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辻一彦君 まあ、大体の経緯はいま伺いました。
そこで、御存じのように、お手元に資料も差し上げてありますが、その上の表を見ていただいても、これはもう、若狭湾に、現在
建設中が三百万キロワット、それから
大飯一号、二号、
美浜三号を入れれば六百二十万キロワットに及ぶ非常に
集中かつ
大型になる、こういうことはもう十分御承知のとおりであります。そこで、
一つ一つの安全もさることながら、これだけ世界的にも有名なほど
原子力発電所が
集中をする、しかも、アメリカで
大飯百十七・五万キロをこえるのは百十九万キロ一基が五、六年後に
建設をされ――このように
集中化、
大型化が行なわれている、そこに私は、一個の
建設の問題よりも、さらに
安全審査並びに
原子力委員会におきましては、さらに広い社会的な
環境についての十分な考慮が必要でないかと思うわけであります。
そこで、実は、
安全専門審査会のほうは、伺えば、これは独立して学問的な
立場からやるのであると、こういうことを伺っております。それはあとで論議いたしたいと思うのでありますが、それはそれとして、私は、いま有澤
委員の御
報告を伺いますと、すでに三月六日に、
大飯一、二号、それから
美浜三号の
安全審査の結果が出た、わずかに三日後に
美浜三号の認可をするということを
原子力委員会がすでに決定をされた、ということについて、まず第一に非常に問題があるのではないかと思います。
といいますのは、これは昨年の九月二十九、三十日でありますが、ここにいまお見えになっていませんが、
理事の平島さんを団長として参議院の科学特別
委員会が若狭湾原電の視察を正式にいたしました。その二十九日の晩に
美浜町の議会が緊急
会議を開き陳情決議をし、そして議会を休会いたしまして敦賀の宿舎に私たちを訪問されて、陳情をいただきました。その中身は、十一月十七日の科学特別
委員会の
報告書の中に明らかにされております。それは、漁民に温排水の問題が非常に影響を与えるので、この十分な
調査を行ない、その
調査の結論が出るまでは新たなる炉の新設、増設は、これは認めないでほしいという陳情でございました。これは、そこに五名のわれわれ
委員が同席いたしまして、そしてそれをお伺いをし、以来、昨年の十一月十七日の科学特別
委員会、また十二月十六日、私は内閣
委員会におきましてもこの問題を取り上げたわけであります。
ところが、その後
美浜町の議会のほうから、まあああいう陳情したのだけれども、様子がたいへん変わったのでひとつあれは御破算にしてほしいと、こういうことが私にお話がありました。聞いてみますと、まああまり私はその内部にわたるのはいかないと思うのでありますが、あそこに丹生という六十五戸の部落があります。この部落は、昨年漁民の皆さんが非常に問題にし、反対しておりましたが、突如、当時の企業であります関電側から大体一戸平均で六百五十万、全部で四億五千幾らかのお金が特別補償という形で全部に平均して渡された、そういうことで、とたんに漁民のこのいろいろな運動というものが、その部落においてはとんざをしたということがあります。ところが、そのとき、さらに特別な補償を町当局とその部落が交渉して約束をされた、その補償をするために、企業のほうから、これはいろいろ言われておるのでありますが、五億程度の特別な町村
振興費というものが出されるので、それを引き当てにして補償したい、こういうこと。この三
号炉は、ああいう陳情をしたのだけれども、様子が変わったので認めてもらいたいのだと、私にはこういうお話がございました。これは
美浜の町議会の原電特別
委員長、副
委員長から二回にわたって私にそういう話があったわけであります。私は、この問題は皆さんの御陳情によって
国会に三回にわたって正式に取り上げ、
委員会の
報告にも盛られて、そしていま
環境庁、水産庁、
科学技術庁によって若狭湾の温排水の
調査が春から行なわれようとしている、そういう段階にあるときにこういうことを申し出られるということは非常に私は
理解しがたいと、こう言ってお別れをしました。
しかし、その後いろいろな状況の中で
美浜町の議会は多数でもって三
号炉の誘致を御決定になったようでありますが、私は、少なくとも
原子力委員会というものは、こういう問題に対して、十分住民の動きや、そういうことを
考えて、単に安全の問題が数字の上で安全であるかいなか、そういう問題でなしに、もっと広範なる社会的
環境や、あるいは住民の問題を十分に考慮されるということが
原子力委員会のあり方ではないか、こういうように思いますが、これらの経緯について、ひとつ有澤先生のほうからお
考えをお伺いいたしたいと思います。