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加藤シヅエ君 それはもちろんそうだと思っておりましたけれ
ども、特にこれを確認する必要があるのは、尖閣列島は絶滅に瀕する鳥類がいるところで、非常に注目されているところでございますので、やはりこれが
日本国の地域であるということになれば、ここに絶滅に瀕する鳥がおりますので、これに対しても配慮しなければならないということでございますから、それもひとつ覚えておいてい
ただきたいのでございますが、いま絶滅に瀕する鳥ということで、私が、もっと早くこういうような
条約ができれば絶滅に瀕さなくてもよかったということは、これは
日本だけではございませんで、
アメリカでもそうでございます。けれ
ども日本の場合には、そういうことについて非常に注意が足りなかったし、関心も薄かったために、あたら大事な天然資源を絶滅に追いやっているわけでございます。それは
日本人の鳥とか花とかというものに対する態度というものに少し問題があるんじゃないかと思います。
日本人は花を愛し、鳥を愛し、自然を愛し、いろんな文学の上にそういうことがよく表現されているということで世界から知られているわけでございます。にもかかわらず、国全体の財産であって国の子孫にこれを伝えていかなければならないという
考えに乏しくて、
自分だけがこれをとってこよう、
自分の家の床の間にいけてしまう、
自分のこれを産業の
一つとしてこういうものを使うというような
考えにそれがつながっているというところにたいへんな
日本人として反省すべき点があるんじゃないか。現に、けさちょっとニュースを聞いておりましても、どういうニュースがあるかと言えば、北海道であの美しいエゾリンドウと申しますか、美しい花でございますが、あれが観光客やいろんな業者にとり尽くされてしまって、全部絶滅に瀕そうとしているというようなことが
一つのニュースとして出てくるわけでございます。そういうようなことは、これは環境庁のほうで自然
保護の上からおやりになると思うが、次から次へこういう問題が起こってくる。
日本人がそういうような態度であるということが、ことに絶滅に瀕する鳥の問題については不名誉な印象を国際的に与えているということでございます。この不名誉はこれは今後挽回していかなくちゃならないのでございますが、いま尖閣列島のこと伺いましたのは、尖閣列島はアホウドリが少し残っているという報告があるわけでございます。それから
日本の伊豆七島の
一つの鳥島にも少し残っている。ところが鳥島なんかには、昭和の初期の
一つの視察の記録なんか見ますと、たいへんたくさんの数のアホウドリがここにいたわけでございますね。これを羽毛産業にするために取り尽くしてしまって、ほとんど、いまでは非常に少ない数しか残っていないので、繁殖するためにも非常に骨を折らないと数が少なくなるので繁殖もむずかしい。まあ、その世話をしなくちゃならない。また報告もしなくちゃならないということが義務づけられているわけでございます。このアホウドリなんかに対してどんなことをしてきたかということなんでございますが、ここに、これは
アメリカの、
アメリカン・ナチュラル・ヒストリーでございますが、その中にアホウドリの歴史が書いてあるのでございます。それでハワイの島から少し離れたところのレイサンという島にアホウドリがたいへんたくさんいたんだそうでございますね。それでこの島は全部アホウドリでもってカバーして、三十万羽くらいの鳥がそこにいたんだそうでございます。ところが、
アメリカの欲の深い業者が目をつけて、このアホウドリの羽毛が非常に羽ぶとん、羽まくらによろしいのでこれをとろうということを
考えた。ところが、こんなにたくさん狭いところへ一ぱい群がっている鳥を殺してとるということはたいへんなことらしいんです。どうしようかと
考えた末に、それには冷血漢の
日本人を頼むのが一番いいと、こういうことに結論がついたんです。それがちゃんとここに書いてあるんでございますね。それで二十三人の冷血漢が雇われて、そして数カ月の間に三十万羽のアホウドリを全部殺してしまった。それがひどい殺し方をして、それに気がついて
アメリカの海軍の船がそこへ行ってキャプテンがすぐにそれをとめるために行ったんだそうでございますけれ
ども、到着したときにはすでにおそく、その島は、鳥でカバーされていた島は全島が骨でもっておおわれているという写真がここに出ているんで、実にこれは鳥の歴史の中の残虐な歴史の一ページなわけです。それが冷血漢の
日本人によってなされたと、こういうふうに書かれているのでございますから、こういうふうなことは、これに
関係した人はこれをみんな読んで知っておりますので、どうか冷血漢の
日本人というような、鳥に対してこんなところに利用されるというようなことの汚名をぬぐうためにも、この協定につきましては十分な、
日本人が
ほんとうにりっぱな態度をとっているというふうにしてい
ただかなくちゃならない、こう思うわけでございます。
それから、アホウドリはちょっと手おくれのようでございますが、天然記念物のタンチョウのツル、これが釧路のほうにいるわけでございます。このタンチョウのツルはまだ二百羽、それくらいの数が残っているそうでございまして、これも危険に瀕している種類なんでございます。ですから、これはやはり
アメリカで非常に目をつけて、どうなっているかということを目をつけておりますし、
日本でもこれをこれ以上数を減らさないように
保護していかなくちゃならないので、これについてはどうなっておりますかといろいろ調べてみましたところが、最近になりまして
アメリカのコーネル大学を卒業なさいました若い鳥の専門家の方が釧路においでになって数カ月滞在して、
自分の費用でヘリコプターを雇って、上からこのツルがどういうふうに巣をつくっているか、どんなふうに分布されているかというふうな、そんな実情を全部
自分の費用でもって調べて報告書をつくっていらっしゃるそうでございます。そして問題は、昨年あたりだいぶ、三十三羽ぐらいのツルが高圧線に接触して死んだんだそうでございます。昨年は特別に多かったんだそうでございますが、相変わらずちょくちょく高圧線に触れている。これはたいへん困ったことだから、絶滅に瀕する鳥類を
保護するというこの法律の手前、これはどうやって
保護するんだろうか、それで
アメリカ人の方は、この高圧線を埋没して、ツルがそれに引っかからないようにすべきではないかという
意見をラジオで述べられました。で、私もちょっと聞いたのでございますが、二百キロにわたる高圧線全部を埋没するのにはたいへん
お金がかかるので
現実問題としてはできないので交通危険信号を高圧線につけてタンチョウヅルに気がついてもらうのが精一ぱいのいまのやり方なんでございますが、
日本の現状では困難でございますが、こういうようなことを一々これから報告していかなければならないわけでございます。こういうような報告とか研究とかいうことについては今後どんなふうにやっていらっしゃるのか、それをちょっと聞かせてい
ただきたいと思います。