳細なデータは持ち合わせておりませんので、はたして環境基準に合致する道路ができるかどうかということはちょっとお答えいたしかねるわけでございますけれども、環境庁としてこういう問題についてどういうふうに対処するかという点についてお話いたしますれば、現在、政府といたしましては、公害対策基本法の九条によりまして、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい」といういわゆる環境基準というものを定めております。  次に、こういう環境基準を定めまして、この環境基準を達するために、自動車公害問題は、御承知のように、大気汚染と騒音の問題がございますけれども、大気汚染につきましては大気汚染防止法におきまして、それから騒音につきましては騒音規制法におきまして、それぞれ自動車の排出ガスと自動車の騒音の発生源の対策といたしまして、個々の自動車に対する排出ガス量及び騒音の大きさの許容限度というものを定めております。具体的にいま、環境庁が定めましたこの許容限度に基づきまして、運輸省道路運送車両法の命令で実質的な規制をするという形になっております。それから、このような個々の車両に関する規制だけでは局地的に環境基準を守れないというようなケースも間々出てまいりますので、そのような場合には、命令で定めました基準に基づいて、道路構造の改善とかあるいは交通規制等の手段を講ずることができるようになっております。さきに申し上げました個々の発生源に対する規制でございますけれども、何と申しましても、これが一番大きな問題でございます。私どもといたしましては、先般自動車の排出ガスの量の許容限度につきまして改正を行ないまして、四十七年度から一そうきびしくしておりますけれども、今後とも、騒音につきましても、このような自動車の個々の発生源に対する許容限度というものを強化して規制につとめてまいる予定でございます。
  44. 佐々木静子

    佐々木静子君 いま、自動車の個々の発生源についての問題がございましたので、これは通産省のほうに、メーカー側としてどういう規制を設けておられるか、またどういうふうな点に重点を置いて規制を行なわれているかをちょっとお述べをいただきたいと思います。
  45. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 私ども自動車に関する行政をやっておりまするけれども、その中におきまして、自動車に関する行政の中で公害対策というものに非常に重点を置いているわけでございます。ただいま、排気ガスの問題、それから騒音の問題、それぞれ御指摘がございましたとおり、それについては、通産省の傘下の工業技術院、試験所、具体的に申し上げますと、機械技術研究所、それから公害資源研究所、この両方におきましてそれぞれの対策を講じております。それで、特に騒音の点についてもう少し詳しく申し上げますというと、自動車によって発生する騒音はおよそ三つばかりあるのじゃないかと思います。第一は排気ガスそのものによって生ずる騒音、これは御承知のようにマフラー等それをやっております。排気ガスそのものによる騒音、それからエンジンから生ずる騒音、それから三番目はタイヤと路面との摩擦から生ずる騒音、この三つがあると思いますが、それぞれその三つについて取り組んでいかなければならないというふうに考えております。具体的に申し上げますというと、先ほど申し上げました工業技術院の機械技術研究所におきまして、自動軒の中にある扇風機の騒音をどうやって消すかということを理論的に、あるいは構造的に、あるいはエンジンの騒音をどうやって消すことができるか、これが第一。それからもっと基本的には、電気自動車の開発の実現をはからなければならないということ、これはまあ機械構造だけじゃなくて、使う電池そのものその他総合的にやらなければならぬので、いわゆる大型プロジェクト、こういうことでもって、五年間で四十八億円という巨額の国費を投じまして昨年度、——四十六年度から開始しておりまして、ただいま第二年度に入って当たっておりますが、これの開発の結果というものが期待されているわけでございます。三番目に、自動車業界といたしましては、財団法人の自動車研究所というものを自分たちで持っておるわけでございますが、これで排気ガス、これはまあ直接関係ありませんけれども、安全対策というものをやっておりますが、その一環として、騒音に関しては特にタイヤの関係の研究、そういうようないろいろな方法をもちまして、通産省としてもやるし、自動車業界に対してもできるだけ騒音、排気ガスがなくなるように強力なる指導をやっておる次第でございます。
  46. 佐々木静子

    佐々木静子君 いまいろいろ御説明を伺ったわけで、電気自動車の開発というようなことに力を入れていらっしゃるということでございますが、弱電メーカーなどで騒音を消す装置などというようなことを研究室などでいろいろいま研究中であるというふうな話もよく聞くわけでございますが、そういうようなことにも相当助成費なり研究費などを通産省からお出しになっているわけでございますか。
  47. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 先ほど私が申し上げました電気自動車の大型プロジェクトに見られる研究というのは、いろいろなメーカーを全部結集してやらなければならぬということで、その中で電池のメーカーに対してもその一環として受け持たして必要な研究をさせる、それから自動車業界についてもやるということで、私も正確に覚えておりませんが、いま先生のおっしゃった弱電メーカーの担当部分もあると思いますが、それに対してもその大型プロジェクトの全体の一環として奨励の金が行っていると、こういうふうに承知しております。
  48. 佐々木静子

    佐々木静子君 まあ、いろいろとごくふういただきまして、今後も大いに研究いただきたいと思うわけですが、見通しとして、この自動車の騒音というものをここ二年なら二年で一割にするとか三割にするとかというふうな抜本的な思い切った改革というものができる見通しがあるわけでございますか。そういう抜本的なことは、これはいまの科学技術的にはとうてい無理であって、幾ぶん、何%か少なくしようということを、これを何年か長期計画でやるというふうな方針なのか、そこら辺の見通しを、これは結論だけでけっこうですから、簡単に言っていただきたいと思うのです。
  49. 矢島嗣郎

    政府委員(矢島嗣郎君) 自動車の現在の構造を前提とする限り、騒音を完全になくすということはできないわけでございますが、できるだけ少なくするように各般の措置を講じているわけでございます。これを何年と、あるいは定量的に何%ということはちょっときょうは申し上げられませんけれども、できるだけ減らすようにしたいと思っております。
  50. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうしますと、これはいろいろごくふうをいただいても、なかなかここ一年、二年で簡単に解決する問題ではない、これは常識的にも私どももわかるわけでございますが、そうしますと、いま環境庁に伺いましたこの環境基準ですね、そういうふうなものが守られている——騒音においても、大気汚染においてもですよ、この大都市高速道路で、現時点において守られている道路と守られていない道路とがどのぐらいの比率になっているかということをお述べいただきたいと思うわけなんです。
  51. 小林育夫

    説明員小林育夫君) ただいま手元にはっきりした資料を持っておりません。おりませんけれども、先ほど申し上げましたように一市町村が測定をいたしまして、都道府県なりあるいは公安委員会に対して道路の改善とか交通規制を要請している事例がございます。で、その数字はっきり覚えておりませんけれども、交通規制の要請が全国で四十六年に十数件出ております。それから改善要望等が、私の知る限りでは一件出ております。まあそのようなことから考えまして、まだ相当数のそういう環境基準に合わないところというのはあるんではないか、そのように推測しております。
  52. 佐々木静子

    佐々木静子君 そうすると、環境庁のほうといたしますと、このような騒音を発生する可能性の非常に多い道路というようなものを住宅地の中にどんどんと建設していくということは、環境庁の要請と非常にそごしてくるわけじゃないんですか、どのようにお考えになるんですか。それで、どんどんつくって、それでいてなお環境庁の規制の範囲内におけるだけの住民の環境基準を守っていくという自信が環境庁におありなんですか。
  53. 小林育夫

    説明員小林育夫君) ただいまの先生の御質問でございますけれども、現在、自動車の排気ガスと自動車騒音の防止技術というものは、先ほどお話がございましたように、完全にこれを防止するということは困難でございます。したがいまして、これらの機会を極力限定するということが必要なわけでございまして、まあこのような観点から考えますと、人口の密集した地域高速道路建設するということは、できる限り避けるべきだというのが環境庁の基本的な姿勢でございます。しかしながら、一面この高速道路というものは、社会、経済上きわめて重要な役割りを持っておるものでございまして、わが国の都市事情から見まして、逆に人口密集地帯に建設せざるを得ないというような状況考えられるわけでございまして、一がいにこれを否定するということはできないわけでございまして、私どもといたしましては、できる限り環境基準の線に沿った道路建設していくということで、都市計画を認可される場合には環境庁長官にも意見を徴されております。まあそうした場等も活用いたしまして、私どもの意図するところを反映していきたい、そのように考えております。
  54. 佐々木静子

