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1972-05-23 第68回国会 参議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年五月二十三日(火曜日)    午前十時十二分開会     —————————————    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      橋本 繁蔵君     今  春聴君  五月二十二日     辞任         補欠選任      星野  力君     岩間 正男君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         八木 一郎君     理 事                 石原慎太郎君                 佐藤 一郎君                 山本 利壽君                 森 元治郎君     委 員                 杉原 荒太君                 塚田十一郎君                 増原 恵吉君                 加藤シヅエ君                 田  英夫君                 西村 関一君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 渋谷 邦彦君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    国務大臣        外 務 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        外務省アジア局        長        吉田 健三君        外務省条約局外        務参事官     穂崎  巧君    事務局側        常任委員会専門        員        小倉  満君    説明員        防衛庁長官官房        防衛審議官    大西誠一郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその  環境保護に関する日本国政府アメリカ合衆  国政府との間の条約締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査  (日米安全保障条約等に関する件)  (ベトナム問題に関する件)  (日中国交回復に関する件)     —————————————
  2. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。去る五月十七日、橋本繁蔵君が委員辞任され、その補欠として今春聴君が選任されました。また昨二十二日、星野力君が委員辞任され、その補欠として岩間正男君が選任されました。     —————————————
  3. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の条約締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。福田外務大臣
  4. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する日本国政府アメリカ合衆国政府との間の条約締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、米国との間に渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類並びにその環境保護に関する条約締結するため、昭和四十三年以来二回にわたり日米間で専門家会議を開催する等かねて米国側と話し合いを進めてきました結果、本年三月四日に東京において、日本側大臣米国側マイヤー日大使との間でこの条約に署名を行なった次第であります。  この条約は、前文、本文九カ条及び付表から成っており、そのおもな内容は、次のとおりであります。  まず、日米間の渡り鳥につきましては、その捕獲及びその卵の採取は、禁止されるものとしており、生死の別を問わず、不法に捕獲されもしくは採取された渡り鳥もしくは渡り鳥の卵またはそれらの加工品等の販売及び購入等も禁止されることとなっております。もっとも、科学的目的等のためのまたは狩猟期間中の捕獲及び採取等一定の場合には、それぞれの国の法令により、捕獲及び採取の禁止に対する例外が認められることとなっております。  次に、絶滅のおそれのある鳥類につきましては、その保存のために特別の保護が望ましいことに同意し、これらの鳥類及びその加工品の輸出または輸入を両国が規制することとしております。  以上のほか、両国は、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類の研究に関する資料及び刊行物を交換することとし、また、渡り鳥及び絶滅のおそれのある鳥類環境を保全する等のため適当な措置をとるように努力することにいたしております。  なお、この条約附表は、日米間の渡り鳥として百八十九の鳥類の種を掲げております。  鳥類及びその環境保護に関する国際的協力機運は、近年とみに高まりつつありますが、この条約締結は、日米両国における鳥類保護に対する関心を高めるのみならず、右の国際的協力機運をさらに高めることになるものと期待されます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 引き続き補足説明を聴取いたします。穂崎条約局参事官
  6. 穂崎巧

    政府委員穂崎巧君) ただいま提案理由説明のございました本件につきまして、簡単に補足説明をさせていただきます。  この条約附表は、この条約保護対象とする日米間の渡り鳥として百八十九種の鳥類を掲げておりますが、わが国に生息する渡り鳥は三百四十一種にのぼり、また、日米間の渡り鳥日本と第三国との間を移動しておりますので、わが国に生息する渡り鳥保護をより効果的にするためには、これらの鳥が移動する他の関係諸国ともその保護につき協力していくことが必要であります。政府としては、かかる協力を今後とも一そう拡大していくため努力する所存であります。  この条約は、渡り鳥とともに絶滅のおそれのある鳥類保護についても規定しておりますが、絶滅のおそれのある鳥類として日米間で現在考えられておりますのは、日本ではタンチョウ、アホウドリ、トキ、コウノトリ、ノグチゲラ等二十八種類アメリカではハワイガン、ハクトウワシ、アメリカシロヅル等四十六種類があります。なお、この条約に従い絶滅のおそれのある鳥類の輸出入を規制するための特別法として特殊鳥類譲渡等の規制に関する法律案が今国会に提出されましたことは御承知のとおりであります。
  7. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 以上をもって説明は終了いたしました。本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。     —————————————
  8. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 次に、国際情勢等に関する調査議題といたします。  これより質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 羽生三七

    羽生三七君 去る五月十五日沖繩返還されたわけでありますが、その返還後間もない沖繩B52が飛来をしたり、あるいは佐世保横須賀、あるいは岩国、あるいは広島地域等からも、船艦あるいは航空部隊あるいは補給のためと称する弾薬搬出等、さまざまな問題がいま起こっているわけでありますが、この際、この問題に関連して、特に事前協議の問題を中心外相お尋ねをしたいと思います。  政府は、今日までこの委員会その他を通じまして、しばしば、返還後の沖繩B52の移駐はないと言ってまいりましたが、今回のことが、理由はいかにせよ、飛来であることは間違いございません。これに対して政府は何らかのアメリカに対して意思表示をしたのかどうか、まずこの点からお尋ねをいたします。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 過日、アメリカからその点について話があったわけです。あれは五月二十日の朝七時にアメリカから、B52が三機気象状況のため嘉手納飛行場着陸をいたしたい、こういう通報があったわけであります。わがほうといたしましては、まあ気象状況で不時着だと、こういうことで、これはやむを得ない、こういう御返事をいたしたわけです。その後連絡がありまして、その飛行機気象状況のため給油が空中において非常に困難になったと、そういうことから着陸するものであると。さらに、着陸いたしますが、数時間の後に飛び立って東方に飛行いたします、こういう話であります。さらにその後確認をいたしましたのでありまするが、その東方というのはグアムのことでありました。そこで、アメリカ側に対しましてはその三機のグアムに飛び立った日時を、時間を確認した、大体午後一時ごろには飛び立っておるわけであります。で、同時にこの着陸の性質を問いただしたわけですが、これはあくまでも一時着陸である、こういう性格のものであり、移駐ではありません。それからさらに、わがほうといたしましてはこういうことが反復されるということは困るという話をしたわけであります。そういうことは反復しないようにいたします、しかし一時、気象のための着陸でありますので、今回のことは了としてもらいたい、こういう話であります。それからさらに、今後B52がわが国移駐をするようなことはないかというと、その見通しはないと、こういうまあ返事でございました。私どもといたしましては、そういう状態下の一時着陸でありますので、これはやむを得ざるものとしておりますので、最終的にも承認いたしました。まあ今後移駐につきましてはアメリカの言明、そういうものに対しまして、厳にそれを励行してもらいたい、かように考えるわけです。
  11. 羽生三七

    羽生三七君 今回のことについては、それでは抗議をしたことはないということですね。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 抗議はいたしません。これは一時着陸したいと、しかも気象のために着陸したいと、これに抗議をすると、さようなことはいたしません。しかし、もう移駐ということですね、そういうようなことにつきましては、これは厳重に注意してもらいたい、こういう要請をしておりまして、アメリカもその旨を了といたしております。
  13. 羽生三七

