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1972-06-09 第68回国会 参議院 運輸委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十七年六月九日(金曜日)    午前十一時五十分開会     —————————————    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      橘  直治君     片山 正英君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 鬼丸 勝之君                 江藤  智君                 佐田 一郎君                 森中 守義君     委 員                 岩本 政一君                 岡本  悟君                 片山 正英君                 菅野 儀作君                 平島 敏夫君                 山崎 竜男君                 若林 正武君                 伊部  真君                 小柳  勇君                 瀬谷 英行君                 藤田  進君                 田代富士男君                 三木 忠雄君                 田渕 哲也君    国務大臣        運 輸 大 臣  丹羽喬四郎君    政府委員        運輸大臣官房長  高林 康一君        運輸省鉄道監督        局長       山口 真弘君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  秋富 公正君        運輸省自動車局        長        野村 一彦君        自治省財政局長  鎌田 要人君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道総        裁        磯崎  叡君        日本国有鉄道副        総裁       山田 明吉君        日本国有鉄道理        事        長浜 正雄君        日本国有鉄道理        事        小林 正知君        日本国有鉄道理        事        原岡 幸吉君        日本国有鉄道新        幹線建設局長   斉藤  徹君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、橘直治君が委員を辞任され、その補欠として片山正英君が選任されました。     —————————————
  3. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 六日、七日、本委員会現地調査を行ないましたが、その現地調査の際に武蔵野線を見て回ったわけでありますが、この武蔵野線浦和近辺の三俣の地域で、結局いろいろと苦心をした結果でしょうが、線路——高架でありますけれども、二階と三階にこう分けてある。上下線を二階と三階に分けて高くしてあるわけです。その構造を見てきたんでありますけれども、ああいう構造技術的には可能であるし、用地の有効な活用とか、空間の有効な活用という点から考えると、決して悪い方法だとは思わないんです。そこで、ああいう方法ができるとするならば、新幹線をこれから上越なり東北建設をしようとしているときに、かなり地元反対運動があるわけです。この反対運動理由としては、自分たち周辺を通過されるけれども、とまるわけじゃない、利用はできないがうるさいだけだ、こういうことになるわけです。だから、その言い分もわからないわけじゃありませんが、一つ方法として新幹線建設する際に、ただ新幹線だけを通すということではなくて、その高架構造を二重構造にして、在来線とか地下鉄を東京から引っぱっていってその新幹線の下を通すといったような方法を講ずれば、一々新幹線がやたらととまらなくとも、在来線ならば適当な地域に停車をするということは可能になってくるわけです。利用できるような駅ができるということで、住民も納得をするということも考えられるわけであります。ところが、現状ではそういう配慮は行なわれてないように思うのでありますけれども、一体これからの新幹線を、東北上越新幹線等建設するにあたって、そういう配慮というものはなされないのかどうか、また現状において東北新幹線なり上越新幹線用地買収等進捗状況はどの程度のものなのか、予定どおりに進んでいるのか、反対が多くて難航しているのか、その点を御報告いただきたいと思います。
  5. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 今後新幹線建設してまいる際に、やはり問題は、いま御指摘の用地の問題でございまして、できるだけ私どもの持っている土地を使って建設したいという気持ちには変わりないわけでございますけれども、たとえば新幹線在来線カーブが非常に違う、新幹線半径メーター以上のカーブであるというふうな問題、あるいは勾配等の問題もございます。また、地下にする場合には、工事上、在来線を走らせながら非常に大きな工事をするという問題もございます。また、今度は高架にいたしますと、いわゆる騒音とか、また振動とか、あるいは都市の美観とかという角度からの問題も考えなければならないということで、いろいろ総合いたしましていまの線を選んであるわけでございますが、やはり極力使いたいということ、たとえば具体的に例を申しますと、この東海道新幹線でも、第二京浜を横切るところは貨物線の上にダブルデッキで通す、貨物線真上新幹線をつくって通しているというような問題あるいはいま盛んにやっております広島県の福山におきましても、在来線真上に三重の構造でもって約三キロぐらいの間通るというふうなこと、いろいろそういう意味で在来線利用のしかたをやっておりますが、その他、建設省とお話いたしまして、場合によっては道路の一部を使わせていただくということも考えております。それら、概括的に申し上げましたが、多少こまかくなりますので、新幹線建設局長からもう少し詳細について御答弁をいたします。
  6. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) 構造物を立体化するという問題につきましては、まず地元地方自治団体と申しますか、県と申しますか、あるいは建設省もからむと思いますが、そういった他省との協議が先行いたさなければできませんし、ただ現在線の上にいきなり構造物をつくるということは技術的に非常に困難でございますので、たてまえといたしまして、従来やってまいりました例でまいりますと、たとえば先ほど総裁が申しました福山の例も、たまたま仮線を横に振れるような用地がございましたので、本線を一たん横へ振りまして、現在線の個所をさら地にいたしまして、二重構造をつくるようなことが実は可能になったわけでございまして、いろいろケース・バイ・ケースで違うことはありますが、やはりいろいろ立地条件その他によってかなりの制約を受ける場合が非常に多いというふうに考えております。  それから、用地買収現状でございますが、まだ東北新幹線、昨年の十月に認可になりまして約半年を経過したわけでございますが、この間は大体中心測量を主として行なう時期でございまして、現状全線にわたりまして測量をもっぱら行なっております。進捗状況は、東北新幹線全線で約二〇%中心測量を完了いたしておりまして、現在その測量の終わったところから逐次買収に入ったわけでございますが、まだ入って間がないために、用地買収といたしましては約三%にすぎません。ただこの状態は、山陽新幹線の同じ該当地域と比べまして、決しておくれてはおりませんで、まず順調だと申し上げて差しつかえないと思いますが、ただ地域によりましては、全く立ち入りもできませず、したがって用地買収の折衝にも入っていない個所が何ヵ所かございます。
  7. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東北新幹線の場合は、東京都内についていろいろと難問があるようでありますが、われわれが聞いた範囲でも、秋葉原までは高架で行って、あそこからまた地下にもぐる、上野の山の下を地下でもぐって、また田端へ出て地上に上がってくるというふうに、上がったり下がったり、ジェットコースターみたいにやっているわけですね。そう上がったり下がったりするのでは、それだけスピードも殺されるという気がするわけでありますけれども地下なら地下、上なら上と、どちらかにするということはできないものかどうか。東京駅には、第一班が視察をした地下駅といったようなものもりっぱなものもできておるということでありますし、こういうところに接続をするというふうにすれば、東京駅から秋葉原まではわずかな距離でありますから、ぶっ通し地下でもってつなぐこともできるのではないかという気がいたしますけれども設計上あるいは工事技術的に困難なのか、あるいは用地問題等でそういうやむなくなっておるのか、その辺の事情をお聞かせ願いたい。
  8. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) 東京駅と秋葉原の間、すなわち新幹線のただいまの計画秋葉原より地下に入ることになっておりますが、秋葉原東京の間について申し上げますと、東京駅は現在の新幹線ホームから当然出なければならないわけでございまして、それから、もしかりにでございますが、線路を下げまして地下にもぐらすといたしましても、約二十メーターほど線路を下げなければ地下にもぐり切らないわけでございます。したがいまして、その間の勾配制限等がございますので、地下にもぐらすと仮定いたしますと、東京駅を出まして間もなく、神田の付近からかなり街路を遮断するというような結果になります。中途はんぱの高架橋で下がってまいりますので、現在ある街路の下がくぐれないようなことになりますし、それから半分地下にもぐりかけたようなところは逆にまたみぞのような形になりまして、これまた道路を遮断するというようなことになりまして、主として神田周辺道路交通に非常な支障を来たすようなことになりますので、技術的に非常に困難だと考えております。
  9. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 困難だというのは、結局どうやるのだということなんですか。それは私が言っておるのは、上がったり下がったりするけれども、その上がったり下がったりするのじゃ、スピードも殺さなければならないだろうし、どうも不自然なような気がするから、地下なら地下で、初めから地下から出ていってなるべく上がり下がりを少なくしたほうがいいんじゃないか、高架なら高架で初めから上のほう、たとえばいまの京浜線の上に、その上にまた屋根でもかけて上のほうに行ってしまったらどうか、そういうことはできないのかということなんです。現状は、いままで聞いた範囲では、非常に上がり下がり、あるいはカーブにしても、在来線にほほ沿って行くということになるので、あれでは東京都内はそんなに速く走れないのではないかという気がするし、そういうふうな、一たんこしらえれば簡単につくり直しのきかないものなんだから、その点もう少し設計上の検討余地はないのかということを聞いてるわけです。
  10. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) ただいま確定しております大臣の御認可をいただきましたルートは、東京駅を出まして秋葉原を出ますまでは、できるだけ現在線に沿いまして、できるだけ国鉄用地を最大限に利用するような実はルートを考えておるわけでございまして、したがいまして、この間は曲線半径——平地での新幹線曲線半径は四千メーター以上というようにきめておりますが、この間につきましては、在来線曲線が非常にクネクネ曲がっております関係で、新幹線もほぼそれに沿って小さい半径を使わざるを得ないような地形になっております。したがいまして、この間は速度は、ある程度曲線に見合った速度制限はせざるを得ないわけでございまして、その間に勾配が急勾配、上がったり下がったりという面は、速度の面では何ら制限にはなっておらないような設計になっております。
  11. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 秋葉原まで在来線に並行してということだそうでありますが、現在のラッシュ時には、私も実際に体験をしておりますけれども東京——上野間なんていうのはたいへんな混雑をしております。あれは、なぜああなるかというと、上野列車がとまって、上野乗りかえ客というものがほとんど全部秋葉原なり東京方面に来るから、それで非常に混雑をするのだと思うのです。だから、方法として、上野から、遠距離はともかくとして、中距離近距離通勤電車等はなるべく東京駅から品川までそのまま通してしまったほうが、混雑はそれだけ緩和されるのじゃないかという気がするわけです。ところが、現在の新幹線計画によると、そういう通し運転というものも不可能になってしまうというふうに聞いておるわけでありますけれども通し運転を不可能にするということは、新幹線ができても、上野東京周辺はますます混雑をするという問題が残るのじゃないかという気がするのですね。総武線のほうは東京駅まで地下乗り入れという新しいコースができるからいいのですが、上野東京間わずか三・何キロしかない、このわずかな距離でもってごたごたするというのは、考えてみるとあまり能のない話だと思うのですね。今日これだけ技術が発達してきているのに、そのくらいのくふうはできないものなのかどうか。それは、財政的に工事費を節約するためにそうなっているものか、技術的に設計上絶対に無理だ、こういうことなのか、いずれなのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  12. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) 総武線の場合は、やがて通しになる。上野東京間につきましても、通し運転ができないという状態にはならないわけでございます。それは、ちょっと先生の御質問の趣旨がわかりかねるのでございますが……。
  13. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私がこの前聞いたときに、東京上野間ですがね、秋葉原まで新幹線を通すので、いま若干東京駅まで上野から乗り入れている列車があるけれども、それはできなくなるという話を聞いたわけです。新幹線ができ上がっても、工事中だけではなく、将来ともそれはできなくなるように聞いたのですけれども、しかし新幹線のために在来線がそれだけ不便になるというのは不合理な話だと思います。新幹線新幹線でもって、在来線の運行に支障を来たさないように、通し運転ができるように工事はできるのじゃないかというふうに思うのですけれども、できないとすれば、それは財政上の理由なのか、設計上の理由なのか、どちらなのか、国鉄としてはどのような方法を考えているのか、これは現在の混雑を緩和するために新幹線工事を行なうというような機会を使ってやはり問題を解決するほうがいいと思うから、その点についての考え方を聞いておるわけです。
  14. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) 工事中は、少なくとも上野から東京駅に乗り入れております線の一部をとめまして、その個所工事をやらなければならない関係で、これはとめざるを得ません。ただ完成後は、現在東北方面へのお客の大多数の方は新幹線東京駅からお乗りになるので、東京上野間の混雑は相当緩和されるというふうに考えております。
  15. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それはちょっとわからないのですね。いま特に朝のラッシュ上野東京間の混雑というものは、あなたのお説によると、上野駅から東北へ行く長距離お客ばっかりだというふうに聞き取れるわけです。そんなはずはないですよ。現在の混雑というものは、青森だとか、新潟だとか、そういう遠距離客で込んでいるんじゃないでしょう。そういう認識なんでしょうか。
  16. 斉藤徹