    佐々木静子君 このいまの淀川の問題の個所は、これは先日来新聞にも、有力新聞にも載っておりますように、もう淀川の自然がただ一つ残されている個所でもあり、いまでも大阪市内に野鳥が幾種類も来るヨシやアシのはえたところであります。そういうところにこの高速道路建設して思い切った——これは先祖の遺産であるところの自然を、しかも大阪人の心のふるさとであるところの淀川の自然をまっこうから破壊するというような道路建設であるということを、これは環境庁もよくお考えいただきまして、今後のこの道路建設についての環境行政をお進めいただきたいと思うわけでございます。  それから、これは先月、女優であった霧立のぼるさんがなくなった。この方もやはり道路騒音で悩まされて、夜眠れなくて、そうしてだんだん、だんだん睡眠薬をたくさん飲むようになって、睡眠薬の事故でなくなった。これはたまたまなくなった人がまあ女優さんであるから、こうやって新聞に取り立てられているわけですけれども、このようなケースがいま一般住民の中にたくさん起こっておるわけです。死なないまでも、そういうことで健康を害している人などもずいぶんたくさんあるわけでございます。まあそういうことなど十分御勘案いただいて、これは都市計画につきましても思い切って住民の気持ちというものを生かしていただきたい。これからの建設省のいろいろな道路幹線の御方針もあるとは思いますけれども、これはもう四十二年といえば、いまのこの文明の進み方からいきまして一世紀前のようなものです。そのような古い時代に考えられた道路計画に固執して、そして多くの住民を泣かすというような、そういうふうな官僚本位の行政というものは、根本的に頭を切りかえていただいて、地元本位の、住民の意思を尊重した建設行政を行なっていただきたいということを特にお願いするわけでございます。  それから、阪神道路公団のほうにおかれましても、非常にこの道路建設について御苦心をいただいておるということはもう重々わかるわけですけれども、ただ、ちょっと私疑問に思いますことは、都市計画決定していない、だから大阪高槻間の建設はまだきまっておらないのだというお話なんですけれども、実は四十五年度にすでに三億という予算をとっておられるわけです。それから四十六年度には十一億という予算を阪神道路公団がとっておられるわけです。そしてまた本年度は十三億という予算をとっておられるわけなんです。これは決定しないものに対して、どうしてこういうふうに決定しない前からたくさんの予算をおとりになるのか、私それ非常に疑問に思うわけなんです。しかもそれが、それじゃどういうふうに費消されているか。これはまだ決定しないのですから、全然手がついていない。そして、それを調べてみますと、これは大阪港の湾岸の道路建設にこの昨年度の十一億の予算が全部使われておる。そういう事柄について道路公団側とするとどういうおつもりであるのか、その点について御釈明を伺いたい。
  55. 関盛吉雄

    参考人関盛吉雄君) ただいま予算の問題についてお尋ねがございましたが、今日まで都市計画基本計画の指示が延びておりますのは、公害問題等から、市がその問題の解決にいろいろ努力をしておられるわけでございますけれども、当初四十五年の高槻線の新規路線採択が行なわれる、その予算要求の時点におきましては、非常に容易に用地取得も可能であり、また淀川南岸線という都市計画街路が中津運河のあとにできておりますので、その上に高架の構造自動車専用道路をつくることは、他の路線よりは、用地を買収して新たに着手する地点よりは非常に容易であるということは、市当局のその当時の意気込みから見ましても、当然考えられたので、四十五年度に、新年度でございますから、三億の要求を認めていただいたわけでございます。しかし、これはどうしても使うことができませんので、今日にまで至って繰り越しをいたしております。四十六年度の予算は、これは御承知のとおりに、公共事業でもって景気の刺激対策を実施するという趣旨もありまして、したがってこの四十六年度の予算の消化について努力をいたしたわけでございます。  御承知大阪の南港の埋め立て地と築港側に建設いたしますゲルバートラス橋というのがございます。これは四十九年度中に完成を目途として実施をいたしておりますが、このほうの事業の促進を待たれましたので、大阪府の管内の路線相互間の移用は、公団の予算では関係監督庁の了承が得られれば移用ができますので、そのように措置して実施をいたしたわけでございます。四十七年度につきましては、ただいまお尋ねのような額を、いまのところまだ予算の認可はいただいておりませんが、予定をしておる、こういうことでございます。
  56. 佐々木静子

    佐々木静子君 これはいろいろと当初の計画と実際とが違ってきたということがあると思うんですが、この三億円の予算を取った時点ではなるほどそうであっても、この四十六年度には、この道路が十一億の予算をつけてつくれるという見通しは、客観的にはあまりなかったんじゃないか。そして、事実上一銭もお使いにならずに、湾岸の線のほうに使われている。これだったら、最初から湾岸線の予算としてお取りになるべきじゃなかったかということ、これははなはだ私その点疑問に思うわけでございますが、これは阪神道路公団も政府機関の一つとして、やはり国会のきめた予算に従って、その使途をきめたとおりにやはり実行していただかないと困る。そして、実施する見込みのない工事の予算は、それは要求すべきではないんじゃないか。私、そこら辺で、取れそうなところから取って、やりたいほうの道路工事をやっているという印象ですね、これは住民の人が持って当然じゃないかと思うんです。そういう点におきまして、この予算面におきましても、これ十分の住民本位——住民というより、国会できまった予算どおりの実施ということをこれから御留意いただきたいと思うわけでございます。そして、いま中津コーポのことだけを例示的に申し上げましたけれども、これは大阪市内におきましても、中津コーポだけではない、住吉、泉北地区、あるいは富田林の金剛団地、あるいは高槻の、これはやはり大阪高槻線で、いまの線ですが、下田部団地、あるいは門真団地、あるいは摂津市のいずれも公団住宅のまん中を高速道路が突っ走るというような道路計画になっておって、いま二十カ所ほどそういうことで住民の非常に反対の声が起こっておるわけでございますので、やはりこの住宅行政との調和も考えていただき、そして住民の声をこの建設行政道路行政に生かしていっていただくよう特にお願いする次第です。  時間もありませんので、高速道路の問題はこのあたりにいたしまして、ちょっと伺いたいんでございますが、これはさきに当委員会で、昨年末に私は航空騒音のことを運輸省のほうに伺ったんでございますが、その後どのようになっているか、ちょっと経過の御説明というようなことで、私、地元大阪府の堺市役所において、ことしの一月に航空局の方がお越しになって、そうして四十七年度の公団の予算が取れなかったけれども、これからは一生懸命予算を取るようにして、候補地が決定すればすぐに着工したいというお話があり、その際に、大阪湾のは魚が小さいので漁業補償は少なくて済む、淡路沖のほうは魚が大きくて補償がたいへんなので、ぜひとも補償の少ない大阪湾内において空港を持ちたいというようなお話があったというようなことを堺市の人たちから伺っているんですけれども、その後の関西新空港建設の問題について、先日の当委員会では、これはいまお越しになっておりませんが、運輸大臣が、あくまで地元住民の意思を尊重してやる、その地元地方公共団体あるいはその長、すなわち知事とか市長とが反対しておれば、新空港の建設はできないということを、これは本日お越しになっておりませんが、丹羽運輸大臣がはっきりと言明されたわけなんです。ところが、非常にこれはもう地方自治体あげて——知事はもとより、地方自治体あげて反対している場所において、ぜひともここでやりたいというような話が航空局のほうからあったということ、それも堺の市役所で地元の有力者を集めて話があったということを聞いているのでございますが、これはどういうことなんですか。運輸大臣の方針と違う方針を航空局は示されたわけなんですが、そのことをちょっと経過を御説明いただきたいと思います。
  57. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 関西新空港のその後の経緯でございますが、先ほど先生御指摘くださいましたように、昨年運輸大臣が当委員会におきまして、地方公共団体の了解を得ない限りはいたしませんと申し上げましたことについては、誤りございません。私ども事務当局といたしまして、その意を体して進めております。ただ、私ども考えまするには、関西新空港、これはいかにも現況から見ましても、やはり公害のないものならばぜひともつくる必要があるんじゃないかというようなことが、私どもの気持ちでございます。しかし、この点につきまして、地方からいろいろな反対の声があがっているのも事実でございます。その点につきましては、私どもの説得と申しますか、御理解をいただくための努力が足りなかったことをつくづく反省しておる次第でございます。しかし、その場所につきましては、現在まだどこもきまっていないというのが事実でございます。と申しますのは、航空審議会におきましてもいろいろな反対の声もございます。そういうことを全部取り入れまして、あらゆる角度から慎重にいま検討しておるわけでございます。そうして、少しでもそういうふうな実情をよく調べまして、これならばいいではないかというふうに御理解いただけるように検討しております。したがいまして、公害の面から反対であるという気持ちはよくわかるわけでございますが、なるべくならば、私どもといたしましては、どうかこの点も御理解いただきまして、できるならば公害のない空港をつくりたいというのが率直な気持ちでございます。
  58. 佐々木静子

    佐々木静子君 御趣旨は非常によくわかるんでございます。そしてまた、地方自治体意見を尊重してやろうということ、それも非常にけっこうなお話だとうれしく思うわけなんでございます。ただ問題は、公害のないという、この公害がないという認定をだれがやるのかというのが問題だと思うんです。その公害がないという認定をだれがやるのか、その点についてお答えいただきたい。
  59. 内村信行

    政府委員(内村信行君) 現在、その点につきましては、航空審議会のほうでいろいろ審議を進めていただいておりますが、航空審議会の中にも、これは正規のメンバーではございませんが、大阪府、それから兵庫県、神戸市、大阪市の御当局のほうからオブザーバーとして御出席をいただきまして、逐一審議会における審議をいただいておりますけれども、それで必要があれば御意見も常に承ることにいたしております。したがいまして、その認定につきましては、当然地方公共団体も一緒に入って、これならば地方公共団体としても公害がないんだというふうに認定していただきまして、その上できめるならきめたいというのが私どもの考え方でございます。
  60. 佐々木静子