    羽生三七君 それは天候のためと言われますけれども、あの時点では悪天候はなかったということは、これは天下周知の事実ですね。したがって、今回の沖繩への飛来は、グアム島の基地沖繩基地とのベトナムに対する距離的な見地から、今後とも沖繩を使用することが有利であるという判断から、それを今後ともそういうことができやすくするための布石とも考えられるけれども、そういうことはないでしょうか。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当方がアメリカ大使館と会談をいたしましたところでは、さような考え方は毛頭認められないと、かように考えております。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 単に沖繩への今回のB52の飛来のみならず、まあ飛来そのものがたとえば数時間の給油にすきなかったとしても、——これはあとから詳細に私日本姿勢そのものについては触れたいと思いますけれども、たとえ数時間の給油であったといえども、私はそういうことを認めるべきではないと思うんです。私は、直にいまそういうことが日本にはね返ってきて、日本戦争に巻き込まれる危険性があるとは私は言いません、そうは言わない。ただ、このようなことを通じて日本ベトナム戦争に対する協力という姿勢が問われることになる。でありますから、それは問題の大きい小さい、即時危険が招来するかしないかという問題ではない、日本政治姿勢の問題になってくる。そういう意味で、私は、たとえ数時間の飛来であっても、これを軽く見てはいけないという、そういう立場で厳重にアメリカ抗議をすべきである。その飛来が、直ちに日本戦争に巻き込まれることにつながるとは私は言っていない。日本政治的姿勢の問題、基本的なこの姿勢の問題にかかわることとしてこれを私は重く見ておる。この点についてのお考えを承りたい。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 気象関係で一時着陸をいたしたい。しかも、それを着陸前、一時間前にわが国通報してくる。私は、アメリカとするとかなり丁寧な措置をとったと、こういうふうに思うのです。しかも、いま私は申し落としましたが、これは武器は一切積んでおりません、そういう状態においての着陸であります、了承を願いたい、通報いたしますと、こういうことです。これは事前協議の問題じゃございませんと私ども考えておったわけでありまするけれども、とにかくそういう通報をしてきた。しかし、これが移駐につながるというような傾向があれば、これは大きな問題である。私どもはその問題につきましては厳格に対処しなければならない、そういうふうに考えまして、その点のだめ押しをした。そういう、それだけの注意深い態度をとっておるということです。ひとつ御理解のほどをお願いいたします。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 理解はしませんが、これはあとから、本質的な問題はあとから質問させていただきます。  続いて、この北ベトナム港湾封鎖のために大きに米軍が行なった機雷敷設というような行動は、私は明らかに事前協議対象となるべき戦闘作戦行動の一部と思います、これは日本から発進した場合ですよ。この判断はどうお考えになりますか。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日本基地発進いたしまして機雷を敷設する、その敷設行為が直接戦闘行動であるかどうか、そういうことですね。それはとった行動の、また、作戦地域状態判断して見なければならぬと、こういうふうに思う。私は一般論を申し上げている。そういう際に、これは直接、密接な作戦行動一環である、そのためにわが国基地発進したのだと、こういうことになりますれば、私はそれは事前協議対象となる。しかし、機雷を敷設した、戦闘作戦行動には関係がないというケースもあるいはあるかもしれません。そういう際にはこれは事前協議、その対象になり得る性格のものではもとよりない、そういうふうに思いますが、しかし、今度は現実の問題です。現実の問題といたしますと、わが国基地発進して直接今回のベトナム諸港の封鎖そのための機雷敷設、そういうことはやっておらぬ、こういうふうにアメリカ側から確答を得ております。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 アメリカ側はどう言おうとも、先ほどもちょっと触れましたが、佐世保、あるいは横須賀岩国基地、あるいは広島等地域からの米軍の出撃、あるいは器材の搬出弾薬の輸送、これらはいま北ベトナム港湾封鎖等中心とする戦闘作戦行動密接不可分関係を持つ行為判断して差しつかえないんじゃないですか。これは決定的だと思いますけれども、それは何も関係ないとアメリカが言ったって、だれが見たってこれは明らかに戦闘作戦行動密接不可分関係にあることは、これは自明の理であると思いますが、それをなぜ事前協議対象とされないのです。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 機雷敷設のことをいま御引用ですが、わが国基地から機雷敷設のために直接飛行機発進をしたと、そういうふうなことはない、こういうことを申しておるわけであります。おそらくそういうことはないんだろうと私どもは確信をいたしております。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 外相は、四月の予算委員会の第二分科会で、この事前協議問題に関する私の質問に答えられて、この問題は実態に基づいて判断すると、こう答弁されたわけですね。ゆっくり、実態を見てから緊急事態判断することで間に合うでしょうか。たとえば、今回の場合がそれに該当すると思うのですね。私は、客観的に見て、これは密接不可分関係にあると思いますけれども、これは、あとから実態判断することになるわけですね。ですから、緊急事態判断する場合に、あとからそれを判断してこれは間に合うかどうか。あとまた、これを続いてお伺いしますけれども、まずこの点から、間に合うかどうかというこの点からお伺いします。
  22. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、私は、事前協議対象となすべき事項につきましては、いかなる緊急な事態におきましても事前協議を求める、こういう考えであります。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 それで、今回の一連のアメリカ行動は、それこそ私は実態に基づいて判断すべきだと思う。その実態というのは、ベトナム戦争の激化でアメリカ北爆を強化したり、あるいは港湾封鎖をやったり、いよいよ戦闘作戦行動を強化しておる。その重要な作戦行動発進基地の一つとして日本が存在しておる。このことはまぎれもない事実だと思うのですね。そうでないのに、一体、どこかへ飛来——南方のほうへ飛んで行ったという、そんなことはあり得ざることですね。それを目的として飛んで行くわけです。ですから、そういう意味での大局判断実態という問題を把握しなければ、これは、外相先ほど来の答弁のような形でいくならば、これはあとからもっと詳しく触れますけれども事前協議対象となるようなことは、永久に、前にもなかったし、今後も起こらないことになるのではないでしょうか。
  24. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) くどいようでまことにこれは恐縮なんですが、事前協議制度というのは、一体、どういうために存在するか。私どもは、羽生さんと違いまして、日米安全保障条約はこれを堅持する、こういう考え方をとっているわけですね。しかし、日米安全保障条約、これは日本にとって絶対不可欠なものである、こういうふうに考えておりますが一しかし、この運用を誤りますと、あるいは戦争に巻き込まれるというような危険なしとしない。それはなぜかというと、一番大きな問題は、わが国自体戦争の当事者でないにかかわらず、今度はその基地として用いられる。わが国米軍基地米軍作戦行動基地として用いられる。そういうことについては、この安全保障条約運用上、特に慎重に対処しなければならぬ、こういうふうに考えるわけなんです。いわゆるその安全保障条約の歯どめ——歯どめと言われるゆえんもそこにあると思うのでありますが、そういうことをいつも私どもは念頭に置いておるわけで、その立場安全保障条約、特に事前協議制度運用に当たるわけでありますが、ベトナム戦争——今度は現実の問題になりますと、これは非常に遠い地域です、わが国といたしますと。ですから、いわゆる極東の周辺という概念には入りまするけれども、これがわが国が直接の戦闘作戦行動基地として使用されるような客観的、地理的条件下には置かれておらぬ、こういうふうに、これはまあ常識論になりますが、そういうふうな状態ではなかろうか、こういうふうに思う。しかし、それにもかかわらず、兵器、技術の進歩がありますから、わが国基地ベトナム戦争作戦行動基地に使われることがあるかどうか、こういう問題でありますが、私は、まあそういう地理的な関係にあるベトナム半島、また日本国という関係から見ますると、まず直接の戦闘作戦行動基地として日本米軍基地が使 れるということはまあないだろうというようには一応思いますが、しかし、念には念を入れなければならぬというので、事前協議制度運用には注意いたしておるわけなんであります。  それからアメリカも、特に沖繩が五月十五日にわが国施政権返還と相なったそのことについては、十分にその意義理解しておるわけであります。ベトナム戦争に対する沖繩返還意義影響、そういうものにつきましても十分な理解を持っておるわけです。そういうような状態下でありまするから、これもまた、米軍側においても沖繩基地の運営、これには注意をしておる、そういう状態でありまするから、私は事前協議対象となる、つまりわが国米軍基地戦闘作戦行動基地として使用される、わが国基地戦闘作戦行動一環として理解をされるというようなことには、まずまずこれはなることはあるまい。また米国側からそういうふうにいたしたい。つまり在日米軍基地をそのような方向に使いたい、こういうような申し出がありましても、これははっきりとお断りを申し上げたい、こういうふうに考えており、アメリカ側にもその旨を通知しております。アメリカ側も非常にわが国立場というものには深い理解を持ち、また、ベトナム戦争に関する日本側基地運用、そういうものにつきましては慎重でございます。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 深い理解を持つといわれるアメリカが、今度沖繩B52を飛来さしたのですが、それはいま外相は何回も繰り返されますけれども悪天候のためじゃないのですよ。悪天候なんか存在していなかったというのが一般的な常識にいまなっております。その時点には悪天候と称するような気象条件はなかったという、そういうことです。
  26. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 悪天候と申し上げておるのじゃないのです。気象条件です。当日の気象条件というのは、これはグアム周辺天気がよかったようです。天気というか、気象条件はよかったようですが、気象条件沖繩周辺においては悪かったんだというふうに私どもは承知しております。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 それはことばのあやで、実際上最初悪天候と称しておって、気象条件といってない。最初悪天候といっておって、その後だんだん表現を変えていったんですが、まあそれはいいです。  そこで、日本政府の今日の態度を見ておりますと、一九六九年日米共同声明で、沖繩返還後もベトナム戦争が続いている場合、「米国の努力に影響を及ぼす」となく沖繩返還が実現されるように、」再協議を約束した。ところが再協議をするような事態は現時点ではない。ないが、再協議を求められたも同じような心境日本政府アメリカに対処しておるのじゃないのですか。私は再協議を求められたとは思いません。求められることはないのでしょう。またアメリカは求めようとしないかもしれない。それはなぜかというならば、一々べトナム戦争のために日本基地を従来どおり使わしてくださいなんということは言いっこないですよ。既成事実を一つ一つつくり上げていく。そういうやり方ですから、そんな再協議を私は求めないと思う。その場合、沖繩返還に関連して再協議を求められたと同じ心境外相アメリカ行動に対処しておるのじゃないでしょうか。
  28. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 沖繩が五月十五日以降わが国に返ってきた。これは安全保障条約から見た沖繩性格を一変させるものであるということは、アメリカ側にもよく、これはまた念のためですよ、申し伝えるとともに、アメリカ側はそれを聞くまでもなく、よく理解をいたしておるわけであります。沖繩は五月十五日以降安全保障条約制約下に入る、この点につきましては、日米両国、一点の疑いもないんです。そういう状態下において、アメリカ側もこれは非常な理解を持って行動をしておる。ただ、補給補修ですね、これはわが国といたしましても、安全保障条約のたてまえでこれは認めるというんですから、この補給補修のことを言われても、私どもとしても何ともお答えのいたしようはございませんけれども、しかし、いやしくも、わが国基地米軍作戦行動一環としてこれを使用するということにつきましては、断じてそれがないように、アメリカ側においても注意をいたしておりますが、わが国といたしましても、万一さようなことがありますとたいへんなことだと。そういうようなことで、厳重にこれはアメリカ側にも申し入れをいたしておる、そういうのが実際であります。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 いままでのような、また、いまのような外相考えなり、それから従来の日本政府態度である限り、厳重に申し入れするようなことは起こらないんじゃないですか。というのは、結局、日本からの発進時に直接アメリカから戦闘作戦行動命令アメリカ部隊が受けていない限りこれは事前協議対象にならないと言えば、私は、この前の予算分科会のときにも詳しく申し上げたように、これからどこそこへ爆撃に行くからそのために発進をする、御了承願いたいなんていうことを言うはずはないですね。したがって、そんなことを今後とも言うことはないと思いますから、だから客観的にその事態をどう判断するかにかかっておる。したがって、アメリカが直接戦闘作戦行動命令発進時に出さなかったと説明しておる限り、これは今日までもそうだったごとく、今後といえども、絶対事前協議という問題は議題として起こることはないんじゃないでしょうか。そうでなしに、実質上、客観的な事態実態判断して、それに対して適切に対処していくというのが、そもそもこの歯どめの持つ意義、役割りではないでしょうか。
  30. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 結局、くどいようでありますが、日本基地戦闘作戦行動基地として使われるということになるといろいろむずかしい問題が出てくると、こういうふうに思うんです。そこで、わが国戦闘作戦行動基地として使われないようにという配意はしなきゃならぬ。しかし、配意をしなければならない事態があるいはあるかもしれませんけれども、私は、現実の問題として、ベトナム戦争、これはもう遠いベトナムの問題でありますので、そういう事態は大体なかろうかと、こういうふうに思っておるわけでございますが、それにしても、万一のことについて配意をしておるわけなんです。そこで、わが日本基地戦闘作戦行動一環として使われるかどうかということは、わが国において武装をし、そして戦闘の目的をもってベトナム方面に立ち向かう、こういうこと——そういう実態です——があるかどうか。これはまあ判断が非常にむずかしい問題でありますが、しかし、一番端的にそれを証明するという事態、これは、作戦行動命令を受けておると、こういう事態であると、こういうふうに思いますが、しかし、作戦行動命令をかりに受けておらぬといたしましても、実態といたしまして、確かにこれは完全武装しておる、そしてベトナム水域に向かうんだ、こういうようなことでありますれば、これはまさに私は事前協議対象になり得るものと、なすべき問題であると、そういうふうに考えます。
  31. 羽生三七

    羽生三七君 結局、いま申し上げたとおり、発進時に、直接命令を下したとアメリカが言わない限り、私は、今後とも、事前協議というものが歯どめの役割りを果たすような機能を発揮することはほとんどないと、あり得ないと思う。事前協議制度は空洞化と言われているが、空洞化というものは、前に何らか実績があって、それが漸次骨抜きになったのが空洞化ですが、いまの事前協議という制度は、制度的にまだ明確化されていない点もあるけれども、この事前協議という問題は、そもそも最初から空洞なんですね。外相のいまの態度である限り今後とも空洞化を続けると。前に実績があって、だんだん骨抜きになった空洞化じゃないんです。もう全然そういうことをやる意思もなければ、また、そういう過去の実績もない。そんなことでどうして歯どめの役ができるか。私は、先ほど来申し上げますように、いま、ベトナム戦争日本がとっておる若干の行為が直ちに波及して、日本戦争に巻き込まれるような事態になるとは思わないけれども、遠いベトナムについては日本は十分配慮をすると、要するに、米国行動をできるだけチェックをしたいというその日本政府ですら、なおかつ、これだけの事実があっても事前協議対象としないんですから、日本周辺に何かあったらどんなことになるかわからない。そういう意味で、日本の今日の陰に陽に行なっておるアメリカ戦争行為に対する協力というものは、やはり将来に重要な問題を残しておると、そういう意味で私は問題を重視しておるわけです。これでは、もう事前協議ということはあってもなくても回しじゃないですか。どういう時期にほんとうにおやりになりますか。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは、ベトナムがわが日本と地理的に非常に遠い地域にあるという点、そこに着目をされる必要があるんじゃないか、そういうふうに思うんです。アメリカは、何もわが日本米軍基地戦闘作戦行動基地として使う必要はないような立場にあるわけです。戦闘作戦行動基地としては各所にそういう陣形を整えておる、そういうようなアメリカの布陣であります。そういうようなことを考えますと、ベトナムの場合と、それからわが国のほんとうの周辺の場合とこれを同一に論ずる、ベトナムにおいて事前協議問題が起こらなかったから周辺にも起こらないんだと、こういうふうな論理は、私は、少しそこに飛躍があるんじゃないか、そういうふうに思います。いずれにいたしましても、事前協議は非常に大事な制度でございますので、これは厳格に適用していく、こういう政府の方針でありますが、しかし、ベトナムの地理的地位、そういうようなことから見まして、ベトナムのこの事態に対しましては、事前協議というものは、まずまずそういう事態はあるまい。また、ありましても、私どもはこれに対して許諾を与えないと、こういう態度をとりたいと思います。
  33. 羽生三七

    羽生三七君 これもこの前の予算分科会のときのわれわれの質問に対する外相の答弁ですが、それは先ほど来申し上げましたように、戦闘作戦行動につながるかどうか、その実態を見て判断をする、これが第一です。それから事前協議というのは向こうから申し出てくるわけですが、それがないので随時協議日本は求めると、それはこの秋だと、こう言われた。私は、いまこそ緊急にこの随時協議を求めるべきではないかと思う。そんな、秋まで——いま、ベトナム戦争に関連して私はここで問題にしておるし、いま実際にそれがエスカレートしておるわけですね、アメリカ戦争作戦行動が。そういう時期に、佐世保なり横須賀なり岩国なり沖繩なりあるいは広島なりにこういう事態が起こっておるときに、そのときに、随時協議を求めなくてこの秋に求めるなんという、そんなのんきなことでいいんでしょうか。いまこそ緊急に日米随時協議を求め問題提起をすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま、私が随時協議をこの秋に行なうんだというようなことを申したと言われたんですが、これは羽生さんのお聞き違いと思います。速記録をよくごらんおき願いたいと思いますが、私が秋、秋と言っているという、私はまあ秋ともはっきりとは言わないんですが、この国会が終わったら、数カ月間の間に事前協議制度運用全体につきまして、これを再検討する、そういうことは申し上げておるんですよ。随時協議、これはそういう必要があればいまでもできる、何も秋を待つ必要はないのです。しかし、随時協議を必要とするという事態は今日起きておらぬと、こういう認識でございます。
  35. 羽生三七

    羽生三七君 これほど問題が起こっておるときに求めなくて、何もない秋に一体何をおやりになるのですか。いまこそそれをおやりになるべきじゃないでしょうか。これは外相の地位にいつまであられるか知りませんがね。もっと違った立場になるのかどうか、その辺は知らぬけれども、とにかく現職のいま外務大臣であることに間違いはないのです。しかも、問題は、いま目前にいろんなことが起こっているのです。このときにこそ、いま国民の中にもいろんな不信が起こっている、アメリカ戦争行動に対する。それに対して何らかの協議をいまこそ求めるべきではないのでしょうか。
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はべトナム戦争に対する在日米軍基地、これに対しまして補給補修は、これは日米安全保障条約のたてまえ上これを認める、こういう考えです。ですから、そういう考え方をとっておるわが国といたしまして、この補給活動が行なわれている、補修活動が行なわれている。そういう米軍行動に対しまして随時協議を行なう、こういう考え方にはなり得ない、これは御理解願えると思うんです。  もう一つの問題は、F4飛行隊が南方へ移駐をいたした、これはまだ戦闘作戦行動の隊形を整えないグアムヘの移駐である。グアムがほんとうの作戦戦闘行動基地になるのか、あるいはその先でどこかがなるのか、これはわかりませんけれども、少なくともわが国岩国基地戦闘作戦行動基地となるというようなふうには見ておらない。したがいまして、わが国といたしましては、これを事前協議対象とすべき問題ではないと、こういうふうに考えまするので、したがって、これが事前協議制度違反であるという考えは持ちませんもんですから、したがって、さらにこの疑いありといたしまして事前協議を求める、随時協議を求めるという考えもない、こういうふうな考え方をとっておるわけであります。
  37. 羽生三七