    説明員斉藤徹君) ちょっと御説明が不十分でございましたが、新幹線のためにつぶします線は、現在の通勤に使っております京浜東北線には何ら影響がございません。一番南側の、現在臨時列車その他が使ったり、あるいは回送線に使っております一番外側の二線だけに支障を来たさせるだけでございまして、通勤その他の路線には何ら影響を与えません。
  17. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちょっとどういうのかな、よくわからないんだな。いまの京浜東北線新幹線工事支障を来たすなんていうことは思っちゃいませんよ。おそらくだれもそんなことは考えておりませんよ。何でそういう返事をされるのだかわからないんだけどな。そんなことを言っておるわけじゃないんですよ。私の言っておるのは、現在の東京上野間の混雑というものを解消するためには、現在の京浜東北線山手線だけじゃ間に合わないから、上野中距離あるいは近距離列車がとまって、その乗りかえ客がみんな国電に集中するから、そういう乗りかえ客混雑を緩和するために、上野から東京駅なり品川まで通し運転をしたらどうかということを言ってるんです。局長がわからなかったら、総裁のほうから答弁してもらいたいですが、どうも局長はしろうとのようでわからないようだから、総裁のほうから今度聞きたいのだけれども、私も何回か言ったことがありますから、総裁はわかってもらえると思います。東京上野間の混雑を緩和するために通し運転をやったらどうかと。ところが、現状では一日に何本かの列車しか通してない。しかし、それは工事のやり方によって、いま単線として利用されているけれども複線として通すことができるようになれば、上野東京間を通すということは可能になってくるということです。これは、非常に東北方面利用者にとってはあそこがやっかいなんです。運輸大臣だってよく知っていると思うんです。おそらく局長より運輸大臣がよく知っているんじゃないかと思う。その問題を解決する必要があるんじゃないかと思うんです、これは。そのために、新幹線工事をする、その工事の際に、通し運転をできるようにしたらどうかということなんです。できないのは、それは財政上の理由なのか、技術上の理由なのかということを私は言ったわけなんですが、大臣、わかったらひとつお答え願いたいと思います。
  18. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま先生のおっしゃっていることは、昔から問題になっている東北京浜スルー運転のことだと思います。もちろん、いまのげた電でなしに、いわゆる中距離近距離電車直通運転、すなわち湘南電車東北高崎直通、あるいは東北高崎から湘南へ流す、こういう問題をお聞きになっていると思います。さっき局長申しましたのは、現在は主として東北上越長距離列車を入れているわけなんです、東京地区に。これはいずれ要らなくなるだろうというふうに申したわけでございます。問題は、その次にかねがね問題のいわゆる中距離通勤電車スルー運転をやるかやらないかということが問題だと思います。私どもまだそこをはっきりきめておらないのでございますけれども、今度、この間御指摘願ったように、横須賀線が完全に地下へいってしまうそうすると、湘南のキャパシティーが少しあいてくるわけです。いままでは実は東海道線に全く入れる穴がなかったという問題がありましたが、これが横須賀線が下へおりたんで東海道線相当穴ができるだろうということが一つ。それからもう一つは、新幹線——もちろん工事中は無理でございますけれども、問題は、現在先生御承知の湘南横須賀線引き上げ線に使っている線路が一本神田ぐらいまでございますが、これが将来つぶれるかどうかということは、現在新幹線を入れますのに少し郵便局側線路を振る予定でございまして、若干余地がございます。それから、中央線からずっと順番に振ってまいりまして、八重洲側に多少余地ができるところに新幹線を入れる。現在東京神田間にございます、先ほど申し上げました引き上げ線と、それから現在東京上野間の単線で使っている線路直通列車を入れる線路がございますが、それをどこまでつぶして、そうして線路が一本残し得るかどうかということが一つの問題であります。それからもう一つは、上野のほうの工事をやっておりますが、上野で全部中距離電車地上から二階のホームに上がることになります。それもいま工事中でございますが、それが上がって御徒町なり秋葉原なり通って東京まで来るのに、単線で来られるかどうか、複線でなければいけないのか、これはもう少し研究しなければならない問題であります。将来、それと同時に、もう一つ問題は、車の基地をどうするかという問題がございます。現在、東北高崎のほうは宇都宮とかあるいは籠原に置いておりますが、それを南に流してしまったときに大船まで持っていくか、あるいは湘南の車を若干を田町、大船に入れておりますが、これを宇都宮籠原に持っていくかという、若干デッドラインの問題がございますので、新幹線開通後の中距離通勤電車をどうスルー運転さすかということについてまだ結論を得ておりません。非常にそういうふうに複雑な問題がございますが、いま検討中でございまして、まだちょっと結論が出ませんが、もう少し勉強をしなければ将来の問題として非常に大きな問題になりますので、いけないと思っております。ただ、私どもは昔からの希望で、東北京浜スルー運転さしたい、げた電じゃなくて、中距離電車スルー運転さしたいという気持ちを持っているわけでございます。東京あるいは上野という都心のターミナルへ折り返すということは非常にむだだということで、何とかスルー運転したいという気持ちはいまもって変わらないのでございますが、それといまの新幹線の問題並びに南北両方のこれからの線路容量がどれだけあくかという問題、これらを総合的にいま検討している最中でございます。そういう昔からの私どもの先輩が考えておりますその希望を、夢は捨てていないつもりでございます。ちょっと具体的になって、非常に恐縮でございます。
  19. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ちっとも恐縮じゃない。ある程度具体的でないというとさっぱりわからないので、こういう問題は具体的に答えてもらったほうがいいと思います。きのうから私は質問しておりますけれどもサービス向上といいますけれどもサービス向上といったって、何も切符を売るときににたにた笑うばかりがサービスじゃないのです。別に切符を売るときにごあいそうを言わなくたって、つり銭間違わないで売ればそれでいい。それよりもほんとうのサービスというのは、確実に迅速に安全に運ぶということだと思うのです。ところが、現状、特にこの都心近辺混雑というものはもう話にならぬわけです。まごまごするとガラス——けさも聞いたんですけれどもガラスが欠けてドアが締まらなくなったという話も聞きました。こういう混雑は、何も年に何回かの闘争のときだけじゃない、慢性的なんです。特に盆、暮れになりますと、それがひどくなる。その中でも東京の場合は、東北上越常磐方面東海道方面連絡というものがうまくいかない。東京上野でもってちょん切れておる。その間はどうしても電車連絡しなければならない。自動車に乗ればかえって時間がかかる、この間は。だから、電車でもってすぐに連絡ができればいいけれども、大阪と新大阪のように簡単にいかないのです、東京上野間、こういうのは。しかも、上野駅というのは、これはもう迷路のような仕組みで、大臣はよく知っていると思うのですけれども、それはもう東京駅とは比較になりませんね。どういうわけだか知らぬけれども、冷遇されているわけですよ、上野を起点とする東北方面は。だから、駅でも、総理官邸犬小屋の違いが東京駅と上野駅にはある。上野駅のほうに行くと、たとえば乗りかえの途中で公衆電話をかけようとしたって、みんな並んでいてすぐに電話をかけられない。それから便所へ行って用を足そうと思ったって、これまた並んでいて、まあ信号待ち三回ぐらいじゃないと順番が回ってこない、こういう状態なんです。結局、電話にしたって、トイレにしたって、これはもう込み合っておって、なかなか、東北人は忍耐力が強いということに目をつけているのかどうかわかりませんが、よほどのがまん強い者でないというとたいがい腹が立つような仕組みになっております。しかも、駅の構造そのものが非常に複雑です。おのぼりさんなんかまごまごするだろうと思うのです。使いなれた者でもまごつくような仕組みになっておる。だから、この上野駅という問題は何とか解決しなければいかぬと思うのです。それは新幹線ができれば、長距離客が新幹線利用するでしょうけれども新幹線ができても、百キロ以内の近距離の人たちにとってあまり新幹線利用価値がないんですから、そうすると従来と変わりがないということになる。その近距離客のためにもう少し上野東京間というものを考える必要があるんじゃないか。だから、上野どまりの列車を、少なくとも朝晩込み合うような通勤通学の時間帯の電車東京品川方面まで乗り入れるということをやるのが、こういうことをやるのがほんとうのサービスじゃないかと思うんですよ。それによって従来の京浜山手線混雑も緩和をされるし、また乗り入れをするほうもそれだけ時間の節約ができるということになるでしょう。そういうことは、多少の設備投資を惜しまずにやるべきではないかということを私は言いたいんです。それは、特に神田近辺秋葉原近辺なんというのは土一升金一升のところだから、少しぐらい用地を拡張するのでもたいへんな金がかかるというのはわかりますけれども、たかだか三キロか四キロ足らずの区域なんですから、その辺のことはこの際勇断をふるってやるべきではないか。新幹線なら新幹線工事をする、こういう大工事をする機会に、在来線の補強あるいは整備ということも当然やるべきだと思う。一般の人たちにとっては、新幹線だけじゃなくて、むしろ在来線利用する利用客のほうが多いんですから、この在来線の特に通勤通学客のことを考えた、そういう措置をとるべきだと思うんです。私の言っていることは、少しも横車を押しているつもりはないんですけれども大臣はどう思います。
  20. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま瀬谷先生の御指摘になりましたこと、私もすっかり全然同感でございます。実は私は五十年、常磐線のごやっかいになっておりまして、いつも水戸−上野間を利用している次第でございまして一いまお話にございました上野駅、東京駅と比較いたしましても、ほんとうにまあ東北の方よくごしんぼうなすっておると——私もしんぼうしている一人でございます——思っておる次第でございます。いまおっしゃいました、東北あるいは京浜を結ぶそういったような貫通列車をつくるということは、もう当然これは必要なことでございます。この東京、首都圏の一般の陸上交通の緩和の点からいたしましても、あらゆる点からいたしましても、私は必要であると思う次第でございます。したがいまして、これからが、ことに技術的に非常に進歩しております国鉄技術といたしまして、費用の点もございましょうけれども、この際思い切った施設をすることがやはりほんとうに望ましいことで、またやるべきことだと、こう私も思っている次第でございます。せっかく新幹線を今回いろいろ御審議をいただきまして、東北新幹線ももうすでに着工の運びになっております。工事を実施するという、そういう機会にやることが、私はやはり、瀬谷先生おっしゃったように、いま一番必要ではないか。それをまた機会を別にあらためてやるということになれば、非常に経費の点でも、技術的にも、いろいろな問題がある。先般から国鉄総裁とも話している次第でございます。将来新幹線は高速道路利用と同じ用地にやるということは、公害防止の点からも、費用節減の点からも、これは非常にやりたいという構想でございます。私ども非常に全面的に賛成しております。運輸省として建設省と協議できることは何でもしょうということで、やはりこれからのもう日本の交通、空間の利用ということは、非常に狭い国土でございますから、そういったような、先ほどから瀬谷先生御指摘になりましたように、高層化をする、あるいは地下化をするというようなことによりまして、くふうをいたしまして、それは技術的にもいろいろ問題がございます。経費の点もございましょう。ある程度の点は、これはかかってもいたしかたがない。しかし、それがために国民のサービス提供が非常に違ってくるというような点は、思い切ってやることが、これからの国鉄が、国民のほんとうの大道として、あるいはいま言っております都市間輸送とともに、大都市通勤通学の輸送状況というものが、やはり国鉄の今度の新しい再建計画一つの大きな使命にもなっておるというところでございますので、いまの瀬谷先生の構想と申しますか、それには私は全面的に賛成でございます。おそらく総裁もその点は考えていると思いますけれども、具体的にそれを煮結めるように前向きに検討していきたい、こういうふうに思う次第でございます。
  21. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それから、これは東京周辺だけじゃないんですけれどもね、これからの鉄道はやはり高架にしなければいかぬと思うのですね。二、三日前も北海道でダンプカーと急行がぶつかって死傷者が出たというニュースがありましたけれども、この踏切事故の数は激増しておりますね。しかも、国鉄のこの構想を続んでみますと、在来線でも時速百三十キロの優等列車運転するいうようなことを書いてある。時速百三十キロの列車がこの踏切の多いところを突っ走るということは、非常に危険なことだと思うのです。しかも、その踏切も、中には無人踏切もあるし、ほとんどがいま踏切警手の不在の踏切になっている。だから、合理化ということは、むしろ、たとえば平地を走っている鉄道を高架にして踏切を廃止をする、こういったような形の合理化ならば、これは合理化といってもわれわれ賛成できるのですが、ところがこの合理化というのは、どうもいままでわれわれが聞いている範囲では必ずしもそうではない。むやみと人手を節約するということだけに専念をしておるというふうにしか思われないから、だからこの合理化の内容についてわれわれは賛成できがたいんです。将来の展望として、これはこの東京周辺だけではなくて、思い切って鉄道は全部、高速鉄道というものは高架にする。あるいは、地下にするか、高架にするか、要するに立体交差にして、平面交差というものは一切やらぬというふうにしなければならぬと思うのでありますが、そのための費用というものは、これは国鉄だけに背負わせたってなかなか無理だと思うのですね。むしろ、こんな費用というものは、道路建設費と同じように考えて、あるいは空港なり港湾の建設費と同じように考えて、国がそういう費用というものを一切出して鉄道の高架化をはかるということを進めるべきじゃないかと思うのですが、これは安全のためにも、公害のためにもやっていいことだと思うのですが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  22. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) いまのお説のとおり、私もそう思う次第でございます。少なくとも、高速鉄道につきましては、やはり道路との交錯面につきましては立体交差にする、これは一番の交通安全の方法でございます。まあ、こういった新幹線が、七年間四億人の利用客を運びまして、この間、架線の事故がございましたけれども、幸いにして人命事故は一つもない、世界に誇る高速鉄道であります。ということは、原因はいろいろございましょうけれども、やはり全部立体化しておりまして、道路との交錯面がないということが一つの大きな原因ではないかと思っておる次第でございます。これを漸次他に及ぼしていくということは当然でございまして、したがいまして、政府といたしましても、先般来、交通安全対策の一環といたしまして、立体化のために、道路面におきまして建設道路の費用、そしてまたわれわれの負担する費用というような点につきまして配分をきめまして、そうしてお互いに配分をきめ、おもにこれは道路のほうによけいたくさん——いま割合は忘れましたけれども——ということをすでに皆さま方の御審議をいただきまして、予算化をしておる次第でございます。  しかし、個々の点につきましては、道路の面の費用は非常に多いということでございますが、連続立体化の面になりますると、どうもやはり鉄道が負担しなければならないという点が非常に多い、いま御指摘のとおりでございます。これは鉄道だけで持たせるかということにつきまして、私は、その点、特にいまの国鉄現状からいたしまして、そういった負担を鉄道会計に持たせるということはどうかと思う次第でございまして、いまの御趣旨に従いまして、もう政府全体といたしまして、交通安全の面からいたしまして、人命尊重の点からいたしましても、どうしてもそういったような高架化のための費用、これを交通安全の面からもとらえまして、それらに対する財政措置というものを強くこれからは要求していかなければならぬ、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣がそういうふうに理解を示されたことは、非常にけっこうなことだと思うんでありますけれどもね。もう一つ成田新幹線の問題ですね、このことについてお伺いしたいと思うんです。これは、千葉県知事も、東京都知事も、あまりいい顔をしていないのですね。通過の地域についても問題があるけれども、成田空港そのものが、はたしてあれは将来どういうものかという疑問もあるんですけれどもね。しかし、東京駅の地下駅ができる、そこから総武線直通する電車が出るということになるわけです、間もなく。そうすると、在来線を使って成田まで急行なり特急を走らせることが可能になるわけです。そうなれば、ここにわざわざ新幹線を急ぐ必要があるかどうかという疑問が出てくるのですがね。急いだところで、すぐにはできないと思うんですよ、新幹線なんというものは。いわんや、いまのように東京都知事も千葉県知事も両方そろって難色を示しているという状態であれば、これはむしろ成田新幹線なんというものは急がないでもいいんじゃないかという気がしますが、その点はどうでしょうか。
  24. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) これは、御承知のとおり、成田新幹線建設というものは、いま成田の国際空港、成田の国際都市建設ということにかんがみまして、東京とそういった国際空港都市というのを連結をするということは、新幹線の目的に合致したということでございまして、新幹線建設審議会におきまして、国会の御承認を得てすでに先年きまったことでございまして、その路線決定につきましても、いろいろ論議がございましておくれた次第でございますが、路線決定につきましては、実はその当事者でございます鉄建公団、東京都あるいは千葉県知事とも十分まあ御相談をいたしまして、そうして一応の決定を見た次第でございますが、御承知のとおり、ただいま新幹線騒音ということが非常にまあ問題になっておる次第でございます。新幹線のやっぱり高速化に伴いまして、騒音がいままでどころじゃない。せっかくいま、山陽新幹線その他につきまして、国鉄技術をもちまして、騒音壁を倍にするとか、あるいはまたレールの長尺化をはかるとか、パッキングを用いるとか、防音スカートをつくるとか、いろいろな問題をもちまして、せっかく努力をいたしている次第でございますか、いままでの実例から見まして、これをやられたらかなわぬという空気が非常に強い。ただいま、申しますまでもなく、新しい空港につきましてはほとんど反対である。最近、私は非常に困っている次第でございますが、皆さまのせっかくの御鞭撻によりまして、全国にARSRを六ヵ所、今後あと四ヵ所ふやすというので、鋭意これをやらしている次第でございます。ARSRをつくる、NDBをVORにかえるということで、その場所を見つけると、それができるというとすぐ飛行機が飛んでくるのじゃないかという錯覚が起きまして、地元民の反対を受ける。私らの地元におきましても、VORにかえるのだといいましても、すぐ飛行機が飛ぶのじゃないかという宣伝がございまして、非常に反対が起こる。こういうことが起こっておりまして、せっかくの航空の安全につきましても、予算は取り、技術をあれしましても、その場所を確保するということで非常に難儀をしておる。それと同じようなことがございまして、新幹線の点につきましてもそういったような問題がございます。要は、やはり民主主義政治でございますので、どうしてもやはり地元民の皆さまの御納得を得る、御協力を得る、それがためにはその代表者であるところの知事の御納得をいただくことも先決でございますので、そういった方面につきましては技術的に十分にひとつさらに連絡を受けまして、そうして所期の目的を達してやってまいりたい、どういうふうに思っている次第でございます。
  25. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣は目の治療だそうですからどうぞけっこうです。  国鉄総裁に今度お聞きしたいと思うのですが、いま運輸大臣のほうは、やはり上野駅を五十年間利用しておるという。上野駅がいかに東京と比べてひどいかということは、大臣自身が体験しておることなんです。また、上野東京間の便利というものもよくないということを承知しておられるはずです。ですから、その点を考えて国鉄総裁としても善処してもらいたいと思うのです。大臣自身が考えて、歴代の大臣がこの点については認識しておる。ところが、なかなか実際問題として、この上野東京の間の連絡というものはよくならないのですね。あそこはもしストレートに直接電車で来ればまあ四分間で来られるところです。ところが、乗りかえの時間と所要時間と合算をすれば、ラッシュでは十五分から二十分くらい見なければならぬ、こういう状態です。だから、こういう不便になっておる状態を解消するためのくふうというものはこの機会にやってほしいと思うのです。いたずらに口先だけのサービスを言ったって、実が伴わなければ何にもならない。こういう機会に、たとえばいま東京駅から特急電車が幾らか出ておりますけれども、むしろこういう遠距離の特急は無理やりに東京駅から出さなくって上野から出したっていいと思うのです。むしろ普通電車に何千人も積み込んでいる通勤電車をこそ通し運転をすべきだと思うのです。それが、混雑の緩和のためにも、安全のためにも、いいことじゃないかと思うのですね。だから、やはり技術的に不可能でないのならば、思い切って東京上野間の輸送力を増強する、中距離列車東京と直結をして通し運転をするということを私はやるべきだと思うのです。だから、もし理由財政上の理由だけであるということならば、これは私は納得できないわけです。技術上、たとえば物理的にどうしても不可能だということであれば、これはしようがない。しかし、物理的に不可能じゃないというのであれば、問題は財政上の問題だけであるというならば、これは混雑を緩和したからもうからないのだというふうなそろばん勘定じゃなくてやったほうが私はいいんじゃないかという気がするんですよ。   〔委員長退席、理事佐田一郎君着席〕 この機会に総裁のほうから、この問題について勉強しているというお話もありましたけれども、さらに一歩突っ込んで、この間の輸送力の増強、混雑緩和のためにこの投資をするという気持ちがあるかどうかをお答えいただきたいと思います。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほど申しましたとおり、なかなか東京上野上野の駅のおい立ちそのものが、初めからあそこはターミナルとしてできたもの、明治時代にできたものですから、ちょうどヨーロッパの駅のまねをして、全部あそこへ電車をとめるのだという態勢でできた。東京もそういうようなかっこうでできたということで、その初めにつくったときの明治時代の思想がすっかり変わらなければいかぬ。ところが、付近の土地はそう簡単には手に入らぬということで、いまのような御不便をおかけしているわけでございます。まあ上野につきましては、もうごらんのとおり、すでに数年かかりまして約百億近い金を入れまして、地上の、二階のホームを二面つくり、また下のほうも整備して、目下一段落しておるところでございますが、結局、東北上越新幹線がいまの上野の駅を通らないということが確定したわけでございます。さっきお説のとおり、大体上野の山の下を通す、したがって、いまの上野駅はもう新幹線には使わないということがはっきりいたしましたので、やっとそこで将来の上野駅の展望がはっきりできるようになった。いままでは上野を通るか通らぬかということが非常に大きな問題だった。今後は、もう上野を通るのは公園の下を深く通るということにきめましたので、いまの上野の駅はいまの在来線プロパーで使っていくということになったわけです。したがって、先ほどお話の中の上野の駅、いわゆる駅設備、サービス設備そのものは非常に古いもので、いまの駅舎をぶっこわして新しいものをつくるということにすればこれは相当よくなることになると思いますし、また地元のほうからも相当強いそういう御希望が現在出ております。これは、そういう意味で、地元と御協力した上でいろいろ考えていくことはそうむずかしいことじゃないと思います。    〔理事佐田一郎君退席、委員長着席〕 上野地元としては、ただし、これはまあ御承知  のとおりですが、上野を通過する列車が多いことを非常にきらうわけでございます。上野が終点であるというためにあの周辺の一帯が非常ににぎわっているんだという思想が非常に強うございます。上野の駅を通過して東京まで行けるということについては、これはお客さんとは関係ございませんけれども上野地区の住民の方々にとっては死活の問題であるということさえ言われておりまして、そういう反対もこれはあるわけでございます。しかし、それは通勤客の便から言えば、そういうことは別の、次元が違う問題であるということにいたしまして、結局いま先生のお話しの上越東北湘南直通運転という問題をここで考えてみなきゃならない段階になってきている。それを可能ならしめた一つの問題は、やはり横須賀線地下に入ってすでに東海道の線路容量を食わなくなったということも一つの問題点。それからもう一つは、いままで秋葉原の駅というものは、あそこの青果市場の関係で、初めてできてから二、三十年の間は非常に利用されましたけれども、現在あそこの青果市場そのものをこれからどうするかという問題があるわけでございまして、私どもから見てみますと、だんだんあの青果市場の使い方が減ってきております。都心にありますために、トラックその他のアプローチが不便なために小売り商がいやがるということで、青果市場をだんだん分けてしまえというような話もあるようであります。そういたしますと、秋葉原の駅がいままでそういう面で一つのネックだったものが、容量としてだんだん——まあ要らなくなると言うことは極端でございますが、当初の目的から見ると相当規模が縮小されていいはずだということが考えられます。そうすると、あとは秋葉−神田東京間の問題でございまして、これは新幹線のために若干の用地を買う、あるいは建設省にお願いして道路の上を多少使わしていただくというふうなことをいまお話しいたしておりますし、先ほど申しましたとおり、できれば少し丸の内側に張り出したいという気持ちもございます。そういうことを関連しまして、何とか上野からスルー品川大船あたりまで行く電車ができないか、あるいは南のほうから北へ行く電車ができないかという、中距離電車の相互乗り入れと申しますか、それについていまいろいろ技術者の諸君に絵をかいてもらっておりますけれども、むしろ金の問題よりも、やはり東京−秋葉間で少し幅が広がる所の用地の問題が相当大きな問題でございます。いまいろいろ考えておりますのは、ある程度立体で、いまの在来線をある程度下げて、新幹線を上げるとか、なかなか非常に苦心して、あまり用地を買わないで、しかも新幹線を入れ、さらに直通運転ができないかというふうな角度で、いろいろ図面を引いてやっておりますが、御承知のとおり、一番問題は、秋葉原でもってもうすでに、限界があるわけでございます。通れないわけです。それからまた、その手前の常盤橋のところの高速道路がございます。あそこも入らない、在来線の上に乗れないというふうな物理的な限界がございますので、それらを踏まえた上で、なるべく用地を買わないで、買うにしても少し買う分量を減らして、しかもいま申しました東京上野間の問題を何とか解消したいというのが、いま私ども技術者の非常な大きな抱負と希望でもってやっておる最中でございます。私も何とかない知恵をしぼってひとつやろうじゃないかと言っておりますが、いま相当みんな前向きに検討していることは確かでございます。そういう意味で、いまここでお約束はできませんが、その問題につきましては、結局、百年前にできた——百年じゃございません、大体百年近く前にできたいわゆるターミナル・ステーションを全然ぶっこわしてスルー・ステーションにするという非常に大きな工事でございます。その大きな問題に第二世紀を前にして取りかかるべきかいなかという問題を検討中であります。取りかかるとすれば一体どうして取りかかれるのかという具体的な問題について検討中でございまして、これはいずれ新幹線工事はそう遠くない機会に着手いたすわけでございますから、それと同時に考えなければならない問題であるというふうに思っておるわけでございます。
  27. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 東京都心部に、たとえば秋葉原の青果市場のようなものがありますけれども、ああいうものはやはりなるべくならば都心に置かないで分散をさせるほうがいいのじゃないかという気がするのです。たとえば、武蔵野線車場ができ上がることによって、田端の操車場がある程度武蔵野操車場に従来やっていた仕事を移すということになれば、田端のほうがあき家ができてくるということは、これは容易に考えられる。そういうふうに、外環状線ができ上がることによって山手線のほうもすき間ができてくる、そういう機会をつかんで、市場のほうはちょっと国鉄の一存でやめたり何かするわけにはいかないですけれども、こういう問題は、たとえば東京都と話し合って、これは東京都内の交通の問題なんですから、都心における交通の渋滞を解消するという目的と、それから鉄道自体の輸送力の問題と、両方を考え合わせて、市場の移転ということも考えられていいことではないだろうかという気がするのですよ。そうすれば、秋葉原というものももっと使えるようになるだろう、それからあの近辺の交通渋滞という問題も解決できるんじゃないか。それから、あわせて東京神田秋葉原間の線路の増設、輸送力の増強ということも考えられていいんじゃないかという気がするのですけれども、問題は国鉄だけの問題でなくなるので、非常に大きな問題になってくるのですが、こういう問題については、国鉄自体が、たとえば東京都と話をしてそんな計画を立てるということをやっているかどうか、あるいはやることができるかどうか、やれないとすれば運輸省のほうでそういう総合的な計画というものをあわせて考えるということができないものかどうか、その点をお伺いしたい。
  28. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 確かに、ほんとうに適切な御提言でございまして、具体的に申しましても、国鉄をはじめといたしまして、いろいろの交通機関の問題というものは、都市計画との関連、これを離れて考えるわけにはいかない次第でございまして、ことに最近の東京の事情を見ますと、中心部のいわゆる人口というものは決して御承知のとおりふえておりません。むしろ、ドーナツ化現象と申しますか、昔のたとえば山手線沿線、新宿であるとか、そっちのほうにどんどんふえている。むしろ中心部の——昼間人口、通勤人口は別でございますが、居住人口は非常に減ってきておる、こういうような実情でございます。それを昔なりの秋葉原にやはり野菜の集約施設をそこに置いといていいかどうかという問題、これは築地の魚市場も私は同じことだと思います。昼間のその付近の者の消費人口の需要にマッチするだけの市場でなくて、また相当の距離のある者がそこの市場まで買いに来まして、いたずらに交通を繁雑化するという問題が非常にございます。ただいま御提言ございましたような市場の再配置ということは、私は一番大きな問題と思う次第でございまして、これはほんとうに、国鉄が自身で考えることでなくて、政府全体として考え、また自治体と相談して考えるべき問題でございます。そういったような根本の問題をやはり具体的に処理をしていくことがこれからの私は一番の大きな問題であると思う次第でございまして、そういう点の市場の再配置——いま市場の再配置の問題につきましては、価格、流通面、先ごろから貨物運賃につきまして生鮮野菜等いろいろございましたが、私どもは、必ずしも国鉄の運賃の値上げに貨物の価格のしわ寄せすることははたして合理的であるかどうかという問題、これまたいろいろ御審議を願う次第でございますが、私はそういうふうに思っている次第でございます。全体といたしまして、生鮮野菜につきましては、やはりある程度の良質な生鮮野菜を提供するのにどういうふうにするか、それのための貨物のいろいろの輸送方法の改良、貨物車の改良というふうな面にまつところが非常に多いんじゃないか。価格といたしましてもそうです。またそれよりも、それと同時に、やはり市場の再配置、そういった問題が非常に問題である。何でもかんでも運賃のほうへ持ってくる、こういうようなことでは——私は持ってきて非難を受けてもかまいませんが、これでもってほんとうに利用者のためになるかどうか。たとえば首都圏の全体のためになるかどうか。一番問題は、ほんとうに先生が御発言いただきましたその点でございます。それらの点も、早急に私どもはほんとうに真剣に取っ組んでまいりまして、具体的にこれらの再配置、いま物価問題その他でいわれております流通機構の改革——流通機構につきまして、それらの中間費用の縮減ということがいわれております。秋葉原まで行く、築地まで行く、その両方のトラック賃その他の費用というものはばく大なものである。これを環状線の外側に置くということによりまして、環状線もだんだん人口の増大にマッチするということは非常に重大である。私は先般も、いろいろ物価問題のときにおきましてもその点を提言をした次第でございますが、それらはやはり農林省その他とも早急に具体的に詰めてまいる、東京都とも詰めてまいるということが、一番の今日の私は具体的な政策ではないか。ほんとうに適切な御提言だと思う次第でございまして、その趣旨に沿って、政府の責任としてそれらのことに取っ組んでまいりたい、こういうふうに思う次第でございます。
  29. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この都市計画そのものが鉄道の計画とばらばらになっているということは、何かにつけてこれは都合が悪いと思うんです。ところが現実の問題としては、住宅が建つ場合には、国鉄とは全然かかわりなしに住宅公団というものがどんどん団地をつくることが行なわれております。この前の委員会のときにもちょっと私は質問をしたんですけれども、団地はできたけれども足のほうはさっぱりそれに伴わないという問題があるわけです。そしてみすみす団地の利用者が満員電車でもって、しかも回数も少ないという不便な電車利用しなければならないという問題があるんでありますけれども、市場の問題だけじゃないんです。青果市場、魚市場、こういったような市場の問題はもちろんありますけれども、住宅の問題も鉄道とやはりつながりをもってやらないと、先般鉄道建設公団法の改正が衆議院で議決されましたけれども、あれにしても、たとえば多摩ニュータウンのほうに団地をこしらえる、ところが鉄道のほうがさっぱりそれに伴わない、したがって私鉄のほうに建設公団のほうから金を貸してああいう地域建設を促進するといったようなことになってきておりますが、こういう問題はすべて後手に回っているというのはよくないと思うんですよ。住宅を建てようという計画を立てた時点において、でき上がったときには鉄道も道路もすべての設備がそれと相まって完成するんでなければ、そういう団地に住むことになった人にとってはとんでもない話です。ところが、いままでのやり方というものは、住宅は住宅、道路道路である、鉄道は鉄道である、全然かかわり合いがないんです。どんな団地ができようとも、鉄道のほうは、私にはかかわり合いのないことでござんすと知らぬ顔をしている状態があったんです。こういう問題は、これから相互に、住宅の問題と鉄道の問題あるいは鉄道の問題というものは一緒に計画を立てて、完成をするときには全部そろってでき上がるというようにしなければうそだと思うんです。その点は、いままでちゃんとした調整が行なわれないでできたのはどういう理由なのか、今後はそれらの問題についてはどのようにしていくつもりなのか、その点もお伺いしたいと思う。
  30. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) これまた、御指摘をいただきましたとおりでございます。御承知のとおり、すでにもう実施を見ております新しい新都市計画法におきましては、国で承認をするような計画につきましては、高速鉄道、また高速道路につきましては、それの乗り入れというものをちゃんとやはり先に考えまして、それらの路線の決定と相まちまして新計画をつくらなければならないということがはっきり法文にはなっている次第です。それゆえに、やはり交通網との関連を見なければそういった都市計画はできぬということに私どもつくりました都市計画法ではなっている次第でございますが、それだったら、やはり住宅との点につきましても御趣旨はそのとおりでございまして、今度はほんとに有機的な関連がなくてどんどんスプロール化していく現象でつくられる、これはほんとに申しわけない次第でございますので、そこにおきましても、都市計画の欠如と申しますか、計画性がないということが指弾される。私ども長年やはり、そういった都市計画、あるいはそういった方面のことにつきまして、浅学ではございますが、研究してまいりましたが、どうも日本というものは発生的に都市国家でないということでございますので、欧米みたいな都市計画的なものができない。かろうじてつくりましたのが筑波学園都市、これもまだ、やりましてから七、八年になりますが、実行の段階になっていない。こういうような問題でございますが、これから狭い国土の均衡ある発展ということが内政上の一番大きな問題といたしますれば、これらの問題をどうしても解決しなければならない。おくればせでございますが、先生方の御審議をいただきまして、今度鉄建公団法の一部改正によりまして、少なくとも多摩ニュータウンにつきましては、四十九年度を目ざしまして、そして多摩ニュータウンに乗り入れるところの私鉄の助成をして、四十九年度までにやはり鉄道によるところの大量輸送をはかる、それまでは輸送はバス路線を確保するということを見た次第でございますが、これは多摩ニュータウンというのは一つの大きな象徴でございますので、これらの点につきまして、瀬谷先生御指摘のような、まだまだ非常な不便なスプロール現象が非常に多かろうと思っている次第でございます。それらの点につきまして、先般私提唱いたしまして、運輸、道路面におきましては建設、そしてまた取り締まりにつきましては警察と、三者の事務当局が集まりまして具体的の問題でこの場所はどうするいうことを漸次やっていく。近く局長同士、来週中にも内閣のそういった調査室と四者でもって集まってやる段取りになっております。そういう方面も具体的に煮詰まっておりまして、有機的関連を持った政策を実行していきたい。ぜひ具体的にこれをやってまいりたいと思う次第でございますので、一そうひとつ御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。
  31. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 住宅の問題も考えてまいりますと、鉄道のほうが立ちおくれるという傾向があるのですよ。団地はできるけれども、相変わらず単線で気動車がごとごと走ってしまうところがあるわけですね。たとえば川越線とか八高線の沿線にもそういう場所が出てきております。そういう東京周辺の、本来ならばちょっと手を加えれば外環状線としての機能を発揮できるような場所が、赤字線であるということで放置されている、何ら手を加えられていない、そういう現象があるわけです。しかし、東京周辺、千葉にしても、埼玉にしても、神奈川にしても、人口はどんどんふえているわけです。しかも、そのふえた人口の大部分というのは都心に集中をする傾向を見せております。つまり、東京都内には住宅を求めがたくなった人たちが、東京周辺の各県になだれ込んでいったようなことになるわけです。ところが、そういう地域の交通網というものは、人口の急増に対応できるようになっていない、全然。ここにやはり問題が出てくると思うのですけれども、もしも国鉄が、たとえば川越線であるとか、八高線であるとか、ああいう営業係数二〇〇か二〇〇前後の、北海道や九州へ行けばりっぱな幹線並みの線なんだけれども東京の首都圏内にいるために営業係数が少しばかり悪いとまるっきりまま子扱いになる、少しも手を加えられない。ああいうところを、たとえば複線にして電化をして、しかも私鉄との相互乗り入れを行なうということができるようになれば、沿線の開発というものは急速に進むのじゃないかと思われるのですよ。これは私のようなしろうとの憶測ではなくて、国鉄の先輩である人たちもそういうことを言っているわけですね。みすみす国鉄はそういう沿線の開発に対する投資をやらないで見のがしておるということを指摘しているのを聞いたことがある。だから、たとえば川越線とか、八高線とか、こういう東京周辺、あるいはまた南武線とか、この周辺の鉄道にもう少し輸送力をつけるということをやって、しかも部分的に輸送力をつけるのじゃなくて、環状線的な利用方法を考える、こういうことをやったならば、これは赤字線を転じて黒字線とするということも可能になってくるのじゃないかと思うのですけれども、銭の出し惜しみばっかりして、手を加えれば黒字線になるところも赤字線のままほうっておくということは、これは考えてみると全くむだなことだと思うのですがね。そういう点は国鉄としてどのようにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  32. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) 先ほど運輸大臣もおっしゃいましたが、国土の均衡ある発展という考え方から、いま瀬谷先生がおっしゃいました、まだ真空地帯が大都市周辺においても残っていることは事実でございます。それで、概括的に申しますと、国鉄——まあ私鉄もそうだろうと思いますが——の交通設備の増強あるいは新規投資は、いままでのところ全部あと追い投資になっておりまして、現実に大きな団地ができたあとでその足を考えざるを得なくなってきている、あるいはどんどんどんどん人口が発展したのでやむを得ず運び切れなくなって複線化するというようなのがいままでの現状でございます。私ども国土の発展計画を立てる立場ではございませんけれども国鉄なりとしていかにお役に立つかいろいろ検討をいたしておりまして、南武線の問題を御指摘がございましたけれども、まだそこまでまいりません。いままでの間にやりましたのが中央線の複々線でございます。あるいは東北線の複々々線化とか、あるいはこの七月に開業いたします総武線の、これも手前までの複線化でございますが、東京駅への乗り入れというような、これもいわばあと追い投資でございます。鉄道の施設を増強するのは、申し上げるまでもなく、御承知のように、非常に長期間の時日と、それから初期投資としてばく大な金が要るわけでございます。それらの問題が解決したといたしましても、どうしてもあと追い投資にならざるを得ないわけでございます。また、具体的な例でお示しになりました川越線の問題にいたしましても、私ども複線電化の計画は持っております。ただ、それを実施いたします際に、やはり一番問題になりますのは、相当沿線がすでに開発されておりまして、複線に必要な用地買収費に初期の投資としてばく大な金が要る。そして複線電化になりました暁にはその沿線は非常に発展をするということは、これは国鉄のためというようなおこがましいことは申しませんけれども、目に見えてわかるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、その開発効果も何らかのかっこうで還元していただく方法はないものですかというようなことをかねがねお願いをし、また政府関係でも検討されているように伺っておるわけでございます。そういう大きな施策を含めまして、もっと大きな国土の発展計画に即応したやはり鉄道網の整備というものは、私どもの使命でもあり、これからもやっていかなければならない問題であると、そのように考えて検討しているところでございます。
  33. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま山田副総裁から言われた開発効果の還元問題ですけれども、これは制度上の問題になっていると思います。地域によっては、もうお話があったように、複線電化をすれば沿線が開発をされるということは目に見えておるというところが東京周辺に一ぱいあるわけです。ところが、それがわかっておりながら投資をしないで、いたずらに地域住民は不便をかこつということになっておるのが現状ですね。だから、これはやはり開発効果を還元できるような道を開くということが政府の責任において行なわれていいのじゃないかという気がするのです。それが今日まで行なわれてこなかったのがむしろふしぎなくらいです。だから、この際やはり、開発効果を還元させるためにはどうしたらいいか、またそれが不可能なことなのか可能なことなのか、こういう点を明らかにしてほしいと思うのです。
  34. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 先生御指摘のように、鉄道の施設の増強によりまして地元に非常に大きな利益を与えるということは、これは言うまでもないことでございまして、そういった意味の利益ということにかんがみまして、その効果というものを施設の施行者たる鉄道に還元させる必要があるということは、お説のとおりでございます。ただ、非常にむずかしい問題がございますのは、技術上の問題でございますが、その開発効果の測定と申しますか、だれがどの程度受益をするかということ、それからその受益というものと鉄道自体の直接的な因果関係というものがどういうものであるかというようなことを確定することが非常にむずかしいということが一つございますし、それからその開発効果の取り上げ方というようなものに関する技術的な問題が困難であるというようなことから、いままで、開発効果の還元が言われ、また研究されていながらも、なかなかできなかったのであります。しかし、私どももそうばかり言っておられません。何とかしてこういう方向について問題を解決していかなければならないということでございまして、実は今回、先般御審議いただきまして成立をさせていただきました鉄道建設公団法の一部を改正する法律案による鉄道建設公団による私鉄のニュータウン新線の建設というものにつきましては、若干その考え方を取り入れた助成のしかたをいたしております。すなわち、ニュータウン新線につきましては、その地元用地の鉄道建設公団に対する売却につきまして特別の措置を講ずる、あるいはその工事費の一部を開発者側が負担するというような道を開いたわけでございます。幸いにしてこの問題につきましては曙光が見えたわけでございます。今後、それ以外の問題につきましても、先生おっしゃるような方向で研究を進めましてやってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  35. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いま、開発効果の還元の問題で、だれがその受益者となるかという問題が出ましたがね。これはやはり不動産業者だとか地主がいたずらにもうかるというような形態を避けなければならぬ。地方自治体と国鉄がその利用者住民のための受益者となって、そうして今度は住民に対して、まあ県民といいますか、都民といいますか、いろいろあると思いますが、その住民に対して開発効果をほんとうにあまねく還元するという形をとるのが妥当ではないかと思うんですがね。その点では、もっと具体的に言うと、地方自治体と話し合って、そしてその計画を立てて、いま単線でもって気動車かとことこ走っているようなところを思い切って複線電化をする、そういうような方策を立てるべきだと思うのですね。地下鉄の導入計画のように、ほんとうは急がなければならぬにもかかわらず、昭和六十年だの五十年だの気の長いことを言っていたんじゃ、間に合わないわけですよ。現実はどんどん切迫をしているわけです。人口のふえ方というのはたいへんなものです。十年間に埼玉県だけで百六十万人人口がふえている。これは驚くべきことだと思うんです。この勢いでどんどん人口がふえているにもかかわらず、それに対応する住宅とか道路とか鉄道とかの設備が十年一昔ちっとも変わりないんです。こんなことではしようがないと思うんですね。こういうあと追い投資ということをやっておったならば、いつまでだったって利用者の不満というものは解消しないと思うんです。利用者の不満が解消しないから、運賃の値上げという問題に対して、これは利用者が反発をするだけで期待を持たないんですね。たまには、こういう運賃法案を提案をするならば、これが通ればこうなるんだ、つまり利用者に期待を持たせるような法案の提案をしてみたらどうかということを私は言いたい。上げるだけで別に得るものは何もない、それじゃだれも本気になって通そうという気にならない。だから、もしこの運賃を上げてほしいというんならば、そのかわり、運賃上げるかわりにこれこれこうなりますよという約束をしなければいかぬと思う。この前の運賃の値上げのときにもそうでしたけれども、私は言ったんですけれども、その前の運賃値上げのときはまだ約束をしましたよ。電車の中に広告を張っている、今度運賃値上げすればこうなりますと。ちっともそれが守られない。全然それは約束がほごになってしまった。だから、どうせ約束しても守れないと思うからかもしれませんけれども、それ以後は運賃値上げの際に何の約束もしなくなっちゃった。取れるだけ取るんだと、出すものは出せというふうに高飛車に出て、むしろ脅迫がましくなっちゃった。これじゃいかぬと思うんですな。やはり政策をここで提示をして、今度はこういうふうになります、こういうことを約束しますというぐらいのビジョンがなければいかぬと思うんです。その点については私は反省すべきだと思うんですが、どうでしょう。
  36. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 非常に強いおしかりでございますが、今回の再建法の趣旨といたしましては、その点につきましては、前回もそうだったかもわかりませんが、一そう輸送サービスの増強ということを一番の今回の再建策の中心としていると私どもは思っている次第でございます。御承知のとおり、今回の再建策の御審議をいただきましたならば、国鉄としては十年間に何と七兆に及ぶところの設備投資をする。それがための中心といたしましては、新幹線をはじめといたしまして、大都市輸送の増強、また貨物の輸送方法の抜本的改正というようなことを出しまして、先ほど国鉄総裁からも御答弁をいたしましたが、そういったような都市間の問題にいたしましても、あるいは機械化、あるいは電化、あるいは快速化、定時性の確保というような点につきましても、思い切ったことをひとつやってみる。国鉄というものは、いままでのようなただの赤字対策ではないんだと、やはり国民の期待する面が非常に大きい。幸いにいたしまして、新幹線の成功以来、ずっとその国民の期待が非常に大きい。この点をどうしても伸ばさなくちゃいかぬ。しかも、もう道路輸送におきましてはある程度の限界がきている。ますます大量輸送としては国鉄の使命というものは非常に期待をされている部分が大きいということを私どもはむしろ中心としてやるつもりでございます。ただ、いま鉄監局長から答弁をいたしましたが、開発利益の還元をどのくらいにするか、これが私は一番のこれからの大きな問題で、これはまあ、いま、御承知のとおり、衆議院におきましては、十数年前に私委員長しておるときに、都市対策の全党一致の決議案を出しましてやった次第でございますが、その具体的方策の模索、あるいは空閑地税をどうすべきであるかとか、あるいはまた事務所税をどうするかといったような点、やはりまだ具体的検討の段階でございまして、実現を見ておりませんのは、まことに残念でたまらない次第でございますが、要するに、開発利益、これをどのくらいやはり輸送機関にこれから還元をするかということ、具体的に申しますると、地方におきましては、いまのところは都市計画税の幾分の増強、そうしてまた固定資産税の増強ということぐらいのものでございます。また、そういったような土地の増価につきましては、不動産取得税のある程度の増強ということを見ている次第でございますが、これがはたしてどのくらいの範囲において的確に行なわれていくかということが問題でございます。これをこれからどの程度やはり輸送機関に還元をするか、財源にするかということが一番の大きな問題でございまして、御承知のとおり、私鉄におきましては不動産売買によるところの利益というものが相当部分を占めておる。しかしながら、国の鉄道であるものがそういったような先のものまでも見込んでこれを営業範囲に入れることが妥当であるかどうかということが、やはり根本の問題。しかしながら、地域を限りまして、そういったような開発利益をどのくらいこの国鉄自体としても収益としてあげるかということがこれからの私は一番の大きな問題であろうと思う次第でございまして、またこれを早急に詰めていかなければならないと思っている次第でございますが、そういう点につきまして、私どもも極力その点に焦点をしぼりまして、これからも具体的の政策の立案につとめるつもりでございます。いままで長年その道で御経験の深い先生方の格別のお知恵と御指導をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  37. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これと、この運賃の問題でもって一番わかったようでわからないのが赤字なんです。赤字というふうに一口に言うけれども、この赤字の中身というものははたしてどういうものかというと、必ずしもその赤字の中身というものは理解できない面も出てくるわけですね。つまり、国鉄の場合は、都市間の旅客輸送と、それから大都市通勤通学輸送、それから中長距離の大量貨物輸送の三つを柱とする、こういう計画になっております。この三つが柱であるという方針に変わりはないわけですね。そうすると、大都市通勤通学輸送、中長距離の大量貨物輸送、これがじゃあ黒字を生み出し得るかどうかということです。今日までの実績においては、都市間の旅客輸送に収入の大部分を依存をしてきて、通勤通学輸送なり貨物輸送のほうは赤字だった。その赤字を埋めてもなお埋め切れないのが今日の累積赤字になったというふうに考えざるを得ないんであります。そうすると、このような三つの柱をそのまんまにして、なおかつ独立採算制でいくということは、未来永劫国鉄は黒字になり得ないということになっちゃう。この今日の債務もそのまんまにして、未来永劫黒字になり得ないという状態のまんまで、現場の職員に対してせっせと働けとか、財政再建が大事だとか、そういうことを言ったって、今度働く者は将来に対して展望を持ち得なくなるのは当然でしょう。こういう矛盾した独立採算制でいかなきゃならない。しかし、経営の主体は、公共性を持っているという問題を一体どうするつもりなのか。今回提案をされた程度のこのわずかな財政の援助では間に合いっこないと思うんですね。しかも、何回もこれから運賃値上げしなきゃならないということですね。そういう基本的な問題についての考え方というものをまず明らかにしていただきたいと思います。
  38. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) この点は、確かに先生御指摘のとおりでございます。都市間の輸送については黒字である、大都市中心通勤通学についてはなかなか黒字にならぬ、貨物輸送は赤字、現状はそのとおりでございます。しかし、都市間の輸送につきましては、漸次やはり輸送人口の増加、収入の増加が当然に見込まれますので、ますます黒字化することは予想のできるところでございましてまた貨物輸送につきましては、従前は御承知のとおり、私が申し上げるまでもなく、いままで貨物につきましては国鉄の独占であった、急に道路輸送が非常にふえてきた、シェアが広がった、また国鉄の貨物輸送は定時性がむしろはかられないのじゃないか、ヤードの問題、その他貨物車編成の問題、いろいろの問題で、いろいろのそういう赤字要因が出てくる、需要方面も減少してよその分野に取られるということでございましたが、しかしながら、今日のますます伸びていくところの貨物需要に対処いたしまして中長距離貨物輸送、大量輸送につきましては、やはり鉄道にたよらざるを得ない部分が私は相当にまだ——輸送方式を思い切って近代化をしてまいりまして需要に対応するような方式をとれば、必ずこれは黒字に転ずる可能性は強いと私は確信をしている次第でございます。これをいかに近代的輸送方式に切りかえることができるかということがやはり根本でございましてそれができますれば、今日のますます貨物需要が増大をしてまいりましてすでに道路輸送における私はこれはもう限界にきている。また、海運輸送にいたしましても、バースその他の港湾の実情からいたしましてなかなか増強はできないというような実情でございまして私は必ずしも、見通しといたしましては、その方策をとれば、悲観的には思っていない次第でございます。ただ、通勤通学輸送につきましては御承知のとおり、ラッシュ時におきましては非常に編成を長くしなくちゃならない、また本数も多くしなくちゃならないが、中間におきましてはがらがらである。そういう場合の需給関係が一定しないというようなこと、またいろいろ大都市間におけるところの交通施設につきましてばく大な投資も要るというようなことがございましてその点におきましては公共性が強いといわれて公共性の強い部分につきましては今回はその第一歩といたしまして国の財政負担ということを考えた次第でございますが、先ほどから御指摘を受けておりますが、運営といたしましてそういったような利益還元につきまして要するに地方住民の利益還元というものをどのくらいやっていくかという方途も講じましてこれを適当な運営をしてまいりますれば、私は国鉄の前途というものは必ず国民の期待に沿う、また企業体としましても十分にやっていかれる。御承知のとおり、いままででございますると、はなはだ恐縮でございますが、はっきり申しますと、適正運賃であったかどうかということも根本にございます。また、いろいろのほかの交通輸送機関の発達に伴いましてそういった点におきまして貨物その他をはじめとして必ずしもそれの対応策がとられていたかどうかという問題。それから、国鉄がいままで置かれているところの国の公共的機関であるがゆえの諸制約、これが非常に大きなものがございます。そういったような点におきまして国鉄自体が必ずしも、企業努力をしておるにもかかわりませず、今日この膨大なる組織、これだけの国民の期待を持ちながら、それにあえて対応することができないということになっております。これからの施策よろしきを得れば必ずこれはできるということを私真剣に考えておる次第でございます。どうしてもこの際は、そういった点でもって先生方の御鞭撻をいただきましてこの世界に見ないこれだけの大動脈、大組織を持っておりまする国鉄が、ほんとうに国民の足としてほんとうにもう国民の期待にこたえるように、ひとつこの際第一歩をぜひとも踏み出したい、こういうふうに思っておる次第でございますので、いろいろの一そうのひとつ御鞭撻と、それからまたひとつ一そうのいろいろ御指摘をお願いしたい、こういうふうに思う次第でございます。
  39. 藤田進