    佐々木静子君 重ねて申し上げますが、いろいろ御配慮をいただいていることはよくわかりましたが、官僚行政ではなしに、空港ができることによって一番の利害関係を持つのは地元住民なんですから、官僚サイドではなくて、住民サイドで、これじゃ受忍できる、これではだいじょうぶだ、あるいはこれではどうにもがまんできぬというその基準を、これを住民の側においてきめられるように住民の声というものを十分に生かしていただいて、先ほどお示しになったような地方公共団体の長、知事、市長をはじめとする住民の声というものを十分に御参酌いただきたいと思うわけです。これは、大阪府におきましては、新空港反対、これは知事が表明しているところでございますし、また兵庫県におきましても、神戸市でも、芦屋市でも、その他の市におきましても、反対の決議をしたということを聞いているわけでございます。そういうふうな——一これは単なる住民エコではない。住民がこれ以上困ることはもうごめんだ。過密のところへまた空港まで持ってこられたらかなわない。そうして、その空港自身の騒音より——騒音ももちろんのことですけれども、また空港ができれば、そこに都心との間を結ぶ高速道路がいやでもできる。そうしますと、先ほど来のような深刻な問題がまた倍加するということは火を見るよりも明らかでございますので、その点を十分に御勘案いただきまして、これは運輸省におきましても、建設省におきましても、環境庁その他政府当局におかれて、十分に住民の意思を尊重していただいた行政を行なっていただくということを特にお願い申し上げまして、時間の都合もありますので、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  62. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 速記を起こして。  この際、内閣官房長官の出席を得るまで暫時休憩いたします。    午後二時三十五分休憩      —————・—————    午後二時五十八分開会
  63. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。  御質疑のある方は御発言願います。
  64. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官、お忙しい中ありがとうございました。また、いま三時と聞きまして、きのうまで、また先ほどまで二時半ということで、皆さま方に御迷惑をおかけして申しわけないと思っておりますが、前からこの委員会委員長からの指摘がありまして、政府委員の出席が非常に思わしくない、こういうことがありましたので、ひとつ内閣全体に対してまた御注意いただければと思います。  きょうの私の質疑は、もうすでに参議院の予算委員会、あるいは明日は衆議院の連合、あるいは本日も外務委員会でやっているらしゅうございますが、例の外務省のマル秘文書の問題について、しかも私は、内閣官房長官においでをいただきまして、単に外務省だけにとどまらず、内閣全体、各省庁にわたってのマル秘文書の扱いの問題、あるいは私も過去八年間、当決算委員会は非常に資料請求が多くございます、そのたびに私もこのマル秘文書で非常に苦労しました。言うならば、国会の審議でいろいろ支障を来たす、こういう経験を踏まえて、また将来に対してぜひとも私たち国会審議がスムーズにいくようにと、こういう念願からも、官房長官に御出席いただいて質疑を続けていきたい、こう思う次第であります。  そこで、まず冒頭にお聞きしたいことは、いわゆるいま言われております国家の機密、総理大臣ないし官房長官の発言が二、三変化がありました。どうも私頭が悪いせいかすっきりしません。その点から、もうちょっとすっきり御答弁いただきたいと、こういう点から始まりたいと思います。すなわち、私言うまでもなく、国家の秘密は国民の判断によって、すなわち選ばれた内閣、政府によって、さらにそれが追及されまして、一昨日におきましては、国会と報道機関の監視のもと、常識的には国民の意思のあるところで国家の機密がきまると、こういうことであります。私非常にこの御発言の真意が理解できないわけでありまして、この際あらためて、機密、秘密というものはどこでこれはつくられるのか、どういうものが秘密であるのかと、こういう点からひとつわかりやすく御答弁いただきたいことから始めていきたいと思います。
  65. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 昨日、私も二時半と承知いたしておりました。きょう連絡をとったら三時であるということでありまして、国際経済シンポジウムでありますか、そこへ総理大臣の代理でスピーチに参っておりました。おくれましたことをおわびを申し上げます。  なお、政府全体といたしまして、委員会への出席については、私の責任において督励し、できるだけ御要望に沿うような心がまえで臨みたいと、最初にあたりまして一言おわびを申し上げます。  そこで、機密ということでありますが、実はこの点につきましては、私が去る日曜日、放送討論会を本院議員の方々と行ないました際、一応官房長官として機密を判断するということについて一つの基礎的見解を述べてほしいと、こういうことについて述べましたものが、その後予算委員会等で論議が行なわれておるところであります。で、私が基礎的に、基本的な見解として申し上げましたのは、機密というものの判断は、おのずから機密にすることが国益に沿うものであると判断した場合にのみ機密というものは成り立つものである、したがって国益とはという議論にもとを置かなければならない、しかし国益論争というものをやるとそれなりにたいへん国民一人一人意見のあるところであると、そこで国益論争というものは横に置きまして、その国益をそこなうおそれがあるかいなかという判断はどこでするか、こういうところに焦点を合わした発言をいたしたのであります。基本的には国益とは国民のきめるべきものである、しかし下世話なことばで申しまするならば、一つ一つの問題について一億四百万人にアンケートをとって歩くわけにもいかない、そこで今日主権者たる国民にかわって国権の最高機関としては国会というものが存在をしておる、その国会行政府の長たる内閣総理大臣を指名する、さすれば機密であることが国益に沿うものであるという判定は、それなりの立論から言えば、政府できめることができる、こういう論理体系が整うものではなかろうか。しかし、これは機密文書の扱いというような、行政の範囲で政府が措置することは許されるであろうが、これが問題により、当然法律等の定めにより、国会へ報告し、その承認を求めなければならないという性格のものであれば、ストレートに主権者たる国民の代表である国会でおきめいただくということになるではなかろうか。さらに、問題自体によっては、そのつど国民の直接選挙による選挙の際に、国益の存するところが判断されて投票がなされるということになれば、大きな問題は直接国民によって決定されると、こういう論理も成り立つであろう。しかし、部分的なものであっても、政府がそのとき判断する国益というものが誤っておるならば、当然主権者たる国民の次の直接投票の際、それは批判され、くつがえっていくものではなかろうか。こういう国民が定めることであり、そして立論上は、国会、政府ということが言えるわけであるが、それは最終的にはまた国民の手元へ返ってくるものである、このようなことを申しておったのであります。  しかも、その際、最も大事なことが二つあると思われます。その一つというものは、この論理を一方的な理解のしかたで解釈をいたしますならば、言うならば、選挙で多数を得た者が、その任期間はいわばかってに何でもきめたらよろしい、そういう議会制民主主義否定の方向に進むことが最も危険な方向である。そこで、それなりには、絶えず今日まで少数意見に耳を傾ける。あるいは国会が、日本の場合、四分の一世紀の議会制民主主義の中において、理事会とか国会対策、そういうものがおのずから多数党横暴を許さない良識の場として働いておる。それはそれなりに今後守り続けなければならないし、それと、第二の、同じ意味におきまして、政府が許された範囲の国益をきめる際、それは当然国会の監視というものがあり、そしてまた世論を代表するマスコミの批判と監視というものがある限りにおいては、社会通念上良識のところへ落ちついていくのが当然ではなかろうか。——この種の発言を行なったわけであります。  さらに、それだけに監視機関——国会、そしてそれなりに、知る権利と同時に、国民に対して知らす義務を持つ報道機関に対しては、主権者たる国民に知らす義務を大きく踏まえておる政府としては、可能な限り知らす努力もそれに伴わなければ、おのずからの良識というものが社会通念上定着しないであろうと、このような趣旨のことを申し上げた次第でございます。  国会討論会は、私の持ち時間が全部で八分二十秒で、そのうち四分の一をそれに充てろと、こういうことでございましたので、意を尽くせない点がありましたが、きょうは少しく時間をちょうだいいたしましたので、御批判を賜われば幸いだと思います。
  66. 黒柳明