    羽生三七君 少なくとも国民から見るならば、ベトナム戦争がこれほど最近またエスカレートして、アメリカのさまざまな行動日本中心に起こっておる、沖繩も含めて。そういう際に、この前も分科会で言われたように、事前協議制度のさまざまな欠陥もあるので、実態に即して総ざらいをやってみたい、そう言われるなら、いまの外相の答弁を聞いておると、あれも対象にならない、これも対象にならない。これじゃ永久に——秋になったって協議求めることはありはしませんね。もしあるなら、いまこそおやりになるべきで、いまさまざまに問題になっていることについて一つ一つアメリカの真意をただし、日本考えを言うべきことは言う。それでなかったら、いまのような外相の答弁なら、秋になったって何もおそらく問題の発展するようなことはないのですね。私はいまこそやはり、総ざらいをおやりになるなら、アメリカにその協議を求めるべきである。この名前を随時協議と呼ぼうと、あるいは日米間の外交案件に間する当面の協議と言おうと、名前は、呼び方はどうでもいい。それすらおやりにならぬという、これはずいぶんのんきな話だと思うのですが、それほどわれわれと大臣あるいは与党との間に感覚の違いがあるんでしょうかね。そうなると、いよいよ本質論の問題になるのですが……。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) だんだん問題が本質論になりそうですが、私ども日米安全保障条約はこれは必要である、これは堅持しなければならない、こういうふうに考えておるわけであります。その日米安全保障条約はこれは廃棄する、こういう御議論に立脚しての議論ですから、これはそこに運用上違いが出てくる点があるなあというふうに思うのですが、まさにいま御議論の問題の点なんか、その辺からすれ違いが出てきておるような感じもするのですが、しかし、私どもはあくまでも事前協議制度というものは非常に大事な制度なんだ、これで日米安全保障条約の結果、日本戦争に巻き込まれるというようなことがあってはならぬ。それには日本がその作戦行動米軍基地として機能するというようなことがあっては絶対相ならぬ、こういうふうに考え、その一点は、これは断じて守り抜く、こういう決意をしておる、こういうことでございます。
  39. 羽生三七

    羽生三七君 これからの一、二問は、これはすれ違いの本質論になるかもしれないけれども、これはどうしても言っておかなければならぬと思う。というのは、結局この政府のそういう姿勢を規定しておるものは、いまお話があったように安保条約だと思いますね、日米安保条約。これが存在する限り、あらゆる口実を設けられて、私は実際に事前協議を求めるような事態は起こらないのではないか、こう思います。そこでこの本質問題をこの短い時間中に十分意を尽して論ずることは、これは時間的な関係で無理でしょうが、私ども考える場合、私どもが予見し得る近い将来、理由があれば格別、理由のない外国からの日本に対する直接の侵略あるいは攻撃というものはまずあり得ない、われわれが予見し得る近い将来、まずあり得ないと思う。そういう条件、そういう客観的な条件のもとで今日の日米関係考える場合に、アメリカアメリカ自身の極東戦略のために日本基地を利用しているのであって、日本アメリカの戦略、アメリカの利益に奉仕するという立場に置かれておる。つまり日本を守ってやるといいますけれども、いま現実日本は即時アメリカに守ってもらわなければならないような条件にはない。私は永久ということばは使いませんよ、そういうことが絶無とは言いません。しかし、今日いまそういう条件にない。しかし、いまアメリカのやっている行動は、日本を守るというよりもアメリカの極東戦略に、その極東戦略に日本は奉仕をしておる。それでアメリカはそれによって利益を得ておる。でありますから、この辺を日本は十分考えて、実態に対してきびしい判断をすべきであると思います。私は、これは将来いろいろな問題につながると思うので、これを申し上げている、私はもっときびしい判断をすべきだと思いますね。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は羽生さん以上に、世界全体に、近い将来、つまりわれわれの予見し得る将来において、見通し得る将来において、第三次世界大戦、つまりアメリカだとかソビエトだとか、そういう国々が巻き込まれるような世界大戦争、第三次世界大戦、そういうものは起こり得ない、まあ絶対とは言いません。しかし、まずまず起こり得まい、こういうふうに考えております。さらばこそ、わが国といたしましては、まあこの強大な経済力、この強大な経済力があれば、持たんとすれば核は持てる、そこまで力のついた日本ですが、それはあってはならぬ、また他国を脅威するようなそういうような軍備も持っては相ならぬ、それは憲法の禁ずるところでもあるし、また、国民的なコンセンサスでもある、こういうふうに考えておるわけです。しかし、絶対と私は先ほど申し上げましたが、あり得べき侵略に対する備えだけはしておかなければならぬ、それにはわが国は制約があるのです。わが国は有史以来初めていくさに負けた、そういうことから、再びいくさはいたすまいという国民的なコンセンサスがある。それから特に核につきましては、最初の被爆国としてのアレルギー、これは強大なものがある。他国に見られないものがある。そこに憲法第九条もある。そういうことを考えますときに、わが国は、わが国に対するあり得べき侵略に対する抑止力、これは十分ではないと思うのです。その解決はどうしてもこれは安全保障条約にこれを求めざるを得ない立場にある。そういうことから安全保障条約の必要というものを強調いたしておるわけなんでありまして、これはただ単に私はアメリカのためじゃない。しかし、アメリカがただ日本のためばかりに安全保障条約締結しておるかどうか、こういうと、それはそんなただ乗りみたいなことはこれは許されない。したがって、わが国アメリカヘ、そのアメリカの極東戦略のために基地を提供するという作用もまたある。これも私は否定はいたしません。しかし、私はまあ羽生さんとこう話をしておりまして、わが国はそういう立場で他国を脅威するような軍備は持たぬ。しかし、反面において日米安全保障条約というものを持っておる、そういう状態、そしてこの強大な経済力を何に使うかというと、国内のおくれた環境の整備にまず使う。そうして公害のない、ほんとうに住みよい日本社会を建設する。同時に一半をさいて世界のおくれた国々に奉仕する、こういう考え方でありますが、これは少し議論を詰めていくと大体一致点が出てくるのじゃないかというような感じがするんですがね。まあ中途はんぱなお話でございますが、私どもはどこまでも平和主義である、しかも、わが日本だけでは平和はできないので、世界じゅうを平和にして、そしてその世界の平和の中に日本の平和を求めていくという考え方、そういう考え方、のもとに立っておるという基本的な考え方だけはぜひひとつ御理解願いたい、こういうふうに存ずる次第です。
  41. 羽生三七

    羽生三七君 結局このわずかな短い時間の中でのやりとりでわかったことは、アメリカもさることながら、アメリカ自身の姿勢もさることながら、根本は日本自身の姿勢にあるということがはっきりしたわけですね。このような姿勢である限り、これはもう事前協議なんということは、もう発動することはおそらくないというふうに判断せざるを得ないです。そこでもう当面日米間で協議を求める意思はないと言われる、結局秋ということですね。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 随時協議、随時協議といいますが、そうじゃないんです。
  43. 羽生三七

    羽生三七君 どういう協議でもいい。日米間の外交折衝でいいです。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、事前協議制の運用が、これがもっとはっきりした形で行なわれるということが必要である、こういうふうに考えます。というのはなぜかというと、もう事前協議制度ができてから十二年にもなる。その間にいろいろな科学技術等の進歩、変化もある。そこへもっていって、いろんな皆さんとの間に政府は論議をいたしておる。その論議の中でいろんなことをことこまかにお答えも申し上げておるわけなんです。そういう一々の点についてアメリカ側と突き合わせができておるかというと、そんなこまかいところまでまだお話するいとまもなかったような状態なんです。それを全部整理をいたしまして突き合わせをしてみる、そうしてこの制度がまぎれもなく確実に実行されるというふうにいたしたいというのが私の考えなんです。すでにアメリカのほうにそれは申し入れております。アメリカもひとつ一般的な問題として議論をいたしてみましょう、こう言っておるのです。しかし、それにはアメリカ側といたしましても、国会のこの議論の状態なんかを調べなければならぬ状態もありましょう。それからわが国といたしましても、もうとにかく十二年、国会といえばこういう種類の問題、議論ですわね。それを全部フォローしてみなければならぬ。時間がかかります。ですからこれは数カ月の余裕を必要とする、こういうことを申し上げておるので、その協議の場は随時協議という場じゃないんです。そうじゃなくて、日米安全保障協議会、その場でございますが、その場を持つという時期は数カ月後、まあ秋ごろになる、こういうことを申し上げておるわけなんです。
  45. 羽生三七

    羽生三七君 そこでですね、これ事前協議の総ざらいをやる、洗い直しをしてみると言われますが、まず第一番に、事前協議に三つの問題がありますね。日本から直接発進する直接戦闘作戦行動、ただこれは命令を受けないと、発進命令を受けていなかったといえばこれは協議対象にならない。それから装備の重要な変更、これは核が中心ですが、これも、核は日本に置いておりませんといえばそれで終わってしまう。その次は配置の重要な変更ですね。これはこの前の北鮮に対する偵察機の撃墜されたときですね、原子力空母エンタープライズを主力とするあの大艦隊が佐世保から出ていった場合でも事前協議対象にならなかった。いまなるものはただ一つ、第七艦隊全部が動いたときのみ事前協議対象になる。そんなことは実際にはなかなか起こりませんから、そうすると、この三つの場合のどれ一つをとってみても、事前協議対象になることはほとんどないのです。だから結局は日本政府政治姿勢にかかっておる。であるから洗い直しをやるといったって、総ざらいをやるといったって、こういうことが明確になったら何を洗い直しをするのですか。私は日本姿勢そのものを洗い直さなければ、客体の中に洗い直すような問題は、こんなものは最初からいっぱいあるのですよ。問題はそうじゃない。日本政府はそれにどう対処するという、みずからの姿勢を洗い直さない限り、この事前協議制度というものが歯どめの役割りを果たすことは毛頭ない。これほどこの問題はあまりにも明白だと思いますね。これ、実際に何をおやりになるのですか、協議をして。
  46. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議制度全体であります。しかし、特に私が力点を置いていきたいと思いますのは、わが国基地からの米軍の出撃、この問題であります。まあ第一の、この米軍配備の問題、これなどは、これはまあ配備の問題なんですから、これはそう私は重要視はしておらぬし、かつ、米軍が大量にわが国移駐をしてくる、こういうような事態は、もう実際上予見できません。これはもうアメリカに帰っていくというようなことが考えられても、わが国にある程度の規模の軍隊がやってくるんだと、そしてそこに移駐をするんだと、一時立ち寄りということじゃなくして、移駐をするんだと、そういうようなこと、これは考えられません。ですからこれはそう、観念上はあるいはいろいろ議論すれば議論もできますが、実益のない議論である、そういうふうに考えます。  それから装備の点でありますがね、まあこれはやっぱり重点は核である。核三原則、これはわが国は内外にわが国の基本政策として打ち出しておるわけでありますが、アメリカも、まあやっとというか、今日においては十分理解をしておりまして、この間ロジャーズ国務長官の大統領の命令による私に対する書簡におきましても、日本の核政策には協力をいたしますと、これは日本ということは沖縄を含め全土のことであります。時間的にいえば今後ずっと協力をする、こういうことなんです。そこまでアメリカは言っておりますから、これも私はそう大きな議論の問題ではなかろう。問題は、このわが国基地を使用して戦闘作戦行動を行なう、その場合の問題であろう、こういうふうに考えておるわけですが、その問題が、いろいろここで議論もあるんですよ。私は皆さんの議論をお聞きいたしておりまして、もうたいへん私の頭を整理する上においてありがたく思っておるのですが、まあそういう結果等も踏まえまして、米軍の間に、特にこの点に重点を置いて話し合ってみたいと、こういうんで、決して実益がないとか、そういうふうな問題じゃないと考えております。
  47. 羽生三七

    羽生三七君 時間の関係で結論にいたしますが、一番問題にされておるという日本基地からする直接の戦闘作戦行動という場合です。これはもう従来明らかに——何べんも私はしゃべるのがいやになるほどいままで言ってきたように、これは命令が出ていなければそれまでなんですよ。命令が出ていないと言えば起こらないんです、そういうことは。事前協議対象とはならないわけですね。命令を受けていないと、命令を発したことはないとアメリカが言うなら起こらないんです、問題は。だから、洗い直すったって洗い直しようがないじゃないですか。日本政治姿勢の問題ですよ。
  48. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 羽生さんね、日本からの直接出撃という場合に命令ということ、政府はその命令を受けておるのかおらぬかと、こういうことを強調してきたわけなんです。私はそこに限定をしない。実態がこのわが国基地から作戦行動を行なうということになるのかならないのかと、その点に着目しなけりゃならぬ。もとよりその際戦闘作戦行動命令を受けているといえばそれは非常に明瞭ですが、そうでなくても、実態的にそうであるという際にはこれはそういう制度の、つまり事前協議を行なうべき対象としてかたく理解し合うというようなことも考えております。これも整理事項の一つになっております。
  49. 羽生三七

    羽生三七君 最後に一問だけ。  この実態の場合、先ほど補給活動は問題にしないとおっしゃいましたが、私は日本からの戦闘作戦行動、それから装備の重要な変更、配置の重要な変更のほかに、やはり補給活動でも、明らかにそれが重要な戦争への実質上の参加を——参加といいますか、活動を意味するものであるならば、これも私は重要な対象とすべきであると思う。これは私は問題提起として出しておきます。  それから最後に、一つはレアード国防長官が先日アメリカの国会で、最終的に日本の核保有を支持するという発言をまた重ねてやられましたね。これはアメリカのことで、日本には関係のないことですが、しかしこの機会に、最終的にも日本は持たないということをあらためて向こうの発言に対応する意味で私は日本政府が明らかにしたほうがいいと思うんです。国会のことは国会でとおっしゃいますから、それは別として、日本政府としてもっと明確にしたほうがいいんじゃないかと考えますが、いかがですか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカにいろいろの意見のあることは私も承知しておりますが、これはまあわが国がきめることであります。わが国は非核三原則を厳守する、こういうことにつきましては、いささかのまぎらわしい考え方を持っておりませんから、この際よく重ねて明らかにしておきたいと思います。
  51. 田英夫