    ○藤田進君 いまの将来見通し等を含む議論は、おおむね結末は水かけ論に終わるような気もいたしますが、しかし、この種経済関係については真険にやはり取り組んで、政府も、また国会も、できるだけやはり見通しについてはあまり大きな隔たりのないような視点に立った将来計画という基礎を固めなければならぬと思うのです。で、まあいろいろと国鉄提出の資料もいただきまして四十五年度の監査報告書、その「総説」、一ページにも出ておりますように、いまお聞きいたしますと、運輸大臣は、国鉄輸送の前途洋々たる展望をこまかく意見として発表されましたが、わが国における輸送のシェアを見ましても、これは運輸省の資料、国鉄監査委員会の資料ですね、これを見ても、国鉄はかつて昭和三十五年五一%のシェアが、四十五年度は三二%に落ちております。そうして貨物のほうはしからばどうか。これが三九%のシェアが一八%に同じ年度で落ちております。これにかわって非常な伸びを示しているのがバスとか乗用車部門、人員の輸送。ですから、六八%というものは、近時——これは四十五年度ですがね、国鉄以外の人員の輸送ということになり、このカーブの動向を見ますと、もっと広がってくるように思うのです。それから貨物においてしかりですね。貨物においては八二%が国鉄以外にということで、ですから、私どもが知っている限りでも、貨物扱いをやめましょう——まあ私ども地元、福塩線などもそうですが、貨物は一切やめる。なせやめるのかと、木材もあるだろう、まあ木炭はいま減っただろうが——実はいまもそういう貨物は鉄道は扱わなくなりました。ほとんどもうトラックその他になりましたということで、将来全く——現在においてもそうだが、将来皆無だということが示されているように、これは統計に出ておるわけですね。  それから、国鉄の中における旅客の輸送ですね。「列車別定期旅客輸送人キロ」、これを見ましても、これは一八ページに書いてありますが、地区列車、つまり国電とかあるいは中距離電車を除いた地区電車というかなりローカルとして期待されたものでも、四十二年度から急激に下がってしまって下がりほうだいです。国電、中距離は、やや横ばいか、少し上がっておる。で、国電は、これは最近の運賃との関係が非常にカーブに敏感に出ておるように私は思うのです。四十二年度をピークに、四十三、四十四と下がって四十五年はやや水平、横ばいです。これは絶対量がふえていてという面もありますから、これがすぐ収入減ではない。収入は、たびたび運賃値上げ、改訂がされておりますから、収入は若干ふえておりますが、しかし管理費はまたそれ以上にふえていると、だから赤字。  これを国内について見ますと、資料をいただきました、これが運輸省の六月二日付の参議院運輸委員会提出資料、ページは——まあ時間がないようですから——四ページ、「現行の再建計画が三年間で改定のやむなきに至った理由」と書いてここに二項目書かれておりますね。その一つは、「自家用乗用輸送の発達を基調とするローカル旅客及び定期旅客の予想以上の落ち込み及びトラック輸送の発達と石炭、木材等の一次産品の減少による輸送量の停滞」、こういう経済現象が書かれておる。二番目は、「再建計画で予想した上昇率(九・〇%)を上回る人件費の上昇(四十四年度一三・四%、四十五年度一五・一七%、四十六年度一四・〇%)」ということが書かれております。これを見ますと、まさにそのとおりで、これはむしろ今後も道路、つまり新全総——あとに出てくる新全総ですけれども、あとに出てくる「輸送量想定の考え方」、つまり今度の四者で協定されておりますものを受けたというんですが、この旅客について見ると、「定期口過去の実績値と新全総計画の二、三次産業との相関」関係であると、以下これすべて新全総を基礎にしてあるんですよ。その新全総そのものがいま問題になって高橋企画庁長官——高橋衛さんね、あのときの予算委員会でも、こんなものは二年持ちませんよ、そんなことは断じてない、コンピューターで、電子計算機でやっておりますとたんかを切ったんですよ。それから、建設省道路計画、五ヵ年計画、もう一年でつぶれちゃうんです。この現在の新全総を基礎にあなた方されて、これでわれわれに今後これが出発点と言われても、これ自体がもう問題なんですよ。ですから、これから出てきたところがずっと間違いが起きているんです。たとえば、その次の七ページの「旅客輸送量の想定」でしょう。あなたがた監査報告をわれわれに出してきて、これがもう急激な下降をたどっているのに——シェアにおいてもそうだし、人キロにおいてもそうでしょう。それがあなた、運賃を上げて、今度四十七年度上げて、こういうふうにずっと伸びていく。しかも、これ五十六年度までこういうことでしょう。これはまあ丹羽さんのような方は運輸大臣を内閣かわってもなさると思いますが、いま大臣のここでの答弁は法律のような価値をもってわれわれは聞くわけですけれども、何としても実感が出てこないです。そこで、じゃ外国はどうかというと、終戦後私はアメリカにしばらくいまして、——もう皆さんそうでしょうが、ホテルでもそのころから——戦争負けてすぐですが、この一年余り、ホテルでも、ロードマップはありますけれども、鉄道の時間表なんという、そんなものはないんですよ。もう二十七年前からないですよ。飛行機のやはり時間表はありますね。いま日本でも飛行機は置いておりますが、アメリカではつまりすでに斜陽産業だといわれておりました。私はバークレーからシカゴまで、二晩泊まりですが、列車の中で——まだ飛行機はアメリカといえども簡単に乗れない時代ですから。もうあれから三十年近いですが。そこで最近のを見ますと、アメリカといえとも、戦争事情その他あって、一九四一年、これをピークに——一九六五年までしか出ておりませんが、鉄道旅客輸送量の推移、急激になお減っているんですよ、戦後。一九四五年戦争が終わったんでしたかね。それから——まあ時間がないので——あと西ドイツ、それからイギリスが日本によく似ておりますが、イギリスでも、旅行者を含めて、イギリスの鉄道へ行って乗ってみたいと思うけれども、不便で、これもイギリスの輸送量というものは急激にやはり落ちております。戦争済んで十年後、一九五五年から一九六四年の十ヵ年が出ておりますが、半分とは言いませんが、四一九から二八七に落ちているんです。これは西ドイツ以下。これを全部言いません。  そこで、私は、国鉄に関する総合の——まあ瀬谷さんからいろいろ指摘されておりますが、あなた方の刷りものを見ましても、どうも経営という全体をマネージメントするという視野からものごとが考えられているのだろうかどうだろうかという、今度の運賃値上げするための資料のように思われてしかたがない。私は、この十ヵ年を待たず、運賃は三年ごとと言われているんですが、こういう情勢において国鉄——新幹線というのはもうしばらく価値が生じるでしょう。一方同じ運輸省で航空関係、飛行場の整備でしょう。それから有視界飛行から計器飛行に変えるとか、いろいろなことを言われておりますね。飛行機に関しては、飛行機のほうでりっぱに成果があるように言われている。それから建設大臣に聞くと、道路舗装その他改修、これはやはり相当なものとして、これが総合的に進んでいるという前提であるならば、国鉄輸送というのはこういうカーブにはいかないのじゃないだろうか。運賃との関係もあります。たとえば、ぼくの知ったのがあす山形の酒田から来ますが、どうするのかと言ったら、酒田市から自分で車を運転して山形まで来るんですよ。山形で自動車置いておいて、そうして羽田まで飛行機で来ると言うんです。そういう状態になっているんですよ。これは金の問題じゃない。スピードといいますか、そういうことでございますから、これは水かけ論になるかもしれないということを冒頭に申し上げたが、私はここまで国鉄輸送の量自体伸びていかない。伸びていかないとすれば、やはり建設費等収支をまかなうために運賃料金に転嫁する、ますます悪循環というような状態になるのじゃないだろうか。そこで、じゃどうするか。大きな意味で、ただ線路屋で汽車を動かすというだけの国鉄の営業という単純なそういうことでは、私鉄のほうが先回りしますよ。瀬谷さんもまあいろいろ言って、私鉄まで言わなかったかもしれませんが、経営というものを主体に考えての運営と、まあともかく事故のないように汽車を動かせばよいというような在来の考え方では、もう経営が成り立たなくなっているように思うんです。もう気がついていると思うんです。そこに気がついているならば、そういう総合的な国鉄経営、あるいは、斜陽産業というか、もうそろそろ店じまいをすることはいまちょっとひどいですけれども、そろそろこれは縮小再生産に入るという姿勢をむしろ示されているということで、閑散線を引き上げるといったら、国会議員が中に入ったりしてやかましく言うんですね。やりにくいことはわかるけれども、その辺にやはり今後切りかえをやっていくというようなこととか、あるいはまあ、この間神戸でも申し上げたんですが、一等地が、線路だけで、上部空間がまるっきりあけてあるようなことだが、これはやはり私鉄がああいう場所を持っているとすれば——たまたま今度線路を立体交差にして上にあげるというようなときに、あの一等地周辺、相当な価値のしている土地を、ただ単に上に上げただけで相当広いですよ、四車線やろうというんですから。いまやっていますがね、工事を。そういうものがもっと立体利用ができないものだろうか。ぼくならそうしてみたいがというような意欲ぐらい出てくるんですね。そんなように思います。したがって、私は、いま申し上げたいろいろな点について、見通しについて、これはまあ鉄監局長でもけっこうですが、洋々たる前途というのはどうも実感がきませんので、ほんとうの悩みというものを聞きたいし、国鉄はいま単純に輸送経営だけではどうにもならない。これも法案が通ったんじゃないんですか、何か経営するとか。私も直接よくわかりませんがね。何かそういうことでいくか、縮小再生産で堅実にいくか、岐路に立っているんじゃないですか、今後の十年。こんなことは、私に言わせれば、ごまかしですよ——と思いますが、いかが。
  40. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま藤田先生からいろいろ御指摘をいただきましたが、確かにそういった点が多々ありまして、それで私どもも、ただいまのところは、非常にそういう点を原点に返りまして反省をして、どうすればほんとうの健全な経営ができるか、それによりまして国民の負託にこたえることができるかということを一生懸命私なりに考えまして、今日御審議を願っている次第でございますが、そのもとは、いまお話をいただきました国鉄に対する需要がどのくらいあるかということがやはり一番の私は問題だろうと思うのですが、その点で、先生がお話しになりました新全総計画に基づく第二次、第三次の人口の増加、その移動というものに対して私ども一応の計算をつけている次第でございますが、それがまあ当てにならぬという御指摘でございますが、それはまことに恐縮でございますが、過去の例からいたしますと、必ずしもその統計が合ったとは私ども率直に言いまして認められない点も相当ございます。しかし、大体におきまして、やはり一定の国土計画をつくる場合におきまして、いろいろの点から考えまして、一応新全総計画というものをやはり土台として考えなくちゃならぬ。この点につきましても、今回のGNPの伸びの問題等につきましてもやはり再検討を加えるべきだというような議論が出ておりまして、それらの点につきましての、やはりこの新全総計画のある程度の改定、ただいま御承知のとおり企画庁が中心にやっております、それによりましてどのくらい変更になるかわかりませんが、大筋としては私はまだそれほど変わることはないと思います。先般、この秋までには何とかしたいということを経済企画庁長官から発言がございましたときに、私ども公共事幸の担当大臣といたしまして、ただいままでやっている公共事業、いままでの計画について変更があるか、これを縮小するようになるかと言ったら、それは絶対ないという確言を得ておる次第でございます。むしろこういう時期にこそ、そういったような一般の国民にサービスを提供するような公共事業につきましては、財政主導型と申しますか、現にもっとふやしていかなければならぬということでございまして、ただ、その場所その他の、線路の敷設というような点につきましては、これは慎重な考慮を要しなくちゃならぬと思う次第でございますが、これの適切な措置を得ましたならば、必ず私はその需要にマッチするところの輸送サービスを提供することができる、こういうふうに思っている次第でございまして、ただいまお話もございましたが、要は、われわれのこれから建設しようとする鉄道、そしてまたいまやっております鉄道がはたして国民の需要に適合しているかどうかということが私はやはり一番の根本だろうと思う次第でございます。幾らいたしましても、お客さんがほとんど乗らない、貨物が乗ってこないということでは、やはりだめである。いろいろ御議論がございますが、運輸政策審議会、あるいはまた交通体系その他いろいろの学者の論説におきましても言っております。これはいろいろ角度がございますが、非常にむずかしい問題ではございますが、閑散線の撤去をやりたいということを私どもが今回の一つの大きな項目に並べましたのも、やはり国民の一般の需要上、国民経済から申しまして、むしろ代替輸送で、バスのほうがよい、あるいは自家用車で十分となると、しかし国民の国鉄というものは郷愁上、また地域一つのシンボルであるから残してくれというものまで残していいかどうかという問題。要するに、やはり国鉄自体は料金もいただく、それからまた財政投資をしていただく、また国家助成をしていただく、みな国民の税金でございますから、それらがやはり効率的に行なわれなければならぬ。これが効率的に行なわれるための路線決定はどうするかということが私は一番の問題になってくると思います。新幹線にいたしましても、あるいは線路増強にいたしましても、やはり国民需要にマッチするかどうかということが、これから一番の大きな私は、国鉄の経営が健全化するか、これの経営がほんとうに適正に効果をあげ得るか、また、ただいま御指摘をいただきましたほんとうに憂慮すべきような状態になるか、これはやっぱり一番の大きな分かれ目だと思う次第でございまして、その点についてはなお慎重の上に慎重に考慮いたしまして、いやしくもそういったような国民の目的に反するような路線の設定は断固としてこれは阻止をする、そうしてまた国民の目的に合うものは御協力をいただきましてこれをつくっていくという、やはりかたい決心が私は一番必要だと思う次第でございます。  また、ちなみに、アメリカ、イギリスにおきまして、私も非常にまだ未経験でございまして、知識もございませんが、アメリカに参りましたときにもその実情を調べてまいりました。アメリカにおきましては、もうすでに旅客輸送というものは御承知のとおりほんとうの斜陽産業で、現実に残しておりまするところの旅客輸送をいかにして維持するか、国、州、また会社一体となりまして、この赤字補てんをいかにするかという、むしろほんとうに縮小再生産といいますか、清算会社みたいなことをやっております。大体あれだけの広い国でございますから、航空機輸送によって——イギリスにおきましてもそういう例が見られることはもう事実でございます。しかしながら、貨物輸送につきましては、やはりアメリカにおきましては、そういうふうにして国民の需要にこたえておる。こういうようなことでございまして、国によりまして性格が異なりますが、私も先般、ワシントンからニューヨークまで、いまアメリカで一番誇りとしておりますメトロライナーに乗りました。東京から名古屋ぐらいまで、三百キロぐらいございましょう。値段にいたしましてたしか一万五千円ぐらい、えらい高い値段だと思った次第でございます。向こうで案内してくれる方が、日本の新幹線にお乗りになっている皆さんにはと、とてもえらい恐縮しながら、いろいろ説明を聞いた次第でございますが、震動度その他からいきまして、やはり、はなはだ恐縮でございますが、決してもち屋がもち屋をほめるわけじゃございませんが、段違いのサービスである、しかも料金が高い、こういうような状況でございます。  そういう点につきましては、まだまだ、皆さまの御鞭撻をいただきましたならば、国民の需要、期待度も大きいので、いま御指摘の点ほんとうに悩みがございます。ございますが、それをこの際思い切って改革をして、輸送方法の改革もする、いま総裁も言っております管理体制につきましても抜本的の改正をする、サービスについても抜本的の改正をする、そうして皆さまとともに進んでいくことでもりてある程度の適正運賃といたしまして国民の御協力を願うということをやってまいりましたならば、必ずその目的を達する、こういうことでございまして、私どもといたしましても、先般、四十四年度の失敗がございます。その失敗を再び繰り返しまして、そしておめおめと皆さまに再び失敗だったというような提言をすることは絶対に避けなくちゃならぬというただいま信念で進んでいる次第でございます。至らぬ点も多々あると思う次第でございますが、これらの大局のことはひとつ御了解を願いまして、いろいろまたひとつ御鞭撻と御叱正を願いたいと思います。
  41. 藤田進

    ○藤田進君 どうせ休憩になるでしょうから……。  大臣の言われる、たとえばアメリカの貨物は相当量ふえているとおっしゃいますが、私のこの資料、日本国有鉄道外務部の発行されている鉄道と交通政策という欧米諸国のこれを見ても、貨物のシェアは鉄道がかって七四・三%が四三・五%に落ちている。何がふえているかというと、やっぱりトラックです。トラックが三・九から二二・七、つまり一九三〇年から一九六五年の間に油なんかもう輸送パイプ化されて、やはり不況が出ております。ですから、先ほど単純に縮小再生産というが、むしろ十カ年なんというよりも、日本のいまの内閣が続く限り、自由民主党の内閣が続く限り、一応資本主義経済だ、まあわずかなんでしょうが、財政支出増で多少影響を与えるくらいなものですから、高度経済成長路線ではあったが、やはりこれは経済界のほうがむしろ先行したように私は思うのですね。そういうことで、十ヵ年というような議会に出す資料に、非常にまことしやかと言っちゃあれですが、十ヵ年はおろか、五年先のことを計画的な施策が間違いなく行われると思ったら、それは大間違いです。ソ連や中国のような社会主義計画経済の国でも、やはり五年計画なり、ソビエトの八年計画でさえなかなかうまくいっていない、誤差が生じて三年ごとにアジャストするなんということであります。したがって、問題は、いま急激に閑散線を引き上げてしまうということも、これは地域住民にとってはたいへんでしょう。したがって、公共性の高い輸送機関であると規定するならば、今度出資一兆円とか、いろいろ考えられてはおりますが、これではおそらくあと三、四年——あまり短く言いますと私のほうが負けることになるでしょうから、三、四年より先ないじゃないですか、十年じゃなく。そうでございますから、それならそれなりに、やはり国鉄のあり方というもの、最も官僚組織がそのまま残っていて、こういう膨大な、全国に手足を伸ばしている産業では、公益性がしかも高い、もうけるもうけないによって自由にできないということでもありいたしますと、まず管理のあり方というものを、これをぜひ欧米、ことに欧州あたりのものを見られたらどうですか。皆さんは社会主義とかなんとかいうのはおきらいですから、そこまでいかなくても、いわゆる社会化している国鉄公社あるいは何々公団、それがすでに社会化されているのだと言う人がありますが、私はそれは間違いだと思うんです。  それからもう一つは、やはり私鉄との関係ですね。私鉄は私鉄として民営に残し、そうして非常に密接不可分の国鉄は旧態依然としてやっていこうというところに、時代的にかなり無理がきているように思う。それ以上申し上げませんが、いまの間には合わないようですが、十ヵ年を考えるときに、そういういわば足元なり、日本の交通輸送の、ことに鉄道関係の、民営を含めたものの全体の総合化といったようなことを考える必要があるんじゃないだろうか、こう思います。その辺はどうです。企業形態なり、企業運営、管理機構といったこと、これは万全ですか。
  42. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) いろいろほんとうに適切な御提言と思う次第でございまして、これも十年は少し長過ぎるのではないか、これは非常に私どももその点は考えた次第でございます。しかし、鉄道敷設というような面から申しますると、非常にやはり長期間、たとえば、御承知のとおり、青函トンネルをつくりましてまいりますときには、どうしてもやはり五十三年、六年はかかります。これから先もし札幌まで行くといたしますと、やはり十年近くはかかる。漸次非常に長い計画が必要になってくる。また、今日国鉄のいろいろの問題を解決をいたしましてまいります場合におきまして、財政の再建をはかるというような点からいたしましても、やはりそれが黒字基調になりますのには、どうしても十年はかかるのではないか、これはただいまの財政規模から勘案しての考えでございます。  先ほど私申しましたアメリカの、ことに貨物輸送力が増大しておるということを言ったわけではございません。貨物輸送のほうは、確かに、いまお話しのとおり、貨物輸送のシェアというものはどんどんやはり減少しております。減少しておりますが、旅客に比較いたしまして、輸送機関としての汽車輸送というものは、やはり旅客とは比較にならぬでいまやっている、むしろそっちに重点を置いているという意味で言ったわけで、私の御答弁の足らない点は御了承いただきたいと思います。そういうような点で、どうしてもやはり長期計画を一応立てまして、その上についての計画をしなくちゃならないというふうに思っておる次第でございます。  私鉄と国鉄のあり方、いまのそういったような経営管理の対象のあり方につきましては、これはいろいろ議論があるところでございまして、むしろいまの能勢では、いま御議論ございました経営の合理化、経営のスムーズ化というようなことでは、私鉄にある程度まかしてはどうかというような御議論もある。しかし、また一面におきまして、これは公共企業であるから、輸送機関というものは国家で補償しなくちゃいかぬというような点もございますが、自由主義経済を標榜しております私どもといたしましては、両方の長短を備えて相互いに切磋琢磨いたしまして総合してまいるという形態が一番いいんではないか。地方の運輸機関を担当しているものではございません。国全体の運輸を担当する鉄道というものは、やはり国の管理のもとに、公共企業体として、そうしてやはり皆さまの御鞭撻を受けながら運営していくことが一番妥当ではないかというふうに私ども現時点で考えておるわけでございまして、こういった趣旨におきまして御提案申し上げておる次第でございます。
  43. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 午前の審議はこの程度とし、午後は三時再開いたします。  これにて休憩いたします。    午後一時五十六分休憩      —————・—————    午後三時七分開会
  44. 木村睦男

    委員長木村睦男君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑を続行いたします。御質疑のある方は順次御発言願います。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先ほどちょっと触れましたけれども新幹線の問題に触れたついででありますので、もう少し質問したいと思うんでありますが、県のほうから新幹線についていろいろな要望が来ております。先ほど触れた問題に関連する問題を一つ取り上げますと、「側道等に係る要望について」という要望がありまして、ぜひこの新幹線建設する場合には側道をつくってほしい、こういう強い要望があるんです。これは新幹線がそれこそ家の軒先をかすめて通るというような、これは極端な話なんですけれども、そんなことになれば、これは騒音やら何やらたいへんだし、あれが高架ですから北側に当たる部分は日陰になるわけです。ちょうど、東北上越新幹線を見ますと、上越新幹線のうち埼玉県の伊奈から本庄あたりまでがほほ東西に走るかっこうになっております。大体において南北に走っておりますけれども、やや東西に走るかっこうになっております。やや東西に走る区域は、当然その高架鉄道の北側が日陰になるわけです。したがって、日陰のところは線路からある程度家屋が離れてないと、騒音と同時に日照権の問題が出てくる。だから、そういうことを考えるならば、これは鉄道とすれば、線路用地だけであとのことは責任がないと言うかもしれませんけれども、当然そういう点を考慮すれば、特に北側は道路をつくる、側道をつくるということが必要になってくる。これは住宅との関係だけではなくて、いろいろな工事用あるいは災害用、あるいは故障時等を考えてみた場合には、わきに道路がないと、先般も新幹線で事故が起こってたんぼの中でとまってしまったということがありましたが、ああいうふうにたんぼの中でとまってしまいますと、お客はおりるにおりられない。火災事故といったようなたいした事故でなかったからいいようなものでありますけれども、そういう火災事故でもかりに発生したとすると、高いところから飛びおりることもできない、救援にも行けないということになってしまうわけですね。今後のことを考えてみますと、当然この側道というものを設けるということは考えられなければいけないことだと思うし、県のほうからのそのような要請ももっともなことだと思うんでありますが、工事道路をまずつくり、それを側道としていかしていく、このようなことが考えられているのかどうか、この点についてお伺いをしたいと思います。
  46. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 新幹線建設いたします場合に、片側あるいは両側に側道の要望が地元の地方公共団体等を通じ、あるいはまた地方公共団体からもそういうお話がございます。われわれといたしましても、新幹線建設いたします場合に建設用の工事道路として必要な場合もございます。高架橋ができました後のその下の管理だとか、いま先生御指摘の、何らかの緊急の必要の場合の道路というようなものも必要だと思いますので、現在、山陽新幹線あるいは東北等の新幹線につきましても、その地域の状況を見ながら、両側にあるいは片側にそういう道路をつくるように考えておりますが、場所によりましてはそういう道路が現在あるところがございますので、それはそのまま活用するというようなかっこうをとっております。やはりそういう点で側道を四メートル片側、あるいは地域によりましては両側につくるようにしておりますが、ただ四メートルだけでは、地元としてはあるいは地方公共団体としては通行上もう少し幅を広くしたいというような点がございます。これは山陽新幹線の場合も、東北上越等についても同様だと思うのでございますが、これらにつきましては、地方公共団体とわれわれよく相談をいたしまして、地方公共団体に都市計画上の計画道路がある場合には、できるだけそれを新幹線に併設してもらうというような処置をとってもらう、あるいはそういうものがない場合に、非常に強い御要望があるような場合には、地方公共団体の都市計画上の事業用道路として併設をしていただくというようなことで、できるだけ地方公共団体と協力しながら道路面を考えていきたいということで、現段階においてもできるだけそういうことで話し合いを進めてまいっております。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄のほうでたとえば道路用地買収するという場合、たとえば、この資料を見ますと、山陽新幹線では伊丹などは南北ともに幅員十メートルの側道を設けるようになっております。四メートルぐらいでは、これは車が一台通れるか通れないかという範囲ですから、あまり役に立たない。少なくとも十メートルないと、これは自動車が交換できないということになるわけです。高速自動車道などは買収用地の幅がざっと四、五十メートルになるでしょう。それを考えたならば、新幹線なんかの場合も線路の両側を十メートルや十五メートルとったとしても、高速道路の投資に比べれば欲ばり過ぎたことにはなるまいという気がするんです。ただ、その道路が、鉄道の持っている道路ということになるのか、建設省なり地方自治体に所属することになるのか、その辺は一体どういうことになっておりますか。
  48. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) ただいま御説明申し上げました国鉄でつくります片側四メートルあるいは両側四メートルで往復に使うといったような場合に、これは道路として使います場合には、国鉄がかりにその土地を買収いたしましても、あと、これの道路認定は道路事業者にやっていただくことになります。そして、道路認定をしてもらって、そして、その道路の管理は地方公共団体に移る、そして、その用地につきましては、財産は地方公共団体に買っていただく、また価格の問題はいろいろ折衝の問題がございますが、そういうかっこうにして進めております。ただ、四メートルでは先生御指摘のように、地域によりましては非常に狭うございますので、そういう点につきましてはそれにプラスアルファいたしまして、たとえば十メートルにする、あるいは十一メートルにする。それは道路事業者が個々に土地を買って、それと一緒にして道路をつくるというやり方をいままで進めてきております。現に、先生いまお話のありました阪神三市の伊丹等につきましても、国鉄が四メートル分の用地を、これは工事用にも必要だということで買いまして、それにプラス六メートルの用地を、これは道路事業者が準備をする、ただ、その世話は国鉄がする。この世話のやり方はいろいろございますけれども、そういうことにしまして、両方足しまして十メートルの道路を、道路事業者が道路としてこれを建設していくというかっこうにしております。ただ、その場合に四メートル分はいま国鉄が当初に買収をする、こういうことで足して十メートルにしております。それ以外のたとえばいま建設中の岡山以西につきましても、岡山−倉敷間におきましては都市計画道路が若干離れたところに計画しておりましたが、これを新幹線の両側に移してもらう、そうしてこれは道路事業者が道路として建設して、一諸に合わせて広い道路として使う、あるいは広島の手前にあります府中町というところでございますが、これも道路計画が都市計画事業でありまして、これは同時施工ということで中央の分離帯に新幹線を持ってまいりまして、両側に都市計画道路をつくる、あるいはその西のほう、いま話を進めております大野町付近につきましてもそういうことで進めております。各地そういうことで道路事業者のほうと十分な相談をして協力しながら両側の道路を確保する、そうして所要の道路幅をとるようにしていきたいということで、建設省あるいは地方公共団体とも十分な協議をしながら進めていっているわけです。
  49. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 この道路の問題も、実際に新幹線でき上がってしまって、両側に住宅がびっしり密集するというかっこうになると、簡単に測量するなんていうことはできなくなってしまう。初めから工事道路として用地を確保して、建設の際はこれが側道として役に立つようにすべきだと思うのですね。それと同時に、やはり県の要望でもありますけれども近距離電車新幹線に並行して運行させて、輸送力の確保をはかってほしいという要望がある。これはただ近距離電車新幹線にどうやって並行させるかということになると、用地買収する際にまあ二線分の用地買収できれば別でありますけれども、もしそうでないとすると、午前中にちょっと私のほうで質問したように、これを二重構造式にして、そうして上と下で新幹線在来線を走らせることを考えるほかないわけです。しかし考えてみますと、新幹線だけが走って、その下が遊んでおるということは確かにもったいないことなんです。だから、せっかくいろいろ無理をして用地買収して新幹線を設備をするならば、この機会に在来線も運行できるようにすれば、地元としても新幹線がとまるということについてはそう期待は持たないと思うのですね。こんな小さな町や村にまで新幹線をとめろということは、これはおそらく期待しても無理だから言わないと思う。しかし在来線だったらこれは利用できるわけですから、そういう注文が当然あると思うのです。現在たとえば東北・高崎線なんかの場合には輸送力が完全に逼迫しているわけです。貨物と旅客と両方が走っておる、これはもうどだい無理なんですね。だから、ほんとうならば貨物線も新規につくらなければならない状態にある。ただし、その貨物線をつくるといっても複々線にするということは相当の用地買収を必要とすることだし、貨物線のためにだけ用地買収するということは、横浜の例で見ると、貨物線をつくることに地元反対をするという気持ちがある。それは貨物線じゃ自分たち利用できないからという意識もあるだろうと思うのですね。そういうことを考えてみると、この新幹線と同時に、その下を、たとえば武蔵野線のような貨物線利用すると同時に、適当な個所に駅をつくって電車も運行できる、通勤時には通勤、通学輸送もあわせて行なえる、その間に貨物列車を運行するというふうな方法——一番これは実質的な輸送力の増強ということになると思うんでありますけれども、できればこういう機会にかねて、懸案の輸送力増強計画を実行に移すということのほうが地元反対をさせられることになるんじゃないかと思うんでありますが、そこまでの用意があるのかどうか、お伺いをしたいと思うんです。
  50. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 確かに、新幹線建設いたしますときには駅間が三十キロ程度、あるいはそれ以上の駅間になりますので、用地買収その他のときに地元からの反対等がありまして非常に難航いたしますので、そういう点で、さいぜん先生が言われました道路建設の問題、あるいはできれば在来形式の鉄道を併設するということができると非常にある面では好ましいことだと思うんでございますが、現時点の東北線あるいは上越線の場合も、一つの例を埼玉県にとってみまして、たとえば地下計画があればそれと一緒にしてやるというようなことも考えられないかというようなことでいろいろわれわれはわれわれなりに検討し、県ともいろんな相談をしてみたのですが、なかなか簡単にいかないということでこの際はそれを見送ったような状況でございますが、将来の考えとしては、われわれとしてもそういうことができれば非常に幸いではないだろうかと、こういうふうに考えております。  道路の場合、ちょっと私申し落としましたけれども、できるだけ都市計画道路あるいは国道等々併設してやることによってわれわれのほうの仕事もやりやすくなるし、地元の受ける迷惑も少なくなるということで、われわれとしても道路計画者のほうにも積極的にお願いをし、協議を申し上げておるのでございますが、今後ともできるだけ道路事業者のほうにも努力を願うようにわれわれも働きかけたいと思いますが、そういう方向へ持っていきたいと、こういうふうに考えております。ただ、東北あるいは上越の場合に、現在非常に輸送力が逼迫しておりますけれども新幹線が完成いたしますと新幹線に、東海道の例を見ましても相当程度いわゆる中距離列車が移ります。また移し得るような計画をいま進めておりますので、そうなった暁には、東北線あるいは高崎線の現在線のほうの輸送力に相当余力が出るというふうに考えておりますので、それによりまして地元の皆さんの便益には十分資せられる、こういうふうに考えておりますが、先生御指摘のような、同時に別の鉄道をつくるということも考慮していかなければならないのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。
  51. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 特に貨物輸送を考えてみると、これは旅客輸送とはちょっと性格が違うわけです。この旅客輸送と貨物輸送とは必ずしも競合をしないでも線路は有効に使えると思うんです。だから、やはり貨物線を使うということだけだと相当地元反対が強い。横浜なんか一つの例だと思うんですけれども、それでは、たとえば貨物線電車運転をして、そして適当な場所に駅をつくるということは可能かどうかという問題があります。品鶴線というのがありますね、この品鶴線についても品川区からいろいろ陳情が来ております。その陳情の中には、品鶴線を横須賀線利用するということについてのいろんな不安が出ているわけです。しかし通過されるだけの身になってみれば、これは何てことはないわけですから、利用されないのですから、だから、そういう地元の要望にこたえて適当な個所に駅を設けて、全電車をとめるのでなくても、一部の電車をとめるといったような方式がとれないものかどうか。特に品鶴線等の問題についてはどういういきさつになっているのか、お知らせいただきたいと思います。
  52. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 品鶴線につきましては、ただいままでも地元からいろいろな御要求が出ております。テレビ障害、それから踏切の立体交差の関係、それから、ただいま先生からお話がありました新駅をつくってほしい、こういうお話が出ております。その電波障害につきましては、これはちょうどこの間、新幹線が通りまして、二階式を使って現在の品鶴線の上を新幹線が通るというような、さいぜん先生が御指摘のような一つケースになっておるわけであります。両方共用するといったようなケースになっておるわけでございますが、そのために電波障害があるということで、これにつきましてはさっそくNHKと相談をいたしまして処置を進めております。  それから踏切の立体交差につきましては、これは東海道新幹線建設当初からそういうお話がございまして、それにつきましては東京都等の道路管理者のほうともいろいろ相談をいたしまして——この辺は御承知のように道路事情が非常に悪いところでございます。将来の都市計画道路がいろいろ建設はされておりましたけれども、まだ全部は実行されていないということで、これが実行できるときには可能なような設備にするとか、あるいはいろいろ現時点でやれるものはやると、いろいろな協議をいたしまして、そういう対策をしてございますが、現時点で立体交差にしてほしいというお話が非常に強くなっておりますので、これは道路管理者に御相談しないとできませんので、私たちとしては、いま積極的に道路管理者のほうと相談をして、できる立体交差からやっていくということで、費用負担等の問題もございますので、道路管理者のほうに積極的に働きかけておる段階でございます。  それから最後の駅新設の問題でございますが、御承知のように、いままでは貨物線でございましたけれども、これが今度横須賀線が通ることになるわけでございますが、この横須賀線が完成した後といいますか、その事態を十分検討いたしまして、これにつきましてはもう少し検討さしてほしいということで地元の方々には御了解を願うようにお話し申し上げておる段階でございまして、これは横須賀線が開業いたしましてから、また線路容量その他の問題いろいろございますので、また利用者の査定その他がございますので、十分検討さしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  53. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 品鶴線の場合、東京都内あるいは神奈川県内で駅予定地として適当な場所があるのかどうか、及び現在駅予定地として地元からいろいろな要望が来ているわけです、場所があるのかという意見もある。ただ私も実際にこの品鶴線というのは歩いてみたわけじゃないので、こればっかりは、ここに駅ができるんじゃないかということが言えない。しかし全然、駅を設置する余地のないところに駅をつくれと言ったってそれは無理な話なんです。昔、品鶴線ができる際に、そういうことを予想して駅用地としてあけておいたような場所があって、そこを利用すれば駅をつくることができるのかどうか、そういう場所があっての地元の要望があるのかどうか、そのことをお聞きしたいと思います。
  54. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 品鶴線の、いまの多摩川を渡りまして品川までの間、非常に人家が密集しておりまして、その間に、そういう予定地として空地を確保してある場所がございません。したがいまして、これを新たにそういう処置をすることになりますと、用地をつくる、空地をつくるというような必要も起こってこようかと思います。したがいまして、どの場所にするかということをこれからまた——そういう点で、きめられたといいますか、そういう予想された土地というのは現在ございません。
  55. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 品鶴線を利用して横須賀線を通すという構想、レールというものを最大限に利用するという方向では納得できるのでありますけれども東京駅に地下駅をつくってそこに横須賀線が入ってくるということになれば、在来の地上東京駅ですな、地上駅のほうはそれだけ余裕ができてくるわけですね。それだけ余裕ができてくるならば、地上駅のほうの余裕というものを生かして、これを京浜線——京浜線というか、常磐・東北線方面との連絡利用して、先ほど総裁からも話のありた通し運転をこれは実現させるということが具体的な一つサービス改善になるのじゃないかというふうに思うわけです。だから、それはぜひとも実現をさせなければならないと思うんですけれどもね。ただ問題は、設計上非常に無理があるということで、大まかな計算だけでは簡単にいかぬというふうに聞いているわけなんですけれどもね。しかし最近のラッシュの状況を見ると、利用者の激増、カーブは急角度に上がっていっているわけです。これはやはりあと追い投資という形でなくて、たまには先手を打つということも必要だろうと思うんです。だからこっちのほうは、たとえば地下駅のほうはもう具体的に目鼻がついているけれども地上のほうの東北線との連絡のほうはいまのところまるっきり目鼻がついていない。これを近々のうちに目鼻をつけることができるのかどうか、この点はもう一度念を押して聞いておきたいと思います。
  56. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 最初に先生お話しになりました、東京地下駅ができましたことによりまして、高架部分のプラットホームがあくことになります。これはおっしゃるとおりにプラットホームがあくことになるのでございますが、御承知のように、東北新幹線東京のターミナルとして——なかなか用地の確保の問題もありあるいはルート的な問題もありまして、たまたまそこにあきます東京駅のプラットホームを二面、いわゆる四線分でございますが、プラットホームを二本、それをそのまま東北新幹線のターミナルとして活用するということでございます。プラットホームはそういうことであきがございませんといいますか、それを東北新幹線運転する始発駅といいますか、東京駅のプラットホームとして活用するという計画にしてございます。ただ東北あるいは高崎線等あるいは常磐線等を東京のほうへ持ってくるかどうかということにつきましては、何といいましても旅客の流れあるいは集中の問題、これは中距離電車につきまして非常に輸送力が多いのでございますけれども、したがって輸送量が多いものですから、それらの集中の問題あるいは分散の問題と、それから運転形態の問題その辺は先生よく御承知のとおりでございますが、それらを十分勘案しながら将来の東北、高崎あるいは常磐をどういうように東京付近の輸送に乗せていくかということを新幹線の完成のころを見ながら検討を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  57. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 武蔵野線の完成によって山手貨物線等を旅客線として活用するという方法も考えていいことではないかと思いますね。現在山手貨物線の果たしている役割りというものは、武蔵野線の完成によって変わってくると思います。それを全然従来と同じで、山手環状線の中の輸送力というものを増強させないという手はないと思います。したがって、武蔵野線の完成と相まって、たとえば東北線方面からの貨物線利用する電車運転といったようなことは可能性はないのかどうか、あるいはそういう考えはないのかどうかお聞きしたいと思います。
  58. 長浜正雄

