○藤田進君 いまの将来見
通し等を含む議論は、おおむね結末は水かけ論に終わるような気もいたしますが、しかし、この種経済
関係については真険にやはり取り組んで、政府も、また国会も、できるだけやはり見
通しについてはあまり大きな隔たりのないような視点に立った将来
計画という基礎を固めなければならぬと思うのです。で、まあいろいろと
国鉄提出の資料もいただきまして四十五年度の監査報告書、その「総説」、一ページにも出ておりますように、いまお聞きいたしますと、
運輸大臣は、
国鉄輸送の前途洋々たる展望をこまかく意見として発表されましたが、わが国における輸送のシェアを見ましても、これは運輸省の資料、
国鉄監査
委員会の資料ですね、これを見ても、
国鉄はかつて昭和三十五年五一%のシェアが、四十五年度は三二%に落ちております。そうして貨物のほうはしからばどうか。これが三九%のシェアが一八%に同じ年度で落ちております。これにかわって非常な伸びを示しているのがバスとか乗用車部門、人員の輸送。ですから、六八%というものは、近時
——これは四十五年度ですがね、
国鉄以外の人員の輸送ということになり、この
カーブの動向を見ますと、もっと広がってくるように思うのです。それから貨物においてしかりですね。貨物においては八二%が
国鉄以外にということで、ですから、私
どもが知っている限りでも、貨物扱いをやめましょう
——まあ私
どもの
地元、福塩線な
どもそうですが、貨物は一切やめる。なせやめるのかと、木材もあるだろう、まあ木炭はいま減っただろうが
——実はいまもそういう貨物は鉄道は扱わなくなりました。ほとん
どもうトラックその他になりましたということで、将来全く
——現在においてもそうだが、将来皆無だということが示されているように、これは統計に出ておるわけですね。
それから、
国鉄の中における旅客の輸送ですね。「
列車別定期旅客輸送人キロ」、これを見ましても、これは一八ページに書いてありますが、地区
列車、つまり国電とかあるいは
中距離電車を除いた地区
電車という
かなりローカルとして期待されたものでも、四十二年度から急激に下がってしまって下がりほうだいです。国電、
中距離は、やや横ばいか、少し上がっておる。で、国電は、これは最近の運賃との
関係が非常に
カーブに敏感に出ておるように私は思うのです。四十二年度をピークに、四十三、四十四と下がって四十五年はやや水平、横ばいです。これは絶対量がふえていてという面もありますから、これがすぐ収入減ではない。収入は、たびたび運賃値上げ、改訂がされておりますから、収入は若干ふえておりますが、しかし管理費はまたそれ以上にふえていると、だから赤字。
これを国内について見ますと、資料をいただきました、これが運輸省の六月二日付の参議院
運輸委員会提出資料、ページは
——まあ時間がないようですから
——四ページ、「現行の再建
計画が三年間で改定のやむなきに至った
理由」と書いてここに二項目書かれておりますね。その
一つは、「自家用乗用輸送の発達を基調とするローカル旅客及び定期旅客の予想以上の落ち込み及びトラック輸送の発達と石炭、木材等の一次産品の減少による輸送量の停滞」、こういう経済現象が書かれておる。二番目は、「再建
計画で予想した上昇率(九・〇%)を上回る人件費の上昇(四十四年度一三・四%、四十五年度一五・一七%、四十六年度一四・〇%)」ということが書かれております。これを見ますと、まさにそのとおりで、これはむしろ今後も
道路、つまり新全総
——あとに出てくる新全総ですけれ
ども、あとに出てくる「輸送量想定の考え方」、つまり今度の四者で協定されておりますものを受けたというんですが、この旅客について見ると、「定期口過去の実績値と新全総
計画の二、三次産業との相関」
関係であると、以下これすべて新全総を基礎にしてあるんですよ。その新全総そのものがいま問題になって高橋企画庁長官
——高橋衛さんね、あのときの予算
委員会でも、こんなものは二年持ちませんよ、そんなことは断じてない、コンピューターで、電子計算機でやっておりますとたんかを切ったんですよ。それから、
建設省の
道路計画、五ヵ年
計画、もう一年でつぶれちゃうんです。この現在の新全総を基礎にあなた方されて、これでわれわれに今後これが出発点と言われても、これ自体がもう問題なんですよ。ですから、これから出てきたところがずっと間違いが起きているんです。たとえば、その次の七ページの「旅客輸送量の想定」でしょう。あなたがた監査報告をわれわれに出してきて、これがもう急激な下降をたどっているのに
——シェアにおいてもそうだし、人キロにおいてもそうでしょう。それがあなた、運賃を上げて、今度四十七年度上げて、こういうふうにずっと伸びていく。しかも、これ五十六年度までこういうことでしょう。これはまあ丹羽さんのような方は
運輸大臣を内閣かわってもなさると思いますが、いま
大臣のここでの答弁は法律のような価値をもってわれわれは聞くわけですけれ
ども、何としても実感が出てこないです。そこで、じゃ外国はどうかというと、終戦後私はアメリカにしばらくいまして、
——もう皆さんそうでしょうが、ホテルでもそのころから