    ○黒柳明君 私、いまの非常に論理的な発言についてここで批判をしますと、またここで二人だけの、自民・公明の国会討論会になっちゃいます。私は、そういう論理的なことじゃなくて、具体的に少し話を進めたいと、こう思いまして、いろんな資料を用意したわけであります。いまの官房長官の御説明も、ある一部では非常にうなずける点もありますけれども、大前提の国益に対する基準、また政府は当然知らせなきゃならない、それに対して主権者たる国民がどの程度認識した上で評価できるか、いろんな問題が残っていると思います。この論争は、当然一時的なもので終わるという性質のものじゃありません。そこで、だれがきめるか、何が機密であるかと、こういうむずかしい問題について、私はもっと具体的にこの話を煮詰めてみたい。   〔委員長退席理事小谷守君着席〕  いわゆるこのマル秘というものをどこできめるのか、どういうものであるのか。私冒頭に申しましたように、決算委員として八年間やりまして、非常に当委員会におきまして、各省庁及び政府関係の諸団体からも資料をとることに苦労しました。それで、この問題が上がって、振り返ってみたときに、いかにこのマル秘文書というのが、失礼なことばですけれども、でたらめだったのかということをしみじみ感じているわけであります。いまそのマル秘文書——新聞では活字になっておりますけれども、具体的に私ここに官房長官にごらんいただきたい。  まず第一、防衛庁のこの資料です。これは昭和四十三年二月二十二日にとった資料であります。御存じのように、このころは自動車公害、それに対するいろんな問題が起こりました。公害を非常に規制すべきであると、私はまずそれは官庁の車からと、こういう趣旨で、各省庁全部とりました。ここにございます。防衛庁だけ出てこない。ところが、出てきたら、これはマル秘で出てきた。これをごらんいただきたい。このときには総務部長——失礼ですけれども、鐘ケ江さんという総務部長なんですが、総務部長のところへ乗り込んでいった。なぜ防衛庁の乗用車の保有状況、この一覧が出てこないのか、各省庁出てきているじゃないかと、こういうことで行きました、じかに。それで出てきたところが、乗用車の一覧——防衛庁が持っていた二十台の車、これは車種、年式、登録番号、購入年月日、価格等書いた、何も秘密でも何でもないものですよ。これが秘密として出てきた。それで、あとで私が聞くところによると、防衛庁は赤坂通いをよくやっていたと、この当時。黒柳はこんなことを調べに来たんではなかろうかと、これは困るということもあったやに聞きます。現に私が行ったとき、総務部長に、いろいろ毎日の運行表を見たら、そういう状況も目にちらちらしました。そのときには公害の問題で行ったものですから、観点が違いますからね、それはまあ国会の討論の場じゃ出しませんでしたけれども、なぜこの各所管の官庁の車——各省がこう出ているのに、防衛庁は乗用車をマル秘で出さなきゃならないか。いざとなったらこの自家用車が装甲車にでもなるんですかね、だからマル秘にしなきゃなんないんですかね。おかしい、こんなものは、まるっきり。  この次——うんとあるんですから、たばこでもくゆらしながらお聞きいただきたいと思います。大蔵省、この資料要求も昭和四十二年八月二十三日——若干古くて申しわけありません。タイトルはわが国の直接借款供与一覧表であります、交換公文ですでに出ているもの。古くは昭和三十三年二月四日、四十二年の時点において四十一年まで、だからすでに四十二年に資料請求したとき、九年前の交換公文です。すでに公表されている分を含めて、インド、パキスタン、台湾、韓国、ブラジル、パラグァイ、イラン、セイロン、ユーゴ、インドネシア、ウガンダ、タンザニア、ケニア、ナイロビ、マレーシア、メキシコ等の国に対する借款に対する総額、条件、これですよ。すでに九年前に公表されているものが、なぜ大蔵省ではマル秘の判こを押さなければならないのか。これが二点。  もっとおかしいのが労働省。これは公務員の住宅の一覧——マル秘、もうこれは説明の要はないと思います。  さらにもっと奇怪なのがありますよ。これはちょっと年度は忘れましたが、昭和四十三、四年ぐらいに要求したんだと思うのです。郵政省です。事業別損益計算書昭和四十年度から三十六年度まで要求した分。四十年度、三十九年度、三十八年度、三十七年度はマル秘じゃない。三十六年だけマル秘扱いなんです。なぜ三十六年だけマル秘扱いなのか、私たちにはわからない。  マル秘とこう判を押して、なぜ資料要求に対して抵抗するのか。まだまだこれはありますけれども、各省庁。まず私の言っていることをひとつ目を追って見ていただけば、これが三十六年です。あとはこのままです、全部。決算書でも出ればマル秘は解除されるんですかね、どんどん。それにしちゃちょっと古過ぎるんですよね。まだありますよ、こっちに。これは各省庁のはマル秘じゃないですね。防衛庁だけです、マル秘は。こういうものをごらんいただいて、これは内容までも検討していただくようなもんじゃないと思うのですが、ひとついまこれだけ、四省——まだありますよ、これだけごらんいただいて、どういう御所見をお持ちになるか。
  67. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは、実は私も広範多岐にわたっております各省の問題に精通するだけの能力は持ち合わせておりませんが、基本的な考え方を申し上げます。  従来、昭和四十年の四月十五日、これはすでに黒柳委員もお持ちの資料でございますが、「秘密文書等の取扱いについて、事務次官等会議申合せ」を官房長官名をもちまして各省庁に通達をいたしました。当時私が内閣官房副長官でありました。それだけによく記憶いたしております。そのときの御議論をいただきました、こうしたことを行ないました背景は、「行政機関における秘密の保全については、昭和二十八年四月三十日の次官会議の申合せにより実施されてきたが、さらに遺憾なきを期するため、今後は次の要領により処理すること」ということになっておりますが、これを手がける背景になった国会における議論というものは、いわばマル秘、秘密文書の扱いが多過ぎるではないか、こういうことから、それを、「秘密保全を要する文書等の指定及び作成は、必要最少限にとどめること。」、こういう第一項によりまして通達いたしたものでありまして、これはそうした国会の御議論にこたえてそれなりの措置を行なったというふうに思っております。しかし、いま現実指摘をいただきました問題等につきましては、私も今次議論を機会にいたしましてさらに認識を深くいたしておるところであります。で、さきの予算委員会における総理からも御指摘がありました、各省のいわゆる秘扱いなるものは、俗にいう公表まで秘扱いであるべきものであり、公表したら極力秘扱いが解除さるべしということが原則ではなかろうか。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 それからさらに、この極秘というようなものの中におきましても、それを公開しても、たとえば外交上の問題にいたしましても、相手国に与える影響、また相手国との信頼関係、第三国に与える影響等も相手国の了解も得、そして第三国への影響等もおよそそれが喪失する場合にはおのずからこれを解除するという方向をも踏まえて、ただいま黒柳先生御指摘の必要最少限にとどめ、少なくすると同時に、今度は解除というものの方向をも踏まえて事務次官会議検討をさしたらどうか、こういう御指示をいただきまして、実は明日の事務次官会議でまず初めてそれを議題として取り上げる、こういう姿勢でおります。したがいまして、原則的な黒柳委員の御意見には、私も賛成するところであります。それを踏まえて事務次官会議で種々検討をしてもらいますが、それ以上に大事なことは、いわば四十年の事務次官会議の申し合わせが、今日なお黒柳委員から御指摘を受けるような徹底していない面があるということを、私も副長官から今度は長官になりまして、五年ぶりに帰ってまいりましたが、そういうことが今後ないようにという点に力点を置いて私なりに努力をいたしてみたいと、このように思います。
  68. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあそう先に先に発言していただいても困っちゃうのですけどね。私の意見に同調と——私はまだ何も意見を言ってないわけですよ、そこにはそう書いてあるかと思いますけどね。  私はまず、この政府のいままでの姿勢、今度こうしよう、あしたからすぐやろう、非常にけっこうなことだと思うのです。官房長官が非常に積極的だからこそ、そういう手を打たれるのでしょう。それはいいこととして、こういう、もっと私身近なものがあればいいんですけれども、ともかくきのう急に、きょう官房長官出られるというので、大急ぎでものすごい資料の中から選んだのです。最近のもあるかと思いますよ。新しいのは四十四年です。もっと四十五年も四十六年もあるかと思いますけれども、とりあえず、議論がそういう抽象的にならないために、具体的にこういう資料をまずお見せしたと、こういうことなんです。だから、黒柳の意見に同調ということは、これはでたらめだ、これはうまくない、こういう私の意見、そのとおりだと、こう理解してよろしいわけですか。
  69. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 実は、私もこの行政事務にはまだふなれな、過去の経歴等からいたしまして。したがって、その時点において私の察知し得ない理由で秘文書になっていたとしたらば、私のあまりにも幼稚な行政能力を示すようなものになろうかと思いますので、概念として賛成でございます。
  70. 黒柳明

    ○黒柳明君 だからこそ、私も苦労してこれだけ抜いたわけですよ。自治大臣、うなずいているからおわかりだろうと思う。だから、こんな運行表、しかも各省のと比較してお見せしたのでしょう。これに対して賢明な官房長官が、いくらマル秘に対して大切な時期であろうといえども、やっぱり時期は時期、前向きな姿勢は前向きな姿勢としてやりませんと、この次いろんな資料がなおおかしくなっちゃう。なお官房長官に御苦労かけるようなことになっちゃう。私の本意じゃありません。あくまでも、野党といえども、選ばれた議員として前向きに協力すべきはして、いまの非を直したいというのが私の根本姿勢なんです。そのためには、まず官房長官が、ピックアップしたこれについて、ほんとうにおかしいなと、こう思うなら思うというお答えをまずいただかないと、それから議論を始めていかないと——そのためにこれを選んだのです、端的にだれにでもわかるようなものだけを。
  71. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 端的に、私も、いまの文書を見た限りにおいては、全く同じ感じを持っております。
  72. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあおかしいという感じでしょう。これは念押すまでもないと思います、もうそのとおりであります。  さらにいろんな点があるのです。自治省の官房長いらっしゃっていますね。失礼ですけれども、自治省の場合にはマル秘文書の扱い、内規がございます。そのランクづけはどういうふうに分けていますでしょうか。
  73. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 自治省では、自治省の文書管理規程によりまして、極秘書類と、通常の秘扱いの書類と、この二種類が規定されております。そのほかに実際上の取扱いとして、部外秘という書類を実際上作成しております。
  74. 黒柳明