    説明員(長浜正雄君) 先生御指摘のように、武蔵野線ができますと、山手貨物線がだいぶあくことになります。したがいまして、これの活用法についてはわれわれも十分検討を進めておるところでございますが、いま考えておりますのは、上越新幹線がとりあえずは東京のほうに入るようにしておりますけれども、これは都市計画サイドの御要望もあり、また、われわれもそういう点は十分勘案いたしまして、東京、新宿というふうに考えておりますので、将来新宿のほうに入れるということになりますると、この山手貨物線のあきました用地活用していこうと、こういうふうに考えております。どの程度活用することになりますか、具体的な計画を今後進めなければならないと思いますが、その活用のしかたのぐあいによりまして、いま先生の御意見のような、中距離電車あるいはその他のいわゆるげた電といったものを、どう山手線を増強するかということを一緒に合わして考えなければいかぬということを考えておりますので、十分そういうことを、物理的な可能性と、それからコストの面からと両方から十分山手線活用方を考えさしていただきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 貨物線を有効に利用するということはもちろんでございますけれども、これは部内の操作になってくるのですが、今度、国鉄と私鉄との関係ですね、私鉄と国鉄の相互乗り入れということもこれからは考えていく必要がある。いま地下鉄が東武のほうは乗り入れているということもあります。ゲージの違うところはだめですけれども、ゲージの同じところは国鉄、私鉄の相互乗り入れ、できれば相互乗り入れを行なうとともに運賃のほうも調整ができないものかどうかということを考えるのです。一番ぐあいのよくない例は、常磐線の乗り入れがある。西日暮里から常磐線に対する乗り入れ問題、これは非常に物議をかもして地元の不満が大きいのですけれども、われわれが考えてみても、単に西日暮里から先に公団の地下鉄が入ったということで、経営形態が変わったということだけであそこの運賃が高くなるということは、利用者としてみればわからぬことだと思う。わずか西日暮里と日暮里の間は五百メートルぐらいしかない。五百メートルぐらいしかないけれども、一応あの間が一区間になるわけですね。そうすると、今回の割合でいくと、五百メートルといえども最低は三十円ですが、三十円は取られるわけです。キロ当たり五円十銭ということになると、五百メートルなら厳密に言えば二円五十銭でいいわけです。二円五十銭のところを三十円か四十円取られる。こういったような、わずかな区間ではあるけれども国鉄と私鉄とが入り組んでいるために運賃計算が不便になる、やっかいになるというようなことはやはり考えてみる必要があるんじゃなかろうか。根本は国鉄と私鉄の運賃体系の違いにあるかもしれませんけれども、少なくとも同じ線路の中で相互乗り入れができる範囲というものは運賃というものを同じにしないと不便が多いと思うのです。そういう点は調整できないものかどうか。これは常磐線が一つの例ですけれども、むしろ調整すべきじゃないかと思うのですけれども、どうでしょう。
  60. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 現在、国鉄と私鉄あるいは私鉄と営団等の乗り入れ、さらに東京都営と私鉄との乗り入れがございます。そうして、それによりまして直通運転をいたしておるわけでございます。ただ、先生御承知のように、現在まで、それらは経営形態が違いますし、また運賃制度も違います。国鉄の場合には、たとえば定期の場合等、普通運賃もそうでございますが、五キロ刻みの運賃制度でございますが、私鉄の場合等におきましては、定期運賃につきましては一キロ刻みの運賃制度でございます。したがいまして、その各区間につきましても、いろいろ形態があるということが一つございます。それからいま一つは、これは直通に限らず、連絡運輸になりますものは、当然同じような関係になるわけでございます。連絡運輸の場合で、直通はより便利なわけでありますが、その連絡運輸でも同じような関係になるわけでございまして、そういう場合に、一体、その異なった二つの交通機関間の運賃をどうすればよいのかという問題は非常にむずかしい問題を多々含んでおります。  それで、たとえば解決の方法といたしましては、私どもいろいろ検討いたしております。一つは、たとえば国鉄と私鉄とのキロ程の通算ということによりまして、そうして通算運賃にいたしまして、そうしてそれを配賦するような形というふうなものも一つ考えられます。それから一つには、そういう運賃の併算をいたしまして、その併算をした姿において若干の調整の、たとえば割引をするというようなことも一つ考えられます。それからいま一つは、地域的な地帯的な運賃というものをつくりまして、そうしてある地帯間における運賃は同額とする。そうして同額にすることによりまして、それは国鉄、私鉄あるいは地下鉄についても同様な運賃にするということにする。まあ、いろんな制度のやり方が実はあるわけでございまして、私どもそこいらを研究しておりますが、いずれもむずかしい問題が多々ございます。で、根本的には、やはり企業形態というものをどうするかという問題ともからんでいる問題でございますけれども、私ども、せっかくいま勉強をいたしております。いつまでもいまのままでいいというわけにはいきません。ただし、非常に地下鉄網の発達等がございますと、もう千差万別の場合が出ておりまして、それらを全部統一的に解決をするという道が非常に困難なものでございますから、まだ結論は出ていない段階でございますが、そういう統合的な調整問題につきまして、ぜひ鋭意努力をしてまいりたいと思っております。
  61. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これは、いままで申し上げたことは、利用者の便宜を考えた措置として要望を込めていろいろ質問をしているのでありますが、すべての設備の問題になってくると、国鉄側が、たとえば地方自治体が陳情に行った場合、どういうことを言われるかというと、何しろ赤字でございましてというふうに、二言目に言われる。その赤字というのが、何というか、責任のがれの口実のように聞き取れるんですね。だから、考えようによっちゃ、赤字であるために必要な仕事をサボっていても世間に通るということにもなってくるわけです。これでは、赤字が国鉄の幹部にとっては一つの隠れみのになっているということになってしまうわけですな。だから、この赤字ということばをやたらと使わないで済むようにする必要があるのじゃないか。赤字でございますからという言いわけが仕事をサボっている口実に使われるという限りにおいては、どんなにサービス向上とかなんとか言ったって、世間に通らないと思うのですよ。  その赤字がほんとうにやむを得ないものかどうかということについて、衆議院の参考人等からいろいろおもしろい意見が出ておりますけれども、特に旅客と貨物の関係ですね。村木参考人が言っておりますのは——昭和十一年から四十年までの三十年間について旅客と貨物に分けた損益を見ると、旅客のほうは一貫して黒字だ、ところが、貨物のほうはほとんど一貫して赤字である。それを四十年度の物価で修正してまとめてみると、旅客の場合は一兆二千三百四十八億円の黒字である。ところが貨物のほうは八千八十八億円の赤字である。貨物の赤字を旅客の黒字で補って、残った利益で工事資金がまかなわれている、こういう言い方をしております。この言い方は単刀直入に指摘をしていると思うのでありますが、数字的に大体このように理解をしてよろしいかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  62. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) その前からの数字につきまして、いまちょっとここに持ち合わせをいたしませんが、いずれにいたしましても、現在、国鉄の貨物と旅客との営業係数というものを見ますと、これは明らかに国鉄の貨物のほうが旅客よりはるかに悪いという実情でございます。たとえて申し上げますと、四十五年度におきましては、貨物の営業係数が一七三、旅客は九四ということでございます。四十一年度時点におきましても旅客のほうは九八でございますが、貨物のほうは一二五ということでございまして、基本的に、概括的に申しまして貨物が旅客に比べてはるかに悪いということは事実でございます。したがいまして、そういう意味におきまして、貨物、旅客を合わせた総合原価主義ということによりまして経営をしている姿におきましては、まさに旅客の黒字というものが貨物をある程度カバーしているということは、これは先生おっしゃるとおりだと思います。
  63. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 これはやはり総合原価主義だとごまかされてしまうことになると思うのですが、そうすると、矛盾としては、利用者負担といいながら、旅客のほうが常に必要以上に多くの運賃を払うという結果になるわけです。一方では、貨物では相当な赤字を出しておる。たとえば、じゃ貨物の中で石炭だとか、あるいは石油だとか、鉄材だとか、木材だとか、そういう運賃を新幹線お客さんがある程度かぶって払っておるというかっこうになるわけでしょう。これは利用者負担という原則からいうと一つの矛盾だろうと思います。だから、したがって、そういうそろばんを分けて、たとえば旅客と貨物に分けてしまって、赤字の実態というものを明らかにする必要があるんじゃないか。込みにしてしまって総合原価主義でいくと、何かこれだけすし詰めの電車に乗っけられてなお赤字というのはおかしいじゃないかという疑問が出てくる。それよりか、貨物は貨物、旅客は旅客というふうに別会計にして、そして、それぞれの分野でもって問題の解決をするというようにしたほうがやり方としては筋が通るんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。
  64. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 各種別ごとの運送、あるいはさらにもう一歩さかのぼってみますれば各路線別の運送というものの原価に対応した収入、あるいは逆にいえば収入に対応した原価ということでなければならぬということにいたしますと、これは非常に実は鉄道事業のような場合には実際上の運営にはやはり困難を生じます。ということは、鉄道の場合には、たとえば非常に繁忙な線もあれば閑散な線もある。それから貨物、旅客と一口に言いますけれども、旅客におきましても非常に収益をあげておる部分もあればそうでない部分もある。貨物におきましても同様でございまして、かなり貨物の中では成績のいいものもあれば悪いものもあるということであろうかと思います。  それからいま一つは、たとえば貨物と旅客との関係というふうに大きく言ってみましても、両者間に共通の原価、共通費的な性格のものが非常に多いということで、それをきっちりと配分するということが困難であるという点がございます。それで、したがって、そういう意味での困難はありますが、もちろん先生おっしゃるように、それを配分した計算ということはできないことではございません。先ほど申し上げました客貨別の営業係数というのも、一応大きく貨物、旅客の分野というものに分けて配分をしたわけでございまして、その限りにおきまして、そういう営業係数の違いというものを踏まえた経営のしかたなり、運賃の設定なりというものをすべきではないかという御指摘は、これはまた当然の御指摘だろうと思います。ただ問題は、そういうふうに分けてまいりますと、たとえば客貨別の問題にいたしましても、路線別の運賃問題にいたしましても、非常に輸送量の少ない、したがって原価的に高い地域なり種別というようなものにつきましては、現在よりも非常に高い対価というものを支払わなきゃいかぬということになりますし、その逆の面の、輸送量が多く、したがって原価的には非常に安いというような部分につきましては、これはうんと安くするということに相なるわけでございまして、そういう形がいいかどうか。現在までのそういうような国鉄のやり方というものが、ある意味では国鉄の性格というものを反映して、全国的な鉄道網の形成維持ということによりまして、全国津々浦々、共通のサービスを提供してきたという国鉄の性格というものもやはり考え合わせなければなければならないんじゃないかと、このように思います。ただ、先生おっしゃいましたように、個別の原価というものと対応した別の収入、運賃というものも考えなきゃならぬというのはお説のとおりでございまして、これは私ども将来そういったような方向でやはり考えていかなきゃならぬものだと考えております。
  65. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まず赤字の中で大きな比重を占めているのは貨物運賃じゃないかと、貨物輸送のあり方に問題がありはしないかという気がするのですね。それは実際にいままでのこの収入を見れば、旅客収入と貨物収入ではえらい違いがあるわけです。だから、それだけを見てみましても貨物輸送には問題があるということは言えると思うし、旅客の黒字でもって貨物の分を補っていることもこれは否定できない。となると、赤字の根本をついていくためには、貨物輸送のあり方について相当掘り下げた検討をする必要が出てくるんじゃないか。一体、現在の貨物輸送のあり方がこれでよろしいのかどうか、それから運賃がこれでよろしいのかどうか。この運賃の面で、どうしてもこれは割引をして相当の出血を余儀なくされているという問題があると思うんですけれども、それらの出血を余儀なくされている物資に対して、その原価を償うだけの運賃というものを取ろうとする努力が今日まで行なわれたのかどうか。どちらかというと、一言で言えば、貨物には甘く、旅客には辛くということになっておりましょう。そういう点は問題があるような気がするんですが、これは見ようによれば、大企業の物資を運ぶために一般大衆の上に犠牲をかぶせるという理屈も生まれてくるわけです。その点はどうですか。
  66. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま、私も率直に申しまして御指摘のとおりと思う次第でございます。いまお話がございました貨物運賃の収入減というものは非常に大きく響いておることは事実でございます。輸送方法につきましても、いまの現実の問題といたしまして、あるいは道路輸送、トラック輸送、あるいはまたコンテナ海上輸送にどんどん食われてまいりまして、それがために貨物輸送需要が減ってまいりまして、いろいろ国鉄が前に持っておりました独占性を失うということは、大きな面はやっぱりこの貨物輸送と、いま先生の御指摘のとおりと思うわけでございます。それゆえに、国鉄といたしましてもその点に今回は十分にあれをいたしまして、まず輸送方法の近代化というものの重点を貨物輸送に置きまして、この輸送方法をどうするか、それからまたヤードの集約あるいは直通輸送するためにどういうふうな配車計画をするかというようなことを具体的に勘案をいたしまして、やはり一般の貨物輸送のシェアの面におきましても伸ばすべきところは伸ばすということを十分に勘案をしてやるということが、一つの大きな今回の——いま先生が御指摘になりましたような点につきましての反省の上に立ちましての、今度の出発点と思っておる次第でございます。  また運賃の点につきましても、今回それゆえに旅客運賃を一・二%上回るところの二四・六%の、まあ名目におきしてアップということでやっている次第でございます。国鉄は公営企業でございまして、御承知のとおり需要者の区別によりまして特別サービスをするということは決してございません。むしろ一視同仁と申しますか、零細なる農業者その他のための公共割引もいままでずっと実施をしてきたことは御承知のとおりでございます。しかしながら今日は、第一次産業物資でございますところの石炭であるとか、あるいはまた原材料の方面、木材であるとか、そういったものの輸送が非常に需要がふるわず、これは国鉄だけではございません、全般的に減少してまいりました今日でございますので、それらの輸送方式を切りかえまして、二次製品の輸送に全力を投入するということでございます。また一面におきまして考えますると、これらの点につきましては戦後、道路輸送が伸びてくる、ドア・ツウ・ドアという面におきまして、国鉄の駅まで行くまでのいろいろの輸送機関というものを、国鉄は大世帯でありますために国鉄自身の力によりませんで、一貫作業の点につきまして、その点は国鉄のやはり独占性と申しますか、巨大性と申しますか、という点で一般の私企業に全部まかしてしまったというところにも問題があろうかと思う次第でございまして、まあ、それに対する政府の助成の方法としましても、いままでにおきましていろいろ御指摘ございました、足らない点もあったのじゃないかという点でございます。それらを国鉄並びに政府といたしまして反省いたしまして、この際はひとつやっぱり抜本的に政府で助成すべき点は助成する、そうして輸送方法において改善をすべきところは思い切って改善をいたしまして、それらの面におきまして国民の需要に応ずる。また一面におきまして、私どもしろうとではよくわかりませんが、聞くところによりますと、家庭の小口貨物その他につきましては、やはり国鉄の輸送が非常に長距離においては安いということでございます。これを一ぺんに上げてしまうということも、これは国民の一般の生活、日常生活の点からいいましてどういうふうな影響を持つかということも勘案をいたしまして、今回この程度が適当であろうということで運賃改定を貨物についてもお願いをすると、こういう次第でございます。
  67. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) 国鉄からお答え申し上げます。  いま運輸大臣がるるお述べになりました点に尽きるわけでございますが、国鉄自体といたしましても、国鉄の輸送制度の中で特に貨物輸送が立ちおくれていることを従来から痛感いたしておるわけでございまして、それにつきまして及ばずながら、遅々としてはおりますが、改善につとめておるわけでございます。どういうふうにおくれているかはたびたびの機会で申し上げておりますので、重複して申し上げることは差し控えますが、一言で言えば、明治初年にできました貨物輸送制度がそのまま依然として続いているというところに最大の原因があると考えております。そのために、貨物輸送の改善ということで、いまも運輸大臣が申されましたように、貨物駅の集約、まあ大体五キロないし六キロごとの、昔からの荷牛馬車を対象とした貨物駅を集約して、近代的な貨物駅を相当の距離間に配置するというようなこと、それから、その新しくできました拠点駅は徹底的に近代的な設備にするとか、あるいは貨物列車そのものの輸送体系を整備するというようなこと、それから通運事業との連係をとって、いわゆる協同輸送体系を、狭い意味の総合交通体系、貨物総合交通体系の中で実現していくというようなことを考えて、これから実施しようとしているわけでございます。いまお願いしております再建措置法がお認め願えますならば、破産状態であるという国鉄の体質が一応改善されまして、われわれとしてはその上に立って、従来の再建計画では大体三兆七千億円程度の、これはほかの設備投資も含まれておりますが、計画をもってスタートしておりましたが、今後は四十七年から十年間、大体七兆円程度の規模、その中で貨物関係といたしましては、大体一兆五、六千億円程度というような設備投資でいま申し上げました近代化に進んでいくつもりでおります。
  68. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 貨物駅にしても、集約輸送という形でもってどんどんどんどん減らされていっているわけです。そうすると、まあ大口の大企業、大口の荷主のほうは駅間の距離が多少ふえても、実際はトラックでもって大量に運ぶという形態をとっているから、あまり痛くもかゆくもないかもしれない。しかし、小口の関係は、やたらと駅を減らされるということによって、それだけ不便をこうむるということも出てくるのじゃないかという心配があるわけです。  それから、たとえば車扱い貨物の賃率表等を見ましても——旅客の場合は一キロ五円十銭だといってみても、運賃にした場合は端数はついていないわけですよね。ところが、貨物の賃率表を見ますと、五百九十九円だとかあるいは七百十六円だとか、キロ当たりの等級別の賃率ではみんな端数がついているわけです。旅客の関係だったら切り上げてしまうわけでしょう大体、八円だの三円だのというのはなくて。ところが、貨物のほうは、こういう点まで厳密に刻んでいるわけですよ。こういうことだけ見て貨物のほうが旅客運賃より甘いと言うわけじゃありませんけれども、しかし、万事、貨物運賃に対しては出血状態が多いのではないかということが言えるわけです。  そこで、ただ考えられるのは、国民生活にとってどうしても必需品である農林関係、水産物関係、農産物関係ですね、農産物とか、あるいは水産物とか、あるいは果実とか、こういう日常の必需物資を運ぶ運賃というものは、あまり一般の消費物価にはね返るということが考えられるので、やはり低いほうが望ましいわけです。しかし、こういう面で赤字を出して、それが全部国鉄の負担になるということは、これまた不合理なような気がするのです。だから、むしろこういう面でこそ政府が財政上の支出をする、つまり、これも公共負担だと思うのです。公共負担の一種だと思う。こういう公共負担に対しては政府のほうで助成をする、国鉄に出血をしょわさないという処置をもっと積極的にやるべきじゃないかと思うのです。その点はどうでしょうか。
  69. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 私もそのとおり思う次第でございます。その一例といたしまして農産物資、これが価格に及ぼす影響、生活費に及ぼす影響というようなことは、これは価格政策全体から考えて  たく問題でございまして、ことに赤字に悩んでおります国鉄にしわ寄せをするということは、絶対にこれはもう現時点においては避けてもらわなくちゃいけないと思っている次第でございます。  ちなみに通学通勤の問題でございますが、今回は私ども案を出しまして、特に一番個人負担に大きく影響を及ぼします通学定期につきましては、公共負担の是正はことしは行なわない、こういうことにいたした次第でございます。これらの問題、これはやはり文教政策のたてまえからいたしまして、そういったような問題を考えてもらわなくちゃならないというふうに私は思っております。来年からの問題につきましては、ひとつ文部大臣も考えてもらわなきゃならないということを、すでに私から申し入れている次第であります。いま先生がおっしゃったように、それぞれのところによって考えてもらわなくちゃならない。今日、一番赤字に悩んでおります国鉄自体がこれらのものを負担するということは、私もその点は先生と同じでございまして、それらを、いろいろ、ところところの政策に応じて考えてもらわなくちゃならないと、私は考えている次第であります。
  70. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) 貨物運賃の公共負担の是正の問題、瀬谷先生から御指摘ございましたけれども、これにつきましては、昭和二十八年ごろから、毎年毎年約五十億の負担があったわけでございますけれども、先ほど運輸大臣から御答弁ございましたように、そのうちの半分は昨年の十月からこれを廃止する、そして残りの半分はことしの十月から廃止する、このような措置がとられておりまして、それによって一般生活物資のほうに影響があり、非常に問題があるということであれば、それは国において措置をしていただく、このようなふうに進んでおるという次第でございます。
  71. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ公共負担の問題、貨物運賃だけじゃなくて、公共負担全般について大臣からお答えがあったのですが、たとえば農産物の場合とか、あるいは通学定期の問題とか、いろいろな面でやむを得ない公共負担というものはあると思うのです。それらの公共負担がまるまる国鉄自身の負担になっておるということは、これは間違いだと思うのです。だから、たとえば通学定期の場合は、それは文部省の予算の中から、同じ国の予算ではあるけれども文部省の予算の中から国鉄の会計の中に入れるとか、あるいは農産物の場合は農林省の予算から入れるとか、こういう方法でもって、勘定は勘定なんだから、これは同じ国家予算の中だから、そんなものはどうでもいいといえばそれまでだけれども、しかし、国鉄だけが全部それをしょい込むという形は——独立採算制というたてまえをはずせば別なんです。独立採算制というたてまえをはずさない以上は、それらの公共負担は、それぞれの対応機関において負担をするというのが正しい方法じゃないですか。そうしないと、独立採算制なんということは、これは実行不可能になるのですね。今後の問題としては当然、私は、そういう勘定は勘定だということではっきりさせていくべきじゃないかという気がするんですが、その点はどうでしょう。
  72. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 私もそのとおり考えているのでございまして、ぜひ将来はそういうふうにやってもらわなくちゃ困る。ただ、物価政策全体から申しまして、今回、具体的に申しまして公共負担の是正をする、ことに貨物においてこの十月にする、そうすると農産物資でもってやはり相当高くなり、生活費に影響が及ぶじゃないかというようなことでございますが、これは私はやはり流通面の改善ということが——たとえば先ほども、青物市場の秋葉原の例が出ましたが、そういった方面のほうがむしろ大きいと、私はほんとうに正直に申して思う次第であります。すでに専門の先生でございますから御承知でございましょうが、たとえていいますると、むつ小川原から直通でリンゴを送る、スターキングという一個百円ぐらいのものが、今度上がることによって一円しか上がらない。しかも、いい、新鮮なリンゴを送れば、その一円ぐらいのものはどうかという、こういう問題がある。これはむしろ新鮮ないいものを送ればいい値で売れる。いろいろの問題が起こってくる。そういった面を度外視いたしまして、そして国鉄のいろいろの負担にばかりくるということは、これは私は、やはり改めるべきところは改めなくちゃならないと思っておる次第でございます。ちなみに、御承知のとおり、いま国鉄の公共負担で、国鉄自身、国の予算としているのが、たしか傷痍軍人の二億円でございますか、それだけが出ている、こういうことだけでございます。将来はひとついろいろと御協力をいただきたい、そういう方面におきましてもはっきりするところははっきりしてもらいたい、こういうふうに私は思います。
  73. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それから、この赤字の要因として、貨物輸送のあり方のほかに利息の問題があると思うんですね。この利子補給ということが今回もいろいろ出ておりますけれども、たとえば孫利子といったようなことは、ずいぶんこれはやり方としてはこそくな手段のような気がするんです。これは本来ならば、国鉄の赤字の問題は債務支払い利子ということが一番大きな比重を占めているんですから、これは極論すれば、借金を全部たな上げしてしまうということができれば、これは一切問題は解決しちゃうわけです。そのたな上げができないで細々と利子補給をやる、中には孫利子だなんて、こんなことをやらきゃならぬ。やり方としてはまことにこそくな手段のような気がするわけですが、なぜもっと思い切った、赤字の一番の原因となっている国鉄の債務を一挙に整理することかできないのかということについて質問をしたいと思います。
  74. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 確かに御指摘のように、孫利子というものは私もこそくな問題だと、こう思う次第でございます。しかし、いま私どもの政府管掌債務、並びに今度拡大をいたしました政府保証債、この二で約二兆、そうすると利子全体で千百十八億もかかる、こういうことでございます。いまの財政規模からいたしまして、千百十八億、本年度それを全部利子に補給したほうがいいか、出資金その他工事費補助にやったらいいか、いろいろ議論がある。これを孫利子にいたしますと、千百十八億を再建債といたしまして財投のほうにお願いをいたしまして、それで実際の政府の財政支出としては百六億になる、これも十年間続ける。その間のお金というものはもっと積極的なサービスのほうに使える、いろいろな人件費その他の問題に使える、こういうような問題もございますので、いまの財政規模といたしましては、やはりこの孫利子方式をとることが現時点におきましてはやむを得ぬことじゃないかと、こう思っておる次第でございます。これによりまして、この形式をずっと続けまして、少なくても十年間はいわゆる二兆の債務というものはたな上げをする。私どもも主張しております、先生方からも御主張をいただきましたたな上げ方式は、これは十年間たな上げ方式、これをもって確実に実現できる、こういうことになっている次第でございまして、これはやむを得ざる措置と、私はかように考えておる次第でございます。
  75. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 国鉄というのは政府の鉄道なんですからね、政府と別の民間団体じゃないわけです。したがって、政府からの借り入れ金の支払い利子なんというものを全額たな上げしてみたところでちっともおかしくない。筋は通るんですね。だから、政府の支払い利子をたな上げするとか、さらにまた民間からの借り入れ金の利率を下げるとか、そういうようなことが行なわれないと、一口で言えば借金で首が回らなくなっている状態なんです。その借金というのも、国鉄自身が設備投資で使った金なんですから、これも考えてみれば、本来ならば政府が投資をすべき金だったと思うんです。政府が投資をすべき金を国鉄に肩がわりをさせる、あるいは立てかえ払いをさせておいて、利息のほうは高い利息を取り上げていく、その利息で国鉄自身が動きがとれなくなる、赤字が累積をすると、こういうのは政府機関の運営のしかたとしてはまことに芸のない話だと思うんですね。こういうことをやっている限りにおいては、赤字というのはいつまでたったってこれは解消しないと思う。今回の運賃の値上げによって得るところのものはたかだか千七百億。しかし国鉄の資産なり累積赤字というものを考えてみると、こういう手当ては焼け石に水だという気がするんです。したがって問題は、根本的にそういうところにメスを入れる必要があると思うんでありますが、いまの運輸大臣のお話だと、やむを得ざる措置ということで片づけられてしまう。しかし、やむを得ざる措置だけでは片づかない問題もまだあると思う。たとえば市町村納付金の問題がある。市町村納付金というのは、これは最近になってできた。最近でもないでしょうが、わりあいと最近なんでしょうね。かつては、こういう制度はなかったんじゃないかという気がするんですが、一体いつから、何の必要があって市町村納付金ということをやるようになったのか、これは今後継続をしなければならないことなのかどうなのか、その点をお伺いしたいと思います。
  76. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) この点は、私も納付金の問題につきましての前のいきさつはあまりよく、詳しくは存じない次第でございますが、ただ聞くところによりますると、やはり地方の固定資産税に見合う金をと、こういうことできめた、国鉄財政の豊かなときにきめたというふうに私は承知している次第でございます。ただいま御指摘がございましたように、これにつきましては、国鉄自体の施設につきましていろいろ経費の問題もある、いままたその当時と違いまして経営も非常に苦しくなっている、一面におきまして国鉄の施設によりまして地方利益というものは非常に開発をされるということによりまして、やはり納付金というものを廃止すべきではないかということが行なわれまして、再三、この一、二年来、納付金制度の廃止ということにつきましては運輸関係と地方財政関係の者と非常にいろいろと煮詰めてきた次第でございますが、まだその結論を得ないというところでございます。私はやっぱり、いま先生がおっしゃったように、将来におきましては、地方の開発利益その他を考えますると、これらの制度につきましては、やはり数年になりますか十年ぐらいになりますか、以前の状態に返すことが望ましい、こういうふうに思っている次第でございます。その方向で運輸省としては折衝をこれからも強力に進めてまいりたい、こういうふうに思っている次第でございます。
  77. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 以前の状態に返すということの意味は、これは市町村納付金というものはやめてしまうということなんですか。
  78. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) やめるように折衝したいと、こういうふうに思っている次第でございます。
  79. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 それはさっぱりした話なんですけれどもね、たいへんに。しかし、まあなかなかそうもいかないんじゃないかという気がするんですよ、もらう側にしてみれば。そこで、性格からいうと、市町村納付金というのは、もし存続の必要があれば、これはやはり国でもって肩がわりするほうが自然じゃないかという気がするんですね。場所によっちゃ、赤字線区であっても鉄道が通ってさえすれば市町村納付金がもらえるというところがあるんじゃないかという気がするのです。だから鉄道線路はあまり役に立たないけれども納付金があるからなんていうところが出てきはしないかという気もするのですが、そういう面はないかどうか、どうなんでしょうか。
  80. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 私の申しましたのは、やはり国の地方の財源の再配分の問題を含めてこれは論議をしなければいかぬ問題だろうと——ただいま先生おっしゃったとおりでございまして、いままでもらっている市町村、これは非常に財源が不足になるという問題もございます。やはり国と地方の財源再配分を含めましてやるべきでございますが、少なくとも国鉄経営の監督責任者といたしましては、それまでなかった、そういう十年前でございますか、なかったものを、当時裕福であったときに一ぺんきまっちゃったから取られる、だから絶対もうだめだということは、これは実際の現実の問題としては非常にむずかしい問題でございます。私どもとしては、そういう点は何らかの財源再配分の問題も考えつつ、そしてやはりそういったような国鉄に対する過重負担、これはのけてもらう必要がある、かように考えております。
  81. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 市町村納付金の問題は、理屈からいってもどうも合わないような気がするのですね。なぜこの市町村納付金を納めなければならぬか。鉄道が営利事業としてそれぞれ市町村に線を敷いているというわけじゃないと思うのですね。これは営利事業じゃなくて公共事業という性格でもって、線路なりあるいはいろんな鉄道の設備があるわけでしょう。それに対して金を払う。国が払うのじゃなくて、国鉄が、国鉄の独立採算制の中でこの市町村納付金というものを自治体に払うということは、どうも理屈が通らないような気がするのです。だから、こういう理屈の通らないことは、先ほど大臣が言うように、さっぱりとやめてしまうということができれば、それはそれでいいんですけれども、しかし、そうはいかないとすれば、これは当然、国のほうで負担をするという形にするほうが筋は通るのじゃないかという気がするのですが、その点はどうでしょうか。
  82. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) これはさっきからいろいろ利子の問題もお話ございましたが、これはいろいろ出資その他助成、これも当然の問題でございますが、いま私は国鉄の仕事、設備投資、それに対してある程度の利子を払う——道路といたしますと、高速道路と同じような考え方に立つことが、いま、現時点としてやはりある程度必要なのではないかと、こういうふうに思う次第でございまして、やはり地方が固定資産税を取る場合におきましても、少なくとも高速道路なみにはしなければいけない、それ以上であってはならない、こういうふうに思っている次第でございます。そういう点で、国鉄の施設というものがやはり地方の開発にも強い影響力を持っている次第でございまして、それゆえに、まあ地方といたしましても、それについてのある程度の寄与も必要じゃないか。しかし、その寄与の財源というものはどこから出すか、こういうふうな問題で、国鉄自体はそれだけ寄与をしておるわけだから、地方に対しては、そういったことについて普通の一般の営利事業と同じような固定資産税を払う必要はないと、こういうふうに理屈はなると思います。
  83. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 赤字の原因というものを考えてみますと、それは貨物運賃等は原価と比較をして安過ぎるというのもあったかもしれないし、不景気ということもあったかもしれない、一つの見込み違いということもあったかもしれませんけれども構造的に赤字にならざるを得ないような要因というものを排除しなければ、国鉄は絶対に財政上の再建はできない。単にその場しのぎの、運賃を何年かに一回ずつ上げていくという程度では、これは問題の解決にはならないという気がするのです。そこで、本来ならば国鉄が支弁すべきでないようなものは、この機会に片っ端から切っていくということのほうが、まず、いろいろな冗費の節約などということを言う前に大きな問題だと思いますね。それができないということは、それだけ財政の再建がおくれるということになるんじゃないでしょうか。われわれだって単に運賃値上げ反対ということを言っているだけでは事は片づかないと思うから、もっともっと運賃値上げ以外に国鉄が支払わなくてもいいものがありはしないかということで、いろいろ目をつけているわけです。矛盾した問題としては、債務の利払いの問題借金の利子の問題があります。これなんかも確かに不合理だし、一日に四億も五億も借金の利息を払うなんてばかなことをやっておったのでは、とても普通の企業では成り立たない。それから市町村納付金のような問題も、これは当然考えてしかるべきことではないかと思うのですね。これらのことを考えてみますと、もっと政府として、たとえば先ほどの公共負担におけるように、別の面でもって勘定は勘定として払うべきものがある。それらの点を整理をしてみると、必ずしもこの運賃の値上げのみに依存する必要はない、こういう気がするのです。どうしても、あらゆる手を尽くしてなおかつ収支のつじつまが合わないということになったとき、運賃の問題に手をつけるのが順序ではないかという気がするのです。ところが、そういう順序がどうも狂っているような気がします。市町村納付金なんかの問題は、私はこの機会に——毎年毎年同じように、当然のことのように支払ってきておりますけれども、これは来年からやめる、こういうふうに考え方を改める必要がありはしないか。計画を見ると、ずっとこれからも毎年支払うようになってきておる。市町村納付金なり利息の払いのほうはちっとも減らない、ふえる一方です。こういう永続的な負債というものを残しておくということは、われわれとしても納得しがたいのですね。ことしはともかくとして来年からやめるといったようなことがあれば、まだ納得できるわけです。そういう点の決断が政府として下し得ないものかどうか、その点をお伺いしたいのです。