    ○田英夫君 どうも、羽生さんとのやりとりを伺っていると、福田さんがどういう姿勢で外交を進めようとしているか、特にアジア外交を進めておられるか、さっぱりわからなくなったので、その問題からお伺いしたいんですが、いわゆる対中国、アヒルの水かきとか、あるいは現実ベトナムについていえば三宅課長の派遣、非公式ながら派遣をされるというようなことで、ずっとアジアに対していわゆる緊張緩和の方向に政府も向かうのだと、そういうので、日本もその中で役割りを果たすのだというふうに理解していい、そういう動きが事実あったと思います。  で、いまのこのお話を伺っていると、さっぱりそういう観点ではなくて、アメリカアメリカということを、アメリカがこうだからこうだという観点しか出ていない。やはり外交というのは、中国の人、特にベトナムの人の立場になってものを考えた場合にどうなるかということをお考えになるのが非常に大切だと思うんですけれども、この三宅課長を派遣されたというような、そういう意味ベトナム外交をこれからもおやりになるつもりがあるのかどうか、いかがですか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、もう日本はいまアメリカアメリカといって、アメリカに何か追随政策でもとっているかのごときお話でございますが、全くさような考え方はとっておりませんから、ことにわが国の基本姿勢は何だと、こう言いますれば、強大な軍備は持てる、持たんとすれば核まで持てると、こういう立場にありながら、もう自衛の限度にこれを限定する、核はもう持ちません、貯蔵もしません、持ち込みもいたさせません、これくらいの態度をとっている。そうしてそういう基盤に立ってこそ私は強大な世界外交の展開というものができると、こういうふうに思うんですよ。由来、何にしたって経済大国は軍事大国になった。これは古今東西の歴史です。それに反して、いま日本が歩もうとする道はもうほんとうにユニークな、経済大国であるけれども軍事大国にはなりません、そこに私はいま非核——核保有超大国なんというのがありますが、それに対してほんとうに核はやめましょうという発言、あるいは軍備競争をして、そうしてお互いに疲れ切っておる。そうして会談いたしまして、そうして何とか凍結をしようじゃないかというような努力はいま現に行なわれております。そういう国々に対して、ほんとうに軍備をひとつやめようじゃないか、こういう主張のできる私は唯一の日本国、そういう立場にあると思うんです。アメリカにはもっと日本の自衛隊をふやせという意見があるんですよ。そういうようなのは私ども聞きません。そういうような立場、そういうようなことで、ほんとうに私は非常に高い立場で、日本が平和国家とし平和外交を世界に推進する、そういう政策をとっておるということをまず御理解を願いたい、こういうふうに思うんですが、しかし、特にアジア諸国ですね、これはとにかくわれわれ隣組ですから、何とか早く平和になってもらいたい。世界情勢では、まあヨーロッパのほうは一応緊張緩和の空気ですが、逆にアジアではごたごたがエスカレートしておる、こういう状態で、何とか早くこれが鎮静化するようにと願っておりますので、私の考え方を申し上げますると、まあそういう緊張緩和の趨勢に日本はチャンピオンとして働く。同時に、そのためにはまあイデオロギーを越えていずれの国とも仲よくするという政策を推進する、こういう考え方、これをとっていきたいと思いますので、まあ三宅課長を北ベトナムに派遣した、いまの状態であれをまた推進するということは当面はむずかしゅうございますが、基本的な方向としてはそういう方向で事を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  53. 田英夫

    ○田英夫君 たいへんけっこうなんですけれども、そういうことになると、いまのベトナムにおける情勢、戦況を含めて、これを政府としてどう判断しておられるかということがたいへん問題になるのじゃないかと思うんです。先ほどからの事前協議の問題にしても、アメリカアメリカじゃないとおっしゃるけれども、実際に日本の国民の多くと、特にアジアのベトナムやその他中国、朝鮮といった人たちからすれば、日本のやっていることは明らかにアメリカ寄りだと、こう思うのはむしろ当然じゃないかと、私なんかは思うんですが、そういう中で、実際ベトナム一体どうなっているのか、これからどうなる見通しなのかということをどうつかんでおられるのか、これは間違っているんじゃないかという気がするんですが、これは三宅課長を派遣されたというあたりからすれば、やはり全体の情勢は北ベトナム、解放戦線に有利だから、そのほうとのパイプをつけてベトナム戦争収拾の段階でやはり糸が切れないようにしておこうというふうにぼくは判断するんですが、その辺のベトナムの状況というのはどういうふうに考えているんですか。たいへん大まかですけれども……。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ私の判断では、北のほうでも南のほうでも、国民はもう戦争に飽き飽きしている、一日も早く平和を平和をと念願しておると、こういうふうに見ているんです。と同時に、その平和の到来というものが自主的にきめられるべきである。超大国の間でこれらの国々に関係なしにきめられるということについては非常な抵抗感を持っておると、そういうふうに見ておるんです。さらばこそ、わが国に対する南北の期待というものもそれなりにあるわけなんです。そう見てとっておるのです。ですからチャンスがありますればわが国も南北の和平、そういうものには御協力を申し上げなきゃならぬ、そういうふうに考えておるんですが、しかし、もういま火事場の最中である、そういうような時期でございまするから、そういうよすががございませんけれども、これが鎮静化に向かうというようなことになりますれば、わが国としてもそれなりの役割りを尽くしてみたい。特に戦後の復興につきましては、私どもはできるだけの御協力を申し上げたい、こういうふうに考えます。
  55. 田英夫

    ○田英夫君 ベトナム情勢の判断で、いま最初にお答えになったのは、戦争に飽き飽きしているということばですけれども、ことばじりで申し上げるわけじゃないんですが、この辺はやはりほんとうのベトナムの人の気持ちとちょっと違うと私は判断しているんで、実は先週パリで南の臨時革命政府のグエン・バン・チェンという代表と会ってみたんですけれども、その話を聞いてみても、いま南のいわゆる臨時革命政府の人たちが提案しているいわゆる民族和解政府という考え方というのは非常に柔軟だと思いますよ。同時に、戦況全体はもう明らかに自分たちのほうに有利になっていると、同時に、どうも日本の新聞は戦況をユエだとかその他バンチェンだとか、そういう戦況のことはしきりにお伝えになっておるけれども、自分たちの中の人民蜂起の成功についてはあまり伝えていないようだということまで言っていたようなことで、非常に自信を持っている。その民族和解政府というのはグエン・バン・チューはこれは認めない、しかし、その閣僚であった者でも民主、平和、独立でわれわれと一致できる人は入れると。ドン・バン・ミンなんてどうだと言ったら、これはもう大いに歓迎するという態度をとっている。そういう状態の中からすると、私は南にやがて、かなり近い将来にそういうものが、アメリカは好まざるところでしょうけれどもできてくる。そういう状況だということはもう明らかだと思うんですけれども、そういう状況の中でいまの日本姿勢というのが非常に気になる、こういう意味で申し上げているんですが、その辺はどうですか。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はそうも思わないんです。田さんは現地の人と直接いろいろ話もされたんですが、私の総合的な判断から言いますと、どうも北の国民大衆も、あるいは南の国民大衆も、もう戦争を早く何とかならぬかという気分に満ち満ちておると、こういうふうに見ておるわけなんです。ですから私は、北の政府も、あるいは南のほうも、お互いにこれから和平だというんですから、いろいろのかけ引きもあろうし、いろんなゼスチュアもありましょうが、両方ともそういう背景のもとにおける政府でありまするから、和平ということをこいねがっておる、こういうふうに思うし、また、アメリカも今度の北爆あるいは機雷敷設、そういうものを通じまして一つの大きな和平への道もまた開いておると、こういうわけですね。もうとにかくアメリカの停戦要求、これが実現すれば四カ月以内に全米軍の撤退をいたしますと、そこまで言っているんです。そうなれば、またテーブルでの話し合いが始まるだろうと、そのテーブルでの話し合いが始まった場合に、全然硬直した姿勢でお互いが臨むとは私は考えません。そういうことで、今日一時的にエスカレーションがあるけれども、水の流れはしきりにうねりながら向かっておる、こういう判断をいたしておるわけです。
  57. 田英夫

    ○田英夫君 その点では私も同意見だと思うけれども、大きな流れの中で、先ほど私が申し上げたように、政府がお考えになっているよりもはるかに急テンポで、しかも実質的には南がアメリカの好まない方向ですね、そういう方向に急速に進んでいるということをひとつあらためて、どうも外務省の情報は私はもう以前から、私が北ベトナムに行ったときから、当時の福田幹事長にお話ししたはずですけれども、非常にこれは甘いと言わざるを得ないんで、その辺のところの情報をもっとお集めいただいて判断をされないと私はおかしいんじゃないか、その辺からして今度の事前協議の問題なんかでも、どうもアジアの、これはまあグエン・バン・チェン氏もはっきり言っておられますけれども日本政府のやっておられることはアメリカ寄りだと、こういうふうになってきてしまうんで、いまの福田さんのお考えからすればそれは好ましくない、アジアの、そういうベトナムの人なんかからそういうふうに思われるのは好ましくないはずですから、そういう意味羽生さんの言われた基本的な姿勢ということをお考えいただくことが一番先じゃないか、こう思うのです。ですからそこで先ほど事前協議の問題のほうに戻ってくるわけですけれども、さっき事前協議について、アメリカ軍の出撃という点を中心に洗い直しというか、突っ込んで考えてみたいということを言われましたけれども岩国からF4が出るとかそういう場合に、戦闘作戦命令を受けていない、今度のB52にしても武器は積んでいないという、さっきおっしゃっている、これは一体どういう証拠というとおかしいけれどもアメリカのほうから言ってきているのが唯一の根拠ですか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりです。
  59. 田英夫

    ○田英夫君 そのとおりですか。そこのところがもうすでに、まあ私はあえて国民と言いますけれども日本の国民感情からするとアメリカ寄りだというふうに言わざるを得ないんで、アメリカが言うことは、これはまあアメリカに有利に考えるのはあたりまえですから、特にアメリカ軍はいま戦争しているんですから、自分たちに少しでも有利に日本基地を使ってやろうと思うのは当然だと思うんですよ。それをたとえばF4が岩国から出たと、南方というのはグアムだとおっしゃったけれども、あれは間違いでしょう。これはフィリピンでしょう。この場合に戦闘作戦命令を受けていないという証拠が、たとえばこの委員会にその証拠を出してくださいというような証拠はないんじゃないかと思うんですよ。ただアメリカの大使館なり外交筋から政府に対してそういう答えがあった、こういうことですね。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まずB52の場合ですね。これはアメリカ側は西方から飛んで来たと、こういうことを言っておるんです。そして東方へ飛び去ると、こういうことです、当初は。そこで西方とは一体どこなんだというと私どもはこれはベトナムだと、こういうふうに想像しております。ベトナムから嘉手納に立ち寄って東方に行く、この東方というのはこれはグアムだろうと思うんですが、その帰りの飛行機が爆弾を搭載しているとか何とかということは、これはもう常識でもわかることなんです。それでアメリカが武器は搭載しておりませんと言うことをそのまま信用していいことだと、こういうふうに思います。それから岩国からF4が南方へ移動しますと、これはあとでわかったんですが、これはフィリピンでございます。そのときは東方より、まあいろいろ質問をしておりますが、特にこれは戦闘隊形を整えての移駐であるかというと、そうではない、単なる移駐であるというふうに言っております。それ以上のことはなかなか私どもとしては、外形標準として何かそういうことを疑わしめる事実があれば格別でございまするけれども、いま日米安保条約、その体制下にあるわが日本、これは信頼関係の上に立つわけであります。それ以上、点検をするとか、そういうようなことをする筋合いのものじゃなかろう、こういうふうに考えアメリカのそういう説明を素直に受け取る、これが妥当であろう、こういうふうに考えております。
  61. 羽生三七

    羽生三七君 これは不規則発言だけれども、爆弾をベトナムへ落として帰ってくるのだから、帰りに武器を積んでいるはずはないですよ。
  62. 田英夫

    ○田英夫君 武器を積んでいる——ことばじりですけれども、武器といえば爆弾だけじゃないので、爆弾を落としてきたかもしれないけれどもB52ともあろうものが武器を積んでいない、非武装だと、これを真に受けているというのはおかしい話で、これはミグが飛び上がってくるときのために空対空ミサイルを積んでいるというのも常識ですね。それを、アメリカが非武装と言っているのを真に受けているのは、これは子供でも笑っちゃうだろうと思うのですが、それはそれとして、たとえば岩国からF4が飛び立ったというときに、これは私はまあわかりませんけれども政府の中で、外務省ではないかもしらぬけれども政府の機構の中でその実態を、アメリカ軍からというのじゃなくて、つかむ方法があると私は思うのですけれども、ほかにありませんか。アメリカの大使館筋なり、そういうところからの回答——これは大使館ですね。それ以外はないのですか。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ岩国の場合は大使館でそれだけの説明をしておりますので、私どもはそれを了承したわけでありますが、まあわが国も自衛隊がおります。自衛隊に専門家がおりますから、それはそれなりに専門的な評価もできる立場にはあるのじゃないか、そういうふうに思います。
  64. 田英夫

    ○田英夫君 戦闘作戦行動であるかないかというところが焦点になるわけですよね。作戦命令を受けているかどうか。たとえそれがフィリピンに寄ろうとどこへ寄ろうと、すでに日本を出るときに作戦命令を受けていれば、これは明らかに事前協議対象になる。途中に寄っても。これはそれでいいですか。
  65. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりでございます。
  66. 田英夫