    ○黒柳明君 経済企画庁のマル秘文書の扱いについてのランク別、御存じですか。
  75. 皆川迪夫

    政府委員(皆川迪夫君) 経済企画庁の分につきましては、私存じておりません。
  76. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官、最高裁判所——最高裁のマル秘文書の扱いの段階はどうなっていますか。
  77. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 残念ながら、調査をいたさないままに参りました。
  78. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこにまとめた——私が資料要求をしたから急いでまとめたと思うのですよ。最高裁入っていないのですね、そっちには。残念ですね。私のは全部ずっと並べてある。担当も入れた。  官房長官、政府関係公団、公社にもこういうマル秘文書の扱いの規程があると思いますか、ないと思いますか、公社、公団
  79. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私の感じではあると思いますが、さだかにしておりませんので答えられません。
  80. 黒柳明

    ○黒柳明君 そのとおりだと思います。非常に複雑です。あるいは機能の相違、あるいは事務的ないろいろな守備範囲が違うのでしょう。それも考えられます。しかしながら、あくまでも、いまおっしゃったように、四十年の四月十五日、官房長官——当時の副官房長官、当然いまその責任者です。事務次官を通じて出したことは、縮小しろということが第一テーマではないのですか。そうなれば、複雑にするなということだったと思うのです。残念ながら、いまの国会ではまるっきりそれが逆になりまして——まあこれから理論を発展さしていきますけれども、何だか機密をどこできめるのか、どれが機密かわからないままに、ただ議論が行なわれているという、私なりの感じがするのですけれども、そのときの趣旨は、秘密をなくせ、少なくするという第一趣旨であったものが——各省庁ここに一覧表があります。最高裁もこの中に入っております、調べました、私。秘密の段階が全部まちまちなわけです。それを決定する人が全部まちまちなわけです。これからどういう弊害が起こるか。ある省の局長が言っていた。外務省から秘密の文書が来た、うちの省では秘密でも何でもない。外務省から機密文書が来た、うちの省では機密扱いはない。どうするのだ、機密じゃない、うちの省は。うちの省は極秘しかないのだ。その場合どうするのですかと言ったら、まあ機密と押してあるから機密なんでしょう、うちの省は秘密じゃないけれども、まあ外務省が秘と押しているから秘なんでしょうねと、はっきり局長さんものを言っていらっしゃいます。いま私がここでまとめたのを指摘するまでもなく、官房長官もまとめたものをお持ちのようですけれども、総理府が、秘密の段階が極秘と秘、それを決定するのがともに主管の部局長。公取が同じく極秘と秘、極秘は事務局長、秘は課長。環境庁は五段階、機密、極秘、秘、部外秘、人秘——人の秘密と書いてありますよ。わからないんだ、これこそ。機密と極秘をきめるのが主管する局長、三、四、五、秘と部外秘と人秘は所掌する者または処理を命ぜられた者が秘とすることができる。これじゃわかりませんね。だれがそれじゃやっているのか。あるいは文部省、極秘、秘、部外秘、主管の局長課長。もっとおかしいのは法務省、大蔵省。労働省は秘密の段階は分かれている。極秘、秘密、部外秘。秘密と決定する者が定められていないのですよ、何にも。だれがそれじゃこれは秘密と定めるのか。だれでもいいのか。こういう各省庁もう多般にわたったこのランクのつけ方。その文書が各省庁に行き渡り、しかもこれを決定する人が、大体私の善意で見ても、おおむね課長以上ですね。官房長官、課長以上幾人くらい本省にいると思います。推測でもけっこうですよ。大体何千名くらいになると思いますか。
  81. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) まさに勘でございますが、百五十人程度の二十省で三千人、このような感じがいたします。
  82. 黒柳明

    ○黒柳明君 大体合っております。けれども、千ぐらい差がありますね。二千百二十八名。百五十の局長で、部長さんが二百七十、課長さんが千六百六十八、次官、長官が四十人、二千百二十八名。この二千百二十八名の人が——これは本庁だけですよ、公社、公団入っていません。あとでやりますけれども、住宅公団もマル秘なんて言うんですよ。これこそわからない。なぜ住宅公団がマル秘なのか。三十九、四十、四十一年度の住宅建設部門における一般買収地調べなんというのがありますね。これは本省だけです。人事院に聞きました。そうすると、公社、公団の分もありますよ。防衛庁は制服組が相当いますよ。それでおっしゃった三千人ぐらいになる。こういう数字が、あるいはそれを上回るのではなかろうか、こういう多くの人が、失礼なことばですけれども、かってにマル秘だと、極秘だなんて、こうおっしゃるのじゃないですか。それがいま言ったような、こういうでたらめなマル秘の文書になって、提出されればいいですよ、提出を拒否する理由になる。私たちの調査を阻害する理由になる。これからどうなりますか。ますます今回の事件を契機に、ある意味においてはこの機密のことについて箱口令がしかれる。厳密になる。今度は私たちの調査活動——いままですら非常にたいへんだった。これからはなおさらそういう可能性が出てくるんではなかろうか。それもすべて、こういう四十年の趣旨が、私に言わせれば趣旨に沿わない、各省庁ばらばら、かって、こういうことがいまのような、少なくとも私が言っているこういうでたらめなマル秘を出すような結果になったのではなかろうか。いまの外務省の機密はまだまだ触れていません。まだ一番初めのこの文書ですね。マル秘なんというのはでたらめなんだと、かってに押しちゃうんだ。ある新聞によりますと、マル秘と押せば国会議員は気持ちがいいから押すんだ、そういうこともありました。私はそうは受け取りたくありません。善意に解したいと思います。しかしながら、そういうきらいもなきにしもあらず。その決定者が各省庁ばらばら。明記されない。ランク別がばらばら。しかも、ある程度事業あるいは業務の内容によってエクスキューズの余地があるとしたって、各省庁でも困っているんですよ。ランクのつけ方違うでしょう。扱う人が違うでしょう。こういうことにつきまして、ひとつこの際、官房長官、この御一覧をおつくりになって、もう十二分に、お渡しするまでもなくおわかりかと思いますけれども、どのようないまの重要な段階におきまして責任者である官房長官として御所見をお持ちになっているか。
  83. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私も、黒柳委員の御質問、ある程度事前にお聞かせいただきましたので、いまの資料についてはそれなりに政府部内において整えてまいりました。そこで、けさこれについてどのような御答弁を申し上げようかということで、それなりに——機密というものは極秘の中で秘密保全の必要度がきわめて高度のものを言うことができるとしておりますから、この点においては三ランクになっておってもそれなりの説明はつきます、あるいは部外秘というような問題は、言うなれば公表まで秘ということでありますから、秘扱いと同じことでございます、人秘というのは発令までの人事の秘密でございますというようなことを一つ一つ説明を承ってまいりましたが、それはいまの黒柳委員の御質問の趣旨に答える建設的な何ものもないというふうに私も理解をさせていただきました。  そこで、各省庁確かにこの事務次官会議申し合わせの趣旨に必ずしもすべてが沿っていないということは、私も認めます。四十年決定以前のものがそのまま使われておる。それなりの理由があるにいたしましても、具体的な扱いにおいて、機密文書が自分の省においてはどこで扱わるべきかという基準がない。そういうことが、現実これを精査——突き詰めていきますと具体的にあるという印象を、私も黒柳委員の御質問を通じて理解をいたしました。そこで、明日第一回を行ないますこの事務次官会議というものには、まずそのような問題を私から提起いたしまして、一応外務省、防衛庁等々の特殊性をかりにいま別に置くといたしましても、それらのまあ一応の基準というものがまずそろっていくようにということを一つの力点としたいと思います。それと同時に、機密というものは公開ということばがあって初めてある意味においては存在するわけでありますから、原則公開であるという精神訓話を行なおうと思っております。これは、精神訓話ということばはいささかことばとしては適切でないかもしれませんが、私の考え方を申し述べてみたいと思っております。そういう基本的な考え方に基づきまして、まずそれは、いま御発言いただきましたように、それぞれの省庁には、具体的事例の場合は、これはエクュスキューズのある問題もあると思います。私の責任者としての姿勢といたしましては、先ほど申し上げましたように、まず基本的公開が原則、秘密が例外と、こういうような考え方のもとに立って、しかも各省庁それらの基準がそろっていくということ、そして極秘ないし秘扱いにしたものが解除されていくその過程というものにさらにメスを入れていくと、このような方針で臨もうと、このような考え方であります。
  84. 黒柳明