  84. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 先生の御指摘の点は、私もぜひそういうふうにしたい、望ましいと思っている次第でございます。現時点ではまだその結論が出されていないのですけれども、やっておる次第であります。また輸送サービスの増強のために線路の増強、拡張が行なわれてまいります。いまの形式でございますると、一応そういったようなことになっております。私は、これは将来の課題といたしまして、先生方と一緒になりまして、これらの点につきまして国鉄財政の再建の一助としてぜひ解決をしてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。  ただ利子の問題でありまするが、私鉄では御承知のとおり、みな借入金でやっております。また資本金、これは大体八分から一割の配当を払うということで経営が成り立っておる。これは利子もあります。国鉄は、出資金に対してはもちろん配当も利子もない、これは当然のことであります。無利子である。したがいまして、今回は、私どもといたしましても初年度において六百十六億、十年間に一兆というものをひとつ出資するということを一応約束した次第でございます。ただ都市間の交通、ことに非常に交通空間が狭隘でございまして、その取得が困難で工事費も非常にかかる。地下鉄におきましては、国と地方が施設におきまして御承知のとおり半分は助成をしておりす。それらの方法は、将来におきましてやはり国鉄におきましてもとっていかなければならない問題かとも考えておる次第でございます。それらは将来の問題としてぜひとも私どもも勘案してまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  85. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 衆議院の議事録の中で村木参考人は、赤字についても問題があって、見せかけの赤字、こういうことを指摘をしております。要するに逆粉飾の決算をやっておって、修繕費と、減価償却費による利益操作によるものが非常に大きいこの赤字というものは本来帳消しになってしかるべき性質のものであるし、減価償却費についても誇大じゃないかという指摘があるわけであります。この修繕費と減価償却費の問題と、それから提案説明の中に特に強調しているベースアップ等による人件費の大幅な上昇ということでありますけれども、人件費が大幅に上昇をしておるといましても、これは世間相場以上の人件費であれば大幅な上昇ということを一つの赤字の要因の中につけ加えてもしかたがないかもしれないけれども、そうでないとするならば、仲裁裁定といったような一つ結論として志向しているのであれば、特に他の私鉄に比較をし、あるいは他の公社に比較をしてベースアップの上げ幅が高いということにはならぬと思うのです。それを何か特別に赤字の大きな要因であるかのように言っておるということは、これは問題がある。その点は一体どういうことなんでしょうか。人件費というものは、これはもうやむを得ないことなんです。これはなければ人が集まらないんです。人を集めるためには世間並みの人件費というものも、あるいは世間並みのベースアップということ、これまた当然のことなんです。これらの点について、何か特に赤字の誇張の起因になっているようにも見受けられるんですが、その点はどうなのか、お伺いしたい。
  86. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 確かに先生の御指摘のとおりでございます。人件費は普通の何と申しますか、公社同様に、裁定によりましてきまった次第でございまして、これは当然のことでございます。ことに労働集約型の企業でございますので、職員によってこの大切な仕事を運用してまいりますために人並みの人件費のアップということは当然でございます。しかし、当初の四十四年度見積もりが大体九%に押えた、そこにやはり矛盾が出ている。その見込み違いのことを言っている。また償却費につきましては、一般の民間企業また他の二公社の償却費の割合より上回っている事態ではございません。他の一般の民間の償却費というものと比べて大体妥当なものと思う次第でございます。それによりまして過大評価ということは全然ないと思う次第でございます。具体的な数字は、国鉄当局に私もその点は確かめてみましたが、そういう点はないとはっきりと申し上げられます。
  87. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 総裁に今度はお伺いしたいのですけれども、機構の問題なんです。国鉄の機構の問題、昨日の新聞等では機構改革等も手がけるかのように出ておりましたけれども、いまの、たとえば国鉄の機構、管理局の区域などというものは若干変わったところもありますけれども、占領中にきめられた区域になっていると思うのですね。占領軍の占領中に、向こうの連中の思いつきでもって圧力をかけられて適当にきめられたというものを今日に至るまで直さないでおく必要はない。沖繩だって返ってきたんですから、その沖繩が返ってきたという御時世に、なお占領中の管理局の区域を守る義理はなかろうという気がするんです。そこで、もし機構改革をするならば、管理局の区域等についても現状に即応できるような区域の改正を行なう必要があるんじゃないか。一つの県に管理局が三つも四つも、それも管理局の中心があるのじゃなくて、管理局の手やしっぽのほうが三つも四つも入ってきている。こういうふうなのはこれは県として困ると思う。そういうところにはやはり管理局の代行機関というものを設けるということでないと、地方自治体と国鉄との連絡をつけるのにまずいと思う。そういう例がたくさんあると思うのです。たとえば山梨県とか埼玉県とか、こういうところば管理局がありません。ないだけじゃなくて、管理局が二つも三つもあって、県のほうでは、問題によってはあちらの管理局に行き、こちらの管理局に行くというように陳情先も変えなければならない。ああいう状態は非常に不便だと思う。何も各県別に管理局をつくらなければならないということを言っているわけではないけれども、少なくともいまのような実態にそぐわないような管理局の区域というものは、これは検討されてしかるべきではないか。  それから、それぞれの県別に国鉄の窓口というものがないと不便な思いをすることが多いわけです。しかし現状では駐在運輸長などという制度がある。これはどうもそういう役割りを果たしていないのですね。全然そういう機能も持っていない。そうすると、何のために存在しているのか。とにかく人事の一つのたまり場みたいになっている。ああいうことはやはり解せないわけです。それから公安官制度にしても、本来ならば国鉄の人件費でなくて運輸省の人件費でまかなってもいいんじゃないかという感じがするわけです。これらの問題を考えてみると、現状の機構の中には検討すべき問題が相当あるのではないかという気がいたしますが、総裁としてはどのようにお考えになっておりますか。
  88. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄の機構はもうできましてから百年、いろいろ変遷がございますけれども、ことに一番大きかったのは占領後の変遷だと思います。いま先生の御指摘の数点の中で一番大きな問題である管理局の問題でございます。これは昭和二十五年におおむねいまの形になったわけでございます。管理局の所管区域とそれから行政区画が非常に入り乱れているということは事実でございます。いま例をあげられた埼玉県、山梨県あるいは山口県、山形県というところなどはことにその顕著なところでございます。その後、若干の手直しはしたのでございますけれども、やはり本格的には、北海道、九州は一応別といたしまして、本州は、やるなら一緒に全部やらないと非常に困るということでいろいろ研究はしているのでございますけれども、若干の経費もかかるし、いろいろな面に、ことに通信設備その他について相当経費がかかるということで、まず管理局をいまよりもふやしたくないということが一つ。しかし、ふやさない以上、なるべく行政区画に合わしたいけれども、何かの時期にやらなければいけないと思っておりますけれども、なかなか時期がつかめないので困っているわけです。しかし地元から見える方々からお話を伺いますと、いまおっしゃったように非常に不便で困るということもございまして、なるべくそういうことのないように 管理局のほうで積極的にお話を伺うようなチャンスもつくれと言っておりますけれども、どうもやはり役所がないと不便だというお話もございます。私どもといたしましては、最小限、私どものほうの業務の運営に非常に支障がないところにつきましては、極力、行政区画に合わせるような方向で案を実はつくっておりますけれども、いろいろな事情で簡単にできないのが非常に残念でございます。これは何らかの機会にやらなければならないことだというふうに思っております。多少の出費を伴うことはやむを得ないと思いますが、定着して二十年になりますので、非常にそういう問題があることを存じながら、なかなかその所管区域に手をつけかねているという現状でございます。まあ電電公社なんかは完全に府県単位でやっておりますので非常に便利でございますが、私のほうは大体、線区別にやっておりますものですから、管理局の所管区域と行政区画と非常に違う、こういう事情でございますので、私も何らかの機会に直さなければいけないと思っておりますけれども、結局一ヵ所直しますと全国全部直さなきゃいかぬということになりますので、その点を実はまだ決しかねているような現状でございますが、ことに管理局のない、しかも数管理局に分かれている府県の方々に御迷惑をかけていることは非常に私はよく存じているつもりでございまして、何らかの機会に調整しなきゃならぬという気持ちは持っております。いま、いつということはちょっと申し上げられませんが、非常に御迷惑をかけておることはよく存じております。  また、その他の全般の組織にいたしましても、先般申しましたとおり、総体の人数といたしまして、全体の管理部門を半減という相当思い切った案でございますが、半分に減らしたいという、五十六年度までに、相当思い切った案でもって進んでいきたいと思いますが、これがはたしてほんとうに半減できるかどうかは別といたしましても、すでに四十四年にこういう問題が起こりましたあと、支社を全部廃止いたしまして、約千人の人間を浮かしたりいたしておりますので、ことに管理部門につきましては極力合理的な人員配置に変えたい。そして機械化、近代化によって人を浮かしてまいりたいということでございまして、私は今後、国鉄の数字にあらわれない近代化、合理化をするためには、やはり組織問題等を優先に取り上げるべき問題の一つとして考えなければならないというふうに思っている次第でございます。
  89. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 たとえばダイヤ改正等については管理局が相当大きな役割りを果たすわけです。ところが、地域住民の要望というものが管理局へなまにぶつからぬような仕組みになっておるところがある。福島県なんかもそうですけれども、福島県にしても山形にしても、それから関東では山梨、埼玉といったようなところは、いずれも管理局がない。しかしダイヤ改正を行なう場合は、その中心になってやるところは管理局だということになると、管理局の所在地でない、はずれたところは、どうも直接声が届かないといったような問題が出てまいります。これは私自身が体験をしたことなんですけれども、いろんな問題で地元の市町村長が陳情に行こうとする。駅長は、私のところではわからないから管理局へ行ってくれと、こう言う。管理局へ行ってみても、その線区が二つにまたがっているような場所では、あっちへ行ってくれ、こっちへ行ってくれという話になる。ここのところは、地域はここの管理局だけれども、走っている車は向こうの管理局だ、こんな話が出てくる。非常にやりにくくなってくる。だから、そういうことを考えると、管理局の区域というものは実情に合わせる必要があると思うし、実情に合わせて管理局が存在をし、その組織が存在をしないと、実情に合った仕事もできないということになってくると思うのですね。そういう点は、これは単なる口先だけのサービスではなくて、実際の仕事を運営する面で相当重要な問題だろうというふうに私は思うので、これはやはり占領中の区域をそのままいつまでも踏襲するということではなくて、  一ぺんにでなくとも、徐々に改革をするということのほうが、私は仕事をやる上で合理的になるのじゃないかという気がするのですがね。何も管理局を減らすばかりが能じゃないと思うのです。これは人間を減らすことが合理化だというふうな考え方は、私は間違いだと思うのですね。人間を減らしたって費用はふえるというのじゃ何にもならぬ。今日までの国鉄の合理化の中には、人間は減らしました、しかし費用は別に減っておりません、こういう例があるでしょう。これは指摘できると思うのです。いままでの衆議院の議事録の中にも、そういう指摘がありました。しかし、それは意味がないのですね。人間だけ減らして、サービスダウンして、そして合理化しましたという見せかけの合理化は、これは間違いだと思う。だから、見せかけの合理化ではなくて、ほんとうに利用者のための親切な運営をするということに徹するのが本来のあり方だと思うのですね。そういう点、どうも合理化の方向というのが解せないような気がする。だれのための合理化かということになる。そういう点、やはりあくまでも利用者本位に考えて、その国鉄の機構もそれに合わせるということがあってしかるべきだと思うのですが、どうですか。
  90. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 確かに国鉄そのものは利用者がなければ成り立たない企業でございますので、国鉄全体のかまえとして利用者のほうを向いていなければならないことは、これは当然のことだと思います。しかし同時に、国鉄法の第一条にございますように、やはり企業を能率的に運営しなければならないという意味で、能率的に運営するということも考えなければいけない。そういう意味で機構の問題というのは、その両方の接点にある問題だというように私は考えます。したがいまして、私は別に占領軍の管理局組織に何ら執着を持っているものではありませんが、組織はあまり始終変えますと、やはりそのためにいろいろな反作用が起きるということで、一たん変えたならば、せめて二十年、三十年変えないで済むくらいの組織、ことに所管区域などは統一しませんと人心の動揺も来たすというようなことも考えなければいけないと思います。しかし常にやはり全体としては流動的に考えなければいけない。そうしてやはり利用者に極力便利なように、わかりやすい組織でなければならないと思います。国鉄のような一般の国民大衆に接する組織である以上、そういう考え方でもって、百年たった組織を振り返り、今後の新しい線路に向かっての新しい組織を考える必要があろうというように考えますし、その点は全く先生と同感でございます。
  91. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 赤字の問題と組織の問題で触れましたが、きのうもちょっと触れたサービスの改善の問題があるのですが、これを具体的に実行する一つの手だてとしてダイヤ改正——三月十五日のダイヤ改正というのは全般的にあまり評判がよくなかった。もちろん部分的には便利になったというところもあったでしょうけれども、全体的にはあまり評判はよくない。というのは、特にローカル線では列車を減らされた。最終列車の時刻が繰り上がったり、接続が悪くなったりという事例がたくさん出てきたわけです。そこで、だからこそ北海道なんかでは手直しのダイヤをまたつくるというようなことになった。大体何ヵ月もたたないうちに手直しダイヤをつくらなければならないということは、初めから無理があったということになるんで、こういう無理がどこからきているかというと、結局は、何とかして要員を減らそうという考え方に立ってダイヤを組むのでこういう結果が出てくるというように考えざるを得ない、これは何と言おうと。だから、われわれが再三問題にしております、今回の計画の骨子になっておりますところの、要綱の中の十一万人削減ということがサービスの改善ということと結びつき得るのかどうか、私はそれは結びつかないと思う。サービスを改善しようとすれば、よけい輸送力もふやさなければならぬ。きのうから何回もいろいろなことで質疑をしておりますけれども武蔵野線をつくるにしても、あるいは新幹線をつくるにしても、あるいはまた東京駅の地下鉄、横須賀線の乗り入れ、どれをとってみても、必ずある程度の要員を必要とするものばかりです。もちろん機械化によってその要員の節約をするということは可能でしょうけれども、これだけ膨大な輸送力増強計画、それから新線の建設ということを考えてみると、人間を減らしても間に合うというように考えられない。  そこで、これからダイヤ改正を行なうにあたっても、やはり利用者の便利を考えて、特に都市周辺ではダイヤを再検討する必要があると思うのです。それはこれまで何回も指摘をしてまいりましたけれども、たとえば特急と比べて急行のほうが速かったり、あるいはまた急行と比べて各駅停車が着く時間が同じであったり、こういう点があるのです。時刻表の中に、検討してみますと、こういう矛盾した問題がたくさんあります。だから、急行が急行料金を取る以上は、各駅停車よりは速くなけりゃいけない。急いで行くと書いた急行がちっとも急いでないと、こういうのじゃしようがない。特急が急行よりのろいというのはもってのほかですよ。こういう多くの矛盾点というものを一つ一つ解決をしていくという必要があると思うんでありますけれども、私はひとつこれを具体的に聞きたいんですけれども、いま東京周辺通勤時間帯に急行なり特急がはさみ込まれているダイヤがあるわけです。これは東北線にもあるし、上越線にもある。そういうところは通勤電車が途中でもって、まだ満員のお客を乗っけたまんま何分も待機しなきゃならぬ。特に特急が二本も続けて出る場合には、二本の特急をやり過ごさなければ発車できないような筋になってるんです。こういうのは、やはり利用者のことを考えれば、改善しなきゃならぬと思うんです。そういう特急を通勤の時間帯をはずして設けるということのほうが私は通勤者に対する親切だと思うんです。特急自身は若干その時間帯をはずしてみたところでそんなに利用者にとって大きな不便ということにはならぬと思うんです。そういう意味の配慮というものが行なわれないものかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  92. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その問題は私のほうの実は輸送サービスの根本問題でございます。御承知のとおり、東海道新幹線ができる前は、大阪−東京間の夜行急行あるいは大阪−東京間の特急は全部通勤時間帯に割り込んでいたわけです。したがって、一番いい時間帯の八時半から九時前後にたくさん急行が走っておりました。それを新幹線ができたおかげで全部やめまして、現在では朝七時半から朝九時半までは、東京駅には急行は一本も発着していない。全部通勤列車だけである。これができましたのは、東海道新幹線ができまして、そしてそちらへ全部急行、特急を移したおかげでやりとそういうことができたわけでございます。したがって、根本的に、いまの問題は、たとえば高崎、上越東北等に適用いたしますれば、新幹線ができて、そしていまの急行、特急群を現在線から追っ払うことができますれば、東海道と同じようなことができます。したがって、その目安はついたわけでございますが、それまでの問題といたしまして、結局、地方から東京に来る方も、やはり朝の会議に間に合わしたい、あるいは朝の十時ころまでに着きたい、九時半に着きたい、こういう地方の方の御意向を無視するわけにはまいりません。地方から来るのは朝早くてもいいんだというわけにもまいりません。やはり地方から来る方も、あるいは近郊から通勤する方もなるべくいい時間帯に東京に入れるようにするのがダイヤ作成のポイントだというふうに考えております。  したがって、今度はずいぶん思い切ってやりましたけれども、ある百キロぐらいの地点から全部ネットのダイヤにしまして、一切追い越しなし、そして、そのかわり特急も急行も普通列車も同じ時間で走る。たとえば高崎−東京間を同じ時間で走る。そうすると、追い越しその他がなくなるわけでございます。そういうネットダイヤを相当今回つくりました。しかし、やはり相当な無理がございます。いまおっしゃったように、大阪−東京間特急に乗っても普通列車に乗っても同じじゃないか、こういうクレームがすぐつきます。したがって、そういうことを一面、頭に置きながら、やはり輸送力のない、輸送力の逼迫した東京、大阪近郊の主要幹線にありましては、ある程度特急、急行群が先行するけれども、できるだけネットダイヤにして追い越しをなくするというふうな方向で、この三月十五日にもちろんダイヤ改正もしたわけでございますけれども、まだいろいろな事情でできていないところもございます。しかし方向といたしましては、もう東京、大阪付近に来れば全部ネットダイヤで、一時間ぐらいの距離のところは特急も普通も急行も全部同じ時間である。そうすれば待つこともなしに、また全体としては輸送力がふえる、こういうネットのダイヤに持っていく。そうして新幹線ができれば特急、急行は全部新幹線に追っ払ってしまって、そうして在来線通勤列車に当てる、こういうふうなことができると思います。したがって、それのワンステップとして今回思い切って相当なネットダイヤを組んだわけでございまして、その結果いろいろな御不便もかけておりますけれども、まあ現時点で新幹線ができるまではそういう方向以外にやむを得ないのではないかというふうに考えてダイヤをつくったわけでございます。
  93. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ほかの質問者もおりますので、もうそろそろまとめていかなければならぬと思うんでありますけれども、要するにサービス改善といってみたところで、結局口先だけのサービス改善ではいかぬと思うんですよ。そんなの全く必要ないと思うんですね。よく言われるんですけれども、旅客に対する応答がどうだとかこうだとかいうことがあります。もちろん、それは不親切な応答しちゃいかぬと思うんです。しかし、かといって何も無理やりおせじを言ったり、つくり笑いをしたりすることはサービスにならぬと思うんです。むしろそれよりも、国鉄自体の使命として利用者の便宜をはかるということを積極的にやるべきだろうと思うんです。それでないと、運賃の値上げということを何年かおきに出されてきても利用者は納得しないと思うんですね。  そこで、何回か指摘を今日までしてまいりましたけれども、たとえば急行列車なんかの場合は、全体でいうと、八両編成のところにまあ五百人ぐらいしか乗っていない、急行がですよ。ラッシュ通勤時間帯には三千人も詰め込んだ通勤電車を待たしておいて、それを追い抜いていくわけですよ。こういう事例は毎日あるわけですね。しかも、この通勤時間帯に割り込んでいるために、これはもうどうしようもないわけですな。そういう問題は通勤者から見れば何ともがまんのならないことだろうと思う。私も実際にそういう電車に乗り合わしてみて、通勤者の不満というものを耳にしたことがあるんです。だから、これは考えてみる必要があると思うんですよ。ただ場所によっては通勤の人が、そういう場合に急行を利用して、急行列車に乗ろうとすると定期じゃ乗れないでしょう。普通運賃をまた全額払わなければならない。これはもうばかばかしいということでやめちまうか、こっそり乗ったときは、車掌が検札に来たときに目をくらましてきせるをやろうとする、こういうことになっちゃうわけです。だから、そんなことでなくて、正々堂々と、そういう場合には、通勤時間帯に急行を突っ込んだ場合には通勤者にも急行に乗れるように制度上の改善をはかるという必要があろうと思うんです。また、あるいは通勤パスを持った人間が急行料金を払いさえすれば急行に乗れる、こういう制度にするか、一番思い切ったやり方とすれば、通勤時間帯における急行列車には通勤者が乗ってもかまわぬ、区間をきめて、こういうふうにすれば一番いいんです。どっちみち東京周辺じゃたいして時間に変わりはないんです。いま各駅停車の電車も急行も時間のかかり方は変わりはないんです。そういうことをやったらどうか、一つの英断として。あるいは一歩譲るとすれば、急行料金だけで急行に乗れるようにする、こういうぐらいのことは、何も国鉄が国会に法律案を出さなくったってできることじゃないかと思うんですね。そのくらいのサービスはくふうしてしかるべきだろうと思うんですが、国鉄当局として検討をする気持ちはないのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  94. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま御指摘の点でございますが、かねて御指摘を受けた問題でございます。基本的には、先ほど総裁から申し上げましたように、輸送力が十分でないということで、そのような状態が起こっておるわけでありますので、いま例として指摘されたような場合、すなわち特定な線区、特定な区間あるいは特定の時間等々を特定いたしましてそういうふうにすることが、急行列車お客さんのためにじゃまにならない、そのためにもいいし、それからまた通勤お客さんのためにも非常にプラスになる。こういうような場合には、前向きでそのことができるように、すなわち急行券を購入して、通勤定期でもってその区間を通勤として利用できる、このような扱いをいたしたいものであるということで、具体的な線区、具体的な区間、これらを国鉄といたしまして、地方に照会をして、目下検討しておる最中でございます。近いうちにその案を得まして、運輸省とも十分御相談の上、御指導を得て前向きに検討したいと、このように考えております。
  95. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣にちょっとお伺いしたいんですが、いま私が言ったことは別に法律の改正をしなくともできることじゃないかと思うんです。いままでのところは、急行へ通勤者が乗ろうとしても通勤定期じゃ乗れないわけです。運賃、は無効として——無効というわけではないけれども、その分に当たる運賃と急行券と両方払わなければいけないわけですね。こういう仕組みになっているわけです、現在のところ。しかし、時間帯によっては、通勤時間帯にどんどん急行が割り込んできているところが多いんですね。そうしたところでは、通勤者はあきらめて乗らないか、乗ったとすれば、正規の運賃をみんな取られるんじゃばかばかしいから、検札の目をのがれようとするか、どっちかですよ。そういう悪い根性を出させないためにも、堂々と急行列車に乗れるようにしたらいいじゃないかと思うんです。そのぐらいのことは国鉄が考えてもいいことじゃないかと思うんです。どうしてもそういうことを避けたいと思えば、急行列車、特急列車通勤時間帯からはずしてしまえばいい。それとまた、急行の性格も考えて、やたらと停車駅の多い急行、あるいは近距離の急行なんというものは、名前を準急というかっこうにして急行料金を取らない、もし取りたければ、その中に特別に座席料を取る車両を何両かはめ込んで、急ぎ賃ではなくてすわり賃として金を取る、こういう方法をとったほうがいいじゃないか、そのほうが合理的じゃないかと思うんです。これは私鉄なんかの例を見て私は感じたんですが、そういうことを国鉄としてやるということは一つの前進じゃないかという気がするんですけれども、その点はどうですか。
  96. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) ただいまの御指摘でございますが、それらの点につきましては、やはり企業合理化の一つとして、国鉄自身も、いま原岡理事から御答弁を申しましたが、一部これから実行しようということでございますし、また運賃改定を機会に、そういうような問題につきまして、国鉄自身でできる企業努力につきましては十分いたしまして、いろいろまたこれは具体的に技術的な問題も多々あろうかと思う次第でございますが、それらをできるだけお知恵を拝借し、また知恵もしぼり出しまして、利用者の御便宜をはかるように企業努力をすることはもう当然のことでございます。御趣旨の点につきましては私は賛成でございます。
  97. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 大臣治療だそうですから、どうぞ、けっこうです。  国鉄総裁に今度はお伺いしますが、こういう運賃値上げというような重要な問題を提起した際には、少なくともある程度の見返りというものも用意するのがほんとうじゃないかと思うんです。それがサービス面でのダイヤ改正というような問題であってもよろしいし、あるいは制度の変更でもって、たとえば急行に乗車できるといったような形であってもよろしいし、そういう何らかの見返りというものを用意するのが私は望ましいと思うんです。今回は、どうも前々回のように何の約束もないんですね。ただ上げるだけです。それで黙って銭を出せと、こういう形に、これは国民としては受け取れるわけです。これじゃなかなか、運賃法の問題にしたって、すなおな気持ちで納得しがたいという気がするんですが、そこでいま大臣からもお墨つきが出たというわけではありませんけれども国鉄でできる範囲のことはやるべきだという意見がありました。私は、これはそれこそ企業努力としてくふうしてしかるべきだと思うのです。利用者はあくまでただ乗りするのじゃないか、きせるをやるのじゃないか、そういう目でばっかり見ておりますと、どうしてもサービスはよくならない。それよりもむしろ思い切って急行にも乗れる、特急にも乗れる——乗れるといったって、ああいうものは各駅にとまるわけじゃないのだから、とまらない駅の利用者はどうも乗りようがないのだから、たかが知れているのです。そのくらいのことは私はやるべきだという気がいたします。  それと、たとえばダイヤの面にしても、途中の中間駅に待避させ、そのわきをどんどん急行が追い抜いていく、こういう形ではどうにも方法がないわけです。だから、各駅のとまるところには急行もとまるようにして、それから先の利用者が急行に乗りかえができるとか、そういう相互の乗りかえができるようなダイヤを組むとか、何らかの形でもって、私はダイヤ編成の際にも、そういう考慮をするのがほんとうじゃないかと思うのです。三月十五日のダイヤ改正は、運賃値上げをほんとうに国民に何とか認めてもらおうという意図があったとは思われない。何か運賃値上げの前にわざわざ意地の悪いダイヤ改正をやって、踏んだりけったりという印象を私は受けたのですけれども、このダイヤ改正の手直しという形で——これからいつになるかわかりませんけれども、ともかく利用者の足を確保するという形でダイヤの再改正をするというような気持ちはないのかどうか、そういうくふうはできないものかどうか、お伺いしたいと思います。
  98. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 三月十五日のダイヤ改正でたいへんおしかりを受けましたけれども、あのダイヤ改正につきましては、もちろんローカルではいろいろ問題があったことは聞いておりますが、ほとんど大部分手直しをいたしました。四月になりましてから、学校が始まる前後に、通学のことも考えました上で大体手直しをいたしたつもりでございますので、ローカルについてはそれほどいま問題は残っていないというふうに私は聞いております。しかし、なおそういう問題が皆無とは存じませんので、もちろん検討する必要はあると思います。  また、本線相互間の、本線上の乗りかえ等につきましても、急行の停車駅で急行から普通に、普通から急行に乗りかえやすくすると、また急行の停車駅がふえるというようなことにもなりますので、そういったことも考えました上でいろいろ検討しなければならない点もございますが、さしあたりいますぐここでもってダイヤ改正をするということは考えておりません。ダイヤ改正はそういういろいろな現場の作業がございまして、やはり相当前から事前に準備いたしませんと間に合いませんので、いま考えておりますのは、ことしの秋、大体十月一日に裏縦貫の秋田−新津間が全部電化完成を予定されておりますので、したがいまして、それを契機として、特に裏縦貫を中心としたダイヤ改正をいたしたいというふうに思っております。それまでにダイヤ改正を本格的にすることは、非常に仕事が繁雑になりますので、これを差し控えたいというふうに思っております。  また、いろいろ御忠告のありました具体的な問題につきましても、十分検討いたしますが、昨日も私申し上げましたが、今度の運賃改定の半分はベースアップ、四分の一は工事費というふうにはっきり申し上げました。大体使い道もはっきりいたしまして、今度の運賃値上げをお願いする際に、約七兆の金はこういうふうにして使うのだということを相当具体的に御説明したつもりではございましたけれども、なおその点についての御説明が足りず、ただ運賃を値上げをして、そうして何かに使ってしまうのだというような印象を国民に与えておるとすれば、これは非常に申しわけないことだと思います。今度の運賃改正と同時に、七兆というばく大な投資をして、そして輸送力という形で国民にお返しするということだけははっきりお約束できるというふうに思っている次第でございます。
  99. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運賃と料金の関係なんですけれども、きのうも私は具体的な例をあげまして、これはちょっとひど過ぎるんじゃないか、たとえば二百八十円の運賃の区間を急行のグリーンに乗ったら千四百八十円、五倍以上、これはもう現実にあった例なんですから、私は切符をお見せします。  おそらくそんなことは御存じなかっただろうと思うんですよ、そういうことになろうとはですよ。いかにもこれはひどいという例として出したんですけれども、運賃と料金のアンバランスという問題はまだなかなかこれ残っていると思うんです。そこで、運賃改定が行なわれる。この運賃改定は、これはもう出された問題は運賃だけなんですね、料金のほうは一緒に値上げしなくったっていいじゃないかという気がするんです。これは今回は運賃と料金と全部この機会に一緒に上げるというふうに受け取れるわけなんですがね。運賃も上げるし料金も上げる、両方合わせると、ともかく特急へ乗った場合はとほうもない割り高になる、こういう結果があらわれているんですがね。これをなぜ一緒に上げなければならないのか、その点はどういう配慮で一緒に上げるのか、別々にできないものかどうか、この点もお伺いしたいと思います。
  100. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 運賃と料金の関係でございますが、これは当然両方とも関連をいたしております。したがいまして、国鉄からの申請におきましても運賃と料金とを含めて改定の申請が出てまいりまして、そしてそれを運輸審議会にかけまして、公聴会を経まして、その答申を得まして、そうしてその中で運賃に関するもの、特に国会の法律案の内容となっているような性格のものは法律案として御提出を申し上げて直接の御審議を仰いでおるわけでございますが、当然、料金につきましても関連いたしました問題といたしまして御審議を仰ぎたい、このように考えておるところでございます。
  101. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 運賃と料金の関係ですけれども、とにかく、これ、この前も話を聞きましたら、自民党はともかく強行採決で運賃法を通したわけですが、上がっちゃったあとで寝台車へ乗ってみたら意外に高いんで自民党の議員さんがびっくりしたという話を聞いたんですよ。今度だってやはり寝台料金——私らは寝台料金といったって寝台使うことあまりないんでぴんとこないわけですけれども、場所によっちゃ寝台料金を使うような場合には相当高いなというふうに思う人もあるんじゃないかと思うんですね。その寝台料金なんかには、今度は通行税がついているでしょう。通行税なんという問題は、こういう国鉄自身の運賃値上げといったような際に検討される必要がないものかどうかですな、これは。先ほどちょっと触れました市町村納付金の問題もそうですけれども、通行税の問題にしても、これは切符を売るときに取るけれども、その分は大蔵省へいっちまって国鉄のふところには入らないわけでしょう。通行税のあり方なんかもこれは検討されてしかるべきじゃないかという気がいたします。それから寝台料金なんかもどのぐらいになるかというと、まあグリーンの寝台料金なんというのはホテルの泊まり賃よりも高くなるわけですね。もっとも、それでも利用者があればいいじゃないかということになるかもしれませんが、そういう高い料金の通行税なんというものは、これはその分を国鉄自身の収益の中に還元できるような方法を、これはまあたいした金額じゃないかもしらぬけれども、考えてもいいんじゃないかという気がするんですね。その点は一体どうなんでしょうか。
  102. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 通行税に関しましては現在、通行税法によりまして免税点というものがきまっております。そうして千六百円以下につきましては寝台料金につきまして免税ということになっております。それで今回御審議いただいておりまする運賃法の改定に関連いたしまして、B寝台料金につきまして千六百円を千九百円に改正をしたいということでございます。そして従来はB寝台料金につきましては、ただいま申し上げました免税点によりまして免税になっております。したがいまして、それの制度というものをそのまま移行いたしまして、そして今後もB寝台料金につきましては免税にしたいという形の減税法案が、いま通行税法の一部を改正する法律案ということで国会に御提出申し上げまして、国会で御審議を仰いでおる次第でございます。
  103. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 急行料金の問題ですけれども、急行にしても特急にしても、新幹線なんかの場合は特急料金が相当割り高になっておるわけです。しかし新幹線自身の営業の実態からいうと、特別急行料金は特別高い急行料金と言ったほうがいいと思うが、こんなに特別急行料金を取らなくたって済むような状態でしょう。それをこの機会にさらによけいふんだくるというのは、どうも便乗してあくどい商法をやっているような感じを受けるんです。この特急料金あるいは急行料金の問題、さらに近距離の急行料金の問題、これは非常に私は耳ざわりだと思いましたのは、たとえば急行に乗って大宮から赤羽、上野と来る、赤羽でとまった際も、この列車は急行ですから赤羽から乗っても急行料金をいただきますというようなことを言う。理屈はそうかもしれないけれども、終点まで五分か十分しかないところでも、乗れば急行料金をいただきますと言う。こういう問題はやっぱり検討してみる必要があるんじゃないでしょうか。これから乗るという場合には別ですけれども、これからもう幾ら乗ったってあと十分か十五分でもって終点だというようなところで、何もこの車は急行だから急行料金をいただきますということを言わなくたって、そういう近距離は、近距離というより目と鼻の先なんですから、そういう場合は急行料金を取らなくても乗せるといったようなことも、これまた制度上の問題として考えていいんじゃないかという気がするんです。それは国電区間でもってひんぱんに走っておれば別ですけれども、必ずしも便利のいい場所でない場合もあるわけですから。たとえば京浜東北線なんかの場合は、時間帯によると十何分も間をおくという時間帯があるわけです、浦和から先のほうになりますとね。そういうところは中距離電車利用したくなる人が多いと思う。そういう場合にもなおかつ正規の急行料金を払わなきゃ、わずか二十分か三十分の区間でも払わなきゃならぬということもこれまた問題があろうという気がするのです。だから、そういう近距離の急行料金というものを一律に上げていく、最低料金を上げていくということは考えものじゃないかという気がするんです。ただにするのが一番いいけれども、ただにできない場合には、これは少なくとも百円ぐらいに最低を押えておくということは、これは利用者の感情を考えた場合には当然配慮されてしかるべきではないかと思うんですが、それらの点はどうでしょうか。
  104. 原岡幸吉