    ○田英夫君 まあ、それが実態と言われたものだと思いますけれども実態というのは、戦闘作戦命令を受けていなくても、全体としてその先にどういう行動をとるのかということがわかってきていれば、これも含むという意味ですか。
  67. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 実態というのは、戦備を整え、そうして戦闘に参加する、そのための出動である、こういうことなんです。一番はっきりしている場合は、戦闘作戦行動命令を受けている、こういうことだろうと思いますが、それがなくとも、実質的にもう戦備を整え、そのまま出撃し得る、こういう態勢でありますれば、それが途中でどこに寄ろうが、これは事前協議対象にすべきものである、こういうふうに考えております。
  68. 田英夫

    ○田英夫君 そうすると、例のKC欄の給油ですね、空中給油。これは私も戦争のことはしろうとですけれども、しろうとなりに考えると、明らかに爆弾を積んでグアムからベトナムに爆撃に行くB52に空中で給油をする。行きであろうと帰りであろうと、これは常識的には戦闘作戦行動一環としてやっているということは明らかだと思うのですけれども、これを政府事前協議対象にしないと言っておられる。この点、重ねて説明していただきたい。
  69. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) たとえばグアムなりフィリピンから出撃をいたしまして、これは戦闘の目的で出動するわけですね、そういう際に嘉手納飛行場に立ち寄って給油をする、これは私は事前協議対象とする。アメリカもそう理解をしておる。ところが、補給補修は、これは米軍安全保障条約上認めておる。そういう立場に立つわが国とすると、空中給油となると非常にまぎらわしい。疑義のある点なんです。そこでいろいろ検討してみますと、たとえばこの間も申し上げたのですが、台湾の基地に、わが国から米軍が石油の補給を行なう、これは自由にできる。これは御理解できると思うのです。ただそのグアムから、あるいはフィリピンから発進したB52が、台湾基地において補給を受ける、これは自由ですわね。おそらく台湾国民政府はこれを拒否しないと思う。それと一体この空中給油とどこが違うのか、こういうようなことになると、これは非常に判断がむずかしいところなんです。そこで私は、そういうまぎらわしい問題を残しておいて、そして対象となるべきものと規定したのにかかわらず協議を行なわなかった、こういうようなことになると、これはまあたいへんなことでありますものですから、その辺ははっきりしておく必要があるというふうに考えまして、地上給油もこの対象にする、しかし空中給油対象にしない、こういう見解をとっている、こういうことを申し上げているわけなんです。
  70. 田英夫

    ○田英夫君 依然としてわからない。なぜ空中給油対象にならないのかということは、これはさっぱりわからぬのですよ。B52は明らかに戦闘作戦行動をしている飛行機ですから、それに対して油を補給するということは、まさに戦闘行動そのものですね。爆弾を落とすだけが戦闘行動ではないと思うのですよ。何かこの間外務省の見解で、機雷を敷設するのは鉄条網を張るのと一緒だという暴論があって、前回の委員会星野さんも突いておられましたけれども、こんなばかなことはないと思うのですけれども、空中給油の場合と同じように、明らかにこれは戦闘作戦行動一環ですよ。なぜそれが事前協議対象にならぬのですか。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これはあくまでも補給、こういうふうに考え方をとるからであります。つまりわが国基地補給というか、戦闘作戦行動一環としての活動に使われるかどうか、そういう点なんですね。先ほども申し上げましたが、地上においてする場合、それと空中においてする場合、これは補給という点においては似通った点はあるのです。しかし、いろいろ考えていくとむずかしい点があるのです。そこで割り切った考え方をしなければならぬ、こうむずかしい問題がある場合には割り切る場合も必要であろう、こういうふうに考えまして、そしてその地上における補給、これは日本基地の使用である、こういうふうに考える。まあ嘉手納基地から飛び立つ飛行機に空中で補給をする、これは給油を受けないということになりましても、実質的にはほかの施設からいろいろの同様の行為もできることなんです。補給ということを認めている以上、これを阻止するということは妥当でない。たとえばいまも重ねて申し上げますが、台湾の基地に対して油を補給する、これは認めなければならぬと思いますが、その油を、今度は米軍が使う場合も御自由なんです。それと空中給油一体どこが違うのだ、こういうことになりますものですから、その辺は割り切った考え方をしなければならぬ、こういうふうにしないとあとに疑義を残し、また、皆さんからいろいろおしかりを受ける、こういうふうに考えております。
  72. 田英夫

    ○田英夫君 あまり時間がなくなったのですけれどもね。これはしかし割り切るのはけっこうですけれども、やはり国民の気持ちを考えた上で割り切っていただかぬと、日本という立場考えて割り切っていただかぬと困るので、KC135というのは明らかに嘉手納基地にある飛行機でしょう。それが飛び上っていって空中給油する、B52が降りてきて嘉手納で給油するのとどこに違いがあるのですか。明らかに戦闘作戦行動をやっている。油を注ぐという行動ですね。これは明らかに戦闘作戦行動一環と思わざるを得ないので、それに日本の嘉手納基地が使われている。今度B52が飛来したというのは、これは帰りであってもやはり戦闘作戦行動の中で立ち寄った、気象条件や何かあるだろうと思うのですが、これは国民感情としては全く好ましくないことであることは事実なんですから、何かそういうこと、全部を通じてアメリカのほうに何とか有利なほうに政府が割り切ろう、こういうふうに思っておられると言わざるを得ないのですよ。だから、ここのところはちょっとお考えが違うんじゃないか。これは洗い直すなんというよりも、基本的な姿勢が違うんじゃないかと言わざるを得ないのですがね。
  73. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのとおりです。割り切ると申しますか、割り切り方が田さんと私どもは少し違う。私ども日米安保条約を堅持していきたい。これに傷をつけてはいけない、こういう考え方であるし、まあ廃棄論に立つ田さんのほうはこれは確かにだんだんとなしくずしに傷つけたほうがいいんだというようなお考えかもしれません。そこではっきりしなきゃならぬのは、こういうふうに申し上げますが、その割り切る場合の割り切る気持ちに多少の違いが出てくるんじゃないか。これはやむを得ないことだというふうに思います。
  74. 田英夫

    ○田英夫君 最後に意見ですけれども、冒頭に申し上げましたように、せっかくアジアの緊張緩和の中で日本の役割りを果たすのだ、こういうりっぱな考え方、外交方針を持っておられるというお話しだったけれども、いまの最後の部分になってくると全く逆の行動政府はとっておられる。これはアジアの人たちからすれば、日本国民も含めて、全くこれはアメリカの言いなりになっていて、アジアの人たちのために立っていないというふうな考え方常識であって、私と意見が違うとおっしゃったけれども、こっちのほうが常識であって、これは何と言われようと申し開きのできない態度だ、こう思わざるを得ないので、この辺は平行線になりますからこの辺でやめますけれども、たいへん残念だと思います。
  75. 森元治郎

    ○森元治郎君 ちょっと関連して。  羽生さんと田さんの二人の話、ベトナム事前協議に関連して簡単にひとつ伺います。  割り切っているというお話しなんだけれども、間が抜けていると思うんだな、政府自身も。きょう沖縄がまだアメリカの施政権にあるような、割り切りができてない。アメリカアメリカで、ことに軍部は依然として自由発進ができた惰性がずいぶん残っている。日本はまだアメリカの施政下にあるような感じを持っておる。間抜けの底をつかれてアメリカが惰性でどんどんかってなことをしているのが現状じゃないか。西から来て東に飛んだ。東から千二、三百キロ西南に行けばベトナムに行くわけです。こんなたわけたことを言っているのは防衛庁が腰抜けだからですよ。さっき大臣は、田さんの質問で、政府機関の中でだれかそういうことに関係するものはないかと言ったら、小さい声で、私はとても聞こえなかったのですが、防衛庁が少しなんて言ってましたけれども、防衛庁は当然もち屋はもち屋で出て行くか、何しに行くかどうかわかりますよ。それもわからないのなら防衛庁なんかやめちゃったほうがいい。防衛庁が言うことを言わない、びくびくして。外務大臣のほうも専門家から言ってこないから変わりはないだろうというみたいなことを言って総裁選挙なんかに夢中になっている。だめなんです。あれはアメリカの施政下にあるのだという印象がある。十五日から返還、六日後にB52がするすると東のほうに飛んじゃったという話をしている。きょうで九日目ぐらいですね。まだ何が起こるかわからない。この際はアメリカに向かって注意を喚起すべきだと思うのです。注意喚起。もうわれわれの手の中に入って、すべての基地は私が貸したのだ。アメリカの人が見ると、もともと同じものだから同じだという観念があるかもしれない。こういう惰性がいけないのですから、アメリカはぜひ注意するという、厳重勧告をすべきだ。政府自身もまたこれは日本の施政下に返り、何べんも強調した、条約にも関連取りきめはこれは適用するなんということを言っている。これは口先だけです。取りきめが適用されればもっと内地の基地と同じようになければならないと思うのですね。それと防衛庁が腰抜けで言いたいことを言わない。情報は取ってこない。外務大臣に報告をしない。これはあなたはそうだとは言わないが、腹の中ではそのとおりと思っているはずだ。これをここではっきり言いなさい。
  76. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 五月十五日を期しまして沖縄の基地性格が一変をいたしております。われわれにおきましてもまぎれは全然ございませんし、アメリカに対しましても十分注意はいたしておりまするし、アメリカもそのつもりでおる。ことにB52の飛来の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、今後のことにつきまして厳重に注意を喚起しておる、こういうことでございますので、御理解のほどをお願い申し上げます。
  77. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 防衛庁におきましては、外務省から軍事的な問題につきまして照会がございました場合には、私どもの知識経験に基づきまして助言をし、あるいは意見を申し述べるということはいたしております。
  78. 森元治郎

    ○森元治郎君 防衛庁ずるいよ。外務省に一たん言われたなんてことじゃない。専門家としてB52が出て行った、油をどうだといったような情報、お天気が悪かったかよかったか、そういうようなことはちゃんとわかるじゃないか。それをアメリカに何のためだということを聞きもしないし、知らん振りをしている、そういうのはいけない。もっと専門家としてアメリカに聞くべきものは聞き、直ちに政府に報告するということが大事だという点、あなたの審議官だか事務官かの話を聞いているのじゃない。外務大臣どうですか。腰抜け防衛庁、言いたいことも言わないで。
  79. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 森さんのおっしゃることもまことにごもっともなことなんでございまして、自今、防衛庁とも相協力いたしまして、十分協力をいたしまして最善を尽くしてまいりたい。
  80. 八木一郎

    委員長八木一郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  81. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記を始めて。
  82. 西村関一