    ○黒柳明君 たとえば、いま各省ごとにこういう、あるところによっては五ランク、二ランク等々に分かれておりますが、機密とか、極秘とか——きのうですか、防衛庁長官言っておりましたですね、機密が三十、極秘が五万とか四万とか、秘密が七十万とか言っておりましたが、各省ごとにこれはきちっとつかんでいるのでしょうか。
  85. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは、きょうの段階で、四十六年度のものにつきまして内閣の首席参事官のほうで調査をいたしております。私から申し上げるよりも、あるいは首席参事官から申し上げるか、ないしは資料でお届けしてもよろしいと、このように考えております。
  86. 黒柳明

    ○黒柳明君 相当多くなりますね、各省のランクが、全部数字ですから。たとえば、ちょっと読み上げていただけますか。
  87. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) たとえば極秘——法務三十三、外務四万六百七十三、大蔵ゼロ、文部ゼロ、厚生ゼロ、農林一、通産ゼロ、運輸ゼロ、郵政八、労働ゼロ、建設ゼロ、自治ゼロ、防衛はまだ来ておりません。経企ゼロ、科学技術ゼロ、警察ゼロ、行管は全くないそうでございます。人事以外はないそうでございます。公取ゼロ、環境ゼロ、総理府ゼロ、北海道ゼロ。それが秘になりますと、法務五百六十二、外務五万九千九百十五、大蔵ゼロ、文部四百五十三、厚生三十五、農林百三十一、通産三十、運輸四、郵政百十六、労働百三十一、建設千五百四十、これは人事の秘密とそれから入札関係書類が主としたものでございます。自治百六十、経企ゼロ、科学技術十六、警察七十二、行管ゼロ、公取一万九千八百七十、これは独禁法の規定により秘を義務づけられたものが大部分である。環境二、総理府ゼロ、北海道八十二、これは人秘と主として入札関係であります。  以上です。
  88. 黒柳明

    ○黒柳明君 終わったあとそれいただけますか。  それで私は、先ほど明日の事務次官会議で精神的にはとこうおっしゃって、できれば画一的なものと。その中をごらんいただければおわかりかと思いますけれども、たとえばこの秘密の段階ですね。いま言いましたように、各省庁の文書の交換なんかあるわけです。外務省からいく、それに対して扱い方が困る。ところが、これを見まして、環境庁と経企庁、官房長官持っていればおわかりのように、部外秘、人秘、それと郵政省の人秘、部外秘というのはランクが逆なんですよ。これは省によって、環境庁と経企庁は部外秘が人秘より必要だ、秘密だ。それから今度は郵政省のほうは、人秘のほうが部外秘より秘密度が高い。こういうことも、やはり画一的にわかりやすくやる必要もあろう。まだまだ指摘するとこまかい点で一ばいあります。私そこだけマルで囲んでありますけれども、あまりこまかい点になりますとどうかと思いますので、画一的ということがどの程度口にできるのか、ひとつそんなことも含めて、秘というものは公開ということが原則であるというようなことも非常に前向きに考えておられるようですけれども、そのことも含めて、この内規というものも非常に複雑化しております。それが私たち国会審議をはばんだ今回のようなやはり問題、根本的にはまだ残っておりますね。四百万ドルのことなんというのはまだ問題ですけれども、一応それはおくにしても、今回のようなものをつくったわけでありまして、こういう点につきましても、わかりますか、官房長官。この部外秘と人秘、どうして省によってランクづけが違うのか、わからないじゃないですか、どうですか。
  89. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) それぞれの事情があろうかと思いますが、私自身理解できません。
  90. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこでですね、私は冒頭に申した国政調査権との関係なんです。国政調査権、私たちも当然、政府のほうから資料をいただきまして、それに基づいて責任ある発言をしませんとこれはたいへんだということをしみじみ感じさせられます。そのためにも、私たちなりの調査というのはやはり限度がある。政府からいただいた資料に突き合わせて、責任持ってそして発言するという段階であります。しかしながら、過去におきましても、こういう、失礼ですが、でたらめな資料を取るにもたいへんだった。しかも、このマル秘という扱いになってくれば、なおたいへんだ。ひいて、これをつくる権限が一課長にある、こういうことです。そうすると、この極秘とか、機秘とか、秘とか、こういうものについて、それじゃ国政調査権は、私たち資料要求はどこまで及ぶのか、秘は出ないのか、秘は出て極秘は出るのか、どうでしょう、この問題は。
  91. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私も知悉しておりませんが、元来秘というものは、それを多くのものはいわゆる発表まで秘という取り扱いのもののようでありますので、これらはそのときの事情によって十分資料要求に応じ得るものであると思っております。一つ一つの問題につきましては、国政調査権との間に、内閣官房が統一した出し得べきもの、出し得べからざるものという基準はないようでございます。したがいまして、そのつど各省庁の判断にゆだねておるというのが今日までの実態である。これは私がいま首席参事官に聞いたことをそのままお答えしたまででございます。  そこで、これも先般来私が申しておりますが、戦後四分の一世紀の中にわが国の議会制民主主義というものがそれなりに定着しつつあるとき、事によっては院と協議して、いわゆる秘密理事会であるならば出せるとか、そういうような方法もなじませていくべきではないか、このように思っておりますが、厳密ないま基準がないことを残念に思いますし、また従来各省庁のそれぞれの判断によってお答えしておったということのようでございます。
  92. 黒柳明

    ○黒柳明君 そこにやはり私は大きな問題がある。極端なことを言えば、一課長の気分の問題で、これを出したくない、これはマル秘にしろ、そんなものが一々大臣の裁決を伺うまでいかないと思うのですよ。というのは、問題があるかどうかもわからない資料だって要求するのですからね。その資料をもとにしてさらにいろいろな調査をする場合だって幾らもありますよ。だけれども、その一番、第一歩から極端な話はわかりません。一課長の気分の問題、感情的な問題で、出すのをよそう、こうなるケースだって、現に私は過去に知っている。経験があった。だけれども、これはどうしようもなかった。その裏がこういうまちまち行政、こういうことに大きな原因もあったわけです。だれもきめる人はいない。規格的なものがない。それでありながら、この国の最高の権威のある国会の場において何といってきれいごとを言ってきた。こういう国政調査権が壁をつくられたということが、マル秘文書の作成、しかもある意味においては、私申しましたように、なかなか結論が出ないであろう、国益とは何なのか、それを踏まえて機密とは何であるか、そしてそれを踏まえてきめる人はどこにあるのかという非常に大ワク、ある意味においては憲法の問題までも踏まえての問題の理論に発展しようとしているわけですけれども、それがもっとぐっとたがを締めてみれば、実態というものは、非常に申しわけないが、くだらないことなんです。だれが機密をきめるのか、失礼ですけれども、官房長官のことばを引くと、国民の意思のあるところです。ちょっと私は頭が悪いので理解できない。国民の意思というのは、多数の自民党の意思、そう理解するよりほかない。そうするとまた、政府のという見解になるであろうと理解せざるを得ないのですけれども、そうじゃないのですよ。少なくとも、私は百歩譲って、多数である自民党が決定するのは、これは国民が選んだ自民党だからしようがない。しかし、一課長じゃないですか、一局長じゃないですか。三千からにあがる人が少なくとも権限を持たされているんじゃないですか。それがどんどん判こを押して、どんどんそういう方向にしてきたものが、いままでの少なくとも過去の国会においては、気づくと気づかざるとにかかわらず、大きな国政調査権を阻害する厚い壁になって存在していたわけです。その原因はどこにあるか。決して私は、国民の意思がある政府とか、政府・自民党とかいう問題ではなくて、一課長ですよ。一役人の気分問題でもそういう可能性があったということ、こういうものがいままで存在して、これからも存在するとなったら、何のための国政調査権か、審議か、国会か、ここまで疑わしくなるようなこの現実。機密はだれがきめるのか、官房長官ですよ。極秘はだれがきめるのか、局長ですよ。その中に国家機密もあるであろうということじゃないですか。ではその国家機密はだれがきめるのか、初めは官房長官がきめたのですよ。局長が判を押したのですよ。それが、その中に暴露されてはならない国家機密も存在しているであろうという可能性、そういうものでは、それこそ国家の機密、秘密はだれがきめるのか。国民の意思が存在するどころではない、役人ですよ、端的に言えば。課長さんですよ。局長さんですよ。こういうようにはっきりこれからものが言えるんじゃないんですか。失礼ですけれども、抽象的なおことばあるいはきれいごとなおことばを使わないで、機密は局長、官房長、そして秘密は課長がきめる、その中に漏れてはならない国家の機密もあるんだと、こういう見解のほうが私は正しいんじゃないだろうかと、こう思うんですけれども、どうですか、官房長官。
  93. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 具体的に例示をした御質問でございますので、それ一つ一つ承っておりますと、私も同じ見解に立ちます。そこで、それをも越えてお答えすることは、とにかく秘密というものを減らすことによって国政調査権にこたえていきたい。  それから、もとより、局長、官房長、課長、これらはいわば公務員であります。主権者たる国民への奉仕を行なうという精神に徹しさすことによって、私はすべてが基本はそういう姿勢の問題に立ち返ろうと思いますので、それをも含めて、黒柳委員のそういう御指摘に対して十分沿えるように、いわばうしろ暗さを感ずることがないように、そういうことを私の姿勢として公務員各位にも示していきたいと、このように思います。
  94. 黒柳明

