○
加藤シヅエ君
野鳥のことまで考えるようになってくだすったことはたいへんな進歩だと思います。それは、いままで全く鳥のことなんかは考えられなかったのが
日本のお
役所の姿でございます。
それで、いままでも油が流れて、ことに
日本海のほうではずいぶんこの油濁のために鳥が死んでいるわけでございます。ところが、鳥が死んだといっても、
新聞記者もこれをごユースにしてくれないそうです。そうして、その鳥は油でもう固まって、まるでコールタールの固まりみたいになって打ち上げられている。そうすると、
子供もこれが鳥かどうかといってふしぎがるほどひどい死に方をしている。
新聞記者にこれを見せても、これが鳥ですかといって、ちっとも
ニュースにしてくれないというような
状況でございましたから、まあお
役所でもそんな
ニュースにもならないことに何にも手をお打ちになるということもなかったわけだと思います。しかし、今度は
環境庁というお
役所ができまして、
鳥獣保護課というものが今度できましたし、この
条約もできましたから、いままでのように鳥、だからといってほうっておくということはできないはずでございます。それは、鳥というものと
人間の
生活環境というものが非常に密接な
関係があるために、鳥がこういうような死ぬ
状態は
人間にとっても非常におそろしいことだという、そういう
認識から起こることだと思います。いままでは魚が死んだということになれば、食べものに
関係するから、すぐに補償しなくちゃいけないとか大騒ぎをする。鳥の場合には、非常にそういうことに対して見のがされがちであった。そうして、もう
一つ驚くことは、いままでそういうような問題につきまして、
日本海の海のよごれの
状況などを調査する
取り締まり官庁が
会議を開かれましたときなんかには、たいへんなたくさんの
廃油が捨てられているというような事実で、そこに鳥が死んだというようなことが発表されましても、たかが鳥のためにそんなに騒ぐことはない。マスコミに対してよけいなことをしゃべることはないというようなことを、
会議を開かれたときの一番の
トップの方の
発言として、そういうことがあったそうでございます。で、それは、後日、非常に
新聞で発表されて問題になりまして、そういうような
発言に対しては、これは反省するということで結着したそうでございますが、これは一昨年の話で、一昨年あたりまではそういう
態度であった。こういうわけでございますから、これはもうほんとに、急速にこのおくれを取り戻していただかなくちゃならない。ことに、今度
環境庁長官がストックホルムの
会議においでになる途中、モスクワに寄って、
日本と
ソ連との
渡り鳥の協定についても下話を進めようという意図があるというような
お話でございましたが、
ソ連との
条約ができるということになると、
日本海のほうの
汚染の問題が非常に影響してくるわけでございます。で、
新潟港と富山県の
伏木港、これはもう非常によごれているという
状態でございますが、そのよごれの
状態はいまのところどういうふうになっておりますか。その一番のよごれの原因はどういうところからくるんでございますか。もしわかっていらっしゃいましたら、御説明いただきたいと思います。