    ○西村関一君 さっき田委員の質問に対しまして、一つ明確にお答えにならなかったのは、ベトナムは北も南も戦争に飽き飽きしているということに対する発言がありました。これは何でもないことのようだけれども、非常に認識が違うと私は思うのです。平和を求めている南の革命臨時政府、あるいは北のベトナム民主共和国、平和を求めていることは事実であります。戦争には決して飽き飽きしてないのです。あくまでこの戦争に対しては正義の立場に立っているから、主張が通るまではいかなる侵略に対しても、たとえ十年であれ二十年であれ戦い抜く、こういう決意に燃えているということが私は実情だと思うのです。平和を求めていることは、これは事実であります。しかし原則が踏みにじられて力の圧力でもってあのような戦争がエスカレートしているということに対しては、決して飽き飽きしてないということでありますから、その点だけひとつ外務大臣はっきり御認識をしていただきたいし、御見解を承りたいと思います。
  83. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 戦争に飽き飽きしておるということばを使いましたが、それが適当でなければ、平和を求めている気持ちである、こういうふうに訂正してもけっこうでございます。
  84. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 事前協議の問題については、だいぶ前から議論の焦点になって今日を迎えておるわけですが、先ほど来の質疑応答を伺っておりましても、霧が晴れないという、そういう疑惑を抱かざるを得ない。確かにこの事前協議の項目は明確にされていますけれども考えようによっては、その装備の重大な変更についても、これはなるほど核ということにも集約されるでしょうけれども、その他最近の戦闘兵器というものを考えた場合に、機能的に五年前、十年前と全然違うという破壊力を持っているものがたくさんございます。当然拡大解釈をすれば、そういうものまで全部含めてしかるべきじゃないかという問題もございましょう。これから一々いままで米国側から作戦行動命令というものを出してないという、ああいうことで結局事前協議対象とはならなかった。また、それを日本政府としては信頼する以外にはないと、ほとんどいままでその点についての考え方は変更なく貫かれたと思うのです、政府考え方は。ただ、最近の一連の事件を振り返って考えてみた場合に、それじゃ政府がかつて答弁した沖縄における毒ガスの問題について、ないないと言っておりながらあったではないか、こういう事実関係があります。またさらに、本土内におきましても毒ガスなんかもあったという形跡が証明されている。それから近くは秘密文書漏洩に関して、はしなくもアメリカ日本との間に取りかわされた中身が実際政府答弁とは違っておるという、はたしてそれを信用していいのかどうなのかという疑惑が当然国民の広い範囲にわたって受けとめられているんではないだろうか。じゃあ、いままで福田さんが答弁されたことをもって、国民がはたして納得するだろうかという点を考えた場合に、やはり疑惑が残る。いま申し上げたような霧が晴れないということになりますと、はたしてアメリカ側が一方的に言ってきたことに対して、われわれは信用したらいいのかどうなのか。私は先ほどもそういうことには、当然事前に外務省も防衛庁もあった事実関係についてどう一体吸収し、整理をし、そして当然アメリカ側には忠告を与えなければならない問題については忠告を与える。そしてまたどういうふうに一体政府側としてはその正確な事実関係というものを掌握しておるかということについて、きわめてあいまいではなかろうかというそしりをまぬがれないように、私は印象的に思うわけなんです。先ほど結論的な結びのことばとして、福田さんは防衛庁のほうと十分これからも連絡、協力し合っていきたいということをおっしゃった。そんなことばあたりまえのことでありまして、しかも、国の将来の方向がどうなるかという問題でありますだけに、この点はやはり明確を欠くということは、将来に禍根を残す問題ではなかろうか、こう考えるわけなんです。したがいまして、いまはたして米国のほうから何にもなかったから、今後とも事前協議というものをしなくてもいいんだというのか。これは確認事項になりますね。そしてまた、自主的に政府が、これはやはり日本政府日本政府というよりも日本国の今後のあり方を考えた場合に、決してこれは利益にならない。そしてまたいろんな世論の抵抗があるだろう。世論を分断をするということは、これはきわめてまずいことでありますだけに、そうしたことも全部含めて、当然自発的に一つのケースについて確認をし、そして協議をし、それで忠告を与える。これは当然のあり方ではないだろうかと思うんです。まずそこからもう一ぺん伺っていきたい、こう思うんです。
  85. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議という制度は、その制度の本質上アメリカから言ってくる問題であります。当方から事前協議を発議するという立場にはないわけであります。しかし、わが国が随時協議については、これを発議する立場にあるわけであります。もし疑わしい問題がある、わが国基地からの発進の態様について、これは脱法的な疑いがあるというような際につきましては、これは随時協議という方式を通じまして、事前協議が適正に行なわれるという方向をとっておる、こういうふうにいま考えておりますので、そういう事実がありますれば、そういう措置をとります。
  86. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ときには明確な事実となってあらわれる場合もあるでしょう。しかし、不確定要素という場合もそれはございます。しかし、かりに不確定要素であったとしても、国民に不安感を与えるということは、それは政府のとるべき姿勢ではございませんね、当然。ですから、いま随時協議という点をおっしゃられた、これは当然その随時協議なんというものはしょっちゅう行なわれてしかるべきでございますし、また、政府としてもそういう心がまえで臨んでいただくんだということがあれば、せっかくそれを生かしていくことが望ましいんじゃないだろうか。たとえば、最近報道されておりますように、ついきのうかおととい佐世保にもう米艦が入港している。しかも、具体的にいろいろなことが伝えられております。砲身がまっかにさびておる、砲身がさびておるということは、確かにその砲が使われた。はたしてそれがどこで使われたか、それは演習用に使われたのか、あるいはベトナムで使われたのかは、おそらくなかなか確認ということはむずかしいでしょう。ただ、そういう不確認の問題があります、不確実の要素を持ったものが。けれども、じゃどうすれば、一体政府がいろいろな事実関係について確認し得る機能というものは発揮できるんだ、こういつもこの問題で水かけ論みたいになっちゃうんですね。確認できないじゃないですか、結局米国の言うことだけを信頼する、そうしてこちらに疑義がある、どういうところに一体疑義が生ずるのか、疑義が生じたからといっても、いままで疑義はないと言う。だから事前協議というものは空洞化、空洞化、こう言われてしまってきておる。ですから、どういう問題でも、ささいな乙とであっても、それを明確に知らしめていく姿勢というものが当然望まれてしかるべきではないだろうか、こう思うわけです。
  87. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 疑義があるような事態が指摘を受けるというようなことがありますれば、その疑義を解明して、国民に御安心をいただけるような措置をとります。そういう問題につきましては、やはり防衛庁のほうで常日ごろ気をつけておってもらいたい、この上ともそういうことに努力をしてもらいたい、こういうふうに考えます。
  88. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 当然それは防衛庁も関与する問題だろうと私は思いますけれども、いまだかつてこうしたことの疑義について、こうしたああしたという、事前にそういうことが明確にされたという事実がはたしてございますでしょうか。防衛庁いかがですか。
  89. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 私の記憶ではございませんです。
  90. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 それみてごらんなさい。ないですね。ないが、はたして全く白であるという、われわれが疑いを持っておることについて、じゃどういう一体確認をしてきたのか、防衛庁はないと言っている。二十数年間、二十数年というと大げさかもしれませんけれども、最近のいろいろな変化の事情から考えましても、やるべきことはたくさんあったと私は思うんです。岩国の問題だって厚木の問題だって、あるいはあれでしょう、二、三日前に飛来したB52の問題だって、どうすぐ手を打って事実を調査したのかということです。B52だってあれじゃありませんか、先ほど論議しましたけれども天候が悪い、しかし、あのときは天候は快晴だった、こういうインチキな問題が、ほかのほうからそれを証明する問題が入ってきておる。じゃだれが一体それを立証する役割りを果たすのか、外務省なのか防衛庁なのか、いつでもその辺が責任がどっちにあるのかわからないみたいなやり方では、いつまでたってもこの問題というものの解決はできないでしょうし、事前協議というものが空洞化されたと、こういうような評価がなされてもやむを得ないんじゃないか、こうなるんじゃありませんかと言うんです。
  91. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) B52の場合は、天候と言っているわけじゃないんです。気象状況が悪かったと、こういうことを言っておるんです。どうも私どもが承知している範囲におきましては、沖繩周辺気象状況がよくなかった、こういうことでございます。  それから、その他の諸問題につきましても、私ども特にいろいろ御指摘を受ける点がありますから、そのつどできる限りの解明をいたすようにいたしたいと思います。きょうは黒柳さんもおられますから、黒柳さんの御指摘の羊の問題なんかもアメリカの大統領にまで総理大臣から持ち出して、こういう状態があった、こういう問題ひとつ気をつけてもらいたい、こういう話もし、アメリカの大統領も、そういう疑惑を与えるような行動につきましては厳に慎みますと、非常にはっきり言明をいたしておりますので、私どもアメリカのほうもかなりこの種の問題につきましても、日本の国民感情、国会における論議、そういうことにつきましては徹底してきておると思いますが、なおこの上とも誤解を与えないように努力をいたします。
  92. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 私たちがこうした議論をあえて申し上げなければならないというその理由は、言うまでもなく、日本がいまや直接的であれ間接的であれ戦争へ直結しているような、もうそういう情勢下に置かれているんではないかというおそれ、これはもちろん福田さんとしてはそんなばかなことは絶対ないと、こう強弁されるでしょう。けれども先ほどの答弁を振り返って考えるまでもなく、特に戦備を整え戦闘行動に移す、これは当然事前協議対象になる、日本としては絶対許しがたい内容になるんだというふうにおっしゃった。けれども、戦備を整え戦闘行動に移った場合、日本基地から出撃をする、一体戦備というのはどういうことをもって戦備といっているのか、戦闘行動というのは一体どういうふうに理解をしたらいいのか、こういう一番基本的な単純な問題まで区切らなければならないというふうになるんじゃないかと思うんです。これをもう一ぺんこの機会に、いろんな答弁の繰り返しもあるでしょうけれども、洗い直して、もう一ぺん明確に答弁していただきたい。防衛庁のほうもお願いしますよ。
  93. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは主観的な問題と客観的な問題とあると思います。主観的な問題につきましては、これはアメリカにこれをただすほかはない、こういうふうに思います。それを証明する一番有効な手段は、作戦行動命令を受けておるのかおらぬのかということだろうと思います。それから、そういう命令は受けておらぬけれども、客観的にどうもこれはわが国基地からの戦闘行動への移行、つまり出撃である、こういうことであるかどうか、これは第一次的にはやはりアメリカがどういうことを言うかということだろうと思いまするが、まあ外形的なこともある程度の標準になるだろうと思います。その辺は防衛庁はだいぶよく見ていただきたい問題である、こういうふうに考えております。
  94. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 一般的なことを申し上げるわけでございますが、船とか航空機でございますれば、そのそれぞれの機能が完全に発揮できるように整備をする、さらに弾薬等戦力の発揮に必要なものをすべて充当するということが戦備を整えるということであるというふうに理解しております。  なお、外務省に対しましても、先ほど私の森先生に対する御答弁が十分でございませんでしたけれども、平時からいろいろ情報連絡をとりまして勉強するということはいたしております。
  95. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 したがって、今後沖繩基地としてまた再度クローズアップされてくるであろうことは必至でございます。したがって、B52が再び飛来しないという保証もないでしょう、おそらく。それからあるいはその他偵察機にしましても、あるいは戦闘爆撃機にいたしましても、ちゃんと油を入れそうして銃弾を持って飛び立つ、これは明らかに戦闘能力を有しておる。これは単純に、専門家でなくとも常識的に考えても結論的に言えるであろうと思う。そういうことが常時行なわれていないということは考えられないんです、常識的に判断してみた場合に。そうした場合に、もういつも事前協議対象になり得るという要素を持ったそういうような作戦行動は、常々このようにやはり理解すべきがほんとうじゃないか、こういうことなんです、いかがでしょうか。
  96. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 要するに、わが国米軍基地が作戦軍事行動基地として使われるか使われぬか、そういうことになるということはやっかいだというところに問題があるわけでありまして、そういうことを頭に置きながら事を判断する、こういう立場だというふうに御理解願いたいんです。それには主観的な立場の問題もあり、客観的な立場の問題もある。その両面から判断されるべき問題であり、いま私どもはこのベトナム戦争に関しましては、地理的にも非常に遠いということで、わが国米軍作戦行動基地になるというように考えておりませんけれども、観念的に、もしも、そういうことがもし万一あり得るというような場合には、これに対して許諾を与えないという方針である、こういう御理解を願います。
  97. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 ですから、この補給という問題については、先ほどKC欄の給油の問題が出ました。補給補修については事前協議対象にならない。それは確かに額面どおり受けとればそれまでかもしれません。食糧だとか医薬品だとか、補給の中には銃弾等その他軍事的な物資も含まれる、それは当然そういうふうに理解すべきでございましょうし、そうした補給についても全然事前協議対象にならないというと、戦闘行動のその戦備を整える、そういう補給をしていながらもそれは事前協議対象にならないということになったら非常な矛盾ではないかという点はどうなんでしょうか。
  98. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) もう武器弾薬を含め、戦時用物資の補給、これは事前協議対象といたさないというようにいたしております。しかし、これが補給戦闘作戦行動とまぎらわしい場合があるんです。たとえば、落下傘部隊が降下を始めた、それと共同してたまを落とします。そのたまがわが国基地から発進した飛行機に搭載しておったということになりますと、これは単なる補給ではないような理解をすることが妥当である、こういうふうに考えます。それは補給ではなくて作戦行動補給とも言えるけれども、実際は補給ではなくて作戦行動だ、こういう理解をすべきだ、こういうふうに考えるわけですね。ところが問題のKC欄というようなことになると、わが国基地から飛び立つ飛行機ではありまするけれども、これは補給活動、こういうふうな理解をする、なかなかその補給作戦行動との関連、これは線を引いたような区画があるわけではございませんから、なかなかむずかしいから、私はそういうふうに割り切って疑義を残さないということが妥当である、かように考えております。
  99. 黒柳明

    ○黒柳明君 関連で一、二問お伺いしたい。  大臣の発言の中に、まず第一点として作戦行動基地として使ってはうまくない。しかしながら、作戦行動という命令が出たかどうか、日本政府の関知する範囲が非常にむずかしい。岩国から南方に行っただけであるという、こういうことだけでベトナムへ行ったかどうかわからない。だから実際から言うと把握していないと、こういうおことば。  それからもう一つは、要するに作戦行動ならば日本に立ち寄っても、これはうまくない。作戦行動ならば日本に立ち寄ることはうまくない。こういうようなおことば。それは私ここに具体的にあるんですけれども大臣判断してもらいたいわけですよね。また、書類ばかりで申しわけないけれどもアメリカの書類ですけれども、一九七二年の三月六日、積んでるものはトータルエクスプロシブウエート三万八千五百三十七ポンド相当な量ですね。トータルエクスプロシブウエート、全体的の爆発物の重さですが、三万八千五百三十七ポンド。ディスティネーション、行く先はサイゴン、ベトナム、それで途中にジャパン、横須賀と、こう寄っているんですね。内容は一ぱいあります。内容は、時間がありませんからお見せして、あとで検討していただければと、こう思いますけれどもね。  問題は、いま三つのことを言った、一番初めのことですね。日本政府は直接戦闘行動岩国から海兵隊がどこへ行ったのかわからない。南方へ行っただけなんだ。こういうようなことなんです。それがキャッチできればこれは当然日本からベトナムなんか行っちゃいけないんだと、こう言える。ところが、それはアメリカ日本に通告する必要はないものであって、あるいは機密に属するものであろう。しかしながら、これはパールハーバーを出ているんですね、アメリカから。やっぱりこのサイゴン、ベトナムということは、ディスティネーションということは、そこに行くのですね。大型LST、当然武装しています。当然四万ポンドも爆発物を持っているわけです。それがベトナムに行く途中に日本に寄って、何をしたかわかりません。残念ながらここには出ていませんから。これは私はそれ明らかに日本基地戦闘作戦行動の中に含まれている存在に当たるんじゃないか、こう判断するんですが、いかがでしょうか。
  100. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それは船ですか、飛行機ですか。
  101. 黒柳明

    ○黒柳明君 大型LST、横須賀に寄っています。
  102. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいまの御指摘の問題ですね、いま黒柳さんのお話だけで、私はこれは戦闘作戦行動そのものであるのか、その事前の段階のものであるのか、その辺よく私もここではっきり申し上げるわけにはいきませんけれども、資料をいただきまして、十分検討してみたいと、かように思います。
  103. 黒柳明