    ○黒柳明君 まだ、この点について議論を展開しますと、非常にやっぱり抽象的、あいまいなところがあるんですが、それはそれとしまして、時間も迫っておりまして——ちょっと三十分休憩しちゃったもんで——私はその次にはいまの外務省の問題を取り上げたいと思うんですよ。  なぜ外務省だけが——外務省の機密の電報を出せと私は言いませんよ、その秘密文書の取り扱いの内規が、なぜ外務省だけマル秘扱いなのか。私見ました、過去に。新聞にも活字になってあらわれております。政務次官の番ですね、今度は。活字になってあらわれています。極秘、秘密、機密、それから決定者は局長以上、課長以上、同じです。防衛庁だって、これは日米安保条約においてのきびしい取りきめがあるんですね、取りきめが。それだって、防衛庁はちゃんと内規に出ていますよ。なぜ外務省だけ出ないのか。マル秘扱いだから出ないと、端的に言えばこういう理由だけじゃないでしょうかね、公表されないというのは。これこそおかしい。ここにあります、全部。一覧になっています。もしこれと違うところがあるのか。外務省の秘密文書取り扱いに対する内規というものは、ほかの各省庁と違う点があるからマル秘扱いで出せないのか、その点、政務次官、いかがですか。
  95. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 外務省の機密保持に関します規則、これは内容を大別いたしますと、その一つは、先ほど官房長官もおっしゃいましたように、その規則をつくります以前に各省の事務次官が集まりまして申し合わせをいたしておるようでありますが、その申し合わせの内容と同一のもの、あるいはこれを受けてそれに類似をしておるもの、そういうものが規定をされておる部分がございます。それから第二には、外務省においての機密を保持する仕組みに関しましていろいろの具体的なことが定められておる部分がございます。  そこで、第一の部分につきましては、その部分だけを取り上げまして公表をするということについては、あえてこれを公表しても差しつかえはないと存じます。しかし、第二の、後者の分につきましては、私どもといたしましては、これを公表することによってあるいは職業的なスパイのスパイ活動を結果として利するおそれのある部分もあると考えております。その部分は私どもは公表をはばかりたいと存じます。しかし、規則そのものはその両部分を合わせまして一体となっておるのでございますから、全体としてこれを公表することは避けたいと思うのでございます。
  96. 黒柳明

    ○黒柳明君 防衛庁のこの文書ごらんになったことありますか。
  97. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 見たことはございません。
  98. 黒柳明

    ○黒柳明君 見たことはない。見たことがないと、防衛庁の秘密文書の取り扱いに対する内規と外務省の内規とどこがどう違うかわからないわけですわね。同じですよ。各省庁とも同じですよ。だから私は言うんです。だから私は、外務省だけなぜ出ないのか、おかしいじゃないか、マル秘だから出ないんじゃないんですかと言っているんです。ほかのはマル秘じゃないんですよ。だからまた初めに戻る。マル秘はだれがきめるのか。一課長がきめるんじゃないですか。機密を出せと言うんじゃないんです。国際的な機密の電報文書を出せと言うんじゃないのです。その文書に対する扱いの内規を出せということで、それが拒否されたわけじゃないんですか。各省ともきちっとこう出て、なぜ出ないのか。マル秘扱い、マル秘はだれがきめるのか。一課長がきめる権限があるんですよ、外務省だって。それが出てこない原因ではないか、それじゃおかしいじゃないですかと、こういうことなんです。どうでしょう、政務次官。
  99. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 防衛庁の当該規則については、いま申し上げましたように、私は知悉いたしておりません。したがいまして、私としては、現在比較することができないのでございますが、わが省の規則にマル秘とついておりますのは、先ほど申し上げましたような理由で、全体として公表することを避くべき規則である、こういう見解のもとにそう申し上げておる次第でございます。
  100. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、わがほうはね、マル秘とついていたら絶対外へ出ませんか。
  101. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 公表することは避けさしていただきたいと思っております。
  102. 黒柳明

    ○黒柳明君 だから、外務省のマル秘文書といったら一通も外へ出ていないのか、間違いなく。
  103. 大西正男

    政府委員(大西正男君) 先ほど官房長官からもお話がございましたが、ある時限を限って秘密でなくなる文書もございましょう。そういう意味で、その文書に対して秘が打ってありましても、ある時点においては秘密でなくなるものもございましょう。また、秘密を特定の手続によって解除される文書もございましょう。しかし、そのもの、その文書自体には秘が従来打ってあるわけでございますから、そういうものが外部に出ることも当然あろうかと思うのでございます。
  104. 黒柳明

    ○黒柳明君 官房長官、外務省のこの内規、これ、国政調査権、この条項を見ますと、当該委員委員長、その請求により当院の議長が了承すれば、これは拒否できないと、こういう国政調査権の条項がありますね。そういう手続を踏んだ場合には、これ出る可能性がありますか、それでも拒否されますか。官房長官。
  105. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) たまたま手元にございますのが実は総理府のと外務省のとだけでございますが、機密保全に関する規則(昭和四十五年外務省訓令第五号)というもので、昭和四十五年六月十二日に決裁し、昭和四十六年七月十七日に改定をいたしたものでございます。で、これは秘、無期限と、このようにいわれております。この理由につきましては、私なりに——私は実はざっくばらんに申しまして、いわゆる暗号電報の内容が入っておるから秘密であると、こういうふうに理解をしておったのであります。ところが、昨日来調査いたしてみますと、いわゆる暗号電報の問題はまた別の扱いになっておりまして、そこに外交上の特色というものがどこにあるかということについてきのう議論をいたしてみましたら、これはわが国の独自性という意味からすれば別でありますが、諸外国においても、米国を除いては、この種の規則は公表されていないということが一点ございます。それから、外務省の場合には百カ所以上の在外公館を持っておる。そういう機構でございますので、外交上の機密に非常に在外公館を持っておるだけに各国ともその関心が深い。関心が深いから、その規則そのものを外に出さないことによって機密事項に接近を容易ならしむる要素を少しでも少なくしておこう、こういうようなのが、私どもが昨日議論をして、私なりに理解した無期限秘の理由はそこにあるというふうに理解をいたしたのであります。  そこで、いま先生おっしゃる国政調査権との問題でありますが、これにつきましては、私なお検討をいたしておりませんので、ここで直ちにお答えするわけにはまいりませんが、おそらく私の予測するところ、国会と協議をした上で、秘密理事会とか、何かそういうところにおいて可能性はあるような感じがいたしますが、これは素朴な感じでございますので、検討の上また正確なお答えは保留をさしていただきます。
  106. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは委員長要望したいのですが、当然予算委員会でも問題になりました。しかし、こういう問題が出まして、ちょうど事務次官会議で官房長官も前向きにということでありますものですから、ぜひとも——まだこれは社会党を中心にした大きな沖繩の密約問題のほんとうの主眼点ではありません、こんな問題。もう入り口にもなりません。しかし、やはりこういうところを突破口にしませんと、今後の私たちの調査権、国会審議が非常に停滞を来たす可能性があるのではなかろうかと、こういうことで、また後ほど理事会にはかっていただきまして、ぜひとも委員長の名において、その書類を当委員会提出していただく努力をぜひともお願いいたしたいと、こう思う次第であります。
  107. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 了承いたしました。後日理事会において黒柳委員の御意見に基づいて検討をし、対処いたします。  私も一つこの際官房長官に伺っておきますが、いままでの質疑を聞いて感じますことは、私は官庁へつとめた経験は持っておりません。全くの野人でありますが、民間団体の慣行から見まして、永久保存とすべき書類——重要書類ですね、その団体にとってはきわめて大事なもの、これは官庁といえどもその例外たることではないと思うのですね。それから何年間期限つき保存というものがありますね。それから二年ぐらいで廃棄する書面もありますね。これは竹下さんも御存じであろうと思うのです、いろいろな団体経営にあたっておられますから。私どもの経験からいって、そういった考え方から見まして、外務省において極秘ないしはマル秘あるいは部外秘というようなものの保存状態はどういうふうになっておりますか。その保存上の分類、保存方法、保存年限、そういうものの規程とかあるいは取り扱いはどういうふうになっておりますか、おわかりになっておればお示しをいただきたい。
  108. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) これは、委員長指摘でございますが、私も委員長と同じような経歴と申しますか、役所につとめた経験を持っておりません。ただ私が知り得ておりますのは、法律等のいわゆる原簿は永久に保存するということは承っております。その他の内容は、それなりの内容に応じて保存期間というものがあるし、そうしてまた、その保存期間がきた場合には焼却をするとかいうようなことを承っておりますが、それでは外務省の御巫総務参事官から具体的にはお答えすることにいたします。
  109. 御巫清尚

