○
国務大臣(
福田赳夫君) 森さんのお話のように、まさに私
どもは国会の議決を受けまして、サンクレメンテ会談を頂点といたしまして最大の努力をいたしたというふうに御理解を願いたいんです。サンクレメンテ会談では私が総理のそばについており、総理と大統領が話し合いをされた。それを聞いておりますと、実に総理は事こまかに
日本の国会の
状況を
説明されるんです。ヤギの話まで持ち出し、大統領のほうではぴんときたかこないかわからないけれ
ども、そういうこまかい
質疑応答まで持ち出されるということで、この会談において総理は核に対しまして
日本人がどのくらいのアレルギーを持っているか、これを
アメリカの最高首脳部に話したいというための最大の努力をされたというふうにみてとったわけであります。それに対しまして
アメリカの大統領は、これは、核については非常に慎重なかまえをしておるのでありまして、また、そばにおる
ロジャーズ長官の話を聞いておりましても、核は全くその扱いがもう大統領の専管事項であるということをまことにあざやかに印象づけるようないろんな話をしておる、こういうような状態であります。その会談におきまして、その会談の結果といたしまして、
アメリカが五月十五日の時点において核抜きということについてできる限りの配慮をすると、こういう結論になり、これも共同新聞発表に盛り込むということもまた了承されたわけなんです。その結果に基づきまして、事務当局間で両首脳の会談をどういう形で実現するかということを協議して今日に至ったわけでありますが、結局、ロジャーズ国務長官から
福田外務大臣あての書簡とする、こういうことになり、その内容といたしましては、御
承知のように、一九六九年の共同声明第八項及び
沖繩返還協定を引用いたしまして、「これら諸島に対する
施政権が
日本国へ返還されるこの機会に、
沖繩の核兵器に関する
アメリカ合衆国
政府のこの確約が、完全に履行された」
——ここに重点があるわけです。「この確約が、完全に履行されたことを、
アメリカ合衆国大統領の指示と許可の下に、閣下に通報する」と、こういうことで、いままではいろいろ
交渉の過程におけるところの議論でありましたが、昨日の五月十五日、その時点におきましては、核に関する
アメリカの
日本政府に対する約束が完全に履行されましたということを厳粛に
わが国に通報してきた、ここに
一つの大きな
意味があると、こういうふうに御了承願いたのであります。
それから第二に、これもずいぶん私
どもが
アメリカに対して苦心をした点でありまするが、これは皆さん方からずいぶん本土についての問題がある、大体本土、
沖繩含めまして将来についての危惧を持たれる。そういう点につきまして、
わが国といたしましてはこの機会に
アメリカの立場を明瞭ならしめる必要があると、こういうふうに考えました。これは国会の御決議にも
——ほかの問題でありまするけれ
ども、その点をこの際明らかにしたいというのに
アメリカは対応いたしまして、書簡第二項におきまして、「なお、この際、本長官は、閣下に対し、日米間の
相互協力及び安全保障
条約の下における
事前協議にかかる事項については、
アメリカ合衆国
政府は
日本国政府の意思に反して行動する意図のないことをあらためて確認いたします。」、こう言っておるわけであります。これは、私は大きな内容を包含しておると思うんです。つまり、
わが国が非核三原則というものをとっておる、この政策につきまして、
アメリカ合衆国が
日本国政府の意図に反して行動する意図のないことを明言をいたしたわけであります。私は、今後、国民各界各層が核について考えること、また御心配されることにつきまして大きな回答が与えられたと、こういうふうに考えておる次第でございます。