    説明員(原岡幸吉君) ただいま御指摘の点でございますけれども、急行列車が非常に末端の場合になったら、もうこれは急行でないというような扱いでやるべきじゃないか、こういう点が第一点かと思いますが、その点につきましては、まあそういう扱いをしてもかまわないという場合があろうかと思います。そのような場合には、いま先生御指摘のようなふうに急行券を購入しなくても乗れるような列車にするということも可能かと思いますが、いまここに具体的に、全般的にそれをやることは非常に輸送上問題がございますし、サービス上問題がございますし、いま具体的にどこをどうするということは、まだここに具体的な案として持ち合わせておりません。  それから、なお、今回考えております近距離の場合の急行の利用、これはいままでよりも割り安に急行が利用できるような料金体系を考えておるわけでございます。
  105. 木村睦男

    委員長木村睦男君) これにて本件に関する瀬谷君の質疑は終了いたしました。  引き続き質疑を行ないます。御質疑のある方は発言を願います。
  106. 伊部真

    ○伊部真君 まず最初に私は国鉄のあり方について質問をしたいと思います。  国有鉄道法によりましても、目的は明らかに公共性を高めるということを第一義にしているのであります。具体的に申し上げますと、「(目的)」第一条によりますと、「能率的な運営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、」。公共性ということと、やはり独立採算制というのは必ずしも両立しない問題だと思うのです。これを両立させようと思えば、いわゆる公共負担分を国鉄のほうに繰り入れて、   〔委員長退席、理事佐田一郎君着席〕 そうして公共負担分というものを除いた上で採算制というものを求めるなれば、これは一つの筋だと思うのでありますが、そういう意味で、どうも国鉄の今日の赤字問題というのは、そういう点が一つ抜けて、そしていかにも国鉄の経営自身がまずいからとか、あるいは国鉄の持っている体質だというようなことをいわれやすいのでありますけれども、私はそういう意味で、国鉄の運営を見るときには、必ず公共の福祉というものの尺度でもってまず考えていくということが必要ではなかろうかと思うのでありますが、その点の見解を聞いておきたい。
  107. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 国鉄の設立の目的でございますが、先生いま御指摘がございましたように、日本国有鉄道法第一条に明示されております。国鉄は法人でございますから、当然のことといたしまして、まあ一定の目的のために社会活動をすべく組織されたもので、公的な存在であるわけでございますが、その目的というものにつきまして日本国有鉄道法第一条というものが明確にいたしておるわけでございます。そして、その第一条におきましては日本国有鉄道の設立の目的というものが、まさに先生御指摘のように、公共の福祉の増進というものを明示しておりまして、その意味ではまさに公共的な使命というものが国鉄の第一義的なものであろうと思います。そうして、その公共の福祉を増進するということの目的のいわば手段といたしまして、従来からやっておりますところの鉄道事業その他の事業を経営して、そしてこれを能率的な運営によって発展させるということが書いてございまして、すなわちその経営の方法といたしましては、能率的な運営によって発展をさせるということでございます。先生御指摘のように、国鉄自体の目的といたしましては、まさに公共の利益を増進するということにあるわけでございます。
  108. 伊部真

    ○伊部真君 ですから私は、国鉄の採算を見る場合には、特にまあ赤字が出たときには、その原因というものを拾い上げていくときに、必ず公共負担分というものをどの程度に国鉄に負わしているかどうかということを計算をして、その分は当然差し引いて見ていくべきではないのかと思います。そういう意味で、累積した赤字というのを考えてみますと、一つにはいわゆる貨物の赤字もありましょう。あるいは設備投資というものがかなり大きくなった、それによる借り入れ金もありましょう。それからもう一つは、やはり公共負担分の累積というものが今日きたのではなかろうか、こう思うのです。いわゆる通勤や通学の割引とか、あるいは農産物の割引とか、そういう点から考えますと、これは当然にその分だけは国が補助するのが当然であって、しかるに、これが国鉄への補助という考え方は私は違うのではなかろうかというふうに思うわけであります。   〔理事佐田一郎君退席、委員長着席〕 その点で、こういう公共負担について計算をして、年間でどの程度と、それを差し引いたときには国鉄経営というのはどうなんだということを見られたことがあるのかどうか。
  109. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) ここで日本国有鉄道法が公共の福祉といっておりますところのものと、それからいま御指摘がございましたいわゆる運賃制度上の公共負担と、若干やはり次元が違う問題ではないかと私ども考えております。日本国有鉄道法が公共の福祉の増進ということは、全国にわたる鉄道というものを維持し、経営して、そうして国民の便益を増進するということによりて公共の福祉を増進するというところにあるわけでございまして、そういう意味での、いわば総体的な問題としての公共の福祉の増進にあるだろうと私ども思います。それから運賃上のいわゆる公共負担という問題でございますが、これは実は私がさきに申しましたような姿におきましては、単なる国鉄の公共的な仕事のやり方というのは、いわゆる運賃制度上の問題だけではございません。たとえば全国的にわたるところの鉄道網を維持していくというようなことによりまして負担しているところのもの、まさに公共的な負担ということになるわけでございますが、いわゆる公共負担といっております運賃上のものといたしましては、それは通勤、通学の割引だとか、あるいは従来やっておりましたところの貨物の割引だとか、そういうふうな、いわば主としては国家的な見地からの、社会政策的な配慮に基づいて行なっている割引等の負担というものを通常私ども運賃上の公共負担というふうに言っております。  それで、それにつきましての額でございますが四十六年度のでございますが、大体において五百億円程度のものが運賃上の公共負担というふうに  一応考えております。なお、かりにこの五百億というようなものの性格のものを三十五年度から四十七年度までとった場合には約八千四百億程度の負担に相なるわけでございます。
  110. 伊部真

    ○伊部真君 いま言われたように、公共の福祉という意味は、公的な負担もありましょうし、かつまた国民の足を守るという点での保障もありましょう。私は総体的にそういうものも含まれると思うのでありますが、いずれにいたしましても、その金額を合わせますと、いま言われた五百億に赤字線撤去の問題について加算をしますと、かなりの額になりますね。したがいまして、この分は当然に国鉄に対して国が補償すべきものだということを頭に描いて考えるべきだと、私はそう思っているわけです。  次に、この新しい財政再建についての長期展望についてお伺いをしておきたいと思うのです。まず人件費でありますけれども、この十ヵ年の人件費の上昇テンポについて、昨日でしたか、たしか初年度一二・一、それから一一・一でしたか、一〇・八、こういうふうに言われたと思うのであります。それはどのような根拠でその数字を出されたのか、お聞かせをいただきたい。
  111. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 今回の長期的な財政再建計画の中の長期収支の試算といたしましての人件費につきましては、ただいま先生御指摘のように、昭和五十年度まで年率一二・一%それから五十一年から五十三年度まで一一・一%、それから五十四年から五十六年度まで一〇・八%ということで試算をしております。それで、この根拠でございますが、これは実は新経済社会発展計画の雇用者所得でございますが、新経済社会発展計画の雇用者所得の見込みでございますが、これが四十五年度から五十年度まで一二・一ということにいたしております。その前提として、たとえば雇用者の数の問題だとか、あるいは消費者物価指数の上昇の点だとかいろんな点を勘案いたしまして新経済社会発展計画が一二・一%ということにいたしておるわけでございまして、それを基礎といたしまして一二・一%というものをはじいたわけでございます。それで、その後におきましては、新経済社会発展計画の考えておりますところのものは、自今たとえば消費者物価指数は次第に三%くらいに近づいていくというようなことを考えております。あるいは経済社会の発展のスピードというものであろうというような見込みもありまして、そして、それでもって一一・三%、さらに一〇・八%、こういう試算をしたわけでございます。
  112. 伊部真

    ○伊部真君 次に償却でありますけれども、この償却の数字は、新しいこの試算表によりますと、かなり大きな金額になっておるわけでありますけれども、この数字と、それから四十四年の当時に十ヵ年計画を出しました、その減価償却とはかなり金額の相違がありますね。たとえば昭和四十八年を見ますと、前の計画ですと二千三百三十四億円でありますが、今度の場合は二千二百八十五億円ということになっております。それから昭和五十三年を見ますと、新計画は三千六百五億円に対して前の計画は二千七百六十七億円ということになっておりますが、新幹線関係があって五十三年の場合は償却増というふうに考えるんですが、この相違点についてちょっと説明をしていただきたいと思います。
  113. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 減価償却につきましては、従来から御承知のように、法人税法等の定めるところによる耐用年数表というのがあるわけでございます。それで国鉄の減価償却等につきましても、当然そういったような一般の減価償却制度というものとほぼ同様な制度をとっておりまして、大体その制度にのっとって減価償却をいたしておるわけでございます。それで制度の根幹といたしましては、結局は車両、船舶、自動車、機器というようなものは定率法、その他の建物、橋梁トンネル、線路設備というようなものにつきましては定額法というのが制度の根幹でございますが、若干その間の法人税法等の改正に伴う改正がございますが、根幹的には、制度として変わっておりません。ただ、前の試算と今度の試算が大きく違っておりますゆえんというのは、何といいましても工事規模が非常に変わってきたということでございます。これは前の計画におきましては十年間三兆七千億円の規模ということでございまして、初めのほうは四千億円、自後は三千億円というようなことで、三兆七千億円の規模ということでございます。ところが、今回の新計画におきましては十年間七兆の規模、非常に工事経費の規模が大きくしてあるわけでございまして、したがいまして、その工事経費の規模が大きくなることによりまする財産の、固定資産の増加というのが大きく響きまして、そしてこの稼働時期が始まりますと、そうすると、その時期から償却が始まる、こういうことになるわけでございます。
  114. 伊部真

    ○伊部真君 私は、いまの新経済の問題にしても、償却の問題にしても、やはり問題なのは、十年間という長期にわたってその推定ができるのかどうか、国民経済の動きから見てこれが妥当なものであるのかどうかということについて、私は異見があると思うのであります。まあそれはおきましても、いま言われたように、税法上からいって定率、定額の両法がとられるわけでありますけれども、車両なんかの場合に定率をとりますと、かなり年度の初めのほうに負担が大きくなるというふうなことで、経営上においてはかなり設備投資をし、たとえば新幹線の開通した当時、その当初のほうに負担が大きくなって、経営自体としてのバランスを見る場合に不適当な状態が出てこないだろうか。もしもそうなら、結果としてでありますけれども、公団の貸し付けのように、いわばあれはリースみたいな形になりますから、リース方式で一つのものをくくりますと、それが二十五年なら二十五年という定額をやっていくということになりますと、これはかなり経営の尺度としては非常に安定したものになるのではないか。で、私はこの数字を見ますと、年々そんなに大きく狂っておるとは思いませんけれども新幹線のように、あるいは非常に多額な投資をするものについては、やはりその税法上のものだけでやっていいのかどうか、これは将来的には、大きな設備を一時にするというときには考えるべきではないかというふうに思いますが、この点いかがですか。
  115. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 定率法と定額法の違いでございますが、先生御指摘のとおりに、定率法の場合には当然に稼働いたしました初年度、二年度の時期におきまして、大きな減価償却が計上されるということは御指摘のとおりでございます。定額法の場合には、当然、その耐用年数全部に通じまして、平均的になされるということでございます。  ただ問題は、現在、法人税法等におきましては、当然、定額法、定率法いずれによっても可能だということにいたしておりますが、私ども国鉄のような性格の事業ということにつきましては、特にただいま先生御指摘のような車両とか船舶とか自動車とか、こういったような性格のものは非常に陳腐化も早いわけでございますし、これが早く取りかえる必要がある、耐用年数も比較的短いということで、これを定額にしたほうがいいじゃないか。それから、たとえば橋梁とかトンネルとか、そういったようなものにつきましては、これは定額ということにいたしておるわけでございます。それで先生御指摘のように、B線、C線におきまする鉄道建設公団から国鉄に対する貸し付けでございますが、これはいわゆる長期の二十五年元利均等償還の方式ということで貸し付けをいたしておるわけでございますから、基本的な考え方としては定額の考え方に大体近いわけでございます。したがいまして、そういうような性格の資産につきましては、国鉄の設備投資といたしましても定額にいたしておるというふうに考えておるわけでございまして、資産の内容によりまして、償却費自体が特に多額に計上されるということのないような配慮はいたしておるつもりでございます。
  116. 伊部真

    ○伊部真君 次に、先ほども議論がありましたけれども、十年間の人員、さらに輸送の量の展望であります。この問題につきましては、先ほども話がありましたけれども、人間では、この新しい計画によりますと、四十七年から五十六年までの間の人キロの増加は一五四と、大体そんな数字になりました。で、三十五年から四十四年までの十年間、過去の十ヵ年を見ると三六%の伸長なんです。で、貨物でいいますと、四十七年の六百三十二億トンに対して、五十六年度は千百八十七億トンで、伸び率は一八八と推定されているわけです。しかし、現実にいままで起きましたこの十年間、三十五年から四十四年までの数字を拾いますと一二%の上昇しかないのです。貨物の場合ですね。いままで、人員の場合では三六%しか出てなかったものが、一五四%伸びるということ、いままでほとんど十年間で伸び率がなかったという貨物が一八八%も伸びるということは何を根拠に計上されたのか、どうもこの点は納得がいきませんので、その数字の推定の根拠についてお聞かせをいただきたい。
  117. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) この点は先ほども藤田先生から御質疑がございましたが、確かに従来の輸送量の伸びは非常に微々たるものでございました。特に貨物につきましては、非常に輸送量の伸びが鈍化しておったということは御指摘のとおりでございます。そこで、前回の再建計画におきましても想定をいたしました。その想定をいたしましたそれが、先ほど申しましたようにその想定までに至らなかったということを私どもいろいろと反省をいたしまして、その反省の上に立って今回の想定をいたしたわけでございますが、基本的には資料で提出をいたしましたように、過去の実績値と、たとえば定期の場合には二、三次産業人口との相関というようなものがございます。さらに普通旅客の場合におきましては、過去の実績値と個人消費支出との相関というようなものがございます。貨物も同様、過去の実績値とGNPとの相関。そこで、従来の実績というものに基づく見通しというものを、今回の初年度におきまして修正を行ないまして、さらに貨物輸送につきましてはシステムチェンジというふうなものを織り込みまして、そうして、そうう最近のものを見込んだ上で、ただいま申しましたような相関というものによっての想定をいたしたわけでございます。それで、この想定につきましては、実は私ども、たとえば新経済社会発展計画との関係というふうなものとのつり合いもいろいろと考えてみました。それから新全総自体の想定というのも、まあ途中まででございますがございます。それから私どもの、運輸大臣の諮問機関でございまする運輸政策審議会、総合交通体系ということでもいろいろと検討いたしておりまして、そういうような各般の、政府部内におきまするところの、審議会等におきまするところの想定というものを参考といたしましてただいまのような想定をいたしたわけでございます。  まあ、私どもも率直に申し上げまして、従来の実績からかんがみまして、旅客については、新幹線その他の新しい設備投資に伴うところの輸送増というものを見まして、大体適当な数字ではないかと思います。で、貨物につきましては、これは実は新しいモデルチェンジというものを前提としての数字と私ども考えております。年率にいたしまして貨物が六%の増というような想定をいたしますから、これはモデルチェンジを相当にやった上での数字というように考えておりまして、しかし、これだけのものはどうしても貨物としても輸送しなければならぬものと考えております。
  118. 伊部真

    ○伊部真君 それはGNP、いわゆる六十年を二百億トンですか、四・二倍、トンキロで五倍という数字を基礎にされるということになりますと、この数字の差というのはたいへん大きいわけですよね。いま言われたように、このGNPの、いわゆる運政審が出しておる数字を見ますと、この数字は必ずしも正確かどうか——私はそれなら一ぺん聞かしていただきたいのでありますが、運輸省としてはこのGNP、二百億トンの貨物の増加というものをそのとおりの数字でお考えなのかどうか。前の新全総の場合の数字というのはかなり低いわけです。たしか百三十兆ぐらいだったと思いますが、そういう百三十兆から百三十五兆ぐらいと二百兆との大きな開きがあるのですね。運輸省としてはどの程度の生産性を考え、あるいは貨物量の伸びを考えておられるか、それをまずお聞かせいただきたいと思います。
  119. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 新全総計画におきましては、六十年時点における国民総生産百五十兆という考え方をとっております。それから、ただいま先生御指摘のございました運輸政策審議会におきまするところの答申におきましては、国民総生産二百兆ということにいたしております。それで、ただいま非常に大きいと先生御指摘ございました、その運輸政策審議会におきまする、国民総生産二百兆におきまするところの貨物の輸送トンキロというのは、鉄道といたしまして、たとえば、貨物にいたしまして四千百八十五億トンキロということでございます。それで、この数字は非常に大きい数字でございます。それで、この数字ほどには私どもとても伸びないという感じでございます。大体この数字でいきますと、昭和五十六年時点では三千四百億トンキロぐらいの数字になるのではないか。ちょっとびしゃっとした数字がありませんが、大体そのくらいになるのじゃないかと思いますが、それで、私どもその数字は非常に問題があろうということで、先ほど申しましたような想定によりまして、五十六年時点に貨物におきまして千百八十七億トンキロでございます。それで、運輸政策審議会の総合部会におきまするところによりますと、六十年時点で四千百八十五億トンキロで非常に大きい数字に相なります。この数字によりますと、おそらく五十六年時点は約三千億トンキロぐらいの輸送量ということになるわけでございまして、この数字は非常に膨大なものであろうということで、この運輸政策審議会の答申によらなかったわけでございます。そして、先ほど申しましたような、従来の実績というものを直しました姿のものを基礎といたしまして、そうして国民総生産との相関関係というものを見まして、ただいま申し上げました五十六年時点千百八十七億トン、こういう想定をいたしたわけであります。経済社会発展計画よりも何と申しますか、内輪な見積りをしたつもりでございます。
  120. 伊部真

    ○伊部真君 私は、全体の数字から見ますと、これはそんな間違った数字の推定ではないと思うのです、いま出されている数字はですね。しかし、国鉄に関する場合は別だと思うのです。全体の数字としては、私の手元にある数字でも、三十五年から四十四年までの十年間でやはり人員でも一八七%の増加ですし、あるいは貨物においてもトンキロでも二・三倍という数字が出ておりますから、私は必ずしも間違っているとは思わないのですけれども、しかし、国鉄に関する限りは、いろいろな要件がありまして伸びていないのですよ。伸びてないのに、総体的な国内の旅客輸送の数字と、国内の貨物の数字というものをかなり参酌をしてこの数字が出ている。だから私はこんな大きな数字が出てきているのじゃないかと思うのです。私はこの数字が直接収入に影響しているとは思えないのです、この数字は。ですから私は、これは根本的に間違っていると言うのではありません。しかし、この推定を出した、この数字自体は誤りだと私は思う。どこから計算しても、貨物の場合、私はトンキロになるとややこしいからキロで申し上げましても、貨物の場合でも昭和四十四年というのは一億九千万トンから二億トンというのが鉄道のいままでの計画ですよね。それが今日四十七年になりましても二億トンをふえてはいないのですよ。あの当時、昭和五十三年度推定で貨物の場合には三億二千万トンというのを数字に出されましたけれども、その実、数字は間違いというよりもそこまできていないのですよ。四十七年の推定が十ヵ年計画では二億四千万トンであったけれども、二億トンしか出ていないという数字なんですよ。そうするといままでの実績というものをやはり計算をして数字を出していかないと、私は納得のできる数字ではないと思うんですよ、事実出ているわけですからね。昭和四十四年が一億九千万トンで四十七年が二億四千万トンという計画が出ているわけですから、十年計画では二億四千万トンであったのが事実そうなっていないのですから、その数字はやっぱり考えて出さないと、私はこの資料はうそになると思うんですよ。そうでないと、またしても計画の見そこないだと、推定の間違いだと、こうなります。だから、私はやっぱり数字というものは実績に基づいて出していただくようにお願いをしたいと思います。  私は、このことと、どうも理解ができないのは、運輸収入の面では必ずしもそうなっていないですね。運輸収入の面では確かに実績から見て、これを過去の推定から見て、普通の場合には七%から八%見ています。それから運賃の値上げの場合は二二・八から二三%見ておりますが、この運輸収入に関する限り過去の実績、数字が正しいかどうかは別にして、出されているから、この数字は私はそんなに違っておるとは思いませんけれども、しかしこの数量の件だけは、どうも私は不正確のように思えてなりませんので、その点をもう一度お聞かせをいただきたいと思います。このいただきました資料の七ページ、八ページですね、旅客輸送量の想定それから貨物輸送量の想定です。
  121. 小林正知

    説明員(小林正知君) ただいま伊部先生いろいろ御指摘でございますが、将来に向かいまして客貨の数量をいかに想定するかという問題は、過去からの趨勢ばかりではもちろんいかないことは御承知のとおりでございます。さればといいましても、また将来いろんな激変する変化もございますので、これを想定いたしますことはいろんな諸元を取り入れて推定することになると思います。また先般来いろいろ御議論がございました中でも出ておりましたように、国鉄の特に貨物輸送につきましては、総裁からも申し上げておりますような事態もございまして、今後大いに貨物の輸送体系というものにつきましてのシステムチェンジをやるということを基礎にいたしまして、いまのままの姿で推移いたしますれば、ただいま先生まさに御指摘のとおり現状維持すらむずかしく、これはむしろ落ち込んでくる、かようなかっこうになるかと存じますが、この際、投資関係といたしましても、四十七年度をスタートに貨物関係におきまして約一兆五、六千億、まだこれは精査して詰めてはおりませんが、システムチェンジのための改良費あるいは列車体系につきましても、輸送事情等に見合った輸送を行なう。特にこの際、積算をいたします基礎として取り上げましたものは、いわゆるコンテナ化の問題でございますが、過去、すでに先生御承知のとおりでございますが、コンテナは三十五、六年ごろからだんだん緒についてまいりました。その間の伸び率は非常に数字は小そうございましたが、伸び率としては非常に最近顕著に伸びております。この三十六年から四十六年までの実績推定におきまして、年率約三八%の増加となっております。こういう趨勢を勘案して、さらに、ただいま申し上げましたようなコンテナ化の実情、また今後コンテナ化した場合の物資別あるいは地域流動等の関係におきましてどの程度  コンテナ化が可能であるかといったようなことを、いろいろコンピューター等も使いましてこれを試算をいたします。その結果、先ほど数字でお示しございましたとおり、五十六年度におきましては、貨物におきまして千百八十七億トンキロというものを輸送することになっております。そのうちの約五百五十億トンキロはコンテナでございます。すなわちコンテナは四十七年を起点にいたしますと二一・九%程度の伸びを示しております。かようなことでございまして、残りましたものがいわゆる一般の車扱いを中心にいたしました貨物、物資別等の貨物、この数字は四十七年度が五百三十七億トンキロでございます。これに対しまして、五十六年度におきまして、六百四十億程度でございますので、ほほ年率といたしましては〇・九%、約一%足らず、かような結果になりますので、運輸省をはじめとされまして、総合交通体系の中におけるいろいろな諸施策について、適切な御指示を、措置をいただくことを前提とし、またこれだけの投資が完全に実施され、国鉄自体も先ほどから私申し上げておりますような方向で努力いたしますならば、この千百七十五億トンキロ程度の貨物輸送量の確保は可能である、かような積算をしたような次第でございます。
  122. 伊部真