    説明員(御巫清尚君) 外務省におきまして、これまで、御指摘のように、たくさん極秘、秘の書類がございますが、その格納等につきましては、厳重に施錠を完全にして格納するよう督励しております。いま御指摘の、一定の期限がきたならば秘、極秘を解除する文書もございます。これは、外務省におきましては、それぞれの文書に、たとえば無期限秘であるとか、たとえば何日には秘を解除する、そういう指定のしかたをしております。それから、後にまた秘を保つ必要がなくなって解除の手続をとる場合もございますので、そういう場合には、それぞれ秘が解除されて普通の文書となると思います。ただ、無期限秘、極秘となっておりますものにつきましても、本来ならば、たとえば外交の歴史を編さんする目的とか、そういう目的のために、相当期間がたっている、当然極秘にしておく必要がなくなった場合には、解除するということを考えるべきでございまして、諸外国におきましてもそういう制度をとっているところがございますので、外務省といたしましても、目下どれくらいの期限がたったならばそういうような手段をとってよいか検討しておる最中でございます。もしその結論が出ますれば、外交資料の編さん等の目的のために極秘を解除する、何年たったら秘を解除するという制度になろうかと考えております。
  110. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) どうもはっきりしない御答弁ですが、いま一応私が聞きたいのは、極秘、あるいはそれに準ずる機密、極秘より機密のほうが保存度が高いと私は思うのですね。そういうものは永久保存ですか。あるいはマル秘のもの、あるいは秘密のものは何年たてば焼却をする、いわゆる解除するということは、保存の必要がなくなったことを意味するのでありますか。あるいは国益になるような機密文書は永久保存であるのかないのか。あるいはマル秘にされた文書は、ある時限で解かれる場合もありましょうが、原則として永久保存であるのか。その辺、どういうように保管、管理がされておるかということを聞いている。
  111. 御巫清尚

    説明員(御巫清尚君) 保存の期間の問題と秘の指定の期間の問題とは若干区別して考えなければいけないかと存じますが、保存の期間につきましては、先ほど官房長官も申されましたように、たとえば電報を書きました場合の、電報の、いわゆるわれわれ原議と申しておりますが、決裁を経ましたもとの書類、これはおおむね永久保存ということになっておりますが、それ以外に、そのたびごとにつくりましたメモのたぐい、調書のたぐいは、保存の期間は、おおむね五年とか、そういう短い期間になっております。で、保存の期間が過ぎれば焼却してしまうということになっております。外務省の慣行といたしましては、通常、一つの案件が、たとえば交渉案件が進行中には、その書類はそれぞれの主管の部局で保存しておきまして、その期間が終わりましたならば、保存期間の過ぎたものは焼却し、永久保存のものはいわゆる記録の倉庫というところに格納して、さらに要らないものは捨てて整理をして保存しておる、こういうかっこうでやっております。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 すみません、時間長くなりましたので、あと一、二問で終わりますから。自治大臣、ほんとうに長くお待たせして申しわけありません。いま官房長官との質疑をお聞きになりまして、当然閣僚の一人として、今後どのようにあるべきか、御感想がありましたらひとつお教えいただきたいと思います。
  113. 渡海元三郎

    国務大臣渡海元三郎君) 私も、本日、黒柳委員からあらかじめ質問内容を通告を受けておりましたので、自治省関係につきまして調べたんでございますが、自治省自治省管理規程というものに基づきましてやっております。しかしながら、元来自治省という役所は、極秘と秘ということで機密という区分はその中に入れておりません。極秘と秘というものはつくっておりますが、本来極秘、秘にすべきような事項を持っておりません。ただ行政の立場上、公表まで秘という取り扱いがあるというのが実情でございます。いま官房長官が読み上げられました——したがいまして秘匿するもの百六十一件というものをあげておりますが、その分も他の役所からの受け取ったものが主でございまして、自治省本来のものでございません。そういった性格上、規則はつくっておりますが、この規則どおりに管理していると、扱いをみなが熟知して規則どおりにやっておるということが非常に徹底してないといいますか、認識が自然そういうふうな関係で少ないんじゃないかと思います。示されましたこの規則の根本になっております、公表を原則とするんだ、極秘文書はできるだけ少なくするんだという規則をよく知らすことによりまして、たとえ公表までの間にしましても秘と打たれた文書が、公表が終わったんでございますから、秘を消さなければならないものが徹底されておらないというふうな点もあるのじゃないかと、かように考えますので、今後、趣旨を徹底さすとともに、扱いにつきましては厳格に扱うように処置いたしたいと、自分の省に対してそう感じた次第でございますが、せっかく官房長官がおられますので、あしたの事務次官会議に、このことを各省事務次官に通達されると申しますか、申し渡されると思いますが、実際において私らと同じような規則の扱いをしておる役所もあるんじゃないかと思いますので、私の一端を——そばで聞いていまして、その点を考えて御指示を賜わることをぜひとも期待いたしたいと、かように感じながら質問を承っておった次第でございます。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 委員長、すみません、おそくなりまして。最後に、官房長官、先ほどから言いますように、機密とは何か、だれがそれをきめるのか、私はもう、こういう書類をいろいろ調べ、過去のこういうマル秘の書類を見て、また私の経験から反省した場合、考えた場合ですね、これはもう、事務次官を明日招集するわけですけれども、そしてこの秘密文書に対する内規をつくる、事務的にはやっぱり全部官房長官だと思うんですよ、これは。国民じゃない。政府というばく然なことばじゃない。官房長官当人が、当然総理の意向を受けるんでしょう、各大臣の意向も受けるんでしょう。しかし、主体的には、事務次官会議の主宰者である官房長官、これが事務次官に命じて、要するにどういうランクをつけるか、だれにこの秘密決定権限を与えるか、こういうものに基づいて各省庁が事務的にその運用をやるわけですよ。ですから、あなたね、これはもう具体的に言うと、官房長官がどうこれをランクづけするか、決定権限を与えるか、あるいは秘密の保管をどうするか。当然私は、何も国家機密がないなんということを考えておりません。機密は機密なりに厳重に保管すべきであります。しかしながら、そういう保管すべきものも含めて、それがかえって秘密主義におちいっているんではなかろうかという疑惑がいま国民の目の前にさらけ出されてあるわけですから、具体的に官房長官がこの権限を持っているなら、ひとつ明日の事務次官会議で抜本的にやっぱりこれを改正する必要がある。私は何も部外者としてそんなことを一々口をはさむ権限もありませんけれどもね。要するに、先ほど言ったように、課長以上といったら多過ぎますよ。御存じのように、ペンタゴンの機密文書が漏れた。アメリカでもその秘密の権限を持つ人を半分にしたというんでしょう。思い切ったこれは処置ですね。これは日本でできるかできないか、それはわかりません。お役所の制度は複雑でしょう。しかしながら、そこも一つのやっぱり着眼点ではなかろうか。さらに、だれがきめるのかを内規で明記してないような省は、それこそ雑なやり方をしているんではなかろうか。あるいは、各省との事務分野が違うにせよ、少なくともこの文書が行きかうときに内外でも局長が困るなんというようなことを言うような、そういうランク別にするなんということも、これも何とか当然しなければならないのではなかろうか。こういうきちっとした中に襟度がやはり保たれていくのではないかと思います。それをきめるのは、私は、国民の意思の存するところでも、あるいはマスコミと国会が監視するところでもなくて、官房長官の全部の責任だと思うんですよ。それが今度は事務的にきちっとやってもどうなるか。この可能性はゼロじゃありません。少なくとも一〇〇%そういうワクがきちっとして、それでもなおかつ事故が起きれば、これはもう人事の及ぶところじゃないと思うんですけれども、ひとつこの際、まあ沖繩の密約問題等とこれはまた理論発展するところであります。私はこんなところをきょうここで論議してもいたし方ありません、また後日に譲りますけれども、少なくともこういう問題について、でたらめなマル秘文書があまりにも多過ぎて、各省ばらばらの行政が、それか国会の国政調査権、審議というものをはばんできた、将来も可能性がある、こういうことを含めまして、ひとつあしたの事務次官会議で、抜本的な改正案、思い切ったこの改革案というものを示して、その中でこそほんとうの国家機密が保たれるんではなかろうか、こういうふうに思っていますが、私の所感を述べて、御意見を賜われればと、こう思いますが、ひとついかがでしょう。これでおしまいにします。
  115. 竹下登

    国務大臣(竹下登君) 私は、四十年の事務次官会議の申し合わせの趣旨をまず徹底させておったならば、このような御指摘もいま少し少なくて済んだのではないか、すなわちそういう申し合わせの趣旨が徹底していなかったからこそもろもろの御指摘を受けたと思います。したがいまして、四十年の事務次官会議の申し合わせというものの趣旨をいま一度各省庁の事務の最高責任者である事務次官に徹底していただきまして、その上で、新たに私が考えておるいわゆる会議の時期等と、それからいま御指摘のありました権限を持つ者の再調整と申しましょうか、そうした点を踏まえて、まず事務的にこれらの整理を副長官、首席参事官等の手元でやりまして、私がいましかと承りました御意見に基づいて最終的な決定をしたいと、そうしてきょうの御議論の御趣旨に沿っていこうと、このように申し上げまして、私の所見を終わらしていただきます。
  116. 足鹿覺

    委員長足鹿覺君) 他に御発言もないようですから、自治省及び労働省関係決算につきましてはこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十分散会      —————・—————