    ○黒柳明君 資料はお見せしますけれども、単純なんです。一番上のだけが問題なんです。要するに大型LSTが二千トンくらいの火薬を積んで、LSTだから当然武装もしているわけだし、ベトナムに行けという命令を受けているわけですよ。ディスティネーションですから、その途中でジャパン、横須賀に寄っているわけです。そこで何をしたかわかりません。荷積みをしたのか、荷揚げをしたのか、補修をしたのか、修理をしたのかわかりませんけれども、明らかに本国からベトナム行きの作戦行動を命ぜられている。こう判断する。それは命令書なんかありませんよ。私はそこまで入手できません。しかしながら、これを見ますと、明らかにそのサイゴン、ベトナムに行くという命令が出ていることは、これは間違いない。横須賀日本に寄っていることも間違いない。そこで何をしたか、補給であるか、修理であるか、何かわからない。しかしながら、アメリカのパールハーバーを出るときにはサイゴンに行けと、LSTですから当然四万ポンドの爆発物を積んでいくことは、戦闘作戦行動以外の何ものでもないと思うんですよ。そしてわが国に寄ったということは、これは当然わが国横須賀戦闘作戦行動一環に組み込まれていると、こう私は判断せざるを得ない。ですからこれは書類を見るとか見ないとかという問題じゃなくて、この一番上だけを見ていただければ、それだけしか出ていません。中はロケット砲が幾つとか、こういうことですね。これはこまかいことだから必要ないと思うんです。一番上のトータルは三万八千五百三十七ポンドです。
  104. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は英語には弱いほうですから、資料をいただきまして、よく調べてそれから。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 いまの範囲ではどうですか。
  106. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまの範囲ではお答えはできませんです。つまり私がお答えできることは、日本基地米軍の直接の戦闘作戦行動基地として使われるということは許さない。こういうことです。
  107. 黒柳明

    ○黒柳明君 私はこの直接という二字については、若干疑義があると思うんです。そういう二字については若干疑問点があるかと思うんです。しかしながら、もしこれについても事前協議が当てはまらないとなったら、それこそいま森先生がおっしゃったように、あるいは羽生先生がおっしゃったように、何が事前協議に当てはまるのだ。それこそもう空洞化、形骸化ではなくて、事前協議自体がもう全然役に立たない。結局政府政治姿勢になる。こういうふうに私感じます。まあ、わからない、わからないという御答弁では前に進みませんけれどもね。  それからさらにきのうの朝刊をお読みになって、いま渋谷さんからも若干発言ありましたけれども佐世保なんかもベトナム帰りの駆逐艦が四隻入っているわけですね。私たちもこの数日間調べました。広ですね、川上、秋月の中継基地になっている。広は四十四年はハラウラービクトリア、七千六百三十八トンを中心にして八隻、広からカムランに出ている。  それから四十五年の一月から五月までが、やはりカムラン。これはマンカードビクトリア、七千六百トンを中心として十二隻。  四十六年はオーバーCローズ七千八百二十二トンを中心にして十隻。  そうして本年に入って、一月から五月まで二十七隻なんですね。ものすごくこれは量が多い。  先ほどから、補給基地ならば事前協議、法的には問題がない。私は百歩譲って、それは認めることできませんけれども、そのことを知った前提で、いま客観情勢を言っているのです。いま大臣がおっしゃったように実態から言っている。急速にベトナムのエスカレートに伴って、広が硝煙くさくなっておりますね。  それから佐世保だって、きのうの朝刊でベトナム帰りの駆逐艦が修理されている。  それで横須賀に行ってみたら、横須賀も五月二十日に駆逐艦が二隻、フリゲート艦が一隻入って修理している。明らかにベトナム帰りです。  横須賀にもベトナム帰りの駆逐艦、フリゲート艦がいる。佐世保にもベトナム帰りがいる。岩国から南方に移動した、ベトナムに行ったんじゃないか。広にはいままで八隻、十二隻、十隻、二十七隻、どんどん出ている。あるいは横田からも相模補給廠からも戦車が行っている。こうなると、日本のあらゆるところがベトナム戦争中心にして、もう硝煙くさくてしょうがない。やはりマスコミの報道というものが、国民の世論でうまくないから、ああいうふうに書き立てる。報道していただく。実態を。  そうすると、私は明らかに官房長官の記者会見の話がけさ出ていましたが、法的にはまあ問題はないとしても、国民感情からこういうことはちょっとうまくない。外務次官にここで統一見解を出すように指示したなんということがちょっと出ておりましたけれどもね、私は百歩譲ったとしても、そういう事前協議について、これはもう私たちも早期解消、それこそ政府の言辞とまあ違っている。その大前提ではかみ合わないと、こう言うならば、こういう状態というものについて、さっきおっしゃったようにアメリカ抗議しろ、抗議しただけではなくして、やはり政府として責任ある立場で、ただ単に補給基地はいいんだ、中継はいいんだということでなく、そうじゃないのだという、沖繩にも本土にもある基地というものが、従来と変わっているのだという、政府のそういう発言、それを現実的にも二歩も三歩も国民の安心するような、こういう政府態度をとりませんと、現実実態は外務大臣おっしゃったように、そうじゃないのですよ。あらゆるところでこういうベトナム戦に伴っての硝煙くささ、事前協議というきびしい法的な問題が、もしも百歩譲ったとしても、国民感情としてこれは絶対許せない。ただ単に、それじゃアメリカ抗議するだけなのか、まだまだ中期的にこういう状態が続くことも予想され、それに対して政府はただ傍観しているだけか。安保があるからしょうがないというだけなのか、そこらあたりに私は外務大臣の発言、官房長官の発言、外務大臣のお考え、あるいは事務当局にどういう作業をやらせるつもりか、官房長官は、外務大臣はそれに対してどういうことを考えるか。どうでしょう、そこらあたり。
  108. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) まあ率直に申し上げますが、法的な立場から言いまして、アメリカとの関係補給補修これは認めざるを得ない。しかし、日本の国民の国民感情というようなものもあるのでありますから、その補給補修を認めざるを得ませんが、その国民感情というような点も十分踏まえてアメリカとしては行動してもらいたいというふうには考えるわけです。アメリカとしても、そういうつもりで最大の努力をいたしておる、こういうふうに思いますが、何せベトナム戦争というものは、にわかにあれだけエスカレートしたものですから、それの影響日米安全保障条約を結んでおるわが国に全然縁なきものであるというわけにもいかないのです。今後ともよく気をつけてまいりたいと、かように存ずるわけです。
  109. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 時間もありませんので、あと二点だけお尋ねをしておきたいと思います。  まあ、いまいろんなふうに質疑がかわされている中で、どうしても事前協議事項というもの自体がやはり不備ではないだろうか。これを米国日本の相互間においてもっと国民の納得する協議事項というものに修正すべきではないか。こんな私どもの素朴な考え方が出てくるわけです。補給基地と言ったって非常に幅が広い。装備の、重要な装備の変更といっても、先ほど私が冒頭に申し上げたようにいろんなことが考えられる。核を除いても毒ガスがあるでしょうというぐあいに、その辺の、端的に申し上げますれば字句の修正というようなこともございましょう。それらを引っくるめてまず日本政府のほうにおいて、日本側としてはこういうふうに臨みたい、この事項に抵触する限りにおいてはもう絶対事前協議対象にする。また、基地貸与をはじめ戦闘行動は許さない、こういうふうにするとか、その辺はいかがですか。
  110. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議の問題の再検討、これにつきましては、基本的な考え方につきましてこれを変更する考えは私はないんです。ないんですが、とにかく総ざらいしてみる。事前協議対象三項をこれ全部やります。しかし、特に私が重点を置きたいのは出撃の場合の判定の問題です。これまた日本側ではいろいろ国会で詳しく議論がありまして、そしてまだその結論の出ない問題もある。出た問題もある。結論の出ない問題については、政府として結論を出さなきゃならない。結論の出た問題につきましても、アメリカとの間に打ち合わせの必ずしもきちっといってない問題があるんです。これもできなきゃ、それはまたアメリカとの間に打ち合わさなきゃならない。また、わが国のほうで考え方をまとめたものにつきましてアメリカと打ち合わせをしなきゃならない、こういうふうに思いますが、とにかく日米安全保障条約はこれを堅持する、これが大前提でございます。そのもとにおける歯止めをどうするか、こういう問題で見切りかねるということは一番悪いと思います。はっきりした形にしておきたい、こういうのが私の考えです。
  111. 渋谷邦彦

    ○渋谷邦彦君 いずれにしても、先ほどの御答弁を振り返って整理するまでもなく、作戦行動あるいは出撃命令等々、それ自体いろいろそういう問題がございますが、それが主観的であれ客観的であれ、こういうような見解でもって処理されたのでははなはだ迷惑なんですね。これはやはり主観的だとか客観的だということでなくて、やはり日米の相互間においてコンセンサスをきちっと取りつけておくということが必要ではないだろうか、ということであえてそれを付言したわけです。  最後にお伺いしたいのは、簡単に御答弁くださってけっこうです。日中国交回復機運が相当盛り上がっております。今回公明党の訪中団でもいろいろな点が明らかにされておりますけれども、やはり政府としては国交回復に臨む三原則というものをのめないかどうか、もし三原則というものをのむ場合には、交渉の過程においてそれを折衝するのか、それから交渉前に、特に日華平和条約についてこれを破棄する、こういうことを明言した上で交渉のテーブルにつくのか、この点再確認いたしたいと思いますので、その点について御答弁をいただきまして私の質問を終わります。
  112. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日中国交正常化につきまして、私はこれはぜひ推進したい、こういうふうに思っております。言われるところの対日三原則ですね。別に政治三原則というのがありますが、それじゃないのです。対日三原則につきましては、これは交渉の過程において話し合うという考えです。  それから日華平和条約については破棄を宣言してこれに臨むか、こういうお尋ねでございますが、さような考えは持っておりません。
  113. 岩間正男

    岩間正男君 時間がないから、聞いたことだけに答えてください。  先ほどの答弁で外相は平和主義をとるのだ、こういうふうに言っておられましたが、具体的にお聞きしますが、爆弾を積んで出撃するB52が嘉手納の基地を離れる、そういうところを外相は見たことございますか。
  114. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ありません。
  115. 岩間正男

    岩間正男君 とにかく、あの姿を、私も一昨年の六月嘉手納の基地を出た瞬間の姿を見たのです。腹にも翼にも一ぱい爆弾を積んで、そうして艤装した、ほんとうにアジアのギャングと言われるあれが出ていくのを見た。その瞬間にベトナムの人が何百人も殺されるのです。いまだってそうでしょう。一日にB52の何百波という空襲をやっているわけです。そういう中で老人、子供、婦人、学校まで爆撃されている。これは平和主義の名前に値しない。
  116. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 戦争の態様を私は論ずるわけにいかぬ。つまり今回のベトナム戦争のエスカレーション、これは何だと言いますれば、アメリカ側の主張によると、北越軍が中立地帯を侵犯して南進をしておる、それに対する対応が、それの対応の態様がいろいろある。戦争ですから悲惨なことが多いにきまっている。それを何とかして早く収拾したいという私どものほんとうの心からの念願でございます。しかし、一方だけを非難するということは、これは私は当たらない、こういうふうに思います。
  117. 岩間正男

    岩間正男君 この問題は時間の関係から、いままでにわが党の星野委員の追求した問題、時間の関係から重複を省きますけれども、そういうような一方的なアメリカの言い分、これを政府はたてにとってやっているわけです。こういうことは許されないと思う。これはもう平和主義の精神から考えて話になりません。私はこういうふうなやり方の中で、政府の今度のB52の問題ですが、これは徹底的にやはりアメリカに追及したですか。どこからやってきたのです。それからどこに行ったのです。それから三機というのは何号ですか、こういう問題で明確にもっともっとやはりこの実態を明らかにする、そういう追及を私はすべきだと思う。これはいかがでしょう。
  118. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカ側説明によりますれば西のほうから飛来した、そうして嘉手納で一時とまって、その上東のほうへ飛来をします、こういうことでありました。あとで確かめたところでありますが、東のほうとはグアムである、こういうことであります。
  119. 岩間正男

    岩間正男君 アメリカをあなたは信用するのは、私はそれに干渉しようとは思っていないのです。しかし、現に国民は疑惑を持っているんですね。非常に疑惑を持っている。ことに沖繩県民は体験からこれに対して強い疑惑を持っている。これに答えるのは日本政府の当然の責任じゃないですか。これには答えていない。アメリカから聞いた、信用します。これだけで一体国民を説得できるとお考えですか。
  120. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは気象の状況で一時とまるんだと、そういう、しかも現実にそうなんです。八時に着陸いたしまして一時には出発をいたしました。しかも武器は積んで——武器というか、武装はしておりませんと、こう言っておる。一時着陸、これを要請されて、そうしてそれを認めませんと言ったら、一体どういうことになるでしょうか。そういうことを考えましても、これは私は一般の方々は理解をしてくださると、こういうふうに思います。ただ沖繩現地の人はB52について強いアレルギーを持っておりますから、これは格別と思いますが、この方々についてば、そういう性格のものでありますので、そういうことを発表しておりますので、御理解してくださっておる。なおしかし、その沖繩県民の心情も顧慮いたしまして、今後さようなことが反復されないように最大限の努力をしてもらいたいし、なお移駐のことにつきましては、絶対にこれは困るということを申し上げておきます。
  121. 岩間正男