    ○伊部真君 私はトンキロはよく記憶いたしておりませんので、総トン数で私は記憶しておるので、それで質問をしたいと思いますけれども、たしか四十四年のときに二億トン、四十七年二億四千万トン、それから五十三年に三億二千万トンという数字が前の計画でありました。その当時、コンテナの四十七年の計画は八百万トンでした。それが今日一千万トンをこえておりますから、私はコンテナは、ライナーの活用も軌道に乗ってきましたので、伸びてきたと思います。しかし、その数字は、先ほどおっしゃったように、二億トンの中の一千万トンですよ。ですから、これがどれだけ伸びましても一割に達するのにはたいへんな努力でしょう。私の申し上げておるのは——国鉄貨物のやはり大宗というのは主要品目として非常に量が多いのですね。これは七割五分から八割を占めていると思います。それから数字的にいいますと、大体混載が三百万トンから四百万トン、手小荷物は何ぼ大きな負担になるといっても、小口扱いから手小に出ていくのが二十五万トン、本来の荷物も百万トンそこそこです。これを合わせましても、そんなにたいした数字ではないわけです。一番大きなのは車扱いですよ。直扱いの四割を含めて、その貨物をどうやって採算上に乗せるかどうかが私はきめ手だと思うのですよ。フレートライナーもコンテナが三万個、いかに活用したからといってそれは国鉄の将来にわたって赤字を解消する大きな何かポイントになるようなおっしゃり方は、私は正当ではないと思います。貨物の一千八百億の赤字は何に原因しておるかということを、そんなに一千万トンそこそこのフレートライナーやコンテナに籍口した言い方というのは私は適当ではないと思うのですよ。また、それではほんとうに貨物というものの解決にはならぬと思うのです。したがって、そのコンテナの問題は私は決して悪いと言っているわけではないのです。それから貨物の駅もいまの五キロ単位でもいいと思います、なるほどそれも改良しなければならぬでしょうが。しかし、一番問題になるのは何かというと、これは前にも再三言っておりますけれども、貨物の一番競争相手は何かといったら、無秩序な競争相手が多いということじゃないでしょうか。実際問題として物資別専用化輸送をやりましても、あの物資別輸送方式というものは確かにいいかもしれませんが、あれだって片道でしょう。住復にはならぬのですよ。飼料だとか液体燃料だとか、ああいうものを輸送するのはそれに合った貨車で輸送する、専用化というものは非常にいいということは言えます。しかし、あれの大きな欠点というのは、その地域から帰りに荷物を積めないということですね。しかし、トラックの場合は、過去には片道運賃で、運賃計算が合ったけれども、その片道運賃で往復をかけるようになったんです。半分になっているわけです。それからもう一つは、いま、過去に何回もわれわれが議論してもいかぬのは白トラが横行し、その過積みがどんどん行なわれているということです。半分の料金で往復みかけるようになって、しかも二倍、三倍の荷物を積んでいるんですから、この問題を解決しないで、そして国鉄のほうにフレートライナーがこうなったから赤字がなくなるというようなことは、私はナンセンスだと思うんですよ。だから、やっぱり国鉄の貨物の一千八百億、いまの赤字の大半である一千八百億をなくするにはどうしたらいいかということを、もっとやっぱりその原因ということを追求していって、そして、それに対する適切な指導がなければいかぬと思うんですよ。私は、この問題は国鉄に責任を負わせる問題ではない。全体の、日本の国の輸送の秩序というものはどうあるべきかということを考えないと、この一千八百億の貨物の赤字はなくなりませんよ。大臣、どう思いますか。
  123. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) いま伊部先生の御指摘のありましたとおりと私どもも考えております。過積みの問題またやみ料金、これらが横行しておりましては、公正な輸送体系は私はできぬと思います。それに、先般からも、私は委員会でも御答弁を申し上げております。また自動車局を通じまして、それらの適切な指導を今日強く私は指示をしている次第でございます。まだまだ実効があがっておりません。何とも残念でしょうがない次第でございます。たとえば過積みの問題にいたしましても、計量ですね、これはやはり走行中は誤差が多いから、いろいろな問題がございますが、そういう点に対する指導もいたしまして、それらの問題、また、いまのお話もございましたが、そういったようなもぐり運送の規制、また、そういったようなやみ料金の規制というようなことを適正に行なっていくということが——何でもやはり正直者はばかをみる、厳正ないまの法規を守っている者は損するというようなやり方は、これはやはり全体の輸送体系をくずす、私は先生御指摘のとおり、もとだと思うんです。せっかく、そういう点につきましては、私どもも十分に勘案をいたしまして、それらの適切な措置を講じていかなくちゃならぬ、これは運輸行政の私どもの責任であると、私ははっきりそう思っております。
  124. 伊部真

    ○伊部真君 私は非常に不満ですよ、その答えは。なぜかというと、今度、もしこの運賃を上げても、この原因がなくならない限りは、私は、鉄道は一千八百億、少しの狂いがあるかもしれませんけれども、赤字は出ますよ、これ。その赤字がまた、さっきも瀬谷さんも言われましたけれども、積み合わせになって、何の罪もない中央線山手線から金を持っていかなくちゃならぬでしょう。中央線山手線をもし独立採算、別採算にしたら、もうかってもうかってしょうがない鉄道になるでしょう。そういう状態に置いて、そのほうの利益を持ってきてカバーするというやり方はほんとうの原因をなくする要因にならぬと思うんですよ。それは検討すると言われましても、具体的にそれをどういうふうにやられるのか明示されないと、どうも私は納得できないんですね。国鉄の赤字というものは、貨物の赤字はどうしたら黒字になるのか明らかにしていただきたいと思います。
  125. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) いま私が検討すると申し上げましたのは、具体的方策を検討さしおる、こういうことでございます。具体的実効のあがるようにやらしておる。たとえば一つの例でございますが、コンテナ船に載せる場合、これも、この間も御指摘がございましたが、過重の荷物をコンテナ船に載せていけばかまわぬというような問題、これらの問題については、取り扱いあるいはそれらに対するいろいろな基準、そういったものがあったならば、そういった点も改正をして、そういったような過重なものは、せっかくそこまで参りましても、それはおろすとか、ある程度重量を制限し、適正ならしめるいろいろな方策があろうかと思います。そういったような具体的の問題を、ただいま具体的実施のできるように検討さしておりまして、早急にこれらの方法を講じてまいりたい、また、いろいろ運送業者も通じまして、それらを強力に指導したい、こういうふうに思っております。
  126. 伊部真

    ○伊部真君 これは私が運輸委員会で再々これを申し上げているんですけれども、たしか自動車局長の場合でも、御答弁によりますと、全国にこれに携わっている人が事務所に五人程度だと、全国で五十人かそこそこで、これについて担当することができないと、こう言われておるんですよ。この間、私は具体的な例で申し上げたのですが、深川の木場の十トンの車に三十トン載っている、しかもそれは白トラではないか、七割が白トラですよ。これは競争原理で安かったらいいというものじゃないですよ。これは安全面からいっても、しばしばロープが切れて、その木材の下になって奥さんがなくなったということも事故としては報道されているわけですよ。そういう問題から考えていっても、これは国をあげてこの問題に取り組まなければいかぬことですよ。しかし、警察庁においても事実問題できないでしょう。運輸大臣そう言われましても、事実問題として二、三年にそんなことができることでしょうか。私はそう簡単にできるとは思いません。町のまん中に走っている車はほとんど過積みをしているでしょう。いままでに何の行政もなくてほったらかしておいて、そうしていま急にそれをとめて、どうしようかといったって、検査をするためにとめれば車は渋滞をして交通麻卑を起こしますよ。こういう問題を行政面で全般として見ていかないと、それは貨物がなぜ五年も十年も国鉄のシェアが落ち二億トンの数量しか運んでいないかということは見ればわかることだと思うのですよ。私は、この過積み問題がありましょうし、国鉄の二億トンしか伸びないというのは、これはあると思うのです。それは国鉄だけの責任かどうかという問題についても、やはり分析をしなければいかぬと思うのですよ。確かに国鉄の設備の悪さもありましょう、あるいはレールというものはレールの長さがきまっておって、とまる駅がきまっておれば、やはりふんばったって扱い量というものはきまっているわけですよ。これはとまる回数を少なくする、そのことによって回転はよくなるわけなんですから、これは能力がよくなることははっきりしている。しかし、力を高めても荷物が来なければしかたがないので、それをどうやって持っていくかといえば、きまった時間に低廉で安全に輸送されるということがあれば荷物は自然に来るのですよ。そういう状態から見れば、やはり国鉄の場合は、競争原理としていまたちまち困っているのは、やっぱりはっきりしているのは単価ですよ。単価の問題は、片っ方がきめられたことを守っていないというところに原因があるのでしょう。この原因がなくならない限り、またしても私は、この国鉄の赤字問題はまた言わなければなりません。何もほかの問題じゃありませんよ、ここら辺の問題は、もう少し私、具体的に確信のあるお答えをいただかぬと、国民自身は何かやみくもに、罪もないのに旅客運賃ばかり上げられるのですからね、この点は、私はどうも納得ができないのです。特に昭和四十四年の運賃の値上げのときには、その競争原理というものを考えたから貨物を上げられなかったのではないですか。旅客は一五%上げたけれども、貨物は上げたら荷物を取られるということで上げなかったのじゃないですか。今度だったら二四・六%上げても荷物が来るという保証がないじゃありませんか。この間、四十四年のときだったら荷物が取られるということで、いまならこれは二四・六%上げても国鉄に荷物が来るなんという保証はないですよ。そこのところはっきりしないと、運賃の値上げ問題についての私は納得をすることにはならぬと思います。もう一度回答をいただきたい。
  127. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) ただいま御指摘になりました点は、私も先ほどから申し上げましたとおり、その公平なる競争原理からいたしまして適正な運賃でやってないということが一番の原因であるということは私もそのとおりであると思う次第でございます。先ほども申しましたとおり非常に実行はむずかしいことでございますが、これのやはり取り締まり規制指導というものはどうしても強力に行なっていかなくちゃならない。それはいまおっしゃったとおり、いままでの慣行でそういうことをほったらかしてあるというような事情もございますから一ぺんにはできない。しかし、一ぺんにはできないからといってそれを放てきしておるというような運輸行政は私はよろしくない。また、私どもも先般から申し上げましたとおり、そういったような道路その他の点につきまして、せっかく運輸省、警察庁、建設省、三者実行部隊が一緒になりまして、絶えず、交通安全対策本部の室長を加えまして連絡会議を開かせることにしておりまして、そういう点に具体的な方策を警察庁とも十分検討をいたしまして、これらの早期対策を必ず樹立をいたしまして、こういったような悪い慣行というものを早く排除していくということにせっかく努力をしてまいりたいと思う次第でございます。一そうの御批判と御指導をお願いしたい、こう思う次第でございます。
  128. 伊部真

    ○伊部真君 これは私、今度の国鉄——今度だけではないと思いますが、国鉄の一番問題点というのは私はここにあると思います。この問題を解決しないと、それは幾ら合理化をやっても、金額的に少ないならこれはまたいろいろ理屈はあるでしょうけれども、一千八百億ですよ。私はこの計算基礎にも疑問があるんですけれども、どうもこの点が理解ができません。再び戻りまして、一千八百億という数字がときどきテレビなんかに、四十五年でしたか、貨物では一千八百億ということがいわれますね、あの赤字の根拠というのは、収入の面は出ているからわかりますが、経費の確保のしかたというのはどういうことになっているのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  129. 小林正知

    説明員(小林正知君) 客貨別の収支問題でございますが、これは先ほどいろいろ貨物の赤字あるいは旅客の収支関係についてお尋ねがございましたが、従来、御承知のとおり同じ設備を使いまして、これを客貨両用に使い分けて輸送するという特性を国鉄は持っておるわけでございます。その中で、計算のやり方といたしまして、収入の面は、これは貨物については大体はっきりいたしておりますが、いま御指摘の経費の点でございますが、できるだけこれは個別化をいたしまして、客貨に分けて計算可能なものは個別的に把握するという形につとめるのは、もとより原価計算上のたてまえといたしまして当然でございます。したがいまして、同じ駅でも汐留の駅でございますとか、ヤードでございますとか、そういったところ、また駅の中でも貨物線、人件費の中でも貨物に従事する者、貨車の入れかえ等に従事する者といったようなもので、貨物につきまして明確に貨物関係として把握できるものにつきましては、これを個別化して把握をいたしております。しかしながら、先刻、先生御承知のとおり、軌道関係でございますとか、その他もろもろの諸施設の中には客貨両用で分離しがたい共用部分が相当ございますのは申し上げるまでもございません。私どものいままでの検討の結果といたしまして、これにつきましては四十一年以来、部外のいろいろのこういった方面の諸先生のお知恵も拝借して、中で検討会、研究会みたいなものを持ちまして、客貨別の原価計算、さらにまた、すでに線区別の計算につきましては相当確度の高いものが出ておりますので、これはずっと発表さしていただいておりますが、客貨別につきましては現在まではまだ個別化が五〇%ぐらいしかできておりません。したがいまして、こういった残る五〇%の部分につきまして、いかにしてこれを客貨別に配分するかという問題になるわけでございまして、この点については特に一番問題は、固定施設につきましての、客貨別にこれを分離する場合の資本費あるいは修繕費をどう確保するかという問題、たとえばいまの場合で申しますと、単なる人・トンキロ比例でまいるわけにもまいりませんし、員数でいくわけにいかないというような問題等もございまして、その辺いろいろ複合して錯雑な要素がございますので、その点についていま一応の基準としては、客貨別基準をもって一応、内部管理費用としての原価計算の実施はいたしておりますけれども、まだ確信を持って申し上げるほどの数字に相なっていないことはまことに遺憾な次第でございます。しかしながら、現在におきましても特にむずかしいのは、客貨にこれを分けます場合のコストの分け方の中で、いわゆる擬制原価と称するものが出てくるわけでございます。たとえば、災害が起きました場合、事故等がございました場合の復旧をいたします場合、まあ現実にお客さんをお乗せしている旅客列車をどうしても優先して通す、そのために貨物がどうしても、若干例外はございますがあと回しにならざるを得ないというような諸点、それから線路容量等が十分でない線も非常にございますので、貨物の貨車の関係は、若干迂回輸送をするというような問題等もございます。また、急行待避等の問題もある。旅客列車待避の問題等もある。そういった擬制原価の割り振りを一体どう考えたらいいのか等々の問題もございまして、鋭意、この点につきましては、現在の段階においても検討を進めている、かような状況でございます。  一例として、その共通費の配分の基準について二、三申し上げておきますと、たとえば施設費これは軌道保守の人件費でございますとか、工作物のいわゆるメインテナンスのための経費というようなものは、いわゆる貨車キロでございますね、車両キロでもってこれを分けるというようなやり方をやっております。また電気関係の設備費につきましての、これもやはり保守いたします場合の分け方は、人間については、作業人員の人間の比率、充当人員を大体現場の作業日数でつかんでおりますので、その作業人員の比率、また電車線路関係経費につきましては、旅客と貨物列車別のパンタグラフの走行キロといったようなものを基準にいたしましてこれを配分をいたしております。しかしながら、この共通費の部分の個別化がまだ、再々申し上げますように五〇%程度になっておりますので、おおむね、先ほど先生おっしゃいましたように千八百億程度の赤字が貨物から出て、旅客のほうと非常に大きな径庭があるけれども、大勢にはそう大きな影響がない、かように考えておりますが、なおさらに引き続きまして精度を高めるべく目下検討している、かような段階でございます。
  130. 伊部真

    ○伊部真君 かなり専門的に御説明をいただきましたけれども、私がしろうと考えで考えましても、たとえば東海道線に走っておった列車が今度新幹線ができたと、お客さんの列車が、旅客列車がそっちに行きますと、本数の移動というものがなくてもその割合というのはうんと変わるけですね。したがって、貨物のほうが多くなる、こういうことになってくると思うのです。ですから、これの計算というのはたいへんむずかしいものだというふうには思っておるわけです。しかし、いずれにしても、品物を販売する場合に、原価が幾らかかって、この原価にどうしてもこれだけの費用がかかるので、赤字になるから上げてくれというのが私は値上げの根拠だと思う。そういう意味で、私は、どうしても扱い別に、これはやはりある程度品物の原価というものは計算すべきだと思うのです。そういう意味では、私は、やはり千八百億という数字がどうも不正確というか、そんなにきちっとしたものではないけれども、まあ大体のところということになれば了解をせざるを得ないのですけれども、この計算のしかたいかんによっては。しかし、やはり赤字の千八百億の数字というのは変わるということですよね。したがって、まあこの点は、どうもこの赤字の根拠というものについては少しぼけてきたのでありますけれども、これはやはりある程度しようがない要素があると思います。  そこで、具体的にもう少しもとに戻って、千八百億の赤字はどうしたらなくなるのだろうと、いろいろやり方を考えられたと思います。たとえば物資別輸送会社というものをつくってみて、そうして専用化ということを考えられる、これは私はかなり成功していると思っておるのですが、しかし総体の数量は、私の大体の記憶では一割ぐらいのもので、一割以下であったと思います。物資別の、たしか六つくらいの会社がございましたね。その六つの扱っている、一割くらいの量でありますけれども、そこですらみんな赤字を出しておるのですね。そこで国鉄の輸送で赤字を出しているということになると、この物資別輸送会社方式というのは成功したのかどうかということについては、私は非常に疑問だと思うのでありますが、その点はいかがですか。
  131. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) いま具体的な事例で物資別の輸送会社、たとえばオイルターミナル、最近つくりました田端の食品ターミナル、いまつくっております飯田町の紙センターというような点の御指摘だろうと思いますが、その以前に臨港地帯の臨海鉄道、これは物資別ではありませんけれども、臨港地帯で発生する物資という点では物資別でございますが、これはおおむね軌道に乗っております。それで、これからつくりますものも、創立早々の一応の試算ではまだ赤字でございますけれども、数年を経過いたしますと、一応、採算点に乗るというような試算でスタートしているという状況でございます。
  132. 伊部真

    ○伊部真君 たしか、大きな関係ではオイルだとか、それから石油だとか、あるいは肥料だとか飼料だとかいう、たしか六つくらいの会社がありましたね。ああいう物資別輸送会社というのがあります。それにライナーサービスがあります。ライナーサビースが一番大きいようでありますけれども、赤字が五千万円ほど出ておるようでありますけれども、ほかのいわゆる物資別輸送会社、別々につくっておりますね。国鉄がたしか五〇%くらいの出資をしてこれをつくっております。ああいう輸送方式というのはよかったかどうかですね。何かやはり赤字が出ているようですが、ここの資料にははっきりしたのが出ておりませんけれども、その点いかがですか。
  133. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) いま御指摘になりました物資別輸送会社で、古いものはオイルターミナルとかあるいは飼料とかセメントとか、最近近代的な輸送形態ということで力を入れてつくったわけでございますが、その中でいいものは三年後には黒字に転化いたしております。それからライナー会社、これもいま一例としておあげになりました。これもいままでは赤字でございましたが、ことしから、大体ことしの決算で、単年度でございますけれども、黒字の決算ができそうな気配でございます。これはもちろんライナーがふえたというメリットもあると思います。それで先ほど申しましたように、つくった当初にはこれは例外なく赤字を計上しておりますが、早いもので三年、大体五、六年たてば採算点に乗ってきているのが大体現在の各会社の実情でございます。
  134. 伊部真

    ○伊部真君 先ほど運輸大臣に私お答えをいただきましたが、国鉄のやはり大きな赤字の原因は貨物である。その貨物のうちで、いわゆるコンテナというものはかなり成功して、これからも私は前途はあると思います。しかし、この数字は、言われておるほどの数字ではない。これはまあ荷物の性格からいってそうだと思いますし、そして、いまの現状ですと、端的に申し上げればやはり採算に合わぬものは鉄道に持ってくるということになろうと思うのですよ。われわれも経験しているのは、やはりかさがあって、運賃が従量制でいきますと、たいへんに扱いにくいやつは国鉄に持っていったら何とかなるだろう、いいところだけはトラック屋さんが行くというような傾向は、私は変わらぬと思うんですね。そうしますとね、やっぱりこれは苦しくなってくると思うんですよ。国鉄へ持ってきたものは、それは採算が合わぬからお返ししますというわけにはいかぬから、これは持って帰んなさいということは言えぬから、そこにつらさがあると思うんです。この問題を解決というが、国鉄内部でもできるだけの努力をしないと、といいますか、それは当然国鉄が負うべき運命だというなら、これはやっぱり公共負担で国が考えてやらなきゃいかぬことだと思うんです。いまのところ、私は端的に申し上げて、小さな荷物、手小荷物、今度六〇%も上げるということだから、少しは採算は合うだろうと思いますが、しかし、それにしても、いままで小さな荷物を持ってきた。持ってきただけでもぞうっとしていた、お断わりもできないし。前は、フラフープが流行したら、国鉄はうんと赤字になった。フラフープだとか電気のシェードとかいう、これは荷主さんには言えないけれども、これは運送屋さんは一番困るわけですね。トラックも困るわけです。だから、五割増し取ったって、十割増し取ったって、目方で計算してたらどうにも合わないんですよね。そういう問題をこれから想定して、これはやっぱり国鉄というものは考えていかなきゃいかぬと思うんですよ。国鉄というものはそういう運命を持っていると思うんです。そこで、やっぱりその赤字の原因がそこにあるとわかっておっても、それは国鉄としてはそれをしょって、そのまま黙っていかなきゃならぬのかどうかですね。私は国鉄のほうの見解を聞きたいと思います。
  135. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) 結論的に申しまして、いまの営業法のたてまえから申しますと、鉄道の窓口へ持ってこられた物は、特別の危険な状態におるとか、あるいは包装が不完全であるとかいうような事由を除きましては、鉄道にやはり輸送の義務があるという考えであります。したがいまして、それから発生する、それを送ることによって生ずる赤字をどうするかという問題は、やはり別の次元で考えていかざるを得ないのじゃないか、このように考えております。
  136. 伊部真

    ○伊部真君 私は、この点では非常にはっきりしたと思うんでありますけれども国鉄の赤字の原因——いま問題になっている千八百億の大きな原因は、やはり貨物、これは動かすことのできないことだと思います。これはどうですか、運賃値上げでカバーをすべきことなんでしょうかね、旅客の運賃値上げでですよ。四十四年のときには、貨物が取られるからということで上げなかった。しかし、その原因は貨物にあるんです。それも、今度も上げて、そうしたら三年後も、また二割五分から上げるというのはお客さんを上げるということです。どうなんですか。これは貨物が赤字を出してるのに、お客さんが払わなきゃならぬ、これは私、国民の皆さんが知ったら、貨物で赤字を出しているんなら、貨物に赤字を出さぬようにしてもらわなきゃいかぬし、それは貨物をどうするかと、料金問題を含めてどうするかということが先決じゃないかというふうに言うでしょう。その点は、やはり政府としての方針を明らかにしていただかないと、またしても——いや、私かばうわけじゃありませんが、罪のない国鉄運営に対して、貨物というもの、荷主さんが持ってきたから、あるいはいまの運輸行政がないというところの原因から、そのしわ寄せを持ってきたからということで、そこで責められて十一万人が整理をされるとか、国鉄の運営はなっとらぬとか、どうだこうだと言われるのは、私はそういうところに、はっきりした原因があるんなら、そのことをはっきりしないと、罪のない者に罪を着せることになるんじゃないか。この点を明らかにしてもらわないと、私はどうも、国鉄運賃というのはほんとうに純粋に赤字だからしようがないというふうに思えるかどうか、私は思えませんが……。
  137. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 先生御指摘のように、現在の客貨の原価を見れば、まさに旅客のほうはとんとん、何とかやっているけれども、貨物は大きな赤字を出しておる、これはもう事実でございます。それで、しからばそれに対してどういうふうにすべきかということでございますが、国鉄のやっておりまする貨物輸送の国民経済的な使命ということを考えてみますと、それではそんな赤字のものはやめてしまえというわけにはいきません。これはやはり背負っている使命からいきまして、国の、国民の要請する貨物輸送は行なわなければならぬということは申すまでもないところでございます。その場合において、その赤字をカバーするために、貨物の運賃をそれだけ上げて旅客の運賃の値上げは押えたらいいではないかという考えが当然あると考えられます。しかしながら、現在、先ほど先生御指摘のように、国鉄の貨物輸送につきましては、従来までも非常に伸び悩んでおるということは、競争の条件ということによりましては、なかなか貨物運賃の値上げが困難であるということになろうかと思います。それで、そういうふうな貨物運賃の姿、貨物輸送の姿になってしまったのはなぜかということは、これは先ほど国鉄からも申し上げましたが、やはり国鉄の従来の輸送の体質というものが、いまの世の中にマッチしなくなってきたというところに一つあるわけではないか。そうすると、その体質の改善ということをはかっていって、貨物においてもやはりこれが十分に行なわれ得るようなことにしていかなければならぬ。そのための設備投資等もやるし、あるいは貨物輸送のシステムチェンジもしなければならないということになろうかと思います。それから、いま一つこれに対する方策といたしましては、国鉄だけの力というものによりてやることは非常にむずかしい、困難な問題がございます。先ほど大臣が申しましたが、国鉄だけではなくして、国としても外の面、たとえば先ほど先生御指摘がございましたように、白トラックによるところの過積みというような外の面における対策ということも含めて考えていかなきゃならぬということでございまして、そういう面の対策をあわせて、国鉄自体の対策というものをも考え合わせてやっていくということでなければいかぬと、このように考えております。
  138. 伊部真

    ○伊部真君 私は、従来そういう話で過ごしてきたと思うのでありますけれども、たとえば国鉄の体質と言われますけれども、いま輸送関係で一番問題なのは何かというと、やはり設備投資をしてもその分だけの見返りがないというところなんですよ。いまのこの現行の輸送というのは、たとえば輸送の状態を見ますと、路線業者がかなり苦しい、区域はもうかるが。というのは何かというと、やはり路線のターミナルというものが、減価償却に非常に大きな負担になるのですよ。したがって、国鉄の設備を改良したからといって、採算上はそんなに、さっきおっしゃったように、ことしから新しく一兆円入れたからもうかるようになるというのは幻想であって、私はそんなものじゃないと思うのです。長年これをやってきた競争相手がある。何もないところで、昔の独占時代における設備投資になりますと、これはあるいは計算上出てきますよ。しかし、競争相手がおって、しかもその競争相手は明らかにむちゃなことをやっているわけですよ。いわば法秩序に違反したことをやっているわけですよ。そういう中で、国鉄の近代化、これをやらなければいかぬことは私も承知しております。国鉄の設備もよくしなければいかぬでしょうし、それだけの設備をせんならぬでしょうが、そのことだけでこれは片づけてはいかぬと思うのです。やはり国鉄が持っている運命的なものをどうやって解消してやるのかということが、私はやはり命題でなければならぬと思う。  この間の、ちょうど北海道の港湾工事のときに私は申し上げた。少なくとも運輸省の手元だけでも、足元だけでもすぐにフェリーのところに計量機をつけたらどうですか、高速道路のインターチェンジのところでも、建設省に言ってもなかなかいかぬというなら、足元のフェリーのところでもっけたらどうですかと。海運局の説明ですと、船に乗ったトラックは長さの制限があるけれども重量の制限がない、だから十トンのところを二十トンこしても違反ではないと言う。管轄が違ったら、それだけはっきりしているのですよ。そういうふうな状態で、みんな各省各省が、その部門部門がてんでんばらばらに責任のがれをしておったのでは、私は日本のこの貨物輸送というものはよくならぬと思うのですよ。そういう意味で、国鉄の体質改善というふうなことばだけではなしに、やはりちゃんとした計算が立たなければならぬのではないか。私は、そういう意味で、どうも納得ができないのは、前にも貨物運賃が上げにくいと、上げにくい原因は何があるんでしょうか、私はここに問題があると思うんです。あの品目の上げにくいという点、相手方がのまなければそのまま済むというなら、これはいつまでたってもなりませんね。ですから、この貨物運賃というのが妥当なのかどうかという点をひとつやはり検討していただかないと、そして、これの防止策をどうされるのか、私は端的に申し上げて、これは三年後になったらよくなるどころか、私は、貨物輸送の面では、国鉄の場合はますます窮地に追い込まれるであろう、そう言わざるを得ないんです。もしもそうでないと言われるならば、その根拠をお示しをいただきたいと思うんです。ですから、運賃の値上げについても非常に困難だという理由と、それからこれから長期計画をやっていったらよくなるという具体的な理由を明らかにしていただきたいと思います。
  139. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 先ほどから貨物輸送についての専門的な御意見を承りまして非常に私ども感銘いたしておったわけでございますが、実は四十四年の運賃値上げを避けたのは私自身でございまして、ちょうど四十一年に相当大幅に上げまして、そのころから、先生のおっしゃった、私はこういう席でございますからあまり白トラとか過積みとか申しませんが、やはり非常にトラックが隆盛になったわけでございます。四十一年に三割近く上げて、それからもう目に見えて輸送量が減ってくる一方、御承知のとおり、私どものほうの一番大宗の荷物だったところの石炭、これは一時五千万トンでございました、その五千万トン、現在千八百万トンぐらいに減っております。その石炭の減少が大体どのくらいまで減るかということの予想も全くつかない、場合によっては一千万トンを切るんじゃないかという話もあったわけです。そういう時代で、石炭以外にも木材その他いろいろございましたけれども、やはり一番大宗貨物の石炭の見通しがついたというふうな問題、それからいま申しましたトラックの問題等がございます。一方、私どもの設備投資、いわゆる、先ほどお話が出ておりました体質の改善がさっぱり進んでないというふうなこと、大体三つの理由で私は四十四年のときには上げる自信が全くなかったわけでございます。その後三年間たちまして、全部消えたかというふうには申し上げられませんけれども、まず石炭、大体これで、私は千七、八百万トンで一応底にきたのじゃないかというようなことは、これはまあ石炭の関係からいろいろ伺ってみましても、これ以上そう急激に減ることはまずないだろう、もう閉鎖すべき山は大体閉鎖し済んでしまったというようなことから大体石炭も底をついた、それから私のほうの設備投資自体もどうやら貨物のほうに回すことができ、フレートライナー、これは主としてイギリスの例を学んだわけでございますけれども、イギリスの国鉄が非常にフレートライナーで成功したという実情などにつきましても実際に人をやりましていろいろ勉強させまして、いろいろ相当教えられた点も実はあったわけでございます。そういう点も取り入れた。その他貨物についてのいわゆる体質改善的な意味の、これは単に設備投資だけでなしに、さっき先生のおっしゃった、一品積みの貨物をどうしてもっとコストを下げて輸送できないかという点について、百キロに一回ずつヤードに入れて仕分けをするというようなやり方ではもうだめだというようなことで体質改善と申しますか、単に設備投資だけでなしに輸送のやり方そのものについても考え直すという大体の方向がきまってきたのでございます。  それからもう一つは、トラックの問題につきましては、これはいわゆる取り締まり的な意味のことは私申し上げませんが、現在相当道路交通混雑関係で、御承知かと存じますが、相当トラック屋のほうで、しかもこれは白トラじゃないほうでございます、純粋の自動車運送事業者のほうの荷物が逆にUターンして国鉄にいま返りつつある、たいした数量ではございませんが、傾向といたしましてそういう傾向にあるというふうなことで、ここで四十一年から上げなかった運賃を二割五分くらい上げても若干の歩どまり——大体実質を一割五分と見ております、歩どまりは二五%上げて一五%という歩どまりで見ておりますが、その程度の収入はあげられるのじゃないか。しかし、いずれにいたしましても非常にきぎしい客観情勢、ことに、自動車だけだと思ったらいつの間にかフェリーという非常に大きな強敵が出てきておる、こういうことも頭に踏まえました上で、非常に事実としては苦しいと思います。苦しいと思いますが、ここでやはり貨物を上げて——旅客に負担させているというふうないろいろな御批判もございます。したがって、貨物としての千何百億の赤字はすぐに解消できないまでも、まず原価計算自体の配分を考え直していくと同時に、赤字を少しでも減らすという方向に進み得るような緒についたというふうに思います。したがって、先ほど先生の冒頭にお話しになった今後の輸送量の伸びでございますが、これは私は簡単にあれだけ伸びるとは思っておりません。非常にきびしい努力をしなければあれだけ伸び得ないと。と同時に、その努力だけで伸びるかどうかについても一〇〇%自信があるとは申しませんが、しかし、やはりわれわれは、企業を預かる者としてはそういう努力をしなければいかぬということを考えておるのですが、その他、先ほど先生の御指摘になったトラック、いま日本のトラック界の持っておる、ことに自家用トラック界の持っているいろいろな問題につきましては、やはり根本的に解明されませんと、単に表向きの運賃だけで見るとそんなにアンバランスがあるわけがない。さっきたまたまおっしゃったので、そのことばを拝借しますが、半分の運賃で倍の荷物を運ぶということになりますれば、それは鉄道にいかなくなるということも考えられます。そのことについて、私も運輸委員会に出まして、いろいろその問題について諸先生方が運輸省当局に御質問になっていることも私もそばで伺っておりまして、そう遠くない時期に、たとえばトラックの重量制限を超過した場合には何かそのことをつけるとか、表示が出るとか、ああいうことならば私はそうむずかしくないと思うのです。そういうことが必ず実施段階に移るだろうということを期待しながら、非常にきびしい貨物の前途でございますけれども、私は関係の業界と力を合わせまして、前進してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  140. 伊部真