——戦争負けてすぐですが、この一年余り、ホテルでも、ロードマップはありますけれ
ども、鉄道の時間表なんという、そんなものはないんですよ。もう二十七年前からないですよ。飛行機のやはり時間表はありますね。いま日本でも飛行機は置いておりますが、アメリカではつまりすでに斜陽産業だといわれておりました。私はバークレーからシカゴまで、二晩泊まりですが、
列車の中で
——まだ飛行機はアメリカといえ
ども簡単に乗れない時代ですから。もうあれから三十年近いですが。そこで最近のを見ますと、アメリカといえとも、戦争事情その他あって、一九四一年、これをピークに
——一九六五年までしか出ておりませんが、鉄道旅客輸送量の推移、急激になお減っているんですよ、戦後。一九四五年戦争が終わったんでしたかね。それから
——まあ時間がないので
——あと西ドイツ、それからイギリスが日本によく似ておりますが、イギリスでも、旅行者を含めて、イギリスの鉄道へ行って乗ってみたいと思うけれ
ども、不便で、これもイギリスの輸送量というものは急激にやはり落ちております。戦争済んで十年後、一九五五年から一九六四年の十ヵ年が出ておりますが、半分とは言いませんが、四一九から二八七に落ちているんです。これは西ドイツ以下。これを全部言いません。
そこで、私は、
国鉄に関する総合の
——まあ
瀬谷さんからいろいろ指摘されておりますが、あなた方の刷りものを見ましても、どうも経営という全体をマネージメントするという視野からものごとが考えられているのだろうかどうだろうかという、今度の運賃値上げするための資料のように思われてしかたがない。私は、この十ヵ年を待たず、運賃は三年ごとと言われているんですが、こういう情勢において
国鉄は
——新幹線というのはもうしばらく価値が生じるでしょう。一方同じ運輸省で航空
関係、飛行場の整備でしょう。それから有視界飛行から計器飛行に変えるとか、いろいろなことを言われておりますね。飛行機に関しては、飛行機のほうでりっぱに成果があるように言われている。それから
建設大臣に聞くと、
道路舗装その他改修、これはやはり相当なものとして、これが総合的に進んでいるという前提であるならば、
国鉄輸送というのはこういう
カーブにはいかないのじゃないだろうか。運賃との
関係もあります。たとえば、ぼくの知ったのがあす山形の酒田から来ますが、どうするのかと言ったら、酒田市から自分で車を
運転して山形まで来るんですよ。山形で
自動車置いておいて、そうして羽田まで飛行機で来ると言うんです。そういう
状態になっているんですよ。これは金の問題じゃない。
スピードといいますか、そういうことでございますから、これは水かけ論になるかもしれないということを冒頭に申し上げたが、私はここまで
国鉄輸送の量自体伸びていかない。伸びていかないとすれば、やはり
建設費等収支をまかなうために運賃料金に転嫁する、ますます悪循環というような
状態になるのじゃないだろうか。そこで、じゃどうするか。大きな意味で、ただ
線路屋で汽車を動かすというだけの
国鉄の営業という単純なそういうことでは、私鉄のほうが先回りしますよ。
瀬谷さんもまあいろいろ言って、私鉄まで言わなかったかもしれませんが、経営というものを主体に考えての運営と、まあともかく事故のないように汽車を動かせばよいというような在来の考え方では、もう経営が成り立たなくなっているように思うんです。もう気がついていると思うんです。そこに気がついているならば、そういう総合的な
国鉄経営、あるいは、斜陽産業というか、もうそろそろ店じまいをすることはいまちょっとひどいですけれ
ども、そろそろこれは縮小再生産に入るという姿勢をむしろ示されているということで、閑散線を引き上げるといったら、国会議員が中に入ったりしてやかましく言うんですね。やりにくいことはわかるけれ
ども、その辺にやはり今後切りかえをやっていくというようなこととか、あるいはまあ、この間神戸でも申し上げたんですが、一等地が、
線路だけで、上部空間がまるっきりあけてあるようなことだが、これはやはり私鉄がああいう場所を持っているとすれば
——たまたま今度
線路を立体交差にして上にあげるというようなときに、あの一等地
周辺、相当な価値のしている土地を、ただ単に上に上げただけで相当広いですよ、四車線やろうというんですから。いまやっていますがね、
工事を。そういうものがもっと立体
利用ができないものだろうか。ぼくならそうしてみたいがというような意欲ぐらい出てくるんですね。そんなように思います。したがって、私は、いま申し上げたいろいろな点について、見
通しについて、これはまあ鉄監
局長でもけっこうですが、洋々たる前途というのはどうも実感がきませんので、ほんとうの悩みというものを聞きたいし、
国鉄はいま単純に輸送経営だけではどうにもならない。これも法案が通ったんじゃないんですか、何か経営するとか。私も直接よくわかりませんがね。何かそういうことでいくか、縮小再生産で堅実にいくか、岐路に立っているんじゃないですか、今後の十年。こんなことは、私に言わせれば、ごまかしですよ
——と思いますが、いかが。