    岩間正男君 非常に政府態度はルーズですよ。国民はもっときびしくやっぱりやってもらうことを欲しているんです。信用できないんですよ。あなたは、だからこれは戦闘作戦行動日本基地を使う場合には、これは事前協議対象になる、こう言ってるんだから、それをほんとうに実態を明らかにすることは、いまのような、単にアメリカの言い分を信用するということだけは絶対できないんだということは、これははっきりしておる。私はそういう中から、これは再配置に対する非常な不安を持っているわけです。これは沖繩県民が持っているだけじゃなくて、日本の人たちがいま非常にそれを持っておるんです。移駐の前ぶれではないか。私は次のような点から、これはまさにそういう危険は十分にあるんだという点を指摘したいと思うんですが、これに対して端的にお答え願いたい。  まず第一に、嘉手納の整備要員は最近非常に増強されている。こういう事実があるわけです。  第二には、これは昭和四十年の七月二十八日に台風避難を口実にグアムから二十五機のB52がやってきた。そうしてそれがいつの間にか、だんだん居すわって、そうして四十三年の二月からは二十機が常駐し、そうしてベトナム爆撃にこれはもう常時従事したわけです。こういうことは、いつでもアメリカの常套手段でしょう。常套手段です。エンタープライズの場合にも、原潜の場合もそうだと思うんです。最初はこれは一時寄港でございます、こういう言い方で入ってきますけれども、いつの間にかそういう既成事実をつくると、その上に立ってもう常駐してしまうというようなやり方で、いつでももう彼らはやってきています。それから戦略的に見たって沖繩——ベトナムというのは、これは非常にグアム等から考える場合には半分でしょう、距離は。これは経費の上から見ても非常に節約にもなる。  それからもう一つの問題は、これはグアムとウタパオに百三十機現在B52があると言われている。ところが最近はウタパオのほうがやはり弾丸などの保有量からいってもだんだん少なくなってきて、そうして沖繩が強化されている。そういう情勢は、いまの財政的な面から見ても、戦略的に見ても、そういう危険性が非常に大きい。この点が、これは沖繩の県民をはじめ日本国民がいま非常に心配しているところなんです。したがって、この問題について、やはりアメリカと徹底的に私は話し合う、そうしてアメリカにそういう事態は絶対これは許すことはできないのだが、はっきりこれについての取りつけをすべきだと思うのですが、いかがですか。
  122. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカにはよく申し入れをして、アメリカもそのとおりに理解をいたしておりますから、御安心願います。
  123. 岩間正男

    岩間正男君 ちょっと、聞えない。
  124. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アメリカにもこの問題はよく話しをし、アメリカもよく理解をしておりまするので、その点につきましては、御安心を願いたい。
  125. 岩間正男

    岩間正男君 御安心はいいですが、いままで安心をしてだめになったことはたくさんあります。したがって、もしもそういう事態が起こった場合に、政府の責任というのはどうします。
  126. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) とにかくB52がわが国の本土を基地といたしましてベトナム発進をするということにつきましては、これを阻止いたします。
  127. 岩間正男

    岩間正男君 十八日の内閣委員会でこの問題で政府が追及をされたはずです。事前にやはりB52か絶対に沖繩に来ないように申し入れをすべきた。いやそういう心配はございません。これはあなたではありませんでしたが、防衛庁長官の答弁であります。そうやっているうちにこういう事態か起こっているのです。こういう現実は私ははっきり踏まえてこれは論議をしているのです。したがって、アメリカはそう言ったから、こういってこれは安心ができる問題じゃない。じゃあ次のことお聞きしますが、四十五年の九月に、これはアメリカは御承知のようにB52の撤退の意思を表明しました。臨時配置していたB52は撤去する。しかし、将来、作戦の必要が生じた場合、再配置することを排除するものではない、こう通告してきた。むろんこの通告は、沖繩の施政権が米側にあった時代のことだと私は思うのですが、復帰後の現在では、こういうことははっきりこれは失効しておる、効力をなくしておると思うがどうですか。
  128. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) その文書のことは私は知りませんけれどもアメリカに、B52の移駐ということについてはわが国民は非常なアレルギーを持っておるから、この点については十分配慮してもらいたい、こういう申し入れをしております。これに対しましてアメリカ側は十分な配慮をいたしますと、こう言っておるし……。
  129. 岩間正男

    岩間正男君 具体的にそういうことが……。
  130. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) また、非常に重大な問題は、わが国の本土を基地といたしましてベトナム戦争のためにB52が発進をするというようなこと、これは考えられませんけれどもいそういうことがもし万一ありますれば、これは許可を与えません。
  131. 岩間正男

    岩間正男君 当然、このような文書に対していまの段階でアメリカがそういう意向を表明したのであれば、当然私はこの文書はこれは無効あるいは撤回と、はっきりこれは文書の上で処理をすべきだと思いますけれどもいかがでしょう。
  132. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) さようなことは考えておりません。
  133. 岩間正男

    岩間正男君 そうすると、これは全く何ですね、これは解釈ではどうともなる。こういうものをこのままにしておいて、そうしてアメリカ移駐はしませんと言っただけで、一体これを信用するということについては、これは私は外交的な措置としては非常にあいまいだと言わざるを得ないと思いますね。それとも何か一体こういう問題についてはこれは協定でもあるのですか、秘密の。
  134. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 別に秘密の取りきめとかなんとか全然ありません。ありませんが、アメリカは善意をもってわが国立場理解しております。
  135. 岩間正男

    岩間正男君 もう一ぺん確認しておきたいのですが、アメリカB52を沖繩移駐してくるという事態が起これば政府の全責任である、これはそれでようございますか。
  136. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いずれにしても、B52が、沖繩のみならず岩国といわず三沢といわず、わが国の本土を基地といたしましてベトナム戦闘行動をしかける、これはもう断じて許しませんから、その点は御安心願います。
  137. 岩間正男

    岩間正男君 いやいまのことを聞いているのです。聞いていることに答えてください。政府の責任はどうするか、はっきり言ってください。
  138. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府は責任を……。
  139. 岩間正男

    岩間正男君 全責任とりますね。
  140. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 全責任をもってそのとおりにいたします。
  141. 岩間正男

    岩間正男君 これは確認しておきたい。  次にお聞きしますが、これは沖繩並びに本土の場合でありますが、今度のベトナム戦争が激化してからどのように使われておるか、この実態をこれはつかんでおるわけですか。簡単に言ってください。簡単でいいですよ。
  142. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 本土の基地の状況を簡単に申し上げますと、横須賀米軍……。
  143. 岩間正男

    岩間正男君 大ざっぱでいいです、資料要求しているのだ、こまかくやられると時間がない、時間が。
  144. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 大体つかんでおります。  横田、相模原、岩国とか……。
  145. 岩間正男

    岩間正男君 やっていますか、やっていませんか。努力していますか、していませんか、それを言ってください。
  146. 大西誠一郎

    説明員大西誠一郎君) 情報の収集について努力をいたしております。
  147. 岩間正男

    岩間正男君 この資料は内閣委員会でこれを求めておるわけです。これはこまかに私は出しておりますから。  日本には、われわれの調査だけでもこれだけのものがあります。これは沖繩岩国、横田、佐世保、それから横須賀、それから静岡県の今沢、それから富士演習場、それから三沢、それから厚木、それから広島の広、秋月両弾薬庫、それから相模原補給廠、こういうものについてわれわれの乏しい調査能力でもこれは調査をしている。こんなものじゃ済みませんぞ。これははっきり当委員会にも私は当然、内閣委員会にも要求しておりますけれども、これは出すべきじゃないかと思いますが、外務大臣いかがですか。
  148. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ベトナムであれだけのエスカレーションがありますから、わが国基地に関連がないと、こういうふうには申し上げられません。補修補給については、かなりのことが行なわれておると。
  149. 岩間正男

    岩間正男君 この実態をつかんで、これは事前協議対象になるかならないかの仕分けをはっきりしなければならぬ。こういう検討はいたしておりますか。
  150. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 補修補給につきましては、事前協議対象といたしません。
  151. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 岩間君、時間が過ぎています。
  152. 岩間正男

    岩間正男君 そういうことを言っていますけれども、これは明らかに岸総理時代からの答弁に反するものであります。戦闘作戦命令を受けている場合には、それは補給といえども対象になります、これがいままでの統一見解であります。これを二年ほど前から政府がかってに変えたものであります。そういう点から考えて、私は、事前協議についてまず二点だけただしておきたい、時間がないから。  第一点、いいですか、発議権を持たなければ話にならぬじゃないですか。発議権がなければ、米軍がどんなにこれはかってな行動をしたって、これは戦闘作戦命令を受けておりませんと、こういうことになれば、全然これは事前協議は発動しない。したがって、当然発議権を日本側にはっきり与えるということが事前協議のこういう空洞化を変えていく私は一つの力になると思うのですが、この点いかがでしょう。
  153. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 事前協議でありますから、これは当然アメリカ側に発議権があるわけです。こういう行動をしたいがいかがでしょうかという…。これは日本側に発議権があるはずがないです。しかし、わが国には、疑わしい場合があるとか何かの事情がある場合には随時協議という形でアメリカに話をしかける、こういう道があります。
  154. 岩間正男

    岩間正男君 私もこれは国会、長いです。二十二年いるわけです。何のために事前協議つくったんです。戦争日本が巻き込まれる不安、この国民の不安をチェックするためにこれはつくられた。当然、アメリカの一方的な行動だけではこれはだめなんです。これに対する疑問があれば、当然事態が起こらないその以前においてこれについて日本側がはっきり意思表明をする。そして協議をする。その結果、必要があればチェックをする。それでこそ事前協議というものは生きておる。そうでなければ、国民にチェックの機関だ、こういうような一つの宣伝をやったとしたって、実際は最初からすでにこれを使う意思がなかったようなかっこうでやられているのがいまのやり方です。当然発議権を私は要求するのが今日は必要だと思う。  もう一つお聞きしますが、これはグアム島からベトナムへ出撃するB52に給油する空中給油と、空中と地上の場合で区別をしている、この根拠は何ですか。
  155. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは先ほども申し上げましたが、空中給油のほうは、給油でありますから補給行為であります。ところが、地上においてやる場合は、これは給油でありまするけれども、同時に戦闘と非常に密接な関係がある。つまり、そこから出撃いたしまして、わが国基地から出撃をいたしまして、爆撃なり戦闘行為をやる、そこに違いがある。その辺は割り切って考えております。
  156. 岩間正男

    岩間正男君 地上給油の場合に事前協議を求めておるのはどういうことです、どんな理由です。
  157. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは沖繩基地から発進をいたしまして、そして戦闘作戦行動に加わると、こういうことであるからであります。
  158. 岩間正男

    岩間正男君 戦争協力しエスカレートさせる、そういう効果を持っておる。空中給油がなければ今日の爆撃体制というものはすごく変わる。この点では空中給油も何ら変わりがない。このためにこそ事前協議、それをチェックするためにこそ地上給油の場合は当然事前協議になるのだと、政府は言っておる。空中給油の場合には全く同じでしょう。しかも、これは沖繩から発進しておる。先ほど田さんから話がありましたように、ちゃんと沖繩にいる。現在五十機もこれはKC135がいるのだと。だから、これははっきり政府の解釈というのは地上、空中の給油別なしに、いままでこれは事前協議対象になる、そういうことを明確に言っておるわけです。単なる補給じゃない、戦闘作戦行動の場合には、はっきりこれは事前協議対象になるということを何回も繰り返しておる、これは統一見解である。これを変えたということは、この前もこれは内閣委員会であなたに質問しましたけれども、これは官僚たちがやったことです。ここに速記録があります、ここに。答弁を見てください。全然、私の質問のなかったそういうことがどんどん加えられていますよ。これはアメリカ局長も見てください。こういうことをやって、そしていかにも空中給油事前協議からはずすというやり方をやったとしても、全然これは問題になりません、どうなんですか。そういうことはあなたが、官僚がそういうように実際現状に合わせて、そして、アメリカの何といいますか、立場、そういうようなものに合わせていった。そういうようなものをあなたはあくまで踏襲してやっていくのですか、そうじゃないと思うのです。いま国民が少なくとも政府に期待しておるのは、まあ期待してないかもしれない、してないかもしれないけれども、ともかく要求しておるのは何かといったら、それははっきり戦争日本がこれ以上加担するようなそういう行動基地をとにかく使わせる、これは事実上の戦争加担ですよ。そうしてそのたんびに何百人の人、何千人のこれはアジアの同胞が殺されておる。そういうことをやりたくない、これが平和主義の立場じゃないですか。あなたが最初に言ったこととまるで矛盾することを手放しでこれを許しておる。このアメリカの侵略加担のこういうようなやり方にはっきりした態度をとりなさい。ことに沖繩、そうして先ほどあげたような本土のこれは横須賀、横田、その他のいま問題になっておる、こういうことを明確にこれはすべきだ。そうでなければ、安保条約は全く変質をしておる、全く変質をしていますよ。こういうことは許されないことだと思いますが、はっきりした立場を、これはあなたの政治家としての、ステーツマンとしてのあれをやってください。
  159. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  160. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 速記を始めて。
  161. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、先ほど来申し上げておるわけでありますが、政府は国民の生命、財産、わが国を防衛することについての責任を持っておるわけです。これがとにかく最大の責任です。そういう上からわが国に対する侵略の抑止力、その不足を補うために日米安全保障条約を必要とする。この日米安全保障条約においては、補給補修米軍に許しておる。こういう立場をとっておるわけでありますから、その辺は、岩間さんともう根本から見解が違う、こういうことを申し上げておきます。
  162. 八木一郎

    委員長八木一郎君) 本調査に対する質疑は、本日はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十分散会      —————・—————