    ○伊部真君 私はときどき言うのでありますけれども、諸外国の例と比較をいたしまして、日本の場合には、いわゆる自家用車というものが非常に比率として大きいのですね。で、欧米各国で一〇%下っているところはないだろうけれども、日本の場合は営業車が六・七%くらいしかないということで、実際問題としてトラックの場合も自家用の規制というものが交通面でもそうだし、秩序面でもそうなんですが、この辺をやっぱり考えないと、私はいまの姿が正常とは思いません。というのは、欧米各国どこでも一一%から一四%くらいの営業車の比率ですから、シェアから見て、車両保有台数と扱い量から見て非常にアンバランスで、実際に営業車の総トン数で申しますと三割くらい、あるいは東京で申しますと五割くらい運んでおるので、占有率は六・七%くらいだというのはどうしてもアンバランスだと思うのでありますけれども、これはまあ何べんも申し上げているので、きょうも自動車局長おられるのでありますけれども、ぜひひとつそういう点については、国鉄国鉄というのではなしに、物流全体としてやはり検討して、そうして施設も考えるべきだというふうに思うわけです。計画も全部そういうところでやりようがないものだろうか。  私は後ほどまたこの問題について触れてみたいと思うのでありますけれども、物流全体として考える場合に、国鉄もいま持っている施設を提供する、そうして荷物はレールで運んだら一番効率がいいのか、あるいはトラックで運んだほうがいいのかということの選択をやはりちゃんと早く——荷主さんが要求する場合もありましょう。そういう荷主さんの要望に従って、そうしてその荷物を、トラックかレールかあるいは船かということの選択をさしていくという、何かやっぱり一本機能というものがなければいかぬのじゃないか。私は正直に言っていまの観測ですと、確かにシェアの率では国鉄の四%内外というのは、もうほんとうに底をついているような感じで、日本の輸送力全体からすれば、総トン数の四%程度というのは問題にならぬと思うのですよ。しかも、この程度の競争力では、これからの中長距離国鉄へといわれるけれども、私は、やっぱり船に取られてしまう、トラックももう飽和点に達するから船になる、したがって、国鉄というのは貨物の面ではますます苦しくなってくるのではないかというふうに思えてなりません。したがって、私は、この問題についてはこれからもひとつ検討をしていただきたいと思うのです。私は、このことについてが一番大きな国鉄の赤字だと思いますから、これについての大臣からの回答なり、総裁からの回答については不満であります。したがって、これについては私は必ずしも納得をしてすわるわけではありません。その点は申し上げておきます。ですが、ちょっと途中になりますけれども、飛んで質問をいたしたい。  それは、実はきょうは自治省とそれから自動車局長にせっかくおいでをいただいておりますので、何にもなしで帰っていただくのも申しわけないような気がいたしますので、したがって、お願いしたいのでありますが、一つは、この間、現地視察に参りましたら、「京都新聞」に出ておったことなんでありますけれども、京都市の市営バスに民営のバスが乗り入れをして、それを許可しているんですね。私は当時、大阪の陸運局長がおられたので、ほかのもありますかと言ったら、和歌山にもあるそうなんでありますけれども、その乗り入れの条件としては、あとで乗り入れたので、お客さんはおろすことはいいけれども、乗せることはできないということなんですね。これ、大臣どうでしょう。京都のあの町の中で、同じバスが来て、お客さんが立っていて、おりるお客さんがあってもそのバスに乗せてもらえないというのはどうも私は不合理でなりません。私は、それば業者の権益ということでわからぬことはありませんよ。しかし、それよりも大事なのは何かと言ったら、やはりお客さんじゃないんでしょうか、市民じゃないんでしょうか。京都市でもあるいは陸運局でも、この問題について私はどうも不満なんで、この点は早急に解決すべきことではなかろうかと思うのでありますが、局長並びに自治省の御見解を聞かしていただきます。
  141. 野村一彦

    政府委員(野村一彦君) ただいま御質問にございましたように、郊外部でバス輸送をやっております民営バスが、主として公営が輸送を担当いたしております市内部に乗り入れるというケースが、このバス輸送の発達の過程において各地にございました。そうしてその場合に、いま先生が御質問になりましたように、クローズドドア制と称して、そういう郊外部から市内部に乗り入れる民営バス等が、そこで入ってくる場合のおりるお客はこれはおろすけれども、新たに乗せない、あるいは逆に、市の中心部から郊外に出る場合にこれはおろさないというような、いわゆるクローズドドア制をやっているケースが以前かなりあったわけでございます。これはやはり何といいますか、それぞれの区域を中心にして輸送をいたしておりますところのバスの需給関係、ひいてはそのバスの採算というようなことを考えまして、両方の事業者間で協定を結びまして、そうして道路運送法に基づく運輸協定を結ぶ例が多いわけでございますが、そういうことによってクローズドドア制をやってきたわけでございますが、これは乗客の利便という点から見ましても、確かに、先生御指摘のように非常に問題があるわけでございます。したがいまして、私ども各地の陸運局に指導をいたしまして、クローズドドア制を解除してオープンにするといったような指導を最近かなりやってまいりました。その結果、御指摘の京都市、これは大都市におきましてほとんど唯一といってもいい例でございまして、ほかにももちろん例がございますが、一番極端な例でございまして、京都市におきましては、この民営十社との間にクローズドドア制が行なわれているということで、これは私どもあまり好ましいことではないと思います。したがいまして、今後、一般論といたしましても、クローズドドア制は徐々に解除の方向に持っていくような指導をしたいということで、特にその中でも京都の場合につきましては、最近の情報によりますと、京都市当局におきましても、このクローズドドア制を逐次解消したいという御意向を漏らしておられるようでございますので、関係者を指導いたしまして十分お話し合いをし、乗客の利便を阻害することなくオープン化の方向に指導したい、かように考えております。
  142. 鎌田要人

    政府委員(鎌田要人君) 問題の基本は、乗客と申しますか、利用される方を中心に考えるべきだということはお説のとおりだと思います。ただ、問題は、公営交通事業というものが厳としてあるわけでございますし、これが御案内のとおり、事業環境の悪化に伴いまして四十五年、四十六年の給与改定もできない、非常に経営が悪化しておる状況でございます。そこで問題は、結局、市域内の交通というものとそれから市域外からの遠距離通勤、通学、これをどのように調整をするかという問題であろうと思うわけでございます。私ども公営企業者に関係いたしております立場から申し上げますと、ある程度やはり公営企業というものの経営の健全安定化ということを願う立場にございますので、そういった立場をどうしてもとられることになろうかと思いますが、市当局が住民の利害のことをよく考えながら関係の業界の方々と協定をされて、自主的に決定をされるということにつきましては、これは私どもは異存はない、こういう形で指導いたしたいと思っております。
  143. 伊部真

    ○伊部真君 この点は、私の聞いたところは京都、岡山でありますけれども、それ以外にも、九州その他にもかなりあるようであります。これはやはり市民感情から見ても、私は決して納得できるものではないと思いますね。経営するといいますか、その立場なんか私、理解できぬわけではありませんけれども、市民としては、それは遠くに行ってしまうときはいいんですけれども、しかし次に自分が行きたいと思っているところへそのバスが行くということがはっきりわかっておるのに乗せないというのは、やっぱりそれはケースケースによると思うのです。したがって、それは市民感情からいっても常識的に当然乗せるべきだという点については、一たん乗り入れを許可した以上はやっぱり見ないと、せっかくバスが来たと思って喜んで乗ろうと思っても、おりる人があっても乗ってはいかぬということであっては、これはやはり好ましくないと思います。ですから、どうかひとつそういう点では指導をしていただきたい、こう思います。  それから、せっかくですからあとで質問することを前にやるわけですけれども、赤字線が撤去になりましたときにバス運行に切りかえるということになりますね。バス運行に切りかえるということになった場合の、その運行の責任はだれが持つのですか。持つというのは、たとえば永久に線路が取られたあとは国鉄さんが責任を持ってくれるのか、あるいはどこが責任を持ってくれるのか。それはどこかが足の責任をちゃんと持ってくれなければいかぬと思います。私があるところへ行ったら、国鉄は赤字になったからバスにまかす、バスは自治省のほうの関係で補助金を出さなければいかぬようになってしまう。したがって、国鉄の都合で自治省のほうの予算を食われるのはけしからぬというようなことも聞いたことがあるのですけれども、そういう点についてはやはり責任分野ということを明確にしておかなければいかぬと思うのです。関係者のひとつ見解を伺いたい。
  144. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 国鉄の線を撤去する場合でございますと、当然その場合に代替的な交通機関がなければかってにこれを撤去はできないというのが基本的な考え方でございます。したがいまして、その場合の代表的交通機関の確保というのは、何といいましても撤去すべき国鉄自体に責任があるわけでございまして、その意味で当然それは、もし代替的なバスがないような場合には国鉄自体が考えて代替的なバスの手配その他を考えなければいかぬ。ただ問題は、当該地域に民営のバスあるいは公営のバスその他のバスがあるような場合でございますと、この場合におきましては、当然その地域に従来から存在いたしますバスの事業者というものと国鉄の間の事業の調整をとらなければいかぬわけでございまして、その意味で地元のそれらの方々との間の十分な相談いたしまして、その上で、足の確保というものをやった上で撤去をいたす、こういうことでございます。
  145. 伊部真

    ○伊部真君 これは普通そういうふうに理解はできるわけですけれども、しかし自動車局長から私報告を前に受けたことがあるのですけれども、民間のバスもかなり経営難で、年間に相当数路線の休廃止をやっているような状態ですね。あるいは廃業せざるを得ぬというところに追い込まれているバス会社もかなりあります。最近でも聞いているわけです、どんどんこれからふえてくるという過疎化によって。そうすると心配なのは、線路を取られて、バスはいま動いているけれども、ほんとうにずっと動いてくれるんだろうか。赤字になったら、また高知県交通のように、あるいは徳島バスのように路線がどんどん切られていく。で自分のほうの経営が維持できるところだけ残るのではないか。それは自治体が持っても民間が持っても私はそういうことが出てくると思うのですね。ですから、その場合に、それは成り行き上その民間が責任を持つのだということで、前の国鉄の、あの撤去の場合の責任というものはなくなってしまう。これじゃ安心して足が確保されたとは思えませんね。それは五年や六年はしんぼうしてくれるかもしれません。これから十年後になってもほんとうに足は守られるだろうかという、市民についてはそういう心配があろうと私は思うのです。したがって、その点についてどう処理をされていますか。
  146. 丹羽喬四郎

    ○国務大臣丹羽喬四郎君) 過疎バス対策につきましては、これはいま御指摘がございましたように非常な問題がございます。この点につきましては、昨年までは過疎バスの助成につきまして年間についてわずか一億五千万円、国の助成でございますが、今回はそういう点も勘案いたしまして、まだ私はこれで十分というわけではございませんが、方式も変える。ほんとうの過疎バスだけでなくて、やはり必要なところに、しかも赤字経営のところを集約した場合にはある程度の助成をしようという方式に変えまして、いままでに、本年はたしか四億六千幾らですか、年間にいたしまして十億、約七倍の予算を取った次第でございます。これでも私は満足いたしておる次第でございません。そっちのほうにつきましては、国の助成も極力ふやしてまいりまして、過疎バス対策に遺憾なきを期してまいりたい、そういうことをしてまいりたいと思っている次第でございます。  いまのお話の問題、これは要するに大量輸送が必要がないというところが閑散線でございまして、もう大量輸送の輸送人口もない、そういうところに鉄道を大きな経費をかけてやっておりましても、それらの輸送人口がないというところ、しかも、それを簡単なバス輸送に切りかえ得るところでございますので、これはそういったような方面で、国の助成その他の方法によってやることが望ましい、こう思っている次第でございまして、私どもそういう方法でもって、やはり国としても施策を講じてやってまいりたい。  それから、先ほどからいろいろ御質疑がございましたが、はなはだ恐縮ですが、やはり運輸省といたしましては、ことに陸海空一体の、そういった総合交通の具体的均衡のある発展をさせなければならぬ。料金の問題からいたしましても、あらゆる点におきましてもしなくちゃならぬ。再三の御叱正をいただいた次第でございますが、いわゆるやみ料金の横行とか、そういったような問題につきましては、ほんとうに適切な処置をとってまいりたい、こういうように思っている次第でございます。重ねてそのことを申し上げまして、私どもの決意を申し上げた次第でございます。
  147. 伊部真

    ○伊部真君 まだ出入り程度でございますが、まだだいぶ質問の項目があるわけでありますけれどもかなり時間がたったようでありますので、次回に質問させていただきたい、かように思います。
  148. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 伊部君に申し上げますが、質疑を続けてください。
  149. 藤田進

    ○藤田進君 議事進行。  野党の質問者は私も含めて各資料の収集もしなければならないし、ああいう答弁では、なかなかそこにはいかないでしょう、疲れるばかりで。きよう九委員会があって、すでにとっくに八委員会はもう終えていますよ。違えば調べてきてください。何で運輸委員会はやらなければならないか。委員長理由を聞かしてもらいたい。そういう意味で、きょうは少しおそくはなったけれども、先例としないで、ここで散会されんことを主張いたします。
  150. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 定例日と違いますし、さらに十分審議を尽くしたいと思いますので、なおきょうの審議を続けたいと思います。そうお願いします。伊部君、質疑を続けてください。
  151. 藤田進

    ○藤田進君 会議があるときは定例日と同じなんですよ。そうでしょう。もめれば理事会を開く以外にないじゃないですか。
  152. 木村睦男

    委員長木村睦男君) どうぞ、伊部君、質疑を続けてください。
  153. 伊部真

    ○伊部真君 きのうも大体七時に終わったので、私、別に特別なことをしたとは思わないんですがね。ですから、きのうと同じ時間で、一応これで休憩をしたいと、私はそう思ったのですが……。ですから、きのうよりよけい質問するというなら、これは一ぺん理事会のほうできめていただきたいのですが……。
  154. 木村睦男

    委員長木村睦男君) きょうはさらに審議を続けたいと思いますので、御質疑をお願いいたします。——伊部君、質疑は終了したのですか。
  155. 伊部真

    ○伊部真君 いやいや、していない。
  156. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それじゃ続けてください。
  157. 藤田進

    ○藤田進君 それは強制するわけにはいかない。どうするか、はかるんですよ、理事会で。
  158. 木村睦男

    委員長木村睦男君) どうぞ質疑を続けてください。
  159. 藤田進

    ○藤田進君 理事会で相談してくださいと議事進行で言っているのですから……。
  160. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 伊部君、どうぞ質疑を続けてください。
  161. 藤田進

    ○藤田進君 理事会の決定を話してください。
  162. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本日の質疑はおおむね七時半まで継続いたします。  伊部君質疑を続けてください。
  163. 伊部真

    ○伊部真君 きょうは公団のほうは来ておられますか。来ておられなかったら鉄監局長のほうに伺いたいと思います。建設公団の設立以降の工事総額と完成の内容ですね、ひとつわかりましたらお知らせください。線名というか、数でいいんです、線路の数でいいですから説明してください。
  164. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 建設公団の工事線でございますが、現在五十七線二千七百八十三キロでございまして、そのうち着工線四十七線二千二百九十キロ、未着工線四百九十三キロでございます。それから、ただいま先生御指摘ございましたその工事線の中で開業いたした分、開業線でございますが、三百八十キロ、その中でAB線が二百九十七キロございまして、C線が八十三キロということでございます。なお、この開業線の中には、もちろん公団発足前から建設をいたしておりましたものについての開業の分が含まれております。
  165. 伊部真

    ○伊部真君 この中に貸し付け線というのがありますね。で、貸し付け線というのは、私、聞きますと、有償と無償とあるというふうに聞きましたが、貸し付け線の内容とその条件についてお聞かせください。
  166. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 鉄道建設公団が設立以来のものにつきまして、鉄道建設公団から国鉄へ譲渡し、または貸し付けをするということになっております。その中で、まあ譲渡線というのは、実は従来国鉄が経営いたしまして、ほとんど完成をいたしておりましたものを鉄道建設公団ができましてから譲渡したというのが一つございまして、これは能登線でございますが、その他は全部貸し付け線でございます。したがいまして、譲渡線はちょっと例外でございます。そうして、その貸し付け線は、三十九年に鉄道建設公団が発足いたしましてから開業いたしました線は二十二線、譲渡線のほか二十二線ございまして、その二十二線の貸し付け線の中で、いわゆる有償貸し付け線というのが七線、無償貸し付け線というのが十五線ございます。それで有償貸し付け線と申しますのは、線名で申しますと、狩勝線、落合線、丸森線、篠栗線、根岸線、鹿島線、岡多線でございまして、その他の十五線につきましては無償貸し付け線でございます。そして、この無償貸し付け線と申しますのは、これは鉄道建設公団法によりまして、後進地域その他特定地域の開発のため特別な必要があると認めて運輸大臣が指定した路線につきましては無償で貸し付けることができるという規定になっておりまして、いわゆるAB線と称しておりますが、そのAB線につきましては、無償貸しつけをいたしておると、こういうことでございます。それからいわゆるCD線につきましては有償貸し付け線ということになっております。
  167. 伊部真

    ○伊部真君 それから四十三年の十一月に赤字線八十三、二千六百キロというのが発表されましたですね。これと三千四百キロとの関係はどういう関係になりますか。
  168. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 四十三年の十一月でございましたか、いわゆる八十三線区、二千六百キロにつきまして——国鉄総裁の諮問機関でございまするところの国鉄諮問委員会というのがございまして、これがこの八十三線区、二千六百キロにつきまして、道路に転換をすることが適当であるという意味の答申をいたしました。それで、これは実は国鉄の諮問機関の国鉄総裁に対する答申でございますが、実は今回の財政再建の、新再建方式によりまして地方閑散線と申しておりますのは、必ずしもこれとは一致をいたしておりません。それで今回の地方閑散線につきましては、これは国民経済的に見まして道路のほうが鉄道よりも有利であると考えられる路線につきまして、地元の実情、代替交通機関の状況、それから今後の開発の計画等における輸送の確保等々を勘案いたしまして、鉄道から道路に転換すべき線というものを今後定め、そしてこれを長期的に廃止をしてまいるというものが地方閑散線でございます。これは八十三線区二千六百キロとは直接関係はございません。ただし、考え方としましては非常に何といいますか、同じ方向といいますか、方向の考え方に沿ったものでございます。
  169. 伊部真

    ○伊部真君 私は、国鉄総裁に対して答申をした内容であろうと、どこで議論されようと、やはり基礎になるものは、経営上非常にむずかしいということに根拠を置いた限りはそんなに変わったものが出るとは思えない。ただ、今度の新しい基準ですか、閑散線の廃止基準について衆議院の運輸委員会で発表された内容というものとこれを合わしてみると、確かに内容的にいうと問題がありました豪雪地帯ですね、これはバスが動かぬからということもありましょう、それから非常に問題になりました廃止線と新線との関係ですね、この問題がありましょう。それを除きますと、私はそんなに、ほとんど変わりないんではないかというふうに思うのでありますが、その点いかがですか。
  170. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 今回の認定基準の考え方でございますが、これは国鉄の経営自体というよりも、むしろ国民経済的な観点に立って、鉄道よりも道路に転換するということが適当であると、したがって、これは道路に転換をしていこうという趣旨が中心でございます。したがいまして、その見方につきましても、たとえば輸送量の基準というものにつきましても、自動車輸送のほうが経済的であると認められる程度の輸送密度というようなことであって、鉄道と自動車の輸送密度の面から見ました適、不適というもの、それから過去の輸送量が停滞をしているかどうか、あるいは減少をしているかどうかというようなこと、それから輸送量の面だけでなく、たとえば代替輸送の確保が可能でなければ地元に非常に御迷惑をかけるわけでございますから、したがって代替輸送の確保が可能であって、そして廃止によって公衆の利便が著しく阻害されるおそれがない、ほぼ並行している道路がなければやはりいけないとか、あるいは鉄道の輸送の特質からいきまして、非常に一時に大量の輸送を行なうことができるのが鉄道の特質でございますから、したがって、ラッシュ時間帯等におきまして、一時に大量の輸送が殺到するような場合には、自動車輸送ではたえられない場合があるので、したがって、そういうラッシュ時間帯において、自動車輸送にたえられる程度の輸送量であるという場合でなければ転換しないとか、それから、いまちょっと先生お話がございましたような特別豪雪地帯というようなところを通過する路線で冬季の自動車輸送というものが著しく困難であるというようなものにつきましては簡単に取ってしまうわけにはいかない。さらに国家的な開発計画ということによりまして将来輸送量が増加するということが想定されるようなものにつきましては、これをすぐ取ってしまうわけにはいかない。あるいは、先ほどの、これも問題のあるところであると思いますが、将来建設を継続していくべき新しい線、新線に接続しているものを取ってしまったらもとがなくなってしまうということで非常に困るということで、そういうようなものも考えなきゃいかぬというような基準で、いわば国家的、国民経済的な観点あるいは交通系絡というような観点、地元の便益の確保というような観点、こういうものを中心として実は考えております。まあ基本的な考え方としては八十三線区に対する答申とはそう違っておりません。
  171. 伊部真

    ○伊部真君 そうすると、どう検討しても前の八十三線区とそんなに私は大きく変わりはないと思うんでありますが、しかし、いずれにしても、こういう基準で新しく検討して、何か衆議院では八月ごろに出すというような答弁があったようでありますけれども、これは大体目安がついているんじゃないですか。
  172. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) ただいま申し上げましたように、基準自体が一応あるわけでございますが、たとえば輸送量で自動車輸送のほうが経済的であると認められるというようなことにつきましても、掘り下げていきますと非常にむずかしい問題がございます。たとえばランニングコストで比較をするわけでございますから、その場合に同じような道路、鉄道の条件というもので比較をしなければ国民経済的な有利、不利というものはわからない。そうすると、その場合の原価のとり方というようなものを私ども一応、固定費というようなものと変動費というようなものに原価を分けて、そして計算をしなきゃならないというようなことに相なるわけでございます。さらに、その場合の固定費の範囲といたしましてはどの程度までを固定費としたらよいか。たとえば施設費、電気費営業費——駅のような施設でございますが、あるいは操車場のような経費をどう配分をしていくかというようなこと、あるいは管理費等をどう配分するか。あるいは変動費についても、動力費等はこれはあんまり、わりあい問題がないところでございますが、その他につきましては、施設費とか電気費とか営業費とか、そういうような経費をどういうふうに配分をしていくかというようなことを非常に検討をしていかなきゃならぬ。そういう意味で、まあ先ほど申しましたように、大ざっぱに言えば自動車輸送のほうが国民経済的に有利であるというふうに言えるわけでございますが、こまかくやっていきますとなかなか技術的にむずかしい問題が多々ありまして、そういう問題を十分に検討をしなければならぬということでございますので、現段階ではまだ具体的な線まで至っておりません。法案成立後なるべく早くそれを詰めまして、そうしてこの認定をしてまいりたいと、このように考えております。
  173. 伊部真

    ○伊部真君 では具体的に聞きますが、熊本の湯前線というのがありますね。これはどうなんですか、廃止線の中に入るんですか入らぬのですか。これは雪も降りませんし、新線とも関係ありませんし……。
  174. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) ただいま申し上げましたように、この基準をまずきめて、その基準の適用の細目をこまかくきめて、その細目を適用さしていかなければならないわけでございまして、具体的に、ただいま湯前線が入るかどうかという点につきましては、ちょっと申し上げる段階ではございません。
  175. 伊部真

    ○伊部真君 それはおかしい。この基準というのは、衆議院で答弁された基準というようなものも幾つか私もこれ持っているんですよ。これに当てはめて湯前線というのは当てはまるのかどうか。たとえば、それじゃ広島の場合の可部線はどうなんですか。
  176. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) 先ほど申しましたように、たとえば、いまの第一に申し上げましたランニングコストで比較して、自動車輸送のほうが経済的であると認められる輸送密度というふうにいいましても、これ自体を非常に掘り下げてみますと、先ほど申しました原価のとり方、原価の範囲、あるいは、これは自動車道路側の問題にも同じような問題があるわけでございますが、そういうことによりまして方程式の諸元が変わってくるわけでございまして、それに当てはめた上で判断をするということでございますので、ただいまの御指摘の点につきまして、まだ、これを廃止するかどうかということは検討はいたしておりません。
  177. 藤田進

    ○藤田進君 関連。  非常に重要な問題が出されているわけで、鉄監局長も疲れたのか答弁が非常にしどろもどろ、あいまいになってきておりますが、可部線ですね、いまの話では広島から可部までは残すとか残さないとか、二百キロについての具体的なものはまだ言えないと言いながら、一方では、議会以外ではかなり具体的なものを発表しておりますよ。しかも廃止線ということに規定するならば——これが三江線のように廃止するといいながら現在、工事をやっているんでしょう。これは浜原からいくんですか。廃止するのに工事はやるというようなところがずいぶんありますね、あちこち。どうせ赤字なら寸うんと工事しておいてほうり投げるというのも手かもしれぬが、まじめな管理者であれば、そういうばかげたことはできない。だから、結局これは廃止するものだと地域住民なり利用者は断定的に確信を持っても、これまた無理な話ではない。これは廃止しないならしない、するならする、まずその辺から聞きたいと思います。  で、その際に、私は今度、篠山口から福住間の廃止せられたところの鉄道を見てまいりましたが、これなどは歴史的に見て鉄道開通以来三十年、十歳の子供ならばいま四十歳、二十のときに開通したならば、たしか五十歳、まだ歴史としてはそう古くはないと私は思います。これが廃止されるにあたって問題はバスをこれに置きかえた、こういうのですね。これは二つのコースに分かれて、あるところでは一つになる。これは神姫バスですね。驚くことに、いかにこの鉄道利用者が漸次減ってきたかということは、いまバスに置きかえているけれども、どれだけバスと、つまり起点、終点の間の所要時間がどれだけ違うかというと、二分間違う。あの曲がりくねった、しかも狭い道路を走るバス、これと、いままで線路を引き揚げない前にあったところの鉄道のスピードは同じだ、こういうことですね。それではやはり鉄道としての——あなた方が出しているこの資料を見ると、高速性とか、七つ、八つのエレメントを書いておりますね。そういうものを廃止しようと計画しているがゆえに、なるべく乗らないようにして、そしてとうとう利用者が少ないから廃止するという、この計画犯とも見えるような実績がちらちらするんです。  で、確かに丹波の篠山町、このほかに関係は、丹南なり城東なり、ほかに三町あります。関係四町三万四、五千の人口がおる。五年間で三千四百余減っております。いわゆる、これを称して過疎という、約一割の人口が減ってきておる。それからモータリゼーションの影響も受けております。しかし、私はこれを見て、いま、とにかくもうからなければ廃止するという非常に単純な論法でありますが、これはやはり現在の福知山線の複線、これを条件にむしろ地元も信じ切っていたのです。あの報告に対して伊部委員から補足報告があったように——山崎委員も行かれたわけですが、全く廃止するまでは、この人がかように熱心にやったにかかわらず、廃止してしまったら全く冷淡千万で、そういう人は可部線なんか来ちゃいけませんよと冗談まで言ったくらいなんですが、そういうようなことで、全体の利用者増加という政策の中から苦心が全然見られない。福知山線の複線、電化、これをやるんだというんですから、これをやり、そしてあそこにはすでに、私どもが会合した公民館の周辺でも数万坪の宅地造成がすでに、もう山はほとんどくずしておりますが、そういったかっこうで、あの福知山線電化、複線ということを見越して相当な開発が試みられようとして、もう土地買収も相当やりつつあるんです。そういうことになれば、また事情が変わってきたんじゃないか。しかも五千数百万円の交付金を出す。そしてバスになって黒字になったかというと、バスになって一千万余の年間赤字は継続する——間違っていれば指摘してください。まあ鉄道よりは赤字が少ないから、その三年前後のものを交付金なり何なりで地元了解の具にしたと、こういうことのようですね。  それから駅舎のあった周辺、これはまあどこだって駅のあった周辺というのは土地としては一等地でしょう、その当該地域においてはね。この払い下げが要求されて、これも大体、話がついた。坪四千円だ、こう言うんですよ。それから福知山線の電化、複線、この土地は幾らで売りますかと言うと、やはりこの辺はいいところは五万円、まあ、あの辺でも一万は下りませんと、こうなるでしょう。国鉄の経営自体が幾らどうあろうとも、廃止すれば四千円で売って、今度は五万円で複線の土地を買うなんということじゃ、まあ了解してもらうためには——私は地元の人に言いましたよ。それは四千円で買うなら、今度複線、電化、これはある意味では拡幅する敷地というもの、これは駅よりは場所が、条件が悪いんだから、それを四千円で町長さん売らなければ筋が通りませんよ、会計検査院もそんなものは、それはりっぱだと言わないだろうという話をしましたがね。  まあこのように見てまいりますと、閑散線の引き揚げということについて、あのわずかな区間の引き揚げに対して、かような状態であります。ですから、経済投資効果だけ見ても、その後の、引き揚げた直後の補償を含めてこれを考えてみると、長期的に見て発展するあの地域から見て、はたして適当であったかどうか、もっと配慮すべきものではなかったろうか、おそらく今後具体的に廃止される可部線なんかもとよりですが、そうすれば篠山線を見に行こうということで行くでしょう。地元の人は、ああ引き揚げてよかった、あなたのほうも賛成しなさいと言わないと私は思う。先進地域の町に行って、絶対に了解したらいけませんぞと、こういうこと、ああいうこと、いまだに複線、電化も見通しはついていない、ダムがどうだのこうだのいうようなことですというようなことになると、篠山線を最低に補償なり交付金なり、いろいろな形で問題が出てくるでしょう。したがって、私は午前中も触れましたが、もっと真剣に経営、営業というものを——あなた方の資料を見ると、総合的な計画としていろいろな資料を出しておりますね。どうも言うことと実際にやっていることに一致したものがないように思う。  で、第一は可部線は引き揚げるのか、引き揚げないのか、あいまいなことではまた立たざるを得ません。それから、いまの篠山線に見られるように、いろいろ説明はありましたが、どうしてああいうことになったのか、私は疑問を持ってきました。論点は、篠山線については用地の問題、あるいはバス、しかも赤字、今後の発展の見通し論を申し上げたので、ひとつお答えをいただきたい。もう半になります。
  178. 山口真弘

    政府委員(山口真弘君) まず、もうからなければ廃止するというようなことをこの基準で考えているわけではございません。国民経済的な目で見ているわけでございまして、と申しますのは、何と申しましても鉄道の特性というのは、これはもう非常に大量な輸送を定時、定型的に行なうというのが非常に適した交通機関でありますが、一方、小回りがきかないというような点があるわけでございまして、そういう面では自動車輸送にはるかに劣るということでございます。したがいまして、そういう目で見て鉄道が適当かどうかというのを基準とすべきものだというふうに考えております。  それからいま一つ、新線建設を先のほうにやっているのに、そのもとをはずすのはおかしいではないか、全くお説のとおりであろうと思います。先のほうを新線建設をどんどんやるべきものにつきましては、これは当然そのもとをはずしてしまって先だけ残すというようなことでは、これはおかしいわけでございまして、これは建設を進めていくべき新線建設につきましては、もとも同様に、撤去をするというようなことにおいて、むしろこれを改善をして、全体としての輸送効率をあげるという方向でなければいけないということだろうと思います。  それから三番目に仰せになりました、長期的な展望に立たなければならない、これもそのとおりでございまして、長期的に見てその地域が発展し、そうして輸送量が多くなる、そうすれば大量輸送たる鉄道に向く地域ということにもなりますし、鉄道が最適な交通機関ということになりますから、そういう地域というようなものも長期的な展望に立って鉄道輸送を残さなければならぬということであろうかと思います。  それから、国鉄自体が、その廃止をすべき線路について輸送サービスの低下をするというようなことは、これはもうないことだと私ども感じておりますけれども、そういうことがあれば、これまた申しわけないことでございます。その点は、廃止をしたいがために輸送サービスを低下するというようなことのないように私どもとしては指導してまいらなければならぬものと考えます。  それからいま一つ、先ほど、廃止をしてしまえばもうあとは冷淡になってしまったではないかということでございますが、これもまた、そういうことがあってはまことに申しわけないことでございまして、国鉄が御相談を申し上げ、地元に十分にお約束をしたことにつきましては、十分にこれは誠意をもって尽くさなければならぬことは当然でございます。  なお、全般的な経営自体につきまして、閑散線であろうと、経営自体につきまして国鉄が十分に配慮をし、そうして能率的な経営につとめなければならぬ、御趣旨の点は全く同感でございます。
  179. 山田明吉

    説明員(山田明吉君) 国鉄から補足して申し上げますが、いま鉄監局長が述べられた点に尽きるわけでございますが、一般的にいいまして、八十三線区の諮問委員会の答申はありましたが、それを金科玉条として手を抜くとか、あるいは輸送サービスを低下するというようなことは毛頭考えておりません。列車を運行して旅客輸送しているわけでございますから、安全については何よりも考えておりますし、したがって、そのための保安の経費、修繕費等も毎年つぎ込んでおります。ただ、そういうようなところが、道路輸送に転換したほうが国民経済的にいいといわれるほど、まあ過疎的な、輸送状態についても過疎的な状態でございますので、この東京の近所のように三分ヘッドに列車を動かすというようなことは、これはまあ極端な言い方でございますけれども、そういうような輸送需要自体がございませんので、したがって、相当間引いたダイヤになっておることは事実でございます。  それから篠山線につきましては、これは地元の同意を得まして、私ども円満裏に撤去の準備を進めてまいりました。撤去ができたから、あとは一切知らぬというような気持ちは、これは毛頭ございません。福知山線の複線化、電化の問題につきましても、先ほど御指摘のような、そろばん勘定を度外視すると申しましょうか、むしろあの沿線の発展の状況から見て、複線電化の必要があると私ども考えて、たまたま篠山線の関係の方の御要望もありますので、これは早急にいたしてまいりたいと思いますが、昨日ですか、話が出ましたダムの計画につきましては、これは前からきまっていたものでございまして、そこをたまたま福知山線が通っておりますので、これはいずれかの方向で解決をしなければならない、このように考えているわけでございます。
  180. 伊部真

    ○伊部真君 まだ質問がかなりありますが、先ほどお約束の時間でもありますので、次回に譲りたいと思います。
  181. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 本日はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後七時三十七分散会